JP2020122062A - ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物 - Google Patents

ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020122062A
JP2020122062A JP2019013902A JP2019013902A JP2020122062A JP 2020122062 A JP2020122062 A JP 2020122062A JP 2019013902 A JP2019013902 A JP 2019013902A JP 2019013902 A JP2019013902 A JP 2019013902A JP 2020122062 A JP2020122062 A JP 2020122062A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
weight
poly
less
ester compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019013902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7187338B2 (ja
Inventor
智亮 齋藤
Tomoaki Saito
智亮 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2019013902A priority Critical patent/JP7187338B2/ja
Publication of JP2020122062A publication Critical patent/JP2020122062A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7187338B2 publication Critical patent/JP7187338B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】押出ブロー成形により実用的な加工条件でボトル容器を安定的に生産でき、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅や、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広い、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む樹脂組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下とを含み、下記の溶融粘度(Pa・s)とドローダウン時間(sec)との比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下である樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む樹脂組成物及びその製造方法に関する。
近年、プラスチック廃棄物が、生態系への影響、燃焼時の有害ガス発生、大量の燃焼熱量による地球温暖化等、地球環境に大きな負荷を与えることが問題となっており、前記問題を解決できるものとして、生分解性プラスチックの開発が盛んになっている。中でも生分解性プラスチックが植物由来の原料から製造される場合、前記生分解性プラスチックを燃焼させた際に出る二酸化炭素は、もともと空気中にあったもので、大気中の二酸化炭素は増加しない。このことをカーボンニュートラルと称し、二酸化炭素削減目標値を課した京都議定書の下、重要視され、積極的な使用が望まれている。
最近、生分解性およびカーボンニュートラルの観点から、植物由来のプラスチックとして生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂が注目されており、特にポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと称する場合がある)系樹脂、さらにはPHA系樹脂の中でもポリ(3−ヒドロキシブチレート)単独重合樹脂(P3HBと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)共重合樹脂(P3HB3HVと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂(P3HB3HHと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)共重合樹脂(P3HB4HBと称する場合がある)等のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(P3HAと称する場合がある)が注目されている。
一般的にP3HA、特に共重合P3HAは熱分解しやすく、溶融成形による加工性に劣り、また得られる成形体の物性も不十分になるという問題を有している。そして、このような問題を解消するための試みが実施されている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許第6201083号
しかしながら、従来の方法では、依然、P3HAからなるボトル容器を押出ブロー成形により工業的に製造することは困難であった。例えば、特許文献1記載の方法では、安定的に押出ブロー成形を実施するために選択可能な温度条件の幅が狭く、製造可能なボトル容器の重量が限定的であることがわかった(例えば、本願の比較例参照)。
したがって、本発明の目的は、押出ブロー成形により実用的な加工条件でボトル容器を安定的に生産でき、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅や、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広い、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、見かけの溶融粘度とドローダウン比が特定の関係で制御されたポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)含有樹脂組成物によると、押出ブロー成形により実用的な加工条件でボトル容器を安定的に生産でき、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅や、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広くなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、例えば下記発明を提供する。
[1] ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下とを含み、下記の溶融粘度(Pa・s)とドローダウン時間(sec)との比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下である樹脂組成物。
溶融粘度:キャピラリーレオメーターを用いて、バレル設定温度170℃、半径(D)0.4775cmのバレルの先に接続された半径(d)0.05cm、キャピラリー長さ(l)1cmのオリフィスから、体積流量(Q)0.716cm/分、せん断速度122sec−1で溶融した樹脂組成物を押し出した時の荷重(F)を測定し、下記式(1)より算出される見かけの溶融粘度(η)。
ドローダウン時間:前記溶融粘度を測定する際にオリフィスから吐出した樹脂組成物が20cm落下するまでに要する時間。
Figure 2020122062
[2] 前記溶融粘度が1000(Pa・s)以上、2000(Pa・s)以下である[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記ドローダウン時間が15(sec)以上、80(sec)以下である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下との溶融混練物である[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 押出ブロー成形によって、押出機のダイ設定温度150℃以上の温度条件で、重量50g以下のボトル容器を作製可能なダイ設定温度とボトル容器重量の範囲を示す成形可能領域が、100(℃・g)以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] エステル化合物が、ラジカル反応性の官能基を持たないエステル化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] エステル化合物が、グリセリンエステル系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物及びイソソルバイドエステル系化合物からなる群より選択される少なくとも1種である[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 押出ブロー成形用の、[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
[11] ボトル容器である[10]に記載の成形体。
[12] [1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を製造する方法であって、
ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下とを押出機にて、樹脂温度が120℃以上、190℃以下の範囲にて溶融混練する工程を含む、製造方法。
[13] 押出機内を40秒以上、700秒以下の範囲にて滞留するように前記溶融混練を行なう、[12]に記載の製造方法。
[14] [1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を押出機中で溶融した後、環状ダイからチューブ形状に押出す工程、金型で前記チューブを両側面から挟み込む工程、及び、一端が閉じられた前記チューブに空気を吹込んでボトル形状に成形する工程、を含む、ボトル容器の製造方法。
本発明は上記構成を有するため、汎用樹脂に比べて加工温度幅が狭く、生産性も低く、押出ブロー成形性も劣るポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含むにも関わらず、押出ブロー成形により実用的な加工条件でボトル容器を安定的に生産でき、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅や、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広い、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。これにより、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)からなるボトル容器を、押出ブロー成形によって、様々な重量で、高速で大量生産することが可能になる。
成形可能領域(℃・g)及びその算出方法の一例を示すグラフ[縦軸:容器重量(g)、横軸:ダイ設定温度(℃)]である。
本発明の樹脂組成物は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部を必須成分として含む樹脂組成物である。
[ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(P3HA)]
本発明の樹脂組成物におけるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)は、生分解性を有する脂肪族ポリエステル(好ましくは芳香環を含まないポリエステル)であり、一般式:[−CHR−CH−CO−O−]で示される3−ヒドロキシアルカン酸繰り返し単位(式中、RはCH2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。)を必須の繰り返し単位として含むポリヒドロキシアルカノエートである。中でも、当該繰り返し単位を、全モノマー繰り返し単位(100モル%)に対して50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。より詳しくは、P3HAとしては、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)(P3HB3HV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HV3HH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)等が挙げられる。本発明の樹脂組成物におけるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)は、二重結合を有しないものであっても良い。
なお、微生物により産生されるP3HA(微生物産生P3HA)は、通常、D体(R体)のポリヒドロキシアルカン酸モノマー単位のみから構成されるP3HAである。微生物産生P3HAの中でも、工業的生産が容易である点から、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB3HV3HH、P3HB4HBが好ましく、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB4HBがより好ましい。
P3HA(特に、微生物産生P3HA)が3−ヒドロキシブタン酸(3HB)繰り返し単位を必須のモノマー単位として含むものである場合、そのモノマー組成比は、柔軟性と強度のバランスの観点から、全繰り返し単位(100モル%)中、3−ヒドロキシブタン酸(3HB)繰り返し単位が80モル%以上、99モル%以下であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上、97モル%以下である。3HB繰り返し単位の組成比が80モル%以上であることにより、P3HAの剛性がより向上し、また、結晶化度が低くなり過ぎず精製が容易となる傾向がある。一方、3HB繰り返し単位の組成比が99モル%以下であることにより、柔軟性がより向上する傾向がある。なお、P3HAのモノマー組成比は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる(例えば、国際公開第2014/020838号参照)。
微生物産生P3HAを生産する微生物としては、P3HA類の生産能を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、P3HB生産菌としては、1925年に発見されたBacillus megateriumが最初で、他にもカプリアビダス・ネケイター(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)などの天然微生物が知られており、これらの微生物ではP3HBが菌体内に蓄積される。
また、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体の生産菌としては、P3HB3HVおよびP3HB3HH生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、P3HB4HB生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)などが知られている。特に、P3HB3HHに関し、P3HB3HHの生産性を上げるために、P3HA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP−6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821−4830(1997))などがより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にP3HB3HHを蓄積させた微生物菌体が用いられる。また上記以外にも、生産したいP3HAに合わせて、各種P3HA合成関連遺伝子を導入した遺伝子組換え微生物を用いても良いし、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
P3HAの分子量は、目的とする用途で実質的に十分な物性を示すものであればよく、特に限定されないが、その重量平均分子量は、50,000以上、3,000,000以下が好ましく、より好ましくは100,000以上、1,000,000以下、さらに好ましくは300,000以上、700,000以下である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、ボトル容器の強度がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を3,000,000以下とすることにより、加工性がより向上し、成形がより容易となる傾向がある。当該P3HAは、後述のように、均一に且つ適度に架橋されたP3HAであることが好ましいが、前記重量平均分子量の数値は、P3HAを架橋する前に測定される値である。
架橋後のP3HAの重量平均分子量は、50,000以上、3,000,000以下が好ましく、より好ましくは100,000以上、1,000,000以下、さらに好ましくは300,000以上、700,000以下である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、ドローダウン時間がより長くなる傾向がある。一方、重量平均分子量を3,000,000以下とすることにより、加工性がより向上し、成形がより容易となる傾向がある。
前記重量平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。この際、検量線は重量平均分子量31,400、197,000、668,000、1,920,000のポリスチレンを使用して作成する。当該GPCにおけるカラムとしては、前記分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
本発明の樹脂組成物においてP3HAは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の樹脂組成物におけるP3HAの含有量は、特に限定されないが、20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。P3HAの含有量を20重量%以上とすることにより、樹脂組成物の生分解性がいっそう良好となる傾向がある。P3HAの含有量の上限は特に限定されないが、100重量%以下が好ましく、より好ましくは99重量%以下、さらに好ましくは98重量%以下である。
[他の樹脂]
