JP2020100007A - 媒体製造装置、及び、媒体 - Google Patents

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裕 小橋
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Abstract

【課題】印刷処理において過凝集の発生を抑制する。【解決手段】媒体製造装置1は、基材Pを供給する供給ユニット20と、アニオン性の第1処理液を基材Pに塗布する第1塗布ユニット61と、第1処理液が基材Pに塗布された後に、カチオン性の第2処理液を基材Pに塗布し、第1処理液及び第2処理液を反応させて、カチオン性の混合液を生成する第2塗布ユニット62と、混合液を乾燥させて、基材Pにアンカー層を形成する第1乾燥ユニット80と、アンカー層が形成された基材Pを受領する受領ユニット40と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、媒体製造装置、及び、媒体に関する。
インクを基材に付着させて基材に画像を形成する印刷処理において、インクが基材に付着した後、インク中の水分が乾燥するまでの間に、インク中の色材が拡散することによるインクの滲みが発生し、印刷画質が低下することがある。このようなインクの滲みによる印刷画質の低下を防止するために、インクを基材に付着させる前に、インク中の色材を収縮させるための定着液を基材に塗布することで、滲みの発生を防止する技術が知られている。例えば、特許文献1には、アニオン性のインクを基材に付着させる前に、カチオン性の定着液を基材に塗布することで、インクの滲みの発生を防止させる技術が記載されている。
特表2004−512987号公報
しかし、従来の技術では、基材に定着液が塗布された媒体にインクが付着した後、インク中の水分が乾燥するまでの間に、インク中の色材が定着液と反応して収縮することに起因して、基材に形成すべき画像も収縮してしまう、過凝縮と呼ばれる現象が発生する場合が存在した。
以上の課題を解決するために、本発明に係る媒体製造装置は、基材を供給する供給ユニットと、アニオン性の第1処理液を前記基材に塗布する第1塗布ユニットと、前記第1処理液が前記基材に塗布された後に、カチオン性の第2処理液を前記基材に塗布し、前記第1処理液及び前記第2処理液を反応させて、カチオン性の混合液を生成する第2塗布ユニットと、前記混合液を乾燥させて、前記基材にアンカー層を形成する第1乾燥ユニットと、前記アンカー層が形成された前記基材を受領する受領ユニットと、を備える、ことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る印刷システムSYSの構成の一例を示す機能ブロック図である。 媒体製造装置1の概略的な断面構造の一例を示す説明図である。 インクジェットプリンター9の概略的な断面構造の一例を示す説明図である。 塗布処理の一例を説明するための説明図である。 塗布処理の一例を説明するための説明図である。 処理液乾燥処理の一例を説明するための説明図である。 印刷処理の一例を説明するための説明図である。 印刷処理の一例を説明するための説明図である。 印刷処理の一例を説明するための説明図である。 参考例に係る媒体生成処理の一例を説明するための説明図である。 参考例に係る印刷処理の一例を説明するための説明図である。 参考例に係る印刷処理の一例を説明するための説明図である。 参考例に係る印刷処理の一例を説明するための説明図である。 実施例に係る実験において記録媒体PPに形成された画像を示す図である。 参考例に係る実験において基材Pに形成された画像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<<A.実施形態>>
<<1.印刷システムの概要>>
本実施形態では、基材Pを加工して記録媒体PPを生成する媒体製造装置1と、インクを吐出して記録媒体PPに画像を形成するインクジェットプリンター9とを含む、印刷システムSYSについて説明する。なお、本実施形態において、記録媒体PPとは「媒体」の一例である。
以下、図1乃至図3を参照しつつ、本実施形態に係る印刷システムSYSの構成について説明する。図1は、印刷システムSYSの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図2は、媒体製造装置1の断面構造の概要の一例を示す説明図である。図3は、インクジェットプリンター9の断面構造の概要の一例を示す説明図である。
上述のとおり、印刷システムSYSは、媒体製造装置1とインクジェットプリンター9とを含む。
図1に例示するように、媒体製造装置1は、媒体製造装置1の各部を制御する制御ユニット10と、基材Pに対して前処理液Qq及び反応液Qrを塗布する塗布処理を実行する塗布ユニット60と、塗布処理が実行される際に基材Pを塗布ユニット60に搬送する基材搬送ユニット30と、塗布処理が実行される際に基材Pを基材搬送ユニット30に供給する基材供給ユニット20と、塗布処理において基材Pに塗布された前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥させる処理液乾燥処理を実行する処理液乾燥ユニット80と、基材Pに対して塗布処理及び処理液乾燥処理を施した結果として得られる記録媒体PPを受領する媒体受領ユニット40と、を備える。なお、以下では、塗布処理及び処理液乾燥処理を含む処理を、媒体生成処理と称する場合がある。
図1に例示するように、インクジェットプリンター9には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター9が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター9は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録媒体PPに形成する印刷処理を実行する。
