JP2020119626A - セル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、sofcモノジェネレーションシステム、及び、sofcコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法 - Google Patents

セル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、sofcモノジェネレーションシステム、及び、sofcコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法 Download PDF

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孝之 中尾
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Abstract

【課題】燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材を提供する。【解決手段】固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材1であって、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11と、金属基材11の表面のうち、少なくとも固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、SOFCモノジェネレーションシステム、及び、SOFCコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(以下、適宜「SOFC」と記載する。)用セルは、空気極及び燃料極を有する単セルとセル間接続部材とを備えて構成される。このようなSOFC用セルで利用されるセル間接続部材は、電子伝導性及び耐熱性に優れたステンレス鋼を用いて構成される金属基材を用いて製作される。
このような固体酸化物形燃料電池では、セル間接続部材を構成するステンレス鋼から揮発するリンが、SOFC用セルの燃料極の主成分であるNiと反応して、燃料極からのNiの揮発を誘発するなどの劣化を引き起こす可能性がある。一例を挙げると、SOFC用セルの燃料極に用いられるNiは高温作動条件下にて、リン等の不純物と反応すると一般的に金属状態のNiに対して蒸気圧は上昇する。そのため、燃料極材料(主にNiと電解質材料の酸化物のサーメット)中からNiが揮発し、燃料極中のNi金属ネットワークが分断され、電子伝導性が低下し、セル性能の低下(劣化)が起こる。
固体酸化物形燃料電池では、燃料極を劣化させる要因となり得るリンの起源の一つとして、セル間接続部材に用いられる金属基材のステンレス鋼に含まれるリンが考えられる。この場合、金属基材のステンレス鋼に含まれるリンは例えば数100ppm程度の低濃度であるが、燃料極の劣化を引き起こすことが報告されている。
特許文献1には、極低リンステンレス鋼の製造方法が記載されている。この製造方法を用いて製造したステンレス鋼をセル間接続部材の金属基材に用いることで、上述したような燃料極の劣化を抑制できる可能性がある。
特許第3855043号公報
特許文献1に記載のように、リン濃度の低いステンレス鋼を製造する方法は提案されているが、そのようなステンレス鋼を用いるとセル間接続部材のコストが上昇するという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、SOFCモノジェネレーションシステム、及び、SOFCコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係るセル間接続部材の特徴構成は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備える点にある。
上記特徴構成によれば、セル間接続部材の金属基材の表面のうち、少なくとも固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面には、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層が形成される。それにより、金属基材にリンが含まれていても、そのリンが金属基材から揮発することが抑制される。その結果、リンが固体酸化物形燃料電池用セルの燃料極に悪影響を与えることを抑制できる。
従って、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材を提供できる。
本発明に係るセル間接続部材の別の特徴構成は、前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成される点にある。
上記特徴構成によれば、金属基材の表面のうち、燃料極に接合される側の表面と、空気極に接合される側の表面との両方に基材コーティング層が付着してもよいので、即ち、基材コーティング層の形成時に金属基材をマスクなどで覆い隠す必要が無いので、金属基材の表面に基材コーティング層を形成する手順が簡単になる。その結果、セル間接続部材の製造コストが低くなるという利点がある。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、セル間接続部材と前記単セルとを備える前記固体酸化物形燃料電池用セルが複数積層された点にある。
上記特徴構成によれば、燃料極のリン被毒を抑制可能な固体酸化物形燃料電池を得ることができる。
本発明に係るSOFCモノジェネレーションシステムの特徴構成は、上記固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給する点にある。
上記特徴構成によれば、発電性能の高い固体酸化物形燃料電池を用いて、その固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給するSOFCモノジェネレーションシステムを実現できる。
本発明に係るSOFCコージェネレーションシステムの特徴構成は、上記固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力及び熱を電力負荷及び熱負荷に供給する点にある。
