JP2020119626A - セル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、sofcモノジェネレーションシステム、及び、sofcコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備える点にある。
従って、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材を提供できる。
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
従って、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材の製造方法を提供できる。
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)用セルで用いられるセル間接続部材1及びその製造方法及び固体酸化物形燃料電池について説明する。
図1は固体酸化物形燃料電池用セルの概略図である。図2は固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図である。図1及び図2に示すように、SOFC用セル(固体酸化物形燃料電池用セル)Cは、単セル3とセル間接続部材1とを備えて構成される。単セル3は、空気極31と燃料極32とを備えており、具体的には、酸素イオン伝導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸素イオンおよび電子伝導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子伝導性の多孔体からなる燃料極32を接合して形成される。
図3は、セル間接続部材1の構造を示す断面図である。セル間接続部材1は、図1、図3に示すように、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11と、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13とを備える。また、本実施形態のセル間接続部材1は、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に形成される保護膜12を備える。また、セル間接続部材1には、単セル3の空気極31に空気を供給する空気流路2a、燃料ガスを供給する燃料流路2bを形成してある。このように、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、少なくともSOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13を成膜する成膜工程を有している。
上述したように、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面には基材コーティング層13が形成されている。
基材コーティング層13は、Ni(ニッケル)を金属基材11にコーティングすることにより形成してある。基材コーティング層13の膜厚は適宜設定可能であり、例えば5μmなどである。基材コーティング層13の成膜法としては、めっき法、電着塗装法、スパッタリング法等を利用できる。
上述したように、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には保護膜12が形成されている。保護膜12は、導電性セラミックス材料を含有する塗膜形成用材料を、金属基材11にコーティング(例えばディップコーティング)することにより保護膜12を厚膜として形成してある。厚膜の膜厚としては、0.1μm〜100μmが好適である。
たとえば、ウエットコーティング法あるいは、ドライコーティング法によって形成することができる。ウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。また、ドライコーティング法としては、たとえば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、電気化学気相成長(EVD)法、イオンビーム法、レーザーアブレーション法、大気圧プラズマ成膜法、減圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。
金属酸化物微粒子を電着液1リットル当り100gになるように分散し、ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂とを含有している混合液を用いて電着塗装を行った。ここでは、(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(1:1)(質量比)とした。混合液を用い、金属基材11をプラス、対極としてSUS304の極板にマイナスの極性として通電を行うことによって、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、混合液を満たした通電槽中に金属基材11を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、金属基材11である金属の種類、混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られるセル間接続部材1の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(混合液温度)10〜40℃程度、印加電圧を10〜450V程度、電圧印加時間を1〜10分程度、混合液の液温10〜40℃とすればよい。なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、金属基材11に対して、種々前処理を行うこともできる。この未硬化の電着塗膜が形成された金属基材11に加熱処理することによって、金属基材11表面に硬化した電着塗膜が形成される。加熱処理は、電着塗膜を乾燥させる予備乾燥と、電着塗膜を硬化させる硬化加熱とを含み、予備乾燥後に硬化加熱が行われる。その後、電気炉を使用して1000℃で2時間焼成し、その後徐冷してセル間接続部材1を得た。
上述のように作製したセル間接続部材1と単セル3とを順次直列に接合することによって燃料電池のセルスタックを形成する。具体的には、保護膜12が形成されたセル間接続部材1の空気極31の側の表面を、接合材4を用いてSOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接着接合する。
すなわち、接合材4を選択すれば、燃料電池の通電条件下で元素拡散が生じ、保護膜12の形成材料との間に拡散接合が生じるものと考えられる。
また、保護膜12の焼成には例えば1000℃などでの加熱を要するのに対し、接合材4による接着・接合は、燃料電池の作動温度〜950℃などの低温で行うことができる。これは、金属基材11と保護膜12との接合には比較的高温(燃料電池の使用温度よりもやや高い温度)が必要であるのに対して、空気極31と接合材4、接合材4と保護膜12の接着接合には、拡散接合が期待できることから比較的低温で可能になるものと考えられる。
以下に、セル間接続部材1を製造する際に用いる金属基材11の表面に基材コーティング層13を設けたことの効果を記載する。ここでは、金属基材11の表面に基材コーティング層13を形成した後で熱処理を施したサンプル(実施例)、基材コーティング層13を形成していない金属基材11に熱処理を施していないサンプル(比較例1)、基材コーティング層13を形成していない金属基材11に熱処理を施したサンプル(比較例2)を作製し、ICP分析及びGD−OES分析(表面からの深さ方向の濃度分布測定)を行った。
