JP2020124079A - 電機子および電機子の製造方法 - Google Patents

電機子および電機子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】互いの脚部の先端部側に設けられた接合面同士が径方向に接合される場合において、脚部の非接合面に設けられた絶縁被膜が破損する(剥がされる)のを防止することが可能な電機子を提供する。【解決手段】このステータ100(電機子)では、複数のスロット12の各々において、互いに径方向に接合される第1接合面71a(接合面)と第2接合面81a(接合面)との組が、径方向に沿って並んで複数設けられている。また、脚部(71、81)において、非接合面(71e、81e)は、平坦面(71f、81f)よりも先端部(71c、81c)側に設けられ、平坦面(71f、81f)から接合面(71a、81a)側に傾斜するように形成されている非接合面側傾斜面(71h、81h)を含む。また、非接合面側傾斜面(71h、81h)は、絶縁被膜(71i、81i)により覆われている。【選択図】図10

Description

本発明は、電機子および電機子の製造方法に関する。
従来、中心軸線方向に延びる複数のスロットが設けられた電機子コアを備える電機子および電機子の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、複数のスロットを含む回転電機ステータが開示されている。回転電機ステータは、スロットに挿入され、互いに中心軸線方向に対向して設けられる第1セグメント導体と第2セグメント導体とにより構成されるコイル部を備えている。具体的には、第1セグメント導体および第2セグメント導体は、それぞれ、中心軸線方向の一方側および他方側からスロットに挿入される。また、スロット内において、第1セグメント導体の脚部の先端に設けられている対向面(凸状の対向面)と第2セグメント導体の脚部の先端に設けられている対向面(凹状の対向面)とが、導電性のペースト状の結合材により接合されている。また、第1セグメント導体および第2セグメント導体の各々は、隣接する導体との絶縁を図るために絶縁被膜により覆われている。
特開2015−23771号公報
しかしながら、上記特許文献1には明記されていないが、上記回転電機ステータでは、複数の第1セグメント導体のコイルエンド部の高さが揃えられるとともに、複数の第2セグメント導体のコイルエンド部の高さ位置が揃えられた状態で、第1セグメント導体および第2セグメント導体がスロットに同時に挿入される場合がある。ここで、複数の第1セグメント導体同士(複数の第2セグメント導体同士)の間で、製造時の加工誤差による寸法ばらつきが生じる場合がある。この場合、互いにコイルエンド部の高さ位置が揃えられた状態で第1セグメント導体(第2セグメント導体)の挿入が行われると、寸法ばらつきにより長さが比較的大きい脚部は接合相手の脚部に当接される一方、長さが比較的小さい脚部は接合相手の脚部に当接されない場合が生じる。具体的には、互いに接合される脚部同士の合計の長さが最も大きい第1セグメント導体と第2セグメント導体とが当接された後は、セグメント導体の挿入が停止されるため、脚部同士の合計の長さが最も大きい第1セグメント導体および第2セグメント導体以外の第1セグメント導体および第2セグメント導体同士は、当接されないことになる。
そこで、上記特許文献1には記載されていないが、上記のように寸法ばらつきにより脚部同士の接合が行われないことを回避するために、脚部の先端部側に設けられた平坦面状の接合面同士を径方向に接合する方法が考えられる。具体的には、互いの脚部のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させることにより、互いの接合面同士を径方向に対向させる工程(スロットに脚部を挿入する工程)の後に、互いの接合面同士を径方向に押圧することによって接合面同士が接合される。
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような従来の電機子では、互いの脚部のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させる際に、互いの脚部の組み付けを容易にするために、各々の脚部の先端部において、接合面とは反対側の面である非接合面に、切削により形成された面取り部(傾斜面)が設けられる場合がある。ここで、このような切削加工により形成される面取り部においては、切削により絶縁被膜が除去されている。また、絶縁被膜が設けられていない部分は、絶縁被膜が設けられている部分に比べて摩擦抵抗が大きい。このため、互いの脚部の組み付け時に、絶縁被膜が除去された面取り部が、隣接する部材(たとえば、隣接する脚部、または、隣接する脚部との間に設けられる絶縁部材)に沿って(上記隣接する部材と相対的に)移動する場合に、面取り部の摩擦抵抗が大きいことに起因して、上記隣接する部材に対する面取り部の滑り性が悪くなる場合がある。この場合、互いの脚部のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させることにより、互いの脚部の組み付け(脚部の移動)がスムーズに行えない場合がある。このため、互いの脚部の組み付け(脚部の移動)がスムーズに行えないことに起因して、互いの脚部のうちの少なくとも一方の移動時に、非接合面を覆う絶縁被膜が上記隣接する部材と接触することにより、非接合面を覆う絶縁被膜に過度な力がかかる場合があるという不都合がある。この場合、非接合面を覆う絶縁被膜が破損する(剥がされる)場合があるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、互いの脚部の先端部側に設けられた接合面同士が径方向に接合される場合において、脚部の非接合面に設けられた絶縁被膜が破損する(剥がされる)のを防止することが可能な電機子および電機子の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における電機子は、中心軸線方向に延びる複数のスロットが設けられている電機子コアと、中心軸線方向に沿って延びる第1脚部を含む複数の第1セグメント導体と、中心軸線方向に沿って延びる第2脚部を含む複数の第2セグメント導体とを含み、第1脚部および第2脚部の各々の先端部側に設けられた接合面同士が、1つのスロット内または1つのスロットの中心軸線方向の外側において径方向に接合されることにより形成されるコイル部と、を備え、複数のスロットの各々において、互いに接合される接合面同士の組が、径方向に沿って並んで複数設けられており、第1脚部および第2脚部の各々において、接合面とは反対側に設けられる非接合面は、中心軸線方向に沿って延びるとともに絶縁被膜により覆われている平坦面と、中心軸線方向において平坦面よりも先端部側に設けられ、径方向において平坦面から接合面側に傾斜するように形成されているとともに、平坦面を覆う絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面とを含む。
この発明の第1の局面による電機子は、上記のように、第1脚部および第2脚部の各々の非接合面は、径方向において平坦面から接合面側に傾斜するように形成されているとともに、平坦面を覆う絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面を含む。これにより、非接合面側傾斜面に絶縁被膜が設けられていない場合に比べて、非接合面側傾斜面の摩擦抵抗を小さくする(滑り性を向上させる)ことができる。その結果、第1脚部および第2脚部のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させる際に、非接合面側傾斜面の、非接合面側傾斜面と径方向に隣接する部材(たとえば、隣接する脚部、または、隣接する脚部との間に設けられる絶縁部材)に対する滑り性を良くすることができる。これにより、第1脚部および第2脚部のうちの少なくとも一方をよりスムーズに移動させることができるとともに、第1脚部および第2脚部の組み付けをスムーズに行うことができる。その結果、第1脚部および第2脚部の組み付けがスムーズに行われることによって、非接合面側傾斜面と径方向に隣接する上記部材と、非接合面を覆う絶縁被膜とが接触することにより、非接合面を覆う絶縁被膜に過度な力がかかるのを防止することができる。これにより、第1脚部および第2脚部の各々の先端部側に設けられた接合面同士が径方向に接合される場合において、第1脚部および第2脚部の各々の非接合面を覆う絶縁被膜が破損する(剥がされる)のを防止することができる。
この発明の第2の局面における電機子の製造方法は、中心軸線方向に延びる複数のスロットが設けられている電機子コアと、中心軸線方向に沿って延びる第1脚部を含む複数の第1セグメント導体、および、中心軸線方向に沿って延びる第2脚部を含む複数の第2セグメント導体を含むコイル部と、を備える電機子の製造方法であって、第1脚部および第2脚部の各々において、先端部側に設けられた接合面とは反対側に設けられる非接合面のうちの、中心軸線方向に沿って延びるとともに絶縁被膜により覆われている平坦面よりも中心軸線方向における先端部側に、径方向において平坦面から接合面側に傾斜するとともに、平坦面を覆う絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面を成形により形成する工程と、径方向に並んで設けられる複数の第1脚部、および、径方向に並んで設けられる複数の第2脚部のうちの少なくとも一方を、中心軸線方向に沿って移動させることによって、1つのスロット内または1つのスロットの中心軸線方向の外側において、第1脚部および第2脚部の各々の接合面同士を径方向に対向させる工程と、互いに対向する接合面同士を接合させる工程と、を備える。
この発明の第2の局面による電機子の製造方法は、上記のように、第1脚部および第2脚部の各々において、径方向において平坦面から接合面側に傾斜するとともに、平坦面を覆う絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面を成形により形成する工程を備える。これにより、非接合面側傾斜面に絶縁被膜が設けられていない場合に比べて、非接合面側傾斜面の摩擦抵抗を小さくする(滑り性を向上させる)ことができる。その結果、第1脚部および第2脚部のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させる際に、非接合面側傾斜面の、非接合面側傾斜面と径方向に隣接する部材(たとえば、隣接する脚部、または、隣接する脚部との間に設けられる絶縁部材)に対する滑り性を良くすることができる。これにより、第1脚部および第2脚部の組み付けをスムーズに行うことができるとともに、第1脚部および第2脚部の組み付けをスムーズに行うことができる。その結果、第1脚部および第2脚部の組み付けがスムーズに行われることによって、非接合面側傾斜面と径方向に隣接する上記部材と、非接合面を覆う絶縁被膜とが接触することにより、非接合面を覆う絶縁被膜に過度な力がかかるのを防止することができる。これにより、第1脚部および第2脚部の各々の先端部側に設けられた接合面同士が径方向に接合される場合において、第1脚部および第2脚部の各々の非接合面を覆う絶縁被膜が破損する(剥がされる)のを防止することが可能な電機子の製造方法を提供することができる。
