JP2020122501A - 車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents

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【課題】ラジアルリップ側空間およびアキシアルリップ側空間の気圧と大気圧との圧力差、または軸受内部の気圧と大気圧との圧力差による回転トルクの増加を防止することができる車輪用軸受装置の製造方法を提供する。【解決手段】外輪2と、ハブ輪3と、外輪2とハブ輪3との両軌道面間に転動自在に収容された複列のボール列5a・5bと、外輪2のアウター側開口部2bに嵌合されるアウター側シール部材9と外輪2のインナー側開口部2aに嵌合されるインナー側シール部材6とを有する車輪用軸受装置の製造方法であって、ボール列5a・5bとアウター側シール部材9とが組み込まれた外輪2にハブ輪3を挿入する内方部材挿入工程において、アウター側シール部材9とハブ輪3のリップ摺動面3dとの間に間隙部材を配置し、ハブ輪3の挿入によってアウター側シール部材9とリップ摺動面3dとで間隙部材を挟む。【選択図】図3

Description

本発明は車輪用軸受装置の製造方法に関する。
従来、車輪用軸受装置は、内部に泥水および砂塵等の異物の入り込みを防止するために外輪とハブ輪との間にシール部材等を設けて密封性を向上させている。例えば、径方向外側から順にアキシアルリップ、中間リップおよびラジアルリップといった複数のシールリップが設けられているシール部材が外輪に嵌合されることで、外輪とハブ輪との隙間をシールしている。各シールリップがハブ輪のリップ摺動面に接触することで外輪とハブ輪との間にグリースを封入するとともに泥水および粉塵等の異物の入り込みを防止している。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特開2013−217428号公報
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、外輪をハブ輪の所定位置まで挿入する組み立て工程において、外輪に組み付けられているアウター側シール部材の各シールリップがハブ輪のリップ摺動面に接触する。ラジアルリップと中間リップとの間の空間(以下、単に「ラジアルリップ側空間」と記す)と、中間リップとアキシアルリップとの間の空間(以下、単に「アキシアルリップ側空間」と記す)とがリップ摺動面によって密閉される。ラジアルリップ側空間とアキシアルリップ側空間とは、各シールリップがリップ摺動面に沿って変形することで圧縮または膨張され、各空間の気圧が変動する。また、ハブ輪に挿入された外輪にインナー側シール部材が圧入されることで、軸受内部の気圧が上昇する。
ラジアルリップ側空間とアキシアルリップ側空間の気圧または軸受内部の気圧の変動によって、各シールリップがリップ摺動面に押し付けられる。このため、ラジアルリップ側空間、アキシアルリップ側空間および軸受内部の気圧と大気圧との間に圧力差が生じることによってシールリップの摺動抵抗による回転トルクが増大する場合があった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、ラジアルリップ側空間およびアキシアルリップ側空間の気圧と大気圧との圧力差、または軸受内部の気圧と大気圧との圧力差による回転トルクの増加を防止することができる車輪用軸受装置の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、第一の発明は、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が形成された内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材のアウター側開口部に嵌合されるアウター側シール部材と前記外方部材のインナー側開口部に嵌合されるインナー側シール部材とを有する車輪用軸受装置の製造方法であって、前記転動体と前記アウター側シール部材とが組み込まれた前記外方部材に前記内方部材を挿入する内方部材挿入工程において、前記アウター側シール部材と前記内方部材のリップ摺動面との間に間隙部材を配置し、前記内方部材の挿入によって前記アウター側シール部材と前記リップ摺動面とで前記間隙部材を挟む車輪用軸受装置の製造方法である。
第二の発明は、前記内方部材に組み付けられた前記外方部材のインナー側開口部に前記インナー側シール部材を組み付けるインナー側シール部材嵌合工程において、前記インナー側シール部材を組み付けた後に前記間隙部材を取り外す車輪用軸受装置の製造方法である。
第三の発明は、表面に凹凸を設けた薄板を前記間隙部材として使用する車輪用軸受装置の製造方法である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、第一の発明および第二の発明は、間隙部材によってアウター側シール部材の各シールリップとハブ輪のリップ摺動面との間に隙間が生じ、ラジアルリップ側空間およびアキシアルリップ側空間の気圧と軸受内部の気圧とが大気圧に等しくなる。これにより、ラジアルリップ側空間およびアキシアルリップ側空間の気圧と大気圧との圧力差、または軸受内部の気圧と大気圧との圧力差による回転トルクの増加を抑制することができる。
