JP2020110786A - 魚肉練製品製造用水素ナノバブル水 - Google Patents

魚肉練製品製造用水素ナノバブル水 Download PDF

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Abstract

【課題】pHの安定性や長期保存性を考慮した魚肉練製品製造用水素ナノバブル水を提供する。【解決手段】魚肉練製品の原料を製造する工程における水晒し工程及び魚肉練製品を製造する工程における漉き水工程にて使用する水素ナノバブル水であって、前記水素ナノバブル水は、水素イオン濃度がpH7.5〜8.9であり、並びに水素ナノバブルの平均粒径が80〜220nmである。【選択図】なし

Description

本発明は、魚肉練製品を製造する過程において使用する、魚肉練製品製造用水素ナノバブル水に関する。
直径が50μm以下の気泡(マイクロバブル)を圧壊することにより発生させた直径が500nm以下の気泡(このような気泡を「ウルトラファインバブル」と称することもあるが、本明細書では「ナノバブル」に統一して記す。)は、オゾン、酸素、窒素、二酸化炭素、水素などの気体をその気泡内に内在させることが可能であり、殺菌・消毒や器具洗浄等といった様々な分野で使用されている。更には、そのような分野だけではなく、ナノバブルに内在させる気体によっては、近年では植物や細胞の成長促進若しくは抑制などの効果を示すことが知られており、あらゆる分野で研究が進んでいる。
例えば、特許第5676051号公報(特許文献1)には、水素を内在させたナノバブル、即ち水素ナノバブルを含む電解水生成装置等が開示されている。特許文献1においては、前記装置で発生させた水素ナノバブル含有電解水が、食品の殺菌、油汚れに係る洗浄(洗濯)、ワイン等に起因する色素沈着に係る漂白効果を示すということを実施例として開示している。
また、上記に述べたようなナノバブルの知見を基に、本願発明者らは、酸素又はオゾンを内在させたナノバブル、即ち酸素ナノバブル又はオゾンナノバブルを含む水を使用した、無菌魚肉練製品(かまぼこ等)の製造方法について、それぞれ特許第4044583号公報(特許文献2)、特開2007−097521号公報(特許文献3)に開示している。特許文献2に係る技術は、酸素ナノバブルに対し、超音波照射、マイクロ波照射、又は魚肉練製品加工時における擂潰若しくは加熱といった刺激(物理的刺激)を与えることにより発生させた活性酸素種やフリーラジカル種等が、魚肉の殺菌に寄与することにより、殺菌されただけでなく一定期間無菌状態(食品衛生法等で定められた基準値以下の状態も含む)になった魚肉練製品の製造方法を開示している。特許文献3に係る技術もまた、オゾンナノバブルに対し、特許文献2同様に物理的刺激を与えることにより発生させた活性酸素種やフリーラジカル種等が、魚肉の殺菌に寄与することにより、殺菌されただけでなく一定期間無菌状態になった魚肉練製品の製造方法を開示している。更に、特許文献3には、冷凍状態の魚肉練製品の原料(冷凍すり身)を、オゾンナノバブル含有水を用いて解凍する方法も開示されている。
ところで、かまぼこ等の魚肉練製品の製造は、店舗や工場で製造する場合、魚を捌いてすり身やミンチといった魚肉練製品原料を製造する段階と、そのすり身を所望の魚肉練製品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)に加工する段階といった、大まかに分けて2段階に分けられることが一般的に知られている。ここで、すり身やミンチといった魚肉練製品原料を製造するまでの段階では、捌いた魚に付着する血液等の汚れを除去するための水晒しといった工程がある。またすり身から所望の魚肉練製品を加工する段階においては、余分な水溶性タンパク質の除去や魚肉練製品の独特の食感を持たせるための水伸ばしといった工程(漉き水工程)がある。言い換えると、魚肉練製品の製造には、水が重要な鍵となると言っても過言ではない。
水晒しの工程においては、主に硬水が用いられ、水伸ばしの工程では水道水、純水、超純水が使用されるのが一般的である。水晒しの工程はともかく、水伸ばしの工程では、水や調味料の他、増粘剤、弾力剤等といった添加剤を添加することが既に知られている。また、水伸ばしの工程においては、少量(基準値以下)ではあるが、水素イオン濃度(pH)調整剤、酸化防止剤なども添加する。ここで、水晒し又は水伸ばしのいずれかにおいては、魚肉の余分な脂肪の除去も考慮しなくてはならない。このような脂肪の除去に関して、水素ナノバブル水を用いる技術が特開2015−127301号公報(特許文献4)に開示されている。特許文献4においては、主にヒトの内臓脂肪低減及び脂質合成抑制を目的としているが、水産加工品原料の魚肉の余分な脂肪除去にも使用可能な旨が記載されている(特許文献4段落[0026]参照)。
特許第5676051号公報 特許第4044583号公報 特開2007−097521号公報 特開2015−127301号公報 特許第6431954号公報
上述のことを鑑みると、魚肉練製品を製造する場合、製造加工の際の水の吟味もさることながら、殺菌・無菌化及び長期保存、ひいては成型後の魚肉練製品の外観(美観)や食感を考慮しなくてはならない。また、添加剤もなるべく用いない、所謂フリーの状態を考慮しなくてはならない。
