JPH07177844A - 加工食品の製造方法 - Google Patents

加工食品の製造方法

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JPH07177844A
JPH07177844A JP30142994A JP30142994A JPH07177844A JP H07177844 A JPH07177844 A JP H07177844A JP 30142994 A JP30142994 A JP 30142994A JP 30142994 A JP30142994 A JP 30142994A JP H07177844 A JPH07177844 A JP H07177844A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】塩蔵原料を浸漬した水性液を陰陽の両イオン交
換膜が交互に配列された電気透析装置内の陰極側が陽イ
オン交換膜で区画され、陽極側が陰イオン交換膜で区画
された画室に供給し通電することにより、旨味成分を保
持しながら脱塩せしめる。 【効果】塩分を適正濃度に調整でき、塩蔵原料の旨味成
分がそのまま保存された高品質な加工食品が得られる。
またその加工食品が極めて省力化された簡単かつ効率
的、経済的な方法で得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工食品用原料から旨
味成分の豊富な加工食品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩漬け処理を利用した加工食品には多く
の種類があり、その原料の種類と共にその製造方法も多
種多様であるが、その加工工程を大別すると一次加工と
二次加工に分かれている。即ち、その加工食品は、高濃
度の塩又は塩水中にて塩漬けする一次加工と、この塩漬
けされた原料(以下、「塩蔵原料」とも云う)を水洗、
塩抜きし、必要に応じて燻煙処理や調味液漬け等をする
二次加工により製造されている。収穫時期の限られた原
料を塩蔵保存することは理にかなったことであるが、ほ
とんどの塩蔵原料が10%以上の食塩を含有しているた
めに、二次加工では先ず塩抜きすることが必須となって
いる。
【0003】この塩抜き操作は、必要に応じて適宜細断
された塩蔵原料を多量の水で洗浄する方法をとるため、
塩蔵原料からは食塩と共に旨味成分も溶出することとな
り、これが出来上がった加工食品から本来の旨味成分が
減少する一因となっている。また、多量に排出される上
記洗浄に用いた水の処理も無視できない問題であり、さ
らには、脱塩が進行して食塩濃度が低下するのに伴い、
微生物が繁殖しやすい環境となるために、二次加工工程
では圧搾工程を含め、防腐面にも多大の注意を払う必要
がある。
【0004】一方、水洗によって塩抜きされた塩蔵原料
は、いわゆる水膨れの状態となっており、そのままでは
調味液に漬けても調味成分が吸収され難く、均一に調味
成分を吸収させるには長時間を要し、数日間の漬け込み
が必要となる場合が多い。また、防腐面からは低温での
漬け込みが望ましい。このため数日間低温で漬け込むた
めの多くのタンクや倉庫(冷蔵倉庫)が必要となり、さ
らに調味成分が均一に吸収されるように漬け込み期間中
に何度か攪拌することも必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、塩蔵原料
の二次加工には多大の労力や設備、時間が必要で、しか
も塩蔵原料の旨味成分が十分には保持されていないのが
現状であり、このため、塩蔵原料本来の旨味成分を失う
ことなく、より簡単かつ効率的な方法で塩蔵原料の塩抜
き及び/又は調味液漬けを行い、塩蔵原料本来の旨味の
強い加工食品を製造することが強く望まれているが、し
かしこの工程の改善に関しては、何等の有効な解決策も
見い出されていないのが現状である。
【0006】そこで本発明者は、塩蔵原料の二次加工に
おけるこのような現状に鑑み、各種多方面から鋭意研
究、検討を続けているうち、塩蔵原料本来の旨味成分を
減じることなく、塩蔵原料本来の旨味成分を実質上その
まま保持する加工食品を、きわめて省力化された簡単か
つ効率的、経済的な方法により製造し得る方法を見い出
し、本発明に到達するに至ったものである。
【0007】すなわち、本発明は、その二次加工に電気
透析法を応用することにより、塩蔵原料本来の旨味成分
を減じることなく、塩蔵原料本来の旨味成分を実質上そ
のまま保持する加工食品を、きわめて省力化された簡単
かつ効率的、経済的な方法により製造し得る方法を提供
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は加工食品用原料
を食塩と共に漬け込む工程及び該工程により得られる塩
