JP2020107912A - 光電変換膜の製造方法と光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換膜の製造方法と光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ペロブスカイト結晶層を大面積に均一かつ良質に製膜することを可能にすることによって、大面積化による特性劣化を抑制した光電変換膜の製造方法を提供する。【解決手段】実施形態の光電変換膜の製造方法は、光電変換材料分散液1を製膜対象物に付着させて、製膜対象物上に光電変換膜としてペロブスカイト結晶粒子を含む膜を形成する製膜工程を具備する。光電変換材料分散液1は、ABX3(Aはアミン化合物の1価陽イオン、Bは金属元素の2価陽イオン、Xはハロゲン元素の1価陰イオン)で表される組成を有し、実質的に全て、光電変換材料分散液中で平均粒径が10nm以上10000nm以下である結晶粒子の形態で存在するペロブスカイト材料と、ペロブスカイト材料に対する貧溶媒からなり、ペロブスカイト材料が結晶粒子の形態で分散され、かつ実質的に溶解されない分散媒とを含有する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、光電変換膜の製造方法と光電変換素子の製造方法に関する。
光電変換材料としてペロブスカイト型材料を用いた太陽電池、光センサ、発光素子、光ダイオード、光メモリ等の光電変換素子は、層形成に安価な塗布法が適用できるため、低コストの光電変換素子として期待されている。光電変換材料として用いられるペロブスカイト型材料のうちでも、ABXで表される組成を有し、3次元結晶構造を持つペロブスカイト結晶は、光電変換効率に優れるため、それを用いて変換効率を向上させた太陽電池が報告されている。そのような太陽電池の課題の1つとして大面積化が挙げられる。ペロブスカイト結晶を用いた太陽電池において、素子面積が0.1cm程度では20%程度の変換効率が報告されている一方で、1cmでは15%程度、100cmでは5%程度の報告に留まっている。その要因の1つとして、従来のペロブスカイト層の形成技術ではペロブスカイト結晶層を大面積に均一かつ良質に形成できない点が挙げられる。
従来のペロブスカイト結晶層の形成方法としては、ペロブスカイト結晶が溶解する、いわゆる良溶媒を用いて溶液を形成し、この溶液を製膜対象物上に塗布した後、溶解しているペロブスカイト結晶の構成成分を製膜対象物上で結晶化(析出)させる方法が知られている。このような形成方法では、ペロブスカイト結晶層の膜質が数多くの因子の影響を受け、かつその影響を受けやすいために、大面積に均一かつ良質なペロブスカイト結晶層を形成することが難しい。膜質とは、モルフォロジ、結晶のサイズや形状、結晶の格子欠損や転位や方位ずれ、不純物、被覆率、膜厚等を意味する。影響を受ける因子としては、例えばペロブスカイト結晶溶液の乾燥条件、溶媒の種類、添加剤、不純物、固形分濃度、温度、さらに製膜対象物表面の材質、温度、不純物、凹凸等が挙げられる。例えば、大面積に製膜する場合、乾燥条件にムラが生じやすいため、膜質にもムラが生じやすくなる。
また、ABXで表される組成を有し、2次元層状構造を持つペロブスカイト結晶材料を用いた膜の形成方法について、そのような材料を良溶媒に溶解させて溶液を形成し、この溶液をスピンコート法等で製膜する方法が提案されている。2次元層状構造を持つペロブスカイト結晶材料に関しては、この材料の粒子を有機マトリクスとなるポリマーと共に溶媒中に分散させて分散液を形成し、この分散液をスピンコート法等で製膜することも検討されている。有機マトリクス中にペロブスカイト結晶粒子を分散させることで、発光層等の光電変換膜中の粒子の分散性が向上するものの、有機マトリクスの存在により光電変換膜中のペロブスカイト結晶粒子の相対量が減少する。さらに、それだけでは発光素子や太陽電池等の光電変換素子の実用的な大面積化を実現することができない。
例えば、透明電極を用いる太陽電池モジュールを構成するセルは、透明電極と対向電極とで光電変換膜(発電層)を挟持した構造を有している。現在、実用レベルの透明電極は、導電性が十分ではないため、セル面積を大面積化するほど発生電荷を外部に取り出す効率が低下する。そこで、短冊状のセルを複数並べて形成すると共に、これら複数のセル間を直列に接続することが一般的である。このような太陽電池モジュールを低コストで実現するためには、ペロブスカイト結晶層の形成材料をセルパターンに応じて精度よくパターン製膜することが求められる。さらに、ペロブスカイト結晶層の適切な膜厚は10nmから1000nm程度であるため、そのような非常に薄い層を精度よく形成することが求められる。しかしながら、従来の製膜技術ではペロブスカイト結晶層を低コストで精度よくパターン製膜することができないという課題がある。
また、一般的な太陽電池モジュールでは、短冊形状といった単純な形状のパターン製膜が求められる一方で、ソーラー腕時計向けの太陽電池モジュールの場合は三角形や扇形のパターン製膜が求められる。さらに、ディスプレイや光センサのような光電変換素子の場合には、微細なパターン製膜が必要となる。このような異形のパターン製膜や微細なパターン製膜が必要とされる場合、従来の製膜技術ではペロブスカイト結晶層を低コストで精度よくパターン製膜することがさらに困難になる。
特開2008−227330号公報
本発明が解決しようとする課題は、ペロブスカイト結晶層を大面積に均一かつ良質に製膜することを可能にした光電変換膜の製造方法と光電変換素子の製造方法を提供することにある。
実施形態の光電変換膜の製造方法は、光電変換材料分散液を製膜対象物に付着させて、前記製膜対象物上に光電変換膜として前記ペロブスカイト結晶粒子を含む膜を形成する製膜工程を具備する。前記光電変換材料分散液は、
組成式:ABX
(式中、Aはアミン化合物の1価陽イオンであり、Bは金属元素の2価陽イオンであり、Xはハロゲン元素の1価陰イオンである。)
で表される組成を有し、実質的に全て、前記光電変換材料分散液中で平均粒径が10nm以上10000nm以下である結晶粒子の形態で存在するペロブスカイト材料と、前記ペロブスカイト材料に対する貧溶媒からなり、前記ペロブスカイト材料が結晶粒子の形態で分散され、かつ実質的に溶解されない分散媒とを含有する。
実施形態の光電変換素子の製造方法は、基板上に配置された第1の電極上に、
組成式:ABX
(式中、Aはアミン化合物の1価陽イオンであり、Bは金属元素の2価陽イオンであり、Xはハロゲン元素の1価陰イオンである。)
で表される組成を有し、平均粒径が10nm以上10000nm以下である結晶粒子の形態で存在するペロブスカイト材料と、前記ペロブスカイト材料に対する貧溶媒からなり、前記ペロブスカイト材料が前記結晶粒子の形態で分散され、かつ実質的に溶解されない分散媒とを含有する光電変換材料分散液を付着させて、前記ペロブスカイト材料を含む膜を光電変換膜として製膜する工程と、前記光電変換膜上に第2の電極を配置する工程とを具備する。
実施形態の光電変換材料分散液の状態を模式的に示す図である。 従来の光電変換膜の形成溶液の状態を模式的に示す図である。 図1に示す光電変換材料分散液の変形例を模式的に示す図である。 第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を模式的に示す図である。 図2に示す従来の光電変換膜の形成溶液を用いた光電変換膜の製造工程を模式的に示す図である。 第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を適用した光電変換膜の製造装置の第1の例を示す正面図である。 第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を適用した光電変換膜の製造装置の第1の例を示す平面図である。 第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を適用した光電変換膜の製造装置の第2の例を示す正面図である。 第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を適用した光電変換膜の製造装置の第2の例を示す平面図である。 第2の実施形態による光電変換膜の製造工程を模式的に示す図である。 第3の実施形態による光電変換膜の製造装置およびそれを適用した光電変換膜の製造工程を示す図である。 実施形態の光電変換素子の一例を示す断面図である。 実施形態の光電変換素子の他の例を示す平面図である。 実施例7で使用した光電変換膜の製造装置を示す図である。 実施例12で使用した光電変換膜の製造装置を示す図である。
以下、実施形態の光電変換材料分散液とその製造方法、光電変換膜の製造方法と製造装置、および光電変換素子について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下等の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する製膜対象物の製膜面を上とした場合の相対的な方向を示し、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある。
