JP2020096101A - 基板ホルダに使用するシール - Google Patents

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Abstract

【課題】シール部材が圧縮された状態において、シール部材が基板に十分な押圧力を付与していることが重要である。【解決手段】一実施形態によれば、基板ホルダが提供され、かかる基板ホルダは、第1保持部材と、第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とをクランプするためのクランパと、前記第1保持部材と前記第2保持部材とがクランプされたときに、前記第1保持部材、前記第2保持部材、および基板の少なくとも1つに接触する接触部を備えるシールと、を有し、基板の中心を通り基板の表面に垂直な平面で見た断面において、前記接触部は、第1の点を中心とする第1円弧部と、前記第1の点とは異なる第2の点を中心とする第2円弧部と、を有し、前記第1円弧部および前記第2円弧部の少なくとも一方の曲率半径は、0.01mm以上0.1mm以下である。【選択図】図4

Description

本願は、基板ホルダに使用するシールに関する。

半導体ウェハやプリント基板等の基板の表面に配線やバンプ(突起状電極)等を形成することが行われている。この配線およびバンプ等を形成する方法として、電解めっき法が知られている。
電解めっき法を用いるめっき装置においては、円形または多角形の基板の端部付近をシールし、基板の表面(被めっき面)を露出させて保持する基板ホルダが用いられる。基板の表面にめっき処理を行うときは、基板を保持した基板ホルダをめっき液中に浸漬させる。基板ホルダにより基板の端面がシールされるので、基板の表面はめっき液に露出されるが、シールよりも外側に位置する基板の給電部分はめっき液に触れることがない。
特開2012−062570号公報
基板を保持した基板ホルダがめっき液中に浸漬された状態において、基板ホルダの給電部分がめっき液に触れないようにするためには、基板の端面を適切にシールする必要がある。基板が基板ホルダに保持された状態においては、基板の端部付近にシール部材が圧縮された状態で配置されている。シール部材が圧縮された状態において、シール部材が基板に十分な押圧力を付与していることが重要である。
一実施形態によれば、基板ホルダが提供され、かかる基板ホルダは、フロントフレームと、リアフレームと、前記フロントフレームと前記リアフレームとをクランプするためのクランパと、前記フロントフレームと前記リアフレームとがクランプされたときに、前記フロントフレームおよび前記リアフレームの一方と基板とに接触する接触部を備えるシールと、を有し、前記シールの長手方向に垂直な平面で見た断面において、前記接触部は、第1の点を中心とする第1円弧部と、前記第1の点とは異なる第2の点を中心とする第2円弧部と、を有し、前記第1円弧部および前記第2円弧部の少なくとも一方の曲率半径は、0.01mm以上0.1mm以下である。
一実施形態にかかるめっき装置の全体配置図である。 一実施形態にかかる基板ホルダを模式的に示す正面図である。 一実施形態にかかる基板ホルダを模式的に示す側面断面図である。 図2Bにおいて「A」と付された部分の拡大図である。 基板ホルダのうち基板を保持する部分の側面断面図である。 一実施形態による、インナシールと基板またはフレームとの接触部分を拡大して示す断面図である。 一実施形態による、インナシールと基板またはフレームとの接触部分を拡大して示す断面図である。 一実施形態による、インナシールと基板またはフレームとの接触部分を拡大して示す断面図である。 シールの断面位置に対する接触圧力を示すグラフである。 一実施形態による、基板ホルダを模式的に示す側面断面図である。
以下に、本発明に係る基板搬送装置および基板搬送装置を備える基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
<めっき装置の概要について>
図1は、実施形態にかかる基板ホルダが使用されるめっき装置の全体配置図である。図1に示すように、このめっき装置100は、基板ホルダ1(符号「1」については図2以降を参照のこと)に基板をロードし、又は基板ホルダ1から基板をアンロードするロード/アンロード部110と、基板を処理する処理部120と、洗浄部50aとに大きく分けられる。処理部120は、さらに、基板の前処理及び後処理を行う前処理・後処理部120Aと、基板にめっき処理を行うめっき処理部120Bとを含む。なお、このめっき装置100で処理する基板は、角形基板、円形基板を含む。また、角形基板は、矩形等の多角形のガラス基板、液晶基板、プリント基板、その他の多角形のめっき対象物を含む。円形基板は、半導体ウェハ、ガラス基板、その他の円形のめっき対象物を含む。
