本願の実施形態は、回路信号の誤差値を調整する効率を改善する補正装置及び補正方法を提供する。
本願の実施形態の第1態様は補正装置を提供する。補正装置は、第1調整モジュールと、複数の第2調整モジュールと、補正計算モジュールと、複数の非理想チャネルとを含む。1つの第2調整モジュールが1つの非理想チャネルに配置される。第1調整モジュールは非理想チャネル各々に接続される。補正計算モジュールは第1調整モジュール及び複数の第2調整モジュールに個々に接続される。補正計算モジュールは非理想チャネル各々の出力端に接続される。非理想チャネルは、駆動信号に応答して出力される出力信号が誤差値を有するようなチャネルである。
補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するように構成される。リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される。第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整するように構成される。各々の非理想チャネルにおける第2調整モジュールは、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正するために、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整するように構成される。チャネル信号は、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後に非理想チャネルに入力される信号である。
このように、補正装置によれば、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正し;及び第1調整モジュールが信号を調整した後に、非理想チャネル各々において、第2調整モジュールは、第2調整モジュールが属する非理想チャネルの出力信号の誤差値に関して補足的な補正を実行し、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正する。このようにして、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値が除去される。2つの調整モジュールは、回路信号の誤差値を調整する効率を改善するように互いに協働する。
本願の実施形態の第1態様に関連し、本願の実施形態の第1態様の第1実装では、リファレンス信号は、駆動信号と非理想チャネルの入力信号とを含み、補正計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含み、第1計算ユニットは第1調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは第2調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは非理想チャネルの入力端に更に接続される。第1計算ユニットは、非理想チャネルの出力信号と駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得するように構成される。第2計算ユニットは同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得するように構成される。2つの異なる計算ユニットが、補正計算モジュールに配置され、第1調整パラメータ及び第2調整パラメータを計算するようにそれぞれ構成される。第1計算ユニット及び第2計算ユニットは別々に配置されてもよいし、あるいは同じコンポーネントに配置されてもよく、その結果、補正装置はより多くのレイアウトを有する。
本願の実施形態の第1態様に関連し、本願の実施形態の第1態様の第2実装では、補正装置はHBFアーキテクチャの状況に適用されてもよい。このケースでは、第1調整モジュールはディジタル・プレディストーション・モジュールであり、第2調整モジュールは非線形調整モジュールであり、補正計算モジュールはハイブリッド・ビームフォーミングHBFプレディストーション計算モジュールであり、第1調整パラメータはディジタル・プレディストーション・パラメータであり、第2調整パラメータはアナログ非線形補正パラメータであり、駆動信号はディジタルI/Q複素信号であり、非理想チャネルはアナログ・チャネルであり、チャネル信号は無線周波数信号である。
補正装置は、ディジタル-アナログ変換器と複数の電力増幅器とを更に含む。1つの電力増幅器が1つのアナログ・チャネルに配置される。電力増幅器は非線形調整モジュールの出力端に接続される。ディジタル-アナログ変換器の入力端はディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される。ディジタル-アナログ変換器の出力端は複数の非線形調整モジュールに個々に接続される。アナログ・チャネルの出力信号の誤差値の発生の要因は電力増幅器の非線形性を含む。アナログ・チャネルの出力信号は電力増幅器の出力信号である。HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ・チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとを取得するように構成される。リファレンス信号はディジタルI/Q複素信号に基づいて取得される。リファレンス信号はディジタルI/Q複素信号であってもよく、あるいはディジタルI/Q複素信号及びアナログ・チャネルの入力信号であってもよい。アナログ・チャネルの入力信号はディジタルI/Q複素信号に由来する。
ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数の電力増幅器の非線形性を一律に補償するために、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行するように構成される。非線形調整モジュールは、電力増幅器の非線形性の部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補償されていない部分を補正するために、アナログ非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号に関して非線形調整を実行するように構成される。
このように、補正装置によれば、ディジタル・プレディストーション・モジュールはディジタルI/Q複素信号を調整し、アナログ・チャネル各々の非線形調整モジュールは無線周波数信号を調整し、その結果、複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性を補償することができ、それにより電力増幅器の線形性を実現し、アナログ・チャネルの出力信号の誤差値を削減又は除去する。
本願の実施形態の第1態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第3実装では、HBFプレディストーション計算モジュールは、任意のアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するように更に構成される。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性を一律に補償し、即ち複数の電力増幅器の非線形性の共通部分を補償する。従って、HBFプレディストーション計算モジュールは、何らかのアナログ・チャネルの出力信号を取得することを必要とするのみであり、何らかのアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりHBFプレディストーション計算モジュールにより取得されるディジタル・プレディストーション・パラメータは、複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性を補償するために使用されることが可能である。
本願の実施形態の第1態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第4実装では、リファレンス信号はディジタルI/Q複素信号とアナログ・チャネルの入力信号とを含み、HBFプレディストーション計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含み、第1計算ユニットはディジタル・プレディストーション・モジュールに接続され、第2計算ユニットは非線形調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは各々のアナログ・チャネルの入力端に更に接続される。
第1計算ユニットは、アナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するように構成される。第2計算ユニットは、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するように構成される。
2つの異なる計算ユニットが、HBFプレディストーション計算モジュールに配置され、ディジタル・プレディストーション・パラメータ及びアナログ非線形補正パラメータを計算するようにそれぞれ構成される。第1計算ユニット及び第2計算ユニットは別々に配置されてもよいし、あるいは同じコンポーネントに配置されてもよく、その結果、補正装置はより多くのレイアウトを有する。
本願の実施形態の第1態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第5実装では、補正装置の複数の電力増幅器の出力端とHBFプレディストーション計算モジュールとの間にスイッチ・モジュールが更に配置される。スイッチ・モジュールは複数のアナログ・チャネルのうちの1つの出力信号を時分割方式で選択するように構成され、その結果、HBFプレディストーション計算モジュールはアナログ・チャネルの出力信号を取得する。スイッチ・モジュールを利用する切替ソリューションによれば、複数の電力増幅器の出力信号は時分割方式でフィードバックされ、ハードウェア・チャネル数が削減される場合でも依然として理想的な補正パフォーマンスを達成することができる。
本願の実施形態の第1態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第6実装では、各々のアナログ・チャネルにおいて、補正装置はアナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールを更に含み、アナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールは電力増幅器の入力端に近接し、アナログ利得調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続され、アナログ位相調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。
アナログ利得調整モジュールは、アナログ利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して利得調整を実行するように構成され、その結果、異なるアナログ・チャネルの出力信号の利得は一貫したものになる傾向がある。アナログ位相調整モジュールは、アナログ位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して位相調整を実行するように構成され、その結果、異なるアナログ・チャネルの出力信号の位相は一貫したものになる傾向がある。利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータはHBFプレディストーション計算モジュールに由来する。言い換えれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ・チャネルの出力信号に基づく計算によりアナログ利得調整パラメータ及び/又はアナログ位相調整パラメータを取得するように更に構成される。このように、複数のアナログ・チャネルの利得及び位相が補正され、ビーム方向及びヌル化パフォーマンスが保証されることが可能である。
本願の実施形態の第1態様の第2ないし第6実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第7実装では、補正装置は振幅位相補正モジュールと、複数の送信チャネルと、複数の受信チャネルとを更に含み、送信チャネル及び受信チャネルの各々はアンテナに接続され、送信チャネルはアナログ・チャネルであり、受信チャネルはアンテナ信号を受信するために使用されるアナログ・チャネルであり、振幅位相補正モジュールの一方端はアンテナのポートに接続され、振幅位相補正モジュールの他方端は、信号が複数の送信チャネルに出力されるチャネルに接続され、振幅位相補正モジュールの他方端は、信号が複数の受信チャネルから取得されるチャネルに更に接続される。振幅位相補正モジュールは、複数の送信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを実行し、複数の受信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを実行するように構成される。このように、振幅位相補正モジュールが送信チャネル及び受信チャネルで振幅位相キャリブレーションを完了した後に、より良いパフォーマンスを得るために、上記のHBFキャリブレーションが実行される。
本願の実施形態の第1態様の第7実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第8実装では、送信チャネルと受信チャネルとはチップの形式でパッケージされ、チップは送信チャネルと受信チャネルとを含み、振幅位相補正モジュールは、切替スイッチを利用することにより送信チャネルと受信チャネルとに個々に接続される。切替スイッチは振幅位相補正モジュールを送信チャネルと受信チャネルとに時分割方式で接続するように構成され、その結果、振幅位相補正モジュールは、時分割方式で、複数の送信チャネルに関する振幅位相キャリブレーションを実行し、複数の受信チャネルに関する振幅位相キャリブレーションを実行する。このように、振幅位相キャリブレーションが送信チャネルと受信チャネルとで実行される場合に使用される同じコンポーネントが共有されることが可能であり、それにより補正装置のコンポーネントを減らし、コストを減らす。
本願の実施形態の第1態様の第7実装に関連し、本願の実施形態の第1態様の第9実装では、送信チャネルと受信チャネルとはチップの形式でパッケージされ、複数のチップが存在し、各々のチップは複数の送信チャネル又は複数の受信チャネルを含む。振幅位相補正モジュールは、チップ内の複数の送信チャネル又は複数の受信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを先ず実行し、次いで別のチップ内の送信チャネル又は受信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを実行するように構成される。こうして、振幅位相キャリブレーションの効率が改善され得る。
本願の実施形態の第2態様は補正方法を提供する。方法は補正装置の補正計算モジュールに適用される。補正装置は、第1調整モジュールと、複数の第2調整モジュールと、補正計算モジュールと、複数の非理想チャネルとを含む。1つの第2調整モジュールが1つの非理想チャネルに配置される。第1調整モジュールは非理想チャネル各々に接続される。補正計算モジュールは第1調整モジュール及び複数の第2調整モジュールに個々に接続される。補正計算モジュールは非理想チャネル各々の出力端に接続される。非理想チャネルは、駆動信号に応答して出力される出力信号が誤差値を有するようなチャネルである。
この実装における方法は:
補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とを取得するステップであって、リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される、ステップ;次いで、補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するステップ;補正計算モジュールが、第1調整パラメータを第1調整モジュールへ出力し、その結果、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整する、ステップ;及び補正計算モジュールが、非理想チャネル各々の第2調整モジュールへ第2調整パラメータを出力し、その結果、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正するために、非理想チャネル各々の第2調整モジュールは、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整するステップであって、チャネル信号は、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後に非理想チャネルに入力される信号である、ステップを含む。
このように、この実装の補正方法によれば、第1調整モジュールは複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正し;第1調整モジュールが非理想チャネル各々で信号を調整した後に、第2調整モジュールは、第2調整モジュールが属する非理想チャネルの出力信号の誤差値に関して補足的な補正を実行し、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正する。このようにして、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値が除去される。2つの調整モジュールは、回路信号の誤差値を調整する効率を改善するように互いに協働する。
