JP2020095240A - フェルール及びファイバ付きフェルール - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制する。【解決手段】光ファイバ1の端部を保持するフェルール10であって、光ファイバ1の端面3を突き当てるための突き当て面36と、光ファイバ1の端面3に対応して配置されるレンズ部33とを有し、突き当て面36が、光ファイバ1の光軸2に垂直な面に対して傾斜し、レンズ部33の光軸が光ファイバ1の光軸2に対して傾斜していることを特徴とするフェルール10である。【選択図】図6
Description
本発明は、フェルール及びファイバ付きフェルールに関する。
端面にレンズを有するフェルール同士が対向することによって、それぞれのフェルールに保持された光ファイバ同士を光学的に接続する、いわゆるレンズコネクタの技術が知られている。このようなレンズコネクタとして、例えば、特許文献1には、光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面であって、光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜させた突き当て面が設けられているフェルールを有するレンズコネクタが開示されている。特許文献1に記載されたレンズコネクタでは、光ファイバ中を伝送してきた光信号が突き当て面において反射し、再び光ファイバ中に戻ることを抑制することができる。
光信号の反射は、特許文献1に記載されているような光ファイバの端面が突き当てられる突き当て面だけではなく、レンズ面(レンズ部の表面)においても起こり得る。このため、レンズ面において反射した光信号が再び光ファイバ中に戻ることがある。
本発明は、レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制することを目的とする。
本発明の幾つかの実施形態は、光ファイバの端部を保持するフェルールであって、前記光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面と、前記光ファイバの端面に対応して配置されるレンズ部とを有し、前記突き当て面が、前記光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜し、前記レンズ部の光軸が前記光ファイバの光軸に対して傾斜していることを特徴とするフェルールである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明の幾つかの実施形態によれば、レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制することができる。
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
光ファイバの端部を保持するフェルールであって、前記光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面と、前記光ファイバの端面に対応して配置されるレンズ部とを有し、前記突き当て面が、前記光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜し、前記レンズ部の光軸が前記光ファイバの光軸に対して傾斜していることを特徴とするフェルールが明らかとなる。このようなフェルールによれば、レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制することができる。
前記レンズ部の中心が前記光ファイバの光軸上からずれるように、前記レンズ部が配置されていることが望ましい。これにより、レンズコネクタのフェルール同士を対向させたときの光信号の結合効率を向上させることができる。
前記光ファイバの光軸に対する前記レンズ部の光軸の傾斜角度は、前記光ファイバの光軸上を進む光信号が前記突き当て面において屈折した際の屈折光の、前記光ファイバの光軸に対する傾斜角度と異なるように、前記レンズ部が配置されていることが望ましい。これにより、レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制することができる。
光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持するフェルールとを有するファイバ付きフェルールであって、前記光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面と、前記光ファイバの端面に対応して配置されるレンズ部とを有し、前記突き当て面が、前記光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜し、前記レンズ部の光軸が前記光ファイバの光軸に対して傾斜していることを特徴とするファイバ付きフェルールが明らかとなる。このようなファイバ付きフェルールによれば、レンズコネクタのレンズ面における光信号の反射による、光ファイバへの戻り光を抑制することができる。
===第1実施形態===
<フェルール構造体10の概要>
図1Aは、第1実施形態のフェルール構造体10の全体斜視図である。図1Bは、第1実施形態のフェルール構造体10の分解斜視図である。図2Aは、下側から見た第1実施形態のフェルール構造体10の分解斜視図である。図2Bは、第1実施形態のファイバ付きフェルール構造体10の断面図である。
<フェルール構造体10の概要>
図1Aは、第1実施形態のフェルール構造体10の全体斜視図である。図1Bは、第1実施形態のフェルール構造体10の分解斜視図である。図2Aは、下側から見た第1実施形態のフェルール構造体10の分解斜視図である。図2Bは、第1実施形態のファイバ付きフェルール構造体10の断面図である。
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、ファイバ穴22の方向を「前後方向」とし、ファイバ穴22に挿入される光ファイバ1の端面の側、又は、フェルール本体11から見てレンズプレート12の側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、2つの本体側ガイド穴21の並ぶ方向、又は、2つのプレート側ガイド穴32の並ぶ方向を「左右方向」とし、後側から前側を見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。また、前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とする。なお、後述するように、突き当て面36は上側に行くほど前側に傾斜することになる。このように突き当て面36が前側に傾斜している側を「上」とし、逆側を「下」とする。