ロード/アンロード部110は、2台のカセットテーブル25と、基板脱着機構29とを有する。カセットテーブル25は、半導体ウェハ、ガラス基板、液晶基板、プリント基板等の基板を収納したカセット25aを搭載する。基板脱着機構29は、基板を基板ホルダ1に着脱するように構成される。また、基板脱着機構29の近傍(例えば下方)には基板ホルダ1を収容するためのストッカ30が設けられる。これらのユニット25,29,30の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置27が配置されている。基板搬送装置27は、走行機構28により走行可能に構成される。
洗浄部50aは、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる洗浄装置50を有する。基板搬送装置27は、めっき処理後の基板を洗浄装置50に搬送し、洗浄された基板を洗浄装置50から取り出すように構成される。
前処理・後処理部120Aは、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34と、ブロー槽35と、リンス槽36と、を有する。プリウェット槽32では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽33では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。プリリンス槽34では、プリソーク後の基板が基板ホルダと共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽35では、洗浄後の基板の液切りが行われる。リンス槽36では、めっき後の基板が基板ホルダと共に洗浄液で洗浄される。プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36は、この順に配置されている。なお、このめっき装置100の前処理・後処理部120Aの構成は一例であり、めっき装置100の前処理・後処理部120Aの構成は限定されず、他の構成を採用することが可能である。
めっき処理部120Bは、オーバーフロー槽38を備えた複数のめっき槽39を有する。各めっき槽39は、内部に一つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを行う。ここで、めっき液の種類は、特に限られることはなく、用途に応じて様々なめっき液が用いられる。
めっき装置100は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダを基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置37を有する。この基板ホルダ搬送装置37は、基板脱着機構29、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39との間で基板ホルダを搬送するように構成される。
以上のように構成されるめっき装置100を複数含むめっき処理システムは、上述した各部を制御するように構成されたコントローラ175を有する。コントローラ175は、所定のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)175Aと、CPU175Aがプログラムを実行することで実現される制御部175Cとを有する。制御部175Cは、例えば、基板搬送装置27の搬送制御、基板脱着機構29における基板の基板ホルダへの着脱制御、基板ホルダ搬送装置37の搬送制御、各めっき槽39におけるめっき電流及びめっき時間の制御、並びに、各めっき槽39に配置されるアノードマスク(図示せず)の開口径及びレギュレーションプレート(図示せず)の開口径の制御等を行うことができる。また、コントローラ175は、めっき装置100及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。ここで、メモリ175Bを構成する記憶媒体は、各種の設定データや後述するめっき処理プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体としては、コンピュータで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
<基板ホルダ1について>
次に、図2を用いて一実施形態にかかる基板ホルダ1について説明する。図2Aは一実施形態にかかる基板ホルダ1を模式的に示した正面図である。図2Bは一実施形態にかかる基板ホルダ1を模式的に示した側面断面図である。図2Cは、図2Bにおいて「A」と付された部分の拡大図である。ただし、図2Cは分解図となっている。以下では、図2Aの左右方向(後述するアーム部210aの長手方向)をX方向、紙面に対して垂直な方向(保持されるべき基板Wの面と垂直な方向)をY方向、上下方向をZ方向として説明する。X方向については図2Aの右向きを正方向とする。Y方向については図2Aの紙面に対して奥向きを正方向とする。Z方向については図2Aの上方向を正方向とする。
