JP2020123851A - 無線通信装置、無線通信プログラム及び無線通信方法 - Google Patents

無線通信装置、無線通信プログラム及び無線通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無線モジュールのコストを増大させずにDFS機能による通信停止を回避し、また、通信帯域の安定を実現する。【解決手段】無線LAN通信機器は、レーダ波監視部と、データ通信部と、を備える。レーダ波監視部は、複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。データ通信部は、レーダ波監視部の監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、無線通信における動的周波数選択に関する。
現状、無線LANにおいて割り当てられている帯域は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つとなっている。このうち5GHz帯は、従来は気象レーダ、船舶レーダ等が使用していた帯域であることから、干渉を回避するために、無線LANでの使用に制限が設けられている。この制限の1つに、動的周波数選択(Dynamic Frequency Selection;DFS)と呼ばれるものがある。
DFSについて説明すると、無線LANアクセスポイント等の無線通信機器においては、5GHz帯の所定のチャネルで通信しようとする場合には、使用予定のチャネルを前もって所定時間監視して、レーダ波を検出しないことを事前に確認する必要がある(利用可能チャネル確認)。この確認時間の長さは、国によっても異なるが、例えば60秒である。利用可能チャネル確認は、CAC(Channel Availability Check)とも呼ばれている。また、無線通信機器は、5GHz帯の所定のチャネルで通信している場合にレーダ波を検出したときは、直ちにチャネルを他に変更する必要がある(運用中チャネル監視)。
特許文献1は、DFS機能を有する無線通信装置を開示する。また、特許文献1では、無線通信装置が、HT40の通信モードで通信することが開示されている。HTとは、High Throughputの略である。HT40とは、1つのチャネルでは20MHzの帯域幅での通信(HT20と呼ばれる)になるのを、隣接する2つのチャネルを1つにまとめることで40MHzの広帯域幅とする通信を意味している。このような通信は、チャネルボンディングと呼ばれている。
特許第6044345号公報
DFSを行わなければならない帯域(以下、DFS帯域という)の通信チャネルで無線通信を行うときには、現在の通信チャネルにおいてレーダ波を検出して他の通信チャネルに切り換える場合、切換先の通信チャネルが、事前に所定時間継続してレーダ波が検出されていないことを確認する必要がある。
DFS機能による無線通信停止は利便性の低下に繋がるため、未然に防止することが好ましい。しかしながら、通信停止を実質的に回避するためには、無線通信を行いながら、使用中のチャネル以外のDFS帯域を1チャネル以上事前に監視する必要がある。このために、無線LANの通信とDFS機能によるレーダ波監視を並行して行うことが可能な無線モジュールを使用したり、無線モジュールを複数使用したりすると、コストが増大してしまう。
特許文献1では、隣接する2つのチャネルを使用するHT40で通信している場合に、2つのチャネルのうち1つにおいてレーダの電波が検出されたときは、レーダの電波が検出されていないもう一方のチャネルのみを使用したHT20による通信モードに遷移する。しかし、この構成では、無線通信中に、帯域幅が半分になる縮退運用が突然発生することになり、十分に安定した通信を実現できるとはいいがたい。
例えば、特許文献1の無線通信装置を利用して、HT40の帯域幅で無線通信することを想定している動画データを、無線接続されたユーザの表示装置に向けて送信している場合を考える。このとき、レーダの電波が検出されると、突然HT40からHT20に帯域が変わることで、いったん無線接続が切断される。これは、無線通信装置が送信するビーコンフレームに格納された帯域情報が変化するために、再接続を要するからである。また、無線接続が再び行われても、その後は通信速度が半分になることで十分な通信量を確保できなくなる。従って、表示装置で再生される動画の乱れ等につながり、ユーザにとって好ましいとはいえない。
