JP2011154798A - 有機el装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止基板側に有機機能材料等が転写されることを防止した、有機EL装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】画素電極と対向電極との間に、少なくとも有機発光層を含む有機機能層を有してなる有機E素子を複数備え、有機EL素子上を、封止基板90で覆った缶封止構造の有機EL装置である。対向電極上には、対向電極の下地側に形成された凹凸が反映されて凹凸部が形成されている。対向電極上には、凹凸部を平坦化する平坦化層65が設けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、有機EL装置及び電子機器に関する。
近年、情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。このような平面表示装置の一つとして、有機発光層を含む機能層(有機機能層)を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を発光させて表示を行う、有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)が提案されている。
有機EL装置として例えば有機ELディスプレイは、大気中の酸素や水分の影響で劣化し、発光特性が低下してしまうため、封止構造が必要である。封止構造としては、無機薄膜や有機薄膜を積層させる「薄膜封止」や、エポキシなどの有機接着剤で有機EL素子形成基板と保護基板(封止基板)とを全面で貼り合わせる「全面封止(べた封止)」が知られている。また、有機EL素子を形成した素子基板と封止基板(保護基板)とを外周部で貼り合わせ、内部を中空にする「缶封止」も知られている(例えば、特許文献1参照)。
そのうち、有機接着剤を使用した缶封止構造では、水分が必ず接着剤を透過するので、中空部分に乾燥剤を設けるのが一般的である。また、透過水分の影響を確実に排除できる缶封止構造として、有機接着剤の代わりに低融点ガラスを用い、これで封止基板の外周を貼り合わせる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、有機EL素子における前記機能層の形成方法としては、インクジェット法等の湿式塗布法(液相法)と、蒸着法(気相法)とが知られている。また、このような液相法や気相法に関係なく、画素電極(陽極)間での短絡を防止して画素間(有機EL素子間)での絶縁性を確保する目的で、画素電極(陽極)を囲った状態で基板上に隔壁を形成する手法が知られている。このような隔壁を形成することにより、例えば機能層を蒸着法で全面に形成した場合にも、各画素を分離独立させることができ、さらに、発光した光が隣の画素側に出射してしまい、所望の表示性能が得られなくなるのを防止することができる。
ここで、特にメタルマスクを用いた蒸着法で有機EL素子を形成する、マスク蒸着法の場合には、メタルマスクが素子基板の有機機能層等に接触して欠陥となるのを防止するため、有機EL素子の形成領域間に突起状のマスクスペーサーを設けることが考えられる。このようなマスクスペーサーを設けることで、特に缶封止構造の場合には、封止基板が変形して有機EL素子側に直接接触し、発光欠陥となるのを防止することが可能になる。
特開2009−4359号公報 特表2006−524419号公報
しかしながら、有機EL素子を蒸着法で形成する場合、蒸着を何回か繰り返して多層構造の有機EL素子を形成するが、その際、例えば大きい開口を有するマスクを用いて蒸着を行うと、マスクスペーサーの上面にも有機機能層(の一部)や陰極材料が蒸着され、ここに付着する。そして、封止基板で有機EL素子を覆った後、封止基板が撓む(凹む)ことでその内面がマスクスペーサーに接触すると、マスクスペーサー上に付着した陰極材料や有機機能層の形成材料(有機機能材料)が封止基板側に転写されてしまうおそれがある。
すなわち、有機機能材料は下地(マスクスペーサー)に対する密着性が非常に低いため、封止基板が撓んでマスクスペーサーに接触すると、陰極材料とともに有機機能材料が封止基板側に付着し、その後封止基板の撓みが戻ると、付着した陰極材料や有機機能材料は素子基板側から剥離して封止基板に転写されてしまう。このようにして転写された有機機能材料は、その後封止基板から脱落して異物となり、画素部に落ちることで発光欠陥を生じさせてしまう。
また、このような発光欠陥を回避するため、封止基板の内面をエッチングして堀り込みを形成することが考えられる。しかし、堀り込みを形成する場合、堀り込み量を十分に深くしなければ効果がない。パネルが大型化すれば封止基板の変形量(撓み量)も大きくなり、僅かな堀り込み深さではその効果が打ち消されてしまうからである。一方、堀り込み量を十分に深くしようとすると、その分のコストアップが大きな負担になってしまう。