基板ホルダ1は、フレーム間に基板を挟むことによって基板を保持するための部材である。基板ホルダ1は、フロントフレーム200a(保持部材)およびリアフレーム200b(保持部材)と、を備える。より具体的には、基板ホルダ1の少なくとも一部は、フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bを組み合わせることによって構成される。フロントフレーム200aとリアフレーム200bとは、少なくとも1つ、好ましくは複数のクランパ290(クランパ290の詳細は後述される)によってクランプされる。図2Aの符号「200b」から延びている点線は、図2Aにはリアフレーム200bが図示されていないことを示している。基板ホルダ1は、フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bとの間に基板Wを挟み込んで保持するように構成されている。基板Wは図2B中に想像線で示されている。
フロントフレーム200aとリアフレーム200bとは、後述するフック部250およびプレート270を除き、対称的な構造を有する。したがって、「フロント」と「リア」という名称は便宜的なものに過ぎない。換言すれば、フロントフレーム200aの位置する側とリアフレーム200bの位置する側のどちらを正面として扱ってもよい。ただし、フロントフレーム200aとリアフレーム200bとを対称的な構造に設計する必要はな
い。
フロントフレーム200aの上部にはアーム部210aが設けられている。アーム部210aの肩部には肩部電極220が設けられてよい。図2の例では、アーム部210aの両肩に2つの肩部電極220が設けられている。なお、図2Aでは代表的に1つの肩部電極220にのみ符号が付されている。肩部電極220は図示しない導電経路(配線またはバスバーなど)により後述する基板用電極と電気的に接続されている。後述する基板用電極は基板Wと電気的に接続されるので、肩部電極220は基板Wと電気的に接続されている。めっき装置100は、肩部電極220を介してめっき工程に必要な電流を基板Wに供給する。リアフレーム200bにはアーム部210bが設けられている。アーム部210bの構成はアーム部210aと同等である。
フロントフレーム200aは配線格納部230aを備える。配線格納部230aはアーム部210aと後述するフレームボディ240aとの間に設けられている。配線格納部230aは肩部電極220と基板Wとを電気的に接続するための配線を格納するための空間を有するように構成される。肩部電極220と基板Wとがバスバーにより電気的に接続されている場合、フロントフレーム200aは配線格納部230aを備えなくともよい。リアフレーム200bには配線格納部230bが設けられている。配線格納部230bの構成は配線格納部230aと同等である。
フロントフレーム200aはさらにフレームボディ240aを備える。リアフレーム200bはさらにフレームボディ240bを備える。フレームボディ240aおよびフレームボディ240bは概略板状の部材である。フレームボディ240aおよびフレームボディ240bのそれぞれの中央部分には、保持されるべき基板Wを露出するための開口260aおよび開口260bがそれぞれ形成されている。開口260aおよび開口260bの形状は、基板Wのうちめっきされるべき領域の形状に対応していることが好ましい。たとえば基板Wが角形の場合、一般的にはめっきされるべき領域もまた角形である。したがって、図2の例では、開口260aおよび開口260bは角形である。フレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に基板Wを挟み込むことで、フレームボディ240aとフレームボディ240bが協働して基板Wを保持する。基板Wを保持する部分の詳細については、図3を用いて後述する。
保持された基板Wの一つの面は、フレームボディ240aに設けられた開口260aを介して外部に露出する。保持された基板Wの他の面は、フレームボディ240bに設けられた開口260bを介して外部に露出する。したがって、基板ホルダ1がめっき液に浸漬された場合、基板Wの両面がめっき液に接触することとなる。換言すれば、図2の基板ホルダ1を用いることによって基板Wの両面をめっき加工することが可能である。なお、基板ホルダ1内の電気的な条件等を調整することによって、図2の基板ホルダ1を片面めっきのために用いることもできる。また、開口260aおよび開口260bのどちらかのみを有するよう基板ホルダ1を構成してもよい(その場合、基板ホルダ1は片面めっき用のホルダとなる)。すなわち、フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bは、必ずしも開口260a、260bを備えなくてもよい。
