JP2020119628A - 偏平型ボタン電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の偏平型ボタン電池は、有底円筒状の正極缶と、前記正極缶の開口部内側にガスケットを介在し固定され、前記正極缶との間に収容空間を形成する負極缶とを備え、前記正極缶の開口部を前記負極缶側にかしめたかしめ部を設けることで前記収容空間が密封され、前記収容空間に正極と負極とセパレータが収容された偏平型ボタン電池であって、前記正極缶に収容される正極が、ペレット層からなり、該ペレット層の前記正極缶側の中央側であって前記ガスケットによる封止位置よりも内側に電解液収容部が形成されたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
しかしながら数十mA以上の大きな電流で放電させると電池内部の反応が追いつかず、負極活物質や正極活物質の未反応量が多くなり、結果的に放電時間が短くなる。
この問題を解決するために、特許文献1は電解液量と濃度を最適化し高性能なアルカリ電池を得る技術について記載されている。
特許文献2は負極を非ゲル状とし亜鉛粒子の近傍に存在する電解液のイオンの移動速度を大きくして負極での反応速度を向上させ、重負荷特性を高めた構成について記載されている。
特許文献3はアルカリ乾電池の正極合剤ペレットの表面に窪みを設けてアルカリ電解液の貯蔵部とし、電解液を増量した構成が記載されている。
特許文献4は非水電解液電池のセパレータ側に接する正極合剤の表面に傾斜した形状の凹部を設け、多量の電解液を電池内に収容した構成が記載されている。
一方、偏平型のボタン型電池に特許文献3に記載と同様の電解液貯液部を形成すると、かしめ加工時にガスケットを介してペレットに形成した電解液貯液部に力が加わり、ペレットが変形したり割れたりする恐れがある。更に、かしめの力によりペレットの変形や割れが発生すると、安定した電池形状が得られないだけでなく、電解液を保持することが出来なくなり電解液が電池の外に漏れ出る恐れもあることから、安定して製造するには好ましい構造ではない。
電解液収容部をペレット層の正極缶側の中央側よりに設けることにより、電解液収容部とかしめ部との距離を最大限に確保することができ、かしめ加工を行う場合の電解液の液漏れのおそれを抑制できる。加えて、正極缶と負極缶をかしめる場合のかしめ力はガスケットを介しペレット層に加えられるが、かしめ力が作用するのは、正極を構成するペレット層の外周部側であり、電解液収容部を設けた位置ではないため、ペレット層の変形や割れ、欠けにはつながらない。このため、かしめ時に正極を構成するペレット層の変形と割れを防ぎつつ、かしめによる封止部から電解液の漏洩を生じ難い構造を提供できる。
電解液収容部をペレット層の正極缶側の中央部よりに設けることにより、正極缶と負極缶をかしめる場合のかしめ力をペレット層の外周側に付加したとして、ペレット層の変形や割れ、欠けにはつながらない。このため、かしめ時にペレット層の変形や割れを生じることのない、電解液の漏洩を生じ難い偏平型ボタン電池を提供できる。
図1に示す本実施形態の偏平型ボタン電池1は、いわゆるコイン(ボタン)型の電池である。この偏平型ボタン電池1は、収納容器2内に、正極10と、負極20と、正極10と負極20との間に配置されたセパレータ30を備えている。
より具体的に、偏平型ボタン電池1は、有底円筒状の正極缶12と、正極缶12の開口部12aにガスケット40を介在し固定され、正極缶12との間に収容空間を形成する有蓋円筒状(ハット状)の負極缶22とを有する。また、図1に示す正極缶12の開口部の周縁部12bを内側、即ち負極缶22側にかしめることでガスケット40により収容空間を密封した構造の収納容器2が形成されている。
図1に示すように、ガスケット40は、負極缶22の外周縁部をその内周側と外周側から包み込むように配置され、ガスケット40の外周縁が正極缶12の周縁部12bに取り囲まれている。また、ガスケット40の底面に添って収納容器2の収容空間を上下に2分するようにセパレータ30が設けられ、セパレータ30と正極缶12の底面との間に正極10が収容され、セパレータ30と負極缶22との間に負極20が収容されている。
