JP2020125356A - ヘキサフルオロブタジエンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高純度のヘキサフルオロブタジエンを得る方法を提供する。【解決手段】ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含む原料組成物を抽出溶媒存在下で抽出蒸留して前記追加的化合物の濃度を減少させる工程を含む、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ヘキサフルオロブタジエンの製造方法に関する。
現在、半導体デバイスは高速化、省電力化のために微細化と新規材料の利用等が検討されている。半導体デバイスの微細加工にはフルオロカーボンが好適であることが知られており、なかでもヘキサフルオロブタジエン(CF2=CFCF=CF2、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロブタジエン等ともいう)は半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスとして注目されている。
ドライエッチングガスは、その歩留まりを上げるために不純物は極力少なくする必要がある。通常ドライエッチングに使用されるガスの純度としては、例えば、純度99.99%(4N)、99.999%(5N)といった高純度のものが使用される。一方、ヘキサフルオロブタジエ
ンの製造方法としては、例えば、対応するハロゲン化物を金属亜鉛と反応させることによる脱ハロゲン化反応が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−26240号公報
しかしながら、特許文献1に記載の反応により精製したヘキサフルオロブタジエンには、追加的化合物として、例えば、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、ヘブタフルオロ-2-ブテン等が含まれている。
ヘキサフルオロブタジエンと上記の追加的化合物は、構造的に類似しており、且つ、沸点が近い。このため、通常の蒸留法では分離が困難であることから、高純度なヘキサフルオロブタジエンを得る方法が要求されている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高純度のヘキサフルオロブタジエンを得る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。本発明は以下の構成を包含する。
項1.ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含む原料組成物を抽出溶媒存在下で抽出蒸留して前記追
加的化合物の濃度を減少させる工程
を備える、ヘキサフルオロブタジエンの製造方法。
項2.前記抽出蒸留に使用する抽出溶媒が、含酸素炭化水素及び含ハロゲン炭化水素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、項1に記載の製造方法。
項3.ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを分離する方法であって、
ヘキサフルオロブタジエンと、前記追加的化合物とを含む組成物を、抽出溶媒存在下で抽
出蒸留に付す工程
を備える、方法。
項4.前記抽出溶媒が、含酸素炭化水素及び含ハロゲン炭化水素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、項3に記載の方法。
項5.ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含有する組成物であって、前記組成物総量を100モル%と
して、前記追加的化合物の含有量が0.1モル%未満である、組成物。
項6.ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含有する、共沸組成物。
項7.エッチングガス、冷媒、熱移動媒体、発泡剤又は樹脂モノマー用組成物である、項5又は6に記載の組成物。
本発明によれば、高純度のヘキサフルオロブタジエンを得ることができる。
本発明の分離方法(ヘキサフルオロブタジエンの製造方法)を行う装置の一例を示す。
本発明は、ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含む組成物から、より高濃度のヘキサフルオロブ
タジエンを得る製造方法であって、前記組成物を抽出溶媒存在下で抽出蒸留して前記追加的化合物の濃度を減少させる工程を備える。
ヘキサフルオロブタジエンと上記の追加的化合物は、構造的に類似しており、且つ、沸点が近い。このため、通常の蒸留法では分離が困難である。例えば、ヘキサフルオロブタジエンの沸点が6℃であるのと比較して、オクタフルオロ-1-ブテンの沸点は4℃、オクタ
フルオロ-2-ブテンは1.2℃、ヘプタフルオロ-1-ブテンは20℃、ヘプタフルオロ-2-ブテンは8℃である。これらの物質を通常の蒸留で分離するには多くの段数を有する蒸留塔が必
