JP6769544B2 - 増幅装置、及び増幅方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信システムに用いられる基地局等の送信装置の、特に、増幅装置の高効率化技術、及びその制御技術に関する。
従来、増幅器を出力飽和領域で動作させる高効率増幅装置として、アウトフェージング方式の増幅装置(以下、アウトフェージング増幅装置と記す)が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
アウトフェージング増幅装置は、LINC(Linear Amplification with Nonlinear Components)方式の増幅装置と同様に、飽和増幅器等の一定振幅増幅器を使用した線形増幅装置である。ただし、LINC方式の増幅装置は、2つの増幅器の出力信号を合成する合成部として、合成時に3dBの損失が生じるハイブリッドや3dBカプラ等を使用する。これに対して、アウトフェージング増幅装置は、2つの増幅器の出力信号をアイソレーションせずに結合するシレー合成器(Chireix Combiner)を使用する。これにより、アウトフェージング増幅装置は、合成時の損失を低減できることから、線形性は低下するが効率を高くすることが可能となる。
関連技術に係るアウトフェージング増幅装置では、2つの増幅器から見たシレー合成器の各入力ポートの入力インピーダンスが非対称である為、シレー合成器の出力信号であるアウトフェージング合成信号の振幅(出力電力)のダイナミックレンジが狭くなるという問題があった。これは、上記入力インピーダンスの非対称性に起因して、各増幅器の出力信号の振幅にアンバランスが生じる為、アウトフェージング制御動作において、2つの増幅器からシレー合成器への入力信号の位相差を大きくしてアウトフェージング合成信号の振幅を小さく制御する際に、上記振幅アンバランスによって、アウトフェージング合成信号の振幅のキャンセル量が減少する為である。
図12は、関連技術に係るアウトフェージング増幅装置の一構成例を示すブロック図である。なお、図12の一例は、特許文献1の図1、及び非特許文献2の図9に記載されている。
図12に示す通り、関連技術に係るアウトフェージング増幅装置は、信号分離部2、DAC+Filter(デジタル/アナログ変換器、及びフィルタ)3a、直交変調器4a、周波数変換器5a、及び第1の増幅器6a(増幅器A)を含む。また、関連技術に係るアウトフェージング増幅装置は、DAC+Filter(デジタル/アナログ変換器、及びフィルタ)3b、直交変調器4b、周波数変換器5b、及び第2の増幅器6b(増幅器B)を含む。更に、関連技術に係るアウトフェージング増幅装置は、合成部7、周波数変換器8、直交復調器9、Filter+ADC(フィルタ、及びアナログ/デジタル変換器)10、非線形性補償部1、及び補償係数演算部11を含む。
非線形性補償部1は、アウトフェージング増幅装置に入力された入力ベースバンド信号 Sin(t) に対して非線形性補償処理を行い、非線形性補償処理を行った信号をSpd(t) として信号分離部2に出力する。尚、非線形性補償処理は、アウトフェージング増幅装置で増幅する前の入力ベースバンド信号 Sin(t) に対して非線形性補償係数を予め乗算する処理である。非線形性補償係数については後述する。
信号分離部2は、非線形性補償部1の出力信号Spd(t) を、Spd(t)の振幅に応じて位相変調をかけた、一定振幅の位相変調ペア信号である SC1(t) とSC2(t) とに分離し、SC1(t)をDAC+Filter 3aに出力し、SC2(t)をDAC+Filter 3bに出力する。DAC+Filter 3aは、位相変調ペア信号の一方のSC1(t)をデジタル信号からアナログ信号へ変換し、変換した信号を直交変調器4aに出力する。DAC+Filter 3bは、位相変調ペア信号の他方のSC2(t) をデジタル信号からアナログ信号へ変換し、変換した信号を直交変調器4bに出力する。
直交変調器4aは、DAC+Filter 3aの出力信号である同相(I相)信号及び直交(Q相)信号を直交変調し、直交変調した信号を周波数変換器5aに出力する。直交変調器4bは、DAC+Filter 3bの出力信号である同相(I相)信号及び直交(Q相)信号を直交変調し、直交変調した信号を周波数変換器5bに出力する。
周波数変換器5aは、ローカル発振信号(図示無し)を用いて、直交変調器4aの出力信号を、ベースバンド周波数、もしくは中間周波数(IF:Intermediate Frequency)の信号から、無線周波数(RF:Radio Frequency)の信号に変換し、変換した信号を第1の増幅器6aに出力する。周波数変換器5bは、ローカル発振信号(図示無し)を用いて、直交変調器4bの出力信号を、ベースバンド周波数、もしくは中間周波数の信号から、無線周波数の信号に変換し、変換した信号を第2の増幅器6bに出力する。
