JP2020097359A - シートベルト装置 - Google Patents

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Yu Agemura
悠 揚村
智哉 西多
Tomoya Nishita
智哉 西多
岩崎 明
Akira Iwasaki
明 岩崎
祐輔 加納
Yusuke Kano
祐輔 加納
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Abstract

【課題】確実性と安全性を損なわずに最適なシートベルト制御を選択して実施することができるシートベルト装置を提供する。【解決手段】シートベルト装置は、乗員を車両のシートに拘束するウェビングと、ウェビングを巻き取ると共に引き出し可能に回転するスプールと、車両の衝突時にスプールの回転を阻止してウェビングの引き出しを禁止する回転阻止機構と、スプールの回転が阻止された状態で、制限値以上の引出荷重が作用した場合に、スプールの回転を許容する荷重制限機構と、スプールを回転させるトルクを付与するモータと、乗員に関する複数の乗員情報を各々取得するセンサ部30と、センサ部30が取得した複数の乗員情報に基づいて、スプール51に付与するモータ61のトルクと回転方向を決定し、当該決定に従って衝突時にモータ61を制御して、スプールに付与するトルクを調整するシートベルト制御装置20とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両に装備されるシートベルト装置に関する。
自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、車両の衝突時をはじめとして、車体に大きな加速度(減速度)が加わるようなときに、シートベルトで乗員を拘束することにより、乗員のシートからの飛び出しを阻止し、乗員を保護する。乗員の拘束には、シートベルトの引き出しをロックするELR(Emergency Locking Retractor)機構や、ELR機構作動状態において、シートベルトを引き出す引出荷重(シートベルトから乗員へ作用する衝撃荷重)が所定値以上にならないように、シートベルトの引き出しを行って、引出荷重を制限するフォースリミッター機構が用いられている。
上記フォースリミッター機構には、ELR機構作動下のシートベルトの引き出しに応じて、シートベルトリトラクタ内のトーションバーをねじり変形させることで、引出荷重を制限するものが一般的に採用されている。
また、より多様なエネルギー吸収特性を実現するために、トーションバーを用いたフォースリミッター機構に加えて、種々の機構を用いて、引出荷重の上限値をある一定のベルト引出量の間だけ増加させて可変としたものが提案されている(特許文献1、2)。
また、シートベルト装置の巻取り機構にモータを追加することで、シートベルトの弛みを除去したり、着脱時の補助としたり、車両に衝突の危険があると判断されたときの危険報知や乗員の姿勢最適化に用いるものがあるが、ある種のモータつきシートベルトでは、衝突時にモータを作動させることで、引出荷重の上限値を増加させて可変としたものが提案されている(特許文献3、4)。
ところで、車両の衝突条件を考えた場合、最適な引出荷重の上限値は、乗員の体格等によって異なる。そのため、例えば、特許文献2、4では、乗員の体格等に応じて、引出荷重の上限値を可変としている。
特開2002−53007号公報 特開2008−114659号公報 特開2011−93431号公報 特開2009−262811号公報
上述した従来技術には、以下のような課題がある。
(1)単一の検出装置では、乗員情報の判定が適切に行なわれない可能性がある。例えば、乗員情報として、乗員の重量を判定するのに、シート内蔵の重量検知装置のみを用いると、人と荷物が区別できない。
(2)単一の乗員情報の判定では、適切なシートベルト制御が行われない可能性がある。例えば、乗員の重量が同じでも、着座位置の違いによっては最適なシートベルト制御が異なる場合がある。
(3)乗員重量、着座位置等の複数の乗員情報の判定を並列で行うと、判定結果の組み合わせが膨大となり制御が複雑になる。また、判定不可能な項目が出現した場合に、意図通りでないシートベルト制御を決定してしまう可能性がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、確実性と安全性を損なわずに最適なシートベルト制御を選択して実施することができるシートベルト装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係るシートベルト装置は、
乗員を車両のシートに拘束するウェビングと、
前記ウェビングを巻き取ると共に引き出し可能に回転するスプールと、
前記車両の衝突時に前記スプールの回転を阻止して前記ウェビングの引き出しを禁止する回転阻止機構と、
前記スプールの回転が阻止された状態で、前記スプールに前記ウェビングの引き出し方向へ制限値以上の引出荷重が作用した場合に、前記スプールの回転を許容する荷重制限機構と、
前記スプールに対して前記ウェビングの巻き取り方向又は引き出し方向に回転させるトルクを付与するモータと、
前記乗員に関する複数の乗員情報を各々取得する複数の情報取得手段と、
複数の前記情報取得手段が取得した複数の前記乗員情報に基づいて、前記スプールに付与する前記モータのトルクと回転方向を決定し、当該決定に従って前記衝突時に前記モータを制御して、前記スプールに付与する前記トルクを調整する制御手段と、を有する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係るシートベルト装置は、
上記第1の発明に記載のシートベルト装置において、
前記制御手段は、複数の前記情報取得手段により取得した複数の前記乗員情報に基づいて、前記モータのトルクの大きさ、トルクが作用するタイミング及び継続時間を決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係るシートベルト装置は、
上記第1又は第2の発明に記載のシートベルト装置において、
前記乗員情報の使用可否を判定する判定手段を有し、
前記制御手段は、前記判定手段により使用可と判定された前記乗員情報に基づいて、前記モータの制御を決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係るシートベルト装置は、
上記第3の発明に記載のシートベルト装置において、
