JP2020099600A - 加工用接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械加工に供せられる歯科用CAD/CAMブロックを、加工装置に保持させるためのブロックホルダーと確実に、かつ、位置ずれしないように接合させる加工用接合構造を提供する。【解決手段】 加工用ブロック10のブロック側接合面10eに係合凸部11を設け、ブロックホルダー13のホルダー側接合面14aに係合凹部17を設ける。これらの間に接着剤保持用空間を配し、接着剤を施用して、係合凸部11と係合凹部17とを係合させて接合させる。加工用ブロック10に設ける係合凸部11は、直方体又は略直方体で、加工用ブロック10の正面10aから裏面10b方向に延在させると、矢標P方向(図5示)へ摺動させて成形型2(図5示)から型抜きできる。【選択図】 図1

Description

本発明は、歯冠、部分歯冠、義歯等の歯科用補綴物を切削して加工する歯科用CAD/CAMブロックとこの歯科用CAD/CAMブロックに一体的に接合されるブロックホルダーとの加工用接合構造に関する。
歯科治療に用いられる歯科用製品としての歯科用補綴物は、金や銀、チタン、パラジウム合金等のように金属材料から鋳造によって成形されるものや、セラミックスあるいはハイブリッドレジン等によって形成された歯科用CAD/CAMブロックを切削加工して成形されている。なお、ハイブリッドレジンは、レジンマトリックス中に無機充填剤が高密度で分散された複合材料である。
近年のデジタル画像技術やコンピュータ処理技術等の発達により、例えば、特許文献1に開示されているように、口腔内の撮影画像から、コンピュータ支援設計(CAD)(Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM)(Computer Aided Manufacturing)技術によるCAD/CAM装置を用いて、歯科用CAD/CAMブロックに切削加工を施して歯科用補綴物を成形するCAD/CAMシステムが多用されるようになってきている。
切削のための切削加工装置に供される歯科用CAD/CAMブロックは、切削加工装置に対して所定の位置に保持される必要がある。このため、取付ポストやフレーム、接続ピン等と称される金属製のブロックホルダーと、歯科用CAD/CAMブロックとが、接着剤を介して接合され、このブロックホルダーがブロック固定具に固定されて切削加工装置に装着される。なお、特許文献1に示されるように、歯科用CAD/CAMブロックは歯科用ミルブランク等と称されることもあり、所謂審美修復を行うために、色調や透明性等の、性質の異なる複数の層を積層した構造を有するもの(以下、「積層ブロック」ともいう。)も知られている。
歯科用CAD/CAMブロックは、例えば、特許文献1乃至特許文献3に記載されているように、直方体又は略直方体に形成され、その一面が平面とされたブロック側接合面とされている。ブロックホルダーは、ホルダー側接合面となる平面と、柱状の保持用支持部とを備えている。このホルダー側接合面が歯科用CAD/CAMブロックのブロック側接合面と、接着剤を介して接合される。保持用支持部の形状は様々であり、特許文献3に記載されているような、底面がホルダー側接合面となる角柱状の保持部材に、切削加工装置のハウジング内に固定するための固定面を面取りしたものや、特許文献1や特許文献2に記載されているような、ホルダー側接合面となる平面を備えた基体部と、この基体部のホルダー側接合面とは反対側の面に立設された柱状の保持用支持部とを有し、当該保持用支持部の中央部が縮径されて、ブロック固定具に固定させるためのチャック部が形成されているものが一般的である。
これらブロック接合面とホルダー接合面とのいずれか一方又は双方に接着剤を施用して、ブロックホルダーを歯科用CAD/CAMブロックのブロック側接合面の所定の位置に載置される。そして、接着剤が硬化すると、これら歯科用CAD/CAMブロックとブロックホルダーが一体となった接合体が製作される。
特表2016−535610号公報 特開2018−42895号公報 特開2011−41809号公報
ところが、工業的な規模で上述した方法により接合を行う際には、効率よく接合を行うために、接着剤が硬化する前に接合体を移動させる場合がある。この際、水平を保ちつつ可及的に静かに移動させる等、歯科用CAD/CAMブロックに対するブロックホルダーの位置ずれが起こらないように注意して移動させても、許容範囲外に位置ずれを起こすおそれがある。この位置ずれによって規格外となる不良品が一定の割合で発生することが避けられなかった。特に、審美性の高い色調パターンを有する歯科用補綴物を得るために前記積層ブロックを用いる場合においては、所定の位置に所定の色調を有する層が来るように高度に位置決めしてから切削加工する必要があり、歯科用CAD/CAMブロックを切削加工装置に固定する際の位置が僅かにずれても目的とする色調パターンを得ることができなくなるおそれがある。このため、位置ずれの許容範囲は極めて狭く、上記位置ずれが生産性に及ぼす影響はより大きい。
そこで、本発明は、このような不良品の発生率を低減できる加工用接合構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、機械加工を施して歯科用製品を加工する歯科用CAD/CAMブロックとこの歯科用CAD/CAMブロックを保持して切削加工装置に固定するブロックホルダーとを、接着剤を介して接合させる、加工用接合構造において、前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面とブロックホルダーの接合面のいずれか一方である第1接合面に形成されている係合部と、前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面と前記ブロックホルダーの接合面のいずれか他方である第2接合面に形成されている係合受け部と、前記係合部と前記係合受け部との間に、両者の係合時において前記係合部と前記係合受け部とが互いに対向する領域における、前記係合部の表面積の50%以上及び前記係合受け部の表面積の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するよう構成されている接着剤保持用空間と、を備え、前記係合部と前記係合受け部とを係合させると共に、前記接着剤保持用空間内に保持された接着剤を介して前記歯科用CAD/CAMブロックと前記ブロックホルダーとが接合されている、ことを特徴としている。
なお、機械加工には、切削加工や研磨加工その他、歯科用CAD/CAMブロックを加工するのに適した加工方法を含む。
また、本発明の他の側面は、前記係合部は前記第1接合面から突出させた1又は複数の係合凸部であると共に、前記係合受け部は第2接合面から凹んで前記凸部を受容する1又は複数の係合凹部である、ことが好ましい。
また、本発明の他の側面は、前記歯科用CAD/CAMブロックは直方体状に設けられていて、その底面の一方を接合面とする加工用接合構造であって、前記直方体状の4つの側面の中から任意に定めた1つの面を正面とし、その反対側の面を裏面とし、前記正面に向かって右及び左に隣接する面を夫々右側面及び左側面としたときに、前記係合部又は前記係合受け部は、前記係合部又は係合受け部の一方の端面が正面と同一の平面上となり、且つ裏面方向に向かって延在するように形成されており、前記直方体状の他方の底面、前記正面及び右側面が共有する頂点を原点とし、他方の底面及び右側面が共有する第一の辺、他方の底面及び正面が共有する第二の辺、並びに正面及び右側面が共有する第三の辺の夫々に沿ってx軸、y軸並びにz軸を配した座標系であって、前記第一、第二及び第三の辺における原点と反対側の末端の座標(x、y、z)が夫々(100、0、0)、(0、100、0)並びに(0、0、100)とする座標系で、前記係合部又は係合受け部の位置及び形状を表したときに、当該位置及び形状は下記条件(1)、(2)及び(3)の少なくとも1つを満足することが、好ましい。
〔条件〕
(1) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部について、その裏面側端部のx座標の値を、その係合部又は係合受け部の長さ:Lとし、その中の最大値を、前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の最大長さ:Lmaxとしたときに、
100≧Lmax≧10
の関係。
(2) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であるときの各係合部又は各係合受け部の一方端部のy座標の値と他方端部のy座標の値の差の絶対値で定義される、各係合部又は各係合受け部の幅をWとしたときに、全ての係合部又は係合受け部の幅Wの総和は5以上30以下であり、且つ全ての係合部又は係合受け部の幅Wは、
・p=0のとき: 70≧W≧1 及び
・p>0のとき: Wp−r≧W (但し、rは、0を越えp以下の任意の有理数である。)
の関係。
(3) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であり、且つy座標値がq(但し、qは、x=pであるときに係合部又は係合受け部が存在する領域における任意のy座標値である。)であるときの高さ又は深さをHp,qとしたときに、全ての係合部の高さ又は全ての係合受け部の深さ:Hp,qは、
・p=0のとき:実寸で、10(mm)≧H0,q≧0.1(mm) 及び
・p>0のとき: Hp−r,q≧Hp,q {但し、r前記(2)におけるrと同義である。}
の関係。
なお、直方体状とは数学的な意味で厳密な直方体のみならず、多少の寸法誤差が存在するような直方体形状(略直方体)も含んでいる。
また、本発明の他の側面は、前記ブロックホルダーは、一方の面が前記第1接合面又は前記第2接合面とされ、他方の面が保持側面とされた板状の基体部と、前記基体部の保持側面の中心に立設された保持用支柱部と、を具備し、前記保持用支柱部の周囲には、前記基体部の一部が該保持用支柱部よりも鍔状に延伸している接合フランジ部が設けられていて、前記接合フランジ部の保持側面から前記保持用支柱部の軸方向に沿って適宜な深さであって、接合フランジ部の周縁部から保持用支柱部に向かって適宜な長さで、周方向に適宜な長さで、前記歯科用CAD/CAMブロックを切削加工する切削加工装置の位置決め部材が係合する位置決め凹部が設けられていて、前記基体部を保持側面から接合面に貫通する部分が存していない、ことが好ましい。
なお、保持用支柱部を立設させた保持側面の中心には、中心近傍を含んでいる。
