JP7403153B2 - 加工用ブロック - Google Patents
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Description
近年のデジタル画像技術やコンピュータ処理技術等の発達により、例えば、特許文献1に開示されているように、口腔内の撮影画像から、コンピュータ支援設計(CAD)(Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM)(Computer Aided Manufacturing)技術によるCAD/CAM装置を用いて、歯科用CAD/CAMブロックに切削加工を施して歯科用補綴物を成形するCAD/CAMシステムが多用されるようになってきている。なお、CAD/CAM装置によって加工されることから、歯科用補綴物を加工するための加工用ブロックは歯科用CAD/CAMブロックと称されたり、ミルブランクと称されたりすることがある。
なお、特許文献2には、CAD/CAM加工用ディスクが歯科用ミルブランクとして示されている。
これらブロック側接合面とホルダー側接合面とのいずれか一方又は双方に接着剤を施用して、ブロックホルダーを歯科用CAD/CAMブロックのブロック側接合面の所定の位置に載置される。そして、接着剤が硬化すると、これら歯科用CAD/CAMブロックとブロックホルダーが一体となった接合体が製作される。
また、歯科用CAD/CAMブロックのブロック側接合面を含む部分は、切削加工治具であるミリングバーが接触して製作される歯科用補綴物の破損を防止するため、ブロック側接合面を含む部分には、一定の「未使用部位」が設けられる。この「未使用部位」は、ブロックホルダーとの接合力を確保するために必要であるので、この「未使用部位」を減量の対象とすることは難しいという課題があった。
図1と図2とに、この発明の第1の実施形態に係る加工用ブロックが示され、ブロックホルダー13が併記されている。
図1は加工用ブロック10とブロックホルダー13とを示す斜視図である。図1(A)は加工用ブロック10とブロックホルダー13との接合前の状態を、図1(B)はこれら加工用ブロック10とブロックホルダー13とが接合した状態を示している。また、図2はブロックホルダー13を示す斜視図であり、(A)は図1に示す側と反対側を上方から見た斜視図であり、(B)は下方から見た斜視図である。
加工される歯科用補綴物1の形状によっては、これら右側減量部位10gと左側減量部位10hとに相当する部分が歯科用補綴物1の一部となることはなく、必ず切削されることが明らかな場合があり、そのような場合に右側減量部位10gと左側減量部位10hとを設けることにより、切削加工の時間が短縮されるばかりでなく、加工用ブロック10の材料も節約できる。
すなわち、これら右側減量部位10gと左側減量部位10hとは、歯科用補綴物1の一部となることがない部分に設けられる。
また、右側減量部位10gと左側減量部位10hの大きさは、加工される歯科用補綴物1に応じた加工用ブロック10の大きさが加味されることが好ましい。例えば、加工用ブロック10の寸法としては、直方体の加工用ブロック10とした場合、小さいサイズの例としては、正面10aの幅員が6mm、側面10c(10d)の幅員(奥行き)が6mm、高さが15mmであり、大きいサイズの例としては、正面10c(10d)の幅員(奥行き)が16mm、高さが40mmのものが挙げられる。そして、これらのサイズに対して、右側減量部位10gと左側減量部位10hは、右側面10cと左側面10dのそれぞれからブロック側接合面10eの中央部に向かって1~8mmであって、ブロック側接合面10eから下面10fに向かって1~8mmとすることができ、また、この範囲で右側減量部位10gと左側減量部位10hを形成することが好ましい。
なお、この実施形態では、右側減量部位10gと左側減量部位10hを正面10aから背面10bに亘って、二辺に形成した加工用ブロック10を示したが、減量部位は、ブロック側接合面10eの四辺に形成することもできる。
保持側面14bには、図2に示すように、保持用支柱部15の軸方向に沿って所定の深さの位置決め凹部18が設けられている。この位置決め凹部18は、接合フランジ部16の周縁部から所定の長さを有するように設けられているが、その径方向の中心側の位置は保持用支柱部15には到達していない。なお、位置決め凹部18は、径方向を中心線として、一定の幅とされている。
この位置決め凹部18は、図2に示すように、接合フランジ部16を貫通していない。なお、図1と図2には、係合凹部17と位置決め凹部18とが略180度にずれた位置に形成されている形状を示したが、これらの位置関係はこれに限らず、切削加工装置のブロック固定具との関係で設定される。