また、非接合面側傾斜面を成形により形成することによって、非接合面を切削することなく、非接合面側傾斜面を形成することができる。これにより、成形前の非接合面側傾斜面に対応する部分を覆っていた絶縁被膜を除去せずにそのまま残した状態で、非接合面側傾斜面を形成することができる。その結果、非接合面側傾斜面を切削加工により形成する場合と異なり、非接合面側傾斜面の形成後に非接合面側傾斜面を覆う絶縁被膜を形成する工程を別途設けることなく、非接合面側傾斜面に絶縁被膜を設けることができる。
本発明によれば、上記のように、互いの脚部の先端部側に設けられた接合面同士が径方向に接合される場合において、脚部の非接合面に設けられた絶縁被膜が破損する(剥がされる)のを防止することができる。
第1および第2実施形態によるステータ(回転電機)の構成を示す平面図である。 第1および第2実施形態によるステータの構成を示す斜視図である。 第1および第2実施形態によるステータコアの構成を示す部分拡大平面図である。 第1および第2実施形態による第1絶縁部材および第2絶縁部材の構成を示す部分拡大断面図である。 第1および第2実施形態によるコイル部の結線構成を示す回路図である。 第1および第2実施形態によるセグメント導体の構成を示す横断面図である。 第1および第2実施形態による第1セグメント導体の構成を示す斜視図である。(図7(A)は、第1セグメント導体を径方向外側から見た斜視図である。図7(B)は、第1セグメント導体を径方向内側から見た斜視図である。) 第1および第2実施形態による第2セグメント導体の構成を示す斜視図である。(図8(A)は、第2セグメント導体を径方向外側から見た斜視図である。図8(B)は、第2セグメント導体を径方向内側から見た斜視図である。) 図1の1000−1000線に沿った断面図である。 図9の接合部の近傍の部分拡大図である。 第1および第2実施形態による第2絶縁部材の構成を示す断面図である。 第1および第2実施形態による第2絶縁部材の構成を示す斜視図である。 第1および第2実施形態によるステータコア、第1絶縁部材、および、第2絶縁部材を分解した分解斜視図である。 第1実施形態によるステータの製造方法を説明するためのフロー図である。 図14のステップS1における第1セグメント導体(第1脚部)の状態を示す図である。(図15(A)は、押圧治具による押圧前の状態の図である。図15(B)は、押圧治具による押圧後の状態の図である。) 図14のステップS1における押圧治具による押圧後の第1セグメント導体(第1脚部)の状態を示す図である。(図16(A)は、切削により接合面が形成された状態の図である。図16(B)は、切削により接合面側傾斜面が形成された状態の図である。) 第2実施形態における接合部の近傍の部分拡大図である。 第2実施形態によるステータの製造方法を説明するためのフロー図である。 図18のステップS11における第1セグメント導体(第1脚部)の状態を示す図である。(図19(A)は、治具により屈曲される前の状態の図である。図19(B)は、治具により屈曲された後の状態の図である。) 図18のステップS11における押圧治具による押圧後の第1セグメント導体(第1脚部)の状態を示す図である。(図20(A)は、切削により接合面が形成された状態の図である。図20(B)は、切削により接合面側傾斜面が形成された状態の図である。) 第1実施形態の第1変形例による第1脚部および第2脚部の構成を示す図である。 第1実施形態の第2変形例による第1脚部および第2脚部の構成を示す図である。 第1および第2実施形態の第3変形例による接合部の近傍の部分拡大図である。 第1および第2実施形態の第4変形例による接合部の近傍の部分拡大図である。 第1および第2実施形態の第5変形例による第1導体および第2導体の斜視図である。(図25(A)は、第1導体を径方向外側から見た斜視図である。図25(B)は、第2導体を径方向外側から見た斜視図である。)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
[ステータの構造]
図1〜図16を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。ステータ100は、中心軸線Cを中心に円環形状を有する。なお、ステータ100は、特許請求の範囲の「電機子」の一例である。
本願明細書では、「軸方向(中心軸線方向、軸線方向)」とは、図1に示すように、ステータ100の中心軸線C(ロータ101の回転軸線)に沿った方向(Z方向)を意味する。また、「周方向」とは、ステータ100の周方向(A1方向、A2方向)を意味する。また、「径方向」とは、ステータ100の半径方向(R方向)を意味する。また、「径方向内側」とは、径方向に沿ってステータ100の中心軸線Cに向かう方向(R1方向)を意味する。また、「径方向外側」とは、径方向に沿ってステータ100の外に向かう方向(R2方向)を意味する。
ステータ100は、ロータ101と共に、回転電機102の一部を構成する。回転電機102は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成される。ステータ100は、図1に示すように、永久磁石(図示せず)が設けられるロータ101の径方向外側に配置されている。すなわち、第1実施形態では、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機102の一部を構成する。
図2に示すように、ステータ100は、ステータコア10と、第1絶縁部材20と、コイル部30とを備える。第1絶縁部材20は、スロット12(図3参照)とコイル部30(後述する第1脚部71および第2脚部81)とを絶縁するためにスロット12に挿入されている。また、コイル部30は、第1コイルアッセンブリ30a(反リード側コイル)と第2コイルアッセンブリ30b(リード側コイル)とを含む。また、コイル部30は、複数のセグメント導体40(図4参照)からなる。また、ステータ100は、第1絶縁部材20とは別個に設けられた第2絶縁部材21(図4参照)を備える。なお、ステータコア10は、特許請求の範囲の「電機子コア」の一例である。
(ステータコアの構造)
ステータコア10は、中心軸線C(図1参照)を中心軸とした円筒形状を有する。また、ステータコア10は、たとえば、複数枚の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)が軸方向に積層されることにより、形成されている。図3に示すように、ステータコア10は、軸方向に見て円環状を有するバックヨーク11と、バックヨーク11の径方向内側に設けられ、中心軸線方向に延びる複数のスロット12とが設けられている。そして、ステータコア10には、スロット12の周方向両側に複数のティース13が設けられている。
スロット12は、径方向外側に設けられたバックヨーク11の壁部11aと、2つのティース13の周方向側面13aとに囲まれた部分である。そして、スロット12には、径方向内側に開口する開口部12aが設けられている。また、スロット12は、軸方向両側のそれぞれに開口している。ティース13は、バックヨーク11から径方向内側に突出するように形成されており、径方向内側の先端部にスロット12の開口部12aを構成する凸部13bが形成されている。
開口部12aは、周方向に開口幅W1を有する。ここで、開口幅W1は、ティース13の凸部13bの先端部同士の距離に対応する。また、スロット12のコイル部30が配置される部分の幅W2は、開口幅W1よりも大きい。すなわち、スロット12は、セミオープン型のスロットとして構成されている。ここで、幅W2は、スロット12の周方向両側に配置されているティース13の周方向側面13a同士の距離に対応する。また、スロット12の幅W2は、径方向に亘って略一定である。
(コイル部の構造)
コイル部30は、図4に示すように、平角導線により構成されている。たとえば、コイル部30は、銅またはアルミニウムにより構成されている。
また、コイル部30は、図2に示すように、軸方向他方側(Z2方向側)に設けられた第1コイルアッセンブリ30aと、軸方向一方側(Z1方向側)に設けられた第2コイルアッセンブリ30bとが、軸方向に組み合わされるとともに、接合されて形成されている。第1コイルアッセンブリ30aおよび第2コイルアッセンブリ30bは、それぞれ、ステータコア10と同一の中心軸線C(図1参照)を中心とした円環状に形成されている。また、図4に示すように、第1実施形態では、コイル部30は、複数のセグメント導体40の後述する第1脚部71(第1接合面71a)と第2脚部81(第2接合面81a)とが、接合部90において接合されて形成されている。
コイル部30は、たとえば、波巻きコイルとして構成されている。また、コイル部30は、8ターンのコイルとして構成されている。すなわち、コイル部30は、スロット12内に、径方向に8個のセグメント導体40が並列して配置されて構成されている。
〈コイル部の結線の構成〉
図5に示すように、コイル部30では、電源部(図示せず)から3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。具体的には、コイル部30は、3相のY結線により接続(結線)されている。すなわち、コイル部30は、U相コイル部30Uと、V相コイル部30Vと、W相コイル部30Wとを含む。そして、コイル部30には、複数(たとえば、2つ)の中性点Nが設けられている。詳細には、コイル部30は、4並列結線(スター結線)されている。すなわち、U相コイル部30Uには、4つの中性点接続端部NtUと、4つの動力線接続端部PtUとが設けられている。V相コイル部30Vには、4つの中性点接続端部NtVと、4つの動力線接続端部PtVとが設けられている。W相コイル部30Wには、4つの中性点接続端部NtWと、4つの動力線接続端部PtWとが設けられている。なお、以下の記載では、中性点接続端部および動力線接続端部について、U相、V相、および、W相を特に区別しない場合、単に、「中性点接続端部Nt」および「動力線接続端部Pt」として記載する。
〈コイルアッセンブリの構造〉
図2に示すように、第1コイルアッセンブリ30aは、セグメント導体40としての複数の第1セグメント導体70(以下、「第1導体70」とする)から構成されている。好ましくは、第1コイルアッセンブリ30aは、複数の第1導体70のみが組み合わされて構成されている。
また、第2コイルアッセンブリ30bは、セグメント導体40としての複数(たとえば、3つ)の動力セグメント導体50(以下、「動力導体50」とする)と、セグメント導体40としての複数(たとえば、2つ)の中性点セグメント導体60(以下、「中性点導体60」とする)と、複数のセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60とは異なる導体(一般のセグメント導体40)であり、コイル部30を構成する第2セグメント導体80(以下、「第2導体80」とする)とを含む。すなわち、ステータ100に設けられる動力導体50および中性点導体60の全ては、第2コイルアッセンブリ30bに設けられている。