フロントフレーム200aとリアフレーム200bとをクランプするために、基板ホルダ1は1つまたは複数のクランパ290を備える。クランパ290は、フロントフレーム200a、より具体的にはフレームボディ240aに取り付けられたフック部250と、リアフレーム200b、より具体的にはフレームボディ240bに取り付けられたプレート270とを有する。図2の例では、開口260aの近くにクランパ290が設けられている。より具体的には、図2の例では角形の開口260aのそれぞれの辺の中央の近くにクランパ290が設けられている。したがって、図2の例では合計で4つのクランパ29
0が設けられている。なお、図2Aおよび図2Bでは代表して1つのクランパ290にのみ符号が付されている。
フック部250は、フレームボディ240aに取り付けられるフックベース251と、フック本体252と、フック本体252をフックベース251に対して枢動可能に支持するシャフト253と、を備える。フック部250は、シャフト253を中心としてフック本体252を枢動させるためのレバー254をさらに有してもよい。フック本体252は基板ホルダ1の背面側、すなわちリアフレーム200bの方向に向かって延びている。シャフト253は、保持されるべき基板の面と平行な面内で伸びている。保持されるべき基板の面と平行な面内における、シャフト253の長手方向の具体的な向きは、クランパ290によって異なってもよい。フックベース251、フック本体252、シャフト253およびレバー254の少なくともひとつはチタンまたはチタン合金から形成されていてよい。
フック部250はさらに、フック本体252の、後述するクロー271への引っ掛かりを維持する方向(図2Cのフック部250では反時計回り方向)に力を加える押圧部材255を備えてよい。フック本体252の引っ掛かりを維持するように押圧部材255がフック本体252に力を加えることにより、フック本体252がクロー271から外れてしまうことを防止することができる。押圧部材255は、たとえばバネであってよく、より具体的にはねじりバネであってよい。ねじりバネは、押圧部材255および他の部品の省スペース化に貢献する。したがって、押圧部材255としてねじりバネを採用することはホルダ厚を薄くすることに寄与し得る。なお、ホルダ厚を薄くすることが好ましい理由は後述されている。押圧部材255は、バネ以外のもの、たとえば電磁的な手段により動作する部材などであってもよい。
フレームボディ240aにはポート241a(図2C参照)が設けられている。ポート241aはフック本体252を取り付けるために設けられている。ポート241aは、少なくともフック本体252が後述するプレート270の少なくとも一部にアクセスすること、より具体的にはフック本体252がプレート270のクロー271にアクセスすることを可能にするように構成される。フック部250は、ボルトなどの固定部材によってポート241aに取り付けられる。ホルダ厚をなるべく薄くするため、フック部250がフレームボディ240aから突出しないように、換言すればフック部250がフレームボディ240aに埋没するように、基板ホルダ1(特に、基板ホルダ1のうちのフック部250およびポート241a)が構成されることが好ましい。また、フック部250がフレームボディ240aから突出しないことによって、めっき液から基板ホルダ1を引き上げたときに基板ホルダ1に残留するめっき液の量を低減することができ得る。また、フック部250がフレームボディ240aから突出しないことによって、フック部250とめっき槽の構成物等との干渉を回避し得る。
フレームボディ240bにはポート241b(図2C参照)が設けられている。ポート241bの位置および個数はポート241aの位置および個数に対応する。ポート241bにはボルトなどの固定部材によりプレート270が取り付けられている。プレート270には、フック本体252の枢動によりフック本体252が引っ掛けられるよう構成されたクロー271が設けられている。クロー271はフロントフレーム200aの方向に向かって延びている。フック本体252がクロー271に引っ掛けられることでフレームボディ240aがフレームボディ240bに対して固定される。フック本体252をクロー271に引っ掛けるときに、フレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に基板Wが適切に配置されていれば、基板Wは基板ホルダ1によって保持されることとなる。ホルダ厚をなるべく薄くするため、プレート270がフレームボディ240bから突出しないように、換言すればプレート270がフレームボディ240bに埋没するように、