フェルール構造体10は、光ファイバ1の端部を保持し、他の光学部品に対して光ファイバ1を光接続するための部材である。フェルール構造体10のことを単に「フェルール」と呼ぶこともある。フェルール構造体10は、フェルール本体11と、レンズプレート12とを有する。
フェルール本体11は、光ファイバ1の端部を保持する部材である。フェルール本体11は、2つの本体側ガイド穴21と、ファイバ穴22と、ファイバ挿入口23と、接着剤充填部24とを有する。
なお、フェルール本体11は、例えばMT形光コネクタ(JIS C5981に制定されるF12形光コネクタ。MT:Mechanically Transferable)とほぼ同様の構成である。但し、通常のMT形光コネクタでは、フェルールの端面と光ファイバの端面とを研磨することになるが、本実施形態では、後述するように、光ファイバ1の端面3はフェルール本体11の前端面20(ファイバ穴22の開口面)から突出させることになり、フェルールの端面と光ファイバの端面とを研磨することは行われない。また、通常のMT形光コネクタでは、フェルールの端面でファイバの端面が露出することになるが、本実施形態では、フェルール本体11の前側にレンズプレート12が配置され、光ファイバ1の端面3はレンズプレート12に突き当てられた状態になるため、光ファイバの端面は外部に露出しない。
2つの本体側ガイド穴21は、ガイドピン(不図示)を挿入するための穴である。後述するように、本体側ガイド穴21は、フェルール本体11とレンズプレート12との位置合わせにも用いられることになる。本体側ガイド穴21は、前後方向に沿ってフェルール本体11を貫通しており、フェルール本体11の前端面20には2つの本体側ガイド穴21が開口している。2つの本体側ガイド穴21は、複数のファイバ穴22を左右方向から挟むように、左右方向に間隔を空けて配置されている。
ファイバ穴22は、光ファイバ1を挿入するための穴である。また、ファイバ穴22は、光ファイバ1を位置決めするための穴である。このため、ファイバ穴22は、本体側ガイド穴21に対して高精度に形成されている。ファイバ穴22は、前端面20と接着剤充填部24との間を貫通しており、フェルール本体11の前端面20にはファイバ穴22が開口している。ファイバ穴22には、光ファイバ心線から被覆を除去した裸光ファイバが挿入されることになる。ファイバ穴22は、前後方向に沿って形成されている。
本実施形態のフェルール本体11には、複数のファイバ穴22が形成されている。さらに、本実施形態では、複数のファイバ穴22は、左右方向に並んで配置されている。左右方向に並ぶファイバ穴22には、光ファイバテープ(光ファイバリボン)を構成する光ファイバ1がそれぞれ挿入されることになる。但し、ファイバ穴22は、複数でなくても良い。例えば、ファイバ穴22が1個形成されているだけでも良い。この場合、ファイバ穴22に挿入される光ファイバ1は光ファイバテープ(光ファイバリボン)を構成しない。
ファイバ挿入口23は、フェルール本体11の後端面に形成された開口である。ファイバ挿入口23からフェルール本体11に光ファイバ1が挿入されることになる。フェルール本体11にブーツ(不図示)が挿入されることがあるため、ファイバ挿入口23は「ブーツ穴」と呼ばれることもある。
接着剤充填部24は、接着剤を充填するための空洞部である。接着剤充填部24には、光ファイバ1をフェルール本体11に引き留めるための接着剤が充填されることになる。接着剤充填部24に接着剤が充填されることによって、接着剤充填部24やファイバ穴22の内壁面と光ファイバ1との間に接着剤が塗布され、この接着剤が硬化して光ファイバ1がフェルール本体11に固定されることになる。
レンズプレート12は、複数のレンズが設けられた光学部材である。レンズプレート12は、光信号を透過させる透明樹脂によって成形されている。レンズプレート12は、その後端面31をフェルール本体11の前端面20に接触させた状態で、フェルール本体11の前側に配置される。レンズプレート12は、2つのプレート側ガイド穴32と、レンズ部33と、突き当て面36とを有する。
2つのプレート側ガイド穴32は、ガイドピン(不図示)を挿入するための穴である。プレート側ガイド穴32にガイドピンを挿入することによって、フェルール構造体10同士が位置合わせされることになる。なお、プレート側ガイド穴32は、フェルール本体11とレンズプレート12との位置合わせにも用いられることになる。このため、2つのプレート側ガイド穴32の間隔は、フェルール本体10の2つの本体側ガイド穴21の間隔と同じである。すなわち、2つのプレート側ガイド穴32の中心軸間の距離は、フェルール本体10の2つの本体側ガイド穴21の中心軸間の距離と同じである。プレート側ガイド穴32は、前後方向に沿ってレンズプレート12を貫通しており、レンズプレート12の前端面30及び後端面31には2つのプレート側ガイド穴32がそれぞれ開口している。
レンズ部33は、複数のファイバ穴22にそれぞれ挿入される複数の光ファイバ1の端面に対応してそれぞれ配置されており、レンズ部33を介して光ファイバ1の端面に光信号が入出射されることになる。前述したように、本実施形態では、左右方向に並んだファイバ穴22の列が配置されている。そして、図1A及び図1Bに示すように、レンズ部33についても、左右方向に並んだレンズ部33の列が配置されている。すなわち、左右方向に並んだレンズ部33の列がレンズプレート12に配置されることで、ファイバ穴22の列にそれぞれ挿入される光ファイバ1の端面に対応して配置されることになる。レンズ部33は、プレート側ガイド穴32に対して高精度に形成されている。また、レンズ部33は、例えばコリメートレンズとして機能するように形成されている。レンズ部33によってビーム径の拡大された光信号を入出射することによって、光信号がコリメート光として伝播するので、コネクタ間にダストが侵入しても安定して接続することが可能であり、光信号の伝送損失を抑制できる。また、レンズ部33によって径の拡大された光信号を入出射することによって、光信号がコリメート光として伝播するので、コネクタ間で光信号の光路の位置ずれが生じても、光信号の伝送損失を抑制できる。
