JP2020112365A - ゴム・コード複合体の接着性能評価方法 - Google Patents

ゴム・コード複合体の接着性能評価方法 Download PDF

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康文 ▲桑▼内
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Abstract

【課題】接着性能の高精度な定量評価が可能な評価方法を提供する。【解決手段】ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法であって、前記ゴムと前記金属コードとを剥離させる剥離工程と、前記ゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する測定工程と、前記2次元元素分布の測定結果に基づいて接着性能を評価する評価工程とを含む接着性能評価方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法に関する。
タイヤ等の一部のゴム製品では、金属コードによる補強がなされている。ゴムと金属コードは、通常、ゴム中に配合された硫黄と、金属コードに施されたメッキ層中の金属とが加硫時に反応することで接着される。
ゴムと金属コードの接着性能の評価方法として、剥離抗力の測定や、評点付けが知られている。これらの中では評点付けが特に重要視されており、例えば、特許文献1では、加硫後のサンプルからスチールコードを引き抜き、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を目視観察で決定する、という評点付けが行われている。
特開2017−7427号公報
前記のとおり、評点付けは、ゴムと金属コードとを剥離させた後、金属コード側の剥離面を目視し、ゴムの付着量や金属コードの露出量を数値化する方法である。評点の判断は有資格者の目視観察でなされるため、ばらつきが大きく、精度の面で改善の余地があった。
本発明は、前記課題を解決し、接着性能の高精度な定量評価が可能な評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法であって、前記ゴムと前記金属コードとを剥離させる剥離工程と、前記ゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する測定工程と、前記2次元元素分布の測定結果に基づいて接着性能を評価する評価工程とを含む接着性能評価方法に関する。
前記金属コードの表面にメッキ層が形成されており、前記測定工程で、前記メッキ層を構成する元素の2次元元素分布を測定することが好ましい。
前記評価工程で、前記2次元元素分布の測定結果における前記メッキ層を構成する元素が占める面積に基づいて接着性能を評価することが好ましい。
前記測定工程で、エネルギー分散型X線分析及び/又は波長分散型X線分析を用いて2次元元素分布を測定することが好ましい。
本発明は、ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法であって、前記ゴムと前記金属コードとを剥離させる剥離工程と、前記ゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する測定工程と、前記2次元元素分布の測定結果に基づいて接着性能を評価する評価工程とを含む接着性能評価方法であるので、接着性能の高精度な定量評価が可能となる。
本発明は、ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法であって、前記ゴムと前記金属コードとを剥離させる剥離工程と、前記ゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する測定工程と、前記2次元元素分布の測定結果に基づいて接着性能を評価する評価工程とを含む接着性能評価方法である。
ゴム・コード複合体において、ゴムと金属コードとの接着界面近傍には、ゴム層、接着反応層(ゴム層由来の硫黄とメッキ層由来の金属との化合物(CuS、CuS等)が存在する層)、メッキ層、金属コード層といった複数の層が存在する。そして、接着性能が低い(接着力が弱い)場合、主に接着反応層で剥離が起こるため、剥離面において、接着反応層に含まれる元素の割合が多くなり、逆に、接着性能が高い(接着力が強い)場合、主にゴム層で剥離が起こり、接着反応層での剥離が起こりにくいため、剥離面において、接着反応層に含まれる元素が少なくなる。このような関係を利用して、本発明では、ゴムの剥離面における2次元元素分布の測定結果から、剥離面における元素の種類、量、分布等の情報を解析することで、接着性能の定量評価を高精度に実施することができる。
