JP2020122117A - 溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷が少なく、原料コストが低減され、且つ高い潤滑性を有するフッ素グリースを形成し得る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤を提供すること。【解決手段】本発明に係る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、フッ素グリースを溶剤に希釈してなり、溶剤が水と有機溶剤との混合溶剤であり、フッ素グリースは、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含み、当該組成物中における基油の含有量が5質量部〜15質量部の範囲であることを特徴とするものである。混合溶剤は、グリコール系溶剤と水の混合溶剤であることが好ましい。また、混合溶剤における、グリコール系溶剤と水の混合比(グリコール系溶剤:水)は、質量比で65:35〜95:5であることが好ましい。混合溶剤は、当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、81質量部〜93質量部の割合で含有されていることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に関し、特に水を含有する溶剤で希釈された低環境負荷のフッ素系潤滑剤組成物に関する。
グリースは、その基油や増ちょう剤によって分類されることが多い。その中でも、パーフルオロポリエーテル油をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーや無機増ちょう剤により増ちょうさせたグリースをフッ素グリースと呼ぶ。
フッ素グリースは、その基油に由来する優れた性能により、潤滑性、耐熱性、酸化安定性、対樹脂性、対ゴム性、低発塵性、耐薬品性といった非常に多機能を誇るグリースである。このフッ素グリースは、特に、家電製品等の精密でデリケートな部分に使用されることが多い。家電製品は、製品によっては10年以上をメンテナンスすることなく取り扱うため、フッ素グリースの多機能性は要求仕様を十分満足させ得る。
このように、フッ素系グリースはその性能に優れる一方で、高価なものである。そこで、フッ素グリースをフッ素系の溶剤であるハイドロフルオロエーテルやハイドロフルオロカーボン等に溶解又は分散した液状潤滑剤である溶剤希釈型フッ素系潤滑剤が用いられている(例えば、特許文献1)。このような溶剤希釈型フッ素系潤滑剤は、フッ素グリースを薄膜で塗布し得るため、フッ素グリースの使用量を減らすことができ、コストを低減することができる。また、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤は、液状潤滑剤であるため、ディッピングや刷毛塗りといった塗布方法により作業効率・生産性を向上させることが可能になり、また、有効成分量をコントロールすることで溶剤の塗布量を調整可能となって、結果として生産コストを低減することができる。
上述した溶剤希釈型フッ素系潤滑剤においては、フッ素系グリースの分散性が高いことからハイドロフルオロエーテルやハイドロフルオロカーボン等を溶剤として用いているが、これらの溶剤はオゾンを破壊せず、また、比較的低い地球温暖化係数を有しているものの、少なからず環境負荷に影響を及ぼし得るため、より環境負荷を低減すべく改良の余地がある。
また、上述したとおり、フッ素グリースは溶剤希釈型とすることで生産コストの低減を図ることができるが、ハイドロフルオロエーテルやハイドロフルオロカーボン等の溶剤も高価であるため、さらなる生産コストの観点からも改良の余地がある。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、環境負荷が少なく、原料コストが低減され、且つ高い潤滑性を有するフッ素グリースを形成し得る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤の希釈溶剤として水と有機溶剤の混合溶剤(以下、単に「混合溶剤」ということもある。)を用いるとともに、クロロトリフルオロエチレン低重合物を基油とするフッ素グリースを用いることにより、環境負荷が少なく、原料コストを低減しながらも、高い潤滑性を有するフッ素グリースを形成し得る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、フッ素グリースを溶剤に希釈してなる溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物であって、前記溶剤が水と有機溶剤との混合溶剤であり、前記フッ素グリースは、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含み、当該組成物中における前記基油の含有量が5質量部〜15質量部の範囲である、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記混合溶剤は、グリコール系溶剤と水の混合溶剤である、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記混合溶剤における、グリコール系溶剤と水の混合比(グリコール系溶剤:水)は、質量比で65:35〜95:5である、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記混合溶剤は、前記溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、81質量部〜93質量部の割合で含有されている、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、固体潤滑剤をさらに含む、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン及び/又はフッ化黒鉛を含む、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
(7)本発明の第7の発明は、第5又は第6の発明において、前記固体潤滑剤は、前記溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、1質量部〜4質量部の割合で含有されている、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物である。