[光電変換材料分散液とその製造方法]
図1は実施形態の光電変換材料分散液の状態を模式的に示す図である。図1に示す光電変換材料分散液1は、分散媒2と、分散媒2中に分散されたペロブスカイト結晶粒子3とを備えている。ペロブスカイト結晶粒子3は、下記の式(1)で表される組成を有し、3次元結晶構造を持つものである。
組成式:ABX …(1)
式(1)において、Aはアミン化合物の1価陽イオンであり、Bは金属元素の2価陽イオンであり、Xはハロゲン元素の1価陰イオンである。
ペロブスカイト型結晶構造は、0次元構造から3次元構造までの4種類に分けられる。ABXで表される組成を有する2次元構造とABXで表される組成を有する3次元構造が、高効率な光電変換材料およびそれを用いた光電変換素子を得る上で有利である。これらのうち、3次元構造は励起子の束縛エネルギーが低いことが知られており、高効率な光電変換材料および光電変換素子を得る上でより好ましい。Aサイトのイオン半径が大きい場合は2次元構造を取り、小さい場合は3次元構造を取ることが知られている。
Aサイトイオンがトレランスファクタtが0.75〜1.1の間となるイオン半径を持つ場合に、3次元構造のペロブスカイト型結晶となることが経験的に知られている。トレランスファクタtは、下記の式(2)で表される値である。イオン半径にはいくつか種類があるが、Shannonのイオン半径を用いる。
t=(Aサイトイオン半径+Xサイトイオン半径)/{21/2×(Bサイトイオン
半径+Xサイトイオン半径)}…(2)
上述したようなAサイトイオンの条件を満足させるために、Aサイトはアミン化合物の1価陽イオンで構成される。Aサイトを構成するアミン化合物は、メチルアンモニウム(CHNH)およびホルムアミジニウム(NHCHNH)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、Bサイトは金属元素の2価陽イオンで構成され、Xサイトはハロゲン元素の1価陰イオンで構成される。Bサイトを構成する金属元素は、鉛(Pb)および錫(Sn)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。Xサイトを構成するハロゲン元素は、ヨウ素(I)、臭素(Br)、および塩素(Cl)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらによって、高い光電変換効率が得られる。
ペロブスカイト結晶粒子3は、10〜10000nmの範囲の平均粒径を有している。ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径が10nm未満であると、粒子が凝集しやすくなり、分散媒2中に均一に分散させることが困難になる。ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径が10000nmを超えると、分散媒2中で沈降しやすくなり、分散媒2中に均一に分散させることが困難になる。ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径は20nm以上であることがより好ましく、さらに30nm以上であることが望ましい。ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径は1000nm以下であることがより好ましく、さらに300nm以下であることが望ましい。ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径は、レーザ回折/散乱式の粒子径分布測定装置を用いて測定した値を示すものである。
さらに、ペロブスカイト結晶粒子3の平均粒径は、分散液1を用いて形成するペロブスカイト結晶層(光電変換膜)の使用用途によっても調整することが好ましい。例えば、太陽電池のように電流が重要な光電変換素子に適用する場合と、光ダイオードのように電圧に変化が生じればよい光電変換素子に適用する場合とでは、ペロブスカイト結晶粒子3の適切な平均粒径が異なる。前者の場合、ペロブスカイト結晶層の膜厚は10〜1000nmであることが好ましい。これより厚くなると電流を取り出しにくくなる。後者の場合は、これより厚くなっても構わない。分散液1を用いて膜厚1000nmのペロブスカイト結晶層を形成するにあたって、平均粒径が1000nmのペロブスカイト結晶粒子3を用いると充填率が低い膜になってしまう。このような場合には、平均粒径が300nm以下のペロブスカイト結晶粒子3を用いることで、複数からなる結晶粒子層がまず形成され、これに後述するパッキング処理を施すことによって、充填率が高く、表面が平滑な膜厚1000nmのペロブスカイト結晶層を形成することができる。
実施形態の光電変換材料分散液1において、分散液1中のペロブスカイト結晶粒子3の濃度は0.1〜40体積%の範囲であることが好ましい。ペロブスカイト結晶粒子3の濃度が低すぎると、後述する分散媒2の乾燥工程において、乾燥時間が長くなったり、また乾燥に要するエネルギーが大きくなってしまう。ただし、ペロブスカイト結晶粒子3の濃度が高すぎると、粒子の凝集等が生じやすくなる。
上述したようなペロブスカイト結晶粒子3を分散させる分散媒2には、ペロブスカイト結晶の貧溶媒が用いられる。ここで、貧溶媒とはペロブスカイト結晶が実質的に溶解しない溶媒であり、ペロブスカイト結晶層の製膜プロセスにおける固形分濃度、温度、圧力等の環境下において、ペロブスカイト結晶が実質的に溶解しない溶媒である。ペロブスカイト結晶粒子とその貧溶媒との混合液において、目視観察で白濁が見られれば実質的に溶解しないということができる。ペロブスカイト結晶の貧溶媒の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン等の炭素数が6以上の脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数が5以上の脂環族炭化水素溶媒、塩素化されたアルカン、フッ素化されたアルカン、塩素化およびフッ素化されたアルカン等の炭素数が4以上のハロゲン化炭化水素溶媒、シリコーンコンオイル、あるいはこれらの混合物が挙げられる。ここでは絶縁性液体を例示したが、貧溶媒は導電性液体であってもよい。
ペロブスカイト結晶の貧溶媒である分散媒2中にペロブスカイト結晶粒子3を分散させると、ペロブスカイト結晶粒子3が分散媒2に実質的に溶解しないため、図1に示すように、ペロブスカイト結晶粒子3の状態で分散媒2中に存在する。従って、後に詳述するように、分散液1を用いた光電変換膜の製造工程において、ペロブスカイト結晶層を大面積に均一かつ良質に製膜することができる。一方、図2に示すように、ペロブスカイト結晶の良溶媒にペロブスカイト結晶材料を溶解させた溶液1Xでは、ペロブスカイト結晶材料の構成成分イオン3XXが分散媒2X中に存在し、一部はペロブスカイト結晶の微結晶粒子またはゲル等として存在する。このような状態から製膜対象物上で結晶化させてペロブスカイト結晶層を形成するため、数多くの因子の影響を受ける。従って、後に詳述するように、大面積に均一かつ良質なペロブスカイト結晶層を形成することは難しい。
光電変換材料分散液1は、図3に示すように、電荷付与剤4を含んでいてもよい。電荷付与剤4を分散媒2中に添加すると、電荷付与剤4がペロブスカイト結晶粒子3に付着するため、ペロブスカイト結晶粒子3をよりしっかりと帯電させることができる。ペロブスカイト結晶粒子3を帯電させることによって、電界の力を利用して分散媒2でペロブスカイト結晶粒子3を泳動させやすくしたり、製膜対象物に付着させやすくしたり、分散媒2中で凝集しにくくすることができる。電荷付与剤4を追加しなくても、不純物の影響やペロブスカイト結晶粒子3の誘電現象等により泳動させることができるが、電荷付与剤4を追加することで、よりその特性を向上させることができる。
電荷付与剤4としては、金属の有機酸塩、レシチン、その他公知の分散液用電荷付与剤を用いることができる。金属の有機酸塩の具体例としては、ナフテン酸、オレイン酸、オクチル酸、スルホン酸、ドデシル酸、デドシルベンゼンスルホン酸、2−エチルヘキサン酸等の有機酸と、ジルコニウム、コバルト、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、ランタン、ガドリニウム、ナトリウム、カルシウム等の金属との化合物(有機酸塩)が挙げられる。分散液1中における電荷付与剤4の濃度は、電荷付与剤4の種類等に応じて適宜に設定され、例えばペロブスカイト結晶粒子3に対して0.05〜5質量%の範囲が好ましい。
光電変換材料分散液1を構成する分散媒2は、ペロブスカイト結晶の貧溶媒であることに加えて、絶縁性液体であることが好ましい。絶縁性の分散媒2を用いることによって、ペロブスカイト結晶粒子3を泳動させやすくしたり、製膜対象物に付着させやすくしたり、分散媒中で凝集しにくくすることができる。さらに、分散液1を製膜対象物に付着させて光電変換膜を形成するにあたって、後述する電着製膜や電子写真方式を適用する場合、分散媒2は絶縁性液体であることが好ましい。絶縁性の分散媒2の例は上述した通りであり、より具体的な例としては、エクソン社製のアイソパーG(登録商標)、アイソパーH(登録商標)、アイソパーK(登録商標)、アイソパーL(登録商標)、アイソパーM(登録商標)、アイソパーV(登録商標)等の分枝型パラフィン溶媒混合物が挙げられる。これらはペロブスカイト結晶の貧溶媒でもある。
