本開示は、コンテナ用冷凍装置に関するものである。
従来、海上輸送又は陸上輸送用のコンテナの庫内を植物等の貯蔵物の貯蔵に適した温度に冷却するためにコンテナ用冷凍装置が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。コンテナ用冷凍装置は、コンテナの開口部を開閉自在に閉塞するケーシングに設けられ、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を有している。上記コンテナ用冷凍装置では、ケーシングの庫内側に設けられた冷媒回路中の蒸発器において低圧冷媒と庫内空気とを熱交換させ、冷却された空気を循環させることにより、庫内を冷却している。
ところで、上述のような輸送用コンテナは、船舶や車両に積載する際や集積場所においてクレーン等を用いて移動させることがあり、その際に強い衝撃が作用することがある。コンテナに強い衝撃が作用すると、コンテナやコンテナ用冷凍装置が損傷し、コンテナの気密性能や断熱性能等が低下する又は庫内に冷媒が漏洩する等、コンテナやコンテナ用冷凍装置が異常状態に陥るおそれがある。
しかしながら、従来のコンテナ用冷凍装置では、定期的にコンテナやコンテナ用冷凍装置が正常な状態か否かを診断する自動自己診断動作を行うものの、コンテナに強い衝撃が作用した場合にこのような診断を行っていなかった。そのため、コンテナに強い衝撃が作用するためにコンテナやコンテナ用冷凍装置が異常な状態に陥っても、次の自動自己診断動作まではコンテナ内の状態を診断する術がなく、その事態をいち早く把握することができなかった。
本開示の目的は、コンテナに強い衝撃が作用してコンテナ又はコンテナ用冷凍装置に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置を提供することにある。
本開示の第1の態様は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節する制御部(80)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記制御部(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)及び上記コンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えているものである。
第1の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われるため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒漏洩検出部(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断するものである。
第2の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記冷媒漏洩検出部(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
第3の態様では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けているため、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定できる。
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置(29)とを有し、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記換気装置(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
第4の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作が行われ、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
本開示の第5の態様は、上記第1乃至第4のいずれか1つの態様において、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第5の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
本開示の第6の態様は、上記第1乃至第4のいずれか1つの態様において、上記コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第6の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
本開示の第7の態様は、上記第1乃至第6のいずれか1つの態様において、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
第7の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
図1は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置の縦断面図である。
図2は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
図3は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図である。
図4は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫内側から視た側面図である。
図5は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、冷却運転における冷媒の流れを示したものである。
図6は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、デフロスト運転における冷媒の流れを示したものである。
図7は、実施形態2の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図8は、実施形態2の変形例1の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図9(A)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図9(B)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図10(A)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図10(B)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図11は、実施形態4の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図12は、その他の実施形態のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
《実施形態1》
実施形態1について図面に基づいて説明する。
−コンテナ用冷凍装置の構成−
図1〜図3に示すように、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送に用いられるコンテナ(11)の庫内を冷却するものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)の側方の開口部(12)を閉塞する蓋体となるケーシング(20)と、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、コントローラ(制御部)(80)と、GPS受信機(73)と、冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)(74)と、電源ユニット(90)とを有している。
〈ケーシング〉
ケーシング(20)は、コンテナ外である庫外側と、コンテナ内である庫内側とを仕切るケーシング本体(21)と、ケーシング(20)の背面(庫内側)に設けられる仕切り板(27)とを備えている。
ケーシング本体(21)は、下部に庫内側に膨出する膨出部(22)が形成され、上部にコンテナ(11)の開口部(12)と略面一な平板部(23)が形成されている。ケーシング本体(21)では、膨出部(22)の外面側に形成される凹みの内部が庫外収納空間(S1)に構成され、膨出部(22)の上方で平板部(23)の庫内側が庫内収納空間(S2)に構成されている。平板部(23)には、点検口(28)とベンチレータ(換気装置)(29)とが設けられている。点検口(28)は、メンテナンス時に開閉可能な扉を有する覗き窓であり、2つ横並びに設けられている。ベンチレータ(29)は、庫内の換気を行うための換気装置であり、コントローラ(80)によって動作が制御される。
ケーシング本体(21)は、厚み方向に積層される略同一形状の3つの部材(24,25,26)を有している。具体的には、ケーシング本体(21)は、庫外に面する庫外ケーシング(24)と、庫内に面する庫内ケーシング(25)と、庫外ケーシング(24)と庫内ケーシング(25)との間に設けられた断熱層(26)とを有している。本実施形態1では、庫外ケーシング(24)は、アルミニウムからなり、庫内ケーシング(25)は、強化繊維プラスチック(FRP)からなり、断熱層(26)は発泡樹脂からなる。
上記庫外収納空間(S1)には、後述する圧縮機(31)、凝縮器(32)、庫外ファン(34)、インバータボックス(14)及び電装品ボックス(15)が収納される一方、庫内収納空間(S2)には、後述する蒸発器(35)及び庫内ファン(36)が取り付けられている。また、上記膨出部(22)と仕切り板(27)との間は、庫内空気が流れる空気通路(S3)に構成されている。該空気通路(S3)の上端は、庫内収納空間(S2)に連通する一方、下端が庫内に連通している。
〈冷凍サイクルユニット〉
冷凍サイクルユニット(30)は、冷媒が循環することによって蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(40)と、庫外ファン(34)と、庫内ファン(36)とを備えている。
冷媒回路(40)は、主回路(41)とホットガスバイパス回路(42)と過冷却回路(43)とを有している。主回路(41)には、上述した圧縮機(31)、放熱器(凝縮器(32))、膨張弁(37)、及び蒸発器(35)が直列的に順に接続されている。
圧縮機(31)は、圧縮機構を駆動するモータ(図示省略)を有している。この圧縮機(31)のモータの回転数は、インバータによって多段階に制御される。つまり、圧縮機(31)は、運転容量が可変に構成されている。この圧縮機(31)に接続された上記インバータの回路基板は、上記インバータボックス(14)に収納されている。
放熱器(32)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述のように、放熱器(32)は、庫外収納空間(S1)に配置されている。放熱器(32)の近傍には、庫外ファン(34)が設けられる。放熱器(32)では、庫外ファン(34)によって供給された庫外の空気と冷媒とが熱交換する。庫外ファン(34)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
膨張弁(37)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
蒸発器(35)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述したように、蒸発器(35)は、庫内収納空間(S2)に配置されている。蒸発器(35)は、左右方向の一端側に設けられたヘッダに両端部が接続された複数のU字管を有している。冷媒は、複数のU字管を流れる際に、周囲の庫内空気と熱交換して庫内空気を冷却する。
蒸発器(35)の近傍には、庫内ファン(36)が設けられる。蒸発器(35)では、庫内ファン(36)によって供給された庫内の空気と冷媒とが熱交換する。庫内ファン(36)は、蒸発器(35)で冷却された冷却空気を庫内に供給する。庫内ファン(36)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
また、蒸発器(35)の下側には、ドレンパン(44)が設けられている。ドレンパン(44)は、上側が開放された扁平な容器状に形成されている。ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜や氷塊や、空気中から凝縮した結露水等が回収される。
圧縮機(31)と放熱器(32)との間の高圧ガス配管(45)には、逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)とが順に設けられている。逆止弁(CV)は、図1に示す矢印の方向への冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止している。第1電動弁(MV1)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
放熱器(32)と膨張弁(37)との間の高圧液配管(38)には、レシーバ(48)とドライヤ(50)と第1開閉弁(SV1)とプレート熱交換器(51)とが順に設けられている。第1開閉弁(SV1)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。ドライヤ(50)は、放熱器(32)を流れた液冷媒中の水分を捕捉するように構成されている。
プレート熱交換器(51)は、放熱器(32)を流れた液冷媒を冷却するものである。プレート熱交換器(51)は、1次側通路(51a)と2次側通路(51b)とを有している。つまり、プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51a)を流れる冷媒と2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。1次側通路(51a)は、主回路(41)に接続され、2次側通路(51b)は、過冷却回路(43)のインジェクション配管(52)に接続される。インジェクション配管(52)の流入端は、主回路(41)におけるレシーバ(48)と第1開閉弁(SV1)の間に接続している。インジェクション配管(52)の流出端は、圧縮機(31)の圧縮途中(中間圧力状態)の圧縮室と接続している。インジェクション配管(52)における2次側通路(51b)の流入側には、第2開閉弁(SV2)と第2電動弁(MV2)とが設けられている。第2開閉弁(SV2)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。第2電動弁(MV2)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能であり、冷媒を減圧する減圧機構を構成している。
ホットガスバイパス回路(42)は、1本の主管(52)と、該主管(52)から分岐する2本の分岐通路(53,54)(第1分岐管(53)と第2分岐管(54))とを有している。主管(52)の流入端は、高圧ガス配管(45)における逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)との間に接続している。主管(52)には、第3開閉弁(SV3)が設けられている。第3開閉弁(SV3)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。
第1分岐管(53)は、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が膨張弁(37)と蒸発器(35)との間の低圧液配管(55)と接続している。同様に、第2分岐管(54)も、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が低圧液配管(55)と接続している。第2分岐管(54)は、第1分岐管(53)よりも長い冷媒配管で構成されている。また、第2分岐管(54)は、ドレンパン(44)の底部に沿うように蛇行して配設される、ドレンパンヒータ(56)を有している。ドレンパンヒータ(56)は、ドレンパン(44)の内部を冷媒によって加熱するように構成されている。以上のようにして、ホットガスバイパス回路(42)は、圧縮機(31)で圧縮した冷媒(圧縮機(31)から吐出された高温高圧のガス冷媒)を蒸発器(35)へ供給するためのバイパス回路を構成している。
冷媒回路(40)には、各種のセンサ類も設けられている。具体的に、高圧ガス配管(45)には、高圧圧力センサ(60)と高圧圧力スイッチ(61)と吐出温度センサ(62)とが設けられている。高圧圧力センサ(60)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ(62)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の温度を検出する。蒸発器(35)と圧縮機(31)の間の低圧ガス配管(57)には、低圧圧力センサ(63)と吸入温度センサ(64)とが設けられている。低圧圧力センサ(63)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(64)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する。
インジェクション配管(52)には、2次側通路(51b)の流入側に第1流入温度センサ(65)が、2次側通路(51b)の流出側に第1流出温度センサ(66)がそれぞれ設けられている。第1流入温度センサ(65)は、2次側通路(51b)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。また、第1流出温度センサ(66)は、2次側通路(51b)に流出した直後の冷媒の温度を検出する。
低圧液配管(55)には、蒸発器(35)の流入側に第2流入温度センサ(67)が設けられている。第2流入温度センサ(67)は、蒸発器(35)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。低圧ガス配管(57)には、蒸発器(35)の流出側に第2流出温度センサ(68)がもうけられ。第2流出温度センサ(68)は、蒸発器(35)から流出した直後の冷媒の温度を検出する。
コンテナ(11)の庫外には、放熱器(32)の吸込側に外気温度センサ(69)が設けられている。外気温度センサ(69)は、放熱器(32)を通過前の庫外空気の温度(即ち、外気の温度)を検出する。
一方、コンテナ(11)の庫内には、蒸発器(35)の吸込側に吸込温度センサ(70)が設けられ、蒸発器(35)の吹出側に吹出温度センサ(71)が設けられている。吸込温度センサ(70)は、蒸発器(35)を通過する直前の庫内空気の温度を検出する。吹出温度センサ(71)は、蒸発器(35)を通過した直後の庫内空気の温度を検出する。つまり、吸込温度センサ(70)は、庫内空気の温度を検出するための温度検出部を構成している。
また、上記コンテナの(11)庫内には、庫内湿度センサ(72)が設けられている。庫内湿度センサ(72)は、蒸発器(35)の吸込側(上流側)の空気の湿度を検出する。つまり、庫内湿度センサ(72)は、庫内空間(S0)から庫内収納空間(S2)へ返送される庫内空気の湿度を検出する湿度検出部を構成している。
〈GPS受信機〉
図2に示すように、コンテナ(11)の庫外には、GPS受信機(73)が設けられている。GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信するように構成されている。詳細は後述するが、コントローラ(80)では、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)からコンテナ(11)に作用する衝撃値を求める。つまり、GPS受信機(73)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部を構成している。
〈冷媒センサ〉
図1に示すように、上記コンテナ(11)の庫内には、冷媒回路(40)から庫内に漏れた冷媒を検出するための冷媒センサ(74)が設けられている。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、金属酸化物半導体の表面に吸着した酸素イオンが、冷媒と反応して表面から離脱することによってセンサ内部の自由電子が増加して抵抗値が低下するその変化を測定することで冷媒濃度を求めるものである。冷媒センサ(74)によって検出された冷媒濃度は、コントローラ(80)に送信される。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、蒸発器(35)の左右方向の両端下方に各1つと、膨出部(22)と仕切り板(27)との間の空気通路(S3)の下部に1つとの合計3つ設けられている。3つの冷媒センサ(74)は、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩(本実施形態1では、冷媒濃度)を検出する冷媒漏洩検出部を構成している。なお、冷媒センサ(74)の個数は3つに限られない。冷媒センサ(74)は、1つ、2つ、又は4つ以上設けてもよい。
〈コントローラ〉
コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(40)を制御するための制御部としてのコントローラ(80)が設けられている。即ち、コントローラ(80)は、上述した各種のセンサの検出信号に基づいて、例えば圧縮機(31)のモータの回転数、各ファン(34,36)のモータの回転数、各電磁弁(MV1,MV2)や膨張弁(37)の開度、各開閉弁(SV1,SV2,SV3)の開閉状態等を制御する。コントローラ(80)は、電装品ボックス(15)内に設けられている。
また、図3に示すように、コントローラ(80)は、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒でコンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転を実行する冷却運転制御部(81)と、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒で蒸発器(35)の除霜を行うデフロスト運転を実行するデフロスト運転制御部(82)とを備えている。
また、コントローラ(80)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定を実行する衝撃判定部(83)と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断を実行する異常診断部(84)と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作を実行する処理部(85)とを備えている。
なお、詳細については後述するが、本実施形態では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩したか否かにより、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ(11)の庫内に漏洩した冷媒を庫外に排出する冷媒排出動作を上記所定の処理動作として実行するように構成されている。
また、本実施形態では、コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各要素を制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。尚、上記コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の制御部の一例であり、コントローラ(80)の詳細な構造やアルゴリズムは、本開示に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
なお、コントローラ(80)による各種制御の詳細については後述する。
〈電源ユニット〉
電源ユニット(90)は、コンテナの(11)庫外に設けられている。電源ユニット(90)は、第1電源(91)と第2電源(92)と第3電源(93)とを有している。
第1電源(91)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各電気機器と3つの冷媒センサ(74)とに接続され、これらに電力を供給する。具体的には、第1電源(91)には、圧縮機(31)のインバータ回路基板と、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)の各回路基板と、第1〜第3開閉弁(SV1〜SV3)、第1及び第2電動弁(MV1,MV2)、ベンチレータ(29)及び膨張弁(37)のアクチュエータと、各種センサ(60,62〜72)と、高圧圧力スイッチ(61)と、3つの冷媒センサ(74)とが接続されている。
第2電源(92)は、3つの冷媒センサ(74)に接続され、該冷媒センサ(74)に電力を供給可能に構成されている。本実施形態では、第2電源(92)は、第1電源(91)が電力供給不能な電源OFF状態の際に、3つの冷媒センサ(74)に電力を供給する、所謂予備電源である。つまり、3つの冷媒センサ(74)は、第1電源(91)と第2電源(92)との両方に接続されている。本実施形態では、第2電源(92)は、乾電池によって構成されているが、乾電池の他、太陽光発電装置等によって構成されていてもよい。
第3電源(93)は、コントローラ(80)とGPS受信機(73)とに接続され、常時、これらに電力を供給する。
−コンテナ冷凍装置の運転動作−
次に、コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作について説明する。コンテナ用冷凍装置(10)は、通常運転として冷却運転を行うと共に、蒸発器(35)に付着した霜を融かすためのデフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作(本実施形態では冷媒排出動作)とを行うように構成されている。
〈冷却運転〉
冷却運転の基本的な運転動作について、図1及び図5を参照しながら説明する。