また、有機機能層上に、陰極を介して窒化ケイ素や酸化ケイ素等の無機薄膜を形成することがある。しかし、これら無機薄膜は例えば100nm程度の厚さであり、形成しても封止基板側に有機機能材料等が転写されることを防止するのは困難である。
なお、このような封止基板側に有機機能材料等が転写されることによる不都合は、マスクスペーサーを形成しない場合でも、例えば前記の隔壁を形成した場合に、この隔壁による凹凸に起因して同様の不都合が生じてしまう。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、封止基板側に有機機能材料等が転写されることを防止した、有機EL装置及び電子機器を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の有機EL装置は、画素電極と対向電極との間に、少なくとも有機発光層を含む有機機能層を有してなる有機E素子を複数備え、該有機EL素子上を、封止基板で覆った缶封止構造の有機EL装置であって、
前記対向電極上には、該対向電極の下地側に形成された凹凸が反映されて凹凸部が形成され、
前記対向電極上には、前記凹凸部を平坦化する平坦化層が設けられていることを特徴としている。
この有機EL装置によれば、対向電極上に凹凸部を平坦化する平坦化層が設けられているので、この平坦化層を覆って配置される封止基板が撓み、その内面が平坦化層に接触しても、有機EL素子を構成する有機機能材料や陰極材料が封止基板に付着し剥離してしまうことが防止される。すなわち、例えば突起状のマスクスペーサーが形成されている場合には、このマスクスペーサー上に付着した有機機能材料等が封止基板に点接触することで、有機機能材料等が封止基板に対して局部的に強く付着し、その後封止基板の撓みが戻った際に封止基板側に転写される。しかし、前記したように平坦化層を設けたことで、この平坦化層は封止基板に対して点接触でなく面接触するようになり、したがってその下地である有機機能材料等が、封止基板に強く付着し剥離して転写されてしまうことが防止される。よって、このような封止基板側への有機機能材料等の転写に起因して、発光欠陥が生じるといった不都合が防止される。
また、前記有機EL装置において、前記凹凸部は、前記有機EL素子からなる画素部を区画する隔壁と、該隔壁に囲まれた画素部との間の凹凸が反映されて形成されていてもよい。
このようにすれば、隔壁上に有機機能材料や陰極材料があっても、これら有機機能材料や陰極材料が封止基板側に転写されてしまうことが防止される。
また、前記有機EL装置において、前記凹凸部は、前記有機EL素子からなる画素部間に設けられた突起状のマスクスペーサーと、その周囲との間の凹凸が反映されて形成されていてもよい。
このようにすれば、マスクスペーサー上に有機機能材料や陰極材料があっても、これら有機機能材料や陰極材料が封止基板側に転写されてしまうことが防止される。
また、前記有機EL装置において、前記平坦化層は、エポキシ樹脂からなるのが好ましい。
このようにすれば、有機EL素子の特性を劣化させることなく、平坦化層を形成することが可能になる。
また、前記有機EL装置において、前記平坦化層は、厚さが最大となる部位の厚さが、前記凹凸部の高低差よりも大きくなっているのが好ましい。
このようにすれば、平坦化層によって凹凸部の高低差を無くすことが可能になる。
また、前記有機EL装置において、前記平坦化層は、厚さが最小となる部位の厚さが、前記凹凸部の高低差よりも大きくなっているのが好ましい。
このようにすれば、平坦化層によって凹凸部の高低差を容易に無くすことができる。
また、前記有機EL装置においては、前記平坦化層の表面がフッ素化されているのが好ましい。
このようにすれば、平坦化層と封止基板との間の密着性が低下するので、対向電極および有機機能層の、封止基板への転写剥離が確実に防止される。
本発明の電子機器は、前記の有機EL装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、前述したように発光欠陥の発生が防止された有機E装置を備えているので、発光特性に優れたものとなる。
本発明に係る有機EL装置の配線構造を示す模式図である。 本発明に係る有機EL装置の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の有機EL装置の一実施形態を示す要部拡大平面図である。 (a)は図3のA−A線矢視断面図、(b)はB−B線矢視断面図である。 有機EL装置の側端部を示す要部側断面図である。 本発明の有機EL装置を用いた電子機器の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と記す)について、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために各部の大きさ等を適宜変更して示している。
まず、本発明に係る有機EL装置の概略構成について、図1、図2を参照して説明する。
