JP2004336448A - マルチポート増幅装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、及び位相偏差を無くすことで最適設計を容易にし、且つ入力側ハイブリッドネットワークを大幅に小型、低コストで実現することが可能で、更に小型化によって装置としての設置性を改善できるマルチポート増幅装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークを構成する各個別ハイブリッドを、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路で実現するので、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、及び位相偏差を無くすることができる。これによって、装置総合に対して要求される系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値を、増幅器と出力側RF帯ハイブリッドネットワークのみに配分することができ、最適設計が容易となる。更にディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、入力側ハイブリッドネットワークを大幅に小型、低コストで実現できる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係るマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークを構成する各個別ハイブリッドを、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路で実現するので、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、及び位相偏差を無くすることができる。これによって、装置総合に対して要求される系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値を、増幅器と出力側RF帯ハイブリッドネットワークのみに配分することができ、最適設計が容易となる。更にディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、入力側ハイブリッドネットワークを大幅に小型、低コストで実現できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局などに利用されるマルチポート増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いる移動体通信基地局では、マルチポート増幅装置が利用される。マルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークと、増幅器と、出力側ハイブリッドネットワークを接続した構成になっている。入力側ハイブリッドネットワークは、入出力ポートが2のn乗個(nは自然数)で、入力側ハイブリッドネットワークの出力に2のn乗個の増幅器を接続する。増幅器の出力に入力側と同等の出力側ハイブリッドネットワークを接続した構成になっている。
【0003】
入力側ハイブリッドネットワークは、2のn乗個の各入力ポートからの入力信号を各増幅器に対して均等に分配するように動作する。各増幅器は、均等分配された入力信号を増幅する。増幅器で増幅された入力信号は、出力側ハイブリッドネットワークで合成する。合成されたそれぞれの信号は、各入力ポートから入力される入力信号に対応している。各増幅器では均等分配されたすべての入力ポートからの入力信号を増幅するため、各入力ポートにおける信号間にレベル差がある場合にも各増幅器の出力電力レベルを均一にすることが可能である。つまり、入力ポートの信号毎に固定の増幅器を接続するのではなく、各増幅器が任意の入力ポートの信号に接続できるようにして分散増幅することで、各増幅器の増幅ダイナミックレンジを有効利用するものである。
【0004】
従来技術による8系統マルチポート増幅装置の一構成例を図13に示す。8系統マルチポート増幅装置は、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22と、アナログRF入力型増幅器13と、出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5から構成され、8系統のRF帯入力ポート23と、8系統のRF帯出力ポート9を有する。(例えば特開2003−17927号公報 図3、特開平9−167930号公報 図3等)
【0005】
入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22は、電力分配用のRF帯90度ハイブリッド6によって構成される。同様に、出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5は電力合成用のRF帯90度ハイブリッド6によって構成される。ここで、従来技術の特徴は、各々のハイブリッドネットワークにおいて分配、合成される信号はいずれもRF帯信号である。
【0006】
このマルチポート増幅装置におけるハイブリッドネットワークの動作を説明する。図14にRF帯90度ハイブリッド6の動作を説明するためのブロック図を示す。ここでは、説明の簡略化のために2系統マルチポート増幅装置の場合の例を示している。RF帯90度ハイブリッド6は、2系統のRF入力信号を、それぞれの信号の振幅を1/√2倍にし、それぞれの信号の位相を0度と90度遅れた信号に分配した後、加算し、2系統の信号を出力する。RF帯90度ハイブリッド6の出力は、アナログRF入力型増幅器13に入力される。アナログRF入力型増幅器13で増幅された2系統のRF帯信号は、各々出力側のRF帯90度ハイブリッド6によって振幅と位相が変えられた後に合成されて出力される。
【0007】
図14において、2系統のRF入力の信号をp1、p2、入力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統出力の信号をq1、q2とすると、入力側のRF帯90度ハイブリッド6の入出力の関係は数式(7)及び数式(8)で表現できる。
このRF帯90度ハイブリッド6の特性は、出力側においても同一である。出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とし、90度の位相遅れを数式(9)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(10)で表される。ここで、入力ポートと出力ポートでは図14における上下の系が反転している。
【0008】
従来のマルチポート増幅装置は、以上のようにアナログRF帯信号によるハイブリッドネットワークで構成されている。このような構成の場合、図13における、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、各アナログRF入力型増幅器13、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5の特性によって、マルチポート増幅装置における系統間の利得偏差及び位相偏差を生じてしまう。この系統間の偏差は、出力における合成損失や系統間アイソレーションに大きく影響を与える。その影響の特性解析は、文献(S.EGAMI,M.KAWAI,”An Adaptive Multiple Beam System Concept”,IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.SAC−5,NO.4,MAY 1987)に示されている。
【0009】
例えば、8系統マルチポート増幅装置の場合、特性解析の結果は、図15及び図16に示すようになる。各系統間の利得標準偏差をΔG(dB)、位相標準偏差をΔθ(deg)とすると、出力における合成損失(dB)に対する利得標準偏差と位相標準偏差の影響は、図15に示すようなグラフになる。標準偏差値は、8系統が利得標準値に対して±ΔG(dB)、位相標準値に対して±Δθ(deg)の範囲で均等に分散しているものとしている。尚、合成損失は、ハイブリッドネットワークによる固定挿入損失を除いた標準偏差の影響によって生じる損失を示す。また、系統間アイソレーション(dB)に対する前記利得標準偏差と位相標準偏差の影響は、図16に示すようなグラフになる。
【0010】
合成損失を0.1dB以下にするためには、図15から利得標準偏差1.5dB以下、位相標準偏差10deg以下を実現する必要がある。さらに、系統間アイソレーションを30dB以上確保するためには、図16から利得標準偏差0.8dB以下、位相標準偏差5deg以下を実現する必要がある。各偏差の所要値を入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、各アナログRF入力型増幅器13、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5の要素に割り振るものとすると、各要素に対して非常に厳しい特性が要求される。
【0011】
図13に示すような、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5において、ハイブリッドネットワークを構成する複数のRF帯90度ハイブリッド6間を接続するための、ケーブルまたはマイクロストリップ線路またはストリップ線路の電気長を設計上完全に一致させることは困難である。そのため、装置毎の調整が必要となる問題があった。さらに、最も長い電気長に合わせて他の系統も調整されるので、ハイブリッドネットワークが大型化するという問題もあった。
【0012】
系統間の各偏差を調整する方法として、各増幅器の前段に利得と位相を補償する利得位相補償回路を備える方法がある。図13における入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22とアナログRF入力型増幅器13との間に、RF帯利得位相補償回路24を備えた構成を図17に示す。この構成によれば、各系統間の利得偏差及び位相偏差を系統数分のRF帯利得位相補償回路24によって、装置レベルで調整することが可能である。しかしながら、RF帯利得位相補償回路24は、RF帯の可変減衰器及び可変移相器がその系統数分必要となるため、装置が高価となる問題がある。さらに、利得位相補償回路24はアナログ素子で構成されるため、補償特性に周波数偏差や温度変化、及び経年変化が生じてしまう問題があった。
【0013】
【特許文献1】
特開2003−17927号公報
【特許文献2】
特開平9−167930号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、系統間の偏差を抑制し、合成損失や系統間アイソレーションなどの特性を向上させたマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、周波数偏差、温度変化、経年変化の少ない安定した特性のマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、マルチポート増幅装置の最適設計を容易化することにある。
