JP2020094734A - 火格子式廃棄物焼却炉及び火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法 - Google Patents

火格子式廃棄物焼却炉及び火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法 Download PDF

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【課題】火格子上の廃棄物層厚を火格子上に到達する前に推定して炉の操業条件を制御する火格子式廃棄物焼却炉及び方法を提供することを課題とする。【解決手段】火格子式廃棄物焼却炉1であって、シュート4内の廃棄物の水分率を測定する水分率計13と、シュート4内の廃棄物の水分率測定値に基づき焼却炉の操業条件を制御する制御装置15を備え、制御装置15は、シュート4内の廃棄物の水分率測定値に基づき火格子5上の廃棄物の推定層厚を算出する層厚推定部15aと、推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御する操作端制御部15bとを備え、層厚推定部15aは、シュート4内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子5上での廃棄物の層厚との相関関係を予め記憶する記憶部と、該相関関係にもとづき水分率測定値から火格子5上での廃棄物の推定層厚を算出する演算部とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、都市ごみ等の廃棄物を焼却する火格子式廃棄物焼却炉及び火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法に関する。
都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する焼却炉として、火格子式廃棄物焼却炉が広く用いられている。その代表的なものの構成の概要を以下に説明する。
火格子式廃棄物焼却炉は、廃棄物を燃焼する燃焼室の下部に廃棄物の移動方向に順に配置され三段から成る火格子(乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子)を有し、後燃焼火格子の上方に位置する燃焼室の出口に二次燃焼室が連設されている。上記燃焼室には乾燥火格子の上方に位置して廃棄物投入口が設けられている。そして後燃焼火格子の廃棄物の移動方向下流側下方には灰排出口が設けられている。通常、上記二次燃焼室は廃熱回収用の廃熱ボイラの一部でもあり、その入口近傍部分である。また、乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子それぞれの火格子下から燃焼用一次空気を吹き込む燃焼用一次空気吹込み機構が設けられている。
このような火格子式廃棄物焼却炉において、廃棄物投入口から燃焼室内に投入された廃棄物は、乾燥火格子上に堆積され、乾燥火格子の下からの燃焼用一次空気と炉内の輻射熱により乾燥されると共に、昇温されて着火する。すなわち、上記乾燥火格子の直上方では、廃棄物の移動方向の上流側空間で乾燥領域が形成され、乾燥火格子の直上方の下流側空間から燃焼火格子の直上方の上流側空間にかけて燃焼開始領域が形成される。燃焼開始領域で着火して燃焼を開始した廃棄物は、乾燥火格子から燃焼火格子上に送られ、廃棄物が熱分解されて可燃性ガスが発生し、燃焼火格子の下から送られる燃焼用一次空気により可燃性ガスが火炎を形成して燃焼し、さらに固形分が燃焼して、燃焼火格子の直上方空間で主燃焼領域が形成される。そして、更に後燃焼火格子上で、固定炭素など未燃分が完全に燃焼し、該後燃焼火格子の直上方空間で後燃焼領域が形成される。しかる後、燃焼後に残った灰は、灰排出口より外部に排出される。
かくして、火格子式廃棄物焼却炉では、廃棄物は燃焼室にて三段の火格子の下から吹き込まれる燃焼用一次空気により燃焼する。さらに、燃焼室からの燃焼ガスに含まれている可燃性ガスの未燃分(未燃ガスという)は、廃熱ボイラの一部である二次燃焼室で二次燃焼用空気を受けて燃焼(二次燃焼という)する。二次燃焼の後に燃焼排ガスは廃熱ボイラで熱回収され、蒸気を発生させ、蒸気は発電機に供給される。
このような火格子式廃棄物焼却炉において、炉内は、廃棄物の移動方向で上流側から、乾燥領域、燃焼開始領域、主燃焼領域と後燃焼領域が順に形成される。主燃焼領域において燃焼火格子上の廃棄物は熱分解そして部分酸化が行われ、可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスと廃棄物の固形分が燃焼する。可燃性ガスが燃焼する際には火炎を形成して燃焼する。しかる後、後燃焼領域において、残った廃棄物中の固定炭素などの固形分の未燃分が後燃焼火格子上で完全に燃焼される。固形分が燃焼する際には火炎は発生せず熾燃焼する。
主燃焼領域とは、廃棄物の熱分解、部分酸化が行われ可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスが火炎を伴って燃焼しているとともに廃棄物の固形分が燃焼する燃焼領域である。火炎を伴う燃焼が実質的に完了する点を燃切点と言い、主燃焼領域と後燃焼領域との境界となる。燃切点より後の領域では、廃棄物中の固形分の未燃分が燃焼する熾燃焼領域(後燃焼領域)となる。
このような廃棄物焼却炉による廃棄物の燃焼においては、上記熱回収を良好に行うとともに、燃焼によって発生するCO,NOxなどの有害物質の発生を抑制するために、燃焼を安定させるように、燃焼状況を監視して焼却炉の操業条件を制御している。