尚、直交変調器4a、及び直交変調器4bが、入力された同相(I相)信号及び直交(Q相)信号を無線周波数の信号に直接変換できる機能を有する場合には、周波数変換器5a、及び周波数変換器5bは不要となる。
第1の増幅器6aは、周波数変換器5aの出力信号を電力増幅し、電力増幅した信号をS1(t)として合成部7に出力する。第2の増幅器6bは、周波数変換器5bの出力信号を電力増幅し、電力増幅した信号をS2(t)として合成部7に出力する。
合成部7は、第1の増幅器6aの出力信号と第2の増幅器6bの出力信号とを合成し、合成した信号をアウトフェージング合成信号Sout(t) として出力するシレー合成器である。このアウトフェージング合成信号Sout(t)は、アウトフェージング増幅装置から出力され、アンテナ等(図示無し)から送信される。
周波数変換器8は、ローカル発振信号(図示無し)を用いて、合成部7の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t)を、無線周波数の信号から、ベースバンド周波数、もしくは中間周波数の信号に変換し、変換した信号を直交復調器9に出力する。直交復調器9は、周波数変換器8の出力信号を、同相(I相)信号及び直交(Q相)信号に復調し、復調した信号をFilter+ADC10に出力する。Filter+ADC10は、直交復調器9の出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換した信号を帰還ベースバンド信号Sfb(t) として補償係数演算部11に出力する。
尚、直交復調器9が、入力された無線周波数の信号を同相(I相)信号及び直交(Q相)信号に直接変換できる機能を有する場合には、周波数変換器8は不要となる。
補償係数演算部11は、入力ベースバンド信号 Sin(t) と帰還ベースバンド信号Sfb(t) とを比較し、合成部7の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t) の装置全体としての非線形性を補償する非線形性補償係数を算出し、非線形性補償部1に出力する。
非線形性補償部1は、上記非線形性補償処理において、入力ベースバンド変調信号Sin(t) に対して、補償係数演算部11で算出された非線形性補償係数を乗算する。
次に、アウトフェージング制御動作について説明する。
アウトフェージング制御動作の説明簡略化の為、ここでは図12における非線形性補償部1を動作させない条件とする。
非線形性補償部1を動作させていない場合、非線形性補償部1の出力信号Spd(t) は、Sin(t) と同一であるので、ここでは信号分離部2の入力信号をSin(t) として以下の式(1)で表すものとする。
Figure 0006769544
式(1)において、|Sin(t)| はSin(t) の振幅変調成分、θ(t) はSin(t) の位相変調成分である。
シレー合成器(合成部7)を用いたアウトフェージング制御においては、入力ベースバンド信号 Sin(t) の振幅に応じた位相変調角度φm(t) は、例えば式(2)で表すことができる。
Figure 0006769544
式(2)において、| Sin |pk は、|Sin(t)| の最大値である。| Sin |pk は、入力ベースバンド信号 Sin(t)のピーク対平均電力比 (PAPR:Peak to Average Power Ratio)と増幅器6a,6bの飽和出力レベルとの関係によって決定され設定される値である。
シレー合成器(合成部7)を用いたアウトフェージング制御における入力ベースバンド信号 Sin(t) と、位相変調ペア信号 SC1(t) とSC2(t)と、の関係は式(3)で表される。
Figure 0006769544
式(1)、式(2)、及び式(3)から、一定振幅の位相変調ペア信号 SC1(t) と SC2(t) は、以下の式(4)、及び式(5)で表すことができる。
Figure 0006769544
Figure 0006769544
シレー合成器(合成部7)を用いたアウトフェージング制御における、入力ベースバンド信号 Sin(t) と、位相変調ペア信号 SC1(t) とSC2(t) (及び−SC2(t) )と、の関係を図13に示す。図13では、図示簡略化の為、入力ベースバンド信号Sin(t) のベースバンド位相θ(t)を基準にしている(ゼロに置き換えている)。尚、実際に信号分離部2で位相変調をかけて生成する信号はSC1(t) とSC2(t) であるが、シレー合成器(合成部7)の場合、最終的にSC2(t) の位相が反転される。そこで、図13では、図面上の理解の為、−SC2(t) も示している。