冷却運転は、コントローラ(80)の冷却運転制御部(81)によって行われる。冷却運転制御部(81)は、第1開閉弁(SV1)を開放状態、第3開閉弁(SV3)を閉鎖状態、第1電動弁(MV1)を全開状態に制御し、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)の開度を適宜調節する。また、冷却運転制御部(81)は、圧縮機(31)、庫外ファン(34)、及び庫内ファン(36)を運転させる。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、高圧ガス配管(45)を介して放熱器(32)に流入し、放熱器(32)で凝縮(放熱)した後、レシーバ(48)を通過する。レシーバ(48)を通過した冷媒は、一部が高圧液配管(38)をそのまま流れ、残りはインジェクション配管(52)に分流する。高圧液配管(38)を流れた冷媒は、膨張弁(37)で減圧された後、低圧液配管(55)を流れ、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。これにより、庫内空間(S0)の空気が冷媒によって冷却される。蒸発器(35)で蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入される。
一方、インジェクション配管(52)に分流した冷媒は、第2電動弁(MV2)で中間圧(高圧圧力と低圧圧力の間の圧力)にまで減圧された後、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)に流入する。プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51b)を流れる冷媒と、2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。その結果、1次側通路(51b)の冷媒が過冷却される一方、2次側通路(51b)の冷媒が蒸発する。2次側通路(51b)を流出した冷媒は、圧縮機(31)の中間ポートより中間圧力状態(圧縮途中)の圧縮室に吸入される。
冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、圧縮機(31)のモータの回転数(即ち、圧縮機(31)の運転周波数)が制御される。具体的に、圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに近づくように制御される。より詳細に、冷却運転時の圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに収束するようにPID制御によって調整される。また、冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、庫外ファン(34)のモータの回転数も制御される。具体的に、庫外ファン(34)のモータの回転数は、高圧圧力センサ(60)で検出した高圧冷媒の圧力HPが一定となるように制御される。また、庫内ファン(36)のモータの回転数は、庫内の冷却負荷に応じて多段階に制御される。
冷却運転では、冷却運転制御部(81)により、膨張弁(37)の開度が、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、圧縮機(31)に吸入される低圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように膨張弁(37)の開度が制御される。また、冷却運転では、第2電動弁(MV2)の開度も、冷却運転制御部(81)により、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)を流出した中間圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように、膨張弁(37)の開度が制御される。
〈デフロスト運転〉
上述した冷却運転を継続して行うと、蒸発器(35)の伝熱管等の表面に霜が付着し、この霜が徐々に成長して肥大化していく。このため、コンテナ用冷凍装置(10)では、このような蒸発器(35)の除霜を行うためのデフロスト運転が通常運転(冷却運転)の合間に適宜実行される。
デフロスト運転は、コントローラ(80)のデフロスト運転制御部(82)によって行われる。本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、冷却運転中、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい場合にデフロスト運転を行う。
本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、所謂ホットガスデフロスト方式のデフロスト運転を実行する。具体的には、デフロスト運転制御部(82)は、図6に示すように、第1開閉弁(SV-1)及び第2開閉弁(SV-2)を閉鎖状態、第3開閉弁(SV3)を開放状態、第1電動弁(MV1)を最小開度、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)を全閉状態(ゼロパルス)に制御する。また、デフロスト運転制御部(82)は、圧縮機(31)を運転させ、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)を停止状態に制御する。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、ホットガスバイパス回路(42)を経由して蒸発器(35)へ供給される。具体的に、高圧ガス冷媒は、主管(52)を流れた後、第1分岐管(53)と第2分岐管(54)とへ分流する。第2分岐管(54)へ分流した冷媒は、ドレンパンヒータ(56)を通過する。ここで、ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)の表面から剥がれ落ちた氷塊等が回収されている。この氷塊等は、ドレンパンヒータ(56)の内部を流れる冷媒によって加熱されて融解する。融解した水は、所定の流路を通じて庫外へ排出される。
ドレンパンヒータ(56)を流出した冷媒は、第1分岐管(53)を流出した冷媒と合流し、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、伝熱管の内部を高圧ガス冷媒(いわゆるホットガス)が流通する。このため、蒸発器(35)では、伝熱管の周囲に付着した霜が、冷媒によって内部から徐々に加熱される。その結果、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。伝熱管から剥がれ落ちた霜(氷塊)は、ドレンパン(44)に回収される。蒸発器(35)の除霜に利用された冷媒は、圧縮機(31)に吸入されて圧縮される。
なお、デフロスト運転時に蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜(氷塊等)は、ドレンパン(44)に回収され、その後にドレンパンヒータ(56)に加熱されて液体となる。この液体(いわゆるドレン水)は、ドレンパン(44)から所定の排出路を通じて、コンテナ(11)の庫外へ排出される。
デフロスト運転制御部(82)は、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト運転を終了させる。
〈衝撃判定〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定は、コントローラ(80)の衝撃判定部(83)が行う。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の検出値に基づいてコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する。
具体的には、GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信する。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報の変化、具体的には、コンテナ(11)の移動前後の移動距離、移動速度、移動時間からコンテナ(11)に作用する衝撃値(加速度)を算出する。そして、衝撃判定部(83)は、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)以上の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)未満の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定する。
なお、衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化の開始時点を移動開始時とし、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化が所定時間(例えば、15秒間)ない場合、移動が終了したとして、変化の終了時点を移動終了時として衝撃値を算出する。
〈異常診断〉
コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断は、コントローラ(80)の異常診断部(84)が行う。異常診断は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに行われる。なお、本実施形態では、異常診断は、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間(例えば、3分)経過後に行われる。
異常診断部(84)は、まず、異常診断において、3つの冷媒センサ(74)に冷媒濃度を検出させる。このとき、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、異常診断部(84)は、第1電源(91)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、異常診断部(84)は、予備電源としての第2電源(92)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。
異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度から冷媒回路(40)から庫内へ冷媒が漏洩したか否かを判定する。具体的には、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の少なくとも1つが所定の第1濃度を超えている場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定する。一方、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の全てが第1濃度以下である場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定する。
そして、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、図示しないメモリに、異常フラグON(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断したことを示す情報)を記憶させる。一方、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断し、図示しないメモリに、異常フラグOFF(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断したことを示す情報)を記憶させる。
〈処理動作〉
コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作は、コントローラ(80)の処理部(85)が行う。所定の処理動作は、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合、即ち、異常フラグがONである場合に行われる。
本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として、庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行う。
なお、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、直ちに上記冷媒排出動作を行う。
一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記冷媒排出動作を行う。
上記冷媒排出動作により、冷媒回路(40)から漏洩した冷媒は、庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。よって、庫内における冷媒濃度の上昇を抑制できる。
なお、冷媒排出動作の終了条件は、例えば、3つの冷媒センサ(74)の検出値が、上述の冷媒排出動作を開始する基準とした上記第1濃度又は該第1濃度よりも低い第2濃度を下回った場合や、所定時間が経過した場合等、庫内に漏洩した冷媒がある程度排出されたと推測される条件であればいかなるものであってもよい。
−実施形態1の効果−
本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態1では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒センサ(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態1では、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)を設け、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒センサ(74)の検出値に基づいて冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、迅速に対処することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記冷媒センサ(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
このように、本実施形態1では、冷媒センサ(74)が、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に電力を供給する第1電源(91)と、該第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とに接続されている。そして、コントローラ(80)が、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、第1電源(91)が冷媒センサ(74)に電力を供給し、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、第2電源(92)が第1電源(91)に代わって冷媒センサ(74)に電力を供給するように構成されている。つまり、本実施形態1では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒センサ(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けている。このような構成により、本実施形態1では、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置としてのベンチレータ(29)とを有し、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記ベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
このように、本実施形態1では、異常診断部(84)がコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、処理部(85)が庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行うように構成されている。また、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態へ切り換わるのを待って冷媒排出動作を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、上記冷媒排出動作が行われ、漏洩した冷媒が庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。これにより、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した上記衝撃値が上記所定値未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するものである。
このように、本実施形態1では、コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を設け、衝撃判定部(83)が、該GPS受信機(73)によって検出されたコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)の変化からコンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出された衝撃値が所定値以上か否かでコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するように構成されている。このような構成により、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損し、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する又はコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する等の異常状態に陥る場合、破損直後は影響が小さいため、異常状態に陥っているか否かを正確に診断することができない。
そこで、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上述のように、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、異常診断部(84)が異常診断を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
《実施形態2》
実施形態2について図面に基づいて説明する。なお、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。ここでは、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)について、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)と異なる点を説明する。
実施形態2においても、コンテナ用冷凍装置(10)のコントローラ(80)は、冷却運転制御部(81)とデフロスト運転制御部(82)とを備え、通常運転として冷却運転を行うと共に、デフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、実施形態2においても、コントローラ(80)は、衝撃判定部(83)と異常診断部(84)と処理部(85)とを備えるが、実施形態2では、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とが実施形態1の異常診断及び処理動作と異なる。なお、衝撃判定部(83)による衝撃判定は実施形態1と同様である。
実施形態2では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能が不十分であるか否かにより、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)が異常状態であることを音声又は表示によるアラームを発する報知動作を、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として実行するように構成されている。
〈異常診断〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成され、コンテナ(11)の気密性能が不十分となるおそれがある。この場合には、冷却運転中、コンテナ(11)の庫外の空気の熱が、コンテナ(11)の庫内に侵入し、冷凍サイクルユニット(30)は所望の能力を発揮しているにも拘わらず、庫内を効率よく冷却できない不具合が生じてしまう。
そこで、実施形態2では、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。
実施形態2では、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行うと共に、冷却動作中、デフロスト運転の開始条件(蒸発器(35)の温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい)が成立した場合に、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。なお、冷却動作の設定時間は、コンテナ(11)の庫内の空気が露点温度以下になるまで冷却され、この空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる時間に設定されている。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、図7に示すように、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間経過後、蒸発器(35)の着霜量が増え、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が行われる。
異常診断部(84)は、上記診断運転において、冷却動作が開始されてから所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1を計測する。そして、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定する。
具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速くなり、早くデフロスト動作が開始されることとなる。
そこで、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも短い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速い場合に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも長い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が遅い場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt1は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
〈処理動作〉
本実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として、コンテナ(11)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行う。
なお、実施形態2では、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)による異常診断が行われるため、異常診断部(84)によってコンテナ(11)は異常状態であると診断された場合に、処理部(85)は、直ちに上記報知動作を行う。
上記報知動作により、使用者が、コンテナ(11)の異常状態であること(気密性能が不十分であること)を迅速に把握することができるため、速やかにコンテナ(11)の気密性能を改善する処置を行うことができる。
−実施形態2の効果−
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態2では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態2では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせて上記コンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、該診断運転の運転状態に基づいて上記コンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、上記コンテナ(11)の性能が不十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態であると診断し、上記コンテナ(11)の性能が十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態2では、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせてコンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、診断運転の運転状態に基づいてコンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ(11)が損傷してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能が低下した場合に、迅速に対処することができる。
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
なお、実施形態2の変形例1においても、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行し、その運転状態から気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。一方、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)が行うコンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かの判定手法が実施形態2と異なる。
