A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図6〜8)のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1(および後述する図6〜8)のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108という場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。燃料ガス導入マニホールド171は、特許請求の範囲における供給側マニホールドに相当し、燃料ガス排出マニホールド172は、特許請求の範囲における排出側マニホールドに相当する。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。また、図6は、図4のVI−VIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図7は、図4のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図8は、図4のVIII−VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という)110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ軸方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。
図6に示すように、インターコネクタ150は、Z軸方向視で略矩形の外形を有する導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100はエンドプレート106を備えているため、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
図4から図7に示すように、インターコネクタ150における単セル110に対向する部分には、下方向に突出する凸部152(以下、「空気極側凸部152」という)と、空気極側凸部152の上側に配置され、空気極側凸部152側に凹んだ凹部154(以下、「燃料極側凹部154」という)との組合せが複数形成されている。また、隣り合う2つの空気極側凸部152の間には凹部156(以下、「空気極側凹部156」という)が形成され、隣り合う2つの燃料極側凹部154の間には凸部158(以下、「燃料極側凸部158」という)が形成されている。すなわち、インターコネクタ150には、上方向に突出する燃料極側凸部158と、燃料極側凸部158の下側に配置され、燃料極側凸部158側に凹んだ空気極側凹部156との組合せも複数形成されている。インターコネクタ150に形成された複数の燃料極側凸部158は、特許請求の範囲における複数の凸部に相当し、インターコネクタ150に形成された複数の燃料極側凹部154は、複数の凹部に相当する。
ある発電単位102における下側のインターコネクタ150に形成された各燃料極側凸部158は、該発電単位102の燃料極側集電体144に直接的または間接的に接触している。また、該インターコネクタ150における各空気極側凸部152は、下側に隣り合う他の発電単位102の空気極114に直接的または間接的に接触している。そのため、インターコネクタ150によって、発電単位102間の電気的導通が確保される。なお、ある発電単位102における下側のインターコネクタ150に形成された各燃料極側凹部154は、該発電単位102の燃料極116に面する燃料室176の一部を構成し、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150に形成された各空気極側凹部156は、該発電単位102の空気極114に面する空気室166の一部を構成する。
図6に示すように、本実施形態では、燃料極側凹部154および空気極側凸部152は、Z軸方向視で、X軸方向における長さがY軸方向(後述する燃料室176における主たるガス流れ方向である第2の方向)における長さより長い細長形状となっている。また、燃料極側凹部154および空気極側凸部152は、Z軸方向視で、X軸方向とY軸方向とに並ぶ格子状に配置されている。
本実施形態では、インターコネクタ150は、平板形状の金属材料にプレス加工を施し、空気極側凸部152と燃料極側凹部154との複数の組合せ、および、燃料極側凸部158と空気極側凹部156との複数の組合せを形成することによって製造される。より具体的には、プレス加工によって形成された隣り合う2つの空気極側凸部152間の箇所が、空気極側凹部156となり、プレス加工によって形成された隣り合う2つの燃料極側凹部154間の箇所が、燃料極側凸部158となる。インターコネクタ150の凸部や凹部をプレス加工により形成することにより、例えばエッチング等の他の方法を用いる場合と比較して、製造工程の効率化を図ることができる。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、Z方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。燃料極116は、特許請求の範囲における特定電極に相当する。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
図7に示すように、空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形のガス室用孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。
