JP2020122031A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形体、フィルム、医療用チューブを提供する。【解決手段】芳香族ビニル化合物単量体単位、エチレン単量体単位、芳香族ポリエン単量体単位からなる芳香族ビニル化合物−エチレン系共重合体からなる主鎖と、芳香族ビニル化合物単量体単位からなる重合体のクロス鎖を含むクロス共重合体(A)100質量部に対し、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)0.1質量部以上、4質量部以下を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形体、フィルム、医療用チューブに関する。
近年、従来から加硫ゴムが主流であった自動車部品、家電部品、医療部品又は雑貨等の用途に、生産性に優れる熱可塑性エラストマーが多く利用されるようになってきている。その中で、各種用途に応じた要求特性を有する新規熱可塑性エラストマーが数多く提案されている。例えば、特許文献1には、スチレン−エチレン共重合体に少量のジビニルベンゼンを共重合し、ジビニルベンゼンユニットのビニル基を介してポリスチレン(クロス鎖)を導入する方法によって得られる、いわゆるクロス共重合体が提案されている。この方法により得られるクロス共重合体は、スチレン−エチレン共重合体鎖をソフトセグメントとし、ポリスチレンをハードセグメントとして有する分岐型ブロック共重合体であり、耐傷付性や成形加工性に極めて優れた材料となっている。
クロス共重合体は、耐傷付性、軟質性、透明性など極めて優れた特性を有する熱可塑性エラストマーであるが、用途によってはブロッキング性が課題となり、例えば、クロス共重合体をカレンダー加工で連続してシートを作成する際、クロス共重合体のシートがカレンダーロールから剥離し難くなり、クロス共重合体のシートの外観悪化及び生産性の低下などの問題があった。加えて、医療用チューブ用途では、滅菌時に加熱を行うため、高温時の耐ブロッキング性を要求される場合があり、クロス共重合体単独で耐ブロッキングを追及すると、透明性が低下するといった課題があった。
例えば、医療部品である医療用チューブでは、軟質性、透明性、耐折り曲げ性(耐キンク性)に加えて、薬剤の吸着吸収が少なく定量的に輸送できる薬剤定量性や輸液ポンプ回路に適する耐しごき性(形状回復性、耐摩耗性等)、さらには滅菌のためのガンマ線や電子線に対する耐放射線性に優れるなどの様々な特性が要求される。これらの要求に対して、特許文献2では、チューブ成形後に電子線照射により表面を架橋させることで、軟質性、透明性、薬剤の低吸着吸収性、ポンプ回路適性、化学的安定性、さらには耐キンク性に優れ、ブロッキングを抑制し各種滅菌法に対応する耐熱性を有する医療用チューブとすることを提案している。特許文献3では、チューブ厚さの50%以上を占める支持層を十分な軟質性を有するクロス共重合体とし、内層をブロッキング性が小さい材料とした多層チューブとすることで、折り曲げ時や鉗子などでクランプした際の内壁同士の密着による閉塞を改善することを提案している。なお、近年では医療部品のディスポーザブル化が進められてきており、バイオハザード防止のために使用後に焼却処理されることが多く、焼却時に塩素化合物をガスとして発生しない非軟質塩ビ材を用いることが重要となっている。
特開2009−102515号公報 特開2013−202133号公報 国際公開第2013/137326号
本発明は、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形体、フィルム、医療用チューブを提供するものである。
本発明は、以下を要旨とするものである。
〔1〕エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有するクロス共重合体(A)100質量部に対し、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)を、0.1質量部以上、4質量部以下を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物。
〔2〕クロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合する構造を有しており、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする〔1〕に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単量体単位の含量である。
(2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
〔3〕クロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体であり、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする〔1〕に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単位の含量である。
(2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
〔4〕分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)を、0.3質量部以上、3質量部以下を配合してなる、〔1〕から〔3〕いずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔5〕分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が24個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)を配合する、〔4〕に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔6〕〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体。
〔7〕フィルムである〔6〕に記載の成形体。
〔8〕医療用チューブである〔6〕に記載の成形体。
本発明によれば、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形体、フィルム、医療用チューブを提供することができる。