しかしながら、特許文献1は、上述のように、殺菌や洗浄が主な目的であり、魚肉練製品の食感を司る弾力性の考慮や長期保存といったことは開示や示唆する記載がない。また、特許文献2及び3は、主に魚肉練製品の殺菌・無菌化を目的にしたものであり、魚肉練製品の食感を司る弾力性の考慮や美観を目的としたものではない。
また、特許文献4においては、上述のように水産加工品原料の魚肉の余分な脂肪除去にも使用可能な旨が記載されているが、弾力性を司る魚肉の筋肉(タンパク質)部分に作用するか否かが不明である。
そこで、上述したような実情に鑑み、添加剤フリー、長期保存性、美観、食感の程よい弾力性を有し、なお且つ魚肉の質が均一化された魚肉練製品の製造方法について、本願発明者は、水素ナノバブル水を使用した魚肉練製品の製造方法を特許第6431954号公報(特許文献5)として開示している。特許文献5に記載の製造方法は、水素ナノバブル水を、魚肉練製品製造における水晒し工程及び漉き水工程の双方で使用することにより、添加剤フリー、長期保存性、美観、食感の程よい弾力性を有し、なお且つ魚肉の質が均一化された魚肉練製品を得るものである。
しかしながら、特許文献5において、当該工程に使用する際、水素ナノバブル水は、例えば特許第4166449号公報に記載の方法で製造した際、直ちに使用できるように水素ナノバブル水製造装置を魚肉練製品の製造ラインに組み込む或いはその製造ラインですぐ使用できるようタンク(容器)を横付けしておく等といったことが必要であること、また水素ナノバブル水のpH(水素イオン濃度)が逐一pH7.5〜8.9であるかをチェックしなくてはならないため、結局pHの安定性や保存性を考慮した場合は、pH調整剤や安定剤に依存しなくてはならなかった。
以上述べたことを鑑み、本発明は、pHの安定性や長期保存性を考慮した魚肉練製品製造用水素ナノバブル水を提供することにある。
本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水の目的は、魚肉練製品の原料を製造する工程における水晒し工程及び魚肉練製品を製造する工程における漉き水工程にて使用する水素ナノバブル水であって、前記水素ナノバブル水は、水素イオン濃度がpH7.5〜8.9であり、並びに水素ナノバブルの平均粒径が80〜220nmであることを特徴とすることで、効果的に達成される。
本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水はまた、前記魚肉練製品の原料は、すり身であることにより、或いは前記水素ナノバブルのモード径が90〜150nmであることにより、或いは前記水素ナノバブルの粒子濃度が1.50×10〜4.50×10個/mLであることにより、或いは前記水素ナノバブル水は、電気伝導度が100〜300μS/cmとなるように、鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが添加されることにより、或いは前記魚肉練製品は、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、伊達巻、つみれ、さつま揚げ、笹かまぼこ又はなるとのいずれかから選択されることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水によれば、水素ナノバブル水を使用することにより、すり身を製造する前段階での水晒しだけでなく、すり身から成型品(魚肉練製品)加工時の水伸ばし(漉き水)工程にて、種々の添加剤(例えば、ソルビン酸等の合成保存料)の必要がなく、魚肉の弾力や美感(美観)を損なわずになお且つ魚肉の質が均一化された魚肉練製品の製造が可能となった。また、添加剤が必要ないので、種々の添加剤(特にソルビン酸等の合成保存料)によるアレルギー対策等の食の安心及び安全への寄与が期待される。また、魚肉練製品の長期保存が可能になった。
また、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水によれば、水素ナノバブル水の長期保存が可能になったため、魚肉練製品加工工場での使用のみならず、料理店や家庭のような小規模スケールでの使用が可能になった。
本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水を製造するための装置の概略図である。 一般的なナノバブルの安定化メカニズムを示す図である。 魚肉練製品の原料(すり身)の一般的な製造方法を示すフローチャートである。 本発明に係る水素ナノバブル水を使用した魚肉練製品の製造方法を示すフローチャートである。 本実施例で使用(製造)した、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水の粒度分布を示す図である。 本実施例で使用した各試験片の美観を示す画像である。
以下、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水について詳細に説明する。
水中に水素ナノバブルを発生させて、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水を得る方法については、例えば特許文献3に記載の方法や装置、特許第4802154号公報に開示されている装置、及び/又は特許第4166449号公報に記載されているナノバブルの製造方法等といった、公知技術を用いて製造すればよい。