図2Bの下側には、レンズプレート12部分を拡大した図を示している。レンズ部33は、レンズプレート12の前端面30の側に形成されており、フェルール構造体10の前端面に形成されている。フェルール構造体10同士を対向させて突き合わせたときに、凸状のレンズ部33同士が接触しないようにするために、レンズ部33は、レンズプレート12に形成された凹所(レンズ配置部34)の底部に形成されている。また、図2Bの下側の図に示すように、本実施形態では、レンズ部33は、凸レンズ(平凸レンズ)として形成されている。なお、レンズ部33を含むレンズプレート12は、前述したように光信号を透過させる透明樹脂によって成形されているが、以下の説明で「レンズ部33」という場合、レンズプレート12の部分のうち、レンズ配置部34の底面(レンズ配置面80)に配置された凸レンズ(平凸レンズ)部分のことを指す。そして、「レンズ部33の光軸39」は、レンズ部33の回転対称軸(主軸)である。なお、レンズ部33の光軸39は、レンズ配置面80に対して垂直である。また、「レンズ部33の中心37」は、レンズ部33の光軸39と、レンズ配置面80との交点である。また、「レンズ部33のレンズ面38」は、レンズ部33の表面である。
図2Bの下側の図に示すように、本実施形態では、後述するように、レンズ部33の光軸39は、光ファイバ1の光軸2に対して傾斜している。具体的には、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対してレンズ配置面80が傾斜するように形成されており、このレンズ配置面80にレンズ部33が配置されることで、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に対して傾斜することになる。なお、レンズ配置面80は上側に行くほど前側に傾斜している。本実施形態におけるレンズ配置面80の傾斜の向きは、後述する突き当て面36の傾斜の向きと同じである。
突き当て面36は、光ファイバ1の端面を突き当てるための突き当て面である。突き当て面36は、レンズプレート12の後端面31から凹んだ部位である突き当て面配置部35の底部に形成されている。このため、ガイドピン(不図示)を介してレンズプレート12をフェルール本体11に取り付けたとき(後述)、突き当て面36は、フェルール本体11のファイバ穴22の開口と対向することになる。なお、突き当て面配置部35の底面(突き当て面36)の左右方向の幅は、左右方向に並ぶファイバ穴22の列の幅よりも長い(光ファイバテープの幅よりも長い)。突き当て面配置部35が形成されることによって、フェルール本体11のファイバ穴22の開口面と、レンズプレート12の突き当て面36との間に隙間が形成されることになる。すなわち、レンズプレート12に突き当て面配置部35が形成されることによって、レンズプレート12とフェルール本体11との間に隙間が形成され、この隙間が屈折率整合剤としての機能を有する接着剤を充填させるための整合剤充填部となる。但し、レンズプレート12とフェルール本体11との間の隙間に屈折率整合剤が充填されなくても良い。本実施形態では、突き当て面配置部35は、レンズプレート12の上面から下面にわたって形成されている。このため、突き当て面配置部35(整合剤充填部)は、フェルール構造体10の上面及び下面で開口している。なお、本実施形態では、後述するように、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。さらに、突き当て面36は上側に行くほど前側に傾斜している。このため、図2Bに示すように、突き当て面配置部35として形成されるレンズプレート12とフェルール本体11との間の隙間は、下側に行くほど狭くなっている。
<比較例>
図3Aは、第1比較例のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図3Bは、第1比較例のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図4Aは、第2比較例のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図4Bは、第2比較例のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図5Aは、第1比較例において突き当て面36を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。図5Bは、第2比較例において突き当て面36を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。図5Cは、第1比較例においてレンズ面38を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。なお、図3A〜図4Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。また、図3A及び図4A(後述する図6A及び図7Aも同様)では、光信号の進む向きは、図の左側のフェルール構造体10から図の右側のフェルール構造体10へ伝送される向きを示している。
図3Aは、第1比較例のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図3Bは、第1比較例のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図4Aは、第2比較例のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図4Bは、第2比較例のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図5Aは、第1比較例において突き当て面36を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。図5Bは、第2比較例において突き当て面36を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。図5Cは、第1比較例においてレンズ面38を介して伝送される光信号の様子を示す説明図である。なお、図3A〜図4Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。また、図3A及び図4A(後述する図6A及び図7Aも同様)では、光信号の進む向きは、図の左側のフェルール構造体10から図の右側のフェルール構造体10へ伝送される向きを示している。