図1に例示するように、インクジェットプリンター9は、インクジェットプリンター9の各部を制御する印刷制御ユニット90と、記録媒体PPにインクを付着させて記録媒体PPに画像を形成する印刷処理を実行する印刷ユニット50と、印刷処理において記録媒体PPに付着したインクを乾燥させるインク乾燥処理を実行するインク乾燥ユニット70と、印刷処理が実行される際に記録媒体PPを印刷ユニット50に搬送する媒体搬送ユニット92と、印刷処理が実行される際に記録媒体PPを媒体搬送ユニット92に供給する媒体供給ユニット91と、印刷処理及びインク乾燥処理が実行され画像が形成された記録媒体PPを受領する印刷物受領ユニット93と、を備える。なお、以下では、印刷処理及びインク乾燥処理を含む処理を、画像形成処理と称する場合がある。
本実施形態では、図2に示すように、媒体製造装置1が、基材Pを+Y方向に搬送しつつ、媒体生成処理を実行する場合を、一例として想定する。以下では、媒体製造装置1が媒体生成処理を実行する際に、媒体製造装置1が基材Pを搬送する経路を、基材搬送経路と称する。なお、本実施形態では、基材搬送経路が、+Y方向に進む直線状の経路である場合を一例として想定するが、基材搬送経路は、曲線状の経路であってもよいし、折線状の経路であってもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、基材Pが、長尺状の巻取り可能なシートである場合を、一例として想定する。より具体的には、本実施形態では、基材搬送経路の進行方向における基材Pの長さが、基材搬送経路の経路長よりも長い場合を想定する。但し、基材Pは例えば板紙のような長方形状のシートでもよいし、または、プラスチックの基板、セラミックの基板、若しくは、ガラスの基板でもよい。
制御ユニット10は、例えば、CPUを含んで構成され、媒体製造装置1の各部を制御する。なお、制御ユニット10は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイス、または、アナログ回路等を備えていてもよい。
基材搬送ユニット30は、基材Pを加工して記録媒体PPを生成する媒体生成処理が実行される場合に、基材Pを速度Mvで+Y方向に搬送する。具体的には、基材搬送ユニット30は、制御ユニット10による制御に基づいて回転駆動する搬送ローラー31及び32を備える。そして、制御ユニット10は、基材Pに対する媒体生成処理を実行する場合に、基材Pが速度Mvで+Y方向に移動するように、搬送ローラー31及び32を回転駆動する。なお、本実施形態において、速度Mvは、30m/分以上300m/分以下であることが好ましく、50m/分以上200m/分以下であることがより好ましい。
基材供給ユニット20は、基材Pをロール状に巻き取った状態で収納する。そして、基材供給ユニット20は、基材Pを加工して記録媒体PPを生成する媒体生成処理が実行される場合に、基材Pを基材搬送ユニット30に供給する。具体的には、基材供給ユニット20は、基材Pに媒体生成処理が施される場合に、制御ユニット10による制御に基づいて回転駆動し、基材Pを基材搬送ユニット30に供給する。
但し、基材供給ユニット20は、本実施形態のような態様に限定されるものではない。例えば、基材供給ユニット20は、+Y方向に交差する+X方向に延在するX軸周りに回転自在であって、搬送ローラー31及び32の回転駆動に応じて、ロール状に巻き取った状態で収納している基材Pが引き出される構成であってもよいし、基材Pが板紙の場合は給紙装置から1枚ずつ紙を供給する形態であってもよい。また、基材供給ユニット20は、基材Pから静電気を除去するための静電気除去ユニットを備えてもよいし、基材Pの濡れ性を制御するためにコロナ処理ユニットを備えてもよい。
なお、基材Pを供給する基材供給ユニット20は、「供給ユニット」の一例である。
媒体受領ユニット40は、基材搬送ユニット30から、媒体生成処理が実行されることで加工された基材Pである記録媒体PPを受領した場合に、当該受領した記録媒体PPを、ロール状に巻き取った状態で収納する。具体的には、媒体受領ユニット40は、基材Pに対する媒体生成処理が実行される場合に、制御ユニット10による制御に基づいて回転駆動し、基材Pに対して媒体生成処理が施された記録媒体PPを、基材搬送ユニット30から受領する。なお、媒体受領ユニット40において、ロール状に巻き取られた記録媒体PP同士が張り付く「ブロッキング」等の不都合の発生を防止するため、媒体製造装置1には、媒体受領ユニット40の周辺の湿度を制御する湿度制御手段が設けられていてもよい。具体的には、媒体製造装置1は、例えば、媒体受領ユニット40を覆う外装と、当該外装の内部の湿度を制御する湿度制御手段と、を備えてもよい。
なお、記録媒体PPを受領する媒体受領ユニット40は、「受領ユニット」の一例である。
塗布ユニット60は、基材搬送経路に沿って設けられたプラテン63と、プラテン63上を搬送されている基材Pに対して前処理液Qqを吐出する前処理液吐出ヘッド61と、プラテン63上を搬送されている基材Pに対して反応液Qrを吐出する反応液吐出ヘッド62と、を備える。ここで、前処理液Qqは「第1処理液」の一例であり、反応液Qrは「第2処理液」の一例である。また、前処理液Qqを塗布するための前処理液吐出ヘッド61は「第1塗布ユニット」の一例であり、反応液Qrを塗布するための反応液吐出ヘッド62は「第2塗布ユニット」の一例である。
本実施形態において、前処理液吐出ヘッド61は、前処理液Qqを吐出する複数の前処理液吐出部D-Qが+X方向に並ぶように配置された前処理液ノズル列NL-Qを備える。また、本実施形態において、反応液吐出ヘッド62は、反応液Qrを吐出する複数の反応液吐出部D-Rが前処理液ノズル列NL-Qよりも+Y側において+X方向に並ぶように配置された反応液ノズル列NL-Rを備える。
以下では、前処理液吐出部D-Q及び反応液吐出部D-Rを、処理液吐出部D-SHと総称する場合がある。本実施形態において、処理液吐出部D-SHは、インクジェット方式により前処理液Qqまたは反応液Qrを吐出する。
