JP2020122081A - 重合体組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
≪ゴム組成物≫
本発明のゴム組成物は、高飽和ジエン系重合体と短繊維とを含有する。
本発明に係る高飽和ジエン系重合体(以下、(A)重合体ともいう。)は、炭素−炭素不飽和結合を有する重合体であり、上記式(1)で表される構造単位、上記式(2)で表される構造単位、上記式(3)で表される構造単位、及び上記式(4)で表される構造単位の重合体中の構成比(モル比)をそれぞれp、q、r、sとしたとき、下記数式(i)で表される値αが0.6以上である。
α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
(A)重合体が水添共役ジエン系重合体である場合、水添前の共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する重合体であり、共役ジエン化合物に由来する構造単位と芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とを有する共重合体であることが好ましい。本重合工程は、共役ジエン化合物、好ましくは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを含むモノマーを重合して、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。
変性工程は、上記重合工程により得られた共役ジエン系重合体の活性末端と、シリカと相互作用する官能基を有する化合物(以下、化合物(C2)ともいう。)と、を反応させる工程である。この工程により、共役ジエン系重合体の重合終了末端に、シリカと相互作用する官能基を導入することができる。なお、本明細書において活性末端とは、分子鎖の端に存在する、炭素−炭素二重結合を有するモノマーに由来する構造以外の部分(より具体的には金属末端)を意味する。
R5及びR9は、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルカンジイル基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基が好ましい。
r及びmは、共役ジエン系重合体との反応性を高める観点から、0又は1が好ましい。
A1が上記1価の官能基である場合においてA1が有する、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子、並びにA2が有する、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子は、活性水素に結合しておらず、保護基(例えば3置換のヒドロカルビルシリル基等)で保護されていることが好ましい。なお、本明細書において活性水素とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素−水素結合よりも結合エネルギーが低いものを指す。保護基とは、A1、A2を重合活性末端に対して不活性な官能基に変換しておく官能基である。(チオ)エポキシ基とは、エポキシ基及びチオエポキシ基を包含する意味である。
末端変性反応の温度は、通常、上記重合反応の温度と同じであり、−20〜150℃であることが好ましく、0〜120℃であることがより好ましく、20〜100℃であることが特に好ましい。変性反応の温度が低いと、変性共役ジエン系重合体の粘度が上昇する傾向がある。一方、変性反応の温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。変性反応の反応時間は、好ましくは1分〜5時間であり、より好ましくは2分〜1時間である。
本発明に係る水添共役ジエン系重合体は、上記で得られた変性又は未変性の共役ジエン系重合体を水添することにより得ることができる。水添反応の方法及び条件は、所望の水添率の共役ジエン系重合体が得られるのであれば、いずれの方法及び条件を用いることも可能である。それらの水添方法の例としては、チタンの有機金属化合物を主成分とする触媒を水添触媒として使用する方法、鉄、ニッケル、コバルトの有機化合物とアルキルアルミニウム等の有機金属化合物からなる触媒を使用する方法、ルテニウム、ロジウム等の有機金属化合物の有機錯体を使用する方法、パラジウム、白金、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ等の担体に担持した触媒を使用する方法などがある。各種の方法の中では、チタンの有機金属化合物単独、又はチタンの有機金属化合物とリチウム、マグネシウム、アルミニウムの有機金属化合物とから成る均一触媒(特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報)を用い、低圧、低温の穏和な条件で水添する方法は工業的に好ましく、またブタジエンの二重結合への水添選択性も高く本発明の目的に適している。
α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
αを0.6以上とすることにより、高強度であってかつ耐摩耗性に優れた架橋ゴムを得ることができる。この様な理由から、αは0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましく、0.9以上であることが特に好ましい。なお、上記数式(i)のαは、水添共役ジエン系重合体の水添率に相当する。例えば、αが0.6の場合、水添共役ジエン系重合体の水添率は60%である。また、αは0.99以下であることが好ましい。水添共役ジエン系重合体中の水添率は、水添反応の時間等により調整することができる。この水添率は1H−NMRにより測定することができる。なお、(A)重合体がジエン系モノマーと非共役オレフィンとを共重合して得られる重合体の場合、αの値は共重合させるモノマー比率を変更することで調整することができる。