(セグメント導体の構造)
セグメント導体40は、図6に示すように、横断面が略矩形形状を有する平角導線として構成されている。そして、セグメント導体40の導体表面40bには、厚みt1を有する絶縁被膜40aが設けられている。絶縁被膜40aの厚みt1は、たとえば、相間絶縁性能(第1コイルエンド部72同士の絶縁、第2コイルエンド部82同士の絶縁、図2参照)を確保することが可能な程度に設定されている。なお、絶縁被膜40aは、後述する絶縁被膜71g、71i、71k、81g、81i、および、81kを含む。また、図6では、説明のために、厚み等の大小関係を強調して図示しているが、この図示の例に限られない。
〈第1導体および第2導体の構造〉
図7に示すように、複数のセグメント導体40は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z1方向側)に延びる第1脚部71を含む複数の第1導体70を備える。複数の第1導体70の各々は、ステータコア10の軸方向の他方側(Z2方向側)に配置されている。また、複数の第1導体70の各々の第1脚部71は、軸方向において長さL1を有する。
また、図8に示すように、ステータコア10の軸方向の他方側(Z2方向側)に延びる第2脚部81を含む複数の第2導体80を備える。複数の第2導体80の各々は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z1方向側)に配置されている。また、複数の第2導体80の各々は、複数の第1導体70に対して中心軸線方向に対向して配置されている。また、複数の第2導体80の各々の第2脚部81は、軸方向において長さL2を有する。なお、第2脚部81の長さL2は、第1脚部71の長さL1よりも長い。
また、コイル部30は、軸方向に2分割された第1導体70と第2導体80とが接合されて形成されている。ここで、第2導体80とは、第2コイルアッセンブリ30bを構成するセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60以外のセグメント導体40である。
図7(A)および図7(B)に示すように、複数の第1導体70は、それぞれ、互いに異なるスロット12に配置される一対の第1脚部71が互いに接続されることにより、径方向に見てU字状(略U字状)を有するように形成されている。第1導体70のコイルピッチは6である。すなわち、一対の第1脚部71は、スロット12が6つ分、周方向に異なる位置に配置される。すなわち、一対の第1脚部71のうちの一方の第1脚部71が配置されているスロット12と、他方の第1脚部71が配置されているスロット12との間に、5つのスロット12が設けられている。具体的には、第1導体70は、互いに異なるスロット12に配置され、それぞれ軸方向に沿って直線状に形成されている一対の第1脚部71と、第1脚部71に接続される第1コイルエンド部72とを含む。第1脚部71とは、ステータコア10の中心軸線方向における端面10a(図2参照)の軸方向位置からスロット12の内に配置されている部分を意味し、第1コイルエンド部72は、第1脚部71に連続して形成され、ステータコア10の端面10aよりも軸方向外側に配置されている部分を意味するものとする。また、第1コイルエンド部72は、軸方向に折れ曲がる屈曲形状を有する。また、第1コイルエンド部72は、軸方向から見て、径方向に1本のセグメント導体40の幅分、階段状に屈曲するクランク状に形成された第1クランク部分73を有する。つまり、第1クランク部分73の径方向の幅は、1本のセグメント導体40の幅の2倍である。
また、一対の第1脚部71の軸方向長さL1は互いに略等しい。なお、軸方向長さL1とは、第1導体70のうちスロット12内において中心軸線方向に直線状に延びている部分の長さを意味する。また、軸方向長さL1は、ステータコア10の軸方向長さL3(図2参照)よりも小さい。なお、ステータコア10の軸方向長さL3とは、中心軸線方向における端面10aおよび端面10bの間の、中心軸線方向の距離(間隔)を意味する。
同様に、図8(A)および図8(B)に示すように、第2導体80は、スロット12に配置される一対の第2脚部81と、第2脚部81に接続される第2コイルエンド部82とを含む。また、第2コイルエンド部82は、第2クランク部分83を有する。第2導体80は、互いに異なるスロット12に配置される一対の第2脚部81が互いに接続されることにより、U字状を有するように形成されている。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は互いに略等しい。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は、第1導体70の一対の第1脚部71の軸方向長さL1よりも大きい(L2>L1)。なお、軸方向長さL2とは、第2導体80のうちスロット12内において中心軸線方向に直線状に延びている部分の長さを意味する。
図9に示すように、第1脚部71は、複数のスロット12内の各々において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第1コイルエンド部72は、複数のスロット12の各々の外側(Z2方向側)において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第2脚部81は、複数のスロット12内の各々において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第2コイルエンド部82は、複数のスロット12の各々の外側(Z1方向側)において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。
図10に示すように、複数の第1導体70の各々の第1脚部71の第1先端部71c側には、中心軸線方向に延びるように設けられる第1接合面71aが設けられている。また、複数の第2導体80の各々の第2脚部81の第2先端部81c側には、中心軸線方向に延びるように設けられる第2接合面81aが設けられている。具体的には、第1接合面71aおよび第2接合面81aの各々は、中心軸線方向に対して平行に延びるように設けられている。また、第1脚部71および第2脚部81は、それぞれ、第1接合面71aが設けられている第1接合面配置部71b、および、第2接合面81aが設けられている第2接合面配置部81bを含む。すなわち、第1接合面配置部71bは、第1脚部71の第1先端部71c側に設けられている。また、第2接合面配置部81bは、第2脚部81の第2先端部81c側に設けられている。なお、第1接合面71aおよび第2接合面81aの各々は、特許請求の範囲の「接合面」の一例である。また、第1先端部71cおよび第2先端部81cの各々は、特許請求の範囲の「先端部」の一例である。なお、図10では、第1脚部71(第2脚部81)を、簡略化して2つだけ図示している。
また、第1脚部71は、第1接合面配置部71bに連続して設けられる第1脚部本体部71dを有する。第1脚部本体部71dは、第1接合面配置部71bに対して、第1先端部71cとは反対側(Z2方向側)に設けられている。また、第2脚部81は、第2接合面配置部81bに連続して設けられる第2脚部本体部81dを有する。第2脚部本体部81dは、第2接合面配置部81bに対して、第2先端部81cとは反対側(Z1方向側)に設けられている。
また、第1脚部71は、第1接合面71aとは反対側(R2方向側)に設けられる第1非接合面71eを含む。第1非接合面71eは、中心軸線方向に沿って延びる第1平坦面71fを含む。また、第1平坦面71fは、絶縁被膜71gにより覆われている。なお、第1非接合面71eおよび第1平坦面71fは、それぞれ、特許請求の範囲の「非接合面」および「平坦面」の一例である。
また、第2脚部81は、第2接合面81aとは反対側(R1方向側)に設けられる第2非接合面81eを含む。第2非接合面81eは、中心軸線方向に沿って延びる第2平坦面81fを含む。また、第2平坦面81fは、絶縁被膜81gにより覆われている。なお、第2非接合面81eおよび第2平坦面81fは、それぞれ、特許請求の範囲の「非接合面」および「平坦面」の一例である。
ここで、第1実施形態では、第1非接合面71eは、中心軸線方向において第1平坦面71fよりも第1先端部71c側(Z1方向側)に設けられる第1非接合面側傾斜面71hを含む。第1非接合面側傾斜面71hは、径方向において第1平坦面71fから第1接合面71a側(R1方向側)に傾斜するように形成されている。また、第1非接合面側傾斜面71hは、絶縁被膜71iにより覆われている。絶縁被膜71iは、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71gと一体的に設けられている。なお、第1非接合面側傾斜面71hは、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。
また、第2非接合面81eは、中心軸線方向において第2平坦面81fよりも第2先端部81c側(Z2方向側)に設けられる第2非接合面側傾斜面81hを含む。第2非接合面側傾斜面81hは、径方向において第2平坦面81fから第2接合面81a側(R2方向側)に傾斜するように形成されている。また、第2非接合面側傾斜面81hは、絶縁被膜81iにより覆われている。絶縁被膜81iは、第2平坦面81fを覆う絶縁被膜81gと一体的に設けられている。なお、第2非接合面側傾斜面81hは、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。
具体的には、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71gと、第1非接合面側傾斜面71hを覆う絶縁被膜71iとは、連続して(分割されずに)設けられている。同様に、第2平坦面81fを覆う絶縁被膜81gと、第2非接合面側傾斜面81hを覆う絶縁被膜81iとは、連続して(分割されずに)設けられている。
また、第1非接合面側傾斜面71hおよび第2非接合面側傾斜面81hの各々は、周方向から見て(径方向に沿った断面において)、直線状に延びるように設けられている。すなわち、第1非接合面側傾斜面71hおよび第2非接合面側傾斜面81hの各々は、平坦面状に形成されている。
また、第1脚部71は、第1接合面71aよりも第1先端部71c側(Z1方向側)に設けられる第1接合面側傾斜面71jを含む。第1接合面側傾斜面71jは、径方向において第1接合面71aから第1非接合面71e側(R2方向側)に傾斜するように形成されている。第1接合面側傾斜面71jは、絶縁被膜により覆われていない。なお、第1接合面側傾斜面71jは、特許請求の範囲の「接合面側傾斜面」の一例である。
また、第2脚部81は、第2接合面81aよりも第2先端部81c側(Z2方向側)に設けられる第2接合面側傾斜面81jを含む。第2接合面側傾斜面81jは、径方向において第2接合面81aから第2非接合面81e側(R1方向側)に傾斜するように形成されている。第2接合面側傾斜面81jは、絶縁被膜により覆われていない。なお、第2接合面側傾斜面81jは、特許請求の範囲の「接合面側傾斜面」の一例である。
