以下、本開示のLEDバルブの各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、各実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、例示にすぎず、特に断る場合を除いて、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については、図示を省略する。以下の各図では、LEDバルブの本体の軸方向に沿ってZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内において、X軸と、X軸に垂直な方向にY軸とを取る。具体的には、LEDバルブが車両に取り付けられている状態では、前後方向がZ軸に沿っており、上下方向がX軸に沿っており、左右方向がY軸に沿っている。
各実施形態に係るLEDバルブは、例えば、自動車や二輪車などの車両に搭載されているヘッドライトやフォグライトに採用され得る光源装置である。また、各実施形態に係るLEDバルブは、例えば、日本工業規格JIS−C−7506に規定されている各種型式に対応したハロゲンバルブの代替光源として適用し得るものとする。以下で提示する型式は、当該規格に準拠したものとする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るLEDバルブ10の斜視図である。図1(a)は、LEDバルブ10を前方側から見た斜視図である。図1(b)は、LEDバルブ10を後方側から見た斜視図である。図2は、車両のヘッドライトのリフレクター2に取り付けられている状態のLEDバルブ10及びその周囲構成の断面図である。
LEDバルブ10は、上記規格の型式H4に適合する。型式H4に適合するバルブは、特にヘッドライトに採用されるものであり、1つのバルブでハイビーム(走行用ビーム)とロービーム(すれ違い用ビーム)とを照射可能である。LEDバルブ10は、例えば、車両のヘッドライトのリフレクター2に予め形成されている型式H4に適合した受金部2aに取り付けられる。LEDバルブ10は、軸部12と、口金部14と、締結リング15とを備える。
軸部12は、LEDバルブ10の本体である。高輝度に発光するLEDの発熱量は高いので、軸部12を構成する材料は、放熱性能を向上させるために熱伝導性に優れていることが望ましい。そこで、軸部12を構成する材料は、例えばアルミニウム合金であってもよい。軸部12は、中心軸Axを含む一平面で分割された第1部材12aと第2部材12bとの組み合わせで構成されてもよい。一例として、本実施形態では、軸部12は、XZ平面を分割面として、第1部材12aと第2部材12bとに分割されている。また、軸部12は、前軸部20と後軸部30とを含む。
前軸部20は、軸部12において、口金部14を係合可能とする第1係合面31よりもZ方向の前方に存在する部位である。前軸部20は、光源としてのLED50を保持する。つまり、前軸部20は、LEDバルブ10がリフレクター2に取り付けられている状態では、LED50の光射出面は、リフレクター2の反射面2bに向かって露出する。前軸部20の外径は、型式H4に適合した従来のハロゲンバルブのガラス管部の外径と同等の寸法に設定されていてもよい。
LED50は、前軸部20に2組ある。1つのLED50の組は、ハイビーム用の第1LED50aと、ロービーム用の第2LED50bとを含む。LED50の光射出面に対する垂線は、Y軸上にある。本実施形態では、1つのLED50の組に含まれる第1LED50aと第2LED50bとは、互いに同一の方向を向いている。また、一方の組のLED50が向く方向と他方の組のLED50が向く方向とは、正反対である。なお、第1LED50aと第2LED50bとのそれぞれの配置位置は、型式H4に適合した従来のハロゲンバルブにおけるハイビーム用のフィラメントとロービーム用のフィラメントのそれぞれの位置に対応するものとしてもよい。
また、前軸部20は、LED50のそれぞれの組に対応した2つの凹部21を有する。1つのLED50の組は、1つの凹部21の底面部21a側にある。2つのLED50の組の向く方向が互いに正反対であるので、2つの凹部21の開口方向も互いに正反対となる。軸部12が第1部材12aと第2部材12bとの組み合わせで構成される場合には、第1部材12aが一方の凹部21を有するものとし、第2部材12bが他方の凹部21を有するものとしてもよい。
また、LEDバルブ10は、前軸部20の先端部に、第1部材12aと第2部材12bとを一体的に締結して結合するキャップ16を備えてもよい。この場合、前軸部20は、キャップ用ねじ部22を有する。キャップ用ねじ部22は、中心軸Axと同軸状に形成されている。つまり、キャップ用ねじ部22の半分は、第1部材12a側にあり、残りの半分は、第2部材12b側にある。キャップ16の材質は、軸部12と同様に、アルミニウム合金であってもよい。
LED50は、基板51に実装されている。軸部12は、内部に、基板51を収容する空間部12cを有する。つまり、空間部12cの少なくとも一部は、2つの凹部21にある底面部21a同士で挟まれた領域内にある。基板51は、1つのみ存在し、2組のLED50を表裏に1組ずつ設けているものとしてもよい。又は、一方の組のLED50を設けた基板と他方の組のLED50を設けた基板との2つの基板51が存在するものとしてもよい。この場合、2つの基板51は、互いに重ね合わされた状態で、空間部12cに収容される。2つの底面部21aは、それぞれ、LED50の光射出面を外部に露出させる開口部21bを有する。2つの底面部21aには、ロービーム使用時に所定のカットラインを表出させるために、第2LED50bから発せられた光の照射方向を制限するシェード21cが形成されていてもよい。また、空間部12cは、必ずしも前軸部20のみに形成されているものではなく、空間部12cの一部は、後軸部30に存在してもよい。
後軸部30は、第1係合面31を含み、前軸部20とは反対側、すなわち、第1係合面31からZ方向の後方に存在する部位である。後軸部30は、基板51に接続されている配線52を外部に導出する。つまり、後軸部30は、LEDバルブ10がリフレクター2に取り付けられている状態では、リフレクター2の裏面側に露出する。後軸部30の最大外径D2は、型式H4に適合した従来のハロゲンバルブの端子部の外径と同等の寸法に設定されていてもよい。後軸部30は、軸部12の中心軸Axに沿って、空間部12cと、軸部12の端面30aとの間で貫通する貫通孔30bを有する。基板51に接続されている配線52は、貫通孔30bを通じて外部に導出される。
第1係合面31は、後軸部30の外周で、かつ、前軸部20と連続する領域に形成されている。第1係合面31の具体的な形状については、以下、口金部14の形状と合わせて説明する。
口金部14は、リフレクター2にLEDバルブ10を取り付ける際にリフレクター2の受金部2aに係合する。本実施形態では、口金部14の材質は、熱伝導性に優れた金属材料であるアルミニウムを含有する。例えば、口金部14は、アルミニウム合金を主な材料とした、アルミダイカスト製法を用いて製作されてもよい。
口金部14は、フランジ部14aと、第2係合面14bとを含む環状体である。