プレート270およびポート241bが構成されることが好ましい。また、プレート270がフレームボディ240bから突出しないことによって、めっき液から基板ホルダ1を引き上げたときに基板ホルダ1に残留するめっき液の量を低減することができ得る。また、プレート270がフレームボディ240bから突出しないことによって、プレート270とめっき槽の構成物等との干渉を回避し得る。リアフレーム200bに向かって延びているフック本体252もまたフレームボディ240bから突出しないように構成されていることが好ましい。
以上に述べたように、好ましい実施形態ではフック部250もプレート270も各フレームから突出しないように構成されている、すなわち各フレームに埋没している。本明細書では、このことを「クランパ290はフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bに埋没している」と表現する。
フックベース251とフレームボディ240aの間に弾性支持部材280が備えられていてもよい。弾性支持部材280は部材を弾性的に支持するための部材であり、「フローティング部材」とも呼ばれ得る。ここでの「フローティング」は「電気的なフローティング」ではないことに留意されたい(ただし、弾性支持部材280によって電気的なフローティングが実現されることは除外されない)。図2の例における弾性支持部材280はOリングである。なお、図2ではOリングを取り付けるための溝の図示は省略されている。Oリング以外にも、バネなどの弾性体を弾性支持部材280として用いることができる。プレート270とフレームボディ240bとの間にも弾性支持部材280が備えられていてよい。
基板Wをめっきするための基板ホルダのうち、少なくともめっき液に浸漬される部分の厚さは可能な限り薄いことが望ましい。その主な理由は次の二点である。第1に、ホルダの厚さが大きいと、結果的にめっき槽の幅が大きくなり、装置が大型化してしまう。特に、基板ホルダ1が両面めっき用のホルダである場合、装置の大型化への影響が顕著である。第2に、ホルダの厚さが大きいと、基板W近傍のめっき液の撹拌が不十分になりやすい。また、基板ホルダ1のうちめっき液に浸漬される部分には突出部がないことが好ましい。突出部が基板ホルダ1の厚みを画定し得るためである。
図2の構成では、フック本体252はフロントフレーム200aとリアフレーム200bのうちフック部250が取り付けられていない方に向かって延びている。そして、図2の構成では、クロー271はフロントフレーム200aとリアフレーム200bのうちプレート270が取り付けられていない方に向かって延びている。よって、図2の構成は、フック本体252とクロー271などがフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bから突出する長さをゼロにするか、少なくとも低減させ得る。換言すれば、基板ホルダ1を図2に示したように構成することで、めっき液に浸漬される部分(フレームボディ240a、フック部250、フレームボディ240bおよびプレート270)の厚さを薄くすることが可能である。また、図2のフック部250およびプレート270はそれぞれフレームボディ240aおよびフレームボディ240bから突出していないという利点がある。
図2に示した実施形態では、レバー254をフレームボディ240bの方向、すなわち背面方向に押すことでフック本体252がクロー271から外されるこれに代え、レバー254を正面側に引っ張ることでフック本体252がクロー271から外されるよう、レバー254等を構成してもよい。ただし、レバー254を引っ張るための構成および制御は、レバー254を押すための構造および制御に対して複雑なものとなり得る。したがって、図2に示したように、レバー254を背面方向に押すことでフック本体252がクロー271から外されるようレバー254等を構成することが好ましい。
図2に示した実施形態では、フロントフレーム200aにフック部250が取り付けられ、リアフレーム200bにプレート270が取り付けられている。代替として、フック部250はリアフレーム200bに取り付けられてよく、プレート270はフロントフレーム200aに取り付けられていてもよい。換言すれば、あるフック部250はフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bの一方に取り付けられ、当該フック部250に対応するプレート270はフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bの他方に取り付けられる。さらに、クランパ290を複数有する基板ホルダ1の場合、フック部250をフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bの双方に設けてもよい。その場合、フック部250の配置に対応するよう、プレート270もフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bの双方に設けられる。フック本体252を枢動させる際の簡便さという観点からは、フロントフレーム200aにはフック部250およびプレート270のどちらか一種を、リアフレーム200bには他の一種を設けることが好ましい。