また、以下では、前処理液ノズル列NL-Q及び反応液ノズル列NL-Rを、処理液ノズル列NL-SHと総称する場合がある。上述のとおり、本実施形態では、処理液ノズル列NL-SHが+X方向に延在する場合を想定している。但し、本実施形態に係る態様は一例であり、処理液ノズル列NL-SHは、+Y方向に交差する方向において、基材Pよりも広い範囲に延在していればよい。すなわち、本実施形態において、前処理液吐出ヘッド61、及び、反応液吐出ヘッド62は、所謂、ライン型のインクジェットヘッドである。前処理液吐出ヘッド61、及び、反応液吐出ヘッド62にライン型のインクジェットヘッドを採用することで、基材Pの搬送速度が50m/分〜300m/分といった、高速での媒体生成処理が可能となる。なお、高速での媒体生成処理が要求されない場合には、前処理液吐出ヘッド61及び反応液吐出ヘッド62を、基材Pの搬送方向と直行する方向、例えば、図2における+X方向と、+X方向とは反対の−X方向とに往復動させながら塗布処理を実行する、いわゆるシリアル型あるいはマルチパス型の構成としてもよい。
塗布ユニット60は、基材Pに対する塗布処理が実行される場合、制御ユニット10による制御に基づいて、基材Pに対して、前処理液Qq及び反応液Qrが塗布されるように、各処理液吐出部D-SHから前処理液Qqまたは反応液Qrを吐出させる。
なお、本実施形態において、前処理液吐出部D-Q及び反応液吐出部D-Rの+Y方向における間隔Lqrは、例えば、前処理液吐出部D-Qから吐出された前処理液Qqの反応液吐出部D-Rへの付着の防止と、反応液吐出部D-Rから吐出された反応液Qrの前処理液吐出部D-Qへの付着の防止とが可能な距離Lqr1以上である。具体的には、距離Lqr1は、例えば、処理液吐出部D-SH及びプラテン63の間の+Z方向における距離以上の距離であることが好ましい。より具体的には、距離Lqr1は、例えば、3cm以上の距離であることが好ましく、8cm以上の距離であることがより好ましく、10cm以上の距離であることが更に好ましい。ここで、+Z方向とは、+X方向及び+Y方向に交差する方向であり、処理液吐出部D-SHから前処理液Qqまたは反応液Qrが吐出される方向と反対の方向である。例えば、距離Lqr1は、速度Mvが50m/分である場合、基材Pが前処理液吐出部D-Qの−Z側を通過してから、基材Pが反応液吐出部D-Rの−Z側を通過するまでの時間が、0.036秒以上、より好ましくは、0.1秒以上、更に好ましくは、0.12秒以上となる距離であってもよい。
また、本実施形態において、間隔Lqrは、前処理液吐出部D-Qから吐出されて基材Pに付着した前処理液Qqが乾燥する前に、反応液吐出部D-Rから吐出された反応液Qrを基材Pに付着させることが可能な距離Lqr2以下とする。具体的には、距離Lqr2は、例えば、基材Pが速度Mvで搬送される際に、基材Pが前処理液吐出部D-Qの−Z側を通過してから、基材Pが反応液吐出部D-Rの−Z側を通過するまでの時間が、1秒以下、より好ましくは、0.6秒以下となる距離であってもよい。より具体的には、速度Mvが50m/分である場合、距離Lqr2は、83cm以下、より好ましくは、50cm以下に設定される。
このように、本実施形態において、間隔Lqrを、距離Lqr1以上であり、且つ、距離Lqr2以下に設定することで、処理液吐出部D-SHへのミスト付着による吐出不良を防止するとともに、前処理液Qq及び反応液Qrを反応させることを可能としている。
処理液乾燥ユニット80は、基材搬送経路に沿って搬送される基材Pを支える支持部82と、支持部82上を搬送されている基材Pに対して風Wbを当てる送風部81と、を備える。送風部81は、処理液乾燥処理において、制御ユニット10による制御に基づいて、支持部82上を搬送されている基材Pに対して、温度Tbで風速Vbの風Wbを吹き付けることで、基材Pに付着した前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥させる。本実施形態において、風Wbの温度Tbは、例えば、40℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、70℃以上90℃以下であることが更に好ましい。また、本実施形態において、風Wbの風速Vbは、例えば、1m/秒以上20m/秒以下であることが好ましく、3m/秒以上15m/秒以下であることがより好ましく、5m/秒以上10m/秒以下であることが更に好ましい。
本実施形態では、処理液乾燥ユニット80は、温度Tbの風Wbを基材Pに吹きかけることで、基材Pに付着した前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥させているが、処理液乾燥ユニット80は、このような態様に限定されるものではない。例えば、処理液乾燥ユニット80は、図示省略した赤外線ヒーターを備え、当該赤外線ヒーターによる輻射熱により、基材Pの表面の温度を温度Tbとすることで、基材Pに付着した前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥させてもよいし、マイクロ波を用いて基材Pに付着した前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥させてもよい。また、これらの方式を組み合わせて用いてもよい。
なお、基材Pに塗布された前処理液Qq及び反応液Qrを乾燥する処理液乾燥ユニット80は、「第1乾燥ユニット」の一例である。
本実施形態では、図3に示すように、インクジェットプリンター9が、媒体製造装置1により形成された記録媒体PPを+Y方向に搬送しつつ、画像形成処理を実行する場合を、一例として想定する。以下では、インクジェットプリンター9が画像形成処理を実行する際に、インクジェットプリンター9が記録媒体PPを搬送する経路を、媒体搬送経路と称する。なお、本実施形態では、媒体搬送経路が、+Y方向に進む直線状の経路である場合を一例として想定するが、媒体搬送経路は、曲線状の経路であってもよいし、折線状の経路であってもよい。
また、本実施形態では、図3に示すように、記録媒体PPが、長尺状の巻取り可能なシートである場合を、一例として想定する。より具体的には、本実施形態では、媒体搬送経路の進行方向における記録媒体PPの長さが、媒体搬送経路の経路長よりも長い場合を想定する。但し、記録媒体PPは、例えば、板紙のような長方形状のシートでもよいし、または、プラスチックの基板、セラミックの基板、若しくは、ガラスの基板でもよい。