実施形態の光電変換材料分散液1の製造方法は、特に限定されるものではなく、各種の方法で製造することができる。分散液1の製造方法の一例を以下に述べる。まず、ペロブスカイト結晶粒子3の形成材料(ペロブスカイト原料)と、ペロブスカイト結晶の貧溶媒(第1の液体)と、ペロブスカイト結晶の良溶媒(第2の液体)とを用意する。第2の液体は、ペロブスカイト結晶の溶解度が貧溶媒より高いものであればよいが、ペロブスカイト結晶の溶解性を考慮して良溶媒であることが好ましい。さらに、第2の液体には第1の液体(貧溶媒)より蒸気圧が高い溶媒が用いられる。
ペロブスカイト原料と第2の液体(良溶媒)とを混合し、ペロブスカイト原料を含む第1の混合液を調製する。第1の混合液は、ペロブスカイト結晶溶液であることが好ましい。次いで、貧溶媒(第1の液体)にペロブスカイト結晶溶液のような第1の混合液を添加し、第2の混合液を調製する。第2の混合液に対して加熱および減圧の少なくとも一方を実施し、第2の混合液から第2の液体(良溶媒)を蒸発させる。これによって、第2の液体(良溶媒)中でイオン化していたペロブスカイト結晶を、貧溶媒中で結晶化させてペロブスカイト結晶粒子3を生成することによって、ペロブスカイト結晶粒子3を貧溶媒(分散媒2)中に分散させた分散液1が得られる。
第2の混合液の調製工程およびペロブスカイト原料の結晶化工程は、例えば以下のようにして実施することが好ましい。まず、貧溶媒を入れてスターラー等で撹拌している容器に、ペロブスカイト溶液を充填したマイクロシリンジ等の注入器を浸し、貧溶媒中にペロブスカイト結晶溶液を注入する。この後、容器を開放した状態で撹拌したまま、液体を加熱または減圧する。貧溶媒よりも蒸気圧の高い良溶媒を用いることで、良溶媒を選択的に除去することができる。その後、室温に戻す。以上により良溶媒中のペロブスカイト原料のイオンが貧溶媒中で結晶化し、貧溶媒中に分散されたペロブスカイト結晶粒子3が得られる。また必要に応じて、フィルタリングや遠心分離等の分級を行ってもよい。ペロブスカイト結晶の良溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
光電変換材料分散液1の製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば以下に示すような方法で製造してもよい。例えば、ペロブスカイト結晶のインゴットを作製し、これを貧溶媒を用いた湿式機械的分散法で粉砕し、適宜分級する方法によっても、光電変換材料分散液1を得ることができる。湿式機械的分散法としては、サンドグラインダ、ペイントシェーカ、ナノマイザー等が挙げられる。分級にはフィルタリングや遠心分離等が用いられる。電荷付与剤4を含む分散液1は、上述した各種方法で作製した分散液1に電荷付与剤4を添加することにより得られる。
[光電変換膜の製造方法および製造装置]
次に、光電変換膜の製造方法および製造装置の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、光電変換膜の製造工程に、塗布製膜法を適用した第1の実施形態、電着製膜法を適用した第2の実施形態、電子写真方式を適用した第3の実施形態について主として述べる。ただし、光電変換膜の製造方法は、これらに限定されるものではない。実施形態の光電変換膜の製造方法は、実施形態の光電変換材料分散液1を製膜対象物に付着させて、光電変換膜としてペロブスカイト結晶粒子3を含む膜を形成する工程を具備する方法であればよい。また、実施形態の光電変換膜の製造装置は、実施形態の光電変換材料分散液1を製膜対象物に付着させる製膜機構を具備する装置であればよい。
(第1の実施形態)
図4は第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を模式的に示している。図4(a)に示すように、製膜対象物として第1の電極11を有する基板12を用意する。基板12の第1の電極11上に光電変換材料分散液1を塗布する。光電変換材料分散液1の塗布法(および塗布機構)は、光電変換材料分散液1を製膜対象物上に均一な膜厚で供給できる方法(および機構)であればよく、例えばスピンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、メニスカス塗布法等の液体塗布法が適用される。
次に、図4(b)に示すように、第1の電極11上に塗布した光電変換材料分散液1を乾燥させて、ペロブスカイト結晶粒子3を含む膜13を形成する。膜13を光電変換膜として用いてもよいが、図4(c)に示すように、膜13にパッキング処理を施すことによって、緻密な膜14とすることが好ましい。パッキング処理としては、膜13をペロブスカイト結晶の良溶媒やその蒸気に暴露する方法、膜13を加熱する方法、膜13を加圧する方法、およびこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。このようなパッキング処理を施して、ペロブスカイト結晶膜14を緻密化することによって、光電変換膜(14)の特性を向上させることができる。さらに、図4(d)に示すように、ペロブスカイト結晶膜14上に第2の電極15を形成することで光電変換素子16が構成される。なお、パッキング処理および装置については、後に詳述する。
図5は従来の光電変換膜の形成溶液、すなわちペロブスカイト結晶材料3XXを良溶媒2Xに溶解させた溶液1Xを用いた光電変換膜の製造工程を示している。まず、溶液1Xを基板12の第1の電極11上に塗布(図5(a))して略乾燥(図5(b))される。この後、ペロブスカイト結晶材料3XXの略乾燥膜131Xを加熱処理し、ペロブスカイト結晶材料3XXの結晶化を促進することによって、ペロブスカイト結晶粒子3Xを含む膜132Xを形成(図5(c))する。このような従来の製膜方法では、ペロブスカイト結晶層132の膜質が数多くの因子の影響を受け、かつその影響を受けやすい。例えば、ペロブスカイト材料溶液の乾燥条件、溶媒の種類、添加剤、不純物、固形分濃度、温度、さらに製膜対象物表面の材質、温度、不純物、凹凸等の影響を受ける。例えば、大面積に製膜する場合、乾燥条件にムラが生じやすいため、膜質にもムラが生じる。このため、得られる膜のモルフォロジが低下したり、結晶のサイズや形状、膜厚が不均一になったり、さらに膜中に結晶の格子欠損や転位(D1)、方位ずれ(D2)等が生じやすくなる。
このような点に対して、実施形態の光電変換膜の製造方法では、既に結晶化されたペロブスカイト結晶粒子3を製膜対象物上に供給し、さらには必要に応じてパッキング処理を行うため、ペロブスカイト結晶層14の膜質に及ぼす因子の数が比較的少なく、かつその影響度が小さいため、大面積に均一かつ良質なペロブスカイト結晶層14を再現性よく形成することができる。従って、予め用意しておいたペロブスカイト結晶粒子3の特性に応じた特性が得られやすい。さらに、後述するように、ペロブスカイト結晶層14の任意形状へのパターン製膜性を向上させることができる。
ここで、3次元構造のペロブスカイト結晶は、一般に2次元構造よりも結晶成長の結晶方位異方性が小さい。2次元構造の場合、結晶成長の結晶方位異方性が比較的大きいため、従来の方法を用いた場合でも、膜厚が数100nmレベルと薄く、かつマイクロメートルレベルの面積のナノシート形状の結晶を生成しやすい。一方、3次元構造の場合、結晶成長の結晶方位異方性が小さいため、従来の製膜方法を用いた場合、シート状ではなくブロック状の結晶が生成しやすい。すなわち、光電変換膜の膜厚として適切な数100nmレベルの膜厚とマイクロメートルレベルの面積とを両立させることが難しい。このような点に対して、実施形態の製膜方法を適用することで、大面積に均一かつ良質なペロブスカイト結晶層14を再現性よく形成することができる。すなわち、実施形態の製膜方法は3次元構造のペロブスカイト型結晶を用いる場合により有効な効果が得られる。
次に、第1の実施形態による光電変換膜の製造工程を適用した製造装置(製膜装置)の具体例について、図6ないし図9を参照して説明する。図6ないし図9はメニスカス塗布法を適用した製膜装置(塗布装置)101を示している。製膜装置101は、基板12等の製膜対象物が配置されるステージ102と、ステージ102と対向して配置される円柱状の塗布ヘッド103と、基板12と塗布ヘッド103との間に塗布液として光電変換材料分散液1を供給する供給機構104とを備え、位置が固定された塗布ヘッド103に対してステージ102を水平方向に移動させるように構成されている。ステージ102の移動に代えて、塗布ヘッド103を移動させてもよいし、またステージ102と塗布ヘッド103を同時に反対方向または同方向に移動させてもよい。