ここで、第1実施形態では、中心軸線方向における第1非接合面側傾斜面71hの長さL11は、中心軸線方向における第1接合面側傾斜面71jの長さL12よりも大きい。また、中心軸線方向における第2非接合面側傾斜面81hの長さL21は、中心軸線方向における第2接合面側傾斜面81jの長さL22よりも大きい。具体的には、第1非接合面側傾斜面71hの長さL11は、第1接合面側傾斜面71jの長さL12の2倍以上である。また、第2非接合面側傾斜面81hの長さL21は、第2接合面側傾斜面81jの長さL22の2倍以上である。なお、第1非接合面側傾斜面71hの長さL11は、第2非接合面側傾斜面81hの長さL21と略等しい。また、第1接合面側傾斜面71jの長さL12は、第2接合面側傾斜面81jの長さL22と略等しい。
また、第1非接合面側傾斜面71hの長さL11は、第1接合面配置部71bの中心軸線方向における長さL13の1/2以下である。また、第2非接合面側傾斜面81hの長さL21は、第2接合面配置部81bの中心軸線方向における長さL23の1/2以下である。
また、第1実施形態では、第1非接合面側傾斜面71hの中心軸線方向に対する傾斜角度θ11は、第1接合面側傾斜面71jの中心軸線方向に対する傾斜角度θ12よりも小さい。また、第2非接合面側傾斜面81hの中心軸線方向に対する傾斜角度θ21は、第2接合面側傾斜面81jの中心軸線方向に対する傾斜角度θ22よりも小さい。具体的には、第1非接合面側傾斜面71hの傾斜角度θ11、および、第2非接合面側傾斜面81hの傾斜角度θ21の各々は、10度〜20度程度である。また、第1接合面側傾斜面71jの傾斜角度θ12、および、第2接合面側傾斜面81jの傾斜角度θ22の各々は、30度程度である。
また、第1脚部71の第1非接合面側傾斜面71hは、第1脚部71の第1平坦面71fと連続的に設けられている。また、第2脚部81の第2非接合面側傾斜面81hは、第2脚部81の第2平坦面81fと連続的に設けられている。具体的には、第1非接合面側傾斜面71hと第1平坦面71fとの間には段差および凹凸等が設けられていない。同様に、第2非接合面側傾斜面81hと第2平坦面81fとの間には段差および凹凸等が設けられていない。なお、第1非接合面側傾斜面71hおよび第1接合面側傾斜面71jの各々は、第1脚部71の第1先端部71cと連続的に設けられている。また、第2非接合面側傾斜面81hおよび第2接合面側傾斜面81jの各々は、第2脚部81の第2先端部81cと連続的に設けられている。
また、第1脚部71の第1非接合面側傾斜面71hは、成形により形成されている面である。また、第2脚部81の第2非接合面側傾斜面81hは、成形により形成されている面である。言い換えると、第1非接合面側傾斜面71hおよび第2非接合面側傾斜面81hの各々は、切削加工により形成された面ではない。具体的には、第1非接合面側傾斜面71h(第2非接合面側傾斜面81h)は、第1先端部71c(第2先端部81c)が押圧されるとともに潰されることにより形成された面である。
また、第1脚部71の第1先端部71c、および、第2脚部81の第2先端部81cの各々は、中心軸線方向と直交するように延びる平坦面状に形成されている。なお、第1先端部71cおよび第2先端部81cの各々には、絶縁被膜は設けられていない。
また、第1脚部本体部71dの第1接合面71a側(R1方向側)は、絶縁被膜71kにより覆われている。また、第2脚部本体部81dの第2接合面81a側(R2方向側)は、絶縁被膜81kにより覆われている。
なお、絶縁被膜71kは、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71g、および、第1非接合面側傾斜面71hを覆う絶縁被膜71iの各々と一体的に設けられている。具体的には、絶縁被膜71gは、第1脚部71の図示しない側面(周方向両側の側面)を覆う絶縁部材を介して、絶縁被膜71gおよび絶縁被膜71iの各々と接続されている。
また、絶縁被膜81kは、第2平坦面81fを覆う絶縁被膜81g、および、第2非接合面側傾斜面81hを覆う絶縁被膜81iの各々と一体的に設けられている。具体的には、絶縁被膜81gは、第2脚部81の図示しない側面(周方向両側の側面)を覆う絶縁部材を介して、絶縁被膜81gおよび絶縁被膜81iの各々と接続されている。
(接合部の構成)
図9に示すように、1つのスロット12内において、複数の第1導体70(第1脚部71)と複数の第2導体80(第2脚部81)とが接合されている。具体的には、複数のスロット12の各々において、互いに接合される第1脚部71の第1接合面71aと第2脚部81の第2接合面81aとの組が、径方向に沿って並んで複数設けられている。詳細には、複数のスロット12内の各々において、第1接合面71aと第2接合面81aとが径方向に接合される接合部90が、径方向に沿って並んで複数設けられている。なお、第1接合面71aが設けられている第1接合面配置部71b、および、第2接合面81aが設けられている第2接合面配置部81bは、径方向に沿って交互に複数配列されている。
複数の接合部90は、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられている。つまり、1つのスロット12内に配置される全ての接合部90が水平方向に沿って並んだ状態で配置されている。言い換えると、1つのスロット12内において、中心軸線方向における複数の接合部90の各々の位置は、互いに略等しい。なお、接合部90は、径方向から見て、第1脚部71の第1接合面71aと、第2脚部81の第2接合面81aとが接合された(オーバラップした)部分である。
(第1絶縁部材の構造)
第1絶縁部材20は、図4に示すように、壁部11aおよびティース13と、第1脚部71および第2脚部81(セグメント導体40)との間に配置されている。
そして、第1絶縁部材20は、Z2方向に見て、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周囲を一体的に覆うように配置されている。言い換えると、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周方向両側および径方向両側が第1絶縁部材20により覆われる。これにより、第1絶縁部材20によって、接合部90とステータコア10との絶縁を確保することが可能となる。
(第2絶縁部材の構造)
また、図11に示すように、径方向に並んで配置されるコイル同士(接合部90同士)は、シート状の第2絶縁部材21により絶縁されている。第2絶縁部材21は、第1絶縁部材20とは別個に設けられている。また、「コイル」とは、コイル部30における、第1導体70と第2導体80とが接合された後のスロット12内に配置される直線状の部分を意味する。したがって、一つのスロット12には、複数のコイルが配置される。
第2絶縁部材21は、たとえば、ノーメックスなどの1枚のシート状の絶縁部材が折りたたまれて形成されている。そして、第2絶縁部材21は、径方向に隣り合う接合部90の間に設けられる対向面絶縁部分21aを含む。図10に示すように、対向面絶縁部分21aは、第1脚部本体部71dを覆う絶縁被膜71kと、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71gとにより径方向に挟まれるように設けられている。また、対向面絶縁部分21aは、第2脚部本体部81dを覆う絶縁被膜81kと、第2平坦面81fを覆う絶縁被膜81gとにより径方向に挟まれるように設けられている。
また、図11に示すように、第2絶縁部材21は、対向面絶縁部分21aの周方向の両端部から連続し、かつ、径方向に隣り合う接合部90の周方向面90aのうちのいずれか一方を少なくとも絶縁距離分覆う周方向面絶縁部分21bを含む。なお、絶縁距離とは、周方向面絶縁部分21bの径方向に沿った長さであるとともに、径方向に隣り合う接合部90同士を絶縁するために十分な距離(沿面距離)を意味する。
なお、図12に示すように、第2絶縁部材21は、最も径方向外側に配置される接合部90の径方向外側を覆う部分21cを含む。また、第2絶縁部材21は、最も径方向内側に配置される接合部90の径方向内側を覆う部分21dを含む。
また、第2絶縁部材21では、径方向に隣り合う対向面絶縁部分21aは、周方向の一方または他方において周方向面絶縁部分21bにより連結されている。具体的には、径方向に隣り合うように配置される一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向外側の対向面絶縁部分21aと、周方向の一方側に設けられる周方向面絶縁部分21bと、一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向内側の対向面絶縁部分21aと、周方向の他方側に設けられる周方向面絶縁部分21bとが連続するように形成されている。つまり、接合部90のA1方向側の周方向面90aと、接合部90のA2方向側の周方向面90aとが交互に、周方向面絶縁部分21bにより覆われる。言い換えると、第2絶縁部材21は、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90aを連続して覆わないように構成されている。
このように、第2絶縁部材21は、中心軸線方向から見て、蛇行形状(蛇腹形状)を有する。また、1つの第2絶縁部材21によって、1つのスロット12内に配置される径方向に隣接する接合部90同士が絶縁されるので、スロット12内の全ての接合部90同士が絶縁される。これにより、1つのスロット12内に配置される複数の接合部90を個別に絶縁部材により覆う場合と比べて、第2絶縁部材21を配置するための工程数を低減することが可能になる。
また、第2絶縁部材21は、径方向に沿って伸縮可能に構成されている。第2絶縁部材21は、柔軟性を有するシート状の絶縁部材により構成されているとともに、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90aを連続して覆わないように構成されているためである。これにより、第1脚部71と第2脚部81とを接合する際に、第1脚部71および第2脚部81が径方向または軸方向に沿って押圧されても、第1脚部71および第2脚部81の移動とともに第2絶縁部材21は変形可能である。
また、図13に示すように、中心軸線方向において、第2絶縁部材21の長さL32は、第1絶縁部材20の長さL31よりも小さい。具体的には、第1絶縁部材20の長さL31は、中心軸線方向におけるステータコア10の長さL3よりも大きい。また、第2絶縁部材21の長さL32は、ステータコア10の長さL3よりも小さい。また、第2絶縁部材21は、接合部90を覆うとともに、接合部90からZ1方向側とZ2方向側とに延びるように設けられている。第2絶縁部材21の長さL12は、コイル部30に印加される電圧の大きさなどに基づいて(必要な沿面距離に基づいて)調整される。なお、図13では、第1導体70および第2導体80の図示は、簡略化のため省略している。
(ステータの製造方法)