なお、媒体製造装置1とインクジェットプリンター9は同じ建物内に並置してもよいし、別の建物にあってもよい。媒体製造装置1で形成された記録媒体PPは媒体受領ユニット40から取り外されてすぐにインクジェットプリンター9の媒体供給ユニット91にセットして画像形成処理を実施してもよいし、媒体製造装置1で形成された記録媒体PPを倉庫等に備蓄し、必要になったときに取り出してインクジェットプリンター9の媒体供給ユニット91にセットしてもよい。記録媒体PPを倉庫等で備蓄する場合は、備蓄する環境の温度及び湿度等を適切に管理し、記録媒体PPが変質または吸湿などしないようにすることが望ましい。
印刷制御ユニット90は、例えば、CPUを含んで構成され、インクジェットプリンター9の各部を制御する。なお、印刷制御ユニット90は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイス、または、アナログ回路等を備えていてもよい。
媒体搬送ユニット92は、記録媒体PPに対する画像形成処理が実行される場合に、記録媒体PPを例えば速度Mwで+Y方向に搬送する。具体的には、媒体搬送ユニット92は、印刷制御ユニット90による制御に基づいて回転駆動する搬送ローラー921、及び、922を備える。そして、印刷制御ユニット90は、記録媒体PPに対する画像形成処理を実行する場合に、記録媒体PPが速度Mwで+Y方向に移動するように、搬送ローラー921、及び、922を回転駆動する。なお、本実施形態において、速度Mwは、30m/分以上300m/分以下であることが好ましく、50m/分以上200m/分以下であることがより好ましい。
媒体供給ユニット91は、例えば、記録媒体PPをロール状に巻き取った状態で収納する。そして、媒体供給ユニット91は、記録媒体PPに対する画像形成処理が実行される場合に、記録媒体PPを媒体搬送ユニット92に供給する。
印刷物受領ユニット93は、媒体搬送ユニット92から受領した記録媒体PPを、例えば、ロール状に巻き取った状態で収納する。具体的には、印刷物受領ユニット93は、記録媒体PPに対する画像形成処理が実行される場合に、印刷制御ユニット90による制御に基づいて回転駆動し、記録媒体PPを媒体搬送ユニット92から受領する。
印刷ユニット50は、媒体搬送経路に沿って設けられたプラテン53と、プラテン53上を搬送されている記録媒体PPに対してカラーインクを吐出するカラーインク吐出ヘッド51と、プラテン53上を搬送されている記録媒体PPに対してホワイトインクを吐出するホワイトインク吐出ヘッド52と、を備える。
本実施形態では、カラーインク吐出ヘッド51から吐出されるカラーインクが、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及び、ブラックインクの、4色のインクを含む場合を、一例として想定する。そして、本実施形態において、カラーインク吐出ヘッド51は、シアンインクを吐出する複数のシアン吐出部D-Cが+X方向に並ぶように配置されたシアンノズル列NL-Cと、マゼンタインクを吐出する複数のマゼンタ吐出部D-Mが+X方向に並ぶように配置されたマゼンタノズル列NL-Mと、イエローインクを吐出する複数のイエロー吐出部D-Yが+X方向に並ぶように配置されたイエローノズル列NL-Yと、ブラックインクを吐出する複数のブラック吐出部D-Kが+X方向に並ぶように配置されたブラックノズル列NL-Kと、を備える。
また、本実施形態において、ホワイトインク吐出ヘッド52は、ホワイトインクを吐出する複数のホワイト吐出部D-W1が+X方向に並ぶように配置されたホワイトノズル列NL-W1と、ホワイトインクを吐出する複数のホワイト吐出部D-W2がホワイトノズル列NL-W1よりも+Y側において+X方向に並ぶように配置されたホワイトノズル列NL-W2と、を備える。このように、ホワイトインクに対応するノズル列の列数をカラーインクに対応するノズル列の列数の2倍にすることで、隠蔽性が必要な白の濃度を十分確保することができる。なお、本実施形態では、記録媒体PPに対して、先にカラーインク、後からホワイトインクを印刷し、完成した画像を、記録媒体PPの裏面、すなわち、記録媒体PPのうちインクが付着する面とは反対側の面より観察することを予定した構成である「裏刷り」を想定している。但し、当該構成は一例であり、記録媒体PPに対して、カラーインクよりも前にホワイトインクを印刷する「表刷り」を採用してもよいし、ホワイトインク無しでカラーインクのみを印刷する態様を採用してもよい。
以下では、シアン吐出部D-C、マゼンタ吐出部D-M、イエロー吐出部D-Y、ブラック吐出部D-K、ホワイト吐出部D-W1、及び、ホワイト吐出部D-W2を、インク吐出部D-INと総称する場合がある。本実施形態では、一例として、インク吐出部D-INが、インクジェット方式によりインク等の液体を吐出する場合を想定する。
また、以下では、シアンノズル列NL-C、マゼンタノズル列NL-M、イエローノズル列NL-Y、ブラックノズル列NL-K、ホワイトノズル列NL-W1、及び、ホワイトノズル列NL-W2を、インクノズル列NL-INと総称する場合がある。本実施形態では、インクノズル列NL-INが+X方向に延在する場合を想定している。但し、本実施形態に係る態様は一例であり、インクノズル列NL-INは、+Y方向に交差する方向において、記録媒体PPよりも広い範囲に延在していればよい。このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター9は、各色のカラーインクを、+Y方向に搬送される記録媒体PPの全体に吐出することができる。すなわち、本実施形態において、カラーインク吐出ヘッド51、及び、ホワイトインク吐出ヘッド52は、所謂、ライン型のインクジェットヘッドである。カラーインク吐出ヘッド51、及び、ホワイトインク吐出ヘッド52として、ライン型のインクジェットヘッドを採用することで、印刷速度が50m/分〜300m/分といった、高速印刷が可能となる。なお、高速印刷が要求されない用途等では、カラーインク吐出ヘッド51及びホワイトインク吐出ヘッド52を、記録媒体PPの搬送方向と直行する方向、例えば、図3における+X方向と−X方向とに、往復動させながら画像を形成する、いわゆるシリアル型あるいはマルチパス型の構成としてもよい。
