JP2020094252A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心 Download PDF

Info

Publication number
JP2020094252A
JP2020094252A JP2018234443A JP2018234443A JP2020094252A JP 2020094252 A JP2020094252 A JP 2020094252A JP 2018234443 A JP2018234443 A JP 2018234443A JP 2018234443 A JP2018234443 A JP 2018234443A JP 2020094252 A JP2020094252 A JP 2020094252A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
particles
steel sheet
concentration
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018234443A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7256361B2 (ja
Inventor
知江 ▲濱▼
知江 ▲濱▼
Tomoe Hama
藤村 浩志
Hiroshi Fujimura
浩志 藤村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018234443A priority Critical patent/JP7256361B2/ja
Publication of JP2020094252A publication Critical patent/JP2020094252A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7256361B2 publication Critical patent/JP7256361B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Abstract

【課題】高強度化と加工性を両立できる無方向性電磁鋼板を提供する。【解決手段】質量%で、Si:2.0〜6.0%、Cu:1.7〜4.0%、Al:3.0%以下、Ni:4.0%以下の一種または二種を合計で0.5%以上、Mn:5.0%以下、P:0.300%以下、B:0.100%以下、Nb:1.00%以下、Mo:1.000%以下、Bi:0.010%以下、Sn:0.10%以下、Sb:0.10%以下、Cr:0.30%以下、Ca:0.020%以下、Mg:0.020%以下、La:0.020%以下、Ce:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不純物であり、金属組織がフェライト多結晶であり、フェライト結晶中にCu粒子を含有し、Cu粒子の平均粒子径が0.5〜100nm、個数密度が80〜1000個/μm3であり、Cu粒子の表面の少なくとも一部にNiおよび/またはAlが濃化している、無方向性電磁鋼板。【選択図】図1

Description

本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、さらに、その無方向性電磁鋼板を用いたIPMモータのロータコア鉄心に関する。
無方向性電磁鋼板は、電気自動車用モータ及び電気機器用モータ等に使用されている。特に近年のモータを利用した駆動システムの発達により、可変速運転や商用周波数以上で高速回転を行うモータが増加している。このような高速回転を行うモータでは、磁性特性も必要とされる一方、同時に高速回転に耐え得る強度が必要である。無方向性電磁鋼板の鉄損及び強度の両立を目的とした種々の技術が提案されている。例えば、Cu析出物を形成させることによる強度の向上に関する技術が提案されている(特許文献1〜4)。さらに、金属間化合物を形成させることによる強度の向上に関する技術が提案されている(特許文献5、6)。
特開2004−315956号公報 特開2005−344179号公報 特開2008−261053号公報 特開2007−186791号公報 特開2010−150667号公報 特開2017−57456号公報
しかしながら、無方向性電磁鋼板を高強度化すると、その反面、加工性が劣るという難点があった。例えば打ち抜き加工を行うことにより、モータの構成部材として必要な所定の形状に加工する場合、無方向性電磁鋼板が高強度化すると、それに反比例して金型を続けて使用できる打ち抜き回数が少なくなるという問題がある。
本発明は、高強度化と加工性を両立できる無方向性電磁鋼板を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決するために、無方向性電磁鋼板の鋼中に析出するCu粒子の表面にNi、Alの1種または2種を濃化させることにより、高強度化に伴う加工性の劣化を軽減させるようにした。本発明によれば以下の無方向性電磁鋼板とその製造方法が提供される。
[1]
質量%で、Si:2.0〜6.0%、Cu:1.7〜4.0%を含有し、さらにAl:3.0%以下、Ni:4.0%以下の一種または二種を合計で0.5%以上を含有し、さらに任意元素として、
Mn:5.0%以下、
P:0.300%以下、
B:0.100%以下、
Nb:1.00%以下、
Mo:1.000%以下、
Bi:0.010%以下、
Sn:0.10%以下、
Sb:0.10%以下、
Cr:0.30%以下、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.020%以下、
La:0.020%以下、
Ce:0.020%以下
を含有し、残部Feおよび不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、
金属組織がフェライト多結晶であり、
フェライト結晶中にCu粒子を含有し、
Cu粒子の平均粒子径が0.5〜100nm、個数密度が80〜1000個/μmであり、
Cu粒子について式(1)を満足することを特徴とする、無方向性電磁鋼板。
Nx/Nt≧0.1 ・・・・・式(1)
ここで、
Nx:観察対象となる全Cu粒子のうち、表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子の個数
Nt:観察対象となる全Cu粒子の個数
[2]
表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子について、3DAPFIMによる観察において、面積SCと面積SAが式(2)を満足することを特徴とする、[1]に記載の無方向性電磁鋼板。
SA/SC>0.1 ・・・ 式(2)
ここで、
SC:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度≧NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
SA:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度<NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
[3]
