JP2020105035A - 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法 - Google Patents

分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020105035A
JP2020105035A JP2018243028A JP2018243028A JP2020105035A JP 2020105035 A JP2020105035 A JP 2020105035A JP 2018243028 A JP2018243028 A JP 2018243028A JP 2018243028 A JP2018243028 A JP 2018243028A JP 2020105035 A JP2020105035 A JP 2020105035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel sulfate
sulfuric acid
aqueous solution
concentration
oxidizing agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018243028A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7273265B2 (ja
Inventor
次郎 中西
Jiro Nakanishi
次郎 中西
公彦 冨士田
Kimihiko Fujita
公彦 冨士田
浅野 聡
Satoshi Asano
聡 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2018243028A priority Critical patent/JP7273265B2/ja
Publication of JP2020105035A publication Critical patent/JP2020105035A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7273265B2 publication Critical patent/JP7273265B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

【課題】過酸化水素水の添加によるチオ硫酸の酸化処理後に残存する酸化剤成分の濃度を正確に定量分析することを含む、硫酸ニッケルの製造方法の提供。【解決手段】原料の硫化物スラリーの調製を行うスラリー調製工程S1と、該硫化物スラリーを浸出処理する浸出工程S2と、該浸出工程S2で得た金属イオンとして少なくともNi、Co及びFeを含む粗硫酸水溶液に含まれるチオ硫酸を酸化剤で酸化分解した後、不純物を除去する不純物除去工程S3と、該不純物除去工程S3で不純物が除去された後の硫酸水溶液から硫酸ニッケル結晶を晶析させる結晶工程S4とからなる硫酸ニッケルの製造方法であって、該酸化分解後の粗硫酸水溶液の酸化剤成分濃度を分極測定により求め、その結果に基づいて該不純物除去工程S3の処理条件を調整する。【選択図】図1

Description

本発明は、非鉄金属製錬における硫酸ニッケルの製造方法に関し、特に分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法に関する。
硫酸ニッケルは、ニッケルめっきのめっき液原料や、電池材料用の水酸化ニッケル粉末の原料等の様々な用途に使われている。硫酸ニッケルは、例えばHPAL法(High Pressure Acid Leaching)とも称する高圧酸浸出法によって作製される中間原料のニッケル・コバルト混合硫化物を経て湿式法により作製することができる。
すなわち、先ず上記高圧酸浸出法により、原料としてのニッケル酸化鉱石に硫酸を加えて高温高圧下で酸浸出処理し、得られたニッケル及びコバルトを含む浸出液を中和処理して鉄などの不純物を除去した後、不純物が除去された該浸出液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加する。これにより、硫化反応を生じさせてミックスサルファイド(MS)とも称するニッケル・コバルト混合硫化物を生成させる。
次に、特許文献1に示されているように、このニッケル・コバルト混合硫化物に水を加えて調製したスラリーを高温高圧下で浸出処理し、これにより下記式1及び式2で表される硫黄の酸化反応を生じさせて不純物を含む粗硫酸ニッケル水溶液を生成させる。この粗硫酸ニッケル水溶液から不純物を除去することで高純度硫酸ニッケル水溶液を得た後、晶析により硫酸ニッケル結晶を生成させる。
[式1]
NiS+2O→Ni2++SO 2−
[式2]
CoS+2O→Co2++SO 2−
特開2017−149609号公報