印刷ユニット50は、記録媒体PPに対する印刷処理が実行される場合、印刷制御ユニット90による制御に基づいて、記録媒体PPに対して印刷データImgの示す画像が形成されるように、インク吐出部D-INからインクを吐出させる。
インク乾燥ユニット70は、媒体搬送経路に沿って搬送される記録媒体PPを支える支持部72と、支持部72上を搬送されている記録媒体PPに対して風Waを当てる送風部71と、を備える。送風部71は、インク乾燥処理において、印刷制御ユニット90による制御に基づいて、支持部72上を搬送されている記録媒体PPに対して、温度Taで風速Vaの風Waを吹き付けることで、記録媒体PPに付着したインクを乾燥させる。本実施形態において、風Waの温度Taは、例えば、40℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、70℃以上90℃以下であることが更に好ましい。また、本実施形態において、風Waの風速Vaは、例えば、1m/秒以上20m/秒以下であることが好ましく、3m/秒以上15m/秒以下であることがより好ましく、5m/秒以上10m/秒以下であることが更に好ましい。
<<2.媒体生成処理及び画像形成処理の概要>>
以下、図4乃至図9を参照しつつ、本実施形態に係る媒体生成処理及び画像形成処理の概要について説明する。
図4及び図5は、媒体生成処理のうち塗布処理が実行される場合における基材Pの様子を示す図である。上述のとおり、媒体製造装置1は、媒体生成処理として、まず、基材Pに対して前処理液Qq及び反応液Qrを塗布する塗布処理を実行する。
塗布処理は、図4に示すように、前処理液吐出ヘッド61を用いて基材Pに対して前処理液Qqを塗布する前処理液塗布処理と、図5に示すように、前処理液塗布処理の後に反応液吐出ヘッド62を用いて基材Pに対して反応液Qrを塗布する反応液塗布処理と、を含む。
本実施形態では、基材Pとして、ポリエリレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、または、二軸延伸ナイロンフィルム等の、透明性を有する樹脂フィルムを採用する。
また、本実施形態では、前処理液Qqとして、アニオン性の溶液を採用する。具体的には、本実施形態では、例えば、前処理液Qqとして、アニオン性の水溶性樹脂と、水と、有機溶剤とを含む溶液を採用する。より具体的には、本実施形態では、アニオン性の水溶性樹脂として、カルボキシル基、または、スルホン基等の、親水性アニオン基を有する樹脂を採用する。例えば、アニオン性の水溶性樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等を採用してもよい。以下では、アニオン性の水溶性樹脂として、スチレン−アクリル系樹脂を採用する場合を例示して説明する。
また、本実施形態では、反応液Qrとして、カチオン性の溶液を採用する。具体的には、本実施形態では、例えば、反応液Qrとして、多価金属塩と、水と、有機溶剤とを含む溶液を採用する。より具体的には、本実施形態では、例えば、多価金属塩として、カルシウム塩を採用する。例えば、多価金属塩として、塩化カルシウム、または、酢酸カルシウム等を採用してもよい。本実施形態では、多価金属塩としてカルシウム塩を採用するため、例えば、多価金属塩としてマグネシウム塩を採用する態様と比較して、前処理液Qq及び前処理液Qqの反応性を高くすることができ、媒体生成処理の処理速度を高めることができる。また、本実施形態では、多価金属塩としてカルシウム塩を採用するため、例えば、多価金属塩としてバリウム塩を採用する態様と比較して、記録媒体PPが、食品包装または衣類等の人体に触れる可能性のある用途に用いられる場合であっても、反応液Qrに含まれる成分が人体に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。以下では、多価金属塩として、塩化カルシウムを採用する場合を例示して説明する。塩化カルシウムは、例えば、乳酸カルシウムなどに比べて、水への溶解度が高く、よりカルシウムイオン濃度の高い溶液を作成することができる。なお、塩化カルシウムの潮解性が問題になるような用途においては、やや水溶性は劣るものの潮解性がなく人体への安全性も同等である酢酸カルシウムを用いてもよい。
なお、前処理液Qq及び反応液Qrに含まれる有機溶剤としては、例えば、グリコールエーテル類溶剤、1,2−アルキルジオール類溶剤、もしくは、直鎖炭化水素ジオール類溶剤、または、これらの一部または全部を混合した溶剤を採用してもよい。また、前処理液Qq及び反応液Qrには、上述した成分の他に、PH調整剤、界面活性剤、及び、キレート剤の一部または全部を付加してもよい。
記録媒体PPに前処理液Qqが塗布された後、反応液塗布処理において、記録媒体PPに反応液Qrが塗布される場合、前処理液Qqに含まれるアニオン性の水溶性樹脂と、反応液Qrに含まれるカチオン性の塩化カルシウムとが反応して、混合液Qqrが生成される。具体的には、本実施形態では、反応液塗布処理において、前処理液Qqに含まれる水溶性樹脂の有するアニオン基と、反応液Qrに含まれるカルシウムイオンとが反応することで、前処理液Qqに含まれる水溶性樹脂が不溶化して凝集するとともに、塩酸が生成される。
また、本実施形態では、混合液Qqrがカチオン性となるように、反応液塗布処理において塗布される反応液Qrの塗布量、及び、反応液Qrに含まれる塩化カルシウムの含有量が調整される。このため、本実施形態では、反応液Qrに含まれていた塩化カルシウムのうち、前処理液Qqに含まれていた水溶性樹脂のアニオン基と反応せずに残った余剰な塩化カルシウムが、混合液Qqr中に残存することになる。
図6は、媒体生成処理のうち処理液乾燥処理が実行される場合における基材Pの様子を示す図である。上述のとおり、媒体製造装置1は、媒体生成処理として、塗布処理の後に処理液乾燥処理を実行する。
上述のとおり、反応液塗布処理の後、基材P上に存在する混合液Qqrは、不溶化して凝集した水溶性樹脂と、塩酸と、塩化カルシウムと、が含まれる。そして、反応液塗布処理の後の処理液乾燥処理において、混合液Qqrを乾燥させる場合に、混合液Qqr中の塩酸は水分とともに蒸発する。また、処理液乾燥処理において、混合液Qqrを乾燥させる場合、図6に示すように、カルシウムと反応して凝集した水溶性樹脂からなる凝集層Q1が基材P上に形成され、また、混合液Qqr内の余剰な塩化カルシウムが凝集層Q1上に析出した析出層Q2が形成される。すなわち、処理液乾燥処理において、基材P上の混合液Qqrを乾燥させることで、基材P上に、凝集層Q1及び析出層Q2を含むアンカー層Qancが形成された記録媒体PPが生成される。
