JP2020092458A - マルチポート増幅器におけるアイソレーション - Google Patents

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Abstract

【課題】MPAにおけるアイソレーションの欠如を回避する。【解決手段】N×Nマルチポート増幅器MPAMは、N‐入力の入力ネットワーク(INET)と、N‐出力の出力ネットワーク(ONET)と、INETとONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備える。2で割り切れる数のN個の信号経路と、N×(N−1)個のヌル信号経路とを備え、N個の増幅器経路の半分は信号反転を備え、INET及びONETはそれぞれ1又は複数の直交ハイブリッド結合器(QHC)を有し、各QHCの入力は一対の信号経路を含み、各QHCの出力は一対の信号経路を含み、INET内の第1のQHCの出力とONETにおける第2のQHCの入力との間に一対の増幅器経路が配設され、N×(N−1)個のヌル信号経路のうちの少なくとも1つの理想的な振幅利得がゼロになるように、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方にそれぞれ信号反転が配設される。【選択図】図3

Description

本発明は、マルチポート増幅器(MPA)におけるアイソレーションに関し、特に、限定するものではないが、不完全な振幅バランスを有する複数の直交ハイブリッド結合器を使用して構成された複数の入力ネットワーク及び複数の出力ネットワークを使用する複数のMPAにおける広帯域アイソレーションに関する。
MPAは、衛星通信などの通信に使用される周知の電力増幅器デバイスである。MPAは、例えば、周波数が1.5から2.6GHzの範囲にあるL&S帯域、及び周波数が12から20GHzの領域にあるKu&Ka帯域等の1GHzを超えるマイクロ波周波数で概して動作させられる。
MPAは、以下のように配設されたN個の入力、N個の出力、及びN個の増幅器経路を含む。N個の入力は、N個の出力を有する入力ネットワーク(INET)に渡る。典型的に、INETは、状況に適した任意の便利な伝送線路技術で実装された、例えば、マイクロストリップ、ストリップライン、同軸ケーブル、又は導波路といった低電力ネットワークである。INETからのN個の出力はそれぞれ、並列に配設されたN個の同一の増幅器のうちの1つに渡る。それらの増幅器は、進行波管(TWT)、又は固体増幅器であってよい。それらの増幅器からのN個の出力のそれぞれは、これもまたN個の出力を有する出力ネットワーク(ONET)へのN個の入力のうちの1つに渡る。ONETは、典型的に低損失の伝送線路技術を使用して実装される高電力ネットワークである。理論的に、ONETは、無損失性のネットワークである、すなわち、その複数の入力に入る電力は、抵抗性の伝送損失となって失われる電力を除いて、全てその複数の出力に現れる。
いくつかの増幅器から得られる合計電力が、いくつかの信号経路のうちの何れか又は全てにおいて使用されることを可能にすべく、複数のMPAが使用される。任意の特定のMPA入力に入る信号に対して、出力信号が、N個の増幅器の全てによって増幅されて、ある特定の出力において生成される。その他のN−1個の出力には何の信号も現れないことが理想的である。
入力から望まない出力への複数の経路は、本明細書において「ヌル経路」と呼ばれる。MPAの中を通る、N個の所望の経路と、N.(N−1)個のヌル経路が存在する。MPAの目的は、N個の増幅器の合計電力が、任意の、存在している複数の信号レベルに単純に依存する割合で、N個の所望の信号経路の何れか又は全てにとって利用可能となることである。MPAの品質は、複数のヌル経路のアイソレーションによって決定される、すなわち、複数のヌル経路の利得に対する複数の所望の経路の利得の余剰分である。
典型的に、ONETは、数学的にINETの逆のものであり、複数の入力が複数の出力と入れ替えられている。この対称性により、ONET及びINETを同じ設計のものにすることが可能になる。INET及びONETはそれぞれ、信号分割用導波路デバイスのアレイを備える。通常、複数のハイブリッドデバイスを備えるネットワーク又はバトラーマトリックスが信号分割に使用される。なぜなら、そのような配置は使い勝手のよい利得特性及び位相シフト特性を有するからである。あるタイプのハイブリッド結合器は、図1aに示されるような、2つの入力及び2つの出力を備える直交ハイブリッド結合器(QHC)として知られる4ポート信号分割デバイスである。図1bに示されるような「分散行列」は、ある特定のポートの信号の、別のポートへの結合を表している。簡潔にするために、結合器は特定の周波数帯域にわたる無限大のリターンロス及び無限大の指向性を有すると仮定する。それにより、結合器の同じ側のポート間のゼロ結合(zero coupling)を表すべく、分散行列に複数の0が挿入され得る。複数の「直接」経路は、結合αを有する経路であり、複数の結合経路は、iβを有する経路であり、複素変数iは90°(直交)位相シフトを表している。ハイブリッド結合器が無損失性である場合、α+β=1である。
図2は、従来の2×2 MPAの例を表している。当該従来の2×2 MPAは、2入力/2出力のINETと、2入力/2出力のONETと、INETの2つの出力とONETの2つの入力との間に介挿された、利得がAである2つの同一の増幅器とを有する。当該INET及びONETはそれぞれ、図1aおよび図1bで定義されたようなQHCから形成されている。経路1を介した入力Aから出力A*への結合は、iαAβである。経路2を介した入力Aから出力A*への結合もまた、iαAβである。従って、入力Aから出力A*への所望の経路の振幅利得は、2iαAβである。対称性により、入力Bから出力B*への所望の経路の利得も同じであることが理解されよう。
ここで、入力Aから出力B*への仮定のヌル経路を検討する。経路1を介した入力Aから出力B*への結合は、αAであり、一方、経路2を介したそれは−βAである。従って、仮定のヌル経路の利得は、(α−β)Aである。記載を簡潔にするために、α−β=eとする。対称性により、入力Bと出力A*との間のヌル経路の利得も同じであることが理解されよう。
故に、デシベル(dB)で表わされる、各経路についての出力比に関して、所望の経路に対する仮定のヌル経路のアイソレーションは、10Log10((2αβ/e))である。
数量eは周波数の関数である。なぜなら、周波数はαとβとの間のアンバランスの度合いを決定するからである。その結果、e=0である周波数fという特別な場合においてのみ、アイソレーションは無限大になる。他の複数の場合では、e=e*である他の複数の周波数f*において、アイソレーションは非ゼロである10Log10(1/e*)に近づく。
故に、複数の従来のQHCから構成されたINET及びONETを使用するMPAについて、MPAのアイソレーションは、個々のQHCの振幅アンバランスと、その周波数に伴う変化とによって決定される。従って、複数のQHCを使用する従来技術に従ってMPAを構成し、広い周波数帯域にわたる完全なアイソレーションを維持することは不可能である。アイソレーションに対する制約は、INET及びONETと、どのようにそれらが相互結合されているかとによって決定されるので、それは複数の増幅器経路における調整又は補正によって軽減され得ない。換言すると、ヌル経路のアイソレーションを「等価なパッシブMPA(Equivalent Passive MPA)」のヌル経路のアイソレーションよりも向上させることは不可能である。等価なパッシブMPAは、増幅器が除去され、INETとONETとの間の接続を提供する、任意の、(増幅器性能を補償すべく存在してよい)遅延調整コンポーネント及び利得調整コンポーネントだけが残されたMPAとして定義される。これらの遅延調整コンポーネント及び利得調整コンポーネントに関わらず、等価なパッシブMPAのヌル経路のアイソレーションは、ただINET及びONETの特性によってのみ決定される。
故に、本発明の目的は、従来のMPAにおけるアイソレーションの欠如を回避することである。