この接着剤保持用空間とは、前記接合係合部と前記接合係合受け部との間に、両者の係合時においてこれら接合係合部と接合係合受け部とが互いに対向する領域における、接合係合部の表面(以下、「係合時係合部対向表面」ともいう。)の表面積(以下、「係合時係合部対向表面積」ともいう。)の50%以上及び接合係合受け部の表面(以下、「係合時係合受け部対向表面」ともいう。)の表面積(以下、「係合時係合受け部対向表面積」ともいう。)の50%以上の夫々が接着剤と接触して、接着剤を保持するよう構成されるものである。ここで、両者の係合時において接合係合部と接合係合受け部とが互いに対向する領域と、係合時における接合係合部の表面積及び接合係合受け部の表面積(すなわち、係合時係合部対向表面積及び係合時係合受け部対向表面積)とは、接合係合部と接合係合受け部との係合が完了した時点において、夫々、両者が互いに対向する部分の表面の表面積を意味し、両面積は同一の面積を有する。例えば、接合係合受け部部が加工用ブロック10の係合凸部11であり接合係合部がブロックホルダー13の係合凹部17である場合には、係合凸部11の上面と係合凹部17の底面の内、互いに対向しあって重複する部分の表面積と、係合凸部11の全側面と係合凹部17の全側面の内夫々互いに対向しあって重複する部分の表面積と合計面積を意味することになる。
また、接着剤保持用空間は、接合係合部と接合係合受け部との間に設けられた空隙であり、その空隙の幅は、係合時係合部対向表面積及び係合時係合受け部対向表面積の50%以上、好ましくは70%以上、最も好ましくは100%が、夫々接着剤と接触して、接着剤を保持できるように適宜設定される。例えば、このような接着剤保持用空間となる間隙を形成するためには係合凸部11の上面の幅及び/又は高さを、夫々係合凹部17の底面の幅及び/又は深さよりも僅かに、例えば、25μm以上、300μm以下の範囲、好ましくは50μm以上、200μm以下の範囲で、小さく設定すればよい。
しかも、係合凸部11と係合凹部17とが係合することにより、加工用ブロック10とブロックホルダー13とが平面同士で接合する場合に比べて、接合面積が大きくなって、確実に接合される。
以上、右側減量部位10gと左側減量部位10hとが設けられた加工用ブロック10について説明したが、加工される歯科用補綴物1が小型であることが明らかである場合には、これら減量部位10g、10hを設けずに、加工用ブロック10自体を小型化(たとえば薄く)してもよいことは勿論である。
次に、この発明に係る加工用ブロックの第2の実施形態について、図3と図4を参照して説明する。図3(A)は加工用ブロック20とブロックホルダー23との接合前の状態を示す斜視図であり、図3(B)は加工用ブロック20とブロックホルダー23とが接合した状態を示す斜視図である。また、図4はブロックホルダー23を示す図であり、図4(A)は図3に示す側と反対側を上方からみた斜視図、図4(B)は下方から見た斜視図である。
また、加工される歯科用補綴物1の形状によっては、これら右側減量部位20gと左側減量部位20hとに相当する部分が歯科用補綴物1の一部となることはなく、必ず切削されることが明らかな場合があり、そのような場合に右側減量部位20gと左側減量部位20hとを設けることにより、切削加工の時間が短縮されるばかりでなく、加工用ブロック20の材料も節約できる。
すなわち、これら右側減量部位20gと左側減量部位20hとは、歯科用補綴物1の一部となることがない部分に設けられる。
また、右側減量部位20gと左側減量部位20hの大きさは、加工される歯科用補綴物1に応じた加工用ブロック20の大きさが加味されることが好ましい。例えば、加工用ブロック20の寸法としては、直方体の加工用ブロック20とした場合、小さいサイズの例としては、正面20aの幅員が6mm、側面20c(20d)の幅員(奥行き)が6mm、高さが15mmであり、大きいサイズの例としては、正面20aの幅員が20mm、側面20c(20d)の幅員(奥行き)が16mm、高さが40mmのものが挙げられる。そして、これらのサイズに対して、右側減量部位20gと左側減量部位20hは、右側面20cと左側面20dのそれぞれからブロック側接合面20eの中央部に向かって1~8mmであって、ブロック側接合面20eから下面20fに向かって1~8mmとすることができ、また、この範囲で右側減量部位20gと左側減量部位20hを形成することが好ましい。
なお、この実施形態では、右側減量部位20gと左側減量部位20hを正面20aから背面20bに亘って、二辺に形成した加工用ブロック20を示したが、減量部位は、ブロック側接合面20eの四辺に形成することもできる。
