まず、「触感見本システム」について定義する。触感見本システムのカテゴリーは、「物の発明」である。触感見本システムは、少なくとも、触感の異なる複数の触感見本を備えていれば足り、更に、他の付帯的な要素を備えていても良い。また、触感見本システムにおける複数の触感見本は、一定のまとまりをもって把握できればよい。従って、例えば、一または複数の触感見本が袋や箱などの容器に収められていたり、紐、ゴムなどの結束部材によって分離独立可能に結合されていたりする態様であってもよい。この場合、容器や結束部材なども触感見本システムの構成要素になり得る。また、複数の触感見本が連結等されて一体化されている態様であってもよい。
次に、本発明の実施形態に係る触感見本及び触感見本システムについて具体的に説明する。なお、本実施形態では、複数の触感見本を収容する容器を備えた触感見本システムを例示するが、例えば、複数の触感見本を一点で固定した形態、例えば、複数の触感見本を一体に連結する軸部を備え、その軸部を中心に一の触感見本を回転させながらスライドさせて選択可能となるようなシステムであってもよい。
図1に示されるように、触感見本システム1は、一又は複数の触感見本2Aを備えている。また、触感見本システム1は、複数の触感見本2Aを重ねて収容できる容器3を備えている。容器3は、例えば、一または複数の触感見本2Aを収容可能な形状であればよく、また、縦一列となるような収容形態に限らず、横方向に並べて収容可能となる形態などであってもよい。なお、容器3内で積層された複数の触感見本2A同士の隙間を埋めるようにスペーサー11、12(図6参照)を設けることもできる。スペーサー11、12を備えた形態については後述する。
本実施形態に係る触感見本2A(図2参照)は、平面視で、例えば、矩形状(四辺形状)である。しかしながら、触感見本2Aの外観形状は、四辺形状に限定されず、その他の多角形状、円形状、楕円形状等であっても良く、またはハート型やクローバー型等の特定のイメージを想起させる形状等であっても良く、または規則性の無い任意の形状であっても良い。
触感見本2Aは、触感サンプル5Aと、触感サンプル5Aを保持する保持部4Aと、を備えている。触感サンプル5Aは、例えば、シート状、板状、あるいはブロック状の形態であり、少なくとも一部分に樹脂部を有する。樹脂部とは構成材料として樹脂材料を含む部分を意味し、樹脂組成物を含む。また、触感サンプル5Aは、触感確認部6を有する。触感確認部6は、保持部4Aにより形状安定的に保持された部分である。り、更に、保持部4Aによって覆われていない露出部分である。
また、触感確認部6は、触感サンプル5Aのうち、保持部4Aによって覆われていない露出部分であり、両面6a、6aが開放されている。この両面6a、6aとは、評価者(ヒト)が摘まむなどして触感の同一性や違いを把握可能な程度に対向配置された少なくとも二つの面を意味する。例えば、シート状、板状、あるいはブロック状の形態のように、一方の面に対して対向する反対側の面を規定できる場合には、その一方の面と反対側の面との両方を意味する。また、両面に設けられているとは、平面視で重なっている態様に限定されず、一部が重なっている態様や互いにずれている態様も広く含まれる。
触感確認部6の開放された両面6a、6aの触感は、同一であっても異なっていても良い。この「触感」とは、狭義には2次元的な触感を意味し、ヒトが物に触れた際に手や肌等で受ける知覚(感じ)であり、テクスチャー(texture)を意味する。しかしながら、本実施形態では3次元的な触感を含む広義に解釈され、材質等に依存する質感、粘弾性、あるいは厚み感なども含まれる。また、「触感が異なる」とは、一般的には、ヒトが知覚として区別できる程度の相違を有する態様を意味し、例えば、ヒトの感性評価(官能検査)によって評価することができる。
また、触感サンプル5Aの両面6a、6aの色や模様、透明、半透明、不透明等の意匠的構成は、同一であっても異なっていても良い。