フランジ部14aは、受金部2aの形状に合わせて型式H4に適合する形状を有する。例えば、フランジ部14aは、それぞれ外周端から外側に向かって放射状に突出している3つの突出部14cを有する。
第2係合面14bは、軸部12に形成されている第1係合面31に係合する形状を有する。つまり、第2係合面14bの内径は、第1係合面31の外径Dに合わせて決定される。第1係合面31の外径Dは、例えば、以下の条件を満たすように規定される。
第1に、第1係合面31の外径Dは、前軸部20の最大外径D1よりも大きく、かつ、後軸部30の最大外径D2よりも小さい。なお、本実施形態では、以下で詳説するが、前軸部20は、締結リング15の雌ねじ部15aと係合する雄ねじ部23を有する。そのため、最大外径D1は、雄ねじ部23の最大径に相当する。
ここで、第1係合面31の外径Dが、前軸部20の最大外径D1よりも大きいということは、第2係合面14bの内径も、前軸部20の最大外径D1よりも大きいことになる。この条件によれば、作業者は、LEDバルブ10を組み立てる際、第2係合面14bで構成される貫通穴に、先端側から前軸部20を貫通させていくことで、第2係合面14bと第1係合面31とを当接させることができる。
一方、第1係合面31の外径Dが、後軸部30の最大外径D2よりも小さいということは、第2係合面14bの内径も、後軸部30の最大外径D2よりも小さいことになる。この条件によれば、作業者は、LEDバルブ10の組み立てる際、第2係合面14bで構成される貫通穴に前軸部20を貫通させていくと、口金部14は、第1係合面31上のいずれかの位置で移動が規制され、それ以上、後軸部30側へ移動することができない。
第2に、第1係合面31の外径Dは、全体として一様ではなく、軸部12の中心軸Axに沿って前軸部20側から後軸部30側に向かうにつれて徐々に大きくなる。つまり、第1係合面31は、中心軸Axに対して傾斜する円錐面となる。同様に、第2係合面14bも、第2係合面14bの中心軸に対して傾斜する円錐面となる。なお、第2係合面14bの中心軸は、図2に示すように、口金部14が軸部12に取り付けられている状態では、第1係合面31の中心軸Axと同軸とみなすことができる。この条件によれば、口金部14を軸部12に取り付けたとき、第1係合面31と第2係合面14bとは、互いに円錐面同士で面接触する。したがって、第1係合面31と第2係合面14bとが互いに外周長さが均一の円柱表面となる場合に比べて、軸部12と口金部14との接触面積を増加させることができる。
なお、第1係合面31と、第2係合面14bとは、それぞれ完全な円錐面である必要はなく、例えば、それぞれ、軸部12に対する口金部14の周方向の所望の位置で互いに係合する位置決め部を有してもよい。このような位置決め部として、例えば、第1係合面31には、位置決め溝31aが形成されていてもよい。この場合、第2係合面14bには、位置決め溝31aに係合可能とする突起部14dが形成されていてもよい。
また、口金部14の各部の厚みTは、例えば、以下の条件を満たすように規定される。
第1に、厚みTは、口金部14がリフレクター2に対してLEDバルブ10を長期の使用期間に渡り支持可能な剛性を有する程度とする。第2に、厚みTは、軸部12から第2係合面14bに伝わってくる熱が第2係合面14b側からフランジ部14a側に伝導しやすくなる程度とする。これらの条件を考慮すると、厚みTは、従来のLEDバルブにおける口金部を構成する鋼板の厚みよりも厚くなる。
締結リング15は、軸部12に口金部14を固定させるための部材である。締結リング15の内周面は、ねじ切りされている。一方、前軸部20は、外周面の一部に、締結リング15の内周面の雌ねじ部15aと係合する雄ねじ部23を有する。締結リング15は、第1係合面31と第2係合面14bとが接触しているときに、雄ねじ部23に対して雌ねじ部15aが締結されていくことで、いずれ口金部14と接触する。最終的に、締結リング15は、Z方向で後軸部30に対して口金部14を押し付けて固定することができる。締結リング15は、軸部12と口金部14との双方に接触する部材であるので、後述のとおり軸部12から口金部14への伝熱を考慮すると、熱伝導性に優れた材料で形成されることが望ましい。したがって、締結リング15を構成する材料は、例えばアルミニウム合金であってもよい。また、締結リング15は、作業者による締め付け作業を容易とするために、外面の一部に工具等の係り部15bを有してもよい。
ここで、上記のとおり、第1係合面31と第2係合面14bとは、互いに面接触する。つまり、この状態で、締結リング15による締結が進行すると、Z方向で第1係合面31に対して第2係合面14bがより押し付けられることになる。したがって、軸部12と口金部14との接触面積をより増加させることができる。
次に、図2を参照して、リフレクター2に取り付けられているLEDバルブ10の状態について説明する。
リフレクター2は、例えば、Z軸に沿って根元側から光照射側に向けて徐々に広がる略半球型の反射面2bを有する。リフレクター2は、Z方向の根元側に受金部2aを有する。なお、リフレクター2は、自動車等の車両に予め設置されている、いわゆる純正品であってもよい。
本実施形態では、LEDバルブ10をリフレクター2に取り付ける前に、締結リング15を用いて軸部12に対して口金部14を予め固定させておくことができる。そのため、作業者は、LEDバルブ10をリフレクター2に取り付けるときには、軸部12に対する口金部14の位置ずれや落下などに注意を払うことなく、LEDバルブ10を受金部2aに当接させることができる。次に、作業者は、不図示のスプリング等の固定部品を用いて、LEDバルブ10をリフレクター2に固定する。その後、作業者は、ゴム製カバー3をリフレクター2に取り付けることで、ゴム製カバー3で口金部14と受金部2aとを覆う。
ゴム製カバー3は、リフレクター2の裏面側から反射面2b側への水分の進入を抑えるための部材である。ゴム製カバー3は、例えば、内管部3aと外管部3bとを含む二重管構造を有する。内管部3aは、LEDバルブ10の後軸部30の一部と密に係合可能である。内管部3aのうち、Z軸に沿った軸方向の前方部3cは、後軸部30との接触部である。内管部3aのうち、Z軸に沿った軸方向の後方部3dは、後軸部30とは接触しない円錐部である。後方部3dの円錐形状は、前方部3cとの連接側が狭く、軸方向の後方側に向かって徐々に広くなる。一方、外管部3bは、軸方向の前方側が開放され、リフレクター2の裏面側に形成されている管状部2cと密に係合可能である。外管部3bの軸方向の後方側は、底部3eを介して内管部3aの後方部3dに連接されている。
ゴム製カバー3がこのような形状を有する場合、作業者は、軸部12に口金部14を取り付けてから、上記のとおり、LEDバルブ10を受金部2aに当接させた後、スプリング等の固定部品を用いてLEDバルブ10をリフレクター2に固定する。次に、作業者は、ゴム製カバー3の内管部3aに配線52を貫通させて、最終的にゴム製カバー3をリフレクター2に取り付けることができる。これにより、ゴム製カバー3は、リフレクター2に対してLEDバルブ10が安定した状態にあるなかで、口金部14と受金部2aとを覆うことができる。また、ゴム製カバー3は、受金部2aの裏面側を密閉空間とするので、リフレクター2内部への水分の進入を抑止することができる。