このように、特許文献1では、隣接する2つのチャネルを使用するため、無線通信時に使用する帯域幅が一時的にしても想定していた半分にまで減ることによるリスクは大きい。特に、例えば安定した通信が常に求められる産業機械等を制御する用途では、許容することができない。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、無線モジュールのコストを増大させずにDFS機能による通信停止を回避し、また、通信帯域の安定を実現することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の無線通信機器が提供される。即ち、無線通信機器は、レーダ波監視部と、データ通信部と、を備える。前記レーダ波監視部は、周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。前記データ通信部は、前記レーダ波監視部の監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
これにより、チャネルボンディングを用いて、データ通信を行うチャネルと、そうでないチャネルと、について、レーダ波の監視を同時並行的に行うことができる。従って、利用可能チャネル確認を事前に行うことができるので、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、通信停止を実質的に伴わずに、他のチャネルに切り換えてデータ通信を継続することができる。
前記の無線通信機器においては、前記データ通信部がデータ通信を行うチャネルの数は、前記レーダ波監視部の監視対象であるチャネルの数の半分以下であることが好ましい。
これにより、データ通信を現在行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合の変更先チャネルの帯域を、変更前と同等程度に確保することができる。
前記の無線通信機器においては、前記レーダ波監視部による監視の結果、前記データ通信部がデータ通信を行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、前記データ通信部は、データ通信を行うチャネルを、前記レーダ波監視部の監視対象である複数のチャネルのうちレーダ波が検出されていないチャネルに変更することが好ましい。
これにより、データ通信を現在行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、円滑にチャネルを切り換えながらデータ通信を継続することができる。
前記の無線通信機器においては、前記レーダ波監視部による監視の結果、前記データ通信部がデータ通信を行っているチャネル以外のチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、前記データ通信部は、現行のチャネルでデータ通信を継続することが好ましい。
これにより、レーダ波が検出されても、レーダ波が検出されたチャネルが、データ通信を現在行っているチャネルと異なっていれば、現行のチャネルでデータ通信が行われる。従って、データ通信の継続性を確保することができる。
前記の無線通信機器においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、無線通信機器は、前記レーダ波監視部による監視の結果、レーダ波が検出された場合に、当該レーダ波が検出されたチャネルを記憶する記憶部を備える。前記データ通信部が前記データ通信を行うチャネルを変更する場合、変更先のチャネルは、所定時間前から現在までレーダ波が検出されていないチャネルから選択される。
これにより、DFS帯における通信制限を遵守することができる。
前記の無線通信機器においては、前記レーダ波監視部によるレーダ波の監視、及び、前記データ通信部によるデータ通信が、1つの無線モジュールを用いて行われることが好ましい。
これにより、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波を検出した場合に、直ちにチャネルを変更してデータ通信を継続する機能を、無線通信に関するハードウェア等のコストを増大させずに実現することができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の無線通信プログラムが提供される。即ち、無線通信機器に、無線通信プログラムは、レーダ波監視ステップと、データ通信ステップと、を行わせる。前記レーダ波監視ステップでは、周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。前記データ通信ステップでは、前記レーダ波監視ステップでの監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