要であり、実質的には分離は不可能である。分離できる場合についても多量のロスを発生するため、経済的に非効率である。それに対して、本発明では、抽出蒸留により追加的化合物の濃度を減少させ、高濃度のヘキサフルオロブタジエンを得ることができる。
原料組成物
原料組成物は、ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)、オクタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CFCF3)、ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF2H、CF2=CFCFHCF3、CF2=CHCF2CF3、CFH=CFCF2CF3等)、及びヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CFCF2H、CF3CF=CHCF3等)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含む。
このような原料組成物は、従来からヘキサフルオロブタジエンの製造方法として知られている方法で製造することができる。また、その他の方法で合成することもできる。
その他の方法で合成する場合、例えば、一般式(1):
X1CF2-CFX2-CF2-CF2X1 (1)
[式中、X1は同一又は異なって、フッ素原子以外のハロゲン原子を示す。X2はハロゲン原
子を示す。]
で表される化合物の溶液に対して、含窒素化合物を添加する反応工程
を備える方法で合成することもできる。
一般式(1)において、X1はフッ素原子以外のハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、ヘキサフルオロブタジエンをより高収率に得ることができる観点から、塩素原子又はヨウ素原子が好ましい。なお、X1は同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)において、X2はハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、ヘキサフルオロブタジエンをより高収率に得ることができる観点から、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
このような条件を満たす一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ClCF2-CFCl-CF2-CF2I、ICF2-CF2-CF2-CF2I等が挙げられ、ヘキサフルオロブタジエンをより高収率に
得ることができる観点から、ClCF2-CFCl-CF2-CF2Iが好ましい。
この製造方法では、例えば、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の非極性有機溶媒中の一般式(1)で表される化合物の溶液に、含窒素化合物(N,N-ジメチ
ルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド等のアミド化合物;トリエチルアミン等のアミン化合物;ピリジン、メチルピリジン、N-メチル-2-ピロリドン等のピリジン化
合物;キノリン、メチルキノリン等のキノリン化合物等)を添加して反応を進行することができる。この含窒素化合物は、常温で液体である化合物も含まれるが、ヘキサフルオロブタジエンをより高収率に得られる観点から、溶媒ではなく添加剤として使用する(少量使用する)ことが好ましい。その他の反応条件は、常法にしたがって適宜設定することが好ましい。
このように、従来の製造方法又は上記の製造方法によりヘキサフルオロブタジエンを得る場合、副生成物として、オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)、オクタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CFCF3)、ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF2H、CF2=CFCFHCF3、CF2=CHCF2CF3、CFH=CFCF2CF3等)、ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CFCF2H、CF3CF=CHCF3等)等の追加的化合物も生成し得る。ヘキサフルオロブタジエンとこれらの追加的化合
物とは、沸点が近接していたり、構造が類似していることから、通常の蒸留法等で分離することは困難である。特に、ヘキサフルオロブタジエンとヘプタフルオロ-2-ブテンの沸
点は非常に近接していることから、分離することは困難を極める。各成分の組成比については特に制限はないが、上述したような従来の製造方法によって原料組成物を製造した場合、各成分の含有量は、原料組成物全体を100モル%として、ヘキサフルオロブタジエンを73〜99.9モル%、追加的化合物を0.1〜27モル%含む組成物が得られることが多い。この範
