JP2020101576A - 光源装置及びプロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】励起光の波長変換効率を高めることができる光源装置及びプロジェクターを提供すること。【解決手段】光源装置は、励起光を出射する光源と、入射される励起光を、励起光の波長と異なる波長を有する変換光に変換する波長変換層と、を備え、波長変換層は、入射される励起光の密度が大きい第1領域と、入射される励起光の密度が小さい第2領域と、を有し、第1領域及び第2領域は、蛍光体、賦活剤及び散乱要素を含み、第1領域の賦活剤濃度は、第2領域の賦活剤濃度より小さい、又は、第1領域の蛍光体濃度は、第2領域の蛍光体濃度より小さい。【選択図】図6

Description

本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
従来、青色光である励起光を出射する固体光源と、励起光によって励起されて固体光源の発光波長より長波長の蛍光を出射する蛍光体層とを備え、蛍光体層に入射された励起光のうち、一部の励起光と、他の励起光によって励起されて出射される蛍光との混色による白色光を出射する光源装置が知られている。
このような光源装置では、固体光源がLED(Light Emitting Diode)である場合、固体光源から出射された励起光は、その全てが光軸方向に沿って蛍光体層に入射するのではなく、光軸方向に対して所定の角度分布をもって蛍光体層に入射する。この場合、蛍光体層において光軸方向に沿って入射した励起光の光路長に対して、光軸方向に対して所定の角度で入射した励起光の光路長が大きくなる。蛍光体層における励起光の光路長が大きい場合には、励起光の光路長が小さい場合に比べて蛍光を生じやすくなる。この結果、蛍光体層の光出射面側から見て、蛍光体層から出射される光は、中心部が青っぽい白色となる一方で、外周部がリング状に黄色っぽい白色となる。すなわち、蛍光体層から出射される白色光には、イエローリングと呼ばれる色むらが発生する。
一方、固体光源が半導体レーザーである場合、固体光源から出射された励起光の略全てが、光軸方向に沿って蛍光体層に入射される。しかしながら、蛍光体層における励起光の光路のうち、一部の励起光の光路は短いが、他の一部の励起光の光路は、励起光が反射及び拡散等によって蛍光体層内を導光するため長くなる。そして、蛍光体層における励起光の光路が長い場合には、蛍光を生じやすくなることから、上記と同様に、蛍光体層から出射される白色光には、イエローリングと呼ばれる色むらが発生する。
上記問題に対し、励起光の照射領域の中心部分から周辺に向かうに従って蛍光の発光強度を減少させる蛍光体層を備えた光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的に、特許文献1に記載の光源装置が備える蛍光体層には、赤色蛍光体、黄色蛍光体及び緑色蛍光体のうちの1つ、或いは、これらの混合物が採用されている。詳述すると、蛍光体層には、照射される励起光の中心部分から周辺に向かうに従って蛍光の発光強度が弱まるように、賦活剤濃度の異なる複数種類の蛍光体で構成されている。これにより、特許文献1に記載の光源装置では、蛍光体層から出射される白色光に、イエローリングが発生することを抑制している。
なお、特許文献1には、蛍光体層として、透光性を有する蛍光体セラミックス、すなわち、焼結体中に光の散乱の原因となる気孔(ポア)や粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスを使用することが望ましい旨が記載されている。
特開2013−168602号公報
波長変換素子が、蛍光体及び賦活剤を含む蛍光体層を有する場合、蛍光体層に入射される励起光の密度と、励起光の波長変換効率とは、以下に示す関係がある。なお、波長変換効率は、波長変換素子への励起光の入射光量に対する波長変換素子からの蛍光の出射光量によって示される。
すなわち、励起光密度が小さい場合には、蛍光体層全体の賦活剤濃度又は蛍光体濃度が大きいと、蛍光体層に入射された励起光は、蛍光体粒子及び賦活剤に到達しやすい。このことから、励起光が蛍光に変換されずに散乱要素に入射されて、蛍光体層の外部に出射されてしまう後方散乱(バックスキャッタ)の発生が抑制され、蛍光体層による励起光の波長変換効率は高い。この他、蛍光体層内に入射された励起光が蛍光体粒子及び賦活剤に到達するまでの導波(導光)距離が小さくなることから、蛍光の出射範囲は小さくなるため、蛍光体層から出射された蛍光を光学部品によって取り込みやすくなり、蛍光の利用効率を高めることができる。
しかしながら、本件発明者は、励起光密度が大きい場合には、蛍光体層全体の賦活剤濃度又は蛍光体濃度が大きいと、励起光密度が小さい場合に比べて、蛍光体層による励起光の波長変換効率が低下することを見出した。
これらのことから、入射される励起光の波長変換効率を高めることができる光源装置及びプロジェクターが要望されている。
本発明の第1態様に係る光源装置は、励起光を出射する光源と、入射される前記励起光を、前記励起光の波長と異なる波長を有する変換光に変換する波長変換層と、を備え、前記波長変換層は、入射される前記励起光の密度が大きい第1領域と、入射される前記励起光の密度が小さい第2領域と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域は、蛍光体、賦活剤及び散乱要素を含み、前記第1領域の賦活剤濃度は、前記第2領域の賦活剤濃度より小さい、又は、前記第1領域の蛍光体濃度は、前記第2領域の蛍光体濃度より小さいことを特徴とする。
上記第1態様では、前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央から外側に向かって小さくなり、前記第1領域は、前記入射領域の中央側に位置し、前記第2領域は、前記入射領域の外縁側に位置することが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央部における前記励起光のピーク密度は、前記入射領域の外縁部における前記励起光のピーク密度より小さく、前記第2領域は、前記入射領域の中央部に位置し、前記第1領域は、前記入射領域の外縁部に位置することが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向に直交する方向であり、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中心を通る方向の1つを第1方向とする場合、前記励起光の密度は、前記入射領域において前記第1方向とは反対方向に向かって小さくなり、前記第1領域は、前記入射領域における前記第1方向に位置し、前記第2領域は、前記入射領域における前記第1方向とは反対方向に位置することが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層への前記励起光の入射方向に沿う回転軸を中心として前記波長変換層を回転させる回転部を備え、前記波長変換層は、前記回転軸を中心とする環状に構成されていることが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向にそれぞれ直交し、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中心を通り、かつ、互いに直交する2つの方向を第1方向及び第2方向とする場合、前記励起光の密度は、前記入射領域において前記第1方向に向かって小さくなり、前記入射領域において前記第2方向に向かって小さくなり、前記第1領域は、前記入射領域における前記第1方向とは反対方向で、かつ、前記第2方向とは反対方向に位置し、前記第2領域は、前記入射領域における前記第1領域以外の領域に位置することが好ましい。
本発明の第2態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。 第1実施形態における光源装置の構成を示す模式図。 第1実施形態における波長変換素子を励起光の入射側から見た平面図。 第1実施形態における波長変換素子の断面の一部を模式的に示す図。 第1実施形態における励起光の密度と波長変換効率との関係を示す図。 第1実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第1実施形態の変形における光源装置の構成を示すブロック図。 第1実施形態の変形における第1光源装置の構成を示す模式図。 第1実施形態の変形における波長変換素子の断面の一部を模式的に示す図。 第1実施形態の変形における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第2実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第3実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第3実施形態の変形における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第3実施形態の変形における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第4実施形態における励起光の密度分布を示す図。 第4実施形態における波長変換層における賦活剤の濃度分布、並びに、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第5実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第6実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第7実施形態における励起光の密度分布と第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第8実施形態における波長変換層における蛍光体の濃度分布、並びに、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、後述する光源装置4から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成する画像光を、スクリーン等の被投射面上に拡大投射する画像表示装置である。プロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、外装筐体2内に配置される画像投射装置3と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、電子部品に電力を供給する電源装置、及び、冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、それぞれ図示しない天面部及び底面部と、正面部21、背面部22、左側面部23及び右側面部24を有し、略直方体形状に形成されている。
正面部21は、後述する投射光学装置36の一部を露出させる開口部211を有しており、投射光学装置36によって投射される画像光は、開口部211を通過する。また、正面部21は、プロジェクター1内の冷却対象を冷却した冷却気体が外装筐体2の外部に排出される排気口212を有する。
右側面部24は、外装筐体2外の気体を冷却気体として内部に導入する導入口241を有する。
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、上記画像光を形成及び投射する。画像投射装置3は、光源装置4、均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33、画像形成装置34、光学部品用筐体35及び投射光学装置36を備える。