以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を詳細に説明する。本発明は、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有するクロス共重合体(A)100質量部に対し、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)0.1質量部以上、4質量部以下を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物である。
ここでクロス共重合体(A)とは、クロス共重合体が、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレン、芳香族ビニル化合物単量体及び芳香族ポリエン単量体の共重合を行い、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物単量体の共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる共重合体であり、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体である。
(1)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、好ましくは10モル%以上25モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単量体単位の含量である。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の重量平均分子量が3万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
さらにクロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有する共重合体であり、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合する構造を有しており、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
(1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、好ましくは10モル%以上25モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単量体単位の含量である。
(2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
さらに、クロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体であり、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合しており、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
(1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、好ましくは10モル%以上25モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単位の含量である。
(2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
以下、本発明に用いるクロス共重合体(A)について説明する。本クロス共重合体は、マクロモノマーに由来するエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有する共重合体であり、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合している構造を有することを特徴としている。
エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合していることは、以下の観察可能な現象で証明できる。ここでは代表的なエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼン単位を介して結合している例について示す。すなわち配位重合工程で得られたエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体マクロモノマーと、本共重合体とスチレン単位の存在下でのアニオン重合を経て得られるクロス共重合体の1H−NMR(プロトンNMR)を測定し、両者のジビニルベンゼン単位のビニル基水素(プロトン)のピーク強度を適当な内部標準ピーク(エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体に由来する適当なピーク)を用いて比較する。ここで、クロス共重合体のジビニルベンゼン単位のビニル基水素(プロトン)のピーク強度(面積)が、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体マクロモノマーのジビニルベンゼン単位の同ピーク強度(面積)と比較して50%未満、好ましくは20%未満である。アニオン重合(クロス化工程)の際にスチレン単位の重合と同時にジビニルベンゼン単位も共重合し、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼン単位を介して結合されるために、アニオン重合後のクロス共重合体ではジビニルベンゼン単位のビニル基の水素(プロトン)のピーク強度は大きく減少する。実際にはジビニルベンゼン単位のビニル基の水素(プロトン)のピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失している。詳細は公知文献「ジビニルベンゼンユニットを含有するオレフィン系共重合体を用いた分岐型共重合体の合成」、荒井亨、長谷川勝、日本ゴム協会誌、p382、vol.82(2009)に記載されている。
