JP2020123667A - 薄膜積層電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄く小型でありながら、高性能で、しかも製造が容易であり低コストな薄膜積層電子部品を提供する。【解決手段】素子本体4と、第1ビアホール電極6と、第2ビアホール電極8と、を有する薄膜積層コンデンサ2である。それぞれの内部電極層12は、第1ビアホール電極の位置で第1隙間パターン14a、14bが形成してあり、第2ビアホール電極の位置で第2隙間パターン16a、16bが形成してある。第1隙間パターンには、内部電極層を構成する金属とは異なる第1接続部材18aが充填してある。第1接続部材を介して第1ビアホール電極と偶数番目に位置する内部電極層とが接続してある。第2隙間パターンには、内部電極層を構成する金属とは異なる第2接続部材18bが充填してある。第2接続部材を介して第2ビアホール電極と奇数番目に位置する内部電極層とが接続してある。【選択図】図1A

Description

本発明は、たとえば薄膜積層コンデンサなどとして用いられる薄膜積層電子部品に関する。
電子機器の軽薄短小化に伴い、電子基板に搭載される電子部品にも小型化、薄型化が求められている。実情として、LSIの高機能化、高集積化、特性向上化が求められているのに対し、部品を搭載する実装面積は反対に狭くなってきている。
電子部品の実装に関し、小型電子部品を回路ボードの制限された空間に表面実装する技術(SMT:Surface Mount Technology)や、回路ボード内に埋め込む(Embedded)技術が活発に開発されている。そのために、既存の性能は維持しながらも、電子部品のサイズおよび厚さを著しく減少させる技術が要求されている。
サイズおよび厚さを著しく減少させた電子部品の一例として、たとえば下記の特許文献1に示す電子部品が公開されている。この特許文献1に示す技術では、金属の種類が異なる金属層を誘電体層を介して交互に積層することで素子本体を形成し、ビアホール電極との接続を容易にしている。
しかしながら、この種の電子部品では、金属の種類が異なる内部電極層を絶縁層を介して交互に積層する必要がある。たとえば内部電極層をスパッタリングで形成する場合には、異なるスパッタターゲットが必須で、そのための装置が複雑となる。したがって、この種の電子部品の製造が容易ではない。また、ビアホールを形成するためには、2種類の金属をエッチングすることが必要となる。よって、2種類の組成が異なるエッチング液も必須となる。したがって、製造コストの低減が難しくなる。
特開2017−123452号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、薄く小型でありながら高性能であり、しかも製造が容易であり低コストな薄膜積層電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜積層電子部品は、
内部電極層と絶縁層とが積層方向に交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の表面から前記素子本体の内部に入り込み、積層方向に沿って偶数番目に位置する前記内部電極層に接続してある第1ビアホール電極と、
前記素子本体の表面から前記素子本体の内部に入り込み、積層方向に沿って奇数番目に位置する前記内部電極層に接続してある第2ビアホール電極と、を有する薄膜積層電子部品であって、
それぞれの前記内部電極層は、前記第1ビアホール電極の位置で、前記第1ビアホール電極の外径よりも大きな内径の第1隙間パターンが形成してあると共に、前記第2ビアホール電極の位置で、前記第2ビアホール電極の外径よりも大きな内径の第2隙間パターンが形成してあり、
偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンには、前記内部電極層を構成する金属とは異なる第1接続部材が充填してあり、前記第1接続部材を介して前記第1ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続してあり、
奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンには、前記内部電極層を構成する金属とは異なる第2接続部材が充填してあり、前記第2接続部材を介して前記第2ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続してある。
本発明の薄膜積層電子部品は、たとえば以下に示す製造方法により容易に製造することができる。
すなわち、本発明の薄膜積層電子部品の製造方法は、
内部電極層と絶縁層とが積層方向に交互に積層してある素子本体を形成する工程と、
前記素子本体の表面から前記素子本体の内部に入り込み、積層された前記内部電極層と前記絶縁層とをそれぞれ貫通する第1ビアホールと第2ビアホールとを形成する工程と、
前記第1ビアホールを通して前記内部電極層のエッチングを行い、それぞれの前記内部電極層に、前記第1ビアホールの内径よりも大きな内径を有する第1隙間パターンを形成する工程と、
前記第2ビアホールを通して前記内部電極層のエッチングを行い、それぞれの前記内部電極層に、前記第2ビアホールの内径よりも大きな内径を有する第2隙間パターンを形成する工程と、
前記第1ビアホールの内部をメッキ液で満たし、積層方向に沿って偶数番目に位置する前記内部電極層にのみメッキ析出のための電圧を印加させて、偶数番目に位置する前記第1隙間パターンにのみ第1接続部材をメッキにより析出させて充填し、偶数番目に位置する前記内部電極層と前記第1接続部材とを接続する工程と、
前記第1ビアホールの内部に第1ビアホール電極を充填して前記第1接続部材と接続する工程と、
前記第2ビアホールの内部をメッキ液で満たし、積層方向に沿って奇数番目に位置する前記内部電極層にのみメッキ析出のための電圧を印加させて、奇数番目に位置する前記第2隙間パターンにのみ第2接続部材をメッキにより析出させて充填し、奇数番目に位置する前記内部電極層と前記第2接続部材とを接続する工程と、
前記第2ビアホールの内部に第2ビアホール電極を充填して前記第2接続部材と接続する工程と、を有する。