複数の前記乗員情報には各々優先順が割り付けられており、
前記制御手段は、上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用可と判定されたときに、下位の前記優先順を有する前記乗員情報も用いて、前記モータの制御を決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係るシートベルト装置は、
上記第4の発明に記載のシートベルト装置において、
前記制御手段は、最上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用不可と判定されたとき、前記モータのトルクを無負荷とする
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係るシートベルト装置は、
上記第4の発明に記載のシートベルト装置において、
前記制御手段は、上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用不可と判定されたとき、上位の前記優先順を有する前記乗員情報に基づいて決定される前記モータの制御を安全側の制御の範囲に限定し、前記安全側の制御の範囲の中から、下位の前記優先順を有する前記乗員情報を用いて、前記モータの制御を決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明に係るシートベルト装置は、
上記第1から第6の発明のいずれか1つに記載のシートベルト装置において、
前記制御手段は、前記モータにより前記スプールに対して前記ウェビングの巻き取り方向に回転させるトルクを付与することで、前記引出荷重の上限値を前記制限値よりも増加させ、前記モータにより前記スプールに対して前記ウェビングの引き出し方向に回転させるトルクを付与することで、前記引出荷重の上限値を前記制限値よりも減少させ、前記モータのトルクを無負荷とすることで、前記引出荷重の上限値を前記制限値とする
ことを特徴とする。
本発明によれば、複数の乗員情報に基づいて、スプールに付与するモータのトルクと回転方向を決定し、当該決定に従って衝突時にモータを制御して、引出荷重の上限値の増減を制御するので、確実性と安全性を損なわずに最適なシートベルト制御を選択して実施することができる。
本発明に係るシートベルト装置を有する車両を示す概略図である。 本発明に係るシートベルト装置におけるシートベルト制御装置とセンサ部を説明する概略図である。 本発明に係るシートベルト装置本体を示す概略図である。 図3に示したシートベルト装置本体のA−A線矢視図である。 従来のシートベルト装置と本発明に係るシートベルト装置の作動領域と機能を説明する図である。 従来のモータつきシートベルトにおける荷重特性を説明するグラフである。 従来の可変フォースリミッターシートベルトにおける荷重特性を説明するグラフである。 本発明に係るシートベルト装置における荷重特性を説明するグラフである。 本発明に係るシートベルト装置の制御パターンを説明する図である。 本発明に係るシートベルト装置の更なる制御パターンを説明する図である。
以下、本発明に係るシートベルト装置の実施の形態について、図1〜図10を参照して説明を行う。
[実施例1]
図1に示すように、本実施例のシートベルト装置は、自動車等の車両10に装備され、乗員11のシート(図示省略)からの飛び出しをシートベルト装置本体40のウェビング41で阻止して、乗員11を保護する安全装置である。
シートベルト装置本体40は、後述の図3及び図4に示すように、モータ61を備えており、このモータ61の動作を含めて、シートベルト制御装置20(制御手段)により制御されている。このシートベルト制御装置20には、乗員情報センサ、車両情報センサ、衝突予測センサ等を有するセンサ部30が接続されている。シートベルト制御装置20は、これらのセンサからの情報に基づいて、後述するモータ61の回転方向(正回転、逆回転)、付与するトルクの大きさ、作用するタイミング、継続時間を決定し、この決定に従って衝突時にモータ61を制御しており、これにより、後述する引出荷重の上限値の増減を制御し、最適なフォースリミッターの作動荷重を制御して、シートベルト装置本体40の制御を行っている。
本実施例における制御(制御パターン)については後述するが、シートベルト制御装置20は、適切な制御パターンの選択のために、図2に示すように、乗員重量判定部21、乗員着座位置判定部22、その他乗員情報判定部23、車両情報判定部24、シートベルト制御決定部25を有している。乗員重量判定部21、乗員着座位置判定部22、その他乗員情報判定部23及び車両情報判定部24が、後述する判定を行う判定手段となる。
また、センサ部30は、図2に示すように、乗員情報センサとして、シート内蔵重量検出装置31、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33、シート位置検出装置34、車室内映像装置35、乗員年齢入力装置36、その他乗員情報入力装置37を有している。また、センサ部30は、車両情報センサとして、相対速度検出装置38を有している。なお、後述する制御パターンの選択に関して、衝突予測センサは直接的な関与が無いため、図2での図示を省略しているが、衝突予測センサとしては、例えば、衝突対象物を検知するレーダ、ソナー、カメラ等を有している。シート内蔵重量検出装置31、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33、シート位置検出装置34、車室内映像装置35、乗員年齢入力装置36、その他乗員情報入力装置37及び相対速度検出装置38が、後述する情報を検出し取得する検出手段(情報取得手段)となる。
センサ部30において、シート内蔵重量検出装置31は、シート上の重量を検出する装置であり、シート内蔵人体検出装置32は、シート上の人体を検出する装置であり、車室内映像装置33は、車室内の映像から人体を検出する装置である。シート内蔵人体検出装置32及び車室内映像装置33は、シート内蔵重量検出装置31からの情報(乗員情報)の使用可否を判定する情報(判定情報)を取得している。そして、シートベルト制御装置20において、乗員重量判定部21は、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33からの情報に基づいて、シートに乗員11が座っているかどうかを確認して、シート内蔵重量検出装置31からの情報、つまり、重量の使用可否を判定している。