本願の実施形態の第2態様に関連し、本願の実施形態の第2態様の第1実装では、リファレンス信号は駆動信号と非理想チャネルの入力信号とを含み、補正計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含み、第1計算ユニットは第1調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは第2調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは非理想チャネルの入力端に更に接続される。補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するステップが:第1計算ユニットが、非理想チャネルの出力信号と駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得するステップ;及び第2計算ユニットが、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得するステップを含む。2つの異なる計算ユニットが、補正計算モジュールに配置され、第1調整パラメータ及び第2調整パラメータを計算するようにそれぞれ構成される。第1計算ユニット及び第2計算ユニットは別々に配置されてもよいし、あるいは同じコンポーネントに配置されてもよく、その結果、補正装置はより多くのレイアウトを有する。
本願の実施形態の第2態様に関連し、本願の実施形態の第2態様の第2実装では、本願のこの実施形態における補正方法は、HBFアーキテクチャの状況に適用されてもよい。このケースでは、第1調整モジュールはディジタル・プレディストーション・モジュールであり、第2調整モジュールは非線形調整モジュールであり、補正計算モジュールはハイブリッド・ビームフォーミングHBFプレディストーション計算モジュールであり、第1調整パラメータはディジタル・プレディストーション・パラメータであり、第2調整パラメータはアナログ非線形補正パラメータであり、駆動信号はディジタルI/Q複素信号であり、非理想チャネルはアナログ・チャネルであり、チャネル信号は無線周波数信号である。
補正装置は、ディジタル-アナログ変換器と複数の電力増幅器とを更に含む。1つの電力増幅器が1つのアナログ・チャネルに配置される。電力増幅器は非線形調整モジュールの出力端に接続される。ディジタル-アナログ変換器の入力端はディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される。ディジタル-アナログ変換器の出力端は複数の非線形調整モジュールに個々に接続される。アナログ・チャネルの出力信号の誤差値の発生の要因は電力増幅器の非線形性を含む。アナログ・チャネルの出力信号は電力増幅器の出力信号である。
補正計算モジュールが、第1調整パラメータを第1調整モジュールへ出力するステップは:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールへ出力し、その結果、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数の電力増幅器の非線形性を一律に補償するために、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行するステップを含む。
補正計算モジュールが、非理想チャネル各々の第2調整モジュールへ第2調整パラメータを出力するステップは:HBFプレディストーション計算モジュールが、各々のアナログ・チャネルに関する非線形調整モジュールへアナログ非線形補正パラメータを出力し、その結果、非線形調整モジュールは、電力増幅器の非線形性の部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補正されていない部分を補償するために、アナログ非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号に関して非線形調整を実行するステップを含む。
このように、補正方法によれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールへ出力するために、計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得する。補正方法によれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ非線形補正パラメータを非線形調整モジュールへ出力するために、計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得する。ディジタル・プレディストーション・モジュールはディジタルI/Q複素信号を調整し、各々のアナログ・チャネルの非線形調整モジュールは無線周波数信号を調整し、その結果、複数のアナログ・チャネルの電力増幅器の非線形性を補償することが可能であり、それにより電力増幅器の線形性を実現し、アナログ・チャネルの出力信号の誤差値を削減又は除去する。
本願の実施形態の第2態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第2態様の第3実装では、補正計算モジュールが非理想チャネルの出力信号を取得するステップは:HBFプレディストーション計算モジュールが、任意のアナログ・チャネルの出力信号を出力するステップを含む。
補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータを取得するステップは:HBFプレディストーション計算モジュールが、任意のアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するステップを含む。HBFプレディストーション計算モジュールは任意のアナログ・チャネルの出力信号を必要とするだけである。任意のアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりHBFプレディストーション計算モジュールにより取得されるディジタル・プレディストーション・パラメータは、複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形を補償するために使用されることが可能である。
本願の実施形態の第2態様の第2実装に関連し、本願の実施形態の第2態様の第4実装では、リファレンス信号はディジタルI/Q複素信号とアナログ・チャネルの入力信号とを含み、HBFプレディストーション計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含み、第1計算ユニットはディジタル・プレディストーション・モジュールに接続され、第2計算ユニットは非線形調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは各々のアナログ・チャネルの入力端に更に接続される。
補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とを取得するステップは:第1計算ユニットが、アナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とを取得するステップ;及び第2計算ユニットが、アナログ・チャネルの出力信号とアナログ・チャネルの入力信号とを取得するステップを含む。
補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するステップは:第1計算ユニットが、アナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するステップ;及び第2計算ユニットが、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するステップを含む。
2つの異なる計算ユニットが、HBFプレディストーション計算モジュールに配置され、ディジタル・プレディストーション・パラメータ及びアナログ非線形補正パラメータを計算するようにそれぞれ構成される。第1計算ユニット及び第2計算ユニットは別々に配置されてもよいし、あるいは同じコンポーネントに配置されてもよく、その結果、補正装置はより多くのレイアウトを有する。
本願の実施形態の第2態様の第4実装に関連し、本願の実施形態の第2態様の第5実装では、第2計算ユニットが、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するステップは:第2計算ユニットが、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により差分値を取得するステップであって、差分値はアナログ・チャネルにおける電力増幅器の出力信号とプリセット出力信号との間の差分である、ステップ;及び第2計算ユニットが、カスケード接続されたPDモデルを差分値に適用することによる計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するステップを含む。このように、第2計算ユニットはアナログ非線形補正パラメータを計算することができる。
本願の実施形態の第2態様の第2ないし第4実装のうちの任意の1つに関連し、本願の実施形態の第2態様の第6実装では、各々のアナログ・チャネルにおいて、補正装置はアナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールを更に含み、アナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールは電力増幅器の入力端に近接し、アナログ利得調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続され、アナログ位相調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。
この実装における方法は:
HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ・チャネルの出力信号に基づく計算によりアナログ利得調整パラメータ及び/又はアナログ位相調整パラメータを取得するステップ;次いで、HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ利得調整パラメータをアナログ利得調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ利得調整モジュールは、アナログ利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して利得調整を実行するステップ;及びHBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ位相調整パラメータをアナログ位相調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ位相調整モジュールは、アナログ位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して位相調整を実行するステップを更に含む。
計算によりアナログ利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータを取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータをアナログ利得調整モジュール及びアナログ位相調整モジュールへそれぞれ出力する。このように、複数のアナログ・チャネルの利得及び位相が補正され、ビーム方向及びヌル化パフォーマンスが保証されることが可能である。
本願の別の態様はコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。コンピュータ読み取り可能な媒体は命令を格納する。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは上記の態様の方法を実行するように動作させられる。
本願の別の態様は命令を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。コンピュータ・プログラム・プロダクトがコンピュータで実行されると、コンピュータは上記の態様の方法を実行するように動作させられる。
本願の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、補正装置は、第1調整モジュールと、複数の第2調整モジュールと、補正計算モジュールと、複数の非理想チャネルとを含む。1つの第2調整モジュールが1つの非理想チャネルに配置される。第1調整モジュールは非理想チャネル各々に接続される。補正計算モジュールは第1調整モジュール及び複数の第2調整モジュールに個々に接続される。補正計算モジュールは非理想チャネル各々の出力端に接続される。非理想チャネルは、駆動信号に応答して出力される出力信号が誤差値を有するようなチャネルである。補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するように構成される。リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される。第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整するように構成される。各々の非理想チャネルにおける第2調整モジュールは、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正するために、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整するように構成され、チャネル信号は、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後に非理想チャネルに入力される信号である。
このように、複数の非理想チャネルの信号が出力される前に、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を事前に一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整し、その結果、第1調整モジュールは、第1調整モジュールに接続される複数の非理想チャネルの出力信号に関して最初に誤差調整を実行する。しかしながら、非理想チャネルは様々である可能性があり、様々な非理想チャネルの出力信号の誤差値は様々であり得る。第1調整モジュールは複数の非理想チャネルについて誤差値を一律に調整することのみ可能であり、即ち複数の非理想チャネルに対する誤差値に関して同じ補正を実行する。従って、複数の非理想チャネルに対する誤差値の間の相違は、第1調整モジュールによっては補正できない。従って、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後であって、非理想チャネルに入力されるチャネル信号を取得した後に、各々の非理想チャネルに関する第2調整モジュールが、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整し、誤差値に属する部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を事前に補正する。このように、複数の非理想チャネルに対する誤差値の間の相違を除去するために、非理想チャネル各々の出力信号の誤差値に関して、補足的な補正が実行される。第1調整パラメータ及び第2調整パラメータは、非理想チャネルの出力信号と駆動信号に基づいて取得されるリファレンス信号とに基づく計算により補正計算モジュールにより取得される。第1調整モジュール及び第2調整モジュールはそれぞれ補正計算モジュールから第1調整パラメータ及び第2調整パラメータを取得する。このように、この実装の実施形態における補正装置及び補正方法によれば、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正する。更に、第1調整モジュールが信号を調整した後に、非理想チャネル各々において、第2調整モジュールは、第2調整モジュールが属する非理想チャネルの出力信号の誤差値に関して補足的な補正を実行し、誤差値についての部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正する。このようにして、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値は除去される。2つの調整モジュールは、回路信号の誤差値を調整する効率を改善するように互いに協働する。
本願の実施形態は回路信号の誤差値を調整する効率を改善する補正装置及び補正方法を提供する。
本願のこの明細書、特許請求の範囲、及び添付図面において、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等(存在する場合)の用語は、同様な対象同士を区別するように意図されているが、必ずしも特定の順番又は順序を示してはいない。そのような仕方で言及されるデータは適切な場合には可換であり、本願で説明される実施形態は本願で図示又は説明されている順序以外の順序で実装され得ることが理解されるべきである。更に、用語「含む」、「包含する」及び他の何らかの派生語は非排他的な包含をカバーするように意図されている。例えば、ステップ又はユニットのリストを含むプロセス、方法、システム、プロダクト、又はデバイスは、必ずしも明示的に列挙されたステップやユニットに限定されず、プロセス、方法、プロダクト、又はデバイスにとって本来的な、あるいは明示的に列挙されていない他のステップやユニットを含んでもよい。