本発明の薄膜積層電子部品では、内部電極層は、2種類の金属で構成する必要はなく、1種類の金属で構成されてよい。したがって、内部電極層を、たとえばスパッタリング法により形成する際には、1種類のスパッタターゲットを準備するのみでよい。スパッタリングを行うための装置構成もシンプルとなる。内部電極層を1種類の金属で構成する場合には、電子部品の製造が容易であり、製造コストの低減を図ることができる。また、隙間パターンを形成するためのエッチング液としては、1種類のエッチング液で十分である。エッチング液が1種類で十分であるという点でも、電子部品の製造が容易であり、製造コストの低減を図ることができる。また、1種類のエッチング液のみでパターニングできるため、薄膜素子へのダメージも少ない。
さらに本発明の薄膜積層電子部品の構造は、従来の電子部品の構造とは異なる。本発明の薄膜積層電子部品では、第1または第2ビアホール電極と内部電極層とを直接に接続するのではない。本発明の薄膜積層電子部品では、第1または第2ビアホール電極と内部電極層とを第1または第2接続部材を介して接続してある。したがって、内部電極と第1または第2接続部材との金属の種類を変えることができる。そのため、内部電極としては、絶縁層と一体化されて特定の性能(たとえば静電容量あるいは圧電特性など)を発揮させやすい材質を選択することが可能である。また、接続部材としては、ビアホール電極と内部電極層との双方に接続されやすく特定の性能(たとえば耐熱衝撃特性あるいは耐電圧特性など)を発揮させやすい材質を選択することができる。
さらにまた本発明の薄膜積層電子部品では、第1または第2隙間パターンに充填されている第1または第2接続部材が、衝撃吸収機能を有することが可能である。そのため、たとえば第1または第2ビアホール電極の取出電極部に外力が作用しても、第1または第2ビアホール電極と内部電極層との間の接続が切断されるおそれも少なく、耐久性に優れている。あるいは、たとえば素子本体に温度差などによる応力が作用した場合でも、第1または第2接続部材が応力を緩和することができる。その結果、第1または第2ビアホール電極と内部電極層との間の接続抵抗の増加を抑制することができる。同時に、第1または第2ビアホール電極と内部電極との間の電界集中も抑制することができる。
たとえば偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンは、空隙となっている。すなわち、前記第2ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない。あるいは、偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンには、絶縁部材が充填してあってもよい。絶縁部材が充填してある場合でも、前記第2ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない。
たとえば奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンは、空隙となっている。すなわち、前記第1ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない。あるいは、奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンには、絶縁部材が充填してあってもよい。絶縁部材が充填してある場合でも、前記第1ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない。
前記第1ビアホール電極を構成する主成分金属と、前記第1接続部材を構成する主成分金属とが、同一種類であってもよい。このように構成することで、第1ビアホール電極と第1接続部材との接続信頼性を、さらに向上させることができる。また同様に、前記第2ビアホール電極を構成する主成分金属と、前記第2接続部材を構成する主成分金属とが、同一種類であってもよい。このように構成することで、第2ビアホール電極と第2接続部材との接続信頼性を、さらに向上させることができる。
前記素子本体は、支持体上に形成してあっても良い。支持体の種類は、特に限定されないが、たとえばNi箔、Si基板、ガラス、樹脂フィルムなどが例示される。
図1Aは本発明の一実施形態に係る薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係る薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図1Cは本発明のさらに他の実施形態に係る薄膜積層コンデンサの断面図である。 図2Aは図1Aに示す薄膜積層コンデンサの特定部位の拡大断面図である。 図2Bは図1Bに示す薄膜積層コンデンサの特定部位の拡大断面図である。 図3は図1Aに示す薄膜積層コンデンサの製造例を示す要部断面図である。 図4は図3の続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図5は図4の続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図6は図5の続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図7Aは図6の続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図7Bは第2実施形態に係る図7Aの続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図7Cは図7Bの続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。 図7Dは図7Cの続きの工程を示す薄膜積層コンデンサの要部断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
本実施形態に係る薄膜積層電子部品の一実施形態として、薄膜積層コンデンサについて説明する。
図1Aに示すように、本実施形態に係る薄膜積層コンデンサ2は、支持体としての支持基板30の表面に底面側絶縁層32を介して形成してある素子本体4と、素子本体4に形成してある第1ビアホール電極6および第2ビアホール電極8とを有する。
