JP2020094553A - ベーンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータの回転開始時に速やかにベーンをスリットから突出させることができ、始動性を向上させることが可能なベーンポンプを提供する。【解決手段】ベーンポンプ1は、複数のスリット50が放射状に形成され、一定の回転方向に回転するロータ5と、複数のスリット50のそれぞれに少なくとも一部が収容されてロータ5と共に回転し、ロータ5の外周面5aにおけるスリット50の開口50aから突出するようにロータ5の径方向に移動可能な複数のベーン6と、スリット50から突出したベーン6の先端部が突き当てられる内周カム面3aを有するカムリング3とを備える。ロータ5は、その回転により作動油に外周面5aの幅方向の流れを生じさせる一対の突起51,51をスリット50の開口50aの回転方向前方側に有し、ベーン6は、一対の突起51,51によって生じた作動油の流れの流体圧を受けて径方向外方への移動力を生じさせる受け面60aを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、複数のベーンを収容する複数のスリットが放射状に設けられたロータの回転により、吸入ポートから吸入した流体を吐出ポートから吐出するベーンポンプに関する。
従来、複数のベーンを保持するロータが内周カム面を有するカムリング内で回転することにより、吸入ポートから吸入した作動油を吐出ポートから吐出するベーンポンプが、各種の油圧機器の作動のために用いられている。複数のベーンは、ロータに放射状に設けられたスリットに収容されてロータの径方向に移動可能であり、ロータの外周面と内周カム面との間に複数のポンプ室を画成する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のベーンポンプは、スリットからベーンを押し出してベーンの先端を内周カム面に押し付けるために、ロータを軸方向に挟む側板に、スリットの奥側(ロータの中心部側)の基端部に連通すると共に吐出ポートに接続された背圧溝が形成されている。ベーンは、スリットの基端部に供給される背圧によってスリットから押し出され、先端部が内周カム面に押し付けられてロータ5と共に回転する。
特開2012−2183号公報
ところで、上記のように構成されたベーンポンプが例えば自動車の自動変速機を動作させるために用いられる場合には、トルクコンバータに連結されてロータが回転駆動されるため、ロータの回転軸が水平方向となる。このため、例えば自動車の駐車中に、ロータの回転軸よりも上方に位置するベーンが自重によってスリットの奥側に移動してしまう場合がある。このように一部のベーンがスリットの奥側に移動してしまうと、例えばロータの回転が高速になってベーンが遠心力によってスリットから飛び出すようになるまでは、ポンプ作用が不十分なままとなり、始動性が低下してしまう。このような始動性の低下は、作動油の粘性が高くなる例えば−30℃以下の極低温時において顕著になる。なお、ここで始動性とは、ロータの回転開始後に速やかにロータの回転数に応じた流体の吐出量を得られる性能をいう。
そこで、本発明は、ロータの回転開始時に速やかにベーンをスリットから突出させることができ、始動性を向上させることが可能なベーンポンプを提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、複数のスリットが放射状に形成され、中心軸線を回転中心として一定の回転方向に回転するロータと、前記複数のスリットのそれぞれに少なくとも一部が収容されて前記ロータと共に回転し、前記ロータの外周面における前記スリットの開口から一部が突出するように前記ロータの径方向に移動可能な複数のベーンと、前記スリットから突出した前記ベーンの先端部が突き当てられる内周カム面を有するカムリングとを備え、前記複数のベーンによって前記ロータの外周面と前記内周カム面との間に複数のポンプ室が画成され、前記ロータの回転による前記ポンプ室の容積変化によって吸入ポートに吸入した流体を吐出ポートから吐出するベーンポンプであって、前記ロータは、前記中心軸線を中心とする回転により前記流体に前記外周面の幅方向の流れを生じさせる突起を前記スリットの開口の回転方向前方側に有し、前記ベーンは、前記突起によって生じた前記流体の流れの流体圧を受けて前記ロータの径方向外方への移動力を生じさせる受け面を有する、ベーンポンプを提供する。
本発明によれば、ロータの回転開始時に速やかにベーンをスリットから突出させることができ、始動性を向上させることが可能となる。