例えば、シート上に荷物等が置かれていれば、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33からの情報により、人体ではないと判定して、シート内蔵重量検出装置31からの情報が使用不可であると判定でき、シート上に乗員11が座っていれば、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33からの情報により、人体であると判定して、シート内蔵重量検出装置31からの情報が使用可であると判定できる。
また、センサ部30において、シート位置検出装置34は、着座位置を検出する装置であり、車室内映像装置35は、車室内の映像から人体を検出する装置である。車室内映像装置35は、シート位置検出装置34からの情報(乗員情報)の使用可否を判定する情報(判定情報)を取得している。そして、シートベルト制御装置20において、乗員着座位置判定部22は、車室内映像装置35からの情報に基づいて、シートに乗員11が座っているかどうかを確認して、シート位置検出装置34からの情報、つまり、着座位置の使用可否を判定している。
このように、乗員重量判定部21は、1つの乗員情報である重量の判定を、複数の検出手段となるシート内蔵重量検出装置31、シート内蔵人体検出装置32、車室内映像装置33を用いて行っている。また、乗員着座位置判定部22は、1つの乗員情報である着座位置の判定を、複数の検出手段となるシート位置検出装置34、車室内映像装置35を用いて行っている。つまり、シートベルト制御装置20は、1つの乗員情報の判定に複数の検出手段を用いており、そのため、判定の信頼性を向上させることができる。
また、センサ部30において、乗員年齢入力装置36は、乗員11の年齢を入力する装置であり、その他乗員情報入力装置37は、乗員11のその他の情報、例えば、性別等を入力する装置である。シートベルト制御装置20において、その他乗員情報判定部23は、乗員年齢入力装置36、その他乗員情報入力装置37からの情報に基づいて、後述する制御パターンの選択に必要な乗員11の情報の使用可否を判定している。ここでは、少なくとも乗員年齢入力装置36から入力された情報があれば、この情報を使用可と判定すれば良い。
また、センサ部30において、相対速度検出装置38は、衝突対象物に対する衝突相対速度を検出する装置である。シートベルト制御装置20において、車両情報判定部24は、相対速度検出装置38からの情報に基づいて、後述する制御パターンの選択に必要な衝突相対速度の使用可否を判定している。ここでは、相対速度検出装置38で衝突相対速度を検出できれば、この衝突相対速度を使用可と判定すれば良い。
そして、シートベルト制御装置20において、シートベルト制御決定部25は、乗員重量判定部21、乗員着座位置判定部22、その他乗員情報判定部23による複数の乗員情報の判定結果を用いると共に、複数の乗員情報の判定結果のそれぞれに割り付けられた優先順を用いて、後述する制御パターンの選択をしている。この選択については、後述の図9及び図10を参照して説明を行う。
なお、ここでは、車室内映像装置33と車室内映像装置35を別の装置としているが、これらを1つの車室内映像装置とし、この1つの車室内映像装置からの情報を乗員重量判定部21と乗員着座位置判定部22の両方に入力するようにしても良い。また、乗員年齢入力装置36とその他乗員情報入力装置37も別の装置としているが、これらも1つの入力装置とし、この1つの入力装置から入力された乗員11の情報をその他乗員情報判定部23に入力するようにしても良い。
次に、図1と共に図3及び図4も参照して、シートベルト装置本体40の構成を説明する。シートベルト装置本体40は、乗員11を車両10のシートに拘束するウェビング41と、ウェビング41を巻き取ると共に引き出し可能に回転して、ウェビング41の長さ(ベルト引出量)を調整するスプール51を備える巻き取り装置であるリトラクタ50を有している。
リトラクタ50は、スプール51と共に、ロックホイール52、ELRホイール53、トーションバー54を有している。
スプール51は、概ね円筒状に形成されて、リトラクタ50の筐体50aに回転可能に支持されている。ウェビング41の一端がスプール51に固定されており、バネ(図示省略)の付勢力によりスプール51が回転することにより、ウェビング41を巻き取ることになる。スプール51の両方の端部51a、51bは、ウェビング41を巻き取る部分と比較して、大径に形成されており、ウェビング41を巻き取る際のガイドとなっている。なお、以降においては、スプール51がウェビング41を巻き取る方向(ウェビング41の巻き取り方向)を引き込み方向と呼び、スプール51からウェビング41を引き出す方向を引き出し方向と呼ぶ。
ロックホイール52は、概ね円盤状に形成されて、筐体50aに回転可能に支持されている。ロックホイール52は、引出加速度検知部55によりウェビング41の引出加速度が所定値を超えたと検知されたとき、及び、ロックホイール52にELRホイール53に対する引き出し方向の相対的な回転力が生じたときに、ロックホイールロック部材56により回転を阻止されるように構成されている。
ELRホイール53は、概ね円盤状に形成されて、ロックホイール52の軸方向外側に配設され、筐体50aにロックホイール52と共に回転可能に支持されている。ELRホイール53は、車体加速度検知部57により車体の車体加速度が所定値を超えたと検知されたときに、ELRホイールロック部材58により回転を阻止されるように構成されている。
トーションバー54は、スプール51に挿通され、一端がロックホイール52に支持されると共に、他端が端部51aに支持されている。つまり、リトラクタ50において、スプール51とロックホイール52との間で、トーションバー54を介した回転運動(回転力)が伝達されるようになっている。このトーションバー54によりウェビング41を引き出す際の引出荷重の制限値が規定されている。ここで、引出荷重の制限値とは、トーションバー54の剛性で決まる固定値である。一方、後述する引出荷重の上限値とは、上記の制限値に対して増減可能な可変値である。
本実施例においては、ロックホイール52、ELRホイール53、引出加速度検知部55、ロックホイールロック部材56、車体加速度検知部57、ELRホイールロック部材58等により、衝突時にスプール51の回転を阻止してウェビング41の引き出しを禁止するELR機構(回転阻止機構)が構成される。
