JP2020102931A - 車両の駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータで駆動している駆動輪がスリップした場合にモータが過回転になることを回避できる駆動制御装置を提供する。【解決手段】駆動力源としてのモータと、モータからトルクが伝達される駆動輪と、モータと駆動輪との間に配置されてトルクの伝達および遮断を行うクラッチとを備え、モータの回転数が予め定めたしきい値を超えた場合にクラッチを解放させる制御を行う、車両の駆動制御装置であって、クラッチの係合および解放の制御を行うコントローラを備え、コントローラは、モータによって駆動輪を駆動している状態で駆動輪がスリップしたことを検出し(ステップS3)、スリップが検出された場合には、クラッチの解放を禁止する。【選択図】図2
Description
この発明は、駆動力源としてモータを有し、かつそのモータと駆動輪とをクラッチによって選択的に連結し、また連結を解くことのできる車両の制御装置に関するものである。
モータを含む駆動力源を備えた車両の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された車両は、前輪をエンジンによって駆動し、後輪をモータによって駆動するように構成されたいわゆる四輪駆動車である。そのモータの回転数には限度があるので、四輪駆動状態で高速走行し、車速が予め定めた閾値よりも大きくなることにより、モータと後輪との間に配置されているクラッチを解放して、モータと後輪との間のトルク伝達を遮断している。これは、モータが負荷となって振動が生じることを防止するためであり、特許文献1に記載された制御装置では、クラッチの解放に続けて、回転子電流を停止し、その後に界磁電流を強制的に遮断している。
特許文献1に記載されている制御装置は、モータに連結されている後輪の回転数が車速の増大により閾値以上になった場合にクラッチを解放制御するように構成されている。しかしながら、車輪の回転数は、車速が増大することのみによって高回転数になるわけではなく、例えばモータなどの駆動力源がトルクを出力して走行するいわゆる力行状態で、路面の摩擦係数(路面μ)の低下によってタイヤがスリップすると、駆動力源にタイヤ側から掛かる負荷が低下するので、駆動力の回転数が増大する。車速は、車輪の回転数に基づいて検出しているから、スリップによって車輪の回転数が増大すると車速が増大したのと同様の状態になるから、そのようなタイヤスリップにより増大した車速(車速検出値)が閾値以上になると、特許文献1に記載された装置ではクラッチを解放してしまう。
タイヤのスリップは駆動トルクに対して路面との摩擦による走行抵抗が低下することにより生じるので、タイヤスリップが生じると駆動力源に掛かる負荷が低下するが、車輪のイナーシャ分の負荷は掛かり続ける。これに対して特許文献1に記載された装置のようにクラッチを解放してしまうと、そのイナーシャ分の負荷も駆動力源に掛からなくなる。一方、特許文献1に記載された装置が、クラッチを解放した後に、回転子電流および界磁電流を順に遮断するように構成されているように、クラッチの解放時にモータのトルクが残存していることがある。そのため、駆動力のイナーシャ分の負荷がなくなった状態でモータが残存しているトルクで回転しようとするので、過回転を防止しようとしているモータの回転数が却って増大し、過回転状態になってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、モータを駆動している力行状態で駆動輪がスリップした場合であってもモータの過回転を防止もしくは抑制することのできる駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源としてのモータと、前記モータからトルクが伝達される駆動輪と、前記モータと前記駆動輪との間に配置されて前記トルクの伝達および遮断を行うクラッチとを備え、前記モータの回転数が予め定めたしきい値を超えた場合に前記クラッチを解放させる制御を行う、車両の駆動制御装置において、前記クラッチの係合および解放の制御を行うコントローラを備え、前記コントローラは、前記モータによって前記駆動輪を駆動している状態で前記駆動輪がスリップしたことを検出し、前記スリップが検出された場合には、前記クラッチの解放を禁止することを特徴としている。