保持側面24bには、図4に示すように、保持用支柱部25の軸方向に沿って所定の深さの位置決め凹部28が設けられている。この位置決め凹部28は、接合フランジ部26の周縁部から所定の長さを有するように設けられているが、その径方向の中心側の位置は保持用支柱部25には到達していない。なお、位置決め凹部28は、径方向を中心線として、一定の幅とされている。
この位置決め凹部28は、図4に示すように、接合フランジ部26を貫通していない。なお、図3と図4には、係合凸部27と位置決め凹部28とが略180度にずれた位置に形成されている形状を示しているが、これらの位置関係はこれに限らず、切削加工装置のチャック装置との関係で設定される。
第1の実施形態に係る加工用ブロック10とブロックホルダー13、及び第2の実施形態に係る加工用ブロック20とブロックホルダー23とはいずれも、接着剤を介して接合される。なお、この接着剤には、セラミックやハイブリッドレジン等の素材からなる加工用ブロック10、20と、アルミニウムや真鍮等の金属からなるブロックホルダー13、23とを接合させるのに適したものが用いられる。
これら加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とを接合させるには、ロボットアーム等を用いてブロックホルダー13、23を把持させる。その後に、加工用ブロック10、20のブロック側接合面10e、20eの上方から、ブロックホルダー13、23を加工用ブロック10、20に向けて下降させる。
接着剤が施用された後に、加工用ブロック10のブロック側接合面10eにブロックホルダー13のホルダー側接合面14aを重ねながら、係合凸部11を係合凹部17に受容させる。このとき、これら係合凸部11と係合凹部17とにより、加工用ブロック10に対してブロックホルダー13が所定の位置に位置決めされる。また、施用された接着剤は接着剤保持用空間に保持された状態が維持されるので、係合凸部11と係合凹部17との係合部から滲出することがない。そして、接着剤の硬化によって加工用ブロック10とブロックホルダー13との接合が確実になり、これら加工用ブロック10とブロックホルダー13とが一体化する。
接着剤が施用された後に、加工用ブロック20のブロック側接合面20eにブロックホルダー23のホルダー側接合面24aを重ねながら、係合凹部21に係合凸部27を受容させる。このとき、これら係合凹部21と係合凸部27とにより、加工用ブロック20に対してブロックホルダー23が所定の位置に位置決めされる。また、施用された接着剤は接着剤保持用空間に保持された状態が維持されるので、係合凹部21と係合凸部27との係合部から滲出することがない。そして、接着剤の硬化によって加工用ブロック20とブロックホルダー23との接合が確実になり、これら加工用ブロック20とブロックホルダー23とが一体化する。
なお、加工用ブロック10、20の切削加工装置には種々の形式のものがあり、夫々が特有の位置決め機構を備えている。そのため、各位置決め機構に対応した形状を有する専用のブロックホルダー13、23を接合させた接合体が切削加工装置に応じて準備されている。一方、汎用されている代表的な数種の切削加工装置の位置決め機構に対応できるように、ブロックホルダー13、23に数種の位置決め凹部18、28等が設けられた、所謂、ユニバーサルタイプとした構成とすることもできる。
なお、接着剤保持用空間を設けることによる効果について付言すると、接着剤保持用空間を設けない場合の問題は、上記レール状の凸部と凹溝との組み合わせに限られるものではない。例えば、接合係合部と接合係合受け部との間に間隙を実質的に設けず、例えば、係合凸部11と係合凹部17とがぴったり嵌合するようにした場合にも類似の問題は発生し得る。すなわち、この場合には、両者を係合させる過程において、係合凸部11の上面と係合凹部17の底面の間の間隙はゼロを目指して徐々に狭まり、また、夫々解放されて表面に露出する係合凸部11の側面及び係合凹部17の側面の面積は徐々に狭くなるので、これらの面に施用されていた接着剤は、行き場を失って係合凹部内に留まろうとするか、ブロック10とブロックホルダー13の接合面のこれら係合凸部11及び係合凹部17が形成されていない部分の平坦な接合面上に流れ出ようとするかしかない。このため、完全な係合が阻害されるか、或いは平坦な面上に流れ出た接着剤によって接着剤の厚さが不均一となる等してブロック10とブロックホルダー13とが相対的に傾き、そのまま接合されてしまうおそれがある。また、このような傾きを防止するためにブロック10とブロックホルダー13とを強く押し付けた場合には、前述の場合と同様に、接着剤が多量に接合面から溢れ出して美観の低下や埃等の付着が起こるばかりでなく、溢れ出す量が多くなり過ぎて、接合面に残存する接着剤が少なくなってしまった場合には、十分な接着強度が得られなくなってしまうおそれがある。そして、このような問題は、接着剤の施用個所や施用量を高度に制御できない場合には、より顕著になると考えられる。