次に、図2を参照して、リフレクター2に取り付けられている状態のLEDバルブ10の放熱作用について説明する。
LEDバルブ10は、LED50の発熱に起因して加熱される。LEDバルブ10の蓄熱は、従来であれば、例えば、ゴム製カバー3の後方部3dにおいて外部に解放されている後軸部30の一部から放熱される。これに対して、本実施形態では、LEDバルブ10は、さらに口金部14を介して放熱を行う。
まず、LEDバルブ10では、軸部12側の第1係合面31と、口金部14側の第2係合面14bとが互いに円錐面同士で面接触するので、軸部12と口金部14との接触面積が広くなる。換言すれば、軸部12と口金部14とは、互いに円錐面同士で面接触しない場合よりも密に接触する。したがって、軸部12に蓄積された熱は、口金部14に伝導しやすい。
また、口金部14は、アルミニウムを含有する材質からなることから熱伝導性に優れ、その結果、第2係合面14b側で受け取った熱をフランジ部14a側に伝導しやすい。さらに、フランジ部14aの少なくとも一部は、リフレクター2の受金部2aに接触する。そのため、特にリフレクター2が放熱性能の高い材質で形成されている場合には、口金部14に蓄積された熱は、図2において太線の矢印で示すように、フランジ部14a側からリフレクター2側に伝導する。最終的に、リフレクター2は、図2において複数の細線の矢印で示すように、熱Hを外部に放出する。したがって、LEDバルブ10は、LED50で発生した熱を効率よくリフレクター2の外部に放出することができる。これに対して、従来のLEDバルブにおける口金部は、鉄製の板金で形成されていることが多いため、熱伝導性が良好ではなく、軸部12に蓄積された熱をリフレクター2側へ伝達することが難しい。
上記のLEDバルブ10の構成に対して、例えば、LEDバルブ10の後軸部30からの放熱性能を向上させたり、リフレクター2が放熱性能の低い材質で形成されていたりする場合には、LEDバルブ10に、以下のようなヒートシンクが装着されてもよい。
図3は、LEDバルブ10に装着可能なヒートシンク17の斜視図である。図3(a)は、ヒートシンク17を前方側から見た斜視図である。図3(b)は、ヒートシンク17を後方側から見た斜視図である。図4は、ヒートシンク17を装着した状態にあるLEDバルブ10の斜視図である。図4(a)は、LEDバルブ10を前方側から見た斜視図である。図4(b)は、LEDバルブ10を後方側から見た斜視図である。図5は、車両のヘッドライトのリフレクター2に取り付けられている状態の、ヒートシンク17を装着したLEDバルブ10及びその周囲構成の断面図である。
ヒートシンク17は、LED50の発熱によって加熱された軸部12等を冷却するための放熱部材である。ヒートシンク17は、熱伝導性に優れた材料で形成されることが望ましく、例えばアルミニウム合金で形成されてもよい。ヒートシンク17において、Z方向に沿った前方側の形状は円錐形であり、後方側の形状は円柱形である。ヒートシンク17は、収容穴17aと、複数の放熱フィン17bと、配線穴17cと、ボルト穴17dとを有する。
収容穴17aは、後軸部30の少なくとも一部である後端部を収容可能である。収容穴17aは、Z軸と平行な中心軸に合わせてヒートシンク17の前方側に形成されている。なお、ヒートシンク17及び収容穴17aの中心軸は、図5に示すように、ヒートシンク17が軸部12に取り付けられている状態では、軸部12の中心軸Axと同軸とみなすことができる。収容穴17aは、収容された後軸部30の外周面30cの一部である被収容面と対向する内壁面17eと、内壁面17eと連通し、後軸部30の端面30aと対向する底面17fとを含む。
内壁面17eの内径は、全体として一様ではなく、中心軸に沿って、前方側にある開放面から後方側にある底面17fに向かうにつれて徐々に小さくなる。つまり、内壁面17eは、中心軸に対して傾斜する円錐面となる。同様に、後軸部30の外周面30cの一部である被収容面も、軸部12の中心軸Axに対して傾斜する円錐面となる。この条件によれば、ヒートシンク17を軸部12に取り付けたとき、後軸部30の被収容面と収容穴17aの内壁面17eとは、互いに円錐面同士で面接触する。したがって、後軸部30の被収容面と収容穴17aの内壁面17eとが互いに外周長さが均一の円柱表面となる場合に比べて、軸部12とヒートシンク17との接触面積を増加させることができる。
さらに、LEDバルブ10は、軸部12からヒートシンク17への伝熱を促進させるための伝熱シートを備えてもよい。
図6は、ヒートシンク17をLEDバルブ10に装着するときに、ヒートシンク17に併せて装着される伝熱シート18を示す斜視図である。伝熱シート18は、図5に示すように、後軸部30の後端部が収容穴17aに収容されたとき、収容穴17aの底面17fと、後軸部30の端面30aとに挟み込まれる。そのため、伝熱シート18の形状は、全体的には、底面17fの平面形状に沿った円板状である。ただし、伝熱シート18には、底面17fに接触したときに配線穴17cに対向する位置に合う第1貫通穴18aと、同様にボルト穴17dに対向する位置に合う第2貫通穴18bとが形成されている。伝熱シート18の材質は、熱伝導性に優れ、また、底面17fと端面30aとによる押圧に対して柔軟に変形可能であることが望ましい。例えば、伝熱シート18は、シリコン(Si)シートであってもよい。
放熱フィン17bの一端は、収容穴17a等が形成されている本体部分に連接されている。放熱フィン17bの他端は、外部に向けて開放されている。収容穴17aを介して軸部12側から伝わってきた熱は、放熱フィン17bから外部に放出される。本実施形態では、複数の放熱フィン17bは、隣り合うもの同士が所定の間隔を開けて、X方向に沿って整列している。この場合、複数の放熱フィン17bは、収容穴17aの中心軸を通る一平面に沿って突出する。例えば、複数の放熱フィン17bが突出する方向は、それぞれ、中心軸を通るXZ平面を基準として、Y方向のプラス側又はマイナス側のいずれかの方向であってもよい。Y方向は、例えば水平方向であってもよい。又は、複数の放熱フィン17bが突出する方向は、リフレクター2の裏面側の構成を考慮して、例えば、LEDバルブ10から放出された熱によりリフレクター2の周囲構成が加熱されづらい方向となるように決定されてもよい。
図7は、LEDバルブ10に装着可能な他のヒートシンク117の斜視図である。LEDバルブ10に装着可能なヒートシンクは、図3に示すようなヒートシンク17に限られず、ヒートシンク117のような形状を有してもよい。なお、図7に示すヒートシンク117において、図3に示すヒートシンク17と同一形状の部分には同一の符号を付す。
ヒートシンク117では、複数の放熱フィンのそれぞれの設置領域によって放熱フィンの突出方向が互いに異なる。例えば、中心軸を通るYZ平面を基準として、X方向の上方の領域にある複数の第1放熱フィン117aは、中心軸を通るYZ平面側からX方向の上方に向かって突出する。一方、X方向の下方の領域にある複数の第2放熱フィン117bは、中心軸を通るXZ平面側からY方向のプラス側又はマイナス側のいずれかの方向に向かって突出する。つまり、第2放熱フィン117bの突出方向は、上記のヒートシンク17の放熱フィン17bの突出方向と同一である。X方向は、例えば鉛直方向であってもよい。
