JP2022156330A - 合金部材、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置、エネルギーシステム及び合金部材の製造方法 - Google Patents

合金部材、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置、エネルギーシステム及び合金部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合される側の部材のリン被毒を抑制可能な合金部材を提供する。【解決手段】合金部材11が、Fe及びCrを含み、他の部材と接合される部分の表面に酸化被膜11aが形成され、酸化被膜11aの平均厚さが0.3μm以上0.7μm以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、合金部材、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置、エネルギーシステム及び合金部材の製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(以下、適宜「SOFC」と記載する。)などは、空気極及び燃料極を有する単セルと、その単セル同士の間に設けられるセル間接続部材などの合金部材とを備えて構成される。このような合金部材は、電子伝導性及び耐熱性に優れたステンレス鋼を用いて製作される。
SOFCなどでは、セル間接続部材を構成するステンレス鋼から揮発するリンが、単セルの燃料極の主成分であるNiと反応して、燃料極からのNiの揮発を誘発するなどの劣化を引き起こす可能性がある。一例を挙げると、燃料極に用いられるNiは高温作動条件下にて、リン等の不純物と反応すると一般的に金属状態のNiに対して蒸気圧は上昇する。そのため、燃料極材料(主にNiと電解質材料の酸化物のサーメット)中からNiが揮発し、燃料極中のNi金属ネットワークが分断され、電子伝導性が低下し、セル性能の低下(劣化)が起こる。
燃料極を劣化させる要因となり得るリンの起源の一つとして、それと接合される合金部材に用いられるステンレス鋼に含まれるリンが考えられる。この場合、ステンレス鋼に含まれるリンは例えば数100ppm程度の低濃度であるが、燃料極の劣化を引き起こすことが報告されている。
特許文献1には、極低リンステンレス鋼の製造方法が記載されている。この製造方法を用いて製造したステンレス鋼を合金部材に用いることで、上述したような燃料極の劣化を抑制できる可能性がある。
特許第3855043号公報
特許文献1に記載のように、リン濃度の低いステンレス鋼を製造する方法は提案されているが、そのようなステンレス鋼を用いると合金部材のコストが上昇するという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、接合される側の部材のリン被毒を抑制可能な合金部材、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置、エネルギーシステム及び合金部材の製造方法を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る合金部材の特徴構成は、Fe及びCrを含み、他の部材と接合される部分の表面に酸化被膜が形成され、前記酸化被膜の平均厚さが0.3μm以上0.7μm以下である点にある。
ここで、前記酸化被膜はCrの酸化物を含んでいてもよい。
上記特徴構成によれば、合金部材の表面には平均厚さが0.3μm以上0.7μm以下である酸化被膜が形成されているので、その合金部材が例えば固体酸化物形燃料電池の燃料極などと接合されてその環境下に置かれたとしても、合金部材からのリンの放出が抑制される。つまり、合金部材と接合される他の部材は、リンの存在を起源とする被毒を受けない。
従って、接合される側の部材のリン被毒を抑制可能な合金部材を提供できる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は、上記合金部材と、電解質層を電極層と対極電極層との間に挟んで構成される単セルを有する電気化学素子とが接合されて構成される点にある。
上記特徴構成によれば、合金部材と接合される、電気化学素子を構成する電極層又は対極電極層のリン被毒を抑制できる。
本発明に係る電気化学モジュールの別の特徴構成は、複数の前記電気化学素子を備え、複数の前記電気化学素子同士が前記合金部材によって電気的に接続されている点にある。
上記特徴構成によれば、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置されるので、電気化学モジュールを構成する一つの電気化学素子の能力は低くても、それらが複数組み合わさった電気化学モジュールの能力を高くすることができる。
本発明に係る電気化学モジュールの更に別の特徴構成は、前記電気化学素子と接合される側の、前記合金部材の前記酸化被膜の上に、Co、Mn、Cu及びNiの内の少なくとも1つ以上を含有する金属酸化物で構成される保護膜を備える点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学素子の被毒を防止できると共に、電気化学素子と合金部材との間の電気抵抗を良好に維持できる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、上記電気化学モジュールを備え、前記単セルで発電反応を生じさせる点にある。
