JP2020112757A - 光源装置及びプロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】波長変換効率が高く、蛍光の出射面積を小さくできる光源装置及びプロジェクターを提供する。【解決手段】光源装置は、励起光を出射する光源と、入射される励起光を、励起光の波長とは異なる波長を有する蛍光に変換する波長変換層51と、を有し、波長変換層51は、蛍光体粒子、賦活剤及び散乱要素を含み、波長変換層51は、第1領域T1及び第2領域T2を有し、第1領域T1における賦活剤の濃度は、第2領域T2における賦活剤の濃度より大きく、第1領域T1における散乱要素の密度は、第2領域T2における散乱要素の密度より高い。【選択図】図6

Description

本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
従来、プロジェクターに採用される光源装置として、レーザー光からなる青色光を励起光として出射する光源と、入射される励起光の一部を吸収して、青色光とは波長が異なる黄色光を含む光に変換する波長変換素子を備える光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の波長変換素子は、基板と、基板の周方向に沿って設けられた波長変換部と、を有する。波長変換部は、蛍光体層、ダイクロイック膜及び反射防止膜を有する。ダイクロイック膜は、蛍光体層において基板と対向する第1の面に設けられている。第1の面は、励起光が入射する面である。反射防止膜は、蛍光体層において第1の面とは反対の面である第2の面に設けられている。第2の面は、蛍光が出射される面である。
蛍光体層は、セラミックス材料の複数の結晶子が焼結した焼結体である。蛍光体層は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有する。第1の領域は、基板において円環状に設けられ、第2の領域は、第1の領域の内周側に設けられ、第3の領域は、第1の領域の外周側に設けられている。
第1の領域は、少なくとも蛍光材料を含む。このような蛍光材料として、賦活剤であるCeが添加されたCe:YAGからなるセラミックス材料が採用されている。
第2の領域の形成材料、及び、第3の領域の形成材料は、第1の領域と同様の形成材料を採用できる。第2の領域及び第3の領域は、蛍光体層の内部を進行する光を散乱させる気孔を含み、第2の領域における気孔密度、及び、第3の領域における気孔密度は、第1の領域における気孔密度よりも高い。
ここで、第1〜第3の領域を有さない蛍光体層を比較例の蛍光体層とする場合、比較例の蛍光体層に励起光が入射されると、励起光が照射された領域において蛍光が生成される。蛍光は、蛍光体層の発光点から等方的に出射される。蛍光は、複数の気孔によって散乱されながら進行し、蛍光体層の外部に出射される。なお、蛍光材料に吸収されなかった励起光は、複数の気孔によって散乱されながら蛍光体層を通過する。
これに対し、第1〜第3の領域を有する蛍光体層では、第1の領域の内側に入射領域が収まるように励起光が入射される。第2の領域における気孔密度及び第3の領域における気孔密度は第1の領域における気孔密度より高いため、第1の領域にて生じた蛍光は、第2の領域及び第3の領域では面内方向に伝播し難い。この結果、比較例の蛍光体層よりも蛍光の出射領域が小さくなる。
特開2017−111170号公報
上記特許文献1に記載の蛍光体層のように、内部に含まれる散乱要素の密度が低いと、蛍光体層内を光が伝播しやすくなって、蛍光の出射面積が大きくなる一方、散乱要素の密度が高いと、蛍光体層内を光が伝搬しにくくなって、蛍光の出射面積は小さくなる。
一方、本件発明者は、低い密度の励起光が入射される場合には、蛍光体層に含まれる賦活剤の濃度は大きい方が波長変換効率は高くなるが、高い密度の励起光が入射される場合には、賦活剤の濃度は小さい方が波長変換効率は高くなることを見出した。
しかしながら、賦活剤の濃度が小さいと、蛍光体層に入射された励起光が蛍光に変換されずに、蛍光体層にとっての励起光の入射側に出射される後方散乱(バックスキャッタ)が生じやすくなるという問題がある。
これらのことから、波長変換効率が高く、蛍光の出射面積を小さくできる光源装置及びプロジェクターが要望されてきた。
本発明の第1態様に係る光源装置は、励起光を出射する光源と、入射される前記励起光を、前記励起光の波長とは異なる波長を有する蛍光に変換する波長変換層と、を有し、前記波長変換層は、蛍光体粒子、賦活剤及び散乱要素を含み、前記波長変換層は、第1領域及び第2領域を有し、前記第1領域における前記賦活剤の濃度は、前記第2領域における前記賦活剤の濃度より大きく、前記第1領域における前記散乱要素の密度は、前記第2領域における前記散乱要素の密度より高いことを特徴とする。
上記第1態様では、前記波長変換層は、前記散乱要素として気孔を含むセラミックにより構成され、前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記気孔の体積比率であることが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層は、前記蛍光体粒子及び前記賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記蛍光体粒子の体積比率であることが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層は、前記蛍光体粒子及び前記賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、前記波長変換層は、前記散乱要素として気孔及び前記蛍光体粒子を含み、前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記気孔の体積比率と、単位体積当たりの前記蛍光体粒子の体積比率との和によって規定されることが好ましい。
上記第1態様では、前記第2領域は、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央に位置し、前記第1領域は、前記入射領域において前記第2領域を挟む位置に配置されていることが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記入射領域の中央から外側に向かって低くなることが好ましい。
上記第1態様では、前記第1領域は、前記波長変換層に入射される前記励起光の入射領域において前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向に直交する1つの軸における一方に位置し、前記第2領域は、前記入射領域において前記1つの軸における他方に位置することが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記入射領域において前記他方に向かって高くなることが好ましい。
上記第1態様では、前記波長変換層への前記励起光の入射方向に沿う回転軸を中心として前記波長変換層を回転させる回転部を備えることが好ましい。
本発明の第2態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。 第1実施形態における光源装置の構成を示す模式図。 第1実施形態における波長変換素子を励起光の入射側から見た平面図。 第1実施形態における波長変換素子の断面の一部を模式的に示す図。 第1実施形態における賦活剤濃度及び気孔の体積比率の違いに応じた励起光密度と波長変換効率との関係を示す図。 第1実施形態における波長変換層における賦活剤の濃度分布及び気孔の体積比率の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第1実施形態における励起光の密度分布の一例を示す図。 第1実施形態における励起光の密度分布の他の一例を示す図。 第2実施形態における賦活剤の濃度分布及び気孔の体積比率の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第2実施形態における波長変換層に入射される励起光の密度分布の一例を示す図。 第3実施形態における賦活剤の濃度分布及び蛍光体粒子の体積比率の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第4実施形態における賦活剤の濃度分布及び蛍光体粒子の体積比率の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第5実施形態における賦活剤の濃度分布及び散乱要素の密度の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第6実施形態における賦活剤の濃度分布及び散乱要素の密度の分布と、第1領域及び第2領域の配置とを示す図。 第7実施形態における光源装置の構成を示すブロック図。 第7実施形態における第1光源装置の構成を示す模式図。 第7実施形態における波長変換素子の断面の一部を模式的に示す図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、後述する光源装置4から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成する画像光を、スクリーン等の被投射面上に拡大投射する画像表示装置である。プロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、外装筐体2内に配置される画像投射装置3と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、電子部品に電力を供給する電源装置、及び、冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、それぞれ図示しない天面部及び底面部と、正面部21、背面部22、左側面部23及び右側面部24を有し、略直方体形状に形成されている。
正面部21は、後述する投射光学装置36の一部を露出させる開口部211を有しており、投射光学装置36によって投射される画像光は、開口部211を通過する。また、正面部21は、プロジェクター1内の冷却対象を冷却した冷却気体が外装筐体2の外部に排出される排気口212を有する。
右側面部24は、外装筐体2外の気体を冷却気体として内部に導入する導入口241を有する。
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、上記画像光を形成及び投射する。画像投射装置3は、光源装置4、均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33、画像形成装置34、光学部品用筐体35及び投射光学装置36を備える。
なお、光源装置4の構成については、後に詳述する。