火格子式廃棄物焼却炉における燃焼室内での廃棄物の燃焼状況を監視するためには、例えば、燃焼室の下流側(灰排出口側)で燃焼室の壁面に設けた監視窓から燃焼室内の廃棄物の状況をCCDカメラで撮影して廃棄物の状況の映像を監視して適正な状況になるように焼却炉の操業条件を制御することが行われている。
また、焼却炉内の状況を把握して燃焼を制御する他の方法としては、特許文献1に開示されているように、例えば、赤外線カメラを用いてごみ高さを測定し、炉内熱画像により火格子上のごみ高さ(廃棄物層厚)の分布を推定し、ごみの搬送速度等の操業条件を調整して理想的な廃棄物層厚の分布となるように制御することも知られている。
特許文献1では、ごみ高さ情報を得るために、熱画像撮影部(赤外線カメラ)に加え、ごみ高さ制御部を有し、熱画像撮像部により火格子部上のごみの熱画像が取得され、ごみ高さ演算部により、当該熱画像に基づいて火格子部上のごみ高さの分布を示すごみ高さ情報が取得される。ごみ高さ制御部では、搬送方向におけるごみ高さの分布が、搬送方向の下流側に向ってごみ高さが漸次低くなる理想的な分布に近づくように、当該ごみ高さ情報に基づいて、ごみ供給部によるごみの供給速度と、乾燥火格子によるごみの搬送速度と、燃焼火格子によるごみの搬送速度とが個別に制御される。特許文献1の記載によると、これにより、ごみの搬送経路におけるごみ高さの分布を安定させることができる。
特開2017-187228
燃焼室内での廃棄物の安定燃焼のためには、火格子上の廃棄物層厚の制御が重要である。
しかしながら、従来行われてきた、CCDカメラで撮影した映像で火炎の状況を監視する方法にあっても、特許文献1による炉内熱画像により火格子上の廃棄物層厚の分布を推定し、理想的な廃棄物層厚となるように制御する方法にあっても、火格子上の廃棄物の状態が変動した結果として現れる現象である燃焼状況の変動を検知できるものの、操業条件を制御してからその制御が実際に反映されるまでには時間を要するため、制御が間に合わず不適切な廃棄物層厚のまま燃焼が継続してしまう。
火格子式焼却炉では、火格子上の廃棄物層厚を適切に制御することが重要であり、不適切な廃棄物層厚では燃焼される廃棄物が過多または過少となるのでこの燃焼が継続すると操業に様々な悪影響を及ぼす。廃棄物層厚が厚すぎる場合は過剰燃焼を引き起こし窒素酸化物の増加やボイラでの過度な蒸発量の生成に繋がり、一方、廃棄物層厚が薄すぎる場合は、燃焼による発生熱エネルギー量が不足し、排ガスから熱回収するボイラで十分な蒸気量を生成できず、発電量が低下してしまうという課題があった。そのため、火格子式焼却炉では極力廃棄物層厚を一定に制御することが重要であるが、焼却炉に供給される廃棄物は性状の変動が大きいため、変動に速やかに対応する廃棄物層厚の制御は困難である。
例えば、水分を多く含んだ廃棄物は比重が大きいため、シュート内で自重により圧密されやすく、炉内へ供給される直前には大きな質量密度となっているため、燃焼室内に供給され火格子上でほぐれると廃棄物層厚が極端に厚くなる。一方、水分が少ない廃棄物は燃焼室へ供給される直前での質量密度が低いため、火格子上で廃棄物層厚が極端に薄くなってしまう。
また、供給される廃棄物の性状変動による火格子上の廃棄物の状態の変動を前もって把握できないので、現状では、この廃棄物の状態の変動に十分に追従した操業条件の制御がなされずに、廃棄物焼却炉の操業条件の制御が適正に対応されていないまま、廃棄物の燃焼が不安定となり、燃焼排ガスの温度、ガス組成を所定の適正範囲内に保持することができず、排ガス中のCO濃度、NOx濃度が増大するという問題が生じたり、排ガスからの熱回収により発生させる蒸気量が変動するという問題が生じる。
本発明は、かかる事情に鑑み、シュート内における廃棄物の性状から、火格子上での廃棄物の層厚を、火格子上に到達する前に把握して、該廃棄物の層厚の変動に対応して操業条件を適正に制御して、廃棄物を安定して燃焼することができる火格子式廃棄物焼却炉及び火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法を提供することを課題とする。
本発明において、上述の課題は、次のように構成される火格子式廃棄物焼却炉もしくは火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法により解決される。
<火格子式廃棄物焼却炉>
火格子式廃棄物焼却炉であって、外部から廃棄物を受けるシュートと、火格子を備え該火格子上の廃棄物を搬送しつつ燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込手段と、シュート内の廃棄物を火格子上に供給する供給機とを有する火格子式廃棄物焼却炉において、
シュート内の廃棄物の水分率を測定する水分率計と、廃棄物の水分率測定値に基づき焼却炉の操業条件を制御する制御装置とを備え、
制御装置は、シュート内の廃棄物の水分率測定値に基づき火格子上の廃棄物の推定層厚を算出する層厚推定部と、推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御する操作端制御部とを備え、層厚推定部は、シュート内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子上での廃棄物の層厚との相関関係を予め記憶する記憶部と、該相関関係にもとづき水分率測定値から火格子上での廃棄物の推定層厚を算出する演算部とを有することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。
本発明において、火格子式廃棄物焼却炉は、シュート内の廃棄物の表層高さ位置を測定する表層高さ位置測定計を有し、層厚推定部は、表層高さ位置測定計により測定された廃棄物の表層高さ位置測定値の経時変化に基づき、水分率を測定された廃棄物が火格子上に到達するまでの時間を算出するタイムラグ算出部を有することとする請求項1に記載の火格子式廃棄物焼却炉。