具体的には、実施形態2では、異常診断部(84)は、冷却動作が開始されてから所定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定していたが、実施形態2の変形例1では、図8に示すように、異常診断部(84)は、デフロスト動作の実行時間、即ち、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
より具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速く、デフロスト動作の開始時点における蒸発器(35)の着霜量が多くなるため、その分、霜を除去するのに時間を要することとなる。
そこで、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも長い場合には、蒸発器(35)への着霜量が多く、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも短い場合には、蒸発器(35)への着霜量が少なく、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt2は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
《実施形態3》
実施形態3について図面に基づいて説明する。なお、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、診断運転と気密性能の判定手法は、実施形態2と異なる。
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行い、冷却動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。デフロスト動作の終了条件は、通常運転のデフロスト運転時と同様であり、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過すると、蒸発器(35)の着霜量に拘わらず、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われるデフロスト動作の実行時間を、直前のデフロスト動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)の着霜量が減るため、デフロスト動作の実行時間は、直前のデフロスト動作の実行時間よりも短くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd2)と前回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd1)とを比較する。そして、異常診断部(84)は、図9(A)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。一方、異常診断部(84)は、図9(B)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くならなかった場合(前回と同じ又は長くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。
−実施形態3の変形例1−
実施形態3の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
実施形態3の変形例1においても、異常診断部(84)は、上記診断運転として、通常運転の冷却運転及びデフロスト運転と同様の冷却動作とデフロスト動作とを交互に繰り返し行う。一方、実施形態3では、冷却動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、デフロスト動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定していたが、実施形態3の変形例1では、デフロスト動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、冷却動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定するように構成されている。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を所定の設定時間に亘って継続して行う。デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われる冷却動作の実行時間を、直前の冷却動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)に着霜し難くなるため、冷却動作の実行時間は、直前の冷却動作の実行時間よりも長くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回の冷却動作の実行時間(例えば、図 のΔtc2)と前回の冷却動作の実行時間(例えば、図 のΔtc1)とを比較し、冷却動作の実行時間が前回よりも長くならなかった場合(前回と同じ又は短くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の実行時間が前回よりも長くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
《実施形態4》
実施形態4について図面に基づいて説明する。なお、実施形態4のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、実施形態4では、異常診断において、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能及び断熱性能を診断するための診断運転を実行し、気密性能が不十分か十分かの気密性能判定と、断熱性能が不十分か十分かの断熱性能判定とを行い、各判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、庫内空気が所定の目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作を終了し、休止動作を行う。休止動作では、圧縮機(31)が停止され、その結果、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止する。一方、冷却動作から休止動作へ移行しても、庫内ファン(36)の運転は継続される。休止動作は、所定の設定期間tsetの間、継続して行われる。休止動作が開始されてから所定の設定期間tsetが経過すると、異常診断部(84)は、休止動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気が徐々に冷却され、目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作が終了され、休止動作を行う。休止動作において、圧縮機(31)が停止すると、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止するため、庫内空気の温度が徐々に上昇していく。
ところで、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が不十分である場合、庫外の空気の熱が庫内に侵入するため、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが比較的大きくなる。逆に、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が十分である場合、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが緩やかになる。また、コンテナ(11)の気密性能が不十分である場合、庫内空気よりも湿度の高い庫外の空気が庫内に侵入することにより、休止動作中には庫内空気の湿度が上昇する。逆に、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合、休止動作中に庫内空気の湿度は上昇しない。
そこで、実施形態4では、異常診断部(84)は、休止動作中における庫内空気の温度変化と湿度変化とに基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断することとしている。
具体的には、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに吸込温度センサ(70)で庫内温度(TA,TB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3(例えば0)よりも大きい場合、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3以下の場合、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定する。
また、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに庫内湿度センサ(72)で庫内湿度(HA,HB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4よりも大きい場合、コンテナ(11)の断熱性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4以下の場合、コンテナ(11)の断熱性能が十分であると判定する。
そして、異常診断部(84)は、上述の気密判定と断熱判定の判定結果に基づき、コンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断する。具体的には、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能の少なくとも一方が不十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。逆に、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能のいずれもが十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、基準値X3,X4は、経験的又は理論的に決定された値であり、特に、基準値X4は、運転中の庫内ファン(36)の発熱量を考慮して決定される。
《その他の実施形態》
上記各実施形態及び変形例では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部としてGPS受信機(73)を用いていたが、上記検出部はこれに限られない。図12に示すように、GPS受信機(73)の代わりに衝撃センサ(75)を設けてもよい。
具体的には、図12に示すコンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備えている。そして、衝撃判定部(83)を、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値(例えば、50G)以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、上記衝撃センサ(75)の検出値が上記所定値(例えば、50G)未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するように構成する。このような構成によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
また、上記実施形態1では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として冷媒排出動作を行うように構成されていたが、実施形態1においても、処理部(85)は、実施形態2と同様に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行うように構成されていてもよい。この場合、実施形態1の冷媒排出動作と同様に、第1電源(91)が電源ON状態の際には、異常診断後直ちに処理部(85)が報知動作を行い、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった後に処理部(85)が報知動作を行うように処理部(85)を構成する。
また、上記実施形態1では、異常診断部(84)は、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成され、実施形態2〜4及び各変形例では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていた。異常診断部(84)は、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていればよく、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の両方の異常診断を行うように構成されていてもよい。
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、コンテナ用冷凍装置について有用である。
10 コンテナ用冷凍装置
11 コンテナ
12 開口部
20 ケーシング
29 ベンチレータ(換気装置)
30 冷凍サイクルユニット
31 圧縮機
32 凝縮器(放熱器)
35 蒸発器
36 庫内ファン
40 冷媒回路
73 GPS受信機
74 冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)
75 衝撃センサ
80 コントローラ(制御部)
83 衝撃判定部
84 異常診断部
85 処理部
91 第1電源
92 第2電源
本開示は、コンテナ用冷凍装置に関するものである。
従来、海上輸送又は陸上輸送用のコンテナの庫内を植物等の貯蔵物の貯蔵に適した温度に冷却するためにコンテナ用冷凍装置が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。コンテナ用冷凍装置は、コンテナの開口部を開閉自在に閉塞するケーシングに設けられ、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を有している。上記コンテナ用冷凍装置では、ケーシングの庫内側に設けられた冷媒回路中の蒸発器において低圧冷媒と庫内空気とを熱交換させ、冷却された空気を循環させることにより、庫内を冷却している。
ところで、上述のような輸送用コンテナは、船舶や車両に積載する際や集積場所においてクレーン等を用いて移動させることがあり、その際に強い衝撃が作用することがある。コンテナに強い衝撃が作用すると、コンテナやコンテナ用冷凍装置が損傷し、コンテナの気密性能や断熱性能等が低下する又は庫内に冷媒が漏洩する等、コンテナやコンテナ用冷凍装置が異常状態に陥るおそれがある。
しかしながら、従来のコンテナ用冷凍装置では、定期的にコンテナやコンテナ用冷凍装置が正常な状態か否かを診断する自動自己診断動作を行うものの、コンテナに強い衝撃が作用した場合にこのような診断を行っていなかった。そのため、コンテナに強い衝撃が作用するためにコンテナやコンテナ用冷凍装置が異常な状態に陥っても、次の自動自己診断動作まではコンテナ内の状態を診断する術がなく、その事態をいち早く把握することができなかった。
本開示の目的は、コンテナに強い衝撃が作用してコンテナ又はコンテナ用冷凍装置に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置を提供することにある。
本開示の第1の態様は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節する制御部(80)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記制御部(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)及び上記コンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えているものである。
第1の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われるため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒漏洩検出部(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断するものである。
第2の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記冷媒漏洩検出部(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
第3の態様では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けているため、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定できる。
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置(29)とを有し、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記換気装置(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
第4の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作が行われ、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
本開示の第5の態様は、上記第1乃至第4のいずれか1つの態様において、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第5の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
本開示の第6の態様は、上記第1乃至第4のいずれか1つの態様において、上記コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第6の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
本開示の第7の態様は、上記第1乃至第6のいずれか1つの態様において、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
第7の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
図1は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置の縦断面図である。
図2は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
図3は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図である。
図4は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫内側から視た側面図である。
図5は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、冷却運転における冷媒の流れを示したものである。
図6は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、デフロスト運転における冷媒の流れを示したものである。
図7は、実施形態2の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図8は、実施形態2の変形例1の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図9(A)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図9(B)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図10(A)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図10(B)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図11は、実施形態4の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図12は、その他の実施形態のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
《実施形態1》
実施形態1について図面に基づいて説明する。
−コンテナ用冷凍装置の構成−
図1〜図3に示すように、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送に用いられるコンテナ(11)の庫内を冷却するものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)の側方の開口部(12)を閉塞する蓋体となるケーシング(20)と、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、コントローラ(制御部)(80)と、GPS受信機(73)と、冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)(74)と、電源ユニット(90)とを有している。
〈ケーシング〉
ケーシング(20)は、コンテナ外である庫外側と、コンテナ内である庫内側とを仕切るケーシング本体(21)と、ケーシング(20)の背面(庫内側)に設けられる仕切り板(27)とを備えている。
ケーシング本体(21)は、下部に庫内側に膨出する膨出部(22)が形成され、上部にコンテナ(11)の開口部(12)と略面一な平板部(23)が形成されている。ケーシング本体(21)では、膨出部(22)の外面側に形成される凹みの内部が庫外収納空間(S1)に構成され、膨出部(22)の上方で平板部(23)の庫内側が庫内収納空間(S2)に構成されている。平板部(23)には、点検口(28)とベンチレータ(換気装置)(29)とが設けられている。点検口(28)は、メンテナンス時に開閉可能な扉を有する覗き窓であり、2つ横並びに設けられている。ベンチレータ(29)は、庫内の換気を行うための換気装置であり、コントローラ(80)によって動作が制御される。
ケーシング本体(21)は、厚み方向に積層される略同一形状の3つの部材(24,25,26)を有している。具体的には、ケーシング本体(21)は、庫外に面する庫外ケーシング(24)と、庫内に面する庫内ケーシング(25)と、庫外ケーシング(24)と庫内ケーシング(25)との間に設けられた断熱層(26)とを有している。本実施形態1では、庫外ケーシング(24)は、アルミニウムからなり、庫内ケーシング(25)は、強化繊維プラスチック(FRP)からなり、断熱層(26)は発泡樹脂からなる。
上記庫外収納空間(S1)には、後述する圧縮機(31)、放熱器(凝縮器)(32)、庫外ファン(34)、インバータボックス(14)及び電装品ボックス(15)が収納される一方、庫内収納空間(S2)には、後述する蒸発器(35)及び庫内ファン(36)が取り付けられている。また、上記膨出部(22)と仕切り板(27)との間は、庫内空気が流れる空気通路(S3)に構成されている。該空気通路(S3)の上端は、庫内収納空間(S2)に連通する一方、下端が庫内に連通している。
〈冷凍サイクルユニット〉
冷凍サイクルユニット(30)は、冷媒が循環することによって蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(40)と、庫外ファン(34)と、庫内ファン(36)とを備えている。
冷媒回路(40)は、主回路(41)とホットガスバイパス回路(42)と過冷却回路(43)とを有している。主回路(41)には、上述した圧縮機(31)、放熱器(32)、膨張弁(37)、及び蒸発器(35)が直列的に順に接続されている。
圧縮機(31)は、圧縮機構を駆動するモータ(図示省略)を有している。この圧縮機(31)のモータの回転数は、インバータによって多段階に制御される。つまり、圧縮機(31)は、運転容量が可変に構成されている。この圧縮機(31)に接続された上記インバータの回路基板は、上記インバータボックス(14)に収納されている。
放熱器(32)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述のように、放熱器(32)は、庫外収納空間(S1)に配置されている。放熱器(32)の近傍には、庫外ファン(34)が設けられる。放熱器(32)では、庫外ファン(34)によって供給された庫外の空気と冷媒とが熱交換する。庫外ファン(34)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
膨張弁(37)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
蒸発器(35)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述したように、蒸発器(35)は、庫内収納空間(S2)に配置されている。蒸発器(35)は、左右方向の一端側に設けられたヘッダに両端部が接続された複数のU字管を有している。冷媒は、複数のU字管を流れる際に、周囲の庫内空気と熱交換して庫内空気を冷却する。
蒸発器(35)の近傍には、庫内ファン(36)が設けられる。蒸発器(35)では、庫内ファン(36)によって供給された庫内の空気と冷媒とが熱交換する。庫内ファン(36)は、蒸発器(35)で冷却された冷却空気を庫内に供給する。庫内ファン(36)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
また、蒸発器(35)の下側には、ドレンパン(44)が設けられている。ドレンパン(44)は、上側が開放された扁平な容器状に形成されている。ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜や氷塊や、空気中から凝縮した結露水等が回収される。