均一化装置31は、光源装置4から出射された光を均一化する。均一化装置31によって均一化された光は、色分離装置32及びリレー装置33を経て、画像形成装置34の後述する光変調装置343の変調領域を照明する。均一化装置31は、2つのレンズアレイ311,312、偏光変換素子313及び重畳レンズ314を備える。
色分離装置32は、均一化装置31から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離装置32は、2つのダイクロイックミラー321,322と、ダイクロイックミラー321によって分離された青色光を反射させる反射ミラー323と、を備える。
リレー装置33は、青色光の光路及び緑色光の光路より長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー装置33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333、反射ミラー332,334を備える。
なお、本実施形態では、赤色光の光路にリレー装置33を設けているが、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー装置33を設ける構成としてもよい。
画像形成装置34は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、投射光学装置36によって投射される画像光を形成する。画像形成装置34は、入射される各色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ341、3つの入射側偏光板342、3つの光変調装置343、3つの視野角補償板344及び3つの出射側偏光板345と、1つの色合成装置346と、を備える。
光変調装置343は、光源装置4から出射された光を画像情報に応じて変調する。光変調装置343は、赤色光を変調する光変調装置343R、緑色光を変調する光変調装置343G、及び、青色光を変調する光変調装置343Bを含む。本実施形態では、光変調装置343は、透過型の液晶パネルによって構成されており、入射側偏光板342、光変調装置343及び出射側偏光板345によって液晶ライトバルブが構成される。
色合成装置346は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された各色光を合成して上記画像光を形成する。本実施形態では、色合成装置346は、クロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、これに限らず、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
光学部品用筐体35は、それぞれ上記した均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体35は、照明光軸Axにおける所定位置に均一化装置31、色分離装置32、リレー装置33及び画像形成装置34を保持する。光源装置4及び投射光学装置36は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
投射光学装置36は、画像形成装置34から入射される画像光を被投射面上に拡大投射する。すなわち、投射光学装置36は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された光を投射する。投射光学装置36は、例えば筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
[光源装置の構成]
図2は、光源装置4の構成を示す模式図である。
光源装置4は、光変調装置343を照明する照明光LTを均一化装置31に出射する。光源装置4は、図2に示すように、光源用筐体CAと、光源用筐体CA内にそれぞれ収容される光源部41、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、偏光分離素子44、第1集光素子45、第1位相差素子46、第2集光素子47、拡散反射装置48、第2位相差素子49及び波長変換装置5と、を備える。
光源用筐体CAは、塵埃等が内部に侵入しづらい密閉筐体である。
光源部41、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、偏光分離素子44と、第1位相差素子46、第2集光素子47及び拡散反射装置48は、光源装置4に設定された照明光軸Ax1上に配置されている。
波長変換装置5、第1集光素子45、偏光分離素子44及び第2位相差素子49は、光源装置4に設定され、かつ、照明光軸Ax1に直交する照明光軸Ax2上に配置されている。
[光源部の構成]
光源部41は、光を出射する光源411及びコリメーターレンズ415を備える。
光源411は、それぞれ発光素子としての複数の第1固体光源412及び複数の第2固体光源413と、支持部材414と、を備える。
第1固体光源412は、励起光であるs偏光の青色光L1sを出射する半導体レーザーである。青色光L1sは、例えば、ピーク波長が440nmのレーザー光である。第1固体光源412から出射された青色光L1sは、波長変換装置5に入射される。
第2固体光源413は、p偏光の青色光L2pを出射する半導体レーザーである。青色光L2pは、例えば、ピーク波長が460nmのレーザー光である。第2固体光源413から出射された青色光L2pは、拡散反射装置48に入射される。
支持部材414は、照明光軸Ax1に直交する平面にそれぞれアレイ状に配置された複数の第1固体光源412及び複数の第2固体光源413を支持する。支持部材414は、熱伝導性を有する金属製部材である。
第1固体光源412から出射された青色光L1s及び第2固体光源413から出射された青色光L2pは、コリメーターレンズ415によって平行光束に変換され、アフォーカル光学素子42に入射される。
なお、本実施形態では、光源411は、s偏光の青色光L1sと、p偏光の青色光L2pとを出射する構成である。しかしながら、これに限らず、光源411は、偏光方向が同じ直線偏光光である青色光を出射する構成としてもよい。この場合、入射された1種類の直線偏光をs偏光及びp偏光が含まれる光とする位相差素子を、光源部41と偏光分離素子44との間に配置すればよい。
[アフォーカル光学素子及びホモジナイザー光学素子の構成]
アフォーカル光学素子42は、光源部41から入射される青色光L1s,L2pの光束径を調整して、ホモジナイザー光学素子43に入射させる。アフォーカル光学素子42は、入射される光を集光するレンズ421と、レンズ421によって集光された光束を平行化するレンズ422とにより構成されている。
ホモジナイザー光学素子43は、青色光L1s,L2pの照度分布を均一化する。ホモジナイザー光学素子43は、一対のマルチレンズアレイ431,432により構成されている。
[偏光分離素子の構成]
ホモジナイザー光学素子43を通過した青色光L1s,L2pは、偏光分離素子44に入射する。
偏光分離素子44は、プリズム型の偏光ビームスプリッターであり、入射される光に含まれるs偏光成分とp偏光成分とを分離する。具体的に、偏光分離素子44は、s偏光成分を反射させ、p偏光成分を透過させる。また、偏光分離素子44は、s偏光成分及びp偏光成分のいずれの偏光成分であっても、所定波長以上の光を透過させる色分離特性を有する。従って、s偏光の青色光L1sは、偏光分離素子44にて反射され、第1集光素子45に入射する。一方、p偏光の青色光L2pは、偏光分離素子44を透過して、第1位相差素子46に入射する。
[第1集光素子の構成]
第1集光素子45は、偏光分離素子44にて反射された青色光L1sを波長変換装置5に集光する。また、第1集光素子45は、波長変換装置5から入射される蛍光YLを平行化する。図2の例では、第1集光素子45は、2つのレンズ451,452によって構成されているが、第1集光素子45を構成するレンズの数は問わない。
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5は、光が入射されることによって励起され、入射された光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を第1集光素子45に出射する。換言すると、波長変換装置5は、入射された光の波長を変換する。
本実施形態では、波長変換装置5は、励起光である青色光L1sの入射に応じて、青色光L1sの波長より長い波長を有する蛍光YLを出射する波長変換素子51と、所定の回転軸である照明光軸Ax2と平行な回転軸を中心として波長変換素子51を回転させる回転部RTとを備える。なお、波長変換素子51の回転軸Rxは、励起光である青色光L1sの入射方向に沿う回転軸である。
これらのうち、波長変換素子51は、青色光L1sの入射側に蛍光YLを出射する反射型の波長変換素子である。なお、蛍光YLは、例えばピーク波長が500〜700nmの光である。
このような波長変換素子51の構成については、後に詳述する。
波長変換装置5から出射された蛍光YLは、照明光軸Ax2に沿って第1集光素子45を通過した後、偏光分離素子44に入射される。そして、蛍光YLは、偏光分離素子44を照明光軸Ax2に沿って通過し、第2位相差素子49に入射する。
[第1位相差素子及び第2集光素子の構成]
第1位相差素子46は、偏光分離素子44と第2集光素子47との間に配置されている。第1位相差素子46は、偏光分離素子44を通過した青色光L2pを円偏光の青色光L2cに変換する。青色光L2cは、第2集光素子47に入射される。
第2集光素子47は、第1位相差素子46から入射される青色光L2cを拡散反射装置48に集光する。また、第2集光素子47は、拡散反射装置48から入射される青色光L2cを平行化する。なお、第2集光素子47を構成するレンズの数は、適宜変更可能である。
[拡散反射装置の構成]
拡散反射装置48は、波長変換装置5から出射される蛍光YLと同様の拡散角で、入射された青色光L2cを拡散反射させる。拡散反射装置48の構成として、入射された青色光L2cをランバート反射させる反射板と、反射板を照明光軸Ax1と平行な回転軸を中心として回転させる回転装置とを備える構成を例示できる。
拡散反射装置48にて拡散反射された青色光L2cは、第2集光素子47を通過した後、第1位相差素子46に入射される。青色光L2cは、拡散反射装置48にて反射される際に、回転方向が反対方向の円偏光に変換される。このため、第2集光素子47を介して第1位相差素子46に入射された青色光L2cは、偏光分離素子44から第1位相差素子46に入射された際のp偏光の青色光L2cではなく、s偏光の青色光L2sに変換される。そして、青色光L2sは、偏光分離素子44にて反射されて、第2位相差素子49に入射される。すなわち、偏光分離素子44から第2位相差素子49に入射される光は、青色光L2s及び蛍光YLが混在した白色光である。
[第2位相差素子の構成]
第2位相差素子49は、偏光分離素子44から入射される白色光をs偏光及びp偏光が混在する光に変換する。このように変換された白色の照明光LTは、上記した均一化装置31に入射される。
[波長変換素子の構成]