本発明の実施の形態に係るベーンポンプの概略の構成を示す構成図である。 図1のA−A線におけるベーンポンプの断面図である。 (a)は、ベーンポンプのサイドプレートを示す平面図であり、(b)は、ロータを示す平面図である。 (a)は、ベーンを示す斜視図であり、(b)は図4(a)のC−C線におけるベーン6の断面図である。 (a)は、ロータにおけるスリットの開口の周辺を示す斜視図である。(b)は、ロータにおけるスリットの開口の周辺をベーンと共に示す斜視図である。(c)は、ベーンの先端部がロータの突起から突出していない状態を示す断面図である。(d)は、ベーンの先端部が内周カム面に突き当たった状態を示す断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施の形態に係るベーンの回転方向前方側の側面を示す平面図である。(b)は、(a)のD−D線におけるベーンの断面図である。 (a)は、本発明の第3の実施の形態に係るベーンの回転方向前方側の側面を示す平面図である。(b)は、(a)のE−E線におけるベーンの断面図である。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係るベーンポンプの概略の構成を示す構成図である。図2は、図1のA−A線におけるベーンポンプの断面図である。図3(a)は、ベーンポンプのサイドプレートを示す平面図であり、図3(b)は、ロータを示す平面図である。
このベーンポンプ1は、例えば自動車の駆動源(エンジン)の出力回転を車速等に応じて変速する自動変速機に用いられ、自動変速機の動作のためのアクチュエータに流体としての作動油を供給する。
(ベーンポンプの構成)
ベーンポンプ1は、ポンプハウジング2と、ポンプハウジング2に収容されたカムリング3及びサイドプレート4と、カムリング3の内側に回転可能に配置されたロータ5と、ロータ5と共に回転する複数の平板状のベーン6と、ロータ5に相対回転不能に連結されたポンプ軸7とを備えている。
ポンプ軸7は、エンジンのクランクシャフトに連結されたポンプインペラ、ポンプインペラと同軸配置されたタービンランナ、及びポンプインペラとタービンランナの間に配置されたステータからなるトルクコンバータの出力部材であるタービンランナに連結された駆動軸からチェーン又はギヤ機構を介して回転力を受けて回転する。ロータ5の中心軸線Cは、ポンプ軸7の回転軸線と一致している。ロータ5は中心軸線Cを回転中心として、ポンプ軸7と共に一定の方向(図1に示す矢印B方向)に回転する。以下、ロータ5の中心軸線Cに平行な方向を軸方向という。
ポンプハウジング2は、図2に示すように、収容空間20が形成されたハウジング本体21と、ハウジング本体21における収容空間20の開口を閉塞するハウジング蓋体22とを有し、ハウジング本体21とハウジング蓋体22とが図略のボルトにより締結されている。ハウジング本体21及びハウジング蓋体22は、例えばアルミ系金属材料(アルミニウム合金)からなり、ダイキャスト成形されている。図1では、ハウジング蓋体22の図示を省略して収容空間20の内部を示している。
収容空間20には、カムリング3及びサイドプレート4が収容されている。サイドプレート4は、収容空間20の底面20a側に配置され、カムリング3は、サイドプレート4とハウジング蓋体22との間に配置されている。カムリング3及びサイドプレート4は、例えば鉄系金属材料からなり、焼結によって成形されている。ロータ5は、サイドプレート4とハウジング蓋体22との間に配置されている。
ハウジング本体21には、図示しない吸入通路から作動油が導入される第1及び第2の導入部211,212(図1参照)が収容空間20に連通して形成されている。また、ハウジング本体21には、収容空間20の底面20aに開口する第1及び第2の吐出通路213,214(図2参照)が形成されている。ベーンポンプ1は、オイルの貯留部から第1及び第2の導入部211,212に供給された作動油を、圧力を高めて第1及び第2の吐出通路213,214から油圧供給対象に供給する。ポンプハウジング2は、図1に示す下側が鉛直方向の下方となるように配置される。
ポンプ軸7は、ハウジング蓋体22に形成された挿通孔220及びサイドプレート4に形成された挿通孔40に挿通され、一端部がハウジング本体21に形成された止まり穴210に収容されている。ハウジング蓋体22の挿通孔220には、挿通孔220の内周面とポンプ軸7の外周面との間を封止するシール部材81が配置されている。また、ポンプ軸7は、ハウジング蓋体22の挿通孔220に収容された軸受82、及びハウジング本体21の止まり穴210に収容された軸受83により、回転自在に支持されている。