なお、光源装置4の構成については、後に詳述する。
均一化装置31は、光源装置4から出射された光を均一化する。均一化装置31によって均一化された光は、色分離装置32及びリレー装置33を経て、画像形成装置34の後述する光変調装置343の変調領域を照明する。均一化装置31は、2つのレンズアレイ311,312、偏光変換素子313及び重畳レンズ314を備える。
色分離装置32は、均一化装置31から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離装置32は、2つのダイクロイックミラー321,322と、ダイクロイックミラー321によって分離された青色光を反射させる反射ミラー323と、を備える。
リレー装置33は、青色光の光路及び緑色光の光路より長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー装置33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333、反射ミラー332,334を備える。
なお、本実施形態では、赤色光の光路にリレー装置33を設けているが、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー装置33を設ける構成としてもよい。
画像形成装置34は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、投射光学装置36によって投射される画像光を形成する。画像形成装置34は、入射される各色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ341、3つの入射側偏光板342、3つの光変調装置343、3つの視野角補償板344及び3つの出射側偏光板345と、1つの色合成装置346と、を備える。
光変調装置343は、光源装置4から出射された光を画像情報に応じて変調する。光変調装置343は、赤色光を変調する光変調装置343R、緑色光を変調する光変調装置343G、及び、青色光を変調する光変調装置343Bを含む。本実施形態では、光変調装置343は、透過型の液晶パネルによって構成されており、入射側偏光板342、光変調装置343及び出射側偏光板345によって液晶ライトバルブが構成される。
色合成装置346は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された各色光を合成して上記画像光を形成する。本実施形態では、色合成装置346は、クロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、これに限らず、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
光学部品用筐体35は、それぞれ上記した均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体35は、照明光軸Axにおける所定位置に均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を保持する。光源装置4及び投射光学装置36は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
投射光学装置36は、画像形成装置34から入射される画像光を被投射面上に拡大投射する。すなわち、投射光学装置36は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された光を投射する。投射光学装置36は、例えば筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
[光源装置の構成]
図2は、光源装置4の構成を示す模式図である。
光源装置4は、光変調装置343を照明する照明光LTを均一化装置31に出射する。光源装置4は、図2に示すように、光源用筐体CAと、光源用筐体CA内にそれぞれ収容される光源部41、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、偏光分離素子44、第1集光素子45、第1位相差素子46、第2集光素子47、拡散反射装置48、第2位相差素子49及び波長変換装置5と、を備える。
光源用筐体CAは、塵埃等が内部に侵入しづらい密閉筐体である。
光源部41、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、偏光分離素子44と、第1位相差素子46、第2集光素子47及び拡散反射装置48は、光源装置4に設定された照明光軸Ax1上に配置されている。
波長変換装置5、第1集光素子45、偏光分離素子44及び第2位相差素子49は、光源装置4に設定され、かつ、照明光軸Ax1に直交する照明光軸Ax2上に配置されている。
[光源部の構成]
光源部41は、光を出射する光源411及びコリメーターレンズ415を備える。
光源411は、それぞれ発光素子としての複数の第1固体光源412及び複数の第2固体光源413と、支持部材414と、を備える。
第1固体光源412は、励起光であるs偏光の青色光L1sを出射する半導体レーザーである。青色光L1sは、例えば、ピーク波長が440nmのレーザー光である。第1固体光源412から出射された青色光L1sは、波長変換装置5に入射される。
第2固体光源413は、p偏光の青色光L2pを出射する半導体レーザーである。青色光L2pは、例えば、ピーク波長が460nmのレーザー光である。第2固体光源413から出射された青色光L2pは、拡散反射装置48に入射される。
支持部材414は、照明光軸Ax1に直交する平面にそれぞれアレイ状に配置された複数の第1固体光源412及び複数の第2固体光源413を支持する。支持部材414は、熱伝導性を有する金属製部材である。
第1固体光源412から出射された青色光L1s及び第2固体光源413から出射された青色光L2pは、コリメーターレンズ415によって平行光束に変換され、アフォーカル光学素子42に入射される。
なお、本実施形態では、光源411は、s偏光の青色光L1sと、p偏光の青色光L2pとを出射する構成である。しかしながら、これに限らず、光源411は、偏光方向が同じ直線偏光光である青色光を出射する構成としてもよい。この場合、入射された1種類の直線偏光をs偏光及びp偏光が含まれる光とする位相差素子を、光源部41と偏光分離素子44との間に配置すればよい。
[アフォーカル光学素子及びホモジナイザー光学素子の構成]
アフォーカル光学素子42は、光源部41から入射される青色光L1s,L2pの光束径を調整して、ホモジナイザー光学素子43に入射させる。アフォーカル光学素子42は、入射される光を集光するレンズ421と、レンズ421によって集光された光束を平行化するレンズ422とにより構成されている。
ホモジナイザー光学素子43は、青色光L1s,L2pの照度分布を均一化する。ホモジナイザー光学素子43は、一対のマルチレンズアレイ431,432により構成されている。
[偏光分離素子の構成]
ホモジナイザー光学素子43を通過した青色光L1s,L2pは、偏光分離素子44に入射する。
偏光分離素子44は、プリズム型の偏光ビームスプリッターであり、入射される光に含まれるs偏光成分とp偏光成分とを分離する。具体的に、偏光分離素子44は、s偏光成分を反射させ、p偏光成分を透過させる。また、偏光分離素子44は、s偏光成分及びp偏光成分のいずれの偏光成分であっても、所定波長以上の光を透過させる色分離特性を有する。従って、s偏光の青色光L1sは、偏光分離素子44にて反射され、第1集光素子45に入射する。一方、p偏光の青色光L2pは、偏光分離素子44を透過して、第1位相差素子46に入射する。
[第1集光素子の構成]
第1集光素子45は、偏光分離素子44にて反射された青色光L1sを波長変換装置5に集光する。また、第1集光素子45は、波長変換装置5から入射される蛍光YLを平行化する。図2の例では、第1集光素子45は、2つのレンズ451,452によって構成されているが、第1集光素子45を構成するレンズの数は問わない。
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5は、光が入射されることによって励起され、入射された光の波長とは異なる波長を有する光を第1集光素子45に出射する。換言すると、波長変換装置5は、入射された光の波長を変換する。
本実施形態では、波長変換装置5は、励起光である青色光L1sの入射に応じて、青色光L1sの波長より長い波長を有する蛍光YLを出射する波長変換素子51と、所定の回転軸である照明光軸Ax2と平行な回転軸を中心として波長変換素子51を回転させる回転部RTとを備える。なお、波長変換素子51の回転軸は、励起光である青色光L1sの入射方向に沿う回転軸である。
これらのうち、波長変換素子51は、青色光L1sの入射側に蛍光YLを出射する反射型の波長変換素子である。なお、蛍光YLは、例えばピーク波長が500〜700nmの光である。
このような波長変換素子51の構成については、後に詳述する。
波長変換装置5から出射された蛍光YLは、照明光軸Ax2に沿って第1集光素子45を通過した後、偏光分離素子44に入射される。そして、蛍光YLは、偏光分離素子44を照明光軸Ax2に沿って通過し、第2位相差素子49に入射する。
[第1位相差素子及び第2集光素子の構成]
第1位相差素子46は、偏光分離素子44と第2集光素子47との間に配置されている。第1位相差素子46は、偏光分離素子44を通過した青色光L2pを円偏光の青色光L2cに変換する。青色光L2cは、第2集光素子47に入射される。
第2集光素子47は、第1位相差素子46から入射される青色光L2cを拡散反射装置48に集光する。また、第2集光素子47は、拡散反射装置48から入射される青色光L2cを平行化する。なお、第2集光素子47を構成するレンズの数は、適宜変更可能である。
[拡散反射装置の構成]
拡散反射装置48は、波長変換装置5から出射される蛍光YLと同様の拡散角で、入射された青色光L2cを拡散反射させる。拡散反射装置48の構成として、入射された青色光L2cをランバート反射させる反射板と、反射板を照明光軸Ax1と平行な回転軸を中心として回転させる回転装置とを備える構成を例示できる。
拡散反射装置48にて拡散反射された青色光L2cは、第2集光素子47を通過した後、第1位相差素子46に入射される。青色光L2cは、拡散反射装置48にて反射される際に、回転方向が反対方向の円偏光に変換される。このため、第2集光素子47を介して第1位相差素子46に入射された青色光L2cは、偏光分離素子44から第1位相差素子46に入射された際のp偏光の青色光L2cではなく、s偏光の青色光L2sに変換される。そして、青色光L2sは、偏光分離素子44にて反射されて、第2位相差素子49に入射される。すなわち、偏光分離素子44から第2位相差素子49に入射される光は、青色光L2s及び蛍光YLが混在した白色光である。
[第2位相差素子の構成]
第2位相差素子49は、偏光分離素子44から入射される白色光をs偏光及びp偏光が混在する光に変換する。このように変換された白色の照明光LTは、上記した均一化装置31に入射される。
[波長変換素子の構成]
図3は、波長変換素子51を励起光の入射側から見た平面図である。図4は、波長変換素子51の断面の一部を模式的に示す図である。
波長変換素子51は、図3及び図4に示すように、基材M1と、基材M1に保持される波長変換層W1と、を有する。