上記特徴構成によれば、発電性能の高い固体酸化物形燃料電池を用いて、その固体酸化物形燃料電池で発生した電力及び熱を電力負荷及び熱負荷に供給するSOFCコージェネレーションシステムを実現できる。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の特徴構成は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
上記特徴構成によれば、成膜工程により、セル間接続部材の金属基材の表面のうち、少なくとも固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層が形成される。この成膜工程が行われることで、金属基材にリンが含まれていても、そのリンが金属基材から揮発することが抑制される。その結果、リンが固体酸化物形燃料電池用セルの燃料極に悪影響を与えることを抑制できる。
従って、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材の製造方法を提供できる。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の別の特徴構成は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
上記特徴構成によれば、金属基材の表面のうち、燃料極に接合される側の表面と、空気極に接合される側の表面との両方に基材コーティング層が付着してもよいので、即ち、基材コーティング層の形成時に金属基材をマスクなどで覆い隠す必要が無いので、成膜工程において金属基材の表面に基材コーティング層を形成する手順が簡単になる。その結果、セル間接続部材の製造コストが低くなるという利点がある。
固体酸化物形燃料電池の概略図である。 固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図である。 第1実施形態のセル間接続部材の構造を示す断面図である。 実施例及び比較例のGD−OES分析の結果を示すグラフである。 実施例のGD−OES分析の結果を示すグラフである。 固体酸化物形燃料電池を備えるシステムの構成を示す図である。 第2実施形態のセル間接続部材の構造を示す断面図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)用セルで用いられるセル間接続部材1及びその製造方法及び固体酸化物形燃料電池について説明する。
図1は固体酸化物形燃料電池用セルの概略図である。図2は固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図である。図1及び図2に示すように、SOFC用セル(固体酸化物形燃料電池用セル)Cは、単セル3とセル間接続部材1とを備えて構成される。単セル3は、空気極31と燃料極32とを備えており、具体的には、酸素イオン伝導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸素イオンおよび電子伝導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子伝導性の多孔体からなる燃料極32を接合して形成される。
SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31または燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気および水素を供給するための溝2が形成された一対の電子伝導性のセル間接続部材1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。空気極31とセル間接続部材1とが密着配置されることで、空気極31の側の溝2が空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能する。燃料極32とセル間接続部材1とが密着配置されることで、燃料極32の側の上記溝2が燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
上記単セル3を構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、例えば、空気極31の材料としては、LaMO(例えばM=Mn,Fe,Co,Ni)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MOのペロブスカイト型酸化物などを利用できる。燃料極32の材料としては、例えばNiとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットなどを利用でき、電解質膜30の材料としては、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などを利用できる。
そして、複数のSOFC用セルCが積層配置された状態で、複数のボルトおよびナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持され、セルスタックとなる。このようにして、セル間接続部材1と単セル3とを備えるSOFC用セルCが複数積層された固体酸化物形燃料電池(セルスタック)が得られる。このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたセル間接続部材1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたセル間接続部材1は、一方の面に燃料流路2bが形成され、他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用できる。なお、このような積層構造のセルスタックでは、上記セル間接続部材1をセパレータと呼ぶ場合がある。
セルスタックは、燃料ガス(水素)を供給するマニホールドに、ガラスシール材等の接着材により取り付けられる。ガラスシール材としては、例えば結晶化ガラスが用いられる。ガラスシール材は、マニホールドの接着の他、単セル3とセル間接続部材1の間など、封止(シール)が必要な箇所に用いられる。このようなセルスタックの構造を有する固体酸化物形燃料電池を一般的に平板形固体酸化物形燃料電池と呼ぶ。本実施形態では、一例として平板形固体酸化物形燃料電池について説明するが、本発明はその他の構造の固体酸化物形燃料電池についても適用可能である。