しかしながら、上記の高温高圧下におけるニッケル・コバルト混合硫化物の浸出工程では、なんらかの理由により上記式1及び式2の硫黄の酸化反応の進行が不十分な場合は、下記式3に示すように硫酸イオン(SO 2−)だけでなくチオ硫酸イオン(S 2−)が生成する場合があった。
[式3]
NiS+O→Ni2++SO 2−+S 2−
上記の浸出工程で生成したチオ硫酸イオンは、一般的な不純物除去工程では除去することが困難であるため、最終製品である硫酸ニッケル結晶に混入する可能性がある。このようなチオ硫酸が混入した硫酸ニッケル結晶を原料にしてニッケルめっきを行うと、めっきの表面品質が低下する問題が生じることがあった。そこで、上記浸出工程で生成したチオ硫酸を除去するため、浸出工程の後工程において該チオ硫酸を含む硫酸ニッケル水溶液に酸化剤を添加して酸化処理することが一般に行われている。
上記の酸化処理の際に添加する酸化剤には、過酸化水素水等の過酸化物、オゾン、酸素、次亜塩素酸塩や塩素酸塩等の酸化剤を用いるのがチオ硫酸の分解に効果的である。しかしながら、未反応の酸化剤が酸化処理後の硫酸ニッケル水溶液に残存していると、例えば該酸化処理後に溶媒抽出により不純物を除去する処理が行われる場合は、そこで使用する溶媒を劣化させるおそれがある。この対策として、上記酸化処理後の残留酸化剤成分を含む硫酸ニッケル水溶液を貯留槽に一旦導入し、そこで所定の時間滞留させることで酸化剤を分解除去することが考えられる。
一方、酸化剤を添加すると処理液の酸化還元電位(ORP)がプラス側に変動するため、このORP値の変動を指標として酸化剤成分の濃度を間接的に測定し、この測定結果に基づいて残留酸化剤成分を除去処理することが考えられる。しかしながら、ORPを測定することで残留酸化剤が含まれていることをある程度判断することができるものの、定量性は十分ではなかった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、チオ硫酸の酸化分解のために添加した酸化剤が残留することにより生じる後工程への悪影響を抑える方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る硫酸ニッケルの製造方法は、金属イオンとして少なくともNi、Co及びFeを含む粗硫酸水溶液に含まれるチオ硫酸を過酸化水素水、オゾン、酸素、及び次亜塩素酸塩の群から選ばれる少なくとも一種の酸化剤で酸化分解した後、不純物を除去する除去工程と、該除去工程で不純物が除去された後の硫酸水溶液から硫酸ニッケル結晶を晶析させる結晶工程とからなる硫酸ニッケルの製造方法であって、前記酸化分解後の粗硫酸水溶液の残留酸化剤濃度を分極測定により求め、その結果に基づいて前記除去工程の処理条件を調整することを特徴としている。
本発明によれば、チオ硫酸の酸化分解のために添加した酸化剤が残存することで生じる後工程への悪影響を抑えることができる。
本発明の実施形態に係る硫酸ニッケルの製造方法のプロセスフローである。 酸化剤として用いた過酸化水素濃度のみが異なる複数の硫酸ニッケル水溶液をそれぞれサイクリックボルタンメトリーにより分析することで得た分極曲線のグラフである。
1.硫酸ニッケルの製造方法
以下、本発明の実施形態に係る硫酸ニッケルの製造方法について図面を参照しながら説明する。この本発明の実施形態に係る硫酸ニッケルの製造方法は、図1に示すように、中間原料のニッケル硫化物スラリーから硫酸ニッケル結晶を作製する方法であり、該ニッケル硫化物スラリーの調製を行うスラリー調製工程S1と、該ニッケル硫化物スラリーに対して加圧下で浸出処理及び酸化処理を行って浸出液を得る浸出工程S2と、該浸出液に含まれる不純物を除去する不純物除去工程S3と、該不純物除去工程S3で得た高純度硫酸ニッケル水溶液から硫酸ニッケル結晶を晶析させる晶析工程S4とを有している。以下、各工程について具体的に説明する。
(スラリー調製工程S1)
硫酸ニッケルの製造方法の原料には、ニッケル・コバルト混合硫化物に代表されるニッケル硫化物が用いられる。このニッケル硫化物は前述したようにニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出して得た浸出液を中和処理及び硫化処理することで作製され、これにより例えばニッケル品位が50〜60質量%程度、コバルト品位が4〜6質量%程度、硫黄品位が30〜34質量%程度のニッケル・コバルト混合硫化物が得られる。
スラリー調製工程S1では、このニッケル硫化物を必要に応じて粉砕及び分級し、水を添加してスラリー化することでニッケル硫化物スラリーを調製する。このニッケル硫化物スラリーの固形分濃度には特に限定はないが、100〜300g/Lが好ましく、200g/L程度がより好ましい。この固形分濃度が300g/Lを超えると、スラリー粘度が高くなりすぎ、ポンプによる送液不良が発生するおそれがある。逆にこの固形分濃度が100g/L未満の場合は、固形分濃度が薄すぎるため、生産性が低下する。