上記特徴構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた固体酸化物形燃料電池として発電反応を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形燃料電池を得る事ができる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形電解セルの特徴構成は、上記電気化学モジュールを備え、前記単セルで電解反応を生じさせる点にある。
上記特徴構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた固体酸化物形電解セルとして電解反応によるガスの生成を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形電解セルを得る事ができる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上記電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器、或いは前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器と、を少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学モジュールと、電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器を有する。よって、電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合、改質器などの燃料変換器によって、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用いて供給される天然ガス等から水素を生成し、燃料電池に流通させる構成とすると、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現できる。
更に、上記特徴構成によれば、電気化学モジュールと、電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器を有する。よって、電気化学モジュールを電解セルとして動作させる場合は、例えば、水の電解反応によって生成する水素を燃料変換器で一酸化炭素や二酸化炭素と反応させてメタンなどに変換する電気化学装置とすることが出来るが、このような構成にすると、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現できる。
本発明に係る電気化学装置の更に別の特徴構成は、上記電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出す或いは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、電力変換器は、電気化学モジュールが発電した電力を取り出し、或いは、電気化学モジュールに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学モジュールは、燃料電池として作用し、或いは、電解セルとして作用する。よって、上記特徴構成によれば、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する、或いは電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学モジュール等を提供できる。例えば、電力変換器としてインバータを用いる場合、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールから得られる電気出力を、インバータによって昇圧したり、直流を交流に変換したりできるため、電気化学モジュールで得られる電気出力を利用しやすくなるので好ましい。
上記目的を達成するための本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上記電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有する点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学装置と、電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性および性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
上記目的を達成するための本発明に係る合金部材の製造方法の特徴構成は、他の部材と接合される合金部材の製造方法であって、
前記合金部材はFe及びCrを含み、
前記合金部材と他の部材とを接合材を用いて接合する前に、還元雰囲気で800℃以上1000℃以下の温度範囲で前記合金部材を熱処理する熱処理工程を行う点にある。
上記特徴構成によれば、還元雰囲気で800℃以上1000℃以下の温度範囲で、合金部材を熱処理する熱処理工程を行うことで、その間に合金部材からのリンの放出が促進され、且つ、その表面に酸化被膜が形成される。その結果、得られた合金部材を例えば固体酸化物形燃料電池の燃料極などと接合して、その環境下に置いたとしても、合金部材からのリンの放出が抑制される。つまり、合金部材と接合される他の部材は、リンの存在を起源とする被毒を受けない。