【0018】
さらに、本発明の他の目的は、装置毎の調整工程を削減し、生産性を向上させるマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、小型化し、装置としての設置性を改善したマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0020】
さらに、本発明の他の目的は、マルチポート増幅装置のコストを低減することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0022】
本発明の観点では、マルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)と、増幅器(4、13)と、出力側ハイブリッドネットワーク(5)とを具備している。入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、複数の入力ポート(8)を有する。増幅器(4、13)は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の出力に接続され、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の入力ポート数と同数である出力数分具備している。出力側ハイブリッドネットワーク(5)は、増幅器(4、13)の出力に接続されて複数の出力ポート(9)を有する。入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、複数の入力ポート(8)からディジタル直交ベースバンド信号を入力し、入力した前記ディジタル直交ベースバンド信号を複数の増幅器(4、13)に均等に分配する。
【0023】
本発明のマルチポート増幅装置における入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、2のn乗個の入力ポート(8)と、2の(n−1)乗×n個のハイブリッド回路(2)とを備えている。ハイブリッド回路(2)は、ディジタル直交ベースバンド信号を処理するディジタルハイブリッド回路(2)である。
【0024】
本発明のマルチポート増幅装置におけるディジタルハイブリッド回路(2)は、入力するディジタル直交ベースバンド信号を加算する加算器(10)と、ディジタル直交ベースバンド信号を減算する減算器(11)とを備えるディジタル直交ベースバンドハイブリッド回路(2)である。
【0025】
本発明のマルチポート増幅装置における出力側ハイブリッドネットワーク(5)は、2のn乗個の出力ポート(9)と、2の(n−1)乗×n個の出力ハイブリッド回路(6)とを備える。出力ハイブリッド回路(6)は、アナログRF帯信号を処理するアナログハイブリッド回路(6)である。
【0026】
本発明のマルチポート増幅装置における増幅器(4)は、入力側ハイブリッドネットワークから入力するディジタル直交ベースバンド信号を増幅し、アナログRF帯信号を出力するディジタル直交ベースバンド信号入力型増幅器である。
【0027】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ディジタルハイブリッドネットワーク(1)の後段にディジタル直交ベースバンド信号をアナログRF帯信号に変換する変換回路(12)を備えている。変換回路(12)は、ディジタル直交ベースバンド信号をアナログ直交ベースバンド信号に変換するディジタル/アナログ変換器(14)と、アナログ直交ベースバンド信号に含まれるサンプリングによる折り返し成分を除去するフィルタ(15)と、折り返し成分を除去されたアナログ直交ベースバンド信号を直交変調する直交変調器(16、16−2)とを含んでいる。増幅器(13)は、変換回路(12)から出力されるアナログRF帯信号を増幅するアナログRF入力型増幅器(13)である。
【0028】
本発明のマルチポート増幅装置における入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器(18)をさらに備える。
【0029】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の前段にディジタル周波数変換器(19)を備える。
【0030】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の前段に複数のディジタル直交ベースバンド信号を合成するベースバンド合成器(21)を備える。
【0031】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークを構成する個々のハイブリッドにディジタル直交ベースバンド信号を処理するディジタル直交ベースバンドハイブリッド回路を用いるため、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、位相偏差を排除することが可能となる。したがって、マルチポート増幅装置に要求される系統間の利得偏差、位相偏差の所要値を増幅器と出力側ハイブリッドネットワークに配分することが可能となり、従来に比較して最適設計が容易になる。また、入力側ハイブリッドネットワークをディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術に較べて入力側ハイブリッドネットワークを大幅に小型、低コストで実現できる。
【0032】
増幅器と出力側ハイブリッドネットワークのみに配分された系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値に対して、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器を備えることで、さらに調整が簡素化され最適設計が容易となる。この複素乗算器はディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術のアナログRF帯での利得及び位相補償回路に較べて大幅に小型、低コストで実現でき、更には安定性を向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に関して、図1から図3を参照して説明する。図1は、8系統マルチポート増幅装置の構成例を示すブロック図である。図1において、図13に示した従来技術と同一部分には同一符号を符している。図13に示した従来技術との相違は、入力側ハイブリッドネットワークと、増幅器にある。入力側ハイブリッドネットワークは、8系統のディジタル直交ベースバンド入力ポート8を備える、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2で構成される入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1である。入力側ハイブリッドネットワークに接続される増幅器は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4である。ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4は、ディジタルプリディストーション型増幅器に代表される増幅器である。出力側ハイブリッドネットワーク5は従来技術の例と同じ構成となっている。
【0034】
図2は、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の基本構成を示すブロック図である。ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2は、2個の加算器10と2個の減算器11を備え、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2が入力され、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号q1およびq2が出力される。ディジタル直交ベースバンド入力信号p1は、I成分信号Ip1とQ成分信号Qp1とから構成される。ディジタル直交ベースバンド入力信号p2は、I成分信号Ip2とQ成分信号Qp2とから構成される。また、ディジタル直交ベースバンド出力信号q1は、I成分信号Iq1とQ成分信号Qq1とから、ディジタル直交ベースバンド出力信号q2は、成分信号Ip2とQ成分信号Qp2とから構成される。
【0035】
2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1及びp2に対して、
Iq1=Ip1+Qp2
Qq1=Qp1+(−Ip2)
および、
Iq2=Ip2+Qp1
Qq2=Qp2+(−Ip1)
となるように加算器10と減算器11が接続されている。
【0036】
以下図面を参照しながら本発明の実施例の動作について説明する。ディジタル直交ベースバンド入力ポート8には8系統のディジタル直交ベースバンド信号が入力される。入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1に入力された8系統のディジタル直交ベースバンド信号は、各個別のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2によって、各系統間で利得偏差、位相偏差を生じることなく、各々分配される。分配されたディジタル直交ベースバンド信号は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4によって増幅される。ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4以降の出力側ハイブリッドネットワーク5は従来技術の例と同一であるので、動作の説明は省略する。
【0037】
ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の動作について、図2、図3を参照して説明する。90度ハイブリッド回路に入力された2系統の信号は、振幅が1/√2倍で、位相が0度と90度遅れた信号に分配された後に加算される。ここで、90度の位相遅れは図2中の数式(1)で表される。直交ベースバンド信号において、入力信号をI及びQ、90度の位相遅れを発生させた出力信号をI’及びQ’とすると、数式(2)に示す通り、I’=Q、Q’=−Iとなる。従って、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2の信号成分をそれぞれIp1、Qp1、および、Ip2、Qp2とし、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の2系統の出力信号q1およびq2の信号成分をそれぞれIq1、Qq1、および、Iq2、Qq2とすると、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の入出力の関係は、
