JP2020125617A - 車両用開閉体制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストの低減と、耐久性の向上とが実現可能な車両用開閉体制御装置を提供する。【解決手段】モータを含み、モータを用いて車両の開閉体を全閉位置と全開位置との間で開閉駆動する駆動ユニットと、駆動ユニットを制御する制御部とを備える。制御部は、開閉体の全閉位置の情報71aおよびそれを基準とした全開位置の情報71bを位置学習情報71として記憶する位置記憶部61と、開方向駆動信号が生じた場合であって、かつ位置記憶部61によって位置学習情報61を記憶する学習時に開閉体を閉方向に駆動する学習時閉方向駆動部66とを備える。位置記憶部61は、学習時閉方向駆動部66を用いて開閉体を閉方向に駆動し、モータの過負荷状態が検知された時点における開閉体の位置情報を全閉位置の情報71aとして記憶する位置記憶部[1]61aを有する。【選択図】図6

Description

本発明は、開閉体の開閉をモータを用いて制御する車両用開閉体制御装置に関する。
特許文献1には、車両用ドアの開限位置や閉限位置を検出するための位置検出センサ(リミットスイッチ)を備えた車両用ドアの開閉制御装置が示される。特許文献2には、開閉体の全開位置または全閉位置を、駆動モータのロック検出に基づいて定める開閉体制御装置が示される。
特開平5−112127号公報 特開2003−314146号公報
例えば、ワンボックス車等の車両では、車体の側部に設けられるスライドドア(開閉体)の開閉を自動制御するパワースライドドア装置(車両用開閉体制御装置)が搭載される場合がある。パワースライドドア装置は、モータを含んだ駆動ユニット(アクチュエータ)を用いてスライドドアを全閉位置と全開位置との間で開閉駆動する。そのためには、全閉位置および全開位置を何らかの形で定める必要がある。その定め方として、特許文献1や特許文献2の方式が考えられる。
特許文献1の方式は、位置検出センサ(リミットスイッチ)を設置することで、全閉位置と全開位置を機械的に定める。この場合、全閉位置と全開位置を精度よく定めることが可能になるが、リミットスイッチの設置に伴い、部品点数の増加(すなわち、コストの増大)が生じ得る。一方、特許文献2の方式は、モータのロックを検出することで、全閉位置と全開位置を電気的に定める。この場合、位置検出センサが不要となるため、コストを低減できる。しかし、スライドドアを開閉する毎にモータのロック状態が生じるため、駆動ユニットでは、機械的な、または電気的な過負荷状態が高頻度で生じ、耐久性が低下する恐れがある。
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、コストの低減と、耐久性の向上とが実現可能な車両用開閉体制御装置を提供することにある。
本発明の車両用開閉体制御装置は、モータを含み、前記モータを用いて車両の開閉体を全閉位置と全開位置との間で開閉駆動する駆動ユニットと、前記駆動ユニットを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記開閉体を開方向から閉方向に移動させる閉方向駆動信号、または閉方向から開方向に移動させる開方向駆動信号を発生する駆動信号発生部と、前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知部と、前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合、前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御する駆動制御部と、前記開閉体の位置を検出する位置センサと、前記開閉体の前記全閉位置の情報および前記全閉位置を基準とした前記全開位置の情報を位置学習情報として記憶する位置記憶部と、を有し、前記駆動制御部は、前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合であって、かつ前記位置記憶部によって前記位置学習情報を記憶する学習時に前記開閉体を閉方向に駆動する学習時閉方向駆動部を備え、前記位置記憶部は、前記学習時閉方向駆動部を用いて前記開閉体を閉方向に駆動し、前記過負荷検知部によって前記モータの前記過負荷状態が検知された時点における前記開閉体の第1の位置情報を前記全閉位置の情報として記憶する第1の位置記憶部を有する。
本発明の他の態様では、前記位置記憶部は、さらに、前記開閉体の前記第1の位置情報を基準とした第2の位置情報を前記全開位置の情報として記憶する第2の位置記憶部を有する。
本発明の他の態様では、前記駆動ユニットは、前記モータに加えて、前記開閉体に連結されるケーブルと、前記モータの回転に応じて前記ケーブルが巻き付けられるドラムと、前記ケーブルの弛みを除去するテンショナ機構と、を有する。
本発明の他の態様では、前記駆動制御部は、前記第1の位置記憶部が前記全閉位置の情報を記憶したのちに、前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御し、前記第2の位置記憶部は、前記過負荷検知部によって前記過負荷状態が検知された場合に、当該検知された時点における前記開閉体の位置情報と前記第1の位置情報との差分が規定値以上であるか否かを判定し、判定結果が規定値以上である場合に前記開閉体の位置情報に基づいて前記全開位置の情報を記憶する。
本発明の他の態様では、さらに、前記位置記憶部に前記全閉位置の情報が記憶されているか否かを判定し、前記全閉位置の情報が記憶されていない場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部を有する。
本発明の他の態様では、さらに、前記開方向駆動信号に応じて前記全開位置まで駆動された前記開閉体が閉方向に動いた場合に異常検出信号を出力する開閉体位置監視部と、前記異常検出信号が出力されたか否かを判定し、前記異常検出信号が出力された場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部と、を有する。