なお、図3A及び図4A(後述する図6A及び図7Aも同様)では、光コネクタ同士での光信号の伝送におけるビーム径の拡大及びビームの集光の様子を説明するために、光信号の伝送におけるビームの外縁を模式的に図示している。また、図3B、図4B及び図5A〜図5C(後述する図6B、図7B、図8A及び図8Bも同様)では、突き当て面36及びレンズ面38での光信号の反射の様子を説明するために、光信号の光線の一部を実線又は破線で図示している。
・第1比較例
第1比較例のフェルール構造体10では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)となるように配置されている(図5A参照)。また、レンズ部33は、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されている(図5C参照)。すなわち、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80が、光ファイバ1の光軸2に垂直に配置されている。図3Aでは、このような第1比較例のフェルール構造体10を有する光コネクタ同士を接続した際の光信号の伝送の様子を示している。なお、後述する第2比較例や、第1実施形態及び第2実施形態も同様に、光コネクタ同士は、不図示のアダプタを介して接続されても良い。図3Aに示すように、光コネクタ同士を接続する際、ファイバ付きフェルール構造体10同士が対向することになる。また、光コネクタ同士を接続する際、一方の光コネクタに対して、他方の光コネクタの上下方向を反転させつつ、対向させることになる。
第1比較例のフェルール構造体10では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)となるように配置されている(図5A参照)。また、レンズ部33は、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されている(図5C参照)。すなわち、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80が、光ファイバ1の光軸2に垂直に配置されている。図3Aでは、このような第1比較例のフェルール構造体10を有する光コネクタ同士を接続した際の光信号の伝送の様子を示している。なお、後述する第2比較例や、第1実施形態及び第2実施形態も同様に、光コネクタ同士は、不図示のアダプタを介して接続されても良い。図3Aに示すように、光コネクタ同士を接続する際、ファイバ付きフェルール構造体10同士が対向することになる。また、光コネクタ同士を接続する際、一方の光コネクタに対して、他方の光コネクタの上下方向を反転させつつ、対向させることになる。
以下では、第1比較例のフェルール構造体10を有する光コネクタ同士が接続された際の光信号の伝送の様子を説明する。第1比較例では、一方の(例えば、図3Aの左側に示す)フェルール構造体10が有するレンズ部33は、光ファイバ1の端面3から出射された光信号を拡大して出射する。このとき、光コネクタの接続の相手側の(例えば、図3Aの右側に示す)フェルール構造体10が有するレンズ部33は、拡大された光信号を受け、これらの光信号を集光して、光ファイバ1の端面3に入射させる。このような光コネクタによれば、光コネクタ同士での光信号の伝送をビーム径が拡大した状態で行うことができるので、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、レンズ部33によってビーム径の拡大された光信号を入出射することによって、光信号がコリメート光として伝播するので、コネクタ間にダストが侵入しても安定して接続することが可能であり、光信号の伝送損失を抑制できる。また、レンズ部33によって径の拡大された光信号を入出射することによって、光信号がコリメート光として伝播するので、コネクタ間で光信号の光路の位置ずれが生じても、光信号の伝送損失を抑制できる。
図3A、図3B及び図5Aに示すように、第1比較例では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)に設けられている。光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号は、光ファイバ1と屈折率が異なるレンズプレート12の突き当て面36において一部がフレネル反射する。なお、以下の説明では、このようにレンズプレート12の突き当て面36において反射した光信号を「突き当て面反射光8」と呼ぶことがある。第1比較例では、突き当て面36が光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)に設けられているので、突き当て面反射光8が、再び光ファイバ1の端面3側に戻る(後方向に進む)ことがある。すなわち、第1比較例では、突き当て面反射光8が戻り光となることがある。なお、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号のうち、突き当て面36において突き当て面反射光8としてフレネル反射しない部分については、レンズプレート12中を進むことになる。なお、以下の説明では、このようにレンズプレート12中を進む光信号を「プレート伝送光6」と呼ぶことがある。
また、図3A及び図5Cに示すように、第1比較例では、レンズ部33は、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されている。すなわち、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80が、光ファイバ1の光軸2に垂直に配置されている。また、レンズ部33の中心37は、光ファイバ1の光軸2上に位置している。レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズプレート12と空気との境界であるレンズ面38において一部がフレネル反射する。なお、以下の説明では、このようにレンズ部33のレンズ面38において反射した光信号を「レンズ面反射光9」と呼ぶことがある(図5Cの太破線参照)。第1比較例では、レンズ部33は、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されているので、レンズ面反射光9が、再び光ファイバ1の端面3側に戻る(後方向に進む)ことがある。すなわち、第1比較例では、前述の突き当て面反射光8に加えて、レンズ面反射光9も戻り光となることがある。なお、第1比較例は、突き当て面36及びレンズ部33の配置が第1実施形態と異なるが、他の構成は第1実施形態と変わらない。