圧縮機(31)と放熱器(32)との間の高圧ガス配管(45)には、逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)とが順に設けられている。逆止弁(CV)は、図1に示す矢印の方向への冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止している。第1電動弁(MV1)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
放熱器(32)と膨張弁(37)との間の高圧液配管(38)には、レシーバ(48)とドライヤ(50)と第1開閉弁(SV1)とプレート熱交換器(51)とが順に設けられている。第1開閉弁(SV1)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。ドライヤ(50)は、放熱器(32)を流れた液冷媒中の水分を捕捉するように構成されている。
プレート熱交換器(51)は、放熱器(32)を流れた液冷媒を冷却するものである。プレート熱交換器(51)は、1次側通路(51a)と2次側通路(51b)とを有している。つまり、プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51a)を流れる冷媒と2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。1次側通路(51a)は、主回路(41)に接続され、2次側通路(51b)は、過冷却回路(43)のインジェクション配管(52)に接続される。インジェクション配管(52)の流入端は、主回路(41)におけるレシーバ(48)と第1開閉弁(SV1)の間に接続している。インジェクション配管(52)の流出端は、圧縮機(31)の圧縮途中(中間圧力状態)の圧縮室と接続している。インジェクション配管(52)における2次側通路(51b)の流入側には、第2開閉弁(SV2)と第2電動弁(MV2)とが設けられている。第2開閉弁(SV2)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。第2電動弁(MV2)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能であり、冷媒を減圧する減圧機構を構成している。
ホットガスバイパス回路(42)は、1本の主管(52)と、該主管(52)から分岐する2本の分岐通路(53,54)(第1分岐管(53)と第2分岐管(54))とを有している。主管(52)の流入端は、高圧ガス配管(45)における逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)との間に接続している。主管(52)には、第3開閉弁(SV3)が設けられている。第3開閉弁(SV3)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。
第1分岐管(53)は、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が膨張弁(37)と蒸発器(35)との間の低圧液配管(55)と接続している。同様に、第2分岐管(54)も、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が低圧液配管(55)と接続している。第2分岐管(54)は、第1分岐管(53)よりも長い冷媒配管で構成されている。また、第2分岐管(54)は、ドレンパン(44)の底部に沿うように蛇行して配設される、ドレンパンヒータ(56)を有している。ドレンパンヒータ(56)は、ドレンパン(44)の内部を冷媒によって加熱するように構成されている。以上のようにして、ホットガスバイパス回路(42)は、圧縮機(31)で圧縮した冷媒(圧縮機(31)から吐出された高温高圧のガス冷媒)を蒸発器(35)へ供給するためのバイパス回路を構成している。
冷媒回路(40)には、各種のセンサ類も設けられている。具体的に、高圧ガス配管(45)には、高圧圧力センサ(60)と高圧圧力スイッチ(61)と吐出温度センサ(62)とが設けられている。高圧圧力センサ(60)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ(62)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の温度を検出する。蒸発器(35)と圧縮機(31)の間の低圧ガス配管(57)には、低圧圧力センサ(63)と吸入温度センサ(64)とが設けられている。低圧圧力センサ(63)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(64)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する。
インジェクション配管(52)には、2次側通路(51b)の流入側に第1流入温度センサ(65)が、2次側通路(51b)の流出側に第1流出温度センサ(66)がそれぞれ設けられている。第1流入温度センサ(65)は、2次側通路(51b)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。また、第1流出温度センサ(66)は、2次側通路(51b)に流出した直後の冷媒の温度を検出する。
低圧液配管(55)には、蒸発器(35)の流入側に第2流入温度センサ(67)が設けられている。第2流入温度センサ(67)は、蒸発器(35)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。低圧ガス配管(57)には、蒸発器(35)の流出側に第2流出温度センサ(68)が設けられている。第2流出温度センサ(68)は、蒸発器(35)から流出した直後の冷媒の温度を検出する。
コンテナ(11)の庫外には、放熱器(32)の吸込側に外気温度センサ(69)が設けられている。外気温度センサ(69)は、放熱器(32)を通過前の庫外空気の温度(即ち、外気の温度)を検出する。
一方、コンテナ(11)の庫内には、蒸発器(35)の吸込側に吸込温度センサ(70)が設けられ、蒸発器(35)の吹出側に吹出温度センサ(71)が設けられている。吸込温度センサ(70)は、蒸発器(35)を通過する直前の庫内空気の温度を検出する。吹出温度センサ(71)は、蒸発器(35)を通過した直後の庫内空気の温度を検出する。つまり、吸込温度センサ(70)は、庫内空気の温度を検出するための温度検出部を構成している。
また、上記コンテナの(11)庫内には、庫内湿度センサ(72)が設けられている。庫内湿度センサ(72)は、蒸発器(35)の吸込側(上流側)の空気の湿度を検出する。つまり、庫内湿度センサ(72)は、庫内空間(S0)から庫内収納空間(S2)へ返送される庫内空気の湿度を検出する湿度検出部を構成している。
〈GPS受信機〉
図2に示すように、コンテナ(11)の庫外には、GPS受信機(73)が設けられている。GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信するように構成されている。詳細は後述するが、コントローラ(80)では、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)からコンテナ(11)に作用する衝撃値を求める。つまり、GPS受信機(73)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部を構成している。
〈冷媒センサ〉
図1に示すように、上記コンテナ(11)の庫内には、冷媒回路(40)から庫内に漏れた冷媒を検出するための冷媒センサ(74)が設けられている。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、金属酸化物半導体の表面に吸着した酸素イオンが、冷媒と反応して表面から離脱することによってセンサ内部の自由電子が増加して抵抗値が低下するその変化を測定することで冷媒濃度を求めるものである。冷媒センサ(74)によって検出された冷媒濃度は、コントローラ(80)に送信される。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、蒸発器(35)の左右方向の両端下方に各1つと、膨出部(22)と仕切り板(27)との間の空気通路(S3)の下部に1つとの合計3つ設けられている。3つの冷媒センサ(74)は、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩(本実施形態1では、冷媒濃度)を検出する冷媒漏洩検出部を構成している。なお、冷媒センサ(74)の個数は3つに限られない。冷媒センサ(74)は、1つ、2つ、又は4つ以上設けてもよい。
〈コントローラ〉
コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(40)を制御するための制御部としてのコントローラ(80)が設けられている。即ち、コントローラ(80)は、上述した各種のセンサの検出信号に基づいて、例えば圧縮機(31)のモータの回転数、各ファン(34,36)のモータの回転数、各電磁弁(MV1,MV2)や膨張弁(37)の開度、各開閉弁(SV1,SV2,SV3)の開閉状態等を制御する。コントローラ(80)は、電装品ボックス(15)内に設けられている。
また、図3に示すように、コントローラ(80)は、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒でコンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転を実行する冷却運転制御部(81)と、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒で蒸発器(35)の除霜を行うデフロスト運転を実行するデフロスト運転制御部(82)とを備えている。
また、コントローラ(80)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定を実行する衝撃判定部(83)と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断を実行する異常診断部(84)と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作を実行する処理部(85)とを備えている。
なお、詳細については後述するが、本実施形態では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩したか否かにより、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ(11)の庫内に漏洩した冷媒を庫外に排出する冷媒排出動作を上記所定の処理動作として実行するように構成されている。
また、本実施形態では、コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各要素を制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。尚、上記コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の制御部の一例であり、コントローラ(80)の詳細な構造やアルゴリズムは、本開示に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
なお、コントローラ(80)による各種制御の詳細については後述する。
〈電源ユニット〉
電源ユニット(90)は、コンテナの(11)庫外に設けられている。電源ユニット(90)は、第1電源(91)と第2電源(92)と第3電源(93)とを有している。
第1電源(91)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各電気機器と3つの冷媒センサ(74)とに接続され、これらに電力を供給する。具体的には、第1電源(91)には、圧縮機(31)のインバータ回路基板と、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)の各回路基板と、第1〜第3開閉弁(SV1〜SV3)、第1及び第2電動弁(MV1,MV2)、ベンチレータ(29)及び膨張弁(37)のアクチュエータと、各種センサ(60,62〜72)と、高圧圧力スイッチ(61)と、3つの冷媒センサ(74)とが接続されている。
第2電源(92)は、3つの冷媒センサ(74)に接続され、該冷媒センサ(74)に電力を供給可能に構成されている。本実施形態では、第2電源(92)は、第1電源(91)が電力供給不能な電源OFF状態の際に、3つの冷媒センサ(74)に電力を供給する、所謂予備電源である。つまり、3つの冷媒センサ(74)は、第1電源(91)と第2電源(92)との両方に接続されている。本実施形態では、第2電源(92)は、乾電池によって構成されているが、乾電池の他、太陽光発電装置等によって構成されていてもよい。
第3電源(93)は、コントローラ(80)とGPS受信機(73)とに接続され、常時、これらに電力を供給する。
−コンテナ冷凍装置の運転動作−
次に、コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作について説明する。コンテナ用冷凍装置(10)は、通常運転として冷却運転を行うと共に、蒸発器(35)に付着した霜を融かすためのデフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作(本実施形態では冷媒排出動作)とを行うように構成されている。
〈冷却運転〉
冷却運転の基本的な運転動作について、図1及び図5を参照しながら説明する。
冷却運転は、コントローラ(80)の冷却運転制御部(81)によって行われる。冷却運転制御部(81)は、第1開閉弁(SV1)を開放状態、第3開閉弁(SV3)を閉鎖状態、第1電動弁(MV1)を全開状態に制御し、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)の開度を適宜調節する。また、冷却運転制御部(81)は、圧縮機(31)、庫外ファン(34)、及び庫内ファン(36)を運転させる。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、高圧ガス配管(45)を介して放熱器(32)に流入し、放熱器(32)で凝縮(放熱)した後、レシーバ(48)を通過する。レシーバ(48)を通過した冷媒は、一部が高圧液配管(38)をそのまま流れ、残りはインジェクション配管(52)に分流する。高圧液配管(38)を流れた冷媒は、膨張弁(37)で減圧された後、低圧液配管(55)を流れ、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。これにより、庫内空間(S0)の空気が冷媒によって冷却される。蒸発器(35)で蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入される。
一方、インジェクション配管(52)に分流した冷媒は、第2電動弁(MV2)で中間圧(高圧圧力と低圧圧力の間の圧力)にまで減圧された後、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)に流入する。プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51b)を流れる冷媒と、2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。その結果、1次側通路(51b)の冷媒が過冷却される一方、2次側通路(51b)の冷媒が蒸発する。2次側通路(51b)を流出した冷媒は、圧縮機(31)の中間ポートより中間圧力状態(圧縮途中)の圧縮室に吸入される。
冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、圧縮機(31)のモータの回転数(即ち、圧縮機(31)の運転周波数)が制御される。具体的に、圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに近づくように制御される。より詳細に、冷却運転時の圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに収束するようにPID制御によって調整される。また、冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、庫外ファン(34)のモータの回転数も制御される。具体的に、庫外ファン(34)のモータの回転数は、高圧圧力センサ(60)で検出した高圧冷媒の圧力HPが一定となるように制御される。また、庫内ファン(36)のモータの回転数は、庫内の冷却負荷に応じて多段階に制御される。
冷却運転では、冷却運転制御部(81)により、膨張弁(37)の開度が、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、圧縮機(31)に吸入される低圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように膨張弁(37)の開度が制御される。また、冷却運転では、第2電動弁(MV2)の開度も、冷却運転制御部(81)により、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)を流出した中間圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように、膨張弁(37)の開度が制御される。
〈デフロスト運転〉
上述した冷却運転を継続して行うと、蒸発器(35)の伝熱管等の表面に霜が付着し、この霜が徐々に成長して肥大化していく。このため、コンテナ用冷凍装置(10)では、このような蒸発器(35)の除霜を行うためのデフロスト運転が通常運転(冷却運転)の合間に適宜実行される。
デフロスト運転は、コントローラ(80)のデフロスト運転制御部(82)によって行われる。本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、冷却運転中、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい場合にデフロスト運転を行う。
本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、所謂ホットガスデフロスト方式のデフロスト運転を実行する。具体的には、デフロスト運転制御部(82)は、図6に示すように、第1開閉弁(SV-1)及び第2開閉弁(SV-2)を閉鎖状態、第3開閉弁(SV3)を開放状態、第1電動弁(MV1)を最小開度、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)を全閉状態(ゼロパルス)に制御する。また、デフロスト運転制御部(82)は、圧縮機(31)を運転させ、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)を停止状態に制御する。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、ホットガスバイパス回路(42)を経由して蒸発器(35)へ供給される。具体的に、高圧ガス冷媒は、主管(52)を流れた後、第1分岐管(53)と第2分岐管(54)とへ分流する。第2分岐管(54)へ分流した冷媒は、ドレンパンヒータ(56)を通過する。ここで、ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)の表面から剥がれ落ちた氷塊等が回収されている。この氷塊等は、ドレンパンヒータ(56)の内部を流れる冷媒によって加熱されて融解する。融解した水は、所定の流路を通じて庫外へ排出される。
ドレンパンヒータ(56)を流出した冷媒は、第1分岐管(53)を流出した冷媒と合流し、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、伝熱管の内部を高圧ガス冷媒(いわゆるホットガス)が流通する。このため、蒸発器(35)では、伝熱管の周囲に付着した霜が、冷媒によって内部から徐々に加熱される。その結果、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。伝熱管から剥がれ落ちた霜(氷塊)は、ドレンパン(44)に回収される。蒸発器(35)の除霜に利用された冷媒は、圧縮機(31)に吸入されて圧縮される。
なお、デフロスト運転時に蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜(氷塊等)は、ドレンパン(44)に回収され、その後にドレンパンヒータ(56)に加熱されて液体となる。この液体(いわゆるドレン水)は、ドレンパン(44)から所定の排出路を通じて、コンテナ(11)の庫外へ排出される。
デフロスト運転制御部(82)は、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト運転を終了させる。
〈衝撃判定〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定は、コントローラ(80)の衝撃判定部(83)が行う。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の検出値に基づいてコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する。
具体的には、GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信する。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報の変化、具体的には、コンテナ(11)の移動前後の移動距離、移動速度、移動時間からコンテナ(11)に作用する衝撃値(加速度)を算出する。そして、衝撃判定部(83)は、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)以上の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)未満の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定する。
なお、衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化の開始時点を移動開始時とし、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化が所定時間(例えば、15秒間)ない場合、移動が終了したとして、変化の終了時点を移動終了時として衝撃値を算出する。
〈異常診断〉
コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断は、コントローラ(80)の異常診断部(84)が行う。異常診断は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに行われる。なお、本実施形態では、異常診断は、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間(例えば、3分)経過後に行われる。
異常診断部(84)は、まず、異常診断において、3つの冷媒センサ(74)に冷媒濃度を検出させる。このとき、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、異常診断部(84)は、第1電源(91)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、異常診断部(84)は、予備電源としての第2電源(92)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。
異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度から冷媒回路(40)から庫内へ冷媒が漏洩したか否かを判定する。具体的には、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の少なくとも1つが所定の第1濃度を超えている場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定する。一方、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の全てが第1濃度以下である場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定する。
そして、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、図示しないメモリに、異常フラグON(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断したことを示す情報)を記憶させる。一方、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断し、図示しないメモリに、異常フラグOFF(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断したことを示す情報)を記憶させる。
〈処理動作〉
コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作は、コントローラ(80)の処理部(85)が行う。所定の処理動作は、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合、即ち、異常フラグがONである場合に行われる。
本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として、庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行う。
なお、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、直ちに上記冷媒排出動作を行う。
一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記冷媒排出動作を行う。
上記冷媒排出動作により、冷媒回路(40)から漏洩した冷媒は、庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。よって、庫内における冷媒濃度の上昇を抑制できる。
なお、冷媒排出動作の終了条件は、例えば、3つの冷媒センサ(74)の検出値が、上述の冷媒排出動作を開始する基準とした上記第1濃度又は該第1濃度よりも低い第2濃度を下回った場合や、所定時間が経過した場合等、庫内に漏洩した冷媒がある程度排出されたと推測される条件であればいかなるものであってもよい。