本実施形態に係る保持部4Aは、触感サンプル5Aの外周Eの全周に沿って配置された額縁状であり、無端の矩形環状を呈する。保持部4Aは触感サンプル5Aの外縁を挟み付けて保持する一対のフレームユニット41、42を備えている。一対のフレームユニット41,42は、嵌合接合等の着脱自在な構造あるいは接着等の固定構造によって一体化している。保持部4Aは、触感サンプル5Aの少なくとも一部を形状安定的に保持できる程度の剛性を備えていれば足り、樹脂、金属、木材、ガラス等の各種材料を適用できる。保持部4Aで囲まれた内側(内方側)の両面は、触感確認部6の開放された両面6a、6aに相当する。本実施形態に係る触感確認部6の全部あるいは一部は樹脂部を含んでいる。
保持部4Aの配置は、触感サンプル5Aの外周Eの全周に沿って配置されている態様に限定されず、例えば、形状安定的に保持された触感確認部6を形成可能な配置であれば足りる。従って、保持部4Aは、触感サンプル5Aの外周Eの全周ではなく一部分であってもよい。この「形状安定的に保持された」とは、触感確認部6となる領域が保持部4Aに対してズレることなく安定して保持されていることを意図する。
そして、本実施形態の如く、保持部4Aが触感サンプル5Aの少なくとも一部領域を囲んでいる場合には、保持部4Aによって囲まれた領域は、保持部4Aによって形状安定的に保持された触感確認部6となる。また、保持部4Aが触感サンプル5Aの少なくとも一部領域を完全には囲んでいない態様であっても触感確認部6を形成可能である。この「触感確認部を形成可能」という意義を、例えば、一点で触感サンプル5Aを支えた場合に、その一点を外れると湾曲してしまうような柔軟性の高い薄いシート状の触感サンプル5Aを仮定して説明する。
まず、この触感サンプル5Aを水平面に沿って配置した場合の平坦な表面を基準面として仮定する。この場合に、基準面上の異なる二方向に延在するように保持部4Aを配置したり、基準面上で湾曲するように保持部4Aを配置したりすると、触感サンプル5Aの少なくとも一部分には、保持部4Aで支えられて基準面に沿った領域が形成される。この領域は、保持部4Aによって、形状安定的に保持された領域であると言え、触感確認部6である。なお、触感サンプル5Aの剛性が高く、湾曲等し難い構造の場合、保持部4Aによって一部分を保持するだけで、触感サンプル5Aの全体が触感確認部6になり得る。
保持部4Aの配置について補足すると、触感サンプル5Aの材質やサイズ等に依存せず、より安定的に、且つ確実に触感確認部6が形成されるためには、保持部4Aは、触感サンプル5Aの外周Eの半分以上に沿って配置されていると好ましく、更に2/3以上であると好ましく、更に3/4以上であると好ましい。
本実施形態に係る触感サンプル5Aは、触感確認部6を介して、評価者が3次元的な観点で触感を評価できる形態であれば足りる。例えば、触感サンプル5Aの厚みtは、50μm以上で、且つ2cm以下であると好ましい。50μm以上の厚みtを有していれば、評価者が触感確認部6の両面6a、6aの触感等の同一性や違いなどを感覚的に評価し易くなる。また、2cm以下の厚みtであれば、評価者が摘まむなどして触感を評価し易くなる。なお、触感サンプル5Aの厚みtは、100μm以上にすることもでき、500μm以上にすることもでき、1mm以上にすることもでき、5mm以上にすることもできる。特に5mm以上であれば、触感サンプル5Aの厚みtを感じながら硬さや柔らかさ、粘弾性等の厚み感を確実に評価し易くなる。
また、触感サンプル5A及び触感確認部6の面積サイズは、任意に設定することができる。例えば、指先で摘まんで触感を確認することを想定する場合には、評価者の親指と人差し指とで摘まめる位置に触感確認部6を配置する必要があり、少なくとも、触感確認部6として、親指や人差し指が入る程度の開口寸法(例えば、2cm×2cm)が必要である。また、左右の掌を重ね合わせるように触感サンプル5Aを挟んで触感を確認することを想定する場合には、例えば、A4(210mm×297mm)サイズやA3(297mm×420mm)サイズ程度の触感確認部6を有すると好ましい。