(浸出工程S2)
浸出工程S2では、上記のスラリー調製工程S1で調製したニッケル硫化物スラリーを高温高圧下で硫酸浸出処理することで浸出液を生成する。より詳細に説明すると、先ず、ニッケル硫化物スラリーを硫酸と共にオートクレーブとも称する圧力容器に供給する。このオートクレーブには更に酸化剤として空気などの酸素含有ガスを供給することで酸化反応を伴う浸出処理を行い、浸出液を生成させる。その際、該ニッケル硫化物スラリーの組成や粒度、滞留時間に影響する該ニッケル硫化物スラリーの供給流量、該ニッケル硫化物スラリーに対する硫酸及び酸化剤の供給割合、オートクレーブ内の温度及び圧力などの各種浸出条件を適宜調整する。例えば、オートクレーブに高圧蒸気を吹き込むことで、オートクレーブ内の温度を150〜180℃に調整し、圧力を1〜2MPaGに調整するのが好ましい。
(不純物除去工程S3)
上記浸出工程S2で生成される硫酸ニッケル水溶液からなる浸出液は、例えばニッケル濃度100〜120g/L程度、コバルト濃度10g/L程度の組成を有している。この浸出液は上記のニッケルやコバルト等の有価金属のほか、鉄に代表される不純物を含んでいるため、粗硫酸ニッケル水溶液とも称される。この浸出液中の不純物を除去するため、不純物除去工程S3では、溶媒抽出法により不純物を除去したり、酸化中和法により不純物を沈殿除去したりすることが行われる。これにより、ある程度純度の高い硫酸ニッケル水溶液が得られるものの、上記の溶媒抽出法や酸化中和法では、チオ硫酸イオンはほとんど除去されない。
そこで、好ましくは上記の溶媒抽出法や酸化中和法による不純物の除去処理の前に、粗硫酸ニッケル水溶液に酸化剤を添加することで、チオ硫酸の酸化分解処理を行っている。これにより、製品となる硫酸ニッケル結晶へのチオ硫酸の混入を防ぐことができる。しかしながら、この酸化分解処理のために添加した酸化剤が酸化分解に使用されずに残留すると、例えば上記した後段の溶媒抽出法に悪影響を及ぼすおそれがある。酸化剤としては、過酸化水素水、オゾン、酸素、次亜塩素酸塩の群から選ばれる少なくとも一種以上を用いるのが好ましい。
そこで、本発明の実施形態の硫酸ニッケルの製造方法においては、この酸化分解処理後の粗硫酸ニッケル水溶液に対して分極測定により残留酸化剤濃度を測定し、その測定結果に基づいて該不純物除去工程S3の処理条件を調整している。この場合の処理条件の調整とは、例えば上記の酸化剤の添加量の調整でもよいし、酸化分解処理後の硫酸ニッケル水溶液を一旦貯留する貯留槽の滞留時間の調整でもよい。これにより、酸化剤成分が残留することによる後工程への悪影響を抑えることができる。この分極測定については後で詳細に説明する。
(晶析工程S4)
晶析工程S4では、上記の不純物除去工程S3で不純物を除去することによって得た高純度硫酸ニッケル水溶液を晶析装置に装入し、該高純度硫酸ニッケル水溶液を濃縮することで硫酸ニッケル結晶を晶析させる。この晶析工程S4で処理される高純度硫酸ニッケル水溶液はチオ硫酸イオンをほとんど含んでいないので、該チオ硫酸イオンが硫酸ニッケル水溶液中に残存することで生じる結晶中のチオ硫酸塩(チオ硫酸ニッケル(NiS)の形態の不純物に起因する品質上の問題を防ぐことができる。
上記のように、本発明の実施形態の硫酸ニッケルの製造方法は、不純物除去工程S3において、酸化剤によるチオ硫酸の酸化分解処理後に、硫酸ニッケル水溶液に含まれる残留酸化剤成分の濃度を迅速且つ正確に分析可能な分極測定により求めるので、その結果を不純物除去工程S3の処理条件に迅速に反映させることができる。よって、残留する酸化剤成分による悪影響を抑えることができる。次に、この分極測定について詳細に説明する。
2.分極測定による酸化剤成分の濃度測定
本発明者らは、酸化剤によるチオ硫酸の酸化分解処理後の硫酸ニッケル水溶液に残留する未反応の酸化剤成分の迅速且つ正確な定量分析方法について鋭意検討を行ったところ、電気化学的測定法である分極測定によって、該硫酸ニッケル水溶液中の酸化剤成分の濃度を迅速且つ正確に測定可能であることを見出した。なお、分極測定とは、測定対象の溶液に電極を浸漬させ、該電極の電位を掃引しながら電流を計測することで定性分析及び定量分析を行うことが可能な電気化学的分析法であり、一定の掃引速度で電位を増減させるサイクリックボルタンメトリー(SV)、矩形波状の電位を直線状の電位に重ねて印加することで電位掃引を行う矩形波ボルタンメトリー(SWV)等を挙げることができるが、本発明の実施形態の酸化剤成分の濃度測定には、サイクリックボルタンメトリーによる測定が好ましい。