なお、以降の説明及び図においては、波長変換層W1に入射される青色光L1sを、波長変換層W1に含まれる蛍光体粒子を励起させる励起光と記載する。また、波長変換層W1に対する励起光の入射方向を+Z方向とし、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。
[基材の構成]
基材M1は、図3に示すように、−Z方向から見て円板状に形成されている。基材M1は、波長変換層W1を保持する保持部材である他、波長変換層W1から伝達される熱を放熱する放熱部材でもある。基材M1は、図3及び図4に示すように、−Z方向の面である第1面M11と、+Z方向の面であり、第1面M11とは反対側の面である第2面M12と、を有する。
このような基材M1は、基材本体M1Aと、基材本体M1Aに設けられた反射層M1Bと、を備えて構成されている。
基材本体M1Aは、例えば銅及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属材料によって形成された円板状の基板である。
反射層M1Bは、基材本体M1Aにおける−Z方向の面の略全面に設けられている。反射層M1Bにおける−Z方向の面は、基材M1において波長変換層W1から入射される蛍光を−Z方向に反射させる反射面RSを構成する。すなわち、基材M1は、反射面RSを有する。反射面RSは、第1面M11を構成する。このような反射層M1Bは、例えばアルミニウムや銀等の金属成膜によって基材本体M1Aに形成できる。
なお、基材本体M1Aにおける−Z方向の面が蛍光を反射させる反射特性を有する場合には、反射層M1Bは、無くてもよい。
[波長変換層の構成]
波長変換層W1は、入射される励起光を、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光に変換して出射する。波長変換層W1は、図3に示すように、−Z方向から見て、波長変換素子51の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。
波長変換層W1は、図4に示すように、−Z方向の面である第1面W11と、+Z方向の面であり、第1面W11とは反対側の面である第2面W12と、を有する。第1面W11は、励起光ELが入射される入射面であり、蛍光が出射される出射面でもある。また、第2面W12は、基材M1と対向する対向面である。
波長変換層W1は、励起光が入射されることによって励起され、励起光の波長を変換した蛍光を拡散出射する蛍光体を含有するセラミックにより構成されている。
詳述すると、波長変換層W1は、蛍光体粒子を含むセラミックである蛍光体セラミックによって構成されている。蛍光体セラミックとしては、例えばガーネット構造を主として有するセラミックが挙げられる。ガーネット構造を有するセラミックとしては、YAl12、TbAl12及びLuAl12の少なくとも1つを含む組成を例示できる。なお、波長変換層W1は、ガーネット構造を有するセラミックの他に、プロブスカイト構造又はモノリシック構造を有するセラミックが含まれていてもよい。
また、波長変換層W1は、発光中心となる不純物である賦活剤ACを含む。賦活剤ACとしては、Ce、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaを例示できる。
更に、波長変換層W1は、散乱要素の1つである気孔を含む。
波長変換層W1の第1面W11に励起光ELが入射されると、波長変換層W1内の蛍光体粒子及び賦活剤ACによって、波長変換層W1の内部にて蛍光が拡散出射される。
出射された蛍光のうち、波長変換層W1の内部を+Z方向に進行する蛍光は、第2面W12を介して反射面RSに入射され、反射面RSにて反射されて、波長変換層W1内を+Z方向に進行する。
一方、波長変換層W1の内部を−Z方向に進行する蛍光は、第1面W11から−Z方向に出射される。このように波長変換素子51は、励起光ELの入射側に蛍光を出射する反射型の波長変換素子である。
上記のように、波長変換層W1は、波長変換素子51の回転軸Rxを中心とする円環状に設けられている。波長変換素子51は、励起光ELが波長変換層W1の第1面W11における一部に入射されるように配置される状態で、回転部RTにより回転されることによって、波長変換層W1における励起光の入射領域は変位する。これにより、波長変換層W1の一部の温度が局所的に高くなることを抑制でき、熱によって波長変換層W1の波長変換効率が低下することが抑制される。
[励起光密度と波長変換効率との関係]
ここで、本件発明者は、波長変換素子に関し、波長変換効率を高めることができる構成を研究する上で、波長変換層に入射される励起光の密度、すなわち、励起光の単位面積当たりの強度が大きくなると、波長変換層による励起光の波長変換効率が低下する現象を発見した。これは、波長変換層に密度が高い励起光が入射されると、励起された電子が酸素欠陥等の欠陥によってトラップされてしまうためと考えられている。
そして、本件発明者は、波長変換層に入射される励起光の密度によっては、賦活剤濃度が大きいと波長変換効率が高くなる場合、及び、賦活剤濃度が小さいと波長変換効率が高くなる場合と、を見出した。
図5は、賦活剤濃度の違いによる励起光密度と波長変換効率との関係の違いを示す図である。
具体的に、賦活剤濃度がα1である波長変換層を第1波長変換層とし、賦活剤濃度がα2である波長変換層を第2波長変換層として、図5に、第1波長変換層における励起光密度と波長変換効率との関係を実線にて示し、第2波長変換層における励起光の密度と波長変換効率との関係を点線にて示す。
ここで、α1は、α2より小さい。また、第1波長変換層及び第2波長変換層のそれぞれにて、蛍光体濃度及び気孔量は同じであり、蛍光体粒子、気孔及び賦活剤は、それぞれ均一に分布しているものとする。
図5に示すように、波長変換層に入射される励起光の密度が大きくなるに従って、波長変換層における励起光の波長変換効率が低下することは、第1波長変換層及び第2波長変換層のそれぞれで同じである。
しかしながら、励起光密度が密度βである点を境にして、第1波長変換層の波長変換効率と、第2波長変換層の波長変換効率とは逆転する。
詳述すると、励起光密度が密度β未満である場合には、第1波長変換層の波長変換効率は、第2波長変換層の波長変換効率より低い。すなわち、励起光密度が密度β未満である場合には、波長変換効率は、賦活剤濃度が大きい方がよい。
一方、励起光密度が密度β以上である場合には、第1波長変換層の波長変換効率は、第2波長変換層の波長変換効率より高い。すなわち、励起光密度が密度β以上である場合には、波長変換効率は、賦活剤濃度が小さい方がよい。
しかしながら、賦活剤濃度が低いと、上記のように、波長変換層内での励起光の導波距離が大きくなるため、波長変換層からの蛍光の出射範囲が大きくなり、エテンデューが悪化する。
このような現象を踏まえ、本実施形態における波長変換層W1は、入射される励起光の密度に応じて配置され、賦活剤の濃度が異なる複数の領域を備えて構成されている。
詳述すると、波長変換層W1は、図3及び図4に示すように、賦活剤ACの濃度が小さい第1領域A1と、賦活剤ACの濃度が大きい第2領域A2と、を有する。具体的に、第1領域A1の賦活剤濃度はα1であり、第2領域A2の賦活剤濃度はα2である。なお、第1領域A1及び第2領域A2において、賦活剤は、それぞれの賦活剤濃度で均一に分布している他、蛍光体濃度及び気孔量は、それぞれの領域A1,A2にて同じである。
図6は、励起光の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布と、波長変換層W1における第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。詳述すると、図6における上段には、励起光の密度分布が示され、図6における中段には、励起光の密度分布に応じた賦活剤の濃度分布が示されている。また、図6における下段には、波長変換層W1における第1領域A1及び第2領域A2の配置が示されている。なお、入射領域NAの幅方向は、上記回転軸Rxを起点とする波長変換層W1の半径方向である+R方向(図3参照)と平行である。
なお、+R方向は、+Z方向に直交し、かつ、回転軸Rxから波長変換素子51の外側に向かう方向である。また、+R方向とは反対方向、すなわち、+Z方向に直交し、かつ、波長変換素子51の外側から回転軸Rxに向かう方向を−R方向とする。
ここで、波長変換層W1に入射される励起光密度は、図6の上段に示すように、波長変換層W1における励起光ELの入射領域NAの幅方向の中心Cに向かうに従って大きくなる。換言すると、励起光密度は、入射領域NAの幅方向の中心Cから外側に向かうに従って小さくなる。
このため、波長変換素子51では、図6の中段に示すように、入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、図6の下段に示すように、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が配置されている。すなわち、波長変換層W1の幅方向における中央側に第1領域A1が配置され、波長変換層W1の幅方向における外縁側に第2領域A2が配置されている。
これにより、波長変換層W1に入射される励起光ELの密度分布に応じた賦活剤濃度に、波長変換層W1の賦活剤濃度を設定できる。そして、これにより、波長変換層W1の全体における波長変換効率を高めることができる他、出射される蛍光の広がりを抑え、エテンデューの悪化を抑制できる。
[波長変換層の製造方法]
波長変換層W1は、第1領域A1及び第2領域A2を接着等により接合することによって製造できる。この他、波長変換層W1は、第1領域A1を構成する蛍光体セラミックの構成材料と、第2領域A2を構成する蛍光体セラミックの構成材料とを、印刷等によって基材M1上に配置した後、これら構成材料を焼結させることによって製造できる。
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
光源装置4は、励起光を出射する光源411と、入射される励起光を、励起光の波長と異なる波長を有する変換光である蛍光に変換する波長変換層W1と、を備える。波長変換層W1は、密度が大きい励起光が入射される第1領域A1と、密度が小さい励起光が入射される第2領域A2と、を有し、第1領域A1及び第2領域A2は、蛍光体、賦活剤及び散乱要素を含み、第1領域A1の賦活剤濃度は、第2領域A2の賦活剤濃度より小さい。
このような構成によれば、濃度α1で賦活剤が均一に分布している波長変換層や、濃度α2で賦活剤が均一に分布している波長変換層に比べて、第1領域A1又は第2領域A2における励起光の波長変換効率を高めることができる。従って、波長変換層W1全体による励起光の波長変換効率を高めることができる。
波長変換層W1に入射される励起光の密度は、波長変換層W1における励起光の入射領域NAの中心Cから外側に向かって小さくなり、第1領域A1は、入射領域NAの中央側に位置し、第2領域A2は、入射領域NAの外縁側に位置する。
このような構成によれば、第1領域A1及び第2領域A2のうち、賦活剤濃度が大きい第2領域A2が、励起光の入射領域NAの外縁側に位置していることにより、上記後方散乱の発生を抑制できる他、波長変換層W1からの蛍光の出射範囲を小さくすることができる。従って、エテンデューの悪化を抑制でき、波長変換素子51に対して蛍光の出射側に位置する第1集光素子45によって取り込みやすくなるので、波長変換層W1から出射される光の利用効率を高めることができる。