漬け原料を水性液中に浸漬する工程を包含する加工食品
の製造方法であって、上記水性液の少なくとも一部を、
陽極と陰極との間に複数枚の陽イオン交換膜と陰イオン
交換膜とを交互に配列して構成した電気透析槽内の陰極
側が陽イオン交換膜で区画され、陽極側が陰イオン交換
膜で区画された画室に供給し、通電することにより、上
記水性液中の旨味成分を保持しながら脱塩せしめた後、
上記塩漬け原料を浸漬する工程に循環することを特徴と
する加工食品の製造方法を提供する。
【0009】また、本発明は、加工用食品原料を食塩含
有水性液中に浸漬する工程を包含する加工食品の製造方
法であって、上記水性液の少なくとも一部を、陽極と陰
極との間に複数枚の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜と
を交互に配列して構成した電気透析槽内の陰極側が陽イ
オン交換膜で区画され、陽極側が陰イオン交換膜で区画
された画室に供給し、通電することにより、上記水性液
中の旨味成分を保持しながら脱塩せしめた後、上記浸漬
する工程に循環することを特徴とする加工食品の製造方
法を提供するものである。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の対象となる塩蔵原料には野菜類、魚介類、藻類、
畜肉類又はきのこ類等があるが本発明はこれらに限定さ
れるものではない。先ず、本発明の対象となる野菜類と
は、キュウリ、ダイコン、ウリ、メロン、カブ、ナス
ビ、ラッキョ、ウメ、ハクサイ、野沢菜や山菜類等を包
含し、これらの野菜類は食塩と共にタンクや樽等の容器
にて漬け込まれる。漬け込みの際の食塩の添加量は、野
菜の種類、水分、貯蔵温度、貯蔵期間等の条件によって
異なり、例えば、1〜2ヶ月の保存であれば原料に対し
て6〜8重量%、半年以上の長期保存であれば15重量
%以上の食塩が添加される。また、添加方法も目的によ
って異なり、食塩を添加してそのまま貯蔵する方法だけ
でなく、荒漬けで野菜類の余分の水分を除き、本漬けで
所定塩分濃度に調整する、というように2回あるいはそ
れ以上に分けて食塩を添加することや、貯蔵途中で食塩
水を差し水したり、追い塩したりすることもある。何れ
の方法で塩漬けされた野菜類も著量の食塩を含有してい
る。
【0011】また、本発明で対象になる魚介類とは、水
産動物を総称する言葉で、広義には水中に棲む総ての動
物を意味する。すなわち、動物分類学上魚類、貝類以外
にホヤ等の原索動物、ウニ、ナマコ等の棘皮動物、エ
ビ、カニ等の節足動物、イカ、タコ等貝類以外の軟体動
物、クラゲの属する腔腸動物等が含まれる他、日本食品
標準成分表では獣鳥鯨肉類に分類されているカエル(両
生類)、スッポン(爬虫類)等も広義には魚介類に含ま
れる〔[日本食品事典]医師薬出版(株)、第156項
(1982)〕。また、魚類としてはサケ、マス、タ
ラ、イワシ、サバ、ニシン、ホッケ、フナ、ハタハタ、
フグ、アユ、メヌケ、アマダイ、サワラ、カジキ等が例
として挙げられるが、それらの成魚のみならずスジコ、
イクラ、タラコ、キャビア、カズノコ、カラスミ等の魚
卵類も本発明の好適な対象である。
【0012】次に、本発明の対象となる藻類は、一般に
食用に供され、安全性の面で問題のないものであれば特
に種類は問わないが、例えば青海苔、川海苔、一重草等
の緑藻類、甘海苔、岩海苔、海髪(おごのり)、天草等
の紅藻類、荒布(あらめ)、昆布、若布、もずく等の褐
藻類及び水前寺海苔等の藍藻類が挙げられる。これらの
魚介類や藻類は、食塩と共にタンクや樽等の容器に漬け
込まれて塩蔵される。またこれらを漬け込みする際の食
塩添加量は、魚介類や藻類の種類、水分、貯蔵温度、貯
蔵期間等の条件によって異なる。
【0013】また、食塩の添加方法も目的によって異な
り、振り塩漬け(食品に直接食塩を散布する)、立て塩
漬け(食品を食塩水中に浸漬する)及び改良立て塩漬け
(振り塩漬けと立て塩漬けの併用的な方法で立て塩漬け
で下塩漬けしてから振り塩漬けで本漬けする)がある。
またpHが低い時は食塩に対する微生物の抵抗力が弱く
なるので、酸によりpHを4前後に低下させて塩蔵する
酸塩蔵法等もあるが、これらの何れの方法によっても、
塩漬けされた塩蔵魚介類や藻類は著量の食塩を含有して
る。
【0014】さらに、本発明の対象となる畜肉類とは、
一般に食用に供される動物の屠体から生産される可食部
分を総て含むものであり、安全性の面で問題のないもの
であれば特に種類は問わない。これらの畜肉類は、食塩
と共に塩漬槽に漬け込まれて塩漬される。塩漬の際の食
塩添加量は、畜肉類の種類、水分、貯蔵温度、貯蔵期間
等の条件によって異なる。また食塩の添加方法も目的に
よって異なり、湿塩法(液塩法)、乾湿法、スライスキ
ュアリング法、法射法、タンブリング法、マッサ−ジン