本発明の他の態様では、さらに、前記駆動ユニットの使用履歴を管理する使用履歴管理部と、前記使用履歴管理部による前記使用履歴が予め定めた基準に到達したか否かを判定し、前記使用履歴が予め定めた基準に到達した場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部と、を有する。
本発明の他の態様では、前記駆動制御部は、前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合、前記位置記憶部に記憶された前記全閉位置の情報および前記全開位置の情報に基づいて前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御し、前記第2の位置記憶部は、前記開閉体が前記全開位置に到達する前に前記過負荷検知部によって前記過負荷状態が検知された場合、当該検知された時点での前記開閉体の第3の位置情報で前記全開位置の情報を更新する。
本発明によれば、車両用開閉体制御装置において、コストの低減と、耐久性の向上とが実現可能になる。
本発明の一実施の形態による車両用開閉体制御装置が搭載される車両の概略構成例を示す側面図である。 図1における車両用開閉体制御装置の構成例を示す平面図である。 図2における駆動ユニットの構成例を示す正面図である。 図3におけるドラムの構成例を示す斜視図である。 図2におけるECU周りの主要部の構成例を示す概略図である。 図5におけるシーケンス制御部周りの主要部の構成例を示す概略図である。 図5におけるシーケンス制御部の処理内容の一例を示すフロー図である。 図5におけるシーケンス制御部の処理内容の一例を示すフロー図である。 図8における開制御の制御内容の一例を説明する補足図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
《車両用開閉体制御装置の概略》
図1は、本発明の一実施の形態による車両用開閉体制御装置が搭載される車両の概略構成例を示す側面図である。図2は、図1における車両用開閉体制御装置の構成例を示す平面図である。図1に示す車両10は、例えば、ワンボックス車である。車両10を形成する車体11の側部には、ガイドレール14に沿って開口部12を開閉するスライドドア(開閉体)13が設けられる。スライドドア13には、図2に示すように、ローラアッシー13aが連結される。ローラアッシー13aは、スライドドア13と共に車体11の側部に固定されたガイドレール14に沿って移動する。
その結果、スライドドア13は、図1および図2に示されるように、「全閉位置」と「全開位置」との間で車両10の前後方向に移動することで開口部12を開閉する。ここで、ガイドレール14の車両10の前方側の部分には、図2に示すように、車室内側(図中上側)に湾曲された引き込み部14aが設けられる。ローラアッシー13aが引き込み部14aに案内されることで、スライドドア13は、開口部12を閉塞するとともに、車体11の側面に対して同一面に収められる。なお、詳細には、このような車体11の中央部に設けられるガイドレール14に加えて、車体11の上下部にもそれぞれガイドレール(図示せず)が設けられる。
また、車両10には、図1に示されるように、全開状態のスライドドア13を保持し、閉方向に動かないようにするためのラッチ機構15が設けられる。したがって、スライドドア13を全開状態にするためには、スライドドア13をラッチ機構15が作動する箇所まで確実に移動させる必要がある。ラッチ機構15は、詳細は省略するが、例えば、スライドドア13の全開位置において、スライドドア13に固定されたラッチ部品と車体11に固定されたラッチ部品とが嵌合するような構造を備える。車体11のラッチ部品は、例えば、前述した車体11の上下部のガイドレール(図示せず)に設置される。
図2において、車両10には、スライドドア13を自動的に開閉するパワースライドドア装置(車両用開閉体制御装置)20が搭載される。パワースライドドア装置20は、この例では、ケーブル式の開閉装置であり、駆動ユニット21と、開側ケーブル22aと、閉側ケーブル22bと、ECU(Electronic Control Unit)31とを備える。駆動ユニット21は、例えば、車体11の車室内で、かつガイドレール14の延伸方向における略中央部に配置され、モータMTを用いてスライドドア13を開閉駆動する。ECU31は、駆動ユニット21内のモータMTを制御する。
開側ケーブル22aおよび閉側ケーブル22bは、共にローラアッシー13aを介してスライドドア13に連結され、駆動ユニット21の動力をスライドドア13に伝達する機能を担う。具体的には、開側ケーブル22aは、車両10の後方側にある第1反転プーリ23aを介して駆動ユニット21の内部に引き込まれ、閉側ケーブル22bは、車両10の前方側にある第2反転プーリ23bを介して駆動ユニット21の内部に引き込まれる。これにより、駆動ユニット21は、開側ケーブル22aを巻き取ることでスライドドア13を開方向に駆動し、閉側ケーブル22bを巻き取ることでスライドドア13を閉方向に駆動する。
図3は、図2における駆動ユニットの構成例を示す正面図であり、図4は、図3におけるドラムの構成例を示す斜視図である。図3に示す駆動ユニット21は、プラスチック等の樹脂材料よりなるケース30を備える。ケース30は、駆動ユニット21を構成する各部材ないし機構を支持するフレームとしても機能する。駆動ユニット21は、ケース30に設けられた4箇所の固定部FPを介して、車体11(図1、図2参照)にボルト等(図示せず)で固定される。
ケース30には、駆動ユニット21の動力源となるモータMTが設けられる。モータMTは、例えば、正逆方向に回転可能な扁平形状のブラシレスモータである。ブラシレスモータを用いることで、駆動ユニット21の厚み寸法の増大を抑制することが可能になる。ケース30の内部かつモータMTの近傍には、遊星歯車減速機よりなる減速機構(図示せず)が設けられる。減速機構は、モータMTの回転を所定の比率で減速することで高トルク化し、この高トルク化された駆動力で出力軸32を回転させる。