光源装置4が備える波長変換装置5は、波長変換層W1への励起光の入射方向に沿う回転軸Rxを中心として波長変換層W1を有する波長変換素子51を回転させる回転部RTを備える。そして、波長変換層W1は、回転軸Rxを中心とする環状に構成されている。
これによれば、波長変換層W1において励起光が入射される入射領域NAの位置を変位させることができるので、上記のように、波長変換層W1の一部の温度が局所的に高くなることを抑制できる。従って、熱によって波長変換層W1の波長変換効率が低下することが抑制される。
[第1実施形態の変形]
波長変換素子51は、波長変換層W1にて発生した蛍光を、励起光の入射側に出射する反射型の波長変換素子であった。しかしながら、光源装置に採用される波長変換素子は、反射型の波長変換素子に限らず、励起光の入射方向に沿って蛍光を出射する透過型の波長変換素子であってもよい。
以下、透過型の波長変換素子を有する光源装置について説明する。
図7は、光源装置4Aの構成を示すブロック図である。
図7に示す光源装置4Aは、光源装置4と同様に、白色の照明光を均一化装置31に出射する。光源装置4Aは、図7に示すように、蛍光を出射する第1光源装置4A1と、青色光を出射する第2光源装置4A4と、光合成装置4A5と、を有する。
これらのうち、光合成装置4A5は、第1光源装置4A1から出射された蛍光と、第2光源装置4A4から出射された青色光とを合成した照明光を均一化装置31に出射する。
[第1光源装置の構成]
図8は、第1光源装置4A1の構成を示す模式図である。
第1光源装置4A1は、図8に示すように、励起光を出射する光源4A2と、光源4A2から出射された励起光を縮径するアフォーカル光学素子42と、縮径された励起光の照度分布を均一化するホモジナイザー光学素子43と、入射される励起光を集光する第1集光素子45と、励起光の波長を変換する波長変換装置5Aと、第2集光素子4A3と、を有する。
光源4A2は、励起光を出射する発光素子としての複数の固体光源4A21を有する。複数の固体光源4A21から出射された励起光は、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、第1集光素子45を介して波長変換装置5Aの波長変換素子51Aに入射される。なお、固体光源4A21は、第1固体光源412と同じ固体光源であってもよく、第2固体光源413と同じ固体光源であってもよい。
第2集光素子4A3は、波長変換装置5Aに対する励起光の入射方向に沿って波長変換装置5Aから出射された蛍光を集光し平行化して、光合成装置4A5に出射する。
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5Aは、波長変換素子51に代えて波長変換素子51Aを有する。すなわち、波長変換装置5Aは、波長変換素子51Aと、波長変換素子51Aを励起光ELの入射方向に沿う回転軸を中心として回転させる回転部RTとを有する。
[波長変換素子の構成]
図9は、波長変換素子51Aの断面の一部を模式的に示す図である。
波長変換素子51Aは、図9に示すように、+Z方向に沿って入射される励起光ELを、励起光ELの波長とは異なる波長の光である蛍光YLに変換し、蛍光YLを+Z方向に出射する透過型の波長変換素子である。波長変換素子51Aは、基材N1と、上記した波長変換層W1と、を有する。
基材N1は、基材M1と同様に円板状に形成され、波長変換層W1を+Z方向にて保持した状態で、回転部RTによって回転軸Rxを中心として回転される。基材N1は、+Z方向の面であり、波長変換層W1と対向する第1面N11と、−Z方向の面であり、第1面N11とは反対側の面である第2面N12と、を有する。
このような基材N1は、円板状の基材本体N1Aと、基材本体N1Aに形成された蛍光反射層N1Bと、を有する。
基材本体N1Aは、励起光ELを透過可能な透光性材料によって形成されている。第2面N12は、基材本体N1Aにおける−Z方向の面によって構成される。
蛍光反射層N1Bは、基材本体N1Aにおける+Z方向の面の略全面に設けられている。換言すると、蛍光反射層N1Bは、基材本体N1Aにおいて波長変換層W1と対向する面の略全面に設けられている。蛍光反射層N1Bは、青色光である励起光ELを通過させる一方で、青色光より波長の長い蛍光YLを反射させる光反射特性を有する。そして、蛍光反射層N1Bにおける+Z方向の面は、波長変換層W1から入射される蛍光YLを反射させる蛍光反射面FSを構成する。すなわち、基材N1は、反射面としての蛍光反射面FSを有する。なお、第1面N11は、蛍光反射面FSによって構成される。
そして、波長変換層W1は、第1面W11と蛍光反射面FSとが対向するように、基材N1に保持される。
波長変換層W1は、波長変換素子51での場合と同様に、蛍光体粒子、賦活剤及び気孔を含む蛍光体セラミックによって、回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。なお、波長変換素子51Aでは、波長変換層W1における−Z方向の面は、基材N1と対向するように配置される。そして、基材N1を通過して波長変換層W1に入射された励起光ELは、波長変換層W1内の蛍光体粒子及び賦活剤によって蛍光YLに変換される。
波長変換層W1内を−Z方向に進行する蛍光YLは、第1面W11から蛍光反射層N1Bに入射される。蛍光反射層N1Bに入射された蛍光は、蛍光反射層N1Bによって+Z方向に反射され、第1面W11を介して波長変換層W1内を+Z方向に進行する。
波長変換層W1内を+Z方向に進行する蛍光YLは、第2面W12から+Z方向に出射される。
すなわち、波長変換素子51Aの波長変換層W1において、第1面W11は、励起光ELの入射面であり、第2面W12は、蛍光YLの出射面である。
図10は、波長変換層W1の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布と、波長変換層W1における第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。詳述すると、図10における上段には、励起光の密度分布が示され、図10における中段には、励起光の密度分布に応じた賦活剤の濃度分布が示されている。また、図10における下段には、賦活剤の濃度分布に応じた第1領域A1及び第2領域A2の配置が示されている。なお、波長変換素子51Aにおいても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W1の半径方向である+R方向と平行である。
波長変換素子51Aにおいても、波長変換層W1に入射される励起光の密度は、図10の上段に示すように、波長変換層W1における励起光ELの入射領域NAの幅方向の中心Cに向かうに従って大きくなる。
このため、波長変換素子51Aにおいても、図10の中段に示すように、入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、図10の下段に示すように、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が配置されている。
このような波長変換素子51Aを有する光源装置4Aを備えたプロジェクターによっても、波長変換素子51を有する光源装置4を備えたプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
なお、波長変換素子51Aでは、蛍光反射層N1Bは、基材本体N1Aにおける+Z方向の面の略全面に設けられていた。しかしながら、蛍光反射層N1Bは、基材本体N1Aにおける−Z方向の面に設けられていてもよい。また、蛍光反射層N1Bは、基材本体N1Aにおいて波長変換層W1に応じて設けられていれば、基材本体N1Aにおける+Z方向の面の略全面又は−Z方向の面の略全面に設けられていなくてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換層に入射される励起光の密度分布が異なる他、波長変換層における第1領域及び第2領域の配置が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子52に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子52の波長変換層W2における第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。詳述すると、図11における上段には、入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布が示され、図11における中段には、入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布に応じた賦活剤の濃度分布が示されている。また、図11における下段には、波長変換層W2の断面の一部が模式的に示されている。換言すると、図11における下段には、賦活剤の濃度分布に応じた第1領域A1及び第2領域A2の配置が示されている。なお、波長変換素子52においても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W2の半径方向である+R方向と平行である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子52を有する他は、プロジェクター1と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子52を有する。
波長変換素子52は、図11の下段に示すように、基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、基材M1の反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W2と、を有する。
波長変換層W2は、波長変換層W1と同様に、蛍光体粒子、賦活剤及び散乱要素である気孔を含む蛍光体セラミックにより構成されている。
波長変換層W2は、波長変換層W1と同様に、賦活剤濃度が異なる第1領域A1及び第2領域A2を有し、第1領域A1の賦活剤濃度は、第2領域A2の賦活剤濃度より小さい。そして、第1領域A1及び第2領域A2は、入射される励起光ELの密度に応じて配置されている。第1領域A1及び第2領域A2の配置については、後に詳述する。
波長変換層W2における入射領域NAの幅方向における励起光は、図11の上段に示すように、入射領域NAの幅方向における中心Cより外側の部位にピーク密度を有する。すなわち、波長変換層W2に入射される励起光は、幅方向における中心Cにおける密度より外側の部位の密度の方が高くなる光である。
詳述すると、波長変換層W2に入射される励起光の密度分布は、入射領域NAの幅方向における中央部D1と、中央部D1の外側に位置する外縁部D2とに分けられる。
中央部D1における励起光の密度は、上記密度β未満の値で略一定である。
外縁部D2における励起光の密度は、中心C側から外縁側に向かうに従って中央部D1における励起光の密度より大きくなって上記密度β以上となった後、上記密度β以下に低下する。
このような励起光の密度分布に対し、図11の中段に示すように、入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、図11の下段に示すように、波長変換層W2では、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が配置されている。
このため、波長変換層W2の入射領域NA内には、中央部D1に位置する1つの第2領域A2と、外縁部D2に位置して当該1つの第2領域A2を挟む2つの第1領域A1と、幅方向において1つの第2領域A2及び2つの第1領域A1を挟む2つの第2領域A2と、が含まれる。