また、本発明の他の側面は、前記歯科用CAD/CAMブロックは複数の層からなる積層体であって、夫々の層は異なる性質を備えたハイブリッドレジン層である、ことが好ましい。
ここで、夫々の層が備える性質としては、色調、透明性、構成されるマトリックスポリマー及び/又はフィラーの屈折率、強度、硬度、弾性率、摩耗性、蛍光性、及び研磨性等が挙げられる。そして、夫々の層の性質は、これらの群より選ばれ、夫々の層で少なくとも一種の性質が互いに異なることが好ましい。
この発明に係る加工用接合構造によれば、切削加工装置に供される際に、歯科用CAD/CAMブロックとブロックホルダーとの位置ずれがなく、歯科用CAD/CAMブロックを高い精度で切削加工することができる。
この発明の第1の実施形態に係る加工用接合構造を示し、(A)が接合前の状態を示す斜視図であり、(B)が接合した状態を示す斜視図である。 図1に示す第1の実施形態のブロックホルダーを示す図であり、(A)は上方から見た斜視図、(B)は下方から見た斜視図である。 この発明の第2の実施形態に係る加工用接合構造を示し、(A)が接合前の状態を示す斜視図であり、(B)が接合した状態を示す斜視図である。 図3に示す第2の実施形態のブロックホルダーを示す図であり、(A)は上方から見た斜視図、(B)は下方から見た斜視図である。 図1と図3の夫々に示す歯科用CAD/CAMブロックを型成形するための成形型の概略を示し、(A)が図1に示す第1の実施形態に係る歯科用CAD/CAMブロック成形用のものであり、(B)が図3に示す第2の実施形態に係る歯科用CAD/CAMブロック成形用のものであって、歯科用CAD/CAMブロックが併記されている。 図1に示す第1の実施形態の係止部について、種々の変形例を示す歯科用CAD/CAMブロックの斜視図である。 歯科用CAD/CAMブロックの接合面に形成される係止部の位置と形状とを説明する斜視図である。 図6に示す歯科用CAD/CAMブロックの接合面に形成される係止部の変形例を説明する斜視図である。 この発明の第3の実施形態に係る加工用接合構造を示し、(A)が接合前の状態を示す斜視図であり、(B)が接合した状態を示す斜視図である。 この発明の第4の実施形態に係る加工用接合構造を示し、(A)が接合前の状態を示す斜視図であり、(B)が接合した状態を示す斜視図である。 図9に示す第3の実施形態の係止部について、種々の変形例を示す歯科用CAD/CAMブロックの斜視図である。 この発明に係る加工用接合構造の歯科用CAD/CAMブロックの外形形状の変形例を示す斜視図である。 この発明の第5の実施形態に係る加工用接合構造を示す歯科用CAD/CAMブロックの斜視図であり、(A)は歯科用CAD/CAMブロックの斜視図であり、(B)は平面図である。 図13に示す第5の実施形態の変形例を示す歯科用CAD/CAMブロックの平面図である。 比較例に係る加工用接合構造を説明する図で、(A)が接合前の状態を示す斜視図であり、(B)が接合した状態を示す斜視図である。 歯科用CAD/CAMブロックが切削された加工された歯科用製品として奥歯用の歯科用補綴物の概略を示す斜視図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る加工用接合構造について、図面を参照して説明する。なお、この歯科用CAD/CAMブロックを切削加工装置に供して切削して、図16に示すような、歯科用製品としての奥歯用の歯科用補綴物1を形成する場合を例示する。すなわち、この歯科用補綴物1を形成する場合には、歯科用CAD/CAMブロックを切削して、この歯科用補綴物1以外の部分として、ブロックホルダー110に接合された接合部1aと、この接合部1aに接続して歯科用補綴物1を保持している保持棒部1bが残存し、その他の部分は切削されて除去されることになる。
(第1の実施形態)
図1と図2に、この発明の第1の実施形態に係る加工用接合構造が示されている。図1は、歯科用CAD/CAMブロックである加工用ブロック10とブロックホルダー13との斜視図である。図1(A)には加工用ブロック10とブロックホルダー13との接合前の状態が、図1(B)には接合された状態が示されている。また、図2はブロックホルダー13を示す斜視図であり、(A)は図1に示す側と反対側を上方から見た斜視図であり、(B)は下方から見た斜視図である。
加工用ブロック10は、セラミックやハイブリッドレジン等が素材とされて、直方体又は略直方体に形成されている。この加工用ブロック10の一の面を正面10aとした場合に、反対側の面を裏面10b、正面10aに向かって右と左の夫々の面を右側面10cと左側面10dとする。また、底面の一方が第1接合面としてのブロック側接合面10eとなり、他方が下面10fとなる。そして、ブロック側接合面10eには、該ブロック側接合面10eから突出した係合部としての係合凸部11がレール状のように設けられている。この係合凸部11は、後述する機能を果たす形状の直方体又は略直方体で形成されている。係合凸部11の一面は、正面11aとされて加工用ブロック10の正面10aと同一面内に配されている。また、係合凸部11は、正面11aが形成された端部 から裏面10b側に向かって延在させて形成されている。なお、この係合凸部11の右側面11bと左側面11cの夫々は、加工用ブロック10の右側面10cと左側面10dの夫々と平行とされている。
金属材料で形成されるブロックホルダー13は、円板状の基体部14と柱状の保持用支柱部15とが一体的に形成されている。基体部14の一面側は第2接合面としてのホルダー側接合面14aとされ、他面側は保持側面14bとされている。
保持側面14bの中心又は中心近傍に、保持用支柱部15が立設されている。また、基体部14の一部は、保持用支柱部15の外方よりも拡径されているが、その拡径された部分がフランジ部16となっている。基体部14のホルダー側接合面14aには保持側面14bに向かって形成された凹部により、係合受け部としての係合凹部17がレール状のように設けられており、加工用ブロック10のブロック側接合面10eに設けられた係合凸部11と係合する。
保持側面14bには、保持用支柱部15の軸方向に沿って所定の深さの位置決め凹部18が設けられている。この位置決め凹部18は、接合フランジ部16の周縁部から所定の長さを有するように設けられているが、その径方向中心の位置は保持用支柱部15には到達していない。なお、位置決め凹部18は、径方向を中心線として、一定の幅を有している。
この位置決め凹部18は、図2に示すように、接合フランジ部16を貫通していない。なお、図1と図2には、係合凹部17と位置決め凹部18とが略180度にずれた位置に形成されている形状を示したが、これらの位置関係はこれに限らず、切削加工装置のブロック固定具との関係で設定される。
また、ブロックホルダー13の保持用支柱部15の中央部には外周面から湾曲された状態で窪んでいる固定用チャック部15aが形成されている。この固定用チャック部15aに切削加工装置のチャック装置が備えている止めネジや固定用突起等が係合することによって、保持用支柱部15が固定される。また、保持用支柱部15の先端部には、図2に示すように、一部が切り欠かれた切欠部15bが設けられている。
そして、図1(B)に示すように、係合凸部11が係合凹部17に受容されるよう係合させると、加工用ブロック10に対してブロックホルダー13が所定の位置で位置決めされる。なお、これら係合凸部11と係合凹部17とが係合した際には、これらの間に適宜な間隙が設けられるようにする。また、これらの接合に際して、係合凸部11と係合凹部17の一方又は双方に接着剤を施用するが、その接着剤を保持できる接着剤保持用空間が、上述した係合凸部11と係合凹部17との間の間隙に対応している。
この接着剤保持用空間とは、前記係合部と前記係合受け部との間に、両者の係合時においてこれら係合部と係合受け部とが互いに対向する領域における、係合部の表面(以下、「係合時係合部対向表面」ともいう。)の表面積(以下、「係合時係合部対向表面積」ともいう。)の50%以上及び係合受け部の表面(以下、「係合時係合受け部対向表面」ともいう。)の表面積(以下、「係合時係合受け部対向表面積」ともいう。)の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するよう構成されるものである。ここで、両者の係合時において係合部と係合受け部とが互いに対向する領域と、係合時における係合部の表面積及び係合受け部の表面積(すなわち、係合時係合部対向表面積及び係合時係合受け部対向表面積)とは、係合部と係合受け部との係合が完了した時点において、それぞれ、両者が互いに対向する部分の表面の表面積を意味し、両面積は同一の面積を有する。たとえば係合部が係合凸部11であり係合受け部が係合凹部17である場合には、係合凸部11の上面と係合凹部の底面の内、互いに対向しあって重複する部分の表面積と、係合凸部11の全側面と係合凹部17の全側面の内それぞれ互いに対向しあって重複する部分の表面積と合計面積を意味することになる。
また、接着剤保持用空間は、係合部と係合受け部との間に設けられた空隙であり、その空隙の幅は、係合時係合部対向表面積及び係合時係合受け部対向表面積の50%以上、好ましくは70%以上、最も好ましくは100%が、夫々接着剤と接触して、接着剤を保持できるように適宜設定される。たとえば、このような接着剤保持用空間となる間隙を形成するためには係合凸部11の上面の幅及び/又は高さを、夫々係合凹部17の底面の幅及び/又は深さよりも僅かに、たとえば25μm以上、300μm以下の範囲、好ましくは50μm以上、200μm以下の範囲で、小さく設定すればよい。
(第2の実施形態)
次に、この発明に係る加工用接合構造の第2の実施形態について、図3と図4を参照して説明する。図3は 歯科用CAD/CAMブロックである加工用ブロック20とブロックホルダー23との斜視図であり、図3(A)は加工用ブロック20とブロックホルダー23との接合前の状態を、図3(B)はこれら加工用ブロック20とブロックホルダー23とが接合した状態を示す斜視図である。また、図4はブロックホルダー23を示す斜視図であり、図4(A)は図3に示す側と反対側を上方から見た斜視図、図4(B)は下方から見た斜視図である。
加工用ブロック20はセラミックやハイブリッドレジン等の素材により直方体又は略直方体に形成されており、夫々の面が、正面20aと裏面20b、右側面20c、左側面20d、第2接合面としてのブロック側接合面20e、下面20fとされている。そして、ブロック側接合面20eには、ブロック側接合面20eから適宜な深さまで窪ませた窪みにより係合受け部としての係合凹部21が設けられている。この係合凹部21は、一端が正面20aに開口され、裏面20b側に向かって延在させて形成されている。また、この係合凹部21は直方体又は略直方体に形成されている。この直方体又は略直方体をなす係合凹部21の内側の右側面21aと左側面21bの夫々は、加工用ブロック20の右側面20cと左側面20dの夫々に平行とされている。