次に、図14〜図16を参照して、ステータ100の製造方法について説明する。
(セグメント導体を準備する工程)
まず、図14に示すように、ステップS1において、複数のセグメント導体40が準備される。具体的には、Y結線されたコイル部30の各相の動力線接続端部Ptを構成する動力導体50と、コイル部30の各相の中性点接続端部Ntを構成する中性点導体60と、コイル部30のその他の部分を構成する第1導体70および第2導体80とが準備される。
たとえば、図6に示すように、銅等の導電性材料からなる平角状の導体表面40bに、ポリイミド等の絶縁材料からなる絶縁被膜40aが形成(コーティング)される。
次に、図15(A)に示すように、第1脚部71(第1導体70)において、第1非接合面71eのうちの、第1平坦面71fよりも中心軸線方向における第1先端部71c側に、第1非接合面側傾斜面71hが成形により形成される。具体的には、第1非接合面71e(第1平坦面71f)の第1先端部71c側が、押圧治具201により、第1非接合面71eとは反対側(図15では左側)に押圧される。なお、この時点では、第1脚部71に第1接合面71aが形成されておらず、第1脚部71の第1先端部71c以外の全ての部分が絶縁被膜により覆われている。
そして、図15(B)に示すように、第1非接合面71e(第1平坦面71f)の第1先端部71c側が押圧治具201の押圧により潰されることによって、第1非接合面側傾斜面71hが形成される。なお、押圧するための治具の構成はこれに限られない。
なお、この場合、第1非接合面側傾斜面71hを覆う絶縁被膜71iの厚みt2は、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71gの厚みt3(図6の厚みt1と同じ厚み)よりも、押圧により薄くなる場合がある。
次に、図16(A)に示すように、第1脚部71(第1導体70)の第1非接合面71eとは反対側において、第1脚部71の第1先端部71c側が切削されることにより、第1接合面71aが形成される。この際、第1脚部本体部71dを覆う絶縁被膜71kの第1先端部71c側に設けられる絶縁被膜71l(図15参照)が除去される。
そして、図16(B)により、第1脚部71のうち、第1接合面71aよりも第1先端部71c側を切削することにより、第1接合面側傾斜面71jが形成される。すなわち、第1非接合面側傾斜面71hを成形により形成する工程は、第1接合面側傾斜面71jを切削により形成する工程の前に行われる。
なお、第1接合面側傾斜面71jを切削により形成する工程は、第1脚部71(第1導体70)が押圧治具201による押圧が行われた場所と同じ場所(同一装置内)において行われる。すなわち、第1非接合面側傾斜面71hを形成する工程の後に、第1脚部71を移動させることなく、第1接合面側傾斜面71jを形成する工程が行われる。
また、第1非接合面側傾斜面71hが押圧治具201に接している状態で、押圧治具201とは反対側から、切削治具(図示せず)により第1接合面71aが形成される。すなわち、第1非接合面側傾斜面71hを形成する工程の後に、第1導体70の向きを変える(第1非接合面側傾斜面71hを反対側に向ける)ことなく、第1接合面71aの形成工程を行うことが可能である。
なお、第1実施形態では、第1脚部71において、中心軸線方向における第1非接合面側傾斜面71hの長さL11が、第1接合面側傾斜面71jの中心軸線方向における長さL12よりも大きくなるように、第1非接合面側傾斜面71hが形成される。具体的には、第1脚部71と押圧治具201との接触面積を調整することによって、第1非接合面側傾斜面71hの長さL11が、第1接合面側傾斜面71jの長さL12よりも大きくなるように調整されている。
また、第1非接合面側傾斜面71hの中心軸線方向に対する傾斜角度θ11が、第1接合面側傾斜面71jの中心軸線方向に対する傾斜角度θ12よりも小さくなるように、第1非接合面側傾斜面71hが形成される。具体的には、押圧治具201からの押圧力を調整することによって、第1非接合面側傾斜面71hの傾斜角度θ11が、第1接合面側傾斜面71jの傾斜角度θ12よりも小さくなるように調整されている。
なお、第2脚部81(第2導体80)においても、上記の第1脚部71(第1導体70)と同様の工程が行われるので、詳細な説明は省略する。
(第1コイルアッセンブリおよび第2コイルアッセンブリの形成)
次に、図14に示すように、ステップS2において、複数のセグメント導体40からなる円環状の第1コイルアッセンブリ30a(図2参照)および第2コイルアッセンブリ30b(図2参照)が形成される。第1コイルアッセンブリ30aおよび第2コイルアッセンブリ30bは、セグメント導体40が径方向に複数(たとえば、8個)並列した状態で、かつ、周方向にスロット12の数分並列した状態に、形成される。第2コイルアッセンブリ30bには、動力導体50および中性点導体60が配置されている。
(第1絶縁部材をスロットに配置する工程)
次に、ステップS3において、スロット12とコイル部30とを絶縁するためのシート状の第1絶縁部材20がスロット12に挿入される。
(第2導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS4において、複数のセグメント導体40のうちのステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される複数の第2導体80の第2脚部81が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)からステータコア10のスロット12に挿入される。具体的には、複数のスロット12の各々において、径方向に並んで設けられる複数の第2脚部81を中心軸線方向に沿って移動させることによって、複数の第2脚部81が中心軸線方向の一方側(Z1方向側)からステータコア10のスロット12に挿入される。これにより、複数の第2導体80が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される。
(第2絶縁部材を配置する工程)
次に、ステップS5において、複数の第2導体80をスロット12に配置した後に、複数の第2導体80のうち、1つのスロット12において径方向に隣接する第2導体80の第2脚部81の間に、シート状の第2絶縁部材21を配置する。
(第1導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS6において、複数の第1導体70を、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)からステータコア10に対して相対的に移動させる。これにより、第1導体70の第1脚部71がスロット12内に挿入される。具体的には、複数のスロット12の各々において、径方向に並んで設けられる複数の第1脚部71を、中心軸線方向に沿ってステータコア10と相対的に移動させることによって、複数の第1脚部71が中心軸線方向の他方側(Z2方向側)からステータコア10のスロット12に挿入される。これにより、複数の第1導体70が、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)に配置される。
また、全てのスロット12内において、第1脚部71の第1接合面71aと第2脚部81の第2接合面81aとが、径方向に対向するように、第1脚部71および第2脚部81がスロット12に配置される。具体的には、第1脚部71の第1接合面71aと、第2脚部81の第2接合面81aとが径方向に交互に配置されるように、第1脚部71および第2脚部81がスロット12に配置される。このとき、第1導体70の第1脚部71を挿入する際に、径方向内側に第1脚部71を倒したり、または、第1脚部71を径方向外側にずらして挿入することにより、第1脚部71と第2脚部81との干渉を容易に回避することができる。
(第1脚部と第2脚部との接合を行う工程)
次に、ステップS7において、複数のセグメント導体40(第1接合面71aおよび第2接合面81a)が径方向に押圧されることにより、互いに対向する第1接合面71aと第2接合面81aとが接合される。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(電機子の効果)
第1実施形態では、上記のように、複数のスロット(12)の各々において、互いに接合される接合面(71a、81a)同士の組が、径方向に沿って並んで複数設けられている。また、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、接合面(71a、81a)とは反対側に設けられる非接合面(71e、81e)は、中心軸線方向に沿って延びるとともに絶縁被膜(71g、81g)により覆われている平坦面(71f、81f)を含む。また、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面(71e、81e)は、中心軸線方向において平坦面(71f、81f)よりも先端部(71c、81c)側に設けられ、径方向において平坦面(71f、81f)から接合面(71a、81a)側に傾斜するように形成されている非接合面側傾斜面(71h、81h)を含む。非接合面側傾斜面(71h、81h)は、平坦面(71f、81f)を覆う絶縁被膜(71g、81g)と一体的に設けられている絶縁被膜(71i、81i)により覆われている。
これにより、非接合面側傾斜面(71h、81h)に絶縁被膜(71i、81i)が設けられていない場合に比べて、非接合面側傾斜面(71h、81h)の摩擦抵抗を小さくする(滑り性を向上させる)ことができる。その結果、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させる際に、非接合面側傾斜面(71h、81h)の、非接合面側傾斜面(71h、81h)と径方向に隣接する部材(第1実施形態では第2絶縁部材(21))に対する滑り性を良くすることができる。これにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方をよりスムーズに移動させることができるとともに、第1脚部(71)および第2脚部(81)の組み付けをスムーズに行うことができる。その結果、第1脚部(71)および第2脚部(81)の組み付けがスムーズに行われることによって、非接合面側傾斜面(71h、81h)と径方向に隣接する上記部材(第2絶縁部材(21))と、非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)とが接触することにより、非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)に過度な力がかかるのを防止することができる。これにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の先端部(71c、81c)側に設けられた接合面(71a、81a)同士が径方向に接合される場合において、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)が破損する(剥がされる)のを防止することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々は、接合面(71a、81a)よりも先端部(71c、81c)側に設けられ、径方向において接合面(71a、81a)から非接合面(71e、81e)側に傾斜するように形成されているとともに、絶縁被膜により覆われていない接合面側傾斜面(71j、81j)を含む。