これに対し、本発明の係合構造では、前記接着剤保持用空間がバッファーとして機能するので、接着剤の施用個所や施用量を高度に制御できない場合でもこのような問題の発生を有効に防止することができる。例えば、第1の実施形態や第2の実施形態で接着剤を施用して接合係合部と接合係合受け部とを接着する方法は既に説明した通りであるが、その際に、第1の実施形態においては係合凸部11の係合時係合部対向表面となる上面上に、第2の実施形態においては係合凹部21の係合時係合受け部対向表面となる底面上に、夫々接着剤保持用空間の容積と略等しい量の接着剤を供給してから接合係合部と接合係合受け部とを重ね合わせていけば、その過程において接着剤は自然に接着剤保持用空間の内部を満たすようになる。したがって、接着剤の塗布場所や塗布量(厚さ)などを特に考慮することなく、単にその体積だけを制御するという非常に簡単な方法で、接着剤の溢れ出しを防止しつつ確実な接着を行うことが可能となる。
しかし、歯科用製品の成形加工に用いられる加工用ブロック10、20には、セラミックやハイブリッドレジン等の高価な素材が用いられ、削り出して成形する場合に発生する削りくずに相当する部分が無駄となり、成形された加工用ブロック10、20を高価なものとしてしまう。このため、これらの素材から加工用ブロック10、20を成形する際に、切削加工によらず、成形用型に充填して硬化させる型成形によれば、成形された加工用ブロック10、20は価格の面で有利となる。また、成形用型の構造が複雑となっては、成形加工が煩雑となってしまう。好ましくは、成形用型からの型抜きが、成形された加工用ブロック10、20を成形用型に対して一方向に摺動させて行えるようにすることがよい。そこで、以下に説明するように、図5に示す成形用型を用いて加工用ブロック10、20を成形する。
図5は、加工用ブロック10、20を成形するのに適した成形用型の概略の斜視図である。図5(A)に示す成形用型2は、第1の実施形態に係る加工用ブロック10用のものであり、図5(B)に示す成形用型3は、第2の実施形態に係る加工用ブロック20用のものである。
また、成形凹部2dを挟んだ両側には、加工用ブロック10の右側減量部位10gと左側減量部位10hとの夫々に対応する右側膨出部2eと左側膨出部2fとが、筒体の内面であって上部から側部に掛けて、後側端部2aから前側端部2cに亘って形成されている。
なお、図5(A)は成形材料が充填されて、成形用型2の内部に加工用ブロック10が成形された状態が示されている。
押し子板2bが後側端部2aに位置した状態で、この成形用型2にハイブリッドレジン等の成形材料が充填されると、加工用ブロック10が成形される。成形材料が硬化した成形後に、押し子板2bを図5(A)において矢標P方向へ摺動させる。これにより成形用型2の内部に充填された成形材料が前側端部2cから押し出されて、成形された加工用ブロック10が成形用型2から取り出される。
また、成形凸部3c挟んだ両側には、加工用ブロック10の右側減量部位20gと左側減量部位20hとの夫々に対応する右側膨出部3eと左側膨出部3fとが、筒体の内面であって上部から側部に掛けて、後側端部3aから前側端部3dに亘って形成されている。
押し子板3bが後側端部3aに位置した状態で、この成形用型3にハイブリッドレジン等の成形材料が充填されると、加工用ブロック20が成形される。成形材料が硬化した成形後に、押し子板3bを図5(B)において矢標Q方向へ摺動させる。これにより成形用型3の内部に充填された成形材料が前側端部3dから押し出されて、成形された加工用ブロック20が成形用型3から取り出される。
図6には、種々の形状の係合凸部を備えた加工用ブロックを例示しており、これらは加工用ブロック10の係合凸部11の数や形状が夫々異なっている。なお、図6に示す種々の形状の加工用ブロックは、加工用ブロック10の係合凸部11を除く本体をブロック本体6で示し、このブロック本体6に種々の係合凸部7が形成されているものとして説明する。
また、図6(A)~(K)に示すブロック本体6のいずれにも、右側減量部位6gと左側減量部位6hとが、右側面6cと左側面6dの上端部が切り欠かれて設けられている。そして、これら右側減量部位6gと左側減量部位6hの間の部分のブロック側接合面6eに係合凸部7が形成されている。なお、このブロック本体6においては、正面6aと背面6bとする。
図6(A)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部7aが設けられているものであり、この係合凸部7aはブロック側接合面6eに正面6aから背面6bに至るまで形成されている。