本発明の第3の観点によれば、以下の無線通信方法が提供される。即ち、無線通信方法は、レーダ波監視工程と、データ通信工程と、を含む。前記レーダ波監視工程では、周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。前記データ通信工程では、前記レーダ波監視工程での監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
これにより、チャネルボンディングを用いて、データ通信を行うチャネルと、そうでないチャネルと、について、レーダ波の監視を同時並行的に行うことができる。従って、利用可能チャネル確認を事前に行うことができるので、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、通信停止を実質的に伴わずに、他のチャネルに切り換えてデータ通信を継続することができる。
本発明の一実施形態に係る無線LAN通信機器の全体的な構成を示す機能ブロック図。 DFSのためのレーダ波の監視が行われるチャネルと、データ通信が行われるチャネルと、の関係を示す図。 DFSに関する処理を示すフローチャート。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る無線LAN通信機器1の全体的な構成を示す機能ブロック図である。図2は、DFSのためのレーダ波の監視が行われるチャネルと、データ通信が行われるチャネルと、の関係を示す図である。
図1に示す無線LAN通信機器(無線通信機器)1は、例えば室内に設置される無線LANアクセスポイントとして用いられる。
無線LAN通信機器1は、IEEE802.11に規定するインフラストラクチャモードでのアクセスポイントとして機能する。無線LAN通信機器1は、自機を中心とした無線ネットワークを形成する。この無線ネットワークに、1又は複数の通信端末を無線接続することができる。この通信端末は、ステーション5と呼ばれる。ステーション5としては、例えば、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、カメラ、プリンター等を挙げることができる。
なお、無線LAN通信機器1はインフラストラクチャモードでのアクセスポイントに限定されることなく、本発明はDFS帯域で無線通信を行う無線通信機器に広く適用することができる。例えば、アドホック通信を行う無線通信機器であって、アクセスポイント機能を担うマスタ装置等にも本発明を適用することができる。
無線LAN通信機器1は、無線LAN通信部10と、有線LAN通信部15と、制御部20と、を備える。
無線LAN通信部10は、無線モジュールとして構成されている。無線モジュールは、無線チップと周辺回路を基板に実装した電子部品である。無線モジュールは、上記の無線チップ等のハードウェアを動作させるためのソフトウェアが組み込まれた状態で用いられる。無線LAN通信部10は制御部20に電気的に接続されており、信号をやり取りすることができる。無線LAN通信部10には、電波を送受信するためのアンテナ11が電気的に接続されている。
有線LAN通信部15は、有線LANアダプタとして構成されている。有線LANアダプタは公知であるので詳細な説明は省略するが、有線LANアダプタには、例えばコントローラチップ等の電子部品が設けられている。有線LAN通信部15は制御部20に電気的に接続されており、信号をやり取りすることができる。有線LAN通信部15には、LANと接続するためのLANケーブル16が電気的に接続されている。
制御部20は、無線LAN通信機器1を制御する。無線LANに関する構成として、制御部20は、レーダ波監視部21と、データ通信部22と、記憶部23と、を備える。
具体的には、制御部20は公知のコンピュータとして構成されており、CPU31、RAM32、ROM33等を備える。RAM32には、処理に必要な各種のデータを記憶することができる。ROM33には、本発明の無線通信方法を実現するためのプログラムが記憶されている。上記のハードウェア及びソフトウェアの協働により、制御部20を、レーダ波監視部21、データ通信部22、及び記憶部23として動作させることができる。
無線通信に関して制御部20のROM33に記憶されるソフトウェアには、無線ドライバ36及び通信アプリケーション37が含まれる。制御部20のCPU31は、ROM33上の前記ソフトウェアを直接に実行しても良いし、高速処理のためにROM33からRAM32にソフトウェアを展開してから実行しても良い。無線ドライバ36は、無線LAN通信部10のハードウェアをオペレーティングシステムによって制御するためのプログラムである。これにより、通信アプリケーション37が無線ドライバ36を介して無線LAN通信部10を制御することができる。
制御部20は、無線LAN通信部10及び有線LAN通信部15と電気的に接続されている。この接続は、適宜の通信用バスを用いて実現することができる。通信バスの形式は限定しないが、例えばPCI又はUSB等とすることが考えられる。