本発明の一態様によると、N‐入力の入力ネットワーク(INET)と、N‐出力の出力ネットワーク(ONET)と、INETとONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備えるN×Nマルチポート増幅器MPAが提供される。当該MPAは、2で割り切れる数のN個の所望の信号経路と、N.(N−1)個のヌル信号経路とを備え、N個の増幅器経路の半分は、N個の増幅器経路の残りの半分に対する信号反転を有し、INET及びONETはそれぞれ1又は複数の直交ハイブリッド結合器(QHC)を有し、各QHCの入力は一対の信号経路を含み、各QHCの出力は一対の信号経路を含み、INET内の第1のQHCの出力とONETにおける第2のQHCの入力との間に一対の増幅器経路が配設され、N.(N−1)個のヌル信号経路のうちの少なくとも1つの理想的な振幅利得がゼロになるように、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方にそれぞれ信号反転が配設される。
INET及びONETは、INET又はONETを通過する特定の周波数の信号の利得及び位相変化に対して同じ周波数応答を有してよい。
1又は複数のQHCは、広壁のショートスロットハイブリッドジャンクション及び/又は狭壁のショートスロットハイブリッドジャンクションから形成されてよい。
MPAは、アイソレーションをさらに向上させるべく、複数の増幅器経路における位相誤差及び振幅誤差を補償するための手段を備えてよい。
複数の増幅器経路は導波路を有してよく、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方の導波路の一連のE‐平面ベンド及びH‐平面ベンドを他方のそれに対して変更することによって、周波数に依存せず信号反転が達成されてよい。この手法により、追加の複数のコンポーネントを使用することなく反転を達成することが可能になる。
周波数に依存しない信号反転は、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方の導波路における90°ツイストの対掌性を他方のそれに対して変更することによって、達成されてよい。同様に、この手法も、追加の複数のコンポーネントの使用を回避する。
周波数に依存しない信号反転は、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方における直線導波路を、180°ツイストを有する導波路で置き換えることによって達成されてよい。そのようなツイストは、製造が比較的簡単である。
信号反転は、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方における導波路から同軸への遷移を、他方のそれに対して物理的に反転することによって、周波数に依存せずに達成されてよい。
信号反転は、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方に反転変圧器を、他方に非反転変圧器を配置することによって、周波数に依存せずに達成されてよい。
信号反転は、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方に反転増幅器を、他方に非反転増幅器を配置することによって、周波数に依存せずに達成されてよい。
信号反転はまた、一方の経路において、他方の経路と比べて半分の波長の追加の伝送ラインを使用して、一周波数において、及び狭い周波数帯域のほぼ全体にわたって達成されてよい。
信号反転は、1つの経路に、ある長さの導波路を配置し、別の経路に、適切な長さの導波路であるが、異なる適切な、相対的な180度の位相シフトが近似的に得られるような断面積を有する導波路を配置することによって、有限な周波数帯域のほぼ全体にわたって得られてよい。
信号反転は、増幅器経路のINETと増幅器との間で実行されるよう構成されてよい。
信号反転は、増幅器経路の増幅器とONETとの間で実行されるように構成されてよい。
Nは2の累乗であってよく、そのような場合では、(1または複数の)信号反転は、N.(N−1)個のヌル信号経路の全ての理想的な利得がゼロになるように構成される。それにより最適な性能がもたらされる。
本発明の別の態様によると、N‐入力の入力ネットワーク(INET)、N‐出力の出力ネットワーク(ONET)、及び、INETとONETとの間に介挿されたN個の増幅器を備えるMPAが提供される。MPAは、整数LについてN=2のN個の所望の信号経路と、N.(N−1)個のヌル信号経路とを備え、INET及びONETのそれぞれは、1又は複数の直交ハイブリッド結合器(QHC)を有し、各QHCの入力は一対の信号経路を有し、各QHCの出力は一対の信号経路を有し、一対の増幅器経路が、INET内の第1のQHCの出力とONET内の第2のQHCの入力との間に配設される。INET内の予め決定されたランクのQHCの結合の直交位相シフトは、ONET内の同じ予め決定されたランクのQHCの結合のそれとは逆方向である。
ここで、本発明の複数の実施形態が例として、図を参照して説明される。
QHCを使用して達成される信号結合の例を示す。 図1aのQHCの分散行列を示す。 従来の2×2 MPAを示す。 本発明の一実施形態に係る2×2 MPAを示す。 本発明の一実施形態に係る4×4 MPAを示す。 本発明の一実施形態に係る2×2 MPAの機能的表現を示す。 本発明の一実施形態に係る2×2 MPAの機能的表現を示す。 本発明の一実施形態に係る4×4 MPAの表現を示す。 本発明の一実施形態に係る4×4 MPAの表現を示す。 本発明の一実施形態に係る、Nは2の累乗である、N×N MPAの一般的な場合を示す。 本発明の別の実施形態に係るQHCを使用して達成される信号結合の例を示す。 図8aのQHCの分散行列を示す。 複数の異なるタイプのQHCを使用する、本発明の一実施形態に係る2×2 MPAを示す。 複数の異なるタイプのQHCを使用する、本発明の一実施形態に係る4×4 MPAを示す。 本発明の一実施形態に係る6×6 MPAを示す。 図11の6×6 MPAにおいて使用される3×3 バトラーマトリックスを示す。
以下の説明の理解を補助すべく、以下の複数の原則が提示される。それらの原則は、本発明が適用可能な全てのN×N MPAに当てはまる。
1)N×N MPAは、N‐入力・N‐出力のINETと、N‐入力・N‐出力のONETとから成り、INETのN個の出力とONETのN個の入力との間にN個の同一の増幅器が介挿されている。
2)Nは正の整数であり、MPAのサイズを決定する。
3)N個の増幅器は、較正後、同一の振幅利得Aと、定義された周波数帯域B内の任意の特定の周波数における挿入位相を有する。
4)INETおよびONETは、複数のQHCと、Nが2の累乗でない場合では、バトラーマトリックスにあるような、一定の複数の位相シフトとから成る。
5)INET内のQHCの「ランク」は、INETから複数の出力に達するまでに通過する追加のQHCの数+1である。ONET内のQHCのランクは、入力からONETまでの、そのQHCに達するまでに通過するQHCの数+1である。
INETおよびONETの構成要素である理想的な複数のQHCに以下の更なる仮定が適用される。現実の複数のQHCは、設計及び製造の不完全性に起因して起こる場合のみに限り、これらの理想から外れるものと仮定される。
6)全てのQHCは、理論的には無損失性である。
7)全てのQHCは、定義された周波数帯域Bにわたって無限大のリターンロス及び無限大の指向性を有する。
8)複数のQHCは、周波数帯域Bにわたって、(説明の目的で)厳密に90°の出力間位相差を維持する。これは、仮定7)から数学的に得られる。位相差は、以下でより詳細に説明されるように、本明細書において、特定のタイプのQHCに依存する虚数i又は−iと表わされる。
図3は、本発明の一実施形態に係る2×2 MPAの例を示す。MPAは、QHC10を有するINETと、INET QHC10と設計及び機能が同じQHC20を有するONETとを備える。MPAは、INETとONETとの間に2つの増幅器経路を有する。その各々は、利得Aの増幅器30、31を含み、第2経路の増幅器31の前には、周波数に依存せずに成されてよい信号反転(つまり−1の乗算)を導入するインバータ40がある。本実施形態の変形においては、信号反転は第2経路の増幅器の内部で、又は増幅器の後に生じさせられてよい。それらの増幅器は、構造および機能に関して互いに同一の、当該分野で知られているようないくつかの従来の増幅器デバイスのうちの何れかで形成されてよい。例は、一対の整合進行波管増幅器である。当該MPAは、2つの入力、A及びBと、2つの出力、A*及びB*とを有する。
QHC10、20の各々は、入力信号の2つの出力経路への結合を実行し、図1aに示されたタイプのものであってよく、図1bのその分散行列によって定義されてよい。INET QHC10は、入力Aにおける信号の一部を「直接」経路と呼ばれるであろうものを介して、利得αで第1の増幅器経路に結合する。入力Aにおける信号の別の一部は、「結合」経路と呼ばれるであろうものを介して、利得βで第2の増幅器経路に結合される。結合経路を通過する信号は、直接経路を通過する信号に対して90°の位相シフトを受け、当該位相シフトは、複素変数iでの乗算によって表わされるものとし、それにより結合経路による利得はiβとなる。
