JP2020154031A - 波長変換素子、光源装置、プロジェクター、及び波長変換素子の製造方法 - Google Patents

波長変換素子、光源装置、プロジェクター、及び波長変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光の損失を抑制できる波長変換素子、光源装置、プロジェクター、及び波長変換素子の製造方法を提供する。【解決手段】第1層を有する基板と、第1層側に設けられる第1蛍光体層と、第1蛍光体層に対して基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を有し、第1層と第1蛍光体層との間には、空隙が設けられ、第1層は、第1蛍光体層又は第2蛍光体層が出射する蛍光を反射し、第2蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、複数の蛍光体粒子のうち互いに隣り合う一方の蛍光体粒子と他方の蛍光体粒子とを結合するバインダーと、を有し、バインダーは、ガラスを含有し、バインダーは、一方の蛍光体粒子の表面の一部と他方の蛍光体粒子の表面の一部とを結合する。【選択図】図4

Description

本発明は、波長変換素子、光源装置、プロジェクター、及び波長変換素子の製造方法に関する。
従来、入射される励起光によって励起され、励起光の波長より長い波長を有する蛍光を出射する波長変換素子が知られている。このような波長変換素子として、基材と、基材の表面に形成された反射層と、反射層上に形成された蛍光体層と、を備えた発光素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発光素子では、蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、複数の蛍光体粒子を結合させるバインダーと、を有する。
バインダーは、例えば水ガラス等の無機材料の架橋体を含むものである。バインダーは、互いに隣り合う一の蛍光体粒子と他の一の蛍光体粒子とを結合するとともに、蛍光体粒子と反射層の表面とを結合する。蛍光体粒子は、外部から照射される励起光を吸収して蛍光を発する粒子状の蛍光体である。蛍光体粒子には、例えばYAG系材料の蛍光物質が含まれている。そして、特許文献1では、上記発光素子を有する光源装置が、プロジェクターに適用された例が示されている。
特開2015−197474号公報
特許文献1に記載の蛍光体層では、複数の蛍光体粒子は、バインダー内に封入されている。換言すると、バインダーは、蛍光体粒子の表面全体を覆うように、蛍光体粒子の周囲に存在する。このため、蛍光体粒子から出射された蛍光は、バインダー内に入射され、バインダー内を伝播して、蛍光体層から出射される。蛍光体層から出射された蛍光は、光源装置から出射され、光学系を構成する反射型液晶パネルに入射される。
しかしながら、蛍光体層においてバインダー内を蛍光が伝播すると、蛍光体層の表面における蛍光の出射領域は、励起光の入射領域より大きくなる。そして、蛍光の出射領域が大きいと、光学系において液晶パネルに対する蛍光の入射効率が低下するおそれがある。すなわち、蛍光体粒子の表面全体がバインダーによって覆われていると、蛍光体層から蛍光が入射される光学系での蛍光の利用効率が低下するおそれがある。
一方、特許文献1には、励起光の入射方向に沿って、励起光を波長変換した蛍光を出射する透過型の波長変換素子が挙げられている。このような透過型の波長変換素子において、基材と蛍光体層との間に、青色光を透過し、蛍光を蛍光体層側に反射させる誘電体多層膜であるダイクロイック膜を設けることによって、励起光の入射側に戻る蛍光の光量を低減することが考えられる。
しかしながら、ダイクロイック膜に対してブリュースター角で蛍光体層から入射した光は、ダイクロイック膜を透過する。このため、ダイクロイック膜を透過した蛍光は、励起光の入射側に進行して失われてしまう。すなわち、蛍光の損失が生じる。反射型の波長変換素子でも同様のことが言える。
これに対し、基材において励起光の入射側の面にダイクロイック膜を設けることによって、ブリュースター角での蛍光の入射を抑制することが考えられる。しかしながら、この場合には、基材の厚み分の距離を往復することによる光の損失が生じる。
このように、蛍光体層から入射された光の一部が、反射層又はダイクロイック膜に入射されて失われることによって、蛍光体層、ひいては、波長変換素子から出射される光の損失が生じるという問題がある。
本発明の第1態様に係る波長変換素子は、第1層を有する基板と、前記第1層側に設けられる第1蛍光体層と、前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を有し、前記第1層と前記第1蛍光体層との間には、空隙が設けられ、前記第1層は、前記第1蛍光体層又は前記第2蛍光体層が出射する蛍光を反射し、前記第2蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、前記複数の蛍光体粒子のうち互いに隣り合う一方の蛍光体粒子と他方の蛍光体粒子とを結合するバインダーと、を有し、前記バインダーは、ガラスを含有し、前記バインダーは、前記一方の蛍光体粒子の表面の一部と前記他方の蛍光体粒子の表面の一部とを結合することを特徴とする。
上記第1態様では、前記第2蛍光体層における前記複数の蛍光体粒子の体積の合計と前記バインダーの体積の合計とを合計した体積に対する前記バインダーの体積の割合は、0vol%より大きく、10vol%以下であることが好ましい。
上記第1態様では、前記第2蛍光体層は、前記基板と接合されていることが好ましい。
上記第1態様では、前記第2蛍光体層は、前記バインダーによって前記基板と接合されていることが好ましい。
本発明の第2態様に係る光源装置は、上記波長変換素子と、前記波長変換素子に励起光を出射する光源と、を備えることを特徴とする。
本発明の第3態様に係る波長変換素子の製造方法は、基板と、前記基板に対向して設けられる第1蛍光体層と、前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を備える波長変換素子の製造方法であって、蛍光体粒子とガラスを含有するバインダーとを混合し、前記第2蛍光体層を構成する混合物を調製する調製工程と、前記基板に設けられた前記第1蛍光体層に対する前記基板とは反対側に、前記混合物を塗布する塗布工程と、前記混合物が塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含み、前記焼成工程における焼成温度は、前記ガラスの軟化点より100℃以上高いことを特徴とする。
本発明の第4態様に係る波長変換素子の製造方法は、基板と、前記基板に対向して設けられる第1蛍光体層と、前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を備える波長変換素子の製造方法であって、蛍光体粒子とガラスを含有するバインダーとを混合し、前記第2蛍光体層を構成する混合物を調製する調製工程と、前記基板に設けられた前記第1蛍光体層に対する前記基板とは反対側に、前記混合物を塗布する塗布工程と、前記混合物が塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含み、前記焼成工程における前記ガラスの粘度は、10dPa・s以下であることを特徴とする。
本発明の第5態様に係る波長変換素子は、上記波長変換素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明の第6態様に係る光源装置は、上記波長変換素子と、前記波長変換素子に励起光を出射する光源と、を備えることを特徴とする。
本発明の第7態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。 第1実施形態における光源装置の構成を示すブロック図。 第1実施形態における第1光源装置の構成を示す模式図。 第1実施形態における波長変換素子の断面を示す模式図。 第1実施形態における波長変換素子を蛍光の出射側から見た平面図。 第1実施形態における第1蛍光体層を拡大して示す模式図。 第1実施形態における第2蛍光体層でのバインダーによる蛍光体粒子の結合状態を示す模式図。 第1実施形態における結合部の面積に対する光学系での明るさ及び光の広がりを示すグラフ。 第1実施形態におけるガラス含有率と光学系効率との関係を示すグラフ。 第1実施形態におけるガラス含有率が30vol%であり、焼成温度が1000℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が20vol%であり、焼成温度が1000℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が10vol%であり、焼成温度が1000℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が1000℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が3vol%であり、焼成温度が1000℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態における波長変換素子の製造方法を示すフローチャート。 第1実施形態における焼成温度とガラスの粘度との関係を示すグラフ。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が750℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が800℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が850℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が900℃である蛍光体層を示す画像。 第1実施形態におけるガラス含有率が5vol%であり、焼成温度が950℃である蛍光体層を示す画像。 第2実施形態におけるプロジェクターが備える光源装置の構成を示す模式図。 第2実施形態における波長変換素子の断面を示す模式図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、後述する光源装置4から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成する画像光を、スクリーン等の被投射面上に拡大投射する。プロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、外装筐体2内に配置される光源装置4および光学装置30と、を備える。なお、光源装置4及び光学装置30の構成については、後に詳述する。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、電子部品に電力を供給する電源装置、及び、冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、それぞれ図示しない天面部及び底面部と、正面部21、背面部22、左側面部23及び右側面部24とを有し、略直方体形状に形成されている。