本発明の樹脂組成物は、P3HA以外の樹脂(「他の樹脂」と称する場合がある)を含んでいてもよい。他の樹脂としては、本発明の樹脂組成物を成形する際に相溶性や成形加工性や機械特性を著しく低下させなければ特に限定されないが、樹脂組成物がP3HAの特徴である生分解性が要求される用途に用いられる場合には、生分解性樹脂であることが好ましい。他の樹脂としては、例えば、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸が重縮合した構造からなる脂肪族ポリエステルや、脂肪族化合物と芳香族化合物の両方をモノマーとする脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。前者の例としては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等が挙げられる。後者の例としては、ポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレンセバケート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンアゼレート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)(PBST)等が挙げられる。なお、他の樹脂は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の樹脂組成物における他の樹脂の含有量は、特に限定されないが、P3HA100重量部に対して、250重量部以下が好ましく、より好ましくは100重量部以下であり、さらに好ましくは50重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。他の樹脂の含有量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよい。
[エステル化合物]
本発明の樹脂組成物が含有していてもよいエステル化合物は、分子内にエステル結合を有する化合物(P3HA及び上述の他の樹脂は除く)である。エステル化合物としては、具体的には、変性グリセリン系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、安息香酸エステル系化合物、クエン酸エステル系化合物、イソソルバイドエステル系化合物、およびポリカプロラクトン系化合物等が挙げられる。なかでも、グリセリンエステル系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、又は、イソソルバイドエステル系化合物が好ましい。また、エステル化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。2種以上を組み合わせて使用する場合、これらエステル化合物の混合比率を適宜調整することができる。
本発明の樹脂組成物はエステル化合物を含有しないものであってもよいが、エステル化合物を含有する場合には、エステル化合物としては、ラジカル反応性の官能基(例えば、エポキシ基や炭素−炭素二重結合)を持たないエステル化合物が好ましい。ラジカル反応性の官能基を持つエステル化合物を使用した場合には、樹脂組成物中で架橋の進行が必要以上に促進されて、溶融粘度、溶融張力の制御が困難になる場合がある。この場合は、溶融粘度や溶融張力が大きくなりすぎ、押出ブロー成形を安定的に実施できないことが多い。本発明ではラジカル反応性の官能基を持たないエステル化合物を用いること、又はエステル化合物を配合しないことによって、配合や温度制御の範囲が広がり、押出ブロー成形を安定的に実施できる加工条件の選択の幅が広くなるため、プロセスの簡略化につながる。
変性グリセリン系化合物としては、グリセリンエステル系化合物が好ましい。グリセリンエステル系化合物としては、グリセリンのモノエステル、ジエステル、又はトリエステルのいずれも使用することができるが、PHAとの相溶性の観点から、グリセリンのトリエステルが好ましい。グリセリンのトリエステルのなかでも、グリセリンジアセトモノエステルが特に好ましい。グリセリンジアセトモノエステルの具体例としては、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノデカノエート等を挙げることができる。前記変性グリセリン系化合物としては、理研ビタミン株式会社の「リケマール」(登録商標)PLシリーズなどが例示される。
二塩基酸エステル系化合物としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネートなどの他に、混基二塩基酸エステル化合物などが挙げられる。
アジピン酸エステル系化合物としては、ジエチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどが挙げられる。
ポリエーテルエステル系化合物としては、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジカプリレート、ポリエチレングリコールジイソステアレートなどが挙げられる。
エステル化合物としては、コスト、汎用性に優れているのに加え、バイオマス度が高い点から、変性グリセリン系化合物が好ましく、特にP3HAとの相溶性の観点から、グリセリントリエステルがより好ましく、グリセリンジアセトモノエステルがさらに好ましく、グリセリンジアセトモノラウレートが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるエステル化合物の配合量の上限は、P3HA100重量部に対して、5重量部以下であり、4重量部以下が好ましく、3重量部以下が特に好ましい。上記含有量が5重量部を超える場合、樹脂組成物のドローダウン時間が短くなり、押出ブロー成形が可能となる成形条件が狭まる場合がある。
本発明の樹脂組成物におけるエステル化合物の含有量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよい。本発明では、エステル化合物を配合しないことにより、押出ブロー成形の成形可能領域が大きくなり、押出ブロー成形時に適用可能な樹脂温度の選択幅、及び、押出ブロー成形により製造可能なボトル容器の重量の選択幅をより広くすることができる。一方、本発明の樹脂組成物にエステル化合物を配合する場合には、その含有量の下限は、0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、1重量部以上がさらに好ましい。本発明では、エステル化合物を配合することにより、製造されるボトル容器の耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性を向上させることができる。
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の効果を阻害しない範囲で、有機系又は無機系フィラー等を含んでいてもよい。中でも、得られるボトル容器の生分解性及びカーボンニュートラルの観点から、例えば、木屑、木粉、オガ屑などの木質系材料、米殻、米粉、澱粉、コーンスターチ、稲わら、麦わら、天然ゴム等の天然由来の材料が好ましい。当該有機系又は無機系フィラーの含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。有機系又は無機系フィラーは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、上述の有機系又は無機系フィラーの他にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の添加剤として使用される顔料、染料などの着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤、しゅう動性改良剤、その他の副次的添加剤の一種又は二種以上を含んでいてもよい。当該添加剤の含有量も、適宜設定することができる。
ここで、本発明の樹脂組成物の成分としての、「結晶核剤」と「滑剤」について、さらに詳しく説明する。滑剤については、より具体的には「外滑剤」について説明する。
[結晶核剤]
本発明の樹脂組成物は、結晶核剤なども含んでいてもよい。結晶核剤としては、例えば、脂肪酸アミドや多価アルコールなどが好適に用いられる。脂肪酸アミドの例としてはベヘン酸アミドなどが挙げられ、多価アルコールの例としてはペンタエリスリトール、ガラクチトール、マンニトールなどが挙げられる。結晶核剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。結晶核剤の含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。
[外滑剤]
本発明の樹脂組成物は、外滑剤なども含んでいてもよい。外滑剤としては、例えば、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどが挙げられる。外滑剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。外滑剤の含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、例えば、有機過酸化物を使用した後述の製造方法により製造する場合、当該有機過酸化物由来の成分(例えば、当該有機過酸化物の分解物、当該分解物由来の化合物等)を含んでいてもよい。当該有機過酸化物に関する説明は、後述する。