図1は本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水を製造するための装置の概略図である。マイクロバブル発生装置2、取水口31およびマイクロバブル含有水溶液排出口32で水素マイクロバブルを製造し、水素マイクロバブルを容器1内へ送る。容器1には容器1内のマイクロバブルが含まれる水溶液を部分循環させるための循環ポンプ4が接続されており、循環ポンプ4が設置されている配管(循環配管)内には多数の孔を持つオリフィス(多孔板)5が接続され、容器1と連結している。容器1内のマイクロバブルが含まれる水溶液は循環ポンプ4により循環配管内を流動させられ、オリフィス(多孔板)5を通過することで圧縮、膨張および渦流を生じ、水素ナノバブルが発生するという仕組みである。
まず、純水の入った容器1内にマイクロバブル発生装置2を用いて水素マイクロバブルを発生させる。なお、マイクロバブル発生装置2には、容器1とは別の容器内で水の電気分解により発生させた水素ガスを捕集できるような捕集口(図示せず)が設けられている。
次に、この水素マイクロバブルが含まれる水溶液を部分循環させるため、循環ポンプ4を作動させる。この循環ポンプ4により水素マイクロバブルが含まれる水溶液が押し出され、オリフィス(多孔板)5を通過前及び通過後の配管内で圧縮、膨張及び渦流が発生する。通過時の水素マイクロバブルの圧縮や膨張により、および配管内で発生した渦流により電荷を持った水素マイクロバブルが渦電流を発生させることにより水素マイクロバブルは急激に縮小され水素ナノバブルとして安定化する。なお、循環ポンプ4とオリフィス(多孔板)5の流路における順序は逆でもよい。
オリフィス(多孔板)5は図1では単一であるが、複数設置してもよく、循環ポンプ4は必要に応じて省略してもよい。その場合、マイクロバブル発生装置2の水溶液に対する駆動力や高低差による水溶液の流動などを利用することも可能である。
上記に述べたような手順で水素ナノバブル水を製造したが、先に述べたように、水素ナノバブル水自体は、後述する電解質イオン(無機質イオン)の添加以外、他の公知技術で製造可能である。
ちなみに、水素ナノバブル水の水素イオン濃度(pH)は、pH7.5〜8.9あたりが望ましい。pHが7.5〜8.9であると、魚肉のタンパク質に馴染み、なお且つ長期保存が可能である。pHが7.5〜8.9の範囲外であると、魚肉の劣化を引き起こしたり、或いは酸化防止剤、保存剤等の添加物の添加を考慮しなくてはならない。なお、水素ナノバブルのゼータ電位であるが、−100〜100mVの間であればよい。
また、使用する水、即ち水素ナノバブルを発生させるための水については、細菌やウィルスが殺菌されていれば、超純水、純水、蒸留水、水道水、湧水等は問わない。そして、水素ナノバブル水のpHの調整については、必要であれば適宜市販のpH調整剤(例えばクエン酸ナトリウム等といった弱塩基性のナトリウム塩)を使用すれば良い。しかしながら、pH調整剤を添加しなくても、水素ナノバブル水のpHは、7.5〜8.9の範囲で保持される。ちなみに水素ナノバブル水のpHが7.5〜8.9の場合、その際の還元電位は、−800mV〜−300mVである。
また、魚肉練製品製造用水素ナノバブル水の平均粒子径については80〜220nm、モード径(最頻値の粒子径)については90〜150nm、粒子濃度については、1.50×10〜4.50×10個/mLがそれぞれ好ましい。
先ず、平均粒子径、モード径、及び/又は粒子濃度がこの数値限定範囲未満であると、殺菌、弾力性、美観(身の白さ)の保持ができず、従来のような硬水や水道水を用いて魚肉練製品を製造するのと変わらなくなる。また、平均粒子径、モード径、及び/又は粒子濃度がこの数値限定範囲よりも大きい場合も同様である。
そして、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水においては、鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが重要なカギとなる。これらのイオンについては、水素ナノバブル水中のナノバブルは気泡径が100nm以下の大きさを持ち、極めて長期に亘って水素ナノバブル水中に存在することができる。その存在メカニズムを図2に示す。通常の微小な気泡の場合には、小さなものほど内部の気体の溶解効率が高く、存在が不安定となり瞬時に消滅する。ナノバブルの場合、気液界面に極めて高濃度の電荷が濃縮しているため、気泡(球体)の縮小時に気液界面における電荷間に働く静電気的な反発力(例えば気液界面に吸着した水素イオンや水酸化物イオンによる)により球体(気泡)が収縮することを妨げている。
また、濃縮した高電場の作用により鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの電解質イオンを主体とした無機質の殻を気泡周囲に形成し、これが内部の気体の散逸を防止している。この殻は界面活性剤や有機物の殻とは異なるため、細菌などの他の物質とナノバブルが接触した時に生じる気泡周囲の電荷の逸脱により、殻自体が簡単に崩壊する傾向を持っている。殻が崩壊したときには内部に含まれる水素は簡単に水溶液中に放出される。なお、該殻は、細菌等の他の物質と水素ナノバブルが接触しない限りは、水素ナノバブルは、約1か月ははじけずに済む。