図3は、波長変換素子51を励起光の入射側から見た平面図である。図4は、波長変換素子51の断面の一部を模式的に示す図である。
波長変換素子51は、図3及び図4に示すように、基板M1と、基板M1に保持される波長変換層W1と、を有する。
なお、以降の説明及び図においては、波長変換層W1に入射される青色光L1sを励起光と記載する。また、波長変換層W1に対する励起光の入射方向を+Z方向とし、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。また、図3に示すように、励起光の入射側から波長変換素子51を見て、波長変換素子51の回転軸Rxを中心とする半径方向を+R方向とし、+R方向とは反対方向を−R方向として図示している。すなわち、+R方向は、回転軸Rxから波長変換素子51の外縁に向かう方向であり、−R方向は、波長変換素子51の外縁から回転軸Rxに向かう方向である。
[基板の構成]
基板M1は、図3に示すように、−Z方向から見て円板状に形成されている。基板M1は、波長変換層W1を保持する保持部材である他、波長変換層W1から伝達される熱を放熱する放熱部材でもある。基板M1は、図3及び図4に示すように、−Z方向の面である第1面M11と、+Z方向の面であり、第1面M11とは反対側の面である第2面M12と、を有する。
このような基板M1は、基板本体M1Aと、基板本体M1Aに設けられた反射層M1Bと、を備えて構成されている。
基板本体M1Aは、例えば銅及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属材料によって形成された円板状の基板である。
反射層M1Bは、基板本体M1Aにおける−Z方向の面の略全面に設けられている。反射層M1Bにおける−Z方向の面は、基板M1において波長変換層W1から入射される蛍光を−Z方向に反射させる反射面RSを構成する。すなわち、基板M1は、第1面M11を構成する反射面RSを有する。このような反射層M1Bは、例えばアルミニウムや銀等の金属成膜によって基板本体M1Aに形成できる。
なお、基板本体M1Aにおける−Z方向の面が蛍光を反射させる反射特性を有する場合には、反射層M1Bは、無くてもよい。この場合、基板本体M1Aにおける−Z方向の面が第1面M11となる。また、第1面M11に、入射される光を反射させる誘電体多層膜が設けられていてもよい。
[波長変換層の構成]
波長変換層W1は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成して出射する。波長変換層W1は、図3に示すように、−Z方向から見て、波長変換素子51の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。
波長変換層W1は、図4に示すように、−Z方向の面である第1面W11と、+Z方向の面であって、第1面W11とは反対側の面である第2面W12と、を有する。第1面W11は、励起光ELが入射される入射面であり、蛍光が出射される出射面でもある。また、第2面W12は、基板M1と対向する対向面である。
第1面W11に励起光ELが入射されると、波長変換層W1内の蛍光体粒子及び賦活剤によって、波長変換層W1の内部にて蛍光が拡散出射される。
出射された蛍光のうち、波長変換層W1の内部を+Z方向に進行する蛍光は、第2面W12を介して反射面RSに入射され、反射面RSにて反射されて、波長変換層W1内を−Z方向に進行する。
一方、波長変換層W1の内部を−Z方向に進行する蛍光は、第1面W11から−Z方向に出射される。このように波長変換素子51は、励起光ELの入射側に蛍光を出射する反射型の波長変換素子である。
上記のように、波長変換層W1は、波長変換素子51の回転軸Rxを中心とする円環状に設けられている。波長変換素子51は、励起光ELが第1面W11における一部に入射されるように配置された状態で、回転軸Rxを中心として回転されることによって、波長変換層W1における励起光の入射領域は変位する。これにより、波長変換層W1の温度が局所的に高くなることを抑制でき、熱によって波長変換層W1の波長変換効率が低下することが抑制される。
波長変換層W1は、励起光が入射されることによって励起され、励起光の波長を変換した蛍光を拡散出射する蛍光体を含むセラミックにより構成されている。
すなわち、波長変換層W1は、蛍光体粒子を含むセラミックである蛍光体セラミックによって構成されている。蛍光体セラミックとしては、例えばガーネット構造を主として有するセラミックが挙げられる。ガーネット構造を有するセラミックとしては、YAl12、TbAl12及びLuAl12の少なくとも1つを含む組成を例示できる。なお、波長変換層W1は、ガーネット構造を有するセラミックの他に、プロブスカイト構造又はモノリシック構造を有するセラミックが含まれていてもよい。
そして、波長変換層W1における蛍光体粒子の濃度は、略均一である。すなわち、波長変換層W1において、蛍光体は略均一に分布している。
また、波長変換層W1は、発光中心となる不純物である賦活剤を含む。賦活剤としては、Ce、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaを例示できる。更に、波長変換層W1は、散乱要素としての気孔を含む。
波長変換層W1における賦活剤の濃度及び散乱要素の密度は、それぞれ、波長変換層W1の部位によって異なっている。すなわち、波長変換層W1は、賦活剤の濃度及び散乱要素の密度がそれぞれ異なる複数の領域を有する。具体的に、波長変換層W1は、図3及び図4に示すように、第1領域T1(T11,T12)及び第2領域T2を有する。
第1領域T1は、賦活剤の濃度が大きく、散乱要素の密度が高い領域である。本実施形態に係る波長変換素子51では、第1領域T1は、円環状の波長変換層W1における外縁側の部位及び内縁側の部位に設けられている。これらのうち、外縁側である+R方向の部位に位置する円環状の第1領域T1を第1領域T11とし、内縁側である−R方向の部位に位置する円環状の第1領域T1を第1領域T12として示す。
第2領域T2は、賦活剤の濃度が小さく、散乱要素の密度が低い領域である。すなわち、第2領域T2における賦活剤の濃度は、第1領域T1における賦活剤の濃度より小さく、第2領域T2における散乱要素の密度は、第1領域T1における散乱要素の密度より低い。換言すると、第1領域T1における賦活剤の濃度は、第2領域T2における賦活剤の濃度より大きく、第1領域T1における散乱要素の密度は、第2領域T2における散乱要素の密度より高い。本実施形態に係る波長変換素子51では、第2領域T2は、+R方向において2つの第1領域T11,T12に挟まれるように、波長変換層W1における+R方向の中央に、円環状に設けられている。
なお、本実施形態において、散乱要素は気孔である。また、詳しくは後述するが、気孔の大きさは均一でないことから、散乱要素の密度は、第1領域又は第2領域における単位体積当たりの気孔の体積比率によって表される。以下の説明では、単位体積当たりの気孔の体積比率を気孔率と言う。
[第1領域及び第2領域の配置]
波長変換層W1における第1領域T1及び第2領域T2の配置は、以下の理由によって設定されている。
上記のように、波長変換層に含まれる気孔等の散乱要素の密度が高いと、波長変換層内を光が伝播しにくくなり、波長変換層における蛍光の出射面積が小さくなる。しかしながら、散乱要素の密度が高い領域に高い密度の励起光が入射されると、蛍光に変換される前の励起光が、散乱要素によって散乱されやすくなることから、励起光が波長変換層に対する励起光の入射側に出射される後方散乱(バックスキャッタ)が生じやすくなる。この場合、入射された励起光が蛍光に変換されないことから、波長変換層全体における励起光の波長変換効率が低下する。
一方、波長変換層における散乱要素の密度が低いと、散乱要素による励起光の散乱が生じにくくなるため、後方散乱は生じにくくなって、波長変換効率が高められる。しかしながら、散乱要素の密度が低いと、散乱要素の密度が高い場合とは逆に、波長変換層内を光が伝播しやすくなることから、波長変換層における蛍光の出射面積が大きくなる。
本件発明者は、蛍光体及び気孔の体積比率が同じで、賦活剤濃度が異なる2つの波長変換層を比較した場合、入射される励起光の密度が所定値以上であるときの波長変換効率は、賦活剤濃度が小さい方が高くなり、励起光の密度が所定値未満であるときの波長変換効率は、賦活剤濃度が大きい方が高くなることを見出した。
図5は、賦活剤濃度及び気孔率の違いに応じた励起光密度と波長変換効率との関係を示す図である。詳述すると、図5は、波長変換層において賦活剤であるCeの濃度及び散乱要素である気孔の体積比率毎に、波長変換層に入射される励起光の密度と、励起光から蛍光への波長変換効率との関係を示す図である。
例えば図5に示すように、気孔率が3vol%であり、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層と、気孔率が3vol%であり、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層とを比較した場合には、以下のようになる。
各波長変換層に入射される励起光の密度が密度α(略130w/m)以上である場合、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層による波長変換効率は、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層による波長変換効率より高い。一方、波長変換層に入射される励起光の密度が密度α未満である場合、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層による波長変換効率は、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層による波長変換効率より高い。
また例えば、気孔率が1vol%であり、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層と、気孔率が1vol%であり、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層とを比較した場合には、以下のようになる。
各波長変換層に入射される励起光の密度が密度β(略68w/m)以上である場合、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層による波長変換効率は、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層による波長変換効率より高い。一方、波長変換層に入射される励起光の密度が密度β未満である場合、賦活剤濃度が1.0mol%である波長変換層による波長変換効率は、賦活剤濃度が0.5mol%である波長変換層による波長変換効率より高い。
更に、本件発明者は、蛍光体濃度及び賦活剤濃度のそれぞれが同じで、気孔率が異なる2つの波長変換層を比較した場合、気孔率が低い波長変換層の波長変換効率は、気孔率が高い波長変換層の波長変換効率より高くなることを見出した。