カムリング3は、軸方向から見た外周面が円形状であり、内周面が楕円形状である。この内周面は、ベーン6の先端部が突き当てられる内周カム面3aである。内周カム面3aに囲まれたカムリング3の内部には、ロータ5が配置されるロータ室30が形成されている。また、カムリング3には、一対の貫通孔31,31が形成されている。この一対の貫通孔31,31には、ハウジング本体21における収容空間20の底面20aに立設された一対のピン23,23がそれぞれ挿通されている。また、一対の柱状突起23,23は、サイドプレート4に形成された一対の貫通孔400,400に挿通されている。これにより、カムリング3及びサイドプレート4は、ポンプハウジング2に対して相対回転不能とされている。
サイドプレート4には、図3に示すように、第1の吸入ポート41、第2の吸入ポート42、第1の吐出ポート43、及び第2の吐出ポート44が形成されている。これらの吸入ポート41,42、及び吐出ポート43,44は、カムリング3の内周カム面3aと共にロータ室30の内面を形成するサイドプレート4の平面4aから軸方向に窪んで形成され、ロータ室30に開口している。
第1の吸入ポート41は、第1の導入部211に連通し、第2の吸入ポート42は、第2の導入部212に連通している。第1及び第2の導入部211,212には、外部から作動油が導入される。第1の吐出ポート43は、第1の吐出通路213に連通し、第2の吐出ポート44は、第2の吐出通路214に連通している。第1及び第2の吐出通路213,214は、異なる油圧供給対象への配管に接続される。ベーンポンプ1が自動車に搭載された状態において、第1の吐出ポート43はロータ5の中心軸線Cよりも下方に位置し、第2の吐出ポート44はロータ5の中心軸線Cよりも上方に位置する。
ロータ5は、カムリング3の内周カム面3aに外周面5aが対向するように、ロータ室30内に回転可能に配置されている。ロータ5は、例えば鉄系の金属からなる粉末を焼成した焼結体からなる円板状である。ロータ5の中心部には、ポンプ軸7が嵌合する嵌合孔53が形成されている。本実施の形態では、ポンプ軸7のスプライン嵌合部71がロータ5の嵌合孔53にスプライン嵌合している。ロータ5は、ポンプ軸7に対して相対回転不能であり、ポンプ軸7と共に回転する。
また、ロータ5には、図3(b)に示すように、複数(本実施の形態では12個)のスリット50が放射状に形成されている。これらのスリット50は、ロータ5を軸方向に貫通しており、ロータ5の外周面5aに開口50aを有している。それぞれのスリット50には、ベーン6の少なくとも一部が収容されている。ベーン6は、スリット50の開口50aから一部が突出するようにロータ5の径方向に移動可能である。
スリット50の内面には、ロータ5の径方向へのベーン6の移動を案内(ガイド)するガイド面50b,50cが形成されている。これらのガイド面50b,50cは互いに平行であり、その間隔はベーン6の厚みよりも僅かに大きく形成されている。また、スリットの内径側の基端部(ロータ5の中心側の端部)には、ガイド面50b,50cの間隔よりも幅が広い丸孔である背圧室500が形成されている。ベーン6は、背圧室500に導入される圧力によってスリット50からロータ5の径方向外方に押し出される力(背圧)を受け、先端部が内周カム面3aに突き当てられる。
ロータ室30内には、複数のベーン6によってロータ5の外周面5aと内周カム面3aとの間に複数のポンプ室Pが画成される。ここで、画成とは、区画して形成することをいう。ベーン6は、その先端部が内周カム面3aに突き当てられてロータ5と共に回転することによりスリット50からの突出量が変化する。このベーン6の動きによってポンプ室Pの容積が変化し、ポンプ室Pの容積が大きくなる過程ではポンプ室P内に第1の吸入ポート41又は第2の吸入ポート42から作動油が導入され、ポンプ室Pの容積が小さくなる過程ではポンプ室P内に吸入された作動油が第1の吐出ポート43又は第2の吐出ポート44から排出される。
ロータ5と軸方向に向かい合うサイドプレート4の平面4aには、第1及び第2の吸入側背圧溝451,461、第1及び第2の吐出側背圧溝452,462、第1及び第2の連通溝453,463、第1及び第2の延出溝454,464が形成されている。
第1及び第2の吸入側背圧溝451,461は、ポンプ室P内に作動油を吸入する吸入行程を行う複数のベーン6のそれぞれの背圧室500に第1及び第2の吐出ポート43,44の吐出圧を導く。第1の吸入側背圧溝451は、第1の吸入ポート41の内側に形成され、サイドプレート4に設けられた第1の背圧導入路47(図2に示す)によって第1の吐出通路213に連通している。第2の吸入側背圧溝461は、第2の吸入ポート42の内側に形成され、サイドプレート4に設けられた第2の背圧導入路48(図2に示す)によって第2の吐出通路214に連通している。図2では、第1及び第2の背圧導入路47,48を破線で示している。