こうすることで、廃棄物がシュート内の水分率を測定される位置から火格子上に到達するまでの時間をタイムラグとして考慮することで、制御の精度を向上させることができる。
本発明において、操作端制御部は、供給機の廃棄物供給速度、火格子の廃棄物搬送速度、燃焼用一次空気供給量のうちの少なくとも一つを制御するように設定することができる。
<火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法>
火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、外部からシュートへ廃棄物を投入し、シュート内の廃棄物を供給機により燃焼室内の火格子上に供給し、火格子上の廃棄物を搬送しつつ燃焼するとともに、一次空気吹込手段により燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法において、
シュート内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子上での廃棄物の層厚との相関関係を把握し、
シュート内の廃棄物の水分率を測定し、
上記相関関係に基づき、水分率測定値から火格子上での廃棄物の推定層厚を算出し、
推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法。
本発明において、シュート内の廃棄物の表層高さ位置を測定し、測定された廃棄物の表層高さ位置測定値の経時変化に基づき、水分率を測定された廃棄物が火格子上に到達するまでの時間をタイムラグとして算出し、水分率測定時から該タイムラグを加えた時点で操作端の操作量を制御することができる。
こうすることで、廃棄物がシュート内の水分率を測定される位置から火格子上に到達するまでの時間をタイムラグとして考慮することで、制御の精度を向上させることができる。
本発明において、操作端の操作量は、供給機の廃棄物供給速度、火格子の廃棄物搬送速度、燃焼用一次空気供給量のうちの少なくとも一つとすることができる。
本発明は、以上のように、シュート内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子上での廃棄物の層厚との相関関係を予め記憶し、シュート内の廃棄物の水分率を測定し、記憶された相関関係にもとづき、水分率測定値から火格子上での廃棄物の推定層厚を算出し、推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御することとしたので、水分率測定値に基づき、シュート内へ供給された廃棄物が火格子上で燃焼開始されるときの火格子上での廃棄物の層厚を推定して把握することができ、廃棄物が燃焼開始するときにリアルタイムに各操作端のフィードフォワード制御を行うことが可能となる。また、推定される廃棄物の層厚に所定範囲を超える変動があるときには、その変動に対応して前もって操業条件を適正に制御して、廃棄物を安定して燃焼することができるので、燃焼排ガスの温度、ガス組成の変動を極力小さくして、排ガス中のCO濃度、NOx濃度を低く抑制できるとともに、排ガスからの熱回収による蒸気発生量の変動を抑制でき、燃焼と蒸気発生を安定して行うことができる。
本発明の一実施形態に係る火格子式廃棄物焼却炉の概要構成を示す縦断面図である。 水分率信号強度と廃棄物層厚との関係を時系列的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面にもとづき説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
火格子式廃棄物焼却炉にあっては、火格子上で廃棄物を望ましい状態で燃焼させるには、火格子上の廃棄物層厚を把握し、適切な層厚範囲に制御することが重要である。火格子上の廃棄物層厚の測定結果にもとづいて操業条件を制御しても、それが火格子上での廃棄物の層厚を適切な範囲とするように反映されるまでに時間を要し、廃棄物層厚の変動に対して速やかで適切な制御が行われているとは言えない。
そこで、出願人は、廃棄物が炉内に供給される前に測定できるシュート内の廃棄物の性状にもとづき、火格子上の廃棄物層厚を予測できることに着目し、本発明に至った。すなわち、シュートにて廃棄物の水分率を測定し、この水分率と火格子上の廃棄物層厚との相関関係に基づき、炉内に供給され火格子上に堆積され燃焼されるときの廃棄物層厚を上記水分率から予測する技術を考案した。廃棄物の水分率計測をシュートにて行うため、廃棄物がシュート内から燃焼室内の火格子上に供給されて燃焼が開始されるまでには十分に時間があり、焼却炉の操作端の操作量を増減して制御することを前もって行うことができ、火格子上の廃棄物層厚を適切な範囲に収まるように制御することが可能となる。
シュート内の廃棄物の水分率と火格子上の廃棄物層厚が相関関係を有していることが、図2に見られる実測値の時系列変化で確認できる。図2では、横軸に焼却炉の運転日数(日)をとり、縦軸に水分率を示す水分計信号強度(V)と廃棄物層厚の変動率(無次元化)を示している。この測定は、火格子上の廃棄物層が厚い程、火格子下から供給する燃焼用一次空気の通気抵抗が大きくなり、圧力損失が増加するという現象にもとづき、火格子下から供給する燃焼用一次空気の圧力損失を測定し、その変動挙動を廃棄物層厚の変動化率として表現したものである。図2に示されるように、水分率信号強度の変化と廃棄物層厚の変化とは非常によく相似していることが長い日数にわたり確認できる。