図1は、本発明に係る有機EL装置1の配線構造を示す模式図である。この有機EL装置1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFT)を用いたアクティブマトリクス方式のもので、複数の走査線101と、各走査線101に対して略直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103とからなる配線構成を有し、走査線101と信号線102との各交点付近にサブ画素Xを形成したものである。なお、本発明においてはTFTなどを用いるアクティブマトリクスは必須ではなく、単純マトリクス向けの素子基板を用いて単純マトリクス駆動させてもよい。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路105が接続されている。
さらに、サブ画素Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)20と、該画素電極20と対向電極(陰極)60との間に挟持された有機機能層40と、が設けられている。
このような構成のもとに有機EL装置1は、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT123のチャネルを介して、電源線103から画素電極20に電流が流れ、さらに機能層40を介して対向電極60に電流が流れる。これにより、機能層40を構成する有機発光層は、これを流れる電流量に応じて発光する。
図2は、本発明に係る有機EL装置1の構成を模式的に示す平面図である。
図2に示すように有機EL装置1は、基板10を有し、この基板10に、平面視矩形状の画素部130を形成したものである。画素部130は、サブ画素Xがマトリクス状に配置された実表示領域140と、実表示領域140の周囲に配置されたダミー領域150とに区画されている。
各々のサブ画素Xが備える機能層40は、本実施形態では発光することで赤色(R)、緑色(G)または青色(B)のいずれかの光を取り出すことが可能となっている。ただし、白色光を発光し、R、G、Bに対応するカラーフィルターによって赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を出射させるように構成することもできる。
実表示領域140においては、図の縦方向に同一色のサブ画素Xが配列しており、いわゆるストライプ配置を構成している。そして、実画素領域140では、マトリクス状に配置されたサブ画素Xから出射したRGBの光を混色させることにより、フルカラー表示を可能にしている。
実表示領域140の図2中両側には走査線駆動回路105が配置されており、これら走査線駆動回路105は、ダミー領域150の下層側に配置されている。また、実表示領域140の図2中上側には検査回路160が配設されており、この検査回路160は、ダミー領域150の下層側に配設されている。この検査回路160は、有機EL装置100の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時における表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
次に、有機EL装置の具体的な構成例として、本発明の一実施形態を説明する。図3は、本発明の有機EL装置の一実施形態を示す要部拡大平面図、図4(a)は図3のA−A線矢視断面図、図4(b)は図3のC−C線矢視断面図である。
本実施形態の有機EL装置1は、図3中破線で示すように、平面視が長円形状(トラック形状)の複数のサブ画素Xを縦横に配置したものである。
これらサブ画素Xの平面視形状は、隔壁34の開口内に露出した画素電極(陽極)20の平面視形状に対応しており、画素電極20は、各サブ画素X毎に島状に独立して形成されている。したがって、サブ画素Xは、それぞれ独立して形成されたものとなっており、独立した発光素子(有機EL素子)として機能するようになっている。
また、この有機EL装置1では、図4(a)、(b)に示すように、基体13と、基体13上に形成された画素電極20と、画素電極20の周縁部を覆ってその開口32a内に画素電極20を臨ませ、露出させる絶縁膜32と、この絶縁膜32上に形成されて画素電極20を囲う前記隔壁34と、画素電極20の露出面を覆って形成された機能層40と、機能層40を覆って基体13上に形成された対向電極60と、を備えている。本実施形態では、絶縁膜32の開口32a内に露出した画素電極(陽極)20と、これの直上に配置された機能層40と、この機能層40を覆う対向電極(陰極)60とから、有機EL素子70が形成されている。そして、この有機EL素子70によって前記サブ画素X(画素部)が形成されている。したがって、隔壁34は、有機EL素子70からなるサブ画素X(画素部)を区画したものとなっている。また、本実施形態の有機EL装置1では、有機EL素子70で発光した光を対向電極60側に射出する、トップエミッション方式が採用されている。