別な観点から、クロス共重合体において、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合している(一例としてエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼン単位を介して結合している)ことは、以下の観察可能な現象で証明できる。すなわち本クロス共重合体に対し、適当な溶媒を用いソックスレー抽出を十分な回数行った後においても、含まれるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を分別することができない。通常、本クロス共重合体に含まれるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖と同一組成のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体とポリスチレンは、沸騰アセトンによるソックスレー抽出を行うことで、アセトン不溶部としてエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体に、アセトン可溶部としてポリスチレンに分別できる。しかし、本クロス共重合体に同様のソックスレー抽出を行った場合、アセトン可溶部として本クロス共重合体に含まれる比較的少量のポリスチレンホモポリマーが得られるが、大部分の量を占めるアセトン不溶部には、NMR測定を行うことでエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖が共に含まれていることが示され、これらはソックスレー抽出で分別することができないことがわかる。これについてもその詳細は公知文献「ジビニルベンゼンユニットを含有するオレフィン系共重合体を用いた分岐型共重合体の合成」、荒井亨、長谷川勝、日本ゴム協会誌、p382、vol.82(2009)に記載されている。
以上から本発明のクロス共重合体を規定する表現としては、クロス共重合体は、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有し、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合している構造を有する共重合体である。本クロス共重合体には、比較的少量の芳香族ビニル化合物(ポリスチレン)ホモポリマーが含まれていても良い。
さらに好ましくは以下の(1)〜(3)の条件をすべて満たす共重合体である。
(1)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、好ましくは10モル%以上25モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単位の含量である。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
さらに別な観点から、本クロス共重合体を説明する。本クロス共重合体は、配位重合工程とアニオン重合工程からなる重合工程を含む製造方法で得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレン、芳香族ビニル化合物単量体および芳香族ポリエン単量体の共重合を行ってエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物単量体の共存下、アニオン重合開始剤によるアニオン重合により製造される共重合体である。アニオン重合工程において使用される芳香族ビニル化合物単量体としては、配位重合工程で重合液中に残留する未反応モノマーを用いても、これに新たに芳香族ビニル化合物単量体を添加しても良い。重合液へのアニオン重合開始剤の添加により、アニオン重合が開始されるが、この場合、重合液中にエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ポリエン単量体単位と比較し、圧倒的に多く含まれる芳香族ビニル化合物単量体から実質的にアニオン重合が開始し、芳香族ビニル化合物単量体を重合しながら、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の芳香族ポリエン単量体単位のビニル基も共重合しつつ、重合は進行する。そのため、得られるクロス共重合体は、公知文献及び当業者の知識からは、主鎖であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖とクロス鎖である芳香族ビニル化合物重合体鎖がグラフトスルー形式で結合した構造(交差結合)が多く含まれると考えられる。
以上から本発明のクロス共重合体を規定する表現としては、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体である。
本発明において芳香族ビニル化合物単量体単位としては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等の各スチレン系単量体に由来する単位が挙げられる。工業的には好ましくはスチレン単位、p−メチルスチレン単位、p−クロロスチレン単位、特に好ましくはスチレン単位が用いられる。これら芳香族ビニル化合物単量体単位は、1種類でもよく2種類以上の併用であってもよい。
本発明において芳香族ポリエン単量体単位とは、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数または複数の芳香族基を有し、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態であっても残りの二重結合がアニオン重合可能な芳香族ポリエンである。好ましくは、オルトジビニルベンゼン単位、パラジビニルベンゼン単位及びメタジビニルベンゼン単位のいずれか1種または2種以上の混合物が好適に用いられる。
本配位重合工程でエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖を製造するにあたっては、上記に例示した各単量体、遷移金属化合物および助触媒を接触させるが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方法を用いることができる。以上の共重合の方法としては溶媒を用いずに液状の単量体中で重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独または混合溶媒を用いる方法がある。好ましくは混合アルカン系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン等を用いる。
重合形態は溶液重合、スラリ−重合いずれでもよい。また、必要に応じ、バッチ重合、連続重合、予備重合、多段式重合等の公知の方法を用いることが出来る。単数や連結された複数のタンク式重合缶やリニアやル−プの単数、連結された複数のパイプ重合設備を用いることも可能である。パイプ状の重合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有してもよい。また、バッチタイプの予備重合缶を有していてもよい。さらには気相重合等の方法を用いることができる。
重合温度は、0〜200℃が適当である。0℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を超えると遷移金属化合物の分解が起こるので適当ではない。さらに工業的に好ましくは、0〜160℃、特に好ましくは30〜160℃である。重合時の圧力は、0.09〜10MPaが適当であり、好ましくは0.09〜3MPa、工業的に特に好ましくは、0.09〜0.98MPaである。