この水分率信号強度の変化と廃棄物層厚の変化の両者との相似関係は、時間単位の短い時間内で観察すると、廃棄物がシュートから火格子上に到達するまでに要する時間だけ、位相にずれが、すなわちタイムラグがある。この状況を確認するために、水分率測定タイミングから廃棄物層厚推定タイミングまでの時間差と、水分率と廃棄物層厚との相関係数を調べてみた結果、例えば、図2に示す事例では、時間差が約120分であるときに相関係数のピークの存在が確認できた。換言すれば、水分率測定時から、約2時間後の廃棄物層厚を推定できることになる。このように、水分率測定タイミングと廃棄物層厚推定タイミングとの間のタイムラグを実際の焼却炉の操業に応じて予め把握しておく。
このような背景のもと、以下、本発明の一実施形態の火格子式廃棄物焼却炉の基本構成、各構成装置そして作用について説明する。
<火格子式廃棄物焼却炉の基本構成>
図1は本発明の一実施形態に係る火格子式廃棄物焼却炉の概要構成を示している。まず、本発明の一実施形態に係る火格子式廃棄物焼却炉の基本構成と焼却方法の概要を説明し、次いで各構成装置の詳細を説明する。この実施形態において、燃焼室内での廃棄物の移動方向(炉長方向)における燃焼室の上流側(図1にて左側)を前部、下流側を後部という。
本実施形態に係る火格子式廃棄物焼却炉1は、燃焼室2と、この燃焼室2内の廃棄物の流れ方向の上流側(図1の左側)上方に配置され、廃棄物を燃焼室2内に投入するためのシュート4の上端に開口形成された廃棄物投入口3と、燃焼室2の廃棄物の流れ方向の下流側(図1の右側)の上方に連設される廃熱ボイラ(図示せず)とを備える火格子式廃棄物焼却炉である。上記シュート4の下端に位置する受床4Aには後述の供給機12が設けられている。
燃焼室2の底部には、廃棄物を移動させながら燃焼させる火格子(ストーカ)5が設けられている。この火格子5は、廃棄物投入口3に近い方から、すなわち、上流側から乾燥火格子5a、燃焼火格子5b、後燃焼火格子5cの順に設けられていて、乾燥火格子5aと燃焼火格子5bの上に廃棄物層Wが形成されている。これらの火格子5a〜5cは後述の駆動機構により連動して廃棄物を前方へ向け、すなわち下流側へ搬送するようになっている。
乾燥火格子5aでは主として廃棄物の乾燥と着火が行われる。燃焼火格子5bでは主として廃棄物の熱分解、部分酸化が行われ、熱分解により発生した可燃性ガスと固形分の燃焼が行われ、可燃性ガスが燃焼する際に火炎を形成する。後燃焼火格子5c上では、残った廃棄物中の固形分の未燃分を完全に燃焼させる。廃棄物中の固形分が燃焼する際には火炎は発生せず熾燃焼する。完全に燃焼した後の燃焼灰は、灰排出口6より排出される。
このような本実施形態の火格子式廃棄物焼却炉では、燃焼室2内の廃棄物層Wの直上の空間に、下記のような諸領域が形成される。
乾燥火格子5aの直上方で上記受床4Aに隣接して位置する該乾燥火格子5aの廃棄物の流れ方向の上流側範囲(前部)の上方には乾燥領域が形成される。
乾燥火格子5aの下流側範囲(後部)から燃焼火格子5bの上流側範囲(前部)の上方には燃焼開始領域が形成される。すなわち、乾燥火格子5aの廃棄物は、上流側範囲で乾燥され、下流側範囲で着火して、燃焼火格子5bの上流側範囲(前部)までの範囲で燃焼が開始する。
燃焼火格子5b上の廃棄物は、ここで熱分解そして部分酸化が行われ、可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスと廃棄物の固形分が燃焼する。廃棄物は、この燃焼火格子5b上で実質的に殆んど燃焼される。こうして、上記燃焼火格子5bの上方に主燃焼領域が形成される。
しかる後、僅かに残った廃棄物中の固定炭素など未燃分が後燃焼火格子5c上で完全に燃焼される。この後燃焼火格子5cの上方に後燃焼領域が形成される。
廃棄物が焼却される場合、まず水分の蒸発が起こり、次いで熱分解と部分酸化反応が起こり、可燃性ガスが生成し始める。燃焼開始領域で廃棄物の燃焼が始まり、廃棄物の熱分解、部分酸化により可燃性ガスが生成し始める。主燃焼領域で廃棄物の熱分解、部分酸化が行われ可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスが火炎を伴って燃焼しているとともに廃棄物の固形分が燃焼する。主燃焼領域は火炎を伴う燃焼が完了する点(燃切点)までの領域である。燃切点より後の領域では、廃棄物中の固形未燃分が燃焼する熾燃焼領域(後燃焼領域)となる。
上記燃焼室2の下流側における出口には廃熱ボイラ(図示せず)が連設され、該廃熱ボイラの入口近傍が燃焼室2から排出されるガス中の可燃性ガスの未燃分(未燃ガス)を燃焼する二次燃焼室10となっている。廃熱ボイラの一部である二次燃焼室10内で二次燃焼用ガスが吹き込まれ、未燃ガスが二次燃焼し、この二次燃焼の後に燃焼排ガスは廃熱ボイラで熱回収され、蒸気を発生させ蒸気が発電機に用いられる。熱回収された後、廃熱ボイラから排出された燃焼排ガスは、図示しない排ガス処理装置系で消石灰等による酸性ガスの中和が行われ、さらに図示しない除塵装置に送られ、中和反応生成物、ダストなどが回収される。上記除塵装置で除塵され、無害化された後の燃焼排ガスは、図示しない誘引ファンにより誘引され、煙突から大気中に放出される。
このような基本構成である火格子式廃棄物焼却炉において、本実施形態に係る火格子式廃棄物焼却炉1は、上記火格子5の下方から燃焼用一次空気Pを炉内へ供給する一次空気吹込手段、廃棄物投入口3から投入された廃棄物を火格子5へ送り出す供給機12、火格子の駆動機構、シュート4内での廃棄物の水分率を測定する水分率計13、シュート4内の廃棄物の高さを測定する表層位置高さ計としてのレベル計14、さらには水分率の測定値に基づいて火格子5上の廃棄物層厚を推定し廃棄物層厚に基づき各操作端の操作量を制御する制御装置15とを備えている。以下、これらの諸装置について説明する。