本発明の樹脂組成物は、後述する見かけの溶融粘度(Pa・s)とドローダウン時間(sec)との比(「ドローダウン時間/溶融粘度比」と称する場合がある)が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下である樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比は、上限が8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下であり、6.0×10−2(sec/[Pa・s])以下が好ましく、5.0×10−2(sec/[Pa・s])以下が特に好ましい。下限は2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上であり、3.0×10−2(sec/[Pa・s])以上が好ましく、3.5×10−2(sec/[Pa・s])以上が特に好ましい。本発明の樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比が上記範囲に制御されていることは、特に押出ブロー成形において樹脂組成物の溶融粘度と溶融張力が適正なバランスを有することを意味する。これにより、押出ブロー成形により実用的な加工条件でボトル容器の安定的な生産が可能となり、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅や、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広がり、結果、様々な重量のボトル容器を高速で製造することが可能となる。
ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を含む樹脂組成物を上述のようなドローダウン時間/溶融粘度比を有するものとするためには、当該ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が、均一に且つ適度に架橋されたポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)であることが好ましい。当該ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)は、例えば、後述のように、未架橋(直鎖状)のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を、有機過酸化物と、必要に応じてエステル化合物とともに溶融混練する方法等により得ることができる。
一方、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が過度に架橋している場合には、それに伴う溶融粘度の増加に対して溶融張力が増加する割合が大きくなりすぎて、樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比が大きくなり過ぎ、8.0×10−2(sec/[Pa・s])を超えることになり、押出ブロー成形の安定的な実施が困難になる。一方で、架橋の程度が小さ過ぎる場合、あるいは架橋による分岐構造はないが分子量が高いことで溶融粘度が高い場合は、ドローダウン時間/溶融粘度比が小さくなり過ぎ、2.0×10−2(sec/[Pa・s])未満となり、押出ブロー成形の安定的な実施が困難になる。
本発明の樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比における溶融粘度(見かけの溶融粘度)は、以下のように定義される。
溶融粘度:キャピラリーレオメーターを用いて、バレル設定温度170℃、半径(D)0.4775cmのバレルの先に接続された半径(d)0.05cm、キャピラリー長さ(l)1cmのオリフィスから、体積流量(Q)0.716cm/分、せん断速度122sec−1で溶融した樹脂組成物を押し出した時の荷重(F)を測定し、下記式(1)より算出される見かけの溶融粘度(η)。
Figure 2020122062
本発明の樹脂組成物の上記溶融粘度は、特に限定されないが、上限は2000(Pa・s)以下が好ましく、1900(Pa・s)以下がより好ましく、1800(Pa・s)以下が特に好ましい。下限は1000(Pa・s)以上が好ましく、1100(Pa・s)以上がより好ましく、1200(Pa・s)以上が特に好ましい。上記溶融粘度を1000(Pa・s)以上とすることにより、押出ブロー成形時のパリソンのドローダウンを抑制することができ、一つの金型を用いるシングルヘッドタイプでの生産において安定した生産を実現できる傾向がある。一方、上記溶融粘度を2000(Pa・s)以下とすることにより、押出ブロー成形時のパリソン切断時の変形を抑制でき、偏肉を抑制できる傾向がある。なお、本発明の樹脂組成物の上記溶融粘度は、例えば、本発明の樹脂組成物を後述の方法により製造する場合には、有機過酸化物の添加量やエステル化合物の添加量、またP3HAの分子量等により上記範囲内に好ましく制御できる。
本発明の樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比におけるドローダウン時間は、以下のように定義される。
ドローダウン時間:上記溶融粘度を測定する際にオリフィスから吐出した樹脂組成物が20cm落下するまでに要する時間。
本発明の樹脂組成物の上記ドローダウン時間は、特に限定されないが、上限は80(sec)以下が好ましく、75(sec)以下がより好ましく、70(sec)以下が特に好ましい。下限は15(sec)以上が好ましく、20(sec)以上がより好ましく、25(sec)以上が特に好ましい。上記ドローダウン時間を15(sec)以上とすることにより、押出ブロー成形時に空気を吹込む工程にて樹脂の広がり具合を均一にすることができ穴あきを抑制することができる傾向がある。一方、上記ドローダウン時間を80(sec)以下とすることにより、ゲルの極度な発生やそれによる押出ブロー成形時の穴あきを抑制できる傾向がある。なお、本発明の樹脂組成物の上記ドローダウン時間は、例えば、本発明の樹脂組成物を後述の方法により製造する場合には、有機過酸化物の添加量やエステル化合物の添加量、またP3HAの分子量等により上記範囲内に好ましく制御することができる。
本発明の樹脂組成物は、押出ブロー成形時に適用可能な温度条件の選択幅、及び/又は、製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広いものであるが、このことを定量的に示す指標として、本願では成形可能領域を用いる。当該成形可能領域は、樹脂組成物の押出ブロー成形によって、押出機のダイ設定温度150℃以上の温度条件で、ボトル容器に目的外の薄肉部や穴が視認されない重量50g以下のボトル容器を作製可能な、ダイ設定温度とボトル容器重量の範囲を示すものである。より具体的には、成形可能領域は、後述する実施例の項に記載した方法により算出することができる。本発明において、当該成形可能領域は大きいほど好ましく、100(℃・g)以上が好ましく、200(℃・g)以上がより好ましく、300(℃・g)以上が特に好ましい。成形可能領域が大きくなるほど、温度条件と容器重量の選択の幅が広くなる。結果、樹脂温度が高くなる傾向がある条件(例えば、成形サイクル時間が短く高速で製造する条件など)でも歩留り良くボトル容器を製造することが可能になる。また、本来的に薄肉部や穴が形成されやすい、重量が軽いボトル容器であっても、歩留り良く製造することが可能になる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下とを押出機内で溶融混練する工程(「溶融混練工程」)を少なくとも含む方法により、製造できる。当該方法によると、ドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下に制御された樹脂組成物を得ることが可能である。即ち、本発明の樹脂組成物は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下とを押出機内で溶融混練して得られるものであってもよい。
[有機過酸化物]
上記溶融混練工程にて用いる有機過酸化物としては、例えば、ジイソブチルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パ−オキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシ,3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン等が挙げられる。中でも、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが好ましい。更にこれら有機過酸化物を2種類以上組み合わせたものも使用可能である。
有機過酸化物は、固体状や液体状など様々な形態で用いられ、希釈剤等によって希釈された液体状のものであってもよい。中でも、エステル化合物を配合する場合には、該エステル化合物と混合し得る形態の有機過酸化物(特に、室温(25℃)で液体状の有機過酸化物)は、P3HAに、より均一に分散することができ、樹脂組成物中での局所的な変性反応を抑制しやすくなり、ドローダウン時間/溶融粘度比を調整しやすくなるため好ましい。
なお、P3HA内での分散性を高める観点から、エステル化合物も、室温(25℃)で液体のエステル化合物が好ましい。室温で液体のエステル化合物としては、例えば融点が20℃以下のエステル化合物が好ましい。