本願の実施形態で提供される補正装置及び補正方法は、複数のアーキテクチャに適用されてもよい。これらのアーキテクチャの特徴は、複数の非理想チャネルが単独の信号チャネルによって駆動されることである。具体的には、アーキテクチャはそれぞれ駆動信号を送信するための1つのチャネルを含み、そのチャネルは複数の非理想チャネルに接続される。非理想チャネルは、駆動信号に応答して得られる出力信号が誤差値を有するようなチャネルである。動作周波数バンド内での非理想チャネルの実際のハードウェア回路からの応答は、期待される固定値ではなく、ノイズ要因により影響されている。非理想チャネルが駆動信号を取得した後に、非理想チャネルの出力信号は誤差値を有する。ノイズ要因は、周波数(周波数応答)、時間(時間変化、及びメモリ効果)、温度(温度変化)、及び入力信号のサイズ(非線形)等の1つ以上の要因であるが、これらに限定されない。非理想チャネルは、非線形性のチャネル、IQ(直交複素信号)不均衡、チャネル・フラットネス、チャネル遅延誤差、チャネル群遅延リップル等を含むが、これらに限定されない。
上記の特徴を有する全てのアーキテクチャは、本願の実施形態で提供される補正装置及び補正方法を利用することができる。具体的には、アーキテクチャは、駆動信号を送信するチャネルと複数のアナログ・チャネルとに分解され、調整は、駆動信号を送信するチャネルと複数の非理想チャネルとに関して別々に実行され、その結果、非理想チャネルの出力信号の誤差値が補正される。そのようなモデル分解方法は、リソース消費を減らし、補正パフォーマンスを改善することができる。更に、非理想チャネルの補正パーツは、補正パフォーマンスを更に改善するように、非理想チャネル間の相違を減らすことができる。
本願の実施形態は非理想チャネルに対する補正に焦点を当てている。非理想チャネルに対する幾つかの特定のシナリオは次のように説明される:
(1)非線形性:非線形性は半導体の固有の特性に起因して導入される。例えば、ダイオード又は三極真空管のボルト-アンペア応答曲線は直線ではなく、非線形動作インターバルに入った後に出力信号/入力信号は一定値を維持しないことを反映する。
(2)IQ不均衡:I信号及びQ信号の振幅、又はI信号及びQ信号の位相が互いに整合していないことが原因で、IQ不均衡が生じる。
(3)チャネル・フラットネス:チャネル・フラットネスの原因は、ワイドバンド・レンジでインピーダンスが理想的に50オームであることを保証できないことである。カスケード接続された部分のエコーの重ね合わせは、周波数応答のリップルを引き起こす。更に、アクティブ増幅器等の固有の動作帯域幅(半導体技術)に起因して、利得は周波数が増加するにつれて減少する。
(4)遅延誤差:遅延誤差は、コンポーネント、ケーブル・レイアウト等に起因して主に導入される。様々なチャネルは様々なコンポーネント、フィルタ、及びマイクロストリップ・レイアウトを通過する。信号ケーブル・レイアウト長の相違は、遅延の相違に直接的に対応する。群遅延リップルは、チャネルの位相歪の程度を示すために使用される。主な要因はチャネル内のフィルタであり、他の要因は、コンポーネント及びレイアウトのステージのマッチングに起因して生じるエコー重畳劣化を含む。
本願の実施形態で提供される補正装置及び補正方法を直感的に説明するため、以下、非線形性を有する非理想チャネルのシナリオを利用することにより、詳細な説明を与える。非線形性を有する非理想チャネルは、例えば、アナログ・チャネルであってもよい。以下の説明の理解を容易にするため、非線形性を有する非理想チャネルのシナリオの1つ、即ちHBF(Hybrid Beamforming,ハイブリッド・ビームフォーミング)アーキテクチャが本願で先ず説明される。
HBFアーキテクチャの構造については、図1を参照されたい。HBFアーキテクチャは、ディジタル・チャネルと、ディジタル・チャネルに接続される複数のアナログ・チャネルとを含む。アナログ・チャネルの出力端はアンテナに接続される。アナログ・チャネルは電力増幅器を含む。電力増幅器は非線形性を有するので、アナログ・チャネルは非線形性を有する。言い換えれば、アナログ・チャネルが駆動信号を得た後に、アナログ・チャネルの出力応答は非線形性を有する。
電力増幅器の非線形性は:電力増幅器の入力電力が増えるにつれて非線形歪が徐々に生じること、及び別の新たな周波数コンポーネントが生じ、信号品質に影響を及ぼし、他のデバイスに干渉することを示す。
電力増幅器の線形化は、様々な手段を利用することにより無線周波数パフォーマンスに関する非線形性の影響を緩和し、可能な限り大きい相対的に高い電力効率を維持することを意味する。
本願の実施形態におけるアナログ・チャネルで得られる信号は無線周波数信号である。従って、アナログ・チャネルに配置される電力増幅器は無線周波数電力増幅器であり得る。
従来のチャネル線形化技術は全て単独のチャネルに適用される。主な方法は、電力バック・オフ技術、アナログ・プレディストーション技術、PDP(Digital Pre-Distortion,ディジタル・プレディストーション)技術を含む。ディジタル・プレディストーション技術は、デバイス効率を大幅に改善できるだけでなく、相対的に良い信号品質をも保証することができる。従ってディジタル・プレディストーション技術は最も広く適用されている。
無線技術が進化するにつれて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output,複数入力複数出力)技術の適用に起因して、マルチ・チャネル・アーキテクチャに対する線形化技術が必要とされる。第3/第4移動通信システムにおいてMIMOはDBF(Digital Beamforming,ディジタル・ビームフォーミング)アーキテクチャを広く利用している。従って、マルチ・チャネル・アーキテクチャの線形化は、シングル・チャネル・アーキテクチャの単純な拡張により実装されることが可能である。
5G(第5世代移動ネットワーク、第5世代移動通信システム)の更なる進化、及びミリ波や大規模アンテナ・アレイの適用とともに、DBFアーキテクチャが依然として使用されるならば、送信機の送信チャネル数は急激に増加し、デバイス・コスト/電力消費は耐えられなくなる。送信機の実装コストを減らすために、送信チャネル数は削減されることを必要とし、HBFアーキテクチャは5Gの研究対象となる。ハイブリッド・ビームフォーミング・アーキテクチャにおける電力増幅器の出力線形性及び効率を改善するために、このアーキテクチャにおける複数の電力増幅器の歪を補正する方法に関する研究が必要である。これは、5Gシステムにおける送信機の技術的進歩に対して多大な適用性及び研究価値がある。
DBFアーキテクチャの概略図については図2を参照されたい。HBFアーキテクチャの概略図については図1を参照されたい。
HBFアーキテクチャの詳細な図については図3を参照されたい。図3に示されるように、HBFアーキテクチャのデバイスにおけるビームフォーミング及びMIMOは、2レベルの重み付けにより実装される。第1レベルはディジタル重み付けであり、第2レベルはアナログ重み付け又はディジタル重み付けであり得る。NRF数≦PA数≦アンテナ数であり、NRFは小信号アナログ・チャネルである。
HBFアーキテクチャのデバイスは以下のネットワーク・エレメント:
アナログ信号フィルタリング、アナログ信号増幅、アナログ信号及びディジタル信号間の相互変換、受信信号及び送信信号のディジタル処理等を完了する無線通信デバイス;
高電力無線周波数信号を増幅及び出力するように構成されるPA(Power Amplifier,電力増幅器);及び
マルチ・チャネル・ディジタル・ベースバンドI/Q信号を生成するように構成されるディジタル信号送信機を含む。
以下の内容を参照しながら、以下、本願の実施形態における補正装置及び補正方法を詳細に説明する。
図4は本願の実施形態による補正装置の概略構造図である。図4に示されるように、補正装置は、第1調整モジュールと、複数の第2調整モジュールと、補正計算モジュールと、複数の非理想チャネルとを含む。1つの第2調整モジュールが1つの非理想チャネルに配置される。第1調整モジュールは非理想チャネル各々に接続される。補正計算モジュールは第1調整モジュール及び複数の第2調整モジュールに個々に接続される。補正計算モジュールは非理想チャネル各々の出力端に接続される。非理想チャネルは、駆動信号に応答して出力される出力信号が誤差値を有するようなチャネルである。例えば周辺温度及び回路ケーブル・レイアウト長などの、非理想チャネルの出力信号の誤差値を生じさせる複数の要因が存在する。詳細については、非理想チャネルの幾つかの具体的な状況の上記の説明を参照されたい。
補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するように構成される。リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される。リファレンス信号は駆動信号又は駆動信号からの信号であってもよい。第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整するように構成される。各々の非理想チャネルにおける第2調整モジュールは、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正するために、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整するように構成される。チャネル信号は、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後に非理想チャネルに入力される信号である。補正装置において、信号は、先ず第1調整モジュールを通過し、第1調整モジュールにより調整され;次いで、様々な非理想チャネルに個々に入り、非理想チャネルに関する第2調整モジュールにより調整され、その結果、出力信号は第1調整モジュールと第2調整モジュールとにより調整された信号に応じて非理想チャネルから出力される。
第1調整モジュールが配置されるチャネルは駆動チャネルと言及されてもよい。駆動チャネルは、複数の非理想チャネルに接続され、複数の非理想チャネルにチャネル信号を提供する。
補正装置における補正計算モジュールは補正方法を更に実行する。図5に示されるように、方法は以下のステップを含む。
ステップ501:補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とを取得する。
リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される。リファレンス信号は、例えばディジタル・プレディストーション・モジュールにより取得される駆動信号であってもよく、あるいはリファレンス信号は駆動信号及び非理想チャネルの入力信号を含む。非理想チャネルの入力信号は第1調整モジュールにより調整される駆動信号に由来する。
ステップ502:補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により、第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得する。
非理想チャネルの出力信号は、非理想チャネルの実際の出力信号である。リファレンス信号は、非理想チャネルに未だ入力されていない信号に属する。非理想チャネルにおいて、出力信号はリファレンス信号に基づいて取得され、その結果、非理想チャネルのプリセット出力信号がリファレンス信号に基づいて取得され得る。プリセット出力信号は、非理想チャネルで誤差値を有しない出力信号である。従って、第1調整パラメータ及び第2調整パラメータという補正パラメータは、プリセット出力信号及び非理想チャネルの実際の出力信号に基づいて取得される。
本願の幾つかの実施形態において、リファレンス信号は駆動信号を含む。補正計算は、非理想チャネルの出力信号と第1調整モジュールにより取得される駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得し得る。
本願の幾つかの実施形態において、リファレンス信号は駆動信号と非理想チャネルの入力信号とを含む。補正計算は、非理想チャネルの出力信号と第1調整モジュールにより取得される駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得することができ、補正計算モジュールは、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得することができる。
異なる非理想チャネルは異なる第2調整パラメータを有し得ることが理解され得る。第1調整モジュールは複数の非理想チャネルに接続され、第1調整モジュールは、駆動信号を調整することにより、複数の非理想チャネルのうちの同じ誤差値を調整し、第1調整モジュールにより実行される調整の後に、第2調整モジュールは、第2調整モジュールが属する非理想チャネルの誤差値を更に調整する。従って、補正計算モジュールは、様々な第2調整パラメータを様々な非理想チャネルへ出力することができる。具体的には、補正計算は、様々な非理想チャネルのパラメータ(例えば、出力信号又は入力信号)に基づく計算により様々な第2調整パラメータを取得し、第2調整パラメータを、対応する非理想チャネルへ出力する必要がある。
ステップ503:補正計算モジュールは第1調整パラメータを第1調整モジュールへ出力する。
補正計算モジュールは第1調整パラメータを第1調整モジュールへ出力し、その結果、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整する。
ステップ504:補正計算モジュールは、第2調整パラメータを、各々の非理想チャネルの第2調整モジュールへ出力する。
補正計算モジュールは、第2調整パラメータを、各々の非理想チャネルの第2調整モジュールへ出力し、その結果、各々の非理想チャネルの第2調整モジュールは、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整し、誤差値のうちの部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正する。チャネル信号は、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後に非理想チャネルに入力される信号である。
このように、複数の非理想チャネルの信号が出力される前に、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を事前に一律に補正するために、第1調整パラメータに基づいて駆動信号を調整し、その結果、第1調整モジュールは、第1調整モジュールに接続される複数の非理想チャネルの出力信号に関して最初に誤差調整を実行する。しかしながら、非理想チャネルは様々である可能性があり、様々な非理想チャネルの出力信号の誤差値は様々であり得る。第1調整モジュールは複数の非理想チャネルについて誤差値を一律に調整することのみ可能であり、即ち複数の非理想チャネルに対する誤差値に関して同じ補正を実行する。従って、複数の非理想チャネルに対する誤差値の間の相違は、第1調整モジュールによっては補正できない。従って、第1調整モジュールが駆動信号を調整した後であって、非理想チャネルに入力されるチャネル信号を取得した後に、各々の非理想チャネルに関する第2調整モジュールが、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整し、誤差値に属する部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を事前に補正する。このように、複数の非理想チャネルに対する誤差値の間の相違を除去するために、非理想チャネル各々の出力信号の誤差値に関して、補足的な補正が実行される。第1調整パラメータ及び第2調整パラメータは、非理想チャネルの出力信号と駆動信号に基づいて取得されるリファレンス信号とに基づく計算により補正計算モジュールにより取得される。第1調整モジュール及び第2調整モジュールはそれぞれ補正計算モジュールから第1調整パラメータ及び第2調整パラメータを取得する。このように、この実装の実施形態における補正装置及び補正方法によれば、第1調整モジュールは、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値を一律に補正する。更に、第1調整モジュールが信号を調整した後に、非理想チャネル各々において、第2調整モジュールは、第2調整モジュールが属する非理想チャネルの出力信号の誤差値に関して補足的な補正を実行し、誤差値についての部分であって第1調整モジュールによって補正されていない部分を補正する。このようにして、複数の非理想チャネルの出力信号の誤差値は除去される。2つの調整モジュールは、回路信号の誤差値を調整する効率を改善するように互いに協働する。
第1調整モジュール及び第2調整モジュールにより実行される信号調整は、事前調整に属する。言い換えれば、非理想チャネルの信号が出力される前に、補正装置の信号が調整され、その結果、誤差値が減少した信号が、調整された信号に基づいて非理想チャネルで出力される。例えば、第1調整モジュール及び第2調整モジュールにより事前に調整された信号に基づいて、非理想チャネルの出力応答が作成されない場合、非理想チャネルの出力信号の誤差値は、ノイズ要因により影響を受ける場合に、プリセット値Xの増加である。しかしながら、本願のこの実施形態で提供される補正装置が使用される場合、補正装置の信号は、第1調整モジュールと第2調整モジュールとにより事前に調整される。このケースにおいて、非理想チャネルがノイズ要因により影響されない場合、事前に調整された信号に基づく非理想チャネルの出力信号の誤差値は、プリセット値Xの減少である。従って、第1調整モジュール及び第2調整モジュールの事前調整作業は、出力結果に関するノイズ要因の影響を軽減することができる。第1調整モジュール及び第2調整モジュールにより事前に調整される信号に基づく非理想チャネルの出力信号の誤差値は、誤差値を削減又は除去するように、ノイズ要因の影響において中和される。