図2に示されるように、本実施形態に係る触感サンプル5Aは、例えば、単一の樹脂層(単一層)によって形成された単体ユニットであり、実質的に触感サンプル5Aの全体が樹脂部に相当する。但し、単一層内に樹脂部と非樹脂部とを備えた形態であっても良い。触感サンプル5Aとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアクリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン等や天然ゴム、ラテックスなどの粘弾性的な性質を持つポリマ、ゲル状物質を使用することができる。また、触感サンプル5Aは透明または半透明であってもよく、更に対象物に模した色彩や模様等の意匠が施された形態であってもよい。
また、図3に示されるように、変形形態に係る触感サンプル5Bとすることもできる。変形形態に係る触感サンプル5Bの基本的な構造や条件等は、上記の実施形態と共通するため詳細説明は省略し、相違点を中心に説明する。変形形態に係る触感サンプル5Bは、複数層によって一体的に形成された単体ユニットである。複数層によって形成された単体ユニットの場合、両表面の少なくとも一方の表面は樹脂層によって形成されているのが望ましい。この樹脂層として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアクリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン等や天然ゴム、ラテックスなどの粘弾性的な性質を持つポリマ、ゲル状物質を使用して形成することもできる。
本変形形態は、例えば、三層(第1の表面層51、中間層52、第2の表面層53)からなり、全てが樹脂層である態様を例示しているが、二層あるいは四層以上の多層構造であってもよい。この多層構造とは、3Dプリンタによって形成される多層構造も含まれる。また、透明または半透明の表面層51、53で中間層52を挟み、中間層52に視覚的特徴のある層(例えば、色、模様、偏光など)を入れることも可能である。また、多層構造の中間層52を剛性の高い(硬い)芯材層とし、芯材層よりも柔軟性の高い表面層51、53を芯材層に積層させるように形成することもできる。また、柔軟性の高い中間層52とし、この中間層52よりも剛性の高い(硬い)表面層51、53を中間層52に積層させるように形成することもできる。
本変形形態において、樹脂層は樹脂組成物によって形成され、樹脂部に相当するが、各層の一部分を樹脂部にすることも可能である。また、非樹脂部として、紙、金属、ガラス等を用いることもできる。また、変形形態において、複数層の一部が透明または半透明であってもよく、更に対象物に模した色彩や模様等の意匠が施されていてもよい。
触感サンプル5A、5Bにおいて、触感確認部6を形成する表面には、一定の触感を付与する特別な加工や処理が施されている。つまり、複数の触感サンプル5A、5Bには、それぞれ異なる触感あるいは同一の触感となるような触感の調整がなされている。以下、触感サンプル5A、5Bにおける触感の調整及び触感の調整によって生じる異なる触感について詳しく説明する。
例えば、触感サンプル5A、5Bの表面に微細な凹凸形状を形成し、凹凸形状の違い、サイズの違い、凸部の密度の違いなど、外形形状の差(外形差)によって異なる触感を実現することができる。
具体的には、物理的な加工によって触感が調整された触感サンプル5A、5Bにすることができる。物理的な加工として、例えば、プレス等で触感サンプル5A、5Bに圧力をかけて変形させることによって触感を調製したり、紙やすり等で触感サンプル5A、5Bの表面を荒らすことによって触感を調整したり、触感サンプル5A、5Bを過熱して可塑化させ、その状態で型などを用いて基材を変形させることによって触感を調製したりすることができる。また、物理的な加工として、例えば、レーザー版や彫刻版を用いることができる。また、物理的な加工として、基材の表面処理を行うこともできる。例えば、コロナ放電、フレーム法(火炎で表面を荒らす)、レーザー法等を使用した表面処理方法によって触感を調整することも可能である。
また、事後的に物理的な加工を行うことなく、触感サンプル5A、5Bとなる本体の製造時にエンボス加工等を施して触感を付与することも可能である。また、触感サンプル5A、5Bとなる本体の製造時に、2種類以上のポリマのブレンド(ポリマブレンド)により触感を調整された触感サンプル5A、5Bにすることもできる。