有機過酸化物を使用してP3HA組成物を得る方法については、例えば、米国特許第9034989号に開示がある。しかしながら、当該特許では、有機過酸化物と共に、2以上のラジカル反応性官能基(例えば、エポキシ基または炭素−炭素二重結合)等を有する架橋剤を2種以上用いてP3HAを分岐させることを特徴とした技術が開示されている。当該特許に具体的に開示された組成物では、本願で定義した溶融粘度とドローダウン時間との比は8.0×10−2(sec/[Pa・s])を超えるものと推測される。更に、P3HAの熱分解温度以下の加工温度では未反応の過酸化物が組成物中に残存してしまい、このような組成物を押出ブロー成形に付した場合、残存する過酸化物が反応して局所的なゲル化を起こし、ブツが多く発生するため、特に重量の軽いボトル容器の製造は困難になると推測される。
上記溶融混練工程における有機過酸化物の配合量の上限は、0.8重量部以下であり、0.6重量部以下が好ましく、0.35重量部以下が特に好ましい。下限は、0.01重量部以上であり、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上が特に好ましい。有機過酸化物の使用量を上記範囲に制御することにより、得られる樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比を2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下に制御することが可能である。
上記溶融混練工程において使用するポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)は、上記と同様のものを使用できるが、架橋処理が施されていないポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を使用することが好ましい。具体的には、当該ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)としては、ドローダウン時間/溶融粘度比が1.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、2.0×10−2(sec/[Pa・s])以下であるものが挙げられる。なお、このようなドローダウン時間/溶融粘度比を有するポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)又はその組成物自体は、押出ブロー成形性が著しく不良である(例えば、比較例1参照)。また、当該ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)としては、上記溶融粘度が900(Pa・s)以上、1400(Pa・s)以下のもの、また、ドローダウン時間が10(sec)以上、30(sec)以下のものが挙げられる。
上記溶融混練工程における当該ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の使用量は、上述の樹脂組成物中の含有量に応じて適宜設定可能である。
上記溶融混練工程において使用するエステル化合物としては、上記と同様のものを使用でき、また、その使用量も上述の含有量に応じて適宜設定可能である。
上記溶融混練工程では、少なくともP3HAと有機過酸化物を押出機に投入して溶融混練を行なうが、これら二成分に加えて、エステル化合物や上述したような結晶核剤、外滑剤、有機又は無機系フィラー等の他の成分をあわせて押出機に投入して溶融混練を行なってもよい。しかしながら、本発明では、2以上のラジカル反応性官能基(例えば、エポキシ基または炭素−炭素二重結合)等を有する架橋剤を添加せずに、溶融混練を行なうことが好ましい。
上記溶融混練工程にあたっては、P3HAと有機過酸化物と、必要に応じエステル化合物とをそれぞれ個別に押出機に投入してもよいし、各成分を混合してから押出機に投入してもよい。特に、有機過酸化物をエステル化合物に混合してなる混合物と、P3HAをそれぞれ、押出機に投入することが好ましい。このような投入方法によると、有機過酸化物の分散性が向上して、得られる成形体においてブツが生じにくくなり、ドローダウン時間/溶融粘度比を調整しやすくなる利点が得られる。
上記溶融混練工程における溶融混練は、公知乃至慣用の方法に従って実施可能であり、例えば、押出機(一軸押出機、二軸押出機)、ニーダー等を使用して実施することができる。溶融混練の条件は、特に限定されず適宜設定可能であるが、有機過酸化物が溶融混練中に反応を完了できる樹脂温度と滞留時間を設定することが好ましい。具体的には、ダイスの温度計にて測定した樹脂温度の上限は190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下が特に好ましく、下限は120℃以上が好ましく、125℃以上がより好ましく、130℃以上が特に好ましい。また、押出機内での滞留時間の上限が700秒以下が好ましく、500秒以下がより好ましく、300秒以下が特に好ましく、下限が40秒以上が好ましく、50秒以上がより好ましく、60秒以上が特に好ましい。
樹脂温度と滞留時間は押出機の設定温度とスクリュー回転数やスクリュー構成に影響されるが、例えば、樹脂温度180℃での滞留時間が20秒以上、又は、樹脂温度170℃での滞留時間が60秒以上となるように、押出機のバレル設定温度が150℃以上、180℃以下になるバレルゾーンを押出機の半分以上に設け、スクリュー回転数を80rpm以上、200rpm以下に設定することが好ましい。一方、樹脂温度が180℃を超えるとポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の劣化が促進される場合があるため、樹脂温度180℃での滞留時間が60秒以上にならないよう、例えば、押出機のバレル設定温度が120℃以上、150℃以下になるバレルゾーンを押出機の半分以下に設定することが好ましい。ダイスから出た樹脂のペレット化(例えば、ストランドカット、水中カットなどによるペレット化)を容易にするため、ダイス設定温度は、例えば120℃以上、150℃以下にすることで、固化不足によるカット不良や、ペレットの互着を低減することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は溶融混練して得られるものであり、これを更に成形(成形加工)することにより、各種の成形体(本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体)を得ることができる。本発明では、特に、非発泡の成形体を好適に得ることができる。成形加工の方法や成形体は、特に限定されないが、特に本発明の樹脂組成物は押出ブロー成形に好適に用いることができるため、押出ブロー成形により製造されるボトル容器を好ましく例示することができる。このようなボトル容器の側壁の厚みは特に限定されないが、例えば0.1mm以上、5.0mm以下の範囲から適宜選択可能である。その他の成形体としては、インフレーション成形により製造されるフィルム、シートや、真空成形により成形される容器などを例示することができる。
前記押出ブロー成形とは、先端に環状ダイが取り付けられた押出機から溶融樹脂をチューブ形状(パリソン)に押出し、溶融状態のパリソンを金型で両側面から挟み込んでパリソンの下部をピンチオフするとともに融着させ、一端が閉じられたパリソンの内部に空気を吹込んでボトル形状に成形し、冷却後、金型を開いて成形品を取り出す方法である。当該押出ブロー成形の方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂を押出ブロー成形する際に用いられる一般的な押出ブロー成形機を用いて実施することが可能である。一般的な押出ブロー成形機とは、単軸押出機に環状ダイが取り付けられているものをいう。上記単軸押出機は、投入された原料樹脂を溶融混練し、所望の温度に保ちながら一定の吐出を得るものであればよい。
押出ブロー成形における成形温度としては、樹脂が適切に溶融できる温度であれば特に限定されるものではないが、例えば135℃以上、180℃以下が好ましい。ここでいう成形温度とは、押出機に投入してから、ダイから吐出するまでの間の樹脂温度のことを指す。樹脂温度は、一般的には例えばアダプターに設置された温度計により測定することができる。
押出ブロー成形における成形サイクル時間としては、ドローダウン時間、樹脂吐出量、空気吹込み時間により決定されるが、押出ブロー成形性を維持できる範囲で調整可能である。一般的に10(sec)以上、50(sec)以下が好ましい。
一般に成形サイクルは、樹脂吐出量を大きくすることで短くすることができるが、これに伴い、スクリューやダイを通過する際のせん断発熱が大きくなり、樹脂温度が高くなる傾向がある。この時、架橋されていないポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)ではドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])より低下し、押出ブロー成形が困難になる。しかし、本発明により、架橋されたポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を用いて樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比を2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上とすることで、樹脂温度が高くなっても押出ブロー成形が可能になる。そのため、本発明では短い成形サイクルを採用でき、高速での大量生産を実現できる利点がある。
