JP2020093671A - 熱交換ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】凍結したシャッターを解凍することのできる熱交換ユニットを提供する。【解決手段】熱交換ユニット10は、ラジエータ210と、ラジエータ210よりも前方側となる位置に配置されるシャッター300と、シャッター300よりも後方側となる位置に配置されるファン400と、シャッター300及びファン400の動作を制御する制御装置100と、を備える。ファン400は、前方側から後方側に向かう方向に空気を送り出す正回転動作と、その逆側に向かう方向に空気を送り出す逆回転動作と、のいずれをも行うことができる。制御装置100は、ファン400に逆回転動作を行わせることで、ラジエータ210を通過した高温の空気をシャッター300に到達させる処理、である解凍処理を行う。【選択図】図1
Description
本開示は、車両に搭載される熱交換ユニットに関する。
車両には複数の熱交換器が備えられる。このような熱交換器には、例えば、内燃機関用の冷却水と空気との間で熱交換を行うためのラジエータや、車両用空調装置の一部であるコンデンサ等が挙げられる。下記特許文献1に記載されているように、このような熱交換器の一部は、空気の流れを調整するためのファンやシャッター等の装置と共にユニット化され、全体が1つの熱交換ユニットとして構成されることが多い。熱交換ユニットは、車両のフロントグリルから流入した空気が熱交換器を通過するように、車両の前方側部分に配置されるのが一般的である。
熱交換ユニットが備えるシャッターは、従来のグリルシャッターと同様に、車両のフロントグリルから車両内部へと流入する空気の流れを遮断することができる。これにより、車両の走行中における空気抵抗を低減し、車両の燃費又は電費を向上させることが可能となる。
外気温が低いときには、シャッターに付着した水分が凍結し、これによりシャッターが動作し得ない状態となってしまうことがある。シャッターが完全に閉じられている状態で上記のような凍結が生じると、ラジエータにおける放熱量を増加させる必要性がその後に生じた場合であっても、シャッターを開くことができなくなってしまう。その結果、ラジエータにおける放熱を十分に行うことができず、所謂オーバーヒートが生じてしまう可能性がある。
そこで、従来においては上記のような事態を防止するために、外気温が低くなりシャッターの凍結が生じる可能性があるような状況の下では、凍結が生じた後においても空気の流入経路が確保されるよう、予めシャッターを開かれた状態としておく必要があった。しかしながら、常にシャッターが開かれた状態で車両を走行させると、車両の受ける空気抵抗が増加してしまう。
このため、車両の燃費又は電費を向上させるためには、シャッターの凍結が生じる可能性がある状況であっても、シャッターが閉じられた状態で車両を走行させることとした上で、シャッターの凍結が生じた場合には解凍できるような構成とすることが好ましい。
本開示は、凍結したシャッターを解凍することのできる熱交換ユニット、を提供することを目的とする。
本開示に係る熱交換ユニットは、車両(VC)に搭載される熱交換ユニット(10)であって、空気との熱交換によって熱媒体を冷却する熱交換器(210)と、車両において熱交換器よりも前方側となる位置に配置され、車両の外部から熱交換器に向かう空気の流れを調整するシャッター(300)と、車両においてシャッターよりも後方側となる位置に配置され、熱交換器を通るように空気を送り出すファン(400)と、シャッター及びファンの動作を制御する制御装置(100)と、を備える。ファンは、車両において前方側から後方側に向かう方向に空気を送り出す正回転動作と、車両において後方側から前方側に向かう方向に空気を送り出す逆回転動作と、のいずれをも行うことができるものである。制御装置は、ファンに逆回転動作を行わせることで、熱交換器を通過した高温の空気をシャッターに到達させる処理、である解凍処理を行う。
このような構成の熱交換ユニットでは、シャッターにおいて凍結が生じた場合には、制御装置が解凍処理を行い、これにより凍結したシャッターを解凍することができる。解凍処理とは、ファンに逆回転動作を行わせることで、熱交換器を通過した高温の空気をシャッターに到達させる処理である。このような解凍処理が行われると、ファンにより送り出された空気は、熱交換器を通過しその温度を上昇させた後、前方側にあるシャッターへと到達する。高温の空気が当たることによってシャッターは解凍され、再び動作可能な状態へと戻る。
この熱交換ユニットでは、上記のような解凍処理を行うことができるので、凍結に備えて予めシャッターを開かれた状態としておく必要がない。このため、外気温が低いときであってもシャッターを閉じられた状態としておき、車両の受ける空気抵抗を低減することが可能となる。
本開示によれば、凍結したシャッターを解凍することのできる熱交換ユニット、が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る熱交換ユニット10は、車両VCに搭載されるものであって、車両VCにおける各部の温度調整を行うための装置である。熱交換ユニット10の説明に先立ち、図1を参照しながら車両VCの構成について先ず説明する。