引張強さTSが600MPa以上、15mmφスチールダイスを用いて繰り返し打ち抜き加工を繰り返し行う場合に、加工された製品に生ずるバリの高さが50μm以上となる加工回数が10万回以上であることを特徴とする、[1]、[2]のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼板。
[4]
[1]〜[3]3のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼板を積層して形成されたことを特徴とする、IPMモータのロータコア鉄心。
本発明によれば、高強度化と加工性を両立できる無方向性電磁鋼板を提供することが可能となる。
引張強さTSと打ち抜き回数の関係を示すグラフである。 実施例で測定した引張強さTSと打ち抜き回数の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(化学組成)
本発明の無方向性電磁鋼板は、質量%で、Si:2.0〜6.0%、Cu:1.7〜4.0%を含有し、さらにAl:3.0%以下、Ni:4.0%以下の一種または二種を合計で0.5%以上を含有する。
Si:2.0〜6.0%
Siは鋼の固有抵抗を高めて渦電流を減らし、鉄損を低下せしめるとともに、抗張力を高めるが、添加量が2.0%未満ではその効果が小さい。また、添加により加工硬化能が高まるため、時効熱処理前に実施する加工による転位密度を効果的に増加させる効果もある。一方、Siが6.0%を超えると鋼を脆化させ、さらに製品の磁束密度を低下させる。
Cu:1.7〜4.0% 本発明の無方向性電磁鋼板において、フェライト結晶中に析出したCu粒子は、鉄損を悪化させずに強度を上げることができる。Cu含有量が1.7%未満では、この作用効果を十分に得られない。好ましくは、2.0%以上である。一方、Cu含有量が4.0%超では、粗大な析出物が形成され、鉄損が増大する。
Ni、Al:合計で0.5%以上 本発明では、Ni、AlはCu粒子の表面に濃化させることで高強度と打ち抜き性のバランスの改善をはかる元素として積極的に添加される重要な元素である。上記効果を得るためには、NiとAlの合計で0.5%以上含有させる必要がある。好ましくは1.2%以上である。なお、Ni、Alは、一種または二種を合計で0.5%以上を含有すれば良く、Ni、Alのどちらか一方を含有することで効果を得ることが可能であるが、両方を含有することがより好ましい。
Al:3.0%以下
Alは通常、脱酸や時効性を悪化させる固溶Nの析出物としての固定、さらには鋼の固有抵抗を高めて渦電流を減らし鉄損を低下せしめるために添加される。本発明では、AlはCu粒子の表面に濃化させることで強度と打ち抜き性のバランスの改善をはかる元素として積極的に添加される重要な元素である。AlをCu粒子の表面に十分に濃化させることによる上記効果を得るためには、0.5%以上含有させることが好ましい。また、磁気特性にとって好ましい結晶方位を促進する効果も有するため、好ましくは、1.2%以上とする。一方、過剰に添加すると脆化が問題になるとともに飽和磁束密度を低下させ磁気特性に悪影響を及ぼすため、上限を3.0%とする。
Ni:4.0%以下
無方向性電磁鋼板においてNiは、固溶体強化元素または耐食性向上元素として添加されることがある。本発明ではNiはCu粒子の表面に濃化させることで上記バランスの改善をはかるために添加する。かかる効果を得るためには、同様の効果を持つAlとの合計で0.5%以上含有させる必要がある。NiをCu粒子の表面に十分に濃化させるためには、好ましくは1.2%以上含有させる。さらに、本発明と同様にCuを添加し、Cu析出による高強度化を図る電磁鋼板において、鋳造性や鋼板表面性状を改善する目的でも添加される。一方、過剰な添加は鋼板の延性を劣化させ通板性が低下する他、磁束密度を低下させるとともに製造工程で不用意な金属間化合物が発生し、通板性や磁気特性を悪化させる場合がある。また過剰な添加は、熱間圧延中の変態を引き起こし磁気特性にとって好ましい結晶方位を阻害する要因となるばかりでなく、飽和磁束密度を低下させ磁気特性に悪影響を及ぼす。このため上限を4.0%とする。好ましくは、3.2%以下である。
さらに、本発明に係る無方向性電磁鋼板は、磁気特性を含めた各種特性の改善を目的として、Feの一部に代えて、公知の任意元素を含有してもよい。Feの一部に代えて含有される任意元素として、たとえば、次の元素が挙げられる。各数値は、それらの元素が任意元素として含有された場合の、上限値を意味する。
質量%で、
Mn:5.0%以下、
P:0.300%以下、
B:0.100%以下、
Nb:1.00%以下、
Mo:1.000%以下、
Bi:0.010%以下、
Sn:0.10%以下、
Sb:0.10%以下、
Cr:0.30%以下、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.020%以下、
La:0.020%以下、
Ce:0.020%以下、
これら任意元素は、公知の目的に応じて含有させればよいため、任意元素の含有量の下限値を設ける必要はなく、下限値が0%でもよい。
Mnは、固溶による高強度化や電気抵抗を高め鉄損を改善する元素としても有効であり、本実施形態でも公知技術に準じた使用が可能である。また、加工硬化能を高め、時効熱処理前に実施する加工による転位密度を効果的に増加させる効果もある。高強度化の観点では、微細金属間化合物を活用する本発明では特に必要としない。0%でも構わないが、鉄鉱石を原料とする工業的製法では、0.01%程度は不可避的に含有される。
Pは固溶体強化により抗張力を高める効果の著しい元素であるが、この目的ではあえて添加する必要はない。0%であっても構わない。一方、添加により加工硬化能を高め、時効熱処理前に実施する加工による転位密度を効果的に増加させる効果もある。0.3%を超えると脆化が激しく、工業的規模での熱延、冷延等の処理が困難になるため、上限を0.300%とすることが好ましく、さらに好ましくは0.100%以下である。
B、Nb、Moは、添加することで本発明鋼の鋳造性や熱間加工性を改善する元素である。本発明鋼は比較的多量のCuを必須元素として含有するため、連続鋳造や熱間加工の高温域において割れを生じやすい。B、Nb、Moを添加することでこの割れを抑制することが可能となる。
Bi、Sn、Sbは、添加することで本発明鋼の結晶方位を改善し、特に磁束密度を高めることが可能となる。
Crは、固溶による高強度化や電気抵抗を高め鉄損を改善する元素としても有効であり、本実施形態でも公知技術に準じた使用が可能である。また、耐食性や高周波磁気特性を改善する元素としても知られている。0%でも構わないが、原料コストやリサイクルの観点からスクラップを使用する工業的製法では、0.01%程度は不可避的に含有され、スクラップ起因の含有量が0.10%を超えることもある。
Ca、Mg、La、Ceは、強力な硫化物形成元素であり、S含有量を完全なゼロとできない低コスト実用プロセスにおいて添加することで、硫化物を粗大化し微細な硫化物による悪影響を抑制して、特に鉄損の不用意な上昇を回避することを可能とする。
なお、任意元素とは、上記に例示した元素に限らず、含有されても本発明の効果を損わない元素を意味する。本発明において記述されていない効果を付与する目的で添加される場合であっても、本発明においては、その元素が含有されても本発明の効果が失われないのであれば、本発明における任意元素と判断する。任意元素の合計含有量の上限の目途としては、8%程度が挙げられる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、必須成分として、Cu、Si、AlまたはNiを含有し、さらに、任意元素を必要に応じて含有し、残部は、Feおよび不純物からなる。不純物として次のような元素が例示される。