下記の表1は、第1比較例のフェルール構造体10における結合効率と反射減衰量とのシミュレーションの結果を示している。第1比較例のフェルール構造体10における光学的な条件としては、突き当て面36の傾斜角度を0度、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80の傾斜角度を0度とし、レンズ部33のオフセット量(後述する図8Bに示すように、レンズ部33の中心37の光ファイバ1の光軸2からの距離D)は、0μmである。ここで、突き当て面36の傾斜角度とは、光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対する突き当て面36の角度である(後述する図5Bの角度A1)。また、レンズ配置面80の傾斜角度とは、光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対するレンズ配置面80の角度である(後述する図8A及び図8Bの角度A2)。なお、レンズ配置面80の傾斜角度は、光ファイバ1の光軸2に対するレンズ部33の光軸39の傾斜角度に等しい。突き当て面36の傾斜角度が0度であることは、すなわち、突き当て面36が光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)に設けられているということである。また、レンズ配置面80の傾斜角度が0度であることは、レンズ部33が、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されているということである。なお、光ファイバ1の端面3の傾斜角度は突き当て面36の傾斜角度と同一であり、0度である。すなわち、光ファイバ1の端面3は突き当て面36の傾斜角度と同じになるようにカットされており、突き当て面36に接していることになる。以下のシミュレーションでは、光ファイバ1の端面3での反射減衰量は考慮しない。すなわち、光ファイバ1の端面3での光信号の反射は考慮しない。すなわち、突き当て面36又はレンズ面38での光信号の反射のみを考慮する。また、光ファイバ1の端面3と突き当て面36との間に接着剤が塗布されている場合、接着剤の屈折率は光ファイバ1の同一としている。
・第2比較例
図4A、図4B及び図5Bに示すように、第2比較例では、第1比較例と異なり、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。このため、図5Bに示すように、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号は、突き当て面36において一部が突き当て面反射光8として反射するが、突き当て面反射光8の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、突き当て面反射光8が戻り光となることを抑制することができる。なお、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号のうち、突き当て面36において突き当て面反射光8として反射しない部分については、プレート伝送光6としてレンズプレート12中を進むことになる。但し、図5Bに示すように、突き当て面36において屈折してプレート伝送光6としてレンズプレート12中を進むことになる。
図4A、図4B及び図5Bに示すように、第2比較例では、第1比較例と異なり、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。このため、図5Bに示すように、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号は、突き当て面36において一部が突き当て面反射光8として反射するが、突き当て面反射光8の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、突き当て面反射光8が戻り光となることを抑制することができる。なお、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号のうち、突き当て面36において突き当て面反射光8として反射しない部分については、プレート伝送光6としてレンズプレート12中を進むことになる。但し、図5Bに示すように、突き当て面36において屈折してプレート伝送光6としてレンズプレート12中を進むことになる。
第2比較例では、レンズ部33は、第1比較例と同様に、レンズ部33の光軸39が光ファイバ1の光軸2に一致するように配置されている。すなわち、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80が、光ファイバ1の光軸2に垂直に配置されている。また、レンズ部33の中心37は、光ファイバ1の光軸2上に位置している。このため、レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズ部33のレンズ面38において一部がレンズ面反射光9として反射し、戻り光となることがある。すなわち、第2比較例では、前述の突き当て面反射光8が戻り光となることを抑制できるが、レンズ面反射光9が戻り光となることがある。なお、第2比較例は、レンズ部33の配置が第1比較例と異なるが、他の構成は第1比較例と変わらない。
下記の表2は、第2比較例における結合効率と反射減衰量とのシミュレーションの結果を示している。第2比較例のフェルール構造体10における光学的な条件としては、突き当て面36の傾斜角度を8度、レンズ部33が配置されるレンズ配置面80の傾斜角度(光ファイバ1の光軸2に対するレンズ部33の光軸39の傾斜角度)を0度とし、レンズ部33のオフセット量は、0μmである。
前述した第1比較例のシミュレーション結果と比較すると、突き当て面36における反射減衰量が、第1比較例では−26.2dBであるのに対し、第2比較例では−110dBと大きく減少している。しかし、レンズ面38における反射減衰量は、第1比較例では−22.2dBであるのに対し、第2比較例では−35.3dBと、突き当て面36における反射減衰量と比べると減少量は小さい。このように、光信号の反射は、突き当て面36だけではなく、レンズ部33のレンズ面38においても起こり得るが、第1比較例及び第2比較例のように、突き当て面36を光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜するように配置するだけでは、光信号の反射による光ファイバ1への戻り光を抑制する効果が小さい。
<第1実施形態のレンズ部33>