例えば図5に示すように、賦活剤濃度が1.0mol%であり、気孔率が3.0vol%である波長変換層と、賦活剤濃度1.0mol%であり、気孔率が1.0vol%である波長変換層とを比較した場合、気孔率が1.0vol%である波長変換層による波長変換効率は、気孔率が3.0vol%である波長変換層による波長変換効率より高い。
また、賦活剤濃度が0.5mol%であり、気孔率が3.0vol%である波長変換層と、賦活剤濃度0.5mol%であり、気孔率が1.0vol%である波長変換層とを比較した場合、気孔率が1.0vol%である波長変換層による波長変換効率は、気孔率が3.0vol%である波長変換層による波長変換効率より高い。
図6は、波長変換層W1における賦活剤濃度分布及び気孔率分布と、第1領域T1及び第2領域T2の配置とを示す図である。詳述すると、図6における上段には、波長変換層W1における賦活剤の濃度分布が示されており、図6における中段には、波長変換層W1における気孔率分布が示されており、図6における下段には、波長変換層W1における第1領域T1(T11,T12)及び第2領域T2の配置が示されている。
上記した特性から、波長変換素子51では、図6に示すように、蛍光の出射面積の拡大を抑制するために、波長変換層W1における外縁側である+R方向の部位に、第1領域T11が配置され、内縁側である−R方向の部位に、第1領域T12が配置される。
また、波長変換素子51では、波長変換層W1における波長変換効率を高めるために、波長変換層W1における+R方向の中央に、賦活剤濃度が小さく、気孔率が低い第2領域T2が配置される。
これにより、蛍光の出射面積を小さくしつつ、波長変換効率を高めた波長変換層W1を構成できる。
[波長変換層に入射される励起光の密度分布]
図7は、波長変換層W1に入射される励起光の密度分布の一例を示す図である。なお、図7の上段には、励起光の密度分布が示され、図7の下段には、入射領域N1に対応した第1領域T1及び第2領域T2の配置が示されている。
波長変換層W1における励起光の入射領域N1、及び、励起光の密度分布は、以下のように設定されていることが好ましい。
例えば図7に示すように、励起光の入射領域N1は、波長変換層W1において第1領域T11の少なくとも一部から、第1領域T12の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。すなわち、励起光は、第1領域T11の少なくとも一部と、第2領域T2と、第1領域T12の少なくとも一部に入射されることが好ましい。
なお、図7に示される例では、図7における上段に示されるように、励起光の密度は、上記した密度β以上の値で均一である。
図8は、波長変換層W1に入射される励起光の密度分布の他の一例を示す図である。なお、図8の上段には、励起光の密度分布が示され、図8の下段には、入射領域N1に対応した第1領域T1及び第2領域T2の配置が示されている。
また例えば、図8に示すように、励起光の入射領域N1は、波長変換層W1において第1領域T11の少なくとも一部から第1領域T12の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。
図8に示される例では、励起光の密度は、入射領域N1の+R方向における中心Cからそれぞれ外側である外縁側及び内縁側に向かって連続して低くなる。詳述すると、励起光の密度は、入射領域N1の中心Cから+R方向に向かって連続して低下するとともに、中心Cから−R方向に向かって連続して低下する。
そして、第1領域T11と第2領域T2との境界部、及び、第2領域T2と第1領域T12との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる位置に設定される。すなわち、第1領域T11,T12は、入射される励起光の密度が密度β未満となる領域に応じて配置される。また、第2領域T2は、入射される励起光の密度が密度β以上となる領域に応じて配置される。
なお、図8の例では、励起光の密度は、入射領域N1の中心Cから+R方向及び−R方向に向かって上に凸となる凸曲線状に連続して低下している。しかしながら、これに限らず、励起光の密度は、下に凸となる凸曲線状に連続して低下してもよく、直線状に連続して低下してもよい。
[波長変換層の製造方法]
波長変換層W1の製造方法としては、例えば、それぞれ別に形成された第1領域T1及び第2領域T2を接着剤等により接合して製造する方法が挙げられる。
この際、第1領域T11,T12を焼成する際の温度と、第2領域T2を焼成する際の温度とを異ならせることによって、第1領域T11,T12における気孔率と、第2領域T2における気孔率とを異ならせることができる。
また、波長変換層W1の製造方法としては、第1領域T1の構成物及び第2領域T2の構成物を焼結前に造形し、各構成物を同時に焼結させて製造する方法が挙げられる。
当該製造方法では、まず、Y粉末、Al粉末及びCeO粉末からなる原料粉末をエタノールと混合してスラリーを調製する。この際、Si原子を含む焼結助剤を原料粉末に添加してもよい。
次に、スラリーからエタノールを除去して原料粉末を乾燥させた後、乾燥された原料粉末をふるいにかけることによって、粗粒を取り除く。
この後、粗粒が取り除かれた原料粉末の混合物を所望の形状に押し固めて成形する。
この際、例えば冷間等方圧加工法(Cold Isostatic Pressing、CIP)を用いて、金属製の芯材の周囲に、第1領域T12の原料粉末である第1混合物を押し固める。
次いで、第1混合物の周囲に、第2領域T2の原料粉末である第2混合物を、CIP法を用いて押し固める。なお、上記のように、第2領域T2における賦活剤濃度は、第1領域T1における賦活剤濃度より小さいので、第2混合物における賦活剤濃度は、第1混合物における賦活剤濃度より小さい。
更に、第2混合物の周囲に、第1領域T11の原料粉末である第1混合物を、CIP法を用いて押し固める。
この後、芯材を抜き取ることによって得られる筒状の混合物を焼成することにより、筒状の焼結体が得られる。得られた焼結体を切断した後、断面を研磨することによって、円環状の波長変換層W1が得られる。
このような波長変換層W1の製造工程において、各混合物を押し固める際に加える圧力の違いによって、第1領域T11,T12及び第2領域T2のそれぞれにおける気孔密度、ひいては、気孔率を調整できる。例えば、第2混合物を押し固める際の圧力を、第1混合物を押し固める際の圧力よりも高く設定することによって、第2領域T2における気孔率を、第1領域T1における気孔率よりも低くすることができる。
また、各混合物の平均粒子径の違いによって、第1領域T1及び第2領域T2のそれぞれにおける気孔率を調整できる。例えば、第2混合物を構成する粉体の平均粒子径を、第1混合物を構成する粉体の平均粒子径よりも小さく設定することによって、第2領域T2における気孔率を、第1領域T1における気孔率よりも低くすることができる。
更に、各混合物の成形圧力と各混合物の平均粒子径とを組み合わせてもよい。
例えば、成形圧力を制御して、第1領域T1及び第2領域T2を作り分けようとする場合、第1領域T12を構成する第1構成物を押し固めた後、第2領域T2を構成する第2構成物を押し固めると、第2構成物を押し固める際の圧力により、第1領域T12を構成する第1混合物が更に加圧される。この場合、第1領域T12における気孔率と、第2領域T2における気孔率との違いがなくなる可能性がある。
このような場合に、第2混合物の平均粒子径を第1混合物の平均粒子径よりも小さく設定しておくことで、第1混合物を押し固める際の圧力が第2混合物に加わったとしても、第2領域T2における気孔密度を、第1領域T12における気孔密度より低くすることができる。
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果を奏することができる。
プロジェクター1は、光源装置4と、光源装置4から出射された光を変調する光変調装置343と、光変調装置343によって変調された光を投射する投射光学装置36と、を備える。光源装置4は、励起光を出射する光源411と、入射される励起光を、励起光の波長とは異なる波長を有する蛍光に変換する波長変換層W1と、を有する。波長変換層W1は、蛍光体粒子、賦活剤及び散乱要素を含む。波長変換層W1は、第1領域T1(T11,T12)及び第2領域T2を有する。第1領域T1における賦活剤の濃度は、第2領域T2における賦活剤の濃度より大きく、第1領域T1における散乱要素の密度である気孔率は、第2領域T2における気孔率より高い。
このような構成によれば、上記のように、第2領域T2によって波長変換層W1内での光の伝播が抑制されるので、波長変換層W1における蛍光の出射面積の拡大を抑制できる。すなわち、エテンデューを改善できる。そして、これにより、波長変換層W1から出射された蛍光を含み、光源装置4から出射される照明光の光束径を小さくできるので、光変調装置343の画像形成領域に入射される光束の密度を高めることができ、光変調装置343による画像形成に利用される光量を高めることができる他、照明光が入射される光学部品を小型化できる。更に、光変調装置343に入射される照明光の光束径が小さくなることにより、光変調装置343に斜方入射される光量を低減できる。従って、投射画像の輝度を高めることができる他、プロジェクター1に採用される光学部品、ひいては、プロジェクター1の小型化を図ることができる。
波長変換層W1は、散乱要素として気孔を含むセラミックにより構成されている。そして、散乱要素の密度は、単位体積当たりの気孔の体積比率である気孔率である。
このような構成によれば、上記した製造方法によって、賦活剤濃度及び気孔率が異なる第1領域T1及び第2領域T2を有する波長変換層W1を製造できる。
第2領域T2は、波長変換層W1における励起光の入射領域N1の中央に位置している。第1領域T11,T12は、入射領域N1において第2領域T2を挟む位置に配置されている。
このような構成によれば、図7又は図8に示した密度分布の励起光が波長変換層W1に入射された場合に、上記効果を好適に奏する光源装置4及びプロジェクター1を構成できる。
波長変換層W1に入射される励起光の密度は、例えば入射領域N1の中央から外側に向かって低くなってもよい。すなわち、波長変換層W1に入射される励起光は、例えば図8に示す密度分布を有する励起光であってもよい。
このような場合、入射領域N1における中央に位置する第2領域T2によって、波長変換層W1の全体における波長変換効率を高めるとともに、入射領域N1における外縁側及び内縁側に位置する第1領域T11,T12によって、波長変換層W1における蛍光の出射面積の広がりを抑制できる。従って、上記した効果を好適に奏する光源装置4及びプロジェクター1を構成できる。
光源装置4は、波長変換層W1への励起光の入射方向である+Z方向に沿う回転軸Rxを中心として基板M1を回転させることによって、波長変換層W1を回転させる回転部RTを備える。