−実施形態1の効果−
本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態1では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒センサ(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態1では、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)を設け、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒センサ(74)の検出値に基づいて冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、迅速に対処することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記冷媒センサ(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
このように、本実施形態1では、冷媒センサ(74)が、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に電力を供給する第1電源(91)と、該第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とに接続されている。そして、コントローラ(80)が、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、第1電源(91)が冷媒センサ(74)に電力を供給し、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、第2電源(92)が第1電源(91)に代わって冷媒センサ(74)に電力を供給するように構成されている。つまり、本実施形態1では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒センサ(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けている。このような構成により、本実施形態1では、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置としてのベンチレータ(29)とを有し、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記ベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
このように、本実施形態1では、異常診断部(84)がコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、処理部(85)が庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行うように構成されている。また、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態へ切り換わるのを待って冷媒排出動作を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、上記冷媒排出動作が行われ、漏洩した冷媒が庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。これにより、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した上記衝撃値が上記所定値未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するものである。
このように、本実施形態1では、コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を設け、衝撃判定部(83)が、該GPS受信機(73)によって検出されたコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)の変化からコンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出された衝撃値が所定値以上か否かでコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するように構成されている。このような構成により、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損し、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する又はコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する等の異常状態に陥る場合、破損直後は影響が小さいため、異常状態に陥っているか否かを正確に診断することができない。
そこで、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上述のように、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、異常診断部(84)が異常診断を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
《実施形態2》
実施形態2について図面に基づいて説明する。なお、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。ここでは、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)について、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)と異なる点を説明する。
実施形態2においても、コンテナ用冷凍装置(10)のコントローラ(80)は、冷却運転制御部(81)とデフロスト運転制御部(82)とを備え、通常運転として冷却運転を行うと共に、デフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、実施形態2においても、コントローラ(80)は、衝撃判定部(83)と異常診断部(84)と処理部(85)とを備えるが、実施形態2では、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とが実施形態1の異常診断及び処理動作と異なる。なお、衝撃判定部(83)による衝撃判定は実施形態1と同様である。
実施形態2では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能が不十分であるか否かにより、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)が異常状態であることを音声又は表示によるアラームを発する報知動作を、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として実行するように構成されている。
〈異常診断〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成され、コンテナ(11)の気密性能が不十分となるおそれがある。この場合には、冷却運転中、コンテナ(11)の庫外の空気の熱が、コンテナ(11)の庫内に侵入し、冷凍サイクルユニット(30)は所望の能力を発揮しているにも拘わらず、庫内を効率よく冷却できない不具合が生じてしまう。
そこで、実施形態2では、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。
実施形態2では、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行うと共に、冷却動作中、デフロスト運転の開始条件(蒸発器(35)の温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい)が成立した場合に、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。なお、冷却動作の設定時間は、コンテナ(11)の庫内の空気が露点温度以下になるまで冷却され、この空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる時間に設定されている。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、図7に示すように、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間経過後、蒸発器(35)の着霜量が増え、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が行われる。
異常診断部(84)は、上記診断運転において、冷却動作が開始されてから所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1を計測する。そして、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定する。
具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速くなり、早くデフロスト動作が開始されることとなる。
そこで、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも短い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速い場合に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも長い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が遅い場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt1は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
〈処理動作〉
本実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として、コンテナ(11)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行う。
なお、実施形態2では、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)による異常診断が行われるため、異常診断部(84)によってコンテナ(11)は異常状態であると診断された場合に、処理部(85)は、直ちに上記報知動作を行う。
上記報知動作により、使用者が、コンテナ(11)の異常状態であること(気密性能が不十分であること)を迅速に把握することができるため、速やかにコンテナ(11)の気密性能を改善する処置を行うことができる。
−実施形態2の効果−
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態2では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態2では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせて上記コンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、該診断運転の運転状態に基づいて上記コンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、上記コンテナ(11)の性能が不十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態であると診断し、上記コンテナ(11)の性能が十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態2では、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせてコンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、診断運転の運転状態に基づいてコンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ(11)が損傷してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能が低下した場合に、迅速に対処することができる。
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
なお、実施形態2の変形例1においても、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行し、その運転状態から気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。一方、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)が行うコンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かの判定手法が実施形態2と異なる。
具体的には、実施形態2では、異常診断部(84)は、冷却動作が開始されてから所定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定していたが、実施形態2の変形例1では、図8に示すように、異常診断部(84)は、デフロスト動作の実行時間、即ち、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
より具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速く、デフロスト動作の開始時点における蒸発器(35)の着霜量が多くなるため、その分、霜を除去するのに時間を要することとなる。
そこで、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも長い場合には、蒸発器(35)への着霜量が多く、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも短い場合には、蒸発器(35)への着霜量が少なく、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt2は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
《実施形態3》
実施形態3について図面に基づいて説明する。なお、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、診断運転と気密性能の判定手法は、実施形態2と異なる。
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行い、冷却動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。デフロスト動作の終了条件は、通常運転のデフロスト運転時と同様であり、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過すると、蒸発器(35)の着霜量に拘わらず、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われるデフロスト動作の実行時間を、直前のデフロスト動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)の着霜量が減るため、デフロスト動作の実行時間は、直前のデフロスト動作の実行時間よりも短くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd2)と前回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd1)とを比較する。そして、異常診断部(84)は、図9(A)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。一方、異常診断部(84)は、図9(B)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くならなかった場合(前回と同じ又は長くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。
−実施形態3の変形例1−
実施形態3の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
実施形態3の変形例1においても、異常診断部(84)は、上記診断運転として、通常運転の冷却運転及びデフロスト運転と同様の冷却動作とデフロスト動作とを交互に繰り返し行う。一方、実施形態3では、冷却動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、デフロスト動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定していたが、実施形態3の変形例1では、デフロスト動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、冷却動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定するように構成されている。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を所定の設定時間に亘って継続して行う。デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われる冷却動作の実行時間を、直前の冷却動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)に着霜し難くなるため、冷却動作の実行時間は、直前の冷却動作の実行時間よりも長くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回の冷却動作の実行時間(例えば、図10(A)及び図10(B)のΔtc2)と前回の冷却動作の実行時間(例えば、図10(A)及び図10(B)のΔtc1)とを比較し、冷却動作の実行時間が前回よりも長くならなかった場合(前回と同じ又は短くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の実行時間が前回よりも長くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
《実施形態4》
実施形態4について図面に基づいて説明する。なお、実施形態4のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、実施形態4では、異常診断において、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能及び断熱性能を診断するための診断運転を実行し、気密性能が不十分か十分かの気密性能判定と、断熱性能が不十分か十分かの断熱性能判定とを行い、各判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、庫内空気が所定の目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作を終了し、休止動作を行う。休止動作では、圧縮機(31)が停止され、その結果、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止する。一方、冷却動作から休止動作へ移行しても、庫内ファン(36)の運転は継続される。休止動作は、所定の設定期間tsetの間、継続して行われる。休止動作が開始されてから所定の設定期間tsetが経過すると、異常診断部(84)は、休止動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気が徐々に冷却され、目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作が終了され、休止動作を行う。休止動作において、圧縮機(31)が停止すると、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止するため、庫内空気の温度が徐々に上昇していく。
ところで、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が不十分である場合、庫外の空気の熱が庫内に侵入するため、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが比較的大きくなる。逆に、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が十分である場合、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが緩やかになる。また、コンテナ(11)の気密性能が不十分である場合、庫内空気よりも湿度の高い庫外の空気が庫内に侵入することにより、休止動作中には庫内空気の湿度が上昇する。逆に、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合、休止動作中に庫内空気の湿度は上昇しない。
そこで、実施形態4では、異常診断部(84)は、休止動作中における庫内空気の温度変化と湿度変化とに基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断することとしている。
具体的には、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに吸込温度センサ(70)で庫内温度(TA,TB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3(例えば0)よりも大きい場合、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3以下の場合、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定する。
また、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに庫内湿度センサ(72)で庫内湿度(HA,HB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4よりも大きい場合、コンテナ(11)の断熱性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4以下の場合、コンテナ(11)の断熱性能が十分であると判定する。
そして、異常診断部(84)は、上述の気密判定と断熱判定の判定結果に基づき、コンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断する。具体的には、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能の少なくとも一方が不十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。逆に、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能のいずれもが十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、基準値X3,X4は、経験的又は理論的に決定された値であり、特に、基準値X4は、運転中の庫内ファン(36)の発熱量を考慮して決定される。
《その他の実施形態》
上記各実施形態及び変形例では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部としてGPS受信機(73)を用いていたが、上記検出部はこれに限られない。図12に示すように、GPS受信機(73)の代わりに衝撃センサ(75)を設けてもよい。
具体的には、図12に示すコンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備えている。そして、衝撃判定部(83)を、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値(例えば、50G)以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、上記衝撃センサ(75)の検出値が上記所定値(例えば、50G)未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するように構成する。このような構成によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
また、上記実施形態1では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として冷媒排出動作を行うように構成されていたが、実施形態1においても、処理部(85)は、実施形態2と同様に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行うように構成されていてもよい。この場合、実施形態1の冷媒排出動作と同様に、第1電源(91)が電源ON状態の際には、異常診断後直ちに処理部(85)が報知動作を行い、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった後に処理部(85)が報知動作を行うように処理部(85)を構成する。
また、上記実施形態1では、異常診断部(84)は、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成され、実施形態2〜4及び各変形例では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていた。異常診断部(84)は、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていればよく、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の両方の異常診断を行うように構成されていてもよい。