このようなSOFC用セルCを備えた固体酸化物形燃料電池(セルスタック)の作動時には、図2に示すように、空気極31に対して隣接するセル間接続部材1に形成された空気流路2aを介して空気を供給するとともに、燃料極32に対して隣接するセル間接続部材1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、例えば800℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31において酸素分子Oが電子eと反応して酸素イオンO2−が生成され、そのO2−が電解質膜30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたHがそのO2−と反応してHOとeとが生成されることで、一対のセル間接続部材1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用できる。
<セル間接続部材1>
図3は、セル間接続部材1の構造を示す断面図である。セル間接続部材1は、図1、図3に示すように、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11と、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13とを備える。また、本実施形態のセル間接続部材1は、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に形成される保護膜12を備える。また、セル間接続部材1には、単セル3の空気極31に空気を供給する空気流路2a、燃料ガスを供給する燃料流路2bを形成してある。このように、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、少なくともSOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13を成膜する成膜工程を有している。
セル間接続部材1の金属基材11としては、フェライト系ステンレス鋼が用いられることが多いが、耐熱性により優れたオーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金や、ニッケル基合金であるNi−Cr合金などが用いられることもある。また、合金ではなく、(La,Ca)CrO(カルシウムドープランタンクロマイト)に代表される金属酸化物が用いられることもある。後述するように、金属基材11を構成するステンレス鋼には微量のリンが含まれている。
<基材コーティング層13>
上述したように、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面には基材コーティング層13が形成されている。
基材コーティング層13は、Ni(ニッケル)を金属基材11にコーティングすることにより形成してある。基材コーティング層13の膜厚は適宜設定可能であり、例えば5μmなどである。基材コーティング層13の成膜法としては、めっき法、電着塗装法、スパッタリング法等を利用できる。
<保護膜12>
上述したように、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には保護膜12が形成されている。保護膜12は、導電性セラミックス材料を含有する塗膜形成用材料を、金属基材11にコーティング(例えばディップコーティング)することにより保護膜12を厚膜として形成してある。厚膜の膜厚としては、0.1μm〜100μmが好適である。
保護膜12の成膜法としては、下記のようなものが挙げられる。
たとえば、ウエットコーティング法あるいは、ドライコーティング法によって形成することができる。ウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。また、ドライコーティング法としては、たとえば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、電気化学気相成長(EVD)法、イオンビーム法、レーザーアブレーション法、大気圧プラズマ成膜法、減圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。
しかし、ドライコーティング法として、CVD・EVD法や溶射法等は、保護膜12形成のためのプロセスが複雑となる、保護膜12の組成が安定しない等の欠点があるため、これらの方法に代えて、レーザーアブレーション法により保護膜12を形成することも考えられている。また、レーザーアブレーション法を採用すると、CVD・EVD法や溶射法に比べて、製造コストが高くなるため、現実的には、安価に保護膜12を製造できる技術として、ウエットコーティング法が採用される場合が多い。そのようなウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。
例えば、電着塗装法を適用すれば、下記のような手法で保護膜12を形成することができる。
金属酸化物微粒子を電着液1リットル当り100gになるように分散し、ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂とを含有している混合液を用いて電着塗装を行った。ここでは、(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(1:1)(質量比)とした。混合液を用い、金属基材11をプラス、対極としてSUS304の極板にマイナスの極性として通電を行うことによって、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、混合液を満たした通電槽中に金属基材11を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、金属基材11である金属の種類、混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られるセル間接続部材1の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(混合液温度)10〜40℃程度、印加電圧を10〜450V程度、電圧印加時間を1〜10分程度、混合液の液温10〜40℃とすればよい。なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、金属基材11に対して、種々前処理を行うこともできる。この未硬化の電着塗膜が形成された金属基材11に加熱処理することによって、金属基材11表面に硬化した電着塗膜が形成される。加熱処理は、電着塗膜を乾燥させる予備乾燥と、電着塗膜を硬化させる硬化加熱とを含み、予備乾燥後に硬化加熱が行われる。その後、電気炉を使用して1000℃で2時間焼成し、その後徐冷してセル間接続部材1を得た。