金属材料で形成されるブロックホルダー23は、円板状の基体部24と柱状の保持用支柱部25とが一体的に形成されている。基体部24の一面側は第1接合面としてのホルダー側接合面24aとされ、他面側は保持側面24bとされている。
保持側面24bの中心又は中心近傍に、保持用支柱部25が立設されている。また、基体部24の一部は、保持用支柱部25の外方よりも拡径されているが、その拡径された部分が接合フランジ部26となっている。基体部24のホルダー側接合面24aには該ホルダー側接合面24aから突出させて形成された凸部により、係合部としての係合凸部27がブロック側接合面20eから突出されて設けられており、加工用ブロック20のブロック側接合面20eに設けられた係合凹部21と係合する。
保持側面24bには、保持用支柱部25の軸方向に沿って所定の深さの位置決め凹部28が設けられている。この位置決め凹部28、接合フランジ部26の周縁部から所定の長さを有するように設けられているが、その径方向中心の位置は保持用支柱部25には到達していない。なお、位置決め凹部28は、径方向を中心線として、一定の幅を有している。
この位置決め凹部28は、図4に示すように、接合フランジ部26を貫通していない。なお、図3と図4には、係合凸部27と位置決め凹部28とが略180度にずれた位置に形成されている形状を示したが、これらの位置関係はこれに限らず、切削加工装置のチャック装置との関係で設定される。
また、ブロックホルダー23の保持用支柱部25の中央部には外周面から湾曲された状態で窪んでいる固定用チャック部25aが形成されている。この固定用チャック部25aに切削加工装置のチャック装置が備えている止めネジや固定用突起等が係合することによって、保持用支柱部25が固定される。また、保持用支柱部25の先端部には、図2に示すように、一部が切り欠かれた切欠部25bが設けられている。
そして、図3(B)に示すように、係合凹部21に係合凸部27が受容されるよう係合させると、加工用ブロック20に対してブロックホルダー23が所定の位置で位置決めされる。なお、これら係合凹部21と係合凸部27とが係合した際には、これらの間に適宜な間隙が設けられるようにする。また、これらの接合に際して、係合凹部21と係合凸部27の一方又は双方に接着剤を施用するが、その接着剤を保持できる接着剤保持用空間が、上述した係合凹部21と係合凸部27との間の間隙に対応している。
(第1の実施形態と第2の実施形態の作用)
第1の実施形態に係る加工用ブロック10とブロックホルダー13、及び第2の実施形態に係る加工用ブロック20とブロックホルダー23とはいずれも、接着剤を介して接合される。なお、この接着剤には、セラミックやハイブリッドレジン等の素材からなる加工用ブロック10、20と、アルミニウムやジュラルミン等の金属からなるブロックホルダー13、23とを接合させるのに適したものが用いられる。
これら加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とを接合させるには、ロボットアーム等を用いてブロックホルダー13、23を把持させる。その後に、加工用ブロック10、20のブロック側接合面10e、20eの上方から、ブロックホルダー13、23を加工用ブロック10、20に向けて下降させる。
第1の実施形態では、加工用ブロック10の係合凸部11とブロックホルダー13の係合凹部17のいずれか一方又は双方に接着剤を施用する。このとき、接着剤は、図示しない接着剤保持用空間に充填されて、適宜に保持される。
接着剤が施用された後に、加工用ブロック10のブロック側接合面10eにブロックホルダー13のホルダー側接合面14aを重ねながら、係合凸部11を係合凹部17に受容させる。このとき、これら係合凸部11と係合凹部17とにより、加工用ブロック10に対してブロックホルダー13が所定の位置に位置決めされる。また、施用された接着剤は接着剤保持用空間に保持された状態が維持されるので、係合凸部11と係合凹部17との係合部から滲出することがない。そして、接着剤の硬化によって加工用ブロック10とブロックホルダー13との接合が確実になり、これら加工用ブロック10とブロックホルダー13とが一体化する。
また、第2の実施形態では、加工用ブロック20の係合凹部21とブロックホルダー23の係合凸部27のいずれか一方又は双方に接着剤を施用して、図示しない接着剤保持用空間に充填して、接着剤を適宜に保持させる。
接着剤が施用された後に、加工用ブロック20のブロック側接合面20eにブロックホルダー23のホルダー側接合面24aを重ねながら、係合凹部21に係合凸部27を受容させる。このとき、これら係合凹部21と係合凸部27とにより、加工用ブロック20に対してブロックホルダー23が所定の位置に位置決めされる。また、施用された接着剤は接着剤保持用空間に保持された状態が維持されるので、係合凹部21と係合凸部27との係合部から滲出することがない。そして、接着剤の硬化によって加工用ブロック20とブロックホルダー23との接合が確実になり、これら加工用ブロック20とブロックホルダー23とが一体化する。
第1の実施形態に係る加工用ブロック10とブロックホルダー13との接合体、及び第2の実施形態に係る加工用ブロック20とブロックホルダー23との接合体を、図示しないブロック固定具に供すると、ブロック固定具が備えた突起等による図示しない位置決め用部材が、保持用支柱部15、25の延伸している側から位置決め凹部18、28に挿入される。これにより、切削加工装置が備えるブロック固定具に対して、ブロックホルダー13、23に接合された加工用ブロック10、加工用ブロック20に位置決めがなされる。
なお、加工用ブロック10、20の切削加工装置には種々の形式のものがあり、夫々が特有の位置決め機構を備えている。そのため、各位置決め機構に対応した形状を有する専用のブロックホルダー13、23を接合させた接合体が切削加工装置に応じて準備されている。一方、汎用されている代表的な数種の切削加工装置の位置決め機構に対応できるように、ブロックホルダー13、23に数種の位置決め凹部18、28等が設けられた、所謂、ユニバーサルタイプとした構成とすることもできる。
ところで、前述したように、接着剤の硬化前に、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23との接合体を移動させる際に生じるおそれがある、加工用ブロック10、20に対するブロックホルダー13、23の位置ずれに対処する方法として、例えば、加工用ブロック10、20のブロック側接合面10e、20eにレール状の凸部を設ける。そして、ブロックホルダー13、23のホルダー側接合面14a、24aにこの凸部と係合する凹溝を形成し、この凹溝に凸部を挿入してスライド移動させることによりこれら凹溝と凸部の係合関係を確実にすることにより、ブロックホルダー13、23を加工用ブロック10、20に対して所定の位置で固定できるように解決できると考え、試行した。その結果、使用した接着剤が、スライド移動時にブロック側接合面10e、20e又はホルダー側接合面14a、24aからこそぎ落とされたり、押し出されたりして、接着剤不足となって十分な接着強度が得られないおそれがあることが判明した。また、別の問題として、接着剤の一部が係合部からはみ出して、美観を損ねたり、汚れが付着したりするおそれがあることが判明した。
そのため、更に検討を行った結果、前記凸部と凹溝との間に間隙を設け、接着剤が当該間隙に保持される構造とすることにより、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23との接着不良が解消できることを見出すと共に、このような間隙が形成できる係合構造であって、型を用いてブロックを成形する際に、容易に型抜きできる係合構造を見出すことに成功したものである。
なお、接着剤保持用空間を設けることによる効果について付言すると、接着剤保持用空間を設けない場合の問題は、上記レール状の凸部と凹溝との組み合わせに限られるものではない。たとえば、係合部と係合受け部との間に間隙を実質的に設けず、たとえば係合凸部11と係合凹部17とがぴったり嵌合するようにした場合にも類似の問題は発生し得る。すなわち、この場合には、両者を係合させる過程において、係合凸部11の上面と係合凹部17の底面の間の間隙はゼロを目指して徐々に狭まり、また、夫々解放されて表面に露出する係合凸部11の側面及び係合凹部17の側面の面積は徐々に狭くなるので、これら面に施用されていた接着剤は、行き場を失って係合凹部内に留まろうとするか、ブロック10とブロックホルダー13の接合面のこれら係合凸部11及び係合凹部17が形成されていない部分の平坦な接合面上に流れ出ようとするかしかない。このため、完全な係合が阻害されるか、或いは平坦な面上に流れ出た接着剤によって接着剤の厚さが不均一となる等してブロック10とブロックホルダー13とが相対的に傾き、そのまま接合されてしまうおそれがある。また、このような傾きを防止するためにブロック10とブロックホルダー13とを強く押し付けた場合には、前述の場合と同様に、接着剤が多量に接合面から溢れ出して美観の低下や埃等の付着が起こるばかりでなく、溢れ出す量が多くなり過ぎて、接合面に残存する接着剤が少なくなってしまった場合には、十分な接着強度が得られなくなってしまうおそれがある。そして、このような問題は、接着剤の施用個所や施用量を高度に制御できない場合には、より顕著になると考えられる。
これに対し、本発明の係合構造では、前記接着剤保持用空間がバッファーとして機能するので、接着剤の施用個所や施用量を高度に制御できない場合でもこのような問題の発生を有効に防止することができる。たとえば、第1の実施形態や第2の実施形態で接着剤を施用して係合部と係合受け部とを接着する方法は既に説明した通りであるが、その際に、第1の実施形態においては係合凸部11の係合時係合部対向表面となる上面上に、第2の実施形態においては係合凹部21の係合時係合受け部対向表面となる底面上に、それぞれ接着剤保持用空間の容積と略等しい量の接着剤を供給してから係合部と係合受け部とを重ね合わせていけば、その過程において接着剤は自然に接着剤保持用空間の内部を満たすようになる。したがって、接着剤の塗布場所や塗布量(厚さ)などを特に考慮することなく、単にその体積だけを制御するという非常に簡単な方法で、接着剤の溢れ出しを防止しつつ確実な接着を行うことが可能となる。