また、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)は、中心軸線方向における接合面側傾斜面(71j、81j)の長さ(L12、L22)よりも大きい。このように構成すれば、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)が、中心軸線方向における接合面側傾斜面(71j、81j)の長さ(L12、L22)以下である場合に比べて、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方の移動が、非接合面側傾斜面(71h、81h)によりガイドされる長さを大きくすることができる。また、非接合面側傾斜面(71h、81h)は、絶縁被膜(71i、81i)が設けられているので滑り性が良い。これらにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方を、非接合面側傾斜面(71h、81h)(絶縁被膜(71i、81i))によって、より一層スムーズに移動させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ11、θ21)は、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ12、θ22)よりも小さい。このように構成すれば、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)を、中心軸線方向における接合面側傾斜面(71j、81j)の長さ(L12、L22)よりも容易に大きくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の非接合面側傾斜面(71h、81h)は、成形により形成されている面である。このように構成すれば、非接合面側傾斜面(71h、81h)が切削により形成された面である場合と異なり、非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)が除去されることなく、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面側傾斜面(71h、81h)は、平坦面(71f、81f)と連続的に設けられている。このように構成すれば、非接合面側傾斜面(71h、81h)と平坦面(71f、81f)との間に段差が設けられている場合と異なり、互いの段差同士が干渉することがないので、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させることにより、第1脚部(71)と第2脚部(81)とを組み付けるのを容易化することができる。
(電機子の製造方法の効果)
また、第1実施形態では、上記のように、電機子(100)の製造方法は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面(71e、81e)のうちの、平坦面(71f、81f)よりも中心軸線方向における先端部(71c、81c)側に、径方向において平坦面(71f、81f)から接合面(71a、81a)側に傾斜する非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成する工程を備える。また、電機子(100)の製造方法は、径方向に並んで設けられる複数の第1脚部(71)、および、径方向に並んで設けられる複数の第2脚部(81)のうちの少なくとも一方を、中心軸線方向に沿って移動させることによって、1つのスロット(12)内または1つのスロット(12)の中心軸線方向の外側において、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の接合面(71a、81a)同士を径方向に対向させる工程を備える。また、電機子(100)の製造方法は、互いに対向する接合面(71a、81a)同士を接合させる工程を備える。
これにより、非接合面側傾斜面(71h、81h)に絶縁被膜(71i、81i)が設けられていない場合に比べて、非接合面側傾斜面(71h、81h)の摩擦抵抗を小さくする(滑り性を向上させる)ことができる。その結果、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方を中心軸線方向に移動させる際に、非接合面側傾斜面(71h、81h)の、非接合面側傾斜面(71h、81h)と径方向に隣接する部材(第1実施形態では第2絶縁部材(21))に対する滑り性を良くすることができる。これにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)のうちの少なくとも一方をよりスムーズに移動させることができるとともに、第1脚部(71)および第2脚部(81)の組み付けをスムーズに行うことができる。その結果、第1脚部(71)および第2脚部(81)の組み付けがスムーズに行われることによって、非接合面側傾斜面(71h、81h)と径方向に隣接する上記部材(第2絶縁部材(21))と、非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)とが接触することにより、非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)に過度な力がかかるのを防止することができる。これにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の先端部(71c、81c)側に設けられた接合面(71a、81a)同士が径方向に接合される場合において、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の非接合面(71e、81e)を覆う絶縁被膜(71g、71i、81g、81i)が破損する(剥がされる)のを防止することが可能な電機子(100)の製造方法を提供することができる。
また、非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成することによって、非接合面(71e、81e)を切削することなく、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成することができる。これにより、成形前の非接合面側傾斜面(71h、81h)に対応する部分を覆っていた絶縁被膜(71i、81i)を除去せずにそのまま残した状態で、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成することができる。その結果、非接合面側傾斜面(71h、81h)を切削加工により形成する場合と異なり、非接合面側傾斜面(71h、81h)の形成後に非接合面側傾斜面(71h、81h)を覆う絶縁被膜(71i、81i)を形成する工程を別途設けることなく、非接合面側傾斜面(71h、81h)に絶縁被膜(71i、81i)を設けることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成する工程は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面(71e、81e)の先端部(71c、81c)側を押圧することにより非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形する工程である。このように構成すれば、成形前の非接合面側傾斜面(71h、81h)に対応する部分を覆っていた絶縁被膜(71i、81i)を除去することなく、非接合面(71e、81e)の先端部(71c、81c)側を押圧するだけで、絶縁被膜(71i、81i)により覆われる非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、電機子(100)の製造方法は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、接合面(71a、81a)よりも先端部(71c、81c)側を切削することにより、径方向において接合面(71a、81a)から非接合面(71e、81e)側に傾斜するとともに絶縁被膜により覆われていない接合面側傾斜面(71j、81j)を形成する工程をさらに備える。また、非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成する工程は、接合面側傾斜面(71j、81j)を切削により形成する工程の前に行われる。ここで、非接合面側傾斜面(71h、81h)の成形工程において、先端部(71c、81c)の形状(中心軸線方向に対する角度等)が変化する場合がある。この場合、非接合面側傾斜面(71h、81h)の成形工程が、接合面側傾斜面(71j、81j)を切削により形成する工程の前に行われることによって、先端部(71c、81c)の形状が変化した後に接合面側傾斜面(71j、81j)の形成工程が行われる。その結果、接合面側傾斜面(71j、81j)の形状(特に傾斜角度)を所望の形状(傾斜角度)に容易に調整することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成する工程は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向における長さ(L12、L22)よりも大きくなるように、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成する工程である。このように構成すれば、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)が、中心軸線方向における接合面側傾斜面(71j、81j)の長さ(L12、L22)以下である場合に比べて、非接合面側傾斜面(71h、81h)の面積を比較的大きくすることができる。これにより、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成する作業を容易化することが可能な電機子(100)の製造方法を提供することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、非接合面側傾斜面(71h、81h)を成形により形成する工程は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ11、θ21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ12、θ22)よりも小さくなるように、非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成する工程である。このように構成すれば、中心軸線方向における非接合面側傾斜面(71h、81h)の長さ(L11、L21)を、中心軸線方向における接合面側傾斜面(71j、81j)の長さ(L12、L22)よりも容易に大きくすることが可能な電機子(100)の製造方法を提供することができる。