また、減速機構と出力軸32との間には、電磁クラッチ(図示せず)が設けられる。スライドドア13を手動で開閉操作する際には、この電磁クラッチが開放されることで、減速機構と出力軸32との間の動力伝達経路が遮断される。これにより、小さい力でスライドドア13をスムーズに開閉操作できるようになる。ケース30の略中心部分には、略円筒形状に形成されたドラム収容室30aが設けられる。ドラム収容室30aは、モータMTに対して同軸上に配置され、その内部には、ドラム33が回転自在に収容される。
ドラム33は、図4に示されるように、外周面に螺旋状の案内溝33aを備えた略円柱形状に形成され、その軸心は、ドラム収容室30aに突出された出力軸32に固定される。開側ケーブル22a(閉側ケーブル22bも同様)の一端は、係止ブロック34によりドラム33に固定される。開側ケーブル22aは、ドラム33が反時計回りに回転した場合に、軸方向の一方側から案内溝33aに沿って巻き付けられる。閉側ケーブル22bは、ドラム33が時計回りに回転した場合に、軸方向の他方側から案内溝33aに沿って巻き付けられる。
図3において、ドラム収容室30aの裏側の部分で、かつ開側テンショナ機構40aおよび閉側テンショナ機構40b寄りの部分(図中下部)には、基板収容室(図示せず)が設けられる。基板収容室には、モータMTおよび電磁クラッチの動作を制御し、図2のECU31に該当する制御基板が収容される。制御基板(ECU31)は、コネクタ接続部35a,35bを介して、車両10に搭載されるバッテリ(電源)や車室内の操作スイッチ等に電気的に接続される。
ここで、制御基板(ECU31)は、操作スイッチの「開操作」に応じてモータMTを反時計回りに回転駆動する。これに伴い、出力軸32およびドラム33は、反時計回りに高トルクで回転し、開側ケーブル22aは、スライドドア13を牽引しつつドラム33に巻き取られる。その結果、スライドドア13は、自動的に開方向に制御される。この際に、閉側ケーブル22bは、ドラム33からケース30の外部に送り出される。
同様に、制御基板(ECU31)は、操作スイッチの「閉操作」に応じてモータMTを時計回りに回転駆動する。これに伴い、出力軸32およびドラム33は、時計回りに高トルクで回転し、閉側ケーブル22bは、スライドドア13を牽引しつつドラム33に巻き取られる。その結果、スライドドア13は、自動的に閉方向に制御される。この際に、開側ケーブル22aは、ドラム33からケース30の外部に送り出される。なお、各ケーブル22a,22bは、駆動ユニット21の出入り口と反転プーリ23a,23b(図2参照)との間の区間では可撓性を有するアウターチューブTUによって覆われ、その内部を移動するようになっている。
ケース30には、ドラム収容室30aに隣接して、開側テンショナ収容室30bおよび閉側テンショナ収容室30cが設けられる。開側テンショナ収容室30bおよび閉側テンショナ収容室30cは、それぞれ、開側ケーブル22aおよび閉側ケーブル22bに所定の張力を付与する開側テンショナ機構40aおよび閉側テンショナ機構40bを収容する。開側テンショナ機構40aおよび閉側テンショナ機構40bのそれぞれは、プーリ軸45を基準に回転するプーリ46と、プーリ46を押圧するコイルスプリング(弾性部材)44とを備える。
開側ケーブル22aは、開側テンショナ機構40aのプーリ46に巻き掛けられたのち、ドラム33に巻き付けられる。同様に、閉側ケーブル22bは、閉側テンショナ機構40bのプーリ46に巻き掛けられたのち、ドラム33に巻き付けられる。この際に、開側テンショナ機構40aおよび閉側テンショナ機構40bは、それぞれ、プーリ46をコイルスプリング44によって押圧することで、開側ケーブル22aおよび閉側ケーブル22bの弛みを除去する。例えば、各ケーブル22a,22bは、重量が大きいスライドドア13を繰り返し牽引することで、ケーブル長が伸びる場合がある。各テンショナ機構40a,40bは、このケーブル長の伸びに伴う弛みを除去する。
《車両用開閉体制御装置の問題点》
以上のように、図2のパワースライドドア装置(車両用開閉体制御装置)20を用いた場合、スライドドア13の開閉は、駆動ユニット21が所定のケーブル長(ストローク値)だけ各ケーブル22a,22bを巻き取ることで行われる。ここで、明細書では、スライドドア13を全閉位置と全開位置との間で移動させるために必要とされるストローク値を必要ストローク値と呼び、スライドドア13が無制限に動く仮定で駆動ユニット21によって得られるストローク値を制御ストローク値と呼ぶ。
理想的には、制御ストローク値と必要ストローク値とは一致した状態であればよい。しかし、実際には、作動耐久に伴う構造変化(経時変化)や各種環境変化等によって、この一致した状態を保てるとは限らない。例えば、各ケーブル22a,22bのケーブル長が変化し、これに応じて各テンショナ機構40a,40bの押圧状態が変化した場合には、制御ストローク値と必要ストローク値との関係性も若干変化し得る。
ここで、スライドドア13を全閉位置から全開位置に移動させる場合で、必要ストローク値よりも制御ストローク値が大きい場合を想定する。この場合、スライドドア13が、全開位置に到達し、動けないにも関わらず、更に、開側ケーブル22aを巻き取るような動作が行われる。その結果、例えば、開側ケーブル22a等には過大な負荷が加わり、モータMT等には過剰な電流が流れることから、パワースライドドア装置20の耐久性が低下する恐れがある。
一方、スライドドア13を全閉位置から全開位置に移動させる場合で、必要ストローク値よりも制御ストローク値が小さい場合を想定する。この場合、スライドドア13を図1のラッチ機構15に引き渡すことができなくなる。例えば、省電力化のため、制御ストローク値に達した時点でモータMTの駆動を停止する場合、ラッチ機構15への引き渡しが失敗すると、スライドドア13は、全開状態を維持できずに閉方向へ動く恐れがある。
