JP2020105442A - 導電性樹脂組成物、これを用いて得られる導電回路およびタッチパネルディスプレイ - Google Patents

導電性樹脂組成物、これを用いて得られる導電回路およびタッチパネルディスプレイ Download PDF

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ひかる 佐々木
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ひかる 佐々木
昇平 槇田
Shohei Makita
昇平 槇田
椎名 桃子
Momoko Shiina
桃子 椎名
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Abstract

【課題】 優れた解像度により導電パターンを形成可能であり、基板に対する密着性の高い導電性樹脂組成物、および解像度の高い導電パターンが、基板に対して優れた密着性により良好に保持された電子回路、並びにこれを有するタッチパネルディスプレイを提供する。【解決手段】(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)ブロックイソシアネート、(C)導電性粉体、(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマー、および(E)光重合開始剤を含む導電性樹脂組成物であって、(B)ブロックイソシアネートは、式(1):【数1】に基づいて算出したブロックの解離度が20%以下のものであり、初期吸光度は、(B)ブロックイソシアネートを単独で70℃から90℃に15〜25分加熱して乾燥状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であり、加熱処理後吸光度は、乾燥状態のブロックイソシアネートを100℃〜300℃に10〜60分加熱して硬化状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度である導電性樹脂組成物、これを用いた導電回路およびタッチパネルディスプレイが得られた。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性樹脂組成物、並びにこれを用いて得られる導電回路およびタッチパネルディスプレイに関する。
近年、タッチパネルディスプレイは、モバイル機器や自動車のGPC機器等の普及により、必要不可欠となっており、小型化、高密度化、高精細化等の要求も高まり、回路や電極等のファイン化が求められている。また、有機ELディスプレイ技術の発展により、薄膜化、曲面化、フレキシブル化が注目を集めており、これまでの材料も徐々にフレキシブル用途へと進化しつつある。
上記のようなタッチパネルディスプレイに導電回路を形成する方法として、樹脂に導電性粉末を混合した導電性樹脂組成物をスクリーン印刷でパターンを形成する方法が実用されている。より高精細なものを形成する方法として、感光性成分を用いたフォトリソグラフィが挙げられる(特許文献1参照)。このように、ファインパターン形成を可能とする感光性の導電性樹脂組成物が開発されており、高温高湿条件における比抵抗および透明電極と導電性樹脂組成物の接触抵抗の安定化も可能としている。
特開2014−101412号
しかしながら、従来の導電パターン形成用感光性導電性樹脂組成物は、高温高湿条件での導電性の安定性を維持できるが、熱硬化反応に起因して柔軟性が悪く、フレキシブルな基板に適していない。このため、導電性樹脂組成物において、フレキシブル基板に適した柔軟性を有し、且つ、環境変化に対応することの両立が困難となっている。
そこで、本発明の目的は、高精細で柔軟性を有し、且つ、高温高湿の環境条件下でも接触抵抗を安定的に維持することができる導電性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の上記課題が(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)ブロックイソシアネート、(C)導電性粉体、(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマー、および(E)光重合開始剤を含む導電性樹脂組成物であって、(B)ブロックイソシアネートは、 下式(1):
に基づいて算出したブロックの解離度が20%以下のものであり、
式(1)中、
初期吸光度は、(B)ブロックイソシアネートを単独で70℃から90℃に15〜25分加熱して乾燥状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であり、
加熱処理後吸光度は、乾燥状態のブロックイソシアネートを100℃〜300℃に10〜60分加熱して硬化状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であることを特徴とする導電性樹脂組成物により解決されることを見出した。
本発明の導電性樹脂組成物において、(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートが、ペンタエリスリトール骨格を含むことが好ましい。