<基板Wを保持する部分の詳細について>
次に、図3を用いて基板ホルダ1のうち基板Wを保持する部分の詳細を説明する。図3は基板ホルダ1のうち基板Wを保持する部分の側面断面図である。基板ホルダ1は基板Wの両面をめっきするためのホルダであるので、基板ホルダ1は基板Wの両面に電流を供給する必要がある。そこで、図3のフレームボディ240aおよびフレームボディ240bにはそれぞれ基板用電極320が設けられている。フレームボディ240aに設けられた基板用電極320は基板Wの表面(正面を向く面)と電気的に接続され、フレームボディ240bに設けられた基板用電極320は基板Wの裏面と電気的に接続されている。ただし、図3に示された構成以外の構成を採用することもできる。他の構成の例としては、フレームボディ240aおよびフレームボディ240bのいずれかのみに基板用電極320が設けられており、当該基板用電極320が基板Wの両面に接触している構成が挙げられる。基板用電極320は、図示しない配線やバスバーなどの手段によって肩部電極220に電気的に接続されている。したがって、肩部電極220に供給された電流は、基板用電極320を介して基板Wに供給される。この際、肩部電極220と基板用電極320の対応関係は、図2Aの左右の肩部電極220において、例えば左の肩部電極220が基板Wの表面に対応するフレームボディ240aの基板用電極320に、右の肩部電極220が基板Wの裏面に対応するフレームボディ240bの基板用電極320に電流を供給するように、基板の表面、裏面に対し独立して電流を供給できるように構成してもよい。
上述のとおり、基板用電極320には電流が供給される。したがって、基板ホルダ1がめっき液に浸漬されたときであっても基板用電極320にめっき液が触れないように基板ホルダ1を構成する必要がある。そこで、基板ホルダ1は、基板用電極320が存在する空間をシールするためのアウタシール300およびインナシール310を備える。インナシール310は「第1のシール部材」と言及されてもよく、アウタシール300は「第2のシール部材」と言及されてもよい。アウタシール300は基板Wの外側においてフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間の隙間をシールするように構成されている。アウタシール300はフレームボディ240aに設けられていてもよく、フレームボディ240bに設けられていてもよい。換言すれば、基板ホルダ1は、フロントフレーム200aとリアフレーム200bの一方に取り付けられ、フロントフレーム200aとリアフレーム200bの他方に接触するように構成されたアウタシール300を備えてよい。一方で、インナシール310はフレームボディ240aとフレームボディ240bのそれぞれに設けられている。インナシール310は、基板Wが保持された場合に基板Wと接触する。すなわち、フレームボディ240aに設けられたインナシール310はフレームボディ240aと基板Wとの間の隙間をシールするよう構成されている。フレームボディ240bに設けられたインナシール310はフレームボディ240bと基板Wとの間の
隙間をシールするよう構成されている。アウタシール300およびインナシール310は基板Wの厚さ方向(基板Wの面と垂直な方向)に弾性的に変形可能である。基板Wは、インナシール310と基板Wとの間の接触圧によってフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に保持される。なお、図3は模式図に過ぎず、実際の構成とは異なり得ることに留意されたい。たとえば、アウタシール300およびインナシール310はそれぞれのシールホルダにより保持されていてよい。たとえば、インナシール310はフロントフレーム200aまたはリアフレーム200bのいずれか一方に設けられていてもよい。