第三の発明は、間隙部材の表面の複数の凹凸によって、アウター側シール部材の各シールリップと間隙部材との間に複数の隙間が生じるので、グリース等の潤滑材によって隙間が塞がりにくい。これにより、ラジアルリップ側空間およびアキシアルリップ側空間の気圧と大気圧との圧力差、または軸受内部の気圧と大気圧との圧力差による回転トルクの増加を抑制することができる。
第一実施形態に係る車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 第二実施形態に係る車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の製造方法におけるハブ輪挿入工程の態様を示す概略工程図。 車輪用軸受装置の製造方法におけるハブ輪挿入工程においてアウター側シール部材の組付け状態を示す部分拡大断面図。 (a)車輪用軸受装置の製造方法におけるハブ輪挿入工程において間隙部材が挿入されたアウター側シール部材の組付け状態を示す部分拡大断面図、(b)同じく図5(a)におけるA矢視の部分拡大断面図。 車輪用軸受装置の製造方法におけるインナー側シール部材嵌合工程の態様を示す概略工程図。 車輪用軸受装置の製造方法におけるハブ輪挿入工程において間隙部材の第二実施形態を用いた場合の図5(a)におけるA矢視の部分拡大断面図。
以下に、図1を用いて、本発明の製造方法に係る車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2、内方部材であるハブ輪3、内輪4、転動列である二列のインナー側ボール列5a、アウター側ボール列5b、インナー側シール部材6、アウター側シール部材9を具備する。ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、軸方向とは、車輪用軸受装置1の回転軸に沿った方向を表す。
外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材9が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。外輪2の外周面には、図示しない車体側の部材(ナックル)に取り付けるための車体取り付けフランジ2eが形成されている。
ハブ輪3のインナー側端部には、外周面にアウター側端部よりも縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置に複数のハブボルト3eが設けられている。また、ハブ輪3には、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向するようにアウター側の内側軌道面3cが設けられている。また、ハブ輪3には、車輪取り付けフランジ3bの基部側にアウター側シール部材9のリップ摺動面3dが形成されている。ハブ輪3には、小径段部3aに内輪4が設けられている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側軌道面4aが形成されている。内輪4は、圧入および加締加工によりハブ輪3の小径段部3aに固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側軌道面4aが構成されている。ハブ輪3は、インナー側端部の内輪4の内側軌道面4aが外輪2のインナー側の外側軌道面2cに対向している。
インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bは、複数のボール5dと当該ボール5dを保持する保持器5cによって構成されている。インナー側ボール列5aは、内輪4の内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列5bは、ハブ輪3の内側軌道面3cと、外輪2のアウター側の外側軌道面2dとの間に転動自在に挟まれている。
車輪用軸受装置1は、外輪2と、ハブ輪3および内輪4と、インナー側ボール列5aと、アウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているが、複列円錐ころ軸受等の軸受で構成されていてもよい。
密閉部材であるインナー側シール部材6は、外輪2と内輪4との隙間を塞ぐパックシールである。インナー側シール部材6は、例えば2枚のシールリップを接触させる2サイドリップタイプのエンコーダ付パックシールから構成されている。インナー側シール部材6は、略円筒状のシール板7と略円筒状のスリンガ8とを具備する。シール板7は、芯金とシールリップとから構成されている。
スリンガ8は、例えば、シール板7と同等の鋼板から構成されている。スリンガ8は、円環状の鋼板の外縁部と内縁部とがプレス加工によって屈曲され、軸方向断面視で略L字状に形成されている。スリンガ8は、シール板7よりもインナー側の内輪4に嵌合されて固定されている。インナー側シール部材6は、外輪2のインナー側開口部2aに嵌合されたシール板7と内輪4に嵌合されたスリンガ8とが対向するように配置され、パックシールを構成している。