空気極側フレーム130のガス室用孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する孔である。ガス室用孔131は、X軸方向に互いに対向する第1の内面IP1および第2の内面IP2を有する。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔131の第1の内面IP1に開口する酸化剤ガス供給連通流路132と、酸化剤ガス排出マニホールド162を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔131の第2の内面IP2に開口する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。本実施形態では、空気極側フレーム130に、3つの酸化剤ガス供給連通流路132と、3つの酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。
図8に示すように、燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形のガス室用孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。
燃料極側フレーム140のガス室用孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する孔である。ガス室用孔141は、Y軸方向に互いに対向する第3の内面IP3および第4の内面IP4を有する。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔141の第3の内面IP3に開口する燃料ガス供給連通流路142と、燃料ガス排出マニホールド172を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔141の第4の内面IP4に開口する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。本実施形態では、燃料極側フレーム140に、3つの燃料ガス供給連通流路142と、3つの燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、特許請求の範囲におけるフレーム部材に相当し、ガス室用孔141は、特許請求の範囲におけるガス室用孔に相当する。また、燃料極側フレーム140に形成された連通孔108の内、燃料ガス導入マニホールド171を構成する連通孔108は、特許請求の範囲における供給側マニホールド用孔に相当し、燃料ガス排出マニホールド172を構成する連通孔108は、特許請求の範囲における排出側マニホールド用孔に相当する。また、燃料極側フレーム140に形成された燃料ガス供給連通流路142は、特許請求の範囲における供給側連通流路に相当し、燃料ガス排出連通流路143は、特許請求の範囲における排出側連通流路に相当する。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。図8における部分拡大図に示すように、燃料極側集電体144は、略矩形の平板部材(例えばニッケル箔)に切り込みを入れ、複数の矩形部分を曲げ起こすように加工することにより製造される。曲げ起こされた各矩形部分が電極対向部145となり、曲げ起こされた部分以外の穴OPが開いた状態の平板部分がインターコネクタ対向部146となり、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ部分が連接部147となる。なお、図8における部分拡大図では、燃料極側集電体144の製造方法を示すため、一部の矩形部分について、曲げ起こし加工が完了する前の状態を示している。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、燃料極側集電体144は、さらに、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間に配置されたスペーサー149を備える。スペーサー149は、例えばマイカにより形成されている。スペーサー149の存在により、電極対向部145等が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。燃料極側集電体144は、特許請求の範囲における集電体に相当する。
図4および図5に示すように、インターコネクタ150の空気極114側の表面は、導電性のコート136によって覆われている。コート136は、例えば、スピネル型酸化物(例えば、MnCo2O4、ZnMn2O4、CuMn2O4等)により形成されている。インターコネクタ150の表面へのコート136の形成は、例えば、スプレーコート、インクジェット印刷、スピンコート、ディップコート、めっき、スパッタリング、溶射等の周知の方法で実行される。コート136の存在により、インターコネクタ150の表面からCrが放出されて拡散する「Cr拡散」と呼ばれる現象の発生が抑制され、インターコネクタ150がCr欠乏によって異常酸化したり、拡散したCrが空気極114の表面に付着して空気極114での電極反応速度が低下する「空気極のCr被毒」と呼ばれる現象が発生したりすることを抑制することができる。
空気極114とインターコネクタ150(より詳細には、インターコネクタ150の各空気極側凸部152)とは、導電性の接合層138により接合されている。接合層138は、例えば、スピネル型酸化物(例えば、Mn1.5Co1.5O4やMnCo2O4、ZnCo2O4、ZnMn2O4、ZnMnCoO4、CuMn2O4)により形成されている。接合層138により、空気極114とインターコネクタ150とが電気的に接続される。先に、インターコネクタ150は空気極114の表面と接触していると説明したが、本実施形態においては、コート136に覆われたインターコネクタ150と空気極114との間には接合層138が介在している。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は接合層138を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