また、第1の実施形態では係合凸部11と係合凹部17とを組み合わせ、第2の実施形態では係合凹部21と係合凸部27とを組み合わせた、夫々の構造について説明した。これらはいずれも単数のものであるが、これら係合凸部11と係合凹部17、係合凹部21と係合凸部27は、単数に限られず、複数設けることもできる。また、これら係合凸部11と係合凹部17、係合凹部21と係合凸部27を直方体又は略直方体の形状として説明したが、その他の形状であっても構わない。これらの係合凸部11と係合凹部21を直方体又は略直方体、その他の形状として、加工用ブロック10、20を大きな形状のインゴットの如きブロックから削り出して成形する場合には、任意の形状に成形することができる。
しかし、歯科用製品の成形加工に用いられる加工用ブロック10、20には、セラミックやハイブリッドレジン等の高価な素材が用いられ、削り出して成形する場合に発生する削りくずに相当する部分が無駄となり、成形された加工用ブロック10、20を高価なものとしてしまう。このため、これらの素材から加工用ブロック10、20を成形する際に、切削加工によらず、成形型に充填して硬化させる型成形によれば、成形された加工用ブロック10、20は価格の面で有利となる。また、成形型の構造が複雑となっては、成形加工が煩雑となってしまう。好ましくは、成形型からの型抜きが、成形された加工用ブロック10、20を成形型に対して一方向に摺動させて行えるようにすることがよい。そこで、以下に説明するように、図5に示す成形型を用いて加工用ブロック10、20を成形する。
(成形型と加工用ブロックの成形について)
図5は、加工用ブロック10、20を成形するのに適した成形型の概略の斜視図である。図5(A)に示す成形型2は、第1の実施形態に係る加工用ブロック10用のものであり、図5(B)に示す成形型3は、第2の実施形態に係る加工用ブロック20用のものである。
成形型2は外形が直方体又は略直方体の筒状に形成されており、この筒の図5(A)上の矢標Pで示す方向の後方側の後側端部2aには、この筒の内部を軸方向に沿って移動可能な押し子板2bが収容されている。また、この成形型2により成形される加工用ブロック10の正面10aは、押し子板2bが配された端部とは反対側の前側端部2cに成形されている。すなわち、前側端部2cの側が加工用ブロック10の正面10aとなり、そのため前側端部2cの側に係合凸部11が配されている。そして、成形型2には、この係合凸部11が成形される成形凹部2dが形成されている。なお、図5(A)は成形材料が充填されて、成形型2の内部に加工用ブロック10が成形された状態が示されている。
押し子板2bが後側端部2aに位置した状態で、この成形型2にハイブリッドレジン等の成形材料が充填されると、加工用ブロック10が成形される。成形材料が硬化した成形後に、押し子板2bを図5(A)において矢標P方向へ摺動させる。これにより成形型2の内部に充填された成形材料が前側端部2cから押し出されて、成形された加工用ブロック10が成形型2から取り出される。
また、成形型3は外形が直方体又は略直方体の筒状に形成されており、この筒の図5(B)上の矢標Qで示す方向の後方側の後側端部3aには、この筒の内部を軸方向に沿って移動可能な押し子板3bが収容されている。また、この成形型3により成形される加工用ブロック20の正面20aは、成形型3の後側端部3aの側に成形されている。また、成形型3の後側端部3aには加工用ブロック20の係合凹部21が成形される成形凸部3cが形成されている。なお、成形型3の矢標Q方向の前方側が前側端部3dとされている。
押し子板3bが後側端部3aに位置した状態で、この成形型3にハイブリッドレジン等の成形材料が充填されると、加工用ブロック20が成形される。成形材料が硬化した成形後に、押し子板3bを図5(B)において矢標Q方向へ摺動させる。これにより成形型3の内部に充填された成形材料が前側端部3dから押し出されて、成形された加工用ブロック20が成形型3から取り出される。
上述の通り、成形型2、3により加工用ブロック10、20を成形する場合には、成形型2、3に充填されて硬化した成形材料を、成形型2、3の一方の端部側から他方の端部側へ押し出すことが、簡便に成形できて好ましい。このように、一端側から他端側へ押し出すことができるためには、加工用ブロック10、20が備えた係合部又は係合受け部がこの押し出し動作を許容する位置や形状になければならない。また、係合部又は係合受け部は、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23との接合を確実に行えるように、複数箇所に設けることを要する場合があり、この場合にも、成形型2、3からの加工用ブロック10、20の押し出し動作は簡便に行えるようにする必要がある。
このように、切削加工等によりブロックの接合面に係合部又は係合受け部による係合構造を形成する場合に、高価なセラミックスやハイブリッドレジンなどのブロック材料のロスが避けられないのに対し、成形型2、3を用いて成形することにより形成する場合には、このような材料のロスは低減される。
(第1の実施形態の変形例)
図6には、種々の形状の係合凸部を備えた加工用ブロックを例示しており、これらは加工用ブロック10の係合凸部11の数や形状が夫々異なっている。なお、図6に示す種々の形状の加工用ブロックは、加工用ブロック10の係合凸部11を除く本体をブロック本体4で示し、このブロック本体4に種々の係合凸部5が形成されているものとして説明する。
図6(A)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部5aが設けられているものであり、この係合凸部5aはブロック側接合面4aに正面4bから裏面4cに至るまで形成されている。
図6(B)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部5bが設けられているものであり、この係合凸部5bは第1の実施形態に示す係合凸部11よりも小さい幅で、ブロック側接合面4aに正面4bから中央部付近にかけて形成されている。
図6(C)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部5cが設けられているものであり、この係合凸部5cはブロック側接合面4aにブロック本体4の正面4bからブロック側接合面4aの中央部付近にかけて形成され、中央部側の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(D)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部5d1、5d2が設けられているものであり、これら係合凸部5d1、5d2はブロック側接合面4aに正面4bから裏面4cに至るまで形成されている。
図6(E)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部5e1、5e2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部5e1、5e2はブロック側接合面4aにブロック本体4の正面4bからブロック側接合面4aの中央部付近にかけて形成されている。
図6(F)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部5f1、5f2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部5f1、5f2はブロック側接合面4aにブロック本体4の正面4bからブロック側接合面4aの中央部付近にかけて形成されている。また、係合凸部5f2が係合凸部5f1よりも短いものとされている。
図6(G)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部5g1、5g2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部5g1、5g2はブロック側接合面4aにブロック本体4の正面4bからブロック側接合面4aの中央部付近にかけて形成されている。また、係合凸部5g2が係合凸部5g1よりも短いものとされており、係合凸部5g2の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(H)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部5h1、5h2が平行に設けられているもので、これら係合凸部5h1、5h2はブロック側接合面4aに正面4bから僅かに裏面4c側に向かって延在して形成されている。すなわち、これら係合凸部5h1、5h2は、図5(E)に示す係合凸部5e1、5e2よりも短く、また、これら係合凸部5e1、5e2の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(I)は、ブロック本体4に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部5iが設けられているもので、この係合凸部5iは第1の実施形態に示す係合凸部11よりも幅広のものとされている。また、この係合凸部5iはブロック側接合面4aに正面4bから中央部付近にかけて形成されている。
図6(J)は、ブロック本体4に単一の係合凸部5jが設けられているものであり、この係合凸部5jは略二等辺三角形状に形成され、その底辺が正面4bと一致し、頂点がブロック側接合面4aの中央部付近に位置して形成されている。
図6(K)は、ブロック本体4に単一の係合凸部5kが設けられているものであり、この係合凸部5kは直方体又は略直方体の部分5k1と三角形の部分5k2とを結合させた形状に形成されている。部分5k1は、ブロック側接合面4aに正面4bから中央部付近にかけて形成されている。部分5k2は、底辺をブロック側接合面4aの正面4bに位置させ、頂点を部分5k1の中央部付近に位置させて形成されている
これら図6(A)〜(K)に示す係合凸部5が設けられたいずれのブロック本体4も、図6(A)において矢標Pで示す方向、すなわち裏面4c側から正面4b側へ押し出すことにより、成形型から型抜きすることができるものである。
なお、図6には、係合部である係合凸部5が形成された形状について示している。このため、型抜きの場合、ブロック本体4を裏面4c側から正面4b側へ押し出すものであるのに対して、係合凸部5に代えて、ブロック本体4に第2の実施形態で示す係合凹部21が形成された形状である場合には、ブロック本体4を正面4b側から裏面4c側へ、すなわち矢標P方向とは反対方向へ押し出して型抜きする。