図6および図7に示す製膜装置101において、基板12と塗布ヘッド103との間に光電変換材料分散液1が一様に供給されてメニスカス柱が形成される。塗布ヘッド103の位置を固定した状態で、ステージ102を水平方向(図中、矢印x方向)に移動させる。これによって、ステージ102上に配置された基板12を塗布ヘッド103に対して移動させ、塗布ヘッド103で光電変換材料分散液1が延ばされるようにして基板12上に塗布される。なお、塗布ヘッド103は、通常は非回転の状態で用いられる。その後、前述したように分散液1の乾燥と必要に応じてパッキング処理とが実施される。
図8および図9に示す製膜装置101は、多連の短冊状のパターン塗布を行うために、塗布ヘッド103が多連に分割されている。さらに、塗布ヘッド103の各分割領域に光電変換材料分散液1を供給するように、分割領域毎に供給機構104がそれぞれ備えられている。複数の供給機構104から基板12と塗布ヘッド103との間に光電変換材料分散液1を供給すると、多連に分割された塗布ヘッド103に応じて、多連に分割されたメニスカス柱が形成される。塗布ヘッド103の位置を固定した状態で、ステージ102を水平方向(図中、矢印x方向)に移動させることによって、基板12上に光電変換材料分散液1が多連の短冊状にパターン塗布される。
光電変換材料分散液1をパターン塗布する必要がある場合には、図8および図9に示すような製膜装置101が用いられる。後に詳述するように、光電変換素子を太陽電池モジュール等に適用する際に、短冊状のセルを複数並べて形成すると共に、これら複数のセル間を直列に接続する場合がある。複数のセル間を直列に接続するためには、ペロブスカイト結晶層がない領域を形成する必要がある。このような場合に、図8および図9に示すような製膜装置101による多連パターン塗布が好適に適用される。直列に接続する必要がない光電変換膜を製造する場合や、光電変換材料分散液1を塗布した後にパターニングするような場合には、図6および図7に示すような製膜装置101が用いられる。
(第2の実施形態)
図10は第2の実施形態による光電変換膜の製造工程を模式的に示している。図10(a)に示すように、基板12の第1の電極11と対向させて電着用電極17を配置する。第1の電極11と電着用電極17との間に光電変換材料分散液1を存在させ、この状態で第1の電極11と電着用電極17に電源18から電圧を印加する。図10(a)では図示を省略したが、光電変換材料分散液1を保持し得るような液槽や密閉構造等が適用される。印加された電圧によって、光電変換材料分散液1中のペロブスカイト結晶粒子3は第1の電極11上に電着される。光電変換材料分散液1に含まれるイオン性の不純物の存在によりペロブスカイト結晶粒子3が電気泳動する。また、ペロブスカイト結晶粒子3が誘電性を持つ場合、いわゆる誘電泳動によって粒子が泳動する。あるいは、電圧を印加することによって、ペロブスカイト結晶粒子3に電荷が注入されて電気泳動する。
電圧を印加する第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比べて、ペロブスカイト結晶粒子3が密に充填され、また誘電泳動の場合は結晶方位が揃った状態で粒子が充填されることが考えられる。また、Aサイトにアミン化合物を用いることで、ペロブスカイト結晶粒子3の誘電率が高くなるためにより好ましい。第1の電極11と電着用電極17に電圧印加することにより生じる電気力線が不均一であると、誘電泳動が起こりやすくなるためにより好ましい。具体的には、第1の電極層11を平面形状とし、電着用電極17を点状や線状にすることが挙げられる。印加電圧V(V)は、第1の電極11と電着用電極17との間隔をd(mm)とした場合、50<V/d<10000となるように設定することが好ましい。V/d比が50以下であると泳動しにくく、10000以上であると絶縁破壊が生じやすくなる。分散媒2は貧溶媒であると同時に、絶縁性であることが好ましい。絶縁性の分散媒2を用いることで、ペロブスカイト結晶粒子3が泳動しやすくなり、またペロブスカイト結晶粒子3が付着しやすくなる。
上述した電着製膜法を適用する場合、光電変換材料分散液1は電荷付与剤4を含むことが好ましい。光電変換材料分散液1に電荷付与剤4を添加することによって、ペロブスカイト結晶粒子3を泳動させやすくしたり、製膜対象物に付着させやすくしたり、分散媒2で凝集しにくくすることができる。ペロブスカイト結晶粒子3が泳動しやすくなることで、粒子がより密に充填されることが考えられ、さらに良い特性が得られる。なお、図10(a)に示す電着工程(電着によるペロブスカイト結晶粒子3の付着工程)以降は、第1の実施形態と同様に、光電変換材料分散液1の乾燥工程(図10(b))、また必要に応じてパッキング処理工程(図10(c))、さらに第2の電極15の形成工程(図10(d))が実施され、光電変換素子16が作製される。
(第3の実施形態)
図11は第3の実施形態による光電変換膜の製造装置(製膜装置)111とそれを用いた光電変換膜の製造工程を示している。製膜装置111およびそれを用いた製膜工程は、複写機やプリンタ等で用いられる、いわゆる電子写真方式を用いている。電子写真方式を用いることで、製膜対象物上に短冊状に限らず、任意のパターンで光電変換膜を製膜できる。製膜装置111は、静電パターン担持体として感光層112を有する感光体ドラム113と、感光層112を帯電させる帯電器114と、感光層112を露光する露光器115と、感光体ドラム113と所定の間隙を持って配置された電着部材116と、電着部材116に供給される光電変換材料分散液1を収容する容器117と、電着部材116に電圧を印加する電源118と、転写部材119と、転写バイアス印加部材120と、転写バイアス印加部材120に電圧を印加する電源121とを備えている。電極11を有する基板(電極付き基板)12は、感光体ドラム113と転写部材119との間に挿入される。
感光体ドラム113を回転させながら感光層112を帯電器114で帯電させる。露光器115を用いて感光体ドラム113に光を当てると、感光層112の作用により光を当てた部分のみ帯電電荷が消失して静電パターン(静電潜像)が形成される。感光体ドラム113と電着部材116との間に光電変換材料分散液1を供給し、この状態で電着部材116に電圧を印加することによって、静電パターンに応じてペロブスカイト結晶粒子(光電変換材料粒子)が感光体ドラム113に選択的に電着される。感光体ドラム113と転写部材119との間に製膜対象物としての電極付き基板12を挿入し、基板12の電極に電圧を印加することによって、感光体ドラム113上に形成されたペロブスカイト結晶粒子のパターンが電極付き基板12に転写される。電極付き基板12の電極に電圧を印加する方法としては、転写バイアス印加部材120を電極に接触させ、転写バイアス印加部材120を経由して電圧を印加する方法を用いることができる。
感光体ドラム113の感光層112には、有機感光層やアモルファスシリコン感光層等の任意の感光層を用いることができる。帯電器114には、コロナ帯電器やイオンフロー装置等の任意の帯電器を用いることができる。極性は、正負いずれであってもよい。露光器115には、レーザやLED等を用いた任意の露光装置を用いることができる。電着部材116には、電界が印加できる任意の部材を用いることができる。例えば、ステンレス等からなるローラ状の部材を光電変換材料分散液1に浸し、ローラ部材を回転させることで、光電変換材料分散液1をくみ上げつつ電圧を印加することによって、光電変換材料分散液1を感光体ドラム113に供給する機能を発揮させつつ電着を行うことができる。
電着部材116に印加する電圧の極性は、正負のいずれであってもよい。例えば、光電変換材料分散液1中のペロブスカイト結晶粒子の帯電極性が正で、感光体ドラム113の帯電極性が正の場合、電着部材116に印加する電圧を感光体ドラム113の帯電電位より低い正極性にすることによって、感光体ドラム113の露光した部分のみにペロブスカイト結晶粒子が電着される(電子写真技術における反転現像方式)。他の例としては、光電変換材料分散液1中のペロブスカイト結晶粒子の帯電極性が正で、感光体ドラム113の帯電極性が負の場合、電着部材116に印加する電圧を感光体ドラム113の露光部分の電位より低い負極性にすることによって、感光体ドラム113の露光していない部分のみにペロブスカイト結晶粒子が電着される(電子写真技術における正規現像方式)。
転写バイアス印加部材120には、電圧を印加できる任意の部材を用いることができる。例えば導電性の弾性ゴムローラを電極付き基板12に当接しつつ、回転させながら電圧を印加することで、電極付き基板12の表面を損傷させることなく、感光体ドラム113上のペロブスカイト結晶粒子のパターンを電極付き基板に転写することができる。
図11に示す製膜装置111は、さらに乾燥装置122とパッキング処理装置として良溶媒暴露装置123および加熱・加圧装置124を備えている。乾燥装置122を用いることによって、電極付き基板12に転写されたペロブスカイト結晶粒子層の乾燥時間を短縮することができる。乾燥装置122には、気体ブロー式、加熱方式、赤外線方式等の任意の方式を適用することができる。パッキング処理には、ペロブスカイト結晶粒子層に良溶媒を暴露した後、少なくとも一方を加熱した一対の熱押圧部材の間に電極付き基板12を通すことで加熱と加圧を行う方法等を用いることができる。良溶媒暴露と加熱と加圧のうちの少なくとも1つを行うことでパッキング処理効果が得られる。