そこで、特許文献1の方式のように、全閉位置と全開位置を機械的に定めるための位置検出センサ(リミットスイッチ)を設置することが考えられる。この場合、制御ストローク値と必要ストローク値とが一致した状態を、常時、保つことができる。しかし、リミットスイッチの設置に伴い、部品点数の増加(すなわち、コストの増大)が生じ得る。一方、このようなコストの増大を抑制するため、特許文献2の方式のように、モータMTのロック状態を検出することで、全閉位置と全開位置を電気的に定めることが考えられる。この場合、常にロック状態が検出されるまでモータMTの駆動が行われる関係上、実質的に、必要ストローク値よりも制御ストローク値が大きい状態が常に生じる。その結果、前述したように、パワースライドドア装置20の耐久性が低下し得る。
《ECU周りの概略》
図5は、図2におけるECU周りの主要部の構成例を示す概略図である。図6は、図5におけるシーケンス制御部周りの主要部の構成例を示す概略図である。図5に示すECU31は、モータ制御部50と、3相インバータ回路(モータドライバ)51とを備える。3相インバータ回路51は、図示は省略するが、6個のスイッチング素子を備える。当該6個のスイッチング素子は、PWM(Pulse Width Modulation)信号に応じたスイッチングによって3相の駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成し、当該3相の駆動電圧Vu,Vv,VwでモータMT(例えばブラシレスモータ)を駆動する。
モータ制御部50は、操作スイッチSWからの命令に応じて、3相の駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成するためのPWM信号を生成することで、モータMTを含む駆動ユニット21を制御する。操作スイッチSWは、ユーザの操作に応じて、スライドドア13を自動的に全開位置へ移動させるためのオート開命令や、スライドドア13を自動的に全閉位置へ移動させるためのオート閉命令を含む各種命令を発行する。操作スイッチSWは、具体的には、運転席周りのスイッチやリモコンスイッチである。
モータ制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むマイクロコントローラ等によって構成され、3相インバータ回路51と共に、ECU31を構成する配線基板(制御基板)上に実装される。ただし、モータ制御部50は、マイクロコントローラに限らず、一部または全てがFPGA(Field Programmable Gate Array)や専用のハードウェア等で構成されてもよい。すなわち、モータ制御部50は、CPUによるプログラム処理や、専用のハードウエアによるハードウェア処理や、または、その組み合わせで構成されればよい。
モータMTは、ロータRTと、ロータRTを回転させるための磁力を生成するステータSTと、ロータRTの回転位置(回転角度)を検出する回転角センサRSとを備える。回転角センサRSは、代表的には、ロータRTの回転位置に応じて3相の位置検出信号Hu,Hv,Hwを生成するホール素子等である。ただし、回転角センサRSは、特にこれに限定されず、レゾルバ等であってもよい。また、3相インバータ回路51の出力端子(モータMTの入力端子)には、3相インバータ回路51の出力電流(モータMTの入力電流)を検出する電流センサISが設けられる。
モータ制御部50は、位置・速度検出部55と、過負荷検知部56と、シーケンス制御部57と、駆動制御部58と、PWM信号生成部59とを備える。位置・速度検出部55は、回転角センサRSからの位置検出信号Hu,Hv,Hwの位相差や周波数等に基づいて、モータMTの回転位置、回転速度および回転方向を検出し、ひいては、スライドドア13のドア位置、ドア移動速度およびドア開閉方向を検出する。すなわち、位置・速度検出部55は、回転角センサRSと共に、スライドドア(開閉体)13のドア位置を検出する位置センサとして機能する。ドア位置は、例えば、カウント値として出力される。
過負荷検知部56は、電流センサISからの検出信号に基づいて、モータMTの過負荷状態(過電流状態)を検知する。なお、過負荷検知部56は、ロック検知部であってもよい。ロック検知部は、モータMTの回転速度が閾値以下(ほぼゼロ)となった場合をロック状態として検知する。ただし、通常、ロック状態のモータMTは、過負荷状態(過電流状態)にもなる。このため、過負荷検知部56は、ここでは、モータMTの過負荷状態を検知することで、実効的に、モータMTのロック状態を検知している。
シーケンス制御部57は、図6に示されるように、シーケンス判定部60と、位置記憶部61と、使用履歴管理部62と、ドア位置監視部63と、駆動信号発生部64とを備える。駆動信号発生部64は、図5の操作スイッチSWからのオート開命令またはオート閉命令を認識し、スライドドア(開閉体)13を開方向から閉方向に移動させる閉方向駆動信号CL、または閉方向から開方向に移動させる開方向駆動信号OPを発生する。位置記憶部61は、位置記憶部[1]61aと、位置記憶部[2]61bと、不揮発性メモリ等の記憶媒体MEMとを有する。詳細は後述するが、位置記憶部61は、スライドドア(開閉体)13の全閉位置の情報(例えばカウント値)71aおよび当該全閉位置の情報71aを基準とした全開位置の情報(例えばカウント値)71bを位置学習情報71として記憶媒体MEMに記憶する。
使用履歴管理部62は、図3の駆動ユニット21の使用履歴を管理する。ドア位置監視部(開閉体位置監視部)63は、オート開命令に応じて全開位置まで駆動されたスライドドア13が閉方向に動いた場合に異常検出信号FDを出力する。シーケンス判定部60は、使用履歴管理部62、ドア位置監視部63および位置記憶部61からの各種情報・各種信号を判定し、駆動信号発生部64から閉方向駆動信号CLまたは開方向駆動信号OPを受信した場合に、判定結果を反映して駆動制御部58や位置記憶部61を制御する。このような構成により、シーケンス制御部57は、概略的には、位置記憶部61に位置学習情報71を学習させる学習制御と、オート開命令が発行された場合に、位置学習情報71に基づいて駆動ユニット21に開方向への駆動を行わせる開制御とを行う。
駆動制御部58は、図5に示されるように、速度制御部65と、学習時閉方向駆動部66と、固定駆動部67とを備える。学習時閉方向駆動部66は、シーケンス制御部57による学習制御の際に使用され、概略的には、図6の位置記憶部61によって位置学習情報71を記憶する学習時にスライドドア13を閉方向に駆動する。固定駆動部67は、シーケンス制御部57による開制御の際に使用される。