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、コンテナ用冷凍装置について有用である。
10 コンテナ用冷凍装置
11 コンテナ
12 開口部
20 ケーシング
29 ベンチレータ(換気装置)
30 冷凍サイクルユニット
31 圧縮機
32 放熱器
35 蒸発器
36 庫内ファン
40 冷媒回路
73 GPS受信機
74 冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)
75 衝撃センサ
80 コントローラ(制御部)
83 衝撃判定部
84 異常診断部
85 処理部
91 第1電源
92 第2電源
本開示は、コンテナ用冷凍装置に関するものである。
従来、海上輸送又は陸上輸送用のコンテナの庫内を植物等の貯蔵物の貯蔵に適した温度に冷却するためにコンテナ用冷凍装置が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。コンテナ用冷凍装置は、コンテナの開口部を開閉自在に閉塞するケーシングに設けられ、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を有している。上記コンテナ用冷凍装置では、ケーシングの庫内側に設けられた冷媒回路中の蒸発器において低圧冷媒と庫内空気とを熱交換させ、冷却された空気を循環させることにより、庫内を冷却している。
ところで、上述のような輸送用コンテナは、船舶や車両に積載する際や集積場所においてクレーン等を用いて移動させることがあり、その際に強い衝撃が作用することがある。コンテナに強い衝撃が作用すると、コンテナやコンテナ用冷凍装置が損傷し、コンテナの気密性能や断熱性能等が低下する又は庫内に冷媒が漏洩する等、コンテナやコンテナ用冷凍装置が異常状態に陥るおそれがある。
しかしながら、従来のコンテナ用冷凍装置では、定期的にコンテナやコンテナ用冷凍装置が正常な状態か否かを診断する自動自己診断動作を行うものの、コンテナに強い衝撃が作用した場合にこのような診断を行っていなかった。そのため、コンテナに強い衝撃が作用するためにコンテナやコンテナ用冷凍装置が異常な状態に陥っても、次の自動自己診断動作まではコンテナ内の状態を診断する術がなく、その事態をいち早く把握することができなかった。
本開示の目的は、コンテナに強い衝撃が作用してコンテナ又はコンテナ用冷凍装置に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置を提供することにある。
本開示の第1の態様は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節する制御部(80)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記制御部(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)及び上記コンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備え、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出し、上記制御部(80)に送信する検出部(73,75)と、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記制御部(80)と上記検出部(73,75)とに電力を供給する上記第1電源(91)とは異なる第3電源(93)とを備えているものである。
第1の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われるため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒漏洩検出部(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断するものである。
第2の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。
本開示の第3の態様は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節する制御部(80)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記制御部(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)及び上記コンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)と、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記コンテナ(11)内には、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒漏洩検出部(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
本開示の第4の態様は、上記第2の態様において、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)を備え、上記冷媒漏洩検出部(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して該冷媒漏洩検出部(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
第3及び第4の態様では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けているため、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒漏洩検出部(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定できる。
本開示の第5の態様は、上記第3及び第4の態様において、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置(29)とを有し、上記制御部(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記換気装置(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
第5の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作が行われ、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
本開示の第6の態様は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節する制御部(80)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記制御部(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)及び上記コンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)と、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)とを備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
本開示の第7の態様は、上記第1乃至第5のいずれか1つの態様において、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第6及び第7の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
本開示の第8の態様は、上記第1乃至第5のいずれか1つの態様において、上記コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定するものである。
第8の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
本開示の第9の態様は、上記第1乃至第8のいずれか1つの態様において、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
第9の態様では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
図1は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置の縦断面図である。
図2は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
図3は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図である。
図4は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫内側から視た側面図である。
図5は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、冷却運転における冷媒の流れを示したものである。
図6は、実施形態1の冷凍サイクルユニットの配管系統図であり、デフロスト運転における冷媒の流れを示したものである。
図7は、実施形態2の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図8は、実施形態2の変形例1の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図9(A)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図9(B)は、実施形態3の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図10(A)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態でないと診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示すグラフであり、図10(B)は、実施形態3の変形例1の異常診断においてコンテナが異常状態であると診断される場合における診断運転中の動作状態と経過時間との関係を示したグラフである。
図11は、実施形態4の診断運転におけるコンテナ庫内の温度と経過時間との関係を示したグラフである。
図12は、その他の実施形態のコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図である。
《実施形態1》
実施形態1について図面に基づいて説明する。
−コンテナ用冷凍装置の構成−
図1〜図3に示すように、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送に用いられるコンテナ(11)の庫内を冷却するものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)の側方の開口部(12)を閉塞する蓋体となるケーシング(20)と、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、コントローラ(制御部)(80)と、GPS受信機(73)と、冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)(74)と、電源ユニット(90)とを有している。
〈ケーシング〉
ケーシング(20)は、コンテナ外である庫外側と、コンテナ内である庫内側とを仕切るケーシング本体(21)と、ケーシング(20)の背面(庫内側)に設けられる仕切り板(27)とを備えている。
ケーシング本体(21)は、下部に庫内側に膨出する膨出部(22)が形成され、上部にコンテナ(11)の開口部(12)と略面一な平板部(23)が形成されている。ケーシング本体(21)では、膨出部(22)の外面側に形成される凹みの内部が庫外収納空間(S1)に構成され、膨出部(22)の上方で平板部(23)の庫内側が庫内収納空間(S2)に構成されている。平板部(23)には、点検口(28)とベンチレータ(換気装置)(29)とが設けられている。点検口(28)は、メンテナンス時に開閉可能な扉を有する覗き窓であり、2つ横並びに設けられている。ベンチレータ(29)は、庫内の換気を行うための換気装置であり、コントローラ(80)によって動作が制御される。
ケーシング本体(21)は、厚み方向に積層される略同一形状の3つの部材(24,25,26)を有している。具体的には、ケーシング本体(21)は、庫外に面する庫外ケーシング(24)と、庫内に面する庫内ケーシング(25)と、庫外ケーシング(24)と庫内ケーシング(25)との間に設けられた断熱層(26)とを有している。本実施形態1では、庫外ケーシング(24)は、アルミニウムからなり、庫内ケーシング(25)は、強化繊維プラスチック(FRP)からなり、断熱層(26)は発泡樹脂からなる。
上記庫外収納空間(S1)には、後述する圧縮機(31)、放熱器(凝縮器)(32)、庫外ファン(34)、インバータボックス(14)及び電装品ボックス(15)が収納される一方、庫内収納空間(S2)には、後述する蒸発器(35)及び庫内ファン(36)が取り付けられている。また、上記膨出部(22)と仕切り板(27)との間は、庫内空気が流れる空気通路(S3)に構成されている。該空気通路(S3)の上端は、庫内収納空間(S2)に連通する一方、下端が庫内に連通している。
〈冷凍サイクルユニット〉
冷凍サイクルユニット(30)は、冷媒が循環することによって蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(40)と、庫外ファン(34)と、庫内ファン(36)とを備えている。
冷媒回路(40)は、主回路(41)とホットガスバイパス回路(42)と過冷却回路(43)とを有している。主回路(41)には、上述した圧縮機(31)、放熱器(32)、膨張弁(37)、及び蒸発器(35)が直列的に順に接続されている。
圧縮機(31)は、圧縮機構を駆動するモータ(図示省略)を有している。この圧縮機(31)のモータの回転数は、インバータによって多段階に制御される。つまり、圧縮機(31)は、運転容量が可変に構成されている。この圧縮機(31)に接続された上記インバータの回路基板は、上記インバータボックス(14)に収納されている。
放熱器(32)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述のように、放熱器(32)は、庫外収納空間(S1)に配置されている。放熱器(32)の近傍には、庫外ファン(34)が設けられる。放熱器(32)では、庫外ファン(34)によって供給された庫外の空気と冷媒とが熱交換する。庫外ファン(34)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
膨張弁(37)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
蒸発器(35)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。上述したように、蒸発器(35)は、庫内収納空間(S2)に配置されている。蒸発器(35)は、左右方向の一端側に設けられたヘッダに両端部が接続された複数のU字管を有している。冷媒は、複数のU字管を流れる際に、周囲の庫内空気と熱交換して庫内空気を冷却する。
蒸発器(35)の近傍には、庫内ファン(36)が設けられる。蒸発器(35)では、庫内ファン(36)によって供給された庫内の空気と冷媒とが熱交換する。庫内ファン(36)は、蒸発器(35)で冷却された冷却空気を庫内に供給する。庫内ファン(36)は、ファンモータによって駆動され、該ファンモータの回転数は、多段階に制御される。ファンモータに接続された回路基板は、上記電装品ボックス(15)に収納されている。
また、蒸発器(35)の下側には、ドレンパン(44)が設けられている。ドレンパン(44)は、上側が開放された扁平な容器状に形成されている。ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜や氷塊や、空気中から凝縮した結露水等が回収される。
圧縮機(31)と放熱器(32)との間の高圧ガス配管(45)には、逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)とが順に設けられている。逆止弁(CV)は、図1に示す矢印の方向への冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止している。第1電動弁(MV1)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能に構成されている。
放熱器(32)と膨張弁(37)との間の高圧液配管(38)には、レシーバ(48)とドライヤ(50)と第1開閉弁(SV1)とプレート熱交換器(51)とが順に設けられている。第1開閉弁(SV1)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。ドライヤ(50)は、放熱器(32)を流れた液冷媒中の水分を捕捉するように構成されている。
プレート熱交換器(51)は、放熱器(32)を流れた液冷媒を冷却するものである。プレート熱交換器(51)は、1次側通路(51a)と2次側通路(51b)とを有している。つまり、プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51a)を流れる冷媒と2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。1次側通路(51a)は、主回路(41)に接続され、2次側通路(51b)は、過冷却回路(43)のインジェクション配管(52)に接続される。インジェクション配管(52)の流入端は、主回路(41)におけるレシーバ(48)と第1開閉弁(SV1)の間に接続している。インジェクション配管(52)の流出端は、圧縮機(31)の圧縮途中(中間圧力状態)の圧縮室と接続している。インジェクション配管(52)における2次側通路(51b)の流入側には、第2開閉弁(SV2)と第2電動弁(MV2)とが設けられている。第2開閉弁(SV2)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。第2電動弁(MV2)は、パルスモータによって開度が多段階に調節可能であり、冷媒を減圧する減圧機構を構成している。
ホットガスバイパス回路(42)は、1本の主管(52)と、該主管(52)から分岐する2本の分岐通路(53,54)(第1分岐管(53)と第2分岐管(54))とを有している。主管(52)の流入端は、高圧ガス配管(45)における逆止弁(CV)と第1電動弁(MV1)との間に接続している。主管(52)には、第3開閉弁(SV3)が設けられている。第3開閉弁(SV3)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。
第1分岐管(53)は、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が膨張弁(37)と蒸発器(35)との間の低圧液配管(55)と接続している。同様に、第2分岐管(54)も、一端が主管(52)の流出端と接続し、他端が低圧液配管(55)と接続している。第2分岐管(54)は、第1分岐管(53)よりも長い冷媒配管で構成されている。また、第2分岐管(54)は、ドレンパン(44)の底部に沿うように蛇行して配設される、ドレンパンヒータ(56)を有している。ドレンパンヒータ(56)は、ドレンパン(44)の内部を冷媒によって加熱するように構成されている。以上のようにして、ホットガスバイパス回路(42)は、圧縮機(31)で圧縮した冷媒(圧縮機(31)から吐出された高温高圧のガス冷媒)を蒸発器(35)へ供給するためのバイパス回路を構成している。
冷媒回路(40)には、各種のセンサ類も設けられている。具体的に、高圧ガス配管(45)には、高圧圧力センサ(60)と高圧圧力スイッチ(61)と吐出温度センサ(62)とが設けられている。高圧圧力センサ(60)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ(62)は、圧縮機(31)から吐出される高圧ガス冷媒の温度を検出する。蒸発器(35)と圧縮機(31)の間の低圧ガス配管(57)には、低圧圧力センサ(63)と吸入温度センサ(64)とが設けられている。低圧圧力センサ(63)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(64)は、圧縮機(31)に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する。
インジェクション配管(52)には、2次側通路(51b)の流入側に第1流入温度センサ(65)が、2次側通路(51b)の流出側に第1流出温度センサ(66)がそれぞれ設けられている。第1流入温度センサ(65)は、2次側通路(51b)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。また、第1流出温度センサ(66)は、2次側通路(51b)に流出した直後の冷媒の温度を検出する。
低圧液配管(55)には、蒸発器(35)の流入側に第2流入温度センサ(67)が設けられている。第2流入温度センサ(67)は、蒸発器(35)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。低圧ガス配管(57)には、蒸発器(35)の流出側に第2流出温度センサ(68)が設けられている。第2流出温度センサ(68)は、蒸発器(35)から流出した直後の冷媒の温度を検出する。
コンテナ(11)の庫外には、放熱器(32)の吸込側に外気温度センサ(69)が設けられている。外気温度センサ(69)は、放熱器(32)を通過前の庫外空気の温度(即ち、外気の温度)を検出する。
一方、コンテナ(11)の庫内には、蒸発器(35)の吸込側に吸込温度センサ(70)が設けられ、蒸発器(35)の吹出側に吹出温度センサ(71)が設けられている。吸込温度センサ(70)は、蒸発器(35)を通過する直前の庫内空気の温度を検出する。吹出温度センサ(71)は、蒸発器(35)を通過した直後の庫内空気の温度を検出する。つまり、吸込温度センサ(70)は、庫内空気の温度を検出するための温度検出部を構成している。
また、上記コンテナの(11)庫内には、庫内湿度センサ(72)が設けられている。庫内湿度センサ(72)は、蒸発器(35)の吸込側(上流側)の空気の湿度を検出する。つまり、庫内湿度センサ(72)は、庫内空間(S0)から庫内収納空間(S2)へ返送される庫内空気の湿度を検出する湿度検出部を構成している。
〈GPS受信機〉
図2に示すように、コンテナ(11)の庫外には、GPS受信機(73)が設けられている。GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信するように構成されている。詳細は後述するが、コントローラ(80)では、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)からコンテナ(11)に作用する衝撃値を求める。つまり、GPS受信機(73)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部を構成している。
〈冷媒センサ〉
図1に示すように、上記コンテナ(11)の庫内には、冷媒回路(40)から庫内に漏れた冷媒を検出するための冷媒センサ(74)が設けられている。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、金属酸化物半導体の表面に吸着した酸素イオンが、冷媒と反応して表面から離脱することによってセンサ内部の自由電子が増加して抵抗値が低下するその変化を測定することで冷媒濃度を求めるものである。冷媒センサ(74)によって検出された冷媒濃度は、コントローラ(80)に送信される。本実施形態1では、冷媒センサ(74)は、蒸発器(35)の左右方向の両端下方に各1つと、膨出部(22)と仕切り板(27)との間の空気通路(S3)の下部に1つとの合計3つ設けられている。3つの冷媒センサ(74)は、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩(本実施形態1では、冷媒濃度)を検出する冷媒漏洩検出部を構成している。なお、冷媒センサ(74)の個数は3つに限られない。冷媒センサ(74)は、1つ、2つ、又は4つ以上設けてもよい。
〈コントローラ〉
コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(40)を制御するための制御部としてのコントローラ(80)が設けられている。即ち、コントローラ(80)は、上述した各種のセンサの検出信号に基づいて、例えば圧縮機(31)のモータの回転数、各ファン(34,36)のモータの回転数、各電磁弁(MV1,MV2)や膨張弁(37)の開度、各開閉弁(SV1,SV2,SV3)の開閉状態等を制御する。コントローラ(80)は、電装品ボックス(15)内に設けられている。
また、図3に示すように、コントローラ(80)は、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒でコンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転を実行する冷却運転制御部(81)と、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御して冷媒回路(40)の冷媒で蒸発器(35)の除霜を行うデフロスト運転を実行するデフロスト運転制御部(82)とを備えている。
また、コントローラ(80)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定を実行する衝撃判定部(83)と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断を実行する異常診断部(84)と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作を実行する処理部(85)とを備えている。