[第2実施形態]
次に、図17〜図20を参照して、第2実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。第2実施形態のステータ100の製造方法では、押圧により非接合面側傾斜面(71h、81h)を形成する上記第1実施形態と異なり、脚部(71、81)を屈曲させることにより非接合面側傾斜面(171h、181h)を形成する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
〈第1導体および第2導体の構造〉
図17に示すように、第1脚部71は、第1接合面71aとは反対側(R2方向側)に設けられる第1非接合面171eを含む。なお、第1非接合面171eは、特許請求の範囲の「非接合面」の一例である。また、図17では、第1脚部71(第2脚部81)を、簡略化して2つだけ図示している。
また、第2脚部81は、第2接合面81aとは反対側(R1方向側)に設けられる第2非接合面181eを含む。なお、第2非接合面181eは、特許請求の範囲の「非接合面」の一例である。
第2実施形態では、第1非接合面171eは、中心軸線方向において第1平坦面71fよりも第1先端部71c側(Z1方向側)に設けられる第1非接合面側傾斜面171hを含む。第1非接合面側傾斜面171hは、径方向において第1平坦面71fから第1接合面71a側(R1方向側)に傾斜するように形成されている。また、第1非接合面側傾斜面171hは、絶縁被膜171iにより覆われている。絶縁被膜171iは、第1平坦面71fを覆う絶縁被膜71gと一体的に設けられている。なお、第1非接合面側傾斜面171hは、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。
また、第2非接合面181eは、中心軸線方向において第2平坦面81fよりも第2先端部81c側(Z2方向側)に設けられる第2非接合面側傾斜面181hを含む。第2非接合面側傾斜面181hは、径方向において第2平坦面81fから第2接合面81a側(R2方向側)に傾斜するように形成されている。また、第2非接合面側傾斜面181hは、絶縁被膜181iにより覆われている。絶縁被膜181iは、第2平坦面81fを覆う絶縁被膜81gと一体的に設けられている。なお、第2非接合面側傾斜面181hは、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。
また、第1脚部71の第1非接合面側傾斜面171h、および、第2脚部81の第2非接合面側傾斜面181hの各々は、成形により形成されている面である。言い換えると、第1非接合面側傾斜面171hおよび第2非接合面側傾斜面181hの各々は、切削加工により形成された面ではない。具体的には、第1非接合面側傾斜面171h(第2非接合面側傾斜面181h)は、第1先端部71c(第2先端部81c)が屈曲されることにより形成された面である。
(ステータの製造方法)
図18を参照して、ステータ100の製造方法について説明する。
(セグメント導体を準備する工程)
図18に示すように、ステップS11において、複数のセグメント導体40が準備される。
具体的には、図19に示すように、第1脚部71(第1導体70)において、第1脚部71の第1先端部71c側を第1接合面71a側(第1非接合面171eとは反対側、図19(A)では左側)に屈曲させることにより、第1非接合面側傾斜面171h(図19(B)参照)が形成される。たとえば、押圧治具202により第1非接合面171e側から押圧することにより、第1脚部71の第1先端部71c側が屈曲される。また、第1非接合面側傾斜面171hは、絶縁被膜71gと一体的に設けられている絶縁被膜171iにより覆われている。なお、屈曲させるための治具の構成はこれに限られない。また、第1非接合面側傾斜面171hは、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。
次に、第2実施形態では、図20(A)に示すように、第1脚部71の第1接合面71a側(第1非接合面171eとは反対側、図20(A)では左側)を切削することにより、第1脚部71において平坦面状の第1接合面71aが形成される。この際、切削加工により、中心軸線方向に延びる第1接合面71aが形成されるとともに、第1接合面配置部71bが中心軸線方向に沿って延びるように形成される。
そして、次に、図20(B)に示すように、上記第1実施形態と同様に、第1脚部71のうち、第1接合面71aよりも第1先端部71c側を切削することにより、第1接合面側傾斜面71jが形成される。
なお、第2脚部81(第2導体80)においても、上記の第1脚部71(第1導体70)と同様の工程が行われるので、詳細な説明は省略する。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、非接合面側傾斜面(171h、181h)を成形により形成する工程は、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において、先端部(71c、81c)側を接合面(71a、81a)側に屈曲させることにより非接合面側傾斜面(171h、181h)を成形する工程であり、非接合面側傾斜面(171h、181h)を形成する工程の後に行われ、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々の接合面(71a、81a)側を切削することにより、第1脚部(71)および第2脚部(81)の各々において平坦面状の接合面(71a、81a)を形成する工程をさらに備える。このように構成すれば、脚部(71、81)の先端部(71c、81c)側を接合面(71a、81a)側に屈曲させるだけで非接合面側傾斜面(171h、181h)を形成することができるので、非接合面側傾斜面(171h、181h)を容易に形成することができる。
また、切削加工は、屈曲による成形加工に比べて、加工面の向きを精度よく調整することができる。したがって、接合面(71a、81a)側を切削する工程の後に、脚部(71、81)の先端部(71c、81c)側を屈曲させる工程を行う場合に比べて、平坦面状の接合面(71a、81a)を容易に形成することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態では、第1非接合面側傾斜面71h(非接合面側傾斜面)および第2非接合面側傾斜面81h(非接合面側傾斜面)の各々は、周方向から見て(径方向に沿った断面において)、直線状に延びるように形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。非接合面側傾斜面は、周方向から見て(径方向に沿った断面において)、湾曲形状を有していてもよい。
たとえば、図21に示すように、第1非接合面側傾斜面271hおよび第2非接合面側傾斜面281hの各々は、周方向から見て(径方向に沿った断面において)、湾曲形状を有している。なお、第1非接合面側傾斜面271hおよび第2非接合面側傾斜面281hは、それぞれ、絶縁被膜271iおよび絶縁被膜281iにより覆われている。なお、上記第2実施形態においても、同様の構成であってもよい。また、第1非接合面側傾斜面271hおよび第2非接合面側傾斜面281hの各々は、特許請求の範囲の「非接合面側傾斜面」の一例である。なお、図21では、第1脚部71および第2脚部81が径方向に離間しているように図示しているが、実際には第1接合面71aと第2接合面81aとは接触する。
また、上記第1および第2実施形態では、第1接合面71a(第2接合面81a)(接合面)が中心軸線方向に沿って延びている例を示したが、本発明はこれに限られない。互いの接合面が中心軸線方向に対して傾斜していてもよい。
具体的には、図22に示すように、第1接合面171aおよび第2接合面181aの各々は、中心軸線方向に対して傾斜している。なお、第1接合面171aおよび第2接合面181aの各々は、特許請求の範囲の「接合面」の一例である。また、図22では、第1脚部71および第2脚部81が径方向に離間しているように図示しているが、実際には第1接合面171aと第2接合面181aとは接触する。
また、上記第1および第2実施形態では、接合部90が、スロット12内に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接合部90の一部がスロット12内に配置(図23参照)されていてもよい。また、接合部90の全体がスロット12の外側に配置(図24参照)されていてもよい。なお、図23および24では、簡略化のため、第2絶縁部材21は、図示を省略している。
また、上記第1および第2実施形態では、第1導体70の一対の第1脚部71は互いに等しい長さ(L1)を有するとともに、第2導体80の一対の第2脚部81は互いに等しい長さ(L2)を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。一対の第1脚部は互いに異なる長さを有するとともに、一対の第2脚部は互いに異なる長さを有していてもよい。
具体的には、図25(A)に示すように、第1導体170の一対の第1脚部171は互いに異なる長さを有する。また、図25(B)に示すように、第2セグメント導体180の一対の第2脚部181は互いに異なる長さを有する。すなわち、この場合、第1セグメント導体170および第2セグメント導体180の各々は、J字状(略J字状)を有する。
また、上記第1および第2実施形態では、第2絶縁部材21が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。第2絶縁部材21が設けられていなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、各スロット12において、複数の接合部90の中心軸線方向における位置が、互いに等しい例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の接合部90の中心軸線方向における位置が、互いに異なっていてもよい。