速度制御部65は、図5に示されるように、速度制御マップ68と、PI(比例・積分)補償器69とを有し、スライドドア(開閉体)13を移動させる際のスライドドア(開閉体)13の移動速度を制御する。速度制御マップ68は、予め、スライドドア13のドア位置(例えばカウント値)と、ドア目標移動速度(モータMTの目標回転速度)ω*との対応関係を定め、位置・速度検出部55からのドア位置を受け、それに対応するドア目標移動速度(モータMTの目標回転速度)ω*を出力する。
PI補償器69は、速度制御マップ68からのドア目標移動速度(モータMTの目標回転速度)ω*と、位置・速度検出部55からのドア移動速度(モータMTの回転速度)ωとの誤差に基づき、当該誤差をゼロに近づけるためのPWMデューティ比を算出する。PWM号生成部59は、PI補償器69からのPWMデューティ比や、学習時閉方向駆動部66または固定駆動部67からのPWMデューティ比(例えば固定値)を受け、当該PWMデューティ比を有する3相のPWM信号PWMu,PWMv,PWMwを生成する。この際に、PWM号生成部59は、各相の通電タイミング(例えば、各PWM信号PWMu,PWMv,PWMwの出力タイミング)を回転角センサRSからの位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて定める。
《シーケンス制御部の詳細》
図7および図8は、図5におけるシーケンス制御部の処理内容の一例を示すフロー図である。図7では、前提として、スライドドア13は全閉状態であるものとする。この状態で、シーケンス判定部60は、位置記憶部61に位置学習情報71が記憶されているか否か(すなわち、位置学習情報71の有無)を判定する(ステップS101)。位置学習情報71が無しの状態は、例えば、車両10のバッテリを交換した後の初回起動時や、または、ユーザ等によって設定のリセットが行われたような場合等で生じ得る。
シーケンス判定部60は、ステップS101で位置学習情報71が無しの場合、その後に駆動信号発生部64から受信した開方向駆動信号OP(言い換えればオート開命令)に応じて、ステップS103〜S109の学習制御を開始する(ステップS102)。当該学習制御に際し、シーケンス判定部60は、まず、位置記憶部61内の位置記憶部[1]61aへ、動作を開始させる開始信号SR1を出力する。位置記憶部[1]61aは、開始信号SR1に応じて動作を開始すると、学習時閉方向駆動部66へ、動作を開始させる開始信号SR3を出力することで、学習時閉方向駆動部66を用いてスライドドア13を閉方向に駆動する(ステップS103)。
これにより、図3のようにテンショナ機構が設けられた駆動ユニット21を用いる場合、学習時閉方向駆動部66は、閉側テンショナ機構40bが縮んだ状態となるように駆動ユニット21に駆動を行わせる。その過程で、位置記憶部[1]61aは、過負荷検知部56によって過負荷状態が検知された場合(ステップS104)、当該検知された時点における位置・速度検出部55によるスライドドア13のドア位置情報(第1の位置情報(例えば、カウント値))を全閉位置(例えば、カウント値のゼロ点)の情報71aとして記憶する(ステップS105)。その後、位置記憶部[1]61aは、学習時閉方向駆動部66へ、動作を停止させる停止信号SP3を出力し、また、シーケンス判定部60へ、全閉位置の学習を完了したことを表す完了信号ED1を出力する。
具体的に説明すると、前述したように、初期状態のスライドドア13は、全閉状態であるが、例えば、その全閉状態を維持する過程での経時変化や環境変化等によって、図4のドラム33に対する各ケーブル22a,22bの巻き付けが緩む場合がある。そこで、位置記憶部[1]61aは、ステップS103,S104において、図5および図6の学習時閉方向駆動部66に、過負荷状態が検知されるまでドラム33の締め直しを行わせることで、スライドドア13を遊び要素が無い完全な全閉状態にする。この際に、学習時閉方向駆動部66は、例えば、予め定めた固定のPWMデューティ比でモータMTを時計回り(図4参照)に回転させるための通電パターンを生成し、それをPWM信号生成部59へ指示する。
シーケンス判定部60は、ステップS105でゼロ点位置(全閉位置)の情報71aが記憶されたのち、駆動制御部58を用いてスライドドア13を開方向へ駆動する(ステップS106)。具体的には、シーケンス判定部60は、位置記憶部[1]61aからの完了信号ED1を受けて、駆動制御部58内の速度制御部65へ、動作を開始させる開始信号SR4を出力する。これに応じて、速度制御部65は、図5の速度制御マップ68に基づいて、スライドドア13を開方向へ移動させるよう駆動ユニット21を制御する。
詳細は図9で述べるが、速度制御部65は、駆動ユニット21を用いて、例えば、予め定めた速度制御用全開位置(図9で後述)までスライドドア13を駆動した段階で、シーケンス判定部60へ完了信号ED4を出力する。シーケンス判定部60は、速度制御部65からの完了信号ED4を受けて、固定駆動部67へ、動作を開始させる開始信号SR5を出力する。固定駆動部67は、シーケンス判定部60からの開始信号SR5を受けて、スライドドア13を速度制御用全開位置から更に開方向へ移動させるよう駆動ユニット21を制御する。
このような速度制御部65および固定駆動部67による制御の過程で、位置記憶部[2]61bは、過負荷検知部56によって過負荷状態が検知された場合、当該検知された時点における位置・速度検出部55によるスライドドア13のドア位置情報(例えばカウント値))と全閉位置の情報(第1の位置情報)71aとの差分を算出する。そして、位置記憶部[2]61bは、当該算出した差分(ストローク)が規定値以上であるか否かを判定する(ステップS107)。
すなわち、場合によっては、スライドドア13が全開位置に到達する前に、何らかの挟み込みによって過負荷状態が検知される可能性がある。ステップS107の処理では、この挟み込みの可能性が判定される。なお、この挟み込みが検知された場合には、詳細は省略するが、別途対応する保護処理が実行される。