また、前述の従来の評価方法は、接着力の大小だけを評価するもので、どのような剥離が生じているか(剥離状態)を考察するための情報に乏しいという点でも改善の余地があったが、本発明では、剥離面における元素の種類、量、分布等の情報から、剥離状態を考察することが可能である。そのため、剥離のメカニズムの解明や、剥離のメカニズムに基づく接着性能の改善方法の開発に寄与することが期待できる。
ゴム・コード複合体は、例えば、未加硫のゴムで金属コード(ワイヤ)を被覆し、その後、加硫することで得られる。
ゴム・コード複合体において、ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム成分、硫黄、加硫促進剤等を含むゴム組成物を、金属コードとしては、スチールコード等を使用できる。金属コードは、表面にメッキ層が形成されていることが好ましく、該メッキ層は、銅メッキ層、黄銅(真鍮)メッキ層等の銅を含むメッキ層が好ましい。
以下、ゴム・コード複合体の接着性能評価方法を工程ごとに説明する。なお、本発明はこれに限定されず、下記以外の工程を更に含んでいてもよい。
(剥離工程)
この工程では、ゴム・コード複合体中のゴムと金属コードとを剥離させる。これにより、ゴム及び金属コードに剥離面が形成される。
剥離の方法としては、例えば、ASTM−D−1871−68に準拠して、ゴム・コード複合体から金属コードを引き抜く方法が挙げられる。
(測定工程)
この工程では、剥離工程で形成されたゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する。これにより、ゴムの剥離面に存在する元素の2次元マッピング画像が得られる。
測定する元素としては、例えば、メッキ層を構成する元素(以下、メッキ層元素ともいう)が挙げられる。メッキ層元素は、ゴムと金属コードとを接着させる際の加硫反応により、接着反応層内に多量に取り込まれる。そのため、メッキ層構成元素(金属元素)を測定することで、接着反応層での剥離の程度を容易に確認することができる。
なお、測定する元素は、メッキ層構成元素以外の元素であってもよい。例えば、前述のとおり、接着性能が高い場合、主にゴム層で剥離が起こるため、剥離面には、ゴム層を構成する元素(炭素等)が多量に存在することになる。そのため、ゴム層を構成する元素の測定結果からも、接着反応層での剥離の程度を確認することができる。
2次元元素分布の測定方法としては、例えば、エネルギー分散型X線分析(EDS、EDX)、波長分散型X線分析(WDS、WDX)が挙げられる。これらは、通常、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)に付属されており、電子顕微鏡像内の元素マッピングを行うことができる。
エネルギー分散型X線分析、波長分散型X線分析は、いずれも試料表面から放出される特性X線を検出する装置である。エネルギー分散型X線分析は、特性X線のエネルギーを測定するもので、エネルギー分解能は波長分散型X線分析より小さいものの、複数元素の同時測定が可能である。他方、波長分散型X線分析は、特性X線の波長を測定するもので、エネルギー分解能が高いが、複数元素の同時分析ができない。また、これらを併用することで、複数元素の同時測定を高精度に実施することも可能である。測定工程では、測定する元素の種類や数に合わせて、測定方法や条件(加速電圧、電流量、分析間隔等)を選択すればよい。
(評価工程)
この工程では、2次元元素分布の測定結果(元素の2次元マッピング画像)に基づいて接着性能を評価する。
例えば、測定工程でメッキ層構成元素を測定した場合であれば、元素の2次元マッピング画像におけるメッキ層構成元素が占める面積を算出する。この場合、メッキ層構成元素の面積が小さいほど、接着反応層での剥離の割合が少ない、すなわち、接着性能が高い、ということにある。そのため、元素の2次元マッピング画像におけるメッキ層構成元素が占める面積の大小を比較することで、接着性能の定量評価を高精度に実施することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<試料(a)の作製>
下記配合比に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を、80rpmで140℃に到達するまで混練した。得られた混練物に、オープンロールを用いて、硫黄及び加硫促進剤を練り込み、シート状の未加硫ゴム組成物を得た。
(配合比)
天然ゴム:RSS♯3(65質量部)