また、触感サンプル5A、5B内に無機フィラー、無機ビーズ、ポリマーフィラー、またはポリマービーズ等の充填物を混合させることで触感を調製することもできる。また、異なる触感は、外形差に限定されず、材質の違いなどに起因して生じる熱伝導の差(熱物性の差)によって実現することも可能であり、更に3次元的な触感の違いという観点からは、厚みtの違い、硬さや柔らかさといった強度の違い、可撓性などの弾性の違い、更に圧縮力を受けた際の可塑性等の違いによって実現することも可能である。
また、図4に示されるように、複数層によって単体ユニットが形成された上記の変形形態に係る触感サンプル5Bにおいては、印刷層51a、53aを設けて触感を調製することができる。例えば、触感サンプル5Bの表面層51、53は、基材層51b、53bと、基材層51b、53b上に設けられた印刷層51a、53aと、を備えた形態にすることができる。この形態によれば、印刷層51a、53aに形成された凹凸形状の違い等によって、外形形状の差(外形差)を形成して異なる触感を実現することができる。更に補足すると、この印刷層51a、53aは、基材層51b、53bに直接印刷された形態のみならず、所望の印刷を施されたフィルムを基材層51b、53bに貼ることで形成された形態であってもよい。
例えば、インクの塗布によって印刷層51a、53aを形成する場合、このインクを塗布する方法(塗工方式)は、例えば、特許第4482803号に記載の方法を使用することができる。また、インクの塗布方法としては、印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター及びコンマコーター、コンマリバースコーター、マイクログラビアコーター等の塗工方式を使用することができる。また、触感を調整するための塗工方式(印刷層を形成する方法)として、特開2015−180711号公報に記載の方法を使用することができる。
また、基材層の表面にコーティング処理を施すことで触感の調整を行うこともできる。このコーティング法として、例えば、ロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、バーコート法、ディップコート法、流延成膜法、グラビアコート法等の方法等を用いることができる。これらの方法で、基材32上にインクを塗布し、このインクを乾燥または硬化させることで所望の触感に調整することもできる。
また、印刷層を設けることなく、例えば、基材層上に接着剤を塗布して接着層を形成し、接着層上に、粒体物が塗布され、粒体物の塗布によって所望の触感に調整された複数層の触感サンプル5Bにすることも可能である。粒体物としては、微細粉末も含まれ、無機フィラー、無機ビーズ、ポリマーフィラー、ポリマービーズ等を使用することができる。
また、凹凸模様を付与した化粧シートを基材層に添付する形成方法(特開2002−144485参照)などを利用し、微細な凹凸を有する化粧シートや触感が調製されたフィルムを基材層に貼り合わせることによって触感を調製された触感サンプル5Bにすることもできる。
次に、図5を参照し、他の実施形態に係る触感見本2Bについて説明する。本実施形態に係る触感見本2Bは、スライド式(スライド交換式)の触感見本2Bである。この触感見本2Bは、触感サンプル5Cと、触感サンプル5Cを保持する保持部4Bと、を備えている。触感サンプル5Cは、複数の独立した単体ユニット54、55、56の積層体である。複数の単体ユニット54,55,56のうち、少なくとも一つは樹脂部を有する。
触感サンプル5Cを保持する保持部4Bは、触感サンプル5Cの外周Eの全周ではなく、一部分に沿って配置されている。例えば、保持部4Bは、平面視(図5(a)図参照)で屈曲した逆U字状に配置されており、保持部4Bが配置されていない領域は、複数の独立した単体ユニット54,55,56が出し入れされる挿入口43になっている。