さらに、本発明の導電性樹脂組成物において、(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートが、3官能以上のアクリレートであることが好ましい。
また、本発明の課題は、上記導電性樹脂組成物により得られる導電性回路、およびこれを含む電子部品により解決されることが見いだされた。
本発明によれば、高精細で柔軟性を有し、且つ、高温高湿の環境条件下でも接触抵抗を安定的に維持することができる導電性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の別の態様によれば、上記の導電性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を提供することができる。
導電性樹脂組成物の比抵抗率の評価試験についての説明図である。 導電性樹脂組成物とITOとの接触抵抗変化率の評価試験についての説明図である。
本発明の導電性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)ブロックイソシアネート、(C)導電性粉体、(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマー、および(E)光重合開始剤を含み、(B)ブロックイソシアネートのブロックの解離度が、硬化後も20%以下とされていることを特徴としている。本発明では、(B)ブロックイソシアネートのブロックの解離度が上記のように低いことから、(B)ブロックイソシアネートのブロックが基板に対する密着付与剤として機能し、基板に対する密着性が高く、これにより得られた回路も解像度にも優れたものとされる。
本発明の導電性樹脂組成物は、プリント基板等の電子部品用途の電極等に好適に用いることができる。また、本発明の導電性樹脂組成物は、例えばタッチパネルディスプレイの部材に含まれる、ITOフィルムといった熱に弱い基材上に形成する導電体にも適している。
本発明の導電性樹脂組成物は、導体回路および配線等の導電体の形成に好適に用いることができる。導電体は、例えば、基材上に上記の導電性樹脂組成物を塗布し熱硬化して得られ、使用される用途に応じた種々の形状とすることができ、これにより回路基板が形成される。
[回路基板の製造方法]
本発明の導電樹脂組成物を用いて、回路基板を製造することができる。例えば、まずは、上記の導電樹脂組成物の各成分を混合することにより調製され、攪拌機等による攪拌の後、3本ロールミルなどにより練肉して樹脂組成物化する。
このようにして調製された導電樹脂組成物は、スクリーン印刷法、バーコーダー、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で基材に塗布し、塗膜を形成する。基材としては、耐熱性のない樹脂製の基材を使用することができる。具体的には、樹脂製の基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等を挙げることができ、好適には、ポリエステル系樹脂を用いることができる。なお、ガラス基板等でもよい。
次いで、得られた塗膜を、指触乾燥性を得るために熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉などで例えば70℃〜120℃、好ましくは70℃から100℃で、5〜40分程度、好ましくは5〜25分乾燥させ、タックフリーの塗膜(乾燥塗膜)を形成する。
その後、得られた乾燥塗膜に対し、選択的露光を行う。選択的露光としては、所定の露光パターンを有するフォトマスク(ネガマスク)を用いた接触露光および非接触露光が可能である。あるいは、フォトマスクを用いずにダイレクト露光機により露光パターンを形成することも可能である。露光光源としては、例えばハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては10〜700mJ/cm程度が好ましい。
続いて、選択的露光後の塗膜に対し、現像を行う。現像にはスプレー法、浸漬法などが用いられる。現像液としては、導電樹脂組成物中に含まれるカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)を除去することができればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン水溶液、特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられる。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
その後、現像により所望の回路パターンが形成された基板を、80〜300℃、好ましくは100〜150℃で5〜60分硬化させることで基材上に所望の導電回路(硬化塗膜)を形成することができる。なお、樹脂製の基材に対して導電性樹脂組成物の導電回路を形成する場合には、基板を構成する樹脂の融点よりも低い温度を上限に硬化温度を選択することが必要である。