良溶媒暴露装置123には、電極付き基板12上に形成されたペロブスカイト結晶粒子層に、良溶媒を液体状態で供給する方式や、良溶媒を気体状態やミスト状態で供給する任意の方式等を用いることができる。例えば、良溶媒を入れた容器を加熱して蒸気を発生させる方式、超音波霧化方式、スプレー方式等が挙げられる。加熱・加圧装置124の熱押圧部材には、例えばヒーターを内蔵した弾性ゴムローラを用いることができる。これを2本向かい合わせて設置し、その間にペロブスカイト結晶粒子層を有する電極付き基板12を通しつつ2本のローラを互いに押し付ける方法等を用いることができる。ローラ表面の離型性が高いと、ペロブスカイト結晶粒子層がローラ側に付着する現象を抑えられてより好ましい。例えば、ゴムローラの表面にPTFE等のフッ素系材料の肉薄チューブを被せる方式を用いることができる。
図11に示す製膜装置111によれば、電極付き基板を転写工程からパッキング工程まで途切れることなく進める、いわゆるロール・トゥー・ロール方法で光電変換膜を形成することができる。ただし、電子写真方式を適用した製膜装置111はこれに限られるものではなく、枚葉の電極付き基板を用いて、各工程を順に実施していく方式を用いることもできる。なお、電着工程と転写工程の間に電子写真技術におけるセット工程や絞り工程等を設けてもよい。セット工程とは、感光体ドラム113とペロブスカイト結晶粒子との付着力を増強する工程である。絞り工程とは、感光体ドラム113上の光電変換材料分散液1の余剰な分散媒を絞り取る工程である。また、転写工程から電着工程までの間にクリーニング工程を設けてもよい。クリーニング工程とは、転写工程後に感光体ドラム113上に残留したペロブスカイト結晶粒子をクリーニングする工程である。セット工程、絞り工程、およびクリーニング工程には、電子写真技術で一般的に用いられている任意の方法を用いることができる。なお、電子写真方式以外の静電力を用いた既知のパターン製膜方法を用いてもよく、イオンフロー方式等が挙げられる。
[光電変換素子]
次に、光電変換素子の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、光電変換素子を太陽電池モジュールに適用した実施形態について主として述べる。ただし、実施形態の光電変換素子は、これに限定されるものではない。実施形態の光電変換素子は太陽電池以外に、光センサ、発光素子、光ダイオード、光メモリ等に適用することができる。また、以下では短冊状のセルを複数並べて形成すると共に、これら複数のセル間を直列に接続した太陽電池モジュールについて主として述べるが、1つの大面積セルを有する太陽電池モジュールであってもよい。他の光電変換素子も同様である。
図12は実施形態の光電変換素子を適用した太陽電池モジュールを示している。図12に示す太陽電池モジュール21は、直列接続された複数のセル部22A、22Bを有している。支持基板23上には、分離された複数の透明電極(第1の電極)24A、24Bが形成されている。透明電極24A、24B上には、それぞれ第1の中間層25A、25Bを介して光電変換膜26A、26Bが形成されている。光電変換膜26A、26B上には、それぞれ第2の中間層27A、27Bを介して対向電極(第2の電極)28A、28Bが形成されている。第1および第2の中間層25A、25B、27A、27Bは必要に応じて設けられる。セル部22Aの対向電極(第2の電極)28Aは、セル部22Bの透明電極(第1の電極)24Bと電気的に接続されている。
光電変換膜26(26A、26B)は、前述した実施形態の光電変換材料分散液を用いて、実施形態の製膜法により形成されたペロブスカイト結晶層であり、ペロブスカイト結晶層は電荷付与剤を含んでいることが好ましい。光電変換膜26の厚さは10〜1000nmの範囲であることが好ましい。光電変換膜26には、例えば支持基板23側から太陽光や照明光等の光が照射される。太陽電池モジュール21に照射された光をペロブスカイト結晶層からなる光電変換膜26が吸収すると、電子とそれと対になる正孔とが生成される。生成された電子と正孔のうち、例えば電子は第1の中間層25(25A、25B)としての電子輸送層を介して透明電極(第1の電極)24(24A、24B)で捕集され、正孔は第2の中間層27(27A、27B)としての正孔輸送層を介して対向電極(第2の電極)28(28A、28B)で捕集される。
支持基板23は、絶縁性を有する材料により構成される。支持基板23側からの光を利用する場合、支持基板23は光透過性をも有する材料により構成される。支持基板23の構成材料には、無アルカリガラス、石英ガラス、サファイア等の無機材料や、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー等の有機材料が用いられる。支持基板23は、無機材料や有機材料からなるリジッドな基板であってもよいし、有機材料や極薄の無機材料からなるフレキシブルな基板であってもよい。
第1の電極24は、支持基板23側からの光を利用する場合、光透過性と導電性とを有する材料により構成される。第1の電極24の構成材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)等の導電性金属酸化物、金、白金、銀、銅、チタン、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、インジウム、アルミニウム等の金属やそれら金属を含む合金、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)のような導電性高分子等が挙げられる。第1の電極24は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等により形成される。
電子輸送層は、光電変換膜26で生成された正孔をブロックし、電子を選択的にかつ効率的に第1の電極層24に輸送する機能等を有する。電子輸送層には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ガリウムのような金属酸化物、ポリエチレンイミンのような有機材料等が用いられる。正孔輸送層は、光電変換膜26で生成された電子をブロックし、正孔を選択的にかつ効率的に第2の電極層28に輸送する機能等を有する。正孔輸送層は、PEDOT/PSS、ポリチオフェン、ポリピロール、トリフェニレンジアミンポリピロール、ポリアニリンのような有機導電性ポリマー、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウムのような金属酸化物、C6036やC7036のような水素化フラーレン、C60やC70を酸化した酸化フラーレン、フラーレン金属錯体、[6,6]フェニルC61ブチル酸メチルエスター(PC60BM)、[6,6]フェニルC71ブチル酸メチルエスター(PC70BM)、ビスインデンC60(60ICBA)等のフラーレン誘導体が用いられる。電子輸送層および正孔輸送層は、真空蒸着法やスパッタ法のような真空成膜法、ゾルゲル法、塗布法等により形成される。
第2の電極28(28A、28B)は、導電性を有し、場合によっては光透過性を有する材料により構成される。第2の電極28の構成材料としては、例えば白金、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、タングステン、チタン、ジルコニウム、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、サマリウム、テルビウムのような金属、それらを含む合金、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)のような導電性金属酸化物、PEDOT/PSSのような導電性高分子、あるいはグラフェン、カーボンナノチューブのような炭素材料等が挙げられる。第2の電極28は、例えば真空蒸着法やスパッタ法のような真空成膜法、ゾルゲル法、塗布法等により形成される。
実施形態の光電変換素子21においては、光電変換膜26に前述した実施形態の光電変換材料分散液を用いて、実施形態の製膜方法により形成されたペロブスカイト結晶層を適用しているため、光電変換膜26の大面積化を実現することができる。さらに、実施形態の光電変換材料分散液、特に電荷付与剤を含む光電変換材料分散液は、パターン製膜性に優れているため、図12に示すような複数のセル(モジュール)を直列接続する場合の光電変換膜26の形成性を高めることができる。従って、複数のモジュールを直列接続することで大面積化による特性劣化を抑制した光電変換素子を提供することが可能になる。
図13は実施形態の光電変換素子(太陽電池モジュール)の他の例を示す図である。図13は光電変換素子21の対向電極28を示している。光電変換素子21は、扇形の複数のセル部を備えており、これらセル部は放射線状に配置されていると共に、直列に接続されている。複数のセル部はそれぞれ扇形の対向電極28A、28B、28C、28Dを有している。このような円形の直列モジュールは、腕時計向けの太陽電池に好適である。実施形態の光電変換材料分散液と例えば電子写真方式の製膜方法とを組み合わせることによって、任意のパターン形状を有する光電変換膜を形成することができ、様々な形状を有する光電変換素子を製造並びに提供することが可能になる。