対称性により、直接経路及び結合経路のそれぞれは、入力Bにおいて受信された複数の信号に対して利得α及びiβを加え、それぞれ、これらの信号を第2及び第1の増幅器経路に結合する。
更に、ONET QHC20において同じ設計が使用されていることにより、直接経路及び結合経路は、増幅器の複数の出力からの複数の信号を出力A*及び出力B*に結合する。
入力信号及び出力信号の位相が整合するよう、「所望の経路」が、QHC10、20を通じて直接経路によって連結された、MPAの入力と出力との間のマッピングに対応するものと想定する。故に、所望の経路は、直接信号と、同じ入力と出力とを接続する他の複数の結合経路とを含む。所望の経路の振幅利得は、故に、入力Aから出力A*への経路について(α+β)A=Aである。なぜなら、これは、INET QHC10及びONET QHC20の両方を通る利得αの直接経路(積αAをもたらす)と、位相反転の追加された、両QHCを通る利得iβの結合経路(積−(iβ.iβ)A=βAをもたらす)との合計だからである。同様に、入力Bから出力B*への経路では、合計利得は−Aである。上記原則(6)は、α+β=1という仮定の基礎である。
複数の所望の経路に加えて、MPAはまた、複数の「ヌル」信号経路(「所望の」ものではなく、入力信号及び出力信号の位相がずれている経路)も含む。図3の実施形態の複数のヌル経路は、入力Aを出力B*と接続し、入力Bを出力A*と接続する。
入力Aと出力B*との間の結合利得は、α.A.(iβ)−(iβ).A.α=0である。これらの積において、項α、A、及びβは、それらのそれぞれの利得が、MPAの入力から出力に渡る信号に加えられる順序で記述されている。換言すると、α.A.(iβ)は直接経路の後に結合経路が続くことを表し、一方、(iβ).A.αは、結合経路の後に直接経路が続くことを表している。どちらの経路の結合についても、90°の位相シフトが導入されている。
ヌル経路の利得はゼロなので、複数の結合器のアンバランスに起因するアイソレーションは理論的には無限大である。このことは、周波数に関係なく当てはまり、周波数の変化によって引き起こされる振幅アンバランスにより、従来は複数のQHCを使用する複数のMPAに加えられた帯域幅制約を軽減する。
前述の説明は、直交ハイブリッド結合器の直交位相関係が仮定(7)及び(8)に従い完全なものであるという想定であった。ここで、直交ハイブリッド結合器の設計の不完全性に起因して、直交位相関係が90°という理想から外れた場合、換言すると、結合経路の利得が、利得αの現実の経路に対して(iβ)で表されない場合に、本発明がまた、MPAのアイソレーションを完全に近づけることが示される。
原則(7)がもはや適用されない場合、2つの結論がある。第1に、複数の入力において複数の結合器に入射する複数の前進波が、不完全な入力のリターンロス及び不完全な指向性により、複数の反転波をもたらすであろう。これらの不完全性は、先行する複数のデバイスの出力の複数のリターンロスと結合された場合、不整合効果及びリップル効果をもたらすであろう。これらの二次効果はこの解析では無視される。第2に、仮定(8)はもはや厳密には適用されないが、近似になる。従って、ここで、直交結合器出力間の位相角がπ/2+φラジアンであることが仮定されなくてはならない。ここで、φは小さい位相誤差である。後の説明の目的のために、MPA内部の同じ設計の全ての結合器が同じ挙動を有するとの想定で続ける。また、一般性を失うことなく振幅バランスが完全であることも仮定されるであろう。なぜなら、振幅アンバランスが本発明によって克服され得ることは既に上述されたからである。換言すると、α=βが仮定されるであろう。従って、以下の説明及び図において、結合振幅は、
であると仮定する。
複数の直接経路が利得Cを有し、複数の結合経路が利得Cを有し、位相変化は、ぞれぞれαおよびiβではなくπ/2+φである、図2の従来の2×2 MPAを考える。
増幅器経路1を介した入力Aから出力A*への所望の経路による振幅利得は、位相角π/2+φにおいてC.A.Cである。経路2を介した振幅利得の位相も同じであり、従って、位相角π/2+φにおいて合計利得は2.(C.A)=Aである。対称性により、入力Bから出力B*への所望の経路の利得及び位相も同じである。
ここで、入力Aから出力B*への仮定のヌル経路を考える。経路1を介した振幅利得は、位相角0においてC.A.Cである。一方、経路2を介した振幅利得もまたC.A.Cであるが、位相角π+2φにおけるものである。従って、合計利得は、
である。これは非ゼロであり、−20log(φ) dBのヌル経路のアイソレーションをもたらす。対称性により、入力Bから出力A*への他方のヌル経路のアイソレーションも同じである。
ここで、図3に示されるような、本発明に従って設計された2×2 MPAを考える。当該MPAにおいて、複数の直接経路は利得Cを有し、複数の結合経路は利得Cを有し、位相変化はπ/2+φであり、それぞれの経路の利得はα及びiβではない。増幅器経路1を介した入力Aから出力A*への所望の経路による振幅利得は、位相角0においてC.A.Cである。一方、経路2を介した振幅利得もまたC.A.Cであるが、位相角2φにおけるものである。この場合、合計利得は、位相角φにおいて、
である。
同様に、入力Bから出力B*への所望の経路の利得もまた、
であるが、位相角π+φにおけるものである。従って、入力Bから出力B*への経路は、AからA*への経路と比較して反転されている。
ここで、入力Aから出力B*へのヌル経路を考える。経路1を介した振幅利得は、位相角π/2+φにおいてC.A.Cである。一方、経路2を介した振幅利得もまたC.A.Cであるが、位相角π+π/2+φにおけるものである。従って、この2つの成分は逆位相であり、完全に相殺する。ヌル経路の利得は、従って0であり、理論的に無限大のアイソレーションを与える。同様の論理により、入力Bから出力A*への他方のヌル経路のアイソレーションもまた無限大である。
結論として、本発明に従って設計された2×2 MPAについて、個々の直交ハイブリッド結合器の、共通設計ゆえに共通である位相誤差にもかかわらず、理論上の無限大のアイソレーションが達成される。従って、複数の結合器が共通設計のものであるならば、複数の結合器の位相直交誤差及び振幅バランス誤差の両方があるにもかかわらず、無限大のアイソレーションが達成される。
この結果は重要である。なぜなら、それは、本発明の基礎にある構想が、理想化された結合器の理論上の環境において当てはまるのみならず、有限のリターンロス及び指向性を有する非理想的な複数の結合器についてもまた有効であることを示しているからである。
図4は、本発明の別の実施形態に係る4×4 MPAの例を示す。4×4 MPAは、図3の2×2 MPAと同じ原理を使用して構成されている。ここで、4つの入力A、B、C、及びDが、増幅器180、181、182、183を通る4つの増幅器経路を介して4つの出力A*、B*、C*、及びD*に結合されている。INETおよびONETはそれぞれ図4に示されるように結合された4つのQHCを含む。各ネットワークのQHCは、2つのランクに分割される。INETの場合、第1のランクは、別のQHCからの入力を受信し、増幅器に出力を提供するQHC110、130を表し、一方で、ONETの場合、第1のランクは、増幅器から信号を受信し、それを別のQHCに出力するQHC140、160を表す。これらは「最も内側の」QHCである。第2のランクは、INETの場合、MPAの複数の入力のうちの1つから信号を受信し、信号を別のQHCに出力するQHC100、120を表す。ONETの場合、第2のランクは、別のQHCから入力を受信し、MPAの出力を提供するQHC150、170を表す。これらは「最も外側の」QHCである。
INETおよびONETの両方において、各ランクの2つのQHCが存在する。本実施形態では、QHCがINET又はONETのどちらにあるかに関わらず、特定のランクの全てのQHCは同じ設計のものであり、同じ結合係数を有する。
第2及び第3の増幅器経路において、インバータ190、195が存在する。
所望の経路は、入力Aから出力A*、入力Bから出力B*、入力Cから出力C*、及び入力Dから出力D*の4つの経路である。
入力Aから出力A*の間のマッピングについて、4つの信号経路が存在する。
1)QHC100→QHC110→増幅器180→QHC140→QHC150、利得αA。
2)QHC100→QHC110→インバータ190→増幅器181→QHC140→QHC150→利得αβAβα=αβA。