この発明によれば、駆動力源としてのモータの回転数がしきい値を超えると、クラッチが解放する。これに対して、いわゆるモータによる力行状態で駆動輪のスリップが検出されると、クラッチの解放が禁止される。したがって、駆動輪のスリップが要因となってモータの回転数がしきい値を超えてもクラッチの係合状態が維持されて、駆動輪のイナーシャ分の負荷がモータに掛かり続ける。そのため、モータの制御遅れなどによってモータのトルクが残存していてもモータの回転数の増大が抑制もしくは緩和されるので、モータの過回転を回避もしくは抑制することができる。
この発明の実施形態で対象とする車両は、モータを駆動力源とした車両、あるいはモータを駆動力源に含む車両である。その一例を図1に模式図で示してある。図1に示す車両は、モータ1によって前輪2を駆動し、エンジン3によって後輪4を駆動するように構成された四輪駆動車(もしくは全輪駆動車)である。車体の前方側にエンジン3が車体の後方に向けて配置されており、そのエンジン3に続けて発電機(MG1)5と自動変速機6とが順に配列されている。そして、エンジン3(より詳しくはエンジン3の出力軸)と発電機5(より詳しくは発電機5のロータ軸)とが自動変速機6の入力軸7に連結されている。
エンジン3は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(アクセル開度)などの要求駆動力に応じてスロットル開度や燃料噴射量が制御されて要求駆動力に応じたトルクを出力するように構成されている。発電機5は、永久磁石式同期電動機などの発電機能のあるモータ(モータ・ジェネレータ)である。したがって、発電機5は、エンジン3によって駆動されて発電し、またエンジン3を始動する場合にはエンジン3をクランキングしてスタータモータとして機能する。
自動変速機6は、複数の変速比(変速段)を設定することのできるいわゆる有段式の自動変速機であり、図示しない複数の係合機構を適宜に係合および解放することにより各変速段を設定することができ、その係合および解放の切り換えすなわち変速は、電気的な制御によって行われる。自動変速機6にはリヤプロペラシャフト8を介してリヤデファレンシャルギヤ9が連結されており、リヤデファレンシャルギヤ9から駆動輪である左右の後輪(車輪)4に駆動トルクが伝達される。
さらに、前輪(車輪)2を駆動するためのモータ(MG2)1が設けられている。このモータ1は、上記の発電機5と同様に、永久磁石式の同期電動機であってよく、上記の自動変速機6あるいはリヤプロペラシャフト8と平行に配置されている。また、モータ1の出力軸(ロータ軸)10はクラッチ11を介してフロントプロペラシャフト12に接続されている。そのフロントプロペラシャフト12は、左右の前輪2の差動回転を許容しつつそれらの前輪2にトルクを伝達するフロントデファレンシャルギヤ13に連結されている。したがって、駆動力源としてのモータ1と駆動輪である前輪2との間に、トルクの伝達と遮断とを行うクラッチ11が配置されている。
発電機5とモータ1とは、蓄電池やキャパシターなどの蓄電装置およびインバータやコンバータを含む電源部14に電気的に接続されている。したがって、発電機5およびモータ1を蓄電装置の電力によってモータとして機能させ、あるいはこれらのモータ1や発電機5で発電した電力を蓄電装置に充電することが可能である。また、発電機5で発電した電力によってモータ1を駆動し、そのモータ1のトルクで走行することも可能である。
上述したエンジン3や各モータ1,5、およびクラッチ11ならびに自動変速機6などを制御する電子制御装置(ECU)15が設けられている。このECU15はマイクロコンピュータを主体にして構成され、入力されるデータおよび予め記憶しているデータに基づいて演算を行い、演算の結果を制御指令信号として出力するように構成されている。ECU15は、エンジン3などの上述した機器を制御するためのものであるから、エンジン用ECUやモータ用ECUならびに自動変速機用ECUなどを統合した制御装置であってもよく、あるいはこれらの各ECUに指令信号を出力する上位の制御装置であってもよい。ECU15には、前後輪2,4の回転速度である車輪速、モータ1の回転数やトルク、アクセル開度、蓄電装置の充電残量、エンジン回転数、ブレーキオン・オフ信号、入力軸7の回転数などが入力されている。また、制御指令信号として、クラッチ11の係合および解放の指令信号、モータ1の制御信号、発電機5の制御信号、エンジン3における電子スロットルバルブの開度信号、変速段制御信号などが出力される。