固体酸化物形燃料電池の概略図である。 固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図である。 合金部材を有するセル間接続部材の構造を示す断面図である。 実施例及び比較例のGD-OES分析の結果を示すグラフである。 合金部材の断面を示すSEM画像である。 合金部材の酸化被膜の元素分析の結果である。 合金部材の断面を示すSEM画像である。 合金部材の酸化被膜の元素分析の結果である。 合金部材の断面を示すSEM画像である。 合金部材の酸化被膜の元素分析の結果である。 エネルギーシステム及び電気化学装置の構成を示す図である。 エネルギーシステム及び電気化学装置の構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)で用いられる合金部材11及びその製造方法について説明する。
図1は電気化学モジュールMを備える固体酸化物形燃料電池の概略図である。図2は固体酸化物形燃料電池の作動時の反応の説明図である。図3は、合金部材11を有するセル間接続部材1の構成を示す図である。図1~図3に示すように、電気化学モジュールMは、合金部材11を有するセル間接続部材1と、電解質層30を電極層としての燃料極32と対極電極層としての空気極31との間に挟んで構成される単セル3を有する電気化学素子とが接合されて構成される。具体的には、単セル3は、酸素イオン伝導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質層30の一方面側に、酸素イオンおよび電子伝導性の多孔体からなる空気極31を接合し、同じ電解質層30の他方面側に電子伝導性の多孔体からなる燃料極32を接合して形成される。
電気化学モジュールMは、この電気化学素子としての単セル3を、空気極31または燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気および水素を供給するための溝2が形成された一対の電子伝導性のセル間接続部材1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。空気極31とセル間接続部材1とが密着配置されることで、空気極31の側の溝2が空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能する。燃料極32とセル間接続部材1とが密着配置されることで、燃料極32の側の溝2が燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
上記単セル3を構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、例えば、空気極31の材料としては、LaMO(例えばM=Mn,Fe,Co,Ni)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MOのペロブスカイト型酸化物などを利用できる。燃料極32の材料としては、例えばNiとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットなどを利用でき、電解質層30の材料としては、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などを利用できる。
そして、複数の単セル3同士が、合金部材11を有するセル間接続部材1によって電気的に接続された状態、即ち、複数の単セル3が間にセル間接続部材1を挟んで積層配置された状態で、複数のボルトおよびナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持されて、セルスタックとなる。このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたセル間接続部材1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたセル間接続部材1は、一方の面に燃料流路2bが形成され、他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用できる。なお、このような積層構造のセルスタックでは、上記セル間接続部材1をセパレータ、インターコネクタ等と呼ぶ場合がある。
セルスタックは、燃料ガス(水素)を供給するマニホールドに、ガラスシール材等の接着材により取り付けられる。ガラスシール材としては、例えば結晶化ガラスが用いられる。ガラスシール材は、マニホールドの接着の他、単セル3とセル間接続部材1の間など、封止(シール)が必要な箇所に用いられる。このようなセルスタックの構造を有する固体酸化物形燃料電池を一般的に平板形固体酸化物形燃料電池と呼ぶ。本実施形態では、一例として平板形固体酸化物形燃料電池について説明するが、本発明はその他の構造の固体酸化物形燃料電池についても適用可能である。