車両VCは、内燃機関EGの駆動力によって走行する車両である。内燃機関EGは、車両VCのうち前方側部分の空間であるエンジンルームER内に配置されている。後述の熱交換ユニット10は、エンジンルームERのうち、内燃機関EGよりも前方側となる位置に配置されている。
尚、熱交換ユニット10が搭載される車両VCは、本実施形態のように内燃機関EGの駆動力によって走行する車両であってもよいが、モータージェネレータの駆動力によって走行する車両、すなわち、所謂電動車両であってもよい。また、内燃機関及びモータージェネレータのそれぞれの駆動力によって走行する車両、すなわち、所謂ハイブリッド車両であってもよい。
車両VCのうち最も前方側の部分には、フロントグリルの開口OPが形成されている。車両VCが走行しているときには、開口OPからエンジンルームER内に空気が流入する。後に説明するように、当該空気は熱交換ユニット10における熱交換に供される。また、熱交換ユニット10が備える後述のシャッター300が閉じられているときには、開口OPからの空気の流入が抑制される。
引き続き図1を参照しながら、熱交換ユニット10の構成について説明する。熱交換ユニット10は、エンジンルームER内のうち内燃機関EGよりも前方側となる位置であり、且つ開口OPの近傍となる位置に配置されている。熱交換ユニット10は、ラジエータ210と、コンデンサ220と、シャッター300と、ファン400と、制御装置100と、を備えている。
ラジエータ210は、空気との熱交換によって冷却水を冷却するための熱交換器である。当該冷却水は、ラジエータ210と内燃機関EGとの間を循環しており、ラジエータ210における「熱媒体」に該当する。冷却水は、内燃機関EGを通る際において加熱されその温度を上昇させる。一方、内燃機関EGは冷却水によって冷却される。内燃機関EGから排出された冷却水は、ラジエータ210を通る際において空気によって冷却され、その温度を低下させる。その後、冷却水は再び内燃機関EGへと供給され、内燃機関EGの冷却に供される。
ラジエータ210における熱交換に供される空気は、基本的には、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気である。当該空気は、車両VCの前方側から後方側に向かって流れながら、ラジエータ210を通過する。
後述のシャッター300が閉じられており、且つファン400が動作しているときには、開口OPから流入する空気ではなく、エンジンルームER内を循環する空気がラジエータ210を通過することとなる。
尚、ラジエータ210は、不図示のタンク、チューブ、及びフィン等を有しているのであるが、このようなラジエータ210の構成としては公知のものを採用することができる。このため、ラジエータ210の構成については具体的な図示や説明を省略する。
コンデンサ220は、空気との熱交換によって冷媒を冷却するための熱交換器である。コンデンサ220は、車両VCにおいてラジエータ210よりも前方側となる位置に配置されている。コンデンサ220は、不図示の車両用空調装置を構成する冷凍サイクルの一部であって、空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる凝縮器として用いられるものである。冷媒は、コンデンサ220における「熱媒体」に該当する。
コンデンサ220における熱交換に供される空気は、ラジエータ210の場合と同様に、基本的には、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気である。当該空気は、車両VCの前方側から後方側に向かって流れながら、コンデンサ220を通過し、その後、先に述べたようにラジエータ210を通過する。
尚、コンデンサ220は、不図示のタンク、チューブ、及びフィン等を有しているのであるが、このようなコンデンサ220の構成としては公知のものを採用することができる。このため、コンデンサ220の構成については具体的な図示や説明を省略する。
シャッター300は、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気の流れ、すなわち、車両VCの外部からラジエータ210等に向かう空気の流れを調整するための装置である。シャッター300は、車両VCにおいてラジエータ210よりも前方側となる位置であり、且つコンデンサ220よりも後方側となる位置に配置されている。
シャッター300は、不図示のブレードを複数枚有している。それぞれのブレードは、不図示のモーターによって回転する。それぞれのブレード間の隙間の大きさは、ブレードの回転によって変化する。