(係合部と係合受け部の位置・形状の条件について)
次に、1又は複数の係合部又は係合受け部を、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とが確実に接合されるために配すべき状態について、図7を参照して説明する。なお、図7は、これら加工用ブロック10、20から係合凸部11、係合凹部21を除いたブロック本体4についての座標系を定義する図であり、直方体又は略直方体状の係合凸部5が設けられている状態を示す。
ブロック本体4については、図7に示すように、ブロック本体4の正面4bと右側面4dとの境界の辺(第三の辺)の方向をz軸とし、右側面4dと下面4eとの境界の辺(第一の辺)の方向をx軸とし、正面4bと下面4eとの境界の辺(第二の辺)の方向をy軸として、x軸とy軸、z軸を定める。これらの軸(x、y、z)が交わる頂点を原点0とした座標系の、この原点を通る辺と反対側の辺の座標を夫々(100、0、0)、(0、100、0)、(0、0、100)とする。そして、1又は複数の係合部又は係合受け部について、その位置と形状とが、以下の条件を満足させるようにする。
(条件1)
(1) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部について、その裏面4c側端部のx座標の値を、その係合部又は係合受け部の長さ:Lとし、その中の最大値を、1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の最大長さ:Lmaxとしたときに、
100≧Lmax≧10 (式1)
より好ましくは、
95≧Lmax≧15
さらに好ましくは、
90≧Lmax≧20
となる関係。
(条件2)
(2) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各係合部又は各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であるときの各係合部又は各係合受け部の一方端部のy座標の値と他方端部のy座標の値の差の絶対値で定義される、各係合部又は各係合受け部の幅をWとしたときに、全ての係合部又は係合受け部の幅Wの総和は1以上70以下であり、且つ全ての係合部又は係合受け部の幅Wは、
・p=0のとき: 70≧W≧1 及び
・p>0のとき: Wp−r≧W (但し、rは、0を越えp以下の任意の有理数である。) (式2)
となる関係。
なお、前記(式2)においては、Wは、60≧W0≧3であることがより好ましく、50≧W0≧5であることがさらに好ましい。
(条件3)
(3) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各係合部又は各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であり、且つy座標値がq(但し、qは、x=pであるときに係合部又は係合受け部が存在する領域における任意のy座標値である。)であるときの高さ又は深さをHp,qとしたときに、全ての係合部の高さ又は全ての係合受け部の深さ:Hp,qは、
・p=0のとき:実寸で、10(mm)≧H0,q≧0.1(mm)、及び
・p>0のとき: Hp−r,q≧Hp,q (rは、0を越えp以下の任意の有理数である。) (式3)
となる関係。
なお、前記(式3)においては、H,qは、7(mm)≧H,q≧0.3(mm)であることがより好ましく、5(mm)≧H0,q≧0.5(mm)であることがさらに好ましい。
すなわち、(式1)〜(式3)を満足すると共に、接着剤保持用空間を、係合時において係合部と係合受け部とが互いに対向する領域における、係合部の表面積の50%以上及び係合受け部の表面積の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するようにすることにより、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とを確実且つ高強度で接合(接着)させることができる。しかも、接着剤保持用空間が設けられることにより、施用された接着剤のほぼ全てがこれら加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23との夫々の接合に利用される。
また、図8は、1又は複数の係合部若しくは係合受け部の形状について、加工用ブロックを成形型から型抜きすることができる条件について説明する図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。なお、図8は加工用ブロック10、20から係合凸部11、係合凹部21を除いたブロック本体4について座標系を定義する図であり、平面形状が略三角形をした係合凸部5が設けられている状態を示す。
ブロック本体4について、図8に示すように、ブロック本体4の右側面4dと下面4eとの境界の辺の方向をx軸とし、正面4bと下面4eとの境界の辺の方向をy軸とし、これらx軸とy軸との交点を原点0として、x軸とy軸とを定める。また、係合凸部5の右側面5rと正面4bの交点のy座標をyaとし、左側面5lと正面4bとの交点のy座標をybとし、これらyaとybとのy軸方向の差(yb−ya)をyabとする。
また、図8に示すx軸方向のxx座標における、右側面5rとの交点の座標をyxa、左側面5lとの交点の座標をyxbとし、これらyxaとyxbとのy軸方向の差(yxb−yxa)をyxabとする。
そして、係合凸部5上の点のy座標をyiとすると、係合凸部5の形状は、
ya≦yi≦yb (式4)
を満足し、
x座標の関係がxi<xjである場合、
xiにおけるyxabをyxiとし、xjにおけるyxabをyajとした場合、
yxj≦yxi (式5)
を満足する関係となるよう、係合凸部5の形状を定めるものとする。
これにより、この係合凸部5が設けられたブロック本体4を型成形する場合に、成形型から図8(A)において矢標Pで示す方向に摺動させて型抜きすることができる。
また、係合部に替えて、直方体又は略直方体以外の形状の係合受け部である係合凹部が加工用ブロックに形成されている場合にも、式4と式5の条件を満たす関係にあることを要する。この場合には、係合凹部が形成された加工用ブロックを反矢標P方向へ摺動させることによって成形型から型抜きすることができる。
すなわち、係合部及び係合受け部の組み合わせとして、(式4)と(式5)とを満足する形状の係合凸部及び係合凹部の組み合わせを採用することにより、成形型を用いた成形方法であって、成形型に対して一方向に摺動させて成形型からの型抜きが可能な成形方法で歯科用CAD/CAMブロックを製造することが可能となり、CAD/CAMブロックの製造コストの低減や製造の効率化を図ることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態に係る加工用接合構造について、図9を参照して説明する。図9は加工用ブロック30とブロックホルダー33とを示す斜視図であり、図9(A)は加工用ブロック30とブロックホルダー33との接合前の状態の斜視図であり、図9(B)はこれら加工用ブロック30とブロックホルダー33とが接合した状態の斜視図である。なお、ブロックホルダー33は、第1の実施形態に係るブロックホルダー13と同様に、図2に示す形状と同一形状となっている。
この加工用ブロック30は、図1に示す加工用ブロック10のブロック側接合面10eのうち、右側面10cと左側面10dの上縁部が正面10aから裏面10bに亘り下面10fに向かうように切り欠かれた形状に形成されている。
すなわち、図9に示すように、セラミックやハイブリッドレジン等が素材とされ、直方体又は略直方体に形成された加工用ブロック30について、正面10aに対応する正面30a、裏面10bに対応する裏面30b、右側面10cに対応する右側面30c、左側面10dに対応する左側面30d、ブロック側接合面10eに対応する第1接合面としてのブロック側接合面30e、及び下面10fに対応する下面30fが存在しているとする場合、下面30fの反対側となる上面の右側面30cと左側面30dとの中央部にブロック側接合面30eが形成される。また、上面と右側面30cの縁部には該上面の一部が切り欠かれた右側切欠部30gが形成され、同様に上面と左側面30dの縁部には該上面の一部が切り欠かれた左側切欠部30hが形成されている。成形される歯科用補綴物の形状によっては、これら右側切欠部30g及び左側切欠部30hに相当する部分が歯科用補綴物の一部分となることはなく、必ず切削されることが明らかな場合があり、そのような場合に右側切欠部30g及び左側切欠部30hを形成することにより、切削加工の時間が短縮させるばかりでなく、ブロックの材料も節約できる。
そして、ブロック側接合面30eには、このブロック側接合面30eから突出した係合部としての係合凸部31が設けられている。この係合凸部31は、この加工用ブロック30を型成形する際に、型抜きの支障とならず、かつ、ブロックホルダー33との接合が確実に行えるよう、直方体又は略直方体に形成されている。また、この係合凸部31は一面が正面31aとされて正面30aと同一面内に配されている。また、正面31aが形成された端部から裏面30b側に向かって延在させて形成されている。この係合凸部31の右側面31bと左側面31cの夫々は、加工用ブロック30の右側面30cと左側面30dの夫々と平行とされている。
なお、この加工用ブロック30に接合されるブロックホルダー33は、第1の実施形態に係るブロックホルダー13と同一の形状をしているので、図2示す符号と同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9(B)に示すように、加工用ブロック30の係合凸部31がブロックホルダー33の係合凹部17に受容されるように係合させると、加工用ブロック30に対してブロックホルダー33が所定の位置で位置決めされる。なお、これら係合凸部31と係合凹部17とが係合した際には、これらの間に適宜な間隙が設けられるようにする。また、これらの接合に際して、係合凸部31と係合凹部17の一方又は双方に接着剤を施用するが、その接着剤を保持できる接着剤保持用空間が、上述した係合凸部31と係合凹部17との間の間隙に対応している。