Cは磁気特性を劣化させる場合があるので0.0400%以下とすることが好ましい。一方、加工硬化能を高め、時効熱処理前に実施する加工による転位密度を効果的に増加させる効果もある。製造コストの観点からは溶鋼段階で脱ガス設備によりC量を低減しておくことが有利で、0.0030%以下とすれば磁気時効抑制の効果が著しく、高強度化の主たる手段として炭化物等の非金属析出物を用いない本発明においては0.0020%以下とすることがさらに好ましく、0.0015%以下がさらに好ましい。0%であっても構わない。
NはCと同様に磁気特性を劣化させるので0.0400%以下とすることが好ましい。含有により加工硬化能を高め、時効熱処理前に実施する加工による転位密度を効果的に増加させる効果もある。特に本発明ではAlとの強い窒化物の生成を避けるためNは低い方が好ましく、0.0027%以下とすれば磁気時効や微細な窒化物形成による特性劣化の抑制効果は顕著で、さらに好ましくは0.0022%、さらに好ましくは0.0015%以下、0%であっても構わない。
SおよびSeは硫化物を形成し磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合があるので、Sの含有量はできるだけ低いことが好ましく0%であっても構わない。本発明では0.020%以下が好ましく、さらに好ましくは0.0040%以下、さらに好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0010%以下である。
Tiは硫化物、炭化物を形成し磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合があるので、含有量はできるだけ低いことが好ましく0%であっても構わない。本発明では0.015%以下が好ましく、さらに好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0010%以下、さらに好ましくは0.0008%以下である。
なお、不純物とは、上記に例示した任意元素に限らず、含有されても本発明の効果を損なわない元素を意味する。意図的に添加する場合に限らず、鋼板を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境等から不可避的に混入する元素も含む。不純物の合計含有量の上限の目途としては、5%程度が挙げられる。
本発明に係る無方向性電磁鋼板の化学成分は、鋼の一般的な分析方法によって測定すればよい。例えば、無方向性電磁鋼板の化学成分は、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)を用いて測定すればよい。具体的には、無方向性電磁鋼板から採取した35mm角の試験片を、島津製作所製ICPS-8100等(測定装置)により、予め作成した検量線に基づいた条件で測定することにより、化学組成が特定される。なお、CおよびSは燃焼−赤外線吸収法を用いて測定し、Nは不活性ガス融解−熱伝導度法を用いて測定すればよい。
本発明では特に規定しないが、本発明に係る無方向性電磁鋼板の表面に、一般的に無方向性電磁鋼板に設けられる被膜を、形成してもよい。これらは、例えば、絶縁被膜などと呼ばれる。
ただし、この被膜は、本発明に係る無方向性電磁鋼板の必須の要素ではない。本発明で規定すべき無方向性電磁鋼板の上記の化学組成は、その基材となる鋼板の組成であり、被膜を有する無方向性電磁鋼板においては表面の被膜を研削等により除去した後に測定するものとする。
(Cu粒子)
本発明の無方向性電磁鋼板は、金属組織がフェライト多結晶であり、フェライト結晶中にCu粒子を含有している。そして、Cu粒子の平均粒子径が0.5〜100nm、個数密度が80〜1000個/μmであり、Cu粒子について式(1)を満足することを特徴とする。
Nx/Nt≧0.1 ・・・・・式(1)
ここで、
Nx:観察対象となる全Cu粒子のうち、表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子の個数
Nt:観察対象となる全Cu粒子の個数
一般的に、析出物による高強度化に有効な要素として、析出物の粒子径と個数密度が知られている。本発明で活用するCu粒子の平均粒子径については、0.5nm未満では観察が難しい上、強度を発揮するのに十分な大きさではなく、一方で、添加量に制限がある状況で100nm以上になると個数密度が低下してしまうため強度上昇効果が低下する。個数密度については、80個/μm未満では強度上昇効果が低下し、一方で、1000個/μmを超えると打ち抜き性が低下する。
本発明の特徴は、上記のように高強度化作用を有するCu粒子の表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化していることにある。つまり、Cu粒子について式(1)を満足することを特徴とする。
従来のCu粒子を活用した高強度電磁鋼板では、Cu粒子はその表面にNiおよびAlが濃化しておらず、式(1)を満足しない。本発明鋼板では、式(1)を満足することで、強度と打ち抜き性のバランスが向上する。すなわち、同じ鋼板強度であれば、優れた打ち抜き性を示す。さらに、同じ鋼板強度であれば、磁束密度が高くなるという効果を得ることが可能となる。
式(1)左辺の比は、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは、0.5以上である。もちろん全てのCu粒子について、その表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化している状況、すなわち、Nx=Ntであり、Nx/Nt=1であることが好ましいことは言うまでもない。
本発明において、Ni、Alの濃化が検出されるCu粒子の比率(Nx/Nt)がわずか0.1(10個に1個)程度で効果が表れることは少々奇異なところもあるが、これは濃化の検出限界によるものと考えている。すなわち、本発明で適用する検出方法で濃化が検出されていなくても、濃化が全く起きていない(濃化量=ゼロ)ということではなく、発明効果に寄与するには十分な量の濃化が起きているものと考えられる。ただしそのレベルでの濃化は、発明効果が表れる濃化量自体が小さいことが理由の一つとも考えられるが、さらに測定対象となる析出物(濃化領域)自体が小さいこともあり、本発明で用いる検出方法では検知できない。結果として、本発明の検出方法においてCu粒子の10個に1個の割合で濃化が検出されれば、濃化が検出できない濃化粒子も含めたトータルで発明効果が発揮されるものと考えられる。
Cu粒子の表面にNiおよびAlが濃化することで強度と打ち抜き性のバランスが向上するメカニズムは定かではないが、以下のように考えられる。
Cu粒子を構成するCu相は鋼板の母相であるFe相より柔らかいため、鋼板の変形に伴いFe相中を移動する転位により容易に変形する。これはいわゆる析出物の「カッティング」と呼ばれる現象が起きやすいということである。このため、単純なCu粒子(表面にNiおよびAlが濃化していないCu粒子)では、析出物粒子による析出強化の効果を効率的に発揮している状況とは言えない。そして、このCu粒子の表面にNiおよびAlが濃化すると、「カッティング」が起きにくくなっていると考えられる。純金属としては特にAlはそれほど固い物質ではないが、Cu相の周囲に濃化し、純金属相としても結晶格子の歪を生じることに加え、その一部がCuやFe、または同じ領域で濃化するNiと合金化することや金属間化合物を形成することで、析出物のカッティングを困難にしていると考えられる。