すなわち、本発明の硫酸ニッケルの製造方法の実施形態においては、酸化剤成分濃度のみが異なる複数の硫酸ニッケル水溶液の各々に対して分極測定により分極曲線を作成し、得られた複数の分極曲線から酸化剤成分濃度と所定の電圧値の範囲内におけるピーク電流値との関係を予め求めておく。その際、横軸を酸化剤成分濃度、縦軸を上記ピーク電流値とするグラフ上に上記の関係をプロットして検量線を作成してもよい。そして、測定対象の硫酸ニッケル水溶液に対して同様の条件で分極測定を行うことで測定用分極曲線を作成し、該測定用分極曲線の上記所定の電圧値の範囲内におけるピーク電流値を読み取って、このピーク電流値を上記の酸化剤成分濃度とピーク電流値との関係に照合することで該硫酸ニッケル水溶液中の酸化剤成分濃度を求めるものである。
この分極測定による酸化剤成分の濃度測定について、図2を参照しながら、酸化剤が過酸化水素水であり、かつ、該分極測定がサイクリックボルタンメトリー(CV)である場合を例に挙げて詳細に説明する。なお、測定感度が高くて測定時間が短い矩形波ボルタンメトリー(SWV法)を用いてもよい。また、本明細書では濃度の単位をmg/Lに代えてppmと表記することがある。先ず、一般的なニッケル・コバルト混合硫化物の硫酸浸出処理により得られる浸出液とほぼ同一のNi、Co、Fe及び硫酸の濃度を有する模擬液としての硫酸ニッケル水溶液を調製し、これを4つに小分けする。そして、これら小分けした4つの模擬液に、過酸化水素濃度が3mg/Lから1500mg/Lの範囲内でそれぞれ異なるよう過酸化水素水を添加する。このようにして調製した4種類の模擬液の各々を、好適には純水により2倍希釈する。なお、このように2倍希釈しないと、サイクリックボルタンメトリーの際に副反応が起こりやすくなり、正確な測定ができなくなるおそれがある。逆に、3倍以上に希釈すると、濃度が薄くなりすぎて、分析精度が低下するので好ましくない。
上記の2倍希釈した4種類の模擬液の各々を、サイクリックボルタンメトリー用セルに10mL入れて液温度25℃に調整し、この液に作用電極、対極、及び参照電極の先端部を浸漬させる。この状態でこれら3つの電極をALS社製ALS2325バイポテンショスタットに接続し、下記表1に示す条件でサイクリックボルタンメトリーを行う。
Figure 2020105035
これにより、図2に示すような、過酸化水素濃度のみが異なる4種類の硫酸ニッケル水溶液にそれぞれ対応する4つの分極曲線が得られる。これら4つの分極曲線を1つのグラフ上に重ね合わせることで分かるように、過酸化水素濃度が異なると、電圧値−1.6Vから−0.8Vの範囲内におけるマイナス側のピーク電流値が約−0.75mAから約−3.55mA程度の範囲に亘って大きくばらついている。そこで、これらピーク電流値と過酸化水素濃度との関係を、例えば検量線を作成することで予め求めておく。
次に、測定対象の硫酸ニッケル水溶液として、例えば前述したHPAL法で作製したニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーを加圧下のオートクレーブ内で硫酸浸出処理することで生成した浸出液を過酸化水素水で酸化分解処理した後の硫酸ニッケル水溶液を採取し、この採取した硫酸ニッケル水溶液を純水により2倍に希釈した後、上記と同様の条件でサイクリックボルタンメトリーを行って測定用分極曲線を作成する。そして、この測定用分極曲線の電圧値−1.6Vから−0.8Vの範囲内におけるマイナス側のピーク電流値を読み取り、この読み取ったピーク電流値を上記の予め求めた関係と照らし合わせる。これにより、測定対象となる硫酸ニッケル水溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求めることができる。
上記の分極測定においては、硫酸ニッケル水溶液の採取からそれに含まれる過酸化水素の濃度を求めるまでにかかる時間は10分足らずであるので、上記のサイクリックボルタンメトリーの結果を不純物除去工程S3の処理条件に迅速に反映させることができ、高品質の硫酸ニッケル結晶を経済的に製造することが可能になる。
[実施例1]
図1に示すようなプロセスフローに沿ってニッケル・コバルト混合硫化物スラリーから硫酸ニッケル結晶を作製した後、この硫酸ニッケル結晶を用いて無電解めっきによりニッケルめっき膜を作製して目視により評価した。具体的には、先ずスラリー調整工程S1において、公知のHPAL法により製造したNiを55質量%、Coを5.3質量%含むニッケル・コバルト混合硫化物に対して湿式粉砕及び目開き0.2mmの篩で篩別し、0.2mmオーバーの粗大粒子を除去した後、0.2mmアンダーの粒子に水を添加して原料スラリーを調製した。
次に、浸出工程S2において、上記原料スラリーをオートクレーブに装入し、温度165℃、圧力1.8MPaGに調整された条件下で、硫酸及び空気を供給して硫酸浸出処理を行った。次に、不純物除去工程S3において、上記浸出工程S2で得た粗硫酸ニッケル水溶液に過酸化水素水を添加することでチオ硫酸の酸化分解処理を行った。