基体13は、基板(素子基板)10と、基板10上に形成されて配線や駆動素子等を備える素子層11と、を備えている。基板10としては、本実施形態ではトップエミッション方式を採用しているので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板10の材料としてガラスが用いられている。
素子層11は、有機EL装置1を駆動させるための各種配線や図1に示すスイッチング用TFTや駆動用TFTなどの駆動素子、及び無機材料または有機材料からなる絶縁膜などを備えて構成されている。各種配線や駆動素子は、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いてパターニングすることで形成されており、また、絶縁膜は、蒸着法やCVD法、スパッタ法などの公知の成膜法によって形成されている。
素子層11上には、図4(a)に示すように、素子層11に含まれる駆動用TFT(図示せず)のソース電極と接続する電極22が形成されている。また、この素子層11上には、前記電極22を覆って樹脂層12が形成されている。樹脂層12は、素子層11に形成される各構成要素による凹凸をなくし、有機EL素子を形成するのに適した平坦な面を実現するために形成されたものである。この樹脂層12の形成材料としては、アクリル樹脂等の有機絶縁材料や無機絶縁材料が用いられる。
樹脂層12には、前記電極22に通じるコンタクトホール12aが形成されており、このコンタクトホール12aを含む樹脂層12上の領域には、画素電極20が形成されている。これにより、このコンタクトホール12a内の導電部を介して、前記電極22と画素電極20とが電気的に接続されている。
画素電極20は、仕事関数が5eV以上の正孔注入効果が高い材料によって形成されたものである。このような材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物が用いられる。なお、本実施形態ではトップエミッション方式が採用されているため、画素電極20は透光性を備える必要がない。したがって、本実施形態では、前記ITOからなる透明導電層の下側に、Al等の光反射性金属層が形成されて積層構造とされ、この積層構造によって画素電極20が形成されている。このような画素電極20は、公知の成膜法で成膜された後、パターニングされることにより、それぞれ独立した島状に形成されている。
また、樹脂層12の上には、前記絶縁膜32が形成されている。この絶縁膜32は、前記したように画素電極20の周縁部に一部が乗り上げることで該周縁部を覆い、かつ、その開口32a内に画素電極20を臨ませ、露出させたものである。ここで、開口32aは、図3中に破線で示したように、平面視長円形状(トラック形状)に形成されている。
また、この絶縁膜32は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等の無機絶縁材料で形成されたもので、隔壁34に比べて十分に薄いものであり、エッチング等の公知のパターニング方法によって開口32aが形成されている。したがって、この絶縁膜32の上面と開口32a内に露出する画素電極20の上面との間には、ほとんど段差が形成されておらず、よって絶縁膜32の上面と画素電極20の上面とはほぼ平坦な面を形成している。
この絶縁膜32上には、図4(a)、(b)に示すように隔壁34が形成されている。この隔壁34は、画素電極20の周縁部に乗り上げた絶縁膜32の一部を露出させるだけで、絶縁膜32のほぼ全面を覆って形成されたものであり、前記開口32aに連通する開口34aを形成したものである。したがって、この開口34a内に画素電極20を露出させている。また、この隔壁34は、アクリル樹脂等の有機材料によって形成されたもので、公知のパターニング方法によって形成されたものである。
隔壁34上には、図3及び図4(b)に示すようにマスクスペーサー37が形成されている。このマスクスペーサー37は、前記開口34aの長辺の長さ方向において隣り合う開口34a、34a間の、隔壁34上に形成されたもので、アクリル樹脂等によって形成された突起状(略円柱状)のものである。
前記開口34a内の画素電極20上と、これを囲む隔壁34上及びマスクスペーサー37上には、これらを覆って前記有機機能層40が形成されている。この有機機能層40は、本実施形態では低分子系の有機EL材料からなる有機発光層を含んで形成されたものである。このような有機機能層40としては、例えば陽極(画素電極20)側から正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層された構造が知られており、さらに正孔輸送層や電子輸送層を省略した構造や、正孔注入層と正孔輸送層との両方の機能を備えた正孔注入・輸送層を用いたり、電子注入層と電子輸送層との両方の機能を備えた電子注入・輸送層を用いた構造などが知られている。本発明では、このような構造のうち適宜な構造が選択され、形成されている。