図7乃至図9は、画像形成処理のうち、印刷ユニット50を用いて記録媒体PPにインクを付着させる印刷処理が実行される場合における、記録媒体PPの様子を示す図である。
本実施形態では、インクとして、アニオン性のインクを採用する。具体的には、本実施形態では、例えば、インクとして、アニオン性の色材と、アニオン性の水溶性樹脂と、水と、有機溶剤とを含む溶液を採用する。ここで、インクに用いられる水溶性樹脂は、前処理液Qq及び反応液Qrに用いられる水溶性樹脂と同様のものであってもよい。また、アニオン性の色材は、例えば、染料または顔料等である。また、インクには、上述した成分の他に、PH調整剤、界面活性剤、及び、キレート剤の一部または全部を付加してもよい。
以下では、説明の便宜上、印刷処理において記録媒体PPに付着したインクを、「インクIK」と表現し、インクIKに含まれる色材及び水溶性樹脂を、単に、「色材SK」と表現する。
図7は、記録媒体PPにインクIKが着弾した瞬間における記録媒体PPの様子を示す図である。図7に示すように、インクIK内には、色材SKが分散している。
図8は、図7の後における記録媒体PPの様子を示す図である。図8に示すように、析出層Q2に含まれる塩化カルシウムは、インクIKに含まれる水分に溶融する。以下では、説明の便宜上、析出層Q2を構成する塩化カルシウムがインクIKに溶融した溶液を「溶融溶液IKq」と表現する場合がある。そして、析出層Q2の塩化カルシウムがインクIKに溶融して溶融溶液IKqが生成された場合、溶融溶液IKqに含まれるカルシウムと、溶融溶液IKqに含まれる色材SKの有するアニオン基とが反応し、溶融溶液IKq内において、色材SKが凝集する。
図9は、図8の後における記録媒体PPの様子を示す図である。凝集層Q1に含まれる水溶性樹脂に反応したカルシウムは、溶融溶液IKqに含まれる色材SKの有するアニオン基と結合する。このため、図9に示すように、溶融溶液IKq内において凝集した色材SKは、凝集層Q1に固定される。これにより、本実施形態によれば、溶融溶液IKqに含まれる色材SKが、図8に示す状態から更に収縮する現象である「過凝集」の発生を防止することができる。なお、わかりやすく示すために色材SKの凝集が発生した後、色材SKが凝集層Q1に固定されるように説明したが、実際にはこの凝集と固定は並行して進む現象である。
なお、図示は省略するが、上述のとおり、インクジェットプリンター9は、画像形成処理として、印刷処理の後にインク乾燥処理を実行する。
<<3.参考例>>
以下、本実施形態に係る塗布処理が前処理液塗布処理を含むことの意義を明確化するために、図10乃至図13を参照しつつ、塗布処理が前処理液塗布処理を含まず、基材Pに対して前処理液Qqが塗布されない態様である「参考例」について説明する。
参考例では、塗布処理において、まず、図10に示すように、基材Pに対して、前処理液Qqを塗布することなく反応液Qrを塗布する。図示しないが、この後、処理液乾燥処理において、基材Pに塗布された反応液Qrを乾燥させることで、基材P上には、反応液Qr内の塩化カルシウムが析出した析出層Q2が形成される。
次に、参考例では、図11に示すように、基材Pに対してインクIKを付着させる。
次に、参考例では、図12に示すように、析出層Q2に含まれる塩化カルシウムがインクIKに溶融して溶融溶液IKqが生成され、溶融溶液IKq内において、色材SKが凝集する。しかし、参考例では、基材P上に凝集層Q1が形成されないため、溶融溶液IKq内において凝集した色材SKは、溶融溶液IKq内を自由に移動することができる。
このため、参考例では、その後、図13に示すように、溶融溶液IKq内において凝集した色材SKが更に収縮する過凝集が発生する。これにより、参考例では、基材Pに形成した画像のパターンが歪み、印刷データImgの示す画像を基材P上に正確に形成することができない。反応液Qrに含まれる多価金属塩を反応性の低いマグネシウム塩などに置換する等すれば、過凝集を抑制することもできるが、凝集速度が低下するため、印刷速度をあげると滲みやコーヒーステイン現象などの過凝集以外の画質課題が顕在化する。
これに対して、本実施形態では、塗布処理において、基材Pに対して前処理液Qq及び反応液Qrを塗布し、前処理液Qq及び反応液Qrを反応させることで、基材P上においてカチオン性の混合液Qqrを生成する。そして、本実施形態では、処理液乾燥処理において、混合液Qqrを乾燥させることで、析出層Q2に加えて凝集層Q1を形成する。これにより、本実施形態では、溶融溶液IKq内において凝集した色材SKが、溶融溶液IKq内を自由に移動することを抑制し、過凝集の発生を防止することが可能となる。このため、本実施形態によれば、カルシウムなどの高い反応性を持つ多価金属塩を用いることで印刷速度と印刷画質を両立できる。
<<4.実施例>>
以下、本実施形態に係る実施例について説明するが、本実施形態は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
実施例では、基材Pとして、フタムラ化学株式会社製のポリエリレンテレフタレートフィルムであるFE2001を採用した。
また、実施例では、前処理液Qqを、表1に示すように、スチレン−アクリル系樹脂が8質量%となり、直鎖炭化水素ジオール類溶剤が13質量%となり、1,2−アルキルジオール類溶剤を3質量%となり、界面活性剤が2質量%となるように構成した。また、前処理液Qqの全質量が、100質量%となるように、純水を添加した。そして、前処理液塗布処理において、1平方インチあたり2mgの塗布量となるように、基材Pに対して、前処理液Qqを塗布した。
また、実施例では、反応液Qrを、表1に示すように、直鎖炭化水素ジオール類溶剤が15質量%となり、1,2−アルキルジオール類溶剤を3質量%となり、界面活性剤が2質量%となり、塩化カルシウムが3質量%となるように構成した。また、反応液Qrの全質量が、100質量%となるように、純水を添加した。そして、反応液塗布処理において、1平方インチあたり3mgの塗布量となるように、基材Pに対して、反応液Qrを塗布した。