なお、詳細については後述するが、本実施形態では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩したか否かにより、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ(11)の庫内に漏洩した冷媒を庫外に排出する冷媒排出動作を上記所定の処理動作として実行するように構成されている。
また、本実施形態では、コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各要素を制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。尚、上記コントローラ(80)は、コンテナ用冷凍装置(10)の制御部の一例であり、コントローラ(80)の詳細な構造やアルゴリズムは、本開示に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
なお、コントローラ(80)による各種制御の詳細については後述する。
〈電源ユニット〉
電源ユニット(90)は、コンテナの(11)庫外に設けられている。電源ユニット(90)は、第1電源(91)と第2電源(92)と第3電源(93)とを有している。
第1電源(91)は、コンテナ用冷凍装置(10)の各電気機器と3つの冷媒センサ(74)とに接続され、これらに電力を供給する。具体的には、第1電源(91)には、圧縮機(31)のインバータ回路基板と、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)の各回路基板と、第1〜第3開閉弁(SV1〜SV3)、第1及び第2電動弁(MV1,MV2)、ベンチレータ(29)及び膨張弁(37)のアクチュエータと、各種センサ(60,62〜72)と、高圧圧力スイッチ(61)と、3つの冷媒センサ(74)とが接続されている。
第2電源(92)は、3つの冷媒センサ(74)に接続され、該冷媒センサ(74)に電力を供給可能に構成されている。本実施形態では、第2電源(92)は、第1電源(91)が電力供給不能な電源OFF状態の際に、3つの冷媒センサ(74)に電力を供給する、所謂予備電源である。つまり、3つの冷媒センサ(74)は、第1電源(91)と第2電源(92)との両方に接続されている。本実施形態では、第2電源(92)は、乾電池によって構成されているが、乾電池の他、太陽光発電装置等によって構成されていてもよい。
第3電源(93)は、コントローラ(80)とGPS受信機(73)とに接続され、常時、これらに電力を供給する。
−コンテナ冷凍装置の運転動作−
次に、コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作について説明する。コンテナ用冷凍装置(10)は、通常運転として冷却運転を行うと共に、蒸発器(35)に付着した霜を融かすためのデフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定と、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断と、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作(本実施形態では冷媒排出動作)とを行うように構成されている。
〈冷却運転〉
冷却運転の基本的な運転動作について、図1及び図5を参照しながら説明する。
冷却運転は、コントローラ(80)の冷却運転制御部(81)によって行われる。冷却運転制御部(81)は、第1開閉弁(SV1)を開放状態、第3開閉弁(SV3)を閉鎖状態、第1電動弁(MV1)を全開状態に制御し、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)の開度を適宜調節する。また、冷却運転制御部(81)は、圧縮機(31)、庫外ファン(34)、及び庫内ファン(36)を運転させる。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、高圧ガス配管(45)を介して放熱器(32)に流入し、放熱器(32)で凝縮(放熱)した後、レシーバ(48)を通過する。レシーバ(48)を通過した冷媒は、一部が高圧液配管(38)をそのまま流れ、残りはインジェクション配管(52)に分流する。高圧液配管(38)を流れた冷媒は、膨張弁(37)で減圧された後、低圧液配管(55)を流れ、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。これにより、庫内空間(S0)の空気が冷媒によって冷却される。蒸発器(35)で蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入される。
一方、インジェクション配管(52)に分流した冷媒は、第2電動弁(MV2)で中間圧(高圧圧力と低圧圧力の間の圧力)にまで減圧された後、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)に流入する。プレート熱交換器(51)では、1次側通路(51b)を流れる冷媒と、2次側通路(51b)を流れる冷媒とが熱交換する。その結果、1次側通路(51b)の冷媒が過冷却される一方、2次側通路(51b)の冷媒が蒸発する。2次側通路(51b)を流出した冷媒は、圧縮機(31)の中間ポートより中間圧力状態(圧縮途中)の圧縮室に吸入される。
冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、圧縮機(31)のモータの回転数(即ち、圧縮機(31)の運転周波数)が制御される。具体的に、圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに近づくように制御される。より詳細に、冷却運転時の圧縮機(31)の運転周波数は、庫内温度SSが目標温度SPに収束するようにPID制御によって調整される。また、冷却運転においては、冷却運転制御部(81)により、庫外ファン(34)のモータの回転数も制御される。具体的に、庫外ファン(34)のモータの回転数は、高圧圧力センサ(60)で検出した高圧冷媒の圧力HPが一定となるように制御される。また、庫内ファン(36)のモータの回転数は、庫内の冷却負荷に応じて多段階に制御される。
冷却運転では、冷却運転制御部(81)により、膨張弁(37)の開度が、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、圧縮機(31)に吸入される低圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように膨張弁(37)の開度が制御される。また、冷却運転では、第2電動弁(MV2)の開度も、冷却運転制御部(81)により、いわゆる過熱度制御によって調節される。具体的に、プレート熱交換器(51)の2次側通路(51b)を流出した中間圧冷媒の過熱度が、所定の設定過熱度に近づくように、膨張弁(37)の開度が制御される。
〈デフロスト運転〉
上述した冷却運転を継続して行うと、蒸発器(35)の伝熱管等の表面に霜が付着し、この霜が徐々に成長して肥大化していく。このため、コンテナ用冷凍装置(10)では、このような蒸発器(35)の除霜を行うためのデフロスト運転が通常運転(冷却運転)の合間に適宜実行される。
デフロスト運転は、コントローラ(80)のデフロスト運転制御部(82)によって行われる。本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、冷却運転中、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい場合にデフロスト運転を行う。
本実施形態1では、デフロスト運転制御部(82)は、所謂ホットガスデフロスト方式のデフロスト運転を実行する。具体的には、デフロスト運転制御部(82)は、図6に示すように、第1開閉弁(SV-1)及び第2開閉弁(SV-2)を閉鎖状態、第3開閉弁(SV3)を開放状態、第1電動弁(MV1)を最小開度、第2電動弁(MV2)及び膨張弁(37)を全閉状態(ゼロパルス)に制御する。また、デフロスト運転制御部(82)は、圧縮機(31)を運転させ、庫外ファン(34)及び庫内ファン(36)を停止状態に制御する。
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、ホットガスバイパス回路(42)を経由して蒸発器(35)へ供給される。具体的に、高圧ガス冷媒は、主管(52)を流れた後、第1分岐管(53)と第2分岐管(54)とへ分流する。第2分岐管(54)へ分流した冷媒は、ドレンパンヒータ(56)を通過する。ここで、ドレンパン(44)の内部には、蒸発器(35)の表面から剥がれ落ちた氷塊等が回収されている。この氷塊等は、ドレンパンヒータ(56)の内部を流れる冷媒によって加熱されて融解する。融解した水は、所定の流路を通じて庫外へ排出される。
ドレンパンヒータ(56)を流出した冷媒は、第1分岐管(53)を流出した冷媒と合流し、蒸発器(35)に流入する。蒸発器(35)では、伝熱管の内部を高圧ガス冷媒(いわゆるホットガス)が流通する。このため、蒸発器(35)では、伝熱管の周囲に付着した霜が、冷媒によって内部から徐々に加熱される。その結果、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。伝熱管から剥がれ落ちた霜(氷塊)は、ドレンパン(44)に回収される。蒸発器(35)の除霜に利用された冷媒は、圧縮機(31)に吸入されて圧縮される。
なお、デフロスト運転時に蒸発器(35)から剥がれ落ちた霜(氷塊等)は、ドレンパン(44)に回収され、その後にドレンパンヒータ(56)に加熱されて液体となる。この液体(いわゆるドレン水)は、ドレンパン(44)から所定の排出路を通じて、コンテナ(11)の庫外へ排出される。
デフロスト運転制御部(82)は、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト運転を終了させる。
〈衝撃判定〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定は、コントローラ(80)の衝撃判定部(83)が行う。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の検出値に基づいてコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する。
具体的には、GPS受信機(73)は、GPS衛星からの時刻や衛星の軌道等の情報を含む信号を受信し、受信時刻とGPS受信機(73)の位置(座標)とを求め、コンテナ(11)の位置情報としてコントローラ(80)に送信する。衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)から受信したコンテナ(11)の位置情報の変化、具体的には、コンテナ(11)の移動前後の移動距離、移動速度、移動時間からコンテナ(11)に作用する衝撃値(加速度)を算出する。そして、衝撃判定部(83)は、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)以上の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した衝撃値が所定値(例えば、50G)未満の場合、コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定する。
なお、衝撃判定部(83)は、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化の開始時点を移動開始時とし、GPS受信機(73)の位置(座標)の変化が所定時間(例えば、15秒間)ない場合、移動が終了したとして、変化の終了時点を移動終了時として衝撃値を算出する。
〈異常診断〉
コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断する異常診断は、コントローラ(80)の異常診断部(84)が行う。異常診断は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに行われる。なお、本実施形態では、異常診断は、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間(例えば、3分)経過後に行われる。
異常診断部(84)は、まず、異常診断において、3つの冷媒センサ(74)に冷媒濃度を検出させる。このとき、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、異常診断部(84)は、第1電源(91)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、異常診断部(84)は、予備電源としての第2電源(92)によって3つの冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒濃度を検出させる。
異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度から冷媒回路(40)から庫内へ冷媒が漏洩したか否かを判定する。具体的には、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の少なくとも1つが所定の第1濃度を超えている場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定する。一方、異常診断部(84)は、3つの冷媒センサ(74)から送信される冷媒濃度の全てが第1濃度以下である場合、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定する。
そして、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、図示しないメモリに、異常フラグON(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断したことを示す情報)を記憶させる。一方、異常診断部(84)は、冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断し、図示しないメモリに、異常フラグOFF(コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断したことを示す情報)を記憶させる。
〈処理動作〉
コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作は、コントローラ(80)の処理部(85)が行う。所定の処理動作は、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合、即ち、異常フラグがONである場合に行われる。
本実施形態では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として、庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行う。
なお、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、直ちに上記冷媒排出動作を行う。
一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、異常診断部(84)によってコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断された場合(異常フラグがONの場合)には、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記冷媒排出動作を行う。
上記冷媒排出動作により、冷媒回路(40)から漏洩した冷媒は、庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。よって、庫内における冷媒濃度の上昇を抑制できる。
なお、冷媒排出動作の終了条件は、例えば、3つの冷媒センサ(74)の検出値が、上述の冷媒排出動作を開始する基準とした上記第1濃度又は該第1濃度よりも低い第2濃度を下回った場合や、所定時間が経過した場合等、庫内に漏洩した冷媒がある程度排出されたと推測される条件であればいかなるものであってもよい。
−実施形態1の効果−
本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態1では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ用冷凍装置(10)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)内には、上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)が設けられ、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒センサ(74)の検出値に基づいて上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断し、上記冷媒回路(40)から冷媒が漏洩していないと判定した場合、上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態1では、冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩検出部として冷媒センサ(74)を設け、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒センサ(74)の検出値に基づいて冷媒回路(40)から冷媒が漏洩したか否かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、迅速に対処することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に接続されて電力を供給する第1電源(91)と、上記第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とを備え、上記冷媒センサ(74)は、上記第1電源(91)と上記第2電源(92)とに接続され、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第1電源(91)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させ、上記第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合には、上記第2電源(92)によって上記冷媒センサ(74)に電力を供給して該冷媒センサ(74)に上記冷媒回路(40)からの冷媒漏洩を検出させるものである。
このように、本実施形態1では、冷媒センサ(74)が、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器に電力を供給する第1電源(91)と、該第1電源(91)とは異なる第2電源(92)とに接続されている。そして、コントローラ(80)が、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際には、第1電源(91)が冷媒センサ(74)に電力を供給し、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際には、第2電源(92)が第1電源(91)に代わって冷媒センサ(74)に電力を供給するように構成されている。つまり、本実施形態1では、主電源としての第1電源(91)が電源OFF状態の際に、予備電源として冷媒センサ(74)に電力を供給する第2電源(92)を設けている。このような構成により、本実施形態1では、冷凍サイクルユニット(30)が動作しない第1電源(91)が電源OFF状態の場合にも、冷媒センサ(74)に電力を供給して冷媒回路(40)から冷媒が漏洩しているか否かを判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記冷凍サイクルユニット(30)は、上記コンテナ(11)の庫内に設けられて庫内空気を循環させる庫内ファン(36)と、上記コンテナ(11)の庫内と庫外とを連通させて庫内の換気を行う換気装置としてのベンチレータ(29)とを有し、上記コントローラ(80)は、上記第1電源(91)が上記電源ON状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記庫内ファン(36)を運転させると共に上記ベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行い、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態の際に、上記異常診断部(84)が上記コンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、上記第1電源(91)が上記電源OFF状態から上記電源ON状態へ切り換わった後に、上記冷媒排出動作を行う処理部(85)を備えているものである。
このように、本実施形態1では、異常診断部(84)がコンテナ用冷凍装置(10)は異常状態であると診断すると、処理部(85)が庫内ファン(36)を運転させると共にベンチレータ(29)を作動させて漏洩した冷媒を庫内空気と共に排出する冷媒排出動作を行うように構成されている。また、処理部(85)は、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態へ切り換わるのを待って冷媒排出動作を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ用冷凍装置(10)の配管が損傷してコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩した場合に、上記冷媒排出動作が行われ、漏洩した冷媒が庫内空気と共に庫外に排出され、庫外空気が庫内に取り込まれる。これにより、コンテナ(11)の庫内における冷媒濃度の上昇が抑制される。従って、冷凍サイクルユニット(30)に燃焼性冷媒を用いた場合であっても、コンテナ(11)の庫内で漏洩した冷媒が燃焼するのを防止することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を備え、上記衝撃判定部(83)は、上記GPS受信機(73)によって検出された上記コンテナ(11)の位置情報の変化に基づいて上記コンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出した上記衝撃値が所定値以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、算出した上記衝撃値が上記所定値未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するものである。
このように、本実施形態1では、コンテナ(11)の位置情報を検出するGPS受信機(73)を設け、衝撃判定部(83)が、該GPS受信機(73)によって検出されたコンテナ(11)の位置情報(移動距離、移動速度、移動時間)の変化からコンテナ(11)に作用する衝撃値を算出し、算出された衝撃値が所定値以上か否かでコンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するように構成されている。このような構成により、本実施形態1によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを安価に且つ容易に判定することができる。
また、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記衝撃判定部(83)が上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、上記異常診断を行うものである。
コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)又はコンテナ用冷凍装置(10)が破損し、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する又はコンテナ(11)の庫内に冷媒が漏洩する等の異常状態に陥る場合、破損直後は影響が小さいため、異常状態に陥っているか否かを正確に診断することができない。
そこで、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、上述のように、衝撃判定部(83)がコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定してから所定時間経過後に、異常診断部(84)が異常診断を行うように構成されている。このような構成により、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用した際に、異常診断を精度良く行うことができる。
《実施形態2》
実施形態2について図面に基づいて説明する。なお、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。ここでは、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)について、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)と異なる点を説明する。
実施形態2においても、コンテナ用冷凍装置(10)のコントローラ(80)は、冷却運転制御部(81)とデフロスト運転制御部(82)とを備え、通常運転として冷却運転を行うと共に、デフロスト運転を適宜行うように構成されている。また、実施形態2においても、コントローラ(80)は、衝撃判定部(83)と異常診断部(84)と処理部(85)とを備えるが、実施形態2では、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とが実施形態1の異常診断及び処理動作と異なる。なお、衝撃判定部(83)による衝撃判定は実施形態1と同様である。