正面部21は、後述する投射光学装置36の一部を露出させる開口部211を有しており、投射光学装置36によって投射される画像光は、開口部211を通過する。また、正面部21は、プロジェクター1内の冷却対象を冷却した冷却気体が外装筐体2の外部に排出される排気口212を有する。更に、右側面部24は、外装筐体2外の気体を冷却気体として内部に導入する導入口241を有する。
[光学装置の構成]
光学装置30は、均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33、画像形成装置34、光学部品用筐体35及び投射光学装置36を備える。
均一化装置31は、光源装置4から出射された光を均一化する。均一化装置31によって均一化された光は、色分離装置32及びリレー装置33を経て、画像形成装置34の後述する光変調装置343の変調領域を照明する。均一化装置31は、2つのレンズアレイ311,312、偏光変換素子313及び重畳レンズ314を備える。
色分離装置32は、均一化装置31から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離装置32は、2つのダイクロイックミラー321,322と、ダイクロイックミラー321によって分離された青色光を反射させる反射ミラー323と、を備える。
リレー装置33は、青色光の光路及び緑色光の光路より長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー装置33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333、反射ミラー332,334を備える。
なお、本実施形態では、赤色光の光路にリレー装置33を設けているが、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー装置33を設ける構成としてもよい。
画像形成装置34は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、投射光学装置36によって投射される画像光を形成する。画像形成装置34は、入射される各色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ341、3つの入射側偏光板342、3つの光変調装置343、3つの出射側偏光板344と、1つの色合成装置345と、を備える。
光変調装置343は、光源装置4から出射された光を画像情報に応じて変調する。光変調装置343は、赤色光を変調する光変調装置343R、緑色光を変調する光変調装置343G、及び、青色光を変調する光変調装置343Bを含む。本実施形態では、光変調装置343は、透過型の液晶パネルによって構成されており、入射側偏光板342、光変調装置343及び出射側偏光板344によって液晶ライトバルブが構成される。
色合成装置345は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された各色光を合成して上記画像光を形成する。本実施形態では、色合成装置345は、クロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、これに限らず、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
光学部品用筐体35は、それぞれ上記した均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を内部に収容する。なお、光学装置30には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体35は、照明光軸Axにおける所定位置に均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を保持する。光源装置4及び投射光学装置36は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
投射光学装置36は、画像形成装置34から入射される画像光を被投射面上に拡大投射する。すなわち、投射光学装置36は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された光を投射する。投射光学装置36は、例えば筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
[光源装置の構成]
図2は、光源装置4の構成を示すブロック図である。
光源装置4は、光変調装置343を照明する照明光LTを均一化装置31に出射する。光源装置4は、図2に示すように、例えばピーク波長が500〜700nmの光である蛍光を出射する第1光源装置41と、青色光を出射する第2光源装置47と、光合成装置48と、を有する。
これらのうち、光合成装置48は、第1光源装置41から出射された蛍光と、第2光源装置47から出射された青色光とを合成した照明光を均一化装置31に出射する。
[第1光源装置の構成]
図3は、第1光源装置41の構成を示す模式図である。
第1光源装置41は、図3に示すように、光源42、アフォーカル光学素子43、ホモジナイザー光学素子44、第1集光素子45、波長変換装置5及び第2集光素子46を備える。
光源42は、励起光を出射する発光素子である複数の固体光源421を備える。固体光源421は、半導体レーザーであり、例えばピーク波長が440nm又は460nmである青色のレーザー光を、波長変換装置5に入射される励起光として出射する。
アフォーカル光学素子43は、光源42から出射された励起光を縮径する。アフォーカル光学素子43は、入射される光を集光するレンズ431と、レンズ431によって集光された光束を平行化するレンズ432とにより構成されている。
ホモジナイザー光学素子44は、アフォーカル光学素子43によって縮径された励起光の照度分布を均一化する。ホモジナイザー光学素子44は、一対のマルチレンズアレイ441,442により構成されている。
第1集光素子45は、ホモジナイザー光学素子44を通過した励起光を、波長変換装置5の波長変換素子51に集光する。
波長変換装置5は、励起光の波長より長い波長を有する光である蛍光を第2集光素子46に出射する。波長変換装置5は、励起光を蛍光に波長変換する波長変換素子51と、波長変換素子51に対する励起光の入射方向に沿う回転軸Rxを中心として波長変換素子51を回転させる回転部RTと、を備える。
波長変換素子51は、励起光の入射方向に沿って蛍光を出射する透過型の波長変換素子である。波長変換素子51の構成については、後に詳述する。
第2集光素子46は、波長変換装置5から出射された蛍光を集光するとともに平行化して、光合成装置48に出射する。
[波長変換素子の構成]
図4は、波長変換素子51の断面を模式的に示す図である。
波長変換素子51は、図4に示すように、基板52及び蛍光体層53を有する。なお、波長変換素子51は、後述する製造方法によって製造される。
以下の説明では、波長変換素子51に対する励起光ELの入射方向であり、波長変換素子51から出射される蛍光YLの主光線の進行方向である方向を+Z方向とし、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。
[基板の構成]
基板52は、蛍光体層53を保持する保持部材であり、図3に示す回転部RTによって回転される。基板52は、基板本体521と、基板本体521に設けられる第1層522及び放熱板523と、を有する。また、基板52は、+Z方向の面である第1面52Aと、−Z方向の面であり、第1面52Aとは反対側の面である第2面52Bと、を有する。
これらのうち、第2面52Bは、波長変換素子51に照射された励起光ELが入射される入射面である。
基板本体521は、励起光ELが通過可能な透光性材料によって円板状に形成されている。本実施形態では、基板本体521は、サファイア基板によって構成されている。基板本体521は、+Z方向の面である第1面521Aと、−Z方向の面であり、第1面521Aとは反対側の面である第2面521Bと、を有する。なお、基板本体521は、ガラスによって構成されていてもよい。
第1層522は、第1面521Aの略全面に設けられた誘電体多層膜である。第1層522は、青色光である励起光ELを通過させる一方で、青色光より長い波長を有する蛍光YLを反射させる反射特性を有する。すなわち、第1層522によって構成される第1面52Aの一部は、基板52内に入射された励起光ELを通過させるとともに、蛍光体層53から入射される蛍光YLを励起光ELの入射方向である+Z方向に反射させる。
すなわち、基板52は、蛍光YLを蛍光体層53側に反射させる反射面FSを有する。反射面FSは、基板52の+Z方向の面である第1面52A側に設けられる。反射面FSは、第1層522における蛍光体層53側の面である。すなわち、反射面FSは、第1層522における基板本体521の第1面521Aに対向する面とは反対側の面に設けられる。
第1層522を形成する誘電体多層膜としては、例えばSiO層とTa層とが交互に積層された誘電体多層膜が挙げられる。
放熱板523は、蛍光体層53から基板本体521及び第1層522を介して伝達される熱を放熱する。放熱板523は、第1層522に設けられる第1放熱板5231と、第2面521Bに設けられる第2放熱板5232と、を含む。
第1放熱板5231は、第1層522において蛍光体層53が配置されない中央部に設けられている。また、第1放熱板5231は、第1層522において蛍光体層53が配置されない中央部に設けられている。第1放熱板5231は、回転軸Rxの周囲であって、Z方向において回転部RTに対向する部分に設けられている。
第2放熱板5232は、第2面521Bの略全面に設けられている。なお、第2放熱板5232は、−Z方向から見て回転軸Rxを中心とする環状の開口である通過部5233を有する。通過部5233は、第2面521Bの一部を露出させて、励起光ELを通過させる部位であり、通過部5233を介して、基板本体521に励起光ELが入射される。
すなわち、基板52における第1面52Aは、第1層522及び第1放熱板5231によって構成される。基板52における第2面52Bは、第2放熱板5232及び基板本体521によって構成される。