押出ブロー成形における金型の温度は特に限定されないが、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の固化を容易にするために20℃以上、50℃以下にすることが好ましい。
本発明において、ボトル容器とは、少なくとも、略円形または多角形状の底壁と、該底壁に連結して直立した側壁と、上部に開口部と、場合により上壁とを有する中空状の容器を指し、通常、内部に液体や固体などを収納するために使用され、開口部を通じて内容物を出し入れすることができる。本発明のボトル容器の側壁の厚みは、耐衝撃性と携帯性のバランスの観点から、通常、0.1mm以上、5.0mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、2.0mm以下である。
本発明のボトル容器は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)より構成されながら耐衝撃性を確保する観点から、側壁の厚みの均一性が高くなるように成形されたものであることが好ましい。具体的には、本発明のボトル容器の側壁の最大厚みに対する最小厚みの比が0.7以上となるように成形されたものであることが好ましい。このように側壁の厚みに均一性を持たせることで、ボトル容器が落下した際に衝撃を受けても割れにくくなる。
なお、本発明において、ボトル容器の側壁の厚み、及び、側壁の最大厚みに対する最小厚みの比を決定する時には、ボトル容器の底壁および上壁の厚みや、ボトル容器の開口部を構成する壁部の厚みは考慮しない。また、側壁と底壁、上壁または開口部とを接続する角部の厚みや、側壁に設けた凹凸部における角部の厚みも考慮しない。さらに、側壁のなかでも、手によるボトル容器の持ちやすさや、意匠性、生産性等の向上を目的にして、他の側壁よりも厚く形成された側壁の厚みについても考慮しない。
また本発明のボトル容器の高さは、特に限定されないが、持ち運び性の観点から、50cm以下が好ましく、40cm以下がより好ましく、30cm以下がさらに好ましい。
本発明によると製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広くなるため、本発明のボトル容器の重量は、特に限定されないが、持ち運び性の観点も考慮して、100g以上、20g以下が好ましく、75g以上、25g以下がより好ましい。
押出ブロー成形では、樹脂吐出量を小さくするまたはダイギャップを狭めることでパリソンが薄肉化し、重量が軽いボトル容器を作製することができる。しかし、ドローダウン時間/溶融粘度比が低いと、空気を吹込んだ際に薄い部分やブツから穴があいてしまう。本発明では、樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比を2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上とすることで、押出ブロー成形によって重量が軽いボトル容器を作製する際に薄肉部や穴の形成を抑制することができる。
押出ブロー成形における成形方式は特に限定されず、単頭式、双頭式、多頭式、金型スライド式などでボトル容器を作製することができる。しかし、従来は大量生産するために押出ブロー成形機の吐出量を上げると、せん断発熱により樹脂温度が上昇して押出ブロー成形が困難になる傾向があった。本発明では樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比を2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上とすることで、押出ブロー成形機の吐出量を上げて樹脂温度が上昇してもボトル容器を好適に製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例においては、以下の原料を使用した。
(P3HA)
A−1:国際公開第2013/147139号に記載の方法に準じて得た、3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)組成が11.2モル%、GPCで測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が58万であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)
A−2:国際公開第2008/010296号に記載の方法に準じて得た、3HH組成が5.4モル%、GPCで測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が62万であるP3HB3HH
A−3:Ecomann社製EM5400F[ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)]
(有機過酸化物)
B−1:日油社製パーブチルI(t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1分間半減期温度:159℃)
B−2:化薬アクゾ社製トリゴノックス117(tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1分間半減期温度:156℃)
(エステル化合物)
C−1:理研ビタミン社製リケマールPL−012(グリセリンジアセトモノラウレート)
C−2:大八化学社製DAIFATTY101(混基二塩基酸エステル)
各実施例および比較例においては、以下の評価を実施した。
[溶融粘度]
島津製作所社製キャピラリーレオメーターを用いて、バレル設定温度170℃、半径(D)0.4775cmのバレルの先に接続された半径(d)0.05cm、キャピラリー長さ(l)1cmのオリフィスから体積流量(Q)0.716cm/分、せん断速度122sec−1で溶融した樹脂組成物を押出し、荷重(F)を測定した。下記の式(1)から見かけの溶融粘度(η)を算出した。
Figure 2020122062
[ドローダウン時間]
上記溶融粘度を測定する際にオリフィスから吐出した溶融樹脂が20cm落下するまでに要する時間を測定し、これをドローダウン時間(DT)とした。
[成形可能領域]
押出ブロー成形にてボトル容器を製造する場合に選択できる加工条件(成形時の温度とボトル容器の重量)の範囲の広さを定量的に示す指標として、「成形可能領域」を以下の方法で算出した。この「成形可能領域」は、大きいほど加工条件の選択の幅が広いことを示し、一般に加工条件の微妙な調整が難しい工業レベルでの成形加工性の指標となる。本評価では、L/D=22の単軸スクリューを有する押出機にダイ内径25φ、コアー内径22φの環状ダイが接続された中空成形機(日本製鋼所株式会社製)を使用した。
(1)まず、押出機のダイ設定温度150℃、スクリュー回転数16rpmを初期条件として、樹脂組成物の押出ブロー成形によるボトル容器の製造を実施した。なお、ダイギャップ1.5mmとし、ボトル容器製造は、環状ダイから、下方にチューブ形状(パリソン)に押出し、ダイから下方に20cm離した位置にある金型で前記パリソンを両側面から挟み込んでパリソンの下部をピンチオフするとともに融着させ、一端が閉じられたパリソンの内部に空気を吹き込むことでパリソンを成形及び冷却固化させ、上部に開口部を有し外径60mm、高さ14cm、容器重量50gのボトル容器を作製することによって実施した。その後、スクリュー回転数を下げ、容器重量を5gずつ段階的に下げてボトル容器を作製した。このボトル容器作製を、下記ボトル容器成形性評価においてボトルの外観が不良(「×」評価)になるまで実施した。これにより、ダイ設定温度150℃において押出ブロー成形可能なボトル容器重量の範囲を確認した。
(ボトル容器成形性評価)
○:得られたボトルの外観を視認し、容器に極端な薄肉部や穴が確認されない状態。
×:得られたボトルの外観を視認し、容器に極端な薄肉部や穴が確認される状態。
(2)次に、ダイ設定温度を3℃上げ、スクリュー回転数を16rpmとして上記(1)と同様に押出ブロー成形を実施し、容器重量50gのボトル容器を作製し、ダイ設定温度150℃の場合と同様にスクリュー回転数を下げ、容器重量を5gずつ段階的に下げてボトル容器を作製し、そのダイ設定温度における押出ブロー成形可能なボトル容器重量の範囲を確認した。
(3)さらに、スクリュー回転数16rpm、容器重量50gの条件でも上記ボトル容器成形性評価においてボトル容器成形性が「×」評価になるまで、ダイ設定温度を3℃ずつ段階的に上げて、上記(2)の操作を繰り返した。
以上の作業で確認したダイ設定温度150℃以上、ボトル容器重量50g以下の条件におけるボトル容器成形性評価の結果(「○」又は「×」評価)について、図1に示すような横軸をダイ設定温度(℃)、縦軸を容器重量(g)とするグラフに示した。当該グラフにおいて、○を繋いで形成される最も広い面積を、上記「成形可能領域」(℃・g)として算出し、表1に示した。図1には、実施例1の場合の成形可能領域の例を示している。図1について具体的に説明すると、ダイ設定温度が150℃、153℃、156℃、159℃、又は162℃の時、重量が50g又は45gのボトル容器の成形性は「○」と評価され、重量40gで「×」と評価された。ダイ設定温度が165℃又は168℃の時、重量が50g、45g又は40gのボトル容器の成形性は「○」と評価され、重量35gで「×」と評価された。ダイ設定温度が171℃の時、重量が50g、45g、40g又は35gのボトル容器の成形性は「○」と評価され、重量30gで「×」と評価された。ダイ設定温度が174℃の時、重量が50gのボトル容器の成形性が「×」と評価された。以上より、成形可能領域は、15℃×10g+6℃×15g+3℃×20g=300(℃・g)と算出された。