上記のモータ1の保護や振動の抑制のためにモータ1の上限回転数が定められている。これに対してモータ1は前輪2にクラッチ11を介して連結されているから、モータ1の回転数が前輪2から伝達されるトルクで引き上げられることがある。具体的には、エンジン3およびモータ1を駆動して四輪駆動状態で走行している際に車速が増大してモータ1の回転数が予め定めた上限回転数を超える場合がある。この発明の実施形態における駆動制御装置は、車速の増大などによってモータ1の回転数が上限回転数を超える場合には、クラッチ11を解放してモータ1を前輪2から切り離し、併せてモータ1の回転子電流ならびに界磁電流を遮断する制御(モータ1の停止制御)を実行する。このようにクラッチ11を解放する制御は、基本的には、クラッチ11を係合している状態においてモータ1の回転数が増大した場合に実行される。
モータ1が力行している状態での回転数は、モータ1のトルクとモータ1に掛かる負荷とに応じて決まり、負荷が大きければ回転数が低下し、反対に負荷が小さければ回転数が増大する。したがって、モータ1を駆動している状態で前輪2がスリップすると、モータ1に掛かる負荷が急減に低下するので、モータ1の回転数が上限回転数以上に増大してしまう。このような場合においても、前記クラッチ11の解放を伴う前記停止制御を実行すると、前輪2(駆動輪)のイナーシャに基づく負荷も掛からなくなってモータ1の回転数が増大する可能性があるので、この発明の実施形態における駆動制御装置は、以下の制御を行うように構成されている。
図2はその制御の一例を説明するためのフローチャートであって、ここに示す制御は前述したECU15によって実行され、したがってECU15がこの発明の実施形態におけるコントローラに相当している。図2に示す制御は、クラッチ11を係合させ、かつモータ1で前輪2を駆動している走行時に実行される。そのような走行状態で先ず、モータ回転数が算出される(ステップS1)。このステップS1の制御は、例えば各車輪2,4に設けられている回転数センサ(図示せず)の検出信号に基づいて行うことができる。ついで、その算出されたモータ回転数が予め定めた解放閾値を超えているか否かが判断される(ステップS2)。この解放閾値は、設計上定めたモータ1の上限回転数に相当する回転数であり、モータ1の保護や振動の発生などを考慮して定めることができる。
ステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく、図2の制御を一旦終了する。これとは反対にステップS2で肯定的に判断された場合には、タイヤスリップ中か否かが判断される(ステップS3)。このステップS3は、モータ1の回転数が解放閾値を超えた要因がタイヤスリップによるものか否かを判断するステップであり、したがってスリップの判断の対象は前輪2である。また、スリップの判断は、車体速で決まる車輪回転数とセンサで得られる前輪2の回転数との偏差が予め定めた値を超えたか否かを判断することにより行えばよい。なお、車体速は、前後の四輪の回転数から求まる速度であり、トラクションコントロールシステムあるいはアンチロックブレーキシステムなどから得ることができる。同様に、タイヤスリップの判断はトラクションコントロールシステムによって行い、ステップS3ではその判断結果を取得することとしてもよい。
タイヤスリップが生じていないことによりステップS3で否定的に判断された場合には、クラッチ11を解放する(ステップS4)。すなわち、前述した停止制御に準じてクラッチ11を解放し、またモータ1に対する電流を遮断する。これに対してタイヤスリップ中であることによりステップS3で肯定的に判断された場合には、図2に示す制御を一旦終了する。すなわち、クラッチ11の解放を禁止する。
上記の制御を行った場合のモータ1の回転数およびトルクの変化を図3に示してある。モータ1がトルクを出力して力行している状態では、車速の増大に伴ってモータ1の回転数が増大する。その過程でスリップが生じると(t1時点)、モータ1に掛かる負荷が低下するのでその回転数が増大し始める。また、モータ1を停止させるための制御が開始されてモータ1のトルク(出力トルク)が低下し始める。こうしてモータ1の回転数が増大し、予め定めた解放閾値を超える(t2時点)。この時点では、モータ1のトルクがゼロにまでは低下していずに、トルクが残存している。すなわち、モータ1は低トルクであっても力行状態になっている。また、モータ1の回転数が解放閾値を超えても、スリップの判断が既に成立しているので、クラッチ11は解放させられずに係合状態に維持される。したがって、モータ1でトルクを出力していても前輪2のイナーシャに相当する負荷が掛かっているので、モータ1の回転数は、その直前の傾向(もしくは勾配)で増大するものの急激に増大することはない。その状態を図3に実線で示してある。