以下に、本発明の導電性樹脂組成物を構成する成分について説明する。
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を含有している公知慣用の樹脂化合物を使用できる。
カルボキシル基含有樹脂としては、二重結合を含むカルボキシル基含有感光性樹脂でもよいが、二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーと反応しないため、分子間結合が形成されない。そのため、カルボキシル基含有樹脂は、分子量が大きくならないので、現像時に容易に除去される。その結果、導電性粉末が密になり、導電パターン膜の比抵抗値を下げることができる。
なお、カルボキシル基含有樹脂が二重結合を極めて少ない割合で有していても、その割合が本発明と同様の効果を奏する範囲であれば、そのような二重結合を含むカルボキシル基含有樹脂は、本発明の「二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂」に含まれる。二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂としては、例えば、二重結合当量が10,000以上のものが挙げられる。
カルボキシル基含有樹脂は、二重結合を含まないカルボキシル基含有樹脂のうち、特に、二重結合及び芳香環のいずれをも含まないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。芳香環を含まない構造とすることにより、カルボキシル基含有樹脂自体の光吸収を抑え、相対的に(メタ)アクリレートモノマーの光反応性を向上できる。
二重結合及び芳香環を含まないカルボキシル基含有樹脂の具体例を下記に列挙する。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上と共重合することにより得られるカルボキシル基含有樹脂、
(2)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物とを共重合することにより得られるカルボキシル基含有樹脂、
(3)不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、水酸基を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
(4)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
(5)水酸基含有ポリマーに多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であることによりアルカリ現像が良好に行われる。さらに、カルボキシル基含有樹脂の酸価を200mgKOH/g以下とすることにより、現像液による露光部の溶解は生じず、導体ラインの痩せ、露光部と未露光部の区別がなくなるような現像液による溶解、導体の剥離などが回避されて、正常な導電パターンの描画が行われる。
また、上記カルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。質量平均分子量が2,000以上であることにより、タックフリー性能が確保され、露光後の導電パターン膜の耐湿性が良好とされ、現像時の膜減を生じることなく解像度が良好となる。一方、質量平均分子量が150,000以下であることにより、現像性および貯蔵安定性が確保できる。
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、全導電性樹脂組成物中に、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。カルボキシル基含有樹脂の配合量を、導電性樹脂組成物総量の3質量%以上とすることにより、導電パターン膜の強度が保たれ、50質量%以下とすることにより、粘性が必要以上に高くなることを押さえ、且つ操作性、塗布性が良好とされる。
[(B)ブロックイソシアネート]
本発明の導電性樹脂組成物は、(B)ブロックイソシアネートを含む。(B)ブロックイソシアネートとして、下式(1):
に基づいて算出したブロックの解離度が20%以下のものを使用することにより、基板に対する導電性樹脂組成物の硬化後の密着性が良好となる。
なお、上記式(1)中、初期吸光度は、(B)ブロックイソシアネートを単独で70℃から90℃に15〜25分加熱して乾燥状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であり、加熱処理後吸光度は、乾燥状態のブロックイソシアネートを100℃〜300℃に10〜60分加熱して硬化状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度である。
本発明では、導電性樹脂組成物が上述の乾燥、露光、硬化等を経て、導電回路(硬化塗膜)状とされたときにも、これに含まれる(B)ブロックイソシアネートのブロック(ブロック剤)の解離度が初期値からの減少率として20%以下であり、好ましくは1〜15%であり、より好ましくは3〜10%である。