図6Aは、第1実施形態のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図6Bは、第1実施形態のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図8Aは、第1実施形態におけるレンズ部33の位置関係を示す説明図である。なお、図6A及び図6Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。
図6Aは、第1実施形態のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図6Bは、第1実施形態のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図8Aは、第1実施形態におけるレンズ部33の位置関係を示す説明図である。なお、図6A及び図6Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。
本実施形態では、第2比較例と同様に、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。このため、第2比較例と同様に、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号は、突き当て面36において一部が突き当て面反射光8として反射するが、突き当て面反射光8の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、突き当て面反射光8が戻り光となることを抑制することができる。
さらに、図6A、図6B及び図8Aに示すように、本実施形態では、第1比較例及び第2比較例とは異なり、レンズ部33の光軸39が、光ファイバ1の光軸2に対して傾斜している。このため、図6Bに示すように、レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズ面38において一部がレンズ面反射光9として反射するが、レンズ面反射光9の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、光ファイバ1中を伝送する光信号がレンズ面38において反射し、光ファイバ1の端面3への戻り光となることを抑制することができる。但し、本実施形態では、第1比較例及び第2比較例と同様に、レンズ部33の中心37は、光ファイバ1の光軸2上に位置している。
下記の表3は、第1実施形態のフェルール構造体10における結合効率と反射減衰量とのシミュレーションの結果を示している。第1実施形態のフェルール構造体10における光学的な条件としては、突き当て面36の傾斜角度を8度、レンズ面38の傾斜角度を8度とし、レンズ部33のオフセット量は、0μmである。
前述した第1比較例のシミュレーション結果と比較すると、突き当て面36における反射減衰量が、第1比較例では−26.2dBであるのに対し、第2比較例と同様に第1実施形態でも−110dBと大きく減少している。また、前述した第2比較例のシミュレーション結果と比較すると、レンズ面38における反射減衰量が、第2比較例では−35.3dBであるのに対し、第1実施形態では−80.4dBと大きく減少している。したがって、レンズ部33の光軸39が、光ファイバ1の光軸2に対して傾斜することで、レンズ面38における光信号の反射による光ファイバ1の光信号の戻り光を抑制することができる。
===第2実施形態===
<第2実施形態のレンズ部33>
図7Aは、第2実施形態のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図7Bは、第2実施形態のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図8Bは、第2実施形態におけるレンズ部33の位置関係を示す説明図である。なお、図7A及び図7Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。
<第2実施形態のレンズ部33>
図7Aは、第2実施形態のファイバ付きフェルール構造体10同士が対向する様子を示す説明図である。図7Bは、第2実施形態のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。図8Bは、第2実施形態におけるレンズ部33の位置関係を示す説明図である。なお、図7A及び図7Bでは、ファイバ付きフェルール構造体10を伝送する光信号の光路周辺の部分のみ図示しており、その他の部分については図示を省略している。
前述の第1実施形態のように、レンズ部33の光軸39を光ファイバ1の光軸2に対して単に傾斜すると、レンズ部33における光信号の入出射方向が相手側光コネクタの光ファイバ1の光軸2に対しても傾斜することになるので、フェルール構造体10同士を対向させたときの結合効率が低下してしまうことがある。そこで、本実施形態では、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させる(ずらす)ようにレンズ部33を配置することで、フェルール構造体10同士を対向させたときの光信号の結合効率を向上させることができる。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。このため、第1実施形態と同様に、光ファイバ1の端面3から前方向に出射した光信号は、突き当て面36において一部が突き当て面反射光8として反射するが、突き当て面反射光8の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、突き当て面反射光8が戻り光となることを抑制することができる。
また、第1実施形態と同様に、レンズ部33の光軸39が、光ファイバ1の光軸2に対して傾斜している。このため、レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズ面38において一部がレンズ面反射光9として反射するが、レンズ面反射光9の方向は、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、光ファイバ1中を伝送する光信号がレンズ面38において反射し、光ファイバ1の端面3への戻り光となることを抑制することができる。