以上、式(1)から式(5)と、図13に示す通り、信号分離部2では、入力ベースバンド信号Sin(t) の振幅に応じて、SC1(t) 及び−SC2(t) の位相が、入力ベースバンド信号Sin(t)の位相に対して±|π/2−φm(t)|になるように、すなわち、SC1(t) 及び−SC2(t)の両信号に位相差2×|π/2−φm(t)| が生じるように、±φm(t)の位相変調制御が与えられた一定振幅の位相変調ペア信号 SC1(t) 、SC2(t) が生成される。
信号分離部2で生成された、上記一定振幅の位相変調ペア信号の一方のSC1(t) は、DAC+Filter 3a、直交変調器4a、周波数変換器5a、及び第1の増幅器6aによって、無線周波数の信号に変換されて増幅された後、合成部7の一方の入力ポートに信号S1(t)として入力される。他方のSC2(t) は、DAC+Filter 3b、直交変調器4b、周波数変換器5b、及び第2の増幅器6bによって、無線周波数の信号に変換されて増幅された後、合成部7の他方の入力ポートに信号S2(t)として入力される。合成部7の各入力ポートにおける信号S1(t) 及びS2(t) は、無線周波数をfC とし、ωC=2πfC と置くと、上記式(4)、式(5)において、θ(t) を[ωC (t)+θ(t)] に置き換えて、増幅器6a,6bの利得G倍したものに相当する。
また、合成部7の各入力ポートにおける信号S1(t) 及びS2(t) は、非特許文献1に説明されている通り、合成部7としてシレー合成器を使用する場合には、S2(t) の位相が反転(−SC2(t) )されてS1(t) と合成されるので、合成部7の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t) は、式(6)で表すことができる。
Figure 0006769544
尚、ここでは、周波数変換過程や通過位相によって生じる固定位相(時間によって変化しない位相)は省略している。
更に、式(2)より、
Figure 0006769544
であるので、合成部7の出力信号、すなわちアウトフェージング増幅装置の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t) は、式(7)の通りである。
Figure 0006769544
以上、関連技術に係るアウトフェージング増幅装置によれば、上記式(1)のように、
Figure 0006769544
で表される入力ベースバンド信号Sin(t)を、無線周波数(以下RFと記す)に変換し、利得G倍に増幅されたアウトフェージング合成信号Sout(t) が得られ、一定振幅増幅器である2つの増幅器6a,6bを用いた線形増幅装置が実現できる。
尚、非線形性補償部1を動作させている条件では、上記式(1)から式(7)において、Sin(t) を Spd(t) に、|Sin(t)| を |Spd(t)| に、| Sin |pk を | Spd |pk に置き換えればよい。
以降、説明の便宜上、信号分離部2で2分岐された2つのルートのうち、DAC+Filter 3aから第1の増幅器6aまでのルートを第1ブランチ又は単にブランチと呼び、DAC+Filter 3bから第2の増幅器6bまでのルートを、第2ブランチ又は単にブランチと呼ぶ。
合成部7としてシレー合成器を使用した場合、上述の通り、2つの増幅器6a,6bから見た合成部7の各入力ポートの入力インピーダンスが非対称であることで、各増幅器6a,6bの出力信号S1(t)、 S2(t)の振幅にアンバランスが生じる。そのため、増幅器6a,6bとして飽和増幅器等の一定振幅増幅器を使用しているにもかかわらず、合成部7の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t)に非線形性が発生するという課題がある。また、2つの増幅器6a,6bから合成部7への入力信号S1(t)、 S2(t)の位相差を大きくして、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅を小さく制御する際に、上記振幅アンバランスによって、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅のキャンセル量が減少する為、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅(出力電力)のダイナミックレンジが狭くなるという課題もある。
以上の課題を、図を用いて説明する。
図14は、各増幅器6a,6bからの合成部7への入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しい( |S1(t)|=|−S2(t)| )場合の、S1(t) とS2(t) (及び−S2(t) )とSout(t) との、RFにおける位相関係を示す図である。