図4は一実施形態による、インナシール310と基板Wとの接触部分を拡大して示す断面図である。なお、上述のように、基板Wが基板ホルダ1に保持された状態においては、インナシール310は圧縮されて基板Wに押圧されるが、図4においては、インナシール310は圧縮されていない自然状態における形状を示している。また、図4において、「a」は自然状態におけるシールの幅を示している。図4に示されるインナシール310において、長手方向(紙面に垂直な方向)に垂直な平面(図4に示される面)で見た断面において、インナシール310の接触部分は、円弧形状の円弧部312を備えている。また、図4に示されるインナシール310の断面は、基板の中心を通り基板の表面に垂直な平面で見た断面であるともいえる。図4に示されるインナシール310は2つの円弧部312を備えている。図4に示されるインナシール310においては、2つの円弧部312は、インナシール310と基板Wとの接触面の両端部に配置されている。図4に示されるインナシール310においては、2つの円弧部312の間は、基板Wに平行な平面314となっている。図4において、インナシール310の左右の一方の側は、基板用電極320が配置される側であり、基板Wの外周側である。インナシール310の左右の他方の側は、基板Wの中心側であり、めっき液が接する側である。インナシール310は基板Wの中心側から外周側に向かう方向において2つの円弧部312を備えている。インナシール310は、基板用電極320から近い側から遠い側に向かって2つの円弧部312を有している、ということもできる。
図5は一実施形態による、インナシール310と基板Wとの接触部分を拡大して示す断面図である。図5においても、図4と同様にインナシール310は圧縮されていない自然状態における形状を示している。また、図5において、「a」は自然状態におけるシールの幅を示している。図5に示されるインナシール310は、図4に示されるインナシール310と同様に2つの円弧部312を備えている。図5に示されるインナシール310においては、2つの円弧部312の間に凹部316が設けられている。凹部316により、後述するシール両端部のエッジ効果を高めることができ、図4に示される平面314の場合より相対的にシール圧力を高める効果がある。
上述の実施形態によるインナシール310の円弧部312の曲率半径Rは小さい方が望ましい。これは、シール形状の変化するシール両端部、すなわち曲率半径Rの小さい円弧部で形成される凸形状部分、にシールの圧力が集中するエッジ効果が高まるからである。一例として、円弧部312の曲率半径Rは、約0.01mm以上0.1mm以下とすることができる。一実施形態において、インナシール310は、ゴム材料や樹脂材料などの高分子材料から型成型により製造することができる。なお、上述のように、円弧部312の曲率半径Rは小さい方が望ましいので、インナシール310の接触部分の端部を円弧形状ではなく角を備える形状とすることも考えられる。しかし、シールを型成型する場合、角部にバリやボイドなどが生じやすい。シールの接触表面は、バリやボイドなどの無い平滑で連続的な面であることが必要であるので、シールの接触部分の端部は角部ではなく、上述のように小さな曲率半径を備える円弧形状であることが望ましい。
図4、5に示される実施形態においては、インナシール310は断面形状において2つ
の円弧部312を備えているが、他の実施形態においてより多くの円弧部312を備えるものとしてもよい。また、複数の円弧部312の曲率半径Rは全て同一でもよく、また異なる曲率半径を備えるものとしてもよい。
図6は、参考例による、インナシール310と基板Wとの接触部分を拡大して示す断面図である。図6においても、図4、5と同様にインナシール310は圧縮されていない自然状態における形状を示しており、また、「a」は自然状態におけるシールの幅を示している。なお、図4、図5、図6において、シールの幅「a」は同一である。図6に示される参考例のインナシール310は、接触部分が1つの円弧形状を備えている。
図7は、図4に示されるインナシール310および図6に示されるインナシール310を基板Wに対して押圧したときの断面位置に対する接触圧力を示すグラフである。図7に示されるグラフにおいて、曲線400は、図4に示される幅aのインナシール310を基板Wに対して押圧したときに、基板Wに付与される圧力を示している。図7に示されるグラフにおいて、曲線402は、図6に示される幅aのインナシール310を基板Wに対して押圧したときに、基板Wに付与される圧力を示している。図7に示されるグラフにおいて、曲線400、402に対応するインナシール310の幅aは同一である。図7の曲線400に示されるように、図4に示される2つの円弧部312を備えるインナシール310においては、接触部分の両端に位置する円弧部312のところでそれぞれ接触圧力が大きくなっている。これは、前述したシール端部でのエッジ効果によるものである。一方、図7の曲線402に示されるように、図6に示される参考例のインナシール310においては、中央部分において接触圧力が大きくなっている。また、シールするために必要とされる接触圧力以上の範囲(図7中の「A」および「B」で示される範囲)も、シール幅aが同一である条件において、曲線400の方が曲線402より広くなっている。図7に示されるように、インナシール310の両端に円弧部312が形成されている場合、それぞれの円弧部312の部分で接触圧力が大きくなるとともに必要な接触圧力以上の範囲も広くなるので、図6のような1つの円弧部を備えるインナシール310の場合よりもシール性能が向上する。さらに、接触圧力のピークが2か所形成されるため、一方のピークが生じているシール箇所を超えてめっき液が侵入しても、他方のピークが生じているシール箇所でさらなるめっき液の侵入を防ぐことができる。