素子本体4は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な複数の誘電体層(絶縁層)10と、複数の内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層12と誘電体層10は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
素子本体4の表面には、表面側絶縁層34が形成してある。第1ビアホール電極6と第2ビアホール電極8とは、X軸方向またはY軸方向に所定距離で離れてそれぞれ形成される第1ビアホール5および第2ビアホール7の内部に入り込むようにして形成される。各ビアホール5,7は、素子本体4の表面から素子本体4をZ軸方向に貫通するように形成してあり、表面側絶縁層34、内部電極層12および誘電体層10の積層体を貫通している。なお、図面において、Z軸は、内部電極層12および誘電体層10の積層方向と一致し、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に略垂直である。
第1ビアホール電極6は、下地層6aと電極本体6bとから成り、電極本体6bは、表面側絶縁層34からZ軸方向に飛び出て形成してあり、飛び出している部分が、取出電極6cを構成している。また同様に、第2ビアホール電極8は、下地層8aと電極本体8bとから成り、電極本体8bは、表面側絶縁層34からZ軸方向に飛び出て形成してあり、飛び出している部分が、取出電極8cを構成している。
下地層6a,8aの厚みは、特に限定されないが、それぞれ、ビアホール5,7の内径の0.5〜20%程度である。下地層6a,8aの厚みを測定する際には、ビアホール5,7の底面以外の部分の下地層6a,8aの厚みを測定する。ビアホール5,7の底面の部分は、イオンエッチングを用いてエッチングされる場合があるためである。この場合には、ビアホール5,7の底面の部分では、他の部分と比較して下地層6a,8aが薄くなり、かつ、下地層6a,8aの厚みがバラつく。
ビアホール5,7の内径は、特に限定されないが、それぞれ、3〜100μm程度である。なお、ビアホール5,7の内径は、組成本体4の表面近傍の部分で測定する。素子本体4の厚みT0は、好ましくは、0.5〜8μmである。なお、本実施形態では、ビアホール5,7は、素子本体4の表面から底面に向けて内径が徐々に小さくなるテーパ状に形成してあるが、成形が可能であれば、素子本体4の表面から底面に向けて内径が略同じとなるように形成してもよいし、逆テーパ状に形成してもよい。
電極本体6b,8bの材質は、導電性材料であれば、特に限定されない。しかし、取出電極6c,8cがハンダや導電性接着剤を介して他の外部端子に接続されることを考慮すると、Cu、Ni、Ag、Au、あるいは、それらのいずれかの合金などが好ましい。高温負荷寿命を向上させる観点からはCu、Ni、またはCu−Ni合金が好ましく、Cuが特に好ましい。
下地層6a,8aは、電極本体6b,8bとの密着接続性と、後述する第1接続部材18aおよび第2接続部材18bとの密着接続性と、の両方に優れていることが好ましい。下地層6a,8aは、たとえばCr、Cu、Ni、Ti、あるいは、それらのいずれかの合金などで構成される。
下地層6a,8aは、たとえば蒸着やスパッタリングなどの薄膜法により形成されることが好ましい。電極本体6b,8bは、たとえばメッキ法などにより形成されることが好ましい。
また、下地層6a,8aが複数の層からなっていてもよい。例えば、電極本体6b,8bと同一の金属からなる層、Cr層、および、Ti層から選択される2つ以上の層からなっていてもよい。
各誘電体層10は、たとえばアルミナ、ハフニア、酸化タンタル、BaTiO、(SrCa)TiO、(SrCa)(TiZr)O、(BaMg)TaO、(BaSr)TiO、SrTiOなどの誘電体材料で構成してあり、各誘電体層10の厚みは、たとえば0.01〜0.8μmであることが好ましい。内部電極層12は、たとえばNi、Cu、Pd、Au、Al、W、Ru、Ir、Ta、Ag、あるいはそれらのいずれかの合金などの導電性材料で構成してある。各内部電極層12の厚みは、たとえば0.1〜0.8μmであることが好ましい。
各誘電体層10および内部電極層12は、それぞれ蒸着やスパッタリングなどの薄膜法により、支持基板30の表面に形成される。支持基板30は、たとえばシリコン基板、Ni箔、ガラス基板、アルミ箔、SUS箔、および樹脂フィルムから選択される。上記樹脂フィルムは、例えばPEN、PET、エポキシ、ポリイミドなどから成る樹脂フィルムである。支持基板30の厚みは、特に限定されない。
底面側絶縁層32は、支持基板30の表面を熱酸化することで形成してもよく、薄膜法にて形成してもよい。薄膜法にて底面側絶縁層32を形成する場合には、底面側絶縁層32の材質には特に限定はない。たとえば誘電体層10と同様な材質としてもよい。底面側絶縁層32の厚みも特に限定されない。しかし、底面側絶縁層32の厚みは、誘電体層10の厚みと同等以上であることが好ましい。
また、表面側絶縁層34は、薄膜法にて形成してもよい。表面側絶縁層34の材質には特に限定はない。たとえば誘電体層10と同様な材質としてもよい。表面側絶縁層34の厚みも特に限定されない。しかし、表面側絶縁層34の厚みは誘電体層10の厚みと同等以上であることが好ましい。
本実施形態では、内部電極層12は、第1ビアホール電極6の位置で、第1ビアホール電極6の外径よりも大きな内径の第1隙間パターン14a,14bが形成してある。また、第2ビアホール電極8の位置で、第2ビアホール電極8の外径よりも大きな内径の第2隙間パターン16a,16bが形成してある。
積層方向の偶数番目に位置する内部電極層12aに形成してある第1隙間パターン14aには、内部電極層12aを構成する金属とは異なる第1接続部材18aが充填してある。これらの第1接続部材18aを介して第1ビアホール電極6と偶数番目に位置する内部電極層12aとが接続してある。第1接続部材18aは、図2Aに示すように、第1隙間パターン14aから第1ビアホール5の内部に突き出すように、はみ出していてもよく、第1ビアホール電極6に食い込むように接続してあってもよい。