グ法及び高温塩漬法等がある。これら何れの添加方法に
よっても、塩漬された塩漬畜肉類は著量の食塩を含有し
てる。
【0015】また本発明の対象となるきのこ類は、食
用、薬用に供される無毒の担子菌類、子嚢菌類のきのこ
が望ましいが、有毒のきのこであっても有毒成分を除去
して使用することができる。一般に供される食用きのこ
としてはエノキタケ、ブナシメジ等を含むハラタケ目、
マイタケ等を含むヒダナシタケ目、キクラゲ目等の担子
菌類や、アミガサタケ等を含むチャワンタケ目等の子嚢
菌類等を挙げることができる。これらのきのこ類は、食
塩と共にタンクや樽等の容器に漬け込まれて塩蔵され
る。漬け込みの際の食塩添加量及び添加方法は目的によ
って異なるが、何れの方法によっても塩漬されたきのこ
類は著量の食塩を含有している。
【0016】以上の加工食品の塩蔵原料は、続いて水性
液中に浸漬される。その浸漬に際しその前処理について
は通常特には必要とされないが、食塩の結晶が多量に認
められる場合や異物の混入、また微生物汚染が懸念され
る場合には、その程度に応じて適宜洗浄すればよい。ま
た、目的とする製品の品質、形状によっては切り刻みや
軽い圧搾を施しても差し支えない。
【0017】本発明において、塩蔵原料は水性液によっ
て浸漬処理される。この浸漬処理過程において使用され
る水性液の一部乃至全部は、陽極と陰極間に二対以上の
複数枚の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配
列して構成した電気透析装置によって処理される。図1
は、本発明で使用される該電気透析装置の一例を示す概
略図である。
【0018】図1中、Cは陽イオン交換膜、Aは陰イオ
ン交換膜であり、これら陰陽の両イオン交換膜C及びA
は、容器中に相対して所定間隔を置いて配置され、これ
により容器の内壁と相まち、陽極1と陰極2の間に画室
3、3′、3″・・・3n と画室4、4′、4″・・・
n を構成しており、これらは室枠及びスペ−サ−を介
して固定される。この室枠及びスペ−サ−の厚み(各画
室の厚みに対応する)に限定はないが、通常0.3〜
2.0mm程度に構成される。
【0019】図示のとおり、画室3、3′、3″・・・
n は、陽極1側が陰イオン交換膜で、陰極2側が陽イ
オン交換膜で区画され、また画室4、4′、4″・・・
nは、陽極1側が陽イオン交換膜、陰極2側が陰イオ
ン交換膜で区画されており、このうち画室3、3′、
3″・・・3n は被処理液供給室すなわち脱塩室を構成
し、また画室4、4′、4″・・・4n は濃縮室を構成
している。なお図中、7は被処理液供給用の導管、8は
濃縮室4、4′、4″・・・4n への電解液水溶液供給
用の導管、また9は電極液供給用の導管である。
【0020】また、1は陽極、2は陰極であり、図示の
とおり、陽極1は陽イオン交換膜C側の電解液供給室5
中に、また陰極2は陰イオン交換膜A側電解液供給室6
中に配置されており、両電極1及び2間には操作中所定
の電圧がかけられる。これにより、被処理液中の陰イオ
ン成分は、陰イオン交換膜Aを通してより有効に画室
4、4′、4″・・・4n へ透過移行する一方、被処理
液中の陽イオン成分は、陽イオン交換膜Cを通して同じ
く画室4、4′、4″・・・4n へ透過移行し、陰陽両
イオンともに分離される。なお、陽極1としては例えば
チタンに白金をメッキしたもの、陰極2としては例えば
ニッケルやステンレスが用いられる。
【0021】塩蔵原料が浸漬される水性液は、かかる構
成を有する電気透析槽の画室(脱塩室)3、3′、3″
・・・3n に対して、その一部が被処理液供給導管7か
ら循環供給され、一方これに隣接する濃縮室4に対して
は適宜の電解質水溶液、例えば食塩水8が循環供給され
る。また、陽極室5、陰極室6には食塩水等の適宜の電
解質溶液が循環供給される。このようにして陽極1と陰
極2の間に例えば限界電流密度以下の直流電流を流すこ
とにより、該水性液からナトリウムイオン及び塩素イオ
ンがそれぞれ陽イオン交換膜、陰イオン交換膜を図1中
矢印(→)の方向に透過し、これにより水性液中の塩分
濃度を低下させるものである。
【0022】ここで、被処理液、電解質水溶液及び電極
液は(図1中、これらの排出用導管や循環用導管等の記
載は省略している)、それぞれ適当なポンプ等を介して
循環されるが、このような循環形式とは限らず、本発明
においては、電気透析装置の規模、性能、塩蔵原料の種
類、脱塩の程度等如何により、必要に応じて適宜回分式
(バッチ式)を採用することもできるものである。
【0023】次に、本発明で使用される陽イオン交換膜
及び陰イオン交換膜としては、特に限定はなく、陽イオ
ン交換膜としてはNaイオンを透過させるものであれば
何れも使用でき、また陰イオン交換膜としては、Clイ