このような構成によれば、波長変換層W1において励起光の照射領域の位置を移動させることができるので、波長変換層W1の温度が局所的に高くなることを抑制できる。従って、波長変換層W1の波長変換効率が熱によって低下することを抑制できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換層における第1領域及び第2領域の配置が、波長変換層W1と異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、本実施形態に係るプロジェクターが備える波長変換層W2における賦活剤の濃度分布及び散乱要素である気孔率の分布と、第1領域T1及び第2領域T2の配置とを示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子52を有する他は、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態における光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子52を有する。
波長変換素子52は、図9に示すように、波長変換層W1に代えて波長変換層W2を有する他は、波長変換素子51と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換素子52は、基板M1と、第1面M11に設けられる波長変換層W2と、を有する。
波長変換層W2は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成する。波長変換層W2は、波長変換層W1と同様の材料によって、基板M1の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。波長変換層W2は、それぞれ上記した第1領域T1及び第2領域T2を有する。
波長変換層W2において、第1領域T1は、外縁側である+R方向の領域に配置されている。これは、+R方向の領域における賦活剤濃度を大きくし、気孔率を高くするためである。
また、波長変換層W2においては、第2領域T2は、内縁側である−R方向の領域に配置されている。これは、−R方向の領域における賦活剤濃度を小さくし、気孔率を低くするためである。
図10は、波長変換層W2に入射される励起光の密度分布の一例を示す図である。なお、図10の上段には、励起光の密度分布が示され、図10の下段には、入射領域N2に対応した第1領域T1及び第2領域T2の配置が示されている。
波長変換層W2における励起光の入射領域N2、及び、励起光の密度分布は、以下のように設定されていることが好ましい。
図10に示すように、波長変換層W2における励起光の入射領域N2は、入射領域N1と同様に、波長変換層W2における外縁側の部位から内縁側の部位に亘って設定される。
そして、入射領域N2に入射される励起光の密度は、外縁側である+R方向の端部から内縁側である−R方向の端部に向かって直線的に連続して高くなる。詳述すると、+R方向の端部での励起光の密度は上記密度β未満であるが、−R方向に向かって高くなり、−R方向の端部での励起光の密度は上記密度β以上となる。すなわち、入射領域N2において+R方向の端部から−R方向の端部に至るまでの間に、励起光の密度が上記密度βとなる部位が存在する。
波長変換層W2において第1領域T1と第2領域T2との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設定される。そして、入射領域N2において、密度β未満の励起光が入射される領域に応じて、賦活剤濃度が大きく、気孔率が高い第1領域T1が配置され、密度β以上の励起光が入射される領域に応じて、賦活剤濃度が小さく、気孔率が低い第2領域T2が配置される。
このような波長変換層W2は、波長変換層W1の製造方法と同様の製造方法によって製造できる。
そして、上記のように、第1領域T1及び第2領域T2が設けられることによって、波長変換層W2全体の波長変換効率を高めることができるとともに、波長変換層W2からの蛍光の出射面積を縮小できる。
なお、励起光の密度は、入射領域N2において+R方向の端部から−R方向に向かって下に凸となる凸曲線状に連続的に高くなってもよく、上に凸となる凸曲線状に連続的に高くなってもよい。
また、励起光の密度は、入射領域N2において+R方向の端部から−R方向に向かって低下してもよい。この場合、励起光の密度は、−R方向に向かって直線状に連続して低下してもよく、下に凸となる凸曲線状に連続して低下してもよく、或いは、上に凸となる凸曲線状に連続して低下してもよい。この場合でも、密度β未満の励起光が入射される領域に第1領域T1が配置され、密度β以上の励起光が入射される領域に第2領域T2が配置されればよい。
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
第1領域T1は、波長変換層W2に入射される励起光の入射領域N2において波長変換層W2に対する励起光の入射方向である+Z方向に直交する+R方向に位置し、第2領域T2は、入射領域N2において−R方向に位置する。
このような構成によれば、図10に示した密度分布の励起光が波長変換層W2に入射された場合に、上記効果を好適に奏する光源装置4及びプロジェクター1を構成できる。
波長変換層W2に入射される励起光の密度は、例えば入射領域N2において−R方向に向かって高くなる。すなわち、波長変換層W1に入射される励起光は、例えば図10に示す密度分布を有する励起光である。
このような構成によれば、入射領域N1において−R方向に位置する第2領域T2によって、波長変換層W2の全体における波長変換効率を高めるとともに、入射領域N1において+R方向に位置する第1領域T1によって、波長変換層W2における蛍光の出射面積の広がりを抑制できる。従って、上記した効果を好適に奏する光源装置4及びプロジェクター1を構成できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換層の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本実施形態に係るプロジェクターが有する波長変換素子53における賦活剤の濃度分布及び散乱要素である蛍光体粒子の体積比率の分布と、波長変換素子53における第1領域U1及び第2領域U2の配置とを示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子53を有する他は、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態に係る光源装置4は、波長変換素子53を有する。
波長変換素子53は、波長変換層W1に代えて波長変換層W3を有する他は、波長変換素子51と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換素子53は、図11に示すように、基板M1と、基板M1に保持される波長変換層W3と、を有する。
波長変換層W3は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成する。波長変換層W3は、波長変換素子53の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。
本実施形態では、波長変換層W3は、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成であり、波長変換層W3の内部に気孔は含まれていない。すなわち、本実施形態では、光を散乱させる散乱要素は、蛍光体粒子である。
なお、蛍光体粒子としては、YAG蛍光体、KSF蛍光体、又は、SCASN蛍光体等を採用できる。YAG蛍光体におけるYをLu、Gd又はGaで置換されたものを採用してもよい。バインダーとしては、Al等の無機バインダーや、シリコーン樹脂、又は、硝子を採用できる。賦活剤としては、上記のように、Ce、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaの少なくとも1つを採用できる。
波長変換層W3は、賦活剤の濃度及び散乱要素の密度が異なる第1領域U1(U11,U12)及び第2領域U2を有する。詳述すると、波長変換層W3は、賦活剤濃度の他、散乱要素としての蛍光体粒子の密度が異なる第1領域U1(U11,U12)及び第2領域U2を有する。なお、蛍光体粒子の密度は、蛍光体粒子の大きさが均一でないことから、第1領域又は第2領域における単位体積当たりの蛍光体粒子の体積比率によって示される。以下の説明において、蛍光体粒子の体積比率を、蛍光体率という。
第1領域U1(U11,U12)は、第2領域U2より賦活剤濃度が大きく、蛍光体率が高い領域である。第1領域U1のうち、第1領域U11は、波長変換層W3の外縁側である+R方向の部位に配置され、第1領域U12は、内縁側である−R方向の部位に配置されている。
第2領域U2は、第1領域U1より賦活剤濃度が小さく、蛍光体率が低い領域である。詳述すると、第2領域U2における賦活剤濃度0.5mol%は、第1領域U11,U12における賦活剤濃度1.0mol%より小さく、第2領域U2における蛍光体率γ2は、第1領域U11,U12における蛍光体率γ1より低い。波長変換素子53では、第2領域U2は、波長変換層W3において+R方向の中央に配置されている。
[第1領域及び第2領域の配置]
図示を省略するが、賦活剤濃度と蛍光体率との関係は、第1実施形態にて示した賦活剤濃度と気孔率との関係と同様である。
すなわち、波長変換層W3において蛍光体率が高いと、波長変換層W3内にて光は散乱されて、外部に出射されやすくなる。このため、波長変換層W3内を光が伝播しにくくなり、波長変換層W3における蛍光の出射面積が小さくなる。しかしながら、蛍光体率が高い領域に高い密度の励起光が入射されると、蛍光に変換される前に、励起光が、例えば蛍光体粒子の表面にて散乱される頻度が高くなることから、上記した後方散乱が生じやすくなる。この場合、波長変換層全体における励起光の波長変換効率が低下する。
一方、波長変換層における蛍光体率が低いと、後方散乱は生じにくくなって、波長変換効率が高められる。しかしながら、この場合、波長変換層内を光が伝播しやすくなることから、波長変換層における蛍光の出射面積が大きくなる。
また、蛍光体率が同じである場合、入射される励起光の密度が所定値以上であるときには、賦活剤濃度は小さい方が高い波長変換効率を示し、入射される励起光の密度が所定値未満であるときには、賦活剤濃度は大きい方が高い波長変換効率を示す。
また、ある濃度で賦活剤が均一に分布した波長変換層に入射される励起光の密度が比較的高い場合には、蛍光体密度が低い方が高い波長変換効率を示す。
上記した特性を踏まえ、波長変換素子53では、図11における下段に示すように、波長変換層W3における+R方向の部位及び−R方向の部位に、第1領域U11,U12が配置される。これにより、上記波長変換層W1での場合と同様に、波長変換層W3における蛍光の出射面積の拡大が抑制される。
また、波長変換層W3における中央には、図11における下段に示すように、第2領域U2が配置される。これにより、波長変換層W1での場合と同様に、波長変換層W3における波長変換効率が高められる。