囲は抽出蒸留により分離する組成物として好ましい。
抽出蒸留
本発明では、上記した原料組成物を抽出蒸留に付す。これにより、ヘキサフルオロブタジエンと沸点が近いオクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、ヘプタフルオロ-2-ブテン等とを分離し、より高純度のヘキサフルオロブタジエンを得ることができる。
この分離が可能となることにより、追加的化合物であるオクタフルオロ-1-ブテン、オ
クタフルオロ-2-ブテン、ヘプタフルオロ-1-ブテン、ヘプタフルオロ-2-ブテン等を他の
反応に使用することも可能となる。追加的化合物は、ヘキサフルオロブタジエン同様、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスをはじめとして、冷媒
、熱移動媒体、発泡剤、樹脂モノマー等の各種用途に有効利用できる。
抽出蒸留は、両成分(ヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物)の相対揮発度を1よ
り増加又は減少させることにより達成できる。この際、相対揮発度は、1から離れていれ
ば離れているほど抽出蒸留によりヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物とを分離しやすい。なお、相対揮発度が1の場合は、各相の組成が同一になるため、蒸留による分離は
不可能である。
相対揮発度は、流体混合物中の構成成分の平衡係数の比として定義され、構成成分がヘキサフルオロブタジエン(A)と追加的化合物(B)の場合は、追加的化合物(B)に対す
るヘキサフルオロブタジエン(A)の相対揮発度(A/B)は、次式で表される。
相対揮発度(A/B)= X/Y
XはAに関する(気相モル分率/液相モル分率)を示す。
YはBに関する(気相モル分率/液相モル分率)を示す。
ここで、ヘキサフルオロブタジエンを留出させる場合、通常、相対揮発度が1より大き
い範囲、特に1.10〜2.00になるような抽出溶媒を用いることが好ましい。相対揮発度が1
より大きくなると、ヘキサフルオロブタジエンの気相モル分率が増加することで気相にヘキサフルオロブタジエンが増加し、蒸留による分離が可能となる。
一方、追加的化合物を留出させる場合、相対揮発度が1より小さい範囲、特に0.10〜0.90になるような抽出溶媒を用いることが好ましい。相対揮発度が1より小さくなると、ヘキサフルオロブタジエンの液相モル分率が増加することで液相にヘキサフルオロブタジエンが増加し、追加的化合物が留出することになる。
本発明では、ヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物との分離が容易にできるような抽出溶媒を用いることが好ましい。
本発明では、抽出溶媒として、含酸素炭化水素(アルコール、ケトン、エーテル等)、含ハロゲン炭化水素等(ハロゲン化飽和炭化水素、ハロゲン化不飽和炭化水素等)等を使用することができる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。なかでも、非揮発度の
観点から、メタノール及びエタノールが好ましい。
ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。なかでも、非揮発度の観点から、メチルエチルケトンが好ましい。
エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。非揮発度の観点から、エチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
ハロゲン化飽和炭化水素としては、例えば、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロエタン
(HCFC-123)等が挙げられる。
ハロゲン化不飽和炭化水素類としては、例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)等が挙げられる。
これらの抽出溶媒は、単独又は2種以上の混合物で用いることができる。
また、水溶性の抽出溶媒の場合、水と混合して抽出溶媒として使用することもできる。例えば、アセトン、メタノール等の水溶液を用いることができ、有機化合物と水との混合比は、抽出効率の観点から抽出溶媒中において水が50質量%未満であることが好ましい。
有機化合物(溶媒)中の水が多くなると溶媒組成物の沸点が高くなりエネルギー効率が悪くなる等の問題が生じる。
抽出溶媒の標準沸点の温度範囲は、抽出溶媒と本願発明において分離対象となる化合物とが、単蒸留、ストリッピング等で分離できる程度の温度差、通常20℃以上の温度差があれば好ましいが、標準沸点が高すぎると抽出溶媒自体が分解されるおそれがあるため、具体的な抽出溶媒の標準沸点の範囲としては30〜150℃が好ましく、30〜80℃がより好まし
い。