Iq1=Ip1+Qp2
Qq1=Qp1+(−Ip2)
および、
Iq2=Ip2+Qp1
Qq2=Qp2+(−Ip1)
となる。この演算は、図2に示す通り、2個の加算器10と、2個の減算器11で構成される演算回路によって実現される。従って、図2の演算回路によれば、各系統間で利得偏差、及び位相偏差を生じることなく、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6と等価の特性を実現し、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号を得ることができる。
【0038】
図3を参照して、図2のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2を使用したマルチポート増幅装置の動作について説明する。ここでは説明の簡略化のために、2系統マルチポート増幅装置の場合を示す。1個の図2に示したディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2と、2系統のディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4と、1個のRF帯90度ハイブリッド6により構成される。
【0039】
ここで、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号をp1、p2、出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とする。さらに90度の位相遅れを数式(1)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(3)で表される。この入出力特性は、従来技術の例に係る図14中の数式(10)に相当する特性になっている。
【0040】
入力側のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2では、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6とは異なり、入力信号の各々の振幅が1/√2倍(電力で1/2倍)とはならないので、装置の出力振幅が数式(10)の√2倍となっている。従って本発明によれば、マルチポート増幅装置に要求される利得が従来技術の場合と同一とすると、増幅器の利得を振幅で1/√2倍(電力で1/2倍)に低減することができる。尚、前記と同様の解析を行えば、4系統、および8系統を含む2のn乗個(nは自然数)の任意の系統数のマルチポート増幅装置についても、本発明が応用できることは明らかである。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例であるディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の構成を示すブロック図である。図2に示す本発明の実施例との相違は、図2における加算器10と減算器11を入れ替えた構成にしたことである。
【0042】
以下図面を参照して動作について説明する。本変形例は、第1の実施の形態で示した90度の位相遅れと異なり、90度の位相進みを発生させたディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2である。90度の位相進みは図4の数式(4)で表される。直交ベースバンド信号において、入力信号をIおよびQ、90度の位相進みを発生させた出力信号I’及びQ’とすると、数式(5)に示す通り、I’=−Q、Q’=Iとなる。従って、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2の信号成分をそれぞれIp1、Qp1、およびIp2、Qp2とし、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の2系統の出力信号q1およびq2の信号成分をそれぞれIq1、Qq1、および、Iq2、Qq2とすると、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の入出力の関係は、
Iq1=Ip1+(−Qp2)
Qq1=Qp1+Ip2
および、
Iq2=Ip2+(−Qp1)
Qq2=Qp2+Ip1
となる。この演算についても、図4に示す通り、2個の加算器10と、2個の減算器11で構成される演算回路によって実現される。この演算回路は、図2に示した演算回路の加算器10と減算器11を入れ替えた構成である。従って、当該演算回路によれば、各系統間で利得偏差、及び位相偏差を生じることなく、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号を得ることができる。
【0043】
図5を参照して、図4のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2を使用したマルチポート増幅装置の動作について説明する。ここでは説明の簡略化のために、2系統マルチポート増幅装置の場合を示す。1個の図4に示したディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2と、2系統のディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4と、1個のRF帯90度ハイブリッド6により構成される。
【0044】
ここで、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号をp1、p2、出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とする。90度の位相遅れを図2中の数式(1)、更に90度の位相進みを図4中の数式(4)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(6)で表される。第1の実施の形態で示した図2数式(3)と較べると、入力ポートと出力ポートの図中における上下の系が反転しない特性を得ることができる。尚、本変形例においても、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2では、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6とは異なり、入力信号の各々の振幅が1/√2倍(電力で1/2倍)とはならないので、第1の実施形態と同様に、マルチポート増幅装置に要求される利得が従来技術の場合と同一とすると、増幅器の利得を振幅で1/√2倍(電力で1/2倍)に低減することができる。
【0045】
また、前記と同様の解析を行えば、4系統、及び8系統を含む2のn乗個(nは自然数)の任意の系統数のマルチポート増幅装置についても、本発明が応用できることは明らかである。
【0046】
本発明の第2の実施の形態を図6と図7を参照して説明する。図6は、マルチポート増幅装置の8系統の場合の一実施構成例を示すブロック図である。第1の実施の形態(図1)との相違は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の出力と増幅器との間に変換回路12を備え、増幅器にアナログRF入力型増幅器13を使用することである。
【0047】
図7は、図6における変換回路12の基本構成を示すブロック図である。変換回路12は、ディジタル/アナログ変換器14と、フィルタ15と、アナログ直交変調器16と、周波数変換回路17とを備えている。ディジタル/アナログ変換器14とフィルタ15は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれに対応して2系統備えている。
【0048】
ディジタル/アナログ変換器14は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれをディジタル信号からアナログ信号に変換する。フィルタ15は、ディジタル/アナログ変換器14から出力されるアナログ直交ベースバンド信号からサンプリングによる折り返し成分を除去する。アナログ直交変調器16は、折り返し成分を除去したアナログ直交ベースバンド信号を直交変調し、IF帯信号を出力する。周波数変換回路17は、アナログ直交変調器16から出力されたIF帯信号をRF帯信号に周波数変換する。
【0049】
図8は、第2の実施の形態の変形例である変換回路12の基本構成を示すブロック図である。図7との相違は、アナログ直交変調器16−2がベースバンド信号から直接RF帯信号に変調可能な機能を有することである。つまり、アナログ直交変調器16−2は、機能的に図7のアナログ直交変調器16と周波数変換回路17とを内蔵したものとなっている。
【0050】
変換回路12は、ディジタル/アナログ変換器14と、フィルタ15と、アナログ直交変調器16−2とを備えている。ディジタル/アナログ変換器14とフィルタ15は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれに対応して2系統備えている。
【0051】
ディジタル/アナログ変換器14は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれをディジタル信号からアナログ信号に変換する。フィルタ15は、ディジタル/アナログ変換器14から出力されるアナログ直交ベースバンド信号からサンプリングによる折り返し成分を除去する。アナログ直交変調器16−2は、折り返し成分を除去したアナログ直交ベースバンド信号を直交変調し、RF帯信号を出力する。
【0052】
以上に示したように、図7および図8に示した変換回路12を、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の出力に備えることによって、図1におけるディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4のみならず、図6に示したような、アナログRF入力型増幅器13を使用する場合においても、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1を適用できることが示された。アナログRF入力型増幅器13として、歪補償を行わないストレート増幅器、アナログプリディストーション型増幅器、さらにフィードフォワード型増幅器等を使用する場合において、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1を適用できる。
【0053】
本発明の第3の実施の形態を図9と図10を参照して説明する。図9は、マルチポート増幅装置の8系統の場合の一実施構成例を示すブロック図である。図1に示す本発明の実施例との相違は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1に複素乗算器18を備えたことである。
【0054】