なお、図8に示すように、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102では、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向は、概ねY軸正方向側からY軸負方向側に向かう方向である。燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向は、例えば、燃料ガス供給連通流路142のガス室用孔141の第3の内面IP3への開口の中点MP1から、燃料ガス排出連通流路143のガス室用孔141の第4の内面IP4への開口の中点MP2に向かう方向として特定することができる。ここで、本実施形態では、燃料極側フレーム140に燃料ガス供給連通流路142が複数(3つ)形成されているが、そのような場合には、上述した燃料ガス供給連通流路142のガス室用孔141の第3の内面IP3への開口の中点MP1とは、複数の燃料ガス供給連通流路142のガス室用孔141の第3の内面IP3への開口から構成される開口群の両端点(EP11,EP12)を結ぶ線分の中点を意味する。同様に、本実施形態では、燃料極側フレーム140に燃料ガス排出連通流路143が複数(3つ)形成されているが、そのような場合には、上述した燃料ガス排出連通流路143のガス室用孔141の第4の内面IP4への開口の中点MP2とは、複数の燃料ガス排出連通流路143のガス室用孔141の第4の内面IP4への開口から構成される開口群の両端点(EP21,EP22)を結ぶ線分の中点を意味する。
また、本実施形態では、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142が開口するガス室用孔141の第3の内面IP3は、略直線状部分を有し、かつ、燃料ガス排出連通流路143が開口するガス室用孔141の第4の内面IP4は、上記第3の内面IP3の略直線状部分と略平行な略直線状部分を有する。そのため、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向は、例えば、Z軸方向視で、ガス室用孔141の第3の内面IP3における略直線状部分と、ガス室用孔141の第4の内面IP4における略直線状部分と、が対向する方向としても特定することができる。すなわち、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向は、Z軸方向視で、ガス室用孔141の内周面の内、燃料ガス供給連通流路142が開口する第3の内面IP3における略直線状部分から、燃料ガス排出連通流路143が開口する第4の内面IP4における略直線状部分であって、上記第3の内面IP3における略直線状部分に略平行な略直線状部分に向かう方向であると言える。
上述した各方法により特定される燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向は、特許請求の範囲における第2の方向に相当する。
A−3.インターコネクタ150および燃料極側集電体144の詳細構成:
図9は、インターコネクタ150および燃料極側集電体144の詳細構成を示す説明図である。図9には、図2のX1部における発電単位102のXZ断面構成が拡大して示されている。上述したように、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向はY軸方向であるため、図9に示されたXZ断面は、該主たる流れ方向に直交し、かつ、単セル110における空気極114と燃料極116との対向方向(Z軸方向)に平行な断面である。図9に示されたXZ断面は、特許請求の範囲における特定断面に相当する。
上述したように、燃料極側集電体144は、電極対向部145とインターコネクタ対向部146と連接部147とスペーサー149とを備えている。以下の説明では、燃料極側集電体144における1つの電極対向部145と、該電極対向部145に接続された連接部147と、Z軸方向において該電極対向部145に重なるインターコネクタ対向部146およびスペーサー149の部分とを、合わせて集電部148という。燃料極側集電体144は、複数の集電部148を有する。複数の集電部148のそれぞれは、燃料極116の表面に導通している。また、集電部148と集電部148との間は、燃料極116に面するガス流路空間210として機能する。すなわち、複数の集電部148は、燃料極116に面するガス流路空間210を挟んで並んでいる。なお、集電部148は、ガス透過性を有さないように構成される。ここで、ガス透過性を有さない構成とは、ガスを実質的に透過しない構成をいう。換言すれば、ガスと接したときに該ガスの流れを変更する構成である。例えば、集電部148を構成する電極対向部145と連接部147とインターコネクタ対向部146とをニッケル箔により形成し、集電部148を構成するスペーサー149をマイカにより形成すると、集電部148はガス透過性を有さない構成となる。集電部148はガス透過性を有さないように構成されるため、燃料室176において、集電部148を間に挟んだ2つの流路間の燃料ガスFGの流れが制限される。集電部148の平均密度は、例えば、1g/cm3〜10g/cm3である。また、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(Y軸方向)に直交し、かつ、単セル110における空気極114と燃料極116との対向方向(Z軸方向)に平行な断面(例えば、図9に示されたXZ断面)において、Z軸方向において電極対向部145と重なり、かつ、燃料極116の表面とインターコネクタ150の燃料極側凸部158の頂点の位置との間に位置する部分(図9のS1部)の断面積に占める集電部148の断面積の割合は、例えば、30%以上である。
本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、インターコネクタ150に形成された燃料極側凸部158と燃料極116との間に、燃料極側集電体144の集電部148が位置しておらず、集電部148と集電部148との間に形成されたガス流路空間210が存在する。なお、燃料極側凸部158と燃料極116との間にガス流路空間210が存在するとは、必ずしも燃料極側凸部158の幅方向(X軸方向)の全体と燃料極116との間にガス流路空間210が存在する形態に限られず、燃料極側凸部158の幅方向の一部分と燃料極116との間にガス流路空間210が存在し、燃料極側凸部158の幅方向の残りの一部分と燃料極116との間には集電部148が位置する形態を含む。