ヒートシンク117から外部に放出された熱は、熱流として基本的に鉛直方向の上方に向かう。そこで、特に第1放熱フィン117aをX方向の上方に向かって突出する形状とすることにより、熱流が上方に導かれやすくなるため、ヒートシンク117の周囲での熱流の滞留が抑えられ、LEDバルブ10の放熱をより促進させることができる。
配線穴17cは、軸部12の端面30a側から導出されている配線52を貫通させて、ヒートシンク17の外部に導出する。配線穴17cは、ヒートシンク17において、Z方向の前方側と後方側とで貫通する。配線穴17cの前方側の端部は、収容穴17aの底面17fで開放されている。
ボルト穴17dは、軸部12の端面30aに形成されているねじ穴30dの位置に合わせて形成されている。作業者は、ボルト穴17dにボルト19を貫通させた後、ボルト19をねじ穴30dに係合させて締結することで、軸部12に対してヒートシンク17を容易に固定することができる。
次に、本実施形態に係るLEDバルブ10による効果について説明する。
本実施形態に係るLEDバルブ10は、LED50を保持する軸部12と、軸部12を支持する口金部14とを備える。軸部12は、外周面の一部として、口金部14と係合する第1係合面31を有する。口金部14は、内周面の一部として、軸部12と係合する第2係合面14bを有する。第1係合面31は、軸部12の中心軸Axに対して傾斜する円錐面である。第2係合面14bは、第1係合面31と面接触する円錐面である。また、口金部14の材質は、アルミニウムを含有する。
このような構成によれば、軸部12側の第1係合面31と口金部14側の第2係合面14bとが互いに円錐面同士で面接触するので、軸部12と口金部14との接触面積が広くなり、軸部12に蓄積された熱が口金部14に伝導しやすくなる。また、口金部14は、熱伝導性に優れたアルミニウムを含有する材質からなるので、第2係合面14b側で受け取った熱が隅々にまで行き渡りやすい。ここで、口金部14の一部は、LEDバルブ10の取付対象であるリフレクター2の受金部2aに接触するので、口金部14に蓄積された熱は、容易にリフレクター2側に伝導する。リフレクター2に伝導してきた熱は、最終的にはリフレクター2自体から外部に放出される。つまり、LEDバルブ10は、LED50で発生した熱を効率よくリフレクター2の外部に放出することができる。
したがって、LEDバルブ10によれば、口金部14を介した放熱を行わせることができるので、従来取り付けられているヒートシンクを必ずしも必要としない。つまり、LEDバルブ10は、ヒートシンクを取り付けなくても、従来のヒートシンクを必要とするLEDバルブと同等の放熱性能を維持することができる。
また、従来のヒートシンクを有するLEDバルブでは、取付対象の構成や形状によっては、標準規格自体は適合するものであったとしても、ヒートシンクが取付対象やその周辺に干渉してしまい、取り付けられないこともあり得る。これに対して、LEDバルブ10は、ヒートシンクを取り付けなくても放熱性能をある程度維持するので、このようなヒートシンクの干渉により取付不可となる取付対象をなくすことができる。
さらに、LEDバルブ10によれば、例えば、リフレクター2との組み合わせにより、口金部14を介した放熱で十分な放熱性能が得られる場合には、軸部12の形状を、純正品のLEDバルブの軸部の形状よりも小さくすることができる。
以上のように、本実施形態によれば、放熱性能を維持しつつ、取付対象への適合性を向上させることが可能なLEDバルブ10を提供することができる。
また、LEDバルブ10では、軸部12は、第1係合面31を基準として、LED50の光射出面がある側の前軸部20と、前軸部20とは反対側の後軸部30とを有してもよい。第1係合面31の外径Dは、前軸部20の最大外径D1よりも大きく、後軸部30の最大外径D2よりも小さく、及び、前軸部20の側から後軸部30の側に向かうにつれて徐々に大きくなってもよい。
このようなLEDバルブ10によれば、組み立て時に、作業者は、第2係合面14bで構成される貫通穴に、先端側から前軸部20を貫通させていくことで、第2係合面14bと第1係合面31とを容易に当接させることができる。また、第2係合面14bで構成される貫通穴に前軸部20が貫通されていくと、第1係合面31上のいずれかの位置で口金部14の移動が規制される。そのため、作業者は、軸部12の軸方向について、第1係合面31に対して口金部14を容易に位置決めすることができる。
また、LEDバルブ10では、前軸部20の一部と係合し、軸部12に支持されている口金部14を前軸部20の側から後軸部30の側に向けて押し付ける締結リング15を備えてもよい。
このようなLEDバルブ10によれば、締結リング15により、第1係合面31に対して第2係合面14bがより強固に接触することになるので、軸部12と口金部14との接触面積がより増加する。したがって、口金部14に対して、軸部12に蓄積された熱がより伝導しやすくなる。また、LEDバルブ10をリフレクター2に取り付ける前に、締結リング15を用いて軸部12に対して口金部14を予め固定させておくことができる。したがって、作業者がLEDバルブ10をリフレクター2に取り付ける際に、軸部12に対して口金部14の位置がずれたり、軸部12から口金部14が落下したりすることがないので、作業性を向上させることができる。
また、LEDバルブ10は、後軸部30の少なくとも一部を収容する収容穴17aを有するヒートシンク17を備えてもよい。収容穴17aは、後軸部30の外周面30cの一部である被収容面と対向する内壁面17eを含む。被収容面は、軸部12の中心軸Axに対して傾斜する円錐面であってもよい。内壁面17eは、被収容面と面接触する円錐面であってもよい。
本実施形態に係るLEDバルブ10は、LEDバルブ10の後軸部30からの放熱性能をより向上させたり、リフレクター2が放熱性能の低い材質で形成されていたりする場合には、ヒートシンク17を装着することもできる。
このようなLEDバルブ10によれば、後軸部30の被収容面と収容穴17aの内壁面17eとが互いに円錐面同士で面接触するので、軸部12とヒートシンク17との接触面積が増加する。したがって、ヒートシンク17に対して、軸部12に蓄積された熱がより伝導しやすくなる。
また、ヒートシンク17は、放熱に有利となる口金部14と併用されることで、必ずしも高い放熱性能を発揮するものでなくてもよい場合もあり得る。このような場合には、ヒートシンク17の全体的な大きさを、従来のLEDバルブに用いられているヒートシンクよりも小型化することができる。つまり、LEDバルブ10によれば、ヒートシンクを用いない場合のみならず、ヒートシンク17を用いる場合でも、ヒートシンクの干渉により取付不可となる取付対象を少なくすることができるので、取付対象への適合性を向上させる点で有利となる。
なお、ここまでの説明では、ヒートシンク17は、口金部14と併用されるものとしているが、必ずしも口金部14との併用を要するものではない。すなわち、例えば、従来の板金からなる口金部を用いたLEDバルブに対して、本開示の後軸部30とヒートシンク17との組み合わせのみ適用しても、上記のように、放熱性能を維持しつつ、取付対象への適合性を向上させることができる場合もあり得る。