図6(B)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部7bが設けられているものであり、この係合凸部7bは第1の実施形態に示す係合凸部11よりも小さい幅で、ブロック側接合面6eに正面6aから中央部付近にかけて形成されている。
図6(C)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部7cが設けられているものであり、この係合凸部7cはブロック側接合面6eにブロック本体6の正面6aからブロック側接合面6eの中央部付近にかけて形成され、中央部側の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(D)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部7d1、7d2が設けられているものであり、これら係合凸部7d1、7d2はブロック側接合面6eに正面6aから背面6bに至るまで形成されている。
図6(E)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部7e1、7e2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部7e1、7e2はブロック側接合面6eにブロック本体6の正面6aからブロック側接合面6eの中央部付近にかけて形成されている。
図6(F)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部7f1、7f2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部7f1、7f2はブロック側接合面6eにブロック本体6の正面6aからブロック側接合面6eの中央部付近にかけて形成されている。また、係合凸部7f2が係合凸部7f1よりも短いものとされている。
図6(G)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部7g1、7g2が平行に設けられているものであり、これら係合凸部7g1、7g2はブロック側接合面6eにブロック本体6の正面6aからブロック側接合面6eの中央部付近にかけて形成されている。また、係合凸部7g2が係合凸部7g1よりも短いものとされており、係合凸部7g2の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(H)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された2個の係合凸部7h1、7h2が平行に設けられているもので、これら係合凸部7h1、7h2はブロック側接合面6eに正面6aから僅かに背面6b側に向かって延在して形成されている。すなわち、これら係合凸部7h1、7h2は、図6(E)に示す係合凸部7e1、7e2よりも短く、また、これら係合凸部7h1、7h2の先端部は円柱の一部の形状に形成されている。
図6(I)は、ブロック本体6に直方体又は略直方体に形成された単一の係合凸部7iが設けられているもので、この係合凸部7iは第1の実施形態に示す係合凸部11よりも幅広のものとされている。また、この係合凸部7iはブロック側接合面6eに正面6aから中央部付近にかけて形成されている。
図6(J)は、ブロック本体6に単一の係合凸部7jが設けられているものであり、この係合凸部7jは略二等辺三角形状に形成され、その底辺が正面6aと一致し、頂点がブロック側接合面6eの中央部付近に位置して形成されている。
図6(K)は、ブロック本体6に単一の係合凸部7kが設けられているものであり、この係合凸部7kは直方体又は略直方体の部分7k1と三角形の部分7k2とを結合させた形状に形成されている。部分7k1は、ブロック側接合面6eに正面6aから中央部付近にかけて形成されている。部分7k2は、底辺をブロック側接合面6eの正面6aに位置させ、頂点を部分7k1の中央部付近に位置させて形成されている。
これら図6(A)~(K)に示す係合凸部7が設けられたいずれのブロック本体6も、図6(A)において矢標Pで示す方向、すなわち背面6b側から正面6a側へ押し出すことにより、成形用型から型抜きすることができるものである。
なお、図6には、接合係合部である係合凸部7が形成された形状について示している。このため、型抜きの場合、ブロック本体6を背面6b側から正面6a側へ押し出すものであるのに対して、係合凸部7に代えて、ブロック本体6に第2の実施形態で示す係合凹部21が形成された形状である場合には、ブロック本体6を正面6a側から背面6b側へ、すなわち矢標P方向とは反対方向へ押し出して型抜きする。