解離度が20%未満とされる(B)ブロックイソシアネートの具体例としては、デュラネート(登録商標)MF−B60B(旭化成株式会社製、ブロック剤解離度10%)およびデュラネート(登録商標)17B−60P(旭化成株式会社製、ブロック剤解離度5%)を挙げることができる。
ブロックの解離度は、種々の方法で測定可能であるが、例えば、赤外分光法を用いてブロックイソシアネート特有のピークの吸光度を観察することに測定可能である。測定の基準となるピークとしては、アミド結合によるピークを用いることができる。ブロックイソシアネートは、ブロックの種類に関わらず、ブロックとイソシアネート化合物とがアミド結合により結合されているためである。ブロックイソシアネートを加熱処理すると、下式Aのように、ブロックが解離することにより、アミド結合が失われてイソシアネートが発現するため、アミド結合の減少割合を、ブロックの解離度を観察する指標とすることができるものである。
なお、(B)ブロックイソシアネートのブロックの解離度は、(B)ブロックイソシアネート単独で、すなわち他の成分を添加せずに、これを加熱処理することにより、加熱前後の値を用いて求めることができる。
この赤外分光法を用いた測定の具体例は以下のとおりである。
まず、ブロックイソシアネートを、他の添加剤等を加えずに単独で基材上に塗布し、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等の加熱装置を用いて、ブロックイソシアネートのブロック解離温度未満、例えば70℃〜90℃で15〜25分乾燥させ乾燥塗膜を作製する。このように得られた乾燥塗膜について、赤外分光法(特にATR法)により、IRスペクトルを測定し、アミド結合に由来する1714cm−1付近ピークの吸光度を求める。アミド結合のピークは、上記のとおりブロックイソシアネートの存在量に対応するため、これをブロックの解離度を求めるにあたっての基準値(初期吸光度)とする。
さらに、上記乾燥処理に付したブロックイソシアネートに対し、更に、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等の加熱装置を用いて例えば100℃〜300℃、好ましくは100〜150℃の範囲の温度(硬化性樹脂組成物の硬化温度)で10〜60分程度の加熱処理を行う。これにより硬化性樹脂組成物の硬化塗膜が得られる。硬化塗膜についても上記と同様にIRスペクトルを測定して、アミド結合に由来する1714cm−1付近ピークの吸光度を求め(加熱処理後吸光度)、式(I)によりブロック剤の解離度を求めることができる。
ブロックの解離度(%)=
(初期吸光度−加熱処理後吸光度)/初期吸光度×100 (I)
また、上記試験において用いられる基板は、硬化性樹脂組成物との相互作用がなく、加熱、露光を含む硬化膜作成のための処理により影響を受けないものであれば、特に種類に制限はなく、上述した回路基板の製造方法で挙げた基材は全て適用可能である。ブロックイソシアネートの加熱温度は、基材に対して影響のない範囲で適宜選択される。
なお、上述のブロックの解離測定試験は、本発明の(B)ブロックイソシアネートにおけるブロックの解離度を示す試験に過ぎず、特に上記の方法に限定されず、他の公知の方法によりブロックの解離度を確認することもできる。
(B)ブロックイソシアネートは、塗膜乾燥およびその後の塗膜硬化時にブロックの解離度が低いことにより、基材に対する密着付与剤として作用する。これにより、導電性樹脂組成物の基材との密着性が良好となり、さらに良好な解像性を与える。さらに、(B)ブロックイソシアネートのブロック(ブロック剤)の解離度が20%以下であることにより、高温高湿条件下の際、接触抵抗の変化率を抑え、接触抵抗を安定化することにもつながる。
[(C)導電性粉体]
本発明の導電性樹脂組成物は、(C)導電性粉体を含む。
本発明の導電性樹脂組成物は、導電性粉体使用することができ、具体的には、金、銀、プラチナ、パラジウム、ニッケル、銅、アルミニウム、錫、鉄などの単体或いはそれらの合金、酸化錫、及び酸化インジウムなどを用いることができるが、中でも銀が本発明では好ましく、銅を銀で被覆した銀コート銅粉を用いることも何ら問題はない。導電性粉体の形状としては、公知のフレーク状(リン片状)、球状、樹枝状(デンドライト状)、特開平9−306240号公報に記載されている球状の1次粒子が3次元状に凝集した形状(凝集銀粉)等があり、いずれも使用可能であるが、導電性、光透過性を考慮すると球状もしくは球状と凝集銀粉の組み合わせが好ましい。
また上記(C)導電性粉体の平均粒径(D50)は5μm以下、特に3μm以下であると好ましく、これにより、現像後の細線形状が良好とされる。すなわち、平均粒径(D50)が5μm以下の小さい導電性粉体を用いることで、スクリーン印刷における細線形状が良好となり、短絡が生ずる危険性も回避される。下限は特に限定されないが、コスト的観点ならびに、良好な分散状を得るために、平均粒径(D50)が80nm以上であることが好ましい。すなわち、平均粒径(D50)を80nm以上とすることにより、導電性粉体の凝集力が良好に調整され、現像性、スクリーン印刷性なども好適とされる。尚、(C)導電性粉体の平均粒径(D50)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定された値である。