複素乗算器18は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の最終段のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2のディジタル直交ベースバンド出力信号を入力し、振幅と位相を調整したディジタル直交ベースバンド出力信号を出力する。複素乗算器18から出力されたディジタル直交ベースバンド出力信号は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4で増幅される。
【0055】
複素乗算器18は、図10に示されるように、ディジタル直交ベースバンド信号pと振幅情報Rと位相情報θとを入力し、外部からの振幅情報Rと位相情報θとに基づいた振幅(利得)補償と位相補償を行ったディジタル直交ベースバンド信号qを出力する。
【0056】
ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器18を備えることで、増幅器4と出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5における各系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値に対して、さらに調整が簡素化され最適設計が容易となる。また、複素乗算器18はディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術のアナログRF帯での利得及び位相補償回路に比較して大幅に小型、低コストで実現でき、さらに安定性を向上させることができる。
【0057】
本発明の第4の実施の形態として、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1と、周知の技術による回路を組み合わせた構成を説明する。入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1と、周知の技術による回路を組み合わせることによって、容易に装置の機能を拡張することができる。
【0058】
マルチポート増幅装置に入力される信号の周波数が異なる場合、図11に示すような周波数変換器19を各ディジタル直交ベースバンド入力ポート8の前段に設けることにより対応することができる。図1、または図6、または図9に示した入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の前段に、図11に示すような周知の技術による周波数変換器19を系統数分備える。周波数変換器19は、複素乗算器等を組み合せて構成されている。入力されたディジタル直交ベースバンド信号pに数値制御発振器20で発振された周波数f1の信号により周波数変換が行われ、周波数変換が行われたディジタル直交ベースバンド信号qが出力される。各ポートに割り当てる周波数f1を適宜設定することにより、入力された各ディジタル直交ベースバンド信号pをベースバンド上で周波数配置できる。この周波数変換器19によって、図1、または図6、または図9におけるディジタル直交ベースバンド入力ポート8の各系統毎にベースバンド上で周波数配置を設定する。
【0059】
また、複数波が合成された信号がマルチポート増幅装置の各ポートに入力される場合、図12に示すようなベースバンド信号合成回路を設けることにより対応することができる。ベースバンド信号合成回路は、複素乗算器等で構成される周波数変換器19と、周波数fを指定して発振させる数値制御発振器20と、加算器等で構成されるベースバンド合成器21とを備えている。
【0060】
周波数変換器19と数値制御発振器20は、マルチポート増幅器の入力ポートの1つに入力する信号の数を備え、ベースバンド上で周波数配置を設定する。入力されたベースバンド入力信号p1、p2、・・・は、周波数変換器19によって、周波数f1、f2、・・・で周波数変換される。周波数変換された各ベースバンド入力信号は、それぞれのI信号成分、Q信号成分をベースバンド合成器21によりベースバンド上で複数波が合成され、出力信号qとして出力される。
【0061】
図1、または図6、または図9に示した入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の前段に、図12に示すようなベースバンド信号合成回路を系統分備え、複数波が合成された信号の増幅ができる。
【0062】
以上、マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局に利用されるマルチポート増幅装置への適用について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の実施において、図2、及び図4に示すディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2は、マルチポート増幅装置以外の構成においても90度ハイブリッドとして使用することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークを構成するハイブリッドがディジタル直交ベースバンド信号を処理するため、系統間の偏差を抑制し、合成損失や系統間アイソレーションなどの特性を向上させたマルチポート増幅装置を提供することができる。
【0064】
また、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークにおいてディジタル信号処理するため、周波数偏差、温度変化、経年変化の少ない安定した特性のマルチポート増幅装置を提供することができる。
【0065】
さらに、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、位相偏差を排除することができるため、マルチポート増幅装置全体に要求される系統間の利得偏差、位相偏差の所要値を増幅器と出力側ハイブリットネットワークに配分でき、マルチポート増幅装置の最適設計を容易化することができる。
【0066】
また、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークがディジタル信号処理されることによって、ケーブルまたはマイクロストリップ線路またはストリップ線路を装置毎に調整する調整工程を削減でき、生産性を向上させるマルチポート増幅装置を提供することができる。また、増幅器と出力側ハイブリッドネットワークに配分された系統間の利得偏差、位相偏差の所要値に対して、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器を備えることで調整工程を削減でき、生産性を向上させることができる。
【0067】
さらに、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークおよびディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器が、ディジタル直交ベースバンド信号系で処理するため、従来のアナログRF帯信号系で処理するものに比較して大幅に小型化し、低コスト化ができる。小型化されることによって装置としての設置性を改善したマルチポート増幅装置を提供することができる。特にアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局装置において、アンテナ鉄塔に実装する構造の塔頂装置を実現する上で設置性が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成例を示すブロック図である。
【図2】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路の基本構成を示すブロック図である。
【図3】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路を使用した2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態の変形例のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路の構成を示すブロック図である。
【図5】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路を使用した2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成例を示すブロック図である。
【図7】同変換回路の基本構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の変形例の変換回路の基本構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成を示すブロック図である。
【図10】同複素乗算器の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の前段に周波数変換器を備える周波数変換器を示すブロック図である。
【図12】同ベースバンド合成器を示すブロック図である。
【図13】従来技術に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成を示すブロック図である。
【図14】同RF帯90度ハイブリッドを使用したの2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図15】8系統マルチポート増幅装置の出力における合成損失に対する各系統間の利得標準偏差と位相標準偏差の影響を表したグラフである。
【図16】8系統マルチポート増幅装置の系統間アイソレーションに対する各系統間の利得標準偏差と位相標準偏差の影響を表したグラフである。
【図17】従来技術に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合のRF帯利得位相補償回路を備えた基本構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク
2 ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路
4 ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器
5 出力側RF帯ハイブリッドネットワーク
6 RF帯90度ハイブリッド
8 ディジタル直交ベースバンド入力ポート
9 RF帯出力ポート
10 加算器
11 減算器
12 変換回路
13 アナログRF入力型増幅器
14 ディジタル/アナログ変換器
15 フィルタ
16 アナログ直交変調器
17 周波数変換回路
18 複素乗算器
19 周波数変換器
20 数値制御発振器
21 ベースバンド合成器
22 入力側RF帯ハイブリッドネットワーク
23 RF帯入力ポート