廃棄物投入口3は、クレーン(図示せず)によって落下投入された廃棄物を受ける。該廃棄物投入口3に接続されたシュート4の下部には、廃棄物を押し出して燃焼室2内へ供給する往復動可能な供給機(押出機)12が設けられている。本実施形態では、該供給機12の押出移動速度によって燃焼室2内への廃棄物供給量が調整されるようになっている。
シュート4の側壁には、シュート4内の廃棄物の水分率を測定するための水分率測定手段としての水分率計13が設けられている。該水分率計13としては種々の方式を採用することができ、例えば、透過型マイクロ波強度方式、接触型マイクロ波強度方式、接触型静電容量方式、透過型静電容量方式、赤外線強度方式等が挙げられる。
例えば、透過型マイクロ波強度方式は、発信したマイクロ波を廃棄物に透過させ、受信したマイクロ波の減衰率などから廃棄物の水分率を測定する方式であり、測定できる廃棄物の範囲を広く確保することができるので、シュート内の廃棄物のように水分率が不均一に分布している場合の測定に適している。
透過型マイクロ波強度方式においては、水分率計としての透過型マイクロ波強度水分計が、マイクロ波の発信部と、受信部と、該受信部に接続された水分率算定器とを有している。該発信部は、例えばシュートの一方の壁面に設置され、受信部はシュートの他方の壁面に設置される。マイクロ波は水分に吸収される特性をもつため、発信部から出たマイクロ波は、廃棄物を透過した際に廃棄物中の水分によって減衰して受信部へ到達する。透過型マイクロ波強度水分計では、このマイクロ波の減衰率に基づいて、廃棄物に含まれる水分率を水分率算定器で算定することができる。
具体的には、上記透過型マイクロ波強度水分計は、発信部の発信マイクロ波強度に対する受信部での受信マイクロ波強度との強度比(又は強度差)、すなわち発信部における発信電圧に対する受信部における受信電圧の電圧比(又は電圧差)を、マイクロ波が廃棄物を透過した際の減衰率(又は減衰量)として求める。上記水分率算定器は、マイクロ波の減衰率と廃棄物の水分率との相関関係を関係データベースとして予め保持していて、該関係データベースを参照することにより、実測の上記電圧比として求められた上記減衰率から廃棄物の水分率を算定する。水分率算定器は後述の制御装置15の廃棄物層厚推定部15aに接続されており、該水分率算定器で算定された廃棄物の水分率が該廃棄物層厚推定部15aへ伝送される。
また、水分率計として接触型静電容量方式を採用した場合、水分率計としての接触型静電容量水分計が、接触型静電容量式の静電容量計と、該静電容量計に接続された水分率算定器とを有している。該静電容量計はシュート内の廃棄物の静電容量を計測し、水分率算定器は、予め保持している廃棄物の静電容量と水分率との相関関係から、上記静電容量計による静電容量の計測値に対応する水分率を算定できるようになっている。具体的には、水分率算定器は、廃棄物の静電容量と廃棄物の水分率との相関関係を予め計測して明らかにした関係データベースを保持しており、静電容量計から送られてきた廃棄物の静電容量の計測値を上記関係データベースにおける静電容量と水分率との関係と照合して、測定された廃棄物の水分率を算定する。水分率算定器は後述の制御装置の廃棄物の廃棄物層厚推定部15aに接続されており、該水分率算定器で算定された廃棄物の水分率が該廃棄物層厚推定部15aへ伝送される。
また、廃棄物投入口3の上方位置には、該廃棄物投入口3内での廃棄物の表面の高さ(表層高さ:レベル)を計測するためのレベル計14が設けられている。
<一次空気吹込手段>
本実施形態では、火格子式廃棄物焼却炉1は、既述したように燃焼用一次空気Pを吹き込む一次空気吹込手段を備えている。該一次空気吹込手段は、空気供給源からの燃焼用一次空気Pを、燃焼用一次空気供給管9を経て、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの風箱7a,7b,7cに分岐供給管から送り込むようになっており、上記燃焼用一次空気供給管9には、ブロワ8、一次空気供給量調整機構としてのダンパ11が設けられている。
燃焼用一次空気Pは、ブロワ8により外部から取り込まれた空気が、燃焼用一次空気供給管9を通って乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの下部に設けられた風箱7a,7b,7cに供給された後、各火格子5a,5b,5cを通って燃焼室2内に供給される。火格子下から供給される燃焼用一次空気Pは、火格子5a,5b,5c上の廃棄物の乾燥及び燃焼に使われるほか、火格子5a,5b,5cの冷却作用、廃棄物の攪拌作用を有する。燃焼室2内に供給される燃焼用一次空気Pの供給量は、燃焼用一次空気供給管9に設けられた一次空気供給量調整用のダンパ11により調整される。また、風箱7a,7b,7c及び燃焼用一次空気Pを供給するための燃焼用一次空気供給管9等の構成は図示したものに限定されず、焼却炉の規模、形状、用途等により適宜選択され得る。
<供給機>
本実施形態では、シュート4の下端に位置する受床4Aの直上で炉内側に向けた方向(図1の矢印X方向)そして逆方向(図1にて右方そして左方)に往復動するロッド状の押出部材を有する供給機12が設けられている。
供給機12は、該供給機12の押出部材が押出始点(左端の位置)と押出終点(右端の位置)の間での往復動を繰り返して、往動(右端側に位置する燃焼室2へ向けた前進)時に廃棄物Wを炉内側へ向け押し出して燃焼室2内の上流部(図1における左端側部分)に位置する乾燥火格子5a上に該廃棄物Wを落下供給するようになっている。この供給機12は、供給機12の単位時間当りの往復動回数又は往復動速度を変えることで、乾燥火格子5aへの廃棄物Wの供給速度(単位時間あたりの供給量)を制御可能としている。
<火格子の駆動機構>