このような電気化学モジュールMを備え、単セル3で発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池(セルスタック)の作動時には、図2に示すように、空気極31に対して隣接するセル間接続部材1に形成された空気流路2aを介して空気を供給するとともに、燃料極32に対して隣接するセル間接続部材1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、例えば800℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31において酸素分子Oが電子eと反応して酸素イオンO2-が生成され、そのO2-が電解質層30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたHがそのO2-と反応してHOとeとが生成されることで、一対のセル間接続部材1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用できる。
<セル間接続部材1>
セル間接続部材1は、図3に示すように、Fe及びCrを含む例えばステンレス鋼を用いて構成される合金部材11と、合金部材11の表面のうち、単セル3の空気極31に接合される側の表面に形成される保護膜12を備える。また、セル間接続部材1には、単セル3の空気極31に空気を供給する空気流路2a、燃料ガスを供給する燃料流路2bを形成してある。
セル間接続部材1の合金部材11としては、フェライト系ステンレス鋼が用いられることが多いが、耐熱性により優れたオーステナイト系ステンレス鋼であるFe-Cr-Ni合金や、ニッケル基合金であるNi-Cr合金などが用いられることもある。合金部材11を構成するステンレス鋼には、一般的に約250ppm~約350ppmのリンが含まれている。
本実施形態では、合金部材11と他の部材とを接合材4を用いて接合する前に、還元雰囲気で800℃以上1000℃以下の温度範囲で合金部材11を熱処理する熱処理工程を行う。この熱処理工程が行われることで、合金部材11の、他の部材と接合される部分の表面に酸化被膜11aが形成される。この酸化被膜11aの平均厚さは0.3μm以上0.7μm以下である。還元雰囲気とは、還元性を示す水素、アンモニアなどのガスを含む雰囲気である。
図4は、本実施形態の熱処理工程を行った実施例のサンプルと、熱処理工程を行っていない、即ち未処理の比較例のサンプルとのGD-OES分析の結果を示す。図4に示すように、比較例のサンプルでは、合金部材11中のリン濃度は表面からの深さ方向でほぼ一定であることがわかる。それと比較して、実施例のサンプルでは、内部から表面に向かってリン濃度が低下している。この結果は、熱処理工程によって、リンが合金部材11の表面から揮発していくと同時に、合金部材11の内部から表面側へとリンの拡散が起こっているためだと考えられる。但し、合金部材11の表面側でのリンの揮発速度が、合金部材11の内部から表面側へのリンの拡散速度よりも速いため、図4に示したようなリン濃度の分布が形成されていると考えられる。このように、熱処理工程において合金部材11の表面でのリン濃度を大幅に低下させておくことで、その後、固体酸化物形燃料電池の運転中には、合金部材11の内部から表面側へ、遅い拡散速度でリンの拡散は起こるものの、合金部材11の表面からのリンの揮発はほとんど起こらないと考えられる。
<保護膜12>
電気化学素子としての単セル3と接合される側の、合金部材11の酸化被膜11aの上に、Co、Mn、Cu及びNiの内の少なくとも1つ以上を含有する金属酸化物で構成される保護膜12が形成される。本実施形態では、上記熱処理工程を行った後の合金部材11の表面のうち、少なくとも単セル3の空気極31に接合される側の表面に、保護膜12を形成する保護膜形成工程を行う。その結果、合金部材11の表面のうち、単セル3の空気極31に接合される側の表面に保護膜12が形成されている。保護膜12は、上記金属酸化物を含有する保護膜形成用材料を合金部材11に成膜し、その後、焼成することにより形成できる。
保護膜形成材料の成膜法としては、下記のようなものが挙げられる。
例えば、ウエットコーティング法あるいは、ドライコーティング法によって形成することができる。ウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。また、ドライコーティング法としては、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、電気化学気相成長(EVD)法、イオンビーム法、レーザーアブレーション法、大気圧プラズマ成膜法、減圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。
しかし、ドライコーティング法として、CVD・EVD法や溶射法等は、保護膜形成のためのプロセスが複雑となる、保護膜12の組成が安定しない等の欠点があるため、これらの方法に代えて、レーザーアブレーション法により保護膜12を形成することも考えられている。また、レーザーアブレーション法を採用すると、CVD・EVD法や溶射法に比べて、製造コストが高くなるため、現実的には、安価に保護膜12を製造できる技術として、ウエットコーティング法が採用される場合が多い。そのようなウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。
例えば、電着塗装法を適用すれば、下記のような手法で保護膜12を形成することができる。