析出物自体が固くなる(カッティングされにくくなる)ことにより、相対的に少ない析出物でも鋼材の強度は効率的に上昇することになる。同じ鋼材強度であれば、析出物が少ないため、析出物による打ち抜き性への悪影響を小さく抑えることが可能となる。
また、本発明のようにCu粒子とNiおよびAlが複合化することにより、析出物が微細に分散されるという作用も考えられる。すなわちCu粒子が析出を開始し成長する過程でNiおよびAlがその表面に濃化するため、Cu粒子の成長が阻害され、結果として表面にNiおよびAlが濃化したCu粒子は、濃化していないCu粒子よりも微細なものとなる。これが鋼材の高強度化に効率的に作用する。
本明細書では主としてCu粒子の形態の特徴を打ち抜き性との関連で記述しているが、磁気特性との関連も示唆される。すなわちCu析出物は基本的には母相であるFe相のような強磁性体ではないため、鋼板の磁気特性、特に磁束密度を少なからず低下させる要因ともなっている。本発明鋼板では同じ鋼材強度であれば、析出物量を少なくできるため磁束密度の低下を抑制するというメリットも得ることが可能となる。
本発明鋼板では、表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化しているCu粒子について、3DAPFIMによる観察において、面積SCと面積SAが式(2)を満足することを特徴とする。
SA/SC>0.01 ・・・ 式(2)
SC:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度≧NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
SA:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度<NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
上記比(SA/SC)が0.01以下では、前述の析出物を固くする効果を十分に得ることができない。好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.5以上である。上限は特に限定しないが、SAがSCより顕著に大きくなると、本発明のメカニズムと考えている「粒子の複合化」の効果が作用しにくくなるため、上記比は、3以下とすることが好ましい。さらに好ましくは2以下である。さらに、SA=SCとなる状況がCu粒子の面積とNiおよびAlが濃化している領域の面積が同じになる状況であり、本発明のメカニズムと考えている「粒子の複合化」の効果を最も効率的に得られる状況になると考えられるため、式(2)の左辺の比は、1程度とすることが好ましいことは言うまでもない。
Cu粒子の平均粒子径、個数密度、NiおよびAlの濃化、さらにCu、Ni、およびAlに関する面積の測定は次のようにして行う。
まず、全Cu粒子の平均粒子径と個数密度について説明する。測定対象の鋼板から、板面方向に平行に切断した切断面(以下「Z断面」とも称する)を有する試料を採取し、Z断面に平行な薄膜試料を作成する。
次に、透過型顕微鏡(TEM)により、上記Z断面にて5μm×5μmの領域を10000〜500000倍率の明視野で観察する。Cu粒子の識別は、TEMの回折パターンなど公知の手法を用いれば良い。観察領域内のCu粒子の個数および円相当径から、個数密度および平均粒子径を算出する。なお、本発明鋼板のCu粒子は、表面にNiおよびAlが濃化したものが少なからず存在する。つまり、NiおよびAlの濃化領域が存在することで粒子そのものが大きくなっているが、Cu粒子の平均粒子径については、Cu相(Cuを主体とすると考えられる領域)の大きさでなく、NiおよびAlを高濃度で含有するとする領域(純金属相、合金相または金属間化合物相など)を含めた大きさとして計測するものとする。言い換えると、上記明視野像において、バルクであるFe相とは電子線回折に相当程度の違いがある暗部として観察される。そして、その違いがCuの濃化によるものか、NiまたはAlの濃化によるものかについては区別しない。もちろん、表面にNiおよびAlが濃化していないCu粒子については、Cu相の大きさが粒子径となる。なお、1つの粒子の粒子径は、観察視野における粒子の面積を円相当に換算した際の径である。
次に、NiおよびAlの濃化に関する定量値の測定について説明する。
FE−TEM法
Ni、Alの濃化については上記と同様に作成したTEM観察試料において、電子ビーム径を0.1nmとしたFE−TEMによるEDSを実施して判定する。まず、Cu粒子が存在しない母相(Fe相)について、Ni、Alについての反射強度を得る。測定は少なくとも10箇所で実施し、各元素毎の平均値をNi、Alの反射強度とする。この反射強度をそれぞれPmNi、PmAlとする。
さらに、Cu粒子についても同様の測定を行う。観察しているCu粒子の中央部に電子ビームを照射し、Ni、Alについての反射強度を得る。この反射強度をそれぞれPaNi、PaAlとする。
そして、PaAl/PmAl≧1.5 または PaNi/PmNi≧1.5を満たすCu粒子を、「表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子」とする。この測定を少なくとも100個のCu粒子について行い、Nx/Ntを求める。
3DAPFIM法
Ni、Alの濃化については三次元アトムプローブ電解イオン顕微鏡(3 dimensional atom probe field ion microscope:3DAPFIM/参考文献:例えば、ふぇらむ,4,474(1999))を用いる。
3DAPFIMでの観察は、針状試料で行われ、針状試料の先端部での原子情報を得ることができる。この先端部領域の大きさは一般的には100nm程度以下である。本発明の測定においては、先端部に少なくとも1つのCu粒子を有する針状試料を作成する。この試料中の少なくとも1つのCu粒子、およびその周囲のFe、Cu、NiおよびAl原子の存在状態を決定し、三次元アトムプローブのデータを得る。そして1つのCu粒子およびその周囲空間について、Cu粒子の断面積が最大となる平面から2nm以内の距離にある原子を該平面上に投影した二次元の濃度分布図を作成する。この分布図上で、「Fe濃度≦90%、かつCu濃度≧NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積をSC、「Fe濃度≦90%、かつCu濃度<NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積をSAとする。SAがゼロでなければ、表面の少なくとも一部にNiおよび/またはAlが濃化しているCu粒子とみなす。これを少なくとも100個のCu粒子について実施し、観察したCu粒子のうち、表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化しているCu粒子の個数Nxを得る。さらに、上記SCおよびSAの値からSA/SCを求める。
ここで、本発明で使用している「濃化」という表現について説明しておく。