本発明によれば、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤の希釈溶剤として水と有機溶剤の混合溶剤を用いるとともに、クロロトリフルオロエチレン低重合物を基油としてフッ素グリースを用いることにより、環境負荷が少なく、原料コストを低減しながらも、高い潤滑性を有するフッ素グリースを形成し得る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。さらに、本明細書において、混合比についての「W:X〜Y:Z」(W、X、Y、Zは任意の数値)との表記は、前項と後項の和が100となる範囲で、前項がW以上Y以下の範囲、後項がX以下Z以上の範囲をとることを意味する。
≪1.溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物≫
本実施の形態に係る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物(以下、単に「潤滑剤組成物」又は「組成物」ともいう)は、フッ素グリースを溶剤に溶解又は分散してなるものである。溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物では、塗布対象の部材に塗布すると、組成物中の溶剤が蒸発し、その塗布面に薄膜状にフッ素グリースを形成させる。
本実施の形態に係る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物(以下、単に「潤滑剤組成物」又は「組成物」ともいう)は、フッ素グリースを溶剤に溶解又は分散してなるものである。溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物では、塗布対象の部材に塗布すると、組成物中の溶剤が蒸発し、その塗布面に薄膜状にフッ素グリースを形成させる。
具体的に、この溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、フッ素グリースを溶剤に希釈してなり、その溶剤が、水と有機溶剤との混合溶剤であり、フッ素グリースは、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含有する。そして、当該組成物において、その基油の含有量が5質量部〜15質量部の範囲であることを特徴としている。
上述したとおり、このような溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物では、水含有溶剤を用いる。水は通常フッ素グリースに使用されるハイドロフルオロエーテルやハイドロフルオロカーボン等の溶剤を用いた場合に比べて、有機溶剤の使用量を減らすことができ、環境負荷及び原料コストを著しく抑制することができる。
このような溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物では、混合溶剤を用いた場合でも、フッ素グリースの基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を用いることにより、そのフッ素グリースを安定的に溶解又は分散させることができる。また、このような溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物によれば、後述する固体潤滑剤も均一に分散させることができるため、高い潤滑性を有するフッ素グリースを形成することができる。
[フッ素グリース]
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、上述したように、フッ素グリースを溶剤に溶解又は分散して構成されている。当該組成物を構成する溶剤は、水と有機溶剤との混合溶剤であり、フッ素グリースは、少なくとも、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含むものである。
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、上述したように、フッ素グリースを溶剤に溶解又は分散して構成されている。当該組成物を構成する溶剤は、水と有機溶剤との混合溶剤であり、フッ素グリースは、少なくとも、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含むものである。
(1)クロロトリフルオロエチレン低重合物
クロロトリフルオロエチレン低重合物は、所定量の水に溶解することが知られており、クロロトリフルオロエチレンの重量平均分子量300〜1200の重合物であり、フッ素グリースの基油として用いるものである。
クロロトリフルオロエチレン低重合物は、所定量の水に溶解することが知られており、クロロトリフルオロエチレンの重量平均分子量300〜1200の重合物であり、フッ素グリースの基油として用いるものである。
基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物の含有量としては、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し5質量部〜15質量部である。クロロトリフルオロエチレン低重合物の含有量が5質量部〜15質量部であることにより、高い潤滑性を有しながら、フッ素グリースを均一に水含有溶媒に溶解又は分散させることができる。また、クロロトリフルオロエチレン低重合物の含有量としては、特に限定されないが、例えば5.2〜15質量部であることが好ましく、5.4質量部〜15質量部であることがより好ましい。
(2)固体潤滑剤
フッ素グリースは、固体潤滑剤を含有することができる。固体潤滑剤としては、特に限定されないが、例えばフッ化黒鉛及び/又はポリテトラフルオロエチレンを用いることが好ましい。フッ化黒鉛やポリテトラフルオロエチレンは、フッ素グリースに高い潤滑性を付与することができ、またクロロトリフルオロエチレン低重合物との相性もよい。したがって、当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を塗布した後に均一なフッ素グリースを形成することができる。