また、実施例では、インクを、表2に示すように、各種顔料と、スチレン−アクリル系樹脂と、直鎖炭化水素ジオール類溶剤と、1,2−アルキルジオール類溶剤と、界面活性剤と、純水とを用いて構成した。
Figure 2020100007
Figure 2020100007
また、実施例では、基材搬送ユニット30による基材Pの搬送速度Mv、及び、媒体搬送ユニット92による記録媒体PPの搬送速度Mwを50m/分とし、間隔Lqrを、25cmとした。
また、実施例では、インク乾燥ユニット70の送風部71から吹き出す風Wa、及び、処理液乾燥ユニット80の送風部81から噴出す風Wbについて、温度Ta及び温度Tbを共に80℃とし、風速Va及び風速Vbを共に8m/秒とした。
実施例では、以上の条件の下で、基材Pを加工して記録媒体PPを生成し、当該記録媒体PPに対して画像形成処理を実行したところ、過凝集の発生が抑制され、印刷データImgの示す画像が正確に形成されることを確認した。例えば、実施例において、印刷データImgが白色の背景に黒色の正方形を含む画像を示す場合に、記録媒体PPに対して、図14で示すような、印刷データImgの示す画像が正確に形成されることを、実験により確認した。
なお、実施例において、参考例のように、前処理液塗布処理を含めずに、析出層Q2が形成された基材Pに対して同じく搬送速度Mwを50m/分で画像形成処理を実行したところ、過凝集が発生し、印刷データImgの示す画像が正確に形成されないことを確認した。例えば、参考例において、印刷データImgが白色の背景に黒色の正方形を含む画像を示す場合に、基材Pに対して、図15で示すような、印刷データImgの示す画像が正確に形成されないことを、実験により確認した。
<<5.実施形態の結論>>
以上のように、本実施形態に係る媒体製造装置1は、基材Pを供給する基材供給ユニット20と、アニオン性の前処理液Qqを基材Pに塗布する前処理液吐出ヘッド61と、前処理液Qqが基材Pに塗布された後に、カチオン性の反応液Qrを基材Pに塗布し、前処理液Qq及び反応液Qrを反応させて、カチオン性の混合液Qqrを生成する反応液吐出ヘッド62と、混合液Qqrを乾燥させて、基材Pにアンカー層Qancを形成する処理液乾燥ユニット80と、アンカー層Qancが形成された基材Pを受領する媒体受領ユニット40と、を備える、ことを特徴とする。
従来のように、アニオン性の前処理液Qqを基材Pに塗布せずに、カチオン性の反応液Qrのみを基材Pに塗布する場合において、反応液Qrが基材Pに塗布された後に、アニオン性のインクを基材Pに付着させると、インク中の色材及び樹脂が、反応液Qrのカチオン性の成分と反応し、インクが乾燥する前にインク中の色材及び樹脂が収縮する。インク中の色材及び樹脂が収縮する場合、インクにより表される画像が収縮し、印刷画質が低下する、所謂、過凝縮と呼ばれる現象が発生することがある。
これに対して、本実施形態によれば、アニオン性の前処理液Qqを基材Pに塗布した後に、カチオン性の反応液Qrを基材Pに塗布するため、前処理液Qq中のアニオン性の成分が、反応液Qr中のカチオン性の成分と反応して凝縮し、凝集層Q1が形成される。また、本実施形態によれば、反応液Qrを乾燥させる際に、反応液Qr中のカチオン性の成分のうち、前処理液Qq中のアニオン性の成分と未反応の成分が析出し、析出層Q2が形成される。このため、本実施形態によれば、処理液乾燥処理の後に、アニオン性のインクを記録媒体PPに付着させる場合に、インク中の色材及び樹脂が析出層Q2と反応して収縮するとともに、インク中の色材及び樹脂が凝集層Q1に固定される。このため、本実施形態によれば、印刷速度を速くするために反応性の高いカルシウム塩などを含んだ反応液Qrを用いても、記録媒体PP上でのインク中の色材の移動及び拡散が制限され、過凝集の発生を防止することが可能となり、印刷速度と画質を両立することができる。
また、本実施形態に係る媒体製造装置1において、前処理液Qqは、水溶性樹脂、水、及び、有機溶剤を含む、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、水溶性樹脂を含む前処理液Qqを基材Pに塗布した後に、カチオン性の反応液Qrを基材Pに塗布するため、前処理液Qqの水溶性樹脂が、反応液Qrのカチオン性の成分と反応して凝集層Q1が形成される。このため、本実施形態によれば、処理液乾燥処理の後に、アニオン性のインクを記録媒体PPに塗布する場合に、インク中の色材及び樹脂が、凝集層Q1に固定され、過凝集の発生を防止することが可能となる。
また、本実施形態に係る媒体製造装置1において、反応液Qrは、多価金属塩、水、及び、有機溶剤を含む、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、アニオン性の前処理液Qqを基材Pに塗布した後に、多価金属塩を含む反応液Qrを基材Pに塗布するため、前処理液Qq中のアニオン性の成分が、反応液Qr中の多価金属塩と反応して凝集層Q1が形成される。このため、本実施形態によれば、処理液乾燥処理の後に、アニオン性のインクを記録媒体PPに塗布する場合に、インク中の色材及び樹脂が、凝集層Q1に固定され、過凝集の発生を防止することが可能となる。
また、本実施形態に係る媒体製造装置1において、多価金属塩は、塩化カルシウムである、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、多価金属塩として人体への影響が少ない塩化カルシウムを採用するため、記録媒体PPが、食品包装または衣類等の人体に触れる可能性のある態様で用いられる場合においても、記録媒体PPが人体に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。また、塩化カルシウムは水溶性が高いため高濃度化が容易であり、カルシウムの反応性の高さとあいまって高い印刷速度と高画質を両立することができる。