本発明で観察される組織は、Fe相の中に分散して析出する微細なCu粒子の表面にNiまたはAlの濃度がFe相中のNiまたはAlの濃度よりも有意に高い領域が存在するものである。本発明はこの状況を単純に「濃化」という表現を用いて規定する。このような状況は、例えばCu表面へ上記元素が「濃化」し、純金属相または合金相を形成した形態であったり、上記元素を含有する何らかの化合物がCu粒子と「複合析出」したような形態が考えられる。または、NiまたはAlの濃化領域を核としてこれにCu粒子が析出したような形態が考えられる。複合析出する可能性がある化合物としては、例えばAlについては鋼板中の化合物としてよく知られる窒化物や酸化物が挙げられる。ただし本発明の「濃化」の原因となる物質はこれに限らず、Niを含有するものも含め、炭化物や硫化物、さらには金属化合物などの形態も考えられる。現時点では「濃化」の原因が、純粋な金属元素の「偏析」なのか、何らかの化合物の「複合析出」なのかは判明しておらず、これも考慮して、本発明では上位概念である「濃化」という表現をあえて用いており、これは上記測定法により規定されるものである。
また、「(Cu粒子の)表面」という表現についても、説明しておく。
本発明におけるこの表現は、Ni、Al原子がCu原子に接していることを限定するものではない。つまり、上述のように「濃化」についての微細構造や形成過程の解明ができておらず、例えばCu粒子の表面がNi、Al(およびFe)ではない別の元素で覆われ、その「表面」、つまり厳密にはCu粒子の表面でない面にNi、Al原子が存在している可能性を否定できない。本発明における上記「表面」は、一般的な解析技術を用いて観察した限りにおいて、Cu粒子を形成するCuを主体とする領域から鋼板の母相であるFe相に至る狭い空間に、Ni、Alが「濃化」した領域が存在していることを意図するものであり、Cuを主体とした領域とNiおよびAlを主体とする領域が空間的に隣接して観察される状況を表現するものである。そして、この状況は上記測定法により規定されるものである。
微細構造および形成過程の実態については、今後の解析技術の発達も含めて解明されることが期待される。
本発明の無方向性電磁鋼板は、例えば永久磁石内蔵モータ(IPMモータ)のロータコア鉄心に好適に用いられる。近年、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)に使用される駆動モータの高速回転化が著しくなっているが、高速回転時には、永久磁石が埋め込まれるブリッジ部に強い遠心力が作用する。本発明の無方向性電磁鋼板は、磁束密度B50が1.6T以上といった磁性特性を有することに加え、引張強さTSが600MPa以上の高強度であることにより、そのような遠心力に耐えられるようになる。なお、本発明の無方向性電磁鋼板の用途は、ロータコアに限られず、例えば、ステータ(固定子)などの鉄心にも用いることが可能である。
同一の鋼板をロータコア鉄心用部材とステータコア鉄心用部材として用いることは、略円環状に打ち抜かれるステータコア鉄心用部材の中央部の略円形領域をロータコア鉄心用部材の素材とできることから、鋼板歩留りの観点で有利であり、このような板取は「共取り」とも呼ばれ一般的なものである。
ただし、ステータコア鉄心用として鋼板から打ち抜かれた部材、または、それを積層して形成されるステータコア鉄心は、いわゆる歪取り焼鈍と称される熱処理を実施することが好ましい。ステータコア鉄心用素材については高強度は必要とされず、むしろ低鉄損が重要となるため、鉄損に悪影響を及ぼす打ち抜き歪を解放するとともに、本発明鋼板の特徴である特殊なCu粒子形態を維持できなくなるとしても、低鉄損に有利となる100μm以上の粒径となるよう追加の熱処理をすることが好適となる。
これら、最終的に高強度が必要とされるロータコア鉄心用としても、最終的には高強度は特に必要とされないステータコア鉄心用としても、共取りを前提とすれば、鋼板の打ち抜き時には高強度の材料を打ち抜くことになり、本発明の打ち抜き性改善効果を十分に得ることに変わりはない。
(製造方法)
本発明の無方向性電磁鋼板は、前記成分を含む鋼を溶製し、連続鋳造で鋼スラブとし、ついで熱間圧延、冷間圧延および仕上げ焼鈍することによって製造することができる。例えば熱間圧延の製造条件については、スラブ加熱温度として1000〜1250℃、仕上温度として800〜1000℃、巻取り温度として400〜850℃が挙げられる。この熱延板をさらに熱延板焼鈍として、900〜1150℃で120秒以下の処理を施してもよい。その後、例えば冷延率80〜95%の冷間圧延を施し、冷間圧延による加工組織を再結晶させるため、850〜1100℃で120秒以下の仕上焼鈍を実施する。ここで挙げた条件は公知の標準的な条件である。本発明鋼板の製造において以上の標準的な条件を採用にするにあたり注意すべき点は冷間圧延前の最終的な熱履歴である。これも公知の事項に過ぎないが、冷間圧延前の最終的な熱履歴で微細なCu粒子が相当量形成されてしまうと冷間圧延前の鋼板が硬くなる。これは単純に冷間圧延性を低下させ、圧延荷重の増大、鋼板形状精度の低下、圧延中の鋼板の破断などを招く。よって、冷間圧延前の最終的な熱処理ではCu粒子の形成温度域を短時間で通過させCu粒子が形成されないようにするか、Cu粒子の形成温度域で十分な時間保持してCu粒子を粗大化して硬質化を回避するような熱履歴とすべきである。具体的には450〜650℃の滞留時間を20秒以下とすることが好ましい。
また、これらの工程に加え絶縁皮膜の形成や脱炭工程など行っても構わない。また鋳造については200mm程度の厚さのスラブを得る通常の工程ではなく、急冷凝固法による薄帯の製造や熱延工程を省略する薄スラブ法などの工程によって製造しても問題ない。
本発明で特徴的な特異な金属相を鋼板内に形成するには、鋼中のCu、NiおよびAlの固溶からCu粒子の析出およびCu粒子表面(Cu粒子と母相(Fe相)の界面)へのNiおよび/またはAlの濃化過程にかけて、以下のような熱履歴を経ることが効果的である。
本発明鋼は、基本的には冷延後の鋼板を熱処理する過程でCu粒子を析出させるものであることから、該熱履歴の制御対象となるのは、冷延後の組織を再結晶させる仕上焼鈍工程での冷却過程、鋼板を打ち抜いたコア部材に対する歪取り焼鈍での冷却過程、Cu析出のみを目的とした特別な過時効処理、が考えられる。
この熱履歴の特徴は、Cuが平衡状態として十分に固溶しうる温度域からの冷却を適切に制御することであり、(1)冷却を開始する温度、(2)冷却過程の比較的高温域での滞留時間、(3)冷却過程の比較的低温域での滞留時間、(4)冷却過程での応力、の4点がポイントとなる。以下、これらについて説明する。なお、以下では熱処理中の原子挙動を含めた現象(メカニズム)を含めて説明しているが、これについてはあくまでも現時点で妥当と考えている予想であり、完全に確立されたものでないことを断っておく。
まず、冷却を開始する温度である。この温度はCu、NiおよびAlが平衡状態として十分に固溶する温度であることが好ましい。本発明鋼の成分であれば、800℃以上となる。詳細は後述するが、本発明の特徴的なCu粒子表面へのNi、Alの濃化は、大きな過飽和状態で固溶させたCu、NiおよびAlを温度上昇過程で急速に析出および濃化させるのでなく、平衡状態で固溶したCu、NiおよびAlを温度下降過程で準平衡的に析出および濃化させることで形成しやすい。好ましくは850℃以上である。一方、この温度が高すぎると結晶組織が過度に粗大化して磁気特性が劣化する。このため、1100℃以下、さらには1050℃以下とすることが好ましい。