3)QHC100→QHC130→インバータ195→増幅器182→QHC160→QHC150、利得βαAαβ=αβA。
4)QHC100→QHC130→増幅器183→QHC160→QHC150、利得βA。
第1の実施形態にあるように、所望の経路の全てにおける複数の出力信号は、入力信号と同位相であり、対称性により、同様のことが入力B,C、及びDからの複数の所望の経路にも適用される。入力Aと出力A*との間の所望の経路についての合計利得は、(α+2αβ+β)A=(α+βA=Aである。
複数のヌル経路は、MPAの中を通る残りの12経路、すなわち、入力Aから出力、B*、C*、D*へ、入力Bから出力A*、C*、D*へ、等である。
上述されたものと同じ解析を使用して、各ヌル経路の利得は、ゼロであることが分かり、故に、MPAのアイソレーションは、全てのヌル経路に関して理論的に無限大である。例えば、入力Aから出力B*への経路の場合、出力は、以下のようになる。
α.A.(iβ)−α.(iβ).A.(iβ).(iβ)−(iβ).α.A.α+(iβ).(iβ).A.(iβ).α=(αiβ+iβα−iβα−iβα)A=0
図3の2×2 MPAは、図5aに表されているようなシステムとしてふるまう。入力Aから出力A*への経路は利得Aを有し、入力Bから出力B*への経路は利得−Aを有し、これら2つの所望の経路は、2つのヌル経路におけるゼロ利得のおかげで、互いに完全に分離されている。対称性により、図3のインバータ40が経路2ではなく経路1に配置された場合、システムとしての2×2 MPAの挙動は図5bに表されるようなものになることが分かる。単独のインバータの効果は、複数のQHCと組み合わせることで、複数の所望の信号が同位相で結合され、複数のヌル信号が逆位相で結合され、それによりヌル信号が相殺し、故に、インバータは何れの増幅器経路にでも配置され得ることを保証することである。しかしながら、図3の増幅器経路1にインバータ40を配置することは、A経路に仮想反転210を有する、図5bに示される2×2 MPAシステム挙動をもたらし、一方で、図3の増幅器経路2にインバータ40を配置することは、B経路に仮想反転200を有する、図5aに示される2×2 MPAシステム挙動をもたらす。
しかしながら、4×4 MPAについては、インバータは特定の対の増幅器経路についてどちらの増幅器経路においても配置され得るが、一方の対のインバータの位置は、別の対の増幅器経路のインバータの位置を決定する。図4の実施形態において、インバータが第2の増幅器181を通る経路において配設された場合、所望の結果を達成すべく、インバータは第3の増幅器182を通る経路に配置されなくてはならない。或いは、インバータが第1の増幅器180を通る経路に配設された場合、所望の結果を達成すべく、インバータは第4の増幅器183を通る経路に配置されなければならない。数学的に、複数のインバータが、増幅器経路2および4などの、経路の他の複数の組み合わせにおいて、又は経路1および3において配設された場合、本発明のアイソレーションは達成されないことが理解されるであろう。
4×4 MPAは、図5aおよび図5bの表現を使用して、更なる2つの入力QHC及び更なる2つの出力QHCと合わせて、2つの2×2 MPAの並列の組み合わせと見なすことができ、組み合わせの性質に依存して、図6a又は図6bの構造をもたらす。例えば、複数の入力QHCの上側の出力経路から複数の入力を受信すべく図5aの表現が選択され、複数の入力QHCの下側の出力経路から複数の入力を受信すべく図5bの表現が選択された場合、結果は図6aの配置になり、それは図4に示されるMPAを表す。図5bの表現が複数の入力QHCの上側の出力経路からの複数の入力に対応し、図5aの表現が複数の入力QHCの下側の出力経路からの複数の入力に対応する場合、結果は図6bの配置になる。
概して、サイズが2×2のMPAの構成は、INET内の追加のランクの複数のQHC及びONET内の追加のランクの複数のQHCと合わせて、サイズが2L−1×2L−1のより小さい2つのMPAからの合成として見なされてよい。INETの追加のランクの各QHCについて、一方の出力が、より小さいMPAの一方にルーティングされ、一方で、他方の出力が、他方のより小さいMPAにルーティングされる。同様に、ONETの追加のランクの各QHCについて、一方の入力が、より小さいMPAのうちの1つからルーティングされ、一方で、他方の入力が、他方のより小さいMPAからルーティングされる。合成が本発明によるものである場合、より小さいMPAの一方における全ての信号経路は、他方のより小さいMPAの等価な複数の経路に対する反転を含む。概して、2×2 MPAについて、INETおよびONETの両方を含み、合計でL.2個のQHCが存在する。これは、INETおよびONETの両方の各ランクに(2)/2個のQHCが存在し、INETにL個のランク、ONETにL個のランクが存在するからである。
例えば、2×2 MPAのINETおよびONETの各々が1つのQHCを有する一方で、図4に示されるような4×4 MPAのINET及びONETはそれぞれ、複数の増幅器のそれぞれを通って、特定の入力から複数の信号のルーティングを得るべく、4つのQHCを必要とする。
図6aおよび図6bに示されるような4×4 MPAの表現の両方を並列に組み合わせること、すなわち、図6aの表現と図6aの「反転された」表現との組み合わせによって、8×8 MPAを得ることができる。8×8 MPAと「反転された」8×8 MPAとの組み合わせを使用して16×16のMPAも同様に構築される、などとなる。従って、整数LについてM=2の全てのM×M MPAのアーキテクチャを同様に得ることができることが分かる。
概括的には、本発明に従って構成されたMPAの理論的に無限大のアイソレーションは、次のように示され得る。図7に示されるような、サイズ2×2の2つのMPA300、310からの、サイズ2(L+1)×2(L+1)のMPAの構築を考える。図7では簡潔にするために2つのINET及び2つのONET QHCのみが示されているが、サイズ2(L+1)×2(L+1)のMPAは2個の入力ランクQHCと、2個の出力ランクQHCとを有する。サイズ2×2のMPA300のうちの1つにおいて、他方のサイズ2×2のMPA310と比較して、全ての反転された増幅器経路が、反転されていない増幅器経路に入れ替えられている。簡潔にするために、いくつかの増幅器経路に対する接続が省略されているが、これらは前述の2×2及び4×4 MPAの説明から帰納法によって得ることができる。
より小さい2×2 MPA300、310のそれぞれ(1つは反転されている)は、図6aおよび図6bに関して上述されたやり方で並列に接続された「一対」のMPAの一方として説明され得る。故に、個々の2×2 MPAの性能は、図3を参照して説明された2×2 MPAの性能と等しく、従って、MPAとして無限大のアイソレーションを有する。故に、2(L+1)×2(L+1)の性能は、図4を参照して説明された4×4 MPAの性能に等しいので、2(L+1)×2(L+1) MPAはそのヌル経路の全てにおいて無限大のアイソレーションを有することになる。本発明は、L=1及びL=L+1について有効であるよう示され得るので、故に、帰納法により、本発明は全てのLについても有効であることになり、全ての経路について理論上の無限大のアイソレーションを与える。故に、高次のMPAは常に、一対の低次のMPAの複数の構成ブロックに加え、更なる複数の入力QHC及び出力QHCを使用して合成され得る。
上述の実施形態では、無限大のアイソレーション及び複数のヌル経路の完全な相殺は理想的、又は理論上のシナリオであると述べた。実際、これが達成され得る範囲には限界があることがある。そのような限界は、製造公差と、個々の増幅器の位相及び振幅の不確定性によって引き起こされるINET及びONETのQHCの整合におけるわずかな差により発生する。
この説明の導入部において述べられたように、本発明のINET及びONETは、「等価なパッシブMPA」、すなわち複数の増幅器コンポーネントが除去されたMPAが最適化されるように設計される。なぜなら、複数の増幅器によって導入される誤差は複数の増幅器それ自身における補償を必要とするからである。各増幅器は、典型的に、何らかの位相誤差を導入し得る。当該誤差は、複数の増幅器経路のうちの1つに含まれる反転に加えて、様々な微小位相挿入を含ませることによって補償され得る。従来の方式では、そのような補償を実行すべく、複数の「指示可能調節器(commandable phase adjuster)」が使用される。しかしこれまでは、特定のアイソレーションの利点を提供すべく、そのような調整器が本発明にあるようなインバータと組み合わせられて使用されることはなかった。その代わりに、信号を特定の出力にルーティングすべく、指示可能調節器の追加使用のみがMPA内部での信号誘導に使用されてきた。