次に、1又は複数の接合係合部又は接合係合受け部を、加工用ブロック10、20とブロックホルダー13、23とが確実に接合されるために配すべき状態について、図7を参照して説明する。なお、図7は、これら加工用ブロック10、20から係合凸部11、係合凹部21を除いたブロック本体6についての座標系を定義する図であり、直方体又は略直方体状の係合凸部5が設けられている状態を示す。
ブロック本体6については、図7に示すように、ブロック本体6の正面6aと右側面6cとの境界の辺(第三の辺)の方向をz軸とし、右側面6cと下面6fとの境界の辺(第一の辺)の方向をx軸とし、正面6aと下面6fとの境界の辺(第二の辺)の方向をy軸として、x軸とy軸、z軸を定める。これらの軸(x、y、z)が交わる頂点を原点0とした座標系の、この原点0を通る辺と反対側の辺の座標を夫々(100、0、0)、(0、100、0)、(0、0、100)とする。そして、1又は複数の接合係合部又は接合係合受け部について、その位置と形状とが、以下の条件を満足させるようにする。
(条件1)
(1) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各接合係合部若しくは各接合係合受け部について、その背面6b側端部のx座標の値を、その接合係合部又は接合係合受け部の長さ:Lとし、その中の最大値を、1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の最大長さ:Lmaxとしたときに、
100≧Lmax≧10 (式1)
より好ましくは、
95≧Lmax≧15
さらに好ましくは、
90≧Lmax≧20
となる関係。
(条件2)
(2) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各接合係合部又は各接合係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であるときの各接合係合部又は各接合係合受け部の一方端部のy座標の値と他方端部のy座標の値の差の絶対値で定義される、各接合係合部又は各接合係合受け部の幅をWnとしたときに、全ての接合係合部又は接合係合受け部の幅Wnの総和は1以上70以下であり、且つ全ての接合係合部又は接合係合受け部の幅Wnは、
・p=0のとき: 70≧W0≧1 及び
・p>0のとき: Wp-r≧Wp (但し、rは、0を越えp以下の任意の有理数である。) (式2)
となる関係。
なお、前記(式2)においては、W0は、60≧W0≧3であることがより好ましく、50≧W0≧5であることがさらに好ましい。
(条件3)
(3) 1又は複数の係合凸部若しくは1又は複数の係合凹部の各接合係合部又は各接合係合受け部の、x座標値がp(但し、pは0以上、前記L以下の有理数である。)であり、且つy座標値がq(但し、qは、x=pであるときに接合係合部又は接合係合受け部が存在する領域における任意のy座標値である。)であるときの高さ又は深さをHp,qとしたときに、全ての接合係合部の高さ又は全ての接合係合受け部の深さ:Hp,qは、
・p=0のとき:実寸で、10(mm)≧Ho,q≧0.1(mm)、及び
・p>0のとき: Hp-r,q≧Hp,q (rは、0を越えp以下の任意の有理数である。) (式3)
となる関係。
なお、前記(式3)においては、Ho,qは、7(mm)≧Ho,q≧0.3(mm)であることがより好ましく、5(mm)≧Ho,q≧0.5(mm)であることがさらに好ましい。
ブロック本体6について、図8に示すように、ブロック本体6の右側面6cと下面6fとの境界の辺の方向をx軸とし、正面6aと下面6fとの境界の辺の方向をy軸とし、これらx軸とy軸との交点を原点0として、x軸とy軸とを定める。また、係合凸部7の右側面7rと正面6aの交点のy座標をyaとし、左側面7lと正面6aとの交点のy座標をybとし、これらyaとybとのy軸方向の差(yb-ya)をyabとする。
また、図8に示すx軸方向のxx座標における、右側面7rとの交点の座標をyxa、左側面7lとの交点の座標をyxbとし、これらyxaとyxbとのy軸方向の差(yxb-yxa)をyxabとする。
そして、係合凸部7上の点のy座標をyiとすると、係合凸部7の形状は、
ya≦yi≦yb (式4)
を満足し、
x座標の関係がxi<xjである場合、
xiにおけるyxabをyxiとし、xjにおけるyxabをyajとした場合、
yxj≦yxi (式5)
を満足する関係となるよう、係合凸部7の形状を定めるものとする。
これにより、この係合凸部7が設けられたブロック本体6を型成形する場合に、成形用型から図8(A)において矢標Pで示す方向に摺動させて型抜きすることができる。
さらに、図9は、加工用ブロックのブロック本体の形状についての変形例を示している。