また、本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、インターコネクタ150の燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、該燃料極側凸部158の一方側(例えば、X軸正方向側)に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220と、該燃料極側凸部158の他方側(例えば、X軸負方向側)に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220とに連通している。すなわち、燃料極側凸部158の幅方向(X軸方向)の両側に、該燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210と燃料極側凹部154内の空間220とを連通する隙間230が存在している。なお、ある燃料極側凸部158の一方側(例えば、X軸正方向側)に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220は、特許請求の範囲における第1の凹部内の第1の空間に相当し、該燃料極側凸部158の他方側(例えば、X軸正負向側)に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220は、特許請求の範囲における第2の凹部内の第2の空間に相当する。
また、本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、インターコネクタ150の燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、該燃料極側凸部158の一方側(例えば、X軸正方向側)に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220を介して、他のガス流路空間210に連通している。また、本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、インターコネクタ150の燃料極側凸部158の一方側(例えば、X軸正方向側)に隣り合う燃料極側凹部154は、Z軸方向において複数の(具体的には3つの)集電部148に対向している。そのため、本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210は、該燃料極側凸部158に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220を介して、上記3つの集電部148の間に挟まれた2つのガス流路空間210に連通している。なお、本実施形態の発電単位102では、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210は、該燃料極側凸部158に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220を介して、上記3つの集電部148の間に挟まれた2つのガス流路空間210に連通し、さらに、該燃料極側凹部154に隣り合う他の燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在する他のガス流路空間210に連通している。
なお、本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面において、図示されていない他の燃料極側凸部158についても、上記と同様の構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)が採用されている。また、上述したように、インターコネクタ150の燃料極側凹部154は、Z軸方向視で、X軸方向とY軸方向とに並ぶ格子状に配置されている(図6参照)。本実施形態の発電単位102では、図9に示されたXZ断面とは異なる他のXZ断面(図9に示されたXZ断面が通る燃料極側凹部154とは異なる他の燃料極側凹部154を通る任意のXZ断面)においても、上記と同様の構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)が採用されている。なお、これらのXZ断面も、特許請求の範囲における特定断面に相当する。
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102は、単セル110と、燃料極側フレーム140と、インターコネクタ150と、燃料極側集電体144とを備える。単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向(第1の方向)に互いに対向する空気極114および燃料極116とを含む。燃料極側フレーム140には、燃料極116に面する燃料室176を構成するガス室用孔141と、燃料室176に供給される燃料ガスFGが通る燃料ガス導入マニホールド171を構成する連通孔108と、燃料室176から排出された燃料オフガスFOGが通る燃料ガス排出マニホールド172を構成する連通孔108と、燃料ガス導入マニホールド171を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔141の第3の内面IP3に開口する燃料ガス供給連通流路142と、燃料ガス排出マニホールド172を構成する連通孔108に連通すると共にガス室用孔141の第4の内面IP4に開口する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面には、複数の燃料極側凸部158と、複数の燃料極側凹部154とが形成されている。