ブレード間の隙間が最大となっているときには、シャッター300の開度は100%となり、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気の流量も最大となる。ブレード間の隙間が小さくなると、シャッター300の開度は100%よりも小さくなり、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気の流量が減少する。ブレード間の隙間が0になると、シャッター300の開度は0%となり、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気の流量は0となる。シャッター300の動作は後述の制御装置100によって制御される。
尚、複数のブレードの回転によって空気の流量を調整するシャッター300の構成としては、公知のものを採用することができる。このため、シャッター300の構成については具体的な図示や説明を省略する。
ファン400は、ラジエータ210やコンデンサ220を通るように空気を送り出すための送風装置である。ファン400は、車両VCにおいてシャッター300及びラジエータ210よりも後方側となる位置に配置されている。ファン400は、複数の回転翼410を所定方向に回転させることにより、車両VCの前方側から後方側へと向かう方向に空気を送り出す。これにより、開口OPからラジエータ210に向かうような空気の流れをさらに促進することができる。このように、車両VCにおいて前方側から後方側に向かう方向に空気を送り出すようなファン400の動作のことを、以下では「正回転動作」とも称する。
ファン400は、上記の所定方向は逆の方向に回転翼410を回転させることにより、車両VCの後方側から前方側へと向かう方向に空気を送り出すことも可能となっている。この場合、ファン400によって送り出された空気は、ラジエータ210を通過した後にシャッター300に到達することとなる。このように、車両VCにおいて後方側から前方側に向かう方向に空気を送り出すようなファン400の動作のことを、以下では「逆回転動作」とも称する。ファン400は、正回転動作及び逆回転動作のいずれをも行うことができる。ファン400の動作は制御装置100によって制御される。
熱交換ユニット10では、上記のようなラジエータ210、コンデンサ220、シャッター300、及びファン400が一体化されており、これらが一つのユニットとして構成されている。図1において符号11が付されているのは、ラジエータ210等を互いに接続し一体化するためのブラケットや、空気の流れる経路を区画するためのシュラウド等を模式的に表すものである。
制御装置100は、熱交換ユニット10の全体の動作を統括制御するための装置である。先に述べたように、制御装置100は、シャッター300及びファン400の動作を制御する。制御装置100は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。制御装置100は、ラジエータ210等と共に一体化されていてもよいのであるが、一体化されたラジエータ210等とは異なる位置に配置されていてもよい。また、制御装置100が、熱交換ユニット10の制御を行う専用の装置として構成されているのではなく、車両VCに搭載された他のECUの一部として構成されているような態様であってもよい。
制御装置100には、車両VCの各部に設けられたセンサからの信号が、直接又は他のECUを介して入力されている。これにより、制御装置100は、車両VCの車速や、車両VCの周囲の外気温等、制御に必要な様々な情報を取得することが可能となっている。
図2に示されるように、制御装置100は機能的な制御ブロックとして、シャッター制御部110と、ファン制御部120と、凍結判定部130と、を備えている。
シャッター制御部110は、シャッター300の動作を制御する部分である。シャッター制御部110は、シャッター300が有する不図示のモーターに制御信号を送信し、シャッター300が有する不図示のブレードの回転角度を変化させる。これにより、シャッター制御部110はシャッター300の開度を調整する。
ファン制御部120は、ファン400の動作を制御する部分である。ファン制御部120は、ファン400が有する不図示のモーターに制御信号を送信し、回転翼410の回転方向や回転速度を調整する。これにより、シャッター制御部110は、シャッター300から送り出される空気の方向や流量を調整する。
凍結判定部130は、シャッター300が凍結しているか否かを判定する部分である。シャッター300が凍結している状態とは、シャッター300が有するブレードに付着した水分が凍結し、これにより各ブレードが回転できなくなっている状態のことである。シャッター300が凍結しているときには、シャッター300はその開度を変化させることができなくなる。
シャッター300が凍結している状態で、シャッター300が有するモーターを回転させようとすると、当該モーターにおける動作負荷が大きくなる。凍結判定部130は、モーターに供給される電流の値を常にモニタリングしている。凍結判定部130は、モーターの動作負荷が大きくなったことが当該電流の値から推定される場合に、シャッター300が凍結していると判定する。
このような態様に換えて、例えば外気温が所定温度を下回っているときのように、シャッター300で凍結が生じる可能性が高くなっていると推定される場合に、凍結判定部130が、シャッター300が凍結していると判定するような態様であってもよい。
