JP2020103356A5 - - Google Patents

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連結式使い捨て着用物品
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつ等と呼ばれる連結式使い捨て着用物品に関するものである。
一般的な連結式使い捨て着用物品は、前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分を有し、少なくとも背側部分は、股間部よりも幅方向左右両側に延び出たウイング部分を有している。また、ウイング部分には、腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部を有する連結テープ(連結タブ)が取り付けられている。使用時には、ウイング部分を腰の両側から腹側部分の外面に回して、連結テープの連結部を腹側部分の外面に連結する。このような連結式使い捨て着用物品は、乳幼児向けとして用いられる他、介護用途(成人用途)でも使用されている(例えば特許文献1参照)。
従来、連結テープとしては、ウイング部分に固定された基端部と、基端部から延び出た本体部と、本体部の幅方向中間に設けられた、腹側部分と着脱可能に連結される連結部と、この連結部と基端部との間に設けられた、腹側部分と連結されない非連結部とを有するものが一般的である。
このような連結式使い捨て着用物品は、乳幼児向けとして用いられる他、介護用途(成人用途)で広く使用されているが、ウエスト周り及び脚周りが緩みやすいという問題点を有している。
そして、この問題を解決するものとして、連結テープをミシン目により上下二段に分割可能とした連結式使い捨て着用物品も提案されている(例えば特許文献1参照)。この連結式使い捨て着用物品は、ウエスト側の上段部分を斜め下向きに引っ張りつつ連結することによりウエスト周りをしっかりと締め付けるとともに、脚周り側の下段部分を斜め上向きに引っ張りつつ連結することにより脚周りをしっかりと締め付けることができるものであり、フィット性に優れた装着状態が得られるものである。
しかしながら、連結テープは、長繊維不織布等の丈夫な素材で形成されているため、通常のミシン目では切り離しにくく、それゆえミシン目全体を切り離す作業の容易性については改善の余地があった。
特開2005−160506号公報
そこで、本発明の主たる課題は、ミシン目により上下二段に分割可能とされた連結テープを有する連結式使い捨て着用物品において、ミシン目の切離し作業を容易化すること等にある。
上記課題を解決した連結式使い捨て着用物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
前記背側部分は、前記吸収体の側方に延び出たサイドフラップ部を有し、
前記背側部分のサイドフラップ部に取り付けられた、前記腹側部分と着脱可能に連結される連結テープを有し、
前記連結テープは、前記サイドフラップ部に固定された基端部と、前記基端部から延び出た本体部と、前記本体部におけるウエスト側の側部に設けられた、前記腹側部分に対する第1連結部と、前記本体部における脚周り側の側部に設けられた、前記腹側部分に対する第2連結部とを有しており、
前記連結テープは、その側縁における前記第1連結部と第2連結部との間から、幅方向内方に延びる分割部で、上下二段に分割可能とされている、
連結式使い捨て着用物品において、
前記分割部は、前記連結テープの側縁から幅方向の内方に向かって延びるミシン目と、前記ミシン目の幅方向の内方端に隣接する位置から前記分割部の内方端まで延びるスリット又は孔とを有しており、
前記ミシン目の幅方向の長さは25mm以下である、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
本連結式使い捨て着用物品では、25mm以下の短いミシン目の両側を両手でそれぞれつかみ、手首を返す程度の少ない動きでミシン目を連結テープの側縁側から切離し、スリット又は孔につなげるだけで、連結テープをミシン目よりも長く上下二段に分割することができる。つまり、全体がミシン目の従来と比べて、より容易にミシン目の切離し作業を終了し、連結テープを上下二段に分割することができる。しかも、ミシン目は連結テープの側縁側に位置し、スリット又は孔はこれよりも幅方向の内方に位置しており、使用前には連結テープがまったく分割されていないため、製造時の連結テープの取扱いが容易となるといった利点や、使用者が連結テープを上下二段に分割せずに使用することを選択した場合に、連結テープの一体性が高いものとなる。
本連結式使い捨て着用物品では、連結テープのスリットに指を挿入して、幅方向の内方から外方にミシン目を切り離すこともできる。ミシン目を連結テープの側縁側から切り離した場合、ミシン目の切離し後に、勢い余ってスリット又は孔の幅方向の内方端よりもさらに内方の部分まで連結テープを引き裂いてしまうおそれがある(以下、引き裂き過ぎともいう)。これに対して、上記のようにスリットに指を挿入して、幅方向の内方から外方にミシン目を切り離すと、引き裂き過ぎが発生することもない。
装着に際しては、ウエスト側の第1連結部を有する上段部分を斜め下向きに引っ張りつつ連結することによりウエスト周りをしっかりと締め付けるとともに、脚周り側の第2連結部を有する下段部分を斜め上向きに引っ張りつつ連結することにより脚周りをしっかりと締め付けることができる。