複数の単体ユニット54,55,56は、保持部4Bに対して出し入れ自在であるため、単体ユニット54,55,56の組み合わせパターンを変更させることで、触感サンプル5Cとしての2次元的、更に3次元的な観点での触感を変更できる。この組み合わせパターンの変更とは、複数の単体ユニット54,55,56の積層順序を入れ替える場合や、複数の単体ユニット54,55,56の一部または全部を他の別の単体ユニットに交換する場合を広く含む。単体ユニット54,55,56の組み合わせパターンを変更させることで、触感の異なる触感サンプル5Aへの切り替えが容易となり、触感の適切、且つ柔軟な評価が可能になる。
触感サンプル5Cについて更に詳しく説明する。触感サンプル5Cは、例えば、紙製、金属製等の非樹脂製の単体ユニット55と、非樹脂製の単体ユニット55を挟むように積層された樹脂製の単体ユニット54、56とを備えている。非樹脂製の単体ユニット55は透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。樹脂製の単体ユニット54,56と、非樹脂製の単体ユニット55とを保持部4B内に挿入することで、保持部4Bによって形状安定的に保持された触感確認部6が形成されている。単体ユニット54側の表面54aと、単体ユニット56側の表面56aとがそれぞれ触感確認部6の開放された両面に相当する。更に補足すると、非樹脂製の単体ユニット55が透けて見えた場合の視認性の評価という観点で有効であるため、単体ユニット54及び単体ユニット56は透明あるいは半透明であると望ましい。
更に、単体ユニット54、55、56について補足すると、単体ユニット54、55、56は、上記の実施形態に係る触感サンプル5Aまたは変形形態に係る触感サンプル5Bにおいて説明した構造に対応した形態にすることができる。例えば、単体ユニット54、55、56は、単一層のみから形成されていても、複数層から形成されていても良もよい。更に、単体ユニット54、55、56は、いずれか一つが樹脂部を有していれば良い。更に、単体ユニット54、55、56が複数層から形成されている場合、複数層のうちの一層が樹脂層であってもよく、一層の一部分が樹脂部であってもよい。
また、単体ユニット54、55、56の材料や面積サイズ、触感の調整方法等は、上記の実施形態に係る触感サンプル5Aまたは変形形態に係る触感サンプル5Bにおいて説明した内容と共通するため、詳細な説明は省略する。
更に、触感サンプル5Cでは、複数の単体ユニット54、55、56全体の厚みtが50μm以上で、且つ2cm以下であってもよい。50μm以上であれば、評価者が触感サンプル5Cの両面に形成された触感確認部6の同一性や違いなどを感覚的に評価し易くなる。また、2cm以下の厚みtであれば、評価者が摘まむなどして触感を評価し易くなる。なお、各単体ユニット54、55、56は独立して扱われるため、各単体ユニット54、55、56自体の形状安定性や扱い易さ等を考慮すると、単体ユニット54、55、56それぞれの厚みを50μm以上で、且つ2cm以下にすることもできる。また、上記の触感見本システム1において、上記の実施形態に係る触感見本2Aに代えて、この他の実施形態に係る触感見本2Bにすることもできる。
次に、図6を参照し、スペーサー11、12を備えた触感見本システム1について説明する。この触感見本システム1は、上述同様に、一又は複数の触感見本2Aと、複数の触感見本2Aを重ねて収容できる容器3を備えている。触感見本2Aは、上述の触感見本2B、2Cに置き換えることも可能である。以下、触感見本2Aを備えた態様を代表して説明する。
触感見本2Aは、触感サンプル5Aを保持する保持部4Aを備えており、保持部4Aによって覆われていない触感確認部6は、保持部4Aよりも凹んだ状態になっている。従って、触感見本2Aを容器3の底面3aに設置すると、底面3aと触感確認部6との間に隙間が生じる。第1のスペーサー11は、この隙間を埋めるための部材であり、この隙間に対応した形状、及び寸法を備えている。また、複数の触感見本2Aを積層した場合には、上下で重なる触感見本2Aの触感確認部6同士の間に隙間が生じる。第2のスペーサー12は、この隙間を埋めるための部材であり、この隙間に対応した形状、及び寸法を備えている。