信号を事前に調整するために、第1調整モジュールは第1調整パラメータを取得し、取得した駆動信号を第1調整パラメータに基づいて調整することを要する。第1調整モジュールは第1調整パラメータを補正計算モジュールから取得することを要する。補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得する。リファレンス信号は駆動信号に基づいて取得される。このケースでは、リファレンス信号は第1調整モジュールにより取得される駆動信号であってもよい。
第2調整モジュールは、第2調整パラメータを取得し、第2調整パラメータに基づいてチャネル信号を調整することを要する。第2調整モジュールは、補正計算モジュールから第2調整パラメータを取得することを要する。補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得することができる。このケースでは、幾つかの実施形態において、リファレンス信号は第1調整モジュールにより取得される駆動信号である。幾つかの実施形態において、リファレンス信号は非理想チャネルの入力信号であり、非理想チャネルの入力信号は第1調整モジュールにより調整される駆動信号に由来する。
具体的には、補正計算モジュールは、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とを分析し、非理想チャネルの出力信号が誤差値を有するか否か、及び誤差値を調整する仕方を決定し、第1及び第2調整パラメータを利用することにより、誤差値を調整することに関する情報を指定し、第1調整パラメータを第1調整モジュールへ出力し、第2調整パラメータを第2調整モジュールへ出力する。2つの調整モジュールは信号を調整し、非理想チャネルの出力信号の誤差値を正確に補正することができる。
補正計算モジュールは複数の方法、例えば統合方式、又は分離方式で具体的に実装される。統合される方法では、補正計算モジュールは同じモジュールにおける計算により第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得することができる。例えば、補正計算モジュールはチップである。分離方式では、補正計算モジュールは2つの計算ユニットを含み得る。一方の計算ユニットは第1調整パラメータを計算するように構成され、他方の計算ユニットは第2調整パラメータを計算するように構成される。
分離方式で実装される補正計算モジュールのソリューションについては図6を参照されたい。詳細は以下のとおりである:
このケースでは、リファレンス信号は駆動信号と非理想チャネルの入力信号とを含む。補正計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含む。第1計算ユニットは第1調整モジュールに接続される。第2計算ユニットは第2調整モジュールに接続され、第2計算ユニットは非理想チャネルの入力端に更に接続されている。
第1計算ユニットは、非理想チャネルの出力信号と駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得するように構成される。第2計算ユニットは、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得するように構成される。
第1計算ユニット及び第2計算ユニットは互いに独立であってもよく、ラインで接続されず、あるいは第1計算ユニット及び第2計算ユニットは互いに接続されてデータを交換し、第1調整パラメータ及び第2調整パラメータをより正確に計算するために互いに協力し得ることが理解され得る。
図6は1つの非理想チャネルのみを示している。別の非理想チャネルのケースについては、図4に示される非理想チャネルのケースを参照されたい。即ち、各々の非理想チャネルに関する第2調整モジュールは、第2計算ユニットに接続される。幾つかの実施形態において、1つの第2計算ユニットが存在してもよく、第2計算ユニットは複数の第2調整モジュールに接続され、複数の非理想チャネルの入力端及び出力端に接続されてもよい。第2計算ユニットは、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得し;次いで、非理想チャネルの信号に基づいて取得された第2調整パラメータを、非理想チャネルに関する第2調整モジュールへ出力する。幾つかの実施形態において、補正計算モジュールは複数の第2計算ユニットを含むことができる。具体的には、1つの第2計算ユニットが、各々の非理想チャネルに関する第2調整モジュールに対して構成される。1つの非理想チャネルが具体例として使用される。ターゲットの第2計算ユニットは、ターゲットの非理想チャネルの入力端及び出力端に接続される。ターゲットの第2計算ユニットは、ターゲットの非理想チャネルに関するターゲットの第2調整モジュールに更に接続される。ターゲットの第2計算ユニットは、ターゲットの非理想チャネルの入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得し、次いで第2調整パラメータをターゲットの第2調整モジュールへ出力し、その結果、第2調整モジュールは、第2調整パラメータに基づいてターゲットの非理想チャネルに関する誤差値を調整する。
本願の幾つかの実施形態において、第2計算ユニットは非理想チャネルの入力端に接続されなくてもよい。このケースでは、第2計算ユニットは第1計算ユニットと協調し、駆動信号とターゲットの非理想チャネルの出力信号とに基づく計算によりターゲットの非理想チャネルに適用可能な第2調整パラメータを取得する。例えば、第2計算は、駆動信号に基づく計算によりターゲットの非理想チャネルのプリセット出力信号を取得し;調整されることを要する値を得るために非理想チャネルの実際の出力信号とプリセット出力信号とを比較し;次いで、駆動信号に対する第1計算ユニットの補正パラメータ、例えば第1調整パラメータを取得し;調整されることを要する値と補正パラメータとに基づく計算により第2調整パラメータを取得する。
本願の幾つかの実施形態において、第1計算ユニットと第2計算ユニットとが同じコンポーネント上で統合される場合、上記の説明に関し、補正計算モジュールは、各々の非理想チャネルの入力端に接続されてもよいし、あるいは入力端に接続されなくてもよい。
相応して、図5に示される実施形態の補正方法において、補正計算モジュールが、非理想チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算により第1調整パラメータと第2調整パラメータとを取得するステップは:
第1計算ユニットが、非理想チャネルの出力信号と駆動信号とに基づく計算により第1調整パラメータを取得するステップ;及び第2計算ユニットが、同じ非理想チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により第2調整パラメータを取得するステップを含む。
分離方式で配置される補正装置は、本願の実施形態で提供される補正装置及び補正方法を、実装に対して更に柔軟にすることができ、回路の製造を促進することができる。
本願の実施形態における補正装置及び補正方法は複数のシナリオ、例えば非線形性、IQ不均衡、チャネル・フラットネス、チャネル遅延誤差、チャネル群遅延リップル等の上記のシナリオに適用されることが可能である。
本願のこの実施形態における補正装置は基地局及びWi-Fi(WIreless-Fidelity,ワイヤレス・フィデリティ)ルータ等のデバイスに適用されてもよいことが、理解され得る。
図4に示される実施形態の補正装置はHBFアーキテクチャに適用されてもよい。本願の実施形態における補正装置及び補正方法は、電力増幅器の出力線形性及び効率を改善するためにHBFアーキテクチャで使用される。
HBFアーキテクチャにおいて、本願の実施形態で補正装置及び補正方法は以下の要点を有する:
(1)補正装置及び補正方法は、HBFアーキテクチャの電力増幅器プレディストーションに適用可能であり、ディジタル送信チャネル数がPA数及びアンテナ・チャネル数よりかなり少ないアーキテクチャをサポートすることができる。
(2)1つの補正チャネルが複数のPAの線形性をサポートする機能が実装されることが可能である。更に、パフォーマンスは他のソリューションよりも著しく高い。
(3)システム・アーキテクチャ/回路ソリューション設計は、複数の電力増幅器の間の一貫性を保証する。
(4)送信チャネル及び受信チャネルの振幅位相の一貫性がキャリブレーションにより保証されることが可能であり、それによりHBFビーム方向及びヌル化(nulling)パフォーマンスを保証する。
詳細については以下の説明を参照されたい。
図4に示される補正装置がHBFアーキテクチャに適用される場合、第1調整モジュールはディジタル・プレディストーション・モジュールであり、第2調整モジュールは非線形調整モジュールであり、補正計算モジュールはハイブリッド・ビームフォーミングHBFプレディストーション計算モジュールであり、第1調整パラメータはディジタル・プレディストーション・パラメータであり、第2調整パラメータはアナログ非線形補正パラメータであり、駆動信号はディジタルI/Q複素信号であり、非理想チャネルはアナログ・チャネルであり、チャネル信号は無線周波数信号である。
図7A及び図7Bに示されるように、補正装置はディジタル・チャネルと複数のアナログ・チャネルとを含む。ディジタル・チャネルは複数のアナログ・チャネルに個々に接続される。補正装置は補正チャネルを更に含む。補正チャネルはアナログ・チャネルの出力信号を取得することができる。
ディジタル利得調整モジュールと、ディジタル位相調整モジュールと、ディジタル・プレディストーション・モジュールと、ディジタル-アナログ変換器と、アップコンバータとはディジタル・チャネル上で順に接続されている。ディジタル・チャネルの入力端は、ディジタル信号送信機に接続され、ディジタル・チャネルの出力端は複数のアナログ・チャネルに接続される。ディジタル-アナログ変換器の入力端はディジタル・プレディストーション・モジュールに接続され、ディジタル-アナログ変換器の出力端は複数の非線形調整モジュールに個々に接続される。本願のこの実施形態において、ディジタル-アナログ変換器は、アップコンバータを利用することにより、アナログ・チャネルの複数の非線形調整モジュールに接続される。
ディジタル利得調整モジュールの場所、及びディジタル位相調整モジュールの場所は、ディジタル・チャネル上で変更されてもよいことが理解され得る。
ディジタル信号送信機は、ディジタルI(同相,in-phase)/Q(直交,quadrature)複素信号を生成するように構成される。
ディジタル利得調整モジュールは、ディジタル・チャネルにおけるディジタルI/Q複素信号の利得を調整するように構成される。
ディジタル位相調整モジュールは、ディジタル・チャネルにおけるディジタルI/Q複素信号の位相を調整するように構成される。
ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行し、複数の電力増幅器の非線形性を一律に保証し、電力増幅器の線形性を実現するように構成される。
DAC(Digital-Analog Converter,ディジタル-アナログ変換器)は、ディジタル信号をアナログ信号に変換するように構成される。
アップコンバータは、特定の周波数を有する入力信号を、高い周波数を有する出力信号に変換するように構成される。信号の情報内容及び変調方式は、通常、変更されない。
非線形調整モジュールと、アナログ利得調整モジュールと、アナログ位相調整モジュールと、電力増幅器とは、各々のアナログ・チャネルで順に配置される。アナログ利得調整モジュールとアナログ位相調整モジュールとは入力増幅器の入力端に近接している。アナログ利得調整はHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。アナログ位相調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。
1つの電力増幅器が1つのアナログ・チャネルに配置される。電力増幅器は、非線形調整モジュールの出力端に接続される。各々の電力増幅器の出力端はアンテナに更に接続される。各々のアナログ・チャネルはディジタル・チャネルから無線周波数信号を取得する。非線形調整モジュールと、アナログ利得調整モジュールと、位相調整モジュールとは、無線周波数信号を順に調整し、次いで電力増幅器は無線周波数信号を増幅し、無線周波数信号をアンテナに出力する。アナログ・チャネルの出力信号は電力増幅器の出力信号である。電力増幅器は非線形であるので、電力増幅器の出力信号は非線形歪を有する。従って、電力増幅器の出力信号は誤差値を有する。言い換えれば、アナログ・チャネルの出力信号の誤差値の発生の要因は、電力増幅器の非線形性を含む。
一連のアナログ利得調整モジュール、アナログ位相調整モジュール、及び非線形調整モジュールは、各々のアナログ・チャネルで調整され得ることが理解できる。
非線形調整モジュールは、電力増幅器の非線形性の部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補正されていない部分を補償するために、アナログ非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号に関して非線形調整を実行するように構成される。言い換えれば、各々のアナログ・チャネルに関する非線形調整モジュールは、非線形性についての部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補正されていない部分を補償するために、非線形調整モジュールにより、同じアナログ・チャネルに属する電力増幅器の非線形性を再び補償する。
アナログ利得調整モジュールは、アナログ利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して利得調整を実行するように構成され、その結果、異なるアナログ・チャネルの無線周波数信号の利得応答は、アナログ利得調整モジュールにより実行される調整の後では一貫している。
アナログ位相調整モジュールは、アナログ位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して位相調整を実行するように構成され、その結果、異なるアナログ・チャネルの無線周波数信号の位相応答は、アナログ位相調整モジュールにより実行される調整の後では一貫している。
電力増幅器は高電力無線周波数信号を増幅及び出力するように構成される。
補正装置は補正チャネルを更に含む。補正チャネルは、HBFプレディストーション・モジュールと、アナログ-ディジタル変換器と、ダウンコンバータと、スイッチ・モジュールとを含む。スイッチ・モジュールは、HBFプレディストーション計算モジュールと、複数の電力増幅器の出力端との間に配置される。具体的には、スイッチ・モジュールは、各々の電力増幅器の出力端に結合され、あるいは各々のアナログ・チャネルのアンテナ・ポートの最終ステージに結合される。ダウンコンバータはスイッチ・モジュールに接続される。アナログ-ディジタル変換器の入力端はダウンコンバータに接続され、アナログ-ディジタル変換器の出力端はHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。HBFプレディストーション計算モジュールは、更に、ディジタル・プレディストーションと、非線形調整モジュールと、アナログ利得調整モジュールと、アナログ位相調整モジュールとに個々に接続される。HBFプレディストーション計算モジュールは、更に、ディジタル・プレディストーション・モジュールに入力されるディジタルI/Q複素信号を取得することができる。
スイッチ・モジュールは:複数のアナログ・チャネルのうちの1つの出力信号を時分割方式で選択し、電力増幅器の出力信号をダウンコンバータへ出力するように構成されており、その結果、HBFプレディストーション計算モジュールはアナログ・チャネルの出力信号を取得する。
ダウンコンバータは:信号のキャリア周波数を低減させる、あるいはベースバンド信号を得るためにキャリア周波数を直接的に取り除くように構成される。
ADC(Analog-Digital Converter,アナログ-ディジタル変換器)はアナログ信号をディジタル信号に変換するように構成される。
HBFプレディストーション計算モジュールは、計算によりパラメータを取得するように構成される。パラメータは異なる実施形態では異なってよい。例えば、HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータと、アナログ非線形補正パラメータと、アナログ利得調整パラメータと、アナログ位相調整パラメータとを計算により取得することができる。計算されたパラメータに関する詳細については、以下の実施形態における補正方法を参照されたい。
補正装置の作業手順は次のとおりである:
(1)駆動信号の生成
ディジタル信号送信機はディジタルI/Q複素信号を生成し、ディジタル信号送信機はディジタルI/Q複素信号をディジタル・チャネルに入力する。ディジタルI/Q複素信号は、本願のこの実施形態の補正装置の駆動信号である。