実施形態2では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能が不十分であるか否かにより、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。また、実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)が異常状態であることを音声又は表示によるアラームを発する報知動作を、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として実行するように構成されている。
〈異常診断〉
コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成され、コンテナ(11)の気密性能が不十分となるおそれがある。この場合には、冷却運転中、コンテナ(11)の庫外の空気の熱が、コンテナ(11)の庫内に侵入し、冷凍サイクルユニット(30)は所望の能力を発揮しているにも拘わらず、庫内を効率よく冷却できない不具合が生じてしまう。
そこで、実施形態2では、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。
実施形態2では、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行うと共に、冷却動作中、デフロスト運転の開始条件(蒸発器(35)の温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さい)が成立した場合に、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。なお、冷却動作の設定時間は、コンテナ(11)の庫内の空気が露点温度以下になるまで冷却され、この空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる時間に設定されている。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、図7に示すように、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間経過後、蒸発器(35)の着霜量が増え、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が行われる。
異常診断部(84)は、上記診断運転において、冷却動作が開始されてから所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1を計測する。そして、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定する。
具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速くなり、早くデフロスト動作が開始されることとなる。
そこで、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも短い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速い場合に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過した時点t1からデフロスト動作の開始時点t2までの時間Δt1が、所定の基準時間Δts1よりも長い場合、即ち、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が遅い場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt1は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
〈処理動作〉
本実施形態2では、処理部(85)は、コンテナ(11)の異常状態に対処する所定の処理動作として、コンテナ(11)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行う。
なお、実施形態2では、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、異常診断部(84)による異常診断が行われるため、異常診断部(84)によってコンテナ(11)は異常状態であると診断された場合に、処理部(85)は、直ちに上記報知動作を行う。
上記報知動作により、使用者が、コンテナ(11)の異常状態であること(気密性能が不十分であること)を迅速に把握することができるため、速やかにコンテナ(11)の気密性能を改善する処置を行うことができる。
−実施形態2の効果−
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(40)を有する冷凍サイクルユニット(30)と、該冷凍サイクルユニット(30)の動作を制御してコンテナ(11)の庫内空気の温度を所望の温度に調節するコントローラ(80)とを備えるものである。また、本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)では、上記コントローラ(80)は、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定する衝撃判定部(83)と、上記衝撃判定部(83)が、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定すると、上記コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行う異常診断部(84)とを備えている。
本実施形態2では、コントローラ(80)を、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定すると共に、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定した場合に、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成することとした。このように、本実施形態2では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したことに起因して異常診断が行われる。そのため、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)が破損する等、異常状態に陥った場合に、次の自動自己診断動作のタイミングまで待つことなく、異常状態に陥ったことを把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)に異常が発生した際に、その異常を迅速に把握可能なコンテナ用冷凍装置(10)を提供することができる。
本実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成に加え、上記異常診断部(84)は、上記異常診断において、上記冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせて上記コンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、該診断運転の運転状態に基づいて上記コンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、上記コンテナ(11)の性能が不十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態であると診断し、上記コンテナ(11)の性能が十分であると判定した場合、上記コンテナ(11)は異常状態でないと診断するものである。
このように、本実施形態2では、異常診断部(84)が、上述の異常診断において、冷媒回路(40)に冷凍サイクルを行わせてコンテナ(11)の性能を診断するための診断運転を行い、診断運転の運転状態に基づいてコンテナ(11)の性能が不十分か十分かを判定し、その判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断するように構成することとした。このような構成により、コンテナ(11)に強い衝撃が作用し、コンテナ(11)が損傷してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能等が低下する異常状態に陥った場合に、異常状態に陥ったことを迅速に把握することができる。従って、本実施形態2によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用してコンテナ(11)の気密性能や断熱性能が低下した場合に、迅速に対処することができる。
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
なお、実施形態2の変形例1においても、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行し、その運転状態から気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。一方、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)が行うコンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かの判定手法が実施形態2と異なる。
具体的には、実施形態2では、異常診断部(84)は、冷却動作が開始されてから所定時間が経過した時点t1からデフロスト動作が開始された時点t2までの時間Δt1の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定していたが、実施形態2の変形例1では、図8に示すように、異常診断部(84)は、デフロスト動作の実行時間、即ち、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2の長さによって気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
より具体的には、コンテナ(11)に強い衝撃が作用すると、コンテナ(11)の開口部(12)とこれを閉塞するケーシング(20)との間に隙間が形成されると、上記診断運転の冷却動作中に、庫外空気が庫内へ侵入し、庫外空気に含まれる水分も庫内へ侵入する。そのため、このような場合には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合に比べて、蒸発器(35)の着霜量の増大速度が速く、デフロスト動作の開始時点における蒸発器(35)の着霜量が多くなるため、その分、霜を除去するのに時間を要することとなる。
そこで、実施形態2の変形例1では、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも長い場合には、蒸発器(35)への着霜量が多く、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、デフロスト動作の開始時点t2から終了時点t3までの時間Δt2が、所定の基準時間Δts2よりも短い場合には、蒸発器(35)への着霜量が少なく、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、上記判定に用いる所定の基準時間Δt2は、庫外空気の湿度条件に応じて補正してもよい。
《実施形態3》
実施形態3について図面に基づいて説明する。なお、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能を診断するための診断運転を実行して気密性能が不十分か十分かを判定し、判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、診断運転と気密性能の判定手法は、実施形態2と異なる。
実施形態3においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を所定の設定時間に亘って継続して行い、冷却動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を行う。デフロスト動作の終了条件は、通常運転のデフロスト運転時と同様であり、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、冷却動作の開始から所定の設定時間が経過すると、蒸発器(35)の着霜量に拘わらず、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X2より大きくなると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われるデフロスト動作の実行時間を、直前のデフロスト動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)の着霜量が減るため、デフロスト動作の実行時間は、直前のデフロスト動作の実行時間よりも短くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd2)と前回のデフロスト動作の実行時間(例えば、図9(A)及び図9(B)のΔtd1)とを比較する。そして、異常診断部(84)は、図9(A)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。一方、異常診断部(84)は、図9(B)に示すように、デフロスト動作の実行時間が前回よりも短くならなかった場合(前回と同じ又は長くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。
−実施形態3の変形例1−
実施形態3の変形例1のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態3のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断を変更したものである。
実施形態3の変形例1においても、異常診断部(84)は、上記診断運転として、通常運転の冷却運転及びデフロスト運転と同様の冷却動作とデフロスト動作とを交互に繰り返し行う。一方、実施形態3では、冷却動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、デフロスト動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定していたが、実施形態3の変形例1では、デフロスト動作の実行時間を一定(所定の設定時間)にし、冷却動作の実行時間によってコンテナ(11)の気密性能を判定するように構成されている。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、蒸発器(35)に流入する冷媒の温度EISと蒸発器(35)から流出した冷媒の温度EOSとの温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、通常運転のデフロスト運転と同様のデフロスト動作を所定の設定時間に亘って継続して行う。デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、異常診断部(84)は、デフロスト動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気(例えば、30℃)が徐々に冷却され、露点温度(例えば、10℃)以下となる。これにより、空気中の水分が凝縮して空気の除湿が行われる。一方、蒸発器(35)では、蒸発器(35)を通過する空気中の水分が表面に付着して霜となる。そして、蒸発器(35)の上記温度差(EOS-EIS)が基準値X1より小さくなると、デフロスト動作が開始され、蒸発器(35)に付着した霜が徐々に融かされ、伝熱管から剥がれ落ちていく。そして、デフロスト動作の開始時点から所定の設定時間が経過すると、デフロスト動作が終了され、冷却動作が再開される。
異常診断部(84)は、このような診断運転を行い、繰り返し行われる冷却動作の実行時間を、直前の冷却動作の実行時間と比較することで、コンテナ(11)の気密性能が不十分か十分かを判定するように構成されている。
具体的には、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合には、上記診断運転において冷却動作とデフロスト動作とが交互に繰り返し行われるうちに、コンテナ(11)の庫内空気の湿度が低下し、蒸発器(35)に着霜し難くなるため、冷却動作の実行時間は、直前の冷却動作の実行時間よりも長くなる。
そこで、異常診断部(84)は、今回の冷却動作の実行時間(例えば、図10(A)及び図10(B)のΔtc2)と前回の冷却動作の実行時間(例えば、図10(A)及び図10(B)のΔtc1)とを比較し、冷却動作の実行時間が前回よりも長くならなかった場合(前回と同じ又は短くなった場合)に、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。一方、異常診断部(84)は、冷却動作の実行時間が前回よりも長くなった場合に、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定し、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
《実施形態4》
実施形態4について図面に基づいて説明する。なお、実施形態4のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、異常診断部(84)による異常診断と処理部(85)による所定の処理動作とを変更したものである。なお、処理部(85)による所定の処理動作は、実施形態2と同様であるため、以下では、異常診断部(84)による異常診断について説明する。
〈異常診断〉
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定されたときに、コンテナ(11)が異常状態か否かを診断する異常診断を行うように構成されている。なお、実施形態4では、異常診断において、冷凍サイクルユニット(30)の各構成機器を制御してコンテナ(11)の気密性能及び断熱性能を診断するための診断運転を実行し、気密性能が不十分か十分かの気密性能判定と、断熱性能が不十分か十分かの断熱性能判定とを行い、各判定結果に基づいてコンテナ(11)が異常状態か否かを診断するように構成されている。
実施形態4においても、実施形態2と同様に、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に異常診断を行う。つまり、第1電源(91)が電力を供給可能な電源ON状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、直ちに異常診断を行う。一方、第1電源(91)が電力を供給不能な電源OFF状態の際に、衝撃判定部(83)によってコンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定された場合には、異常診断部(84)は、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった(例えば、コンテナ(11)の庫内を冷却すべく使用者によって第1電源(91)が電源ON状態に切り換えられた)後に、上記異常診断を行う。
具体的には、異常診断部(84)は、まず、上記診断運転として、通常運転の冷却運転と同様の冷却動作を行い、庫内空気が所定の目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作を終了し、休止動作を行う。休止動作では、圧縮機(31)が停止され、その結果、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止する。一方、冷却動作から休止動作へ移行しても、庫内ファン(36)の運転は継続される。休止動作は、所定の設定期間tsetの間、継続して行われる。休止動作が開始されてから所定の設定期間tsetが経過すると、異常診断部(84)は、休止動作を終了し、冷却動作を再開する。
上記診断運転として、冷却動作が実行されると、コンテナ(11)の庫内の空気が徐々に冷却され、目標温度(例えば、5℃)まで冷却されると、冷却動作が終了され、休止動作を行う。休止動作において、圧縮機(31)が停止すると、蒸発器(35)の冷却機能も実質的に停止するため、庫内空気の温度が徐々に上昇していく。
ところで、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が不十分である場合、庫外の空気の熱が庫内に侵入するため、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが比較的大きくなる。逆に、コンテナ(11)の気密性能や断熱性能が十分である場合、休止動作中における庫内空気の温度上昇の傾きが緩やかになる。また、コンテナ(11)の気密性能が不十分である場合、庫内空気よりも湿度の高い庫外の空気が庫内に侵入することにより、休止動作中には庫内空気の湿度が上昇する。逆に、コンテナ(11)の気密性能が十分である場合、休止動作中に庫内空気の湿度は上昇しない。
そこで、実施形態4では、異常診断部(84)は、休止動作中における庫内空気の温度変化と湿度変化とに基づいてコンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断することとしている。
具体的には、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに吸込温度センサ(70)で庫内温度(TA,TB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3(例えば0)よりも大きい場合、コンテナ(11)の気密性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内温度の差(TA−TB)が基準値X3以下の場合、コンテナ(11)の気密性能が十分であると判定する。
また、異常診断部(84)は、休止動作の実行開始時(図11におけるA点)と終了時(図11におけるB点)とに庫内湿度センサ(72)で庫内湿度(HA,HB)を検出し、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4よりも大きい場合、コンテナ(11)の断熱性能が不十分であると判定し、逆に、休止動作の実行開始時と終了時との庫内湿度の差(HA−HB)が基準値X4以下の場合、コンテナ(11)の断熱性能が十分であると判定する。
そして、異常診断部(84)は、上述の気密判定と断熱判定の判定結果に基づき、コンテナ(11)が異常状態であるか否かを診断する。具体的には、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能の少なくとも一方が不十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態であると診断する。逆に、異常診断部(84)は、コンテナ(11)の気密性能及び断熱性能のいずれもが十分であると判定した場合、コンテナ(11)は異常状態でないと診断する。
なお、基準値X3,X4は、経験的又は理論的に決定された値であり、特に、基準値X4は、運転中の庫内ファン(36)の発熱量を考慮して決定される。
《その他の実施形態》
上記各実施形態及び変形例では、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部としてGPS受信機(73)を用いていたが、上記検出部はこれに限られない。図12に示すように、GPS受信機(73)の代わりに衝撃センサ(75)を設けてもよい。
具体的には、図12に示すコンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ用冷凍装置(10)に設けられて加速度を検出する衝撃センサ(75)を備えている。そして、衝撃判定部(83)を、上記衝撃センサ(75)の検出値が所定値(例えば、50G)以上の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用したと判定し、上記衝撃センサ(75)の検出値が上記所定値(例えば、50G)未満の場合、上記コンテナ(11)に強い衝撃が作用していないと判定するように構成する。このような構成によれば、コンテナ(11)に強い衝撃が作用したか否かを容易に精度良く判定することができる。
また、上記実施形態1では、処理部(85)は、コンテナ用冷凍装置(10)の異常状態に対処するための所定の処理動作として冷媒排出動作を行うように構成されていたが、実施形態1においても、処理部(85)は、実施形態2と同様に、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態である旨、音声アラーム又は表示アラームで報知する報知動作を行うように構成されていてもよい。この場合、実施形態1の冷媒排出動作と同様に、第1電源(91)が電源ON状態の際には、異常診断後直ちに処理部(85)が報知動作を行い、第1電源(91)が電源OFF状態の際には、第1電源(91)が電源OFF状態から電源ON状態に切り換わった後に処理部(85)が報知動作を行うように処理部(85)を構成する。
また、上記実施形態1では、異常診断部(84)は、コンテナ用冷凍装置(10)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成され、実施形態2〜4及び各変形例では、異常診断部(84)は、コンテナ(11)が異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていた。異常診断部(84)は、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の少なくとも一方について異常状態であるか否かの異常診断を行うように構成されていればよく、コンテナ(11)及びコンテナ用冷凍装置(10)の両方の異常診断を行うように構成されていてもよい。
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、コンテナ用冷凍装置について有用である。
10 コンテナ用冷凍装置
11 コンテナ
12 開口部
20 ケーシング
29 ベンチレータ(換気装置)
30 冷凍サイクルユニット
31 圧縮機
32 放熱器
35 蒸発器
36 庫内ファン
40 冷媒回路
73 GPS受信機
74 冷媒センサ(冷媒漏洩検出部)
75 衝撃センサ
80 コントローラ(制御部)
83 衝撃判定部
84 異常診断部
85 処理部
91 第1電源
92 第2電源