ステップS107で過負荷状態が検知され、かつストロークが規定値以上の場合、位置記憶部[2]61bは、その時点におけるスライドドア13のドア位置情報を突き当て位置として保持する(ステップS108)。そして、位置記憶部[2]61bは、当該突き当て位置に基づいて全開位置の情報(カウント値)71bを記憶する(ステップS109)。具体的には、全開位置の情報71bは、例えば、突き当て位置と同じカウント値か、それよりも僅かに小さいカウント値(例えば、過負荷状態に達する直前のカウント値)に定められる。このように、全開位置の情報71bは、スライドドア13の全閉位置の情報(第1の位置情報)71aを基準としたドア位置情報(第2の位置情報)を表す。
位置記憶部[2]61bは、このようにして全開位置の情報71bを記憶したのち、シーケンス判定部60へ、全開位置の学習を完了したことを表す完了信号ED2を出力する。シーケンス判定部60は、位置記憶部[2]61bからの完了信号ED2を受けて固定駆動部67へ、動作を停止させる停止信号SP5を出力する。
一方、図7のステップS101で位置学習情報71が有りの場合、シーケンス制御部57は、図8に示す位置学習情報有り時の処理を実行する(ステップS200)。図8において、シーケンス判定部60は、ドア位置監視部(開閉体位置監視部)63が異常検出信号FDを出力したか否かを判定する(ステップS201)。異常検出信号FDが出力された場合、シーケンス判定部60は、例えば、位置記憶部61から位置学習情報71を消去する(ステップS203)。その結果、シーケンス判定部60は、その後に駆動信号発生部64から受信した開方向駆動信号OPに応じて位置記憶部[1]61aへ開始信号SR1を出力し、図7の学習制御(ステップS103〜S109)を開始することになる。
ドア位置監視部63は、オート開命令に応じて全開位置まで駆動されたスライドドア13が閉方向に動いたことを、例えば、位置・速度検出部55からの検出信号(ドア位置やドア開閉方向の推移)に基づいて検出し、異常検出信号FDを出力する。この状況は、全開位置において、図1のラッチ機構15へのスライドドア13の引き渡しが失敗したことを意味し、必要ストローク値よりも制御ストローク値が小さいことを意味する。そこで、シーケンス判定部60は、位置学習情報71を消去することで(ステップS203)、位置記憶部61に、位置学習情報71の再学習を行わせる。
なお、ここでは、ドア位置監視部63は、モータMTに設置された回転角センサRSに基づいて異常を検出した。ただし、例えば、駆動方向とは逆方向の回転を防止するような機構を備えたモータを用いる場合、ドア位置監視部63は、別途、図3の出力軸32等に設置した回転角センサに基づいて異常を検出してもよい。また、ドア位置監視部63によって異常が検出された場合には、詳細は省略するが、別途対応する保護処理が実行される。
ステップS201で異常が検出されない場合、シーケンス判定部60は、使用履歴管理部62による駆動ユニット21の使用履歴が予め定めた基準に到達したか否かを判定する(ステップS202)。使用履歴が基準に到達した場合、シーケンス判定部60は、位置記憶部61から位置学習情報71を消去する(ステップS203)。その結果、シーケンス判定部60は、その後に駆動信号発生部64から受信した開方向駆動信号OPに応じて位置記憶部[1]61aへ開始信号SR1を出力し、図7の学習制御(ステップS103〜S109)を開始することになる。
例えば、駆動ユニット21を繰り返し使用すると、経時変化等によって、必要ストローク値や制御ストローク値が変化する可能性がある。そこで、図5の使用履歴管理部62は、例えば、オート開命令やオート閉命令に応じた駆動ユニット21の駆動回数等をカウントし、シーケンス判定部60は、当該駆動回数が予め定めた閾値に到達したか否か等を判定する(ステップS202)。このように使用履歴に基づいて再学習を行うことで、例えば、ドア位置監視部63によって異常検出信号FDが出力されるような事態を未然に防止することが可能になる。
ステップS202で使用履歴が基準に未達の場合、シーケンス判定部60は、オート開命令に応じた開方向駆動信号OPを受信したか否かを判定する(ステップS204)。開方向駆動信号OPを受信した場合、シーケンス判定部60は、詳細は図9で述べるが、位置記憶部61の位置学習情報71に基づいて駆動制御部58を制御する。そして、駆動制御部58は、位置記憶部61に記憶された全閉位置の情報71aおよび全開位置の情報71bに基づいてスライドドア13を開方向へ移動させるよう駆動ユニット21を制御する開制御を行う(ステップS205)。
一方、このステップS205の開制御の際に、位置記憶部[2]61bは、スライドドア13が全開位置に到達する前に過負荷検知部56によって過負荷状態が検知されたか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206で過負荷状態が検知された状況は、必要ストローク値よりも制御ストローク値が長いことを意味する。そこで、過負荷状態が検知された場合、位置記憶部[2]61bは、図7のステップS108,S109の場合と同様に、当該検知された時点におけるスライドドア13のドア位置情報(第3の位置情報)で全開位置の情報71bを更新する(ステップS207,S208)。
具体的には、位置記憶部[2]61bは、過負荷状態が検知された時点における突き当て位置を保持し(ステップS207)、これに基づいて全開位置の情報71bを定め、当該全開位置の情報71bを位置記憶部61に上書きする形で記憶する(ステップS208)。位置記憶部[2]61bは、全開位置の情報71bを記憶したのちシーケンス判定部60へ完了信号ED2を出力し、これに応じて、シーケンス判定部60は、固定駆動部67へ停止信号SP5を出力する。なお、図8では、オート開命令に応じて位置学習情報71に基づく開制御が行われたが(ステップS204,S205)、実際には、オート閉命令に応じて位置学習情報71に基づく閉制御も同様にして行われる。