スチレンブタジエンゴム:JSR(株)製のSBR1502(35質量部)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN550(140質量部)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の不溶性硫黄(6質量部)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸(3質量部)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛(5質量部)
老化防止剤:川口化学(株)製のFR(1質量部)
加硫促進剤:大内新興化学(株)製のNS(1質量部)
レジン:住友ベークライト(株)製のタックレジン(6質量部)
再生ゴム:村岡ゴム(株)製の再生ゴム(70質量部)
次に、銅メッキ(Cu:91質量%、Sn:9質量%)が施されたスチールワイヤ(構成:単線、外形:1.55mm)を、12.5mm間隔で平行に並べた後、未加硫ゴム組成物で被覆した。
そして、150℃で30分間加硫し、ゴムと金属コードとを接着することで、ゴム・コード複合体(試料(a))を得た。
<試料(b)、(c)の作製>
製造ロットが異なるスチールコードを用いた点以外は試料(a)と同様の条件で、試料(b)、(c)を作製した。
<引き抜き抗力の測定>
ASTM−D−1871−68に準拠して、試料からスチールコードを引き抜いたときの引き抜き抗力(単位:N)を測定した。測定は、試料ごとに4回行い、上限値と下限値の平均を算出した。結果を表1に示す。
<目視観察による評点付け>
ASTM−D−1871−68に準拠して、試料からスチールコードを引き抜いた。そして、スチールコードの剥離面を目視で観察し、スチールコードが露出している部分の量(露出量)を5点満点で評点付けした。結果を表1に示す。点数が大きいほど、露出量が多いことを示す。
<2次元元素分布の測定>
ASTM−D−1871−68に準拠して、試料からスチールコードを引き抜き、ゴムとスチールコードとを剥離させ、剥離面を形成した。
次に、引き抜いたゴムをSEM−EDX(FEI社製のTeneo)にセットし、加速電圧:10kV、電流量:1.6nm、分析間隔:0.5μmの条件で、ゴムの剥離面における銅(Cu)、鉄(Fe)の2次元元素分布を測定した。同様の測定をスチールコードについても行い、2次元マッピング画像を得た。
そして、2次元マッピング画像において、銅、鉄が占める面積の割合(単位:%))を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2020112365
引き抜き抗力や露出量の結果から、(a)>(b)>(c)の順に接着性能が優れていると考えられる。そして、ゴム側の画像における銅の面積は、(a)<(b)<(c)の順に小さい。これらの結果から、接着性能と、ゴム側の画像における銅の面積とに相関性があること、そして、ゴム側の剥離面における銅(メッキ層を構成する元素)の面積を比較することで、接着性能を評価できることが分かる。
一方、ゴム側の剥離面における鉄の面積は、(a)、(b)、(c)で同一の値であり、接着性能との相関性は見られない。そのため、ゴム側の画像における鉄(金属コードを構成する元素)の面積を比較しても、接着性能を評価できないことが分かる。
また、金属コード側の画像における銅、鉄の面積は、いずれも(a)<(c)<(b)であり、接着性能との相関性は見られない。そのため、これらを比較しても、接着性能を評価できないことが分かる。

Claims (4)

  1. ゴムと金属コードとが接着されてなるゴム・コード複合体の接着性能評価方法であって、
    前記ゴムと前記金属コードとを剥離させる剥離工程と、
    前記ゴムの剥離面において、2次元元素分布を測定する測定工程と、
    前記2次元元素分布の測定結果に基づいて接着性能を評価する評価工程とを含む接着性能評価方法。
  2. 前記金属コードの表面にメッキ層が形成されており、
    前記測定工程で、前記メッキ層を構成する元素の2次元元素分布を測定する請求項1記載の接着性能評価方法。
  3. 前記評価工程で、前記2次元元素分布の測定結果における前記メッキ層を構成する元素が占める面積に基づいて接着性能を評価する請求項2記載の接着性能評価方法。
  4. 前記測定工程で、エネルギー分散型X線分析及び/又は波長分散型X線分析を用いて2次元元素分布を測定する請求項1〜3のいずれかに記載の接着性能評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113552064A (zh) * 2021-07-29 2021-10-26 赛轮(沈阳)轮胎有限公司 一种便于检测胶料中钴盐分散性的方法
CN114088618A (zh) * 2021-11-22 2022-02-25 三角轮胎股份有限公司 检测未硫化覆胶帘布压延覆胶质量的方法

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