保護膜12形成用材料として用いられる金属酸化物の微粒子としては、コバルトマンガン系酸化物CoMn(0<x、y<3、x+y=3)からなる金属酸化物微粒子が用いられ、具体的には、Co1.5Mn1.5やCoMnOなどを主成分として含有する平均粒径が0.1μm以上2μm以下のものが好適に用いられる。
以上のように、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13を成膜する成膜工程と、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に上記保護膜12を形成する保護膜12形成工程とを有している。それにより、図3に示したような、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面には基材コーティング層13が形成され、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には保護膜12が形成されたセル間接続部材1が得られる。
<接合材による接着・接合>
上述のように作製したセル間接続部材1と単セル3とを順次直列に接合することによって燃料電池のセルスタックを形成する。具体的には、保護膜12が形成されたセル間接続部材1の空気極31の側の表面を、接合材4を用いてSOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接着接合する。
接合材4としては、コバルトマンガン系酸化物CoMn(0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜12に対して、コバルトマンガン系酸化物CoMn(0≦x、y≦3、x+y=3)の接合材、より具体的には、保護膜12の形成材料が(Co,Mn)Oである場合、接合材4として、Co1.5Mn1.5、CoMnO、Co等の酸化物材料を用いることができ、保護膜12の形成材料がCoMn(0<x、y<3、x+y=3)である場合、接合材が、Cox+αMny−αO(0≦x、y、α≦3、x+y=3)、より具体的には、保護膜12の形成材料がCo1.5Mn1.5である場合、接合材4として、CoMnO、Co等の酸化物材料を用いることができる。これらの材料は後述の実験例より、保護膜12と空気極31との間を、燃料電池の通電条件下で元素拡散が生じ、保護膜12の形成材料との間に拡散接合が生じる保護膜12の形成材料と同系酸化物材料からなる接合材4で接着接合する構成となるように選択することが好ましい。
すなわち、接合材4を選択すれば、燃料電池の通電条件下で元素拡散が生じ、保護膜12の形成材料との間に拡散接合が生じるものと考えられる。
また、保護膜12の焼成には例えば1000℃などでの加熱を要するのに対し、接合材4による接着・接合は、燃料電池の作動温度〜950℃などの低温で行うことができる。これは、金属基材11と保護膜12との接合には比較的高温(燃料電池の使用温度よりもやや高い温度)が必要であるのに対して、空気極31と接合材4、接合材4と保護膜12の接着接合には、拡散接合が期待できることから比較的低温で可能になるものと考えられる。
<基材コーティング層13を設けたことによる効果>
以下に、セル間接続部材1を製造する際に用いる金属基材11の表面に基材コーティング層13を設けたことの効果を記載する。ここでは、金属基材11の表面に基材コーティング層13を形成した後で熱処理を施したサンプル(実施例)、基材コーティング層13を形成していない金属基材11に熱処理を施していないサンプル(比較例1)、基材コーティング層13を形成していない金属基材11に熱処理を施したサンプル(比較例2)を作製し、ICP分析及びGD−OES分析(表面からの深さ方向の濃度分布測定)を行った。
実施例及び比較例2のサンプルに対する熱処理は、セルスタック製造時及び燃料電池の運転時にセル間接続部材1が受ける熱履歴を模擬するために行った。具体的には、セル間接続部材1と単セル3とを用いてセルスタックを形成するときに受ける熱の影響(製造時熱履歴)と、セルスタックを用いて発電運転するときに受ける熱の影響(運転時熱履歴)とを考慮している。そして、製造時熱履歴を模擬するものとして、実施例及び比較例2のサンプルに対して、セル間接続部材1に保護膜12を形成するための焼成を模擬する大気中での800℃の加熱と、セルスタックの還元を模擬する還元雰囲気(水素雰囲気)での700℃の加熱とをそれぞれ2時間ずつ行うという処理を施した。運転時熱履歴を模擬するものとして、水素/水蒸気雰囲気にて後述する温度条件及び時間条件で処理を施した。
〔実施例のサンプル:基材コーティング層13あり〕
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用い、その表面にNiをめっき法により成膜することで基材コーティング層13を形成した。その後、製造時熱履歴を模擬するものとして、大気中800℃、還元雰囲気(水素雰囲気)700℃でそれぞれ2時間ずつ焼成するという処理を施した。更に、運転時熱履歴を模擬するものとして、水素/水蒸気雰囲気にて熱処理を所定時間(24時間、48時間、300時間)施した。この熱処理時の温度は850℃又は900℃である。
〔比較例1のサンプル:基材コーティング層13なし〕
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用いた。その表面にはNiを成膜していない(基材コーティング層13を形成していない)。この比較例1のサンプルには、製造時熱履歴を模擬する熱処理及び運転時熱履歴を模擬する熱処理の何れの熱処理も施していない。
〔比較例2のサンプル:基材コーティング層13なし〕
金属基材11として汎用ステンレス材料(SUS445J1相当)を用いた。その表面にはNiを成膜していない(基材コーティング層13を形成していない)。その後、製造時熱履歴を模擬するものとして、大気中800℃、還元雰囲気(水素雰囲気)700℃でそれぞれ2時間ずつ焼成するという処理を施した。更に、運転時熱履歴を模擬するものとして、水素/水蒸気雰囲気にて熱処理を所定時間(24時間、300時間)施した。この熱処理時の温度は850℃又は900℃である。
ICP分析では、各サンプルについて、5mm角、0.4mm厚みの試験片を用意し、全量溶解して、各試験片に含まれているリン(P)の濃度を検出した。以下の表1及び表2にはICPの分析結果を示す。
Figure 2020119626
Figure 2020119626