燃料極側集電体144は、燃料極116とインターコネクタ150とを電気的に接続する導電性の部材であり、それぞれ燃料極116の表面に導通し、かつ、燃料極116に面するガス流路空間210を挟んで並んだ複数の集電部148を有する。また、本実施形態の発電単位102では、Z軸方向視で燃料ガス供給連通流路142のガス室用孔141の第3の内面IP3への開口の中点MP1と燃料ガス排出連通流路143のガス室用孔141の第4の内面IP4への開口の中点MP2とを結ぶ方向(Y軸方向、第2の方向)に直交し、かつ、Z軸方向に平行な断面である特定断面(例えば、図9に示されたXZ断面)において、インターコネクタ150に形成された燃料極側凸部158と燃料極116との間には、該燃料極側凸部158の一方側に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220に連通するガス流路空間210が存在する。
このように、本実施形態の発電単位102では、燃料室176における主たるガス流れ方向(上記第2の方向)に直交する特定断面(例えば、図9に示されたXZ断面)において、インターコネクタ150の燃料極側凸部158と燃料極116との間に、燃料極側集電体144の集電部148と集電部148とに挟まれたガス流路空間210が位置し、かつ、該ガス流路空間210が、該燃料極側凸部158に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220に連通している。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向(例えば、X軸方向)に良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を向上させることができる。
また、本実施形態の発電単位102では、上記特定断面において、インターコネクタ150に形成された燃料極側凸部158と燃料極116との間には、該燃料極側凸部158の一方側に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220と、該燃料極側凸部158の他方側に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220と、に連通するガス流路空間210が存在する。このように、本実施形態の発電単位102では、燃料室176における主たるガス流れ方向に直交する特定断面において、インターコネクタ150の燃料極側凸部158と燃料極116との間に、燃料極側集電体144の集電部148と集電部148とに挟まれたガス流路空間210が位置し、かつ、該ガス流路空間210が、該燃料極側凸部158の両側に隣り合う2つの燃料極側凹部154内の空間220に連通している。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向にさらに良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態の発電単位102では、上記特定断面において、インターコネクタ150に形成された燃料極側凸部158と燃料極116との間に位置するガス流路空間210は、該燃料極側凸部158の一方側に隣り合う燃料極側凹部154内の空間220を介して、他のガス流路空間210に連通している。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に一層良好に拡散させることができ、その結果、発電性能をさらに効果的に向上させることができる。なお、本実施形態の発電単位102では、上記燃料極側凸部158の一方側に隣り合う上記燃料極側凹部154は、Z軸方向において複数の集電部148に対向している。そのため、本実施形態の発電単位102では、上記燃料極側凸部158と燃料極116との間に位置する上記ガス流路空間210は、上記燃料極側凹部154内の空間220を介して、複数の他のガス流路空間210に連通することとなる。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に極めて良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を極めて効果的に向上させることができる。
なお、本実施形態の発電単位102では、燃料極側集電体144の集電部148がガス透過性を有さないため、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向へのガス拡散性の低下が課題となりやすい。しかしながら、本実施形態の発電単位102では、上述した各構成が採用されているため、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を向上させることができる。
また、本実施形態の発電単位102では、Z軸方向視で、燃料室176における主たるガス流れ方向に直交する方向(例えば、X軸方向)における燃料極側凹部154の長さは、燃料室176における主たるガス流れ方向(例えば、Y軸方向)における燃料極側凹部154の長さより長い(図6参照)。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料極側凹部154内の空間220を利用して、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態の発電単位102では、Z軸方向視で、インターコネクタ150に形成された複数の燃料極側凹部154は、燃料室176における主たるガス流れ方向に直交する方向(例えば、X軸方向)にと該ガス流れ方向(例えば、Y軸方向)とに並ぶ格子状に配置されており、互いに異なる燃料極側凹部154を通る任意の複数の特定断面(XZ断面)において、上記構成が採用されている。