フッ素グリースは、固体潤滑剤を含有することができる。固体潤滑剤としては、特に限定されないが、例えばフッ化黒鉛及び/又はポリテトラフルオロエチレンを用いることが好ましい。フッ化黒鉛やポリテトラフルオロエチレンは、フッ素グリースに高い潤滑性を付与することができ、またクロロトリフルオロエチレン低重合物との相性もよい。したがって、当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を塗布した後に均一なフッ素グリースを形成することができる。
固体潤滑剤としてフッ化黒鉛を用いる場合、フッ化黒鉛の平均粒径としては、特に限定されないが、例えば10μm以下のものを用いることが好ましく、0.1μm〜5μmのものを用いることがより好ましい。一般に、固体潤滑剤の粒径が小さいほど、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物との接触面積が大きくなるため、クロロトリフルオロエチレン低重合物の油分離を小さくする効果が得られる。なお、「平均粒径」とは、レーザー回折法により求められるメジアン径を言うものとする。
固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンを用いる場合、特に限定されないが、例えば平均粒径が10μm以下のものを用いることが好ましい。
固体潤滑剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し1質量部〜4質量部であることが好ましく、1.2質量部〜3.8質量部であることがより好ましく、1.4質量部〜3.7質量部であることがさらに好ましい。固体潤滑剤の含有量が1質量部〜4質量部であることにより、固体潤滑剤を混合溶剤に均一に分散させることができる。
また、固体潤滑剤の含有量としては、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物との配合比に基づいて決定することもできる。具体的には、クロロトリフルオロエチレン低重合物:固体潤滑剤の比率が、97:3〜50:50の範囲となるように配合させることが好ましく、95:5〜60:40の範囲となるように配合させることがより好ましく、90:10〜70:30の範囲となるように配合させることがさらに好ましい。クロロトリフルオロエチレン低重合物との配合比との関係において、固体潤滑剤の配合比率が3質量%未満であると、潤滑性に乏しくなり、一方で、固体潤滑剤の配合比率が50質量%を超えると、乾燥後の状態においてハンドリング性が悪く、トルクが高くなる等の弊害が生じる可能性がある。
ここで、上述した固体潤滑剤と、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物とが、当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物における実質的な有効成分となる。この有効成分の組成物中における割合としては1質量%〜50質量%であることが好ましく、3質量%〜25質量%の割合で含まれることがより好ましい。
[混合溶剤]
混合溶剤は、水と有機溶剤との混合溶剤であり、上述したフッ素グリースを希釈するために使用するものである。
混合溶剤は、水と有機溶剤との混合溶剤であり、上述したフッ素グリースを希釈するために使用するものである。
混合溶剤は、非引火性を有するものであることが好ましい。混合溶剤が非引火性を有するものであることにより、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物のハンドリング性、安全性がより高いものとなる。なお、非引火性とは、タグ密閉法(JIS K 2265−1:2007)で引火が認められないと判断されるものである。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えばモノアルコール、多価アルコール、ピロリドン系溶剤等の水溶性溶剤(水と相溶性を有する溶剤)であることが好ましく、その中でもグリコール系溶剤であることがより好ましい。グリコール系溶剤は、水に対して十分な相溶性を有するとともに、水と混合して上述したフッ素グリースを十分に溶解又は分散させるとともに引火性を有さず、また環境への影響も極めて小さい。
グリコール溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール等のグリコール類、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等のメトキシブタノール類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール等の環状エーテルアルコール類、γ−ブチルラクトン等を用いることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。なお、これらの中でも、グリコールエーテル類を用いることがより好ましい。
グリコール系溶剤と水の混合比(グリコール系溶剤:水)としては、特に限定されないが、例えば質量比で65:35〜95:5であることが好ましく、67:33〜90:10であることがより好ましく、70:30〜85:15であることがさらに好ましい。リコール系溶剤と水の混合比が、質量比で65:35〜95:5であることにより、フッ素グリースの溶解又は分散性をより高めることができる。
混合溶剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば当該溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、81質量部〜93質量部であることが好ましく、81.5質量部〜93質量部であることがより好ましく、82質量部〜93質量部であることがさらに好ましい。混合溶剤の含有量が81質量部〜93質量部であることにより、フッ素グリースの溶解又は分散性をより高めることができる。
[その他の成分]
なお、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物には、上述した成分のほか、その効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を配合させることができる。例えば、摩擦調整剤、金属腐食防止剤、防錆剤といった種々の添加剤を配合させることができる。