無線LAN通信部10でレーダ波が検知されると、その旨を示す信号が、無線LAN通信部10から制御部20に送信される。通信アプリケーション37は、レーダ波を、無線ドライバ36を介して検出することができる。
レーダ波監視部21は、無線LAN通信部10が、DFS帯で、隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視するように制御する。
データ通信部22は、レーダ波監視部21によってレーダ波が監視される複数のチャネルのうち一部のチャネルのみを用いて、データ通信を行うように制御する。
記憶部23は、レーダ波監視部21がレーダ波を監視する対象の複数のチャネルのそれぞれにおいて、レーダ波が検出された直近の日時、データ通信のための使用の許可/禁止等を記憶する。この記憶部23の機能は、主として上記のRAM32によって実現することができる。ただし、記憶部23の機能は、ROM33以外に制御部20が備える図示しない不揮発性メモリによって実現しても良い。この場合、レーダ波の監視データを時間経過とともに順次保存して、後にログデータとして出力することができる。
以下、DFS帯の1つである5.3GHz帯を例として考える。IEEE802.11は、5.3GHz帯のチャンネルとして、52ch、56ch、60ch、64chの4つのチャネルを定めている(総称して、W53と呼ばれる)。
無線LAN通信部10は、レーダ波監視部21の制御により、図2(a)に示すように、チャネルボンディング(HT40)によって、およそ40MHzの帯域にわたってレーダ波を監視する。図2(a)の例では、レーダ波の監視対象となるチャネルは、W53の4つのチャネルのうち、52ch及び56chの2つである。
一方、無線LAN通信部10は、データ通信部22の制御により、例えば、52chを用いてデータ通信を行う。データ通信は52chの単独で行われ、52chと56chをまとめたチャネルボンディングでのデータ通信は行われない。
上記の例では、レーダ波が監視されるチャネルは2つであり、データ通信が行われるチャネルは1つである。従って、データ通信が行われるチャネルの数は、レーダ波が監視されるチャネルの数の半分以下となっている。
図2(a)に示すように、レーダ波が監視される2つのチャネルのうち、52chの周波数帯は5250〜5270MHzであり、56chの周波数帯は5270〜5290MHzである。従って、2つのチャネルの周波数帯は互いに隣接している。
レーダ波監視部21によるレーダ波の監視は、52chと56chの両方について継続的に行われる。即ち、データ通信が行われる52chだけでなく、それに隣接する56chにおいてもレーダ波の監視が行われる。従って、データ通信を行っている52chについては上述の運用中チャネル監視を行うことができるのと同時に、そうでない56chについては利用可能チャネル確認を行うことができる。
レーダ波監視部21によるレーダ波の監視(運用中チャネル監視)の結果、ある時点で、52chにおいてレーダ波が検出された場合を考える。この場合、DFS帯での通信の制限により、データ通信に用いるチャネルを直ちに他に変更する必要がある。データ通信のチャネルを56chに変更できるか否かを確認するために、56chにおいて、所定時間前から現在までの間にレーダ波監視部21によってレーダ波が検出されているか否かが判定される(利用可能チャネル確認)。この判定は、現在までの監視結果を用いて行うことができる。所定時間は、上述の確認時間に相当する。所定時間の長さは、国の規制を考慮して定めることができ、例えば60秒である。
56chにおいて、所定時間の間レーダ波が検出されていない場合、データ通信部22は、データ通信のチャネルを52chから56chに直ちに変更する。これにより、通信の制限を遵守し、レーダ波との干渉を回避することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る無線LAN通信機器1が無線通信に関して行う具体的な処理について、図3を参照して説明する。図3は、DFSに関する処理を示すフローチャートである。
以下では、図2(a)に示すように、52chと56chの2つのチャネルでレーダ波を監視し、そのうち52chがデータ通信を行うチャネルで、56chがデータ通信を行わないチャネルである場合について説明する。以下、データ通信を行うチャネルを通信側のチャネルと呼び、そうでないチャネルを非通信側のチャネルと呼ぶことがある。また、52chについては、フロー処理開始時点で過去60秒間にレーダ波を検知していないことが予め確認されているものとする。