先ず、比較例1のサンプルと、実施例及び比較例2のサンプルとに対する水素/水蒸気雰囲気での熱処理時間が0時間の場合との違いは、実施例及び比較例2に対しては製造時熱履歴を模擬する熱処理を行っているのに対して、比較例1のサンプルはその熱処理を行っていない点である。そして、表1及び表2から分かるように、比較例1のサンプルのリン濃度(280ppm)と比較して、水素/水蒸気雰囲気での熱処理時間が0時間である場合の比較例2のサンプルのリン濃度は220ppmと低くなっている。つまり、製造時熱履歴を模擬する熱処理によって、金属基材11の表面からのリンの揮発が大きく生じると言えることが分かった。
また、実施例のサンプルについて着目すると、表1及び表2から分かるように、比較例1のサンプルのリン濃度(280ppm)と比較して、水素/水蒸気雰囲気での熱処理時間が0時間である場合の実施例のサンプルのリン濃度は190ppmと低くなっている。これは、製造時熱履歴を模擬する熱処理のうち、大気中での加熱処理を行っている間に、金属基材11の表面から僅かにNiと化学結合したリンが消失したためと考えられる。但し、製造時熱履歴を模擬する熱処理のうちの、大気中での加熱処理は、セル間接続部材1に保護膜12を形成するための焼成を模擬する処理である、即ち、セル間接続部材1と単セル3とを接合していない状態で行われる処理であるので、リンが燃料極32に悪影響を与えることはない。
実施例の基材コーティング層13を形成したサンプルでは、運転時熱履歴を模擬した水素/水蒸気雰囲気での熱処理温度に関わらず、水素/水蒸気雰囲気で熱処理した前後でのリン濃度の差はほぼ無かった。つまり、実施例の基材コーティング層13を形成したサンプルでは、運転時熱履歴を模擬した熱処理によっては、金属基材11からのリンの揮発がほぼ生じないと言えることがわかった。
それに対して、比較例2のサンプルでは、水素/水蒸気雰囲気での熱処理温度が850℃の場合には300時間の熱処理によってリン濃度が220ppmから120ppmまで減少し、水素/水蒸気雰囲気での熱処理温度が900℃の場合には24時間の熱処理によってリン濃度が220ppmから100ppmまで減少した。つまり、比較例2の基材コーティング層13を形成していないサンプルでは、運転時熱履歴を模擬した熱処理より、金属基材11からのリンの揮発が大きく生じると言えることが分かった。
図4には、実施例のサンプルと、比較例1のサンプルと、比較例2のサンプルとのGD−OES分析の結果を示す。図4において、実施例及び比較例2のサンプルでの、運転時熱履歴を模擬する水素/水蒸気雰囲気における熱処理温度は850℃であり、熱処理時間は300時間である。
図5には、実施例のサンプルのGD−OES分析の結果を示す。尚、図5では、Cr濃度は縦軸の目盛りの1/2の数値になり、P(リン)濃度は縦軸の目盛りの100倍の数値になる。図5において、実施例のサンプルでの、運転時熱履歴を模擬する水素/水蒸気雰囲気における熱処理温度は900℃であり、熱処理時間は24時間である。
比較例1のサンプルでは、金属基材11中のリン濃度は表面からの深さ方向でほぼ一定であることがわかる。
比較例2では、表面から浅い場所ほどリンの濃度が低下していることが確認され、深さ約70μm程度まで比較例1のサンプルと比較してリンが減少していることが分かる。これは、セルスタックの製造時及び運転時を模擬する熱処理により、金属基材11の表面から優先的にリンが揮発していき、内部からリンが拡散していったためだと推測される。
実施例では表面から5μmまでが成膜工程により形成した元々の基材コーティング層13の厚さである。図5から分かるように、製造時熱履歴及び運転時熱履歴を模擬した熱処理を施した後では、Niが表面から内部の一定深さまで高濃度で存在しており、Niが多く存在する深さにはリンはほとんど存在しない。そして、図4から分かるように、Niの濃度が低くなると思われる深さ(約15μmより深い領域)になると、リンの濃度が急に高くなる。このように、表面に多く存在する基材コーティング層13に由来するNiと金属基材11との界面近傍でリンの濃縮が生じていることが確認される。つまり、リンが金属基材11の表面に形成した基材コーティング層13のNiによってブロックされることで、セル間接続部材1からのリンの揮発が抑制されていることが確認できた。このことから、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32の側に使用される金属基材11の表面にNiコーティング(基材コーティング層13)を施すことで、不純物であるリンの揮発を抑制し、燃料極32の不純物被毒劣化を抑制できることが確認できた。また、本実施形態では、基材コーティング層13の材料として電気抵抗率が小さいNiを含む材料を用いているため、セル間接続部材1と単セル3との間の電気抵抗が大きくなることもない。
以上のように、実施例のサンプルでは、表1及び表2に示したように、製造時熱履歴を模擬する熱処理によって金属基材11からリンが揮発していると思われるが、運転時熱処理を模擬する熱処理によって金属基材11からリンが揮発することは効果的に防止されている。従って、金属基材11の表面のうち、少なくとも単セル3の燃料極32に接合される側の表面に基材コーティング層13が形成されたセル間接続部材1を用いることで、実際の固体酸化物形燃料電池でも燃料極32のリン被毒を抑制可能だと考えられる。
図6は、上述の方法で製造したSOFC用セルCを搭載する固体酸化物形燃料電池(セルスタック)を備えるシステムの構成を示す図である。特に、図6に示すのは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)20を備え、その固体酸化物形燃料電池20で発生した電力及び熱を電力負荷及び熱負荷に供給するSOFCコージェネレーションシステムの構成を示す図である。この固体酸化物形燃料電池20は、上述のように製造されたSOFC用セルCが複数積層されたセルスタックを有する。また、図示は省略するが、固体酸化物形燃料電池20には、燃料極32に供給される水素などの燃料ガスを、都市ガスなどの炭化水素を改質して製造するための改質装置を併設してもよい。
固体酸化物形燃料電池20から出力される電力は、インバータ等の電力変換器24を介して、商用電力系統21に接続されている電力線22に供給される。この電力線22には、固体酸化物形燃料電池20が設置されている施設で利用される照明機器や空調機器などの様々な電力負荷装置23が接続される。つまり、電力負荷装置23での電力負荷に対して、商用電力系統21及び固体酸化物形燃料電池20のうちの少なくとも一方から電力が供給される。