本実施形態において、収納容器2を構成する正極缶12は、上述したように、有底円筒状に構成され、平面視で円形の開口部12aを有する。このような正極缶12の材質としては、従来公知のものを何ら制限無く用いることができ、例えば、SUS304、SUS316L、SUS329J4L、NAS64等のステンレス鋼や冷間圧延鋼を採用できる。また、正極缶12の表面はメッキあるいは圧接によりニッケル層が形成されている。
ガスケット40は、図1に示すように、正極缶12の内周面に沿って円環状に形成され、その環状溝41の内部に負極缶22の外周端部22aが配置されている。
ガスケット40は、正極缶12の開口部内周側に隙間無く挿入される外径を有するリング状の外縁部と、リング状の内縁部と、これら外縁部および内縁部の下端部どうしを接続した底壁部からなる。従って、ガスケット40の外周縁上面側には負極缶22の外周端部22aを挿入可能な環状溝41が形成されている。
正極10は、偏平型ボタン電池がアルカリ一次電池である場合は、二酸化マンガン粒子と酸化銀粒子などの混合粒子からなる円板状のペレット層からなることが好ましい。この正極(ペレット層)10は、後述する正極活物質の粒子に導電助剤粒子や添加材粒子を必要量混合した正極合剤としての原料混合粒子を圧粉して円柱状に成型した成型体からなる。成型体の密度は4.5〜6.0g/cm3程度とすることができる。
例えば、二酸化マンガン(MnO2)粒子と酸化銀(Ag2O、AgO)粒子と銀ニッケライトなどの粒子に加え、グラファイト(Gr)粒子や黒鉛粒子などの導電助剤粒子と水素吸蔵合金粒子を添加材として混合し、原料混合粒子として適用することができる。
添加剤として、上記の導電助剤や水素吸蔵合金に加えて、粒子同士の結着性を高めるための結着剤を必要に応じて用いることもできる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組合せとして適宜用いることができる。
電解液収容部10aの外周縁をガスケット40の下方まで延在させると、かしめ加工時のかしめ力がペレット層10の外周部に作用した場合、ペレット層外周部に割れや欠けを生じるおそれが高くなる。電解液収容部10aは深さを大きく、径をより大きくした方が電解液の収容量は増加するが、電解液収容部10aを大きくし過ぎるとペレット層10自体の体積が小さくなり電池としての容量が低下する。また、かしめ力が作用した場合に割れや欠けの発生につながるので、これらを勘案し、電解液収容部10aの深さ、内径を決定することが好ましい。
図1に示す構造では、電解液収容部10aの外周縁がガスケット40の内周縁より充分に内側に配置されているので、正極10の外周部の強度は充分に高くなり、かしめ加工時の圧力に耐える構造となる。
これらの含浸材や親水性部材を電解液収容部10aに収容し、後述する電解液をこれらに含浸させた構造としても良い。
負極20は、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末などの負極活物質粉末と、酸化亜鉛(ZnO)等の伝導度安定剤と、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAS)等のゲル化剤と、樹脂粉末、PP(ポリプロピレン)、ポリエチレン(PE)等の粘弾性調整剤を混合し、これらに電解液を加えた構造を一例として採用できる。負極20に添加する粘弾性調整剤は必要に応じ添加する物であるため、略しても差し支えない。
(電解液)
電解液は、特に制限するものではないが、粘性の高い電解液を用いることが好ましく、アルカリ一次電池の場合、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いることができる。また、大電流出力用途向けの電池では、水酸化カリウム水溶液が特に好適に用いられる。
図1の構造では、電解液収容部10aをペレット層10の正極缶側の中央側よりに設けることにより、電解液収容部10aとかしめ部との距離を最大限に確保することができるので、かしめ加工を行う場合の電解液の漏れのおそれを抑制できる。
加えて、正極缶12と負極缶22をかしめる場合のかしめ力はガスケット40を介しペレット層からなる正極10に加えられるが、かしめ力が作用するのは、正極10の外周部側であり、電解液収容部を設けた位置ではないため、正極10の変形や割れ、欠けにはつながらない。このため、かしめ時に正極10の変形と割れを防ぎつつ、かしめによる封止部から電解液の漏洩を生じ難い構造を提供できる。