そして、モータ1に対する電流が遮断されると(t3時点)、モータ1のトルクはゼロに低下する。その結果、モータ1の回転数を増大させる動力がなくなるから、その回転数は次第に低下し始める。また、モータ1の出力トルクが低下することによりスリップが収束し、前輪2は車体速に応じた回転数になる。また、スリップの収束によってクラッチ11が係合させられてモータ1と前輪2とが連結されるので、モータ1の回転数がその時点の車速に応じた回転数になる。
比較のために図3には、モータ1の回転数が解放閾値を超えた時点t2にクラッチ11を解放した場合のモータ1の回転数の変化を破線で示してある。前述したようにt2時点では、モータ1にトルクが残っているのに対して、クラッチ11を解放してモータ1に掛かる負荷が低下すると、モータ1の回転数は、負荷の低下によって急激に増大する。そのため、モータ1の回転数は過回転を判定する回転数を超えてしまう。この発明の実施形態の駆動制御装置によれば、クラッチ11の解放を禁止するので、このような過回転を回避もしくは抑制することができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであり、この発明で対象とする車両は、エンジンとモータとを駆動力源としたハイブリッド車両以外に、モータのみを駆動力源とする電気自動車であってもよい。また、モータと駆動力とをトルク伝達可能に連結し、またその連結を解くクラッチは、モータの出力軸とプロペラシャフトとの間に設けたクラッチに限られないのであり、例えばモータの出力側に、ニュートラルを設定可能な変速機を設け、クラッチはそのニュートラルを設定するために解放させられるクラッチ(ブレーキを含む)であってもよい。さらに、図2では、タイヤスリップ中の判断を行うこととしてあるが、タイヤスリップの継続を判断する替わりに、タイヤスリップの発生を検出し、また判断することとしてもよい。その場合、タイヤスリップの発生から予め定めた所定時間の間、クラッチを解放することとしてもよい。
1…モータ、 2…前輪、 3…エンジン、 4…後輪、 5…発電機、 6…自動変速機、 7…入力軸、 8…リヤプロペラシャフト、 9…リヤデファレンシャルギヤ、 11…クラッチ、 12…フロントプロペラシャフト、 13…フロントデファレンシャルギヤ、 14…電源部、 15…電子制御装置(ECU)。
Claims (1)
- 駆動力源としてのモータと、前記モータからトルクが伝達される駆動輪と、前記モータと前記駆動輪との間に配置されて前記トルクの伝達および遮断を行うクラッチとを備え、前記モータの回転数が予め定めたしきい値を超えた場合に前記クラッチを解放させる制御を行う、車両の駆動制御装置において、
前記クラッチの係合および解放の制御を行うコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記モータによって前記駆動輪を駆動している状態で前記駆動輪がスリップしたことを検出し、
前記スリップが検出された場合には、前記クラッチの解放を禁止する
ことを特徴とする車両の駆動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018239135A JP2020102931A (ja) | 2018-12-21 | 2018-12-21 | 車両の駆動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018239135A JP2020102931A (ja) | 2018-12-21 | 2018-12-21 | 車両の駆動制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020102931A true JP2020102931A (ja) | 2020-07-02 |
Family
ID=71140068
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018239135A Pending JP2020102931A (ja) | 2018-12-21 | 2018-12-21 | 車両の駆動制御装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020102931A (ja) |
-
2018
- 2018-12-21 JP JP2018239135A patent/JP2020102931A/ja active Pending
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