本発明において抽出溶媒の使用量は特に限定されず、原料(ヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物とを含有する組成物)に対する抽出溶媒の使用量の比率が高い(抽出溶媒の濃度が高い)ほうが効率的である観点から、例えば、原料(ヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物とを含有する組成物)1モルに対して抽出溶媒0.1〜100モルが好ましく、0.5〜50モルがより好ましく、1〜20モルがさらに好ましい。
本発明の分離方法は、例えば、図1のように、蒸留塔T1に、ヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物とを含有する組成物F11を導入し、蒸留塔T1において抽出蒸留してヘキサフルオロブタジエンS11を回収することで実施できるが、蒸留塔T1の下流側に溶剤回収塔T2を設置し、抽出溶剤S14を回収するとともに蒸留塔T1に再利用することも可能である。この場合、蒸留塔T1及び溶剤回収塔T2の段数は、留出成分の純度、回収率等の関係を予備的に検討し適宜選択することができる。図1は、相対揮発度が1よ
り大きい抽出溶媒を使用した場合の例であるが、相対揮発度が1より小さい抽出溶媒を使
用した場合も、蒸留塔T1においてヘキサフルオロブタジエンを回収するか、追加的化合物を回収するかの違いのみで、同様に行うことができる。
蒸留塔T1及び溶剤回収塔T2の各部位における温度、原料の供給段、抽出溶剤の供給量等の操作条件は、特に限定されないが、蒸留塔T1及び溶剤回収塔T2の性能、非処理物(原料)中のヘキサフルオロブタジエンと追加的化合物との含有比、使用する抽出溶媒の種類及び量等により異なる。それらの条件は予備的な試験により決定することができる。また、蒸留操作の安定を保つために原料に抽出溶媒を添加しておくこともできる。本発明の方法は、不連続操作又は連続操作で行うことができ、工業的には連続操作での実施が好ましい。さらに、抽出蒸留塔の理論段数を増やす、実際には等の本数を増やすことで留出成分をさらに高純度化することもできる。製品の回収ストリームには、極微量に同伴する可能性のある抽出溶媒を除去するためのデミスターや、活性炭、モレキュラーシーブ等の吸着剤を充填した溶剤除去塔を設置することもできる。
本発明で用いる反応器は、ガラス、ステンレス鋼、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂等の少なくとも1種を内部にライニングした炭素鋼により製造したものが好適に使用できる。
ヘキサフルオロブタジエン組成物
このようにしてヘキサフルオロブタジエンをさらに高純度化することができるが、これにより、ヘキサフルオロブタジエン組成物の総量を100モル%として、前記追加的化合物の含有量が0.1モル%未満(特に0.001〜0.05モル%、さらに0.001〜0.01モル%)であるヘキサフルオロブタジエン組成物を得ることもできる。このヘキサフルオロブタジエン組成物は、共沸、もしくは共沸様組成物として得ることも可能である。例えばヘキサフルオロブタジエンと0.05モル%のCF3CF=CHCF3、(C4F7H)からなる組成物の圧力0.05MPaGにおいて15.7℃、気相組成、液相組成とも99.95%である。
このような本発明のヘキサフルオロブタジエン組成物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスをはじめとして、冷媒、熱移動媒体、発泡剤、樹脂モノマー等の各種用途に有効利用できる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴を明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1
-78℃に冷却したトラップが連結されたコンデンサー付きナスフラスコに40g(0.16mol
)のキシレン、7.25g(0.12mol)の亜鉛、20g(0.05mol)の原料(ClCF2CFClCF2CF2I)を加え、撹拌下、内温が140℃になるまで加熱した。内温が一定になった後、還流しながらN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を滴下速度0.04mol/時間(原料(ClCF2CFClCF2CF2I)1
モルに対して0.8mol/時間)で1時間滴下し、撹拌しながら加熱還流を続けた。反応終了後、トラップに捕集された液をガスクロトマトグラフィーで分析したところ、CF2=CFCF=CF2が89モル%、CF2=CFCF2CF2Hが3モル%、その他の追加的化合物(オクタフルオロ-1-ブテン
、オクタフルオロ-2-ブテン、CF2=CFCF2CF2H以外のヘプタフルオロ-1-ブテン、ヘプタフ
ルオロ-2-ブテン等)が合計8モル%であった。つまり、追加的化合物の含有量は11モル%であった。
参考例2
原料(基質)をClCF2CFClCF2CF2IではなくICF2CF2CF2CF2Iとすること以外は参考例1と