理想的には、各増幅器が、その利得‐周波数特性に関して同一であるべきである。しかし、製造誤差が信号経路間にわずかな差をもたらすことがある。前述の計算は、利得の全てが等しいという仮定に基づいている。特定のMPAのアイソレーションが実際には不完全なこともあるという事実を考慮すると、しかしながら、複数のインバータが含まれることになる複数の増幅器経路の選択に関する本発明の複数の実施形態の配置は、機能的な観点、すなわち、理論上の最大のアイソレーションが無限大になることを可能にする複数の経路の選択において理解され得る。
本発明の複数の実施形態は、性能及び製造の容易さの両方に関して効果的な複数の直交ハイブリッド結合器の使用に関連して説明されてきた。いくつかの実施形態では、複数のINET及び複数のONETの両方に使用される複数のQHCは、1952年2月、Proceedings of the I.R.EにおいてHenry J.Ribletによって初めて説明された狭壁ショートスロットハイブリッドジャンクションの変形例、及び、このジャンクションの広壁の変形例である。そのような結合器は、仕切り壁内の開口又はスロットによって結合が達成される2つの隣接する導波路を備える。スロットは、矩形形状の導波路の狭壁又は広壁の何れにあってもよい。これらの配置は、寸法が小さく、複数のハイブリッド結合器のより大きいネットワークへの組み込みに適しており、故に、有益である。これらの結合器の2つの主な変形例は、狭壁(側壁)結合器については、結合経路の出力は主誘導経路より90°遅れ、一方、広壁(上部壁)結合器については、結合経路の出力は主誘導経路より90°早いという点で異なる。故に、このことは、MPAに入力される信号に加えられる位相シフト全体を評価するときに考慮されなくてはならない。
物理的な制約の理由により、複数のINET及び複数のONETの物理的な実装は、複数の異なるランクのINET及び複数の等しいランクのONETに、狭壁ショートスロット直交ハイブリッド及び広壁ショートスロット直交ハイブリッドの両方を使用してよい。
特定のタイプのQHCは「3dB」ハイブリッドである。「3dB」ハイブリッドでは、直接経路で伝送される電力は、結合経路で伝送される電力に等しい。換言すると、前述の式において使用されたように、α=βである。そのような結合器が本発明の複数の実施形態に使用されてよい。
QHCは、いわゆる「マジックT」ハイブリッド又は「マジックTee」ハイブリッドよりも好適であり、本発明の複数の実施形態によって解決される帯域幅制約の課題に対処すべく従来使用されてきた。マジックTハイブリッドは、ポートのうち任意の3つが互いに対して直交している4ポート結合器であり、クロスオーバー成分のない周波数非依存型の結合を提供する。従って、理論上は良好な広帯域動作を与える。しかしながら、マジックTハイブリッドは、広い周波数帯域にわたって良好なリターンロスを与えるように実際に設計するのが困難である。これらの理由により、本発明の複数の実施形態にあるように、インバータと合わせて複数のQHCを使用することが最適な解決手段である。
このことは、本発明の複数の実施形態において、シンプルで洗練されたインバータの構造を検討する場合に特に明らかである。以下のもののうちの何れかを含む多数の手段によって、経路の遅延を変更することなく、別の経路の信号に対する信号反転が信号経路に設けられてよい。
・導波路において、一方の導波路信号経路における一連のE平面ベンド及びH平面ベンドを、他方の導波路信号経路におけるそれに対して変更することによって;
・導波路において、一方の経路における導波路90度ツイストの左右像(対掌性)を、他方の経路におけるそれに対して変更することによって;
・導波路において、一方の経路における直線導波路を他方の経路における180度ツイストで置き換えることによって;
・一方の経路における導波路から同軸への遷移を、他方の経路におけるそれに対して反転する;
・一方の経路に反転変圧器を配置し、他方の経路に非反転変圧器を配置する;
・一方の経路に反転増幅器を配置し、他方の経路に非反転増幅器を配置する;
・特定の周波数に対して、一方の経路において、他方の経路に対して半分の波長の追加の伝送ラインを使用する;又は、
・一方の経路に、ある長さの導波路を配置し、別の経路に、適切な長さの導波路であるが、異なる適切な、有限な周波数帯域にわたり経路間で相対的な180度の位相シフトが近似的に得られるような断面積を有する導波路を配置する。
結果的に、MPAの物理的アーキテクチャの効果的な使用によって反転が達成される。本発明の複数の実施形態において、INETの出力は導波路であり、遷移は、増幅器に同軸入力を提供すべく使用される。増幅器の出力は導波路である。本発明の導波路は、任意の特定の伝送モードをサポートし、音波、電磁波、又は光波を伝達する。導波路のベント若しくはツイスト、又は、特定の複数の増幅器経路における遷移の物理的反転により、必要な反転が達成され得る。従って、本発明のアイソレーションの達成のために意図されたものではない指示可能調節器などの複雑なデバイスは必要ない。また、開示された複数の増幅器経路の半分では、インバータは全く必要ない。
上述された実施形態では、図1aに示され、図1bで定義された結合構成を参照してQHCが説明されてきた。本発明の複数の実施形態において、しかしながら、図8aにおいて示される結合配置であり、図8bのその分散行列で定義されるような異なる結合配置が使用されることもまた可能である。説明を簡潔にするために、図1a及び図1bのQHCは「タイプ1」のQHCと呼ばれ、図8aおよび図8bのQHCは「タイプ2」のQHCと呼ばれる。タイプ2のQHCはタイプ1のQHCと比べ、+90°の位相シフトが結合経路において導入されるのではなく、反対の意味での位相シフト、すなわち−90°がその代わりに導入されるという点で異なる。
タイプ1のQHCを使用する2×2 MPAのために達成され得るアイソレーションの説明が、タイプ2のQHCを使用する2×2 MPAに等しく適用される。なぜなら、結合経路における位相シフトの意味とは無関係に、反転は複数のヌル信号の相殺という同じ効果を有するからである。
しかしながら、INET及びONETの異なるランクで異なるタイプのQHCが使用される場合、特定の効果がある。このことが、図9を参照して示される。図9は2×2 MPAを示す。INET QHC410はタイプ1のものであり、ONET QHC420はタイプ2のものである。2つのQHCは、e=eであるように構成されている。 ここで、eは、全ての周波数についての(上述されたように数量α−βによって表される、)複数のQHCのアンバランスであり、換言すると、2つのQHCの性能は先の実施形態で説明されたように整合されている。2×2 MPAは、入力A及び入力B、出力A*及び出力B*、ならびに利得がAの2つの増幅器を有する。前の実施形態と異なり、信号経路内に信号反転はない。
所望の経路は、入力Aから出力A*である。ここでは、入力及び出力が同位相である。当該経路は、原則(6)の仮定のもとに、α.A.α+(iβ).A.(−iβ)=A(α+β)=Aという合計利得を有する。対称性により、同じことが、入力Bから出力B*への所望の経路についても適用される。
複数のヌル経路は、入力Aから出力B*、及び出力Bから入力A*である。それぞれは、α.A.(−iβ)+(iβ).A.α=0という合計利得を有する。
故に、この設計の増幅器にとって、アイソレーションは理論的に完全である。数学的に、INET及びONETのQHCのタイプが逆にされた場合でも同じ結果が示され得る。それにより、INET QHC410はタイプ2のものであり、ONET QHC420はタイプ1のものである。
4×4 MPAなどのより高次のMPAについて、同じランクのQHCに適用すべく、INET及びONETにおける異なるタイプのQHCの使用もまた示され得る。
図10は、INET内のランク2のQHC500、530と、ONET内のランク1のQHC550、570とがタイプ1のものであり、一方、INET内のランク1のQHC510、540と、ONET内のランク2のQHC560、580とがタイプ2のものである4×4 MPAを示す。4つの増幅器経路が増幅器590、591、592および593を通って存在している。
入力Aから出力A*への所望の経路は、原則(6)の仮定のもとに、以下の利得を有する:
αA+α.(−iβ).A.(iβ).α+(iβ).α.A.α.(−iβ)+(iβ).(−iβ).A.(iβ).(−iβ)=(α+2αβ+β)A=(α+βA=A