図3の処理が開始されると、レーダ波監視部21は、所定の2つのチャネル(52chと56ch)においてレーダ波を監視する(ステップS101)。前述の記憶部23には、レーダ波の監視対象であるチャネル毎に、最も直近にレーダ波が検出された日時、データ通信での使用の許可/禁止、及び、最も直近にデータ通信での使用が禁止された日時を記憶することができる。レーダ波が検出された場合、レーダ波監視部21は、記憶部23の記憶内容を更新する。具体的には、当該チャネルにおいて最も直近にレーダ波が検出された日時として、現在の日時が記憶部23に記憶される。
次に、レーダ波監視部21は、通信側のチャネルである52chでレーダ波を現在検出したか否かを判定する(ステップS102)。
ステップS102の判断で、通信側のチャネル(52ch)でレーダ波監視部21がレーダ波を検知していた場合は、当該チャンネルにおいてはデータ通信を行うことができなくなるので、データ通信部22は、当該チャネルの使用を禁止する(ステップS103)。具体的には、データ通信部22は、当該チャネルの使用を禁止する旨を記憶部23に記憶する。併せて、記憶部23には、当該チャネルの使用を最も直近に禁止した日時として、現在の日時が記憶される。なお、ステップS103の後の処理は後述する。
ステップS102の判断で、通信側のチャネル(52ch)でレーダ波監視部21がレーダ波を検知していなかった場合は、レーダ波監視部21は、非通信側のチャネルである56chでレーダ波を現在検出したか否かを判定する(ステップS104)。
ステップS104の判断で、非通信側のチャネル(56ch)でレーダ波監視部21がレーダ波を検知していた場合は、データ通信部22は、当該チャネルの使用を禁止する(ステップS105)。禁止する方法は、ステップS103で説明したのと実質的に同様であるので、説明を省略する。ステップS104の判断で、非通信側のチャネル(56ch)でレーダ波監視部21がレーダ波を検知していなかった場合は、ステップS105の処理はスキップされる。
次に、データ通信部22は、通信側のチャネルにおいてデータ通信を行う(ステップS106)。
続いて、データ通信部22は、通信側のチャネル及び非通信側のチャネルのうち使用を禁止されているチャネルがあり、かつ、禁止されてから所定時間が経過している場合には、禁止を解除する(ステップS107)。所定時間の長さは、国の規制を考慮して定めることができ、例えば30分である。この判定は、記憶部23の記憶内容に基づいて行うことができる。また、チャネルの使用禁止の解除は、その旨を記憶部23に記憶することで実現できる。その後、処理はステップS101に戻る。
次に、ステップS103で通信側のチャネルである52chについて使用が禁止された後の処理について説明する。
通信側のチャネル(52ch)が使用できなくなっているので、データ通信部22は、非通信側のチャネル(56ch)でデータ通信を開始することが可能かどうかを判定する。具体的に説明すると、データ通信部22は、まず、非通信側のチャネルである56chが使用禁止になっているか否かを判定する(ステップS108)。この判定は、記憶部23の記憶内容を調べることにより行うことができる。ステップS108の判断で、56chが使用禁止であった場合には、当該チャネル(56ch)においてデータ通信を開始することはできない。従って、データ通信部22はデータ通信を停止する(ステップS109)。
ステップS108の判断で、非通信側のチャネル(56ch)が使用禁止でなかった場合には、データ通信部22は、当該チャネルで、過去から現在まで所定時間(例えば、60秒)の間にレーダ波を検出したか否かを判定する(ステップS110)。この判定は、ステップS101で記憶部23に記憶している、56chにおいて最も直近にレーダ波が検出された日時の内容を調べることで、直ちに行うことができる。
ステップS110の判断で、非通信側のチャネル(56ch)において過去の60秒間にレーダ波を検出していた場合には、データ通信部22は、当該チャネルの使用を禁止する(ステップS111)。この処理は、ステップS105と実質的に同様である。その後、データ通信部22は、ステップS109と同様にデータ通信を停止する(ステップS112)。
ステップS110の判断で、非通信側のチャネル(56ch)において過去の60秒間にレーダ波を検出していなかった場合には、データ通信部22は、非通信側のチャネル(56ch)が、利用可能チャネル確認(CAC)の期間中であるか否かを判定する(ステップS113)。即ち、無線LAN通信機器1に電源を投入した当初は、CACの期間が終わっていない(言い換えれば、レーダ波が検出可能になってからの経過時間が60秒に満たない)場合があり得る。CACの期間中である場合は、当該チャネルで通信を行うことができないので、データ通信部22はデータ通信を停止する(ステップS112)。