固体酸化物形燃料電池20から排出される熱は、固体酸化物形燃料電池20が設置されている施設に設置されている給湯装置や暖房装置などの様々な熱負荷装置26の熱負荷に対して供給される。また、図示するように、蓄熱媒体を貯える蓄熱装置25を設けておけば、固体酸化物形燃料電池20から排出された熱をその蓄熱媒体で回収して蓄熱装置25で蓄えることもできる。そして、熱負荷装置26で熱需要が発生したときに、蓄熱装置25から熱負荷装置26へと熱供給を行うことができる。
<第2実施形態>
第2実施形態のセル間接続部材1は、基材コーティング層13が設けられている場所が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のセル間接続部材1及びその製造方法について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図7は、第2実施形態のセル間接続部材1の構造を示す断面図である。図示するように、セル間接続部材1は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11を備え、基材コーティング層13は、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面と、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面とに形成される。この場合、図7に示すように、基材コーティング層13は、金属基材11の表面全体に形成されていてもよい。つまり、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面と、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面とに(図7では、金属基材11の表面全体に)、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13を成膜する成膜工程を有する。
加えて、セル間接続部材1の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には第1実施形態と同様の保護膜12を備える。この保護膜12は、基材コーティング層13の表面に形成されている。つまり、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、上記成膜工程に引き続いて、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に保護膜12を形成する保護膜12形成工程とを有している。
以上の結果、図7に示したような、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面及び空気極31に接合される側の表面(図7では、金属基材11の表面全体)には基材コーティング層13が形成され、その基材コーティング層13の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には保護膜12が形成されたセル間接続部材1が得られる。このように、本実施形態のセル間接続部材1では、金属基材11の表面のうち、燃料極32に接合される側の表面と、空気極31に接合される側の表面との両方に基材コーティング層13が付着してもよいので、即ち、基材コーティング層13の形成時に金属基材11をマスクなどで覆い隠す必要が無いので、成膜工程において金属基材11の表面に基材コーティング層13を形成する手順が簡単になる。その結果、セル間接続部材1の製造コストが低くなるという利点がある。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明のセル間接続部材1、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、SOFCコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材1の製造方法について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、各材料の組成などは適宜変更可能である。
<2>
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(セルスタック)を備えたコージェネレーションシステムを構築する例を説明したが、固体酸化物形燃料電池を備えたモノジェネレーションシステムを構築することもできる。即ち、固体酸化物形燃料電池を備え、固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給するSOFCモノジェネレーションシステムを構築することもできる。
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
本発明は、燃料極のリン被毒を抑制可能なセル間接続部材、及び、固体酸化物形燃料電池、及び、SOFCモノジェネレーションシステム、及び、SOFCコージェネレーションシステム、及び、セル間接続部材の製造方法に利用できる。
1 セル間接続部材
3 単セル
11 金属基材
13 基材コーティング層
20 固体酸化物形燃料電池(セルスタック)
31 空気極
32 燃料極
C 固体酸化物形燃料電池用セル(SOFC用セル)
上記目的を達成するための本発明に係るセル間接続部材の特徴構成は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備える点にある。
ここで、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面に形成され、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面には、Co Mn (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜が形成されるように構成してもよい。
本発明に係るセル間接続部材の別の特徴構成は、前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成される点にある。