[励起光の入射領域及び密度分布]
波長変換層W3における励起光の入射領域N3は、図7及び図8に示した入射領域N1と同様に、第1領域U11の少なくとも一部から第1領域U12の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。すなわち、波長変換層W3において励起光は、第1領域U11の少なくとも一部と、第2領域U2と、第1領域U12の少なくとも一部とに入射されることが好ましい。
そして、波長変換層W3に入射される励起光は、図7に示した密度分布を有する励起光、すなわち、密度β以上の値で均一な励起光であるか、或いは、図8に示した密度分布を有する励起光、すなわち、入射領域における+R方向の中心からそれぞれ外側である外縁側及び内縁側に向かって低くなる励起光であることが好ましい。後者の場合には、第1領域U11と第2領域U2との境界部、及び、第2領域U2と第1領域U12との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設けられることが好ましい。
このような励起光が、上記のように第1領域U11,U12及び第2領域U2が配置された波長変換層W3に入射されることによって、波長変換層W3全体の波長変換効率を高めることができる他、波長変換層W3からの蛍光の出射面積を小さくできる。
[波長変換層の製造方法]
波長変換層W3の製造方法は、例えば以下の製造方法が挙げられる。
まず、第1領域U1(U11,U12)を構成する第1混合物と、第2領域U2を構成する第2混合物とを、スクリーン印刷等によって基板に塗り分ける。各混合物には、蛍光体粒子、賦活剤及びバインダーが含まれる他、必要に応じて、焼結助剤及び溶剤等が添加される。第1混合物における賦活剤濃度は、第2混合物における賦活剤濃度より大きく、第1混合物における蛍光体粒子の濃度は、第2混合物における蛍光体粒子の濃度より大きい。これら第1混合物及び第2混合物を基板上に塗布した後、各混合物を焼成して、バインダーを固化させる。これにより、第1領域U11,U12及び第2領域U2を有する波長変換層W3が製造される。
また例えば、波長変換層W3は、それぞれ別に焼成して形成された第1領域U1(U11,U12)及び第2領域U2を、接着或いは接合することによっても製造できる。
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
波長変換層W3は、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有する。そして、散乱要素の密度は、単位体積当たりの蛍光体粒子の体積比率である蛍光体率である。
このような構成によれば、第1領域U11,U12を構成する第1混合物と、第2領域U2を構成する第2混合物とを構成する際に、第1混合物における賦活剤及び蛍光体粒子のそれぞれの濃度を、第2混合物における賦活剤及び蛍光体粒子のそれぞれの濃度よりも高くすることによって、第1領域U1及び第2領域U2を有する波長変換層W3を製造できる。従って、波長変換層W1,W2より波長変換層W3を容易に製造できる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第2実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、波長変換層の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本実施形態に係るプロジェクターが有する波長変換素子54における賦活剤の濃度分布及び蛍光体粒子の体積比率の分布と、波長変換素子54における第1領域U1及び第2領域U2の配置とを示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子54を有する他は、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態に係る光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子54を有する。
波長変換素子54は、波長変換層W1に代えて波長変換層W4を有する他は、波長変換素子51と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換素子54は、図12に示すように、基板M1と、基板M1に保持される波長変換層W4と、を有する。
波長変換層W4は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成するものであり、波長変換素子54の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。波長変換層W4は、波長変換層W3と同様に、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされたものであり、波長変換層W4の内部に気孔は含まれていない。すなわち、波長変換層W4において、光を散乱させる散乱要素は、蛍光体粒子である。
波長変換層W4は、賦活剤濃度及び蛍光体率がそれぞれ異なる第1領域U1及び第2領域U2を有する。上記のように、第1領域U1における賦活剤濃度は、第2領域U2における賦活剤濃度よりも大きく、第1領域U1における蛍光体率は、第2領域U2における蛍光体率よりも高い。
波長変換素子54では、第1領域U1は、波長変換層W4における外縁側である+R方向の部位に配置され、第2領域U2は、内縁側である−R方向の部位に配置されている。
波長変換層W4に対する励起光の入射領域N4は、入射領域N2と同様に、第1領域U1の少なくとも一部から第2領域U2の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。すなわち、波長変換層W4に入射される励起光は、第1領域U1の少なくとも一部と、第2領域U2の少なくとも一部とに入射されることが好ましい。
また、波長変換層W4に入射される励起光は、図10に示した密度分布を有する励起光、すなわち、入射領域N4における+R方向の端部から−R方向に向かって直線的に連続して高くなる励起光であることが好ましい。詳述すると、入射領域N4における+R方向の端部での励起光の密度は上記密度β未満であるが、−R方向に向かって高くなり、−R方向の端部での励起光の密度は上記密度β以上となることが好ましい。そして、第1領域U1と第2領域U2との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設定されることが好ましい。
このような励起光が、上記のように第1領域U1及び第2領域U2が配置された波長変換層W4に入射されることによって、波長変換層W4全体の波長変換効率を高めることができる他、波長変換層W4からの蛍光の出射面積を小さくできる。
なお、波長変換層W4は、波長変換層W3と同様の製造方法によって製造できる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第2及び第3実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第3実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、散乱要素として蛍光体だけでなく気孔を含んでいる点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図13は、本実施形態に係るプロジェクターが有する波長変換素子55における賦活剤の濃度分布及び散乱要素の密度分布と、波長変換素子55における第1領域V1及び第2領域V2の配置とを示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子55を有する他は、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態に係る光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子55を有する。
波長変換素子55は、波長変換層W1に代えて波長変換層W5を有する他は、波長変換素子51と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換素子55は、図13に示すように、基板M1と、基板M1に保持される波長変換層W5と、を有する。
波長変換層W5は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成するものであり、波長変換素子55の回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。波長変換層W5は、波長変換層W3,W4と同様に、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされたものであるが、内部に気孔を含む。すなわち、波長変換層W5は、散乱要素として蛍光体粒子及び気孔を含む。
波長変換層W5は、賦活剤の濃度及び散乱要素の密度がそれぞれ異なる第1領域V1(V11,V12)及び第2領域V2を有する。
第1領域V1(V11,V12)は、第2領域V2に比べて、賦活剤の濃度が大きく、散乱要素の密度が高い領域である。第1領域V1のうち、第1領域V11は、波長変換層W5における外縁側である+R方向の部位に設けられている。また、第1領域V1のうち、第1領域V12は、波長変換層W5における内縁側である−R方向の部位に設けられている。
第2領域V2は、第1領域V1に比べて、賦活剤の濃度が小さく、散乱要素の密度が低い領域である。第2領域V2は、波長変換層W5における+R方向の中央に設けられている。
[第1領域及び第2領域における散乱要素の密度]
波長変換層W5における散乱要素の密度分布は、第1領域V1における散乱要素の密度が、第2領域V2における散乱要素の密度より高くなればよい。波長変換層W5は、散乱要素として蛍光体粒子及び気孔を含み、気孔の大きさ及び蛍光体粒子の大きさはそれぞれ均一ではなく、気孔の大きさ及び蛍光体粒子の大きさには分布があることを考慮すると、単位体積当たりの気孔の体積比率と、単位体積当たりの蛍光体粒子の体積比率との和を、散乱要素の密度とすることができる。すなわち、散乱要素の密度は、気孔率と蛍光体率との和によって規定される。
そして、第1領域V1と第2領域V2とで散乱要素の密度を異ならせる手法としては、以下のいずれかの手法を採用できる。
第1の手法として、第1領域V1と第2領域V2とで気孔率を同じとする一方で、第1領域V1における蛍光体率を、第2領域V2における蛍光体率よりも高くする手法が挙げられる。
第2の手法として、第1領域V1と第2領域V2とで蛍光体率を同じとする一方で、第1領域V1における気孔率を、第2領域V2における気孔率よりも高くする手法が挙げられる。