次に、実施例およびその評価結果について述べる。
(実施例1)
実施例1では、図6および図7に示した製膜装置101を用いて、発電部面積が10mm×10mmのペロブスカイト光電変換膜を形成し、それを用いてペロブスカイト太陽電池を作製した。まず、透明電極付き支持基板としてITO膜を有する100mm×100mmの無アルカリガラス基板を用意し、前処理としてUVオゾン洗浄を行った。
ITO膜を有する無アルカリガラス基板上に、第1の中間層として厚さ約50nmのPEDOT・PSS層を以下のようにして製膜した。図6および図7に示したメニスカス製膜装置のステージ上に上記基板を配置した。基板上に0.3mmの間隔となるように塗布ヘッドを配置した。次いで、塗布ヘッドの幅方向の全体に拡がるように供給装置を用いてPEDOT・PSSインクを供給した。塗布ヘッドの位置を固定した状態でステージを水平方向に4mm/sの速度で移動させてPEDOT・PSS層を製膜した。この後、120℃で30分間乾燥させた。PEDOT・PSSは、ヘレウス(Heraeus)社製のClevios AI4083を用いた。以下、ITO膜とPEDOT・PSS層を有する無アルカリガラス基板を被処理基板と記す。
次に、被処理基板上にペロブスカイト結晶層を以下のようにして製膜した。まず、ペロブスカイト材料分散液を以下のようにして作製した。アセトニトリル100mLに、ヨウ化メチルアンモニウム(CHNHI)30.4mgとヨウ化鉛(PbI)88mgとを加えて溶液を調製し、これをマイクロシリンジに充填した。アイソパーL(エクソンモービル社製、登録商標)を入れて撹拌しているサンプル瓶に、マイクロシリンジのニードルを浸し、ペロブスカイト材料溶液を注入した。サンプル瓶の蓋を開けて撹拌したまま60℃で30分間加熱した。室温に戻した後、孔径5μmのフィルタに通すことで、ペロブスカイト材料分散液を調製した。レーザ回折/散乱式の粒子径分布測定で得られた平均粒径は約280nmであった。
PEDOT・PSS層と同様に、メニスカス製膜装置を用いてペロブスカイト結晶層を製膜した。製膜は窒素雰囲気下で行った。被処理基板と塗布ヘッドの間隔を0.88mmに設定し、ステージの移動速度を10mm/sに設定して被処理基板上にペロブスカイト材料分散液を塗布して自然乾燥させた。次いで、窒素雰囲気下において90℃で2時間加熱することでペロブスカイト結晶層のパッキング処理を行った。パッキング処理後のペロブスカイト結晶層の厚さは約400nmであった。
次に、第2の中間層として厚さ約100nmのPC60BM層を以下のようにして製膜した。モノクロロベンゼン1mLに、PC60BM20mgを加えて撹拌することでPC60BM分散液を作製した。メニスカス製膜装置を用いてPC60BM層を製膜した。製膜は窒素雰囲気下で行った。被処理基板と塗布ヘッドの間隔を0.88mmに設定し、ステージの移動速度を8mm/sに設定してPC60BM分散液を塗布し、自然乾燥させた。次に、第3の中間層として厚さ約10nmのBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(bathocuproine))層と第2の電極層として厚さ約60nmのAg層を真空蒸着法で製膜した。
このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率を測定したところ、光電変換効率はサンプル3個の平均値で5.7%であった。光電変換効率の測定は、ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cmの放射照度、エアマス(AM)1.5Gの基準スペクトルで行った。以下の実施例および比較例も同様である。
(比較例1)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。ジメチルホルムアミド(DMF)1mLにCHNHI185mgとPbI538mgと加えて撹拌し、さらに孔径5μmのフィルタに通すことでペロブスカイト材料溶液を調製した。メニスカス製膜装置を用いてペロブスカイト層の製膜を行った。製膜は窒素雰囲気下で行った。被処理基板と塗布ヘッドの間隔を0.88mmに設定し、ステージの移動速度を10mm/sに設定して被処理基板上にペロブスカイト溶液を塗布し、液膜に窒素ブローを吹きかけることで強制乾燥させた。自然乾燥に比べて均質なペロブスカイト層が製膜できる。この後、80℃で2時間加熱することでペロブスカイト層の結晶化を進行させた。さらに、実施例1と同様に窒素雰囲気下において90℃で2時間加熱することでペロブスカイト層のパッキング処理を行った。ペロブスカイト層の厚さは実施例1と同様に約400nmであった。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.5%であった。比較例1に対する実施例1の変換効率の向上比は1.04であった。
(実施例2)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には溶媒蒸気暴露法を用いた。窒素雰囲気内で容器にDMFを少量滴下し、さらにペロブスカイト材料分散液を塗布および自然乾燥させた基板を入れ、容器を密閉して10分間放置することで、溶媒蒸気暴露によるパッキング処理を行った。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.4%であり、実施例1よりも高い効率であった。
(比較例2)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例2と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。ペロブスカイト層の製膜は、比較例1と同様にして実施した。その後、実施例2と同様に溶媒蒸気暴露によるパッキング処理を行ってペロブスカイト層の製膜を行った。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.9%であった。比較例2に対する実施例2の変換効率の向上比は1.08であった。さらに、この値は実施例1と比較例1で用いた加熱によるパッキング処理よりも高い向上比であった。
(実施例3)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には加圧を用いた。窒素雰囲気内でペロブスカイト結晶層側に保護シートとしてPTFEシートを挿入して2枚の金属板で基板を挟んで加圧することによりパッキング処理を行った。加圧時の圧力は、基板の面積1cmあたり約30kg重となる圧力に調整した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.5%であり、実施例1、2よりも高い効率であった。
(比較例3)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例3と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。ペロブスカイト層の製膜は、比較例1と同様にして実施した。その後、実施例3と同様に加圧によるパッキング処理を行ってペロブスカイト層の製膜を行った。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.9%であった。比較例3に対する実施例3の変換効率の向上比は1.10であった。この値は実施例1と比較例1で用いた加熱によるパッキング処理や実施例2と比較例2で用いた溶媒蒸気暴露によるパッキング処理よりも高い向上比であった。
(実施例4)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には、溶媒蒸気暴露と加熱と加圧の3つを併用した。実施例2と同様の条件で溶媒蒸気暴露を施した後、溶媒蒸気容器から基板を取り出して、すぐに90℃に加熱した2枚の金属板で基板を加圧した。加圧条件は実施例3と同様とした。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で7.2%であり、実施例1〜3よりも高い効率であった。
(比較例4)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例4と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。ペロブスカイト層の製膜は、比較例1と同様にして実施した。その後、実施例4と同様に溶媒蒸気暴露と加熱と加圧の3つを併用したパッキング処理を行った。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル個の平均値で5.9%であった。比較例4に対する実施例4の変換効率の向上比は1.22であった。この値は実施例1と比較例1で用いた加熱によるパッキング処理、実施例2と比較例2で用いた溶媒蒸気暴露によるパッキング処理、実施例3と比較例3で用いた加圧よるパッキング処理よりも高い向上比であった。
(実施例5)
発電部面積を12×50mmにする以外は、実施例4と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.7%であった。