24 RF帯利得位相補償回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局などに利用されるマルチポート増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いる移動体通信基地局では、マルチポート増幅装置が利用される。マルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークと、増幅器と、出力側ハイブリッドネットワークを接続した構成になっている。入力側ハイブリッドネットワークは、入出力ポートが2のn乗個(nは自然数)で、入力側ハイブリッドネットワークの出力に2のn乗個の増幅器を接続する。増幅器の出力に入力側と同等の出力側ハイブリッドネットワークを接続した構成になっている。
【0003】
入力側ハイブリッドネットワークは、2のn乗個の各入力ポートからの入力信号を各増幅器に対して均等に分配するように動作する。各増幅器は、均等分配された入力信号を増幅する。増幅器で増幅された入力信号は、出力側ハイブリッドネットワークで合成する。合成されたそれぞれの信号は、各入力ポートから入力される入力信号に対応している。各増幅器では均等分配されたすべての入力ポートからの入力信号を増幅するため、各入力ポートにおける信号間にレベル差がある場合にも各増幅器の出力電力レベルを均一にすることが可能である。つまり、入力ポートの信号毎に固定の増幅器を接続するのではなく、各増幅器が任意の入力ポートの信号に接続できるようにして分散増幅することで、各増幅器の増幅ダイナミックレンジを有効利用するものである。
【0004】
従来技術による8系統マルチポート増幅装置の一構成例を図13に示す。8系統マルチポート増幅装置は、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22と、アナログRF入力型増幅器13と、出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5から構成され、8系統のRF帯入力ポート23と、8系統のRF帯出力ポート9を有する。(例えば特開2003−17927号公報 図3、特開平9−167930号公報 図3等)
【0005】
入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22は、電力分配用のRF帯90度ハイブリッド6によって構成される。同様に、出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5は電力合成用のRF帯90度ハイブリッド6によって構成される。ここで、従来技術の特徴は、各々のハイブリッドネットワークにおいて分配、合成される信号はいずれもRF帯信号である。
【0006】
このマルチポート増幅装置におけるハイブリッドネットワークの動作を説明する。図14にRF帯90度ハイブリッド6の動作を説明するためのブロック図を示す。ここでは、説明の簡略化のために2系統マルチポート増幅装置の場合の例を示している。RF帯90度ハイブリッド6は、2系統のRF入力信号を、それぞれの信号の振幅を1/√2倍にし、それぞれの信号の位相を0度と90度遅れた信号に分配した後、加算し、2系統の信号を出力する。RF帯90度ハイブリッド6の出力は、アナログRF入力型増幅器13に入力される。アナログRF入力型増幅器13で増幅された2系統のRF帯信号は、各々出力側のRF帯90度ハイブリッド6によって振幅と位相が変えられた後に合成されて出力される。
【0007】
図14において、2系統のRF入力の信号をp1、p2、入力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統出力の信号をq1、q2とすると、入力側のRF帯90度ハイブリッド6の入出力の関係は数式(7)及び数式(8)で表現できる。
このRF帯90度ハイブリッド6の特性は、出力側においても同一である。出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とし、90度の位相遅れを数式(9)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(10)で表される。ここで、入力ポートと出力ポートでは図14における上下の系が反転している。
【0008】
従来のマルチポート増幅装置は、以上のようにアナログRF帯信号によるハイブリッドネットワークで構成されている。このような構成の場合、図13における、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、各アナログRF入力型増幅器13、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5の特性によって、マルチポート増幅装置における系統間の利得偏差及び位相偏差を生じてしまう。この系統間の偏差は、出力における合成損失や系統間アイソレーションに大きく影響を与える。その影響の特性解析は、文献(S.EGAMI,M.KAWAI,”An Adaptive Multiple Beam System Concept”,IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.SAC−5,NO.4,MAY 1987)に示されている。
【0009】
例えば、8系統マルチポート増幅装置の場合、特性解析の結果は、図15及び図16に示すようになる。各系統間の利得標準偏差をΔG(dB)、位相標準偏差をΔθ(deg)とすると、出力における合成損失(dB)に対する利得標準偏差と位相標準偏差の影響は、図15に示すようなグラフになる。標準偏差値は、8系統が利得標準値に対して±ΔG(dB)、位相標準値に対して±Δθ(deg)の範囲で均等に分散しているものとしている。尚、合成損失は、ハイブリッドネットワークによる固定挿入損失を除いた標準偏差の影響によって生じる損失を示す。また、系統間アイソレーション(dB)に対する前記利得標準偏差と位相標準偏差の影響は、図16に示すようなグラフになる。
【0010】
合成損失を0.1dB以下にするためには、図15から利得標準偏差1.5dB以下、位相標準偏差10deg以下を実現する必要がある。さらに、系統間アイソレーションを30dB以上確保するためには、図16から利得標準偏差0.8dB以下、位相標準偏差5deg以下を実現する必要がある。各偏差の所要値を入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、各アナログRF入力型増幅器13、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5の要素に割り振るものとすると、各要素に対して非常に厳しい特性が要求される。
【0011】
図13に示すような、入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22、及び出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5において、ハイブリッドネットワークを構成する複数のRF帯90度ハイブリッド6間を接続するための、ケーブルまたはマイクロストリップ線路またはストリップ線路の電気長を設計上完全に一致させることは困難である。そのため、装置毎の調整が必要となる問題があった。さらに、最も長い電気長に合わせて他の系統も調整されるので、ハイブリッドネットワークが大型化するという問題もあった。
【0012】
系統間の各偏差を調整する方法として、各増幅器の前段に利得と位相を補償する利得位相補償回路を備える方法がある。図13における入力側RF帯ハイブリッドネットワーク22とアナログRF入力型増幅器13との間に、RF帯利得位相補償回路24を備えた構成を図17に示す。この構成によれば、各系統間の利得偏差及び位相偏差を系統数分のRF帯利得位相補償回路24によって、装置レベルで調整することが可能である。しかしながら、RF帯利得位相補償回路24は、RF帯の可変減衰器及び可変移相器がその系統数分必要となるため、装置が高価となる問題がある。さらに、利得位相補償回路24はアナログ素子で構成されるため、補償特性に周波数偏差や温度変化、及び経年変化が生じてしまう問題があった。
【0013】
【特許文献1】
特開2003−17927号公報
【特許文献2】
特開平9−167930号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、系統間の偏差を抑制し、合成損失や系統間アイソレーションなどの特性を向上させたマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、周波数偏差、温度変化、経年変化の少ない安定した特性のマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、マルチポート増幅装置の最適設計を容易化することにある。
【0018】
さらに、本発明の他の目的は、装置毎の調整工程を削減し、生産性を向上させるマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、小型化し、装置としての設置性を改善したマルチポート増幅装置を提供することにある。
【0020】
さらに、本発明の他の目的は、マルチポート増幅装置のコストを低減することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0022】
本発明の観点では、マルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)と、増幅器(4、13)と、出力側ハイブリッドネットワーク(5)とを具備している。入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、複数の入力ポート(8)を有する。増幅器(4、13)は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の出力に接続され、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の入力ポート数と同数である出力数分具備している。出力側ハイブリッドネットワーク(5)は、増幅器(4、13)の出力に接続されて複数の出力ポート(9)を有する。入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、複数の入力ポート(8)からディジタル直交ベースバンド信号を入力し、入力した前記ディジタル直交ベースバンド信号を複数の増幅器(4、13)に均等に分配する。
【0023】
本発明のマルチポート増幅装置における入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、2のn乗個の入力ポート(8)と、2の(n−1)乗×n個のハイブリッド回路(2)とを備えている。ハイブリッド回路(2)は、ディジタル直交ベースバンド信号を処理するディジタルハイブリッド回路(2)である。
【0024】
本発明のマルチポート増幅装置におけるディジタルハイブリッド回路(2)は、入力するディジタル直交ベースバンド信号を加算する加算器(10)と、ディジタル直交ベースバンド信号を減算する減算器(11)とを備えるディジタル直交ベースバンドハイブリッド回路(2)である。