この酸化分解処理後の硫酸ニッケル水溶液を採取して純水で2倍に希釈し、上記表1に示す条件でサイクリックボルタンメトリーによる分極測定を行って測定用分極曲線を作成した。その結果、電圧値−1.6Vから−0.8Vの範囲内におけるマイナス側のピーク電流値は−3.2mAであった。このピーク電流値を、前述した図2から求めたピーク電流値と過酸化水素濃度との関係に照合することにより、硫酸ニッケル水溶液の過酸化水素濃度が30mg/Lであることが分かった。この硫酸ニッケル水溶液の採取からその過酸化水素濃度が求まるまでに要した時間は8分であった。
上記にて判明した硫酸ニッケル水溶液に含まれる残留過酸化水素を分解するため、溶媒抽出工程に該硫酸ニッケル水溶液を供給する前に貯留槽に15分間貯留させた。この貯留後に再度、上記と同じ条件でサイクリックボルタンメトリーを行ってその分極曲線から上記と同様に過酸化水素濃度を求めたところ、分析限界以下であった。その後、溶媒抽出により不純物を除去することで得た高純度硫酸ニッケル水溶液に対して、晶析工程S4において濃縮することで硫酸ニッケル結晶を生成させた。
上記にて作製した硫酸ニッケル結晶を溶解し、得られた硫酸ニッケル水溶液にジ亜リン酸ナトリウムを添加して、硫酸ニッケル25g/L、ジ亜リン酸ナトリウム20g/Lとなるよう組成を調整しためっき液を作製した。このめっき液を容量1Lのビーカーに入れ、温度90±3℃、めっき時間10分の条件で5cm×5cmのステンレス製薄板上にニッケルめっき皮膜を形成させた。このめっき皮膜が形成された薄板をビーカーから取り出して水洗し、目視によりめっき皮膜の外観を評価したところ、平滑なめっき皮膜が形成されていた。
(実施例2)
実施例1とは異なる日時に採取した硫酸ニッケル水溶液を採取してサイクリックボルタンメトリーにより測定用分極曲線を作成した。その結果、電圧値−1.6Vから−0.8Vの範囲内におけるマイナス側のピーク電流値は−2.5mAであった。このピーク電流値を、前述した図2から求めたピーク電流値と過酸化水素濃度との関係に照合することにより、硫酸ニッケル水溶液の過酸化水素濃度が150mg/Lであることが分かった。この硫酸ニッケル水溶液の採取からその過酸化水素濃度が求まるまでに要した時間は8分であった。
以降は、貯留槽での滞留時間を15分に代えて75分にした以外は実施例1と同様にして不純物除去工程S3、晶析工程S4、及びニッケルめっき皮膜の形成を行ったところ、この貯留後に再度行った上記と同様の分極測定による過酸化水素濃度は分析限界以下であった。また、実施例1と同様の平滑なめっき皮膜が形成されていた。
(比較例1)
実施例1及び実施例2とは異なる日時に採取した硫酸ニッケル水溶液に対して、その過酸化水素濃度をORP計を用いて測定することを試みたが、過酸化水素濃度を正確に測定することができなかった。そこで、余裕をみて貯留槽での滞留時間を15分に代えて150分にした以外は実施例1と同様にして不純物除去工程S3、晶析工程S4、及びニッケルめっき皮膜の形成を行ったところ、実施例1と同様の平滑なめっき皮膜が形成されていたが、生産性が大幅に低下した。
S1 スラリー調製工程
S2 浸出工程
S3 不純物除去工程
S4 晶析工程

Claims (6)

  1. 金属イオンとして少なくともNi、Co及びFeを含む粗硫酸水溶液に含まれるチオ硫酸を過酸化水素水、オゾン、酸素、及び次亜塩素酸塩の群から選ばれる少なくとも一種の酸化剤で酸化分解した後、不純物を除去する除去工程と、該除去工程で不純物が除去された後の硫酸水溶液から硫酸ニッケル結晶を晶析させる結晶工程とからなる硫酸ニッケルの製造方法であって、前記酸化分解後の粗硫酸水溶液の酸化剤成分濃度を分極測定により求め、その結果に基づいて前記除去工程の処理条件を調整することを特徴とする硫酸ニッケルの製造方法。
  2. 前記酸化剤成分濃度を求める方法が、酸化剤成分濃度のみが異なる複数の硫酸ニッケル水溶液の各々に対して分極測定により分極曲線を作成し、得られた複数の分極曲線から酸化剤成分濃度と所定の電圧値の範囲内におけるピーク電流値との関係を予め求めておき、測定対象の前記粗硫酸水溶液に対して分極曲線を行うことで測定用分極曲線を作成し、該測定用分極曲線の前記所定の電圧値の範囲内におけるピーク電流値を前記予め求めた関係と照合することで、該粗硫酸水溶液中の酸化剤成分濃度を求めることを特徴とする、請求項1に記載の硫酸ニッケルの製造方法。
  3. 前記分極測定が、サイクリックボルタンメトリー(CV)であることを特徴とする、請求項2に記載の硫酸ニッケルの製造方法。
  4. 前記酸化剤が、過酸化水素水であることを特徴とする、請求項3に記載の硫酸ニッケルの製造方法。
  5. 前記所定の電圧値の範囲が−1.6Vから−0.8Vの範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の硫酸ニッケルの製造方法。
  6. 前記粗硫酸水溶液が、ニッケル硫化物スラリーを高温高圧下で硫酸浸出処理することで生成した浸出液であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硫酸ニッケルの製造方法。