(2)駆動信号のディジタル・チャネルでの伝送
ディジタル・チャネルでは、ディジタル利得調整モジュールとディジタル位相調整モジュールとがディジタルI/Q複素信号を調整し、次いで、調整された信号がディジタル・プレディストーション・モジュールとHBFプレディストーション計算モジュールとに個々に入力される。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性を補償するために、取得したディジタルI/Q複素信号に関するプレディストーション調整を実行する。次いで、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、調整されたディジタルI/Q複素信号をディジタル-アナログ変換器へ出力し、ディジタル-アナログ変換器は、ディジタルI/Q複素信号をアナログI/Q信号に変換する。次いで、アップコンバータは、無線周波数信号を取得するためにアナログI/Q信号に関してアップコンバージョンを実行し、無線周波数信号を各々のアナログ・チャネルへ出力する。無線周波数信号はディジタル・プレディストーション・モジュールにより調整されたディジタルI/Q複素信号に基づいて獲得されることを学ぶことができる。
(3)駆動信号のアナログ・チャネルでの伝送
各々のアナログ・チャネルにおいて、非線形調整モジュールは、取得した無線周波数信号に関して非線形調整を実行し、非線形調整モジュールが属するアナログ・チャネルに関して電力増幅器の非線形性を更に補償する。アナログ利得調整モジュールは、更に、非線形調整モジュールにより調整された無線周波数信号に関して利得調整を実行し、アナログ位相調整モジュールは無線周波数信号に関して位相調整を実行する。次いで、無線周波数信号は電力増幅器に入力される。電力増幅器は無線周波数信号を増幅し、無線周波数信号をアンテナへ出力する。アンテナは信号を送信する。電力増幅器は非線形性を有する。入力電力が増加するにつれて、一般的には非線形歪が出力信号に生じる。しかしながら、ディジタル・プレディストーション・モジュールと非線形調整モジュールとにより事前に実行される非線形補償の後では、電力増幅器により出力される信号の線形性が改善され、無線周波数パフォーマンスに関する非線形性の影響を軽減し、可能な限り増幅器の相対的に高い効率を維持する。
(4)補正チャネルの作業手順
調整モジュールの調整作業と協働するために、補正チャネルにおいて、電力増幅器の出力信号をサンプリングすることによりフィードバック信号が取得される。換言すれば、フィードバック信号はアナログ・チャネルの出力信号である。具体的には、電力増幅器が信号を出力すると、アナログ・チャネル各々の電力増幅器の出力信号が、カップリングを経て補正チャネルのスイッチ・モジュールへフィードバックされる。換言すれば、スイッチ・モジュールはアナログ・チャネル各々のフィードバック信号を収集及び取得する。フィードバック信号は電力増幅器の出力信号を収集することにより取得される。次いで、スイッチ・モジュールは、収集したフィードバック信号を、ダウンコンバータ及びアナログ-ディジタル変換器を介してHBFプレディストーション計算モジュールへ時分割方式で出力し、その結果、HBFプレディストーション計算モジュールはフィードバック信号を取得する。この場合に、フィードバック信号はダウンコンバータにより調整され、調整された信号はアナログ-ディジタル変換器によりディジタル信号に変換される。換言すれば、HBFプレディストーション計算モジュールはフィードバック信号をディジタル形式で取得する。HBFプレディストーション計算モジュールはディジタル位相調整モジュールの出力端に更に接続され、その結果、プレディストーション計算モジュールは、ディジタル位相調整モジュールにより出力されるディジタルI/Q複素信号を更に取得する。ディジタルI/Q複素信号を取得するために、ディジタル・プレディストーション・モジュールもディジタル位相調整モジュールの出力端に接続される。従って、HBFプレディストーション計算モジュールにより取得されるディジタルI/Q複素信号は、ディジタル・プレディストーション・モジュールにより取得されるディジタルI/Q複素信号と同じである。
HBFプレディストーション計算モジュールは、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号と、ディジタル・プレディストーション・モジュールに入力されたディジタルI/Q複素信号とを取得することができる。HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータと、アナログ利得調整パラメータと、アナログ位相調整パラメータと、アナログ非線形補正パラメータとを計算により取得するように構成され得る。
具体的には、HBFプレディストーション計算モジュールは、何らかのアナログ・チャネルのフィードバック信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得することができる。HBFプレディストーション計算モジュールはディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールへ出力し、その結果、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数の電力増幅器の非線形性を一律に補償するために、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行する。この場合、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される複数の電力増幅器の非線形性を一律に調整する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、フィードバック信号に基づく計算によりアナログ利得調整パラメータ及び/又はアナログ位相調整パラメータを更に取得することができる。例えば、アナログ利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータは、複数のアナログ・チャネルについての取得されたフィードバック信号に基づく計算により取得されてもよいし、あるいはアナログ利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータは、取得されたディジタルI/Q複素信号とフィードバック信号とに基づく計算により取得されてもよい。具体的な実装プロセスについては、以下の対応する説明を参照されたい。次いで、HBFプレディストーション計算モジュールはアナログ利得調整パラメータをアナログ利得調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ利得調整モジュールはアナログ利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関する利得調整を実行し;HBFプレディストーション計算モジュールはアナログ位相調整パラメータをアナログ位相調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ位相調整モジュールはアナログ位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関する位相調整を実行する。こうして、単独のディジタル・チャネルと複数のアナログ・チャネルとを結合するアーキテクチャにおいて、複数のアナログ・チャネルに対する利得補正と位相補正とを実装することができ、それによりビーム方向及びヌル化パフォーマンスを保証する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、計算により非線形補正パラメータを更に取得することができ、ディジタルI/Q複素信号とアナログ・チャネルのフィードバック信号とに基づく計算により非線形補正パラメータを取得することができ、あるいは同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により非線形補正パラメータを取得することができる。具体的な計算プロセスについては、上記の実施形態の説明を参照されたい。
HBFプレディストーション計算モジュールは、統合方式で又は分離方式で実装されてもよい。分離方式の実施形態では、HBFプレディストーション計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含む。第1計算ユニットはディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される。第2計算ユニットは非線形調整モジュールに接続され、第2計算ユニットはアナログ・チャネル各々の入力端に更に接続される。第1計算ユニットは、アナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するように構成される。第2計算ユニットは、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するように構成される。換言すれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、2つの異なる計算モジュールを利用することにより、ディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとを計算により取得することができる。この場合、第1計算モジュールと第2計算モジュールとは互いに接続されていなくてもよい。
幾つかの実施形態において、代替的に第1計算ユニットと第2計算ユニットとはデータをやり取りするために互いに接続されていてもよい。第1計算ユニットが第2計算ユニットと相互作用する場合、2つの計算モジュールは、より良いパフォーマンスを獲得するためにジョイント処理を実行する。例えば、第1調整モジュールに対する補償パラメータは、第2調整モジュールに対するパラメータが計算される場合に学習されてもよい。この場合、計算モデリングの間に、この部分のレスポンスが追加されもよく、その結果、ジョイント計算はより良い非線形補正効果を達成できる。
このように、計算により取得されるディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとはより正確になる。
電力増幅器は非線形性を有する。本願のこの実施形態で提供される補正装置は電力増幅器の非線形性を補償することが可能であり、即ち電力増幅器に関する線形化オペレーションを実行する。複数のアナログ・チャネルの入力信号は同じディジタル・チャネルに由来する。従って、ディジタル・チャネルにおいて、ディジタル・プレディストーション・モジュールがディジタルI/Q複素信号を調整した後に、複数のアナログ・チャネルで電力増幅器により取得される信号は全て、ディジタル・プレディストーション・モジュールにより実行された調整の後に出力された信号に由来する。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、非線形補償の効率を改善するために、ディジタル・チャネルにおけるディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される複数の電力増幅器の非線形性を一律に調整することができる。
しかしながら、各々のアナログ・チャネルは異なるノイズ要因の影響を受けるかもしれない。例えば、異なるアナログ・チャネルにおける電力増幅器は異なる周辺温度にある。従って、異なる電力増幅器は異なる非線形性を有する。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・チャネルにおいて、複数の異なる電力増幅器の非線形性を一律に調整しており、異なる電力増幅器の非線形性の間の相違は、ディジタル・プレディストーション・モジュールによっては調整され得ない。しかしながら、非線形調整モジュールは、非線形調整モジュールが属するアナログ・チャネルの電力増幅器について、非線形補償を改めて実行することができる。具体的には、非線形調整モジュールは、アナログ非線形調整パラメータに基づいて、非線形調整モジュールが属するアナログ・チャネルにより得られる無線周波数信号に関する非線形調整を実行し、アナログ・チャネルの電力増幅器の非線形性の相違を補償する。非線形性の相違は、電力増幅器の非線形性のうちの一部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補償されていない部分であり、即ちアナログ・チャネルにおける電力増幅器についての非線形性であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって実行される調整後に補償されていない非線形性である。このように、各々のアナログ・チャネルにおいて、非線形調整モジュールは、アナログ・チャネルにおける電力増幅器の非線形性を更に補償することができる。
非線形調整モジュールは、アナログ非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号に関して非線形補償を実行し、ディジタル・プレディストーション・モジュールにより実行される補償の後にこのアナログ・チャネルの電力増幅器の非線形性を更に補償する。非線形調整モジュールにより実行される調整の後に、異なるアナログ・チャネルにおける電力増幅器の非線形性についての相違であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補償されていない相違は補償され、非線形補償の効果を改善する。
このように、本願のこの実施形態の補正装置によれば、補償効率が改善され、各々の電力増幅器の非線形性が適応的に補償され、非線形補償の精度を向上させる。具体的には、単独のディジタル・チャネルと複数のアナログ・チャネルとを結合するアーキテクチャにおいて、HBFにおける複数のアナログ・チャネルの非線形歪は高いパフォーマンスで補正されることが可能であり、非線形補正パフォーマンスと複数のチャネルにおけるPAの一貫したパフォーマンスとを補償することができる。更に、本願のこの実施形態における補正装置によれば、ハードウェア実装リソースは大幅に削減される。従来のDBFキャリブレーション・ソリューションと比較すると、HBFアーキテクチャでは、ディジタル・チャネル数に対する要件が引き下げられる。ディジタル・チャネル数は、PAの数、及びフロント・エンドのアンテナ数より遙かに少なくすることができる。
更に、本願のこの実施形態における補正装置によれば、複合的なモデルがシングル・チャネル・ディジタル・プレディストーション・モデルとマルチ・チャネル・アナログ非線形モデルとに分解され、即ち、ディジタル・プレディストーション調整のためのディジタル・チャネルと、非線形調整のための複数のアナログ・チャネルとに分解され、それにより補正装置の全体的なモデリングの複雑さを減らす。モデル分解方式において、グローバル最適化収束ソリューションが回避され、DPDモデリング・リソースは更に削減され得る。本願のこの実施形態における補正装置は、様々なPAsの間の相違を補償することができ、最終的な補正パフォーマンスは、グローバル最適化収束ソリューションのものより良い。
時分割方式でカップリングにより電力増幅器の出力信号を収集するスイッチ・モジュールが配置され、その結果、複数の電力増幅器の時分割フィードバックを実現することが可能である。ハードウェア・チャネル数が削減される場合に、本願のこの実施形態における補正装置は依然として理想的な補正パフォーマンスを獲得することができる。
本願の幾つかの実施形態において、補正装置は、アナログ利得調整モジュール又はアナログ位相調整モジュールを含まなくてもよく、あるいはアナログ利得調整モジュール又はアナログ位相調整モジュールのうちの何れかを含む。
本願の幾つかの実施形態において、補正装置はアップコンバータ又はダウンコンバータを含まなくてもよい。例えば、高いサンプリング・レートを有するディジタル-アナログ変換器はディジタル信号を無線周波数信号に直接的に変換し、アップコンバータは不要である。代替的に、高いサンプリング・レートを有するアナログ-ディジタル変換器は無線周波数信号をディジタル信号に直接的に変換し、ダウンコンバータは不要である。
本願の幾つかの実施形態において、上記の実施形態における複数の補正装置が統合されてもよい。具体的には、本願の幾つかの実施形態において、補正装置は複数のドライブ・チャネルを含んでもよく、各々のドライブ・チャネルは複数の非理想チャネルに接続され、1つのドライブ・チャネルとドライブ・チャネルに接続される複数の非理想チャネルとがユニットを形成し、ユニットは図4に示される実施形態における補正装置である。例えば、補正装置は複数のディジタル・チャネルを含み、各々のディジタル・チャネルは複数のアナログ・チャネルに接続され、1つのディジタル・チャネルとディジタル・チャネルに接続される複数のアナログ・チャネルとが、図7A及び図7Bに示される実施形態の補正装置を形成する。
結論として、ディジタル・プレディストーション・モジュールは複数のアナログ・チャネルに対するハイ・パフォーマンス非線形補正を実現することが可能であり、複数の非線形調整モジュールは、複数のアナログ・チャネルにおけるPA間の非線形性の相違に関する補正を実現することが可能であり、複数のアナログ利得調整モジュールと複数のアナログ位相調整モジュールとは、利得キャリブレーションと位相キャリブレーションとを複数のアナログ・チャネルに関して実現することができる。
上記の補正装置における幾つかのパラメータを計算する方式については、以下の説明を参照されたい。上記のパラメータは補正計算モジュール又はHBFプレディストーション計算モジュールにより主に計算される。