上記のELR機構は、車両10の車体に大きな加速度又は減速度が加わったときに(例えば、衝突時に)、ロックホイールロック部材56、ELRホイールロック部材58を用いて、ロックホイール52、ELRホイール53の回転を阻止し、スプール51の回転を阻止して、ウェビング41の引き出しをロックすることにより、乗員11のシートからの飛び出しを阻止して、乗員11を保護している。
上記のトーションバー54は、ELR機構作動時、つまり、スプール51の回転が阻止された状態で、ウェビング41の引き出し方向へ上記の制限値以上の引出荷重がスプール51に作用した場合に、スプール51の回転を許容して、ウェビング41の引き出しを許容しており、ウェビング41が引き出されることにより、その間の運動エネルギーを吸収して、ウェビング41から乗員11へ作用する衝撃荷重を軽減している。つまり、トーションバー54は、ウェビング41の引出荷重を制限する荷重制限機構としての機能を果たしている。これに加えて、本実施例では、引出荷重の上限値を最適に設定すべく、引出荷重の上限値の設定を上記の制限値に対して増減可能とするために、以下の構成を有している。
具体的には、本実施例においては、ドライブギヤ62、カウンタギヤ63及びドリブンギヤ64を介して、モータ61がスプール51に接続されており、モータ61がスプール51に対してウェビング41の引き込み方向又は引き出し方向に回転させるトルクを付与するように構成されている。なお、以降では、引き込み方向となるモータ61の回転を正回転とし、引き出し方向となるモータ61の回転を逆回転とする。
更に具体的には、モータ61は、筐体50aに取り付けられており、モータ61の出力軸にドライブギヤ62が取り付けられている。カウンタギヤ63は、筐体50aに回転可能に支持されて、ドライブギヤ62とドリブンギヤ64の間に配置されると共に、ドライブギヤ62とドリブンギヤ64に噛み合うように配置されている。ドリブンギヤ64は、スプール51と同軸にスプール51に取り付けられている。つまり、ドライブギヤ62、カウンタギヤ63及びドリブンギヤ64は、モータ61の動力伝達機構となっている。
シートベルト制御装置20は、モータ駆動制御装置(図示省略)を有しており、モータ61は、モータ駆動制御装置を介して、シートベルト制御装置20に制御されている。このモータ駆動制御装置は、モータ61の正回転、逆回転、トルク調整(定電流回路の電流調整)又は無負荷(回路遮断)を制御可能なものである。例えば、PWM制御回路、Hブリッジ回路、コンパレータ(オペアンプ)定電流回路等が使用可能である。このようなモータ駆動制御装置を用いることにより、ウェビング41の引出量や引出速度によらず、一定のトルクを作用させることができる。
また、ドリブンギヤ64の軸方向外側には、リングギヤ71、ケース72、ボール73、ガスジェネレータ(図示省略)等を有するプリテンショナ機構70が配設されている。具体的には、リングギヤ71は、スプール51と同軸にドリブンギヤ64に取り付けられ、ケース72内には、複数のボール73が環状に配置されている。そして、プリテンショナ機構70は、車両10の衝突時にガスジェネレータを爆発駆動することで、複数のボール73を押し出し、押し出された複数のボール73の押圧力により、リングギヤ71を回転させており、これにより、瞬時にスプール51を引き込み方向に回転させて、ウェビング41を巻き取り、ウェビング41の弛みを除去している。
なお、ここでは、上述した構成の動力伝達機構を例示したが、動力伝達機構としては、他の公知の構成を利用してもよい。また、ここでは、上述した構成のプリテンショナ機構70を例示したが、プリテンショナ機構70としても、他の公知の構成を利用してよい。
次に、本実施例のシートベルト装置の動作について、通常時及び衝突前と衝突時及び衝突後に分けて説明を行う。
(通常時及び衝突前)
乗員11が車両10に乗り込んで、シートベルト着用のために、ウェビング41を初期位置から引き出すとき、シートベルト制御装置20は、モータ61を停止状態(無負荷状態)としている。そのため、乗員11は、容易にウェビング41を引き出すことができる。
そして、ウェビング41のタングをバックル(共に図示省略)に取り付けると、シートベルト制御装置20は、バックルに設けたスイッチのオン状態を検知し、モータ61を正回転方向に駆動して、ウェビング41を所定量巻き戻している。これにより、シートベルトの弛みを除去することができる。
また、ウェビング41のタングをバックルから取り外すと、シートベルト制御装置20は、バックルに設けたスイッチのオフ状態を検知し、モータ61を正回転方向に駆動して、ウェビング41を初期位置まで巻き戻している。これにより、ウェビング41を迅速且つ確実に巻き戻すことになり、シートベルト着脱時の補助を行うことができる。
また、シートベルト着用時において、センサ部30の車両情報センサにより、急制動や急旋回等の緊急動作が発生したと検知した場合、そして、センサ部30の衝突予測センサにより、衝突対象物を検知して、衝突を予測した場合には、シートベルト制御装置20は、モータ61を正回転方向に駆動して、ウェビング41を所定量巻き戻している。これにより、乗員11への危険報知を行うと共に、シートベルト着用時の乗員11の姿勢の適正化を図ることができる。そして、その後、衝突が発生した場合には、乗員11を適正に拘束しているので、乗員11を確実に保護することができる。
(衝突時及び衝突後)
衝突時に車両10に大きな減速度が加わった場合には、車体加速度検知部57により車両10の急減速が検知され、ELRホイールロック部材58によりELRホイール53の回転が阻止される。このとき、乗員11は慣性により車体に対して相対的に移動しようとし、その運動エネルギーが乗員11を拘束しているウェビング41に作用して、ウェビング41に引出荷重がかかる。
ELRホイール53の回転が阻止された状態で、ウェビング41に引出荷重がかかると、この荷重がスプール51及びトーションバー54を介して、ロックホイール52に伝達され、ロックホイール52にELRホイールに対する引き出し方向の相対的な回転力が生じて、ロックホイールロック部材56によりロックホイール52の回転が阻止される。
このように、ロックホイール52の引き出し方向の回転が阻止されると、トーションバー54は、ロックホイール52に支持された一端側が回転を阻止された状態となる一方、スプール51の端部51a側に支持された他端側が回転可能な状態を維持することとなる。そのため、ELRホイール53及びロックホイール52の回転が阻止された状態で、ウェビング41に更に大きな引出荷重がかかると、この荷重がスプール51を介してトルクとなり、トーションバー54に伝達され、トーションバー54が捩れ始める。