積層方向の奇数番目に位置する内部電極層12bに形成してある第2隙間パターン16bには、内部電極層12bを構成する金属とは異なる第2接続部材18bが充填してある。これらの第2接続部材18bを介して第2ビアホール電極8と奇数番目に位置する内部電極層12bとが接続してある。第2接続部材18bは、図2Aに示すように、第1接続部材18aと同様に、第2隙間パターン14bから第2ビアホール7の内部に突き出すように、はみ出していてもよく、第2ビアホール電極8に食い込むように接続してあってもよい。
内部電極層12a,12bを構成する金属は任意である。例えば、Cu、Ni、Pd、Al、Au、W、Ru、Ir、Ta、Ag、Cr、Tiあるいは、それらのいずれかの合金が好ましい。誘電体層10の材質に応じて適宜選択することができ、好適な特性、例えば好適な静電容量あるいは圧電特性などが得られるように適宜選択することができる。また、高温負荷寿命を向上させる観点からはNi、Cu、Pd、Au、あるいは、それらのいずれかを90原子%以上含む合金が好ましく、NiまたはNiを90原子%以上含む合金が特に好ましい。
接続部材18a,18bを構成する金属は任意である。例えば、Cu、Ni、あるいは、それらのいずれかの合金が好ましい。高温負荷寿命を向上させる観点からはCu、Ni、またはCu−Ni合金が好ましく、Cuが特に好ましい。
なお、「内部電極層を構成する金属とは異なる接続部材」とは、接続部材を構成する金属の組成が内部電極層を構成する金属の組成に対して1原子%以上、異なる場合を指す。
また、内部電極層12a,12bおよび接続部材18a,18bの選択においては、それぞれの密度を所定の範囲内とするように選択することが好ましい。具体的には、接続部材18a,18bの密度に対する内部電極層12a,12bの密度比(以下、単に密度比と呼ぶ場合がある)は1.00〜2.50であることが好ましく、1.04〜2.50であることがさらに好ましく、1.04〜2.25であることが最も好ましい。なお、接続部材18aの密度に対する内部電極層12aの密度比および接続部材18bの密度に対する内部電極層12bの密度比の両方を上記の範囲内とすることが好ましい。密度比を所定の範囲内とすることで、特に熱衝撃への耐久性を向上させることができる。
本実施形態では、内部電極層12aと内部電極層12bとは、同じ材質で構成してある。本実施形態では、積層方向の偶数番目に位置する内部電極層12aに形成してある第2隙間パターン16aは、空隙20bとなっている。積層方向の偶数番目に位置する内部電極層12aと、第2ビアホール電極8と、が接続されていない。また、積層方向の奇数番目に位置する内部電極層12bに形成してある第1隙間パターン14bは、空隙20aとなっている。積層方向の奇数番目に位置する内部電極層12bと、第1ビアホール電極6と、が接続されていない。
薄膜積層コンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。本実施形態では、薄膜積層コンデンサ2のZ軸方向の合計厚みを、たとえば70μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下と薄くすることができる。薄膜積層コンデンサ2のZ軸方向の合計厚みを上記の範囲内とすることで、薄膜積層コンデンサ2の低背化に寄与する。
なお、薄膜積層コンデンサ2における密度比の測定方法は任意である。例えば、薄膜積層コンデンサ2を薄層化した後に、TEMを用いて反射電子像を観察し、反射電子像から内部電極層の相対密度および接続部材の相対密度をそれぞれ求めて比率を算出するといった方法が挙げられる。
本実施形態の薄膜積層コンデンサ2の具体的な用途としては、たとえば小型化が要求される携帯電子機器のICチップ近くに配置される埋め込み型コンデンサ、あるいはノイズフィルタ用コンデンサ、デカップリングコンデンサ、高耐圧コンデンサ、低ESLコンデンサ、大容量コンデンサなどの用途が例示される。
次に、本発明の一実施形態としての薄膜積層コンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
まず、図3に示すように、支持基板30の表面に、底面側絶縁層32を成膜し、その表面に、誘電体層10と内部電極層12とを、それぞれスパッタリング法などの薄膜法により、交互に積層して成膜し、素子本体4を形成する。そして、素子本体4の表面に、表面側絶縁層34を形成する。底面側絶縁層32は、誘電体層10と同様に薄膜法で形成してもよいが、支持基板30の表面を熱酸化して形成してもよい。表面側絶縁層34は、誘電体層10と同様に薄膜法で形成してもよいが、スピンコート法などにより形成してもよい。スピンコート法などにより形成する場合には、表面側絶縁層34が樹脂により構成されていてもよい。
次に、図4に示すように、素子本体4の表面を選択的にマスキングして、素子本体4の表面から内部に入り込み、積層された内部電極層12と誘電体層10とをそれぞれ貫通する第1ビアホール5および第2ビアホール7を形成する。これらのビアホール5,7は、たとえば異方性エッチング、レーザ照射などの手法により形成する。異方性エッチングの種類は任意である。例えば、イオンエッチングなどが挙げられる。なお、素子本体4には、少なくとも1対のビアホール5,7を形成するが、複数対のビアホール5,7を形成してもよい。なお、ビアホールが3個以上ある場合は、必ずしも各ビアホールが対となるように形成する必要はない。
次に、図5に示すように、第2ビアホール7にレジスト40を埋め込み、第1ビアホール5を通して各絶縁層(底面側絶縁層32および表面側絶縁層34)と誘電体層10に対して選択性があるエッチングを行う。エッチングにより、第1ビアホール5に露出しているそれぞれの内部電極層12a,12bに、第1ビアホール5の内径よりも大きな内径を有する第1隙間パターン14a,14bを形成する。すなわち、第1ビアホール5に露出している内部電極層12a,12bの露出端を、第1ビアホール5の内周面から奥側に後退させる。各絶縁層と誘電体層10に対して選択性があるエッチングを行う際には、第1ビアホール5に露出している誘電体層10の露出端がエッチングされないように、内部電極層12a,12bの導電材料のみをエッチングするエッチング液を用いる。