図9は、図8における開制御の制御内容の一例を説明する補足図である。図8のステップS205の開制御に伴う制御区間には、図9に示されるように、速度制御区間T1と固定駆動期間T2とが含まれる。速度制御区間T1では、図5の速度制御部65により、速度制御マップ68に基づいて速度制御が行われる。速度制御マップ68は、図9に示されるように、全閉位置(ゼロ点)C0から速度制御用全開位置C1までの速度制御区間T1における目標移動速度(モータMTの目標回転速度)ω*の推移を定める。この区間には、全閉位置C0から速度制御用全開位置C1に向けてスライドドア13を加速させながら移動させるための加速期間と、スライドドア13の突き当て時の衝撃を緩和するため速度制御用全開位置C1に到達する直前に設けられる減速期間とが含まれる。
一方、固定駆動期間T2は、速度制御用全開位置C1から位置学習情報71に基づく全開位置C2までの区間である。固定駆動期間T2の長さ(すなわち全開位置C2)は、図7および図8の処理に伴い適宜変わり得る。この区間では、シーケンス判定部60は、固定駆動部67に制御を行わせる。この際に、固定駆動部67は、例えば、予め定めた固定のPWMデューティ比でモータMTを反時計回り(図4参照)に低速で回転させるための通電パターンを生成し、それをPWM信号生成部59へ指示する。その結果、スライドドア13は、全開位置C2において、低速でラッチ機構15に引き渡される。このような制御を用いることで、全開位置C2が変化した場合であっても、それに応じて速度制御マップ68を変更する必要性が無くなる。
なお、図9のような制御を行う具体的な方式の一例として、図6のシーケンス判定部60は、開方向駆動信号OPを受けて、まず、速度制御部65へ開始信号SR4を出力する。速度制御部65は、スライドドア13を速度制御用全開位置C1まで移動させると、シーケンス判定部60へ完了信号ED4を出力する。シーケンス判定部60は、完了信号ED4を受けて、固定駆動部67へ開始信号SR5を出力する。その後、シーケンス判定部60は、位置・速度検出部55からのドア位置情報と位置記憶部61に記憶される全開位置の情報71b(すなわち図9の全開位置C2)とを比較し、両者が一致した時点で、固定駆動部67へ停止信号SP5を出力する。
ここで、全開位置C2は、図7のステップS109で述べたように、過負荷状態が検知された時点またはそれ以下のカウント値である。例えば、特許文献2のような方式の場合、スライドドア13が突き当て位置に到達した状態で更なる押し込みが行われ、その結果として過負荷状態が検知された時点でモータMTの駆動は停止する。一方、実施の形態の方式の場合、カウント値が全開位置C2に到達した時点を、スライドドア13が突き当て位置に到達した時点とみなして、更なる押し込みを行うことなく(すなわち、過負荷状態の検知に伴う応答遅延を経ることなく)、モータMTの駆動を停止させる。
その結果、過負荷状態を生じさせないか、または、過負荷検知を行う場合と比べて過負荷状態が生じる時間を短縮することができる。言い換えれば、制御ストローク値と必要ストローク値とが一致した状態か、または、制御ストローク値が必要ストローク値よりも大きい場合であっても、少なくとも過負荷検知を行う場合よりも、制御ストローク値と必要ストローク値との差分が小さい状態を構築できる。
《実施の形態の主要な効果》
以上、実施の形態の車両用開閉体制御装置を用いることで、位置検出センサを物理的に設けずに、位置学習情報71に基づいて開閉体を駆動できるようになるため、コストを低減することが可能になる。また、この際には、図7に示したように、駆動ユニット21の遊び要素を除去した上で位置学習情報71を定めることで、位置学習情報71の高精度化が図れる。
そして、この高精度な位置学習情報71に基づいて開閉体の開閉駆動を行うことで、過負荷検知を行わずとも、モータMTを正しい全閉位置から正しい全開位置まで駆動することが可能になる。すなわち、過負荷状態を生じさせないか、または、過負荷検知を行う場合と比べて過負荷状態が生じる時間を短縮することができる。その結果、駆動ユニット21のケーブル22a,22b等に過大な力が加わる事態や、モータMTや3相インバータ回路51に過剰な電流が流れる事態を抑制でき、車両用開閉体制御装置の耐久性を高めることが可能になる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、モータMTとしてブラシレスモータを用いたが、必ずしもこれに限定されず、場合によっては、ブラシ付きモータ等の様々なモータを用いることも可能である。また、上記実施の形態では、パワースライドドアへの適用例を示したが、パワーテールゲート、パワーウインドウ等を含む開閉体制御装置全般に対して同様に適用可能である。その中でも、特に、開閉体の重量が大きく、全閉・全開位置の変化や、過負荷状態の発生に伴う耐久性の低下が生じ易いパワースライドドアに適用してより有益となる。
さらに、図7では、オート開命令に応じて学習制御が行われたが、場合によっては、オート閉命令に応じて同様の学習制御を行うようなことも可能である。ただし、ドア位置の基準となるゼロ点は、全閉位置で定めるられることが望ましいため、この観点では、オート開命令に応じて学習制御を行うことが望ましい。その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。
10 車両
11 車体
12 開口部
13 スライドドア(開閉体)
13a ローラアッシー
14 ガイドレール
14a 引き込み部
15 ラッチ機構
20 パワースライドドア装置(車両用開閉体制御装置)
21 駆動ユニット
22a 開側ケーブル
22b 閉側ケーブル
23a 第1反転プーリ
23b 第2反転プーリ
30 ケース
30a ドラム収容室
30b 開側テンショナ収容室
30c 閉側テンショナ収容室
31 ECU
32 出力軸
33 ドラム
33a 案内溝
34 係止ブロック
35a,35b コネクタ接続部
40a 開側テンショナ機構
40b 閉側テンショナ機構
44 コイルスプリング
45 プーリ軸
46 プーリ
50 モータ制御部
51 3相インバータ回路
55 位置・速度検出部(位置センサ)
56 過負荷検知部
57 シーケンス制御部
58 駆動制御部
59 PWM信号生成部