トーションバー54が捩れ始めると、スプール51が引き出し方向へ回転すると同時に、スプール51の引き出し方向の回転に対して、トーションバー54の捩り変形による力が作用することになり、この力がウェビング41を引き出すために必要な引出荷重の制限値となる。
衝突時においては、フォースリミッターの作動荷重となる引出荷重の上限値を適切に設定することが必要である。ウェビング41を引き出すのに必要な力をベルト荷重として、図4を参照して説明すると、ベルト荷重Fbとしては、通常、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftが用いられるが、この荷重Ftは一定の力であり、柔軟な設定はできない。そこで、本実施例では、荷重Ftに加えて、モータ61のトルクによる荷重Fmを用いることで、ベルト荷重Fb(=荷重Ft±荷重Fm)を柔軟に設定して、最適なベルト荷重Fbになるようにしている。言い換えると、衝突時における引出荷重の上限値(ベルト荷重Fb)の設定を、引出荷重の制限値(荷重Ft)に対して増減可能としている。
具体的には、衝突時にシートベルト制御装置20がモータ61を制御し、モータ61を正回転方向又は逆回転方向に駆動すると共に、スプール51に付与するトルクを調整することにより、引き込み方向又は引き出し方向の荷重Fmを作用させるように制御している。例えば、図4では、シートベルト制御装置20がモータ61を正回転方向に駆動することにより、引き込み方向の荷重Fmを作用させるように制御している。これにより、ベルト荷重Fb=荷重Ft+荷重Fmを設定して、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftよりも大きなベルト荷重Fbを作用させることができる。言い換えると、モータ61がスプール51に対してウェビング41の引き込み方向に回転させるトルクを付与することになり、これにより、ベルト荷重Fbを荷重Ftよりも増加させている。
一方、シートベルト制御装置20がモータ61を逆回転方向に駆動する場合には、これにより、引き出し方向の荷重Fmを作用させるように制御することになる。これにより、ベルト荷重Fb=荷重Ft−荷重Fmを設定して、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftよりも小さな荷重Fbを作用させることができる。言い換えると、モータ61がスプール51に対してウェビング41の引き出し方向に回転させるトルクを付与することになり、これにより、ベルト荷重Fbを荷重Ftよりも減少させている。
なお、シートベルト制御装置20がモータ61を無負荷状態とする場合には、つまり、モータ61からスプール51に付与されるトルクが無負荷の場合には、ベルト荷重Fb=荷重Ftを設定することになり、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftを作用させることになる。
モータ61による荷重Fmの制御は、上述したセンサ部30で取得した情報に基づいて行っている。例えば、乗員情報センサとして、シート内蔵重量検出装置31を有する場合には、取得した乗員11の重量の情報に基づいて、荷重Fmの大小及び正負を設定する。同様に、乗員情報センサとして、シート位置検出装置34を有する場合には、取得した乗員11の着座位置の情報に基づいて、荷重Fmの大小及び正負を設定する。同様に、車両情報センサとして、相対速度検出装置38を有する場合には、取得した衝突相対速度の情報に基づいて、荷重Fmの大小及び正負を設定する。荷重Fmの正負は、上述したように、モータ61の回転方向で制御でき、正回転方向の場合に荷重Fmは正、逆回転方向の場合に荷重Fmは負となる。
このようにして、乗員や車両の状況に応じて、ベルト荷重Fbを変更することにより、最適なフォースリミッターの作動荷重を制御することができる。
更には、上述したセンサ部30で取得した情報に基づいて、モータ61による荷重Fmの大小や正負を設定するだけでなく、荷重Fmを作用させるタイミングや継続時間を変更するようにしてもよい。例えば、荷重Fmの大小、正負、作用のタイミング及び継続時間を考慮したベルト荷重Fbについて、センサ部30で取得した情報に対応する複数の制御パターンを予め設定しておき、センサ部30で取得した情報に基づいて、複数の制御パターンの中から最適な制御パターンを選択して設定すればよい。このような制御パターンの選択については、後述の図9及び図10を参照して説明する。
次に、従来のシートベルト装置と本実施例のシートベルト装置の比較を、図5〜図8を参照して行う。
従来のモータつきシートベルトは、図5に示すように、通常時及び衝突前における、シートベルト弛み除去、シートベルト着脱時の補助、乗員への危険報知、乗員姿勢の適正化が主な機能であり、衝突時及び衝突が始まった後はモータを作動せず、フォースリミッターの作動荷重の変更は行っていなかった。
但し、特許文献3、4に示されたモータつきシートベルトは、衝突時及び衝突が始まった後にフォースリミッターの作動荷重の変更を行うものであるが、トーションバーのねじり変形による荷重にモータのトルクによる荷重を上乗せするのみであった。これを、図6を参照して説明すると、ベルト引出量に対するベルト荷重Fbは、ベルト引出量が増えると、ベルト荷重Fbも増えるが、あるベルト引出量以降は、トーションバーのねじり変形による荷重Ftとするか、又は、当該荷重Ftにモータのトルクによる荷重Fmを上乗せするのみであった。
また、特許文献1、2に示された可変フォースリミッターシートベルトは、図5に示すように、衝突時及び衝突が始まった後にフォースリミッターの作動荷重の変更を行うものであるが、従来のモータつきシートベルトのように、通常時及び衝突前において、シートベルト弛み除去、シートベルト着脱時の補助、乗員への危険報知、乗員姿勢の適正化を行うものではない。そして、フォースリミッターの作動荷重の変更についても、トーションバーのねじり変形による荷重に所定の機構による荷重を上乗せするのみであった。これを、図7を参照して説明すると、ベルト引出量に対するベルト荷重Fbは、ベルト引出量が増えると、ベルト荷重Fbも増えるが、あるベルト引出量以降は、トーションバーのねじり変形による荷重Ftとするか、又は、当該荷重Ftに所定の機構による荷重Feを上乗せするのみであった。