図8を参照すると、本願の実施形態は補正方法を更に提供する。本願のこの実施形態における補正方法は、非線形不均衡のHBFアーキテクチャを利用することにより説明される。補正方法については、図7A及び図7Bに示される実施形態に示される内容を参照されたい。
本願のこの実施形態における補正方法は図5の補正方法の具体的な実装である。図5の実施形態における補正方法との比較において、図8に示される実施形態では、第1調整モジュールはディジタル・プレディストーション・モジュールであり、第2調整モジュールは非線形調整モジュールであり、補正計算モジュールはハイブリッド・ビームフォーミングHBFプレディストーション計算モジュールであり、第1調整パラメータはディジタル・プレディストーション・パラメータであり、第2調整パラメータはアナログ非線形補正パラメータであり、駆動信号はディジタルI/Q複素信号であり、非理想チャネルはアナログ・チャネルであり、チャネル信号は無線周波数信号である。
具体的には、本願のこの実施形態における補正方法は、補正装置のハイブリッド・ビームフォーミングHBFプレディストーション計算モジュールに適用される。補正装置は、ディジタル・プレディストーション・モジュールと、複数の非線形調整モジュールと、HBFプレディストーション計算モジュールと、複数のアナログ・チャネルとを含む。1つの非線形調整モジュールが1つのアナログ・チャネルに配置される。ディジタル・プレディストーション・モジュールは各々のアナログ・チャネルに接続される。HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル・ディストーション・モジュールと複数の非線形調整モジュールとに個々に接続される。HBFプレディストーション計算モジュールは各々のアナログ・チャネルの出力端に接続される。補正装置の説明の更なる詳細については、図7A及び図7Bに示される実施形態を参照されたい。
図8を参照すると、本願のこの実施形態における方法は以下のステップを含む:
ステップ801:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタルI/Q複素信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタルI/Q複素信号を取得することができる。ディジタルI/Q複素信号は、ディジタル・プレディストーション・モジュールにより取得されるディジタルI/Q複素信号と同じである。
例えば、図7A及び図7Bに示されるように、HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル位相調整モジュールの出力端に接続される。ディジタル位相調整モジュールの出力端はディジタル・プレディストーション・モジュールに更に接続され、その結果、ディジタル位相調整モジュールは、ディジタルI/Q複素信号を、ディジタル・プレディストーション・モジュールとHBFプレディストーション計算モジュールとに出力することができる。
ステップ802:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
アナログ・チャネルのフィードバック信号はアナログ・チャネルの出力信号である。本願のこの実施形態において、アナログ・チャネルの出力信号は電力増幅器の出力信号である。電力増幅器は非線形性を有するので、電力増幅器の出力信号は誤差値を有する。
具体的には、アナログ・チャネルの出力信号をサンプリングすることにより、フィードバック信号が取得される。補正チャネルは複数のアナログ・チャネルに接続される。補正チャネルにおけるHBFプレディストーション計算モジュールは、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得することができる。
幾つかの実施形態において、HBFプレディストーション計算モジュールは、フィードバック信号に基づいて非線形補正パラメータを計算することを要する。異なるアナログ・チャネルにおける非線形調整モジュールは、異なる非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号を調整することを要する。従って、アナログ・チャネルに適用可能な非線形補正パラメータを計算により取得するために、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ・チャネルのフィードバック信号を取得することを要する。換言すれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、異なるアナログ・チャネルのフィードバック信号に基づいて異なるアナログ非線形補正パラメータを計算することを要する。例えば、ステップ807における計算によりアナログ・チャネルに適用可能な非線形補正パラメータを取得するために、HBFプレディストーション計算モジュールはステップ802においてターゲットのアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得することを要する。ターゲットのアナログ・チャネルは複数のアナログ・チャネルのうちの1つである。
幾つかの実施形態において、HBFプレディストーション計算モジュールは、フィードバック信号に基づいてディジタル・プレディストーション・パラメータを計算することを要する。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて、ディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される複数の電力増幅器に対する非線形補償を一律に実行することができる。この場合、HBFプレディストーション計算モジュールにより取得されるフィードバック信号は、複数のアナログ・チャネルのうちの任意の1つについてのフィードバック信号であり得る。
ステップ803:HBFプレディストーション計算モジュールが、フィードバック信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得する。
ディジタルI/Q複素信号とフィードバック信号とを取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、2つの信号に基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得することができる。
具体的な計算方法は次のようであってもよい:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタルI/Q複素信号に基づく計算により電力増幅器の理想的な出力信号を取得する。理想的な出力信号はプリセット値を有する信号であってもよく、フィードバック信号は電力増幅器により実際に出力された出力信号である。次いで、理想的な出力信号が、取得されたフィードバック信号と比較され、比較結果を得る。比較結果に基づく計算により、ディジタル・プレディストーション・パラメータを取得することができる。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて、ディジタルI/Q複素信号に関して逆補償を事前に実行し、その結果、ディジタルI/Q複素信号がディジタル・プレディストーション・モジュールを通過し、次いで電力増幅器を通過し、電力増幅器の出力信号は線形増幅結果を得ることができる。
ステップ804:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールに出力する。
計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールはディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールへ出力し、その結果、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数の電力増幅器の非線形性を一律に補償するために、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行する。
ステップ805:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタル・プレディストーション・パラメータを収束するまで繰り返す。
HBFプレディストーション計算モジュールはディジタル・プレディストーション・パラメータをディジタル・プレディストーション・モジュールへ出力し、次いでディジタル・プレディストーション・モジュールのディジタル・プレディストーション・パラメータが更新されてもよい。計算によりHBFプレディストーション計算モジュールにより最初に取得されたディジタル・プレディストーション・パラメータは十分な精度を有しないかもしれない。十分な精度を有しないディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタル・プレディストーション・モジュールによりディジタルI/Q複素信号に関して実行されるプレディストーション調整は理想的でないかもしれない。この場合、HBFプレディストーション計算モジュールは、複数のディジタル・プレディストーション・パラメータを取得するために、フィードバック信号とディジタルI/Q複素信号とに基づいて複数回計算を実行することを必要とし、その結果、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数回にわたってプレディストーション調整を実行するために、複数回にわたってディジタル・プレディストーション・パラメータを取得する。換言すれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、電力増幅器の最良の線形効果を達成するために、上記のステップ801ないしステップ805を反復する。
ステップ805は幾つかの実施形態では含まれなくてもよいことが理解され得る。
ステップ801ないし805はディジタル・プレディストーション・パラメータを取得する方法である。HBFプレディストーション計算モジュールはディジタル・プレディストーション・パラメータを計算する。ディジタル・プレディストーション・モジュールは、HBFプレディストーション計算モジュールからディジタル・プレディストーション・パラメータを取得し、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて、取得したディジタルI/Q複素信号に関してプレディストーション調整を実行することができる。ディジタル・プレディストーション・パラメータは、フィードバック信号とディジタルI/Q複素信号とに基づいて計算される。フィードバック信号は電力増幅器の出力信号である。電力増幅器により増幅される信号はディジタルI/Q複素信号に由来し、その結果、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいてディジタル・プレディストーション・モジュールにより実行されるプレディストーション調整は、電力増幅器のプレディストーション特性に対応している。複数のアナログ・チャネルで取得される無線周波数信号は同じディジタルI/Q複素信号に由来する。従って、ディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される複数の電力増幅器の非線形性は、ディジタル・プレディストーション・モジュールにより実行されるプレディストーション調整により補償される。
本願の幾つかの実施形態において、HBFプレディストーション計算モジュールによりディジタル・プレディストーション・パラメータを計算する具体的な実装は、代替的に、以下の方法で実現されてもよい。具体的には、ステップ802において、HBFプレディストーション計算モジュールが、何らかのアナログ・チャネルの出力信号を取得する。ステップ803において、HBFプレディストーション計算モジュールが、任意のアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得する。言い換えれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ・チャネル全てのフィードバック信号を取得することなく、任意のアナログ・チャネルのフィードバック信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得することができる。
例えば、図7A及び図7Bに示されるように、スイッチ・モジュールは時分割方式で選択を実行する。スイッチ・モジュールは任意のチャネルにおける電力増幅器の出力信号をフィードバック信号として収集することができる。収集されたフィードバック信号は、ダウンコンバータとアナログ-ディジタル変換器とを経て通過し、次いでHBFプレディストーション計算モジュールへ出力され、その結果、HBFプレディストーション計算モジュールは何らかのアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
1つのディジタル・チャネルが複数のアナログ・チャネルに対応する。複数のアナログ・チャネルに入力される無線周波数信号は、ディジタル・チャネルに関するディジタルI/Q複素信号に由来する。この場合、ディジタル・チャネルに関するディジタル・プレディストーション・モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて、取得したディジタルI/Q複素信号に関するプレディストーション調整を実行し、複数のアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性に対する一律的な補償を実現し、即ち様々なアナログ・チャネルにおける電力増幅器の非線形性のうちの同じ部分を補償する。任意のアナログ・チャネルに関する電力増幅器のフィードバック信号は非線形性のうちの同じ部分を含むので、HBFプレディストーション計算モジュールは、任意の電力増幅器のフィードバックに基づいて、必要とされるディジタル・プレディストーション・パラメータを得ることができる。
上記はディジタル・プレディストーション・パラメータを計算する具体的な方法を述べている。本願のこの実施形態の補正装置によれば、非線形調整モジュールは、電力増幅器に対する非線形補償を2回目に実行することを要する。非線形調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールから非線形補正パラメータを取得する。この場合、HBFプレディストーション計算モジュールは以下のステップを実行することを更に要する:
ステップ806:HBFプレディストーション計算モジュールが、ターゲットのアナログ・チャネルの入力信号を取得する。
様々な電力増幅器に対応するアナログ非線形補正パラメータを計算により取得するために、HBFプレディストーション計算モジュールは、様々なアナログ・チャネルのパラメータに基づいて具体的な計算を実行することを要する。アナログ・チャネルの入力信号はアナログ・チャネルに入力される無線周波数信号であり得る。ターゲットのアナログ・チャネルはディジタル・チャネルに接続される複数のアナログ・チャネルのうちの1つである。
HBFプレディストーション計算モジュールが入力信号を取得する方法は:アナログ・チャネルの入力信号を収集するために、HBFプレディストーション計算モジュールがアナログ・チャネルの入力端に結合されることであってもよい。
本願のこの実施形態の補正方法によれば、複数のアナログ・チャネルの電力増幅器の非線形性を補償するために、複数のアナログ・チャネルの出力信号が取得されることを必要とすることが理解され得る。アナログ・チャネルは相違し得るので、アナログ・チャネルにおける電力増幅器は異なる非線形性を有する。様々なアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性の間の相違を補償するために、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とが、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づいてアナログ・チャネルに適用可能な非線形補正パラメータを取得するために、取得されることを必要とする。正確な説明のために、図8に示されるこの実施形態は複数のアナログ・チャネルのうちの1つを述べている。選択されたアナログ・チャネルはターゲットのアナログ・チャネルと言及される。HBFプレディストーション計算モジュールは、別のアナログ・チャネルに関する非線形補正パラメータを計算することを更に必要とする。別のアナログ・チャネルに関する非線形補正パラメータを計算するプロセスは、ターゲットのアナログ・チャネルに関する非線形補正パラメータを計算するプロセスと同じである。他のケースはそれらに類似し得る。
ステップ807:HBFプレディストーション計算モジュールが、ターゲットのアナログ・チャネルの入力信号とターゲットのアナログ・チャネルのフィードバック信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得する。
具体的な計算方法は次のようであってもよい:HBFプレディストーション計算モジュールが、ターゲットのアナログ・チャネルの入力信号に基づく計算により、ターゲットのアナログ・チャネルに関する電力増幅器の理想的な出力信号を取得する。理想的な出力信号はプリセット値を有する信号であってもよい。ターゲットのアナログ・チャネルのフィードバック信号は、電力増幅器の出力信号である。次いで、HBFプレディストーション計算モジュールは、比較結果を得るために、理想的な出力信号をフィードバック信号と比較する。比較結果に基づく計算により、アナログ非線形補正パラメータが取得される。非線形調整モジュールは、アナログ非線形補正パラメータに基づいてターゲットのアナログ・チャネルの無線フィードバック信号を調整することができ、その結果、調整された無線周波数信号に基づいて電力増幅器により出力される信号は、線形効果を獲得する。