同様に処理を行った。反応終了後、トラップに捕集された液をガスクロトマトグラフィーで分析したところ、CF2=CFCF=CF2が73モル%、CF2=CFCF2CF2Hが20モル%、その他の追加的
化合物(オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、CF2=CFCF2CF2H以外のヘ
プタフルオロ-1-ブテン、ヘプタフルオロ-2-ブテン等)が2モル%、その他の副生成物が5
モル%であった。つまり、追加的化合物の含有量は22モル%であった。
参考例3
参考例1により得られたヘキサフルオロブタジエン(以下、「C4F6」と表記することも
ある。)の粗体に対して、以下のような溶剤を添加し、副生成物(CF3CF=CHCF3、以下、
「C4F7H」と表記することもある。)の濃度変化を観測して抽出溶媒としての効果を確認
した。ヘキサフルオロブタジエンとCF3CF=CHCF3の比揮発度を気液平衡測定結果から計算
した結果を以下の表1に示す。抽出溶剤として使用するには、比揮発度が1から離れてい
る必要がある。表1の結果から、エチレングリコールモノメチルエーテル、パークロロエチレン(テトラクロロエチレン)、メタノール、エタノール及びメチルエチルケトンはいずれも抽出溶媒として使用でき、ヘキサフルオロブタジエンを高純度化できることが理解できる。
Figure 2020125356
実施例1
本発明の分離方法についてシミュレーション評価を行った。
抽出溶媒としてメタノールを用い、抽出蒸留プロセスを構築した。メタノールはヘキサフルオロブタジエン粗体に対して4倍モル量をフィードした。C4F7Hを500ppm含有するヘキサフルオロブタジエンを抽出蒸留工程に供給して両者の分離を行った。
プロセスの概要を図1に示す。蒸留塔の理論段数は、抽出蒸留塔T1が14段、溶剤回収塔T2が8段である。抽出蒸留塔、溶剤回収塔いずれも運転圧力は0.05MPaG(Gはゲージ圧を意味する)、スチル温度は、抽出蒸留塔は72.4℃、溶剤回収塔は75.1℃であった。
以下の表2に物質収支を示す。
Figure 2020125356
比較例1
不純物としてC4F7Hを500ppm含有するヘキサフルオロブタジエンを、抽出蒸留工程を用
いずに通常の蒸留のみで分離を行う場合について計算を行った。
4Nの純度で、なおかつ実施例1と同じ製品回収率を達成するのに、理論段数120段の蒸留塔が必要であることがわかった。
以上から、いずれの溶剤を使用した場合でも、抽出蒸留により通常の蒸留よりも驚くべきほど小さな設備で、目的とした99.99%以上(4N)の純度を達成することができた。
実施例2
ICP(Inductive Coupled Plasma)放電電力600W、バイアス電力200W、圧力3mTorr(0.399Pa)、電子密度8×1010〜2×1011cm-3、電子温度5〜7eVのエッチング条件で、環状c-C4F8(従来品)と、参考例1にて製造したC4F6(構造CF2=CFCF=CF2)で、Si基板上に約1μm
厚さのSiO2膜を有し、さらにその上にホール直径0.21μmのレジストパターンを有する半
導体基板をエッチングした時のエッチング速度と選択比を以下の表3に示した。
C4F6(構造CF2=CFCF=CF2)は、c-C4F8よりも対電子ビーム描画用レジスト選択比、対シリコン選択比がいずれも高かった。
Figure 2020125356

Claims (4)

  1. ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含有し、総量を100モル%として、前記追加的化合物の含有量が0.1モル%未満である組成物の製造方法であって、
    ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含み、前記追加的化合物の含有量が0.1〜27モル%である原料組成物を、アルコール、ケトン及びハロゲン化不飽和炭化水素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の抽出溶媒存在下で抽出蒸留して前記追加的化合物の濃度を減少させる工程を含む、製造方法。
  2. ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含有する組成物であって、前記組成物総量を100モル%として、前記追加的化合物の含有量が0.1モル%未満である、組成物。
  3. ヘキサフルオロブタジエンと、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、及びヘプタフルオロ-2-ブテンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物とを含有する、共沸組成物。
  4. エッチングガス、冷媒、熱移動媒体、発泡剤又は樹脂モノマー用組成物である、請求項2又は3に記載の組成物。
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