一方、本実施例のシートベルト装置は、図5に示すように、通常時及び衝突前において、シートベルト弛み除去、シートベルト着脱時の補助、乗員への危険報知、乗員姿勢の適正化を実施可能であると共に、衝突時及び衝突が始まった後にフォースリミッターの作動荷重の変更を行うこともできる。このように、従来のシートベルトと比較して、機能の幅が広がっている。
加えて、フォースリミッターの作動荷重の変更については、トーションバーのねじり変形による荷重Ftに対して、モータ61のトルクによる荷重Fmを上乗せするだけではなく、当該荷重Fmを差し引いたりすることができる。これを、図8を参照して説明すると、ベルト引出量に対するベルト荷重Fbは、ベルト引出量が増えると、ベルト荷重Fbも増えるが、あるベルト引出量以降は、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftとしたり、当該荷重Ftにモータ61のトルクによる荷重Fmを上乗せしたり、当該荷重Ftからモータ61のトルクによる荷重Fmを差し引いたりすることができる。つまり、本実施例では、モータ61を正回転させることで、荷重Ftに荷重Fmを上乗せすると共に、モータ61を逆回転させることで、荷重Ftから荷重Fmを差し引いて、ベルト荷重Fbを緩和させることができる。
更に、モータ61のトルクによる荷重Fm自体の大小及び正負が任意に変更可能であるので、ベルト引出量に応じたベルト荷重Fbも柔軟に変更することができる。例えば、図8に示すように、ベルト荷重Fbを荷重Ft+荷重Fmとした後、ベルト引出量がある大きさになると、ベルト荷重Fbを荷重Ftに戻したり、更に、ベルト荷重Fbを荷重Ft−荷重Fmまで下げたりしても良い。また、ベルト荷重Fbを荷重Ft−荷重Fmとした後、ベルト引出量がある大きさになると、ベルト荷重Fbを荷重Ftに戻したり、更に、ベルト荷重Fbを荷重Ft+荷重Fmまで上げたりしても良い。このように、ベルト荷重Fb自体の増減を任意に変更可能である。
特許文献3、4に示されたモータつきシートベルトでは、ウェビングの引出速度を検出し、引き出し方向に対する抗力のみをモータで調整して、ベルト荷重Fbを決定していた。そのため、図6に示すように、ベルト荷重Fbは、トーションバーのねじり変形による荷重Ftとするか、又は、当該荷重Ftにモータのトルクによる荷重Fmを上乗せするのみであり、当該荷重Ftより低い荷重を設定することができなかった。
また、特許文献1、2に示された可変フォースリミッターシートベルトでも、図7に示すように、ベルト荷重Fbは、トーションバーのねじり変形による荷重Ftとするか、又は、当該荷重Ftに所定の機構による荷重Feを上乗せするのみであり、当該荷重Ftより低い荷重を設定することができなかった。また、特許文献1、2に示された可変フォースリミッターシートベルトでは、ベルト荷重Fbの変更に自由度が少なく、図7に示すように、ベルト荷重Fbを荷重Ft+荷重Feの状態から荷重Ftに戻した後は、ベルト荷重Fbの変更はできなかった。
これらに対して、本実施例のシートベルト装置は、構造的には、モータつきシートベルトではあるが、乗員や車両状況等に応じて、モータ61による荷重Fmの大小や正負を設定して、ベルト荷重Fb(=荷重Ft±荷重Fm)を制御しており、特許文献1〜4に示したシートベルトとは異なり、トーションバー54のねじり変形による荷重Ftより低い荷重を設定することができる。
更に、本実施例のシートベルト装置では、乗員や車両状況等に応じて、荷重Fmを作用させるタイミングや継続時間も設定して、ベルト荷重Fbを制御している。このように、本実施例のシートベルト装置は、特許文献1〜4に示したシートベルトと比較して、乗員や車両の多様な状況に応じて、図8に示すように、ベルト荷重Fbを制御するので、乗員11から見たベルト荷重Fbの調整量の幅が大きくなると共に多様な制御を行うことができる。
ここで、上記の多様な制御について、つまり、ベルト荷重Fbの制御パターンについて、図9及び図10を参照して説明を行う。
図2で説明したように、シートベルト制御装置20において、シートベルト制御決定部25は、乗員重量判定部21、乗員着座位置判定部22、その他乗員情報判定部23による複数の乗員情報の判定結果を用いると共に、それらの判定結果に割り付けられた優先順の順位に従って、制御パターンの選択を行っている。この選択について、まず、図9を参照して説明を行う。ここでは、一例として、乗員重量判定部21による乗員情報の判定結果を優先順1(最上位の優先順)とし、乗員着座位置判定部22による乗員情報の判定結果を優先順2とし、その他乗員情報判定部23による乗員情報の判定結果を優先順3(最下位の優先順)とする。
まず、最上位の乗員重量判定部21で重量が使用可と判定された場合には、範囲R1に示す複数の制御パターン(一例として、3つの制御パターンを例示)の中から、重量に応じた制御パターンを選択する。
範囲R1は1次元的な構成となっており、範囲R1においては、図中左から右へ乗員11の重量が軽い場合から重量が重い場合の制御パターンを示している。範囲R1の制御パターンは、図中に示すように、乗員11の重量が重くなるに従って、ベルト荷重Fbを制御時間全体で高くして、乗員11を長い時間強くシートに拘束するようにしている。
従って、シートベルト制御決定部25は、乗員11の重量が重い場合には、範囲R1中の右側の制御パターンを選択し、乗員11の重量が軽い場合には、範囲R1中の左側の制御パターンを選択することになる。
一方、乗員重量判定部21で重量が使用不可と判定された場合には、後述する下位の乗員着座位置判定部22やその他乗員情報判定部23でそれらの乗員情報が使用可と判定されても、モータ61による荷重Fmの制御は行わない(無負荷状態)。この場合には、トーションバー54による荷重Ftがベルト荷重Fbとなる。
なお、乗員重量判定部21で重量が使用不可と判定された場合であっても、後述する下位の乗員着座位置判定部22でその乗員情報が使用可と判定される場合には、選択する制御パターンを範囲R1の安全側(図中の重い側)の制御パターンの範囲に限定すれば、更なる制御パターンの選択は、後述する下位の乗員着座位置判定部22による判定結果を用いて行うようにしても良い。
そして、乗員重量判定部21で重量が使用可と判定された場合であって、後述する下位の乗員着座位置判定部22でその乗員情報が使用可と判定される場合には、更なる制御パターンの選択は、後述する下位の乗員着座位置判定部22による判定結果を用いて行う。