[ボトル容器の耐衝撃性評価]
50gのボトル容器に水を380ml入れ、蓋をして24時間保管し、1mの高さから落とし、ボトル容器が割れなければ○、割れれば×とした。評価は、室温を25℃に設定した評価試験室と4℃に設定した評価試験室にて行った。
実施例1
(樹脂組成物の製造方法)
P3HA(A−1)、有機過酸化物(B−1)、エステル化合物(C−1)を表1に示す配合比でドライブレンドし、同方向噛合型二軸押出機(東芝機械社製:TEM26ss)を用いて、設定温度120℃以上、170℃以下、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬し、ストランドカットすることで樹脂組成物を得た。ダイの温度計にて測定した樹脂温度を表1に示す。また、各材料を押出機に投入してから樹脂組成物がダイスから出てくるまでの時間を滞留時間として表1に示す。
得られた樹脂組成物の溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、を表1に示す。
(ボトル容器成形)
得られた樹脂組成物を用いて上記「成形可能領域」に記載の方法でボトル容器の成形を行い、成形可能領域の評価を行った。評価結果を表1に示す。
得られたボトル容器の耐衝撃性評価を行った。試験結果を表1に示す。
実施例2〜6
過酸化物の配合量又は過酸化物の種類を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、樹脂温度、滞留時間を評価した。また、実施例1と同様にしてボトル容器の成形を行い、成形可能領域を評価し、得られたボトル容器の耐衝撃性評価も行った。評価結果を表1に示す。
比較例1
有機過酸化物の配合量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、樹脂温度、滞留時間を評価した。また、実施例1と同様にしてボトル容器の成形を行い、成形可能領域を評価し、得られたボトル容器の耐衝撃性評価も行った。評価結果を表1に示す。
実施例7〜10
エステル化合物の種類又はその配合量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、樹脂温度、滞留時間を評価した。また、実施例1と同様にしてボトル容器成形を行い、成形可能領域を評価し、得られたボトル容器の耐衝撃性評価も行った。評価結果を表2に示す。
比較例2〜5
エステル化合物の種類又は配合量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、樹脂温度、滞留時間を評価した。また、実施例1と同様にしてボトル容器の成形を行い、成形可能領域を評価し、得られたボトル容器の耐衝撃性評価も行った。評価結果を表2に示す。
実施例11〜14
P3HAの種類又はエステル化合物の配合量を表3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、溶融粘度(η)、ドローダウン時間(DT)、DT/η、樹脂温度、滞留時間を評価した。また、実施例1と同様にしてボトル容器成形を行い、成形可能領域を評価し、得られたボトル容器の耐衝撃性評価も行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2020122062
表1より、樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上であった実施例1〜6では、ドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])未満であった比較例1と比較して、成形可能領域が大きく、押出ブロー成形時に適用可能な樹脂温度の選択幅、及び/又は、押出ブロー成形により製造可能なボトル容器の重量の選択幅が広いことが分かる。
Figure 2020122062
表2より、実施例1の組成に対しエステル化合物を5重量部以下配合し、かつ樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上であった実施例7〜10では、5重量部超のエステル化合物を配合した比較例2〜5や、ドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])未満であった比較例1と比較して、成形可能領域が大きいことが分かる。更に、実施例7〜10で製造されたボトル容器は、実施例1で製造されたボトル容器と比較して、低温での耐衝撃性に優れていることが分かる。
Figure 2020122062
表3より、実施例1とは異なる種類のP3HAを使用しているものの、樹脂組成物のドローダウン時間/溶融粘度比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上であった実施例11〜14でも、成形可能領域が大きいことが分かる。

Claims (14)

  1. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下とを含み、下記の溶融粘度(Pa・s)とドローダウン時間(sec)との比が2.0×10−2(sec/[Pa・s])以上、8.0×10−2(sec/[Pa・s])以下である樹脂組成物。
    溶融粘度:キャピラリーレオメーターを用いて、バレル設定温度170℃、半径(D)0.4775cmのバレルの先に接続された半径(d)0.05cm、キャピラリー長さ(l)1cmのオリフィスから、体積流量(Q)0.716cm/分、せん断速度122sec−1で溶融した樹脂組成物を押し出した時の荷重(F)を測定し、下記式(1)より算出される見かけの溶融粘度(η)。
    ドローダウン時間:前記溶融粘度を測定する際にオリフィスから吐出した樹脂組成物が20cm落下するまでに要する時間。
    Figure 2020122062
  2. 前記溶融粘度が1000(Pa・s)以上、2000(Pa・s)以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ドローダウン時間が15(sec)以上、80(sec)以下である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下との溶融混練物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 押出ブロー成形によって、押出機のダイ設定温度150℃以上の温度条件で、重量50g以下のボトル容器を作製可能なダイ設定温度とボトル容器重量の範囲を示す成形可能領域が、100(℃・g)以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. エステル化合物が、ラジカル反応性の官能基を持たないエステル化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. エステル化合物が、グリセリンエステル系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物及びイソソルバイドエステル系化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 押出ブロー成形用の、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
  11. ボトル容器である請求項10に記載の成形体。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を製造する方法であって、
    ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)100重量部とエステル化合物0重量部以上、5重量部以下と有機過酸化物0.01重量部以上、0.8重量部以下とを押出機にて、樹脂温度が120℃以上、190℃以下の範囲にて溶融混練する工程を含む、製造方法。
  13. 押出機内を40秒以上、700秒以下の範囲にて滞留するように前記溶融混練を行なう、請求項12に記載の製造方法。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を押出機中で溶融した後、環状ダイからチューブ形状に押出す工程、金型で前記チューブを両側面から挟み込む工程、及び、一端が閉じられた前記チューブに空気を吹込んでボトル形状に成形する工程、を含む、ボトル容器の製造方法。
JP2019013902A 2019-01-30 2019-01-30 ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物 Active JP7187338B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019013902A JP7187338B2 (ja) 2019-01-30 2019-01-30 ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019013902A JP7187338B2 (ja) 2019-01-30 2019-01-30 ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020122062A true JP2020122062A (ja) 2020-08-13