なお、図1の構造を製造する場合、電解液収容部10aに空気を巻き込まないように電解液を収容することが望ましい。
図1に示す構造の偏平型ボタン電池1はアルカリ1次電池に限るものではなく、その他の構成の電池に適用することも可能である。
偏平型ボタン電池が非水電解質二次電池である場合は、正極活物質として、リチウムマンガン酸化物粒子を用いることができ、これに加え、他の正極活物質を含有していても良く、例えば、モリブデン酸化物粒子、リチウム鉄リン酸化合物粒子、リチウムコバルト酸化物粒子、リチウムニッケル酸化物粒子、バナジウム酸化物粒子等、他の酸化物粒子の何れか1種以上を含有したペレット層を構成しても良い。
(負極)
偏平型ボタン電池が非水電解質二次電池である場合、負極20において、負極活物質の種類は特に限定されないが、例えば、負極活物質としてシリコン酸化物粒子又はアルミニウム合金粒子を含有することが好ましい。
また、負極20において、負極活物質がSiOx(0≦x<2)で表されるシリコン酸化物粒子を用いることもできる。
偏平型ボタン電池が非水電解質二次電池である場合、電解液は、通常、支持塩を非水溶媒に溶解させたものである。
非水電解質二次電池の場合は、電解液をなす非水溶媒が、テトラグライム(TEG)を主溶媒とし、ジエトキシエタン(DEE)を副溶媒とし、更にエチレンカーボネート(EC)およびビニレンカーボネート(VC)を添加剤として含有するものを用いることができる。
グライム系溶媒を構成するための主溶媒は、テトラグライム、トリグライム、ペンタグライム、ジグライムなどを利用することができる。
このとき、DEEがTEGよりもドナーナンバーが高いため、DEEが選択的にLiイオンと溶媒和する。このように、支持塩をなすLiイオンにDEE及びTEGが溶媒和し、Liイオンを保護する。これにより、例え、高温高湿環境下において非水電解質二次電池の内部に水分が侵入した場合であっても、水分とLiとが反応するのを防止できるので、放電容量が低下するのを抑制し、保存特性が向上する効果が得られる。
偏平型ボタン電池が非水電解質二次電池の他の例である場合、正極10として、コバルト酸リチウム粒子からなる正極活物質と、導電助剤粒子と、バインダ粒子とを含み、負極20として、チタン酸リチウム粒子からなる負極活物質と、グラファイト粒子からなる導電助剤と、バインダ粒子とを含んで構成される、所謂CTL電池である。そして、この二次電池の場合は、負極20に、導電助剤を、負極20の全質量に対して7質量%以上10質量%未満で含んでいてもよい。
(電解液)
この例の非水電解質二次電池の場合、電解液として、少なくとも有機溶媒及び支持塩を含むものを用いることができる。そして、電解液は、有機溶媒として、環状カーボネート溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)、環状カーボネート溶媒であるエチレンカーボネート(EC)、及び、鎖状カーボネート溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)を含有してなる混合溶媒を用いることができる。
このような電解液は、通常、支持塩を、有機溶媒等の非水溶媒に溶解させたものからなり、電解液に求められる耐熱性や粘度等を勘案して、その特性が決定される。
具体的には、まず、環状カーボネート溶媒として、誘電率が高く、支持塩の溶解性が高いPC及びECを用いることにより、大きな放電容量を得ることが可能となる。また、PC及びECは、沸点が高いことから、例えば、高温環境下で使用又は保管した場合でも揮発し難い電解液が得られる。
更に、環状カーボネート溶媒として、ECよりも融点が低いPCを、ECと混合して用いることにより、低温特性を向上させることが可能となる。
また、鎖状カーボネート溶媒として、融点の低いEMCを用いることにより、低温特性が向上する。
図2は偏平型ボタン電池の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の偏平型ボタン電池50においては、正極10が第1のペレット分割層10Aと第2のペレット分割層10Bとからなる2層構造とされている。