オンを透過させるものであれば何れも使用することがで
きる。その一例を示すと、例えば陽イオン交換膜として
は、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体系の膜で交換
基としてスルホン基を1.5〜3.0meq/g−樹脂
含むもの、また陰イオン交換膜としてはスチレン/ジビ
ニルベンゼン共重合体の膜で交換基として第4級アンモ
ニウム基を1.5〜3.0meq/g−樹脂含むものを
使用することができる。
【0024】また、例えば加工食品中有機酸等が多量に
あると味の面で良くない場合や加工食品中に残存すると
商品価値が下がるような微量成分が含まれる場合等に
は、これら不要成分が水性液中には残存しないように、
使用陽イオン交換膜及び/又は陰イオン交換膜として、
食塩成分(Naイオン及びClイオン)に加えて、その
不要成分をも透過させ得る膜を使用することができる。
【0025】本発明において、塩蔵原料の脱塩を行うに
際しては、図1に例示したような電気透析装置の近傍に
配置された容器内に必要に応じて前処理を施された塩蔵
原料を入れ、これに適量の水性液を注加する。この水性
液とは、塩蔵原料を浸漬し、塩蔵原料から塩分を抽出す
る水溶液のことであるが、その塩蔵原料の浸漬用として
は、水や食塩水、または塩蔵原料からの浸出液等も使用
可能である。この水性液は、図1に示す態様の電気透析
装置を使用する場合には、脱塩室3、3′、3″・・・
n に供給される。
【0026】また、上記適量とは、水性液が塩蔵原料の
貯槽と脱塩室に障害なく供給され、かつ水性液が塩蔵原
料に均一に接するのに必要な液量を最低限とし、さらに
脱塩の進行に伴って徐々に塩類濃縮側に移行する水の分
量や塩蔵原料の貯槽の大きさ等を勘案して決められる液
量である。なお、通電処理の進行に伴って減少する水に
対する処置としては、予めその分量に見合った水性液を
野菜類等の貯槽に入れておいてもよいし、あるいは貯槽
内の液量の減少に見合っただけの水を徐々に加えながら
電気透析処理を行ってもよい。
【0027】また、塩蔵原料本来の旨味成分をさらによ
り多く保持しながら脱塩するためには、ここで水を加え
て水性液の塩分濃度を下げて脱塩せずに、最終的に不足
した水量を脱塩後に添加する方法を採るのが望ましい。
これは水性液の塩分濃度が低ければ低い程、水性液中に
抽出された旨味成分が脱塩中に食塩とともに抜けてしま
い、最終的に製品中で、その旨味成分の残存量が少なく
なってしまうためである。このように、できる限り水性
液中の塩分濃度を高く保持して脱塩する方が旨味成分の
ロスを少なくして脱塩することができる。
【0028】また、原料から水性液に塩分が抜け難く、
脱塩中に水性液の塩分濃度が低くなる場合は、電気透析
槽に通電する電流量を低く設定し、原料から抜けてくる
塩分量と機械的に脱塩する塩分量を一致させれば、水性
液の塩分を高濃度に保持したまま脱塩することができ、
旨味成分を水性液中に高濃度で保持しておくことができ
る。本発明では、さらに塩蔵原料を水性液に浸漬してか
ら暫時放置し、塩蔵原料と水性液の塩分バランスを平衡
に近付けて、平衡状態を維持しながら電気透析処理を行
ってもよい。ここで、本発明における旨味成分とはいわ
ゆる呈味成分及び/又はフレ−バ−成分を含むものであ
る。
【0029】また、この電気透析装置の操作中すなわち
通電処理時に印加する電圧は、好ましくは0.1〜1.
0V(ボルト)/陰陽膜単位程度であり、また電流密度
は好ましくは1〜20A/dm2 程度であるが、これら
の範囲とは限らず、被処理塩蔵原料の種類、水性液の濃
度、使用する電気透析装置の規模等如何により適宜設定
することができる。また、微生物の殺菌効果を高めるた
め電流密度20A/dm2 以上の条件で行うことも可能
である。その際、塩蔵原料の細片や種子等が脱塩室3に
入ることを防ぐためには、原料貯槽と電気透析装置の間
に適宜フィルタ−等を設けることが望ましい。
【0030】以上のような条件で電気透析処理を行い、
目標塩分量まで食塩分が低下した時点で処理が終了され
る。この目標塩分量とは、塩蔵原料の塩分含量、水性液
の塩分含量及び脱塩原料の設計塩分濃度を勘案して算
出、設定された値である。例えば、食塩濃度20w/w
%の塩漬けキュウリ100kgに水150リットルを添
加し、これを野菜類の貯槽内の液量が常に一定になるよ
うに水を補給しつつ本発明の方法で処理して食塩濃度5
w/w%のキュウリを得る場合、処理前の総塩分量20
kgが処理後12.5kgになればよいわけであるの
で、差し引き7.5kgの食塩が濃縮室4、4′、4″
・・・4n に移行した時点で処理を終了すればよい。
【0031】この場合、電気透析処理終了の直後には、
処理済み原料(=処理後の原料)と水性液の食塩含量に
差異が認められることもあるが、次第に平衡状態に達す