第3の手法として、第1領域V1における気孔率を、第2領域V2における気孔率よりも高くするとともに、第1領域V1における蛍光体率を、第2領域V2における蛍光体率よりも高くすることにより、第1領域V1における散乱要素の合計密度を、第2領域V2における散乱要素の合計密度よりも高くする手法が挙げられる。
第4の手法として、第1領域V1における気孔率を、第2領域V2における気孔率よりも高くする一方で、第1領域V1における蛍光体率を、第2領域V2における蛍光体率よりも低くすることにより、第1領域V1における散乱要素の合計密度を、第2領域V2における散乱要素の合計密度よりも高くする手法が挙げられる。
第5の手法として、第1領域V1における気孔率を、第2領域V2における気孔率よりも低くする一方で、第1領域V1における蛍光体率を、第2領域V2における蛍光体率よりも高くすることにより、第1領域V1における散乱要素の合計密度を、第2領域V2における散乱要素の合計密度よりも高くする手法が挙げられる。
このような波長変換層W5における励起光の入射領域N5は、第1領域V11の少なくとも一部から、第1領域V12の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。すなわち、波長変換層W5に入射される励起光は、第1領域V11の少なくとも一部と、第2領域V2と、第1領域V12の少なくとも一部とに入射されることが好ましい。
そして、波長変換層W5に入射される励起光は、図7に示した密度分布を有する励起光、すなわち、密度β以上の値で均一な励起光であるか、或いは、図8に示した密度分布を有する励起光、すなわち、入射領域における+R方向の中心からそれぞれ外側である外縁側及び内縁側に向かって低くなる励起光であることが好ましい。後者の場合には、第1領域V11と第2領域V2との境界部、及び、第2領域V2と第1領域V12との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設けられることが好ましい。
このような励起光が、上記のように第1領域V11,V12及び第2領域V2が配置された波長変換層W5に入射されることによって、波長変換層W5全体の波長変換効率を高めることができる他、波長変換層W5からの蛍光の出射面積を小さくできる。
[波長変換層の製造方法]
このような波長変換層W5は、上記した波長変換層W3の製造方法と同様の製造方法によって製造できる。
なお、第1領域V1における気孔率と第2領域V2における気孔率とを、焼成する際の温度によって異ならせる場合には、それぞれ個別に焼成されて形成された第1領域V1及び第2領域V2を接着又は接合することによって、波長変換層W5を製造することが好ましい。
[第5実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第3実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
波長変換層W5は、蛍光体粒子及び賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有する。波長変換層W5は、散乱要素として気孔及び蛍光体粒子を含む。そして、散乱要素の密度は、気孔率と蛍光体率との和によって規定される。
これによれば、気孔率と蛍光体率との少なくとも一方を第1領域V11,V12と第2領域V2とで異ならせることによって、上記効果を奏することができる波長変換層W5を構成できる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、波長変換層が散乱要素として蛍光体だけでなく気孔を含んでいる点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、本実施形態に係るプロジェクターが有する波長変換素子56における賦活剤の濃度分布及び散乱要素の密度分布と、波長変換素子56における第1領域V1及び第2領域V2の配置とを示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換素子51に代えて波長変換素子56を有する他は、第1実施形態にて示したプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。すなわち、本実施形態に係る光源装置4は、波長変換素子51に代えて波長変換素子56を有する。
波長変換素子56は、波長変換層W1に代えて波長変換層W6を有する他は、波長変換素子51と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換素子56は、図14に示すように、基板M1と、基板M1に保持される波長変換層W6と、を有する。
波長変換層W6は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する蛍光を生成するものであり、回転軸Rxを中心とする円環状に形成されている。波長変換層W6の構成材料は、波長変換層W5と同様である。すなわち、波長変換層W6は、散乱要素として蛍光体粒子及び気孔を含む。
波長変換層W6は、第1領域V1及び第2領域V2を有する。波長変換層W6では、第1領域V1は、波長変換層W6における外縁側である+R方向の部位に設けられ、第2領域V2は、内縁側である−R方向の部位に設けられている。
なお、上記のように、第1領域V1における賦活剤濃度は、第2領域V2における賦活剤濃度より大きく、第1領域V1における散乱要素の密度は、第2領域V2における散乱要素の密度より高い。
第1領域V1と第2領域V2とで散乱要素の密度を異ならせる手法としては、第5実施形態にて示した第1〜第5の手法のいずれかを採用できる。
このような波長変換層W6における励起光の入射領域N6は、入射領域N2のように、第1領域V1の少なくとも一部から第2領域V2の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。すなわち、波長変換層W6に入射される励起光は、第1領域V1の少なくとも一部と、第2領域V2の少なくとも一部とに入射されることが好ましい。
また、波長変換層W6に入射される励起光は、図10に示した密度分布を有する励起光、すなわち、入射領域N6における+R方向の端部から−R方向に向かって直線的に連続して高くなる励起光であることが好ましい。詳述すると、入射領域N6における+R方向の端部での励起光の密度は上記密度β未満であるが、−R方向に向かって高くなり、−R方向の端部での励起光の密度は上記密度β以上となることが好ましい。そして、第1領域V1と第2領域V2との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設定されることが好ましい。
このような励起光が、上記のように第1領域V1及び第2領域V2が配置された波長変換層W6に入射されることによって、波長変換層W6全体の波長変換効率を高めることができる他、波長変換層W6からの蛍光の出射面積を小さくできる。
なお、波長変換層W6は、波長変換層W3と同様の製造方法によって製造できる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、第4及び第5実施形態にて示したプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、光源装置の構成及び波長変換素子の構成が異なる。詳述すると、プロジェクター1の光源装置4は、反射型の波長変換素子51を備えていたのに対し、本実施形態に係るプロジェクターの光源装置は、透過型の波長変換素子を備える。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図15は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置4Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、光源装置4に代えて光源装置4Aを有する他は、プロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。
光源装置4Aは、光源装置4と同様に、白色の照明光を均一化装置31に出射する。光源装置4Aは、図15に示すように、蛍光を出射する第1光源装置4A1と、青色光を出射する第2光源装置4A4と、光合成装置4A5と、を有する。
これらのうち、光合成装置4A5は、第1光源装置4A1から出射された蛍光と、第2光源装置4A4から出射された青色光とを合成した照明光を均一化装置31に出射する。
[第1光源装置の構成]
図16は、第1光源装置4A1の構成を示す模式図である。
第1光源装置4A1は、図8に示すように、励起光を出射する光源4A2と、光源4A2から出射された励起光を縮径するアフォーカル光学素子42と、縮径された励起光の照度分布を均一化するホモジナイザー光学素子43と、入射される励起光を集光する第1集光素子45と、励起光の波長を変換する波長変換装置5Aと、第2集光素子4A3と、を有する。
光源4A2は、励起光を出射する発光素子としての複数の固体光源4A21を有する。複数の固体光源4A21から出射された励起光は、アフォーカル光学素子42、ホモジナイザー光学素子43、第1集光素子45を介して波長変換装置5Aの波長変換素子57に入射される。なお、固体光源4A21は、第1固体光源412と同じ固体光源であってもよく、第2固体光源413と同じ固体光源であってもよい。
第2集光素子4A3は、波長変換装置5Aに対する励起光の入射方向に沿って波長変換装置5Aから出射された蛍光を集光し平行化して、光合成装置4A5に出射する。
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5Aは、波長変換素子51に代えて波長変換素子57を有する他は、波長変換装置5と同様の構成及び機能を有する。すなわち、波長変換装置5Aは、波長変換素子57と、波長変換素子57を励起光の入射方向である+Z方向に沿う回転軸Rxを中心として回転させる回転部RTとを有する。
[波長変換素子の構成]
図17は、波長変換素子57の断面の一部を模式的に示す図である。
波長変換素子57は、入射される励起光を波長変換して、励起光の波長とは異なる波長を有する光である蛍光を生成し、当該蛍光を励起光の入射方向に沿って出射する。すなわち、波長変換素子57は、透過型の波長変換素子である。
波長変換素子57は、図17に示すように、基板M1に代えて基板M2を有する他は、波長変換素子51と同様の構成を有する。すなわち、波長変換素子57は、基板M2と、波長変換層W1と、を有する。
基板M2は、波長変換層W1に対して励起光ELの入射側に配置され、波長変換層W1を保持する円板状の保持部材であり、回転部RTによって回転される。
基板M2は、+Z方向の面であり、波長変換層W1と対向する第1面M21と、−Z方向の面であり、第1面M21とは反対側の面である第2面M22と、を有する。
このような基板M2は、基板本体M2Aと、基板本体M2Aに設けられた反射層M2Bと、を備えて構成されている。
基板本体M2Aは、励起光ELが通過可能な透光性材料によって円板状に形成されている。