微小気泡(マイクロバブル)の物理的性質として、水溶液中での微小気泡は水溶液のpHに依存して表面電位を持っている。これは気液界面における水の水素結合ネットワークが、その構成因子として水素イオンや水酸化物イオンをより多く必要とするためである。また、気液界面における水素イオンと水酸化物イオンは量的なバランスが取れておらず、結果的に界面を帯電させている。なお、この現象は気液界面に特有なものであるため、表面電位としては気泡径に関係なく一定の値である。また、表面での帯電により静電気力が作用するため、反対符号の電荷を持つイオン類が対イオンとして気液界面近傍に引き寄せている。その結果として電気二重層を形成して電気的に安定化している。
微小気泡(マイクロバブル)の帯電は気液界面の特性であるため、平衡を保った条件では気泡径による電位の違いは認められない。しかし、この微小気泡を短時間のうちに縮小させた場合には、電荷の濃縮が起こる。この縮小速度をさらに速めて、なおかつ気泡径をさらに小さくした場合には単位面積当たりの電荷量は気泡径の二乗に逆比例して増加する。
微小気泡は気液界面に取り囲まれた存在であるため、表面張力の影響を受けて微小気泡の内部は自己加圧されている。環境圧に対する微小気泡内部の圧力上昇は理論的にYoung−Laplaceの式:ΔP=4σ/Dにより推測される。ここでΔPは圧力上昇の程度であり、σは表面張力、Dは気泡直径(粒径)である。室温での蒸留水の場合、直径10μmの微小気泡では約0.3気圧、直径1μmでは、約3気圧の圧力上昇となる。自己加圧された微小気泡内部の気体はヘンリーの法則に従って水に溶解する。すなわち圧力の増加により気泡内部の気体はより溶けやすくなるため、気泡径の縮小速度は加速される。この結果、直径が1μm以下の気泡はほぼ瞬時に完全溶解される。すなわち一般的な物理常識から考えるならばナノレベルの気泡とは極めて瞬間的な存在にすぎない。
これに対して、本発明に係る水素ナノバブル水の製造においては、直径(粒径)が10μm〜50μmの水素微小気泡を物理的な刺激によって強制的かつ急速に縮小させる。その場合に、気液界面に局在する水素イオンや水酸化物イオンの存在バランスの不均衡により気液界面は帯電しているため、微小気泡の気泡径が小さくなると球の反対面との距離が縮小し電荷による静電気的な反発力が作用し始める。この効果は気泡の縮小を阻害する要因として作用する。また、水溶液中に電気伝導度が100μS/cm以上(<300μS/cm)になるように鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの電解質イオンを含む場合には、気泡の縮小に伴って電気二重層の外側に位置するこれらの対イオン群の濃度が急激に増加する。その結果、salting−outという効果が作用して水溶液中への気体の溶解を著しく制限する。気泡は内部の気体を周囲の水溶液中に溶解させることによって縮小されるが、気液界面近傍の水溶液中の電解質イオン濃度が急激に増加することにより気体の溶解を阻止する殻として作用するため、結果的に気泡の縮小を抑制し、極めて微小な気泡として安定化することになる。安定化したときの気泡径は電解質イオンの濃度や種類により多少は異なるが通常は200nm以下の大きさである。この安定化したナノサイズの気泡をナノバブルと呼ぶことにする。
ナノバブルの特徴は、気体を内部に加圧された状態で維持しているのみでなく、濃縮した表面電荷により極めて強い電場を形成していることである。これらは一種のエネルギー源として蓄えられたものであり、生物に与える様々な効果や化学的な反応性など、ナノバブルの特性の根源の一つとなっている。
以上のように製造した本発明に係る水素ナノバブル水は、ポリタンクなどの容器に予め貯留しておき、魚肉練製品の製造時に随時使用する。
次に、本発明で言う「魚肉練製品」とは、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、伊達巻、つみれ、さつま揚げ、笹かまぼこ、なると等をいう。また、「魚肉練製品の原料」といった場合は、特に言及のない場合、魚のすり身(若しくはミンチ)を指す。なお、該すり身は冷凍のものであるか否かは問わない。更にすり身を成す魚(原魚)には、キチジ(キンキ)、スケトウダラ、マダラ、グチ、鯛、サメ等の白身魚や、その他「魚肉練り製品における魚肉の原材料名に関する業界自主ガイドライン」社団法人日本缶詰協会及び全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会共著(平成22年8月)に開示されている魚類の使用が可能である。
ここで、魚肉練製品の原料の一般的な製造方法について、図3に示すフローチャートを基に説明する。なお、ここでは魚肉練製品の原料としてはすり身の例を説明する。
先ず、キチジ(キンキ)、スケトウダラ、マダラ、グチ、鯛、サメ等といった原魚を選別する(ステップS100)。ステップS100の工程は、一般的には受け入れ工程と称される。なお、受け入れ工程(ステップS100)については、本発明も従来と同じように公知技術で構わない。
次にステップS100にて受け入れ(選別)された原魚を洗浄する(ステップS101)。ステップS101の工程は、一般的には洗い工程と称される。この洗い工程(ステップS101)は、主に水洗いであり、原魚のぬめりや汚れを取る目的で行う。ちなみにこの洗い工程は、詳細には一次洗浄、二次洗浄、三次洗浄と別れているが、特に規定はなく、単に回数を分けて洗うものである。また、洗浄方法については、水(水道水等)や海水を原魚に合わせて用いる以外は、特に限定や規定はなく、本発明においても従来技術で可能である。洗い工程の後、水切りを行う(ステップS102)。この水切りについても、従来技術で良い。