例えば、本願の幾つかの実施形態において、ステップ807は以下のステップを含む:
ステップA1:HBFプレディストーション計算モジュールが、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により差分値を取得する。
差分値は、アナログ・チャネルにおける電力増幅器の出力信号とステップA1におけるプリセット出力信号との間の差分である。電力増幅器の出力信号は、アナログ・チャネルの出力信号である。電力増幅器の出力信号は実際の出力信号である。プリセット出力信号は、電力増幅器の線形化された出力信号であり、理想的な出力信号であってもよい。プリセット出力信号は、アナログ・チャネルの入力信号に基づく計算により取得され得る。そのような方法で取得される差分値は、アナログ・チャネルの無線周波数信号が調整されるべき程度を反映する。
ステップA2:HBFプレディストーション計算モジュールは、カスケード接続されたプレディストーションPDモデルを差分値に適用することによる計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得する。
差分値を取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、差分値に基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得し、非線形補正パラメータを非線形調整モジュールへ出力し、その結果、非線形調整モジュールは、アナログ非線形補正パラメータの指示に基づいて、非線形調整モジュールが属するアナログ・チャネルで無線周波数信号に関してプレディストーション調整を実行する。
ステップ808:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ非線形補正パラメータを、ターゲットのアナログ・チャネルにおける非線形調整モジュールへ出力する。
計算により非線形補正パラメータを取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、非線形補正パラメータを、ターゲットのアナログ・チャネルに関する非線形調整モジュールへ出力し、その結果、非線形調整モジュールは、アナログ非線形補正パラメータに基づいて無線周波数信号に関して非線形調整を実行し、ターゲットのアナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性のうちの一部分であってディジタル・プレディストーション・モジュールによって補償されていない部分を補償する。
ステップ809:HBFプレディストーション計算モジュールが、非線形補正パラメータを収束するまで反復する。
本願の幾つかの実施形態において、HBFプレディストーション計算モジュールは非線形補正パラメータを収束するまで反復し、HBFプレディストーション計算モジュールが計算により取得する非線形補正パラメータをより正確にすることを必要とし、その結果、より良い線形化効果が非線形補正パラメータに基づいて獲得される。
HBFプレディストーション計算モジュールは非線形補正パラメータを非線形調整モジュールへ出力し、次いで非線形調整モジュールの非線形補正パラメータが更新され得る。HBFプレディストーション計算モジュールが計算により最初に取得する非線形補正パラメータは、十分な精度を有しないかもしれない。十分な精度を有しない非線形補正パラメータに基づいて非線形調整モジュールにより無線周波数信号に関して実行される非線形調整は理想的でないかもしれない。この場合、HBFプレディストーション計算モジュールは複数の非線形補正パラメータを取得するために、入力信号及びフィードバック信号に基づいて複数回にわたって計算を実行することを必要とし、その結果、非線形調整モジュールは、複数回にわたって非線形調整を実行するために、複数回にわたって非線形補正パラメータを取得する。換言すれば、HBFプレディストーション計算モジュールは、HBFプレディストーション計算モジュールがターゲットのアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する上記のステップ802、及びステップ806ないしステップ808を、電力増幅器の最良の線形化効果を達成するために反復する。
ステップ809は本願の幾つかの実施形態では含まれなくてもよい。
上記のステップ802及びステップ806ないしステップ809は様々なアナログ・チャネルに関して個々に実行される。このように、HBFプレディストーション計算モジュールは、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得し、アナログ非線形補正パラメータを、アナログ・チャネルの非線形調整モジュールへ出力することが可能である。
このように、本願のこの実施形態における補正方法を実行することにより、HBFプレディストーション計算モジュールは、ディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとを計算により取得することができる。従って、ディジタル・プレディストーション・モジュールは、複数の電力増幅器の非線形性を補償するために、ディジタル・プレディストーション・パラメータに基づいて信号を調整し;非線形調整モジュールは、アナログ・チャネルに関する電力増幅器の非線形性を更に補償するために、ディジタル・プレディストーション・モジュールが配置されているアナログ・チャネルの無線周波数信号を、アナログ非線形補正パラメータに基づいて調整する。
本願の幾つかの実施形態において、HBFプレディストーション計算モジュールは、同じコンポーネントを利用することにより、ディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとを取得してもよいし、あるいは別個のコンポーネントを利用することにより、ディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとを個々に取得してもよい。
例えば、HBFプレディストーション計算モジュールは第1計算ユニットと第2計算ユニットとを含む。第1計算ユニットはディジタル・プレディストーション・モジュールに接続される。第2計算ユニットは非線形調整モジュールに接続され、第2計算ユニットはアナログ・チャネル各々の入力端に更に接続される。
この場合、HBFプレディストーション計算モジュールがアナログ・チャネルの出力信号とリファレンス信号とを取得することは:第1計算ユニットがアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とを取得し;及び第2計算ユニットがアナログ・チャネルの出力信号とアナログ・チャネルの入力信号とを取得することを含む。換言すれば、第1計算ユニットと第2計算ユニットとを利用することにより、異なるパラメータが個々に取得される。
従って、ディジタル・プレディストーション・パラメータとアナログ非線形補正パラメータとは異なる計算ユニットにより個々に計算される。例えば、第1計算ユニットはアナログ・チャネルの出力信号とディジタルI/Q複素信号とに基づく計算によりディジタル・プレディストーション・パラメータを取得し;及び第2計算ユニットは同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得する。
第2計算ユニットが同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するステップは:第2計算ユニットが、同じアナログ・チャネルに属する入力信号と出力信号とに基づく計算により差分値を取得するステップ;及び第2計算ユニットが、カスケード接続されたPDモデルを差分値に適用することによりアナログ非線形補正パラメータを取得するステップを含んでもよい。
上記の補正方法において、計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得するために、アナログ・チャネルの入力信号とアナログ・チャネルの出力信号とが使用されることが理解され得る。幾つかの実施形態において、アナログ非線形補正パラメータは、ディジタル・チャネルにおけるディジタルI/Q複素信号とアナログ・チャネルの出力信号とを利用することにより計算されてもよい。ディジタルI/Q複素信号はディジタル・プレディストーション・パラメータを計算するために使用されるディジタルI/Q複素信号と同じである。
具体的には、図8に示される実施形態を参照すると、本願の幾つかの実施形態において、補正方法はステップ806を含まなくてもよい。ステップ807の実装は:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタルI/Q複素信号とターゲットのアナログ・チャネルのフィードバック信号とに基づいて計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得することである。次いで、アナログ非線形補正パラメータが、ターゲットのアナログ・チャネルに関する非線形調整モジュールへ出力され得る。
結論として、HBFプレディストーション計算モジュールは、アナログ・チャネルの出力信号とリファレンス信号とに基づく計算によりアナログ非線形補正パラメータを取得することができる。リファレンス信号はディジタルI/Q複素信号又はアナログ・チャネルの入力信号であってもよい。
本願の幾つかの実施形態では、各々のアナログ・チャネルにおいて、補正装置はアナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールを更に含む。アナログ利得調整モジュール及び/又はアナログ位相調整モジュールは電力増幅器の入力端に近接している。アナログ利得調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続され、アナログ位相調整モジュールはHBFプレディストーション計算モジュールに接続される。
この場合、本願のこの実施形態における補正方法は以下のステップを更に含む:
ステップB1:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ・チャネルの出力信号に基づく計算によりアナログ利得調整パラメータ及び/又はアナログ位相調整パラメータを取得する。
ステップB2:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ利得調整パラメータをアナログ利得調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ利得調整モジュールは、アナログ利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して利得調整を実行する。
ステップB3:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ位相調整パラメータをアナログ位相調整モジュールへ出力し、その結果、アナログ位相調整モジュールは、アナログ位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して位相調整を実行する。
アナログ利得調整モジュールは、無線周波数信号に関して利得調整を実行し、各々のアナログ・チャネルの利得の相違を補償することができ、その結果、アナログ・チャネルの利得は一貫したものになる。アナログ位相調整モジュールは、無線周波数信号に関して位相調整を実行し、各々のアナログ・チャネルの位相の相違を補償し、その結果、アナログ・チャネルの位相は一貫したものになる。アナログ利得調整モジュール及びアナログ位相調整モジュールの作業により、単独のディジタル・チャネルに接続される複数のアナログ・チャネルに対する振幅位相キャリブレーションを完了することができる。
具体的には、アナログ利得調整パラメータ及びアナログ位相調整パラメータは以下の方法で実装されてもよい。
(1)アナログ利得調整パラメータ
アナログ利得調整パラメータは異なるアナログ・チャネルの利得を一貫したものにする。アナログ利得調整パラメータは具体的には複数の方法で取得される。方法のうちの2つの例が以下に列挙される。
具体例1:フィードバック信号に基づいて計算される。
ステップC1:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、上記の方法で異なるアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得してもよく、例えばスイッチ・モジュールを利用することにより時分割方式で、異なるアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得してもよい。
ステップC2:HBFプレディストーション計算モジュールが、各々のフィードバック信号に基づいて異なるアナログ・チャネルの利得値を計算する。
ステップC3:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数の利得値に基づいてアナログ・チャネルのアナログ利得調整パラメータを計算する。
複数のアナログ・チャネルの利得値を取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールが、複数の利得値を比較し、異なるアナログ・チャネルに属するアナログ利得調整パラメータを計算する。
ステップC4:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ利得調整パラメータを、異なるアナログ・チャネルに関するアナログ利得調整モジュールに出力する。
異なるアナログ・チャネルに属するアナログ利得パラメータを計算により取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、異なるアナログ・チャネルのアナログ利得パラメータを、対応するアナログ・チャネルのアナログ利得調整モジュールへ出力する。こうして、アナログ利得調整モジュールが、取得した利得調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して利得調整を実行した後に、異なるアナログ・チャネルの利得値は同じになる。
具体例2:フィードバック信号及びディジタルI/Q複素信号に基づいて計算される。
ステップD1:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタルI/Q複素信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタル・プレディストーション・モジュールの前に、ディジタルI/Q複素信号を取得する。複数のアナログ・チャネルの無線周波数信号はディジタルI/Q複素信号に由来する。
ステップD2:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。複数のフィードバック信号は、上記ステップD1のディジタルI/Q複素信号に由来する。
例えば、電力増幅器の出力端において、補正チャネルは各アナログ・チャネルのフィードバック信号を収集し、フィードバック信号はスイッチ・モジュールを利用することにより時分割方式で選択され、ダウンコンバータ及びディジタル-アナログ変換器による処理の後にHBFプレディストーション計算モジュールに入力される。
ステップD3:HBFプレディストーション計算モジュールが、フィードバック信号及びディジタルI/Q複素信号に基づく計算により各アナログ・チャネルのアナログ利得調整パラメータを取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、リファレンス信号としてディジタルI/Q複素信号を利用することにより、複数のフィードバック信号に基づく計算を実行し、複数の利得調整パラメータを計算により取得する。ディジタル・アナログ・チャネルは様々な利得調整パラメータに対応する。
ステップD4:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ利得調整パラメータをアナログ利得調整モジュールへ出力する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、対応するアナログ利得調整パラメータを、アナログ・チャネルに関するアナログ利得調整モジュールへ出力する。アナログ利得調整パラメータを取得した後に、アナログ利得調整モジュールは、アナログ利得差を補償するために、アナログ利得調整パラメータに基づいてアナログ・チャネルの無線周波数信号に関してアナログ利得調整を実行し、その結果、異なるアナログ・チャネルの無線周波数信号のアナログ利得は一貫したものになる。
(2)アナログ位相調整パラメータ
アナログ位相調整パラメータは異なるアナログ・チャネルの位相を一貫したものにする。アナログ位相調整パラメータは具体的には複数の方法で取得される。方法のうちの2つの例が以下に列挙される。
具体例1:フィードバック信号に基づいて計算される。
ステップE1:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、上記の方法で異なるアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得してもよく、例えばスイッチ・モジュールを利用することにより時分割方式で、異なるアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得してもよい。