この第3の実施形態に係る加工用ブロック30とブロックホルダー33とを接合させると、図9(B)に示すように、ブロックホルダー33の接合フランジ部16の一部がブロック側接合面30eから側方に突出した状態となる。すなわち、この突出した部分は、右側切欠部30gと左側切欠部30hとの夫々から離隔しており、加工用ブロック30との接合に関与しない部分となっている。このため、係合凸部31と係合凹部17との係合と、ホルダー側接合面14aとブロック側接合面30eと密着とによって、これら加工用ブロック30とブロックホルダー33とが確実に接合されるようになされている。
以上、右側切欠部30g及び左側切欠部30hが形成された加工用ブロック3を用いた第3の実施形態に行いて説明したが、成形される歯科用補綴物が小型であることが明らかである場合には、これら切欠部を設けずに、加工ブロック自体を小型化(たとえば薄く)してもよい。
(第4の実施形態)
次に、この発明の第4の実施形態に係る加工用接合構造について、図10を参照して説明する。図10は図2に相当する図であり、図10(A)は加工用ブロック40とブロックホルダー43との接合前の状態の斜視図であり、図10(B)はこれら加工用ブロック40とブロックホルダー43とが接合した状態の斜視図である。なお、ブロックホルダー43は、第2の実施形態に係るブロックホルダー23と同様に、図4に示す形状と同一形状となっている。
第4の実施形態に係る加工用ブロック40は、図2に示す加工用ブロック20のブロック側接合面20eのうち、右側面20cと左側面20dの上縁部が正面20aから裏面20bに亘り下面20fに向かうように切り欠かれた形状に形成されている。
すなわち、図10に示すように、セラミックやハイブリッドレジン等が素材とされ、直方体又は略直方体に形成された加工用ブロック40について、正面20aに対応する正面40a、裏面20bに対応する裏面40b、右側面20cに対応する右側面40c、左側面20dに対応する左側面40d、ブロック側接合面20eに対応する第2接合面としてのブロック側接合面40e、及び下面20fに対応する下面40fが存在しているとする場合、下面40fの反対側となる上面の右側面40cと左側面40dの中央部にブロック側接合面40eが形成される。また、上面と右側面40cの縁部には該上面の一部が切り欠かれた右側切欠部40gが形成され、同様に上面と左側面40dの縁部には該上面の一部が切り欠かれた左側切欠部40hが形成されている。
そして、ブロック側接合面40eには、このブロック側接合面40eから窪ませた係合受け部としての係合凹部41が設けられている。この係合凹部41は、この加工用ブロック40を型成形する際に、型抜きの支障とならず、かつ、ブロックホルダー43との接合が確実に行えるよう、直方体又は略直方体に形成されている。また、係合凹部41は、一端が正面40aに開口され、この開口から裏面40b側に向かって延在させて形成されている。この係合凹部41の内側の右側面41aと左側面41bの夫々は、加工用ブロック40の右側面40cと左側面40dの夫々に平行とされている。
なお、この加工用ブロック40に接合されるブロックホルダー43は、第2の実施形態に係るブロックホルダー23と同一の形状をしているので、図4に示す符号と同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10(B)に示すように、加工用ブロック40の係合凹部41がブロックホルダー43の係合凸部27を受容するように係合させると、加工用ブロック40に対してブロックホルダー43が所定の位置で位置決めされる。なお、これら係合凹部41と係合凸部27とが係合した際には、これらの間に適宜な間隙が設けられるようにする。また、これらの接合に際して、係合凹部41と係合凸部27の一方又は双方に接着剤を施用するが、その接着剤を保持できる接着剤保持用空間が、上述した係合凹部41と係合凸部27との間の間隙に対応している。
この第4の実施形態に係る加工用ブロック40とブロックホルダー43とを接合させると、図10(B)に示すように、ブロックホルダー43の接合フランジ部26の一部がブロック側接合面40eから側方に突出した状態となる。すなわち、この突出した部分は、右側切欠部40gと左側切欠部40hとの夫々から離隔しており、加工用ブロック40との接合に関与しない部分となっている。このため、係合凹部41と係合凸部27との係合と、ホルダー側接合面24aとブロック側接合面40eとの密着とによって、これら加工用ブロック40とブロックホルダー43とが確実に接合されるようになされている。
(第3の実施形態と第4の実施形態の作用)
第3の実施形態に係る加工用ブロック30と、第4の実施形態に係る加工用ブロック40とは、いずれも、図示しない成形型に成形材料が充填されて成形される。成形された加工用ブロック30を成形型から型抜きする場合には、加工用ブロック30を、図9(A)において矢標P方向へ押動させて行う。また、成形された加工用ブロック40を成形型から型抜きする場合には、加工用ブロック40を、図10(A)において矢標Q方向へ押動させて行う。
これら第3の実施形態に係る加工用ブロック30と、第4の実施形態に加工用ブロック40とは、いずれも左右の切欠部30g、30hと切欠部40g、40hとが形成された形状となっている。加工用ブロック30、40とブロックホルダー33、43との接合が確実に行われる場合には、これら切欠部30g、30h、40g、40hに相当する部分は、加工用ブロック30、40から減量できる部分となる。すなわち、第3の実施形態に係る加工用ブロック30に関しては、加工用ブロック30の係合凸部31とブロックホルダー33の係合凹部17との間における係合と接合及びブロック側接合面30eとホルダー側接合面14aとの接合が確実に行える場合には、切欠部30g、30hを設けても、この加工用ブロック30の切削加工を行う際の、該加工用ブロック30の安定した保持に支障を生じない。また、第4の実施形態に係る加工用ブロック40に関しては、加工用ブロック40の係合凹部41とブロックホルダー43の係合凸部27との間における係合と接合及びブロック側接合面40eとホルダー側接合面24aとの接合が確実に行える場合には、切欠部40g、40hを設けても、加工用ブロック40の切削加工を行う際の、該加工用ブロック40の安定した保持に支障を生じない。しかも、これら加工用ブロック30、40から歯科用補綴物1を加工する場合にも、歯科用補綴物1の外形や接合部113や保持棒部114等を形成することに支障を生じない。このため、これら切欠部30g、30h、40g、40hの部分の材料を減じることができる。特に、高価な材料により成形される加工用ブロック30、40では、コストの上昇を抑制できて好ましい。
(第3の実施形態の変形例)
図11には、種々の形状の係合凸部を備えた加工用ブロックを例示しており、これらは加工用ブロック30の係合凸部31の数や形状が夫々異なっている。なお、図11に示す種々の形状の加工ブロックは、加工用ブロック30の係合凸部31を除く本体をブロック本体6で示し、このブロック本体6に種々の係合凸部7が形成されているものを示している。さらに、図11(A)〜(K)に示す係合凸部7の数と形状は、図6(A)〜(K)に示す係合凸部5の数と形状に対応して示すものである。
図11(A)〜(K)に示すブロック本体6のいずれにも、右側切欠部6gと左側切欠部6hとが、右側面6cと左側面6dの上端部が切り欠かれて形成されている。そして、これら右側切欠部6gと左側切欠部6hの間の部分のブロック側接合面6eに係合凸部7が形成されている。なお、このブロック本体6において、正面6aと裏面6bとする。
図11(A)に示す係合凸部7aは、図6(A)に示す係合凸部5aに相当している。
図11(B)に示す係合凸部7bは、図6(B)に示す係合凸部5bに相当している。
図11(C)に示す係合凸部7cは、図6(C)に示す係合凸部5cに相当している。
図11(D)に示す係合凸部7d1、7d2は、図6(D)に示す係合凸部5d1、5d2に相当している。
図11(E)に示す係合凸部7e1、7e2は、図6(E)に示す係合凸部5e1、7e2に相当している。
図11(F)に示す係合凸部7f1、7f2は、図6(F)に示す係合凸部5f1、5f2に相当している。
図11(G)に示す係合凸部7g1、7g2は、図6(G)に示す係合凸部5g1、5g2に相当している。
図11(H)に示す係合凸部7h1、7h2は、図6(H)に示す係合凸部5h1、5h2に相当している。
図11(I)に示す係合凸部7iは、図6(I)に示す係合凸部5iに相当している。
図11(J)に示す係合凸部7jは、図6(J)に示す係合凸部5jに相当している。
図11(K)に示す係合凸部7k1、7k2は、図6(A)に示す係合凸部5k1、5k2に相当している。
また、図11に示す係合凸部7については、図6に示す係合凸部5と同様に、前述した条件1〜条件3を満たすことにより、ブロック本体6とブロックホルダー13との接合を確実に行わせることができる。
これら図11(A)〜(K)に示す係合凸部7が設けられたいずれのブロック本体6も、図11(A)において矢標Pで示す方向、すなわち裏面6b側から正面6a側へ押し出すことにより、成形型から型抜きすることができる。
なお、図11には、係合部である係合凸部7が形成された形状について示しているため、型抜きの場合、ブロック本体6を裏面6b側から正面6a側へ押し出すものである。これに対して、係合凸部7に代えて、ブロック本体6に第4の実施形態で示す係合凹部41が形成された形状である場合には、ブロック本体6を正面6a側から裏面6b側へ、すなわち反矢標P方向へ押し出して型抜きする。
また、第4の実施形態に示す係合凹部41と同様な係合凹部を設けたブロック本体6とする場合にも、係合凹部に条件1〜条件3を満たすことにより、ブロック本体6とブロックホルダー23との接合を確実に行わせることができる。
(歯科用CAD/CAMブロックの形状について)
さらに、図12〜図14は、加工用ブロックのブロック本体の形状についての変形例を示している。
図12に示す変形例は、ブロック本体8のブロック側接合面8aを楕円形又は扁平円形の中心部で略半分とした形状となるようにしたもので、正面8b及びブロック側接合面8aと交差する側面8cは、曲面形状に設けられているこのブロック本体8に係合部としての係合凸部を設ける場合には、正面8bから後方に向かって、この楕円形の軸方向又は扁平円形の径方向に沿って設ける。他方、係合凹部を設ける場合には、楕円形又は扁平円形の頂部から正面8b方向に向かって設ける。これにより、ブロック本体8を、図12において矢標P方向へ摺動させることにより、成形型から円滑に型抜きすることができる。
(第5の実施形態)
図13は、この発明の第5の実施形態に係る加工用接合構造が示されており、(A)は正面50aの側から見た斜視図であり、(B)は平面図である。この第5の実施形態に係る加工用ブロック50はセラミックやハイブリッド等の素材により形成されており、第1実施形態に係るブロックホルダー13と同様なブロックホルダー(図示せず)と接合する。