ステップS113の判断で、非通信側のチャネル(56ch)においてCACの期間が終わっている場合には、データ通信部22は、通信側のチャネルと非通信側のチャネルを入れ替える(ステップS114)。その後、処理はステップS106に移る。ステップS114で行われたチャネル変更により、ステップS106で、データ通信部22は、52chではなく、今まで非通信側だったチャネルである56chでデータ通信を行うようになる。その後、必要に応じてチャネル使用禁止の解除処理が行われて(ステップS107)、処理はステップS101に戻る。
ステップS109及びステップS112に示すようにデータ通信が停止となった場合(CAC期間中による停止を除く。)、データ通信部22は、2つのチャネルのうち何れかについて使用禁止期間が経過して禁止が解除されるのを待機した後、禁止が解除されたチャネルでデータ通信を再開することができる。待機中もステップS101と同様にレーダ波を監視しておけば、過去の60秒間にレーダ波を検出していないことを事前に確認できるので、禁止の解除と同時にデータ通信を再開することができる。
ただし、データ通信が停止された場合は、レーダ波監視部21及びデータ通信部22が、対象のチャネルを直ちに他の複数のチャネル(例えば、60chと64ch)に切り換えることもできる。この場合、通信を再開できるのは、データ通信を行うチャネル(例えば、60ch)について60秒間継続してレーダ波を検出しないことを確認した後になる。
レーダ波の監視を行うチャネルと、データ通信を行うチャネルは、上記に限定されず、様々に変更することができる。
上記の例では5.3GHz帯のチャネルを用いているが、DFSは、5.3GHz帯とは異なる周波数帯(例えば、日本においては、5.6GHz帯)においても同様に行う必要がある。上記のように、レーダ波を監視している複数のチャネルの一部だけを用いてデータ通信を行う無線通信は、DFSが必要な他の周波数帯においても同様に行うことができる。
従来、DFS機能を有する無線通信機器においてチャネルボンディング機能を使用した場合、レーダ波を検出するチャネルの数と、データ通信を行うチャネルの数は、一致していた。この点、本実施形態では、レーダ波を検出する複数のチャネルのうち一部のチャネルだけを、データ通信のために使用する。残りのチャネルは、データ通信を行っているチャネルでレーダ波が検出された場合に、データ通信を行うチャネルを変更する変更先の候補となる。
本実施形態では、データ通信を行っているチャネルだけでなく、チャネル変更先の候補であるチャネルにおいても、レーダ波が継続的に監視される。従って、データ通信を行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された時点で、変更先の候補であるチャネルについてレーダ波が所定時間検出されなかったことの確認が完了した状態とすることができる。この結果、通信停止を実質的に伴わずに、他のチャネルに切り換えてデータ通信を継続することができる。
上記の機能は、従来のチャネルボンディング機能を有する1つの無線LAN通信部10(無線モジュール)をそのまま用いて、ソフトウェア的な変更を加えるだけで実現できる。従って、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波を検出した場合に、直ちにチャネルを変更してデータ通信を継続する機能を、1つの無線モジュールで安価に実現することができる。
レーダ波を監視するチャネルは、上述のとおり、チャネルボンディングにより複数まとめられる。チャネルボンディングで組み合わせるチャネルの数は、2、4、8等があり、何れであっても良い。データ通信で用いられるチャネルの数は、レーダ波を監視するチャネルの数より少なければ良い。
例えば、図2(b)に示すように、レーダ波を4つのチャネルのチャネルボンディングで監視し、データ通信を1つのチャネルで行うことが考えられる。この場合、1つの通信チャネルと、3つの非通信チャネルと、について、並行してレーダ波の監視を行うことができる。図2(a)の例では2つのチャネルの両方でレーダ波が検出されるだけで通信停止になってしまうが、図2(b)の例では、非通信チャネルが多いためにチャネル変更の柔軟性が高く、通信停止になりにくい点で有利である。
データ通信を、チャネル数が2、4等のチャネルボンディングで行うことも考えられる。図2(c)には、5.6GHz帯のチャネル(総称して、W56と呼ばれる)のうち、レーダ波を8つのチャネルのチャネルボンディングで監視し、データ通信を2つのチャネルのチャネルボンディングで行う例が示されている。この例では、チャネルボンディングによる通信速度の向上を実現することができる。