金属酸化物微粒子を電着液1リットル当り100gになるように分散し、ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂とを含有している混合液を用いて電着塗装を行った。ここでは、(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(1:1)(質量比)とした。混合液を用い、合金部材11をプラス、対極としてSUS304の極板にマイナスの極性として通電を行うことによって、合金部材11の表面のうち、単セル3の空気極31に接合される側の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。電着塗装は、公知の方法に従い、例えば、混合液を満たした通電槽中に合金部材11を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、合金部材11である金属の種類、混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られる合金部材11の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(混合液温度)10~40℃程度、印加電圧を10V~450V程度、電圧印加時間を1~10分程度、混合液の液温10~40℃とすればよい。なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、合金部材11に対して、種々前処理を行うこともできる。この未硬化の電着塗膜が形成された合金部材11に加熱処理することによって、合金部材11の表面に硬化した電着塗膜が形成される。加熱処理は、電着塗膜を乾燥させる予備乾燥と、電着塗膜を硬化させる硬化加熱とを含み、予備乾燥後に硬化加熱が行われる。その後、保護膜形成材料が形成された合金部材11を電気炉を使用して1000℃で2時間焼成し、その後徐冷して、表面に保護膜12が形成された合金部材11を得た。
保護膜形成用材料として用いられる金属酸化物の微粒子としては、コバルトマンガン系酸化物又は銅マンガン系酸化物又は銅コバルトマンガン系酸化物などがある。つまり、保護膜12の材料が、コバルトマンガン系酸化物又は銅マンガン系酸化物又は銅コバルトマンガン系酸化物などである。
<接合材による接着・接合>
上述のように作製した、保護膜12が形成された合金部材11と単セル3とを順次直列に接合することによって燃料電池のセルスタックを形成する。具体的には、保護膜12が形成された合金部材11の空気極31の側の表面を、接合材4を用いて単セル3の空気極31に接着接合する。
接合材4としては、例えばCo、Mn、Cu及びNiの内の少なくとも2つ以上を含有する金属酸化物を含む材料が用いられる。
<熱処理工程を行ったことによる効果>
以下に、セル間接続部材1を製造する際に用いる合金部材11に対して上記熱処理工程を行ったことの効果を記載する。
〔検証結果1〕
本実施形態の熱処理工程を行った実施例のサンプルは、合金部材11としての汎用ステンレス鋼(SUS445J1相当)を、800℃(実施例1)、900℃(実施例2)、1000℃(実施例3)の温度でそれぞれ、H(5%)及びN(95%)の混合ガスのドライ雰囲気(還元雰囲気)で1時間、熱処理を行ったものである。
比較例のサンプルは、本実施形態の熱処理工程を行っていない未処理の合金部材11である。
各サンプルの大きさは、8mm角、厚さ0.3mmである。
表1には、熱処理工程を行った実施例1,2,3のサンプルと、熱処理工程を行っていない未処理の比較例サンプルとのICP分析の結果を示す。また、固体酸化物形燃料電池の運転時を模擬した評価試験の結果も併せて示す。この評価試験は、固体酸化物形燃料電池の運転時の燃料極32の側の合金部材11の環境を模擬する900℃、水素/水蒸気雰囲気に、各サンプルを36時間及び82時間曝したものである。つまり、合金部材11に含まれるリン濃度が、固体酸化物形燃料電池の運転時にどのように変化するのかを推測するために行ったものである。表1に示す結果から分かるように、実施例1,2,3のサンプルの場合、固体酸化物形燃料電池の運転時での燃料極32の側の雰囲気を模擬した環境に曝しても、その間にリン濃度は低下しなかった。これは、熱処理工程において合金部材11の表面でのリン濃度を大幅に低下させておいたことで、その後、固体酸化物形燃料電池の運転中には、合金部材11の内部から表面側へ、遅い拡散速度でリンの拡散は起こるものの、合金部材11の表面からのリンの揮発はほとんど起こらなかったためだと考えられる。従って、実施例のサンプルと同様の熱処理工程を行った合金部材11を用いた場合、燃料極32はリン被毒をほとんど受けることがないと言える。それに対して、比較例のサンプルの場合、固体酸化物形燃料電池の運転時での燃料極32の側の雰囲気を模擬した環境に曝すと、その間にリン濃度は大幅に低下した。つまり、比較例のサンプルと同様の合金部材11を用いた場合、燃料極32はリン被毒を受ける可能性がある。
Figure 2022156330000002
〔検証結果2〕
次に、本実施形態の熱処理工程によって、合金部材11の表面の状態が変化したのかを検証した結果を説明する。
ここでは、実施例として、H(5%)及びN(95%)の混合ガスのドライ雰囲気(還元雰囲気)で800℃~1000℃での熱処理工程を行ったステンレス鋼のサンプル(8mm角、厚さ0.3mm)を用意した。また、熱処理工程を行っていない未処理のステンレス鋼のサンプル(8mm角、厚さ0.3mm)と、大気中で800℃~1000℃で熱処理を行ったステンレス鋼のサンプル(8mm角、厚さ0.3mm)とを用意した。そして、各サンプルの表面の抵抗値を、室温でテスタにより測定した。