触感サンプル5Aの材料によっては、隙間を空けた状態で長期間、触感見本2Aを積層すると、経年変化を起こし、触感確認部6の形状が変わってしまう可能性もある。そこで、上記スペーサー11、12を設置することで、触感確認部6の形状変化を防止することができる。なお、上記は、容器3内に収めた場合を前提に説明したが、例えば机置き等した場合であっても、上記スペーサー11、12を設置することにより、触感確認部6の形状変化を防止することができる。
次に、本実施形態に係る触感見本システム1を用いて触感を確認する触感評価方法について説明する。評価者(ヒト)は、複数の触感見本2A、2Bの中から、製品等を想定した対象物に準ずる一又は複数の触感見本2A、2Bを選択する。次に、評価者は、選択した触感見本2A、2Bの触感サンプル5A、5B、5Cの両面に形成された触感確認部6を複数の指で摘まんだり、両方の掌で挟むように接触したりする。更に、評価者は、触感確認部6をさすったり、圧縮したりして2次元的な観点、及び3次元的な観点で触感を評価する。この触感の評価は、例えば、評価者が対象物に対して相性の良い触感の傾向を特定する場合等を広く含む。より、具体的には、評価者は、触感見本2A、2Bの触感について、指や肌で触れて確認し、対象物等との相性なども踏まえて、硬さ、柔らかさ、心地よさ等を総合的に判断し、触感見本2A、2Bの触感を評価することができる。
ここで「対象物」とは、製品等を想定したサンプルや模型を広く含み、完成形としての製品の形状等をそのまま模した形状であっても、その形状の一部分であっても良い。また、「製品等」とは、売買の対象となる商品等に限定されず、社内でのみ使用される有体物や開発段階での試作品なども広く含む。
次に、上記の実施形態に係る触感見本システム1及び触感見本2A、2Bの作用、効果について説明する。触感見本2A、2Bの触感サンプル5A、5B、5Cは、保持部4A、4Bにより形状安定的に保持された触感確認部6を有する。その結果、評価者は、安定した状態での触感確認部6に触れて触感を評価することができる。更に、触感確認部6は両面6a、54a、56aが開放されているので、触感確認部6を片面から、つまり2次元的な観点からだけではなく、両面6a、54a、56aから、つまり3次元的な観点から触感を評価できる。
また、上記の実施形態や変形形態に係る触感見本2Aによれば、単一層からなる触感サンプル5Aの触感を3次元的な観点で評価することもでき、複数層からなる触感サンプル5Aの触感を3次元的な観点で評価することもできる。
また、上記の他の実施形態に係る触感見本2Bは、複数の単体ユニット54、55、56の積層体によって形成された触感サンプル5Cを備えており、複数の単体ユニット54、55、56は、それぞれ独立している。その結果、上記の他の実施形態に係る触感見本2Bによれば、複数の単体ユニット54、55、56の組み合わせのパターンを変えながら、触感サンプル5Cの触感を3次元的な観点で評価できる。
また、触感サンプル5A、5B、5Cの厚みtは、50μm以上で、且つ2cm以下であってもよい。50μm以上であれば、評価者が触感確認部6の開放された両面6a、54a、56aの触感等の同一性や違いなどを感覚的に評価し易くなる。また、2cm以下の厚みtであれば、評価者が摘まむなどして触感を評価し易くなる。
また、保持部4A、4Bは、触感サンプル5A、5B、5Cの外周Eの少なくとも半分以上に沿って配置されている。従って、触感サンプル5Aの少なくとも一部に、触感確認部6を確実に形成し易くなる。特に、上記の実施形態や変形形態に係る保持部4Aは、触感サンプル5Aの外周Eの全周に沿って配置されているので、全周を保持部4Aで囲まれた触感確認部6を形成できる。
また、上記の触感見本2A、2Bを一または複数備えた、触感見本システム1によれば、触感サンプル5A、5B,5Cに設けられた触感確認部6を両面6a、54a、56aから、つまり3次元的な観点で触感を評価できる。
以上、本発明について、実施形態や変形形態等を参照しつつ説明したが、本発明は、これらのみに限定して解釈されず、本発明の構成に概念的に含まれる様々な形態に変更可能である。また、上記の実施形態や変形形態、更に他の実施形態にて説明した具体的な構造や要素、更に条件等を適宜に組み合わせて適用することも可能である。