水切り(ステップS102)の後、原魚を捌いて、頭、内臓、中骨を取り除き、身(魚肉)を取り出す(ステップS103)。ステップS103の工程は、一般的に肉取り工程若しくは魚肉採取工程等と称される。ステップS103の工程においては、機械或いは職人の手作業と魚肉練製品製造のスケールによって適宜選択可能であり、本発明においては任意の公知技術が採用され得る。
ステップS103にて採取した身(魚肉)を、水に晒す(ステップS104)。ステップS104の工程は、一般的に水晒し工程と称される。この水晒し工程は、採取した身を水に晒すことにより、余分な脂肪や血液を取り除く目的で行う工程である。従来、この水晒し工程においては、硬水や硬度が比較的高い水道水を使用する。ここで、本発明では、この水晒し工程において、硬水や硬度が比較的高い水道水の代わりに、予め製造且つpHコントロールが成された水素ナノバブル水を用いる。このステップS104の工程で水素ナノバブル水を用いる理由としては、従来のように余分な脂肪や血液を取り除くだけでなく、殺菌・無菌化及び長期保存、成型後の魚肉練製品の外観の保持、並びに魚肉の質の均一化を目的としている。ここで言う魚肉の質の均一化とは、水素イオン濃度がコントロールされた水素ナノバブル水を使用することにより、ステップS103までの状態では魚肉原料(原魚)にバラツキ(例えば新鮮同然なものもあれば腐りかけ寸前等といった)があったものが、ステップS104の工程で質(弾力性や色等)が魚肉原料(身)の至る所を全て均一の質になるということである。ちなみに、本発明で用いる水素ナノバブル水については、上述の通り、水素イオン濃度がpH7.5〜8.9で、還元電位は、−800mV〜−300mVが望ましい。ここで、本発明において「殺菌・無菌化(状態)」という記載については、(菌類が)測定限界若しくは食品衛生法で規定される基準値以下の状態を含むということを申し添える。なお、この水晒し工程において、水素ナノバブルの添加量は、特に限定はなく、適時変化させることができる。
ステップS104の工程、即ち水晒し工程の後、身を回転ふるいにかけて予備的に脱水(ステップS105)し、更に圧縮圧力により身を脱水する(ステップS106)。ちなみに、回転ふるいの種類や方法については特に限定はなく、従来技術で可能である。ここで、ステップS106において、圧縮圧力により身を脱水する理由としては、水素ナノバブル水中の水素ナノバブルが圧壊されるからである。水素ナノバブルの圧壊により、水素イオンや水素ラジカルが発生してそれらが身(魚肉)に浸透し、殺菌・無菌化及び長期保存、ひいては成型後の魚肉練製品の外観の保持の要因となる。仮に、ステップS106の段階で、水素ナノバブルが全部圧壊されたとしても、後述するステップS2(図2参照)にてもう1回添加するので、殺菌・無菌化及び長期保存、ひいては成型後の魚肉練製品の外観の保持が可能である。
ステップS106の後、脱水した身を裏ごしする(ステップS107)。このステップS107については、魚肉についている余分な皮や鱗を取り除くためで、本発明においては従来技術で対応可能である。更にステップS107の後、ミキサなどで裏ごしした身を撹拌し(ステップS108)、適当な保存容器に身を充填(ステップS109)後、冷凍凍結して、保管する(ステップS110)。なお、撹拌(ステップS108)、充填(ステップS109)、並びに冷凍凍結及び保管(ステップS110)については、従来技術で可能である。
次に魚肉練製品の原料から魚肉練製品それ自体の製造について、図4に示すフローチャートを基に説明する。なお、魚肉練製品の原料としてはすり身の例を説明する。
先ず、図3に示すような流れで、予め魚からすり身を製造しておく(ステップS200)。
次に、すり身に塩(食塩)、調味料及び/又はつなぎを加えて、該すり身を擂潰する(ステップS201)。この擂潰工程は、本発明も従来技術もそう変わりはなく、氷を加えながら魚肉(すり身)だけを擂る粗擂り工程(ステップS2011)、魚肉に対し凡そ2〜3重量%の食塩を加えて魚肉(すり身)を擂る塩擂り工程(ステップS2012)、並びに砂糖、みりん等の調味料や澱粉、卵白といったつなぎを加えて擂る本擂り工程(ステップS2013)から成る。なお、調味料やつなぎ以外の添加物、即ち増粘剤、弾力剤、水素イオン濃度(pH)調整剤、酸化防止剤といったものを添加する場合は、ステップS2013の工程若しくは後述するステップS202にて添加する。無論、このような添加物を添加しなくても本発明は成立する。
また、ステップS201の擂潰工程において、擂潰時の速度は10〜20cm/sが好ましく、擂潰時間は20〜60分が好ましい。このような速度及び時間の範囲にする理由としては、後述するステップS202において、ステップS201と同時に水(水素ナノバブル水)を添加した場合、水素ナノバブルが全量ではなく、その一部が圧壊されるからである。そのようにして長期保存が効く魚肉練製品を成す。無論、後述するステップS202において、ステップS201の後に水(水素ナノバブル水)を添加した場合は、擂潰速度及び擂潰時間にはあまり依存しない。