実施例のサンプルの表面の抵抗値は、テスタでは0Ωであった。また、未処理のサンプルの表面の抵抗値もテスタでは0Ωであった。大気中で熱処理を行ったサンプルは、テスタでは、「O.L.」となり、高抵抗であった。このように、実施例のサンプルのように、本実施形態の熱処理工程のような還元雰囲気での熱処理を行った場合、合金部材11の表面に形成される酸化被膜11aの電気抵抗は低いと言える。
〔検証結果3〕
次に、本実施形態の熱処理工程を行った後の合金部材11の表面に保護膜12を形成したサンプル(実施例)と、熱処理工程を行っていない未処理の合金部材11の表面に保護膜12を形成したサンプル(比較例)の抵抗値の測定結果を示す。
実施例のサンプルは、合金部材11に対して、H(5%)及びN(95%)の混合ガスのドライ雰囲気(還元雰囲気)で800℃での熱処理工程を行った後、保護膜形成材料としてのCoMnOをディップコートにより成膜し、1000℃で大気焼成することで保護膜12を得た(保護膜形成工程)。比較例のサンプルは、未処理の合金部材11に対して保護膜形成材料としてのCoMnOをディップコートにより成膜し、1000℃で大気焼成することで保護膜12を得た。そして、合金部材11と保護膜12との界面を含む、合金部材11と保護膜12との間の抵抗値を、固体酸化物形燃料電池の運転時の環境を想定した600℃、650℃、700℃、750℃、800℃で測定した。
以下の表2に示すように、実施例のサンプルは、比較例のサンプルと同様に低抵抗であった。つまり、本実施形態の熱処理工程を行った後の合金部材11の表面に保護膜12を形成しても、合金部材11と保護膜12との界面を含む、合金部材11と保護膜12との間の抵抗値は低い状態が維持されていることが分かった。従って、本実施形態の熱処理工程を行った後の合金部材11の表面に形成される酸化被膜11aの電気抵抗は低いと言える。
Figure 2022156330000003
次に、図5~図10を参照して、合金部材11の表面に形成される酸化被膜11aの特性について説明する。図5及び図7及び図9のそれぞれは、熱処理工程を800℃、900℃、1000℃で行った場合の合金部材11の断面を示すSEM画像である。図6及び図8及び図10のそれぞれは、熱処理工程を800℃、900℃、1000℃で行った場合の、EPMAによる合金部材11の厚さ方向の元素分析の結果である。
図5に示すように、800℃で熱処理工程を行った合金部材11の表面には平均厚さが0.3μmの酸化被膜11aが形成されている。図6の元素分析の結果を見ると、酸素(O)とクロム(Cr)とが同じ深さ領域に多く存在することを示すピークが見られ、その酸化被膜11aがクロムの酸化物であることが分かる。マンガン(Mn)については特徴的な分布は見られない。
図7に示すように、900℃で熱処理工程を行った合金部材11の表面には平均厚さが0.5μmの酸化被膜11aが形成されている。図8の元素分析の結果を見ると、酸素(O)とクロム(Cr)とが同じ深さ領域に多く存在することを示すピークが見られ、その酸化被膜11aがクロムの酸化物であることが分かる。また、同じ深さ領域にマンガン(Mn)も僅かに存在している。これは、合金部材11に含まれていたマンガンが拡散してきたものと考えられる。
図9に示すように、1000℃で熱処理工程を行った合金部材11の表面には平均厚さが0.7μmの酸化被膜11aが形成されている。図10の元素分析の結果を見ると、酸素(O)とクロム(Cr)とが同じ深さ領域に多く存在することを示すピークが見られ、その酸化被膜11aがクロムの酸化物であることが分かる。また、同じ深さ領域にマンガン(Mn)も存在している。
以上のように、熱処理工程によって合金部材11の表面には平均厚さが0.3μm以上0.7μm以下である酸化被膜11aが形成されているので、その合金部材11が例えば固体酸化物形燃料電池の燃料極などと接合されてその環境下に置かれたとしても、合金部材11からのリンの放出が抑制される。つまり、合金部材11と接合される他の部材は、リンの存在を起源とする被毒を受けない。
図11は、エネルギーシステムZおよび電気化学装置Yの構成を示す図である。
エネルギーシステムZは、電気化学装置Yと、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器53とを有する。
電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、電気化学モジュールMに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器としての改質器34と、を少なくとも有する。加えて、電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、電気化学モジュールMから電力を取り出す電力変換器としてのインバータ38とを有する。また、電気化学装置Yが有する燃料供給モジュールは、脱硫器20、気化器33及び改質器34等からなり、電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する。
その他、電気化学装置Yは、改質水タンク21、ブロア35、燃焼部36、制御部39、収納容器40、昇圧ポンプ41、改質水ポンプ43等を有する。
気化器33、改質器34、電気化学モジュールMおよび燃焼部36は、収納容器40内に収納される。そして改質器34は、燃焼部36での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ41の作動により原燃料供給路42を通して脱硫器20に供給される。改質水タンク21の改質水は、改質水ポンプ43の作動により改質水供給路44を通して気化器33に供給される。そして、原燃料供給路42は脱硫器20よりも下流側の部位で、改質水供給路44に合流されており、収納容器40外にて合流された改質水と原燃料とが収納容器40内に備えられた気化器33に供給される。