[蛍光体層の構成]
図5は、蛍光YLの出射側、すなわち、+Z方向から波長変換素子51を見た平面図である。
蛍光体層53は、基板52に対して励起光ELの入射側とは反対側、すなわち、+Z方向に設けられている。蛍光体層53は、基板52を通過して入射される励起光ELによって励起されて、励起光ELの波長より長い波長を有する光である蛍光YLを出射する。換言すると、蛍光体層53は、入射される励起光ELを波長変換した蛍光YLを出射する。蛍光体層53は、図5に示すように、+Z方向から見て、回転軸Rxを中心とする波長変換素子51の回転時における励起光ELの入射領域に対応した円環状に形成されている。
このような蛍光体層53は、第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55を有する。
[第1蛍光体層の構成]
第1蛍光体層54は、図4に示すように、励起光ELを蛍光YLに波長変換する複数の蛍光体粒子PRと空隙SPとを含む層であり、基板52の第1面52Aに設けられる。
蛍光体粒子PRは、蛍光体材料と、発光中心となる賦活剤とを含有する粒子である。賦活剤としては、例えばCe、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaが挙げられる。蛍光体材料としては、YAG蛍光体材料を採用できる。しかしながら、これに限らず、蛍光体材料は、YAG蛍光体材料に代えて、YAG蛍光体におけるYがLu、Gd又はGaで置換された蛍光体材料を採用してもよく、KSF蛍光体材料、又は、SCASN蛍光体材料等を採用してもよい。更に、蛍光体材料は、複数の蛍光体材料の混合物であってもよい。
なお、本実施形態では、第1蛍光体層54は、バインダーを含んでいない。詳しくは後述するが、第1蛍光体層54は、蛍光体粒子PR及び分散剤を溶剤に溶かした混合物を焼成することによって形成されるが、分散剤及び溶剤は、焼成時に揮発される。
[第2蛍光体層の構成]
第2蛍光体層55は、第1蛍光体層54と同様に、励起光ELを波長変換した蛍光YLを出射する機能を有する。第2蛍光体層55は、図4に示すように、第1蛍光体層54を+Z方向にて覆うように、基板52の第1面52Aに設けられる。すなわち、第2蛍光体層55は、第1蛍光体層54に対して基板52とは反対側に設けられ、基板52の第1面52Aに接合されている。
第2蛍光体層55は、複数の蛍光体粒子PR及び空隙SPを含む他、複数の蛍光体粒子PRを結合させるバインダーBNを含む。換言すると、第2蛍光体層55は、バインダーBNによって複数の蛍光体粒子PRが互いに結合され、内部に空隙SPが設けられた構成を有する。バインダーBNは、蛍光体粒子PR同士を結合する他、蛍光体粒子PRを第1面52Aに結合させ、これにより、第2蛍光体層55を第1面52Aに固定する。すなわち、第2蛍光体層55は、バインダーBNによって基板52の第1面52Aと接合されている。
本実施形態では、バインダーBNとして、ホウケイ酸ガラスが用いられているが、リン酸塩系ガラスであってもよい。また、SiOを主成分とするポリシラザンが用いられてもよい。
[基板と第1蛍光体層との間の空隙による効果]
蛍光体層53にて生じた非偏光の蛍光は、様々な角度で第1層522に入射される。本実施形態における第1層522は、SiO及びTaが積層された誘電体多層膜であるので、第1層522のブリュースター角はSiOで略56°である。空中からSiOに入射する光のSiO内部での最大入射角度、つまり全反射角度は、41.8°で、SiOのブリュースター角56°よりも小さい。このため、第1層522と第1蛍光体層54との間に設けられる空隙ALから第1層522に入射する光は、SiOとTaの多層膜による干渉のみ受ける。これにより、蛍光YLは、原理的には第1層522の設計にしたがって、ほとんどが反射され、空隙AL側へと進行する。第1層522に対してブリュースター角56°に近い入射角度で入射される光のうち、p偏光成分は、第1層522にて反射されずに、第1層522を透過してしまう。
発明者が行った実験では、蛍光体層にて生じた全発光量のうち、10%以上の光量の光が、損失することが分かった。ブリュースター角−5°からブリュースター角+5%の範囲の蛍光のp偏光成分が損失したとして計算すると、7%となる。さらに、ガラスの屈折率が1.5の場合の空気に対する全反射は42°なので、第1層522から反射された蛍光のブリュースター角56°を含む多くはガラスと空気の界面で反射され、再び第1層522で反射され、それが繰り返され、一定量が第1層522に吸収される。また、ブリュースター角以上の光も同じく、多くは第1層522で反射されるが、ガラスと空気界面と第1層522との間で反射を繰り返し、誘電体多層膜等に吸収される。このように、基板52と第1蛍光体層54との間にガラスの接着層があることによる損失が大きく、空隙ALがあることの効果は大きいことがわかった。
図6は、基板52の第1面52A上に配置された第1蛍光体層54を拡大して示す模式図である。
第1蛍光体層54は、第1面52Aと結合する第2蛍光体層55によって覆われることにより、第1面52Aと第2蛍光体層55との間に配置される。
ここで、第1蛍光体層54は、内部に空隙SPを含むことから、第1蛍光体層54と第1面52Aとの間には、図6に示すように、第1蛍光体層54において基板52側に露出する空隙SPによって、第1蛍光体層54と第1面52Aとの間には、空隙ALが形成される。換言すると、波長変換素子51は、第1層522と第1蛍光体層54との間に空隙ALが設けられている。
このような空隙ALが設けられることにより、第1蛍光体層54から空隙ALを介して第1層522に入射される光の入射角を、第1層522にて全反射可能な42°以下にすることができる。すなわち、空隙ALを介することにより、第1層522に入射される光の入射角を、第1層522のブリュースター角よりも小さい角度に変更できる。これにより、蛍光体層53にて生じた蛍光を、第1層522にて効率よく反射させることができる。従って、蛍光体層53にて生じた蛍光の損失を抑制でき、波長変換素子51から出射される蛍光の光量を高めることができる。
[蛍光体粒子における結合部の面積と光学系での明るさとの関係]
図7は、第2蛍光体層55においてバインダーBNによって結合された蛍光体粒子PR(PR1,PR2)の結合状態を示す模式図である。
プロジェクター1に採用される光源装置4は、光源装置4から出射された照明光が入射される光学系である光学装置30を透過する光の明るさが高くなる光源装置であることが要望される。
このため、本実施形態では、蛍光体層53において蛍光YLの出射側に位置する第2蛍光体層55に含有される蛍光体粒子PRの表面におけるバインダーBNとの結合部の面積を調整している。すなわち、図7に示すように、蛍光体粒子PRの表面においてバインダーBNと接合する部位を結合部BPとすると、上記光の明るさを高めるために、蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合を10%以下に設定している。詳述すると、当該面積の割合を3%以上、5%以下の範囲内の値に設定している。これは、以下の実験結果によるものである。
図8は、蛍光体粒子PRの表面積に占める結合部の面積の割合に対する光学装置30における光学系での明るさ及び光の広がりを示すグラフである。
発明者は、第2蛍光体層55における蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合を変化させ、第2蛍光体層55から出射される光の広がり、及び、光学装置30における光学系での明るさを測定する実験を行った。なお、ここでいう光学系での明るさは、光変調装置343に集光可能な光量を示している。また、光の広がりは、蛍光体層において、励起光の入射領域の面積に対する蛍光の出射領域の面積の割合である。以下の説明では、蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合を、面積割合と略す。
第2蛍光体層55から出射される光の広がりは、図8に一点鎖線によって示されるように、面積割合が大きいほど大きくなった。すなわち、第2蛍光体層55から出射される光の広がりは、結合部BPの面積が大きいほど大きくなった。
光学系での明るさは、図8に実線によって示されるように、面積割合が小さいほど高くなるわけではなく、光学系での明るさには、最大値(最高値)があることが分かった。
詳述すると、面積割合が10%以下の範囲では、光学系での明るさは、面積割合が大きくなるに従って高くなった後に低くなった。そして、光学系での明るさの最大値は、面積割合が3%以上、5%以下の範囲内にあるときに示されることが分かった。
一方、面積割合が10%を超える範囲では、光学系での明るさは、面積割合が0%であるときより低くなり、面積割合が大きいほど低くなった。
すなわち、光学系での明るさは、面積割合が10%以下であるときに0%であるときよりも高くなり、面積割合が3%以上、5%以下の範囲内にあるときに最大となることが分かった。
このように、光学系での明るさが高くなるときの面積割合の範囲が存在することは、以下の理由によると考えられる。
蛍光体粒子PRの屈折率は、約1.8である。これに対し、バインダーBNを構成するホウケイ酸ガラスの屈折率は、約1.5である。
このことから、蛍光体粒子PRの内部にて生成されて結合部BPに入射された蛍光は、結合部BPからバインダーBNを伝わって、隣り合う蛍光体粒子PR内に進行する。
一方、第2蛍光体層55の内部には空隙SPが設けられていることから、第2蛍光体層55に含まれる蛍光体粒子PRの外面において結合部BP以外の領域は、空気と接している。このため、フレネルの式に従い、蛍光体粒子PRの内部にて生成されて、蛍光体粒子PRの外面において結合部BP以外の領域に入射された蛍光は、大部分が屈折して蛍光体粒子PRの外部に出射されて一部が内部に反射するか、或いは、蛍光体粒子PR内部に全反射される。
面積割合が大きい場合、結合部BPに入射される蛍光の光量が多くなる。すなわち、面積割合が大きい場合、結合部BPを介してバインダーBNを伝わる蛍光の光量が多くなる。この場合、蛍光体粒子PRの屈折率とバインダーBNの屈折率との差が小さく、蛍光体粒子PRとバインダーBNとの界面での屈折が小さいため、蛍光が周辺の蛍光体粒子PRに広がりやすくなる。このため、第2蛍光体層55から外部に、大きな広がりの光源として蛍光が出ていく。これにより、光学系である光学装置30の光変調装置343に、第2蛍光体層55から出射された蛍光を集光しにくくなる。すなわち、この場合には、光学系での明るさが低くなる。