また、LEDバルブ10は、伝熱シート18を備えてもよい。収容穴17aは、後軸部30の端面30aと対向する底面17fを含む。このとき、伝熱シート18は、後軸部30の端面30aと、底面17fとの間に挟み込まれてもよい。
このようなLEDバルブ10によれば、軸部12からヒートシンク17への伝熱をより促進させることができる。
また、LEDバルブ10では、伝熱シート18は、シリコンシートであってもよい。
シリコンシートは、熱伝導性に優れ、また、底面17fと端面30aとによる押圧に対して柔軟に変形可能であるので、伝熱シート18に採用するものとして望ましい。
また、LEDバルブ10では、ヒートシンク17は、収容穴17aの中心軸を通る一平面に沿って突出する複数の放熱フィン17bを有してもよい。
このようなLEDバルブ10によれば、ヒートシンク17に蓄熱された熱を効率よく外部に放出するのに望ましく、かつ、ヒートシンク17の形状が必要以上に複雑化しないため、製造上、有利となり得る。
また、LEDバルブ10では、ヒートシンク117は、上記のヒートシンク17が有する放熱フィン17bとは異なる複数の放熱フィンを有してもよい。ヒートシンク117が有する放熱フィンは、収容穴17aの中心軸Axを通る水平面よりも上方の領域にあり、下方から上方に向かって突出する第1放熱フィン117aを含んでもよい。また、ヒートシンク117が有する放熱フィンは、収容穴17aの中心軸を通る水平面よりも下方の領域にあり、水平方向に突出する第2放熱フィン117bを含んでもよい。
このようなLEDバルブ10によれば、特に第1放熱フィン117aが上方に向かって突出するので、熱流が上方に導かれやすくなるため、ヒートシンク117の周囲での熱流の滞留が抑えられ、LEDバルブ10の放熱をより促進させることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、LEDバルブ10が上記規格の型式H4に適合するものとした。しかし、本開示のLEDバルブは、型式H4に適合するものに限定されない。そこで、第2実施形態では、上記規格の型式H11に適合するLEDバルブ210を例示する。なお、LEDバルブ210として例示する構成又は形状は、その他、型式H11と同一又は類似の構成又は形状である型式H8、H9又はH16などにも適合可能である。型式H11に適合するバルブは、例えば、自動車のヘッドライトにおけるハイビーム又はロービームに適用され得る。
図8は、第2実施形態に係るLEDバルブ210の斜視図である。図8(a)は、LEDバルブ210を前方側から見た斜視図である。図8(b)は、LEDバルブ210を後方側から見た斜視図である。図9は、LEDバルブ210の断面図である。
LEDバルブ210は、例えば、車両のヘッドライトのリフレクター202に予め形成されている型式H11に適合した受金部202aに取り付けられる。図9では、リフレクター202を二点鎖線で一部表記している。LEDバルブ210は、軸部212と、口金部214と、パッキンリング215と、Oリング224とを備える。
軸部212は、第1実施形態におけるLEDバルブ10の軸部12に代わる、LEDバルブ210の本体である。第1実施形態における軸部12と比較して、軸部212の形状は互いに異なるが、軸部212の基本構成は互いに類似する。例えば、軸部212を構成する材料は、例えばアルミニウム合金であってもよい。軸部212は、中心軸Axを含む一平面で分割された第1部材212aと第2部材212bとの組み合わせで構成されてもよい。また、軸部212は、第1実施形態における軸部12と同様に、前軸部220と後軸部230とを含む。
前軸部220は、軸部212において、口金部214を係合可能とする第1係合面231よりもZ方向の前方に存在する部位である。前軸部220の外径は、型式H11に適合した従来のハロゲンバルブのガラス管部の外径と同等の寸法に設定されていてもよい。
前軸部220は、光源としてのLED50を保持する。LEDバルブ210において、LED50、LED50を実装する基板51、又は、配線52は、それぞれ、厳密には第1実施形態におけるLEDバルブ10に採用されるものと異なる形状や構成となるものもあるが、便宜上、同一の符号を付す。軸部212は、内部に、基板51を収容する空間部212cを有する。LEDバルブ210では、互いに相対する方向を光の射出方向とする2つのLED50のみが存在する。なお、LED50の配置位置は、型式H11に適合した従来のハロゲンバルブにおけるフィラメントの位置に対応するものとしてもよい。前軸部220は、2つのLED50のそれぞれに対応した2つの凹部221を有する。2つの凹部221は、それぞれ、LED50の光射出面を外部に露出させる開口部221bが形成されている底面部221aを有する。また、LEDバルブ210は、第1実施形態に係るLEDバルブ10と同様に、前軸部220の先端部に、第1部材212aと第2部材212bとを一体的に締結して結合するキャップ216を備えてもよい。この場合、前軸部220は、キャップ用ねじ部222を有する。
後軸部230は、第1係合面231を含み、前軸部220とは反対側、すなわち、第1係合面231からZ方向の後方に存在する部位である。後軸部230は、軸部212の中心軸Axに沿って、空間部212cと、軸部212の端面230aとの間で貫通する貫通孔230bを有する。基板51に接続されている配線52は、貫通孔230bを通じて外部に導出される。
第1係合面231は、後軸部230の外周で、かつ、前軸部220と連続する領域に形成されている。第1係合面231の具体的な形状については、以下、口金部214の形状と合わせて説明する。
口金部214は、リフレクター202にLEDバルブ210を取り付ける際にリフレクター202の受金部202aに係合する。口金部214の材質は、第1実施形態における口金部14と同様に、熱伝導性に優れた金属材料であるアルミニウムを含有する。例えば、口金部214は、アルミニウム合金を主な材料とした、アルミダイカスト製法を用いて製作されてもよい。
口金部214は、筒部214aと、3つの突出部214cと、第1環部214dと、第2環部214eとを含む環状体である。口金部214では、筒部214aの内壁面の少なくとも一部が第2係合面214bとなる。3つの突出部214c、第1環部214d及び第2環部214eは、それぞれ筒部214aの外壁面に連接し、受金部202aの形状に合わせて型式H11に適合する形状を有するフランジ部を構成する。3つの突出部214c、第1環部214d及び第2環部214eは、それぞれ、筒部214aの軸方向に沿って、一定の間隔で離間している。3つの突出部214cは、それぞれ、筒部214aの外壁面から外側に向かって放射状に突出している。
また、本実施形態においても、第2係合面214bは、第1実施形態における第1係合面31と第2係合面14bとの関係と同様に、軸部212に形成されている第1係合面231に係合する形状を有する。つまり、第2係合面214bの内径は、第1係合面231の外径Dに合わせて決定される。第1係合面231の外径Dは、例えば、以下の条件を満たすように規定される。