但し、図7A、図7B及び図8Bに示すように、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、光ファイバ1の光軸2上からレンズ部33の中心37を距離Dだけ移動させるようにしてレンズ部33が配置されている。この光ファイバ1の光軸2上からのレンズ部33の中心37の移動量(ずれ量)をレンズ部33のオフセット量としている。また、このレンズ部33がオフセットする方向は、レンズ部33の光軸39を光ファイバ1の光軸2に対して傾斜する方向(図8Bでは、下向き)である。このように、レンズ部33の中心37を、レンズ部33の光軸39を光ファイバ1の光軸2に対して傾斜する方向に、光ファイバ1の光軸2上から所定量(距離D)移動させる(ずらす)ようにレンズ部33を配置することで、コネクタ間で伝播される光信号の光路のロスを少なくしている。したがって、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から所定量(距離D)移動させる(ずらす)ようにレンズ部33を配置することで、フェルール構造体10同士を対向させたときの光信号の結合効率を向上させることができる。
下記の表4は、第2実施形態のフェルール構造体10における結合効率と反射減衰量とのシミュレーションの結果を示している。第2実施形態のフェルール構造体10における光学的な条件としては、突き当て面36の傾斜角度を8度、レンズ面38の傾斜角度を8度とし、レンズ部33のオフセット量は、−14.22μmである。
前述した第1実施形態のシミュレーション結果と比較すると、結合効率が、第1実施形態では−0.553dBであるのに対し、第2実施形態では−0.038dBと増加している。したがって、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させる(ずらす)ようにレンズ部33を配置することで、フェルール構造体10同士を対向させたときの光信号の結合効率を向上させることができる。
ところで、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させて(ずらして)レンズ部33を配置したときに、レンズ部33のレンズ面38において反射したレンズ面反射光9が光ファイバ1の端面3側に進み、戻り光となってしまうことがある。図9Aは、第2実施形態の第1の例のレンズ面38における反射光の様子を示す説明図である。なお、以下では、光ファイバ1の端面3から出射した以降の光信号の伝送の様子について説明している。また、以下では、説明を容易にするために、光ファイバ1の光軸2上を進み、光軸2と光ファイバ1の端面3との交点から出射する光信号の伝送の様子について説明している。このような光信号を「光ファイバ1の光軸2上を進む光信号」と呼ぶことがある。
図9Aに示すように、第1の例では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜している。このため、光ファイバ1の端面3から出射した光信号は、突き当て面36において屈折してレンズプレート12中を進むことになる(プレート伝送光6)。また、図9Aに示すように、第1の例では、レンズ部33の光軸39を光ファイバ1の光軸2に対して傾斜しつつ、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させる(ずらす)ようにレンズ部33が配置されている。図9Aでは、この光ファイバ1の光軸2上からのレンズ部33の中心37の移動量(ずれ量)をD1としている。
図9Aに示す第1の例では、光ファイバ1の光軸2に対するレンズ部33の光軸39の傾斜角度と、光ファイバ1の光軸2上を進む光信号が突き当て面36において屈折した際の屈折光(プレート伝送光6)の、光ファイバ1の光軸2に対する傾斜角度とが同じとなっている(図9Aに示す角度A3)。さらに、第1の例では、図9Aに示すように、プレート伝送光6がレンズ部33の中心37を通過するように、レンズ部33が配置されている。このとき、図9Aに示すように、レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズ面38において一部がレンズ面反射光9として反射するが、レンズ面反射光9の方向は、プレート伝送光6が進んできた方向とちょうど逆向きとなる。つまり、第1の例のようにレンズ部33が配置されている場合、図9Aに示すように、プレート伝送光6のレンズ部33における反射面(図9Aに示す反射面81)に対して垂直にプレート伝送光6が入射するため、反射光(レンズ面反射光)は、プレート伝送光6が進んできた方向とちょうど逆向きとなる。このため、プレート伝送光6がレンズ面38において反射し、光ファイバ1の端面3への戻り光となってしまうことがある。したがって、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させて(ずらして)レンズ部33を配置したときに、レンズ部33のレンズ面38において反射したレンズ面反射光9が光ファイバ1の端面3側に進み、戻り光となってしまうことがある。
そこで、図9Bに示す第2の例では、光ファイバ1の光軸2に対するレンズ部33の光軸39の傾斜角度(図9Bに示す角度A4)を、光ファイバ1の光軸2上を進む光信号が突き当て面36において屈折した際の屈折光(プレート伝送光6)の、光ファイバ1の光軸2に対する傾斜角度と異なるように、レンズ部33が配置されている。なお、第2の例では、図9Bに示すように、プレート伝送光6のレンズ部33における反射面(図9Bに示す反射面82)に対して垂直以外の角度でプレート伝送光6が入射する。したがって、レンズプレート12中を進む光信号(プレート伝送光6)は、レンズ面38において一部がレンズ面反射光9として反射するが、レンズ面反射光9の方向は、プレート伝送光6が進んできた方向と逆向きとならず、光ファイバ1の端面3に戻る方向に対してずれることになる。これにより、光ファイバ1中を伝送する光信号がレンズ面38において反射し、光ファイバ1の端面3への戻り光となることを抑制することができる。このため、レンズ部33のオフセット量D2は、プレート伝送光6がレンズ面38に垂直に入射しない程度であることが望ましい。
なお、前述したように、本実施形態では、レンズ部33の中心37を光ファイバ1の光軸2上から移動させる(ずらす)ようにレンズ部33が配置されている。レンズ部33の中心37における光ファイバ1の光軸2上からのずれ量は、レンズ部33のレンズ面38の形状や屈折率に応じて決定される。レンズ部33の中心37における光ファイバ1の光軸2上からのずれ量を大きくすることで、レンズ面反射光9が再び光ファイバ1の端面3側に戻る(後方向に進む)戻り光が大きくなることがある。例えば、レンズ部33のオフセット量を−47μmとすると、レンズ面38における反射減衰量が再び大きくなる。このため、レンズ部33のオフセット量を−47μm以下とすることが望ましい。