ステップE2:HBFプレディストーション計算モジュールが、各々のフィードバック信号に基づいて異なるアナログ・チャネルの位相値を計算する。
ステップE3:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数の位相値に基づいてアナログ・チャネルのアナログ位相調整パラメータを計算する。
複数のアナログ・チャネルの位相値を取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、複数の位相値を比較し、異なるアナログ・チャネルに属するアナログ位相調整パラメータを計算する。
ステップE4:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ位相調整パラメータを、異なるアナログ・チャネルに関するアナログ位相調整モジュールに出力する。
異なるアナログ・チャネルに属するアナログ位相パラメータを計算により取得した後に、HBFプレディストーション計算モジュールは、異なるアナログ・チャネルのアナログ位相パラメータを、対応するアナログ・チャネルのアナログ位相調整モジュールへ出力する。こうして、アナログ位相調整モジュールが、取得した位相調整パラメータに基づいて無線周波数信号に関して位相調整を実行した後に、異なるアナログ・チャネルの位相値は同じになる。
具体例2:フィードバック信号及びディジタルI/Q複素信号に基づいて計算される。
ステップF1:HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタルI/Q複素信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、ディジタル・プレディストーション・モジュールのディジタルI/Q複素信号を取得する。複数のアナログ・チャネルの無線周波数信号はディジタルI/Q複素信号に由来する。
ステップF2:HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールが、複数のアナログ・チャネルのフィードバック信号を取得する。複数のフィードバック信号は、上記ステップF1のディジタルI/Q複素信号に由来する。
例えば、電力増幅器の出力端において、補正チャネルは各アナログ・チャネルのフィードバック信号を収集し、フィードバック信号はスイッチ・モジュールを利用することにより時分割方式で選択され、ダウンコンバータ及びディジタル-アナログ変換器による処理の後にHBFプレディストーション計算モジュールに入力される。
ステップF3:HBFプレディストーション計算モジュールが、フィードバック信号及びディジタルI/Q複素信号に基づく計算により各アナログ・チャネルのアナログ位相調整パラメータを取得する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、リファレンス信号としてディジタルI/Q複素信号を利用することにより、複数のフィードバック信号に基づく計算を実行し、複数の位相調整パラメータを計算により取得する。ディジタル・アナログ・チャネルは様々な位相調整パラメータに対応する。
ステップF4:HBFプレディストーション計算モジュールが、アナログ位相調整パラメータをアナログ位相調整モジュールへ出力する。
HBFプレディストーション計算モジュールは、対応するアナログ位相調整パラメータを、アナログ・チャネルに関するアナログ位相調整モジュールへ出力する。アナログ位相調整パラメータを取得した後に、アナログ位相調整モジュールは、アナログ位相調整パラメータに基づいてアナログ・チャネルの無線周波数信号に関してアナログ位相調整を実行し、その結果、異なるアナログ・チャネルの無線周波数信号のアナログ位相は一貫したものになる。
上記の実装はオンラインで(システム実行プロセスで)完了する。本願の幾つかの実施形態において、アナログ位相調整パラメータ及びアナログ利得調整パラメータの取得、アナログ位相調整、及びアナログ利得調整は、代替的に、オフラインの静的な表形式で完了されてもよい。例えば、様々な補償値を記録するために、装置の製造の間に(処理するデバイスの一貫性に応じて、各々のデバイスについて又は代表的なデバイスについて)、様々な動作温度及び状態における検査が行われる。実際の作業の間に、各センサーにより報告される動作状態に基づいて、テーブルが読み込まれる。利得補償及び位相補償は、テーブルの読み取り結果に基づいて実行される。オフラインの静的な表形式の実装では、各アナログ・チャネルにおけるアナログ位相調整モジュール及びアナログ利得調整モジュールは、HBFプレディストーション計算モジュールに接続される必要はないかもしれない。
結論として、本願のこの実施形態における補正装置は、アナログ・チャネルの位相及び利得を調整することが可能であり、アナログ・チャネルの出力信号は一貫した位相及び一貫した利得を有し、ビーム方向及びヌル化パフォーマンスを保証する。
本願の幾つかの実施形態において、補正装置は振幅位相補正モジュールと、複数の送信チャネルと、複数の受信チャネルとを更に含む。送信チャネル及び受信チャネルの各々はアンテナに接続される。送信チャネルは上記のアナログ・チャネルである。送信チャネルは無線周波数信号をアンテナに伝送するために使用される。受信チャネルはアンテナ信号を受信するために使用されるアナログ・チャネルである。振幅位相補正モジュールの一方端はアンテナのポートに接続され、振幅位相補正モジュールの他方端は、信号が複数の送信チャネルに出力されるチャネルに接続され、振幅位相補正モジュールの他方端は信号が複数の受信チャネルから取得されるチャネルに更に接続される。
振幅位相補正モジュールは:複数の送信チャネルにおける振幅位相キャリブレーションを実行し、複数の受信チャネルにおける振幅位相キャリブレーションを実行するように構成される。
具体的な振幅位相キャリブレーション手順は次のとおりである:
送信チャネルのキャリブレーションが具体例として使用される。複数のチャネルのキャリブレーションは、送信チャネルを徐々にイネーブルにすることにより実施されてもよい。最初の2つの送信チャネルがイネーブルにされ、次いで、対応する位相ウェイトが、ダウンコンバートされた信号を最大化及び最小化するように調整される。このケースでは、チャネル2及びチャネル1の位相差はそれぞれ0°及び180°である。更に、チャネル2の振幅値が調整され、その結果、以下の数式が満足される:
ここで、maximizeは最大値を表現し、outputは出力を表現し、deltaは差分を表現し、phaseは位相を表現する。数式は次のように解釈される:@は、...である場合を示し;数式の分子は2つのチャネルの位相差が0°である場合の出力信号を表現し;分母は2つのチャネルの位相差が180°である場合の出力信号を表現する。振幅値はキャリブレーション・プロセスで調整され、2つの信号の比率が比較の後に記録される。信号比が最大値(maximize)に到達する場合、振幅のキャリブレーションは完了したと考えられる。
このようにして、2つのチャネルの振幅キャリブレーションを完了することができる。複数のチャネルの振幅位相キャリブレーションは、このようにステップ・バイ・ステップで実行されることが可能である。
受信チャネルの振幅位相キャリブレーションについては、送信チャネルの上記の振幅位相キャリブレーションを参照されたい。
上記の振幅位相キャリブレーションが完了した後に、より良い補正パフォーマンスを得るために、HBF PDDキャリブレーション・オペレーションが実行される。
上記の補正装置は電気コンポーネントを利用することにより構成されてもよい。本願の幾つかの実施形態において、上記の補正装置は代替的にチップの形式で構成されてもよい。例えば、本願のこの実施形態における補正装置はマルチ・チャネル・チップの形式で構成される。
例えば、図7A及び図7Bに示される補正装置は分離方式で実装される。マルチ・チャネル・チップが使用される場合、複数のアナログ・チャネルに関する非線形調整モジュール、アナログ利得調整モジュール、アナログ位相調整モジュール、電力増幅器などはチップ内にパッケージされてもよい。換言すれば、送信チャネル及び受信チャネルはチップの形式でパッケージされる。本願のこの実施形態では、カプラー及びスイッチ・モジュール等のパーツは、チップ内に更にパッケージされてもよい。換言すれば、補正チャネルがチップ内にパッケージされる。具体例は図11に示されている。
本願のこの実施形態の補正装置の送信チャネル及び受信チャネルはチップ内にパッケージされる。送信チャネルは信号を送信するために使用され、受信チャネルは信号を受信するために使用される。図7A及び図7Bに示される補正装置の複数のアナログ・チャネルは送信チャネルの一部分である。
本願の幾つかの実施形態において、送信チャネル及び受信チャネルはチップの形式でパッケージされ、チップは送信チャネル及び受信チャネルを含み、振幅位相補正モジュールは、切替スイッチを利用することにより送信チャネルと受信チャネルとに個々に接続される。切替スイッチは振幅位相補正モジュールを送信チャネルと受信チャネルとに時分割方式で接続するように構成され、その結果、振幅位相補正モジュールは、時分割方式で、複数の送信チャネルに関する振幅位相キャリブレーションを実行し、複数の受信チャネルに関する振幅位相キャリブレーションを実行する。図9に一例が示されているが、図11は具体的な例である。このように、送信チャネルで実行される振幅位相調整キャリブレーション中に使用され、且つ受信チャネルで実行される振幅位相調整キャリブレーション中に使用される同じ部分は共有されてもよく、これにより同じ部分の設定を削減し、デバイス・コストを削減する。
本願の幾つかの実施形態において、送信チャネル及び受信チャネルはチップの形式でパッケージされ、複数のチップが存在し、各々のチップは複数の送信チャネル又は複数の受信チャネルを含む。換言すれば、チップは図10に示されるようなマルチ・チャネル・チップである。図11は具体的な例である。振幅位相補正モジュールは:チップ内の複数の送信チャネル又は複数の受信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを先ず実行し、次いで別のチップ内の送信チャネル又は受信チャネルに関して振幅位相キャリブレーションを実行するように構成される。こうして、振幅位相キャリブレーションの効率を向上させることができる。
図11において、非線形調整は非線形調整補償パートを表現し、アナログ・ウェイトはフェーズド・アレイのアナログ・ウェイトを表現し、アナログ・ウェイトに対して指定される具体的な値はWTX1、WRX1等として表現され、Couplerはカプラーを表現し、LOは局部発振器を表現する。
換言すれば、本願の幾つかの実施形態において、マルチ・チャネル・チップが補正装置で使用され、複数の送信チャネル及び複数の受信チャネルが複数のチップにパッケージされてもよい。更に、振幅位相補正モジュールが複数のチップに接続される。振幅位相キャリブレーションの具体的なプロセスにおいて、振幅位相キャリブレーションは、チップ内の送信チャネル及び受信チャネルで実行されてもよく、従って振幅位相キャリブレーションはチップ内で2つのチャネルで実行される。具体的には、チップ内のキャリブレーションは、チップ内の集積回路を利用することにより先ず完了され、次いで異なるチップのキャリブレーションが、振幅位相キャリブレーション・モジュールを利用することにより完了され、最終的に全ての送信チャネル及び受信チャネルのキャリブレーションが実施される。このような方法はキャリブレーション・プロセス全体を簡易化し、本願のこの実施形態における送信チャネル及び受信チャネルの振幅位相キャリブレーション効率を改善することができる。更に、自己キャリブレーション技術と組み合わせられるチップ/回路設計は、複数のチャネルでPAにより出力される信号の振幅が同様であることを保証する。
例えば、1つのDACが後続のM個のチップに接続され、各々のチップはN個のチャネルを有する。言い換えれば、1つのDACは後続のM×N個の送信チャネルに接続される。この場合、キャリブレーションは以下の方法で実行されることが可能であり、ここでM及びNは正の整数である。
1.M個のチップの内部チャネルの振幅位相キャリブレーションが同時に又は異なる時間に先ず開始されてもよい。効率を考慮すると、M個のチップは同時に較正されてもよい。こうして、チップ内キャリブレーションを完了するために、合計でN-1時点を要する。
2.M個のチップのチャネルの振幅位相キャリブレーションが次いで実行される。各々のチップにおいて、唯1つのチャネルが選択され、他のチップの1つのチャネルと比較されることを要する。
こうして、補正装置のアナログ・チャネルの振幅位相キャリブレーションは、合計でN-1+M-1時点を要する。従来方式が使用される場合、キャリブレーションのためにN×(M-1)時点が必要とされる。N及びMの値が大きい場合、キャリブレーション効率は著しく改善される。
受信チャネル間の振幅位相キャリブレーションについては、上記の説明を参照されたい。振幅位相調整が完了した後に、より良い線形パフォーマンスを獲得するために、HBF DPDキャリブレーションが次いで実行される。
補正装置のアナログ・チャネル等のチャネルをチップにパッケージすることは、より良いキャリブレーション・パフォーマンスを獲得するように、電力増幅器の一貫性を向上させることができる。更に、電力増幅器はデバイス間キャリブレーションにより、より良いパフォーマンスで線形化されることが可能である。
具体的には:
(1)本願のこの実施形態における複数のチャネルがチップにパッケージされた後に、マルチ・チャネル・チップのダイ共有特徴が使用されてもよく、複数の電力増幅器の類似性が物理的な実装で得られる。
(2)チップ内の送信チャネル及び受信チャネルの振幅及び位相の一貫性の比較は、簡易なカップリング及びスイッチ設計により完了させることができる。
2つ目の点に関し、送信チャネル及び受信チャネルの振幅位相キャリブレーション・プロセスについては、上記の説明を参照されたい。しかしながら、チップの実装精度に依存して、「最初の2つの送信チャネルがイネーブルにされ、次いで対応する位相ウェイトが、ダウンコンバートされた信号を最大化及び最小化するように調整される。この場合、チャネル2及びチャネル1の位相差はそれぞれ0°及び180°であると考えられてよい」というステップは、代替的に、信号を最小化して値を180°として記録するだけのように簡略化されてもよく、アナログ位相調整モジュールのリバース設定値はデフォルトで0°であることに留意すべきである。
このように、回路及びチップ・キャリブレーション回路の設計に関し、複数のPAに関する特徴/出力パワーの一貫性の問題は解決され、HBFアーキテクチャのキャリブレーション・パフォーマンスを保証する。簡易なスイッチ及びカップリング回路設計並びに合計/差分信号比較により、チップ設計の複雑さは低減され、回路の複数のチャネルに関するTX及びRX振幅及び位相キャリブレーションが完了し、それによりビーム方向及びヌル・パフォーマンスを保証する。更に、複数のアナログ・チャネルに対する補償モデルに関し、理想的な補正パフォーマンスを取得することができる。
更に、上記の単一ドライブ・チャネル及び複数の非理想チャネルを組み合わせるアーキテクチャ、チップに基づく設計等を利用することにより、デバイスのコスト及び電力消費は著しく削減されることが可能であり、且つ従来の単独チャネルPDによるものと同等の結果を得ることができる。
上記の実施形態の全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを利用することにより実装されてもよい。実施形態を実装するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態はコンピュータ・プログラム・プロダクトの形式で完全に又は部分的に実装されてもよい。
コンピュータ・プログラム・プロダクトは1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ・プログラム命令がコンピュータにロードされて実行されると、本発明の実施形態による手順又は機能が全体的又は部分的に生じる。コンピュータは汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータ・ネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に保存されてもよいし、あるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から別のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体へ伝送されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバー、又はデータ・センターから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバー、又はデータ・センターへ、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、又はディジタル加入者回線(DSL))又は無線(例えば、赤外線、無線、又はマイクロ波)の方式で伝送されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータによりアクセス可能な任意の利用可能な媒体、サーバー又はデータ・センター等の1つ以上の利用可能な媒体を統合するデータ・ストレージ・デバイスであってもよい。利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッド・ステート・ディスク、Solid State Disk(SSD))等であってもよい。