なお、用語「スリット」とは、対象部分に切り込みを入れることにより切り離された部分であり、展開状態で長さは有するが長手方向と直交する方向の寸法を有しないものであり、実質的な面積を有しないものである。また、用語「孔」とは、対象部分の打ち抜きにより形成されるものであり、展開状態で前後方向の寸法及び幅方向の寸法の両方有し、面積を有するものである。
<第2の態様>
前記ミシン目の幅方向の長さは10〜25mmであり、
前記スリット又は孔の幅方向の寸法は、前記ミシン目の幅方向の寸法の0.7〜1倍である、
第1の態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
ミシン目の長さ、及びスリット又は孔の幅方向の寸法は、適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると、ミシン目の引き裂き長さが短いため準備が容易であるとともに、分割部が十分に長いことにより装着者に対するフィット性が良好となり、かつ引き裂き過ぎも発生しにくいため好ましい。
<第3の態様>
前記基端部及び本体部は、目付けが50〜100g/m2の長繊維不織布層を含む、
第1又は2の態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
連結テープの基端部及び本体部が本態様のような長繊維不織布を含む場合、通常のミシン目では切り離しにくく、それゆえミシン目全体を切り離す作業の容易性が問題となりやすい。よって、前述のミシン目とスリット又は孔との組み合わせはこのような場合に特に技術的意義を有するものである。
<第4の態様>
前記サイドフラップ部は、前記基端部の表側に位置する表面層と、前記基端部の裏側に位置する裏面層を有しており、
前記連結テープにおける前記スリット又は孔の内方端の内方側に隣接する部分に、引き裂き防止部が形成されており、
前記引き裂き防止部の全体が、前記表面層及び前記裏面層の間に隠れている、
第1〜3のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
連結テープにミシン目とスリット又は孔とを設け、このミシン目を側縁側から切り離して上下二段に分割すると、前述のように引き裂き過ぎのおそれがある。これに対して、特許文献1記載のもののように引き裂き防止部を設けることは望ましい。しかし、特許文献1記載の引き裂き防止部は、表裏両面に露出するため、外観や肌触りを損ねるおそれがある。これに対して、本連結式使い捨て着用物品では、連結テープの基端部がサイドフラップ部の表面層及び裏面層の間に位置しており、引き裂き防止部の全体が表面層及び裏面層の間に隠れているため、引き裂き防止効果を有しつつ、引き裂き防止部が露出することによる外観の悪化を抑制することができる。
<第5の態様>
前記引き裂き防止部は、前記スリット又は孔の内方端の内方側に隣接して形成された、非切断部が側方に位置するC字状のカット部、打ち抜き孔、又は溶融固化部である、
第4の態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
引き裂き防止部は特に限定されるものではないが、例えば、本態様のようなカット部又は打ち抜き孔とすることができる。カット部又は打ち抜き孔は、引き裂き位置がカット部又は打ち抜き孔に達したときに、引き裂き位置に生ずる応力を分散させ、カット部又は打ち抜き孔よりもさらに内方の部分までサイドフラップ部を引き裂いてしまわないようにする作用を有する。よって、前述の引き裂き過ぎを防止できる。
また、引き裂き防止部は、本態様のような溶融固化部とすることもできる。溶融固化部はそれ以外の部分と比べて引き裂きに対する強度が高い。よって、引き裂きがスリット又は孔の内方端から進行したときに、この溶融固化部で引き裂きを停止することができる。このような溶融固化部は、連結テープの適所に、加熱エンボス加工又は超音波溶着加工を施すことにより形成することができる。
本発明によれば、ミシン目により上下二段に分割可能とされた連結テープを有する連結式使い捨て着用物品において、ミシン目の切離し作業を容易化することができる。
展開状態の連結式使い捨て着用物品の内面を示す、平面図である。 展開状態の連結式使い捨て着用物品の外面を示す、平面図である。 図1の6−6線断面図である。 図1の7−7線断面図である。 (a)図1の8−8線断面図、及び(b)図1の9−9線断面図である。 図1の5−5線断面図である。 伸縮シートの(a)平面図、及び(b)断面図である。 装着状態を示す斜視図である。 展開状態のウイング部分を示す、拡大平面図である。 展開状態のウイング部分を示す、拡大平面図である。 展開状態のウイング部分を示す、拡大平面図である。 展開状態のウイング部分を示す、拡大平面図である。 展開状態のウイング部分を示す、拡大平面図である。 連結テープの分割作業を示す図である。
図1〜図6は連結式使い捨て着用物品の一例を示しており、図中の符号Xは連結テープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としてのホットメルト接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