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用い、その表面にNiをめっき法により成膜することで基材コーティング層13を形成した。その後、製造時熱履歴を模擬するものとして、大気中800℃、還元雰囲気(水素雰囲気)700℃でそれぞれ2時間ずつ焼成するという処理を施した。更に、運転時熱履歴を模擬するものとして、水素/水蒸気雰囲気にて熱処理を所定時間(24時間、48時間、300時間)施した。この熱処理時の温度は850℃又は900℃である。
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用いた。その表面にはNiを成膜していない(基材コーティング層13を形成していない)。この比較例1のサンプルには、製造時熱履歴を模擬する熱処理及び運転時熱履歴を模擬する熱処理の何れの熱処理も施していない。
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用いた。その表面にはNiを成膜していない(基材コーティング層13を形成していない)。その後、製造時熱履歴を模擬するものとして、大気中800℃、還元雰囲気(水素雰囲気)700℃でそれぞれ2時間ずつ焼成するという処理を施した。更に、運転時熱履歴を模擬するものとして、水素/水蒸気雰囲気にて熱処理を所定時間(24時間、300時間)施した。この熱処理時の温度は850℃又は900℃である。
また、実施例のサンプルについて着目すると、表1及び表2から分かるように、比較例1のサンプルのリン濃度(280ppm)と比較して、水素/水蒸気雰囲気での熱処理時間が0時間である場合の実施例のサンプルのリン濃度は190ppmと低くなっている。これは、製造時熱履歴を模擬する熱処理のうち、大気中での加熱処理を行っている間に、金属基材11の表面から僅かにNiと化学結合したリンが消失したためと考えられる。但し、製造時熱履歴を模擬する熱処理のうちの、大気中での加熱処理は、セル間接続部材1に保護膜12を形成するための焼成を模擬する処理である、即ち、セル間接続部材1と単セル3とを接合していない状態で行われる処理であるので、リンが燃料極32に悪影響を与えることはない。
図5には、実施例のサンプルのGD−OES分析の結果を示す。尚、図5では、Cr濃度は縦軸の目盛りの1/2の数値になり、P(リン)濃度は縦軸の目盛りの100倍の数値になる。図5において、実施例のサンプルでの、運転時熱履歴を模擬する水素/水蒸気雰囲気における熱処理温度は900℃であり、熱処理時間は24時間である。
比較例2では、表面から浅い場所ほどリンの濃度が低下していることが確認され、深さ約70μm程度まで比較例1のサンプルと比較してリンが減少していることが分かる。これは、セルスタックの製造時及び運転時を模擬する熱処理により、金属基材11の表面から優先的にリンが揮発していき、内部からリンが拡散していったためだと推測される。
第2実施形態のセル間接続部材1は、基材コーティング層13が設けられている場所が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のセル間接続部材1及びその製造方法について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
<1>
上記実施形態では、本発明のセル間接続部材1、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、SOFCコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材1の製造方法について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、各材料の組成などは適宜変更可能である。
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(セルスタック)を備えたコージェネレーションシステムを構築する例を説明したが、固体酸化物形燃料電池を備えたモノジェネレーションシステムを構築することもできる。即ち、固体酸化物形燃料電池を備え、固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給するSOFCモノジェネレーションシステムを構築することもできる。
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
3 単セル
11 金属基材
13 基材コーティング層
20 固体酸化物形燃料電池(セルスタック)
31 空気極
32 燃料極
C 固体酸化物形燃料電池用セル(SOFC用セル)
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備える点にある。
ここで、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面に形成され、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面には、Co x Mn y O 4 (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜が形成されるように構成してもよい。
ここで、前記基材コーティング層はNiを用いて構成され、前記基材コーティング層の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面には、Co x Mn y O 4 (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜が形成されるように構成してもよい。
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
ここで、前記成膜工程において、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面に形成され、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面に、Co x Mn y O 4 (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜を形成する保護膜形成工程を有するように構成してもよい。
ここで、前記成膜工程において、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成され、前記基材コーティング層の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面に、Co x Mn y O 4 (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜を形成する保護膜形成工程を有するように構成してもよい。
Claims (7)
- 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備えるセル間接続部材。 - 前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成される請求項1に記載のセル間接続部材。
- 請求項1又は2に記載のセル間接続部材と前記単セルとを備える前記固体酸化物形燃料電池用セルが複数積層された固体酸化物形燃料電池。
- 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給するSOFCモノジェネレーションシステム。
- 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力及び熱を電力負荷及び熱負荷に供給するSOFCコージェネレーションシステム。
- 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有するセル間接続部材の製造方法。 - 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有するセル間接続部材の製造方法。
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