るため、必要により暫時放置した後、調味液漬け、袋詰
め、殺菌等の次工程へ移行することができる。このよう
にして得られた脱塩された原料は、食塩分が適正濃度に
調整されていると共に、塩蔵原料本来の旨味成分がその
まま保持された高品質のものである。この脱塩原料は塩
蔵原料本来の旨味が豊富であり、そのまま食することも
可能である。また、本発明によれば、従来問題となって
いる多量の洗浄水の処理の問題も生じない。
【0032】また、上述のように水性液として調味液を
使用した場合には、塩蔵原料の塩抜きと共に、調味液漬
けも同時に行うことができる。ここでいう調味液とは、
調味液漬けに使用される調味成分、例えば醤油、有機酸
類、アミノ酸類、糖類等を含有する水溶液のことであ
り、本発明の方法は、その調味成分を配合すると否とを
問わず適用可能である。これを配合する場合、新たに調
製された調味液だけとは限らず、1度以上使用された調
味液でも使用可能であり、また両者を混合したものも使
用することができる。
【0033】また、本発明に係る加工食品の製造方法に
よれば、塩蔵原料本来の旨味成分がそのまま加工食品に
持ち込まれるために、添加する調味液は薄味のものでよ
いという利点も生じる。また従来行われているような低
温での数日間の漬け込み期間を短縮することができ、そ
のための数日間分の漬け込み槽や低温倉庫などの設備を
大幅に削減することができるものである。
【0034】さらに本発明においては、上記加工食品原
料を食塩と共に漬け込む工程と塩漬け原料を水性液中に
浸漬する工程とを同時に行うことも可能である。この場
合には、加工食品原料に対して食塩含有水性液をそのま
ま使用することができるが、塩蔵原料の調味漬けに1度
以上使用された調味液のように塩分濃度が高い調味液を
使用して、それを脱塩しながら加工食品原料の調味漬け
を同時に行うことにより、適正な塩分濃度の旨味の強い
加工食品が得られるので特に好ましい。なお、原料の種
類等如何により、原料から多量の不溶性固形分(キュウ
リの種、等)が出ることが予想され、装置の濾過能力等
の関係から脱塩時間を短くしたい場合には、調味液を予
め電気透析処理で脱塩しておくことも可能である。
【0035】このように、本発明の加工食品の製造方法
は、風味的に従来のものより優れた加工食品の製造を可
能にすると共に、加工食品を製造するのに従来必要とさ
れた水洗による塩抜き、圧搾、及び低温長時間漬け込み
等の工程、それらに付随する微生物制御、漬け込み原料
の上下攪拌等の作業、及びそれらに必要な設備、機械類
を一挙に省略あるいは削減するものであり、本加工食品
業界にとって極めて大きな経済効果をもたらすものであ
る。
【0036】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるもの
ではないことは勿論である。
【0037】《実施例1》本実施例においては、使用装
置としてセレミオンDU−Ob型槽〔有効膜面積2.0
9dm2 /対、旭硝子(株)社製、商品名〕を用いた。
これはフィルタ−プレス型電気透析槽であり、図1に示
すような態様の構造を備える電気透析装置である。ここ
で、陽イオン交換膜としてセレミオンCMV〔強酸性陽
イオン交換膜、旭硝子(株)社製、商品名〕を用い、ま
た陰イオン交換膜としてはセレミオンAMV〔強塩基性
陰イオン交換膜、旭硝子(株)社製、商品名〕使用し
た。これら両イオン交換膜をそれぞれ11枚ずつ用いて
セットした。
【0038】次に、軽く水洗いをして異物を取り除き、
約5mm幅に細切りした塩漬けキュウリ(食塩濃度2
4.0w/w%)2kgを5リットル容のステンレス容
器に入れ、これに表1の配合の調味液(食塩濃度10.
2w/v%)1.5リットルを添加した。この塩漬けキ
ュウリ仕込みの調味液について塩漬けキュウリの食塩分
を調味液で抽出しつつ、電気透析処理により脱塩を行っ
たが、この操作は以下のとおりに実施した。上記容器中
の調味液を被処理液供給導管(図1中、導管7)を介し
て脱塩室(図1中、3、3′、3″・・・)に供給循環
し、また電解質溶液としては5%塩化ナトリウム溶液2
リットルを導管(図1中、導管8)から濃縮室(図1
中、4、4′、4″・・・4n )に循環供給した。
【0039】同時に、電極液として3%硫酸ナトリウム
溶液2リットルを電解液供給導管(図1中、導管9)か
ら電極室(図1中、5、6)に循環供給し、電極間電圧
8.5V、電流密度3.0A/dm2 で220分間通電
した。また通電せずに調味液を循環している時点でのス
テンレス容器内の調味液の上端部に印を付けておき、脱
塩の進行に伴って減じた分だけの水を供給しつつ処理を
行った。以上の処理終了後のキュウリ及び調味液の食塩
濃度は、それぞれ4.8w/w%、1.2w/v%であ
ったが、冷蔵庫で一夜放置後には4.4w/w%、4.