この連結式使い捨て着用物品は、前後方向LDの中央を含む股間部Mと、前後方向LDの中央より前側に延びる腹側部分Fと、前後方向LDの中央より後側に延びる背側部分Bとを有している。また、この連結式使い捨て着用物品は、股間部Mを含む範囲に内蔵された吸収体56と、吸収体56の表側を覆う液透過性のトップシート30と、吸収体56の裏側を覆う液不透過性シート11と、液不透過性シートの裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体56は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の粒径は特に限定されないが、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、通常の場合、50〜350g/m2とすることができる。
(包装シート)
高吸収性ポリマー粒子の抜け出しを防止するため、あるいは吸収体56の形状維持性を高めるために、吸収体56は包装シート58で包んでなる吸収要素50として内蔵させることができる。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、一枚で吸収体56の全体を包む構造とするほか、上下2枚等の複数枚のシートで吸収体56の全体を包むようにしてもよい包装シート58は省略することもできる。
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。
トップシート30は、前後方向では製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体56よりも側方に延びているが、例えば後述する起き上がりギャザー60の起点が吸収体56の側縁よりも幅方向中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート30の幅を吸収体56の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
(中間シート)
トップシート30を透過した液の逆戻りを防止するために、トップシート30の裏側に中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、各種の不織布を好適に用いることができ、特に嵩高なエアスルー不織布を好適に用いることができる。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯かつ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート40は、おむつの全長にわたり設けてもよいが、図示例のように排泄位置を含む中間部分にのみ設けてもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11は、特に限定されるものではないが、透湿性を有するもが好ましい。液不透過性シート11としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、液不透過性シート11としては、不織布を基材として防水性を高めたものも用いることができる。
液不透過性シート11は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56の端部を覆わない構造とすることもできる。
(外装不織布)
外装不織布12は液不透過性シート11の裏側全体を覆い、製品外面を布のような外観とするものである。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度が1.0〜3.5dtex、目付けが10〜50g/m2、かつ厚みが1mm以下の不織布であると好ましい。
(起き上がりギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、装着者の肌側に立ち上がる起き上がりギャザー60が設けられていると好ましい。もちろん、起き上がりギャザー60は省略することもできる。
起き上がりギャザー60を採用する場合、その構造は特に限定されず、公知のあらゆる構造を採用できる。図示例の起き上がりギャザー60は、サイドフラップを含む領域に固定された付根部分65、この付根部分から延び出た本体部分66、この本体部分66の前後方向の両端部が倒伏状態に固定された倒伏部分67、及び本体部分66のうち前後の倒伏部分67間に位置する非固定の起き上がり部分68を有するギャザーシート62と、起き上がり部分68の少なくとも先端部に固定されたギャザー弾性部材63とを有するものとなっている。ギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、またギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。ギャザー弾性部材63は、図1及び図3に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向外側の部分は各サイドフラップ部SFの内面、つまり図示例では液不透過性シート11の側部及びその幅方向外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。