(C)導電性粉体の好ましい市販品の例としては、DOWAエレクトロニクス株式会社製、AG−2.5−11F、AG−2−8F、AG−3−8F等が挙げられる。
本発明で使用される(C)導電性粉体の含有量は、(A)カルボキシル基含有樹脂の総量を100重量部としたときに、200〜2,000重量部であることが好ましく、より好ましくは300〜1500が好ましい。(C)導電性粉体の配合量が200重量部未満では目的とする導電性を得ることが困難となる場合があり、反対に、2,000重量部を超えて使用すると、導電性粉体の分散が困難となり、均一な塗布も困難となる場合がある。
また、こうした(C)導電性粉体は、少なくとも平均粒子径D50が5μm以下の銀粉を含むことが好ましく、全(C)導電性粉体のうち、銀粉の割合が50質量%以上、更には80質量%以上を占めることがより好ましい。
[(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマー]
本発明の導電性樹脂組成物は(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマーを含む。
多官能(メタ)アクリレートモノマー(2官能以上の(メタ)アクリレートモノマー)を用いる理由は、官能基の数が1つの場合よりも、光反応性が向上して解像性が優れるためである。また、ウレタン結合を有する場合は、特に高温高湿条件において、接触抵抗変化率が低下するため、本発明では(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマーを使用する。
(D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
具体的には、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの、多価アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化したアクリレート類及び前記アクリレートに対応する各メタアクリレート類の1種、又は複数以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。(D)ウレタン結合を有しない3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
市販品の好ましい例としては、KAYARAD TMPTA(日本化薬株式会社製)、アロニックスM−450(東亞合成株式会社製)、ネオマーDA−600(三洋化成工業株式会社製)を挙げることができる。
このような多官能基のアクリレートモノマーの配合量は、特に限定されないが、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、10〜100質量部、より好ましくは、20〜80質量部の割合が適当である。前記配合量が、10質量部以上の場合、光硬化性が良好となり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像が速やかに高解像度により行われる。さらに、100質量部以下の場合は、アルカリ水溶液に対する溶解性良好となる。
なお、ウレタン結合を有するアクリレートモノマーは、本発明では、用いないか、併用いる場合であっても(A)カルボキシル基含有樹脂に対して5質量%以下の量の配合に止めることが好ましい。
[(E)光重合開始剤]
光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad(オムニラッド)819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad(オムニラッド)TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類等を挙げることができるが、下記一般式(II)で表される基を有するオキシムエステル系、を使用することが好ましい。オキシムエステル系光重合開始剤は、高光感度であるため導電性粉末が多く配合されたペーストであっても、少ない露光量で十分に光硬化を行うことができ、解像性の高い導電回路を形成することができる。
式(II)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表わし、R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記オキシムエステル系光重合開始剤の中でも、BASFジャパン(株)社製のCGI-325、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、ADEKA社製のN-1919T、NCI-831E、(株)日本化学工業社製のTOE-04-A3等が好ましい。また、光重合開始剤としては、IRGACURE 389でもよい。なお、これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような光重合開始剤の配合量は、特に限定されないが、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲が適当である。光重合開始剤の配合量が0.01質量部以上であると、光硬化性が十分に得られ、導電パターン膜が安定に形成される。また、30質量部以下とすることにより、光重合開始剤の導電パターン膜表面に限らず、膜厚方向全体に亘り穏やかな光硬化が行われるため、深部硬化性も十分となる。