加工用ブロック50は、正面50aを含む直方体又は略直方体からなる前側部分51と、この前側部分51に下底の部分で連続した、断面台形又は略台形の柱状をしている後側部分52とを有している。後側部分52には後面50bが存在しているが、その後面50bは、後側部分52のうち上記断面台形又は略台形の上底の部分となっている。また、前側部分51には、側面である前部右側面50cと前部左側面50dとが形成されている。また、後側部分52のうち、前部右側面50cに連続した側面である後部右側面50eが設けられていて、さらに前部左側面50dに連続した側面である後部左側面50fが設けられている。そして、加工用ブロック50には、前側部分51と後側部分52の下面が連続して下面50gが形成されていて、この下面50gと反対側の上面に第1接合面としてのブロック側接合面50hが形成されている。また、上面と前部右側面50cの縁部には該上面の一部が切り欠かれた右側切欠部50iが形成され、同様に上面と後部右側面50eの縁部には該上面の一部が切り欠かれた左側切欠部50jが形成されている。
ブロック側接合面50hには、このブロック側接合面50hから突出した係合部としての係合凸部53が設けられている。この係合凸部53は、この加工用ブロック50を型成形する際に、型抜きの支障とならず、かつ、図示しないブロックホルダーとの接合が確実に行えるよう、直方体又は略直方体に形成されている。また、この係合凸部53の正面53aは加工用ブロック50の正面50aと同一面内に配されており、正面50aが形成された端部から後面50b側に向かって延在させて形成されている。なお、この係合凸部53の右側面53bと左側面53cの夫々は、加工用ブロック50の前部右側面50cと前部左側面50dの夫々と平行とされている。
なお、上述したように、この加工用ブロック50に接合されるブロックホルダーは、第1の実施形態に係るブロックホルダー13と同一の形状をしているものを用いることができる。
そして、この加工用ブロック50を型成形する際には、加工用ブロック50を図示しない成形型に対して、図13(A)において、矢標P方向へ摺動させることにより型抜きすることができる。
他方、加工用ブロック50に係合凸部53に替えて係合受け部としての係合凹部を形成する場合には、この係合凹部の端部を後面50bに開口させて設ける。反対側の端部を正面50a側に向かって延在させて形成する。この係合凹部を備えた加工用ブロック50の場合、型抜きの際には図13(A)において矢標P方向へ摺動させる。
(第5の実施形態の変形例)
図14に示す加工用ブロック60は、図13に示す第5の実施形態に係る加工用ブロック50の変形例を示しており、加工用ブロック50の同一の部分については同一の符号が付されている。この加工用ブロック60は、加工用ブロック50の後側部分52の断面台形又は略台形の側面の平面の部分を、円弧の一部による曲面としたものである。なお、加工用ブロック50と同一の部位については、同一の符号が付されている。
すなわち、図14に示すように、図13(B)に示す加工用ブロック50の後部右側面50eと後部左側面50fとを夫々、円弧等の一部で形成された曲面による後部右側面60aと後部左側面60bにより形成されている。
この加工用ブロック60は、図14において、成形型に対して矢標P方向に摺動させることにより、型抜きすることができる。
(比較例)
図15には、比較例として、加工用接合構造が示されている。この比較例には、直方体又は略直方体に形成された加工用ブロック100の一面に平面で形成されたブロック側接合面101が配され、このブロック側接合面101にブロックホルダー110が接合される構造が示されている。
また、ブロックホルダー110は、円板状をした基体部111と柱状の保持用支柱部112とが一体的となって形成されている。基体部111の一方の側の面は平面状のホルダー側接合面111aとされ、他方の側の面の中央部又は中央部近傍に基体部111よりも縮径された保持用支柱部112が立設されている。基体部111には縁部から径方向に適宜な長さと幅で切り欠かれた切欠部111bが形成されている。また、保持用支柱部112の中間部には湾曲させて窪ませたチャック部112aが形成されている。
ブロック側接合面101とホルダー側接合面111aとのいずれか一方に接着剤を施用して、ブロックホルダー110を加工用ブロック100のブロック側接合面101の所定の位置にロボットアーム等を使用して載置させる。そして、接着剤が硬化して、図15(B)に示すような加工用ブロック100とブロックホルダー110との接合体が製作される。
接合体を図示しないブロック固定具に供すると、ブロック固定具が備えた突起等による図示しない位置決め用部材が基体部111の切欠部111bに保持用支柱部112の側から挿入される。これにより、ブロック固定具に対するブロックホルダー110の位置決めがなされ、このブロックホルダー110と所定の位置関係にある加工用ブロック100がブロック固定具に対して位置決めされ、さらにブロック固定具を備えた切削加工装置と所定の位置関係に設定される。
そして、切削加工装置によって切削加工に供され、歯科用補綴物1が製作される。
この比較例に係る切欠部111bは、基体部111を一方の面側から他方の面側に貫通した切り欠きで形成されているから、加工用ブロック100とブロックホルダー110とを接合させる接着剤がこの切欠部111bに浸入してしまうおそれがある。また、浸入した接着剤が硬化すると、切欠部111bが閉塞されてしまい、ブロック固定具の位置決め用部材が挿入できなくなってしまうおそれがある。
これに対して、第1の実施形態と第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態との夫々では、位置決め凹部18、28のホルダー側接合面14a、24a側が塞がれているから、ホルダー側接合面14a、24aに施用された接着剤が位置決め凹部18、28に浸入することがなく、位置決め凹部18、28に確実に位置決め用部材が挿入される。
以上に説明した夫々の実施形態に係る加工用ブロック10、20、30、40、50、60や、ブロック本体4、6、8等は、単層のものとされている。一方、これら加工用ブロック10等やブロック本体4等に、複数のハイブリッドレジン層からなる積層体が用いられる場合がある。積層体が用いられる場合には、夫々の層について、色調、透明性、構成されるマトリックスポリマー及び/又はフィラーの屈折率、強度、硬度、弾性率、摩耗性、蛍光性、及び研磨性からなる群より選ばれる少なくとも一種の性質を互いに異ならせることができて、好ましい。また、夫々の層についての色調等の性質が異なることによって、審美性の高い色調パターンを有する歯科用補綴物を得ることができる。
以上説明したように、この発明に係る加工用接合構造によれば、歯科用CAD/CAMブロックとブロックホルダーとを確実に接合させて、歯科用CAD/CAMブロックの切削加工を行うことができ、不良品の発生の抑制に寄与する。
1 歯科用補綴物(歯科用製品)
1a 接合部
1b 保持棒部
2 成形型
2a 後側端部
2b 押し子板
2c 前側端部
2d 成形凹部
3 成形型
3a 後側端部
3b 押し子板
3c 成形凸部
3d 前側端部
4 ブロック本体
4a ブロック側接合面
4b 正面
4c 裏面
4d 右側面
4e 下面
5 係合凸部
5r 右側面
5l 左側面
6 ブロック本体
6a 正面
6b 裏面
6c 右側面
6d 左側面
6e ブロック側接合面
6g 右側切欠部
6h 左側切欠部
7 係合凸部
8 ブロック本体
8a ブロック側接合面
8b 正面
8c 側面
10 加工用ブロック
10a 正面
10b 裏面
10c 右側面
10d 左側面
10e ブロック側接合面
10f 下面
11 係合凸部
11a 正面
11b 右側面
11c 左側面
13 ブロックホルダー
14 基体部
14a ホルダー側接合面
14b 保持側面
15 保持用支柱部
15a 固定用チャック部
15b 切欠部
16 接合フランジ部
17 係合凹部
18 位置決め凹部
20 加工用ブロック
20a 正面
20b 裏面
20c 右側面
20d 左側面
20e ブロック側接合面
20f 下面
21 係合凹部
23 ブロックホルダー
24 基体部
24a ホルダー側接合面
24b 保持側面
25 保持用支柱部
25a 固定用チャック部
25b 切欠部
26 接合フランジ部
27 係合凸部
28 位置決め凹部
30 加工用ブロック
30a 正面
30b 裏面
30c 右側面
30d 左側面
30e ブロック側接合面
30f 下面
30g 右側切欠部
30h 左側切欠部
31 係合凸部
31a 正面
31b 右側面
31c 左側面
33 ブロックホルダー
40 加工用ブロック
40a 正面
40b 裏面
40c 右側面
40d 左側面
40e ブロック側接合面
40f 下面
40g 右側切欠部
40h 左側切欠部
41 係合凹部
41a 右側面
41b 左側面
43 ブロックホルダー
50 加工用ブロック
50a 正面
50b 後面
50c 前部右側面
50d 前部左側面
50e 後部右側面
50f 後部左側面
50g 下面
50h ブロック側接合面
50i 右側切欠部
50j 左側切欠部
51 前側部分
52 後側部分
53 係合凸部
53a 正面
53b 右側面
53c 左側面
60 加工用ブロック
60a 後部右側面
60b 後部左側面
100 加工用ブロック
110 ブロックホルダー
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、機械加工を施して歯科用製品を加工する歯科用CAD/CAMブロックとこの歯科用CAD/CAMブロックを保持して切削加工装置に固定するブロックホルダーとを、接着剤を介して接合させる、加工用接合構造において、前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面とブロックホルダーの接合面のいずれか一方である第1接合面から突出させた1又は複数の係合凸部で形成されている係合部と、前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面と前記ブロックホルダーの接合面のいずれか他方である第2接合面から凹んで前記係合凸部を受容する1又は複数の係合凹部で形成されている係合受け部と、を備え、前記歯科用CAD/CAMブロックは直方体状に設けられていて、その底面の一方が接合面とされ、前記直方体状の4つの側面の中から任意に定めた1つの面を正面とし、その反対側の面を裏面とし、前記正面に向かって右及び左に隣接する面を夫々右側面及び左側面としたときに、前記係合部又は前記係合受け部は、前記係合部又は係合受け部の一方の端面が正面と同一の平面上となり、且つ裏面方向に向かって延在するように形成されており、前記直方体状の他方の底面、前記正面及び右側面が共有する頂点を原点とし、他方の底面及び右側面が共有する第一の辺、他方の底面及び正面が共有する第二の辺、並びに正面及び右側面が共有する第三の辺の夫々に沿ってx軸、y軸並びにz軸を配した座標系であって、前記第一、第二及び第三の辺における原点と反対側の末端の座標(x、y、z)が夫々(100、0、0)、(0、100、0)並びに(0、0、100)とする座標系で、前記係合部又は係合受け部の位置及び形状を表したときに、当該位置及び形状は下記条件(1)、(2)及び(3)の少なくとも1つを満足することを特徴としている。