脚周りにおいては、起き上がりギャザー60の接合始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が弾性部材63の収縮力により立ち上がり、身体表面に密着するようになる。
(エンドフラップ部、サイドフラップ部)
図示例の連結式使い捨て着用物品は、吸収体56の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のエンドフラップ部EFと、吸収体56の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のサイドフラップ部SFとを有している。サイドフラップ部SFは、図示例のように、吸収体56を有する部分から連続する素材(外装不織布12等)からなるものであっても、他の素材を取り付けて形成してもよい。
(平面ギャザー)
各サイドフラップ部SFには、糸ゴム等の細長状弾性部材からなるサイド弾性部材64が前後方向LDに沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップ部SFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。脚周り弾性部材64は、図示例のように、ギャザーシート62の接合部分のうち接合始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と液不透過性シート11との間に設けるほか、サイドフラップ部SFにおける液不透過性シート11と外装不織布12との間に設けることもできる。脚周り弾性部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
平面ギャザーは、サイド弾性部材64の収縮力が作用する部分(図中ではサイド弾性部材64が図示された部分)である。よって、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64が存在する形態の他、平面ギャザーよりも前側、後側又はその両側にわたりサイド弾性部材64が存在しているが、平面ギャザーの部位以外ではサイド弾性部材が一か所又は多数個所で細かく切断されていたり、サイド弾性部材64を挟むシートに固定されていなかったり、あるいはその両方であったりすることにより、平面ギャザー以外の部位に収縮力が作用せず(実質的には、弾性部材を設けないことに等しい)に、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64の収縮力が作用する構造も含まれる。
(ウイング部分)
本連結式使い捨て着用物品では、背側部分Bのサイドフラップ部SFは股間部Mよりも幅方向WD外側に延び出たウイング部分WPを有している。同様に、腹側部分Fのサイドフラップ部SFも股間部Mよりも幅方向WD外側に延び出たウイング部分WPを有している。これらウイング部分WPは、それ以外の部分と別の部材により形成することもできる。しかし、図示例のようにサイドフラップ部SFを有する構造において、サイドフラップ部SFの側部における前後方向LD中間を切断することにより、股間部Mの側縁からウイング部分の下縁71までの凹状縁70が形成され、その結果としてウイング部分WPが形成されていると、製造が容易であるため好ましい。背側部分B及び腹側部分Fの少なくとも一方におけるウイング部分WPを省略し、サイドフラップ部SFの側縁を前後方向に沿う直線状としてもよい。
(連結テープ)
図1、図2及び図6に示すように、背側部分Bにおけるサイドフラップ部SFには、腹側部分Fの外面に対して着脱可能に連結される連結テープ80がそれぞれ設けられている。おむつ10の装着に際しては、連結テープ80を腰の両側から腹側部分Fの外面に回して、連結テープ80の連結部83U,83Lを腹側部分F外面の適所に連結する。
連結テープ80は、図6及び図9に示すように、ウイング部分WPに固定された基端部81、及びこの基端部81から延び出た本体部82をなすシート基材80Sと、このシート基材80Sにおける本体部82の幅方向WDの中間部に設けられた、腹側部分Fに対する連結部83U,83Lとを有している。本体部82における、連結部83U,83Lより基端部81側が腹側部分Fと連結されない非連結部84となり、反対側が摘み部85となっている。つまり、これら非連結部84及び摘み部85は、本体部82をなすシート基材80Sのみからなっている。基端部81の側縁はウイング部分WPの側縁に一致していてもよいし、図6に示すように、ウイング部分WPの側縁から幅方向WDの内方にわずかに離間していてもよい。この離間距離は10〜50mm程度とすることができる。連結部83U,83Lの幅方向内方の縁は、ウイング部分WPの側縁に一致していてもよいが、図6に示すように、ウイング部分WPの側縁から幅方向WDの外方に十分に離間していることが好ましい。この離間距離は1〜100mm程度とすることができる。
連結テープ80の寸法は適宜定めればよい。例えば、連結テープ80の幅方向WDの寸法80wは、背側部分Bにおける連結テープ80を除く部分の幅方向WDの寸法Xの1/7〜1/2倍とすることができる。連結テープ80の前後方向LDの寸法は適宜定めることができるが、例えばウイング部分WPの側縁の前後方向LDの寸法の1/4〜1.0倍とすることができる。