脱硫器20は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器20を備えることにより、硫黄化合物による改質器34あるいは電気化学モジュールMを構成する単セル3に対する影響を抑制することができる。気化器33は、改質水タンク21から供給される改質水から水蒸気を生成する。気化器33にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路45を通して改質器34に供給される。
改質器34は、気化器33にて生成された水蒸気を用いて脱硫器20にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。改質器34にて生成された改質ガスは、改質ガス供給路46を通して電気化学モジュールMのガスマニホールド17に供給される。
電気化学モジュールMを構成する単セル3は互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、単セル3の一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されている。ガスマニホールド17に供給された改質ガスは、複数の単セル3に対して分配される。電気化学モジュールMを構成する単セル3は、改質器34から供給された改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。反応に用いられなかった残余の水素ガスを含む反応排ガスが、電気化学モジュールMの上端から燃焼部36に排出される。燃焼部36は、電気化学モジュールMから排出される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
燃焼部36で燃焼された反応排ガスは、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出口50から収納容器40の外部に排出される。燃焼排ガス排出口50には燃焼触媒部51(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去する。燃焼排ガス排出口50から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス排出路52により熱交換器53に送られる。
熱交換器53は、燃焼部36における燃焼で生じた燃焼排ガスと、供給される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。つまり、熱交換器53は、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)排出される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。反応排ガスには、電気化学モジュールMを構成する単セル3にて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
インバータ38は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部39は電気化学装置YおよびエネルギーシステムZの運転を制御する。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、電気化学素子としての単セル3の構造例を説明したが、単セル3の構造は適宜変更可能である。
<2>
上記実施形態では、電気化学モジュールMを固体酸化物形燃料電池に用いる例を説明したが、電気化学モジュールMを、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
電気化学モジュールMを構成する単セル3で電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セルを実現する場合について説明する。図12に示すエネルギーシステムZでは、電気化学モジュールMを構成する単セル3を電解セルとして動作させる場合は、電極層としての燃料極32に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスが流通され、燃料極32と対極電極層としての空気極31との間に電圧が印加される。そして、燃料極32において電子eと水分子HO、二酸化炭素分子COが反応し水素分子Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2-となる。酸素イオンO2-は電解質層30を通って空気極31へ移動する。空気極31において酸素イオンO2-が電子を放出して酸素分子Oとなる。以上の反応により、水分子HOが水素Hと酸素Oとに、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通される場合は一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
水蒸気と二酸化炭素分子COを含有するガスが流通される場合は上記電気分解により電気化学モジュールMで生成した水素及び一酸化炭素等から炭化水素などの種々の化合物などを合成する燃料変換器91を設けることができる。燃料供給部(図示せず)により、この燃料変換器91が生成した炭化水素等を電気化学モジュールMに流通したり、本システム・装置外に取り出して別途燃料や化学原料として利用することができる。