次に、上記Cu固溶温度からの冷却過程である。この冷却過程ではFe相への溶解度が十分に高いとは言えないCuが、安定状態となるべく準平衡状態で析出を開始する。その際、比較的高温域ではNi、Alの拡散速度も十分に高いためCu粒子の析出と並行してNiおよび/またはAlがCu粒子とFe相の界面に濃化する。この濃化は基本的には上記Cu固溶温度からの冷却過程であれば少なからず発生するはずではあるが、発明効果を発現する程度に濃化を高めるためには、冷却サイクルを意図的に制御する必要がある。この理由は明確ではないが、Cu粒子の析出速度はもちろん、その析出間隔(析出核の発生密度)と関連するNi、Alの拡散距離、さらにその距離を適度に移動するNi、Alの拡散速度が特定の範囲内にある状況で現象を進行させる必要があるためと考えられる。本発明ではこの現象を冷却過程の温度域を3つに分けて制御する。
まずNi、Alが十分に拡散できる温度領域で相当程度のCu析出核となるべき状況を実現し、その周囲にNiおよび/またはAlを到達させる。この温度域は700〜800℃の温度域に相当する。本発明ではこの温度域を「温度域A」と呼称することがあり、本発明での特徴的なCu粒子分布、特にNiおよび/またはAlが十分に濃化した特徴的なCu粒子を形成するには、冷却過程での温度域Aの平均冷却速度を20℃/s以下とすることが好ましい。さらに好ましくは12℃/s以下である。一方でCuの析出、Niおよび/またはAlの濃化を促進するにはある程度の冷却速度で冷却を継続するが必要がある。このため、温度域Aの平均冷却速度は5℃/s以上、好ましくは8℃/s以上とすべきである。
次に、Fe相結晶粒内でのCu粒子の析出ステージについて説明する。上記冷却過程で鋼板温度が700℃より低温になるとFe相結晶粒内にCu粒子が多量に析出するようになる。実用的な冷却速度であれば、低温域になるほど微細なCu粒子が高い数密度で析出するが、Cu粒子の数密度が過度に高くなると1つのCu粒子の表面でのNiおよび/またはAlの濃化量は低下してしまうため好ましくない。このため、本発明においては、中間温度で十分にCu析出を進行させることが好ましい。この温度域としては、550〜700℃の温度域に相当する。本発明ではこの温度域を温度域Bと呼称することがあり、特にCu粒子の析出の数密度を制御するために有効な温度域である。前述のようにCu粒子の数密度が適正であれば、その表面に十分なNiおよび/またはAlを濃化させることが可能となる。このためには、温度域Bの平均冷却速度を15℃/s以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10℃/s以下である。一方でCuの析出、Niおよび/またはAlの濃化を促進するにはある程度の冷却速度で冷却を継続するが必要がある。このため、温度域Bの平均冷却速度は3℃/s以上、好ましくは6℃/s以上とすべきである。
3つ目の温度域は、450〜550℃の温度域である。本製造法においては、上述のように550℃までに十分な量のCuを析出させている。このため550℃以下での滞留による形成される比較的微細なCu粒子の析出量は抑制され、この温度域の主たる目的は、形成されているCu粒子の表面へのNiおよび/またはAlの濃化量を高めることにある。本発明ではこの温度域を温度域Cと呼称することがある。Niおよび/またはAlを十分に濃化させるためには、冷却過程での温度域Cの平均冷却速度を12℃/s以下とすることが好ましい。さらに好ましくは8℃/s以下である。一方でCuの析出、Niおよび/またはAlの濃化を促進するにはある程度の冷却速度で冷却を継続するが必要がある。このため、温度域Cの平均冷却速度は2℃/s以上、好ましくは4℃/s以上とすべきである。
450℃以下の温度域ではFe相内での固溶Cuの拡散が不十分となり、Cu粒子が析出したとしても過度に微細になり高強度化に寄与しにくいばかりでなく、Ni、Alの拡散も不十分となるため、これら元素の濃化にもほとんど影響を及ぼさなくなる。このため450℃以下の温度域の冷却条件については特に限定しない。
上述の通り、本製造法においては、450〜800℃の温度域を3つの温度域A、B、Cに分けて説明したが、さらに補足しておく。
本製造法は、冷却条件を温度域A、B、Cでの「平均冷却速度」で説明したが、本発明効果は、冷却過程でのCu析出とNi、Alの拡散と偏析を連続的に制御して達成するものであり、上記各温度域内は連続的な温度降下を伴うものであることが好ましい。すなわち温度域の平均冷却速度が同じであるとしても、一定温度での保持や昇温などを伴うものでないことが好ましい。
さらに450〜800℃の冷却は、徐々に冷却速度が低下するものであることが好ましい。上記の3つの温度域については、「温度域Aでの平均冷却速度」>「温度域Bでの平均冷却速度」>「温度域Cでの平均冷却速度」であることが好ましく、さらに各温度域内においても直線的な温度下降ではなく、徐々に冷却速度が低下するような冷却であることが好ましい。
さらに本発明の特徴的なCu粒子分布に影響を及ぼすのは、上記温度域A、温度域Bおよび温度域Cに滞留中に鋼板に負荷されている張力である。この張力はCu粒子周辺やNiやAlの組成変動領域での応力状態に影響し、Cu粒子の分布およびその周囲のNiやAlの濃化状態の制御に好ましく作用する。応力下で析出および偏析が起きることにより、最終的なCu粒子表面へのNiおよび/またはAlの濃化量が上昇する。好ましくは温度域B、さらに好ましくは温度域A、さらに好ましくは温度域Cにおいて、4MPa以上の張力を負荷した状態で上記のように冷却する。上限は特に限定しないが、熱処理中の鋼板の不用意な変形を回避するには10MPa程度にとどめるべきである。
以上のようにして製造された本発明の無方向性電磁鋼板は、フェライト結晶中に含有されるCu粒子の平均粒子径が0.5〜100nm、個数密度が80〜1000個/μmであり、Cu粒子について式(1)を満足する。その結果、引張強さTSが600MPa以上の高強度となる。このため、本発明の無方向性電磁鋼板は、高強度が必要とされるロータコア鉄心用素材として必要な所定の形状に加工した後、そのまま(時効処理をすることなく)利用することが可能となる。
また、本発明の無方向性電磁鋼板は、Cu粒子の表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化していることにより、強度と打ち抜き加工性のバランスを向上させることができる。無方向性電磁鋼板について、モータコアの鉄心として必要な所定の形状に打ち抜き加工する場合、図1に示すように、無方向性電磁鋼板の強度(引張強さTS)と打ち抜き回数は、反比例の関係にある。つまり、無方向性電磁鋼板を高強度化して引張強さTSが大きくなれば、打ち抜き回数は減少する。ここで、打ち抜き回数は、無方向性電磁鋼板について15mmφスチールダイスを用いて繰り返し打ち抜き加工を繰り返し行う場合に、加工された構成部材(製品)に生ずるバリの高さが50μm以上となる加工回数である。
本発明の無方向性電磁鋼板は、Cu粒子の表面の少なくとも一部にNiおよびAlが濃化していることにより、同じ強度であれば、NiおよびAlが濃化していない場合に比べて、打ち抜き回数が多くなるといった傾向が得られる。これは、Cu粒子の表面にNiおよびAlが濃化したことにより、Cu粒子の表層が硬質化し、鋼板の変形に伴う転位によるCu粒子のカッティングが抑制されCu粒子による析出強化作用が顕著になり、より少ない粒子数で効果的に高強度化を図ることができる一方で、打ち抜き加工の際には、粒子数が少ないことにより、打ち抜き加工をせん断金型の損傷を抑制しながら容易に行うことができることによるものと考えられる。また、本発明の無方向性電磁鋼板は、従来のCu粒子を活用した高強度電磁鋼板と比較すると同じ強度であれば高い磁束密度を得るのに有利となる。