連結部83U,83Lとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。
また、基端部81から本体部82までを形成するシート基材80Sとしては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0〜3.5dtex、目付け50〜100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
連結テープ80は、少なくとも非連結部84の一部が幅方向WDに伸縮するものであっても、全体が伸縮しないものであってもよい。
(ターゲット部)
腹側部分Fにおける連結テープ80の連結箇所には、ターゲット部20が設けられている。ターゲット部20は、図示例のように、連結を容易にするためのシート材を腹側部分Fの外面に貼り付けることにより設けることができる。
ターゲット部20を形成するためのシート材は特に限定されるものではないが、連結部83U,83Lがフック材の場合、例えば間欠的なパターンの超音波溶着により部分的に繊維相互が溶着された長繊維不織布を用いることができる。
また、連結部83U,83Lがフック材の場合、ターゲット部20を形成するためのシート材として、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなる基材の表面に多数縫い出された複合的なシート材を用いることができる。
さらに、連結部83U,83Lがフック材であり、腹側部分Fにおける連結テープ80の連結箇所が不織布からなる場合(例えば図示例のように外装不織布12を有する場合)には、ターゲット部20を形成するためにシート材を付加せずに、外装不織布12の適所をターゲット部20とし、フック材を外装不織布12の繊維に絡ませて連結することもできる。
一方、連結部83U,83Lが粘着材層の場合には、ターゲット部20を形成するためのシート材として、粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。
(伸縮シート)
背側部分Bにおける左右の連結テープ80の間には、幅方向WDに弾性伸縮する伸縮シート17が取り付けられ、伸縮シート17を有する領域が幅方向WDに弾性伸縮するものとなっていると好ましい。伸縮シート17は、エンドフラップ部EFにのみ位置していてもよいが、図示例のようにエンドフラップ部EFから吸収体56の後端部までにわたるように配置されていると、吸収体56の後端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。
伸縮シート17は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性を有することが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5及び図7に示すように、二枚の不織布等の支持層18をホットメルト接着剤等の接着剤により貼り合わせるとともに、両支持層18間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性部材19を幅方向WDに沿って伸長した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合における支持層18の素材としては、外装不織布12と同様のものを用いることができる。弾性部材19の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性部材19として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔19dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
伸縮シート17の幅は適宜定めることができるが、図示例のように、左右のサイドフラップ部SF間にわたる幅となっていることが好ましい。具体的な寸法としては、伸縮シート17の幅は連結テープ80を除いた本体部分の全幅Xの80〜95%程度とすることが好ましい。
伸縮シート17における幅方向WDの両端部は、製造時に吸引により保持して取付けを行うために非伸縮領域17nとなっていてもよい。非伸縮領域17nの寸法、及びこれらの間に位置し、幅方向WDに伸縮する中間伸縮領域17eの寸法は適宜定めることができるが、中間伸縮領域17eの幅は後述する左右の連結テープ80の連結部83U,83L間の幅の45〜90%とすることが好ましく、非伸縮領域17nの幅は製造時の縮みや捲れ防止のため5〜50mm程度とすることが好ましい。非伸縮領域17nは弾性部材19を有しない領域としてもよいが、中間伸縮領域17e及び非伸縮領域17nにわたり弾性部材19を取り付けるとともに、非伸縮領域17nでは弾性部材19を切断する等により、非伸縮領域17nに弾性部材19が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造としてもよい。
また、弾性部材19の一部が吸収体56を横断するように配置することもできるが、図7に示すように、弾性部材19が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を切断する等により、弾性部材19が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造とすると、吸収体56の後端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