また、上記第1実施形態では、第1非接合面側傾斜面71h(第2非接合面側傾斜面81h)(非接合面側傾斜面)を成形により形成する工程は、第1接合面側傾斜面71j(第2接合面側傾斜面81j)(接合面側傾斜面)を切削により形成する工程の前に行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。第1非接合面側傾斜面71h(第2非接合面側傾斜面81h)(非接合面側傾斜面)を成形により形成する工程は、第1接合面側傾斜面71j(第2接合面側傾斜面81j)(接合面側傾斜面)を切削により形成する工程と同時か、または、後に行われてもよい。なお、第2実施形態においても、同様に構成されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向における長さ(L11、L21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向における長さ(L12、L22)よりも大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向における長さ(L11、L21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向における長さ(L12、L22)以下でもよい。なお、第2実施形態においても、同様に構成されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ11、θ21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ12、θ22)よりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。非接合面側傾斜面(71h、81h)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ11、θ21)が、接合面側傾斜面(71j、81j)の中心軸線方向に対する傾斜角度(θ12、θ22)以上であってもよい。なお、第2実施形態においても、同様に構成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、接合面側傾斜面(71j、81j)を切削により形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接合面側傾斜面(71j、81j)を成形(たとえば、押圧および屈曲)により形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ステータコア10(電機子コア)のスロット12内の軸方向の他方側(Z2方向側)に接合部90が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータコア10(電機子コア)の軸方向の中央または一方側(Z1方向側)に接合部90が設けられていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第2脚部81の長さ(L2)が、第1脚部71の長さ(L1)よりも長い例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2脚部81の長さが、第1脚部71の長さよりも短くてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ステータ100(電機子)は、インナーロータ型の回転電機102の一部を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータは、アウターロータ型の回転電機の一部を構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、脚部の長い第2導体80がリード側の導体であり、脚部の短い第1導体70が反リード側の導体である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脚部の長い第2導体80が反リード側の導体であり、脚部の短い第1導体70がリード側の導体であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21がシート状である例を示したが、本発明はこれに限られない。シート状でない第1絶縁部材20および第2絶縁部材21を備えるステータに対しても本発明を適用することは可能である。
10 ステータコア(電機子コア)
12 スロット
30 コイル部
70 第1導体
71 第1脚部
71a、171a 第1接合面(接合面)
71c 第1先端部(先端部)
71e、171e 第1非接合面(非接合面)
71f 第1平坦面(平坦面)
71g、81g 絶縁被膜(平坦面を覆う絶縁被膜)
71h、171h、271h 第1非接合面側傾斜面(非接合面側傾斜面)
71i、81i、171i、181i 絶縁被膜(非接合面側傾斜面を覆う絶縁被膜)
71j 第1接合面側傾斜面(接合面側傾斜面)
80 第2導体
81 第2脚部
81a、181a 第2接合面(接合面)
81c 第2先端部(先端部)
81e、181e 第2非接合面(非接合面)
81f 第2平坦面(平坦面)
81h、181h、281h 第2非接合面側傾斜面(非接合面側傾斜面)
81j 第2接合面側傾斜面(接合面側傾斜面)
100 ステータ(電機子)
L11、L21 長さ(非接合面側傾斜面の長さ)
L12、L22 長さ(接合面側傾斜面の長さ)
θ11、θ21 傾斜角度(非接合面側傾斜面の傾斜角度)
θ12、θ22 傾斜角度(接合面側傾斜面の傾斜角度)

Claims (11)

  1. 中心軸線方向に延びる複数のスロットが設けられている電機子コアと、
    前記中心軸線方向に沿って延びる第1脚部を含む複数の第1セグメント導体と、前記中心軸線方向に沿って延びる第2脚部を含む複数の第2セグメント導体とを含み、前記第1脚部および前記第2脚部の各々の先端部側に設けられた接合面同士が、1つの前記スロット内または1つの前記スロットの前記中心軸線方向の外側において径方向に接合されることにより形成されるコイル部と、を備え、
    前記複数のスロットの各々において、互いに接合される前記接合面同士の組が、径方向に沿って並んで複数設けられており、
    前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記接合面とは反対側に設けられる非接合面は、前記中心軸線方向に沿って延びるとともに絶縁被膜により覆われている平坦面と、前記中心軸線方向において前記平坦面よりも前記先端部側に設けられ、径方向において前記平坦面から前記接合面側に傾斜するように形成されているとともに、前記平坦面を覆う前記絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面とを含む、電機子。
  2. 前記第1脚部および前記第2脚部の各々は、前記接合面よりも前記先端部側に設けられ、径方向において前記接合面から前記非接合面側に傾斜するように形成されているとともに、絶縁被膜により覆われていない接合面側傾斜面を含み、
    前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記中心軸線方向における前記非接合面側傾斜面の長さは、前記中心軸線方向における前記接合面側傾斜面の長さよりも大きい、請求項1に記載の電機子。
  3. 前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記非接合面側傾斜面の前記中心軸線方向に対する傾斜角度は、前記接合面側傾斜面の前記中心軸線方向に対する傾斜角度よりも小さい、請求項2に記載の電機子。
  4. 前記第1脚部および前記第2脚部の各々の前記非接合面側傾斜面は、成形により形成されている面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電機子。
  5. 前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記非接合面側傾斜面は、前記平坦面と連続的に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電機子。
  6. 中心軸線方向に延びる複数のスロットが設けられている電機子コアと、前記中心軸線方向に沿って延びる第1脚部を含む複数の第1セグメント導体、および、前記中心軸線方向に沿って延びる第2脚部を含む複数の第2セグメント導体を含むコイル部と、を備える電機子の製造方法であって、
    前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、先端部側に設けられた接合面とは反対側に設けられる非接合面のうちの、前記中心軸線方向に沿って延びるとともに絶縁被膜により覆われている平坦面よりも前記中心軸線方向における前記先端部側に、径方向において前記平坦面から前記接合面側に傾斜するとともに、前記平坦面を覆う前記絶縁被膜と一体的に設けられている絶縁被膜により覆われている非接合面側傾斜面を成形により形成する工程と、
    径方向に並んで設けられる複数の前記第1脚部、および、径方向に並んで設けられる複数の前記第2脚部のうちの少なくとも一方を、前記中心軸線方向に沿って移動させることによって、1つの前記スロット内または1つの前記スロットの前記中心軸線方向の外側において、前記第1脚部および前記第2脚部の各々の前記接合面同士を径方向に対向させる工程と、
    互いに対向する前記接合面同士を接合させる工程と、を備える、電機子の製造方法。
  7. 前記非接合面側傾斜面を成形により形成する工程は、前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記非接合面の前記先端部側を押圧することにより前記非接合面側傾斜面を成形する工程である、請求項6に記載の電機子の製造方法。
  8. 前記非接合面側傾斜面を成形により形成する工程は、前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記先端部側を前記接合面側に屈曲させることにより前記非接合面側傾斜面を成形する工程であり、
    前記非接合面側傾斜面を形成する工程の後に行われ、前記第1脚部および前記第2脚部の各々の前記接合面側を切削することにより、前記第1脚部および前記第2脚部の各々において平坦面状の前記接合面を形成する工程をさらに備える、請求項6に記載の電機子の製造方法。
  9. 前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記接合面よりも前記先端部側を切削することにより、径方向において前記接合面から前記非接合面側に傾斜するとともに絶縁被膜により覆われていない接合面側傾斜面を形成する工程をさらに備え、
    前記非接合面側傾斜面を成形により形成する工程は、前記接合面側傾斜面を切削により形成する工程の前に行われる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の電機子の製造方法。
  10. 前記非接合面側傾斜面を成形により形成する工程は、前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記中心軸線方向における前記非接合面側傾斜面の長さが、前記接合面側傾斜面の前記中心軸線方向における長さよりも大きくなるように、前記非接合面側傾斜面を形成する工程である、請求項9に記載の電機子の製造方法。
  11. 前記非接合面側傾斜面を成形により形成する工程は、前記第1脚部および前記第2脚部の各々において、前記非接合面側傾斜面の前記中心軸線方向に対する傾斜角度が、前記接合面側傾斜面の前記中心軸線方向に対する傾斜角度よりも小さくなるように、前記非接合面側傾斜面を形成する工程である、請求項10に記載の電機子の製造方法。
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