第1のペレット分割層10Aと第2のペレット分割層10Bは本実施形態ではほぼ同等厚さに形成されている。そして、正極缶12の底面側に配置されている第2のペレット分割層10Bの底面中央側に第1実施形態と同等構造で同等の大きさの電解液収容部10aが形成されている。
各ペレット分割層10A、10Bは、後述する正極活物質の粒子に導電助剤粒子や添加材粒子を必要量均一混合した原料混合粒子を圧粉して円柱状に成型した成型体からなる。
添加剤として、上記の導電助剤や水素吸蔵合金に加えて、粒子同士の結着性を高めるための結着剤を必要に応じて用いることもできる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組合せとして適宜用いることができる。
即ち、電解液収容部10aを有しない構造に比べ、電解液の保持量を多くできる。また、第1のペレット分割層10Aとセパレータ30との接触面積を最大限に確保することができ、正負極間の対向面積を犠牲にすることなく、電池としての内部抵抗の上昇を引き起こすこともない。
また、図2の構造では、電解液収容部10aを第2のペレット層10Bの正極缶側の中央側よりに設けることにより、電解液収容部10aとかしめ部との距離を最大限に確保することができるので、かしめ加工を行う場合の電解液の液漏れのおそれを抑制できる。
加えて、かしめ力はガスケット40を介しペレット層からなる正極10に加えられるが、かしめ力が作用するのは、正極10の外周部側であり、電解液収容部を設けた位置ではないため、正極10の変形や割れ、欠けにはつながらない。このため、かしめ時に正極10の変形と割れを防ぎつつ、かしめによる封止部から電解液の漏洩を生じ難い構造を提供できる。
一方、第2のペレット分割層10Bには十分な量の酸化銀を含んでいるため、第1のペレット分割層10Aに含まれている正極活物質としての二酸化マンガン粒と第2のペレット分割層10Bに含まれている正極活物質としての酸化銀粒をそれぞれ有効利用した偏平型ボタン電池50を提供できる。
更に、第2のペレット分割層10Bには第2のペレット分割層10Bに含まれている酸化銀量(90〜98質量%)に対し好適な量のグラファイト粒(1〜3質量%)を含んでいるため、第2のペレット分割層10Bが正極活物質層として電池反応に効率的に寄与する。
このため、第1のペレット分割層10Aと第2のペレット分割層10Bの両方の正極活物質を個々に有効に利用した電池反応を得ることができ、正極缶12と負極缶22の間という限られた収容空間に有効な活物質を多く収容し、それらを効率良く電池反応に寄与できる効率の高い電池を提供できる。
図3は偏平型ボタン電池の第3実施形態を示すもので、この第3実施形態の偏平型ボタン電池60においては、第1実施形態と同等構造のペレット層からなる正極10が設けられ、正極10の底面中央側に凹部型の電解液収容部10aが形成されているが、これに加え、電解液収容部10aから正極10の上面に至る貫通孔型の第2の電解液収容部10bが形成されている点に特徴を有する。ここで、図3の構造では正極10の上面に至る貫通孔10bを3つ示しているが、貫通孔10bの数はこれに限らず電解液収容部10aの内側に1つ以上設けてあれば良い。
第2の電解液収容部10bは図3に示す例では電解液収容部10aの中央部と該中央部を挟む左右両側に形成されている。第2の電解液収容部10bは電解液収容部10aと同様に電解液を収容するために設けられている。
図3の構造では電解液収容部10aに加え、第2の電解液収容部10bにおいても電解液を収容できるので、電解液をより多く収容できる点に特徴を有する。その他の作用効果については第1実施形態の偏平型ボタン電池1と同等である。
ただし、正極10とセパレータ30との接触面積を最大限に確保するという面では第1実施形態および第2実施形態の構造より不利となる。このため、第2の電解液収容部10bの体積は必要以上に大きくしないことが好ましい。
図4は偏平型ボタン電池の第4実施形態を示すもので、この第4実施形態の偏平型ボタン電池70においては、第1実施形態と同等構造のペレット層からなる正極10が設けられているが、第1実施形態において設けられていた電解液収容部10aが省略され、代わりに正極10の上面から底面に至るように貫通孔が形成され、これらの貫通孔が電解液収容部10cとされた例である。ここで、図4の構造では電解液収容部10cを3つ示しているが、貫通孔10bの数はこれに限らずガスケットによる封止位置よりも内側に1つ以上設けてあれば良い。