伸縮シート17は、図示例では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に配置されているが、この配置に特に限定されるものではない。例えば、伸縮シート17は液不透過性シート11と外装不織布12との間に配置されていてもよいし、外装不織布12の外側に設けてもよい。
(ミシン目)
連結テープ80は、図9に拡大して示すように、本体部82におけるウエスト側の側部に設けられた、腹側部分Fに対する第1連結部83Uと、本体部82における脚周り側の側部に設けられた、腹側部分Fに対する第2連結部83Lとを有しており、連結テープ80の側縁における第1連結部83Uと第2連結部83Lとの間から、幅方向WD内方に延びる分割部90,91で、上下二段に分割可能とされている。そして、特徴的には、分割部90,91は、連結テープ80の側縁から幅方向WDの内方に向かって延びるミシン目90と、ミシン目90の幅方向WDの内方端に隣接する位置から分割部90,91の内方端まで延びるスリット91とを有しており、ミシン目90の幅方向WDの長さ(スリットの側縁から連結テープの側縁までの長さ)90wは25mm以下となっている。
本連結式使い捨て着用物品では、図14(a)に示すように25mm以下の短いミシン目90の両側を両手でそれぞれつかみ、図14(b)に示すように手首を返す程度の少ない動きでミシン目90を連結テープ80の側縁側から切離し、スリット91につなげるだけで、図14(c)に示すように、連結テープ80をミシン目90よりも長く上下二段に分割することができる。つまり、全体がミシン目90の従来と比べて、より容易にミシン目90の切離し作業を終了し、連結テープ80を上下二段に分割することができる。特に、連結テープ80の基端部81及び本体部82が目付け50〜100g/m2の長繊維不織布層を含む場合、ミシン目90の切離し作業が困難となりやすいため、このような連結テープ80において短いミシン目90とスリット91との組み合わせを採用することには特別の技術的意義がある。また、ミシン目90は連結テープ80の側縁側に位置し、スリット91はこれよりも幅方向WDの内方に位置しており、使用前には連結テープ80がまったく分割されていないため、製造時の連結テープ80の取扱いが容易となるといった利点や、使用者が連結テープ80を上下二段に分割せずに使用することを選択した場合に、連結テープ80の一体性が高いものとなる。
そして、装着に際しては、図8に示すように、ウエスト側の第1連結部83Uを有する上段部分UPを斜め下向きに引っ張りつつ連結することによりウエスト周りをしっかりと締め付けるとともに、脚周り側の第2連結部83Lを有する下段部分LPを斜め上向きに引っ張りつつ連結することにより脚周りをしっかりと締め付けることができる。上段部分UP及び下段部分LPの連結位置は使用者が適宜定めることができ、図8(a)に示すように、上段部分UP,下段部分LPの位置関係が上下逆転せず、上段部分UP,下段部分LP同士が重ならないようにしてもよいし、図8(b)に示すように、上段部分UP,下段部分LPの位置関係が上下逆転し、上段部分UP,下段部分LP同士が重ならないようにしてもよいし、図示しないが、上段部分UP,下段部分LP同士が一部重なるようにしてもよい。また、必要に応じてミシン目90を切り離さずに使用することもできる。
なお、ミシン目90を連結テープ80の側縁側から切り離した場合、ミシン目90の切離し後に、勢い余ってスリット91又は孔の幅方向WDの内方端よりもさらに内方の部分まで連結テープ80を引き裂いてしまうおそれがある。したがって、本連結式使い捨て着用物品では、連結テープ80のスリット91に指を挿入して、幅方向WDの内方から外方にミシン目90を切離し、引き裂き過ぎを防止することもできる。
ミシン目90の位置、寸法、形状等は適宜定めることができる。例えば、ミシン目90は連結テープ80の前後方向LD中央とするほか、前後方向LD中央よりもウエスト側又は脚周り側に位置していてもよい。通常の場合、ミシン目90は、連結テープ80の前後方向LDの中央を基準として前後方向LDに±5mmの範囲内に位置していることが好ましい。ミシン目90は、幅方向WDに延びている限り、幅方向WDに対する角度は0度(幅方向WDに沿う場合)とするほか、ある程度(例えば45度未満の角度で)幅方向WDに対して傾斜した方向に延びていてもよい。ミシン目90の本数は図示例のように1本とする他、複数本設けてもよい。
ミシン目90の内方端がサイドフラップ部SFの側縁よりも外側に位置する限り、ミシン目90の幅方向WDの寸法90wは適宜定めることができるが、25mm以下であることが望ましく、10〜25mmであるとより好ましい。
(スリット)
スリット91は、ミシン目90の幅方向WDの内方端に隣接する位置から分割部90,91の内方端まで延びていればよい。ミシン目90の幅方向WDの内方端に隣接する位置とは、ミシン目90を切り離しきることによりミシン目90の切離し部分がスリット91につながる程度に近い位置を意味する。通常の場合、スリット91とこれに隣接するミシン目90との間隔91tが、ミシン目90のタイ部の長さ90t以下であると、ミシン目90を切り離しきることにより容易にミシン目90の切離し部分がスリット91につながるようになる。