このように、図12に示すエネルギーシステムZにおいて、電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器91と、を少なくとも有する。また、電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、電気化学モジュールMに電力を流通する電力変換器93とを少なくとも有する。
電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子としての単セル3とガスマニホールド17及びガスマニホールド171とを有する。複数の単セル3は互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、単セル3の一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されており、他方の端部(上端部)がガスマニホールド171に固定されている。単セル3の一方の端部(下端部)におけるガスマニホールド17は、水蒸気及び二酸化炭素の供給を受ける。そして、単セル3で上述の反応により生成した水素及び一酸化炭素等が、単セル3の他方の端部(上端部)と連通するガスマニホールド171によって収集される。
図12中の熱交換器90を、燃料変換器91で起きる反応によって生ずる反応熱と水とを熱交換させ気化する排熱利用部として動作させるとともに、図12中の熱交換器92を、単セル3によって生ずる排熱と水蒸気および二酸化炭素とを熱交換させ予熱する排熱利用部として動作させる構成とすることにより、エネルギー効率を高めることができる。
また、電力変換器93は、単セル3に電力を流通する。これにより、上記のように単セル3は、電解セルとして作用する。
<3>
上記実施形態において、保護膜12を、熱処理工程を行った後の合金部材11の表面のうち、単セル3の空気極31に接合される側の表面と燃料極32に接合される側の表面との両方に形成してもよい。
<4>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
本発明は、接合される側の部材のリン被毒を抑制可能な合金部材、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置、エネルギーシステム及び合金部材の製造方法に利用できる。
3 :単セル
4 :接合材
11 :合金部材
11a :酸化被膜
12 :保護膜
30 :電解質層
38 :インバータ(電力変換器)
91 :燃料変換器
93 :電力変換器
M :電気化学モジュール
Y :電気化学装置
Z :エネルギーシステム


Claims (11)

  1. Fe及びCrを含み、他の部材と接合される部分の表面に酸化被膜が形成され、前記酸化被膜の平均厚さが0.3μm以上0.7μm以下である合金部材。
  2. 前記酸化被膜はCrの酸化物を含む請求項1に記載の合金部材。
  3. 請求項1又は2に記載の合金部材と、電解質層を電極層と対極電極層との間に挟んで構成される単セルを有する電気化学素子とが接合されて構成される電気化学モジュール。
  4. 複数の前記電気化学素子を備え、複数の前記電気化学素子同士が前記合金部材によって電気的に接続されている請求項3に記載の電気化学モジュール。
  5. 前記電気化学素子と接合される側の、前記合金部材の前記酸化被膜の上に、Co、Mn、Cu及びNiの内の少なくとも1つ以上を含有する金属酸化物で構成される保護膜を備える請求項3又は4に記載の電気化学モジュール。
  6. 請求項3~5の何れか一項に記載の電気化学モジュールを備え、前記単セルで発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  7. 請求項3~5の何れか一項に記載の電気化学モジュールを備え、前記単セルで電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セル。
  8. 請求項3~5の何れか一項に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器、或いは前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器と、を少なくとも有する電気化学装置。
  9. 請求項3~5の何れか一項に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出す或いは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有する電気化学装置。
  10. 請求項8又は9に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するエネルギーシステム。
  11. 他の部材と接合される合金部材の製造方法であって、
    前記合金部材はFe及びCrを含み、
    前記合金部材と他の部材とを接合材を用いて接合する前に、還元雰囲気で800℃以上1000℃以下の温度範囲で前記合金部材を熱処理する熱処理工程を行う合金部材の製造方法。
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