===その他===
<突き当て面36のその他の例>
前述した第1実施形態及び第2実施形態では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜していた。しかし、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜せず、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)に設けられていても良い。
<突き当て面36のその他の例>
前述した第1実施形態及び第2実施形態では、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜していた。しかし、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面(前後方向に垂直な面)に対して傾斜せず、突き当て面36は、光ファイバ1の光軸2に垂直(前後方向に垂直)に設けられていても良い。
第1実施形態及び第2実施形態では、光ファイバ1の端面3は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面に対して傾斜するように形成されると共に、突き当て面36に接するように形成されている。なお、このような光ファイバ1の傾斜した端面3は、研磨により形成されている。光ファイバ1の端面をカットする際、レーザーによるカットや、刃による機械的なカットで傾斜した端面を形成しても良い。これにより、光ファイバ1の端面3と突き当て面36との隙間を小さくすることができる。但し、光ファイバ1の端面3は、光ファイバ1の光軸2に垂直な面に対して傾斜するように形成されておらず、例えば光ファイバ1の端面3が光ファイバ1の光軸2に垂直な面であっても良い。これにより、突き当て面36に接するように形成されていなくてもよい。
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
1 光ファイバ、2 光ファイバの光軸、3 端面、
6 プレート伝送光、7 コリメート光、8 突き当て面反射光、
9 レンズ面反射光、10 フェルール構造体、
11 フェルール本体、12 レンズプレート、20 前端面、
21 本体側ガイド穴、22 ファイバ穴、23 ファイバ挿入口、
24 接着剤充填部、 30 前端面、31 後端面、
32 プレート側ガイド穴、33 レンズ部、34 レンズ配置部、
35 突き当て面配置部、36 突き当て面、
37 中心、38 レンズ面、39 レンズ部の光軸、
80 レンズ配置面、81・82 反射面
6 プレート伝送光、7 コリメート光、8 突き当て面反射光、
9 レンズ面反射光、10 フェルール構造体、
11 フェルール本体、12 レンズプレート、20 前端面、
21 本体側ガイド穴、22 ファイバ穴、23 ファイバ挿入口、
24 接着剤充填部、 30 前端面、31 後端面、
32 プレート側ガイド穴、33 レンズ部、34 レンズ配置部、
35 突き当て面配置部、36 突き当て面、
37 中心、38 レンズ面、39 レンズ部の光軸、
80 レンズ配置面、81・82 反射面
Claims (4)
- 光ファイバの端部を保持するフェルールであって、
前記光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面と、
前記光ファイバの端面に対応して配置されるレンズ部と
を有し、
前記突き当て面が、前記光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜し、
前記レンズ部の光軸が前記光ファイバの光軸に対して傾斜している
ことを特徴とするフェルール。 - 請求項1に記載のフェルールであって、
前記レンズ部の中心が前記光ファイバの光軸上からずれるように、前記レンズ部が配置されている
ことを特徴とするフェルール。 - 請求項2に記載のフェルールであって、
前記光ファイバの光軸に対する前記レンズ部の光軸の傾斜角度は、
前記光ファイバの光軸上を進む光信号が前記突き当て面において屈折した際の屈折光の、前記光ファイバの光軸に対する傾斜角度と異なるように、前記レンズ部が配置されている
ことを特徴とするフェルール。 - 光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持するフェルールとを有するファイバ付きフェルールであって、
前記光ファイバの端面を突き当てるための突き当て面と、
前記光ファイバの端面に対応して配置されるレンズ部と
を有し、
前記突き当て面が、前記光ファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜し、
前記レンズ部の光軸が前記光ファイバの光軸に対して傾斜している
ことを特徴とするファイバ付きフェルール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2019/036294 WO2020121619A1 (ja) | 2018-12-10 | 2019-09-17 | フェルール及びファイバ付きフェルール |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018230820 | 2018-12-10 | ||
JP2018230820 | 2018-12-10 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020095240A true JP2020095240A (ja) | 2020-06-18 |
Family
ID=71086140
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019106924A Pending JP2020095240A (ja) | 2018-12-10 | 2019-06-07 | フェルール及びファイバ付きフェルール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020095240A (ja) |
-
2019
- 2019-06-07 JP JP2019106924A patent/JP2020095240A/ja active Pending
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