スリット91の位置、寸法、形状等は適宜定めることができる。スリット91は線状に切断された部分を意味し、その形状は直線状であっても、波線状や、円弧状等であってもよい。ミシン目90の位置に応じて適宜定めることができる。スリット91の始端(外方端)はミシン目90の終端(内方端)付近となるが、それ以外はスリット91はミシン目90と同方向に沿って延びていても、ミシン目90に対して曲がって斜め方向や直交方向に延びていてもよい。スリット91の幅方向WDの長さ91wは分割部90,91の全長に応じて適宜定めることができるが、連結テープ80の幅方向WDの寸法からミシン目90の幅方向WDの寸法を差し引いた長さより短くなり、通常の場合、ミシン目90の幅方向WDの寸法90wの0.7〜1倍であると好ましい。また、スリット91の本数は1本とする他、複数本設けてもよい。例えば、図12に示すように、スリット91は、互いに異なる方向に複数本形成されていてもよい。スリット91の内方端は、サイドフラップ部SFの側方に位置していても、サイドフラップ部SFの側縁より内方に位置していても、連結テープ80の基端部81に達していてもよい。
図13に示すように、スリット91に代えて、孔92を設けることもできる。孔の形状は特に限定されるものではないが、前後方向LD寸法より幅方向WD寸法の長い形状、例えば楕円孔や長孔が好ましい。
(引き裂き防止部)
スリット91の内方端(ミシン目90から遠い遠位端)は、ミシン目90を引き裂く際、又は引き裂いた後の装着作業時や装着中に加わる力により、ミシン目90から遠ざかる方に引き裂きが進行するおそれがある。よって、スリット91における、ミシン目90から遠い遠位端に隣接して、引き裂き防止部95〜97が設けられていると好ましい。
引き裂き防止部95〜97は、図9等に示すように、スリット91の内方端に隣接して形成された、非切断部が側方に位置するC字状のカット部95とすることができる。また、引き裂き防止部95〜97は、図11に示すように、スリット91の内方端に隣接して形成された、打ち抜き孔96とすることもできる。これらカット部95又は打ち抜き孔96は、引き裂きがスリット91の内方端を越えてカット部95又は打ち抜き孔96まで進行したときに、引き裂き防止部95〜97に生ずる応力を分散させ、引き裂き防止部95〜97よりもさらに引き裂いてしまわないようにする作用を有する。打ち抜き孔96の形状は、図示形態のような円形とするほか、楕円形や多角形等適宜の形状とすることができる。カット部95又は打ち抜き孔96の寸法は適宜定めることができるが、例えば前後方向LDの寸法は5〜20mm程度とすることができ、幅方向WDの寸法は5〜20mm程度とすることができる。
引き裂き防止部は、図13に示すように、連結テープにおけるスリット91の内方端に隣接する部分を溶融固化することにより形成された溶融固化部97であってもよい。このような溶融固化部97はそれ以外の部分と比べて引き裂きに対する強度が高い。よって、引き裂きがスリット91の内方端を越えて溶融固化部97まで進行したときに、この溶融固化部97で引き裂きを停止することができる。このような溶融固化部97は、連結テープ80における適所に、加熱エンボス加工又は超音波溶着加工を施すことにより形成することができる。溶融固化部97の形状は、図示形態のような前後方向に沿う長辺を有する長方形とするほか、他の多角形や、円形、又は楕円形等、適宜の形状とすることができる。溶融固化部97の寸法は適宜定めることができるが、例えば前後方向LDの寸法は5〜20mm程度とすることができ、幅方向WDの寸法は5〜20mm程度とすることができる。
引き裂き防止部95〜97は、図9や図11に示す例のように、表裏両面に露出すると外観や肌触りを損ねてしまうおそれがある。そこで、図10に示すように、引き裂き防止部95〜97の全体がサイドフラップ部SFの表面層(図示例ではギャザーシート62)及び裏面層(図示例では外装不織布12)の間に隠れるようにするのは好ましい。これにより、引き裂き防止効果を有しつつ、引き裂き防止部95〜97が露出することによる外観や肌触りの悪化を抑制することができる。
(不織布)
上記説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例のような連結式使い捨て着用物品に適用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装不織布、17…伸縮シート、20…ターゲット部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、64…サイド弾性部材、70…凹状縁、71…ウイング部分の下縁、80…連結テープ、81…基端部、82…本体部、83L…第2連結部、83U,83L…連結部、83U,83L…連結部、83U…第1連結部、90,91…分割部、90…ミシン目、91…スリット、95〜97…引き裂き防止部、95…カット部、96…打ち抜き孔、97…溶融固化部、B…背側部分、F…腹側部分、LD…前後方向、LP…下段部分、M…股間部、SF…サイドフラップ部、UP…上段部分、WD…幅方向、WP…ウイング部分。
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