制御装置100によって行われる制御の一例について、図3を参照しながら説明する。図3(A)に示されるのは、内燃機関EGとラジエータ210との間を循環する冷却水の温度の時間変化の例である。図3(B)に示されるのは、シャッター300の開度の時間変化の例である。図3(C)に示されるのは、ファン400の回転数の時間変化の例である。尚、図3(C)においては、ファン400が正回転動作を行っているときの回転数が正値として示されており、ファン400が逆回転動作を行っているときの回転数が負値として示されている。
図3に示される例では、時刻t10までの期間においては、車両VCが走行し始めたばかりの暖機運転期間となっている。図3(A)に示されるように、当該期間においては、冷却水の温度がT10よりも低くなっており、時間の経過と共に当該温度が上昇している。
本実施形態の制御装置100は、冷却水の温度がT10を超えるまでの期間では、図3(B)に示されるように、シャッター300の開度を0%として暖機を促進するように設定されている。換言すれば、冷却水の温度がT10を超えた後は、制御装置100はシャッターの開度を0%よりも大きくし、開口OPから空気を導入し始めるように設定されている。また、図3(C)に示されるように、冷却水の温度がT10を超えるまでの期間においては、ファン400の回転数が0とされる。これにより、暖機が更に促進される。
時刻t10において、冷却水の温度が上記のT10を超えると、制御装置100はシャッター300の開度を0%よりも大きくすることを試みる。ただし、このときにおいてシャッター300が凍結している場合には、シャッター300の開度を変化させることができない。図3には、このようにシャッター300が凍結している場合の例が示されている。
時刻t10の直後において、凍結判定部130はシャッター300が凍結していると判定する。かかる判定がなされると、ファン制御部120は、ファン400に逆回転動作を行わせる。図3(C)に示されるように、時刻t10以降の期間では、ファン400が逆回転動作を行っており、その回転数はR10となっている。
ファン400が逆回転動作を行っているときには、ファン400によって送り出される空気は、前方にあるラジエータ210を通ってその温度を上昇させた後、更にその前方にあるシャッター300に到達する。シャッター300に対して比較的高温の空気が当たるので、シャッター300は解凍される。尚、本実施形態のように、車両VCが内燃機関EGを備えている場合には、内燃機関EGによって加熱された空気も前方側のシャッター300に到達し、シャッター300の解凍に供されることとなる。
ファン400が逆回転動作を開始してから一定の期間が経過すると、シャッター300の解凍が完了し、シャッター300は再び動作可能な状態となったと推定される。そこで、制御装置100は、シャッター300の開度を0%よりも大きくすることを再び試みる。図3の例では、時刻t15においてシャッター300の開度が100%とされている。
シャッター300が開かれた後は、制御装置100は、それまで逆回転動作を行っていたファン400を一旦停止させる。このとき、車両VCは走行しているので、空気は開口OPからエンジンルームER内に流入し、ラジエータ210を通るようになる。
上記空気との熱交換によって、冷却水の温度は適温となることが期待される。ただし、内燃機関EGの動作負荷が大きいとき等においては、冷却水の温度が引き続き上昇してしまう可能性もある。図3の例では、シャッター300が開かれた時刻t15以降においても冷却水の温度が上昇しており、その後の時刻t20においてT20まで上昇している。
T20は、冷却水の温度の上限値として予め設定された温度である。制御装置100は、冷却水の温度がT20まで上昇すると、ファン400を動作させて冷却水の冷却を促進するように設定されている。図3(C)に示されるように、時刻t20以降の期間では、ファン400が正回転動作を行っており、その回転数はR20となっている。このように、制御装置100はファン400に正回転動作を行わせることで、ラジエータ210における冷却水の冷却を促進する。図3(A)に示されるように、時刻t20の後は、冷却水の温度が次第に低下している。
上記のように、本実施形態に係る制御装置100は、ファン400に逆回転動作を行わせることで、ラジエータ210を通過した高温の空気をシャッター300に到達させる処理を行うように構成されている。当該処理によってシャッター300は解凍される。このため、当該処理のことを、以下では「解凍処理」とも称する。
以上に説明した制御を実現するために、制御装置100によって実行される処理の具体的流れについて、図4を参照しながら説明する。図4に示される一連の処理は、車両VCが始動された後、シャッター300の開度が0%となっている状況で、所定の制御周期が経過する毎に繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS01では、冷却水の温度がT10よりも高いか否かが判定される。当該温度は、例えば内燃機関EGに流入する冷却水の温度であり、内燃機関EGの近傍に設置された不図示の温度センサによって取得されるものである。冷却水の温度がT10以下である場合には、図4に示される一連の処理を終了する。冷却水の温度がT10よりも高い場合にはステップS02に移行する。