乾燥火格子5a、燃焼火格子5bそして後燃焼火格子5cは互いに連動するようにリンクで連結されていて、駆動機構(図示せず)により前後往復動し、下流側に向け移動する際に廃棄物を下流側へ搬送する。上記駆動機構は、火格子5の単位時間当りの往復動回数又は往復動速度を変えることで、火格子の搬送速度(単位時間あたりの廃棄物搬送量)を制御可能としている。
本実施形態では、火格子5上の廃棄物層厚を、シュート4内で測定された廃棄物の水分率にもとづいて焼却炉1の操作条件を制御することで適正な火格子上の廃棄物層厚とするための制御装置15を備えている。該制御装置15は、廃棄物層厚推定部15aと操作端制御部15bとを有している。
<廃棄物層厚推定部>
制御装置15の廃棄物層厚推定部15aは、
(a)シュート4内の廃棄物の水分率測定値を取得し、
(b)シュート4内の廃棄物の表層位置測定値を取得し、
(c)廃棄物が水分率測定位置から火格子上位置まで移動するのに要する時間としての
タイムラグを廃棄物層厚推定部15aに設けられたタイムラグ算出部(図示せ
ず)にて算出し、
(d)水分率測定値から火格子上の廃棄物層厚を推定することで、
上記水分率測定値から燃焼を開始するときの火格子上の廃棄物層厚を推定する機能を有している。
この廃棄物層厚の推定は、次のような手順で行われる。
先ず、上記(a)にて、水分率計13からシュート4内の廃棄物の水分率測定値を取得する。さらに、上記(b)にて、レベル計14からシュート4内の廃棄物の表層位置(高さ)測定値を取得する。次に、上記(c)にて、この表層位置測定値は、レベル計14から連続してあるいは所定時間毎に間欠的に得ることができ、単位時間当りの表層位置の下降量からシュート4内での廃棄物の降下速度が算出される。したがって、シュート4等の内面寸法が既知なので移動廃棄物体積が得られ、単位時間当りの廃棄物の乾燥火格子5a上への供給量が算出され、廃棄物が水分率測定位置から乾燥火格子5aに到達するまでの時間が算出される。この時間が上記タイムラグとしてタイムラグ算出部で算出される。
一方、廃棄物層厚推定部15aは、シュート4内の廃棄物の水分率と該廃棄物の乾燥火格子5a上での層厚との相関関係を予めデータとして記憶部(図示せず)に保有しており、この相関関係を参照して、上記(d)にて、上記シュート4内での廃棄物の水分率測定値から、廃棄物が乾燥火格子5a上に達したときの廃棄物の層厚を演算部(図示せず)で推定する。その際、廃棄物の移動に際し、上記タイムラグが存在するので、この推定は、水分率測定値を得たときから、このタイムラグ時間を経たときの推定層厚であると、判断する。
<操作端制御部>
制御装置15の操作端制御部15bは、シュート4内での廃棄物の水分率測定値と廃棄物層厚推定部15aにて推定された火格子5上の廃棄物層厚に基づいて、各操作端の操作量を、例えばPID制御により制御する。本実施形態における燃焼制御においては、制御する操作量として、燃焼室2内への廃棄物供給量、廃棄物送り速度及び燃焼用一次空気供給量が設定されている。また、上記廃棄物供給量に対応する操作端は供給機12であり、廃棄物送り速度に対応する操作端は火格子5a〜5cであり、上記燃焼用一次空気供給量に対応する操作端はダンパ11である。つまり、上記廃棄物供給量に対応する操作端の操作量は供給機12の移動速度であり、廃棄物送り速度に対応する操作端の操作量は火格子5a〜5cの送り速度であり、上記燃焼用一次空気供給量に対応する操作端の操作量はダンパ11の開度である。図1に見られるように、操作端としての供給機12、火格子5a〜5c及びダンパ11はそれぞれ制御装置15の操作端制御部15bにより制御されるようになっている。
操作端制御部15bは、火格子5上の廃棄物層厚推定値に基づき、廃棄物層厚が所定範囲内となるような操作端の操作量、すなわち供給機12の移動速度、火格子5の送り速度及びダンパ11の開度を算出する。そして、操作端制御部15bは、算出したそれぞれの操作量を指示情報として各操作端、すなわち供給機12、火格子5、ダンパ11へ発信し各操作端の操作量を制御する。
次に、このように構成される本実施形態装置での廃棄物の焼却状況の概要、廃棄物層厚の推定、廃棄物燃焼制御について順次説明する。
<焼却状況の概要>
先ず、廃棄物投入口3からシュート4内へ廃棄物を投入すると、受床4A上に落下した廃棄物は供給機12の往復動によりその往動時に燃焼室2内の乾燥火格子5a上に供給されて堆積され、駆動機構により駆動される各火格子5a〜5cの往復動作の往動時に、乾燥火格子5a上から燃焼火格子5b上そして後燃焼火格子5c上へと順次移動し、各火格子上に廃棄物Wの層を形成する。各火格子5a〜5cの下方から、ダンパ11で流量制御されて、燃焼用一次空気Pが風箱7a,7b,7cを経て供給されており、これにより各火格子5a〜5c上の廃棄物は乾燥そして燃焼される。
乾燥火格子5a上では主として廃棄物の乾燥と着火が行われる。すなわち、乾燥火格子5aの廃棄物は、乾燥火格子5aの上流側範囲で乾燥され、乾燥火格子5aの下流側範囲で着火して、燃焼火格子5bの上流側範囲(前部)までの範囲で燃焼が開始する。燃焼火格子5b上では主として廃棄物の熱分解、部分酸化が行われ可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスが火炎を伴って燃焼するとともに、廃棄物中の固形分の燃焼が行われる。燃焼火格子5b上において廃棄物の燃焼は実質的に完了する。後燃焼火格子5c上では、僅かに残った廃棄物中の固定炭素など未燃分を完全燃焼させる。燃切点より後の領域では、廃棄物中の固形未燃分(チャー)が燃焼され、完全燃焼した後の燃焼灰は、灰排出口6より排出される。