JP7187338B2 JP7187338B2 (ja) 2022-12-12

Family

ID=71992211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019013902A Active JP7187338B2 (ja) 2019-01-30 2019-01-30 ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7187338B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022054870A1 (ja) * 2020-09-11 2022-03-17 株式会社カネカ ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡粒子又はポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡成形体の製造方法
WO2022066866A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Biodegradable container closure and resin therefor
WO2022066862A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Biodegradable containers and resin therefor
WO2022066885A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Pre-forms for making biodegradable containers and resin therefor
WO2023054388A1 (ja) 2021-09-29 2023-04-06 株式会社カネカ ブロー成形体およびその製造方法
WO2023157633A1 (ja) * 2022-02-15 2023-08-24 株式会社カネカ 成形用樹脂組成物及び成形体

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241227A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Unitika Ltd 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる発泡体、成形体
JP2008056851A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Toyo Seikan Kaisha Ltd 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
WO2019022008A1 (ja) * 2017-07-24 2019-01-31 株式会社カネカ ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241227A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Unitika Ltd 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる発泡体、成形体
JP2008056851A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Toyo Seikan Kaisha Ltd 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
WO2019022008A1 (ja) * 2017-07-24 2019-01-31 株式会社カネカ ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022054870A1 (ja) * 2020-09-11 2022-03-17 株式会社カネカ ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡粒子又はポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡成形体の製造方法
WO2022066866A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Biodegradable container closure and resin therefor
WO2022066862A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Biodegradable containers and resin therefor
WO2022066885A1 (en) * 2020-09-24 2022-03-31 Meredian Bioplastics, Inc. Pre-forms for making biodegradable containers and resin therefor
WO2023054388A1 (ja) 2021-09-29 2023-04-06 株式会社カネカ ブロー成形体およびその製造方法
WO2023157633A1 (ja) * 2022-02-15 2023-08-24 株式会社カネカ 成形用樹脂組成物及び成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP7187338B2 (ja) 2022-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7187338B2 (ja) ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物
JP7200107B2 (ja) ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂組成物
JP6273627B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物および該樹脂組成物を含む成形体
JP4672409B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物
WO2022014408A1 (ja) 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物およびその利用
JP7433889B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物およびその利用
CN102295825A (zh) 一种生物降解组合物及其制备方法
JP2017222791A (ja) ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物および成形体
KR101412516B1 (ko) 폴리락트산을 포함하는 생분해성 수지 조성물 및 그의 제조방법
JP4887860B2 (ja) 射出成形用ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法及び射出成形体
JP4503215B2 (ja) 乳酸系樹脂組成物、過酸化物変性乳酸系樹脂組成物、並びに、それらの成形体
JP5045035B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
JP7481879B2 (ja) 結晶化促進剤およびその用途
US10669357B2 (en) Polyvinyl butyral-g-polylactide copolymer
JP7011647B2 (ja) 生分解性ポリエステルフィルムの製造方法
WO2023190185A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
WO2023190184A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3860163B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びフィルム
JP2008063582A (ja) 乳酸系樹脂組成物、過酸化物変性乳酸系樹脂組成物、並びに、それらの成形体
WO2023140097A1 (ja) 変性された脂肪族系又は脂肪族芳香族系熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法
WO2023140096A1 (ja) 変性された脂肪族ポリエステル系樹脂、及び、その組成物又は成形体
WO2023157633A1 (ja) 成形用樹脂組成物及び成形体
JP4596125B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物及びそれを用いた成形品
WO2023054388A1 (ja) ブロー成形体およびその製造方法
WO2024090484A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7187338

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150