ステップS02では、シャッター300が凍結しているか否かが判定される。当該判定は、既に述べた方法で凍結判定部130によってなされる。シャッター300が凍結していると判定された場合にはステップS03に移行する。ステップS03では上記の解凍処理が行われる。解凍処理は、ファン制御部120がファン400の動作を制御することによって行われる。
ステップS03の解凍処理が開始されてから、予め設定された一定の期間が経過すると、ステップS04に移行する。ステップS04では、シャッター300の開度を大きくする処理が、シャッター制御部110によって行われる。
尚、ステップS02において、シャッター300が凍結していないと判定された場合には、ステップS03を経ることなくステップS04に移行し、シャッター300の開度を大きくする処理が行われる。
図3に示される一連の処理が行われた以降においては、冷却水の温度が適温の範囲内に維持されるように、シャッター300及びファン400のそれぞれの動作が制御される。例えば、冷却水の温度が上昇し過ぎた場合には、図3(C)に示される例のように、ファン400を正回転動作させる処理が行われる。
また、上記とは逆に冷却水の温度が低下し過ぎた場合には、ファン400の動作を停止させる処理が行われる。当該処理に換えて、又は当該処理と共に、シャッター300の開度を小さくする処理が行われてもよい。冷却水の温度を適温の範囲内に維持するためのシャッター300等の制御としては、従来と同様の種々の制御を採用することができる。
以上のように、本実施形態に係る熱交換ユニット10では、シャッター300において凍結が生じた場合には、制御装置100が解凍処理を行い、これにより凍結したシャッター300を解凍することができる。高温の空気が当たることによってシャッター300は解凍され、再び動作可能な状態へと戻る。
熱交換ユニット10では、制御装置100が上記のような解凍処理を行うことができるので、凍結に備えて予めシャッター300を開かれた状態としておく必要がない。図3(B)に示される例のように、外気温が低いときであってもシャッター300を完全に閉じられた状態としておき、車両VCの受ける空気抵抗を低減することが可能となる。このため、車両VCの燃費を向上させることが可能となる。尚、車両VCが電動車両である場合には、車両VCの電費を向上させることが可能となる。
また、外気温が低いときにシャッター300を完全に閉じられた状態とすることで、上記のように車両VCの空気抵抗を低減できることに加えて、内燃機関EG等の暖機を早期に完了させることができる、という利点も得られる。これにより、車両VCのエネルギー効率を更に高めることができる。
本実施形態に係る制御装置100は、シャッター300が全閉となっている状態から、シャッター300の開度を大きくする前に解凍処理を行う。つまり、図4の例において、ステップS04の処理が行われるよりも前に、ステップS03で解凍処理を行う。解凍処理を行うことにより、シャッター300が解凍され動作可能な状態となった後に、確実にシャッター300を開状態とすることが可能となる。
本実施形態に係る熱交換ユニット10は、シャッター300が凍結しているか否かを判定する凍結判定部130を更に備えている。制御装置100は、シャッター300が凍結していると凍結判定部130によって判定された場合に解凍処理を行う。これにより、シャッター300が凍結している場合、すなわち解凍が必要な場合においてのみ、解凍処理を行うことが可能となる。
第2実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置100によって行われる処理の内容において第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図5に示される一連の処理は、車両VCの暖機が完了した後の期間において、所定の制御周期が経過する毎に、制御装置100により繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS11では、シャッター300が凍結しているか否かが判定される。当該判定は、既に述べた方法で凍結判定部130によってなされる。シャッター300が凍結していないと判定された場合には、図5に示される一連の処理を終了する。シャッター300が凍結していると判定された場合にはステップS12に移行する。
ステップS12では、シャッター300が開かれているか否かが判定される。当該判定は、例えばロータリーエンコーダのような、シャッター300に設けられた不図示の開度センサからの信号に基づいて行われる。シャッター300が開かれている場合、すなわち、シャッター300の開度が0%よりも大きい場合には、ステップS13に移行する。