面積割合が小さい場合、蛍光体粒子PRの内部にて生成された蛍光は、蛍光体粒子PRの外面において結合部BP以外の領域、すなわち、空気との界面に入射されやすくなる。このため、蛍光体粒子PRと空気との界面にて屈折されて蛍光体粒子PRから出射される蛍光の光量、及び、全反射される蛍光の光量が多くなることから、周辺の広範囲の蛍光体粒子PRに蛍光が広がることが抑制され、第2蛍光体層55から外部に、小さな広がりの光源として蛍光が出ていく。このような蛍光は、光変調装置343に集光しやすい。すなわち、この場合には、光学系での明るさが高くなる。
一方、面積割合が、例えば1%以下の値のような非常に小さい値である場合、蛍光が蛍光体粒子PRの内部に閉じ込められやすくなる。この場合には、空隙SPとの界面での蛍光の反射が繰り返されやすくなって、蛍光の光路長が大きくなる。このように、蛍光体粒子PR内を蛍光が何度も通ることで、自己吸収が生じやすくなる。自己吸収とは、蛍光体の発光波長が蛍光体の吸収波長と部分的に重なっているために、蛍光体が蛍光を吸収して発熱する現象である。このような自己吸収が生じると、第2蛍光体層55から外部に出射される蛍光の光量が減少し、ひいては、光学系での明るさが低くなる。
他方、蛍光体粒子PRにおける空気との界面での反射及び屈折の頻度が高くなると、第2蛍光体層55の外部から照射される励起光が、蛍光体粒子PRの表面、或いは、蛍光体粒子PRの内部にて反射されやすくなる。蛍光に変換されることなく、第2蛍光体層55の外部に放射される励起光の光量が大きくなる。すなわち、励起光の後方散乱(バックスキャッタ)が生じやすくなる。この場合には、蛍光に変換される励起光の光量が減少することによって、第2蛍光体層55から外部に出射される蛍光の光量が減少し、ひいては、光学系での明るさが低くなり得る。
このような考察から、光学系での明るさを高くするためには、第2蛍光体層55における上記面積割合は、10%以下の値であることが好ましく、3%以上、5%以下の値であることがより好ましいことが分かった。
[蛍光体粒子におけるバインダーとの結合部の大きさ]
本実施形態では、蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合を10%以下にするために、結合部BPの大きさが以下の大きさになるように、第2蛍光体層55を作製している。なお、以下の説明では、図7に示すように、バインダーBNによって結合される蛍光体粒子PR1,PR2の各中心C1,C2を結ぶ仮想線VLに直交し、かつ、互いに直交する二軸をX軸及びY軸とする。
本実施形態では、結合部BP1のY軸における寸法は、蛍光体粒子PR1の直径D1の1/4以下とされ、図示を省略するが、結合部BP1のX軸における寸法は、蛍光体粒子PR1の直径D1の1/4以下とされている。換言すると、結合部BP1のY軸における寸法は、蛍光体粒子PR1のY軸における大きさの1/4以下とされ、図示を省略するが、結合部BP1のX軸における寸法は、蛍光体粒子PR1のX軸における大きさの1/4以下とされている。
同様に、結合部BP2のY軸における寸法は、蛍光体粒子PR2の直径D2の1/4以下とされ、図示を省略するが、結合部BP2のX軸における寸法は、蛍光体粒子PR2の直径D2の1/4以下とされている。換言すると、結合部BP2のY軸における寸法は、蛍光体粒子PR2のY軸における大きさの1/4以下とされ、図示を省略するが、結合部BP2のX軸における寸法は、蛍光体粒子PR2のX軸における大きさの1/4以下とされている。
更に、バインダーBNの厚み寸法である仮想線VLに沿うバインダーBNの寸法は、蛍光体粒子PRの1/10以下とされている。
このように、結合部BPの寸法が上記の大きさであることにより、第2蛍光体層55における上記割合が10%以下の値となり、光学系での明るさを高くすることができる。
[計算による結合部の大きさ]
光学系での明るさを高める上記面積割合は、蛍光体粒子PRの直径に基づく計算結果からも裏付けられる。
第2蛍光体層55に含まれる蛍光体粒子PRを球状と仮定した場合、半径Rの蛍光体粒子PRの表面積は、4π・Rである。
一方、粒径が略揃った球形の蛍光体粒子PRが密に配列されている場合、単位体積当たりの蛍光体粒子PRの充填率は、一般的に60〜75%である。この場合、1つの蛍光体粒子PRが接する他の蛍光体粒子PRの数は、8〜12である。
1つの蛍光体粒子PRが接する他の蛍光体粒子PRの数を8と仮定し、バインダーBNを、厚みtで半径rの円柱と仮定した場合、結合部BPの総面積は、8π・rである。なお、バインダーBNの厚みは、図5に示した仮想線VLに沿う寸法である。
これらのことから、上記面積割合は、8π・r/(4π・R)となる。すなわち、上記面積割合は、2r/Rとなる。
蛍光体粒子PRの半径Rを12μmと仮定し、蛍光体粒子PRの表面積に占める結合部BPの割合を、上記した実験結果から5%(=0.05)と仮定した場合、結合部BPの半径rは、略1.89μmとなる。すなわち、蛍光体粒子PRにおける結合部BPの形状を円とした場合の結合部BPの半径rは、略2μmとなり、結合部BPの直径は、略4μmとなる。また、1つの蛍光体粒子PRが接する他の蛍光体粒子PRの数を12と仮定すれば、結合部BPの半径rは、略3μmとなり、結合部BPの直径は、略6μmとなる。よって、結合部BPの半径rは、略2〜3μmであり、結合部BPの直径は、略4〜6μmである。
このような計算によって求められる結合部BPの直径は、上記仮定に基づく蛍光体粒子PRの直径24μmの1/4以下の値である。換言すると、結合部BPのX軸及びY軸における寸法は、蛍光体粒子PRの直径の1/4以下の値である。
以上のように、蛍光体粒子PRの直径に対して結合部BPの寸法を上記した大きさにすることによって、上記面積割合を10%以下にすることができ、ひいては、光学系での明るさを高くできる。
このような結合部BPの大きさは、詳しくは後述するが、波長変換素子51の製造方法において第2蛍光体層55を製造する際の温度を調整することによって実現できる。これについては、波長変換素子51の製造方法にて説明する。
[第2蛍光体層におけるガラス含有率]
図9は、第2蛍光体層55のガラス含有率と光学系効率との関係を示すグラフである。
なお、ガラス含有率は、第2蛍光体層55においてバインダーBNの体積割合(vol%)により表される。具体的に、ガラス含有率は「100*ガラスの体積/(ガラスの体積+蛍光体粒子の体積)」であり、空隙SPの体積は含まれていない。
すなわち、ここでいうガラス含有率は、作製後の波長変換素子51の実測値ではなく、後述する波長変換素子51の製造工程での第2蛍光体層55の構成材料におけるバインダーBN及び蛍光体粒子PRの投入量の体積割合に基づく値である。
一方、光学系効率は、「第2蛍光体層55から出射されて光学系である光学装置30を透過した後、投射光学装置36から出射した光の光量/第2蛍光体層55に照射された励起光の光量」である。このため、光学系効率は、「第2蛍光体層55から出射されて光学装置30に入射した光の光量/第2蛍光体層55に照射された励起光の光量」ではなく、「第2蛍光体層55から出射された光の光量/第2蛍光体層55に照射された励起光の光量」により示される波長変換効率でもない。
すなわち、光学系効率は、エテンデューを含んだ効率であり、プロジェクター1の光学装置30における光利用効率と言い換えることができる。
図9に示されるように、第2蛍光体層55のガラス含有率が0vol%より大きく、10vol%以下の範囲内では、ガラス含有率が0vol%であるときに比べて、光学系効率が高くなっている。そして、ガラス含有率が10vol%であると、光学系効率は、ガラス含有率が0vol%であるときと略同じ値となる。
第2蛍光体層55のガラス含有率が10vol%を超えると、ガラス含有率が0vol%であるときに比べて、光学系効率が低下する。これは、上記のように、蛍光体粒子PRとバインダーBNとの界面にて、蛍光が反射及び屈折をすることによる損失は低下する一方で、蛍光が第2蛍光体層55中を広がり、蛍光が第2蛍光体層55から出射される際の光の広がりが大きくなり、光学系である光学装置30にて利用できる光量が低下して、測定値の差として表れたものと考えられる。また、0〜10%との間でピークを示すのは、バインダーBNが極端に少ないと、蛍光体粒子PRと空隙SP(空気)との界面にて、励起光が何回も反射及び屈折を繰り返すことによって、当該励起光が蛍光体を励起する前に、第2蛍光体層55から放出されてしまうことによるものと考えられる。
図10は、ガラス含有率が30vol%であり、蛍光体層の焼成温度が1000℃である蛍光体層をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により観察した際の画像である。以下、SEMによって観察される画像をSEM画像と略す。
図11は、ガラス含有率が20vol%であり、蛍光体層の焼成温度が1000℃である蛍光体層のSEM画像である。図12は、ガラス含有率が10vol%であり、蛍光体層の焼成温度が1000℃である蛍光体層のSEM画像である。図13は、ガラス含有率が5vol%であり、蛍光体層の焼成温度が1000℃である蛍光体層のSEM画像である。図14は、ガラス含有率が3vol%であり、蛍光体層の焼成温度が1000℃である蛍光体層のSEM画像である。
ガラス含有率が30vol%及び20vol%である第2蛍光体層では、図10及び図11に示すように、全ての蛍光体粒子PRの表面がバインダーBNによって略完全に覆われている。特に、図10に示されるガラス含有率が30vol%である第2蛍光体層では、各蛍光体粒子PRはバインダーBNの中に埋没されている。このように蛍光体粒子PRが、ホウケイ酸ガラスであるバインダーBNによって覆われると、上記のように、蛍光体粒子PRにて生成された蛍光がバインダーBNを伝播しやすくなり、第2蛍光体層から出射される光の広がりが大きくなって、光学系効率が低下する。
これに対し、ガラス含有率が10vol%、5vol%及び3vol%である第2蛍光体層では、図12〜図14に示すように、バインダーBNは、隣り合う蛍光体粒子PRの間に設けられ、蛍光体粒子PRは、バインダーBNによって完全には覆われていない。特に、ガラス含有率が5vol%及び3vol%である第2蛍光体層では、図13に示すように、バインダーBNは、隣り合う蛍光体粒子PRの間にのみ設けられ、蛍光体粒子PRの表面は、ほぼ露出されている。
このように、バインダーBNによって、隣り合う蛍光体粒子PRが表面の一部にて結合され、他の部分が露出されていることにより、第2蛍光体層から出射される光の広がりが小さくなり、光学系効率が高められる。すなわち、本実施形態に係る波長変換素子51の蛍光体層53においては、第2蛍光体層55に含有される蛍光体粒子PRの表面の一部にバインダーBNが結合され、他の部分が露出されていることによって、蛍光体層53から出射される光の広がりが小さくなり、光学系効率が高められる。