3w/v%となり、ほぼ平衡に達していた。
【0040】一方、同じく細切りした塩漬けキュウリ2
kgを多量の水で洗浄して塩分0.5w/w%まで塩抜
きした。これを強圧搾して脱水した後、表1の配合の調
味液1.5リットルを添加し、冷蔵庫中で5日間、時々
攪拌しながら漬け込んだ。このようにして得られた漬物
(従来法の漬物)と上記の方法で得られた漬物(本発明
方法の漬物)をパネラ−10名で官能検査したところ表
2の結果が得られた。表2のとおり、本発明方法により
得られた漬物はキュウリの旨味が強く感じられる高品質
のキュウリ醤油漬けであった。
【0041】
【表1】 ────────────────────────────────── 濃厚醤油 1.2 リットル 淡口醤油 0.6 リットル 鰹節調味液〔武田薬品工業(株)「だししるべK−1」〕 0.14 kg 昆布調味液〔武田薬品工業(株)「だししるべL−1」〕 0.125kg 発酵調味液〔武田薬品工業(株)「味しるべB」〕 0.12 リットル グルタミン酸ナトリウム 0.035kg 50%乳酸 0.025kg 水 0.6 リットル ──────────────────────────────────
【0042】
【表2】 ─────────────────────────────── 本発明方法の漬物 従来法の漬物 ─────────────────────────────── 風味の良さ(*) 28 21 歯切れの良さ(**) 25 25 ─────────────────────────────── (*) 0点;風味が良くない〜3点;風味が良い (**) 0点;歯切れが良くない〜3点;歯切れが良い 上記表2の数値は、パネラ−10名の合計点である。 ───────────────────────────────
【0043】《実施例2》食塩分20.4w/w%含有
の塩漬けダイコンと実施例1で使用した塩漬けキュウリ
各1kgを軽く水洗した後、細切りし軽く圧搾した。こ
れを5リットル容のステンレス容器に入れ、水2.5リ
ットルを注加して実施例1と同様の装置、条件で電気透
析処理を行った。2.5時間処理した後、液量は1.3
リットル、ダイコン、キュウリの食塩分は各々2.5w
/w%、1.7w/w%となった。こうして得られた脱
塩ダイコン、キュウリは、共に旨味の強いものであっ
た。
【0044】《実施例3》実施例2で得られた脱塩ダイ
コン、キュウリを遠心分離機で脱水した後、表3の調味
液1リットルに5日間漬け込み、福神漬け風味の刻み醤
油漬けを得た。この漬物はダンコン、キュウリの旨味が
強いものであった。
【0045】
【表3】 ───────────────────────────── 濃口醤油 10 リットル アミノ酸液 10 リットル 砂糖 2 kg 本みりん 1 リットル ソルビト−ル 0.5 kg 食酢 0.2 リットル 50%乳酸 0.01 リットル ─────────────────────────────
【0046】《実施例4》塩漬けしていないダイコンを
水洗、剥皮、細切りしたもの1kgにウメ漬けに2度使
用された調味液(食塩15.0w/v%、クエン酸3.
8w/v%、グルタミン酸2.0w/v%、全糖7.0
w/v%)1.6リットルを注加し、実施例1と同様の
装置、条件で電気透析処理を行った。2時間の処理後、
調味液の液量は0.8リットル、塩分濃度は5.0w/
v%となった。また、ダイコンには調味液の成分がよく
浸透し、良好な風味のウメ酢漬けとなった。
【0047】《実施例5》塩漬けウメ(食塩24.3w
/w%)1kgに表4の配合の調味液0.85リットル
と水0.5リットルを注加し、一晩冷蔵放置後、実施例
1と同様の装置、条件で電気透析処理を行った。このと
き、処理が進行するに伴って減少する分量に見合っただ
けの水を補充しつつ行った。1.5時間の処理後、ウメ
の食塩濃度は10.9w/w%、調味液の食塩濃度は
6.3w/v%となり、一晩冷蔵放置後には各々8.5
w/w%、7.7w/v%となりほぼ平衡に達してい
た。このようにして得られたウメ漬けは、若干塩分控え
目でウメの風味の強い良好な品質であった。
【0048】
【表4】 ────────────────────────── ウメ酢 1 リットル 核酸系調味料 7 g 果糖ブドウ糖液糖 350 g グルタミン酸ナトリウム 50 g 水 3.7 リットル ──────────────────────────
【0049】《実施例6》軽く水洗し異物、表皮を取り
除いた塩蔵数の子(食塩濃度15w/w%)2kgを5
リットル容のステンレス容器に入れ、これに表5の配合
の調味液(食塩濃度5.1w/v%)2リットルを添加
し、実施例1と同様の装置、条件で200分間電気透析
処理を行いながら、塩蔵数の子の食塩分を調味液で抽出
した。またステンレス容器内の調味液の上端部に印を付
けておき、脱塩の進行に伴って減じた水を、電気透析処
理後補給した。脱塩後の数の子及び調味液の塩分濃度
は、それぞれ8.0w/w%、1.9w/v%であった
が、一夜放置後には各々4.8w/w%、5.2w/v
%となり、ほぼ平衡に達していた。
【0050】一方、塩蔵数の子2kgを多量の水で洗浄
して塩分0.8w/w%まで塩抜きした。これに表5の
配合の調味液2リットルを添加して、冷蔵庫で5日間時
々攪拌しながら漬け込んだ。このようにして得られた調
味数の子(従来法)と上記の方法で得られた調味数の子
(本発明の方法)をパネラ−7名で官能検査したところ
表6の結果が得られた。表6のとおり、本発明による調
味数の子は、テクスチャ−は従来法によるものに比べて
何等遜色なく、風味では明らかに優れた高品質の調味漬
けであった。また、製造に要する期間も従来法のものに
比べて大幅に短縮された。
【0051】
【表5】 ────────────────────────────────── 淡口醤油 0.2 リットル 発酵調味液〔武田薬品工業(株)「味しるべC」〕 0.3 リットル 鰹節調味液〔武田薬品工業(株)「だししるべK−1」〕 0.1 kg 昆布調味液〔武田薬品工業(株)「だししるべL−2」〕 0.2 kg アミノ酸液 0.1 リットル 水 1.14 リットル ──────────────────────────────────