表1に示す各成分(質量%)を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼種A〜Fを真空溶解し、50kgのインゴットを作製した。その後、熱間鍛造にて、40×100×200mmの試験片を作成し、熱間圧延にて、2mm厚の熱延鋼板を作成した。さらに熱延板の焼鈍を、900℃60s均熱後、水冷にて実施した。そして、酸洗により脱スケールし、冷間圧延によって0.30mm厚さとした。得られた各鋼種A〜Fの冷延板について、表2に示す条件で仕上げ焼鈍を行った。各試験No.1−1〜1−6、2−1〜2−6、3−1〜3−9、4−1〜4−6の鋼種、仕上げ焼鈍における冷却開始温度(最高到達温度(℃))、700〜800℃(温度域A)の冷却速度(℃/s)、550〜700℃(温度域B)の冷却速度(℃/s)、450〜550℃(温度域C)の冷却速度(℃/s)、温度域A、温度域Bおよび温度域Cに滞留中に鋼板に負荷されている張力(張力(MPa))を表2に示す。なお、試験No.4−1〜4−3については、550〜700℃(温度域B)および450〜550℃(温度域C)にて、表2に示す冷却速度(℃/s)で追加時効処理(張力0)を行い、試験No.4−4〜4−6については、450〜550℃(温度域C)にて、表2に示す冷却速度(℃/s)で追加時効処理(張力0)を行った。
Figure 2020094252
Figure 2020094252
試験No.1−1〜1−6、2−1〜2−6、3−1〜3−9、4−1〜4−6について、Cu粒子の平均粒子径(平均径Dp(nm))、個数密度(個/μm)、観察対象となる全Cu粒子の個数(全粒子数Nt)、観察対象となる全Cu粒子のうち、表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子の個数(濃化粒子数Nx)、それらの比(Nx/Nt)、面積SCと面積SAの比(面積比SA/SC)、各特性(引張強さTS(MPa)、バリの高さが50μm以上となる打ち抜き回数(×10回)、引張強さTS×打ち抜き回数(TS*回数))を表3に示す。
Figure 2020094252
試験No.1−3〜1−6、2−2、2−3、2−5、2−6、3−1、3−2、3−4、3−6は本発明例であり、引張強度TSが600MPa以上の高強度を有し、かつ、打ち抜き回数が10万回以上となった。一方、試験No.1−1、1−2、2−1、2−4、3−3、3−5、3−7〜3−9、4−1〜4−6は比較例であり、引張強度TSが600MPa以上、打ち抜き回数が10万回以上のいずれかを満足することができなかった。
実施例に示した各試験No.1−1〜1−6、2−1〜2−6、3−1〜3−9、4−1〜4−6について、引張強さTSと打ち抜き回数の関係を図2に示す。引張強さTSと打ち抜き回数は半比例の関係にあるが、本発明例(発明○)は、比較例(比較×)対して、同じ引張強度TSであれば打ち抜き回数が多い(同じ打ち抜き回数であれば引張強度TSが高い(高強度)という結果となった。本発明により、強度と打ち抜き加工性のバランスに優れた無方向性電磁鋼板を得ることができた。
なお、引張強さTSのレベルが異なれば打ち抜き回数も変化する。引張強さTSと打ち抜き回数のバランスを示す一応の目途として、引張強さTS×打ち抜き回数(TS*回数))を表3に示した。但し、ここに示した目途(TS*回数)は、あくまでも例示であり、絶対値として本発明を規定するものではない。

Claims (4)

  1. 質量%で、Si:2.0〜6.0%、Cu:1.7〜4.0%を含有し、さらにAl:3.0%以下、Ni:4.0%以下の一種または二種を合計で0.5%以上を含有し、さらに任意元素として、
    Mn:5.0%以下、
    P:0.300%以下、
    B:0.100%以下、
    Nb:1.00%以下、
    Mo:1.000%以下、
    Bi:0.010%以下、
    Sn:0.10%以下、
    Sb:0.10%以下、
    Cr:0.30%以下、
    Ca:0.020%以下、
    Mg:0.020%以下、
    La:0.020%以下、
    Ce:0.020%以下
    を含有し、残部Feおよび不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、
    金属組織がフェライト多結晶であり、
    フェライト結晶中にCu粒子を含有し、
    Cu粒子の平均粒子径が0.5〜100nm、個数密度が80〜1000個/μmであり、
    Cu粒子について式(1)を満足することを特徴とする、無方向性電磁鋼板。
    Nx/Nt≧0.1 ・・・・・式(1)
    ここで、
    Nx:観察対象となる全Cu粒子のうち、表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子の個数
    Nt:観察対象となる全Cu粒子の個数
  2. 表面の少なくとも一部にNi、Alの一種または二種が濃化しているCu粒子について、3DAPFIMによる観察において、面積SCと面積SAが式(2)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
    SA/SC>0.1 ・・・ 式(2)
    ここで、
    SC:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度≧NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
    SA:「Fe濃度≦90%、かつCu濃度<NiおよびAlの合計濃度」を満足する領域の面積
  3. 引張強さTSが600MPa以上、15mmφスチールダイスを用いて繰り返し打ち抜き加工を繰り返し行う場合に、加工された製品に生ずるバリの高さが50μm以上となる加工回数が10万回以上であることを特徴とする、請求項1、2のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼板を積層して形成されたことを特徴とする、IPMモータのロータコア鉄心。
JP2018234443A 2018-12-14 2018-12-14 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心 Active JP7256361B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018234443A JP7256361B2 (ja) 2018-12-14 2018-12-14 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018234443A JP7256361B2 (ja) 2018-12-14 2018-12-14 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020094252A true JP2020094252A (ja) 2020-06-18
JP7256361B2 JP7256361B2 (ja) 2023-04-12

Family

ID=71086041