従って、第2蛍光体層55のガラス含有率は、0vol%より大きく、10vol%以下の範囲内の値であることにより、ガラス含有率が0vol%のとき、及び、ガラス含有率が10vol%より大きい場合に比べて、光学系効率を高められる蛍光体層53を構成できる。
[波長変換素子の製造方法]
図15は、波長変換素子51の製造方法を示すフローチャートである。
上記した蛍光体層53を含む波長変換素子51の製造方法について、説明する。
波長変換素子51の製造方法は、図15に示すように、順に実施される第1調製工程S1、第1塗布工程S2、第1乾燥工程S3、第2調製工程S4、第2塗布工程S5、第2乾燥工程S6、第1焼成工程S7、第2焼成工程S8及び冷却工程S9を含む。すなわち、以下に示す波長変換素子51の製造方法は、本発明の製造方法を含む。
第1調製工程S1は、焼成後に第1蛍光体層54となる第1混合物を調製する工程である。第1調製工程S1では、上記した蛍光体粒子PRと、アクリルやエチルセルロース等の有機物の分散剤とを溶媒に溶かしたペーストを、第1混合物として調製する。
第1塗布工程S2では、基板52の第1層522における第1蛍光体層54の形成予定領域に、調製された第1混合物を塗布する。
第1乾燥工程S3では、第1混合物に含まれる溶剤が蒸発する程度の低温にて、基板52に塗布された第1混合物を乾燥させる。これにより、第1混合物は、蛍光体粒子PR及び有機物の分散剤のみが含まれる固体の混合物となる。
第2調製工程S4は、焼成後にバインダーBNとなるバインダー構成物と、Ce:YAG蛍光体粉末と、上記分散剤と、有機溶剤とを混合した第2混合物を調製する工程である。すなわち、第2調製工程S4は、第2蛍光体層55を構成する混合物を調製する調製工程である。なお、バインダー構成物としては、例えばシリカが60%以上含まれるホウケイ酸ガラスを直径1μm以下に砕いた粉末が挙げられる。また、蛍光体粉末とバインダー構成物であるホウケイ酸ガラスとの割合は、体積比で98:2〜92:8の範囲内の割合とする。なお、当該範囲は、98:2及び92:8を含む範囲である。より好ましくは、蛍光体粉末とホウケイ酸ガラスとの割合は、体積比で97:3〜95:5の範囲内の割合とする。当該範囲は、97:3及び95:5を含む範囲である。このように蛍光体粉末とホウケイ酸ガラスとの割合を調整することによって、ガラス含有率を上記範囲内の値に設定できる。
第2塗布工程S5では、基板52に設けられて、乾燥された第1混合物に対する基板52とは反対側に、第2混合物を塗布する。なお、第1混合物は、第1蛍光体層54を構成するものであるため、第2塗布工程S5は、基板52に設けられた第1蛍光体層54に対する基板52とは反対側に第2混合物を塗布する工程と言い換えることができる。
第2乾燥工程S6では、第2塗布工程S5にて塗布された第2混合物を乾燥させる。
第1焼成工程S7では、第1混合物及び第2混合物が塗布された基板52を、低温で焼成する。具体的に、第1焼成工程S7は、第1混合物及び第2混合物に含まれる分散剤の有機物が分解する300℃以上、500℃以下の温度で焼成する。これにより、第1混合物及び第2混合物から分散剤が揮発する。
第2焼成工程S8では、第1焼成工程S7にて焼成された第1混合物及び第2混合物を、焼成炉にて1000℃まで10℃/分の割合で昇温しつつ、短時間焼成する。第2焼成工程S8にて高温で焼成すると、第2混合物に含まれるバインダー構成物のホウケイ酸ガラスが溶けて、第2混合物に含まれる蛍光体粒子PRを結合する。なお、第2焼成工程S8での焼成温度については、後に詳述する。
冷却工程S9では、第2焼成工程S8での焼成物を冷却する。この時点では、第1混合物は第1蛍光体層54となり、第2混合物は、蛍光体粒子PRがバインダーBNによって結合された第2蛍光体層55となる。
以上の各工程S1〜S9を含む製造方法によって、上記面積割合及びガラス含有率が0%より大きく、10%以下である第2蛍光体層55を有する波長変換素子51が製造される。
[第2焼成工程での焼成温度とガラスの粘度との関係]
図16は、焼成温度とガラスの粘度との関係を示すグラフである。
ガラスの粘度は、図16に示すように、温度が高くなるに従って低下し、ガラスの粘性による力は、粘度が小さくなるに従って弱くなる。そして、ガラスが自重で顕著に軟化変形し始める温度であり、粘度が約107.6dPa・sとなる温度である軟化点を700℃とすると、上記第2焼成工程S8の焼成温度を軟化点+100℃である800℃以上にすることにより、ガラスの粘度は、10dPa・s(=10P)以下となる。
以下、ガラス含有率が5vol%である混合ペーストを各焼成温度で焼成して作製された第2蛍光体層55のSEM画像を以下に示す。
すなわち、図17は、ガラス含有率が5vol%であり、750℃で焼成されて作製された蛍光体層を示すSEM画像である。図18は、ガラス含有率が5vol%であり、800℃で焼成されて作製された蛍光体層を示すSEM画像である。図19は、ガラス含有率が5vol%であり、850℃で焼成されて作製された蛍光体層を示すSEM画像である。図20は、ガラス含有率が5vol%であり、900℃で焼成されて作製された蛍光体層を示すSEM画像である。図21は、ガラス含有率が5vol%であり、950℃で焼成されて作製された蛍光体層を示すSEM画像である。
なお、図13に、ガラス含有率が5vol%であり、1000℃で焼成されて作製された蛍光体層のSEM画像を示す。
ガラスの軟化点に近い750℃にて焼成された蛍光体層では、図17に示すように、蛍光体粒子PRの直径に対する結合部BPの大きさは、上記と同様である。すなわち、蛍光体粒子PRの直径に対する結合部BPの大きさは、蛍光体粒子PRの直径の1/4以下である。しかしながら、バインダーBNが粒状となっている他、表面が滑らかでないことから、バインダーBNに入射した蛍光及び励起光が散乱しやすい。蛍光及び励起光の散乱が多くなると、蛍光の光路長が大きくなり、蛍光の光路長が増えると、上記のように、蛍光体粒子PRによる自己吸収の発生頻度が増加すること、及び、励起光が蛍光体粒子PRを励起せずに蛍光体層から外部に反射してしまうことにより、蛍光の光量が減少する。
このため、750℃で焼成された第2蛍光体層55では、蛍光体層から出射される蛍光の光量が減少し、上記した光学系効率が低下しやすい。
これに対し、800℃にて焼成された第2蛍光体層55では、図18に示すように、蛍光体粒子PRに対する結合部BPの大きさは、上記と同様である。すなわち、蛍光体粒子PRの直径に対する結合部BPの大きさは、蛍光体粒子PRの直径の1/4以下である。しかしながら、800℃にて焼成された第2蛍光体層55での結合部BPの大きさは、750℃にて焼成された第2蛍光体層での結合部BPの大きさよりも小さくなる。この他、焼成温度が軟化点より100℃高く、粘度が十分に低いことから、バインダーBNの表面が滑らかになっており、バインダーBNに入射した蛍光が散乱しにくい。また、図18に示すように、焼成温度が800℃である場合には、ガラスの粘度は10dPa・s(=10P)以下となり、粘度が十分に低いため、バインダーBNの表面が滑らかになっており、バインダーBNに入射した蛍光が散乱しにくい。このため、800℃にて焼成された第2蛍光体層55では、750℃で焼成された第2蛍光体層55に対し、蛍光体粒子PRによる自己吸収の発生が抑制され、蛍光の光量の低下が抑制される。
このようなことは、図19〜図21に示す850℃、900℃及び950℃にて焼成された第2蛍光体層55、並びに、図13に示した1000℃で焼成された第2蛍光体層55でも、同様のことが言える。すなわち、焼成温度が高くなるに従ってガラスの粘度は低くなることから、結合部BPの大きさが小さくなる他、結合される蛍光体粒子PR間を結ぶ方向の寸法であるバインダーBNの厚みも小さくなる。更に、第2蛍光体層55におけるバインダーBNの表面が、より平滑になり、蛍光の散乱が一層抑制される。1000℃を超える温度で焼成された第2蛍光体層55でも同様と考えられる。
特に、焼成温度が900℃以下となると、粘度は10dPa・s以下となり、ガラスの流動性が高まり、バインダーBNは流線型となって隣り合う蛍光体粒子PRとで接着されている光学的にも熱伝導的にも望ましい状態となる。更に、焼成温度が1000℃となると、粘度は10dPa・sとなり、ほぼ完全な流動性での接着状態となっていることが図11よりわかる。
一方で、上記第2焼成工程S8での焼成温度を1100℃以上にすると、蛍光体の賦活剤であるCeイオンが酸化されて失活する。このため、製造工程の点で言えば、第2焼成工程S8での焼成温度は、800℃以上、1100℃以下(軟化点よりも100℃以上、400℃以下)が、より好ましい。このうち、焼成工程S8での焼成温度が900℃以上、1100℃以下(軟化点よりも200℃以上、400℃以下)であれば、粘度10dPa・s以下を好適に実現できる。更に、焼成工程S8での焼成温度が950℃以上、1050℃以下(軟化点よりも250℃以上、350℃以下)であることが、より望ましい。これは、粘度10dPa・sを実現する温度であり、蛍光体層がより高発光効率であり、光学装置30を含めての上記光学系効率が高い。
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1及び波長変換素子51の製造工程によれば、以下の効果を奏することができる。
プロジェクター1は、光源装置4と、光源装置4から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置343(343B,343G,343R)と、光変調装置343によって変調された光を投射する投射光学装置36と、を備える。光源装置4は、励起光ELを出射する光源42と、励起光ELを波長変換して、励起光ELの波長より長い波長を有する蛍光YLを生成する波長変換素子51と、を備える。
波長変換素子51は、第1層522を有する基板52と、第1層522側に設けられる第1蛍光体層54と、第1蛍光体層54に対して基板52とは反対側に設けられる第2蛍光体層55と、を有する。第1層522と第1蛍光体層54との間には空隙ALが設けられている。第1層522は、第1蛍光体層54または第2蛍光体層55が出射する蛍光YLを反射する。第2蛍光体層55は、複数の蛍光体粒子PRと、複数の蛍光体粒子PRのうち互いに隣り合う一方の蛍光体粒子PR(PR1)と互いに隣り合う他方の蛍光体粒子PR(PR2)とを結合するバインダーBNと、を有する。バインダーBNは、ガラスを含有する。バインダーBNは、一方の蛍光体粒子PR(PR1)の表面の一部と他方の蛍光体粒子PR(PR2)の表面の一部とを結合することを特徴とする。