図9に示す変形例は、ブロック本体8のブロック側接合面8aを楕円形又は扁平円形の中心部で略半分とした形状となるようにしたもので、正面8b及びブロック側接合面8aと交差する側面8cは、曲面形状に形成されている。このブロック本体8に接合係合部としての係合凸部を設ける場合には、正面8bから後方に向かって、この楕円形の軸方向又は扁平円形の径方向に沿って設ける。他方、係合凹部を設ける場合には、楕円形又は扁平円形の頂部から正面8b方向に向かって設ける。これにより、ブロック本体8を、図9において矢標P方向へ摺動させることにより、成形用型から円滑に型抜きすることができる。
このブロック本体8では、側面8cが曲面形状に形成されているため、この側面8cの外側の部分が減量部位とされて、ブロック本体の材料が削減されている。
図10には、この発明の第3の実施形態に係る加工用ブロック50が示されており、(A)は正面50aの側から見た斜視図であり、(B)は平面図である。この第3の実施形態に係る加工用ブロック50はセラミックやハイブリッド等の素材により形成されており、第1実施形態に係るブロックホルダー13と同様なブロックホルダー(図示せず)と接合する。
ブロック側接合面50hには、このブロック側接合面50hから突出した係合凸部53が設けられている。この係合凸部53は、この加工用ブロック50を型成形する際に、型抜きの支障とならず、かつ、図示しないブロックホルダーとの接合が確実に行えるよう、直方体又は略直方体に形成されている。また、この係合凸部53の正面53aは加工用ブロック50の正面50aと同一面内に配されており、正面50aが形成された端部から後面50b側に向かって延在させて形成されている。なお、この係合凸部53の右側面53bと左側面53cの夫々は、加工用ブロック50の前部右側面50cと前部左側面50dの夫々と平行とされている。
なお、上述したように、この加工用ブロック50に接合されるブロックホルダーは、第1の実施形態に係るブロックホルダー13と同一の形状をしているものを用いることができる。
他方、加工用ブロック50に係合凸部53に替えて接合係合受け部としての係合凹部を形成する場合には、この係合凹部の端部を後面50bに開口させて設ける。反対側の端部を正面50a側に向かって延在させて形成する。この係合凹部を備えた加工用ブロック50の場合、型抜きの際には図10(A)において矢標P方向へ摺動させる。
図11に示す加工用ブロック60は、図10に示す第3の実施形態に係る加工用ブロック50の変形例であり、加工用ブロック50の同一の部分については同一の符号が付されている。この加工用ブロック60は、加工用ブロック50の後側部分52の断面台形又は略台形の側面の平面の部分を、円弧の一部による曲面としたものである。なお、加工用ブロック50と同一の部位については、同一の符号が付されている。
すなわち、図10(B)に示す加工用ブロック50の後部右側面50eと後部左側面50fとが夫々、図11に示すように、円弧等の一部で形成された曲面による後部右側面60aと後部左側面60bにより形成されている。
この加工用ブロック60は、図11において、成形用型に対して矢標P方向に摺動させることにより、型抜きすることができる。
図12には、比較例として、加工用ブロック100が示されている。この比較例には、直方体又は略直方体に形成された加工用ブロック100の一面に平面で形成されたブロック側接合面101が配され、このブロック側接合面101にブロックホルダー110が接合される構造が示されている。
また、ブロックホルダー110は、円板状をした基体部111と柱状の保持用支柱部112とが一体的となって形成されている。基体部111の一方の側の面は平面状のホルダー側接合面111aとされ、他方の側の面の中央部又は中央部近傍に基体部111よりも縮径された保持用支柱部112が立設されている。基体部111には縁部から径方向に適宜な長さと幅で切り欠かれた切欠部111bが形成されている。また、保持用支柱部112の中間部には湾曲させて窪ませたチャック部112aが形成されている。
そして、切削加工装置によって切削加工に供され、歯科用補綴物1が製作される。
これに対して、加工用ブロック10、20、50、60では減量部位が設けられているので、減量部位に相当する部分の材料は存せずに、材料の無駄が生じることなく、また、この減量部位について加工を施すことがないので、歯科用補綴物1の加工時間の短縮を図ることができる。
1a 接合部
1b 保持棒部
2 成形用型
2a 後側端部
2b 押し子板
2c 前側端部
2d 成形凹部
2e 右側膨出部
2f 左側膨出部
3 成形用型
3a 後側端部
3b 押し子板
3c 成形凸部
3d 前側端部
3e 右側膨出部
3f 左側膨出部
6 ブロック本体
6a 正面
6b 背面