本発明に係る(B)短繊維としては、有機短繊維、無機短繊維が挙げられる。(B)短繊維は、これらのうち、有機ポリマーからなる短繊維及び炭素繊維よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本実施形態に係る架橋ゴムは、熱処理されてなるものである。その熱処理のためにゴム組成物に含有される架橋剤の種類は特に限定されない。架橋剤の具体例としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等を挙げることができる。これらのうち、有機過酸化物、フェノール樹脂及び硫黄よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。架橋剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤として硫黄を使用する場合において、硫黄の使用量は、架橋ゴムを製造するためのゴム組成物中に含まれるゴム成分の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.5〜3質量部とすることがより好ましい。
フィラーの配合量は、使用目的に応じて適宜決定すればよいが、例えば、ゴム組成物中に配合されるゴム成分100質量部に対し、5〜150質量部である。ゴム組成物中におけるシリカ及びカーボンブラックの合計量は、ゴム組成物中に含まれるゴム成分の全体量100質量部に対して、好ましくは20〜130質量部、より好ましくは25〜110質量部である。
<架橋工程>
本発明に係るゴム組成物をゴム成形品とする場合、通常、ゴム組成物を所定形状に成形した後、架橋処理を行う。ゴム成形品の製造は、常法に従い行うことができる。例えばタイヤの製造は、上記ゴム組成物を、ロールやミキサー等の混合機で混合し、所定の形状に成形にしたものを、常法に従い外側に配して加硫成形することにより、トレッド及びサイドウォールの一方又は両方が形成され、空気入りタイヤが得られる。なお、ゴム成形品を得る際、架橋剤、架橋助剤としては、上述の架橋剤及び架橋助剤を用いることができる。
[1,2−ビニル含量(%)]:500MHzの1H−NMRによって求めた。
[変性前分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC−8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算で求めた。
(GPCの条件)
カラム;商品名「GMHXL」(東ソー社製)2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/分
サンプル濃度;10mg/20ml
[ムーニー粘度]:JIS K6300−1:2013に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で求めた。
[水添率(%)]及び[α]:500MHzの1H−NMRによって求めた。
〈水添触媒の製造〉
〔製造例1:触媒Aの合成〕
撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、無水テトラヒドロフラン200ml及びテトラヒドロフルフリルアルコール0.2モルを加えた。その後、n−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液(0.2モル)を三つ口フラスコ中に15℃にて滴下して反応を行い、テトラヒドロフルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を得た。
次に、撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド49.8g(0.2モル)及び無水テトラヒドロフラン250mlを加えた。そして、上記記載の方法により得られたテトラフルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を室温撹拌下にて約1時間で滴下した。約2時間後、赤褐色液を濾過し、不溶部をジクロロメタンで洗浄した。
その後、ろ液及び洗浄液を合わせて減圧下にて溶媒を除去することにより、触媒A[ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウム(テトラヒドロフルフリルオキシ)クロライド](「[クロロビス(2,4−シクロペンタジエニル)チタン(IV)テトラヒドロフルフリルアルコキシド]」ともいう。)を得た。なお、収率は95%であった。
〔製造例2:水添共役ジエン系ゴムAの合成〕
窒素置換された内容積10リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン5000g、テトラヒドロフラン150.0g、スチレン250g、1,3−ブタジエン730gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(11.60mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン20gを追加し、更に5分重合させ、重合体を含む反応液を得た。得られた反応液にN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを加え、30分間反応させた。