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018234443A Active JP7256361B2 (ja) 2018-12-14 2018-12-14 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7256361B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112359265A (zh) * 2020-11-16 2021-02-12 湖南上临新材料科技有限公司 一种电机用无取向硅钢的小变形预处理方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004183066A (ja) * 2002-12-05 2004-07-02 Jfe Steel Kk 打ち抜き性及び鉄損の優れた時効硬化性無方向性電磁鋼板、その製造方法及びそれを用いたローターの製造方法
JP2004300535A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Jfe Steel Kk 磁気特性の優れた高強度無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2007031754A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Sumitomo Metal Ind Ltd 時効熱処理用無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2011099163A (ja) * 2010-11-08 2011-05-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 時効熱処理用無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2018111865A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 新日鐵住金株式会社 無方向性電磁鋼板

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004183066A (ja) * 2002-12-05 2004-07-02 Jfe Steel Kk 打ち抜き性及び鉄損の優れた時効硬化性無方向性電磁鋼板、その製造方法及びそれを用いたローターの製造方法
JP2004300535A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Jfe Steel Kk 磁気特性の優れた高強度無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2007031754A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Sumitomo Metal Ind Ltd 時効熱処理用無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2011099163A (ja) * 2010-11-08 2011-05-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 時効熱処理用無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2018111865A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 新日鐵住金株式会社 無方向性電磁鋼板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112359265A (zh) * 2020-11-16 2021-02-12 湖南上临新材料科技有限公司 一种电机用无取向硅钢的小变形预处理方法
CN112359265B (zh) * 2020-11-16 2021-10-26 湖南上临新材料科技有限公司 一种电机用无取向硅钢的小变形预处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7256361B2 (ja) 2023-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6794630B2 (ja) 電磁鋼板、及びその製造方法
JP2019019355A (ja) 電磁鋼板及びその製造方法、ロータ用モータコア及びその製造方法、ステータ用モータコア及びその製造方法、並びに、モータコアの製造方法
JP6628016B1 (ja) 無方向性電磁鋼板
TWI535858B (zh) Soft magnetic steel and its manufacturing method, and soft magnetic parts made of soft magnetic steel parts
JP4515355B2 (ja) 高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材および高磁界での磁気特性に優れた軟磁性鋼部品
JP2020076138A (ja) 無方向性電磁鋼板
JP7180700B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP5724837B2 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
TWI682039B (zh) 無方向性電磁鋼板及其製造方法
JP6801464B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP7256361B2 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心
JP7173286B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP6816516B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
KR102561512B1 (ko) 무방향성 전자 강판 및 그 제조 방법
JP4855221B2 (ja) 分割コア用無方向性電磁鋼板
JP2007162096A (ja) 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2006169615A (ja) 高周波磁気特性の優れた電磁鋼板とその製造方法
TWI688658B (zh) 無方向性電磁鋼板
JP7256362B2 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、ipmモータのロータコア鉄心
JP5826284B2 (ja) 磁気特性に優れた線材、鋼線及びこれらの製造方法
JP7323762B2 (ja) かしめ性に優れた高強度無方向性電磁鋼板
JP6852965B2 (ja) 電磁鋼板とその製造方法
KR20230143194A (ko) 무방향성 전자 강판 및 그 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230313

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7256361

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151