同様に、第1ビアホール5にレジスト40を埋め込み、第2ビアホール7を通して各絶縁層と誘電体層10に対して選択性があるエッチングを行う。エッチングにより、第2ビアホール7に露出しているそれぞれの内部電極層12a,12bに、第2ビアホール7の内径よりも大きな内径を有する第2隙間パターン16a,16bを形成することができる。
図5に示す工程の後に、または、図5に示す工程の前に、図6に示すように、素子本体4のX軸方向の端部を、斜めに切断し、内部電極層12a,12bの端部を、露出面積が大きくなるように露出させる。そして、それらの露出端部に、メッキ用電極を取り付ける。まず、積層方向の偶数番目に配列してある内部電極層12aのみにマイナスの電圧が印加されるメッキ用電極50aを接続してマイナスの電圧が印加されるようにする。また、プラスの電圧が印加されるメッキ用電極50bは、図6に示すように積層方向の奇数番目に配列してある内部電極層12bに接続して内部電極層12bにプラスの電圧が印加されるようにしてもよい。この場合には、内部電極層12a,12bの露出端部に、メッキ用電極50a,50bが交互に取付けられることになる。また、プラスの電圧が印加されるメッキ用電極を図6に示す箇所以外の箇所をメッキするためのメッキ用電極として用いてもよい。
その後に、少なくとも第1ビアホール5の内部をメッキ液で満たし、積層方向に沿って偶数番目に位置する内部電極層12aにのみメッキ析出のための電圧を印加させる。その結果、図7Aに示すように、偶数番目に位置する第1隙間パターン14aにのみ第1接続部材18aをメッキにより析出させて充填することができる。したがって、偶数番目に位置する内部電極層12aと第1接続部材18aとを接続することができる。図2Aに示すように、メッキにより形成される第1接続部材18aは、第1ビアホール5の内周面から内側に飛び出るようにメッキ条件、たとえばメッキ時間や印加電流などを制御してもよい。また、メッキ条件の制御により第1接続部材の密度を制御することができ、密度比を制御することができる。
同様に、第2ビアホール7の内部をメッキ液で満たし、積層方向に沿って奇数番目に位置する内部電極層12bにのみメッキ析出のための電圧を印加させる。その結果、奇数番目に位置する第2隙間パターン16bにのみ第2接続部材18bをメッキにより析出させて充填することができる。したがって、奇数番目に位置する内部電極層12bと第2接続部材18bとを接続することができる。
なお、第2接続部材18bの形成に際しては、図6に示すメッキ用電極50bをマイナス側に反転させることが好ましい。逆に、図6に示すメッキ用電極50aはプラス側に反転させてもよい。また、プラスの電圧が印加される電極を図6に示す箇所以外の箇所をメッキするためのメッキ用電極として用いてもよい。また、第1接続部材18aと第2接続部材18bは、メッキ液を共用できることから、同一の材質で形成することが好ましいが、別のメッキにより別材質で形成してもよい。
第1接続部材18aおよび第2接続部材18bを形成した後には、レジスト40を除去する。次に、図1Aに示すように、第1ビアホール5の内周面および第2ビアホール7の内周面に、下地層6a,8aを、それぞれスパッタリングなどの薄膜法により成膜する。下地層6a,8aは同時に形成することができる。表面側絶縁層34の上にも、薄膜法で成膜した膜が形成されるが、これらは、エッチングなどによりパターニングされて除去される。その後に、電極本体6b,8bを、メッキ法などにより同時に形成することができる。
なお、第1ビアホール5では、積層方向の奇数番目に位置する第1隙間パターン14bには、空隙20aが形成されて残っており、下地層6aには接続されない。また、第2ビアホール7では、積層方向の偶数番目に位置する第2隙間パターン16aには、空隙20bが形成されて残っており、下地層8aには接続されない。
このようにして製造された本実施形態の薄膜積層コンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。あるいは、多層基板の内部に、薄膜積層コンデンサ2として埋込まれて使用される。
本実施形態に係る薄膜積層コンデンサ2では、内部電極層12a,12bは、異なる種類の金属で構成する必要はなく、同一種類の金属で構成される。したがって、内部電極層12a,12bを、たとえばスパッタリング法により形成する際には、1種類のスパッタターゲットを準備するのみでよく、また、スパッタリングを行うための装置構成もシンプルとなり、薄膜積層コンデンサ2の製造が容易であり、製造コストの低減を図ることができる。また、内部電極層12a,12bをパターニングするためのエッチング液として複数種類のエッチング液を準備する必要がなく、1種類のエッチング液のみを準備すれば十分である。この点でも、薄膜積層コンデンサ2の製造が容易であり、製造コストの低減を図ることができる。また、1種類のエッチング液のみでパターニングできるため、薄膜素子が形成してある素子本体4へのダメージも少なくすることができる。
さらに本実施形態の薄膜積層コンデンサ2では、従来の構造とは異なり、第1または第2ビアホール電極6,8と内部電極層12とを直接に接続するのではなく、第1または第2接続部材18a,18bを介して接続してある。なお、第1または第2接続部材18a,18bの少なくとも一部と、当該第1または第2接続部材18a,18bが接続している内部電極層12と、でZ座標が同一であってもよい。また、内部電極層12と第1または第2接続部材18a,18bとで構成する金属については、密度比を所定の範囲内とすることができる範囲で任意の種類とすることができる。そのため、内部電極層12としては、誘電体層10と一体化されて特定の性能(たとえば静電容量あるいは圧電特性など)を発揮させやすい材質を選択することが可能である。また、接続部材18a,18bとしては、ビアホール電極6,8と内部電極層12との双方に接続されやすく特定の性能(たとえば耐熱衝撃特性あるいは耐電圧特性など)を発揮させやすい材質を選択することができる。