次いで、上記触媒A0.32g、テトラクロロシラン0.39gを加え、水素圧1.0MPaを保つようにして55分間反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合体溶液を得た。
次いで、pH調整剤であるアンモニアによりpH8.5(ガラス電極法による、80℃におけるpH、以下同じ。)に調整した水溶液(温度:80℃)を脱溶媒槽に入れ、更に上記重合体溶液を加え(重合体溶液100質量部に対して、前記水溶液200質量部の割合)、脱溶媒槽の液相の温度:95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで、水添共役ジエン系ゴムAを得た。得られた水添共役ジエン系ゴムAの性質を下記表1に示す。
〔製造例3:共役ジエン系ゴムSの合成〕
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2750g、テトラヒドロフラン50.0g、スチレン125g、1,3−ブタジエン365gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(5.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させ、重合体を含む反応液を得た。得られた反応液にN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン4.25gを加え、30分間反応させた。得られた重合体溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加した。次いで、水酸化ナトリウムでpH=9に調整した熱水を用いてスチームストリッピングを行うことにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共役ジエン系ゴムSを得た。得られた共役ジエン系ゴムSの性質を下記表1に示す。
[実施例1〜5及び比較例1、2]
温度制御装置を付属したプラストミル(内容量250cc)を使用し、一段目の混練として、充填率72%、回転数60rpmの条件で、下記表2の配合処方により、水添共役ジエン系ゴムA、共役ジエンン系ゴムS、天然ゴム、シリカ、カーボンブラック、短繊維、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華を混練した。次いで、二段目の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、硫黄、加硫促進剤を混練した。これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、以下の(1)〜(3)の特性評価を実施した。
(1)ムーニー粘度:加硫前のゴム組成物を測定用試料とし、JIS K6300−1:2013に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。数値が小さいほど、ゴム組成物の加工性が良好である。
(2)引張試験:JIS K6251:2010に準拠して、試験用加硫ゴムシートからなる3号ダンベル型試験片を作製し、100%伸長モジュラス(M100)を測定した。比較例1を100とした指数で表示し、数値が大きいほど高強度である。
(3)耐摩耗性:加硫ゴムを測定用試料とし、DIN摩耗試験機(東洋精機社製)を使用し、JIS K 6264−2:2005に準拠し、荷重10Nで25℃にて測定した。比較例1を100とした指数で表示し、数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。
実施例1〜5及び比較例1、2の特性評価の結果を下記表2に示す。
水添SBR:水添共役ジエン系ゴムA
SBR:共役ジエン系ゴムS
繊維1:大和ポリマー社製 HA1060(繊維長:500μm)
繊維2:フレキシス社製 SANTOWEB DX(繊維長:1.5mm)
繊維3:帝人社製 コーネックス短繊維(繊維長:2mm、繊維径:14μm)
繊維4:東レ社製 トレカ カットファイバー T010-003(繊維長:3mm)
カーボンブラック:三菱ケミカル社製 ダイアブラックN339
シリカ:東ソー・シリカ社製 ニプシルAQ
シランカップリング剤:エボニック社製 Si69
老化防止剤:大内新興化学工業社製 ノクラック810NA
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業社製 ノクセラーCZ
加硫促進剤D:大内新興化学工業社製 ノクセラーD
表2中、「−」は、該当する欄の化合物を使用しなかったことを表す。
Claims (6)
- 前記(A)重合体は、アミノ基、窒素含有複素環基、ホスフィノ基、水酸基、チオール基及びヒドロカルビルオキシシリル基よりなる群から選ばれる一種以上の官能基を有する、請求項1に記載の重合体組成物。
- 前記(A)重合体は、下記式(9)で表される化合物又は下記式(10)で表される化合物に由来する部分構造を有する、請求項1又は2に記載の重合体組成物。
- 更に架橋剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体組成物。
- 請求項4に記載の重合体組成物から得られる架橋体。
- 請求項5の架橋体によりトレッド及びサイドウォールの一方又は両方が形成されたタイヤ。
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