乗員重量判定部21の次に、乗員着座位置判定部22で着座位置が使用可と判定された場合には、範囲R1の複数の制御パターンに範囲R2に示す複数の制御パターン(一例として、6つの制御パターンを例示)を追加した複数の制御パターンの中から制御パターンを選択する。つまり、範囲R1及び範囲R2に示す複数の制御パターンの中から、重量及び着座位置に応じた制御パターンを選択する。
範囲R1及び範囲R2は2次元的な構成となっており、範囲R1及び範囲R2においては、図中左から右へ乗員11の重量が軽い場合から重量が重い場合の制御パターンを示すと共に、図中上から下へ乗員11の着座位置が後ろの場合から前の場合の制御パターンを示している。範囲R2の制御パターンは、図中に示すように、制御時間前半の荷重を高くして、乗員11を強くシートに拘束し、制御時間後半の荷重を低くして、乗員11に対する拘束を弱くすると共に、着座位置が前であるほど、制御時間前半の荷重を高くしている。
従って、シートベルト制御決定部25は、範囲R1及び範囲R2の制御パターンの中から、乗員11の重量が重い場合には、範囲R1及び範囲R2の重い側の方の制御パターンを複数選択し、乗員11の重量が軽い場合には、範囲R1及び範囲R2の軽い側の方の制御パターンを複数選択する。次に、複数選択した制御パターンの中から、乗員11の着座位置が後ろの場合には、範囲R1及び範囲R2の後ろ側の方の制御パターンを選択し、乗員11の着座位置が前の場合には、範囲R1及び範囲R2の前側の方の制御パターンを選択して、最終的に1つの制御パターンを選択する。
なお、乗員着座位置判定部22で着座位置が使用不可と判定された場合であっても、後述する下位のその他乗員情報判定部23でその乗員情報が使用可と判定される場合には、選択する制御パターンを範囲R1及び範囲R2の安全側(図中の前側)の制御パターンの範囲に限定すれば、更なる制御パターンの選択は、後述する下位のその他乗員情報判定部23による判定結果を用いて行っても良い。
乗員着座位置判定部22の次に、その他乗員情報判定部23で情報(身体的情報、例えば、骨密度等;以降では、理解し易いように、骨密度とする。)が使用可と判定された場合には、範囲R1及び範囲R2の複数の制御パターンに範囲R3に示す複数の制御パターン(一例として、3つの制御パターンを例示)を追加した複数の制御パターンの中から制御パターンを選択する。つまり、範囲R1〜範囲R3に示す複数の制御パターンの中から、重量、着座位置及び骨密度に応じた制御パターンを選択する。
なお、図9においては、図が煩雑になるため、制御パターンP1に対する範囲R3の制御パターンのみを図示したが、範囲R1及び範囲R2中の他の制御パターンに対しても、範囲R3に示すような制御パターンがあり、これらも含めて範囲R3を構成している。
範囲R1〜範囲R3は3次元的な構成となっており、範囲R1及び範囲R2における制御パターンは上述した通りである。また、範囲R3においては、図中左から右へ乗員11の骨密度が密の場合から骨密度が粗の場合の制御パターンを示している。範囲R3の制御パターンは、図中に示すように、乗員11の骨密度が粗になるに従って、ベルト荷重Fbを低くして、乗員11に与える衝撃荷重が小さくなるようにしている。
従って、シートベルト制御決定部25は、更に、範囲R3の制御パターンの中から、乗員11の骨密度が密の場合には、範囲R3の密側の方の制御パターンを選択し、乗員11の骨密度が粗の場合には、範囲R3の粗側の方の制御パターンを選択して、最終的に1つの制御パターンを選択する。
以上は、複数の乗員情報の判定結果を用いて制御パターンを選択する場合であるが、更に車両情報判定部24による判定結果も加えて、制御パターンを選択するようにしても良い。つまり、その他乗員情報判定部23で骨密度が使用可と判定された場合であって、後述する下位の車両情報判定部24で衝突相対速度が使用可と判定される場合には、更なる制御パターンの選択は、後述する下位の車両情報判定部24による判定結果を用いて行っても良い。なお、その他乗員情報判定部23で骨密度が使用不可と判定された場合であっても、後述する下位の車両情報判定部24で衝突相対速度が使用可と判定される場合には、選択する制御パターンを範囲R3の安全側(図中の粗側)の制御パターンの範囲に限定すれば、更なる制御パターンの選択は、後述する下位の乗員着座位置判定部22による判定結果を用いて行っても良い。このような場合について、車両情報判定部24による判定結果を優先順4(この場合の最下位の優先順)として、図10を参照して説明する。
その他乗員情報判定部23の次に、車両情報判定部24で衝突相対速度が使用可と判定された場合には、範囲R1〜範囲R3の複数の制御パターンに範囲R4に示す複数の制御パターン(一例として、3つの制御パターンを例示)を追加した複数の制御パターンの中から制御パターンを選択する。つまり、範囲R1〜範囲R4に示す複数の制御パターンの中から、重量、着座位置、骨密度及び衝突相対速度に応じた制御パターンを選択する。
なお、図10においては、図9に対して、更に、範囲R4を追加しており、図が煩雑になるため、制御パターンP2に対する範囲R4の制御パターンのみを図示したが、範囲R1〜範囲R3中の他の制御パターンに対しても、範囲R4に示すような制御パターンがあり、これらも含めて範囲R4を構成している。
範囲R1〜範囲R4は4次元的な構成となっており、範囲R1〜範囲R3における制御パターンは図9で説明した通りである。また、範囲R4においては、図中上から下へ衝突相対速度が速い場合から衝突相対速度が遅い場合の制御パターンを示している。範囲R4の制御パターンは、図中に示すように、衝突相対速度が速くなるに従って、制御時間前半のベルト荷重Fbを高くすると共に、制御時間前半の荷重レベルの継続時間を短くしており、衝突時初期に乗員11を強くシートに拘束すると共に、その拘束時間を短くするようにしている。
従って、シートベルト制御決定部25は、更に、範囲R4の制御パターンの中から、衝突相対速度が遅い場合には、範囲R4の遅い側の方の制御パターンを選択し、衝突相対速度が速い場合には、範囲R4の速い側の方の制御パターンを選択して、最終的に1つの制御パターンを選択する。
以上説明したように、シートベルト制御装置20は、センサ部30からの情報に基づいて、モータ61の正回転、逆回転、トルク、作用するタイミング、継続時間を決定し、この決定に従って衝突時にモータ61を制御して、ベルト荷重Fbの増減を制御し、最適なフォースリミッターの作動荷重を制御して、シートベルト装置本体40の制御を行っている。