密閉部材であるアウター側シール部材9は、主に外輪2とハブ輪3との隙間を塞ぐシール部材である。アウター側シール部材9は、略円筒状に形成された芯金9aに、インナー側シール部材6のシールリップと同等の合成ゴムからなる複数のシールリップが例えば加硫接着されている。アウター側シール部材9は、例えば、ラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9d(サイドリップとも呼ぶ)が径方向内側から順に接着されている。
ラジアルリップ9bは、最も内径側に形成されている。ラジアルリップ9bは、インナー側に向けて傾斜して延びている。中間リップ9cとアキシアルリップ9dは、ラジアルリップ9bよりもアウター側で、ラジアルリップ9bよりも径方向外側に形成されている。中間リップ9cは、ラジアルリップ9bとアキシアルリップ9dとの間に配置されている。中間リップ9cは、径方向外方に向かって、やや傾斜して延びている。アキシアルリップ9dは、中間リップ9cの傾斜角よりも大きい傾斜角で径方向外方に向けて傾斜して延びている。
ラジアルリップ9bは、潤滑材であるグリースの油膜を介してハブ輪3のリップ摺動面3dに接触または近接し、車輪用軸受装置1の内部のグリースの外部への漏れを防止するグリースリップとして構成されている。中間リップ9cとアキシアルリップ9dとは、グリースの油膜を介してリップ摺動面3dに接触または近接している。このように、ラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dがグリースの油膜を介してリップ摺動面3dに近接または接触することでリップ摺動面3dに対して摺動可能に構成されている。
次に、図2を用いて、本発明の製造方法に係る車輪用軸受装置の第二実施形態である車輪用軸受装置10について説明する。なお、以下の各実施形態に係る車輪用軸受装置10は、図1に示す車輪用軸受装置1において、車輪用軸受装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
車輪用軸受装置10は、外方部材である外輪2、内方部材であるハブ輪3、内輪4、転動列である二列のインナー側ボール列5a(図1参照)、アウター側ボール列5b(図1参照)、カバー11、カバー11に設けられている円環状のインナー側シール部材6、アウター側シール部材9(図1参照)を具備する。
図2に示すように、密閉部材であるカバー11は、外輪2のインナー側開口部2aを塞いで外部から泥水等の異物の入り込みを防止する。カバー11は金属製で、プレス加工によって有底円筒状に形成されている。カバー11は、嵌合部11a、シール支持部11bおよび底部11cが一体に連結されたものである。
カバー11の円筒部分には、嵌合部11aとシール支持部11bとが同一軸心上に形成されている。嵌合部11aは、カバー11の開口側端部に形成されている。嵌合部11aは、外輪2のインナー側開口部2aの内径よりも大きい外径に形成されている。嵌合部11aは、外輪2のインナー側開口部2aに嵌合される。シール支持部11bは、インナー側シール部材6を支持する。シール支持部11bは、嵌合部11aのインナー側に隣接して配置されている。シール支持部11bは、嵌合部11aよりも小さい外径に形成されている。シール支持部11bのインナー側には、底部11cが形成されている。底部11cは、外輪2のインナー側開口部2aを覆っている。
次に、図3から図7を用いて、車輪用軸受装置1の製造方法ついて説明する。本製造方法の説明において車輪用軸受装置は、第一実施形態に係る車輪用軸受装置1である。ハブ輪挿入工程において、外輪2のインナー側開口部2aには、インナー側シール部材6が組み込まれていないものとする。車輪用軸受装置1は、その製造方法において、ハブ輪挿入工程と、内輪嵌合工程と、インナー側シール部材嵌合工程と、間隙部材抜き取り工程とを経て組み立てが完了する。なお、本製造方法は、車輪用軸受装置の第二実施形態に係る車輪用軸受装置10についても適用可能である。
図3に示すように、車輪用軸受装置1の製造方法におけるハブ輪挿入工程は、外輪2にハブ輪3を挿入する工程である。ハブ輪挿入工程において、ハブ輪3は、アウター側(車輪取り付けフランジ3b側)を保持具J3によって保持されている。つまり、ハブ輪3は、インナー側(小径段部3a側)から外輪2に挿入可能な状態で保持されている。ハブ輪3のリップ摺動面3dには、組立て治具である間隙部材J1が摺動面に沿うように配置されている。
間隙部材の第一実施形態である間隙部材J1は、ハブ輪3のリップ摺動面3dに接触するアウター側シール部材9の複数のシールリップを部分的にリップ摺動面3dから離間させる組立て治具である。間隙部材J1は、ポリエチレン、塩化ビニル等の樹脂、またはフェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)から構成されている。間隙部材J1は、所定の幅で、厚さ数十μm以上の容易に弾性変形可能な厚さの帯状の薄板に形成されている。
間隙部材J1は、アウター側シール部材9のラジアルリップ9bが接触するリップ摺動面3dに重複する位置から径方向外側に向かって配置されている。また、間隙部材J1は、径方向外側の端部がリップ摺動面3dの外縁よりも径方向外側に突出している。なお、間隙部材J1は、帯状の薄板から形成されているが、アウター側シール部材9の各シールリップとリップ摺動面3dとの間に挟み込み可能であれば、弾性変形可能な棒状の間隙部材等でもよい。ハブ輪3のリップ摺動面3dに配置されている間隙部材J1は、ハブ輪3が外輪2のアウター側に配置されることで、アウター側シール部材9とリップ摺動面3dとの間に配置された状態になる。ハブ輪3は、潤滑剤が注入されている外輪2のアウター側から外輪2に挿入される(黒塗矢印参照)。