以上に説明したように、本実施形態の無線LAN通信機器1は、レーダ波監視部21と、データ通信部22と、を備える。レーダ波監視部21は、周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。データ通信部22は、レーダ波監視部21の監視対象である複数のうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
これにより、チャネルボンディングを用いて、データ通信を行うチャネルと、そうでないチャネルと、について、レーダ波の監視を同時並行的に行うことができる。従って、利用可能チャネル確認を事前に行うことができるので、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、通信停止を実質的に伴わずに、他のチャネルに切り換えてデータ通信を継続することができる。
また、本実施形態の無線LAN通信機器1において、データ通信部22がデータ通信を行うチャネルの数は、レーダ波監視部21の監視対象であるチャネルの数の半分以下である。
これにより、データ通信を現在行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合の変更先チャネルの帯域を、変更前と同等程度に確保することができる。
また、本実施形態の無線LAN通信機器1において、レーダ波監視部21による監視の結果、データ通信部22がデータ通信を行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、データ通信部22は、データ通信を行うチャネルを、レーダ波監視部21の監視対象である複数のチャネルのうちレーダ波が検出されていないチャネルに変更する。
これにより、データ通信を現在行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、円滑にチャネルを切り換えながらデータ通信を継続することができる。
また、本実施形態の無線LAN通信機器1において、レーダ波監視部21による監視の結果、データ通信部22がデータ通信を行っているチャネル以外のチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、データ通信部22は、現行のチャネルでデータ通信を継続する。
これにより、レーダ波が検出されても、レーダ波が検出されたチャネルが、データ通信を現在行っているチャネルと異なっていれば、現行のチャネルでデータ通信が行われる。従って、データ通信の継続性を確保することができる。
また、本実施形態の無線LAN通信機器1は、レーダ波監視部21による監視の結果、レーダ波が検出された場合に、レーダ波が検出されたチャネルを記憶する記憶部23を備える。データ通信部22がデータ通信を行うチャネルを変更する場合、変更先のチャネルは、所定時間前(例えば、60秒前)から現在までレーダ波が検出されていないチャネルから選択される。
これにより、DFS帯における通信制限を遵守することができる。
また、本実施形態の無線LAN通信機器1において、レーダ波監視部21によるレーダ波の監視、及び、データ通信部22によるデータ通信が、1つの無線モジュールを用いて行われる。
これにより、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波を検出した場合に、直ちにチャネルを変更してデータ通信を継続する機能を、無線通信に関するハードウェア等のコストを増大させずに実現することができる。
また、本実施形態において無線LAN通信機器1に記憶される無線通信プログラムは、無線LAN通信機器1に、レーダ波監視ステップと、データ通信ステップと、を行わせる。レーダ波監視ステップでは、隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。データ通信ステップでは、レーダ波監視部21の監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
また、本実施形態では、レーダ波監視工程と、データ通信工程と、を含む方法で、無線通信が行われる。レーダ波監視工程では、隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視する。データ通信工程では、レーダ波監視部21の監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行う。
これにより、チャネルボンディングを用いて、データ通信を行うチャネルと、そうでないチャネルと、について、レーダ波の監視を同時並行的に行うことができる。従って、利用可能チャネル確認を事前に行うことができるので、データ通信を行うチャネルにおいてレーダ波が検出された場合に、通信停止を実質的に伴わずに、他のチャネルに切り換えてデータ通信を継続することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