既述のごとく、燃焼室2の出口に、廃熱ボイラ(図示せず)が連設されていて、廃熱ボイラの入口近傍が二次燃焼室10となっている。したがって、燃焼室2内で発生した可燃ガスの未燃分は、二次燃焼室10に導かれ、そこで二次燃焼空気と混合・攪拌され、二次燃焼する。二次燃焼の後に排ガスは廃熱ボイラで熱回収される。熱回収された後、廃熱ボイラから排出された排ガスは、消石灰等による酸性ガスの中和が行われ、さらに除塵装置(図示せず)に送られ、中和反応生成物、ダストなどが回収される。上記除塵装置で除塵され、無害化された後の排ガスは、誘引ファン(図示せず)により誘引され、煙突から大気中に放出される。なお、上記除塵装置としては、例えば、バグフィルタ方式、電気集塵方式等の除塵装置を用いることができる。
<火格子上の廃棄物層厚の推定>
廃棄物層厚推定部15aでは、既述のように、水分率計13からシュート4内の廃棄物の水分率測定値を取得するとともに、レベル計14からシュート4内の廃棄物の表層位置(高さ)測定値を取得する。この表層位置測定値にもとづき、単位時間当りの表層位置の下降からシュート4内での廃棄物の降下速度、さらには、単位時間当りの廃棄物の乾燥火格子5a上への供給量が算出されるとともに、廃棄物が水分率測定位置から乾燥火格子5aに到達するまでの時間が算出される。この時間が上記タイムラグである。
一方、廃棄物層厚推定部15aは、シュート4内の廃棄物の水分率と該廃棄物の乾燥火格子5a上での層厚との相関関係を予め保有しており、この相関関係を参照して、上記シュート4内での廃棄物の水分率測定値から、廃棄物が乾燥火格子5a上に達したときの廃棄物の層厚を推定する。その際、廃棄物の移動に際し、上記タイムラグが存在するので、この推定は、水分率測定値を得たときからこのタイムラグを経たときの推定層厚であると、判断する。
<廃棄物層厚に基づく燃焼制御>
制御装置15の操作端制御部15bは、廃棄物層厚推定部15aから廃棄物層厚を得て、この層厚値をすでに設定されている適正な所定範囲(以下、「所定層厚範囲」という)と比較し、層厚値が所定層厚範囲内にあるか否かを判定する。
上記推定層厚値が上記所定層厚範囲内にある場合は、操作端制御部15bは、火格子5上の廃棄物層厚が適正であって燃焼が良好であると判定し、その時点での供給機12の廃棄物供給速度、火格子5の廃棄物搬送速度、燃焼用一次空気量の操業条件を変更せずにそのまま維持する。
次に、廃棄物層厚値が所定層厚範囲よりも高い場合は、火格子上の廃棄物の量がその時点での操業条件における適切な量より過大になっていることを意味しているので、操業条件を火格子上の廃棄物量を減少させるように変更すべく、操作端制御部15bは、供給機12に対して廃棄物供給速度を減速させ火格子への廃棄物の供給量を減少させる指令、火格子5の駆動機構に対して廃棄物搬送速度を増大させ火格子5上の廃棄物を下流側の火格子5へ速やかに搬送するとともに攪拌を強く行い廃棄物と燃焼用一次空気との接触を促進して廃棄物の燃焼を促進する指令、ダンパ11に対して開度を大きくして燃焼用一次空気量を増加させ廃棄物の燃焼を促進する指令のうち少なくとも一つの指令を発して、火格子上の廃棄物の燃焼を促進し、火格子上の廃棄物量を減少させる。その結果、火格子5上の廃棄物量は適正量となり、廃棄物層厚を好ましい範囲に収めることができる。
次に、廃棄物層厚値が所定層厚範囲よりも低い場合は、火格子5上の廃棄物の量がその時点での操業条件における適切な量より過少になっていることを意味しているので、操業条件を火格子5上の廃棄物量を増加させるように変更すべく、操作端制御部15bは、供給機12に対して廃棄物供給速度を加速させ火格子5への廃棄物の供給量を増加させる指令、火格子5の駆動機構に対して廃棄物搬送速度を低下させ火格子5上の廃棄物の下流側の火格子への搬送を減速させるとともに攪拌を弱くして廃棄物と燃焼用一次空気との接触を減少させて廃棄物の燃焼を緩和する指令、ダンパ11に対して開度を小さくして燃焼用一次空気量を減少させ廃棄物の燃焼を緩和する指令のうち少なくとも一つの指令を発して、火格子5上の廃棄物の燃焼を緩和し、火格子5上の廃棄物量を増加させる。その結果、火格子5上の廃棄物量は適正量となり、廃棄物層厚を好ましい範囲に収めることができる。
本実施形態では、水分率測定値から推定した廃棄物層厚が所定範囲を外れているときに、各操作端の操作量が実際に廃棄物の焼却が行われる前に制御される、いわゆるフィードフォワード制御が行われるので、廃棄物の性状の変動に応じた燃焼制御を速やかに行うことができる。したがって、廃棄物の性状の急激な変動により供給空気量が不足し燃焼が不活性となり発生蒸気量が低下したりCOの排出が増加したり、供給空気量が過剰となり燃焼が過活性となり局所的高温場が発生しNOxの排出が増加したりすることを、時間遅れが生じることなく抑制することができ、廃棄物の性状が変動しても安定した燃焼状態となるように制御することができる。
<ファジィ推論制御>
このような本発明は、他の実施形態として、ファジィ推論を用いて制御することも可能である。
ファジィ推論を用いて廃棄物の送り出し装置を制御する方法としては、例えば、次に述べるような、水平ストーカ式廃棄物焼却炉の廃棄物送り制御方式が知られている。この廃棄物送り制御方式では、廃棄物層厚、燃え切り点、蒸発量等について、ファジィ推論を用いた演算を行うことで、廃棄物の送り出し装置(火格子)を制御し、廃棄物の性状変動に応じた制御が行われる。しかしながら、従来のファジィ推論の前件部の入力値は全て廃棄物が炉に入った後に得られる情報を用いているため、廃棄物の燃焼状況が変動するタイミングに後件部の出力値による制御が間に合わず燃焼が不安定になり支障が生じる問題があった。そこで、廃棄物の性状の変動により燃焼状況が変動するタイミングに合わせたファジィ推論制御を行う。本発明の他の制御実施形態を示す。
従来の廃棄物焼却炉では、ファジィ推論制御における前件部の入力値に廃棄物層厚を用いることで、廃棄物層厚が目標値から大きく変動する際は、目標値に近づくように後件部としての各操作端の制御量が調整される。この廃棄物層厚は、工業用カメラで撮影された画像や赤外線カメラで撮影された熱画像から燃焼制御を行うタイミングでの廃棄物層厚(制御時廃棄物層厚という)として得られるものである。