また、有機機能層40の材料としては、それぞれ公知のものを用いることができる。
例えば、有機発光層の材料としては、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドンなどの低分子有機材料、さらにはCBP(4.4.―ジカルバゾール−4,4−ビフェニル)誘導体、PtOEP(白金ポルフィリン錯体)誘導体、Ir(ppy)3(イリジウム錯体)誘導体、FIrpic(イリジウム錯体)誘導体等の燐光材料等が挙げられる。なお、本実施形態では、有機発光層としては赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色で発光する材料が用いられている。そして、図3においてR、G、Bで示すように、マトリクス状に配置された隔壁34の開口34aにおいて、赤色のサブ画素X、緑色のサブ画素X、青色のサブ画素Xがそれぞれ縦方向に配列されて形成されている。また、横方向に整列させられた各開口34a間では、例えば赤、緑、青の順に各サブ画素Xが繰り返し配列されている。
さらに、正孔注入層の材料としては、トリアリールアミン(ATP)多量体などが用いられ、正孔輸送層の材料としては、TDP(トリフェニルジアミン)系のものなどが用いられ、電子注入・輸送層の材料としては、アルミニウムキノリノール(Alq3)などが用いられる。
ここで、このような有機機能層を構成する各有機層は、本実施形態ではマスク(メタルマスク)を用いた蒸着法で形成される。その際、正孔注入・輸送層や電子注入・輸送層については、RGBで材料を変えることなく、全ての開口34aに同一の材料を蒸着させるため、大きな開口のマスクを用いて蒸着を行う。その結果、隔壁34上やその上のマスクスペーサー37上にも、これら材料(有機機能材料)が堆積・付着することになる。
一方、有機発光層については、RGB毎に蒸着する領域(開口34a内)を変えるため、高精度の蒸着が必要となり、したがってマスクをより被蒸着領域(開口34a内)に近づける必要がある。その際、マスクが隔壁34上の正孔注入・輸送層に密着し、これが剥離してしまうのを防止するため、前記のマスクスペーサー37が形成されているのである。よって、マスクは隔壁34上の正孔注入・輸送層に直接密着することなく、マスクスペーサー37上に載せられた状態に配置され、有機発光層の蒸着に用いられる。また、その後の電子注入・輸送層の形成の際にも、マスクがマスクスペーサー37上に載せられ、その状態で蒸着が行われる。
このようにして有機発光層を含む有機機能層40を形成すると、隔壁34の開口34a内と隔壁34上とでは、例えば1〜3μm程度の凹凸差が形成される。また、開口34a内と隔壁34上のマスクスペーサー37上とでは、その凹凸差は例えば2〜5μm程度となる。
有機機能層40上(マスクスペーサー37上も含む)には、該有機機能層40を覆って対向電極(陰極)60が形成されている。この対向電極60は、本実施形態ではトップエミッション方式であり、光取り出し側となることから、光透過性を有するように形成されている。また、この対向電極60は、陰極取り出し端子(図示せず)へつながる陰極コンタクト部に接続されている。
このような構成のもとに、画素電極20と機能層40と対向電極60とからなる有機EL素子70が形成されている。すなわち、画素電極20と対向電極60との間に電圧が印加されると、画素電極20から正孔注入層に正孔が注入され、正孔輸送層を介して有機発光層に輸送される。また、対向電極60から電子注入層に電子が注入され、電子輸送層を介して有機発光層に輸送される。すると、有機発光層に輸送された正孔と電子とが再結合することにより、有機発光層が発光するようになっている。
有機発光層から画素電極20側に出射した光は、前記した透明導電層を透過して光反射性金属層に反射され、再度有機発光層側に入射するようになっている。なお、対向電極20は半透過反射膜として機能するので、所定範囲の波長以外の光は光反射性金属層側に反射され対向電極60と光反射性金属層との間で往復する。このようにして、対向電極60と光反射性金属層との間の光学的距離に対応した共振波長の光だけが増幅されて取り出される。すなわち、対向電極60と光反射性金属層とを含んだこれらの間が共振器として機能するようになっており、発光輝度が高くしかもスペクトルがシャープな光を射出させることが可能になっている。ここで、前記光学的距離は、対向電極60と光反射性金属層との間に含まれる層の光学的距離の和によって求められ、各層の光学的距離は、その膜厚と屈折率との積によって求められる。
また、本実施形態では、対向電極60は例えばマグネシウム(Mg)と銀(Ag)とが、その膜厚比がMg:Ag=10:1となるようにして、マスクを用いた共蒸着法によって厚さ12nm程度に形成されている。