(比較例5)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例5と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。ペロブスカイト層の製膜は、比較例1と同様にして実施した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で2.3%であった。比較例5に対する実施例5の変換効率の向上比は2.91であった。この値は実施例4と比較例4で説明した発電部面積が小さい太陽電池セルを用いた場合に比べて顕著に高い向上比であった。すわなち、ペロブスカイト材料溶液を用いる製膜方法の場合、膜質の均一性が低いため、製膜面積が大きくなるほど急激に光電変換効率が低下する。これに対して、ペロブスカイト材料分散液を用いる製膜方法の場合、膜質の均一性が高いため、製膜面積が大きくなっても光電変換効率が低下しにくい。
(実施例6)
素子タイプをセルから直列モジュールに変えると共に、それに伴って製膜方法をパターン製膜に変更する以外は、実施例5と同様にしてペロブスカイト太陽電池モジュールの作製・評価を行った。第1の中間層のPEDOT・PSS層とペロブスカイト結晶層は、図8および図9に示した製膜装置101を用いてパターン製膜した。太陽電池モジュールの構造は図12に示したように、隣接セル間を直列接続したものである。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.5%であった。直列モジュールの単セルの発電部面積は、実施例5と同じく12×50mmとし、光照射面積に対する発電部面積の比、すなわち開口率は94%である。
(比較例6)
ペロブスカイト層の製膜プロセス以外は、実施例6と同様にしてペロブスカイト太陽電池モジュールの作製・評価を行った。ペロブスカイト層の製膜プロセスには、ペロブスカイト材料溶液を用いる方法を適用した。ペロブスカイト材料溶液を用いる方法でパターン製膜した場合、塗布膜が拡がってしまう現象が起き、直列接続部にもペロブスカイト層が製膜されてしまった。光電変換効率は0.1%であり、やはりほとんど太陽電池として動作しないものであった。ペロブスカイト材料分散液を用いる方法に比べて、溶液を用いる方法のパターン精度は低い。塗布膜が拡がってしまう現象の原因として、製膜対象物に対する塗布液の濡れ性の違い、塗布液中のイオンの有無の違い、結晶成長現象の有無の違い、塗布液の粘度の違い、塗布液の溶媒の乾燥速度の違い等が考えられる。
(実施例7)
ペロブスカイト層の製膜に電着を用いる以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。電着プロセスは図14に示す製膜装置を用いて実施した。第1の中間層25を製膜した電極(24)付き支持基板23と、電着用対向電極31を有する電着用基材32とを、スペーサ33を挟んで対向させた。ペロブスカイト材料分散液1をその間隙に注入し、第1の電極24と電着用対向電極31との間に電源34から電圧を印加することでペロブスカイト結晶粒子3を第1の中間層25上に電着した。
スペーサ33の厚さは0.5mm、印加電圧は直流500Vとした。その後、電着用基材32を取り外して自然乾燥させた。実施例1と同様に加熱によるパッキング処理を行った。ペロブスカイト結晶層の膜厚は約400nmであった。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.2%であった。この値は比較例1に比べて高いことはもちろんのこと、ペロブスカイト結晶層を塗布で製膜した実施例1よりもさらに高い値であった。電着プロセスの際、第1の電極24が負極になるように電圧を印加することで、ペロブスカイト結晶粒子3を第1の電極24側に電着した。すなわち、ペロブスカイト結晶粒子3は正に帯電している、あるいは帯電していなくても泳動する、いわゆる誘電泳動の現象が起きていると推測される。
(実施例8)
ペロブスカイト材料分散液に電荷付与剤を添加する以外は、実施例7と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。電荷付与剤としては、ナフテン酸ジルコニウムのミネラルスピリット溶液(金属含有量6%)を用いた。電荷付与剤の添加量は、ペロブスカイト材料分散液中のペロブスカイト材料97質量部に対して、ナフテン酸ジルコニウムのミネラルスピリット溶液が3重量部となるように設定した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.4%であった。この値は実施例1に比べて高いことはもちろんのこと、ペロブスカイト材料分散液に電荷付与剤を添加していない実施例7よりもさらに高い値であった。電着プロセスの際、第1の電極24が負極になるように電圧を印加することで、ペロブスカイト結晶粒子3を第1の電極24側に電着した。すなわち、ペロブスカイト結晶粒子3は電荷付与剤を添加したことにより正に帯電していると推測される。
(実施例9)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例8と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には、実施例2と同様に溶媒蒸気暴露を適用した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で6.9%であった。比較例2に対する実施例9の変換効率の向上比は1.17であった。この値は実施例2と比較例2で説明したペロブスカイト材料分散液を用いた塗布製膜による向上比よりもさらに高い向上比であった。
(実施例10)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例8と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には、実施例3と同様に加圧を適用した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で7.1%であった。比較例3に対する実施例10の変換効率の向上比は1.20であった。この値は実施例3と比較例3で説明したペロブスカイト材料分散液を用いた塗布製膜による向上比よりもさらに高い向上比であった。
(実施例11)
ペロブスカイト層のパッキング処理法以外は、実施例8と同様にしてペロブスカイト太陽電池セルの作製・評価を行った。パッキング処理には、実施例4と同様に溶媒蒸気暴露と加熱と加圧の3つを併用した。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で7.4%であった。比較例4に対する実施例11の変換効率の向上比は1.25であった。この値は実施例4と比較例4で説明したペロブスカイト材料分散液を用いた塗布製膜による向上比よりもさらに高い向上比であった。
(実施例12)
素子タイプをセルから直列モジュールに変えると共に、それに伴ってペロブスカイト結晶層の電着方法を変更する以外は、実施例11と同様にしてペロブスカイト太陽電池モジュールの作製・評価を行った。まず、第1の中間層のPEDOT・PSS層は実施例6と同様にメニスカス塗布によるパターン製膜を適用した。ペロブスカイト結晶層の電着には、図15に示すようなパターン電着プロセスを用いた。第1の中間層25を製膜した電極(24)付き支持基板23と、電着用対向電極31を有する電着用基材32とを、スペーサ33を挟んで対向させた。このとき、第1の電極24と電着用対向電極31の大きさや位置の関係を適宜設定することによって、第1の電極24の一部にはペロブスカイト結晶粒子3が電着しないように、すなわち第1の電極24または第1の中間層25の一部を露出させることが可能であるため、複数のセルを直列接続することができる。
このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.7%であった。この値は比較例6に比べて高いことはもちろんのこと、ペロブスカイト材料分散液を塗布で製膜した実施例6よりもさらに高い値であった。電着プロセス後に、実施例7で説明したのと同じように、電着用基材32を取り外して自然乾燥させる。その際に、電着していない余分なペロブスカイト結晶粒子3が支持基板23に付着しないように、図15に示すように支持基板23が上で、電着用基材32が下になる状態で、電圧印加と電着用基材32の取り外しを行うことが好ましい。
(実施例13)
ペロブスカイト結晶層のパターン製膜を大気中の電子写真方式に変えると共に、パッキング処理を大気中で行う以外は、実施例12と同様にしてペロブスカイト太陽電池モジュールの作製・評価を行った。ペロブスカイト結晶層は、図11に示した製膜装置111を用いてパターン製膜した。感光体には、アモルファスシリコン感光体を用いた。コロナ帯電には正帯電タイプを用い、感光体の表面電位が900Vになるように設定した。露光器にはレーザ方式を用い、露光部の感光体の表面電位が100Vになるように設定した。電着ローラと感光体とのギャップは0.5mmとし、電着ローラに印加する電圧は600Vとした。転写バイアスローラに印加する電圧は−800Vとした。