第1及び第2の吐出側背圧溝452,462は、ポンプ室Pから作動油を吐出する吐出行程を行う複数のベーン6のそれぞれの背圧室500同士を連通させる。これにより、内周カム面3aに突き当たってスリット50の奥側に移動するベーン6の動きによってスリット50の背圧室500から排出された作動油が第1の吐出側背圧溝452又は第2の吐出側背圧溝462を介して回転方向後方に隣り合う他のスリット50の背圧室500に導入され、当該スリット50に収容されたベーン6が内周カム面3aに向かって押し付けられる。
第1の連通溝453は、第1の吸入側背圧溝451と第1の吐出側背圧溝452とを連通させている。第2の連通溝463は、第2の吸入側背圧溝461と第2の吐出側背圧溝462とを連通させている。サイドプレート4の径方向における第1の連通溝453の幅は、第1の吸入側背圧溝451の幅や第1の吐出側背圧溝452の幅よりも狭く形成されており、第1の吸入側背圧溝451と第1の吐出側背圧溝452との間の作動油の流れを規制する絞りとして機能する。同様に、サイドプレート4の径方向における第2の連通溝463の幅は、第2の吸入側背圧溝461の幅や第2の吐出側背圧溝462の幅よりも狭く形成されており、第2の吸入側背圧溝461と第2の吐出側背圧溝462との間の作動油の流れを規制する絞りとして機能する。
第1の延出溝454は、第1の吐出側背圧溝452における第1の吸入側背圧溝451とは反対側の端部からロータ5の回転方向に延出されている。第2の延出溝464は、第2の吐出側背圧溝462における第2の吸入側背圧溝461とは反対側の端部からロータ5の回転方向に延出されている。
また、ハウジング蓋体22には、図2に示すように、第1及び第2の吐出ポート43,44と軸方向に向かい合う位置に凹部221,222が形成され、第1及び第2の吸入側背圧溝451,461と軸方向に向かい合う位置に溝部223,224が形成されている。これにより、ロータ5が作動油の圧力によって軸方向に受ける力が相殺され、ロータ5の回転が円滑化されている。
ところで、ポンプ軸7は、前述のようにトルクコンバータを介して伝達されるエンジンの駆動力によって回転するので、エンジンが停止するとロータ5の回転も停止する。このとき、中心軸線Cよりも上方に位置するベーン6は、自重によってスリット50の奥側に移動してしまう場合がある。この状態からロータ5が回転を開始すると、第1及び第2の吐出ポート43,44のうち、特に鉛直方向の上方に位置する第2の吐出ポート44に充分な作動油が供給されず、第2の吸入ポート42からの吸入行程を行うベーン6を収容するスリット50の背圧室500に第2の吸入側背圧溝461から適切な背圧が供給されない。このため、始動性が低下してしまう。
本実施の形態では、次に述べるロータ5及びベーン6の構成により、ロータ5の回転開始後、速やかにベーン6がスリット50から突出して内周カム面3aに突き当たるようにされている。この構成について、図4及び図5を参照して詳細に説明する。
図4(a)はベーン6を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線におけるベーン6の断面図である。図5(a)は、ロータ5におけるスリット50の開口50aの周辺を示す斜視図である。図5(b)は、ロータ5におけるスリット50の開口50aの周辺をベーン6と共に示す斜視図である。図5(c)は、ベーン6の先端部6aがロータ5の突起51から突出していない状態を示す断面図である。図5(d)は、ベーン6の先端部6aが内周カム面3aに突き当たった状態を示す断面図である。
ロータ5は、中心軸線Cを中心とする回転により、作動油に外周面5aの幅方向(軸方向)中央へ向かう流れを生じさせる突起51,51をスリット50の開口50aの回転方向前方側に有している。本実施の形態では、ロータ5が一対の突起51,51を外周面5aの幅方向両端部に有している。また、ロータ5は、スリット50の開口50aの回転方向後方側に、外周面5aの幅方向全体にわたって軸方向に延在して設けられた突条52を有している。なお、図5(a)〜(d)では、12個のスリット50のうち一つのスリット50の開口50aの周辺を示しているが、一対の突起51,51及び突条52は、全てのスリット50の開口50aに対応して設けられている。