さらに本実施形態の薄膜積層コンデンサ2では、第1または第2隙間パターン14a,16bに充填されている第1または第2接続部材18a,18bが、衝撃吸収機能を有することが可能である。そのため、たとえば第1または第2ビアホール電極6,8の取出電極6c,8cに外力が作用しても、第1または第2ビアホール電極6,8と内部電極層12との間の接続が切断されるおそれも少なく、耐久性に優れている。あるいは、たとえば素子本体4に温度差などによる応力が作用した場合でも、第1または第2接続部材18a,18bが応力を緩和し、第1または第2ビアホール電極6,8と内部電極層12との間の接続抵抗の劣化を抑制することができると共に、それらの間の電界集中も抑制することができる。
たとえば偶数番目に位置する内部電極層12aに形成してある第2隙間パターン16aは、空隙20bとなっており、第2ビアホール電極8と偶数番目に位置する内部電極層12aとが接続されていない。また、たとえば奇数番目に位置する内部電極層12bに形成してある第1隙間パターン14bは、空隙20aとなっており、第1ビアホール電極6と奇数番目に位置する内部電極層12bとが接続されていない。
また、本実施形態では、第1ビアホール電極6の電極本体6bを構成する主成分金属と、第1接続部材18aを構成する主成分金属とが、同一種類であることで、第1ビアホール電極6と第1接続部材18aとの接続信頼性を、さらに向上させることができる。また同様に、第2ビアホール電極8の電極本体8bを構成する主成分金属と、第2接続部材18bを構成する主成分金属とが、同一種類であることで、第2ビアホール電極8と第2接続部材18bとの接続信頼性を、さらに向上させることができる。
第2実施形態
図1Bおよび図2Bに示すように、本実施形態に係る薄膜積層コンデンサ2aでは、以下に示す点以外は、第1実施形態の薄膜積層コンデンサ2と同様であり、同様な作用効果を奏する。
このコンデンサ2aでは、積層方向の偶数番目に位置する内部電極層12aに形成してある第2隙間パターン16aには、第2絶縁部材22bが充填してあり、第2ビアホール電極8と偶数番目に位置する内部電極層12aとが接続されていない。
また、積層方向の奇数番目に位置する内部電極層12bに形成してある第1隙間パターン14bには、第1絶縁部材22aが充填してあり、第1ビアホール電極6と奇数番目に位置する内部電極層12bとが接続されていない。
なお、本実施形態では、第1絶縁部材22aと第2絶縁部材22bとは、同じ種類の絶縁材料で構成してあることが好ましいが、必ずしも同じ種類の絶縁材料で構成してある必要はない。第1絶縁部材22aおよび第2絶縁部材22bとしては、たとえば表面側絶縁層34を構成する絶縁材料と同じ種類の絶縁材料で構成されていてもよいが、必ずしも同じ種類の絶縁材料で構成してある必要はない。
まず、第1接続部材18aおよび第2接続部材18bを形成し、レジスト40を除去するまでの工程は第1実施形態と同一である。その結果、図7Bに示す状態となる。次に、第1絶縁部材22aを隙間パターン14bに形成し、第2絶縁部材22bを隙間パターン16aに形成する。まず、第1ビアホール5および第2ビアホール7以外の素子本体4の表面を、後で除去するマスク42で覆う。次に、第1ビアホール5および第2ビアホール7の内部に、塗布法または薄膜法により、絶縁材料22を埋め込む。その結果、図7Cに示す状態となる。絶縁材料22を埋め込む際には、第1隙間パターン14bおよび第2隙間パターン16aの内部にも、絶縁材料が行き渡るように、絶縁材料の埋め込み方法を工夫する。絶縁材料の埋め込み方法としては、たとえばALD(アトミックレイヤーデポジション)やゾルゲルを用いて各ビアホールの内部および各隙間パターンに絶縁物を形成する方法、超臨界流体を利用して樹脂を各ビアホールの内部および各隙間パターンに注入する方法、印刷または射出を真空および超音波環境で実施することにより各ビアホールの内部および各隙間パターンに樹脂を注入する方法などの方法、または、溶剤を各ビアホールの内部および各隙間パターンに注入して樹脂で置換する方法が挙げられる。これらの方法により、絶縁材料22を第1ビアホール5の内部に埋め込む。その後に、第1ビアホール5および第2ビアホール7の内部を異方性エッチングし、第1ビアホール5の深さ方向および第2ビアホール7の深さ方向にのみ絶縁材料22を除去する。そして、第1隙間パターン14bの内部に入り込んだ絶縁材料22は第1絶縁部材22aとして残し、第2隙間パターン16aの内部に入り込んだ絶縁材料22は第2絶縁部材22bとして残す。その結果、図7Dに示す状態となる。そして、マスク42を除去する。マスク42を除去する方法には特に制限はない。下地層の形成以降は第1実施形態と同様の方法で実施する。
本実施形態では、第1絶縁部材22aおよび第2絶縁部材22bの存在により、接続すべきではない箇所の絶縁が確実になる。
第3実施形態
図1Cに示すように、本実施形態に係る薄膜積層コンデンサ2bでは、以下に示す点以外は第1実施形態または第2実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。
本実施形態の薄膜積層コンデンサ2bでは、図1Aに示す支持基板30を用いない。その代わりに底面側絶縁層32aが、上述した実施形態の底面側絶縁層32よりも厚く成形してある。例えば、底面側絶縁層32aの厚みを0.2μm以上30μm以下とする。また、第1ビアホール5および第2ビアホール7が、それぞれ素子本体4bを表面から裏面まで貫通するように形成してある。そして、素子本体4bの裏面には、反対側取出電極6d,8dが、それぞれ第1ビアホール電極6および第2ビアホール電極8に接続するように形成してある。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の薄膜積層電子部品は、薄膜積層コンデンサに限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、誘電体層(絶縁層)が内部電極を介して積層される全ての電子部品であり、たとえばバンドパスフィルタ、インダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、バリスタなどが例示される。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
(実験例1)
まず、支持基板として4インチシリコンウエハーを準備した。