図15は、各増幅器6a,6bからの合成部7への入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しくない( |S1(t)|≠|−S2(t)| )場合の、S1(t) とS2(t) (及び−S2(t) )とSout(t) との、RFにおける位相関係を示す図である。
尚、図14及び図15では、いずれも、図示簡略化の為、各増幅器6a,6bからの合成部7への入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しい( |S1(t)|=|−S2(t)| )場合のアウトフェージング合成信号Sout(t) のRF位相(ωC (t)+θ(t)) を基準とした(ゼロに置き換えた)位相関係を表している。
図14と図15の比較からわかるように、Sin(t) に応じて制御された同一のφm(t) に対して、合成部7の入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しくない( |S1(t)|≠|−S2(t)| )場合のSout(t) は、合成部7の入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しい( |S1(t)|=|−S2(t)| )場合のSout(t) に対して、位相差ΔΨ(t) が生じている。この位相差ΔΨ(t)は、AM(Amplitude Modulation)/PM(Phase Modulation)非線形特性に相当する。ここで、AM/PM非線形性特性とは、位相変調ペア信号SC1(t)、SC2(t)に分離する前の信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅(以下、適宜、入力振幅と記す)の変化に対する、入出力位相差(=アウトフェージング合成信号Sout(t)の位相−信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の位相)の変化を表す。
図16に、シレー合成器(合成部7)における、SC1(t) と −SC2(t) の位相制御量に対する、 |S1(t)| と |−S2(t)| の振幅アンバランス(偏差)特性の一例を示す。ここで、SC1(t) と −SC2(t) の位相制御量とは、合成部7の入力信号S1(t)、 S2(t)の位相に対して加える位相制御量(±(90−φm(t)) deg ; 0 deg ≦φm(t) ≦90 deg)である。SC1(t) と −SC2(t) の位相を、インフェーズ、すなわち同位相(90−φm(t)=0 deg)にすることで最大振幅が得られる。この位相制御量は、同位相からの偏角なので、アウトフェーズアングルと呼ばれる。
また、図17に、上記図16のSC1(t) と −SC2(t) の位相制御量の絶対値(90−φm(t) deg ; 0 deg ≦φm(t) ≦90 deg)に対するシレー合成器(合成部7)の振幅アンバランス(偏差)特性を、|S1(t)|/|−S2(t)| の比に換算し対数変換した偏差(dB)として表した図を示す。
SC1(t) と −SC2(t) の位相制御量の絶対値に対して、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅の最大値が得られる0degを含む数点の位相でしか、|S1(t)|と|−S2(t)|が等振幅になっていないことがわかる。しかしながら、図12に示した関連技術に係るアウトフェージング増幅装置では、図16や図17に示したブランチ間振幅アンバランス(偏差)特性を、観測及び補償する手段を備えていない為、補償することができない。
また、図18に、SC1(t) と −SC2(t) の位相制御量の絶対値に対する、最大値を0dBとして正規化したアウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅(出力電力)の変化を示す。図18では、図16に示したブランチ間振幅アンバランス(偏差)がある場合と無い場合とでダイナミックレンジを比較している。
ブランチ間振幅アンバランス(偏差)が無い場合は、ダイナミックレンジが広く取れている。これに対して、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)がある場合は、アウトフェージング制御動作において、2つの増幅器6a,6bから合成部7への入力信号S1(t)、 S2(t)の位相差を大きくして、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅を小さく制御する際に、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅のキャンセル量が減少する為、22dB程度のダイナミックレンジしか得られていない。