次に、ステップS201の擂潰工程の後又は同時に、魚肉(すり身)に対し、水を添加する(ステップS202)。従来、この工程は、魚肉を水で引き締め且つ弾力を出すための目的で行われるものであり、水伸ばし若しくは漉き水工程とも称されているものである。先行技術においては、この工程で用いる水は、純水や超純水を使用する。しかしながら、先述したように、増粘剤、弾力剤、水素イオン濃度(pH)調整剤、酸化防止剤といった添加剤を少量用いなくてはならない。そこで、本発明では、このステップS2の漉き水工程においても、水素ナノバブル水を使用する。
水素ナノバブル水について、pHが7.5〜8.9(その還元電位は、−800mV〜−300mVである。)であることが望ましいことは、先述の通りである。更に、そのpHについて付言すると、pHが7.5〜8.9の範囲内であれば、弾力や美観が保たれ、並びに無菌状態(測定限界若しくは食品衛生法で規定される基準値以下の状態を含む)かつ長期保存が可能である。pHが7.5〜8.9の範囲外であると、無菌状態にはなっても長期保存が難しくなり、なお且つ製品としての魚肉練製品の弾力や美観が損なわれる。そして、ステップS202における、水素ナノバブル水の添加量であるが、製造工程により適時変化可能であるが、魚肉(すり身)に対し凡そ10倍量以上が望ましい。また、ステップS2における、水素ナノバブル水に対する魚肉(すり身)の浸漬時間については、特に限定はない。
なお、水素ナノバブル水の添加方法であるが、上述したように水素ナノバブル水を予め製造しておき、且つタンクなどの容器に貯留しておけば、その容器から注いだり、噴霧器を介して噴霧したりとその添加方法には特に限定はなく適宜選択可能である。また、pH調整については、先述の水晒し工程(ステップS104)同様に、水素ナノバブル水の添加前に、pHコントローラで、pHが7.5〜8.9(その還元電位は、−800mV〜−300mVである)内であることを適宜確認する。なお、pH調整について、必要があれば、適宜市販のpH調整剤(例えばクエン酸ナトリウム等といった弱塩基性のナトリウム塩)を使用すれば良いが、これらのpH調整剤を添加しなくても、水素ナノバブル水のpHは、7.5〜8.9に保持される。言い換えると、pH調整剤を添加しなくても、本発明は十分に成立する。
次に、ステップS202の漉き水工程において、使用した水素ナノバブル水を除去し、所望の魚肉練製品の形状に成型する(ステップS203)。なお、この工程は、公知技術を使用すればよい。
ステップS203にて成形した魚肉練製品を、所定温度及び時間で放置する(ステップS204)。この工程は、一般的に座り(坐り)工程といい、ステップS202において、弾力を加えた魚肉練製品原料(すり身)に対し、更に弾力を与える目的で行う工程である。ステップS204においては、製造の季節や目的とする魚肉練製品によって、温度(気温)や時間設定は異なるが、気温が例えば10〜20℃であれば、18〜24時間放置し、気温が30〜40℃であれば、60〜90分放置する。なお、これらの温度及び時間に関し、下限未満であると、魚肉内のタンパク質が網状組織を形成せず、上限よりも高い温度且つ長い時間であると、さほど弾力に差が出ないか、或いは場合によっては、タンパク質の網状組織が徐々に分解する可能性がある。
ステップS204の後、魚肉練製品を加熱する(ステップS205)。ここで言う加熱とは、例えば魚肉練製品がかに風味かまぼこであれば蒸し、ちくわ、笹かまぼこ、焼きかまぼこ、伊達巻等であれば焼き若しくは蒸し焼き、はんぺんやつみれであれば茹でる、さつま揚げならば揚げるといった作業である。この工程においては、適宜公知技術を使用すればよい。
ステップS205の後、魚肉練製品を冷却及び包装をする(ステップS206)。なお、冷却に関しては、魚肉練製品を10℃以下(0℃以上)に冷却できれば様々な手段が可能である。包装に関しては、適宜公知技術を使用すればよい。
図3及び4に示すフローチャートの流れに沿って製造された、水素ナノバブル水を使用した魚肉練製品であるが、本発明における水素ナノバブル(水)は、水素イオン濃度がpH7.5〜8.9と弱塩基性領域のため還元性が高く、なお且つナノバブルに水素を内在させているので水素自体の浸透性が高くなり、それらのために長期保存が可能になる。また、例えば特許文献2及び3(共に本願発明者が関連している。)に挙げた、酸素若しくはオゾンナノバブル水を併用することも可能である。
以上、本発明に係る魚肉練製品製造用水素ナノバブル水について、実施形態を説明したが、特許請求の範囲、明細書又は図面等に記載の事項を逸脱しなければ、種々の態様を採ることが可能であることは言うまでもない。
上記実施形態について、更に実施例を述べて説明する。なお、次に述べる実施例等については、あくまで一例であり、上記実施形態同様に特許請求の範囲、明細書又は図面等に記載の事項を逸脱しなければ、様々な実施例を採ることが可能である。また、説明に応じて、図1、図3及び4のフローチャートを交えながら説明する。
[実施例1]水素ナノバブル水の製造
水素ナノバブル水の製造は、特許第4166449号公報に記載の方法をベースに行った。