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
波長変換層W2における励起光の入射領域NAの中央部D1における励起光のピーク密度は、入射領域NAの外縁部D2における励起光のピーク密度より小さい。そして、第2領域A2は、入射領域NAの中央部D1に位置し、第1領域A1は、入射領域NAの外縁部D2に位置する。
このような構成によれば、外縁部における強度を高めた照明光を出射できる。従って、形成される画像の周縁が暗くなるような輝度むら及び色むらの発生を抑制できる。
そして、このような照明光を出射する光源装置の波長変換層W2に入射される励起光の密度分布に応じて、第1領域A1及び第2領域A2を配置できるので、波長変換効率が高い波長変換素子52を構成できる。
[第2実施形態の変形]
波長変換層W2を有する波長変換素子52は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子52と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W2を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第2実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換層に入射される励起光の密度分布が異なる他、波長変換層における第1領域A1及び第2領域A2の配置が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子53に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子53の波長変換層W3における第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。詳述すると、図12における上段には、波長変換素子53の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布が示され、図12における中段には、励起光の密度分布に応じた賦活剤の濃度分布が示されている。また、図12における下段には、波長変換層W3の断面の一部が模式的に示されている。換言すると、図12における下段には、波長変換層W3において賦活剤の濃度分布に応じた第1領域A1及び第2領域A2の配置が示されている。なお、波長変換素子53においても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W3の半径方向である+R方向と平行である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子53を有する他は、プロジェクター1と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子53を有する。
波長変換素子53は、図12の下段に示すように、基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W3と、を有する。
波長変換層W3は、波長変換層W1,W2と同様に、蛍光体粒子と、賦活剤と、散乱要素である気孔とを含む蛍光体セラミックにより構成されている。
波長変換層W3も、波長変換層W1,W2と同様に、賦活剤濃度が異なる第1領域A1及び第2領域A2を有し、第1領域A1の賦活剤濃度は、第2領域A2の賦活剤濃度より小さい。そして、第1領域A1及び第2領域A2は、入射される励起光の密度に応じて配置されている。第1領域A1及び第2領域A2の配置については、後に詳述する。
波長変換層W3の入射領域NAに入射される励起光の密度は、図12の上段に示すように、入射領域NAの幅方向における一端(+R方向の端部)から他端(−R方向の端部)に向かって直線的に連続して低下する。詳述すると、入射領域NAの幅方向における一端での励起光の密度は上記密度β以上であるが、一端から他端に向かって下降し、他端に至るまでの間に上記密度β未満となる。そして、入射領域NAの幅方向における他端での励起光の密度は上記密度β未満である。
このような励起光の密度分布に対し、図12の中段に示すように、入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、図12の下段に示すように、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が配置されている。
このため、幅方向において入射領域NA内には、少なくとも1つの第1領域A1と、少なくとも1つの第2領域A2とが配置されている。
なお、図12の下段においては、波長変換層W3において、第1領域A1に対して入射領域NA内に位置する第2領域A2とは反対側の領域(第1領域A1に対する+R方向の領域)も第2領域A2とされている。すなわち、波長変換層W3において励起光の入射領域NA外の領域は、第2領域A2とされている。これは、波長変換層W3内を外縁側に進行する励起光を、蛍光体粒子及び賦活剤によって中心C側にて蛍光に変換することにより、蛍光の出射範囲の広がりを抑制して、上記エテンデューの悪化を抑制するためである。
しかしながら、これに限らず、波長変換層W3において入射領域NA外の領域は、第1領域A1であってもよい。
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
波長変換層W3に対する励起光の入射方向である+Z方向に直交する方向であり、波長変換層W3における入射領域NAの中心Cを通る方向の1つである第1方向を、円環状の波長変換層W3の半径方向を+R方向とする場合、励起光の密度は、入射領域NAにおいて+R方向とは反対方向である−R方向に向かって小さくなる。そして、波長変換層W3において、第1領域A1は、入射領域NAにおける+R方向に位置し、第2領域A2は、入射領域NAにおける−R方向に位置する。
このような構成によれば、入射される励起光の密度分布に応じて、第1領域A1及び第2領域A2が配置された波長変換層W3を構成できるので、波長変換効率が高い波長変換素子53を構成できる。
[第3実施形態の変形]
上記説明では、波長変換素子53に入射される励起光の密度は、入射領域NAにおいて+R方向の端部から−R方向に向かって直線的に連続して低下するとした。しかしながら、これに限らず、励起光の密度は、入射領域NAにおいて一方から他方に向かって低下すれば、どのように低下してもよい。
図13は、波長変換素子53の変形である波長変換素子53Aの波長変換層W3に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子53Aの波長変換層W3における第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。
例えば、図13の上段に示すように、励起光の密度は、入射領域NAにおいて+R方向の端部から−R方向に向かって上に凸となる凸曲線状に連続的に低下してもよい。
図14は、波長変換素子53の変形である波長変換素子53Bの波長変換層W3に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子53Bの波長変換層W3における第1領域A1及び第2領域A2の配置を示す図である。
また例えば、図14の上段に示すように、励起光の密度は、入射領域NAにおいて+R方向の端部から−R方向に向かって下に凸となる凸曲線状に連続的に低下してもよい。
このような励起光の密度分布に対し、図13の中段及び図14の中段に示すように、入射領域NAにおいて入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、図13の下段及び図14の下段に示すように、波長変換素子53A,53Bのそれぞれの波長変換層W3には、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が設けられている。
このような波長変換素子53A,53Bが採用され、上記密度分布の励起光が入射される場合でも、波長変換素子53と同様の効果を奏することができる。
また、波長変換層W3を有する波長変換素子53は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子53と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W3を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第3実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換装置の構成が異なる他、波長変換層に入射される励起光の密度分布が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図15は、本実施形態に係るプロジェクターの波長変換素子54と、波長変換素子54に入射される励起光の密度分布とを示す図である。
本実施形態にプロジェクターは、波長変換装置5に代えて波長変換装置5Bを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換装置5に代えて波長変換装置5Bを有する。
波長変換装置5Bは、図15に示す反射型の波長変換素子54を備えるが、波長変換装置5と異なり、波長変換素子54を回転させる回転部RTを備えない。すなわち、波長変換素子54は、回転されない構成である。
波長変換素子54に入射される励起光の密度は、図15に示すように、波長変換素子54への励起光の入射方向に対して直交し、かつ、互いに直交する2軸において、一端側から他端側に向かって低下する。
以下、上記2軸のうち、入射領域NAの中心Cを通り、図15における左右方向に沿う軸をX軸とし、入射領域NAの中心Cを通り、図15における上下方向に沿う軸をY軸としたとき、X軸に沿う右方向を+X方向とし、左方向を−X方向とし、Y軸に沿う上方向を+Y方向とし、下方向を−Y方向とする。本実施形態では、+X方向及び+Y方向のうち一方の方向は、第1方向及び第2方向の一方に相当し、+X方向及び+Y方向のうち他方の方向は、第1方向及び第2方向の他方に相当する。
Y軸における励起光の密度は、図15において左側に示されるように、入射領域NAにおける−Y方向の端部から+Y方向に向かって低下する。そして、入射領域NAにおける−Y方向の端部での励起光の密度は、上記密度β以上であり、+Y方向の端部での励起光の密度は、上記密度β未満である。なお、図15の例では、Y軸において、励起光の密度が密度β未満となる位置は中心Cであるが、他の位置でもよい。
X軸における励起光の密度は、図15において下側に示されるように、入射領域NAにおける−X方向の端部から+X方向に向かって低下する。そして、入射領域NAにおける−X方向の端部での励起光の密度は、上記密度β以上であり、+X方向の端部での励起光の密度は、上記密度β未満である。なお、図15の例では、X軸において、励起光の密度が密度β未満となる位置は中心Cであるが、他の位置でもよい。
図16は、波長変換層W4における賦活剤の濃度分布と、第1領域A1及び第2領域A2の配置とを示す図である。