アニオン重合工程では、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖(マクロモノマー)と芳香族ビニル化合物単量体単位の共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合する。
アニオン重合を行う場合の溶媒は、アニオン重合の際に連鎖移動等の不都合を生じない混合アルカン系溶媒、シクロヘキサン、ベンゼン等の溶媒が特に好ましいが、重合温度が150℃以下であれば、トルエン、エチルベンゼン等の他の溶媒も用いることが可能である。重合形態は、アニオン重合に用いられる任意の公知の方法を用いることができる。
本発明において、芳香族ビニル化合物単量体とアニオン重合開始剤を加える順序は任意である。すなわち重合溶液に芳香族ビニル化合物単量体を添加し攪拌した後にアニオン重合開始剤を添加しても、アニオン重合開始剤を添加した後に芳香族ビニル化合物単量体を添加してもよい。前者では、主鎖である配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖とクロス鎖である芳香族ビニル化合物重合体鎖がグラフトスルー形式で結合した構造(交差結合)が多く含まれると考えられ、後者の場合はグラフトフロム(枝分かれ結合)構造が多く含まれると考えられる。再現性がより良好で工業的に好ましい重合は前者である。本発明のクロス共重合体は、本発明が規定する特定の製造法により得られる共重合体であるので、その構造は任意である。重合温度は、−78〜200℃が適当である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であり、150℃を超えると連鎖移動等が起こるので適当ではない。さらに工業的に好ましくは、0〜200℃、特に好ましくは30〜150℃である。
本発明のアニオン重合工程には、公知のアニオン重合開始剤を用いることができる。好ましくは、アルキルリチウム化合物やビフェニル、ナフタレン、ピレン等のリチウム塩あるいはナトリウム塩、特に好ましくは、sec−ブチルリチウム、n(ノルマル)−ブチルリチウムが用いられる。また、多官能性開始剤、ジリチウム化合物、トリリチウム化合物を用いてもよい。さらに必要に応じて公知のアニオン重合末端カップリング剤を用いてもよい。開始剤量は、配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、メチルアルモキサンを用いる場合には、その中に含まれる酸素原子の当量以上の、特に好ましくは2当量以上の量を用いるのが好ましい。配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、硼素化合物を用いた場合、その量はメチルアルモキサン中の酸素原子当量に比して、十分少ないため、開始剤量を低減することが可能である。
本クロス共重合体及びその製造方法の詳細は、その全体の記載をそれぞれ出典明示によりここに援用する、WO2000/37517、WO2007/139116、または特開2009−120792号公報に記載されている。
本発明に用いる脂肪酸アマイド系滑剤(B)は、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)であり、例えば、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド、N−置換ステアリン酸アマイド、N−置換エルカ酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイドなどが挙げられる。これらの滑剤は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸アマイド系滑剤(B)の分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計は、スキルを有する当業者であれば公知の方法を用いて判断することが出来る。例えば液体クロマトグラフィー(LC)として、Waters社製 ACQUITY UPLC、質量分析計(MS)としてWaters社製 SynaptG2を用いて組成分析を行い、測定できる。脂肪酸アマイド系滑剤(B)の分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が24個以上であれば、透明性及び耐ブロッキング性がさらに向上するので好ましい。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が24個以上の脂肪酸アマイド系滑剤(B)の例としては、N−ステアリルエルカ酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイドが挙げられる。脂肪酸アマイド系滑剤(B)の分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個未満では、透明性が低下してしまう場合があり、好ましくない。
本脂肪酸アマイド系滑剤(B)の入手方法、或いは製造方法は、市販のものを使用することが出来、公知の製造方法を用いて製造することも出来る。これらの脂肪酸アマイド系滑剤は、例えば日本化成社や花王社から購入できる。
本脂肪酸アマイド系滑剤(B)の配合量は、クロス共重合体(A)100質量部に対して、本脂肪酸アマイド系滑剤(B)を0.1質量部以上、4質量部以下、好ましくは0.3質量部以上、3質量部以下である。脂肪酸アマイド系滑剤(B)の配合量が0.1質量部以上であれば耐ブロッキング性が向上し、0.3質量部以上であればさらに耐ブロッキング性が向上するので好ましい。脂肪酸アマイド系滑剤(B)の配合量が4質量部以下であれば透明性が向上し、3質量部以下であればさらに透明性が向上するので好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、最も好ましくは、用いる脂肪酸アマイド系滑剤(B)の分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が24個以上であり、かつ、その配合量が0.3質量部以上、3質量部以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて可塑剤、安定剤、帯電防止剤、衝撃強度改良剤、加工助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系または無機系発泡剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、着色顔料、難燃剤を添加することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法については特に制限はないが、単軸押出機、かん合形同方向回転またはかん合形異方向回転二軸押出機、非または不完全かん合形二軸押出機等のスクリュー押出機、バンバリーミキサー、コニーダー及び混合ロール等の公知の溶融混練装置を用いて製造することが出来、中でも押出機による溶融混合法が、生産性、良混練性の観点から好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性に優れており、本組成物単独で、あるいは他の材料と組み合わせて各種成形体に供することが出来、とりわけフィルム、医療用チューブには好適である。