ここで、前記基材コーティング層はNiを用いて構成され、前記基材コーティング層の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面には、Co Mn (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜が形成されるように構成してもよい。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の特徴構成は、固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有する点にある。
ここで、前記成膜工程において、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面に形成され、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面に、Co Mn (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜を形成する保護膜形成工程を有するように構成してもよい。
本発明に係るセル間接続部材の製造方法の別の特徴構成は、前記成膜工程において、前記基材コーティング層は、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成される点にある。
ここで、前記成膜工程において、Niを用いて構成される前記基材コーティング層は、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成され、前記基材コーティング層の表面のうち、前記単セルの空気極に接合される側の表面に、Co Mn (0<x、y<3、x+y=3)からなる保護膜を形成する保護膜形成工程を有するように構成してもよい。
しかし、ドライコーティング法として、CVD・EVD法や溶射法等は、保護膜形成のためのプロセスが複雑となる、保護膜12の組成が安定しない等の欠点があるため、これらの方法に代えて、レーザーアブレーション法により保護膜12を形成することも考えられている。また、レーザーアブレーション法を採用すると、CVD・EVD法や溶射法に比べて、製造コストが高くなるため、現実的には、安価に保護膜12を製造できる技術として、ウエットコーティング法が採用される場合が多い。そのようなウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。
保護膜形成用材料として用いられる金属酸化物の微粒子としては、コバルトマンガン系酸化物CoMn(0<x、y<3、x+y=3)からなる金属酸化物微粒子が用いられ、具体的には、Co1.5Mn1.5やCoMnOなどを主成分として含有する平均粒径が0.1μm以上2μm以下のものが好適に用いられる。
以上のように、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層13を成膜する成膜工程と、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に上記保護膜12を形成する保護膜形成工程とを有している。それにより、図3に示したような、金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の燃料極32に接合される側の表面には基材コーティング層13が形成され、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には保護膜12が形成されたセル間接続部材1が得られる。
加えて、セル間接続部材1の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面には第1実施形態と同様の保護膜12を備える。この保護膜12は、基材コーティング層13の表面に形成されている。つまり、本実施形態のセル間接続部材1の製造方法は、上記成膜工程に引き続いて、ステンレス鋼を用いて構成される金属基材11の表面のうち、SOFC用セルCを構成する単セル3の空気極31に接合される側の表面に保護膜12を形成する保護膜形成工程とを有している。

Claims (7)

  1. 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材であって、
    ステンレス鋼を用いて構成される金属基材と、
    前記金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に形成される、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層とを備えるセル間接続部材。
  2. 前記基材コーティング層は、前記金属基材の表面のうち、前記単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに形成される請求項1に記載のセル間接続部材。
  3. 請求項1又は2に記載のセル間接続部材と前記単セルとを備える前記固体酸化物形燃料電池用セルが複数積層された固体酸化物形燃料電池。
  4. 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力を電力負荷に供給するSOFCモノジェネレーションシステム。
  5. 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池を備え、前記固体酸化物形燃料電池で発生した電力及び熱を電力負荷及び熱負荷に供給するSOFCコージェネレーションシステム。
  6. 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
    ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、少なくとも前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面に、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有するセル間接続部材の製造方法。
  7. 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるセル間接続部材の製造方法であって、
    ステンレス鋼を用いて構成される金属基材の表面のうち、前記固体酸化物形燃料電池用セルを構成する単セルの燃料極に接合される側の表面と、前記単セルの空気極に接合される側の表面とに、Niを含む材料を用いて構成される基材コーティング層を成膜する成膜工程を有するセル間接続部材の製造方法。
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