ベーン6は、一対の突起51,51によって生じた作動油の流れの流体圧を受け、ベーン6にロータ5の径方向外方への移動力を生じさせる受け面60aを有している。本実施の形態では、この受け面60aが、ベーン6の一対の側面6b,6cのうち、ロータ5の回転方向の前方側の側面6bに設けられた凹部60の内面として形成されている。凹部60は、図4(b)に示すように、ロータ5の軸方向に対して垂直な断面における形状が三角形状であり、側面6bに対して直角をなす受け面60aと、側面6bに対して傾斜した傾斜面60bとを内面として有している。傾斜面60bが受け面60aとの間になす角は鋭角である。
凹部60は、ベーン6の側面6bにおける軸方向中央部を含む軸方向の一部分に設けられており、ベーン6の軸方向の両端面6d,6eには至っていない。これにより、ベーン6の軸方向の両端面6d,6eとサイドプレート4及びハウジング蓋体22との間の隙間から作動油がポンプ室P間で漏れてしまうことが抑制されている。本実施の形態では、凹部60が、一対の突起51,51の間にあたる部分のみに設けられている。換言すれば、凹部60は、ロータ5の回転方向に沿って一対の突起51,51と対向する部位には形成されていない。ロータ5の軸方向における凹部60の一方側及び他方側の平坦面は、一対の突起51,51によって案内される被ガイド部61,61となっている。これにより、凹部60が突起51に引っ掛かってベーン6の移動を妨げてしまうことが防止されている。
図5(b)に示すように、ベーン6の一部がロータ5の外周面5aから突出した状態でロータ5が回転すると、作動油に外周面5aの幅方向中央に向かう流れが生じ、一対の突起51,51の間の動圧部510に作動油が集中する。そして、この作動油の流体圧が受け面60aに作用してベーン6がスリット50から突出する方向へ押し上げられる。図5(b)では、作動油の流れの一例を三本の矢印で示している。
ロータ5の外周面5aの幅方向において、一対の突起51,51が設けられた部分の長さは、外周面5aの幅全体の3分の1から3分の2であることが望ましい。一対の突起51,51が設けられた部分の長さが外周面5aの幅全体の3分の1未満であると、動圧部510に作動油を集中させる効果が乏しくなり、3分の2を超えると、動圧部510の長さが短くなって受け面60aが受ける流体圧が小さくなってしまうためである。本実施の形態では、一対の突起51,51が設けられた部分の長さが外周面5aの幅全体の2分の1である。
また、本実施の形態では、それぞれの突起51,51におけるベーン6との対向面51aがスリット50のガイド面50bと連続した平面として形成されており、この対向面51aがロータ5の径方向へのベーン6の移動を案内するガイド面となっている。すなわち、それぞれの突起51,51は、ベーン6がロータ5の径方向に移動する際にベーン6の回転方向前方側の側面6bに対向してベーン6の径方向移動を案内するガイド面を有している。これにより、突起51,51が形成されていない場合に比較して、スリット50に対するベーン6の傾きが抑制され、ベーン6の移動が円滑化される。
また、受け面60aは、図5(c)に示すように、ベーン6がスリット50の最奥部まで移動してベーン6の先端部6aが一対の突起51,51から突出していない状態でも、一対の突起51,51の間のロータ5の外周面5aよりも径方向外側に位置していることが望ましい。これにより、ロータ5の回転開始と同時に受け面60aが作動油の流体圧を受けることができ、ベーン6を速やかに突出させることが可能となる。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、ベーン6の受け面60aがロータ5の一対の突起51,51によって動圧部510に集中するように流動した作動油の流体圧を受け、ベーン6をロータ5の径方向外方へ移動させるので、ベーン6が自重によってスリット50の奥側に移動してしまっている場合でも、ベーン6を速やかにスリット50から突出させることができ、始動性が向上する。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6を参照して説明する。図6(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るベーン6Aの回転方向前方側の側面6bを示す平面図である。図6(b)は、図6(a)のD−D線におけるベーン6Aの断面図である。図6(a)では、ベーン6Aに向かい合う一対の突起51,51を仮想線(二点鎖線)で示している。図6(a),(b)において、第1の実施の形態において説明したものに対応する構成要素については、第1の実施の形態のものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、ロータ5の軸方向に対して垂直な断面におけるベーン6の凹部60の形状が三角形状である場合について説明したが、本実施の形態では、同断面における凹部60の形状が矩形状である。凹部60の底面60cは、側面6bと平行な平面であり、受け面60a、及び受け面60aに対向する対向面60dは、側面6bに対して直角をなす平面である。