6c 右側面
6d 左側面
6e ブロック側接合面
6f 下面
6g 右側減量部位
6h 左側減量部位
7 係合凸部
7a 係合凸部
7b 係合凸部
7c 係合凸部
8 ブロック本体
10 加工用ブロック
10a 正面
10b 背面
10c 右側面
10d 左側面
10e ブロック側接合面
10f 下面
10g 右側減量部位
10h 左側減量部位
11 係合凸部
11a 正面
11b 右側面
11c 左側面
13 ブロックホルダー
14 基体部
14a ホルダー側接合面
14b 保持側面
15 保持用支柱部
15a 固定用チャック部
15b 切欠部
16 接合フランジ部
17 係合凹部
18 位置決め凹部
20 加工用ブロック
20a 正面
20b 背面
20c 右側面
20d 左側面
20e ブロック側接合面
20f 下面
20g 右側減量部位
20h 左側減量部位
21 係合凹部
23 ブロックホルダー
24 基体部
24a ホルダー側接合面
24b 保持側面
25 保持用支柱部
25a 固定用チャック部
26 接合フランジ部
27 係合凸部
28 位置決め凹部
50 加工用ブロック
50a 正面
50b 後面
50c 前部右側面
50d 前部左側面
50e 後部右側面
50f 後部左側面
50g 下面
50h ブロック側接合面
50i 右側減量部位
50j 左側減量部位
51 前側部分
52 後側部分
53 係合凸部
53a 正面
53b 右側面
53c 左側面
60 加工用ブロック
100 加工用ブロック
101 ブロック側接合面
110 ブロックホルダー
Claims (4)
- 加工装置へ固定されるブロックホルダーに、接着剤を介して接合面が接合されて保持され、該加工装置により切削や研磨等の機械加工が施されて所望の形状に加工される加工用ブロックにおいて、
前記加工用ブロックは、直方体または略直方体の一部が切り欠かれて切り欠きを有する形状のハイブリッドレジンからなり、
前記加工用ブロックの一の面を正面とした場合に、前記正面の反対側の面を背面とし、前記正面に向かって右に位置する面を右側面とし、前記正面に向かって左に位置する面を左側面とし、前記正面に向かって上に位置する面を上面とし、前記正面に向かって下に位置する面を下面とし、
前記上面である前記接合面をブロック側接合面とし、前記ブロックホルダーにおける前記接合面が接合される部位をホルダー側接合面とし、
前記ブロック側接合面に凸状に形成され前記正面から前記背面へ向けて延在する係合凸部と、前記ホルダー側接合面に形成されて前記係合凸部と係合する係合凹部とからなる係合部、または、前記ブロック側接合面に凹状に形成され前記正面に開口して前記背面へ向けて延在する係合凹部と、前記ホルダー側接合面に形成されて前記係合凹部と係合する係合凸部と、からなる係合部が形成され、
前記ブロックホルダーと前記加工用ブロックとは、前記係合部において係合するとき、両者の間に設けられる接着剤保持用空間内に保持された接着剤を介して接合され、
前記切り欠きは、前記加工用ブロックの前記ブロック側接合面と前記右側面との稜となる辺に沿った縁部、および前記ブロック側接合面と前記左側面との稜となる辺に沿った縁部、に形成され、前記切り欠きにより欠損した部分を減量部位とする
ことを特徴とする加工用ブロック。 - 請求項1に記載の加工用ブロックであって、
前記減量部位は、前記加工用ブロックの外周面から前記ブロック側接合面の中央部に向かって1mm~8mmの範囲であって、前記ブロック側接合面から前記下面に向かって1mm~8mmの範囲で切り欠かれて形成されている
ことを特徴とする加工用ブロック。 - 請求項1または2に記載の加工用ブロックであって、
前記加工用ブロックが歯科用補綴物の加工に用いられる歯科用CAD/CAMブロックである
ことを特徴とする加工用ブロック。 - 請求項1に記載の加工用ブロックを製造する方法であって、
外形が直方体又は略直方体の筒状体に形成され内部空間の形状が前記加工用ブロックの形状に対応する成形用型であって、前記成形用型の一方端である後側端部側の前記内部空間には前記内部空間を軸方向に沿って移動可能な押し子板が収容され、他方端である前側端部における前記内部空間の形状が前記加工用ブロックの前記正面の形状に対応する前記成形用型の前記内部空間にハイブリッドレジンからなる成形材料を充填する工程と、
前記成形材料が硬化した後に前記押し子板を前記後側端部側から前記軸方向に沿って前記前側端部へ向けて摺動させる工程と、
前記押し子板の摺動に伴って前記成形材料から形成された前記加工用ブロックを前記前側端部から押し出す工程と
を含むことを特徴とする加工用ブロックを製造する方法。
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