成形体の成形方法には特に制限はなく、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、回転成形法など、公知の方法を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、特開2002−265640号公報、特開2002−265543号公報、特開2002−265641、または特開2010−150442に記載されているストレッチフィルム、ヒートシール用フィルム、熱収縮性フィルム、または太陽電池封止材に好適に用いられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムは単層であっても、他の樹脂成分からなる多層として用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、WO2007/139116、特開2009−120792号公報、特開2013−202133、またはWO2013/137326に記載されている医療用チューブに好適に用いられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用チューブは単層であっても、多層であってもよい。また多層の場合は他の樹脂成分からなる層を有する多層として用いてもよい。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を説明するが、これらは何れも例示的なものであって本発明の内容を限定するものではない。
実施例、比較例に用いた原料樹脂、製法は以下の通りである。
クロス共重合体(A)
下記クロス共重合体1〜3を使用した。
これらのクロス共重合体は、WO2000/37517、WO2007/139116号公報、特開2009−120792公報記載の実施例あるいは比較例の製造方法で製造したもので、下記組成は、同様にこれら公報記載の方法で求めた。なお、クロス共重合体を規定するために、用いられるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量、ジビニルベンゼン含量、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、クロス共重合体中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量、ポリスチレン鎖の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を示す。
クロス共重合体(A−1)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量15モル%、ジビニルベンゼン含量0.06モル%、重量平均分子量131000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量:88質量%、
・ポリスチレン鎖の重量平均分子量14000、分子量分布1.2
・A硬度78
クロス共重合体(A−2)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量20モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、重量平均分子量141000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量:85質量%、
・ポリスチレン鎖の重量平均分子量15000、分子量分布1.2
・A硬度72
クロス共重合体(A−3)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量25モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、重量平均分子量151000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量:83質量%、
・ポリスチレン鎖の重量平均分子量16000、分子量分布1.2
・A硬度67
[分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)]
(B−1):N−ステアリルエルカ酸アマイド ニッカアマイドSE(日本化成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:38
(B−2):エチレンビスステアリン酸アマイド カオーワックスEB−P(花王社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:36
(B−3):エチレンビスラウリン酸アマイド スリパックスL(日本化成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:24
(B−4):ステアリン酸アマイド AP−1(日本化成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:17
(B−5):オレイン酸アマイド D−O200(日本化成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:17
これら使用した脂肪酸アマイド系滑剤(B−1)〜(B−5)の炭化水素基由来の炭素数の合計は、液体クロマトグラフィー(LC)として、Waters社製 ACQUITY UPLC、質量分析計(MS)としてWaters社製 SynaptG2を用いて組成分析を行い、測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020122031
[その他の滑剤(C)]
分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)以外の滑剤をその他の滑剤(C)とした。
(C−1):脂肪酸アマイド系滑剤 ラウリン酸アマイド ダイヤミッドY(日本化成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:11