次に、支持基板上に底面側絶縁層としてアルミナ膜を成膜した。成膜はスパッタリングにて行い、底面側絶縁層の厚みが500nmとなるようにした。
次に、内部電極層となる金属膜300nmおよび誘電体層となるアルミナ膜100nmをこの順番で成膜した。成膜はスパッタリングにて行った。金属膜の材質を下表1に示す。
上記の金属膜およびアルミナ膜の成膜は4回繰り返した。その後、さらに表面側絶縁層としてアルミナ膜を200nm成膜した。以上より、3層構造の素子本体が得られた。以下、表面側絶縁層に近い金属膜から順番に金属膜1、金属膜2、金属膜3および金属膜4とする。
素子本体の表面全体をレジストでカバーした後に露光・現像することで、素子本体の表面を選択的にマスキングした。そして、ドライエッチングの一種であるArガスを用いたイオンエッチングで開口部を異方性エッチングすることで、内部電極層と誘電体層とをそれぞれ貫通する第1ビアホールおよび第2ビアホールをそれぞれ4つ、形成した。各ビアホールの内径は20μmとした。また、この時点では、各ビアホールにおいて金属膜1〜4およびアルミナ膜が露出している。
次に、シリコンウエハーの外周を幅3mmの寸法で斜めに研磨した。研磨には砥石を用いた。そして、金属膜1〜4を外周部に露出させた。
次に、金属膜1〜4の各露出端部にメッキ用電極を取り付けた。メッキ用電極は金属膜1〜4に対してそれぞれ独立に接触するように配置した。なお、メッキ用電極はそれぞれ独立に給電可能である。
第2ビアホールのみにレジストを埋め込んだ後に、第1ビアホールを通して各絶縁層と誘電体層に対して選択性があるエッチングを、ウエットエッチングにて行った。第1ビアホール内部に露出している金属膜1〜4を約1μm、サイドエッチングした。エッチング液の種類は金属膜の材質にあわせて適宜選択した。また、第1ビアホール内部に露出しているアルミナ膜はサイドエッチングしないエッチング液を選択した。
水洗によりエッチング液を除去したのちに、金属膜2および金属膜4に給電して電気メッキを行い、金属膜2および金属膜4のサイドエッチングした部分に第1接続部材となるメッキ膜を成長させた。メッキ膜の材質を下表1に示す。メッキ液はメッキ膜の材質に応じて適宜選択した。また、メッキ膜の密度はメッキ条件を適宜変化させることで制御した。
水洗によりメッキ液を除去し、IPA置換により前記水洗で付着した水をIPAに置換し、乾燥によりIPAを蒸発させた。
次に、第2ビアホールのレジストを除去した後、第1ビアホールにレジストを埋め込んだ。そして、第1ビアホールと同様に第2ビアホールを通して各絶縁層と誘電体層に対して選択性があるエッチングを行った。
水洗によりエッチング液を除去したのちに、金属膜1および金属膜3に給電して電気メッキを行い、金属膜1および金属膜3のサイドエッチングした部分に第2接続部材となるメッキ膜を成長させた。第2接続部材の形成に関しては、上記以外の条件は第1接続部材の形成と同様の条件で実施した。
水洗によりメッキ液を除去し、IPA置換により付着した水をIPAに置換し、乾燥してIPAを蒸発させた。
その後、第1ビアホールのレジストを除去し、スパッタリングにより各ビアホールの内周面および表面側絶縁層に下地層を形成した。下地層の形成は、Cr膜を50nm成膜した後に、Cu膜を500nm成膜することにより行った。なお、第1ビアホールおよび第2ビアホールで接続部材が形成されなかった部分は空隙が形成されて残った。
次に、パターニングを行った後にCuメッキを行い、第1ビアホールおよび第2ビアホールにCuからなる電極本体および取出電極を形成した。
次に、表面側絶縁層に形成されパターニング後にも残存していた下地層を除去して1mm角のチップに個片化し、各試料の積層薄膜コンデンサを作製した。
本実施例での金属膜(内部電極層)およびメッキ膜(接続部材)の密度は、積層セラミックコンデンサを形成した基板と同バッチでモニター用のダミー基板を設置し、ダミー基板上に形成した金属膜およびメッキ膜の密度を本実施例での金属膜(内部電極層)およびメッキ膜(接続部材)の密度とした。
具体的には、ダミー基板上に形成した金属膜およびメッキ膜について質量膜厚を蛍光X線で測定し、ダミー基板上に形成した金属膜およびメッキ膜の実測膜厚を電子顕微鏡で測定し、質量膜厚および実測膜厚から密度を算出した。なお、実際に各試料の内部電極層の密度および接続部材の密度を測定しても実質的に同一な結果となることを確認している。
高温負荷寿命(HALT)試験では、200個の積層薄膜コンデンサに対して、温度135℃において、電圧4Vの印加状態に保持した。印加開始時の絶縁抵抗から絶縁抵抗が一桁落ちた状態を故障と判定した。ワイブル解析から故障率が50%となる時間を算出し、平均故障時間(MTTF)とした。本実施例では、平均故障時間60h以上を良好とし、80h以上をより良好とし、100h以上をさらに良好とし、120h以上を最も良好とした。
熱衝撃試験では各積層薄膜コンデンサ200個に対して、下記(i)工程〜(iv)工程からなる熱処理サイクルを1000サイクル行った。
(i)積層薄膜コンデンサを、コンデンサ試料の温度が−55℃となる温度条件のもとで30分保持する工程
(ii)上記保持時間の10%の時間(3分)以内に積層薄膜コンデンサの温度を125℃まで昇温する工程
(iii)積層薄膜コンデンサの温度が125℃となる温度条件のもとで30分保持する工程
(iv)上記保持時間の10%の時間(3分)以内に積層薄膜コンデンサの温度を−55℃まで降温する工程
熱衝撃試験では、熱処理前の絶縁抵抗と、1000サイクル、熱処理行った後の絶縁抵抗とをそれぞれ測定した。具体的には、積層薄膜コンデンサ200個について、熱処理前の絶縁抵抗に対する熱処理後の絶縁抵抗の低下率が50%未満であるサンプルを良好と判定し、良好なサンプルの割合を調べた。90%以上のサンプルが良好な結果となる場合をA、75%以上90%未満の試料が良好な結果となる場合をB、75%未満の試料が良好な結果となる場合をCとした。本実施例では、75%以上の試料が良好な結果となる場合、すなわち、上記の評価がAまたはBとなる場合を良好とした。また、90%以上の試料が良好な結果となる場合、すなわち、上記の評価がAとなる場合を特に良好とした。
Figure 2020123667