波長変換層W4に入射される励起光の密度分布に対し、図16に示すように、入射される励起光の密度が密度β以上である第1入射領域の賦活剤濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度β未満である第2入射領域の賦活剤濃度を大きくするために、波長変換層W4では、第1入射領域に応じて第1領域A1が配置され、第2入射領域に応じて第2領域A2が配置されている。すなわち、波長変換層W4の入射領域NAにおいて、第1領域A1は、−X方向で−Y方向に位置し、第2領域A2は、第1領域A1以外の領域に位置する。
なお、波長変換層W4において、入射領域NA外の領域は、賦活剤濃度が大きい第2領域A2とされているが、賦活剤濃度が小さい第1領域A1であってもよい。
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
波長変換層W4に対する励起光の入射方向である+Z方向にそれぞれ直交し、波長変換層W4における励起光の入射領域NAの中心Cを通り、かつ、互いに直交する2つの方向を+X方向及び+Y方向とすると、励起光の密度は、入射領域NAにおいて+X方向に向かって小さくなるとともに、+Y方向に向かって小さくなる。そして、第1領域A1は、入射領域NAにおける−X方向で−Y方向に位置し、第2領域A2は、入射領域NAにおける第1領域A1以外の領域に位置する。
このような構成によれば、入射される励起光の密度分布に応じて、第1領域A1及び第2領域A2が配置された波長変換層W4を構成できるので、波長変換効率が高い波長変換素子54を構成できる。
[第4実施形態の変形]
波長変換素子54の波長変換層W4に入射される励起光の密度は、X軸及びY軸のそれぞれの軸において、一方の端部から他端に向かって直線的に連続して低下するとした。しかしながら、これに限らず、図13に示した励起光の密度分布と同様に、X軸における密度、及び、Y軸における密度は、一端から他端に向かって上に凸曲線状に連続して低下してもよく、図14に示した励起光の密度分布と同様に、一端から他端に向かって下に凸曲線状に連続して低下してもよい。
例えば、波長変換層W4に入射される励起光は、密度が−X方向の端部から+X方向に向かって上に凸曲線状に連続して低下し、−Y方向の端部から+Y方向に向かって上に凸曲線状に連続して低下する光であってもよい。
また例えば、波長変換層W4に入射される励起光は、密度が−X方向の端部から+X方向に向かって下に凸曲線状に連続して低下し、−Y方向の端部から+Y方向に向かって下に凸曲線状に連続して低下する光であってもよい。
そして、波長変換層W4では、励起光の密度分布に応じて第1領域A1及び第2領域A2が配置されていればよい。
また、波長変換層W4を有する波長変換素子54は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子54と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W4を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第4実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換層に含まれる散乱要素の密度分布が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図17は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子55に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子55の波長変換層W5における第1領域B1及び第2領域B2の配置とを示す図である。詳述すると、図17における上段には、波長変換素子55の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布が示され、図17における中段には、励起光密度分布に応じた蛍光体粒子の濃度分布が示されている。また、図17における下段には、波長変換層W5の断面の一部が模式的に示されている。換言すると、図17における下段には、波長変換層W5における蛍光体粒子の濃度分布に応じた第1領域B1及び第2領域B2の配置が示されている。なお、波長変換素子55においても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W5の半径方向である+R方向と平行である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子55を有する他は、プロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子55を有する。
波長変換素子55は、波長変換素子51と同様に、回転部RTによって励起光の入射方向である+Z方向に沿う回転軸Rx(図2及び図3参照)を中心として回転される。波長変換素子55は、図17の下段に示すように、基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W5と、を有する。
波長変換層W5は、入射される励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を出射する。波長変換層W5は、波長変換層W1とは異なり、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成である。波長変換層W5の内部には、波長変換層W5の製造過程にて気孔が含有されてもよい。蛍光体粒子及び気孔は、波長変換層W5において、入射された励起光を散乱させる散乱要素である。
なお、蛍光体粒子としては、YAG蛍光体、KSF蛍光体、又は、SCASN蛍光体等を採用できる。YAG蛍光体におけるYをLu、Gd又はGaで置換されたものを採用してもよい。バインダーとしては、Al等の無機バインダーや、シリコーン樹脂、又は、硝子を採用できる。賦活剤としては、上記のように、Ce、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaの少なくとも1つを採用できる。
波長変換層W5は、入射される励起光の密度分布に応じてそれぞれ配置される第1領域B1及び第2領域B2を有する。
第1領域B1は、入射領域NAにおいて、励起光の密度が相対的に大きい高密度領域に応じて配置される領域である。第2領域B2は、入射領域NAにおいて、励起光の密度が相対的に小さい低密度領域に応じて配置される領域である。
なお、第1領域B1における賦活剤濃度と、第2領域B2における賦活剤濃度とは同じであり、第1領域B1及び第2領域B2においては、略均一に賦活剤が分布している。
ここで、高密度領域における散乱要素の密度が大きいと、散乱要素にて散乱されて波長変換層の外部に出射される励起光の光量が多くなり、高密度領域での波長変換効率が低下する。すなわち、高密度領域における散乱要素の密度が大きいと、上記した後方散乱が発生しやすくなり、ひいては、波長変換効率が低下する。
一方、低密度領域における散乱要素の密度、特に、蛍光体密度が小さいと、低密度領域での波長変換効率が低下する。そして、蛍光に変換されない励起光が波長変換層内を伝播し、散乱要素にて散乱されるので、後方散乱が発生しやすくなり、更に波長変換効率が低下する。
これに対し、第1領域B1における散乱要素の密度分布と、第2領域B2における散乱要素の密度分布とは異なっている。例えば、第1領域B1では、散乱要素である蛍光体の濃度が小さいか、或いは、散乱要素である気孔の密度が小さい。一方、第2領域B2では、蛍光体粒子の濃度が大きいか、或いは、気孔の密度が大きい。
なお、第1領域B1及び第2領域B2には、気孔が含まれていなくてもよい。すなわち、第1領域B1及び第2領域B2の気孔量は0でもよい。この場合、第1領域B1及び第2領域B2は、散乱要素である蛍光体粒子の濃度が異なる。
本実施形態では、第1領域B1では、蛍光体の濃度が小さく、第2領域B2では、蛍光体の濃度が大きい。そして、第1領域B1の気孔量と、第2領域B2の気孔量とは同じである。
このような波長変換層W5に入射される励起光の密度分布は、図17の上段に示されるように、第1実施形態にて示した励起光の密度分布と同じである。
このため、波長変換素子55では、図17の中段に示すように、入射される励起光の密度が所定の密度である密度γ以上である高密度領域の蛍光体濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度γ未満である低密度領域の蛍光体濃度を大きくするために、波長変換層W5では、図17の下段に示すように、高密度領域に応じて第1領域B1が位置し、低密度領域に応じて第2領域B2が位置している。すなわち、波長変換層W5において、入射される励起光の密度が大きい第1領域B1では、蛍光体濃度が小さく、入射される励起光の密度が小さい第2領域B2では、蛍光体濃度が大きい。
これにより、波長変換層W5では、入射される励起光の密度に応じた密度の散乱要素を分布させることができ、これにより、波長変換層W5の全体における波長変換効率を高めることができる。
[波長変換層の製造方法]
波長変換層W5は,上記バインダー及び賦活剤に、必要に応じて助剤及び溶剤を加えたものに蛍光体粒子を濃度が異ならせて加えた第1領域B1及び第2領域B2のそれぞれの材料を、スクリーン印刷等によって基材M1に塗り分けて塗布した後、加熱してバインダーを固化させることによって製造できる。
[第5実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
すなわち、本実施形態での光源装置4は、励起光を出射する光源411と、入射される励起光を、励起光の波長と異なる波長を有する変換光である蛍光に変換する波長変換層W5と、を備える。波長変換層W5は、入射される励起光の密度が大きい第1領域B1と、入射される励起光の密度が小さい第2領域B2と、を有する。第1領域B1及び第2領域B2は、蛍光体、賦活剤及び散乱要素を含み、第1領域B1の蛍光体濃度は、第2領域B2の蛍光体濃度より小さい。
このような構成によれば、全体で蛍光体濃度が均一な波長変換層が採用される場合に比べて、第1領域B1又は第2領域B2での波長変換効率を高めることができる。従って、波長変換層W5全体による励起光の波長変換効率を高めることができる。
[第5実施形態の変形]
波長変換層W5を有する波長変換素子55は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子55と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W5を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第5実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第2実施形態にて示したプロジェクターと同様の構成を有するが、波長変換層に含まれる散乱要素の密度分布が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図18は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子56に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子56の波長変換層W6における第1領域B1及び第2領域B2の配置とを示す図である。詳述すると、図18における上段には、波長変換層W6の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布が示され、図18における中段には、励起光の密度分布に応じた蛍光体の濃度分布が示されている。また、図18における下段には、波長変換層W6の断面の一部が模式的に示されている。換言すると、図18における下段には、波長変換層W5における蛍光体の濃度分布に応じた第1領域B1及び第2領域B2の配置が示されている。なお、波長変換素子56においても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W6の半径方向である+R方向と平行である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子56を有する他は、プロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子56を有する。