【0025】
本発明のマルチポート増幅装置における出力側ハイブリッドネットワーク(5)は、2のn乗個の出力ポート(9)と、2の(n−1)乗×n個の出力ハイブリッド回路(6)とを備える。出力ハイブリッド回路(6)は、アナログRF帯信号を処理するアナログハイブリッド回路(6)である。
【0026】
本発明のマルチポート増幅装置における増幅器(4)は、入力側ハイブリッドネットワークから入力するディジタル直交ベースバンド信号を増幅し、アナログRF帯信号を出力するディジタル直交ベースバンド信号入力型増幅器である。
【0027】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ディジタルハイブリッドネットワーク(1)の後段にディジタル直交ベースバンド信号をアナログRF帯信号に変換する変換回路(12)を備えている。変換回路(12)は、ディジタル直交ベースバンド信号をアナログ直交ベースバンド信号に変換するディジタル/アナログ変換器(14)と、アナログ直交ベースバンド信号に含まれるサンプリングによる折り返し成分を除去するフィルタ(15)と、折り返し成分を除去されたアナログ直交ベースバンド信号を直交変調する直交変調器(16、16−2)とを含んでいる。増幅器(13)は、変換回路(12)から出力されるアナログRF帯信号を増幅するアナログRF入力型増幅器(13)である。
【0028】
本発明のマルチポート増幅装置における入力側ハイブリッドネットワーク(1)は、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器(18)をさらに備える。
【0029】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の前段にディジタル周波数変換器(19)を備える。
【0030】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワーク(1)の前段に複数のディジタル直交ベースバンド信号を合成するベースバンド合成器(21)を備える。
【0031】
本発明のマルチポート増幅装置は、入力側ハイブリッドネットワークを構成する個々のハイブリッドにディジタル直交ベースバンド信号を処理するディジタル直交ベースバンドハイブリッド回路を用いるため、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、位相偏差を排除することが可能となる。したがって、マルチポート増幅装置に要求される系統間の利得偏差、位相偏差の所要値を増幅器と出力側ハイブリッドネットワークに配分することが可能となり、従来に比較して最適設計が容易になる。また、入力側ハイブリッドネットワークをディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術に較べて入力側ハイブリッドネットワークを大幅に小型、低コストで実現できる。
【0032】
増幅器と出力側ハイブリッドネットワークのみに配分された系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値に対して、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器を備えることで、さらに調整が簡素化され最適設計が容易となる。この複素乗算器はディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術のアナログRF帯での利得及び位相補償回路に較べて大幅に小型、低コストで実現でき、更には安定性を向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に関して、図1から図3を参照して説明する。図1は、8系統マルチポート増幅装置の構成例を示すブロック図である。図1において、図13に示した従来技術と同一部分には同一符号を符している。図13に示した従来技術との相違は、入力側ハイブリッドネットワークと、増幅器にある。入力側ハイブリッドネットワークは、8系統のディジタル直交ベースバンド入力ポート8を備える、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2で構成される入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1である。入力側ハイブリッドネットワークに接続される増幅器は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4である。ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4は、ディジタルプリディストーション型増幅器に代表される増幅器である。出力側ハイブリッドネットワーク5は従来技術の例と同じ構成となっている。
【0034】
図2は、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の基本構成を示すブロック図である。ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2は、2個の加算器10と2個の減算器11を備え、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2が入力され、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号q1およびq2が出力される。ディジタル直交ベースバンド入力信号p1は、I成分信号Ip1とQ成分信号Qp1とから構成される。ディジタル直交ベースバンド入力信号p2は、I成分信号Ip2とQ成分信号Qp2とから構成される。また、ディジタル直交ベースバンド出力信号q1は、I成分信号Iq1とQ成分信号Qq1とから、ディジタル直交ベースバンド出力信号q2は、成分信号Ip2とQ成分信号Qp2とから構成される。
【0035】
2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1及びp2に対して、
Iq1=Ip1+Qp2
Qq1=Qp1+(−Ip2)
および、
Iq2=Ip2+Qp1
Qq2=Qp2+(−Ip1)
となるように加算器10と減算器11が接続されている。
【0036】
以下図面を参照しながら本発明の実施例の動作について説明する。ディジタル直交ベースバンド入力ポート8には8系統のディジタル直交ベースバンド信号が入力される。入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1に入力された8系統のディジタル直交ベースバンド信号は、各個別のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2によって、各系統間で利得偏差、位相偏差を生じることなく、各々分配される。分配されたディジタル直交ベースバンド信号は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4によって増幅される。ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4以降の出力側ハイブリッドネットワーク5は従来技術の例と同一であるので、動作の説明は省略する。
【0037】
ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の動作について、図2、図3を参照して説明する。90度ハイブリッド回路に入力された2系統の信号は、振幅が1/√2倍で、位相が0度と90度遅れた信号に分配された後に加算される。ここで、90度の位相遅れは図2中の数式(1)で表される。直交ベースバンド信号において、入力信号をI及びQ、90度の位相遅れを発生させた出力信号をI’及びQ’とすると、数式(2)に示す通り、I’=Q、Q’=−Iとなる。従って、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2の信号成分をそれぞれIp1、Qp1、および、Ip2、Qp2とし、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の2系統の出力信号q1およびq2の信号成分をそれぞれIq1、Qq1、および、Iq2、Qq2とすると、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の入出力の関係は、
Iq1=Ip1+Qp2
Qq1=Qp1+(−Ip2)
および、
Iq2=Ip2+Qp1
Qq2=Qp2+(−Ip1)
となる。この演算は、図2に示す通り、2個の加算器10と、2個の減算器11で構成される演算回路によって実現される。従って、図2の演算回路によれば、各系統間で利得偏差、及び位相偏差を生じることなく、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6と等価の特性を実現し、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号を得ることができる。
【0038】
図3を参照して、図2のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2を使用したマルチポート増幅装置の動作について説明する。ここでは説明の簡略化のために、2系統マルチポート増幅装置の場合を示す。1個の図2に示したディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2と、2系統のディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4と、1個のRF帯90度ハイブリッド6により構成される。
【0039】
ここで、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号をp1、p2、出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とする。さらに90度の位相遅れを数式(1)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(3)で表される。この入出力特性は、従来技術の例に係る図14中の数式(10)に相当する特性になっている。
【0040】
入力側のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2では、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6とは異なり、入力信号の各々の振幅が1/√2倍(電力で1/2倍)とはならないので、装置の出力振幅が数式(10)の√2倍となっている。従って本発明によれば、マルチポート増幅装置に要求される利得が従来技術の場合と同一とすると、増幅器の利得を振幅で1/√2倍(電力で1/2倍)に低減することができる。尚、前記と同様の解析を行えば、4系統、および8系統を含む2のn乗個(nは自然数)の任意の系統数のマルチポート増幅装置についても、本発明が応用できることは明らかである。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例であるディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の構成を示すブロック図である。図2に示す本発明の実施例との相違は、図2における加算器10と減算器11を入れ替えた構成にしたことである。