60 シーケンス判定部
61,61a,61b 位置記憶部
62 使用履歴管理部
63 ドア位置監視部
64 駆動信号発生部
65 速度制御部
66 学習時閉方向駆動部
67 固定駆動部
68 速度制御マップ
69 PI補償器
71 位置学習情報
71a 全閉位置の情報
71b 全開位置の情報
ED 完了信号
FP 固定部
IS 電流センサ
MEM 記憶媒体
MT モータ
RS 回転角センサ(位置センサ)
RT ロータ
SP 停止信号
SR 開始信号
ST ステータ
SW 操作スイッチ
TU アウターチューブ

Claims (8)

  1. モータを含み、前記モータを用いて車両の開閉体を全閉位置と全開位置との間で開閉駆動する駆動ユニットと、
    前記駆動ユニットを制御する制御部と、
    を備える車両用開閉体制御装置であって、
    前記制御部は、
    前記開閉体を開方向から閉方向に移動させる閉方向駆動信号、または閉方向から開方向に移動させる開方向駆動信号を発生する駆動信号発生部と、
    前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知部と、
    前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合、前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御する駆動制御部と、
    前記開閉体の位置を検出する位置センサと、
    前記開閉体の前記全閉位置の情報および前記全閉位置を基準とした前記全開位置の情報を位置学習情報として記憶する位置記憶部と、
    を有し、
    前記駆動制御部は、前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合であって、かつ前記位置記憶部によって前記位置学習情報を記憶する学習時に前記開閉体を閉方向に駆動する学習時閉方向駆動部を備え、
    前記位置記憶部は、前記学習時閉方向駆動部を用いて前記開閉体を閉方向に駆動し、前記過負荷検知部によって前記モータの前記過負荷状態が検知された時点における前記開閉体の第1の位置情報を前記全閉位置の情報として記憶する第1の位置記憶部を有する、
    車両用開閉体制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記位置記憶部は、さらに、前記開閉体の前記第1の位置情報を基準とした第2の位置情報を前記全開位置の情報として記憶する第2の位置記憶部を有する、
    車両用開閉体制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記駆動ユニットは、前記モータに加えて、
    前記開閉体に連結されるケーブルと、
    前記モータの回転に応じて前記ケーブルが巻き付けられるドラムと、
    前記ケーブルの弛みを除去するテンショナ機構と、
    を有する、
    車両用開閉体制御装置。
  4. 請求項2記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記駆動制御部は、前記第1の位置記憶部が前記全閉位置の情報を記憶したのちに、前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御し、
    前記第2の位置記憶部は、前記過負荷検知部によって前記過負荷状態が検知された場合に、当該検知された時点における前記開閉体の位置情報と前記第1の位置情報との差分が規定値以上であるか否かを判定し、判定結果が規定値以上である場合に前記開閉体の位置情報に基づいて前記全開位置の情報を記憶する、
    車両用開閉体制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用開閉体制御装置において、
    さらに、前記位置記憶部に前記全閉位置の情報が記憶されているか否かを判定し、前記全閉位置の情報が記憶されていない場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部を有する、
    車両用開閉体制御装置。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用開閉体制御装置において、さらに、
    前記開方向駆動信号に応じて前記全開位置まで駆動された前記開閉体が閉方向に動いた場合に異常検出信号を出力する開閉体位置監視部と、
    前記異常検出信号が出力されたか否かを判定し、前記異常検出信号が出力された場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部と、
    を有する車両用開閉体制御装置。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用開閉体制御装置において、さらに、
    前記駆動ユニットの使用履歴を管理する使用履歴管理部と、
    前記使用履歴管理部による前記使用履歴が予め定めた基準に到達したか否かを判定し、前記使用履歴が予め定めた基準に到達した場合、その後に受信した前記開方向駆動信号に応じて前記第1の位置記憶部へ、動作を開始させる開始信号を出力するシーケンス判定部と、
    を有する車両用開閉体制御装置。
  8. 請求項2または請求項4記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記駆動制御部は、前記駆動信号発生部が前記開方向駆動信号を発生した場合、前記位置記憶部に記憶された前記全閉位置の情報および前記全開位置の情報に基づいて前記開閉体を開方向へ移動させるよう前記駆動ユニットを制御し、
    前記第2の位置記憶部は、前記開閉体が前記全開位置に到達する前に前記過負荷検知部によって前記過負荷状態が検知された場合、当該検知された時点での前記開閉体の第3の位置情報で前記全開位置の情報を更新する、
    車両用開閉体制御装置。
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