したがって、前述したように隔壁34上及びマスクスペーサー37上にも、対向電極材料(Mg・Ag)が堆積し付着している。なお、対向電極60は厚さが12nm程度と薄いので、前記した開口34a内と隔壁34上との凹凸差(凹凸の高低差)や、開口34a内とマスクスペーサー37上との凹凸差(凹凸の高低差)は解消されず、これら凹凸差は対向電極60の表面(上面)にそのまま反映されることになる。すなわち、対向電極60の表面には、前記の凹凸差がほぼそのままに形成されている。
そこで、本実施形態では、図4(a)、(b)に示すように対向電極60の表面上に、平坦化層65が形成されている。この平坦化層65は、透明樹脂によって形成されたもので、例えば120℃程度以下で硬化が可能なエポキシ樹脂が好適に用いられている。このエポキシ樹脂としては、有機EL素子70に悪影響を及ぼさないよう、高度に精製されて脱ガス成分が十分に除去されたものが用いられる。また、この平坦化層65は、エポキシ樹脂(透明樹脂)が対向電極60上に例えばスクリーン印刷法で印刷されたことにより、形成されている。
この平坦化層65の厚さについては、前記の凹凸差(高低差)を解消して隔壁34上(マスクスペーサー37上を含む)と隔壁34の開口34a上との間をほぼ平坦にできる厚さとされる。具体的には、厚さが最大となる部位の厚さ、つまり隔壁34の開口34a上の厚さが、前記凹凸部の高低差、つまり開口34a内とマスクスペーサー37上との凹凸差である2〜5μm程度よりも大きくなっているのが好ましい。このようにすれば、平坦化層65によって凹凸部の高低差を無くすことができる。
また、厚さが最小となる部位の厚さ、つまりマスクスペーサー37上の厚さが、前記凹凸部の高低差、つまり開口34a内とマスクスペーサー37上との凹凸差である2〜5μm程度よりも大きくなっているのがさらに好ましい。このようにすれば、平坦化層35によって凹凸部の高低差を容易に無くすことができる。
したがって、これらの条件を満たすべく、例えば隔壁34の開口34a上の厚さが4〜10μm程度となるように、平坦化層65を形成するのが好ましい。
また、この平坦化層65の表面は、フッ素化処理されていることにより、その密着性が低下させられているのが好ましい。フッ素化処理としては、ガスとしてCFを用いたプラズマ処理が好適に採用される。このようなプラズマ処理としては、例えばRIE(反応性イオンエッチング)装置を用い、この装置内を13Pa程度に減圧し、0.05W/cm程度のパワーでCFガスのプラズマ雰囲気を生成し、このプラズマ雰囲気に短時間暴露するといった方法が採用される。なお、プラズマ処理の際のフッ素化用のガスとしては、CF以外にも、例えばCやSFなど、不飽和結合を持たない非環状化合物からなるフッ素含有ガスが使用可能である。
このようにしてプラズマ処理すると、エポキシ樹脂からなる平坦化層65は、その表面(表層部)にCF由来のフッ素基が置換することでフッ素化され、表層部に厚さが例えば2〜5nm程度のフッ素含有層(図示せず)が形成される。形成されたフッ素含有層は、表面エネルギーが小さく、密着性が低いものとなる。
なお、対向電極60と平坦化層65との間には、必要に応じて隔壁34上に補助電極(図示せず)を形成してもよい。また、対向電極60と平坦化層65との間には、対向電極60(補助電極を含む)を覆って酸化シリコンや窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機薄膜を形成してもよい。ただし、これら無機薄膜はいずれも厚さが薄いため、平坦化層としては機能せず、したがって前記の平坦化層65が必要になる。
また、このようにして平坦化層65を形成した基板(素子基板)10(基体13)上には、有機EL装置1の側端部を示す図5に示すように、封止基板90が設けられている。すなわち、基板(素子基板)10の、前記平坦化層65が形成されていない外周部上において、接着層80を介して封止基板90が接着され、これによって基板10の素子形成側の面(TFTや有機EL素子70を形成した側の面)を封止基板90で気密に覆ってなる、缶封止構造が採られている。なお、本実施形態では、封止基板90の下面(内面)には堀り込みが形成されておらず、平坦面のままになっている。
ここで、接着層80については、前記特許文献2に開示されているような、低融点ガラスが好適に用いられている。また、この接着層80の厚さは、10μm程度となっている。
したがって、前記平坦化層65の上面と封止基板90の下面(内面)との間の距離は、数μm程度となっている。
すると、この有機EL装置1では、不測に外力が加わることで封止基板90が撓み、その内面が平坦化層65に接触してしまうことがある。しかし、隔壁34上には突起状のマスクスペーサー37が形成されており、このマスクスペーサー37には有機機能材料や対向電極材料が付着しているものの、これらを覆って平坦化層65が設けられているので、有機機能材料や対向電極材料が封止基板90に付着し、剥離してしまうといった不都合が防止されている。