図19に、図16に示したブランチ間振幅アンバランス(偏差)によって生じるAM/AM非線形性特性の一例とAM/PM非線形性特性の一例を示す。ここで、AM/AM非線形性特性とは、位相変調ペア信号SC1(t)、SC2(t)に分離する前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅(入力振幅)の変化に対する、出力振幅比(=正規化後のアウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅/信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅)の変化を表す。尚、AM/PM非線形性特性は、上述の通りである。
アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅が最大となる入力振幅から22dB以上低い低入力振幅領域においては、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)の影響が大きく、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)によって生じるアウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅のキャンセル量の減少に伴って、入力ベースバンド信号Sin(t)を再生できなくなっている。このように、関連技術において、信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)と合成後のアウトフェージング合成信号Sout(t)とを比較し、信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)に対してアウトフェージング増幅装置全体の非線形性を補償する非線形補償だけでは、特に、低入力振幅領域におけるAM/AM非線形特性とAM/PM非線形特性とを(両立して)完全に補償することができないと言う課題がある。
以上の課題を解決する目的から、アウトフェージング合成における2つのブランチのブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する手段を備えた装置が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
特許第5906967号公報 特開2015−146529号公報 特開2016−127577号公報
Frederic H. Raab, "Efficiency of Outphasing RF Power−Amplifier Systems," IEEE Transactions on Communications, vol. 33, no. 10, pp. 1094-1099, October 1985. J. Qureshi, M. J. Pelk, M. Marchetti, W. C. Edmund Neo, J. R. Gajadharsing, M.P. van der Heijden, and L. C. N. de Vreede, "A 90−W Peak Power GaN Outphasing Amplifier With Optimum Input Signal Conditioning," in IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. 57, No. 8, pp. 1925−1935, Aug. 2009.
特許文献1に開示された歪補償装置は、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性を補償する非線形性補償部(歪補償部)の出力信号と、一方のブランチ用の第1調整部の出力信号と、他方のブランチ用の第2調整部の出力信号と、合成部の出力信号と、に基づいて、装置全体の非線形性補償係数(歪補償係数)、一方のブランチ用の第1係数、及び、他方のブランチ用の第2係数を算出する演算部を備え、2つの増幅器をそれぞれ含む各ブランチの非線形特性、及び装置全体の非線形特性を求めることで、上記3種類の各非線形特性の逆特性を算出する。そして、特許文献1に開示された増幅装置は、アウトフェージング増幅装置の入力段で、入力ベースバンド信号に対して、装置全体の逆特性を掛け合わせ、更に信号分離部(信号生成部)で入力ベースバンド信号の振幅に応じた位相差を有する2つの信号に分離した各ブランチ信号に対して、各ブランチの非線形性の逆特性を掛け合わせることで、装置全体の非線形特性とブランチ間振幅アンバランスを補償する。