入力Aから出力B*へのヌル経路は、利得:
α.A.(−iβ)+α.(−iβ).A.(iβ).(−iβ)+(iβ).α.A.α+(iβ).(−iβ).A.(iβ).α=(−αiβ−iβα+iβα+iβα)A=0を有し、他の全てのヌル経路について同じことが示される。従って、理論上のアイソレーションは完全である。
従って、M=2のサイズM×Mの複数のMPAに関して、上述されたものと同じやり方で数学的帰納法により、より大きなMPAを得ることができる。
より概括的には、MPAが、整数LについてN=2LのN×N次のものである場合でも、アイソレーションの向上が得られる。換言すると、MPA内の増幅器の数は2の累乗である必要はない。
図11は、本発明の一実施形態に係る6×6 MPAを示す。簡潔にするために、全てQHCは同じタイプのものである。
6×6 MPAは、2つの3×3 MPA600、610、及び追加の複数のQHCから合成される。第2の3×3 MPA610の複数の増幅器経路には、反転620、621、622が配置されている。
任意の整数値NのN×N MPAという一般的な場合について、本発明の複数の実施形態に係るMPAのアーキテクチャは以下のように得られる。第1段階は、Nの素因数を見つけ、2つの同一のバトラーマトリックスとしてINET及びONETを構成することである。1つの素因数をPとする。バトラーマトリックスは、サイズが(N/P)×(N/P)の、あるランクのN/P個のバトラーマトリックスと組み合わされた、サイズがP×Pの、あるランクのP個のバトラーマトリックスとして構成され得る。この場合、サイズ(N/P)×(N/P)のバトラーマトリックスは、次の素因数で除算し、当該プロセスを反復することによって、複数のより小さいバトラーマトリックスから合成され得る。
6×6の場合を考えると、INET及びONETの両方は、あるランクの3つの2×2バトラーマトリックス(すなわちQHC)630a、640a、650a、630b、640b、650bから成り、その後にあるランクの2つの3×3 バトラーマトリックス660、680、670、690が続く。次に、3×3 バトラーマトリックスは、図12を参照して以下で説明されるように、2つのバランスのとれたQHC、1つのアンバランスなQHC、及び90°位相シフトから合成され得る。従って、6×6 MPAは、合計で14のバランスのとれたQHCと、4つのアンバランスなQHCと、4つの位相可変デバイスとを使用する。これは、6つのQHCが追加された2つの3×3 MPAに相当する。
図11に示された6×6 MPAについて、3×3 バトラーマトリックス660が図12により詳細に示されている。2つのバランスのとれたQHCは、最も外側の2つの結合器700、720として示されている。ここで、理想的な状況ではα=β=1/2である。アンバランスなQHC710は中心の結合器として示されている。ここで、理想的な状況では直接利得はγ=1/3であり、結合利得はσ=2/3である。アンバランスなQHC710を含まない増幅器経路においては遅延線730が導入される。当該遅延線は、増幅器経路のそれぞれにおけるQHCの数のアンバランスを補償すべく、位相シフトφ=90°および遅延τを有する。MPAにおいて使用される場合、これらの理想的な値からの偏差がヌル経路のアイソレーションを損なう。
3×3 MPA600は、2つの3×3 バトラーマトリックス660、670、及び3つの増幅器から構成される。バトラーマトリックス670のうちの1つは、バランスのとれたQHC及びアンバランスなQHCのそれぞれの増幅器経路に関して、他方の660に対して「反転」されている。図11の最も下側の3×3 MPAにおいて、信号反転は複数の増幅器の前に導入されている。組み合わせにおいて、2つの3×3 MPA600、610のバトラーマトリックスは、最も内側のランクの6×6 MPAを表しており、6×6 MPAは、INET及びONETのそれぞれにおける、最も外側のランクの3つのバランスのとれたQHC630a、640a、650a、630b、640b、650bによって完成される。
6×6 MPAの所望の経路は、AからA*、BからB*、CからC*、DからD*、EからE*、及びFからF*である。AとA*とを接続する6つの信号経路がある。その各々は、完全に実数項で表される合計利得を有する、換言すると、位相シフト成分を有さない。
入力Aから出力A*への経路について、結合利得は以下のようになる。項は、図11の上部から底部へ増幅器623、624、625、626、627、628の順序で示されている。
入力Aから出力B*への経路について、結合利得は以下のようになる。項は、再び、図11の上部から底部へ増幅器623、624、625、626、627、628の順序で示されている。
従って、所望の経路とヌル経路との間で理論的に可能な完全なアイソレーションを証明している。
しかしながら、個々の3×3 MPAに固有の不完全なヌル経路に起因する有限なアイソレーションが依然として存在する。なぜなら、3×3 MPAコンポーネントは、自身の内部において本発明のアイソレーションを証明していないからである。その結果は、1つの信号経路において完全なアイソレーションが可能である一方、全ての信号経路でそれが可能というわけではないというものである。しかし、MPAが、M=2のM×M次のものであれば可能である。例えば、図11の例では、所望の経路A→A*とヌル経路A→E*との間の完全なアイソレーションは可能ではない。完全なアイソレーションは、所望の経路A→A*とヌル経路A→B*との間で理論的に可能である。しかしながら、3×3 MPA600、610の中を通る経路は両方の場合で同じであるので、何れの不完全性も相殺され得、最終の結合器に信号経路の差のみが生じる。
図9および図10のMPAにおいて使用された、異なるタイプの複数のQHCが同じそれぞれのランクのINET及びONETにおいて使用される技術はまた、N=2LであるN×N MPAにおいて有効であることが示され得る。
不完全な位相を有する2×2 MPAのついての図3に関して上記に提示された解析は、振幅アンバランスの場合について提示されたものと同じ議論によって、前の実施形態に示されたその他全てのシナリオに拡張され得る。従って、当該解析は、以下の実施形態にも適用される:
・Nが2の累乗である、本発明に従って設計されたN×N MPAの全てのヌル経路において、理論的に無限大のアイソレーションが可能である。
・それぞれのINET/ONETのランクの、出力のものとは異なるタイプの入力結合器を有することで反転が達成される、Nが2の累乗であるN×N MPAのヌル経路において、理論的に無限大のアイソレーションが可能である。
・Nが2で割り切れる数である、本発明の任意の実施形態に従って設計されたN×N MPAのいくつかのヌル経路において、理論的に無限大のアイソレーションが可能である。
上述の実施形態において、複数の信号インバータは、複数の増幅器経路において増幅器の前に示されている。しかしながら、それらのインバータが複数の増幅器の後に位置付けられる、換言すると、INETと増幅器との間ではなく、複数の増幅器とONETとの間に位置付けられるように配置することもまた可能である。数学的に、異なるインバータ位置を使用することによるアイソレーションへの影響はないことが分かる。故に、各増幅器経路において異なるインバータ位置を組み合わせることもまた可能である。
上述の実施形態において、INET及びONETにおける等しいランクの複数のQHCは、仮定(5)に基づき、複数の内部増幅器から等距離であるものとして説明されてきた。これは説明を容易にするためである。複数の接続が達成されるやり方にしかるべき注意を払い、複数の等しいランクが異なるように定義され得る。それにより、それらは説明されたものとは異なる位置に存在する。例えば、複数の等しいランクは、複数の内部増幅器からの距離に関してではなく、入力からINET又はONETまでの距離に関して定義され得る。そのような変更は、本発明によって達成されるアイソレーションに影響を及ぼさないが、単純に、所望の経路の入力から出力へのマッピングを変更する。
本発明の複数の実施形態の複数のMPAは、複数の通信衛星内に位置してよい。それらのMPAは、衛星からの複数のダウンリンク通信チャネルを形成する複数のアンテナフィードを提供すべく使用される。アイソレーション性能を向上させることにより、ダウンリンクの柔軟性(downlink flexibility)が高められる、換言すると、MPAを通した異なる複数のチャネルの使用が、複数の所望の経路と複数のヌル経路との間のアイソレーションの向上のおかげでより簡単になる。そのようなアイソレーションがそれにわたって達成され得る帯域幅の向上は、MPAの使用の利点を大いに高める。前述のように、複数のMPAはまた、単に通信衛星に使用される周波数又は波長においてではなく、任意の周波数又は波長において複数の信号を増幅すべく使用されてよく、音響増幅器又は光増幅器として使用されてよい。