そして、本実施例では、複数の検出手段により1つの乗員情報の判定を行なうので、判定の信頼性を向上させることができる。また、複数の判定結果の各々に対応する複数の制御パターンがあるので、乗員11や車両10の状況に応じて、多様な制御を行って、衝突時におけるフォースリミッターの作動荷重を適切に変更することができる。また、複数の判定結果を用いて、複数の制御パターンの中から最終的に1つの制御パターンを選択しているので、より最適なシートベルト制御を選択することができる。
また、複数の判定結果に優先順を割り付け、上位の優先順を持つ判定結果が得られたときに、下位の優先順を持つ判定結果を用いて、制御パターンを選択しているので、意図しないシートベルト制御が選択されることを防止することができる。また、上位の優先順を持つ判定結果が得られない場合には、ここでの制御パターンを安全側の制御パターンの範囲に限定し、更なる選択は、下位の判定結果を用いて、最終的な制御パターンを選択しているので、故障等の理由により、上位の優先順を持つ判定結果が得られない場合でも、安全側のシートベルト制御を選択することができる。
このようにして、確実性と安全性を損なわずに、制御パターンを選択することができ、乗員11に対して、より最適なシートベルト制御を実施することができる。
なお、ここでは、乗員重量判定部21による判定結果を優先順1、乗員着座位置判定部22による判定結果を優先順2、その他乗員情報判定部23による判定結果を優先順3、車両情報判定部24による判定結果を優先順4としているが、これらの優先順は適宜に変更可能であり、その場合でも、上述したように、優先順に沿って最終的な制御パターンを選択すれば良い。また、乗員重量判定部21、乗員着座位置判定部22、その他乗員情報判定部23及び車両情報判定部24以外の他の判定部を更に設けても良く、その場合でも、他の判定部による判定結果に優先順を割り付け、上述したように、優先順に沿って最終的な制御パターンを選択すれば良い。
本発明に係るシートベルト装置は、自動車等の車両に好適なものである。
20 シートベルト制御装置
21 乗員重量判定部
22 乗員着座位置判定部
23 その他乗員情報判定部
24 車両情報判定部
25 シートベルト制御決定部
30 センサ部
31 シート内蔵重量検出装置
32 シート内蔵人体検出装置
33 車室内映像装置
34 シート位置検出装置
35 車室内映像装置
36 乗員年齢入力装置
37 その他乗員情報入力装置
38 相対速度検出装置
40 シートベルト装置本体
41 ウェビング
50 リトラクタ
51 スプール
54 トーションバー
61 モータ

Claims (7)

  1. 乗員を車両のシートに拘束するウェビングと、
    前記ウェビングを巻き取ると共に引き出し可能に回転するスプールと、
    前記車両の衝突時に前記スプールの回転を阻止して前記ウェビングの引き出しを禁止する回転阻止機構と、
    前記スプールの回転が阻止された状態で、前記スプールに前記ウェビングの引き出し方向へ制限値以上の引出荷重が作用した場合に、前記スプールの回転を許容する荷重制限機構と、
    前記スプールに対して前記ウェビングの巻き取り方向又は引き出し方向に回転させるトルクを付与するモータと、
    前記乗員に関する複数の乗員情報を各々取得する複数の情報取得手段と、
    複数の前記情報取得手段が取得した複数の前記乗員情報に基づいて、前記スプールに付与する前記モータのトルクと回転方向を決定し、当該決定に従って前記衝突時に前記モータを制御して、前記スプールに付与する前記トルクを調整する制御手段と、を有する
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  2. 請求項1に記載のシートベルト装置において、
    前記制御手段は、複数の前記情報取得手段により取得した複数の前記乗員情報に基づいて、前記モータのトルクの大きさ、トルクが作用するタイミング及び継続時間を決定する
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシートベルト装置において、
    前記乗員情報の使用可否を判定する判定手段を有し、
    前記制御手段は、前記判定手段により使用可と判定された前記乗員情報に基づいて、前記モータの制御を決定する
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  4. 請求項3に記載のシートベルト装置において、
    複数の前記乗員情報には各々優先順が割り付けられており、
    前記制御手段は、上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用可と判定されたときに、下位の前記優先順を有する前記乗員情報も用いて、前記モータの制御を決定する
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  5. 請求項4に記載のシートベルト装置において、
    前記制御手段は、最上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用不可と判定されたとき、前記モータのトルクを無負荷とする
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  6. 請求項4に記載のシートベルト装置において、
    前記制御手段は、上位の前記優先順を有する前記乗員情報が前記判定手段により使用不可と判定されたとき、上位の前記優先順を有する前記乗員情報に基づいて決定される前記モータの制御を安全側の制御の範囲に限定し、前記安全側の制御の範囲の中から、下位の前記優先順を有する前記乗員情報を用いて、前記モータの制御を決定する
    ことを特徴とするシートベルト装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のシートベルト装置において、
    前記制御手段は、前記モータにより前記スプールに対して前記ウェビングの巻き取り方向に回転させるトルクを付与することで、前記引出荷重の上限値を前記制限値よりも増加させ、前記モータにより前記スプールに対して前記ウェビングの引き出し方向に回転させるトルクを付与することで、前記引出荷重の上限値を前記制限値よりも減少させ、前記モータのトルクを無負荷とすることで、前記引出荷重の上限値を前記制限値とする
    ことを特徴とするシートベルト装置。
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