電極付き支持基板に転写されたペロブスカイト結晶粒子をブロワーで乾燥させた。続いて、DMFを入れた容器を60℃に加熱して蒸気を発生させ、容器の直上にペロブスカイト結晶層を有する支持基板を通らせることで良溶媒蒸気に暴露した。引き続いて、加熱した弾性ローラを押し当てることで加熱と加圧を行った。温度と圧力は実施例4と同様に、それぞれ90℃、基板の面積1cmあたり約30kg重となる圧力とした。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で4.5%であり、太陽電池として十分に動作するものであることが確認された。
(実施例14)
モジュールの形状を図13に示す異形状とする以外は、実施例13と同様にしてペロブスカイト太陽電池モジュールの作製・評価を行った。図13に示す異形直列モジュールは、腕時計向けの太陽電池モジュールをモチーフとしたものであり、扇型の単セルが4つ直列に接続されたものである。このようにして作製したペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、サンプル3個の平均値で5.1%であり、太陽電池として十分に動作するものであることが確認された。扇型のような異形のパターン製膜は、メニスカス塗布法のような製膜方法では困難である。電子写真方式は異形のパターン製膜にも適合する。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…光電変換材料分散液、2…分散媒、3…ペロブスカイト結晶粒子、11,24…第1の電極、12,25…基板、13,14…ペロブスカイト結晶膜、15,28…第2の電極、16,21…光電変換素子、17…電着用対向電極、101,111…製膜装置、102…ステージ、103…塗布ヘッド、104…材料供給機構、113…感光体ドラム、114…帯電器、115…露光器、116…電着部材、119…転写部材、120…転写バイアス印加部材

Claims (13)

  1. 光電変換材料分散液を製膜対象物に付着させて、前記製膜対象物上に光電変換膜としてペロブスカイト結晶粒子を含む膜を形成する製膜工程を具備する光電変換膜の製造方法であって、
    前記光電変換材料分散液は、
    組成式:ABX
    (式中、Aはアミン化合物の1価陽イオンであり、Bは金属元素の2価陽イオンであり、Xはハロゲン元素の1価陰イオンである。)
    で表される組成を有し、実質的に全て、前記光電変換材料分散液中で平均粒径が10nm以上10000nm以下である結晶粒子の形態で存在するペロブスカイト材料と、前記ペロブスカイト材料に対する貧溶媒からなり、前記ペロブスカイト材料が結晶粒子の形態で分散され、かつ実質的に溶解されない分散媒とを含有する、光電変換膜の製造方法。
  2. さらに、前記膜を前記ペロブスカイト材料の良溶媒に暴露する工程、前記膜を加熱する工程、および前記膜を加圧する工程の少なくとも1つを具備する、請求項1に記載の光電変換膜の製造方法。
  3. 前記製膜工程は、前記製膜対象物上に塗布ヘッドを配置する工程と、前記製膜対象物と前記塗布ヘッドとの間に前記光電変換材料分散液のメニスカス柱を形成する工程と、前記製膜対象物および前記塗布ヘッドの少なくとも一方を移動させ、前記メニスカス柱から前記光電変換材料分散液を前記製膜対象物に塗布する工程とを具備する、請求項1または請求項2に記載の光電変換膜の製造方法。
  4. 前記製膜工程は、前記製膜対象物と電着用対向電極との間に前記光電変換材料分散液を供給する工程と、前記製膜対象物および前記電着用対向電極に電圧を印加し、前記光電変換材料分散液中の前記ペロブスカイト材料を前記製膜対象物に電着させる工程とを具備する、請求項1または請求項2に記載の光電変換膜の製造方法。
  5. 前記製膜工程は、静電パターン担持体に静電パターンを形成する工程と、前記静電パターン担持体に前記光電変換材料分散液を供給し、前記静電パターンに応じた前記ペロブスカイト材料を含む膜のパターンを形成する工程と、前記ペロブスカイト材料を含む膜のパターンを前記製膜対象物に転写する工程とを具備する、請求項1または請求項2に記載の光電変換膜の製造方法。
  6. 前記光電変換材料分散液は、さらに、前記ペロブスカイト材料の前記組成に含まれず、かつ前記結晶粒子の形態で存在する前記ペロブスカイト材料に付着している電荷付与剤を含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光電変換膜の製造方法。
  7. 前記電荷付与剤は、ナフテン酸、オレイン酸、オクチル酸、スルホン酸、ドデシル酸、デドシルベンゼンスルホン酸、および2−エチルヘキサン酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸と、ジルコニウム、コバルト、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、ランタン、ガドリニウム、ナトリウム、およびカルシウムから選ばれる少なくとも1つの金属との塩を含む、請求項6に記載の光電変換膜の製造方法。
  8. 前記製膜工程は、さらに前記光電変換材料分散液を作製する工程を有し、
    前記前記光電変換材料分散液の作製工程は、
    前記ペロブスカイト材料の原料を用意する工程と、
    前記貧溶媒からなる第1の液体と、前記ペロブスカイト材料の溶解度が前記第1の液体より高く、かつ前記第1の液体より蒸気圧が高い溶媒からなる第2の液体とを用意する工程と、
    前記原料を前記第2の液体に溶解させて、第1の混合液を調製する工程と、
    前記第1の混合液と前記第1の液体とを混合し、第2の混合液を調製する工程と、
    前記第2の混合液から前記第2の液体を蒸発させることによって、前記第2の液体に溶解させた前記原料を結晶化させて生成した前記結晶粒子の形態で存在する前記ペロブスカイト材料を前記第1の液体に分散させた分散液を得る工程と
    を具備する、光電変換膜の製造方法。
  9. 基板上に配置された第1の電極上に、
    組成式:ABX
    (式中、Aはアミン化合物の1価陽イオンであり、Bは金属元素の2価陽イオンであり、Xはハロゲン元素の1価陰イオンである。)
    で表される組成を有し、平均粒径が10nm以上10000nm以下である結晶粒子の形態で存在するペロブスカイト材料と、前記ペロブスカイト材料に対する貧溶媒からなり、実質的に全て、前記ペロブスカイト材料が前記結晶粒子の形態で分散され、かつ実質的に溶解されない分散媒とを含有する光電変換材料分散液を付着させて、前記ペロブスカイト材料を含む膜を光電変換膜として製膜する工程と、
    前記光電変換膜上に第2の電極を配置する工程と
    を具備する光電変換素子の製造方法。
  10. 前記光電変換膜の製膜工程は、さらに前記光電変換膜を前記ペロブスカイト材料の良溶媒に暴露する工程、前記光電変換膜を加熱する工程、および前記光電変換膜を加圧する工程の少なくとも1つを具備する、請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
  11. 前記光電変換材料分散液は、さらに、前記ペロブスカイト材料の前記組成に含まれず、かつ前記結晶粒子の形態で存在する前記ペロブスカイト材料に付着している電荷付与剤を含有する、請求項9又は請求項10に記載の光電変換膜の製造方法。
  12. 前記電荷付与剤は、ナフテン酸、オレイン酸、オクチル酸、スルホン酸、ドデシル酸、デドシルベンゼンスルホン酸、および2−エチルヘキサン酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸と、ジルコニウム、コバルト、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、ランタン、ガドリニウム、ナトリウム、およびカルシウムから選ばれる少なくとも1つの金属との塩を含む、請求項11に記載の光電変換素子の製造方法。
  13. 前記光電変換膜の製膜工程は、さらに前記光電変換材料分散液を用意する工程を具備し、前記光電変換材料分散液を用意する工程は、
    前記ペロブスカイト材料の原料を用意する工程と、
    前記貧溶媒からなる第1の液体と、前記ペロブスカイト材料の溶解度が前記第1の液体より高く、かつ前記第1の液体より蒸気圧が高い溶媒からなる第2の液体とを用意する工程と、
    前記原料を前記第2の液体に溶解させて、第1の混合液を調製する工程と、
    前記第1の混合液と前記第1の液体とを混合し、第2の混合液を調製する工程と、
    前記第2の混合液から前記第2の液体を蒸発させることによって、前記第2の液体に溶解させた前記原料を結晶化させて生成した前記結晶粒子の形態で存在する前記ペロブスカイト材料を前記第1の液体に分散させた分散液を得る工程と
    を具備する、請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
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