また、本実施形態に係る媒体製造装置1において、多価金属塩は、酢酸カルシウムである、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、多価金属塩として人体への影響が少ない酢酸カルシウムを採用するため、記録媒体PPが、食品包装または衣類等の人体に触れる可能性のある態様で用いられる場合においても、記録媒体PPが人体に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。また、酢酸カルシウムは、水溶性においては塩化カルシウムに劣るものの、乳酸カルシウムなどより高濃度化が可能なうえに、塩化カルシウムと異なり潮解性が無いため、例えば記録媒体PP上に残留しても潮解して裏移り及びブロッキングなどの不具合要因になることがない。
また、本実施形態に係る媒体製造装置1において、前処理液Qqの塗布の終了から反応液Qrの塗布の開始までの間隔は、0.1秒以上、1.0秒以下である、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、前処理液塗布処理の終了から、反応液塗布処理の開始までの間隔が、0.1秒以上であるため、前処理液Qqと反応液Qrが基材Pに付着する前に混在することを防止することができる。また、本実施形態によれば、前処理液塗布処理の終了から、反応液塗布処理の開始までの間隔が、1.0秒以下であるため、前処理液塗布処理の終了から、反応液塗布処理の開始までの間隔が、1.0秒よりも長い場合と比較して、前処理液Qqの水分が揮発することによる反応液Qrとの反応性低下を抑制することが可能となる。
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
<<変形例1>>
上述した実施形態では、前処理液吐出ヘッド61を用いて、インクジェット方式により前処理液Qqを吐出する態様を例示したが、本発明なこのような態様に限定されるものではない。前処理液吐出ヘッド61の代わりに、ローラーコーターにより、基材Pに対して前処理液Qqを塗布してもよいし、スプレーコーター、スリットコーターなど、既知のあらゆる塗布手段を用いても構わない。反応液Qrの塗布についても同様であるが、接触式の塗布方法を用いる場合は反応により凝集した樹脂が塗布手段に付着するため、クリーニング機構をあわせて備える必要がある。
<<変形例2>>
上述した実施形態及び変形例1では、印刷ユニット50において記録媒体PPに対して吐出されるインクが、カラーインク及びホワイトインクを含む場合を例示したが、本発明なこのような態様に限定されるものではない。印刷ユニット50において記録媒体PPに対して吐出されるインクには、例えば、メタリックインクが含まれていてもよい。また、表面の光沢性を制御するためのクリアインクなどを備えていてもよいし、蛍光色などのいわゆる特色インクを備えていてもよい。また逆に、ブラックインクのみを備えて白黒専用の印刷機として構成してもよい。
1…媒体製造装置、9…インクジェットプリンター、10…制御ユニット、20…基材供給ユニット、30…基材搬送ユニット、40…媒体受領ユニット、50…印刷ユニット、51…カラーインク吐出ヘッド、52…ホワイトインク吐出ヘッド、60…塗布ユニット、61…前処理液吐出ヘッド、62…反応液吐出ヘッド、70…インク乾燥ユニット、80…処理液乾燥ユニット、90…印刷制御ユニット、91…媒体供給ユニット、92…媒体搬送ユニット、93…印刷物受領ユニット、SYS…印刷システム。

Claims (7)

  1. 基材を供給する供給ユニットと、
    アニオン性の第1処理液を前記基材に塗布する第1塗布ユニットと、
    前記第1処理液が前記基材に塗布された後に、
    カチオン性の第2処理液を前記基材に塗布し、
    前記第1処理液及び前記第2処理液を反応させて、
    カチオン性の混合液を生成する第2塗布ユニットと、
    前記混合液を乾燥させて、
    前記基材にアンカー層を形成する第1乾燥ユニットと、
    前記アンカー層が形成された前記基材を受領する受領ユニットと、
    を備える、
    ことを特徴とする媒体製造装置。
  2. 前記第1処理液は、水溶性樹脂、水、及び、有機溶剤を含む、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体製造装置。
  3. 前記第2処理液は、多価金属塩、水、及び、有機溶剤を含む、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の媒体製造装置。
  4. 前記多価金属塩は、塩化カルシウムである、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の媒体製造装置。
  5. 前記多価金属塩は、酢酸カルシウムである、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の媒体製造装置。
  6. 前記第1処理液の塗布の終了から前記第2処理液の塗布の開始までの間隔は、
    0.1秒以上、1.0秒以下である、
    ことを特徴とする、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の媒体製造装置。
  7. 基材にアンカー層が形成された媒体であって、
    前記基材を供給する供給ユニットと、
    アニオン性の第1処理液を前記基材に塗布する第1塗布ユニットと、
    前記第1処理液が前記基材に塗布された後に、
    カチオン性の第2処理液を前記基材に塗布し、
    前記第1処理液及び前記第2処理液を反応させて、
    カチオン性の混合液を生成する第2塗布ユニットと、
    前記混合液を乾燥させて、
    前記基材に前記アンカー層を形成する第1乾燥ユニットと、
    前記基材に前記アンカー層が形成された前記媒体を受領する受領ユニットと、
    を備える、
    ことを特徴とする媒体製造装置により製造された媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022133762A1 (zh) * 2020-12-23 2022-06-30 苏州沃蓝纺织科技有限公司 一种涂层厚度均匀的涂层布生产设备

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