なお、溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物には、上述した成分のほか、その効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を配合させることができる。例えば、摩擦調整剤、金属腐食防止剤、防錆剤といった種々の添加剤を配合させることができる。
≪2.溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物の製造方法≫
本実施の形態に係る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、例えば以下の方法により製造することができる。
本実施の形態に係る溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物は、例えば以下の方法により製造することができる。
具体的には、例えば、グリコール系溶剤と水を混合して混合溶剤をなし、これを公知の撹拌方法にて撹拌しながら、そこにフッ素グリースを投入して分散させる。また、必要に応じて各種の添加剤を加えて分散させる。これにより、フッ素グリースを混合溶剤に分散させてなる溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を得ることができる。
フッ素系溶剤へのフッ素グリースの分散処理に際しては、例えば、プロペラ撹拌機、ディゾルバー、ディスパーマット、スターミル、ダイノーミル、アジテーターミル、クレアミックス、フィルミックス等の湿式撹拌・分散処理装置を用いて行うことができる。なお、上述したような順序で各成分を添加することに限られず、各成分を同時に添加して撹拌してもよい。
なお、フッ素系溶剤に分散させるフッ素グリースの製造方法についても、特に限定されるものではなく、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物に、例えば固体潤滑剤と、必要に応じて各種の添加剤とを混合した後、100℃〜150℃程度の温度にて混練することによって得ることができる。
フッ素グリースの製造に際しての混練処理や分散処理についても、例えば、3本ロールミル、万能撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル等の周知の撹拌・分散処理装置を用いて行うことができる。
以下に、本発明の具体的な実施例を示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物の作製>
実施例、比較例において、下記表1に示す配合割合にて含有させた溶剤希釈型潤滑剤組
成物を作製した。なお、配合量は「質量%」で表され、組成物を構成する成分材料として
はそれぞれ以下のものを用いた。
実施例、比較例において、下記表1に示す配合割合にて含有させた溶剤希釈型潤滑剤組
成物を作製した。なお、配合量は「質量%」で表され、組成物を構成する成分材料として
はそれぞれ以下のものを用いた。
[成分]
(基油)
クロロトリフルオロエチレン低重合物 :ダイフロイル#10
(ダイキン工業社製、粘度190〜490cSt 25℃、平均分子量900)
パーフルオロポリエーテル油 :Fomblin Y06
(ソルベイスペシャリティポリマーズジャパン社製)
(固体潤滑剤)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) :ZONYL TLP 10F−1
(デュポン株式会社製)
フッ化黒鉛 :セフボンCMA(旭硝子社製)
(混合溶剤)
混合溶剤 :HA−IS16
(東ソー社製、グリコール系溶剤約85%と水約15%の混合物)
(フッ素系溶剤)
フッ素系溶剤 :NOVEC7200(スリーエムジャパン社製)
(基油)
クロロトリフルオロエチレン低重合物 :ダイフロイル#10
(ダイキン工業社製、粘度190〜490cSt 25℃、平均分子量900)
パーフルオロポリエーテル油 :Fomblin Y06
(ソルベイスペシャリティポリマーズジャパン社製)
(固体潤滑剤)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) :ZONYL TLP 10F−1
(デュポン株式会社製)
フッ化黒鉛 :セフボンCMA(旭硝子社製)
(混合溶剤)
混合溶剤 :HA−IS16
(東ソー社製、グリコール系溶剤約85%と水約15%の混合物)
(フッ素系溶剤)
フッ素系溶剤 :NOVEC7200(スリーエムジャパン社製)
[作製手順]
先ず、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物(ダイフロイル#10)と固体潤滑剤とを混練し、3本ロールミルで分散処理を施して、グリース組成物を作製した。一方で、容器に所定量秤量した混合溶剤(HA−IS16)をプロペラ撹拌機で撹拌しながら、作製したグリース組成物を投入して撹拌混合した。これにより、混合溶剤にフッ素グリースを分散させてなる溶剤希釈型潤滑剤組成物を作製した。
先ず、基油であるクロロトリフルオロエチレン低重合物(ダイフロイル#10)と固体潤滑剤とを混練し、3本ロールミルで分散処理を施して、グリース組成物を作製した。一方で、容器に所定量秤量した混合溶剤(HA−IS16)をプロペラ撹拌機で撹拌しながら、作製したグリース組成物を投入して撹拌混合した。これにより、混合溶剤にフッ素グリースを分散させてなる溶剤希釈型潤滑剤組成物を作製した。
<評価>
作製した溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物について、以下の評価を行った。
作製した溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物について、以下の評価を行った。
[相溶性試験]
スクリュー瓶にグリースと混合溶剤を規定量にて調合し、その後上下に数回振って混合し、混合物の状態を目視で確認した。完全溶解したものを「○」、不溶(分離、白濁)したものを「×」として評価した。
スクリュー瓶にグリースと混合溶剤を規定量にて調合し、その後上下に数回振って混合し、混合物の状態を目視で確認した。完全溶解したものを「○」、不溶(分離、白濁)したものを「×」として評価した。
[可燃性試験]
タグ密閉法(JIS K 2265−1:2007)により、引火点の有無を確認した。
タグ密閉法(JIS K 2265−1:2007)により、引火点の有無を確認した。