第1に、第1係合面231の外径Dは、前軸部220の最大外径D1よりも大きく、かつ、後軸部230の最大外径D2よりも小さい。なお、本実施形態では、第1実施形態において説明したような締結リング15を係合させる雄ねじ部23が存在しないので、最大外径D1は、前軸部220全体の最大径に相当する。
ここで、第1係合面231の外径Dが、前軸部220の最大外径D1よりも大きいということは、第2係合面214bの内径も、前軸部220の最大外径D1よりも大きいことになる。したがって、本実施形態においても、作業者は、LEDバルブ210を組み立てる際、第2係合面214bで構成される貫通穴に、先端側から前軸部220を貫通させていくことで、第2係合面214bと第1係合面231とを当接させることができる。
一方、第1係合面231の外径Dが、後軸部230の最大外径D2よりも小さいということは、第2係合面214bの内径も、後軸部230の最大外径D2よりも小さいことになる。したがって、本実施形態においても、作業者は、LEDバルブ210の組み立てる際、第2係合面214bで構成される貫通穴に前軸部220を貫通させていくと、口金部214は、第1係合面231上のいずれかの位置で移動が規制される。
第2に、第1係合面231の外径Dは、全体として一様ではなく、軸部212の中心軸Axに沿って前軸部220側から後軸部230側に向かうにつれて徐々に大きくなる。つまり、第1係合面231は、中心軸Axに対して傾斜する円錐面となる。同様に、第2係合面214bも、第2係合面214bの中心軸に対して傾斜する円錐面となる。なお、第2係合面214bの中心軸は、図9に示すように、口金部214が軸部212に取り付けられている状態では、第1係合面231の中心軸Axと同軸とみなすことができる。この条件によれば、口金部214を軸部212に取り付けたとき、第1係合面231と第2係合面214bとは、互いに円錐面同士で面接触する。したがって、本実施形態においても、第1係合面231と第2係合面214bとが互いに外周長さが均一の円柱表面となる場合に比べて、軸部212と口金部214との接触面積を増加させることができる。
また、口金部214の各部の厚みTは、第1実施形態における口金部14の各部の厚みTと同様の条件で規定されてもよい。第1に、厚みTは、口金部214がリフレクター202に対してLEDバルブ210を長期の使用期間に渡り支持可能な剛性を有する程度とする。第2に、厚みTは、軸部212から第2係合面214bに伝わってくる熱が第2係合面214b側から突出部214c側に伝導しやすくなる程度とする。
パッキンリング215は、LEDバルブ210が受金部202aに取り付けられたときに、受金部202aと口金部214との密着性を向上させるための部材である。パッキンリング215の材質は、例えば、弾性及び耐熱性を有するゴムである。パッキンリング215は、内周側に、口金部214の第1環部214dと第2環部214eとに挟まれた空間で構成される溝に係合する環部215aを有する。環部215aが第1環部214dと第2環部214eと間の溝に係合していることで、パッキンリング215は、LEDバルブ210が受金部202aに取り付けられていない状態でも、口金部214から脱落しない。また、LEDバルブ210が受金部202aに取り付けられている状態では、パッキンリング215の軸方向前方の側面215bは、受金部202aの側面に当接する。これにより、外部からリフレクター202内部への埃や水分の進入を抑えることができる。
Oリング224は、軸部212に対して口金部214が不用意に移動しないようにするための介在部材である。Oリング224の材質は、例えば、耐熱性を有するゴム材である。Oリング224の内周側は、第1係合面231に形成されている収容溝231aに接触する。Oリング224の外周側は、口金部214の内壁面に形成されている収容溝214fに接触する。軸部212と口金部214とがOリング224を介して互いに取り付けられることで、口金部214は、LEDバルブ210が受金部202aに取り付けられていない状態でも、軸部212から脱落しづらくなる。また、LEDバルブ210が受金部202aに取り付けられている状態では、外部からのリフレクター202内部への埃や水分の進入が抑えられる。
また、口金部214は、軸部212に対して、いもねじ225による締結により支持されてもよい。この場合、口金部214は、いもねじ225を係合させるねじ穴214gを有する。一方、後軸部230は、第1係合面231の一部に、いもねじ225の先端部を収容可能とする長溝231bを有する。長溝231bは、不図示であるが、軸部212の外周に沿って延伸している。これにより、作業者は、口金部214の姿勢に対して軸部212の周方向の角度を適宜変化させて、最終的に適切な角度位置でいもねじ225を締め付けることで、リフレクター202に対するLED50の角度位置を適切な位置に調整することができる。
さらに、後軸部230は、一面が端面230aと同一面となり、かつ、外周面から外側に向かって放射状に突出している突起部230eを有してもよい。例えば、作業者は、受金部202aに口金部214を係合させた状態で、突起部230eを保持しながら中心軸Ax回りに軸部212を適宜回転させることで、受金部202aに対するLEDバルブ210の角度位置を容易に調整することができる。
ここで、型式H11に適合する従来の純正ハロゲンバルブでは、軸部の後端にコネクタが設けられていることが多い。この純正コネクタの形状は、一端がバルブ本体である軸部の軸方向に開口し、他端が軸部の軸方向とは垂直となる方向に開口している形状、すなわち、いわゆるL形であることが多い。そこで、突起部230eの突出方向は、軸部の軸方向とは垂直となる方向である、純正コネクタの他端が突出している方向に合わせることが望ましい。これにより、LEDバルブ210が突起部230eを有するものであっても、突起部230eがリフレクター202の周囲構成と干渉することを避けることができる。
次に、図9を参照して、リフレクター202に取り付けられている状態のLEDバルブ210の放熱作用について説明する。
本実施形態におけるLEDバルブ210でも、軸部212側の第1係合面231と、口金部214側の第2係合面214bとが互いに円錐面同士で面接触するので、軸部212と口金部214との接触面積が広くなる。したがって、軸部212に蓄積された熱は、口金部214に伝導しやすい。
また、口金部214は、アルミニウムを含有する材質からなるので、第2係合面214b側で受け取った熱を突出部214c側に伝導しやすい。さらに、突出部214cの少なくとも一部は、リフレクター202の受金部202aに接触する。そのため、本実施形態においても、特にリフレクター202が放熱性能の高い材質で形成されている場合には、口金部214に蓄積された熱は、図9において太線の矢印で示すように、突出部214c側からリフレクター202側に伝導する。最終的に、リフレクター202は、第1実施形態と同様に、熱Hを外部に放出する。
また、本実施形態においても、LEDバルブ210に、以下に例示するようなヒートシンクが装着されてもよい。