【0042】
以下図面を参照して動作について説明する。本変形例は、第1の実施の形態で示した90度の位相遅れと異なり、90度の位相進みを発生させたディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2である。90度の位相進みは図4の数式(4)で表される。直交ベースバンド信号において、入力信号をIおよびQ、90度の位相進みを発生させた出力信号I’及びQ’とすると、数式(5)に示す通り、I’=−Q、Q’=Iとなる。従って、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号p1およびp2の信号成分をそれぞれIp1、Qp1、およびIp2、Qp2とし、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の2系統の出力信号q1およびq2の信号成分をそれぞれIq1、Qq1、および、Iq2、Qq2とすると、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2の入出力の関係は、
Iq1=Ip1+(−Qp2)
Qq1=Qp1+Ip2
および、
Iq2=Ip2+(−Qp1)
Qq2=Qp2+Ip1
となる。この演算についても、図4に示す通り、2個の加算器10と、2個の減算器11で構成される演算回路によって実現される。この演算回路は、図2に示した演算回路の加算器10と減算器11を入れ替えた構成である。従って、当該演算回路によれば、各系統間で利得偏差、及び位相偏差を生じることなく、2系統のディジタル直交ベースバンド出力信号を得ることができる。
【0043】
図5を参照して、図4のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2を使用したマルチポート増幅装置の動作について説明する。ここでは説明の簡略化のために、2系統マルチポート増幅装置の場合を示す。1個の図4に示したディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2と、2系統のディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4と、1個のRF帯90度ハイブリッド6により構成される。
【0044】
ここで、2系統のディジタル直交ベースバンド入力信号をp1、p2、出力側のRF帯90度ハイブリッド6の2系統の出力信号をr1、r2とする。90度の位相遅れを図2中の数式(1)、更に90度の位相進みを図4中の数式(4)による置き換えを用いたマトリックス表現にすると、2系統マルチポート増幅装置の入出力特性は数式(6)で表される。第1の実施の形態で示した図2数式(3)と較べると、入力ポートと出力ポートの図中における上下の系が反転しない特性を得ることができる。尚、本変形例においても、ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2では、従来技術のRF帯90度ハイブリッド6とは異なり、入力信号の各々の振幅が1/√2倍(電力で1/2倍)とはならないので、第1の実施形態と同様に、マルチポート増幅装置に要求される利得が従来技術の場合と同一とすると、増幅器の利得を振幅で1/√2倍(電力で1/2倍)に低減することができる。
【0045】
また、前記と同様の解析を行えば、4系統、及び8系統を含む2のn乗個(nは自然数)の任意の系統数のマルチポート増幅装置についても、本発明が応用できることは明らかである。
【0046】
本発明の第2の実施の形態を図6と図7を参照して説明する。図6は、マルチポート増幅装置の8系統の場合の一実施構成例を示すブロック図である。第1の実施の形態(図1)との相違は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の出力と増幅器との間に変換回路12を備え、増幅器にアナログRF入力型増幅器13を使用することである。
【0047】
図7は、図6における変換回路12の基本構成を示すブロック図である。変換回路12は、ディジタル/アナログ変換器14と、フィルタ15と、アナログ直交変調器16と、周波数変換回路17とを備えている。ディジタル/アナログ変換器14とフィルタ15は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれに対応して2系統備えている。
【0048】
ディジタル/アナログ変換器14は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれをディジタル信号からアナログ信号に変換する。フィルタ15は、ディジタル/アナログ変換器14から出力されるアナログ直交ベースバンド信号からサンプリングによる折り返し成分を除去する。アナログ直交変調器16は、折り返し成分を除去したアナログ直交ベースバンド信号を直交変調し、IF帯信号を出力する。周波数変換回路17は、アナログ直交変調器16から出力されたIF帯信号をRF帯信号に周波数変換する。
【0049】
図8は、第2の実施の形態の変形例である変換回路12の基本構成を示すブロック図である。図7との相違は、アナログ直交変調器16−2がベースバンド信号から直接RF帯信号に変調可能な機能を有することである。つまり、アナログ直交変調器16−2は、機能的に図7のアナログ直交変調器16と周波数変換回路17とを内蔵したものとなっている。
【0050】
変換回路12は、ディジタル/アナログ変換器14と、フィルタ15と、アナログ直交変調器16−2とを備えている。ディジタル/アナログ変換器14とフィルタ15は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれに対応して2系統備えている。
【0051】
ディジタル/アナログ変換器14は、入力するディジタル直交ベースバンド信号のIおよびQ信号成分のそれぞれをディジタル信号からアナログ信号に変換する。フィルタ15は、ディジタル/アナログ変換器14から出力されるアナログ直交ベースバンド信号からサンプリングによる折り返し成分を除去する。アナログ直交変調器16−2は、折り返し成分を除去したアナログ直交ベースバンド信号を直交変調し、RF帯信号を出力する。
【0052】
以上に示したように、図7および図8に示した変換回路12を、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の出力に備えることによって、図1におけるディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4のみならず、図6に示したような、アナログRF入力型増幅器13を使用する場合においても、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1を適用できることが示された。アナログRF入力型増幅器13として、歪補償を行わないストレート増幅器、アナログプリディストーション型増幅器、さらにフィードフォワード型増幅器等を使用する場合において、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1を適用できる。
【0053】
本発明の第3の実施の形態を図9と図10を参照して説明する。図9は、マルチポート増幅装置の8系統の場合の一実施構成例を示すブロック図である。図1に示す本発明の実施例との相違は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1に複素乗算器18を備えたことである。
【0054】
複素乗算器18は、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の最終段のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2のディジタル直交ベースバンド出力信号を入力し、振幅と位相を調整したディジタル直交ベースバンド出力信号を出力する。複素乗算器18から出力されたディジタル直交ベースバンド出力信号は、ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器4で増幅される。
【0055】
複素乗算器18は、図10に示されるように、ディジタル直交ベースバンド信号pと振幅情報Rと位相情報θとを入力し、外部からの振幅情報Rと位相情報θとに基づいた振幅(利得)補償と位相補償を行ったディジタル直交ベースバンド信号qを出力する。
【0056】
ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器18を備えることで、増幅器4と出力側RF帯ハイブリッドネットワーク5における各系統間の利得偏差、及び位相偏差の所要値に対して、さらに調整が簡素化され最適設計が容易となる。また、複素乗算器18はディジタル直交ベースバンド信号系で処理するので、従来技術のアナログRF帯での利得及び位相補償回路に比較して大幅に小型、低コストで実現でき、さらに安定性を向上させることができる。
【0057】
本発明の第4の実施の形態として、入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1と、周知の技術による回路を組み合わせた構成を説明する。入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1と、周知の技術による回路を組み合わせることによって、容易に装置の機能を拡張することができる。
【0058】
マルチポート増幅装置に入力される信号の周波数が異なる場合、図11に示すような周波数変換器19を各ディジタル直交ベースバンド入力ポート8の前段に設けることにより対応することができる。図1、または図6、または図9に示した入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の前段に、図11に示すような周知の技術による周波数変換器19を系統数分備える。周波数変換器19は、複素乗算器等を組み合せて構成されている。入力されたディジタル直交ベースバンド信号pに数値制御発振器20で発振された周波数f1の信号により周波数変換が行われ、周波数変換が行われたディジタル直交ベースバンド信号qが出力される。各ポートに割り当てる周波数f1を適宜設定することにより、入力された各ディジタル直交ベースバンド信号pをベースバンド上で周波数配置できる。この周波数変換器19によって、図1、または図6、または図9におけるディジタル直交ベースバンド入力ポート8の各系統毎にベースバンド上で周波数配置を設定する。
【0059】