レーダ波が監視されているチャネルのうち何れのチャネルを通信側のチャネルとして選択するかは、適宜変更することができる。
図2のステップS113に示すチャネルの入替えは、通信側のチャネルでレーダ波が検出された場合以外にも、例えば電波状況等が悪化したこと等を理由にして行うことができる。
無線LAN通信機器1が、チャネルボンディングによりレーダ波を監視するチャネルの全てでデータ通信を行うことが可能に構成することもできる(全チャネルでの通信)。この場合、レーダ波を監視するチャネルの一部でデータ通信を行うモードと、レーダ波を監視するチャネルの全部でデータ通信を行うモードとを、ユーザが選択可能に構成することができる。モードの選択は、例えば、ユーザがコンピュータを用いて無線LAN通信機器1に対して有線LAN等の適宜の方法で接続することで行うことができる。
データ通信を行うチャネルの数が、レーダ波を監視するチャネルの数の半分を上回っても良い。
無線LAN通信機器1が、2つ以上の無線モジュールを備えても良い。
無線LAN通信機器1が、例えばルータ機能等を有していても良い。
本発明は、無線通信システムにおいて、DFS帯域を通信チャネルとして使用するときにレーダ波が検出された場合でも、データ通信を継続したいときに適用することができる。
1 無線LAN通信機器(無線通信機器)
21 レーダ波監視部
22 データ通信部

Claims (8)

  1. 周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視するレーダ波監視部と、
    前記レーダ波監視部の監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行うデータ通信部と、
    を備えることを特徴とする無線通信機器。
  2. 請求項1に記載の無線通信機器であって、
    前記データ通信部がデータ通信を行うチャネルの数は、前記レーダ波監視部の監視対象であるチャネルの数の半分以下であることを特徴とする無線通信機器。
  3. 請求項2に記載の無線通信機器であって、
    前記レーダ波監視部による監視の結果、前記データ通信部がデータ通信を行っているチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、前記データ通信部は、データ通信を行うチャネルを、前記レーダ波監視部の監視対象である複数のチャネルのうちレーダ波が検出されていないチャネルに変更することを特徴とする無線通信機器。
  4. 請求項2又は3に記載の無線通信機器であって、
    前記レーダ波監視部による監視の結果、前記データ通信部がデータ通信を行っているチャネル以外のチャネルにおいてレーダ波が検出された場合は、前記データ通信部は、現行のチャネルでデータ通信を継続することを特徴とする無線通信機器。
  5. 請求項2から4までの何れか一項に記載の無線通信機器であって、
    前記レーダ波監視部による監視の結果、レーダ波が検出された場合に、当該レーダ波が検出されたチャネルを記憶する記憶部を備え、
    前記データ通信部が前記データ通信を行うチャネルを変更する場合、変更先のチャネルは、所定時間前から現在までレーダ波が検出されていないチャネルから選択されることを特徴とする無線通信機器。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の無線通信機器であって、
    前記レーダ波監視部によるレーダ波の監視、及び、前記データ通信部によるデータ通信が、1つの無線モジュールを用いて行われることを特徴とする無線通信機器。
  7. 無線通信機器に、
    周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視するレーダ波監視ステップと、
    前記レーダ波監視ステップでの監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行うデータ通信ステップと、
    を行わせることを特徴とする無線通信プログラム。
  8. 周波数帯が隣接する複数のチャネルをまとめたチャネルボンディングによりレーダ波を監視するレーダ波監視工程と、
    前記レーダ波監視工程での監視対象である複数のチャネルのうち一部のチャネルだけでデータ通信を行うデータ通信工程と、
    を含むことを特徴とする無線通信方法。
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