しかしながら、特許文献1に開示された歪補償装置は、(後述の特許文献3の中でも解決すべき課題として記載されている通り、)アウトフェージング増幅器全体の非線形特性とブランチ間振幅アンバランスを補償する為に、非線形性補償部の出力信号と、一方のブランチ用の第1調整部の出力信号と、他方のブランチ用の第2調整部の出力信号と、合成部の出力信号と、を観測する為、回路規模が大きいという問題があった。更に、特許文献1に開示された歪補償装置は、装置全体の非線形特性と各ブランチの非線形特性を求めた後に、それら3つの非線形性の逆特性を算出し、且つ、各々の逆特性は、多項式でモデリングされた関数の係数を、誤差が小さくなるよう演算し、逐次更新することで求めていた為、演算量が多く、演算負荷が大きいという問題があった。
特許文献2に開示された増幅装置は、2つの増幅器の各々の出力段に備えた2つの方向性結合器で、各々の進行波と反射波をモニタすることで各増幅部への反射係数を算出する。そして、特許文献2に開示された増幅装置は、各増幅器の負荷インピーダンス(反射係数)がバランスした状態となるように、一方の増幅器の入力信号の振幅を調整する。
しかしながら、特許文献2に開示された増幅装置は、2つの増幅器の各々の出力段に、方向性結合器と、方向性結合器で進行波と反射波をモニタした結果から反射係数を算出する反射係数算出部と、を設け、更に、2つの反射係数算出部で算出した2つの反射係数を比較する比較部と、比較部の比較結果に基づいて一方の増幅部の振幅を可変する振幅可変部と、が必要であり、回路規模が大きいという問題があった。更に、特許文献2に開示された増幅装置は、各増幅器の出力と合成器との間に方向性結合器を備える必要がある為、増幅器の出力と合成器の入力間の整合調整が困難になるという問題もあった。
特許文献3に開示された歪補償装置は、(上述の特許文献1における処理演算量が多いという問題を解決する為、)アウトフェージング増幅装置全体の非線形性の逆特性を算出する逆特性算出部と、装置全体の非線形性の逆特性と、一方の第2ブランチ信号と、アウトフェージング増幅装置の出力信号と、に基づいて、他方の第1ブランチ信号のレプリカ信号を算出するレプリカ信号算出部と、第1ブランチ信号のレプリカ信号と第1ブランチ信号とに基づいて、第1ブランチの非線形性の逆特性を算出する補正量算出部と、第1ブランチの非線形性の逆特性を第1ブランチ信号に乗算する調整部と、を備え、ブランチ間振幅アンバランスを補正する。
しかしながら、特許文献3に開示された歪補償装置は、特許文献1における処理演算量が多い問題を解決する目的から、両ブランチ毎の各補正量を算出せずに、片側のブランチのみの補正量を算出し補正する手段をとっているのにすぎない。そのため、特許文献3に開示された歪補償装置は、非線形性補償部(歪補償部)の出力信号と、信号分離後の一方のブランチのみに備えた調整部の出力信号と、他方のブランチ信号と、合成部の出力信号と、を観測する為、回路規模が大きいという問題があった。また、特許文献3に開示された歪補償装置は、特許文献1に開示された歪補償装置と同様に、逆特性は、多項式でモデリングされた関数の係数を、誤差が小さくなるよう演算し、逐次更新することで求めている。その為、特許文献3に開示された歪補償装置は、特許文献1に開示された歪補償装置よりは演算量が少なくなるものの、全体的な演算量が多いという問題は解決されていない。
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、増幅装置全体の非線形性の補償と、ブランチ間振幅アンバランスの補償との両方を、小規模の回路構成で且つ処理演算量を大幅に低減できる増幅装置、及び増幅方法を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明に係る増幅装置は、
第1ブランチに設けられた第1増幅器と、
第2ブランチに設けられた第2増幅器と、
前記増幅装置に入力された入力ベースバンド信号を、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた位相変調をかけることで、一定振幅の一対の位相変調信号に分離し、前記一対の位相変調信号の一方を第1ブランチ用信号として前記第1ブランチに出力し、前記一対の位相変調信号の他方を第2ブランチ用信号として前記第2ブランチに出力する信号分離部と、
前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とを合成し、該合成信号を前記増幅装置から出力する合成部と、
前記信号分離部の入力段に設けられ、前記入力ベースバンド信号に対し、前記増幅装置全体の非線形性を補償する非線形性補償係数を乗算する非線形性補償部と、
前記信号分離部の出力段に設けられ、前記第1ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第1偏差補償係数を乗算する第1偏差補償部と、