このようなベーン6Aによっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るベーン6Bの回転方向前方側の側面6bを示す平面図である。図7(b)は、図7(a)のE−E線におけるベーン6Bの断面図である。図7(a)では、図6(a)と同様に、ベーン6Bに向かい合う一対の突起51,51を仮想線(二点鎖線)で示している。図7(a),(b)において、第1の実施の形態において説明したものに対応する構成要素については、第1の実施の形態のものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
ベーン6Bは、スリット50の外部に配置される部位にロータ5の回転方向前方側に突出する庇部62を有しており、この庇部62におけるロータ5側の面が作動油の流体圧を受ける受け面62aとして形成されている。庇部62は、一対の突起51,51よりもロータ5の径方向における外側に配置される。
このようなベーン6Bによっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
(付記)
以上、本発明を第1乃至第3の実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、ロータ室30に吸入ポート及び吐出ポートがそれぞれ二つずつ開口する2吐出タイプのベーンポンプに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、吐出ポートの下流を合流させた1吐出タイプのベーンポンプにも、本発明を適用することが可能である。また、ロータ5の各スリット50の開口50aに対応して設けられる突起51の数は、二つに限らず、一つ又は三つ以上でもよい。
1…ベーンポンプ 3…カムリング
41,42…第1及び第2の吸入ポート 43,44…第1及び第2の吐出ポート
5…ロータ 50…スリット
50a…開口 51,51…突起
51a…対向面(ガイド面) 5a…外周面
6,6A,6B…ベーン 60…凹部
60a…受け面 62…庇部
62a…受け面 6a…先端部
6b…側面 C…中心軸線
P…ポンプ室

Claims (5)

  1. 複数のスリットが放射状に形成され、中心軸線を回転中心として一定の回転方向に回転するロータと、
    前記複数のスリットのそれぞれに少なくとも一部が収容されて前記ロータと共に回転し、前記ロータの外周面における前記スリットの開口から一部が突出するように前記ロータの径方向に移動可能な複数のベーンと、
    前記スリットから突出した前記ベーンの先端部が突き当てられる内周カム面を有するカムリングとを備え、
    前記複数のベーンによって前記ロータの外周面と前記内周カム面との間に複数のポンプ室が画成され、前記ロータの回転による前記ポンプ室の容積変化によって吸入ポートに吸入した流体を吐出ポートから吐出するベーンポンプであって、
    前記ロータは、前記中心軸線を中心とする回転により前記流体に前記外周面の幅方向の流れを生じさせる突起を前記スリットの開口の回転方向前方側に有し、
    前記ベーンは、前記突起によって生じた前記流体の流れの流体圧を受けて前記ロータの径方向外方への移動力を生じさせる受け面を有する、
    ベーンポンプ。
  2. 前記ロータは、前記突起を前記外周面の幅方向両端部に有する、
    請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記突起は、前記ベーンが前記ロータの径方向に移動する際に当該ベーンの回転方向前方側の側面に対向して当該ベーンの前記ロータに対する径方向移動を案内するガイド面を有する、
    請求項1又は2に記載のベーンポンプ。
  4. 前記ベーンの前記回転方向前方側の側面に、前記受け面を内面に有する凹部が設けられており、
    前記凹部は、前記回転方向前方側の側面において前記突起と対向する部位には形成されていない、
    請求項3に記載のベーンポンプ。
  5. 前記ベーンは、前記スリットの外部に配置される部位に回転方向前方側に突出する庇部を有し、
    前記庇部における前記ロータ側の面が前記受け面として形成されている、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載のベーンポンプ。
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