(C−2):炭化水素系滑剤 マイクロクリスタリンワックス Hi−Mic2095(日本精蝋社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:30〜60
(C−3):ヒドロキシ脂肪酸エステル系滑剤 硬化ひまし油 カスターワックスPS(小倉合成社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:54
(C−4):脂肪酸系滑剤 ステアリン酸 ビーズステアリン酸さくら(日油社製)を使用した。分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計:17
その他の滑剤(C−1)〜(C−4)の炭化水素基由来の炭素数の合計は、液体クロマトグラフィー(LC)として、Waters社製 ACQUITY UPLC、質量分析計(MS)としてWaters社製 SynaptG2を用いて組成分析を行い、測定した。結果を表1に示す。
[実施例1〜10、比較例1〜6]
クロス共重合体(A−1)〜(A−3)と、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B−1)〜(B−5)、またはその他の滑剤(C−1)〜(C−4)を表3に示す割合(質量部)で二軸押出機(東芝機械社製TEM−35B)にてシリンダー温度200℃で溶融混練してペレット化し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、以下の評価基準に則した試験片を作成し、評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2020122031
(試験片の作成)
シート作製は以下に従った。物性評価用の試料は、鏡面金型(STAVAX製)を用いて、加熱プレス法(200℃、時間5分、圧力50kg/cm)により成形した厚さ(1mm)の正方形鏡面プレスシートを用いた。
(透明性)
厚さ1mm、一辺50mmの正方形鏡面プレスシートを、JIS K7136に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP型)を用いて曇り度を測定した。なお、曇り度25%以下を合格レベルとし、20%以下をより好ましい合格レベルとした。
(耐ブロッキング性)
厚さ1mm、一辺60mmの正方形鏡面プレスシート2枚を重ね合わせ、直径60mm円盤状の錘(100g、300g、500g)をのせ、60℃で2時間放置後、錘を外し、上面のプレスシートの角を持ち上げ、下面のプレスシートの剥がれ易さを観察することにより、以下の基準でブロッキング性を評価した。試験は1サンプルにつき、3回ずつ行った。
5:全ての錘でプレスシートが貼り付くことなく剥がれた。
4:全ての錘でプレスシートが貼り付くことなく剥がれるか、貼り付いても自重で剥がれた。
3:100g錘と300g錘ではプレスシートが貼り付くことなく剥がれるか、貼り付いても自重で剥がれたが、500g錘では貼り付いて自重では剥がれないものがあった。
2:100g錘ではプレスシートが貼り付くことなく剥がれるか、貼り付いても自重で剥がれたが、300g錘と500g錘では貼り付いて自重では剥がれないものがあった。
1:全ての錘で貼り付いて自重では剥がれないものがあった。
なお、2以上を合格レベルとし、3以上をより好ましい合格レベルとした。
(成形加工性)
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を、二本ロール(ロール温度:170℃、回転数:4.9rpm)を用いて混練した際のロールへの粘着性を観察し、良好な順に、
◎:ロールに全く粘着せずに安定して混練が可能
○:ロールに多少粘着するものの、安定して混練が可能
△:ロールに粘着しやすく、安定して混練不能
×:ロール一面に粘着し、混練不能
と分類した。成形加工性は○以上を合格とした。
実施例1〜10については、いずれも曇り度25%以下、耐ブロッキング性評価2以上、成形加工性○以上であり、透明性及び耐ブロッキング性に優れていた。さらに、本発明のより好ましい条件を満たす実施例2、3、5、6、9、10では、曇り度20%以下、耐ブロッキング性評価3以上、成形加工性◎以上を示した。一方、比較例1〜6では、透明性、耐ブロッキング性及び成形加工性のいずれかの物性において劣るものであった。
[医療用チューブへの適合性評価]
[実施例11]
実施例2で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、外径3.6mm、内径2.4mm、チューブ厚み0.6mmのチューブを押出成形により作成した。医療用チューブとしての特性を以下の基準に沿って評価した。結果を表3に示す。
Figure 2020122031
(チューブの軟質性)
20cmの長さに切断した作成したチューブと比較用の軟質塩ビ製医療用単層チューブを被験者に触らせ、触感が軟らかい方を選ぶ。作成したチューブが軟質塩ビ製医療用単層チューブより軟質であれば◎、同等であれば○、作成したチューブが明らかに硬ければ×とした。チューブの軟質性は○以上を合格とした。
(透明性)
チューブに生理食塩水を流し、液面、泡等が肉眼で視認できるかどうかを観察した。容易に観察できる場合を〇とし、観察が困難な場合を×とした。
(減菌済み輸液セット基準による溶出物試験)
JIS T3211に準拠し、減菌済み輸液セット基準による溶出物試験を行い、pH、重金属、過マンガン酸カリウム還元性物質、蒸発残留物の測定を行った。以下のpH、重金属、過マンガン酸カリウム還元性物質、蒸発残留物の試験液及び空試験液は以下のようにして得た。
試験液:チューブ部分10gを約1cm長に細断し、蒸留水100mlで30分間煮沸し、試験液とした。
空試験液:蒸留水100mlを30分間煮沸し、空試験液とした。
(pH)
試験液および空試験液をそれぞれ20mlとり、これらに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1000mlとした液1.0mlずつを加え、日本薬局方一般試験法のpH測定法により、pH変化を測定した。pHの差は2.0以下であれば合格とした。
(重金属)
試験液10mlをとり、日本薬局方の重金属試験法の第1法によって試験を実施した。空試験液には鉛標準液2.0mlを加え、同様に試験を行った。空試験液と比較して、色が濃くなれば合格とした。
(過マンガン酸カリウム還元性物質)
試験液10mlを共栓三角フラスコにとり、0.002mol/l過マンガン酸カリウム液20.0mlおよび希硫酸1mlを添加し密栓、ふり混ぜて10分間放置した後に、0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬デンプン試液5滴)。別に空試験液10mlを用い同様に操作する。試験液および空試験液の0.002mol/l過マンガン酸カリウム液消費量の差は2.0ml以下であれば合格とした。