波長変換素子56は、回転部RTによって励起光の入射方向である+Z方向に沿う回転軸を中心として回転される。波長変換素子56は、図18の下段に示すように、基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W6と、を有する。
波長変換層W6は、波長変換層W5と同様に、回転軸Rxを中心とする円環状に形成されており、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有する。なお、波長変換層W6には、散乱要素の1つである気孔が含有されていてもよい。
波長変換層W6は、波長変換層W5と同様に、散乱要素の密度、詳しくは、蛍光体濃度が異なる第1領域B1及び第2領域B2を有し、第1領域B1における蛍光体濃度は、第2領域B2における蛍光体濃度より小さい。そして、波長変換層W6においても、第1領域B1及び第2領域B2は、入射される励起光ELの密度分布に応じて配置されている。第1領域B1及び第2領域B2の配置については、後に詳述する。
なお、第1領域B1及び第2領域B2には、所定の濃度の賦活剤が均一に分布しており、第1領域A1及び第2領域A2において、蛍光体粒子及び気孔は、それぞれの領域に設定された濃度及び密度で均一に分布している。
波長変換層W6の入射領域NAに入射される励起光の密度分布は、図18の上段に示すように、第2実施形態にて示した励起光の密度分布と同じである。すなわち、波長変換層W6の入射領域NAの幅方向における外縁側のピーク密度は、幅方向における中心Cのピーク密度より高い。
このような励起光ELの密度分布に対し、図18の中段に示すように、入射される励起光の密度が密度γ以上である高密度領域における蛍光体濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度γ未満である低密度領域における蛍光体濃度を大きくするために、図18の下段に示すように、波長変換層W6では、高密度領域に応じて第1領域B1が配置され、低密度領域に応じて第2領域B2が配置されている。
すなわち、波長変換層W6において、第2領域B2は、入射領域NAの中央部D1に位置し、第1領域B1は、入射領域NAの外縁部D2に位置する。
これにより、波長変換層W6において、入射される励起光の密度分布に応じて散乱要素の密度、詳しくは、蛍光体濃度を設定できる。そして、これにより、後方散乱の発生を抑制でき、波長変換層W6の全体における波長変換効率を高めることができる。
なお、波長変換層W6は,波長変換層W5と同様の製造方法によって製造できる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第2実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[第6実施形態の変形]
波長変換層W6を有する波長変換素子56は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子56と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W6を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第6実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第3実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を有するが、波長変換層に含まれる散乱要素の密度分布が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図19は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子57に入射される励起光の密度分布と、波長変換素子57の波長変換層W7における第1領域B1及び第2領域B2の配置とを示す図である。詳述すると、図19における上段には、波長変換素子55の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布が示され、図19における中段には、励起光の密度分布に応じた蛍光体の濃度分布が示されている。また、図19における下段には、波長変換層W7の断面の一部が模式的に示されている。換言すると、図19における下段には、波長変換層W5における蛍光体の濃度分布に応じた第1領域B1及び第2領域B2の配置が示されている。なお、波長変換素子57においても、入射領域NAの幅方向は、回転軸Rxを起点とする波長変換層W7の半径方向である+R方向と平行である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子57を有する他は、プロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子57を有する。
波長変換素子57は、回転部RTによって励起光の入射方向である+Z方向に沿う回転軸Rxを中心として回転される。波長変換素子57は、図19の下段に示すように、基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W7と、を有する。
波長変換層W7は、波長変換層W5と同様に、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、波長変換層W7には、散乱要素の1つである気孔が含有されていてもよい。
そして、波長変換層W7は、波長変換層W5と同様に、散乱要素の密度、詳しくは、蛍光体の濃度が異なる第1領域B1及び第2領域B2を有し、第1領域B1における蛍光体濃度は、第2領域B2における蛍光体濃度より小さい。そして、波長変換層W7においても、第1領域B1及び第2領域B2は、入射される励起光ELの密度分布に応じて配置されている。第1領域B1及び第2領域B2の配置については、後に詳述する。
波長変換層W7の入射領域NAの幅方向における励起光の密度分布は、図19の上段に示すように、第3実施形態にて示した励起光の密度分布と同じである。すなわち、波長変換層W7の入射領域NAの幅方向における励起光の密度は、入射領域NAの幅方向における一端から他端に向かって直線的に連続して低下する。
このような励起光ELの密度分布に対し、図19の中段に示すように、入射される励起光の密度が上記密度γ以上である高密度領域における蛍光体濃度を小さくし、入射される励起光の密度が密度γ未満である低密度領域における蛍光体濃度を大きくするために、図19の下段に示すように、波長変換層W7では、高密度領域に応じて第1領域B1が配置され、低密度領域に応じて第2領域B2が配置されている。
これにより、波長変換層W7において、入射される励起光の密度分布に応じた散乱要素、すなわち、蛍光体の濃度にすることができる。そして、これにより、波長変換層W7の全体における波長変換効率を高めることができる。
なお、波長変換層W7は,波長変換層W5と同様の製造方法によって製造できる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第3実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[第7実施形態の変形]
第3実施形態の変形にて示したように、波長変換素子57に入射される励起光の密度は、入射領域NAの幅方向において一方から他方に向かって低下すれば、どのように低下してもよい。
例えば、図13の上段に示したように、波長変換層W7に入射される励起光の密度は、入射領域NAの幅方向における一端から他端に向かって上に凸となる凸曲線状に連続的に低下してもよく、図14の上段に示すように、入射領域NAの幅方向における一端から他端に向かって下に凸となる凸曲線状に連続的に低下してもよい。
このような励起光の密度分布に応じて、入射される励起光の密度が密度γ以上である高密度領域に応じて第1領域B1が配置され、入射される励起光の密度が密度γ未満である低密度領域に応じて第2領域B2が配置されていればよい。
このような波長変換層を有する波長変換素子を有する光源装置及びプロジェクターによっても、上記第7実施形態に係る光源装置及びプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
また、波長変換層W7を有する波長変換素子57は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子57と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W7を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第6実施形態にて示した光源装置4及びプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を有するが、波長変換層に含まれる散乱要素の密度分布が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図20は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換素子58の波長変換層W8における第1領域B1及び第2領域B2の配置と、蛍光体の濃度分布と、を示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換装置5Bに代えて波長変換装置5Cを有する他は、第4実施形態にて示したプロジェクターと同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態では、光源装置4は、波長変換装置5に代えて波長変換装置5Cを有する。
波長変換装置5Cは、図20に示す反射型の波長変換素子58を備えるが、波長変換装置5Bと同様に、波長変換素子58を回転させる回転部RTを備えない。すなわち、波長変換素子58は、回転されない構成である。
波長変換素子58は、図20では図示を省略する基材M1と、基材M1に対して−Z方向に位置し、反射層M1Bと対向するように基材M1に保持される波長変換層W8と、を有する。
ここで、波長変換層W8の入射領域NAに入射される励起光の密度分布は、第4実施形態にて示した励起光の密度分布(図16参照)と同じである。
すなわち、入射領域NAの中心Cを通るY軸における励起光の密度は、−Y方向の端部から+Y方向に向かって低下する。そして、入射領域NAにおける−Y方向の端部での励起光の密度は上記密度γ以上であり、+Y方向の端部での励起光の密度は上記密度γ未満である。なお、励起光の密度が密度γ未満となる位置は、Y軸における中心Cでなくてもよい。
一方、入射領域NAの中心Cを通るX軸における励起光の密度は、−X方向の端部から+X方向に向かって低下する。そして、入射領域NAにおける−X方向の端部での励起光の密度は上記密度γ以上であり、+X方向の端部での励起光の密度は上記密度γ未満である。なお、励起光の密度が密度γ未満となる位置は、X軸における中心Cでなくてもよい。