【0052】
【表6】 ─────────────────────────────── 本発明方法の漬物 従来法の漬物 ─────────────────────────────── 風味の良さ(*) 18 11 歯切れの良さ(**) 15 15 ─────────────────────────────── (*) 0点;風味が良くない〜3点;風味が良い (**) 0点;歯切れが良くない〜3点;歯切れが良い 上記表6の数値は、パネラ−7名の合計点である。 ───────────────────────────────
【0053】《実施例7》軽く水洗し異物を取り除いた
塩蔵かに肉(食塩20w/w%)4kgを5リットル容
のステンレス容器に入れ、これに水1リットルを注加
し、実施例1と同様の装置、条件で電気透析処理を行
い、0.68kgの食塩を脱塩した。電気透析脱塩をし
たかに及びかにの旨味成分が濃縮された水を使用して、
表7の配合でかにかまぼこを作製した(本発明の方
法)。一方、塩蔵かに肉4kgを多量の水で洗浄して塩
分2.1w/w%まで塩抜きし、これを表7の配合でか
にかまぼこを作製した(従来法)。このようにして得ら
れたかにかまぼこ(従来法)と上記の方法で得られたか
にかまぼこ(本発明の方法)をパネラ−7名で官能検査
したところ、表8の結果が得られた。表8から明らかな
とおり、本発明で得られたかまぼこは、本来流水脱塩時
に流出してしまうかにの旨味成分がリッチな、高品質の
かにかまぼこであった。
【0054】
【表7】 ──────────────────────────── かに肉 2.0 kg 無塩スケソウすり身 0.6 kg グルタミン酸ナトリウム 0.01 kg 上白糖 0.04 kg 本みりん 0.1 リットル 卵白粉末 0.03 kg 水 1.0 kg ────────────────────────────
【0055】
【表8】 ──────────────────────────────── 本発明方法の漬物 従来法の漬物 ──────────────────────────────── 風味の良さ(*) 19 10 テクスチャ−の良さ(**) 15 15 ──────────────────────────────── (*) 0点;風味が良くない〜3点;風味が良い (**) 0点;テクスチャ−が良くない〜3点;テクスチャ−が良い 上記表8の数値は、パネラ−7名の合計点である。 ────────────────────────────────
【0056】《実施例8》軽く水洗し異物を取り除いた
塩蔵わかめ(食塩20w/w%)4kgを10リットル
容のステンレス容器に入れ、これに表9に示す調味液を
注加し、実施例1と同様の装置、条件で電気透析処理を
行い、1.17kgの食塩を脱塩した。この電気透析脱
塩をしたわかめ及び使用した調味液を用いて佃煮を作成
した。こうして出来上がったわかめの佃煮は、無機質、
ビタミン等が豊富で風味の強い高品質なものであった。
【0057】
【表9】 ──────────────────────────── 塩蔵わかめ 4 kg 醤油 3 リットル 本みりん 3 リットル 水飴 1 kg グルタミン酸ナトリウム 0.7 kg ────────────────────────────
【0058】《実施例9》切断、整形、血絞りをした原
料豚もも肉2kgを5リットル容のステンレス容器に入
れ、これに表10に示す配合の塩漬液(食塩濃度16.
2w/w%)1リットルを添加した。5日間塩漬、熟成
後、上記容器中の塩漬液を実施例1と同様の装置、条件
で電気透析処理を行い102gの食塩を脱塩した。さら
に温度60℃、3時間で燻煙処理をした後、温度75℃
で、3時間ボイル処理を行った。一方、切断、整形、血
絞りをした原料豚もも肉2kgを5リットル容のステン
レス容器に入れ、これに表10の配合の塩漬液(食塩濃
度16.2w/w%)1リットルを添加した。5日間塩
漬後、上記容器中の塩漬肉を10リットルの水で塩抜き
した。さらに温度60℃、3時間で燻煙処理をした後、
温度75℃で、3時間ボイル処理を行った。
【0059】このようにして得られたハム(従来法)と
上記の方法で得られたハム(本発明の方法)をパネラ−
5名で官能検査したところ、表11に示す結果が得られ
た。表11のとおり、本発明によるハムは従来法による
ものに比べて何等遜色なく、風味では明らかに優れ高品
質であった。
【0060】
【表10】 ──────────────────────────────── 食塩 200 g NaNO3 5 g NaNO2 0.5 g アスコルビン酸 5 g スパイス 6 g タンパク加水分解物 〔武田薬品工業(株)アミフレックスA−1〕 20 g 水 1 リットル ────────────────────────────────
【0061】
【表11】 ──────────────────────────────── 本発明方法の漬物 従来法の漬物 ──────────────────────────────── 風味の良さ(*) 12 7 テクスチャ−の良さ(**) 10 10 ──────────────────────────────── (*) 0点;風味が良くない〜3点;風味が良い (**) 0点;テクスチャ−が良くない〜3点;テクスチャ−が良い 上記表11の数値は、パネラ−5名の合計点である。 ────────────────────────────────
【0062】《実施例10》軽く水洗し異物を取り除い
た乾燥昆布(食塩11.2w/v%)505gを5リッ
トル容のステンレス容器に入れ、表12に示す調味液を
0.264リットル注加し、実施例1と同様の装置、条
件で電気透析処理を行い、144gの食塩を脱塩した。
この電気透析脱塩をした昆布及び使用した調味液を用い
て佃煮を作成した。一方、乾燥昆布505gを多量の水
で洗浄して塩分濃度0%近くまで塩抜きした。加水脱塩
した昆布2,500gを表8の調味液0.264リット