図4に示すように、ハブ輪3のアウター側の内側軌道面3cは、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに組み込まれているアウター側ボール列5bの外周に圧入嵌合される(黒塗矢印参照)。また、ハブ輪3が外輪2に挿入される過程で、ハブ輪3のリップ摺動面3dには、アウター側シール部材9のラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dが順次接触して、それぞれのシールリップ間の空間であるラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2とが構成される。
図5(a)に示すように、間隙部材J1は、ハブ輪3が外輪2に挿入されることで、アウター側シール部材9のラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dとリップ摺動面3dとに挟まれた状態になる。間隙部材J1の表面には、ラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dが接触している。
図5(b)に示すように、弾性体から構成されているラジアルリップ9bは、間隙部材J1によってリップ摺動面3dから離間する方向に弾性変形し、リップ摺動面3dとの間に隙間Gが生じる。中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dについても同様に、間隙部材J1によってリップ摺動面3dから離間する方向に弾性変形され、リップ摺動面3dとの間に隙間Gが生じる。つまり、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2とは、中間リップ9cとアキシアルリップ9dとに生じた隙間Gによって外部と連通されている。
ラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dは、ハブ輪3が外輪2に挿入されるにつれて(図5(a)黒塗矢印参照)、リップ摺動面3dに押圧されて弾性変形する。これに伴い、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2は、容積が減少して内部の空気が隙間Gを通じて外部に押し出される(白塗矢印参照)。また、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2は、各シールリップの復元力によって容積が増大すると、外部の空気が隙間Gを通じて内部に吸いこまれる(白塗矢印参照)。つまり、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2は、容積に変動が生じても間隙部材J1によって生じた隙間Gを介して空気が出入りするので、ラジアルリップ側空間S1およびアキシアルリップ側空間S2の気圧と大気圧との間に圧力差が生じない。
図6に示すように、車輪用軸受装置1の製造方法における内輪嵌合工程において、外輪2が組み付けられたハブ輪3は、内輪4にハブ輪3の小径段部3aが挿入されるとともに、外輪2に組み込まれているインナー側ボール列5aの内径に内輪4の内側軌道面4aが圧入嵌合される。内輪4が挿入されたハブ輪3は、内輪4を固定するために、インナー側(小径段部3a側)端部が径方向外側に塑性変形される。
車輪用軸受装置1の製造方法におけるインナー側シール部材嵌合工程において、ハブ輪3に組み付けられた外輪2には、インナー側開口部2aにインナー側シール部材6が圧入嵌合される(黒塗矢印参照)。この際、インナー側シール部材6が圧入嵌合されるにつれて、内部空間S3の容積が減少する。そして、内部空間S3の空気がアウター側シール部材9とリップ摺動面3dの隙間Gを通じて外部に押し出される(白塗矢印参照)。つまり、車輪用軸受装置1の内部空間S3は、インナー側シール部材6が圧入されても間隙部材J1によって生じた隙間Gを介して空気が押し出されるので、内部空間S3の気圧と大気圧との間に圧力差が生じない。
車輪用軸受装置1の製造方法における間隙部材抜き取り工程において、車輪用軸受装置1は、間隙部材J1がリップ摺動面3dとアウター側シール部材9との間から引き抜かれる(図1参照)。この際、アウター側シール部材9のラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dは、引き抜かれる間隙部材J1によって弾性変形されて更に各隙間Gが広げられる。これにより、車輪用軸受装置1は、その内部空間S3の気圧と、アウター側シール部材9のラジアルリップ側空間S1およびアキシアルリップ側空間S2の気圧とが大気圧と等しくなる。