ステップS13では、車両VCが走行中であるか否かが判定される。当該判定は、例えば、車両VCに設けられた不図示の車速センサからの信号に基づいて行われる。車両が走行中である場合には、ステップS14に移行する。
ステップS14に移行した場合には、シャッター300は開かれた状態のままで凍結しており、その状態で車両VCは走行しているということである。このような状態では、車両VCが受ける空気抵抗が大きくなるので、解凍処理を行ってからシャッター300の開度を小さくする必要がある。
しかしながら、車両VCが走行しているときは、開口OPから流入した空気が後方側に向かって流れている。このため、ファン400に逆回転動作を行わせても、高温の空気がシャッター300には十分に到達せず、シャッター300の解凍が行われない可能性がある。
そこで、ステップS14に移行した場合には、解凍処理を直ちに行うのではなく、車両VCが停車するまで待機する処理が行われる。車両VCが停車していない場合には、ステップS14の処理が繰り返し行われる。車両VCが停車した場合にはステップS15に移行する。
尚、ステップS13において車両VCが既に停車していた場合や、ステップS12においてシャッター300が完全に閉じられていた場合にも、ステップS15に移行する。
ステップS15では、先に述べた解凍処理が行われる。解凍処理は、ファン制御部120がファン400の動作を制御することによって行われる。これにより、凍結していたシャッター300が解凍され、動作可能な状態とされる。
ステップS15の解凍処理が開始されてから、予め設定された一定の期間が経過すると、ステップS16に移行する。ステップS16では、シャッター300の開度を所定開度とする処理が、シャッター制御部110によって行われる。この所定開度とは、車両VC
の走行中におけるエネルギー効率が最大となるような開度として、予め設定された開度である。この所定開度については後に説明する。
の走行中におけるエネルギー効率が最大となるような開度として、予め設定された開度である。この所定開度については後に説明する。
以上のように、本実施形態に係る制御装置100は、シャッター300が凍結していると凍結判定部130によって判定され、且つシャッター300が開かれていた場合には、車両VCが停車している状態となってから解凍処理を行うように構成されている。これにより、逆回転動作を行うファン400から送り出された空気の流れが、開口OPから流入する空気によって妨げられてしまうことが防止される。
本実施形態に係る制御装置100は、ステップS15において解凍処理を行った後に、ステップS16においてシャッター300の開度を所定開度とする処理を行う。この所定開度について、図6を参照しながら説明する。
図6では、シャッター300の開度が横軸に示されており、車両VCにおけるエネルギー効率が縦軸に示されている。
図6に示される線L2は、シャッター300の開度と、シャッター300で車両VCの空気抵抗が低減されることによるエネルギー効率の向上分と、の関係を示すグラフである。線L2に示される例では、シャッター300の開度が0%からOG2までの間においては、シャッター300によるエネルギー効率の向上分が最大となっている。また、シャッター300の開度がOG2よりも大きくなると、シャッター300によるエネルギー効率の向上分が次第に小さくなっている。これは、開口OPからの空気の流入量が次第に大きくなることに伴い、車両VCの受ける空気抵抗が次第に大きくなることによる。シャッター300の開度が100%になると、シャッター300によるエネルギー効率の向上分は0となる。
図6に示される線L3は、シャッター300の開度と、ファン400の駆動によって電力が消費されることによるエネルギー効率の低下分と、の関係を示すグラフである。線L3に示される例では、シャッター300の開度が0%からOG0までの間においては、ファン400によるエネルギー効率の低下分が最大となっている。これは、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気の流れが殆ど生じておらず、正回転動作を行うファン400の動作が空気の流れによってはアシストされないことによる。
シャッター300の開度がOG0よりも大きくなると、開口OPからエンジンルームER内に流入する空気が次第に大きくなり、それに伴ってファン400の動作負荷が小さくなる。このため、ファン400によるエネルギー効率の低下分は次第に小さくなってき、0に近づいていく。シャッター300の開度がOG1よりも大きくなると、ファン400によるエネルギー効率の低下分は0となる。図6の例では、OG1はOG2よりも小さい。
図6に示される線L1は、線L2で示されるエネルギー効率の向上分から、線L3で示されるエネルギー効率の低下分を差し引いたものである。つまり、シャッター300による空気抵抗の向上と、ファン400による電力消費と、の両方を考慮したことによる、車両VCの走行中における総合的なエネルギー効率を示すグラフである。当該エネルギー効率は、シャッター300の開度がOG1からOG2までの範囲であるときに最大となっている。そこで、図5のステップS16における「所定開度」を、OG1からOG2までの範囲内の開度として設定しておけば、以降における車両VCの走行中のエネルギー効率を最大とすることができる。本発明者らが行った実験によれば、上記の所定開度を20%から30%までの範囲内に設定したときに、エネルギー効率を最大とすることができた。