波長変換層W8は、波長変換層W5と同様に、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、波長変換層W8には、散乱要素の1つである気孔が含有されていてもよい。
波長変換層W8は、波長変換層W5と同様に、散乱要素の密度、詳しくは、蛍光体の濃度が異なる第1領域B1及び第2領域B2を有し、第1領域B1における蛍光体濃度は、第2領域B2における蛍光体濃度より小さい。なお、上記のように、第1領域B1の賦活剤濃度と第2領域B2の賦活剤濃度とは略同じであり、第1領域B1及び第2領域B2において、賦活剤は、設定された賦活剤濃度において一様に分布している。
波長変換層W8に入射される励起光の密度分布に対し、図20に示すように、入射される励起光の密度が密度γ以上である高密度領域に応じて第1領域B1が配置され、入射される励起光の密度が密度γ未満である低密度領域に応じて第2領域B2が配置されている。すなわち、入射される励起光の密度が密度γ以上である第1領域B1の蛍光体濃度は小さく、入射される励起光の密度が密度γ未満である第2領域B2の蛍光体濃度は大きい。
これにより、波長変換層W7において、入射される励起光の密度分布に応じた散乱要素、すなわち、蛍光体の濃度にすることができる。そして、これにより、波長変換層W7の全体における波長変換効率を高めることができる。
なお、波長変換層W7は,波長変換層W5と同様の製造方法によって製造できる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第4実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[第8実施形態の変形]
波長変換層W8に入射される励起光のX軸上の密度分布、及び、Y軸上の密度分布は、図13に示した励起光の密度分布と同様に、一端から他端に向かって上に凸曲線状に連続して低下してもよく、或いは、図14に示した励起光の密度分布と同様に、一端から他端に向かって下に凸曲線状に連続して低下してもよい。このような励起光の密度分布に応じて、蛍光体濃度が異なる第1領域B1及び第2領域B2が配置されればよい。
また、波長変換層W8を有する波長変換素子58は、反射型の波長変換素子であるが、プロジェクター1に採用される光源装置は、波長変換素子58と同様の構成を有する透過型の波長変換素子を有する構成であってもよい。すなわち、波長変換層W1に代えて波長変換層W8を有する他は、波長変換素子51Aと同様の構成を有する透過型の波長変換素子を備えた光源装置4Aをプロジェクター1に採用してもよい。
このような光源装置4A及びプロジェクター1によっても、第8実施形態にて示した光源装置及びプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記第1〜第3実施形態及び上記第5〜第7実施形態では、波長変換素子は、励起光の入射方向である+Z方向と平行な回転軸Rxを中心として回転部RTによって回転される構成であった。しかしながら、これに限らず、例えば上記第4及び第8実施形態にて示した波長変換素子54,58のように、回転されない構成であってもよい。
この場合、波長変換層に入射される励起光の密度分布は、励起光の入射方向に対してそれぞれ直交し、互いに直交する2軸のうちの一方のみが上記第1〜第3及び第5〜第7実施形態のうちの一実施形態にて示した密度分布であってもよい。また、当該2軸のうち、一方の軸における励起光の密度分布を上記第1〜第3及び第5〜第7実施形態のうちの一実施形態にて示した密度分布とし、他方の軸における励起光の密度分布を上記第1〜第3及び第5〜第7実施形態のうちの一実施形態にて示した密度分布としてもよい。
また、波長変換層に入射される励起光の密度分布は、上記に限定されず、適宜変更可能である。この場合でも、励起光の密度分布に応じて、第1領域A1,B1及び第2領域A2,B2が配置されていればよい。
上記第1〜第4実施形態の波長変換層は、入射領域NAにおいて、入射される励起光の密度が大きい領域に位置し、賦活剤濃度が小さい第1領域A1と、入射される励起光の密度が小さい領域に位置し、賦活剤濃度が大きい第2領域A2とを有するとした。また、上記第5〜第8実施形態の波長変換層は、入射領域NAにおいて、入射される励起光の密度が大きい領域に位置し、蛍光体濃度が小さい第1領域B1と、入射される励起光の密度が小さい領域に位置し、蛍光体濃度が大きい第2領域B2とを有するとした。しかしながら、これに限らず、波長変換層は、それぞれ入射される励起光の密度に応じて配置され、賦活剤濃度又は蛍光体濃度が異なる3以上の領域を有していてもよい。
上記第5〜第8実施形態では、第1領域B1と第2領域B2とで、散乱要素の密度を異ならせるために、気孔の密度は同じで、散乱要素の1つである蛍光体の濃度を異ならせた。しかしながら、これに限らず、第1領域B1と第2領域B2とで、蛍光体の濃度に代えて、或いは、加えて、散乱要素の1つである気孔の密度を異ならせてもよい。
例えば、第1領域B1及び第2領域B2のそれぞれで蛍光体濃度(蛍光体粒子密度)が同じで、第1領域B1における気孔密度を第2領域B2における気孔密度より小さいことによって、第1領域B1における散乱要素の密度が、第2領域B2における散乱要素の密度より小さくなっていてもよい。
また例えば、第1領域B1における蛍光体濃度が第2領域B2における蛍光体濃度より小さく、第1領域B1における気孔密度を第2領域B2における気孔密度より小さいことによって、第1領域B1における散乱要素の密度が、第2領域B2における散乱要素の密度より小さくなっていてもよい。
また例えば、第1領域B1における蛍光体濃度が第2領域B2における蛍光体濃度より大きく、第1領域B1における気孔密度が第2領域B2における気孔密度より小さいことによって、第1領域B1における散乱要素の密度が、第2領域B2における散乱要素の密度より小さくなっていてもよい。
また例えば、第1領域B1における蛍光体濃度が第2領域B2における蛍光体濃度より小さく、第1領域B1における気孔密度が第2領域B2における気孔密度より大きいことによって、第1領域B1における散乱要素の密度が、第2領域B2における散乱要素の密度より小さくなっていてもよい。
これらの場合において、気孔量は0でもよい。
上記各実施形態では、プロジェクターは、3つの光変調装置343R,343G,343Bを備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
上記各実施形態では、プロジェクターは、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルを有する光変調装置343を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光変調装置は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを有する構成としてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
上記各実施形態では、光源装置4,4Aをプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、本発明に係る光源装置は、例えば照明器具及び自動車等のヘッドライト等に採用してもよい。
1…プロジェクター、343(343B,343G,343R)…光変調装置、36…投射光学装置、4,4A…光源装置、411,4A2…光源、A1,B1…第1領域、A2,B2…第2領域、D1…中央部、D2…外縁部、M1,N1…基材、M11,N11…第1面、M12,N12…第2面、RT…回転部、W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8…波長変換層。

Claims (7)

  1. 励起光を出射する光源と、
    入射される前記励起光を、前記励起光の波長と異なる波長を有する変換光に変換する波長変換層と、を備え、
    前記波長変換層は、
    入射される前記励起光の密度が大きい第1領域と、
    入射される前記励起光の密度が小さい第2領域と、を有し、
    前記第1領域及び前記第2領域は、蛍光体、賦活剤及び散乱要素を含み、
    前記第1領域の賦活剤濃度は、前記第2領域の賦活剤濃度より小さい、又は、
    前記第1領域の蛍光体濃度は、前記第2領域の蛍光体濃度より小さいことを特徴とする光源装置。
  2. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央から外側に向かって小さくなり、
    前記第1領域は、前記入射領域の中央側に位置し、
    前記第2領域は、前記入射領域の外縁側に位置することを特徴とする光源装置。
  3. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央部における前記励起光のピーク密度は、前記入射領域の外縁部における前記励起光のピーク密度より小さく、
    前記第2領域は、前記入射領域の中央部に位置し、
    前記第1領域は、前記入射領域の外縁部に位置することを特徴とする光源装置。
  4. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向に直交する方向であり、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中心を通る方向の1つを第1方向とする場合、
    前記励起光の密度は、前記入射領域において前記第1方向とは反対方向に向かって小さくなり、
    前記第1領域は、前記入射領域における前記第1方向に位置し、
    前記第2領域は、前記入射領域における前記第1方向とは反対方向に位置することを特徴とする光源装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光源装置において、
    前記波長変換層への前記励起光の入射方向に沿う回転軸を中心として前記波長変換層を回転させる回転部を備え、
    前記波長変換層は、前記回転軸を中心とする環状に構成されていることを特徴とする光源装置。
  6. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向にそれぞれ直交し、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中心を通り、かつ、互いに直交する2つの方向を第1方向及び第2方向とする場合、
    前記励起光の密度は、
    前記入射領域において前記第1方向に向かって小さくなり、
    前記入射領域において前記第2方向に向かって小さくなり、
    前記第1領域は、前記入射領域における前記第1方向とは反対方向で、かつ、前記第2方向とは反対方向に位置し、
    前記第2領域は、前記入射領域における前記第1領域以外の領域に位置することを特徴とする光源装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光源装置と、
    前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、
    前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
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