図10は、LEDバルブ210に装着可能なヒートシンク217の斜視図である。図10(a)は、ヒートシンク217を前方側から見た斜視図である。図10(b)は、ヒートシンク217を後方側から見た斜視図である。図11は、ヒートシンク217を装着した状態にあるLEDバルブ210の斜視図である。図11(a)は、LEDバルブ210を前方側から見た斜視図である。図11(b)は、LEDバルブ210を後方側から見た斜視図である。
ヒートシンク217は、第1実施形態におけるヒートシンク17と同様に、LED50の発熱によって加熱された軸部212等を冷却するための放熱部材である。ヒートシンク217の材質も、ヒートシンク17の材質と同様である。ここで、上記のとおり、型式H11に適合する従来の純正ハロゲンバルブには、L形のコネクタが存在する。つまり、リフレクター202が、型式H11に適合する従来のハロゲンバルブを取付可能であるならば、受金部202aの周囲には、純正コネクタが干渉しない程度の空間が存在する。そこで、ヒートシンク217の形状は、純正コネクタと同程度の形状となるように、第1実施形態におけるヒートシンク17よりも大型である。ただし、ヒートシンク217の基本形状は、ヒートシンク17に準じており、収容穴217aと、複数の放熱フィン217bと、配線穴217cと、ボルト穴217dとを有する。
収容穴217aは、ヒートシンク17の収容穴17aと同様に、後軸部230の少なくとも一部である後端部を収容可能である。収容穴217aは、収容された後軸部230の外周面230cの一部である被収容面と対向する内壁面217eと、内壁面217eと連通し、後軸部230の端面230aと対向する底面217fとを含む。加えて、収容穴217aは、後軸部230に設けられている突起部230eを収容する収容領域217gを含む。
内壁面217eの内径は、全体として一様ではなく、中心軸に沿って、前方側にある開放面から後方側にある底面217fに向かうにつれて徐々に小さくなる。つまり、内壁面217eは、中心軸に対して傾斜する円錐面となる。同様に、後軸部230の外周面230cの一部である被収容面も、軸部212の中心軸Axに対して傾斜する円錐面となる。つまり、本実施形態においても、ヒートシンク217を軸部212に取り付けたとき、後軸部230の被収容面と収容穴217aの内壁面217eとは、互いに円錐面同士で面接触する。したがって、後軸部230の被収容面と収容穴217aの内壁面217eとが互いに外周長さが均一の円柱表面となる場合に比べて、軸部212とヒートシンク217との接触面積を増加させることができる。
また、本実施形態では、後軸部230に突起部230eが設けられているので、突起部230eの壁面と、収容領域217gにおける内壁面とが、互いに中心軸Axに対して傾斜し、傾斜面同士で面接触するものとしてもよい。これにより、軸部212とヒートシンク217との接触面積がより増加する。
さらに、本実施形態においても、LEDバルブ210は、軸部212からヒートシンク217への伝熱を促進させるための伝熱シートを備えてもよい。
図12は、ヒートシンク217をLEDバルブ210に装着するときに、ヒートシンク217に併せて装着される伝熱シート218を示す斜視図である。伝熱シート218は、第1実施形態と同様に、後軸部230の後端部が収容穴217aに収容されたとき、収容穴217aの底面217fと、後軸部230の端面230aとに挟み込まれる。ただし、収容穴217aは、後軸部230側の突起部230eに対応した収容領域217gを含むため、伝熱シート218も、収容領域217gを有する収容穴217aの形状に合わせた形状となっている。また、伝熱シート218にも、底面217fに接触したときに配線穴217cに対向する位置に合う第1貫通穴218aと、同様にボルト穴217dに対向する位置に合う第2貫通穴218bとが形成されている。伝熱シート218の材質は、第1実施形態における伝熱シート18と同様である。
放熱フィン217bの一端は、収容穴217a等が形成されている本体部分に連接されている。放熱フィン217bの他端は、外部に向けて開放されている。収容穴217aを介して軸部212側から伝わってきた熱は、放熱フィン217bから外部に放出される。複数の放熱フィン217bの設置構成は、基本的には、第1実施形態におけるヒートシンク17が有する複数の放熱フィン17bと同様である。ただし、本実施形態では、放熱性能能をより向上させるために、一例として、収容穴217aの中心軸を基準として、X方向の上方よりも下方の方により多くの放熱フィン217bが配置されている。X方向は、例えば鉛直方向であってもよい。
図13は、LEDバルブ210に装着可能な他のヒートシンク227の斜視図である。LEDバルブ210に装着可能なヒートシンクは、図10に示すようなヒートシンク217に限られず、ヒートシンク227のような形状を有してもよい。なお、図10に示すヒートシンク227において、図10に示すヒートシンク217と同一形状の部分には同一の符号を付す。
ヒートシンク227は、複数の放熱フィンのそれぞれの設置領域によって放熱フィンの突出方向が互いに異なる第1実施形態におけるヒートシンク117に対応する。ヒートシンク227でも、例えば、中心軸を通るYZ平面を基準として、X方向の上方の領域にある複数の第1放熱フィン227aは、中心軸を通るYZ平面側からX方向の上方に向かって突出する。一方、X方向の下方の領域にある複数の第2放熱フィン227bは、中心軸を通るXZ平面側からY方向のプラス側又はマイナス側のいずれかの方向に向かって突出する。X方向は、例えば鉛直方向であってもよい。
配線穴217cは、第1実施形態における配線穴17cに対応する。また、ボルト穴217dは、第1実施形態におけるボルト穴17dに対応する。この場合も、ボルト穴217dは、軸部212の端面230aに形成されているねじ穴230dの位置に合わせて形成されている。作業者は、ボルト穴217dにボルト19を貫通させた後、ボルト19をねじ穴230dに係合させて締結することで、軸部212に対してヒートシンク217を固定することができる。
このように、本開示のLEDバルブは、本実施形態に係るLEDバルブ210のように型式H11に適合するものであっても、第1実施形態で例示した型式H4に適合するLEDバルブ10と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、上記規格の型式HB3に適合するLEDバルブ310を例示する。型式HB3に適合するバルブは、自動車のヘッドライトにおけるハイビーム又はフォグランプに適用され得る。一般に、型式HB3に適合するバルブと、型式H11に適合するバルブとでは、バルブ本体である軸部の構成や形状が類似している。そこで、本実施形態では、一例として、LEDバルブ310の軸部は、第2実施形態で説明した軸部212と同一であるものとする。そして、以下、軸部212、及び、軸部212の形状に対応したヒートシンク217等の詳細説明を省略し、LEDバルブ310の特に口金部314等に関して具体的に説明する。なお、LEDバルブ310として例示する構成又は形状は、その他、型式HB3と同一又は類似の構成又は形状である型式HB4、HIR1又はHIR2などにも適合可能である。