信号増幅に使用されるのに加えて、本発明の配置は、方向性結合器の結合係数を比較するテストブリッジ回路(test bridge circuit)に使用され得る。1セットの公知のQHCがあれば、例えば、試験用QHCが本発明の一実施形態に係るMPAに組み込まれ、アイソレーション性能が期待された通りのものであるかどうか、又は、数量αとβとの間のアンバランスは、MPAに試験用結合器を使用した場合に有意な帯域幅の限界が存在するようなものであるかどうかを試験し得る。結合器の試験性能は、特定的にMPAにおける結合器の使用に関連している必要がある。しかしながら、試験結果は、3dBの結合閾値との比較など、性能の推定をより概括的に簡易に提供してよい。
当業者ならば、所望の経路とヌル経路との間の理論上の最大のアイソレーションがゼロになる限りは、上述の実施形態に対する、特許請求の範囲内に含まれるいくつかの物理的な変形が可能であることを理解するであろう。例えば、位相反転が達成されるようなインバータの構造差が考えられ得る一方、QHCの物理的構造はいくつかの形態をとり得る。QHCのタイプの様々な組み合わせもまた、上述の実施形態の教示内で可能であり、複数の増幅器経路内の複数のインバータの位置は、異なる信号経路間で結合する場合に複数の結合器によって導入される位相変化に関して、使用される複数のQHCの特定の結合係数に従って変化し得る。
上述の実施形態において、ヌル経路のアイソレーションを達成すべく、全てのMPAの増幅器経路は、(周波数による位相変化率に等価な)挿入利得、挿入位相、及び群遅延において調整されていなくてはならない。
これは、一定の利得の差を補正すべく複数の増幅器経路内に複数の一定の減衰器を含めることによって、及び、増幅器経路間の一定の群遅延及び位相差を補正する、手動で調整された複数のラインストレッチャーによって、MPAの統合の間に、耐用期間の初めにおいて成される。
これらコンポーネントの設定は、ヌル経路のアイソレーションを最大化するようにヌル経路を監視しながら、適切な調整を行うことによって達成される。
動作中、複数の内部増幅器経路の耐用年数の変化を補正すべく、複数の増幅器の較正がまた必要となることがある。これは、複数の増幅器経路に複数の遠隔操作可能な(telecommandable)利得調整器及び複数の位相調整器を設置することによって同様に達成される。動作中、ヌル経路のアイソレーションを最大化するようにヌル経路を同様に監視しながら、これらのコンポーネントを調整することによって較正が達成される。
本発明の複数の実施形態の利点が、図2において示されたような、従来の2×2 MPAにおける内部増幅器経路配列を可能にする、位相及び利得の調整の効果との比較によって示される。従来の2×2 MPAにおいて、利得補正χ及び位相調整θを加えるべく、利得/位相調整器が第1の信号経路の増幅器の前に配設される。直接利得はαであり、結合利得は位相π/2+φにおいてβであると仮定する。
利得補正χは最初に1に設定され、位相補正はゼロに設定されると仮定する。また、較正器は、入力Aに入力信号を印加し、出力B*において0を監視することを選択すると仮定する。経路1を介したAからB*への利得は、位相角θにおいてα.χ.A.αであり、一方、経路2を介した利得は、位相角π+2φにおいてβ.A.βである。従って、較正器は、2つの経路を等しくかつ逆にし、ひいては出力B*において0を得るべく、χ=β/α及びθ=2φに設定しなければならないことを知る。
しかしながら、較正器が入力Bに信号を印加し、出力A*を監視した場合、較正器は、出力A*において0を得るためには、χ=α/β及びθ=−2φに設定しなければならないという結論に至るであろう。
従って、良好な較正を得るべく、較正器は、両方のやり方で較正を実行しなくてはならず、2つの利得補正の幾何平均と、2つの位相補正の算術平均とを利用し、χ=(β/α).(α/β)=1及びθ=(2φ―2φ)/2=0という、成し得る最良の折衷案を得る。
より大きいM×M MPA(Mは2の累乗)について、良好な較正を得るべく、較正器は、多数のヌル経路を試行し、その結果を平均して、良好な較正を得るか、又は、システマチックにバイアスした較正を有するリスクを取らはならないことが分かるであろう。Mが大きくなればなるほど、これは負担の多い作業になる。
ここで、同じシナリオであるが、図3の実施形態に従って設計された2×2 MPAを用い、上述のような利得調節及び位相調整が第1の増幅器経路において加えられるシナリオを考える。
前と同様に、較正器は、入力Aに入力信号を印加し、出力B*において0を監視することを選択すると仮定する。経路1を介したAからB*への利得は、位相角θ+π/2+φにおいてα.χ.A.βであり、一方、経路2を介した利得は、位相角π/2+φにおいて−β.A.αである。
従って、較正器は、2つの経路を等しくかつ逆にし、ひいては出力B*において0を得るべく、χ=1及びθ=0に設定しなければならないことを知る。較正器が、入力Bにおいて信号を印加し、出力A*において監視した場合、較正器は、出力A*において0を得るためには、χ=1及びθ=0に設定しなければならないという同じ結論に至ったであろう。
従って、ここで較正器は、このMPAの設計については、何れの入力への信号の印加も同じ結果を与えるので、1つの入力から較正を行えば十分であることを知る。
ここで、M×M MPA(Mは2の累乗)の較正を考える。全ての入力は同じ較正結果を与え、従って、較正全体は、系統的な誤差を導入することなく、単に1つの入力を使用するだけで実行され得ることが分かる。INET及びONETの製造公差に起因するランダムな誤差は残るが、これらは有意といえるものではない。
[項目1]
N‐入力の入力ネットワーク、INETと、N‐出力の出力ネットワーク、ONETと、上記INETと上記ONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備えるN×Nマルチポート増幅器MPAであって、上記MPAは、N個の所望の信号経路及びN.(N−1)個のヌル信号経路を備え、
Nは2で割り切れる数であり、
上記N個の増幅器経路の半分は、上記N個の増幅器経路の残りの半分に対する信号反転を有し、
上記INET及び上記ONETは、それぞれ1又は複数の直交ハイブリッド結合器、QHCを有し、各QHCの上記入力は一対の信号経路を含み、各QHCの上記出力は一対の信号経路を含み、
上記INET内の第1のQHCの上記出力と上記ONETにおける第2のQHCの上記入力との間に一対の増幅器経路が配設され、
上記N.(N−1)個のヌル信号経路のうちの少なくとも1つのヌル信号経路の理想的な振幅利得がゼロになるように、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方にそれぞれ信号反転が配設される、MPA。
[項目2]
上記INET及び上記ONETは同じ周波数応答を有する、項目1に記載のMPA。
[項目3]
上記1又は複数のQHCは、広壁ショートスロットハイブリッドジャンクション及び狭壁ショートスロットハイブリッドジャンクションのうちの少なくとも1つから形成される、項目1又は項目2に記載のMPA。
[項目4]
上記複数の増幅器経路における位相誤差及び振幅誤差を補償するための手段を備える、項目1から3の何れか一項に記載のMPA。
[項目5]
上記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方の上記導波路の一連のE‐平面ベンド及びH‐平面ベンドを他方のそれに対して変更することによって、信号反転が達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目6]
上記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方の上記導波路における90°ツイストの対掌性を他方のそれに対して変更することによって、信号反転が達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目7]
上記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方における直線導波路を、180°ツイストを有する導波路で置き換えることによって、信号反転が達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目8]