また、複数波が合成された信号がマルチポート増幅装置の各ポートに入力される場合、図12に示すようなベースバンド信号合成回路を設けることにより対応することができる。ベースバンド信号合成回路は、複素乗算器等で構成される周波数変換器19と、周波数fを指定して発振させる数値制御発振器20と、加算器等で構成されるベースバンド合成器21とを備えている。
【0060】
周波数変換器19と数値制御発振器20は、マルチポート増幅器の入力ポートの1つに入力する信号の数を備え、ベースバンド上で周波数配置を設定する。入力されたベースバンド入力信号p1、p2、・・・は、周波数変換器19によって、周波数f1、f2、・・・で周波数変換される。周波数変換された各ベースバンド入力信号は、それぞれのI信号成分、Q信号成分をベースバンド合成器21によりベースバンド上で複数波が合成され、出力信号qとして出力される。
【0061】
図1、または図6、または図9に示した入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク1の前段に、図12に示すようなベースバンド信号合成回路を系統分備え、複数波が合成された信号の増幅ができる。
【0062】
以上、マルチビーム通信衛星やアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局に利用されるマルチポート増幅装置への適用について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の実施において、図2、及び図4に示すディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路2は、マルチポート増幅装置以外の構成においても90度ハイブリッドとして使用することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークを構成するハイブリッドがディジタル直交ベースバンド信号を処理するため、系統間の偏差を抑制し、合成損失や系統間アイソレーションなどの特性を向上させたマルチポート増幅装置を提供することができる。
【0064】
また、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークにおいてディジタル信号処理するため、周波数偏差、温度変化、経年変化の少ない安定した特性のマルチポート増幅装置を提供することができる。
【0065】
さらに、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークにおける系統間の利得偏差、位相偏差を排除することができるため、マルチポート増幅装置全体に要求される系統間の利得偏差、位相偏差の所要値を増幅器と出力側ハイブリットネットワークに配分でき、マルチポート増幅装置の最適設計を容易化することができる。
【0066】
また、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークがディジタル信号処理されることによって、ケーブルまたはマイクロストリップ線路またはストリップ線路を装置毎に調整する調整工程を削減でき、生産性を向上させるマルチポート増幅装置を提供することができる。また、増幅器と出力側ハイブリッドネットワークに配分された系統間の利得偏差、位相偏差の所要値に対して、ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器を備えることで調整工程を削減でき、生産性を向上させることができる。
【0067】
さらに、本発明によれば、入力側ハイブリッドネットワークおよびディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器が、ディジタル直交ベースバンド信号系で処理するため、従来のアナログRF帯信号系で処理するものに比較して大幅に小型化し、低コスト化ができる。小型化されることによって装置としての設置性を改善したマルチポート増幅装置を提供することができる。特にアレイアンテナを用いた移動体通信用基地局装置において、アンテナ鉄塔に実装する構造の塔頂装置を実現する上で設置性が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成例を示すブロック図である。
【図2】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路の基本構成を示すブロック図である。
【図3】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路を使用した2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態の変形例のディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路の構成を示すブロック図である。
【図5】同ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路を使用した2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成例を示すブロック図である。
【図7】同変換回路の基本構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の変形例の変換回路の基本構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成を示すブロック図である。
【図10】同複素乗算器の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るマルチポート増幅装置の前段に周波数変換器を備える周波数変換器を示すブロック図である。
【図12】同ベースバンド合成器を示すブロック図である。
【図13】従来技術に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合の基本構成を示すブロック図である。
【図14】同RF帯90度ハイブリッドを使用したの2系統のマルチポート増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図15】8系統マルチポート増幅装置の出力における合成損失に対する各系統間の利得標準偏差と位相標準偏差の影響を表したグラフである。
【図16】8系統マルチポート増幅装置の系統間アイソレーションに対する各系統間の利得標準偏差と位相標準偏差の影響を表したグラフである。
【図17】従来技術に係るマルチポート増幅装置の8系統の場合のRF帯利得位相補償回路を備えた基本構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力側ディジタル直交ベースバンドハイブリッドネットワーク
2 ディジタル直交ベースバンド90度ハイブリッド回路
4 ディジタル直交ベースバンド入力型増幅器
5 出力側RF帯ハイブリッドネットワーク
6 RF帯90度ハイブリッド
8 ディジタル直交ベースバンド入力ポート
9 RF帯出力ポート
10 加算器
11 減算器
12 変換回路
13 アナログRF入力型増幅器
14 ディジタル/アナログ変換器
15 フィルタ
16 アナログ直交変調器
17 周波数変換回路
18 複素乗算器
19 周波数変換器
20 数値制御発振器
21 ベースバンド合成器
22 入力側RF帯ハイブリッドネットワーク
23 RF帯入力ポート
24 RF帯利得位相補償回路
Claims (9)
- 複数の入力ポートを有する入力側ハイブリッドネットワークと、
前記入力側ハイブリッドネットワークの出力に接続される複数の増幅器と、
前記増幅器の出力に接続されて複数の出力ポートを有する出力側ハイブリッドネットワークとを具備し、
前記入力側ハイブリッドネットワークは、前記複数の入力ポートからディジタル直交ベースバンド信号を入力し、入力した前記ディジタル直交ベースバンド信号を前記複数の増幅器に均等に分配するマルチポート増幅装置。 - 前記入力側ハイブリッドネットワークは、
2のn乗個の前記入力ポートと、
2の(n−1)乗×n個のハイブリッド回路とを備え、
前記ハイブリッド回路は、ディジタル直交ベースバンド信号を処理するディジタルハイブリッド回路である請求項1に記載のマルチポート増幅装置。 - 前記ディジタルハイブリッド回路は、
入力するディジタル直交ベースバンド信号を加算する加算器と、
ディジタル直交ベースバンド信号を減算する減算器と
を備えるディジタル直交ベースバンドハイブリッド回路である請求項2に記載のマルチポート増幅装置。 - 前記出力側ハイブリッドネットワークは、
2のn乗個の前記出力ポートと、
2の(n−1)乗×n個の出力ハイブリッド回路とを備え、
前記出力ハイブリッド回路は、アナログRF帯信号を処理するアナログハイブリッド回路である請求項1から請求項3のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。 - 前記増幅器は、
前記入力側ハイブリッドネットワークから入力するディジタル直交ベースバンド信号を増幅し、アナログRF帯信号を出力するディジタル直交ベースバンド信号入力型増幅器である請求項1から請求項4のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。 - 前記入力側ハイブリッドネットワークの後段にディジタル直交ベースバンド信号をアナログRF帯信号に変換する変換回路を備え、
前記変換回路は、
前記ディジタル直交ベースバンド信号をアナログ直交ベースバンド信号に変換するディジタル/アナログ変換器と、
前記アナログ直交ベースバンド信号に含まれるサンプリングによる折り返し成分を除去するフィルタと、
折り返し成分を除去された前記アナログ直交ベースバンド信号を直交変調する直交変調器とを含み、
前記増幅器は、前記変換回路から出力される前記アナログRF帯信号を増幅するアナログRF入力型増幅器である請求項1から請求項4のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。 - 前記入力側ハイブリッドネットワークは、
前記ディジタル直交ベースバンド信号の振幅と位相を調整する複素乗算器をさらに備える請求項1から請求項6のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。 - 前記入力側ハイブリッドネットワークの前段にディジタル周波数変換器を備える請求項1から請求項7のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。
- 前記入力側ハイブリッドネットワークの前段に複数の前記ディジタル直交ベースバンド信号を合成するベースバンド合成器を備える請求項1から請求項8のいずれかに記載のマルチポート増幅装置。
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Date | Code | Title | Description |
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