JP2018243028A 2018-12-26 2018-12-26 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法 Active JP7273265B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018243028A JP7273265B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018243028A JP7273265B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020105035A true JP2020105035A (ja) 2020-07-09
JP7273265B2 JP7273265B2 (ja) 2023-05-15

Family

ID=71450493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018243028A Active JP7273265B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7273265B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS516124A (en) * 1974-07-05 1976-01-19 Hitachi Chemical Co Ltd Kikinzoku oyobi ryusandono kaishuhoho
JPS5879830A (ja) * 1981-11-06 1983-05-13 Mitsubishi Metal Corp 硫酸ニツケル水溶液の精製法
JP2005172769A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Fuji Xerox Co Ltd 電気化学測定用電極
JP2007212232A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Central Japan Railway Co 溶存オゾン濃度測定装置及び溶存オゾン濃度測定方法
JP2008008750A (ja) * 2006-06-29 2008-01-17 Tohoku Univ 原子炉冷却水の腐食環境定量方法およびその装置
JP2014098674A (ja) * 2012-11-16 2014-05-29 Keio Gijuku オゾン水濃度測定装置及びオゾン水濃度測定方法
JP2016141594A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 住友金属鉱山株式会社 硫酸ニッケルの製造方法
JP2016186114A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 Jx金属株式会社 リチウムイオン電池スクラップの浸出方法及び、有価金属の回収方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS516124A (en) * 1974-07-05 1976-01-19 Hitachi Chemical Co Ltd Kikinzoku oyobi ryusandono kaishuhoho
JPS5879830A (ja) * 1981-11-06 1983-05-13 Mitsubishi Metal Corp 硫酸ニツケル水溶液の精製法
JP2005172769A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Fuji Xerox Co Ltd 電気化学測定用電極
JP2007212232A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Central Japan Railway Co 溶存オゾン濃度測定装置及び溶存オゾン濃度測定方法
JP2008008750A (ja) * 2006-06-29 2008-01-17 Tohoku Univ 原子炉冷却水の腐食環境定量方法およびその装置
JP2014098674A (ja) * 2012-11-16 2014-05-29 Keio Gijuku オゾン水濃度測定装置及びオゾン水濃度測定方法
JP2016141594A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 住友金属鉱山株式会社 硫酸ニッケルの製造方法