本発明を用いる制御実施形態では、ファジィ推論による制御において、前件部に制御時廃棄物層厚と水分率から推定した予想廃棄物層厚を入力することとして、廃棄物層厚が目標の所定範囲(目標値)から変動する前に各操作端の操作量を制御する。このようにすることにより、廃棄物層厚を常に所定範囲内として運転することが可能となる。なお、上記「制御時廃棄物層厚」とは、燃焼制御を行うタイミングにおける火格子上の廃棄物の層厚である。該制御時廃棄物層厚は、燃焼室に設けられたカメラにより撮影された画像(例えば、赤外線カメラで撮影された火格子上のごみの熱画像や、CCDカメラで撮影された火炎の画像、工業用カメラで撮影された画像等)から導出される。
表1に、ファジィ推論制御における前記前件部と、後件部である供給装置の供給速度の増減制御の例を示している。表1に示される「前件部」の左欄「制御時廃棄物層厚」及び右欄「水分率から推定した廃棄物層厚」が前件部に入力される。
Figure 2020094734
表1に見られるように、制御時廃棄物層厚が所定範囲より薄い時や厚い時は、制御時廃棄物層厚と所定範囲との偏差量に応じて供給装置の供給速度の増減分が決定される。水分率から推定した予想廃棄物層厚を前件部に入力することにより、制御時廃棄物層厚が所定範囲内である領域に対しても、予め推定した廃棄物層厚を所定範囲内とするように、適切に供給装置の供給速度の増減の制御ができ、より安定した燃焼制御を行うことが可能となる。このようにして、廃棄物の性状の変動により燃焼状況が変動するタイミングに合わせて適切に制御することができる。
1 火格子式廃棄物焼却炉
2 燃焼室
5(5a〜5c) 火格子
7(7a〜7c) 一次空気吹込手段(風箱)
9 一次空気吹込手段(燃焼用一次空気供給管)
12 供給機
13 水分率計
14 表層高さ位置測定計(レベル計)
15 制御装置
15a 廃棄物層厚推定部
15b 操作端制御部
W 廃棄物

Claims (6)

  1. 火格子式廃棄物焼却炉であって、外部から廃棄物を受けるシュートと、火格子を備え該火格子上の廃棄物を搬送しつつ燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込手段と、シュート内の廃棄物を火格子上に供給する供給機とを有する火格子式廃棄物焼却炉において、
    シュート内の廃棄物の水分率を測定する水分率計と、廃棄物の水分率測定値に基づき焼却炉の操業条件を制御する制御装置とを備え、
    制御装置は、シュート内の廃棄物の水分率測定値に基づき火格子上の廃棄物の推定層厚を算出する層厚推定部と、推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御する操作端制御部とを備え、層厚推定部は、シュート内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子上での廃棄物の層厚との相関関係を予め記憶する記憶部と、該相関関係にもとづき水分率測定値から火格子上での廃棄物の推定層厚を算出する演算部とを有することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。
  2. 火格子式廃棄物焼却炉は、シュート内の廃棄物の表層高さ位置を測定する表層高さ位置測定計を有し、層厚推定部は、表層高さ位置測定計により測定された廃棄物の表層高さ位置測定値の経時変化に基づき、水分率を測定された廃棄物が火格子上に到達するまでの時間を算出するタイムラグ算出部を有することとする請求項1に記載の火格子式廃棄物焼却炉。
  3. 操作端制御部は、供給機の廃棄物供給速度、火格子の廃棄物搬送速度、燃焼用一次空気供給量のうちの少なくとも一つを制御することとする請求項1又は請求項2に記載の火格子式廃棄物焼却炉。
  4. 火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、外部からシュートへ廃棄物を投入し、シュート内の廃棄物を供給機により燃焼室内の火格子上に供給し、火格子上の廃棄物を搬送しつつ燃焼するとともに、一次空気吹込手段により燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法において、
    シュート内の廃棄物の水分率と該廃棄物の火格子上での廃棄物の層厚との相関関係を把握し、
    シュート内の廃棄物の水分率を測定し、
    上記相関関係に基づき、水分率測定値から火格子上での廃棄物の推定層厚を算出し、
    推定層厚に基づき焼却炉の操作端の操作量を制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法。
  5. シュート内の廃棄物の表層高さ位置を測定し、測定された廃棄物の表層高さ位置測定値の経時変化に基づき、水分率を測定された廃棄物が火格子上に到達するまでの時間をタイムラグとして算出し、水分率測定時から該タイムラグを加えた時点で操作端の操作量を制御することとする請求項4に記載の火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法。
  6. 操作端の操作量は、供給機の廃棄物供給速度、火格子の廃棄物搬送速度、燃焼用一次空気供給量のうちの少なくとも一つであることとする請求項4又は請求項5に記載の火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法。
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