[その他成分]
以上説明したような本発明の導電性樹脂組成物は、必要に応じて、消泡剤、分散剤、柔軟剤、溶剤、バインダー、公知慣用のチクソトロピー性付与剤や、レベリング剤などの添加剤を配合することができる。
このようにして本発明の導電性樹脂組成物を用いれば、低温、低圧かつ短時間で所望の接着強度を確保しつつ、優れた導電性を有する電気回路等の導体を得ることができる。また、これらの導体は、タッチパネルディスプレイのITO電極をまとめる電気回路等に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下において特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準であるものとする。
[実施例1〜10および比較例1〜4]
I.導電性樹脂組成物の調製
表1に示す配合割合(質量比)にて各成分を配合、撹拌機して3本ロールミルにて分散させてそれぞれ1〜10および比較例1〜4の導電性樹脂組成物を調製した。このように得られた導電性樹脂組成物を用いて、後述のように回路基板を作製し、評価試験を行った。
なお、表1中のカルボキシル基含有樹脂ワニスA−1、A−2、A−3((A)成分)は以下の合成例1〜3に準じて製造した。
(合成例1)
<カルボキシル基含有樹脂ワニスA−1の合成>
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタアクリル酸を0.87:0.13のモル比で仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で6時間攪拌し、カルボキシル基含有樹脂溶液を得た。このカルボキシル基含有樹脂は、質量平均分子量が約10,000、酸価が74mgKOH/gの共重合体であった。
なお、得られたカルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、株式会社島津製作所製ポンプLC−6ADと昭和電工株式会社製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。以下、このカルボキシル基含有樹脂溶液を、A−1ワニスと称す。なお、このカルボキシル基含有樹脂は、二重結合を含まず、かつ、芳香環を含んでいない。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスA−1の固形分濃度は50%、固形物酸価(mgKOH/g)は105であった。
(合成例2)
<カルボキシル基含有樹脂ワニスA−2の合成>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、登録商標“エピクロン”N−695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出し、感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニスA−2を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスA−2の固形分濃度は65%、固形物酸価(mgKOH/g)は100であった。
(合成例3)
<カルボキシル基含有樹脂ワニスA−3の合成>
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/eq、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニスA−3を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスA−3の固形分濃度は62.5%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
また、表1中のブロックイソシアネート化合物(★4、★5、★6)の解離度を以下のように測定した。
<ブロックイソシアネート化合物のブロック剤解離度測定>
ブロックイソシアネート化合物(★4、★5、★6)を、それぞれPETフィルム基板(東レ株式会社製)上にアプリケーターを用いて、乾燥後の塗膜の膜厚が30μmになるように塗布した。続いて、これを熱風循環式乾燥炉にて、80℃で20分乾燥し(乾燥処理)、乾燥塗膜aを形成した。次いで、各乾燥塗膜aを再度熱風循環式乾燥炉に140℃にて30分加熱し(加熱処理)、硬化塗膜bを得た。