このような構成によれば、蛍光体層53の外層である第2蛍光体層55において、バインダーBNは、蛍光体粒子PRの表面の全てに接合するのではなく、蛍光体粒子PRにおける表面の一部にのみ接合する。このことから、蛍光体粒子PRの表面においてバインダーBNと接合される結合部BPの面積を小さくすることができる。換言すると、蛍光体粒子PRの表面において空隙SP(空気)と接する領域の面積を大きくできる。これにより、バインダーBNを伝播する蛍光の光量を低下させることができるので、第2蛍光体層55、ひいては、波長変換素子51から出射される光の広がりを小さくすることができる。従って、光学系である光学装置30での明るさを高めることができ、上記光学系効率を高めることができる。
また、波長変換素子51は、基板52の第1層522と第1蛍光体層54との間に設けられる空隙ALを有する。これによれば、蛍光体層53にて生成された蛍光が、誘電体多層膜によって形成された第1層522にブリュースター角で入射することを抑制できる。すなわち、蛍光体層53にて生成された蛍光が、第1層522を透過して失われることを抑制できる。従って、波長変換素子51から出射される蛍光の光量を増加させることができるので、光学系である光学装置30での明るさを高めることができ、上記光学系効率を高めることができる。
第2蛍光体層55の作製時において、蛍光体粒子PRの体積の合計とバインダーBNの体積の合計とを合計した体積に対するバインダーBNの体積の割合は、0vol%より大きく、10vol%以下である。すなわち、第2蛍光体層55の作製時に調製される混合物におけるガラス含有率は、0vol%より大きく、10vol%以下である。
このような構成によれば、上記したように、蛍光体粒子PRの表面においてバインダーBNとの接合される結合部BPの面積を小さくすることができる。これにより、バインダーBN内を伝播する蛍光の光量を小さくすることができ、第2蛍光体層55、ひいては、波長変換素子51から出射される蛍光の広がりを小さくすることができる。従って、光学系である光学装置30での明るさを高めることができ、上記光学系効率を高めることができる。
第2蛍光体層55は、基板52と接合されている。
このような構成によれば、+Z方向にて第1蛍光体層54を覆う第2蛍光体層55が基板52と接合されていることにより、基板52上に第1蛍光体層54を安定して配置できる。
第2蛍光体層55は、第2蛍光体層55に含まれるバインダーBNによって基板52と接合されている。
このような構成によれば、第2蛍光体層55と基板52とを接合する部材を別途設ける必要がない他、第2蛍光体層55の作製時に基板52に固定できる。従って、他の手段によって第2蛍光体層55を基板52に固定する場合に比べて、波長変換素子51の製造工程を簡略化できる。
波長変換素子51の製造方法は、調製工程である第2調製工程S4と、塗布工程である第2塗布工程S5と、焼成工程である第1焼成工程S7及び第2焼成工程S8と、を含む。第2調製工程S4は、蛍光体粒子PRとホウケイ酸ガラス等のガラスを含有するバインダーBNとを混合し、第2蛍光体層55を構成する混合物としての第2混合物を調製する工程である。第2塗布工程S5は、基板52に設けられた第1蛍光体層54に対する基板52とは反対側に、第2混合物を塗布する工程である。第2焼成工程は、第2混合物が塗布された基板52を焼成する。第2焼成工程S8における焼成温度は、上記ガラスの軟化点より100℃以上高い。
このような構成によれば、上記効果を奏する波長変換素子51を製造できる。
波長変換素子51の製造方法は、調製工程である第2調製工程S4と、塗布工程である第2塗布工程S5と、焼成工程である第1焼成工程S7及び第2焼成工程S8と、を含む。第2調製工程S4は、蛍光体粒子PRとホウケイ酸ガラス等のガラスを含有するバインダーBNとを混合し、第2蛍光体層55を構成する混合物としての第2混合物を調製する工程である。第2塗布工程S5は、基板52に設けられた第1蛍光体層54に対する基板52とは反対側に、第2混合物を塗布する工程である。第2焼成工程は、第2混合物が塗布された基板52を焼成する。第2焼成工程S8における上記ガラスの粘度は、10dPa・s以下である。
このような構成によれば、上記効果を奏する波長変換素子51を製造できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換素子の構成、ひいては、光源装置の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図22は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置6の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、光源装置4に代えて図21に示す光源装置6を有する他は、プロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。
光源装置6は、光源装置4と同様に、光変調装置343を照明する照明光を光学装置30に出射する。光源装置6は、光源用筐体CAと、光源用筐体CA内にそれぞれ収容される光源部61、アフォーカル光学素子62、第1位相差素子63、ホモジナイザー光学素子64、偏光分離素子65、第1集光素子66、第2位相差素子67、第2集光素子68、拡散反射装置69及び波長変換装置5Aと、を備える。
光源部61、アフォーカル光学素子62、第1位相差素子63、ホモジナイザー光学素子64、偏光分離素子65と、第2位相差素子67、第2集光素子68及び拡散反射装置69は、光源装置6に設定された照明光軸Ax1上に配置されている。
波長変換装置5A、第1集光素子66及び偏光分離素子65は、光源装置6に設定され、かつ、照明光軸Ax1に直交する照明光軸Ax2上に配置されている。照明光軸Ax2は、図1に示すレンズアレイ311の位置にて、照明光軸Axと一致する。換言すると、照明光軸Ax2は、照明光軸Axの延長線上に設定されている。
[光源部の構成]
光源部61は、光を出射する光源611及びコリメーターレンズ614を備える。
光源611は、それぞれ発光素子としての複数の固体光源612と、支持部材613と、を備える。
固体光源612は、励起光であるs偏光の青色光L1sを出射する半導体レーザーである。青色光L1sは、例えば、ピーク波長が440nmのレーザー光である。
支持部材613は、照明光軸Ax1に直交する平面にそれぞれアレイ状に配置された複数の固体光源612を支持する。支持部材613は、熱伝導性を有する金属製部材である。
固体光源612から出射された青色光L1sは、コリメーターレンズ614によって平行光束に変換され、アフォーカル光学素子62に入射される。
なお、本実施形態では、光源611は、偏光方向が同じ直線偏光であるs偏光の青色光L1sを出射する構成である。しかしながら、これに限らず、光源611は、偏光方向が異なる直線偏光光である青色光を出射する構成としてもよい。この場合、第1位相差素子63を省略できる。
[アフォーカル光学素子の構成]
アフォーカル光学素子62は、光源部61から入射される青色光L1sの光束径を調整して、第1位相差素子63に入射させる。アフォーカル光学素子62は、入射される光を集光するレンズ621と、レンズ621によって集光された光束を平行化するレンズ622とにより構成されている。
[第1位相差素子の構成]
第1位相差素子63は、アフォーカル光学素子62とホモジナイザー光学素子64との間、より具体的には、レンズ622と、ホモジナイザー光学素子64を構成するマルチレンズアレイ641との間の光路上に設けられている。第1位相差素子63は、青色光L1sが入射する面内、すなわち照明光軸Ax1に直交する平面に沿って回転可能に設けられている。第1位相差素子63は、青色光L1sの波長440nmに対する1/2波長板で構成されている。第1位相差素子63の光学軸は、第1位相差素子63に入射する青色光L1sの偏光軸と交差する。なお、第1位相差素子63の光学軸は、第1位相差素子63の進相軸及び遅相軸のうちのいずれであってもよい。
青色光L1sは、コヒーレントなs偏光である。青色光L1sは、もともとs偏光であるが、青色光L1sの偏光軸が第1位相差素子63の光学軸と交差しているため、青色光L1sが第1位相差素子63を透過することによって、s偏光の一部がp偏光に変換される。このため、第1位相差素子63を透過した青色光は、もともとのs偏光である青色光L1sと、p偏光である青色光L2pとが所定の割合で混在した光となる。
なお、光源装置6は、第1位相差素子63を回転させるモーターを備えていてもよい。
[ホモジナイザー光学素子の構成]
ホモジナイザー光学素子64は、青色光L1s,L2pの照度分布を均一化する。ホモジナイザー光学素子64は、一対のマルチレンズアレイ641,642により構成されている。
[偏光分離素子の構成]
ホモジナイザー光学素子64を通過した青色光L1s,L2pは、偏光分離素子65に入射する。
偏光分離素子65は、プリズム型の偏光ビームスプリッターであり、入射される光に含まれるs偏光成分とp偏光成分とを分離する。具体的に、偏光分離素子65は、s偏光成分を反射させ、p偏光成分を透過させる。また、偏光分離素子65は、s偏光成分及びp偏光成分のいずれの偏光成分であっても、所定波長以上の光を透過させる色分離特性を有する。従って、s偏光の青色光L1sは、偏光分離素子65にて反射され、第1集光素子66に入射する。一方、p偏光の青色光L2pは、偏光分離素子65を透過して、第2位相差素子67に入射する。
[第1集光素子の構成]
第1集光素子66は、偏光分離素子65にて反射された青色光L1sを波長変換装置5Aに集光する。また、第1集光素子66は、波長変換装置5Aから入射される蛍光YLを平行化する。図22の例では、第1集光素子66は、2つのレンズ661,662によって構成されているが、第1集光素子66を構成するレンズの数は問わない。
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5Aは、励起光である青色光L1sの入射に応じて、青色光L1sの波長より長い波長を有する蛍光YLを出射する波長変換素子51Aと、励起光である青色光L1sの入射方向に沿う回転軸Rxを中心として波長変換素子51Aを回転させる回転部RTとを備える。なお、波長変換素子51Aの構成については、後に詳述する。
波長変換装置5Aから出射された蛍光YLは、照明光軸Ax2に沿って第1集光素子66を通過した後、偏光分離素子65に入射される。そして、蛍光YLは、偏光分離素子65を照明光軸Ax2に沿って通過する。
[第2位相差素子及び第2集光素子の構成]
第2位相差素子67は、偏光分離素子65と第2集光素子68との間に配置されている。第2位相差素子67は、偏光分離素子65を通過した青色光L2pを円偏光の青色光L2cに変換する。青色光L2cは、第2集光素子68に入射される。
第2集光素子68は、第2位相差素子67から入射される青色光L2cを拡散反射装置69に集光する。また、第2集光素子68は、拡散反射装置69から入射される青色光L2cを平行化する。なお、第2集光素子68を構成するレンズの数は、適宜変更可能である。