尚、シャッター300の開度を上記のように所定開度とする処理は、第1実施形態の例において行うこととしてもよい。つあり、図4のステップS04において、図5のステップS16と同様の処理が行われることとしてもよい。
車両VCの走行中のエネルギー効率を最大化する必要がない場合には、ステップS16におけるシャッター300の開度を、所定開度とは異なる開度としてもよい。例えば、ラジエータ210における放熱性能の確保を最優先とする場合には、シャッター300の開度を100%としてもよい。
以上に説明した各実施形態では、ファン400が、ラジエータ210よりも後方側となる位置に配置されている。このような態様に換えて、ファン400の位置が、シャッター300とラジエータ210との間となる位置となっているような態様であってもよい。
また、熱交換ユニット10が、コンデンサ220を備えていない態様であってもよく、ラジエータ210やコンデンサ220とは別に他の熱交換器を更に備えているような態様であってもよい。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
本開示に記載の制御装置及び制御方法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御装置及び制御方法は、1つ又は複数の専用ハードウェア論理回路を含むプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御装置及び制御方法は、1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ又は複数のハードウェア論理回路を含むプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。専用ハードウェア論理回路及びハードウェア論理回路は、複数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により実現されてもよい。
VC:車両
10:熱交換ユニット
100:制御装置
210:ラジエータ
300:シャッター
400:ファン
10:熱交換ユニット
100:制御装置
210:ラジエータ
300:シャッター
400:ファン
Claims (6)
- 車両(VC)に搭載される熱交換ユニット(10)であって、
空気との熱交換によって熱媒体を冷却する熱交換器(210)と、
前記車両において前記熱交換器よりも前方側となる位置に配置され、前記車両の外部から前記熱交換器に向かう空気の流れを調整するシャッター(300)と、
前記車両において前記シャッターよりも後方側となる位置に配置され、前記熱交換器を通るように空気を送り出すファン(400)と、
前記シャッター及び前記ファンの動作を制御する制御装置(100)と、を備え、
前記ファンは、
前記車両において前方側から後方側に向かう方向に空気を送り出す正回転動作と、
前記車両において後方側から前方側に向かう方向に空気を送り出す逆回転動作と、のいずれをも行うことができるものであり、
前記制御装置は、
前記ファンに前記逆回転動作を行わせることで、前記熱交換器を通過した高温の空気を前記シャッターに到達させる処理、である解凍処理を行う熱交換ユニット。 - 前記制御装置は、
前記シャッターが全閉となっている状態から、前記シャッターの開度を大きくする前に前記解凍処理を行う、請求項1に記載の熱交換ユニット。 - 前記シャッターが凍結しているか否かを判定する凍結判定部(130)を更に備え、
前記制御装置は、
前記シャッターが凍結していると前記凍結判定部によって判定された場合に前記解凍処理を行う、請求項1に記載の熱交換ユニット。 - 前記制御装置は、
前記シャッターが凍結していると前記凍結判定部によって判定され、且つ前記シャッターが開かれていた場合には、前記車両が停車している状態となってから前記解凍処理を行う、請求項3に記載の熱交換ユニット。 - 前記制御装置は、
前記解凍処理を行った後に前記シャッターの開度を所定開度とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換ユニット。 - 前記所定開度とは、前記車両の走行中におけるエネルギー効率が最大となるような前記シャッターの開度である、請求項5に記載の熱交換ユニット。
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2018
- 2018-12-13 JP JP2018233127A patent/JP2020093671A/ja active Pending
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