主に図1に記載の装置を用いて製造した。マイクロバブル発生装置2、取水口31およびマイクロバブル含有水溶液排出口32で水素マイクロバブルを製造し、水素マイクロバブルを容器1内へ送る。容器1には容器1内のマイクロバブルが含まれる水溶液を部分循環させるための循環ポンプ4が接続されており、循環ポンプ4が設置されている配管(循環配管)内には多数の孔を持つオリフィス(多孔板)5が接続され、容器1と連結している。容器1内のマイクロバブルが含まれる水溶液は循環ポンプ4により循環配管内を流動させられ、オリフィス(多孔板)5を通過することで圧縮、膨張および渦流を生じ、水素ナノバブルが発生するという仕組みである。
まず、純水の入った容器1内にマイクロバブル発生装置2を用いて水素マイクロバブルを発生させる。なお、マイクロバブル発生装置2には、容器1とは別の容器内で水の電気分解により発生させた水素ガスを捕集できるような捕集口(図示せず)が設けられている。
次に、この水素マイクロバブルが含まれる水溶液を部分循環させるため、循環ポンプ4を作動させる。この循環ポンプ4により水素マイクロバブルが含まれる水溶液が押し出され、オリフィス(多孔板)5を通過前及び通過後の配管内で圧縮、膨張及び渦流が発生する。通過時の水素マイクロバブルの圧縮や膨張により、および配管内で発生した渦流により電荷を持った水素マイクロバブルが渦電流を発生させることにより水素マイクロバブルは急激に縮小され水素ナノバブルとして安定化する。なお、循環ポンプ4とオリフィス(多孔板)5の流路における順序は逆でもよい。
オリフィス(多孔板)5は図1では単一であるが、複数設置してもよく、循環ポンプ4は必要に応じて省略してもよい。その場合、マイクロバブル発生装置2の水溶液に対する駆動力や高低差による水溶液の流動などを利用することも可能である。
上記に述べたような手順で水素ナノバブル水を製造した。そして、なお、本実施例1で使用した水素ナノバブル水発生装置は、図1の態様に限ったものではない。
そして、本実施例1で製造した水素ナノバブル水について、日本カンタム・デザイン株式会社製NanoSight LM10V−HSを用いて、水素ナノバブルの平均粒子径、モード径(粒子径の最頻値)、及び粒子濃度を測定したところ、平均粒子径=138.0±8.2(nm)、モード径114.0±3.2(nm)、粒子濃度=1.39×10±3.50×10(粒子数(個)/mL)であった。なお、pH(水素イオン濃度)は、8.6〜8.8であった。図5として、縦軸を粒子濃度(粒子数×10/mL)、横軸を粒子径(nm)とした、粒度分布図を示す。
[実施例2]魚肉練製品の製造
次に、魚肉練製品(笹かまぼこ)について、「対象片1」、「対象片2」、「試験片1」、「試験片2」、「試験片3」及び「試験片4」の計6種類を図3及び図4のフローチャートに従い製造した。ちなみに、図4のフローチャートにおけるステップS205の加熱工程については、笹かまぼこ作成時の方法(従来技術)に従った。ここで言う対象片1、対象片2とは、従来技術で製造した魚肉練製品であって、本発明の製造方法で製造した試験片1、試験片2、試験片3及び試験片4の比較対象(比較例)のためのものである。なお、%については、特に言及のない場合は全て重量%とする。
先ず、対象片1、対象片2、試験片1、試験片2、試験片3及び試験片4の共通事項として、原材料の魚をキチジ(キンキ)、とし、粘着剤として食塩、つなぎとして卵白を用いた。なお、食塩に関しては、すり身状のキチジの重量に対し、2重量%とした。
次に、対象片1、対象片2においては、図3に記載の水晒し工程(ステップS104)及び図4に記載の漉き水工程(ステップS202)の双方において水素ナノバブル水を使用せず、通常の水を使用した。また、対象片2については、合成保存料としてソルビン酸(笹かまぼこ1枚当たり0.15%程度)を用いたが、対象片1については、ソルビン酸を含む添加剤は何も用いていない。また、対象片2については、ソルビン酸以外の添加剤は使用していない。なお、対象片1については、製造後に水素イオン濃度を測定したところ、pH=7.0であり、同様に対象片2の水素イオン濃度を測定したところ、pH=7.0であった。
一方、試験片1、試験片2、試験片3及び試験片4においては、図3に記載の水晒し工程(ステップS104)及び図4に記載の漉き水工程(ステップS202)の双方において水素ナノバブル水を使用した。ちなみに、試験片1乃至4のいずれも、原料のキチジの40%の水素ナノバブル水を、該水晒し及び漉き水工程に使用した。また、試験片1において使用した水素ナノバブル水をpHコントローラで測定したところ、還元電位が−400mV(pH=7.8相当)であり、試験片2において使用した水素ナノバブル水をpHコントローラで測定したところ、pH=8.6であった。更にまた、試験片3において使用した水素ナノバブル水をpHコントローラで測定したところ、還元電位がpH=8.6であり、試験片4において使用した水素ナノバブル水をpHコントローラで測定したところ、還元電位が−400mV(pH=7.8相当)であった。なお、試験片1、試験片2、試験片3及び試験片4はいずれも、ソルビン酸等の保存料や添加剤は不使用である。
[実施例3]魚肉練製品6種類の日持ち検査結果
上記実施例2で製造した対象片1、対象片2、試験片1、試験片2、試験片3及び試験片4」の計6種類の試験片につき、一定温度で保管した場合の日持ち検査、即ち保存日数毎に一般細菌数を測定した。各試験片につき10℃で保管した場合については表1に、18℃で保管した場合については表3として次に示す。