[拡散反射装置の構成]
拡散反射装置69は、波長変換装置5Aから出射される蛍光YLと同様の拡散角で、入射された青色光L2cを拡散反射させる。拡散反射装置69の構成として、入射された青色光L2cをランバート反射させる反射板と、反射板を照明光軸Ax1と平行な回転軸を中心として回転させる回転装置とを備える構成を例示できる。光源装置6において、この種の拡散反射装置69を用いて青色光L2cを拡散反射させることによって、均一な照度分布を有する青色光を得られる。
図22に示すように、拡散反射装置69にて拡散反射された青色光L2cは、第2集光素子68を通過した後、再び第2位相差素子67に入射される。青色光L2cは、拡散反射装置69にて反射される際に、回転方向が反対方向の円偏光に変換される。このため、第2集光素子68から第2位相差素子67に入射される青色光L2cは、第2位相差素子67によって、偏光分離素子65から第2位相差素子67に入射されるp偏光の青色光L2cではなく、s偏光の青色光L2sに変換される。そして、s偏光の青色光L2sは、偏光分離素子65にて反射されて、蛍光YLとともに照明光軸Ax2に沿って、上記した均一化装置31に入射される。
[波長変換素子の構成]
図23は、波長変換素子51Aの断面を模式的に示す図である。
波長変換素子51Aは、励起光ELの波長とは異なる波長を有する光である蛍光YLを、励起光ELの入射方向とは反対方向に出射する反射型の波長変換素子である。波長変換素子51Aは、図23に示すように、基板56及び蛍光体層53を有する。なお、波長変換素子51Aも、波長変換素子51の製造方法と同様の製造方法によって製造される。
なお、以降の説明では、蛍光体層53に対する励起光ELの入射方向を+Z方向とし、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。
[基板の構成]
基板56は、蛍光体層53に対して+Z方向に設けられる。基板56は、蛍光体層53を保持する保持部材である他、蛍光体層53から伝達される熱を放熱する放熱部材でもある。基板56は、−Z方向から見て円板状に形成されており、回転部RTによって、励起光ELの入射方向に沿う回転軸Rxを中心として回転される。
基板56は、図23に示すように基板本体561と、基板本体561に設けられる第1層562及び放熱板563と、を備える。また、基板56は、−Z方向の面である第1面56Aと、+Z方向の面である第2面56Bと、を有する。
基板本体561は、例えば銅及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属材料によって、−Z方向から見て略円形状に形成されている。基板本体561は、−Z方向の面である第1面561Aと、+Z方向の面であり、第1面561Aとは反対側の面である第2面561Bと、を有する。
第1面561Aには、第1層562が設けられる。
第2面561Bには、放熱板563を構成する第2放熱板5632が設けられる。
第1層562は、第1面561Aの略全面に設けられている。すなわち、第1層562は、第1面561Aと蛍光体層53との間に設けられている。第1層562は、蛍光体層53から入射される光を、蛍光体層53側に反射する誘電体多層膜によって構成される。
具体的に、第1層562を構成する誘電体多層膜は、蛍光体層53にて波長変換された蛍光YLを励起光ELの入射方向とは反対方向の−Z方向に反射する。同様に、第1層562は、励起光ELを励起光ELの入射方向とは反対方向の−Z方向に反射する。
すなわち、基板56は、蛍光YL及び励起光ELを反射する第1層562によって構成される反射面RSを有する。反射面RSは、基板56の−Z方向の面である第1面56A側に設けられる。反射面RSは、第1層562における蛍光体層53側の面である。すなわち、反射面RSは、第1層562における基板本体561の第1面561Aに対向する面とは反対側の面に設けられる。
なお、第1層562は、第1面561Aの略全面に設けられていなくてもよく、第1面561Aにおいて蛍光体層53と対向する部位にのみ設けられていてもよい。
放熱板563は、放熱板523と同様に、基板本体561及び第1層562を介して蛍光体層53から伝達される熱を放熱する。放熱板563は、第1層562に設けられる第1放熱板5631と、基板本体561の第2面561Bに設けられる第2放熱板5632と、を含む。
第1放熱板5631は、第1放熱板5231と同様に、基板56の−Z方向の面である第1面56Aにおいて蛍光体層53が配置されない中央部に設けられている。また、第1放熱板5631は、第1層562において蛍光体層53が配置されない中央部に設けられている。第1放熱板5631は、回転軸Rxの周囲であって、Z方向において回転部RTに対向する部分に設けられている。
第2放熱板5632は、第2面561Bの略全面に設けられている。
このように、基板56における+Z方向の面である第1面56Aは、第1層562及び第1放熱板5631によって構成される。基板56における−Z方向の面である第2面56Bは、第2放熱板5632によって構成される。
[蛍光体層の構成]
蛍光体層53は、基板56において、第1層562によって構成される第1面56Aに、−Z方向から見て、回転軸Rxを中心とする円環状に設けられている。蛍光体層53は、それぞれ上記した第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55を含む。
第1蛍光体層54は、複数の蛍光体粒子PR及び空隙SP(気孔)を含有する層であり、第1面56Aに配置されている。
第2蛍光体層55は、複数の蛍光体粒子PR、バインダーBN及び空隙SPを有し、バインダーBNによって複数の蛍光体粒子PRが結合された層である。第2蛍光体層55は、第1蛍光体層54に対して基板56とは反対側に設けられる。すなわち、第2蛍光体層55は、第1蛍光体層54を−Z方向にて覆うように設けられる。そして、第2蛍光体層55を構成するバインダーBNは、第1面56Aと結合している。これにより、第2蛍光体層55は、第1層562と第1蛍光体層54との間に空隙ALが設けられた状態にて、基板56の第1面56Aと接合される。
すなわち、波長変換素子51Aは、第1層562を有する基板56と、第1層562に対向して設けられる第1蛍光体層54と、第1蛍光体層54に対して基板56とは反対側に設けられる第2蛍光体層55と、第1層562及び第1蛍光体層54の間に設けられる空隙ALと、を有する。そして、第2蛍光体層55は、第2蛍光体層55に含まれるバインダーBNによって、基板56の第1面56Aに接合されている。
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る波長変換素子51Aを有する光源装置6を備えるプロジェクターによれば、上記した波長変換素子51を有する光源装置4を備えるプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
すなわち、蛍光体粒子PRの表面においてバインダーBNと接合される結合部BPの面積を小さくすることができるので、バインダーBNを伝播する蛍光YLの光量を低下させることができ、波長変換素子51から出射される光の広がりを小さくすることができる。従って、光学系である光学装置30での明るさを高めることができ、上記光学系効率を高めることができる。
また、誘電体多層膜である第1層562に対してブリュースター角で入射される光(励起光EL又は蛍光YL)を減らすことができるので、第1層562を通過して基板本体561にて吸収される光を減じることができる。従って、波長変換素子51Aから出射される蛍光YLの光量を増加させることができるので、光学系である光学装置30での明るさを高めることができ、上記光学系効率を高めることができる。
なお、第1層562は、金属膜によって構成されてもよい。すなわち、第1層562は、アルミニウムを含有する金属膜または銀を含有する金属膜であってもよい。第1層562が金属膜である場合、誘電体多層膜と同様に、蛍光体層53にて波長変換された蛍光YLを励起光ELの入射方向とは反対方向の−Z方向に反射する。また、当該金属膜は、励起光ELを励起光ELの入射方向とは反対方向の−Z方向に反射する。
[実施形態の変形]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記各実施形態では、第1蛍光体層54は、有機溶剤中に蛍光体粒子を分散させ、焼成によって有機溶剤を揮発させた構成を有するとした。しかしながら、これに限らず、第1蛍光体層54は、蛍光体材料、賦活剤及び空隙を含み、かつ、バインダーを含まないセラミックである蛍光体セラミックであってもよい。
この場合、上記波長変換素子51の製造方法において、例えば工程S1〜S3に代えて、第1蛍光体層54を構成し、かつ、予め作成された蛍光体セラミックを基板52の第1層522,562上に配置する配置工程を実施すればよい。
また、第1蛍光体層54は、含有される蛍光体粒子PRを結合するバインダーを含む蛍光体層であってもよい。
この場合、第1蛍光体層54に含まれるバインダーは、第2蛍光体層55に含まれるバインダーと同じ材質及び材料であってもよい。すなわち、第1蛍光体層54は、ガラスを含むバインダーを含有していてもよい。
また、第1蛍光体層54がバインダーを含む場合、第1蛍光体層54の単位体積当たりのバインダーの含有量と、第2蛍光体層55の単位体積当たりのバインダーの含有量とは、同じであってもよく、これらのうち一方が多くてもよい。
すなわち、第1蛍光体層54に対して基板52とは反対側に設けられて、蛍光体層53において外層となる第2蛍光体層55が、蛍光体粒子PRと、ガラスを含有するバインダーとを含み、基板52,56と第1蛍光体層54との間に空隙ALが設けられれば、第1蛍光体層54におけるガラス含有率、及び、第2蛍光体層55におけるガラス含有率は問わない。
上記各実施形態では、第1蛍光体層54は、バインダーBNを含有せず、第2蛍光体層55は、複数の蛍光体粒子PRを結合するバインダーBNを含有し、バインダーBNとしては、ホウケイ酸ガラスが例示されていた。しかしながら、これに限らず、第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55のうち、少なくともいずれかは、透明シリコーンであるバインダーを含んでいてもよい。
第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55が透明シリコーンを含む場合、第1蛍光体層54における透明シリコーンの体積濃度を、第2蛍光体層55における透明シリコーンの体積濃度を小さくすることが考えられる。例えば、第1蛍光体層54における透明シリコーンの体積濃度を略3%とし、第2蛍光体層55における透明シリコーンの体積濃度を略5%とすることが考えられる。この場合、第1蛍光体層54と第1層522,562との接点が少なくなるので、第1蛍光体層54と第1層522,562との間に、部分的に空隙ALを形成できる。