このように、車輪用軸受装置1の製造方法は、外輪2にハブ輪3を挿入するハブ輪挿入工程において、アウター側シール部材9のラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dとリップ摺動面3dとの間に間隙部材J1を介在させることによって隙間Gを生じさせる。この隙間Gによってラジアルリップ側空間S1の気圧、アキシアルリップ側空間S2の気圧および内部空間S3の気圧が大気圧に等しくなる。これにより、車輪用軸受装置1の製造工程において、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2とが正圧になることによるリップ摺動面3dへの押し付けまたは、負圧になることによるリップ摺動面3dへの吸い付きが防止され、回転トルクの増加を抑制することができる。
次に、図7を用いて、車輪用軸受装置1における間隙部材の第二実施形態である間隙部材J2について説明する。間隙部材J2は、所定の幅で、厚さ数十μm以上の容易に弾性変形可能な厚さの帯状の薄板に形成されている。間隙部材J2の表面には、径方向外側に向かって複数の線状の凹凸(溝)が形成されている。なお、間隙部材J2の凹凸は、線状の凹凸に限定されるものではなく、アウター側シール部材9の各シールリップと間隙部材J2の表面との間に複数の隙間Gが形成されるものであればよい。
間隙部材J2は、ハブ輪3が外輪2に挿入されることで、アウター側シール部材9のラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dとリップ摺動面3dとに挟まれた状態になる。これにより、弾性体から構成されているラジアルリップ9b、中間リップ9cおよびアキシアルリップ9dは、リップ摺動面3dとの間および間隙部材J2の凹凸との間に隙間Gが生じる。つまり、ラジアルリップ側空間S1とアキシアルリップ側空間S2とは、表面に線状の凹凸が形成されている間隙部材J2によって生じた複数の隙間Gによって外部と連通されている。
車輪用軸受装置1の製造方法におけるインナー側シール部材嵌合工程において、ハブ輪3に組み付けられた外輪2は、インナー側開口部2aにインナー側シール部材6が圧入嵌合される。車輪用軸受装置1の内部空間S3は、インナー側シール部材6が圧入されても間隙部材J2によって生じた複数の隙間Gを介して空気が押し出されるので、車輪用軸受装置1の内部空間S3の気圧と大気圧との間に圧力差が生じない。この製造方法においても、上述の間隙部材J1を用いた製造方法と同様の作用効果を奏する。
本願における車輪用軸受装置1・10は、外方部材である外輪2と内方部材として一つの内輪4が嵌合されたハブ輪3を備え、外輪2と、内輪4およびハブ輪3の嵌合体で構成された内輪回転仕様の第3世代構造の車輪用軸受装置(従動輪タイプ)としているが、外方部材と内方部材とで構成され、その開口部を密閉部材であるシール部材またはカバーで密閉された車輪用軸受装置であれば、取り付けフランジを持たない、第1世代構造の車輪用軸受装置や、外輪回転、あるいは、内輪回転タイプの第2世代構造の車輪用軸受装置、駆動輪タイプの第3世代構造の車輪用軸受装置、軸受内方部材と等速自在継手の外輪2を一体化した第4世代構造の車輪用軸受装置であってもよい。また、外方部材と内方部材とで構成され、その開口部をシール部材またはカバーで密閉されたものであれば、軸受装置として、車輪用に限定されるものでもなく、同様に、内圧の変化が課題となるものであれば、本願製造方法は、軸受装置に限定されるものでもない。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2a インナー側開口部
3 ハブ輪
3d リップ摺動面
4 内輪
6 インナー側シール部材
9 アウター側シール部材
J1 間隙部材

Claims (3)

  1. 内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、
    前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材のアウター側開口部に嵌合されるアウター側シール部材と前記外方部材のインナー側開口部に嵌合されるインナー側シール部材とを有する車輪用軸受装置の製造方法であって、
    前記転動体と前記アウター側シール部材とが組み込まれた前記外方部材に前記内方部材を挿入する内方部材挿入工程において、前記アウター側シール部材と前記内方部材のリップ摺動面との間に間隙部材を配置し、前記内方部材の挿入によって前記アウター側シール部材と前記リップ摺動面とで前記間隙部材を挟む車輪用軸受装置の製造方法。
  2. 前記内方部材に組み付けられた前記外方部材のインナー側開口部に前記インナー側シール部材を組み付けるインナー側シール部材嵌合工程において、前記インナー側シール部材を組み付けた後に前記間隙部材を取り外す請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  3. 表面に凹凸を設けた薄板を前記間隙部材として使用する請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
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JP2015143564A (ja) * 2013-12-27 2015-08-06 日本精工株式会社 シール付車輪支持用軸受ユニット

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