なお、図4、5においてはインナシール310の断面として説明したが、これらの複数の円弧部312を備えるシールの形状については、インナシール310だけでなく、アウタシール300、あるいはその他のシールに適用してもよい。また、本開示によるシールを適用する基板ホルダは、図2、3に示されるような両面めっき用の基板ホルダでも図8に示されるような片面めっき用の基板ホルダでもよく、さらに、円形の基板を保持する基板ホルダでも四角形の基板を保持する基板ホルダでもよい。なお、図8は、一実施形態にかかる片面めっき用の基板ホルダを模式的に示す側面断面図である。図8において、図2に示される基板ホルダと類似の要素には同一の符号が付されているので、図8の基板ホルダの詳細な説明は省略する。
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]形態1によれば、基板ホルダが提供され、かかる基板ホルダは、第1保持部材と、第2保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とをクランプするためのクランパと、前記第1保持部材と前記第2保持部材とがクランプされたときに、前記第1保持部材、前記第2保持部材、および基板の少なくとも1つに接触する接触部を備えるシールと、を有し、基板の中心を通り基板の表面に垂直な平面で見た断面において、前記接触部は、第1の点を中心とする第1円弧部と、前記第1の点とは異なる第2の点を中心とする第2円弧部と、を有し、前記第1円弧部および前記第2円弧部の少なくとも一方の曲率半径は、0.01mm以上0.1mm以下である。
[形態2]形態2によれば、形態1による基板ホルダであって、前記第1円弧部と前記第2円弧部とは、それぞれ前記接触部の端部に配置されている。
[形態3]形態3によれば、形態2による基板ホルダであって、前記第1円弧部と前記第2円弧部との間は平面である。
[形態4]形態4によれば、形態2による基板ホルダであって、前記第1円弧部と前記第2円弧部との間は凹面である。
[形態5]形態5によれば、形態1から形態4のいずれか1つの形態による基板ホルダであって、前記基板ホルダは角形基板を保持するように構成されている。
1…基板ホルダ
200a…フロントフレーム(保持部材)
200b…リアフレーム(保持部材)
210a、b…アーム部
220…肩部電極
230a、b…配線格納部
240a、b…フレームボディ
241a、b…ポート
250…フック部
251…フックベース
252…フック本体
253…シャフト
254…レバー
255…押圧部材
260a…開口
260b…開口
270…プレート
271…クロー
280…弾性支持部材
290…クランパ
300…アウタシール(第2のシール部材)
310…インナシール(第1のシール部材)
312…円弧部
320…基板用電極
W…基板

Claims (5)

  1. 基板ホルダであって、
    第1保持部材と、
    第2保持部材と、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材とをクランプするためのクランパと、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材とがクランプされたときに、前記第1保持部材、前記第2保持部材、および基板の少なくとも1つに接触する、接触部を備えるシールと、を有し、
    基板の中心を通り基板の表面に垂直な平面で見た断面において、前記接触部は、第1の点を中心とする第1円弧部と、前記第1の点とは異なる第2の点を中心とする第2円弧部と、を有し、前記第1円弧部および前記第2円弧部の少なくとも一方の曲率半径は、0.01mm以上0.1mm以下である、
    基板ホルダ。
  2. 請求項1に記載の基板ホルダであって、
    前記第1円弧部と前記第2円弧部とは、それぞれ前記接触部の端部に配置されている、基板ホルダ。
  3. 請求項2に記載の基板ホルダであって、
    前記第1円弧部と前記第2円弧部との間は平面である、
    基板ホルダ。
  4. 請求項2に記載の基板ホルダであって、
    前記第1円弧部と前記第2円弧部との間は凹面である、
    基板ホルダ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、
    前記基板ホルダは角形基板を保持するように構成されている、
    基板ホルダ。
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