上記乾燥処理後の乾燥塗膜aと、加熱処理直後の硬化塗膜bについて、ATR−IR装置(PerkinElmer社製FT−IR spectrometer Frontier)を用いて、それぞれIRスペクトルを得た。すなわち、乾燥塗膜a中のブロック剤のアミド結合に由来する1714cm−1付近のピークにおける吸光度を初期吸光度とし、硬化塗膜b中のブロック剤のアミド結合に由来する1714cm−1付近のピークの吸光度を加熱処理後吸光度として、式(1)に基づいてブロック剤の解離度を算出した。
ブロックの解離度(%)=(初期吸光度−加熱処理後吸光度)/初期吸光度×100 (I)
II.評価試験
(1)解像性評価
(1−1)評価回路基板Aの作製
上記の実施例1〜10および比較例1〜4で調製した導電性樹脂組成物を、それぞれPETフィルム基板(東レ株式会社製)およびITOが塗布されたPETフィルム基板(日東電工株式会社製)上にテトロン380メッシュカレンダー版のスクリーンを用いて、乾燥後の塗膜の膜厚が5μmになるように全面に塗布した。続いて、熱風循環式乾燥炉にて、80℃で30分間乾燥して、乾燥塗膜を形成した。
このように得られた乾燥塗膜上に、一定のラインアンドスペース(以下、「L/S」)の配列による透光パターン(直線群)の形成されたフォトマスクを施した。フォトマスクとしては、L/S(ライン幅(μm)/間隔(μm))の値が異なる6種類、すなわち100/100、75/75、50/50、30/40、20/30、15/25のものを使用した。
各高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置(オーク社製EXP2960)を用いて、コダックステップタブレットNo.2(21段)で、8段の残存感度が認められる露光量を、適正露光量とし、フォトマスク(ネガマスク)を有する塗膜に対して露光した。露光後の塗膜を、30℃の0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で30秒間現像を行い、水洗した。
上記のように得られた塗膜を、熱風循環式乾燥炉に載置して、140℃で1時間加熱して硬化することにより評価回路基板Aを得た。
(1−2)解像性試験
上記のように得られた評価回路基板Aの導電パターンを光学顕微鏡(KEYENCE社製VHX−6000 倍率:200倍)で観察した。パターン間に残渣がなく、かつパターン剥がれのない、L/Sの値が最小の導電パターンを確認し、そのL/Sの値を、現像可能なL/Sの値とした。L/Sの値が小さいほど、解像性に優れている。評価結果を表1に記載した。
(2)導電性評価
(2−1)評価回路基板Bの作製
乾燥塗膜に対する露光を、図1のように2か所のパターン端部(直径2.0mm)を0.1mm幅、長さ60.0mmのラインで繋いだパターン2をPETフィルム基板1上に形成できるフォトマスクを用いた以外は、評価回路基板Aの作製方法と同様の操作により評価回路基板Bを作製した。
(2−2)導電性評価
上記2か所のパターン端部を表面抵抗計でつなぎ、導電性樹脂組成物の表面抵抗値を測定した。下記式(III)により比抵抗率を算出した。
比抵抗率=表面抵抗値×膜厚×線幅/ライン長・・・(III)
以下の基準にて導電性を評価し、評価結果を表1に示した。
[評価基準]
◎:比抵抗率1.0×10−5 Ω・cm未満であった。
○:比抵抗率1.0×10−5 Ω・cm以上1.0×10−4 Ω・cm未満であった。
△:比抵抗率1.0×10−4 Ω・cm以上1.0×10−2 Ω・cm未満であった。
×:比抵抗率1.0×10−2 Ω・cm以上であった。
(3)柔軟性評価
(3−1)評価回路基板Cの作製
ITOが塗布されていないPETフィルム基板を用いて、乾燥塗膜に対する露光を、フォトマスクを用いない全面露光とした以外は、評価回路基板Aの作製方法と同様の操作により評価回路基板Cを作製した。
(3−2)柔軟性評価
評価回路基板Cを、導電性樹脂組成物の硬化塗膜を内側にして180°折り曲げ、クラックの発生の有無を目視にて確認した。
◎:クラックが全く確認できない
○:クラックがわずかに確認された(クラックの数5個以下)
△:クラックの発生あり(クラックの数5個超〜10個)
×:クラック発生著しい(クラックの数10個超)
(4)接触抵抗変化率評価
(4−1)評価回路基板Dの作製
ITO1が塗布、パターンニングされているPETフィルム基板3を用い、かつ乾燥塗膜に対する露光を、図2のように2か所のパターン端部(一辺2.0mm)を0.1mm幅、長さ5.0mmのラインで繋いだパターン2を形成できるフォトマスクを用いた以外は、評価回路基板Aの作製方法と同様の操作により評価回路基板Dを作製した。
(4−2)接触抵抗変化率評価
まず、各評価回路基板Dの初期抵抗値を測定した。さらにこれらの評価回路基板Dを85℃、85%RHの恒温恒湿槽IH−42M(ヤマト科学株式会社製)内で500時間保管し、恒温恒湿槽から取り出した直後の抵抗値を測定した。
下記式(IV)に基づいて接触抵抗変化率を算出した。
抵抗変化率=保管後抵抗値(500時間後)/初期抵抗値...(IV)
以下の基準にて抵抗変化率を評価し、評価結果を表1に示した。
[評価基準]
◎:変化率1.2未満であった。
○:変化率1.2以上1.5未満であった。
△:変化率1.5以上2.0未満であった。
×:変化率2.0以上であった。
(5)クロスカット密着性評価
(5−1)評価回路基板Eの作製