表1より、内部電極層の組成を変化させても良好な高温負荷寿命となり、特に内部電極層がNiからなる場合に良好な高温負荷寿命となった。また、密度比が1.04〜2.25である場合には熱衝撃への耐久性も特に良好となった。
なお、Cu−Ni合金とはCuが90at%以上、Niが1at%以上10at%以下である合金のことである。また、Al−Ni合金とは、Alが90at%以上、Niが1at%以上10at%以下である合金のことである。本実施例では、Cu−Ni合金は原子数比でCu:Ni=90:10であり、Al−Ni合金は原子数比でAl:Ni=97:3である。
(実験例2)
実験例2では、実験例1における接続部材、下地層のCu膜、および、電極本体をすべてCuからNiに変更した点以外は実験例1と同条件で実施した。結果を表2に示す。
Figure 2020123667
表2より、内部電極層の組成を変化させても良好な高温負荷寿命となった。また、密度比が1.04〜2.25である場合には熱衝撃への耐久性も特に良好となった。
(実験例3)
実験例3では、電極本体と接続部材とで材質が異なる点以外は実験例1および実験例2と同条件で実施した。なお、下地層については、電極本体がCuからなる場合には実験例1と同様にCu膜を用い、電極本体がNiからなる場合には実験例2と同様にNi膜を用いた。結果を表3に示す。
Figure 2020123667
表3より、内部電極層の組成を変化させても良好な高温負荷寿命となった。また、密度比が1.04〜2.25である場合には熱衝撃への耐久性も特に良好となった。
2,2a〜2b… 薄膜積層コンデンサ
4,4a〜4b… 素子本体
5… 第1ビアホール
6… 第1ビアホール電極
6a… 下地層
6b… 電極本体
6c… 取出電極
6d… 反対側取出電極
7… 第2ビアホール
8… 第2ビアホール電極
8a… 下地層
8b… 電極本体
8c… 取出電極
8d… 反対側取出電極
10… 誘電体層(絶縁層)
12… 内部電極層
12a… 偶数番目の内部電極層
12b… 奇数番目の内部電極層
14a,14b… 第1隙間パターン
16a,16b… 第2隙間パターン
18a… 第1接続部材
18b… 第2接続部材
20a,20b… 空隙
22… 絶縁材料
22a… 第1絶縁部材
22b… 第2絶縁部材
30… 支持基板(支持体)
32,32a… 底面側絶縁層
34… 表面側絶縁層
40… レジスト
42… マスク
50a,50b… メッキ用電極

Claims (8)

  1. 内部電極層と絶縁層とが積層方向に交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の表面から前記素子本体の内部に入り込み、積層方向に沿って偶数番目に位置する前記内部電極層に接続してある第1ビアホール電極と、
    前記素子本体の表面から前記素子本体の内部に入り込み、積層方向に沿って奇数番目に位置する前記内部電極層に接続してある第2ビアホール電極と、を有する薄膜積層電子部品であって、
    それぞれの前記内部電極層は、前記第1ビアホール電極の位置で、前記第1ビアホール電極の外径よりも大きな内径の第1隙間パターンが形成してあると共に、前記第2ビアホール電極の位置で、前記第2ビアホール電極の外径よりも大きな内径の第2隙間パターンが形成してあり、
    偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンには、前記内部電極層を構成する金属とは異なる第1接続部材が充填してあり、前記第1接続部材を介して前記第1ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続してあり、
    奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンには、前記内部電極層を構成する金属とは異なる第2接続部材が充填してあり、前記第2接続部材を介して前記第2ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続してある薄膜積層電子部品。
  2. 偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンは、空隙となっており、前記第2ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない請求項1に記載の薄膜積層電子部品。
  3. 偶数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第2隙間パターンには、絶縁部材が充填してあり、前記第2ビアホール電極と偶数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない請求項1に記載の薄膜積層電子部品。
  4. 奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンは、空隙となっており、前記第1ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層電子部品。
  5. 奇数番目に位置する前記内部電極層に形成してある第1隙間パターンには、絶縁部材が充填してあり、前記第1ビアホール電極と奇数番目に位置する前記内部電極層とが接続されていない請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層電子部品。
  6. 前記第1ビアホール電極を構成する主成分金属と、前記第1接続部材を構成する主成分金属とが、同一種類である請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜積層電子部品。
  7. 前記第2ビアホール電極を構成する主成分金属と、前記第2接続部材を構成する主成分金属とが、同一種類である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜積層電子部品。
  8. 前記素子本体は、支持体上に形成してある請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜積層電子部品。
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