上記信号反転は、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方における、導波路から同軸への遷移を、他方のそれに対して反転することによって達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目9]
上記信号反転は、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方に反転変圧器を、他方に非反転変圧器を配置することによって達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目10]
上記信号反転は、各対の増幅器経路の上記複数の増幅器経路の一方に反転増幅器を、他方に非反転増幅器を配置することによって達成される、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目11]
上記信号反転は、上記複数の増幅器経路の一方に第1の長さの導波路を、他方の増幅器経路に上記第1の長さの導波路とは異なる断面積を有する第2の長さの導波路を配置することによって達成され、上記断面積により、上記2つの増幅器経路の間の180°の相対的な位相シフトが近似的に得られる、項目1から4の何れか一項に記載のMPA。
[項目12]
上記信号反転は、上記増幅器経路の上記INETと上記増幅器との間で実行されるよう構成される、項目1から11の何れか一項に記載のMPA。
[項目13]
上記信号反転は、上記増幅器経路の上記増幅器と上記ONETとの間で実行されるよう構成される、項目1から11の何れか一項に記載のMPA。
[項目14]
整数LについてN=2であり、上記信号反転は、上記N.(N−1)個のヌル信号経路の全ての理想的な利得がゼロとなるように構成される、項目1から13の何れか一項に記載のMPA。
[項目15]
N‐入力の入力ネットワーク、INETと、N‐出力の出力ネットワーク、ONETと、上記INETと上記ONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備えるMPAであって、上記MPAは、N個の所望の信号経路と、N.(N−1)個のヌル信号経路とを備え、
整数LについてN=2であり、
上記INET及び上記ONETのそれぞれは、1又は複数の直交ハイブリッド結合器、QHCを有し、各QHCの上記入力は一対の信号経路を有し、各QHCの出力は一対の信号経路を有し、
一対の増幅器経路は、上記INET内の第1のQHCの上記出力と上記ONET内の第2のQHCの上記入力との間に配設され、
上記INET内の予め決定されたランクのQHCの結合の直交位相シフトは、上記ONET内の同じ予め決定されたランクのQHCの結合とは逆である、MPA。

Claims (15)

  1. N‐入力の入力ネットワーク、INETと、N‐出力の出力ネットワーク、ONETと、前記INETと前記ONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備えるN×Nマルチポート増幅器MPAであって、前記MPAは、N個の所望の信号経路及びN×(N−1)個のヌル信号経路を備え、
    Nは2で割り切れる数であり、
    前記N個の増幅器経路の半分は、周波数に依存する信号遅延を導入しない信号反転を有し、
    前記INET及び前記ONETは、それぞれ1又は複数の直交ハイブリッド結合器、QHCを有し、各QHCの前記入力は一対の信号経路を含み、各QHCの前記出力は一対の信号経路を含み、
    前記INET内の第1のQHCの前記出力と前記ONETにおける第2のQHCの前記入力との間に一対の増幅器経路が配設され、
    前記N×(N−1)個のヌル信号経路のうちの少なくとも1つのヌル信号経路の理想的な振幅利得がゼロになるように、各対の増幅器経路の複数の増幅器経路の一方にそれぞれ信号反転が配設される、MPA。
  2. 前記INET及び前記ONETは同じ周波数応答を有する、請求項1に記載のMPA。
  3. 前記1又は複数のQHCは、広壁ショートスロットハイブリッドジャンクション及び狭壁ショートスロットハイブリッドジャンクションのうちの少なくとも1つから形成される、請求項1又は請求項2に記載のMPA。
  4. 前記複数の増幅器経路における位相誤差及び振幅誤差を補償するための手段を備える、請求項1から3の何れか一項に記載のMPA。
  5. 前記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方の前記導波路の一連のE‐平面ベンド及びH‐平面ベンドを他方のそれに対して変更することによって、信号反転が達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  6. 前記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方の前記導波路における90°ツイストの対掌性を他方のそれに対して変更することによって、信号反転が達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  7. 前記複数の増幅器経路は複数の導波路を有し、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方における直線導波路を、180°ツイストを有する導波路で置き換えることによって、信号反転が達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  8. 前記信号反転は、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方における、導波路から同軸への遷移を、他方のそれに対して反転することによって達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  9. 前記信号反転は、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方に反転変圧器を、他方に非反転変圧器を配置することによって達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  10. 前記信号反転は、各対の増幅器経路の前記複数の増幅器経路の一方に反転増幅器を、他方に非反転増幅器を配置することによって達成される、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  11. 前記信号反転は、前記複数の増幅器経路の一方に第1の長さの導波路を、他方の増幅器経路に前記第1の長さの導波路とは異なる断面積を有する第2の長さの導波路を配置することによって達成され、前記断面積により、前記2つの増幅器経路の間の180°の相対的な位相シフトが近似的に得られる、請求項1から4の何れか一項に記載のMPA。
  12. 前記信号反転は、前記増幅器経路の前記INETと前記増幅器との間で実行されるよう構成される、請求項1から11の何れか一項に記載のMPA。
  13. 前記信号反転は、前記増幅器経路の前記増幅器と前記ONETとの間で実行されるよう構成される、請求項1から11の何れか一項に記載のMPA。
  14. 整数LについてN=2であり、前記信号反転は、前記N×(N−1)個のヌル信号経路の全ての理想的な利得がゼロとなるように構成される、請求項1から13の何れか一項に記載のMPA。
  15. N‐入力の入力ネットワーク、INETと、N‐出力の出力ネットワーク、ONETと、前記INETと前記ONETとの間に介挿されたN個の増幅器とを備えるMPAであって、前記MPAは、N個の所望の信号経路と、N×(N−1)個のヌル信号経路とを備え、
    整数LについてN=2であり、L≧2であり、
    前記INET及び前記ONETのそれぞれは、2L個の直交ハイブリッド結合器、QHCのそれぞれのセットを有し、各セットは、第1の直交位相シフトを有するL個のQHCを含み、前記L個のQHCは、前記第1の直交位相シフトと逆の第2の直交位相シフトを有し、各QHCの前記入力は一対の信号経路を有し、各QHCの出力は一対の信号経路を有し、
    一対の増幅器経路は、前記INET内の第1のQHCの前記出力と前記ONET内の第2のQHCの前記入力との間に配設され、
    前記INET内の予め決定されたランクのQHCの結合の直交位相シフトは、前記ONET内の同じ予め決定されたランクのQHCの結合とは逆である、MPA。
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