第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55がバインダーを含む場合、第1蛍光体層54及び第2蛍光体層55に含まれるバインダーの材質は異なっていてもよい。
上記各実施形態では、第1蛍光体層54に含まれる蛍光体粒子PRと、第2蛍光体層55に含まれる蛍光体粒子PRとは同じであるとした。しかしながら、これに限らず、第1蛍光体層54に含まれる蛍光体粒子と、第2蛍光体層55に含まれる蛍光体粒子とは、異なる蛍光体粒子であってもよい。
上記各実施形態では、蛍光体粒子PRの表面においてバインダーBNと結合する結合部BPのX軸における寸法は、蛍光体粒子PRの直径の1/4以下であり、結合部BPのY軸における寸法は、蛍光体粒子PRの直径の1/4以下であるとした。しかしながら、これに限らず、蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合が10%以下の値、好ましくは、3%以上、5%以下の値となれば、結合部BPの大きさは上記に限定されない。
また、結合部BPのX軸における寸法とY軸における寸法とが、それぞれ蛍光体粒子PRの直径の1/4以下になれば、蛍光体粒子PRの表面積に対する結合部BPの面積の割合が10%以下の値、好ましくは、3%以上、5%以下の値とならなくてもよい。
更に、X軸及びY軸のうち、一方の軸における結合部BP1,BP2の寸法は、蛍光体粒子PRの直径の1/4を超えていてもよい。
上記各実施形態では、第2蛍光体層55のガラス含有率は、0vol%より大きく、10vol%以下であるとした。すなわち、蛍光体粒子PRの体積の合計とバインダーBNの体積の合計とを合計した体積に対するバインダーBNの体積の割合は、0vol%より大きく、10vol%以下であるとした。しかしながら、これに限らず、当該体積の割合は、光学系効率が十分高いと判断される範囲で、10vol%を超えていてもよい。なお、当該体積の割合は、上記のように、第2蛍光体層55の作製時の値である。
上記第1実施形態では、波長変換素子51の製造方法は、第1調製工程S1、第1塗布工程S2、第1乾燥工程S3、第2調製工程S4、第2塗布工程S5、第2乾燥工程S6、第1焼成工程S7、第2焼成工程S8及び冷却工程S9を含むとした。しかしながら、これに限らず、これら工程S1〜S9のうち、いずれかの工程は無くてもよい。例えば、第1乾燥工程S3又は第2乾燥工程S6は無くてもよい。
更に、波長変換素子51,51Aは、上記した構成を備えていれば、上記製造方法によって製造されたものでなくてもよい。
上記各実施形態では、第2焼成工程S8におけるガラスの粘度は、10dPa・s以下の値であるとした。換言すると、ガラスの粘度が10dPa・s以下の値となるように、焼成温度を、ガラスの軟化点より100℃以上高くするとした。しかしながら、これに限らず、ガラスの粘度が10dPa・s以下の値となれば、焼成温度は、バインダーBNとなるガラスの軟化点より100℃以上でなくてもよい。一方、焼成温度が、ガラスの軟化点より100℃以上であれば、バインダーBNとなるガラスの粘度が、第2焼成工程S8において10dPa・s以下とならなくてもよい。すなわち、第2焼成工程S8にて、焼成温度がガラスの軟化点より100℃以上であることと、ガラスの粘度が10dPa・s以下であることとの少なくともいずれかが満たされればよい。
上記各実施形態では、波長変換素子51,51Aは、回転部RTによって回転される構成であるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換素子は、回転されない構成としてもよい。換言すると、波長変換装置は、波長変換素子を回転させる回転部RTを備えていなくてもよい。この場合、蛍光体層53は、励起光の入射側から見て環状に形成されていなくてもよく、例えば、円形状、或いは、多角形状に形成されていてもよい。また、蛍光体層53の形状は、回転される場合でも回転されない場合でも、励起光の入射側から見て円形状又は多角形状であってもよい。
上記各実施形態では、プロジェクターは、3つの光変調装置343(343B,343G,343R)を備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
上記各実施形態では、プロジェクターは、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルを有する光変調装置343を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光変調装置は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを有する構成としてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
上記各実施形態では、光源装置4,6をプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、本発明に係る光源装置は、例えば照明器具及び自動車等のヘッドライト等に採用してもよい。また、本発明に係る光源装置は、光源装置4,6の構成に限らず、波長変換素子と、波長変換素子に入射される光を出射する光源とを備える構成であれば、光源装置を構成する他の部品は、適宜変更可能である。本発明に係るプロジェクターも同様である。
1…プロジェクター、343(343B,343G,343R)…光変調装置、36…投射光学装置、4,6…光源装置、41,611…光源、51,51A…波長変換素子、52,56…基板、52A,56A…第1面、52B,56B…第2面、521,561…基板本体、521A,561A…第1面、521B,561B…第2面、522,562…第1層、523,563…放熱板、5231,5631…第1放熱板、5232,5632…第2放熱板、5233…通過部、53…蛍光体層、54…第1蛍光体層、55…第2蛍光体層、AL…空隙、BN…バインダー、EL…励起光、PR…蛍光体粒子、Rx…回転軸、S5…第2調製工程(調製工程)、S6…第2塗布工程(塗布工程)、S7…第1焼成工程(焼成工程)、S8…第2焼成工程(焼成工程)、SP…空隙、YL…蛍光。

Claims (10)

  1. 第1層を有する基板と、
    前記第1層側に設けられる第1蛍光体層と、
    前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を有し、
    前記第1層と前記第1蛍光体層との間には、空隙が設けられ、
    前記第1層は、前記第1蛍光体層又は前記第2蛍光体層が出射する蛍光を反射し、
    前記第2蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、前記複数の蛍光体粒子のうち互いに隣り合う一方の蛍光体粒子と他方の蛍光体粒子とを結合するバインダーと、を有し、
    前記バインダーは、ガラスを含有し、
    前記バインダーは、前記一方の蛍光体粒子の表面の一部と前記他方の蛍光体粒子の表面の一部とを結合することを特徴とする波長変換素子。
  2. 請求項1に記載の波長変換素子において、
    前記第2蛍光体層における前記複数の蛍光体粒子の体積の合計と前記バインダーの体積の合計とを合計した体積に対する前記バインダーの体積の割合は、0vol%より大きく、10vol%以下であることを特徴とする波長変換素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の波長変換素子において、
    前記第2蛍光体層は、前記基板と接合されていることを特徴とする波長変換素子。
  4. 請求項3に記載の波長変換素子において、
    前記第2蛍光体層は、前記バインダーによって前記基板と接合されていることを特徴とする波長変換素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の波長変換素子と、
    前記波長変換素子に励起光を出射する光源と、を備えることを特徴とする光源装置。
  6. 基板と、前記基板に対向して設けられる第1蛍光体層と、前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を備える波長変換素子の製造方法であって、
    蛍光体粒子とガラスを含有するバインダーとを混合し、前記第2蛍光体層を構成する混合物を調製する調製工程と、
    前記基板に設けられた前記第1蛍光体層に対する前記基板とは反対側に、前記混合物を塗布する塗布工程と、
    前記混合物が塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含み、
    前記焼成工程における焼成温度は、前記ガラスの軟化点より100℃以上高いことを特徴とする波長変換素子の製造方法。
  7. 基板と、前記基板に対向して設けられる第1蛍光体層と、前記第1蛍光体層に対して前記基板とは反対側に設けられる第2蛍光体層と、を備える波長変換素子の製造方法であって、
    蛍光体粒子とガラスを含有するバインダーとを混合し、前記第2蛍光体層を構成する混合物を調製する調製工程と、
    前記基板に設けられた前記第1蛍光体層に対する前記基板とは反対側に、前記混合物を塗布する塗布工程と、
    前記混合物が塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含み、
    前記焼成工程における前記ガラスの粘度は、10dPa・s以下であることを特徴とする波長変換素子の製造方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の波長変換素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする波長変換素子。
  9. 請求項8に記載の波長変換素子と、
    前記波長変換素子に励起光を出射する光源と、を備えることを特徴とする光源装置。
  10. 請求項5又は請求項9に記載の光源装置と、
    前記光源装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
    前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
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