JP2016186114A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 Jx金属株式会社 リチウムイオン電池スクラップの浸出方法及び、有価金属の回収方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7273265B2 (ja) 2023-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2179967A1 (en) Method for treatment of arsenic-containing nonferrous smelting intermediate product
JP6299620B2 (ja) 硫酸ニッケルの製造方法
EP3655557B1 (en) Method for precious metal recovery
CN108139306B (zh) 金属化合物粒子的提取方法、分析方法及其使用的电解液
Zhao et al. Efficient recovery of Sb (V) by hydrated electron reduction followed by cathodic deposition in a photoelectrochemical process
KR20210075092A (ko) 침출액을 전기 분해하여 구리 불순물을 제거하는 배터리 재활용
Jin et al. Electrolytic recovery of bismuth and copper as a powder from acidic sulfate effluents using an emew® cell
JP7380118B2 (ja) 硫酸ニッケルの製造方法
JPH08175818A (ja) 電解二酸化マンガン及びその製造方法
CA2634876C (en) Methods of making and washing scorodite
JPH0762664B2 (ja) スラリ中の電気化学ポテンシャルの測定および調整方法
DE2926347A1 (de) Verfahren zur steuerung der gewinnung von zink aus elektrolytischen zinksulfatloesungen
JP7273265B2 (ja) 分極測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法
CN106463755B (zh) 钒溶液、包含该钒溶液的电解液、包含该电解液的二次电池以及制备该钒溶液的方法
JP7275569B2 (ja) 硫酸ニッケルの製造方法
JP6365395B2 (ja) 硫酸ニッケルの製造方法
JP7404801B2 (ja) Orp測定による酸化剤成分の濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法
Xiao et al. Role of trivalent antimony in the removal of As, Sb, and Bi impurities from copper electrolytes
Shojaei et al. Removing of Sb and As from electrolyte in copper electrorefining process: a green approach
JP7172581B2 (ja) 分極測定によるチオ硫酸濃度管理を含んだ硫酸ニッケルの製造方法
AT520723B1 (de) Aufbereitung von Wolframcarbidzusammensetzungen
US3627482A (en) Mercury ore leaching process
DE10143076B4 (de) Verfahren zur Herstellung eines Kupfergalvanisierungsmaterials und nach dem Verfahren erhältliches Kupfergalvanisierungsmaterial
Malinowska et al. Cadmium recovery and recycling from chemical bath deposition of CdS thin layers
JP2009126759A (ja) 硫酸ニッケルと硫酸コバルトとを含む高純度溶液の作成方法、及びこの溶液を用いた高純度ニッケルの製造方法。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211029

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230327

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7273265

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150