〔条件〕
(1) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部について、その裏面側端部のx座標の値を、その係合部又は係合受け部の長さ:Lとし、その中の最大値を、前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の最大長さ:L max としたときに、
100≧L max ≧10
の関係。
(2) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であるときの各係合部又は各係合受け部の一方端部のy座標の値と他方端部のy座標の値の差の絶対値で定義される、各係合部又は各係合受け部の幅をW としたときに、全ての係合部又は係合受け部の幅W の総和は5以上30以下であり、且つ全ての係合部又は係合受け部の幅W は、
・p=0のとき: 70≧W ≧1、 及び
・p>0のとき: Wp−r≧W (但し、rは、0を越えp以下の任意の有理数である。)
の関係。
(3) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であり、且つy座標値がq(但し、qは、x=pであるときに係合部又は係合受け部が存在する領域における任意のy座標値である。)であるときの高さ又は深さをH p,q としたときに、全ての係合部の高さ又は全ての係合受け部の深さ:H p,q は、
・p=0のとき:実寸で 10(mm)≧H o,q ≧0.1(mm) 及び
・p>0のとき:H p−r,q ≧H p,q (但し、rは、前記(2)におけるrと同義である。)
の関係。
なお、機械加工には、切削加工や研磨加工その他、歯科用CAD/CAMブロックを加工するのに適した加工方法を含む。
また、直方体状とは数学的な意味で厳密な直方体のみならず、多少の寸法誤差が存在するような直方体形状(略直方体)も含んでいる。
すなわち、(式1)〜(式3)を満足することにより、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とを確実且つ高精度で接合(接着)させることができる。さらに、接着剤保持用空間を、係合時において係合部と係合受け部とが互いに対向する領域における、係合部の表面積の50%以上及び係合受け部の表面積の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するようにすることにより、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とをより確実且つ高強度で接合(接着)させることができる。しかも、接着剤保持用空間が設けられることにより、施用された接着剤のほぼ全てがこれら加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23との夫々の接合に利用される。
(歯科用CAD/CAMブロックの形状について)
さらに、図12〜図14は、加工用ブロックのブロック本体の形状についての変形例を示している。
図12に示す変形例は、ブロック本体8のブロック側接合面8aを楕円形又は平円形の中心部で略半分とした形状となるようにしたもので、正面8b及びブロック側接合面8aと交差する側面8cは、曲面形状に設けられているこのブロック本体8に係合部としての係合凸部を設ける場合には、正面8bから後方に向かって、この楕円形の軸方向又は平円形の径方向に沿って設ける。他方、係合凹部を設ける場合には、楕円形又は平円形の頂部から正面8b方向に向かって設ける。これにより、ブロック本体8を、図12において矢標P方向へ摺動させることにより、成形型から円滑に型抜きすることができる。

Claims (5)

  1. 機械加工を施して歯科用製品を加工する歯科用CAD/CAMブロックとこの歯科用CAD/CAMブロックを保持して切削加工装置に固定するブロックホルダーとを、接着剤を介して接合させる、加工用接合構造において、
    前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面とブロックホルダーの接合面のいずれか一方である第1接合面に形成されている係合部と、
    前記歯科用CAD/CAMブロックの接合面と前記ブロックホルダーの接合面のいずれか他方である第2接合面に形成されている係合受け部と、
    前記係合部と前記係合受け部との間に、両者の係合時において前記係合部と前記係合受け部とが互いに対向する領域における、前記係合部の表面積の50%以上及び前記係合受け部の表面積の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するよう構成されている接着剤保持用空間と、
    を備え、
    前記係合部と前記係合受け部とを係合させると共に、前記接着剤保持用空間内に保持された接着剤を介して前記歯科用CAD/CAMブロックと前記ブロックホルダーとが接合されている
    ことを特徴とする加工用接合構造。
  2. 前記係合部は前記第1接合面から突出させた1又は複数の係合凸部であると共に、
    前記係合受け部は第2接合面から凹んで前記係合凸部を受容する1又は複数の係合凹部であることを特徴とする請求項1に記載の加工用接合構造。
  3. 前記歯科用CAD/CAMブロックは直方体状に設けられていて、その底面の一方を接合面とする請求項2に記載の加工用接合構造であって、
    前記直方体状の4つの側面の中から任意に定めた1つの面を正面とし、その反対側の面を裏面とし、前記正面に向かって右及び左に隣接する面を夫々右側面及び左側面としたときに、前記係合部又は前記係合受け部は、前記係合部又は係合受け部の一方の端面が正面と同一の平面上となり、且つ裏面方向に向かって延在するように形成されており、
    前記直方体状の他方の底面、前記正面及び右側面が共有する頂点を原点とし、他方の底面及び右側面が共有する第一の辺、他方の底面及び正面が共有する第二の辺、並びに正面及び右側面が共有する第三の辺の夫々に沿ってx軸、y軸並びにz軸を配した座標系であって、前記第一、第二及び第三の辺における原点と反対側の末端の座標(x、y、z)が夫々(100、0、0)、(0、100、0)並びに(0、0、100)とする座標系で、前記係合部又は係合受け部の位置及び形状を表したときに、当該位置及び形状は下記条件(1)、(2)及び(3)の少なくとも1つを満足することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の加工用接合構造。
    〔条件〕
    (1) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部について、その裏面側端部のx座標の値を、その係合部又は係合受け部の長さ:Lとし、その中の最大値を、前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の最大長さ:Lmaxとしたときに、
    100≧Lmax≧10
    の関係。
    (2) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であるときの各係合部又は各係合受け部の一方端部のy座標の値と他方端部のy座標の値の差の絶対値で定義される、各係合部又は各係合受け部の幅をWとしたときに、全ての係合部又は係合受け部の幅Wの総和は5以上30以下であり、且つ全ての係合部又は係合受け部の幅Wは、
    ・p=0のとき: 70≧W≧1、 及び
    ・p>0のとき: Wp−r≧W (但し、rは、0を越えp以下の任意の有理数である。)
    の関係。
    (3) 前記1又は複数の係合凸部若しくは前記1又は複数の係合凹部の各係合部若しくは各係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であり、且つy座標値がq(但し、qは、x=pであるときに係合部又は係合受け部が存在する領域における任意のy座標値である。)であるときの高さ又は深さをHp,qとしたときに、全ての係合部の高さ又は全ての係合受け部の深さ:Hp,qは、
    ・p=0のとき:実寸で 10(mm)≧H0,q≧0.1(mm) 及び
    ・p>0のとき: Hp−r,q≧Hp,q {但し、r前記(2)におけるrと同義である。}
    の関係。
  4. 前記ブロックホルダーは、
    一方の面が前記第1接合面又は前記第2接合面とされ、他方の面が保持側面とされた板状の基体部と、
    前記基体部の保持側面の中心に立設された保持用支柱部と、
    を具備し、
    前記保持用支柱部の周囲には、前記基体部の一部が該保持用支柱部よりも鍔状に延伸している接合フランジ部が設けられていて、
    前記接合フランジ部の保持側面から前記保持用支柱部の軸方向に沿って適宜な深さであって、接合フランジ部の周縁部から保持用支柱部に向かって適宜な長さで、周方向に適宜な長さで、前記歯科用CAD/CAMブロックを切削加工する切削加工装置の位置決め部材が係合する位置決め凹部が設けられていて、
    前記基体部を保持側面から接合面に貫通する部分が存していないことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加工用接合構造。
  5. 前記歯科用CAD/CAMブロックは複数の層からなる積層体であって、夫々の層は異なる性質を備えたハイブリッドレジン層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の加工用接合構造。
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