表1に示すように、10℃で保管した場合、6つに各試験片共に保管初日及び保管3日目までは、菌数は測定できない、即ち検出されなかった。そして、対象片1の生菌数については、5日目に30個、7日目には約2万8千個、そして10日目には10万個以上となり、11日目以降は、測定しなかった。次に、対象片2、試験片1乃至4については、初日から20日目まで殆ど菌を検出しなかった。最も、試験片1及び4は、11日目に菌数が測定されたが、いずれも5個(cfu/g)と食品衛生法で規定される基準値以下であった。
一方、表2に示すように、18℃で保管した場合、対象片1は3日目から、対象片2では4日目から生菌(細菌)の検出が見られたのに対し、試験片1乃至4では1〜4日目までは生菌の検出が見られず、試験片1、2、4においては5日目から8日目まで生菌の検出が見られたものの、再度9日目以降は生菌の検出が見られなかった。
少なくとも以上の結果から、ソルビン酸のような保存料を添加するよりも、水素ナノバブル水を使用したほうが、菌数が増えにくい、即ち長期保存に向いていることが示唆される。そして、以上の結果から、水素ナノバブル水を使用すれば、添加剤フリーで長期保存のきく魚肉練製品の製造が可能になるものと思われる。
[実施例4]魚肉練製品4種類の色調比較
次に、上記実施例2で製造した対象片2、試験片2、試験片3及び試験片4の計4種類の試験片につき、色調比較を行った。その結果を表3に記す。なお、色差計として、色彩色差計CR−200b (ミノルタカメラ株式会社製)を各試験片にて用いた。
上記表3においては、色調比較として、L(エルスター・エースター・ビースター)表色系(JIS Z8781−4:2013)を用いた。ちなみに、Lは、明度(白度)を表し、a、bは、色相と彩度を示す色度を表す。更にa、bは、a−b平面を成し、aは正方向に成ればなるほど赤色が濃くなり、負方向に成ればなるほど緑色が濃くなる。一方、bは正方向に成ればなるほど黄色が濃くなり、負方向に成ればなるほど青色が濃くなる。
対象片2と比較した場合、3つの試験片とも平均して、Lの明度の値と、bの値とが対象片2よりも高い傾向にあった。図6は、対象片2、試験片2及び試験片3の美観の様子を示す画像である。図6を参照すると、対象片2に比べると、試験片2及び3の方が白い。このことは、表1及び/又は表2と比べた場合、生菌数が少ないほど、明度Lが高い、即ち魚肉原料の白さに依存しているという結果となった。また、魚肉原料の白さひいては美観の良さは、魚肉練製品の原材料(原魚)であるキチジの身(魚肉)の新鮮さや質感の高さを裏付けていることを言わんとする。このことからも、水素ナノバブル水を魚肉練製品の製造に用いた場合、添加剤フリーで長期保存のきく魚肉練製品の製造が可能になることが示された。更にまた、添加剤フリーでキチジの新鮮さや質感の高さが長期間保持可能であるということは、原材料たるキチジの身の弾力性の保持が可能であるということを示唆しているものと思われる。
本発明の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水によれば、美観の保持や改善並びに食感を司る弾力性の保持にとどまらず、同時に殺菌・無菌化且つ長期保存された魚肉練製品、更には弾力性の保持が必要なソーセージなどの魚肉以外の練製品や加工品に利用することが可能である。
1 容器
2 マイクロバブル発生装置
31 取水口
32 マイクロバブル含有水溶液排出口
4 循環ポンプ
5 オリフィス(多孔板)

Claims (6)

  1. 魚肉練製品の原料を製造する工程における水晒し工程及び魚肉練製品を製造する工程における漉き水工程にて使用する水素ナノバブル水であって、前記水素ナノバブル水は、水素イオン濃度がpH7.5〜8.9であり、並びに水素ナノバブルの平均粒径が80〜220nmであることを特徴とする魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
  2. 前記魚肉練製品の原料は、すり身である請求項1に記載の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
  3. 前記水素ナノバブルのモード径が90〜150nmである請求項1又は2に記載の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
  4. 前記水素ナノバブルの粒子濃度が1.50×10〜4.50×10個/mLである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
  5. 前記水素ナノバブル水は、電気伝導度が100〜300μS/cmとなるように、鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが添加される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
  6. 前記魚肉練製品は、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、伊達巻、つみれ、さつま揚げ、笹かまぼこ又はなるとのいずれかから選択される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の魚肉練製品製造用水素ナノバブル水。
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