ITOが塗布されたPETフィルム基板を用い、かつ乾燥塗膜に対する露光をフォトマスクを用いない全面露光とした以外は、評価回路基板Aの作製方法と同様の操作により評価回路基板Eを作製した。
(5−2)密着性試験1
評価回路基板Cに対して、それぞれ1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れた。碁盤目状の箇所にJIS Z 1522:2009に規定するセロハン粘着テープ(粘着力1.8N/10mm以上、ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標))を貼着して剥がし、残存マス数を測定し、表1に示した。
(5−3)密着性試験2 評価回路基板E(基板:ITOが塗布されたPETフィルム)を用いた以外は、密着性試験1と同様に、密着性試験2を行った。残存マス数を表1に示した。
※1:カルボキシル基含有樹脂ワニスA−1
※2:カルボキシル基含有樹脂ワニスA−2
※3:カルボキシル基含有樹脂ワニスA−3
※4:ブロックイソシアネート化合物、旭化成株式会社製、デュラネート(登録商標)MF−B60B(ブロック剤解離度10%)
※5:ブロックイソシアネート化合物、旭化成株式会社製、デュラネート(登録商標)17B−60P(ブロック剤解離度5%)
※6:ブロックイソシアネート化合物、Baxenden社製、TRIXENEBI 7982(ブロック剤解離度25%)
※7:導電フィラー、DOWAエレクトロニクス株式会社製、AG−2.5−8F(銀粉、球状、平均粒子径1.3μm)
※8:多官能アクリレートモノマー、東亞合成株式会社製、アロニックスM−450(ペンタエリスリトール骨格、4官能アクリレート、液状)
※9:多官能アクリレートモノマー、三洋化成工業株式会社製、ネオマーDA−600(ペンタエリスリトール骨格、6官能アクリレート、液状)
※10:多官能アクリレートモノマー、日本化薬株式会社製、KAYARAD TMPTA(トリメチロール骨格、3官能アクリレート、液状、)
※11:多官能アクリレートモノマー、新中村化学工業株式会社製、NKオリゴ U−4HA (ウレタン骨格、液状)
※12:光重合開始剤、BASFジャパン株式会社製、IRGACURE OXE02オキシムエステル型
※13:消泡剤、ビッグケミ―ジャパン株式会社製、BYK−1790
※14:湿潤分散剤、ビッグケミ―ジャパン株式会社製、DisperBYK−191
※15:添加剤、2,2’−チオ二酢酸、関東化学株式会社製
※16:有機溶剤、出光興産株式会社製、イプゾール150、芳香族系高沸点溶剤
※17:エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製、jER828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
実施例の結果より、本発明の硬化性組成物又はこれから得られた硬化塗膜は、解像性、導電性、柔軟性、接触抵抗変化率、接着性の全てにおいて、優れていることがわかる。
本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。

Claims (5)

  1. (A)カルボキシル基含有樹脂、
    (B)ブロックイソシアネート
    (C)導電性粉体、
    (D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートモノマー、および
    (E)光重合開始剤を含む導電性樹脂組成物であって、
    前記(B)ブロックイソシアネートは、 下式(1)
    ブロック剤の解離度(%)=
    (初期吸光度−加熱処理後吸光度)/初期吸光度×100 (I)
    に基づいて算出したブロックの解離度が20%以下のものであり、
    前記初期吸光度は、(B)ブロックイソシアネートを単独で70℃から90℃に15〜25分加熱して乾燥状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であり、
    前記加熱処理後吸光度は、前記乾燥状態のブロックイソシアネートを100℃〜300℃に10〜60分加熱して硬化状態としたブロックイソシアネートのアミド結合の吸光度であることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
  2. (D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートが、ペンタエリスリトール骨格を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. (D)ウレタン結合を有しない多官能アクリレートが、3官能以上のアクリレートであることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物により得られる導電性回路。
  5. 請求項4に記載の導電性回路を含むタッチパネルディスプレイ。
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