[潤滑性試験]
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物中に綿棒を十分に含浸し、POM板の全面に均一に塗布した。その後、60℃で、1時間乾燥し被膜を形成した。得られた試験用被膜試料について、試験機としてトライボギヤ(新東科学株式会社製 TRIBOGEAR TYPE:14)を用い、下記表1に示す試験条件で、単動させたときの平均摩擦係数を測定することによって評価した。
(試験条件)
評価試験機 :トライボギヤ
テストピース :上 球(ABS樹脂製、3/8インチ)、下 板(POM樹脂製、80×40×t2mm)
荷重 :200gf 又は 1000gf
摺速 :1200mm/min
温度 :室温
往復回数 :単動
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物中に綿棒を十分に含浸し、POM板の全面に均一に塗布した。その後、60℃で、1時間乾燥し被膜を形成した。得られた試験用被膜試料について、試験機としてトライボギヤ(新東科学株式会社製 TRIBOGEAR TYPE:14)を用い、下記表1に示す試験条件で、単動させたときの平均摩擦係数を測定することによって評価した。
(試験条件)
評価試験機 :トライボギヤ
テストピース :上 球(ABS樹脂製、3/8インチ)、下 板(POM樹脂製、80×40×t2mm)
荷重 :200gf 又は 1000gf
摺速 :1200mm/min
温度 :室温
往復回数 :単動
<結果>
下記表1に、実施例、比較例における溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物の組成を示すと
ともに、上述した評価試験の結果をまとめて示す。
下記表1に、実施例、比較例における溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物の組成を示すと
ともに、上述した評価試験の結果をまとめて示す。
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物を塗布しなかった場合(表1に「ブランク」と示した。)、摩擦係数は、0.032(200gf)、0.833(1000gf)であり、摩擦係数を測定した試料では、いずれもこれらの数値を下回っており、一定の潤滑剤としての機能を示した。
実施例1〜5においては、溶剤とフッ素グリースが相溶し、均一な溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物が得られた。そして、これにより形成された被膜は、ハイドロフルオロエーテルを溶剤として使用した参考例1の組成物より形成された従来の被膜と同程度かそれよりも高い潤滑性を示した。
比較例1及び3においては、溶剤とフッ素グリースが相溶し、均一な溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物が得られず、潤滑性試験を行うことができなかった。
これに対し、比較例2においては、溶剤とフッ素グリースが相溶し、均一な溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物が得られたが、これにより形成された被膜は、潤滑性が低いものとなった。
Claims (7)
- フッ素グリースを溶剤に希釈してなる溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物であって、
前記溶剤が水と有機溶剤との混合溶剤であり、
前記フッ素グリースは、基油としてクロロトリフルオロエチレン低重合物を含み、
当該組成物中における前記基油の含有量が5質量部〜15質量部の範囲である、
溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 前記混合溶剤は、グリコール系溶剤と水の混合溶剤である、
請求項1に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 前記混合溶剤における、グリコール系溶剤と水の混合比(グリコール系溶剤:水)は、質量比で65:35〜95:5である、
請求項2に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 前記混合溶剤は、前記溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、81質量部〜93質量部の割合で含有されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 固体潤滑剤をさらに含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 前記固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン及び/又はフッ化黒鉛を含む、
請求項5に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。 - 前記固体潤滑剤は、前記溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物に対し、1質量部〜4質量部の割合で含有されている、
請求項5又6に記載の溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物。
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JP2019015978A JP2020122117A (ja) | 2019-01-31 | 2019-01-31 | 溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物 |
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CN112322371A (zh) * | 2020-11-03 | 2021-02-05 | 安徽绿环泵业有限公司 | 一种磁力泵用耐腐蚀滑动轴承润滑剂的制备方法 |
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2019
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