(蒸発残留物)
試験液10mlを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、その重量が1.0mg以下であれば合格とした。
(キンク開始半径)
20cmのチューブを各曲率半径に曲げ、1分後にチューブの折れ曲がりの発生が確認されなかった最小の曲率半径を求めた。キンク開始半径は10mm以下が好ましい。また発生したキンク(折れ曲がり)の形状を観察した。チューブの幅広い部分に比較的均一に潰れが発生している状況を観察し、良好な順に、
◎:幅広のキンク発生とし、より狭い範囲で潰れが発生している
○:比較的幅広のキンク発生、より狭い範囲で潰れが発生し、チューブが折れている
△:鋭角のキンク発生
と分類した。キンクの形状は○以上を合格とした。
(耐鉗子性)
40℃において、生理食塩液を満たしたチューブを医療用チューブ鉗子で10時間閉止後、鉗子を外しチューブ内側が形状を回復し液が貫通する時間を測定し、チューブの耐鉗子性の指標とした。
(薬剤吸着性)
ニトログリセリン吸着性:ニトログリセリン注射液(有効成分50mg/100ml、ミリスロール注、日本化薬社製)60mlを日本薬局方生理食塩水1Lに注入し、静かに攪拌した。ただちに注射針付注射筒でサンプリングし、ブランクとした。輸液セットのチューブを流量調節用クランプで閉塞し、点滴筒をゴム栓に刺通した。点滴筒をポンピングすることで点滴筒の下半分を当該溶液で満たした。流量調節用クランプを徐々にゆるめ、チューブの中を当該溶液で満たした後に輸液ポンプにセットした。流量を36ml/hに設定し、流量調節用クランプを開放、スイッチをONにし、輸液を開始した。先端より流出する溶液を経時的にサンプリングし、液体クロマトグラフィー(LC)として、Waters社製 ACQUITY UPLCを用いて濃度を測定した。輸液は180分行い、最初の60分は5分おき、それ以後は15分おきにサンプリングした。ブランクの濃度と比較して、濃度低下が10%以内であれば合格とした。
(輸液ポンプ適性)
流量調節用クランプでチューブを閉塞し、点滴筒を日本薬局方生理食塩水のゴム栓に刺通した。点滴筒をポンピングすることで点滴筒の下半分を当該食塩水で満たした。流量調節用クランプを徐々にゆるめ、チューブの中を当該食塩水で満たした後に、輸液ポンプにセットした。流量を250ml/hに設定し、流量調節用クランプを開放、スイッチONにし輸液を開始した。この直後に先端より流出する一分間あたりの生理食塩水量を測定し、初期流量とした。24時間経過後、再び同様に1分間あたりの流量を測定した。24時間後の流量変化率が10%以内であれば合格とした。
ポンプ輸液終了後のチューブ状態:上記ポンプ流量安定性終了後に、チューブのしごき部分を切開し、内面および外面の表面状態、チューブ径の変化、亀裂の有無を観察した。
(ガンマ線耐性)
チューブにガンマ線照射後(25kGy)、肉眼にて色調および透明性を観察した。
(電子線耐性)
加熱プレス法で得たシート(厚さ1mm)に対し、岩崎電気EB装置TYPE:CB250/15/180Lを用い、加速電圧250kV、照射線量30kGyの条件下、照射をシートの上下から計2回実施し、肉眼にて色調および透明性を観察した。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、透明性及び耐ブロッキング性に優れており、成形体、フィルム、医療用チューブに好適に使用可能である。

Claims (8)

  1. エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有するクロス共重合体(A)100質量部に対し、分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)を、0.1質量部以上、4質量部以下を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. クロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエン単量体単位を介して結合する構造を有しており、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    (1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単量体単位の含量である。
    (2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
    (3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
  3. クロス共重合体(A)が、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体であり、さらに以下の(1)〜(3)の条件をすべて満足する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    (1)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物単量体単位の含量が5モル%以上30モル%以下、芳香族ポリエン単量体単位の含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレン単位の含量である。
    (2)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。
    (3)クロス共重合体中に含まれるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50質量%以上95質量%以下の範囲にある。
  4. 分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が15個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)を、0.3質量部以上、3質量部以下を配合してなる、請求項1から3いずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 分子中に含まれる炭化水素基由来の炭素数の合計が24個以上である脂肪酸アマイド系滑剤(B)である、請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体。
  7. フィルムである請求項6に記載の成形体。
  8. 医療用チューブである請求項6に記載の成形体。
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