すなわち、平坦化層65が無い場合には、マスクスペーサー37上にて封止基板90に点接触することで、マスクスペーサー37上の有機機能材料及び対向電極材料が封止基板90に対して局部的に強く付着し、その後封止基板90の撓みが戻った際に封止基板90側に転写される。しかし、前記したように平坦化層65が設けられているので、この平坦化層65は封止基板90に対して点接触でなく面接触するようになり、したがってその下地である有機機能材料等が、封止基板90に強く付着し剥離して転写されてしまうことが防止される。
よって、本実施形態の有機EL装置1によれば、封止基板90側への有機機能材料等の転写に起因して発光欠陥が生じるといった不都合が防止されたものとなり、長期に亘って表示の信頼性が確保された優れたものとなる。また、封止基板90が撓んで平坦化層65に接触しても、有機機能材料等の転写が防止されているため、封止基板90に深い堀り込みを形成する必要が無くなり、したがって堀り込みによるコストアップを抑えることができる。
また、平坦化層65の表面をフッ素化してフッ素含有層を形成したので、平坦化層65と封止基板90との間の密着性を低下させることができ、したがって対向電極材料(対向電極)や有機機能層材料(有機機能層)の、封止基板90への転写剥離を確実に防止することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では隔壁34上にマスクスペーサー37を形成したが、後述するように有機発光層として白色発光をするものを形成する場合などでは、マスクスペーサー37を形成せず、隔壁34のみを形成するようにしてもよい。その場合にも、隔壁34によって該隔壁34上とその開口34a内との間に凹凸差が形成されることから、この凹凸差に起因して有機機能材料等の転写が起こるのを防止するため、この凹凸差を無くすための平坦化層65を形成する。
また、隔壁34を形成することなく、隣り合う有機EL素子70間に直接マスクスペーサー37を形成するようにしてもよく、その場合にも、マスクスペーサー37によって該マスクスペーサー37上と有機EL素子70上との間に凹凸差が形成されることから、この凹凸差に起因して有機機能材料等の転写が起こるのを防止するため、この凹凸差を無くすための平坦化層65を形成する。
また、前記実施形態では、有機発光層としてRGBの各色の発光をなさせるものを用いたが、有機発光層として白色発光をするものを用い、カラーフィルターによってRGBの各色の発光をなさせるようにしてもよい。
(電子機器)
次に、本発明の電子機器について説明する。図6は、前記の有機EL装置を用いた電子機器の一例を示す斜視図である。図6に示す携帯電話1300は、前記した本発明の有機EL装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の有機EL装置によって構成された表示部を具備した、優れた携帯電話1300となる。
なお、本発明の有機EL装置は、前記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。
1…有機EL装置、10…基板、20…画素電極、34…隔壁、37…マスクスペーサー、40…有機機能層、60…対向電極、65…平坦化層

Claims (8)

  1. 画素電極と対向電極との間に、少なくとも有機発光層を含む有機機能層を有してなる有機E素子を複数備え、該有機EL素子上を、封止基板で覆った缶封止構造の有機EL装置であって、
    前記対向電極上には、該対向電極の下地側に形成された凹凸が反映されて凹凸部が形成され、
    前記対向電極上には、前記凹凸部を平坦化する平坦化層が設けられていることを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記凹凸部は、前記有機EL素子からなる画素部を区画する隔壁と、該隔壁に囲まれた画素部との間の凹凸が反映されて形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
  3. 前記凹凸部は、前記有機EL素子からなる画素部間に設けられた突起状のマスクスペーサーと、その周囲との間の凹凸が反映されて形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
  4. 前記平坦化層は、エポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  5. 前記平坦化層は、厚さが最大となる部位の厚さが、前記凹凸部の高低差よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  6. 前記平坦化層は、厚さが最小となる部位の厚さが、前記凹凸部の高低差よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  7. 前記平坦化層の表面がフッ素化されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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