第4実施形態においては、これらの電解液収容部10cを満たすように電解液が収容されている。
第4実施形態の構造においても、電解液収容部10cを設けていない構造に比べ電解液の収容量を増大することができる。
ただし、正極10とセパレータ30との接触面積を最大限に確保するという面では第1実施形態および第2実施形態の構造より不利となる。このため、電解液収容部10cの体積は必要以上に大きくしないことが好ましい。
図5は偏平型ボタン電池の第5実施形態を示すもので、この第5実施形態の偏平型ボタン電池80においては、第2実施形態と同等構造のペレット層からなる第1のペレット分割層10Aと第2のペレット分割層10Bが設けられているが、電解液収容部を設ける位置と数が異なる。この例において正極10は、第1のペレット分割層10Aと第2のペレット分割層10Bとからなる。
なお、図5に示す構造を採用する場合、第2のペレット分割層10Bと正極缶12の間の中央部に電解液を適量滴下し、更に第2のペレット分割層10Bの凹部に電解液を適量滴下し、その上にペレット分割層10Aを載置することにより、効率よく電解液をペレットに含浸させることができる。
これらの混合粒子を円盤状のペレット形状(外径11.0mm、厚み1.8mm)に圧縮成型し、ペレット層からなる正極を作製した。
正極を圧縮成型により作製する際、凹部状の電解液収容部を有していない比較例の試料を作製し、また、底面側中央に外径6.8mm、深さ0.5mmの凹部状の電解液収容部を設けた実施例の試料を作製した。成型密度は実施例と比較例ともに5.5g/cm3とした。比較例の正極と実施例の正極にそれぞれ電解液を35mg滴下して含浸させた。
前述の実施例または比較例の正極をニッケルメッキが施された鉄製の複数の正極缶に収容し、その上からセパレータを敷設した。また、その正極缶に圧入となるリング状のガスケットを挿入した。更に、セパレータ上に負極合剤を載置し、この上にガスケットを介して負極缶を被せた。そして、正極缶の開口縁部をかしめることで実施例1と比較例1の扁平型ボタン電池(偏平型アルカリ一次電池)を作製した。セパレータは、ポリエチレンフィルム、セロファン及び不織布から構成し、ガスケットは、ポリアミドから構成した。
次いで、比較例の正極と実施例の正極に対し、いずれも50mgの電解液を滴下し、上述と同等の条件で作製し、実施例2と比較例2の偏平型ボタン電池を得たところ、実施例2の偏平型ボタン電池ではかしめ時に電解液漏れを生じなかったが、比較例2の偏平型ボタン電池ではかしめ時に封止部から電解液漏れを生じた。
凹部を設けていない比較例1の偏平型ボタン電池では、0.4Vになるまでの時間が5個平均で894秒であったのに対し、凹部を設けた実施例2の偏平型ボタン電池では、0.4Vになるまでの時間が5個平均で1140秒であった。
この結果、実施例2の偏平型ボタン電池は比較例1の偏平型ボタン電池に対し放電時間を平均27.3%向上できることがわかった。
Claims (4)
- 有底円筒状の正極缶と、
前記正極缶の開口部内側にガスケットを介在し固定され、前記正極缶との間に収容空間を形成する負極缶とを備え、
前記正極缶の開口部を前記負極缶側にかしめたかしめ部を設けることで前記収容空間が密封され、前記収容空間に正極と負極とセパレータと電解液が収容された偏平型ボタン電池であって、
前記正極缶に収容される正極が、ペレット層からなり、該ペレット層の前記正極缶側の中央側であって前記ガスケットによる封止位置よりも内側に電解液収容部が形成されたことを特徴とする偏平型ボタン電池。 - 前記電解液収容部が前記ペレット層の一部に形成した凹部と貫通部の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載の偏平型ボタン電池。
- 前記ペレット層が複数のペレット分割層からなり、前記ペレット分割層の1つまたは複数に前記電解液収容部が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏平型ボタン電池。
- 前記電解液収容部に含浸材または親水部材が収容されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の偏平型ボタン電池。
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