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料室176における主たるガス流れ方向に並ぶ複数の位置において、燃料室176に供給された燃料ガスFGを、燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を効果的に向上させることができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における単セル110、発電単位102または燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、インターコネクタ150の燃料極116に対向する側の表面に複数の燃料極側凸部158と複数の燃料極側凹部154とが形成されていると共に、インターコネクタ150の空気極114に対向する側の表面に複数の空気極側凸部152と複数の空気極側凹部156とが形成されているが、インターコネクタ150の空気極114に対向する側の表面には凸部および凹部が設けられていない(すなわち、略平坦形状である)としてもよい。
また、上記実施形態では、燃料極側集電体144の集電部148が、例えば金属により形成された電極対向部145とインターコネクタ対向部146と連接部147と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間に配置され、例えばマイカにより形成されたスペーサー149とから構成されているが、集電部148の形状や材料は、種々変形可能である。例えば、集電部148が、燃料極116にもインターコネクタ150にも接触する単一部材により構成されるとしてもよい。
また、上記実施形態では、1つの特定断面(例えば、図9に示されたXZ断面)において、すべての燃料極側凸部158について上述した構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)が採用されているが、必ずしもそのような構成である必要はなく、1つの特定断面において少なくとも1つの燃料極側凸部158について上述した構成が採用されていればよい。
また、上記実施形態では、互いに異なる燃料極側凹部154を通る任意の複数の特定断面において、上述した構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)が採用されているが、必ずしもそのような構成である必要はなく、少なくとも1つの特定断面において上述した構成が採用されていればよい。なお、燃料ガスFGを燃料室176における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に良好に拡散させるという観点から、上述した互いに異なる燃料極側凹部154を通る任意の複数の特定断面の内、少なくとも、燃料室176における主たるガス流れ方向の上流側に位置する特定断面(例えば、該ガス流れ方向に単セル110を3等分したときの最もガス上流側に近い単セル110の部分に重なる特定断面)において上述した構成が採用されていることが好ましい。
また、上記実施形態において説明した構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)は、燃料電池スタック100に含まれるすべての発電単位102において採用されていてもよいし、燃料電池スタック100に含まれる一部の発電単位102のみにおいて採用されていてもよい。
また、上記実施形態では、インターコネクタ150と、インターコネクタ150と燃料極116との間に配置された燃料極側集電体144との関係について、上記構成(例えば、燃料極側凸部158と燃料極116との間に存在するガス流路空間210が、燃料極側凹部154内の空間220と連通している構成)が採用されているが、燃料極116に代えて空気極114側において同様の構成が採用されるとしてもよい。すなわち、例えば、空気極114とインターコネクタ150との間に両者を電気的に接続する導電性の集電体が配置され、該集電体は、それぞれ空気極114の表面に導通し、かつ、空気極114に面するガス流路空間を挟んで並んだ複数の集電部を有し、空気室166における主たるガス流れ方向(Z軸方向視で酸化剤ガス供給連通流路132のガス室用孔131の第1の内面IP1への開口の中点と酸化剤ガス排出連通流路133のガス室用孔131の第2の内面IP2への開口の中点とを結ぶ方向)に直交し、かつ、Z軸方向に平行な少なくとも1つの断面である特定断面において、インターコネクタ150に形成された少なくとも1つの空気極側凸部152と空気極114との間にガス流路空間が存在し、該ガス流路空間が、該空気極側凸部152の一方側に隣り合う空気極側凹部156内の空間に連通している構成が採用されてもよい。このような構成によれば、空気室166に供給された酸化剤ガスOGを、空気室166における主たるガス流れ方向に対して略直交する方向に良好に拡散させることができ、その結果、発電性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では、インターコネクタ150の空気極114側の表面がコート136に覆われているとしているが、空気極114側の表面に代えて、または空気極114側の表面と共に、インターコネクタ150の燃料極116側の表面がコート(例えば、ニッケルコート)により覆われているとしてもよい。また、インターコネクタ150のいずれの表面もコートに覆われていないとしてもよい。また、上記実施形態では、燃料極側フレーム140に3つの燃料ガス供給連通流路142と3つの燃料ガス排出連通流路143とが形成されているが、燃料極側フレーム140に形成される燃料ガス供給連通流路142および燃料ガス排出連通流路143の数は2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより、ガス拡散性を向上させることによって性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本願発明は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。