ル注加し佃煮を作成した。このようにして得られた昆布
の佃煮(従来法)及び上記の方法で得られた昆布の佃煮
(本発明の方法)を分析したところ、従来法の佃煮中に
は1.9%、本発明法の佃煮中には3.1%のグルタミ
ン酸ナトリウムが残存しており、旨味の強い佃煮が得ら
れた。また出来上がった昆布の佃煮(本発明の方法)
は、無機質、ビタミン等が豊富で風味の強い高品質なも
のであった。
【0063】
【表12】 ────────────────────────────── 濃口醤油 2 リットル グルタミン酸ナトリウム 0.1 kg 砂糖 0.1 kg 水飴 0.8 kg 増粘安定剤 〔武田薬品工業(株)「オルノ−TB−1」〕 4 g 昆布調味液 〔武田薬品工業(株)「だししるべL−1」〕 0.1 kg リポタイド 0.8 g 水 0.4 kg ──────────────────────────────
【0064】《実施例11》塩漬けウメ(食塩17.5
w/w%)1kgに、使用後のウメ漬け調味液(実施例
4と同様)2.6リットルを注加し、陽イオン交換膜セ
レミオンCMV〔強酸性陽イオン交換膜、旭硝子(株)
社製、商品名〕、陰イオン交換膜セレミオンDSV〔旭
硝子(株)社製、商品名〕をそれぞれ11枚ずつ用いて
実施例1と同様の装置、条件で7.3時間電気透析処理
後、2日間漬け込み、調味液漬けウメを作成した。本発
明による調味漬けウメは、調味液成分が良く浸透し、従
来法によるものに比べて酸味の軽減された良好な風味の
調味液漬けウメであった。
【0065】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の加
工食品の製造方法によれば、塩分を適正濃度に調整する
ことができると共に、塩蔵原料の旨味成分がそのまま保
存された高品質な製品を得ることができる。また本発明
により、その加工食品を極めて省力化された簡単かつ効
率的、経済的な方法により製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用される電気透析装置の一態
様を示す図。
【符号の説明】
1 陽極 2 陰極 3、3′、3″・・・3n 脱塩室 4、4′、4″・・・4n 濃縮室 5 陽極室 6 陰極室 7 被処理液導管 8 電解質溶液導管 9 電極液導管 A 陰イオン交換膜 C 陽イオン交換膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/325 101 Z (72)発明者 森田 日出男 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 小林 拡 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 旭 硝子株式会社内 (72)発明者 鈴木 幹夫 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 旭 硝子株式会社内 (72)発明者 浅田 勝利 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 旭 硝子株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加工食品用原料を食塩と共に漬け込む工程
    及び該工程により得られる塩漬け原料を水性液中に浸漬
    する工程を包含する加工食品の製造方法であって、上記
    水性液の少なくとも一部を、陽極と陰極との間に複数枚
    の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配列して
    構成した電気透析槽内の陰極側が陽イオン交換膜で区画
    され、陽極側が陰イオン交換膜で区画された画室に供給
    し、通電することにより、上記水性液中の旨味成分を保
    持しながら脱塩せしめた後、上記塩漬け原料を浸漬する
    工程に循環することを特徴とする加工食品の製造方法。
  2. 【請求項2】加工用食品原料を食塩含有水性液中に浸漬
    する工程を包含する加工食品の製造方法であって、上記
    水性液の少なくとも一部を、陽極と陰極との間に複数枚
    の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配列して
    構成した電気透析槽内の陰極側が陽イオン交換膜で区画
    され、陽極側が陰イオン交換膜で区画された画室に供給
    し、通電することにより、上記水性液中の旨味成分を保
    持しながら脱塩せしめた後、上記浸漬する工程に循環す
    ることを特徴とする加工食品の製造方法。
  3. 【請求項3】上記加工食品用原料が野菜類、魚介類、藻
    類、蓄肉類又はきのこ類である請求項1又は2記載の加
    工食品の製造方法。
  4. 【請求項4】上記水性液が調味成分を含有する調味液で
    ある請求項1、2又は3記載の加工食品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100918955B1 (ko) * 2007-08-20 2009-09-25 한국식품연구원 염장식품 탈염방법
JP2010193866A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 San Akuteisu:Kk 梅果汁中のナトリウム濃度の低減方法
JP2011182725A (ja) * 2010-03-10 2011-09-22 Katsu Mi Japan Inc 惣菜の製造方法及び惣菜
JP2015181461A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 大分県 浸漬物への水分移行防止方法
JP2016146815A (ja) * 2015-02-09 2016-08-18 株式会社やまへい 野沢菜加工食品の製造方法及び緑黄色野菜加工食品の製造方法

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