反射層M2Bは、基板本体M2Aにおける+Z方向の面の略全面に設けられている。反射層M2Bは、青色光である励起光ELを通過させる一方で、青色光より波長の長い光を反射させる光反射特性を有する。すなわち、基板M2は、第2面M22を介して基板M2内に入射された励起光ELを透過させるとともに、波長変換層W1から入射される蛍光YLを波長変換層W1側に反射させる反射面FSを有する。すなわち、第1面M21は、反射層M2Bによって形成される反射面FSである。
波長変換素子57において、波長変換層W1は、第2面W12が第1面M21と対向するように配置される。そして、基板M2を介して波長変換層W1に励起光ELが入射されると、波長変換層W1内にて蛍光YLが拡散出射される。
波長変換層W1内を−Z方向に進行する蛍光のうち、一部の蛍光は、第2面W12から基板M2に向かって出射される。基板M2に入射された蛍光は、反射面FSにて反射されて波長変換層W1内に入射された後、+Z方向に進行する。
波長変換層W1内を+Z方向に進行する蛍光YLは、波長変換層W1において、第2面W12とは反対側に位置する第1面W11から外部に出射される。
上記のように、波長変換層W1は、波長変換層W1における+R方向の部位に配置される第1領域T11と、−R方向の部位に配置される第1領域T12と、第1領域T11,T12によって挟まれるように、波長変換層W1における+R方向の中央に配置される第2領域T2と、を有する。
このような波長変換層W1における励起光の入射領域は、入射領域N1のように、第1領域T11の少なくとも一部から第1領域T12の少なくとも一部に亘って設定されることが好ましい。そして、励起光は、第1領域T11の少なくとも一部と、第2領域T2と、第1領域T12の少なくとも一部とに入射されることが好ましい。
また、波長変換層W1に入射される励起光は、図7に示した密度分布を有する励起光、すなわち、密度β以上の値で均一な励起光であるか、或いは、図8に示した密度分布を有する励起光、すなわち、入射領域における+R方向の中心からそれぞれ外側である外縁側及び内縁側に向かって低くなる励起光であることが好ましい。後者の場合には、第1領域T11と第2領域T2との境界部、及び、第2領域T2と第1領域T12との境界部は、入射される励起光の密度が上記密度βとなる部位に設けられることが好ましい。
このような励起光が、上記のように第1領域T1及び第2領域T2が配置された波長変換層W1に入射されることによって、波長変換層W1全体の波長変換効率を高めることができる他、波長変換層W1からの蛍光の出射面積を小さくできる。
以上説明した光源装置4Aを備えるプロジェクターによれば、光源装置4を備えるプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
[第7実施形態の変形]
第7実施形態にて示したプロジェクターが備える光源装置4Aは、波長変換層W1を有する透過型の波長変換素子57を備える構成であった。しかしながら、これに限らず、光源装置4Aは、波長変換層W1に代えて波長変換層W3,W5のいずれかを有する透過型の波長変換素子を備えていてもよい。
また、光源装置4Aは、波長変換層W1に代えて波長変換層W2,W4,W6のいずれかを有する透過型の波長変換素子を備えていてもよい。この場合、波長変換層が有する第1領域及び第2領域の配置に応じた密度分布を有する励起光が、波長変換層に入射されることが好ましい。
[実施形態の変形]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記各実施形態では、上記した密度分布を有する励起光が波長変換層W1〜W6に入射されるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換層W1〜W6に入射される励起光の密度分布は、適宜変更可能である。また、賦活剤濃度及び散乱要素の密度のそれぞれが大きい第1領域と、賦活剤濃度及び散乱要素の密度のそれぞれが小さい第2領域との配置も、適宜変更可能である。なお、波長変換層において密度β以上の励起光が入射される領域の賦活剤濃度は、他の領域の賦活剤濃度より大きく、密度β以上の励起光が入射される領域の散乱要素の密度は、他の領域の散乱要素の密度より高いことが好ましい。
上記各実施形態では、波長変換素子51〜57は、回転部RTによって回転される構成であるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換素子は、回転されない構成としてもよい。換言すると、波長変換装置は、波長変換素子を回転させる回転部RTを備えていなくてもよい。この場合、波長変換層W1〜W6は、励起光の入射側から見て環状に形成されていなくてもよく、例えば、円形状、或いは、多角形状に形成されていてもよい。また、波長変換層W1〜W6の形状は、回転される場合でも回転されない場合でも、円形状又は多角形状であってもよい。
上記各実施形態では、第1領域T1,U1,V1における賦活剤濃度は1.0mol%であり、第2領域T2,U2,V2における賦活剤濃度は0.5mol%であるとした。また、第1領域T1における気孔率は3.0vol%であり、第2領域T2における気孔率は1.0vol%であるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換層が有する各領域における賦活剤濃度は適宜変更可能であり、各領域における気孔率及び蛍光体率も適宜変更可能である。
上記各実施形態では、プロジェクターは、3つの光変調装置343(343B,343G,343R)を備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
上記各実施形態では、プロジェクターは、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルを有する光変調装置343を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光変調装置は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを有する構成としてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
上記各実施形態では、光源装置4,4Aをプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、本発明に係る光源装置は、例えば照明器具及び自動車等のヘッドライト等に採用してもよい。
1…プロジェクター、343(343B,343G,343R)…光変調装置、36…投射光学装置、4,4A…光源装置、411,4A11…光源、51,52,53,54,55,56,57…波長変換素子、M1,M2…基板、W1,W2,W3,W4,W5,W6…波長変換層、T1(T11,T12),U1(U11,U12),V1(V11,V12)…第1領域、T2、U2,V2…第2領域。

Claims (10)

  1. 励起光を出射する光源と、
    入射される前記励起光を、前記励起光の波長とは異なる波長を有する蛍光に変換する波長変換層と、を有し、
    前記波長変換層は、蛍光体粒子、賦活剤及び散乱要素を含み、
    前記波長変換層は、第1領域及び第2領域を有し、
    前記第1領域における前記賦活剤の濃度は、前記第2領域における前記賦活剤の濃度より大きく、
    前記第1領域における前記散乱要素の密度は、前記第2領域における前記散乱要素の密度より高いことを特徴とする光源装置。
  2. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層は、前記散乱要素として気孔を含むセラミックにより構成され、
    前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記気孔の体積比率であることを特徴とする光源装置。
  3. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層は、前記蛍光体粒子及び前記賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、
    前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記蛍光体粒子の体積比率であることを特徴とする光源装置。
  4. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記波長変換層は、前記蛍光体粒子及び前記賦活剤がバインダーによってバインドされた構成を有し、
    前記波長変換層は、前記散乱要素として気孔及び前記蛍光体粒子を含み、
    前記散乱要素の密度は、単位体積当たりの前記気孔の体積比率と、単位体積当たりの前記蛍光体粒子の体積比率との和によって規定されることを特徴とする光源装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光源装置において、
    前記第2領域は、前記波長変換層における前記励起光の入射領域の中央に位置し、
    前記第1領域は、前記入射領域において前記第2領域を挟む位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
  6. 請求項5に記載の光源装置において、
    前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記入射領域の中央から外側に向かって低くなることを特徴とする光源装置。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光源装置において、
    前記第1領域は、前記波長変換層に入射される前記励起光の入射領域において前記波長変換層に対する前記励起光の入射方向に直交する1つの軸における一方に位置し、
    前記第2領域は、前記入射領域において前記1つの軸における他方に位置することを特徴とする光源装置。
  8. 請求項7に記載の光源装置において、
    前記波長変換層に入射される前記励起光の密度は、前記入射領域において前記他方に向かって高くなることを特徴とする光源装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光源装置において、
    前記波長変換層への前記励起光の入射方向に沿う回転軸を中心として前記波長変換層を回転させる回転部を備えることを特徴とする光源装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光源装置と、
    前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、
    前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
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