図14は、第3実施形態に係るLEDバルブ310の斜視図である。図14(a)は、LEDバルブ310を前方側から見た斜視図である。図14(b)は、LEDバルブ310を後方側から見た斜視図である。図15は、LEDバルブ310の断面図である。
LEDバルブ310は、例えば、車両のヘッドライトのリフレクター302に予め形成されている型式HB3に適合した受金部302aに取り付けられる。図15では、リフレクター302を二点鎖線で一部表記している。LEDバルブ310は、軸部212と、口金部314と、第1Oリング324と、第2Oリング326とを備える。
口金部314は、リフレクター302にLEDバルブ310を取り付ける際にリフレクター302の受金部302aに係合する。口金部314の材質は、第1実施形態における口金部14と同様に、熱伝導性に優れた金属材料であるアルミニウムを含有する。例えば、口金部314は、アルミニウム合金を主な材料とした、アルミダイカスト製法を用いて製作されてもよい。
口金部314は、筒部314aと、フランジ部314cとを含む環状体である。口金部314では、筒部314aの内壁面の少なくとも一部が第2係合面314bとなる。フランジ部314cは、受金部302aの形状に合わせて型式HB3に適合する形状を有する。例えば、フランジ部314cは、それぞれ外周端から外側に向かって放射状に突出している3つの突出部314dを有する。
また、本実施形態においても、第2係合面314bは、第1実施形態における第1係合面31と第2係合面14bとの関係と同様に、軸部212に形成されている第1係合面231に係合する形状を有する。つまり、第2係合面314bの内径は、第1係合面231の外径Dに合わせて決定される。
ここで、第1係合面231の外径Dが、前軸部220の最大外径D1よりも大きいということは、第2係合面314bの内径も、前軸部220の最大外径D1よりも大きいことになる。したがって、本実施形態においても、作業者は、LEDバルブ310を組み立てる際、第2係合面314bで構成される貫通穴に、先端側から前軸部220を貫通させていくことで、第2係合面314bと第1係合面231とを当接させることができる。
一方、第1係合面231の外径Dが、後軸部230の最大外径D2よりも小さいということは、第2係合面314bの内径も、後軸部230の最大外径D2よりも小さいことになる。したがって、本実施形態においても、作業者は、LEDバルブ310の組み立てる際、第2係合面314bで構成される貫通穴に前軸部220を貫通させていくと、口金部314は、第1係合面231上のいずれかの位置で移動が規制される。
また、第1係合面231は、中心軸Axに対して傾斜する円錐面であるので、第2係合面314bも、第2係合面314bの中心軸に対して傾斜する円錐面となる。この条件によれば、口金部314を軸部212に取り付けたとき、第1係合面231と第2係合面314bとは、互いに円錐面同士で面接触する。したがって、本実施形態においても、第1係合面231と第2係合面314bとが互いに外周長さが均一の円柱表面となる場合に比べて、軸部212と口金部314との接触面積を増加させることができる。
また、口金部314の各部の厚みTは、第1実施形態における口金部14の各部の厚みTと同様の条件で規定されてもよい。第1に、厚みTは、口金部314がリフレクター302に対してLEDバルブ310を長期の使用期間に渡り支持可能な剛性を有する程度とする。第2に、厚みTは、軸部212から第2係合面314bに伝わってくる熱が第2係合面314b側から突出部314d側に伝導しやすくなる程度とする。
第1Oリング324は、軸部212に対して口金部314が不用意に移動しないようにするための介在部材である。第1Oリング324の材質は、例えば、耐熱性を有するゴム材である。第1Oリング324の内周側は、第1係合面231に形成されている収容溝231aに接触する。第1Oリング324の外周側は、口金部314の内壁面に形成されている収容溝314fに接触する。軸部212と口金部314とが第1Oリング324を介して互いに取り付けられることで、口金部314は、LEDバルブ310が受金部302aに取り付けられていない状態でも、軸部212から脱落しづらくなる。また、LEDバルブ310が受金部302aに取り付けられている状態では、外部からのリフレクター302内部への埃や水分の進入が抑えられる。
第2Oリング326は、受金部302aに対して口金部314が不用意に移動しないようにするための介在部材である。第2Oリング326の材質は、例えば、耐熱性を有するゴム材である。第2Oリング326の内周側は、口金部314に形成されている収容溝314hに接触する。第2Oリング326の外周側は、受金部302aの一部を構成する内壁面に接触する。受金部302aと口金部314とが第2Oリング326を介して互いに取り付けられることで、LEDバルブ310は、受金部302aから脱落しづらくなる。また、口金部314が受金部302aに取り付けられている状態では、外部からのリフレクター302内部への埃や水分の進入が抑えられる。
また、本実施形態においても、口金部314は、軸部212に対して、いもねじ225による締結により支持されてもよい。この場合、口金部314は、いもねじ225を係合させるねじ穴314gを有する。これにより、作業者は、口金部314の姿勢に対して軸部212の周方向の角度を適宜変化させて、最終的に適切な角度位置でいもねじ225を締め付けることで、リフレクター302に対するLED50の角度位置を適切な位置に調整することができる。
次に、図15を参照して、リフレクター302に取り付けられている状態のLEDバルブ310の放熱作用について説明する。
本実施形態におけるLEDバルブ310でも、軸部212側の第1係合面231と、口金部314側の第2係合面314bとが互いに円錐面同士で面接触するので、軸部212と口金部314との接触面積が広くなる。したがって、軸部212に蓄積された熱は、口金部314に伝導しやすい。
また、口金部314は、アルミニウムを含有する材質からなるので、第2係合面314b側で受け取った熱を突出部314d側に伝導しやすい。さらに、突出部314dの少なくとも一部は、リフレクター302の受金部302aに接触する。そのため、本実施形態においても、特にリフレクター302が放熱性能の高い材質で形成されている場合には、口金部314に蓄積された熱は、図15において太線の矢印で示すように、突出部314d側からリフレクター302側に伝導する。最終的に、リフレクター302は、第1実施形態と同様に、熱Hを外部に放出する。
なお、本実施形態においても、LEDバルブ310には、第2実施形態で例示したようなヒートシンク217やヒートシンク227が装着されてもよい。
このように、本開示のLEDバルブは、本実施形態に係るLEDバルブ310のように型式HB3に適合するものであっても、第1実施形態で例示した型式H4に適合するLEDバルブ10と同様の効果を奏する。
なお、上記の各実施形態では、本開示のLEDバルブが、上記規格の型式H4、H11若しくはそれと同種、又は、HB3若しくはそれと同種のいずれかに適合する場合を例示したが、それら以外の型式のLEDバルブに対しても同様に適用することが可能である。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。