前記信号分離部の出力段に設けられ、前記第2ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第2偏差補償係数を乗算する第2偏差補償部と、
前記入力ベースバンド信号と、前記合成信号を帰還させた帰還ベースバンド信号と、に基づいて、前記非線形性補償係数、前記第1偏差補償係数、及び前記第2偏差補償係数を算出する補償係数演算部と、を備える。
上記課題を解決する為に、本発明に係る増幅方法は、
増幅装置による増幅方法であって、
前記増幅装置に入力された入力ベースバンド信号に対し、前記増幅装置全体の非線形性を補償する非線形性補償係数を乗算し、
前記入力ベースバンド信号に前記非線形性補償係数が乗算された信号を、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた位相変調をかけることで、一定振幅の一対の位相変調信号に分離し、
第1ブランチにおいて、前記一対の位相変調信号の一方である第1ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと第2ブランチとの間の偏差を補償する第1偏差補償係数を乗算し、第1増幅器で電力増幅して出力し、
前記第2ブランチにおいて、前記一対の位相変調信号の他方である第2ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第2偏差補償係数を乗算し、第2増幅器で電力増幅して出力し、
前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とを合成し、該合成信号を前記増幅装置から出力し、
前記入力ベースバンド信号と、前記合成信号を帰還させた帰還ベースバンド信号と、に基づいて、前記非線形性補償係数、前記第1偏差補償係数、及び前記第2偏差補償係数を算出する。
本発明によれば、増幅装置全体の非線形性の補償と、ブランチ間振幅アンバランスの補償との両方を、小規模の回路構成で且つ処理演算量を大幅に低減しつつ実現できるという効果が得られる。
本発明の実施の形態に係るアウトフェージング増幅装置の一構成例を示すブロック図である。 図1に示したアウトフェージング増幅装置における偏差補償部の一構成例を示すブロック図である。 信号分離部の入力信号Spd(t) と、信号分離部で生成するSC1(t) とSC2(t) (及び−SC2(t) )との、ベースバンドにおける位相関係を示す図である。 合成部の入力信号S’1(t) 、S’2(t)の振幅が等しくない場合の、S’1(t) とS’2(t) (及び−S’2(t) )との、ベースバンドにおける位相関係と、それによって生じる帰還ベースバンド信号Sfb(t) とSpd(t) との位相差ΔΨ(t) を説明する為の図である。 関連技術に係る補償方法によって、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性のみを補償し、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)は補償していない場合の、装置全体の非線形性補償後に残留するAM/AM非線形特性の一例、及びAM/PM非線形特性の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る偏差補償係数の算出方法の動作フローの一例を示す図である。 ブランチ間振幅アンバランス(偏差)に起因するAM/PM非線形性特性を補償する為に必要な、信号分離部の入力信号の振幅 |Spd(t)| に応じた位相補償係数の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る偏差補償係数を求める過程における、信号分離部の入力信号の振幅 |Spd(t)| に応じたtan(φm(t))×tan(−AM/PM(t)) を算出した結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る偏差補償係数を求める過程における、信号分離部の入力信号の振幅 |Spd(t)| に応じた係数k(t)=|S’C1(t)| /|S’C2(t)| を算出した結果を示す図である。 図8に示した係数k(t) から算出した、本発明の実施の形態に係る、信号分離部の入力信号の振幅 |Spd(t)| に応じた |S’C1(t)| 及び |S’C2(t)| の偏差補償係数を示す図である。 図19に示したAM/AM非線形特性、及びAM/PM非線形特性を補償していない場合のスペクトルと、関連技術に係る補償方法により、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性のみを補償し、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)は補償していない場合のスペクトルと、の比較を示す図である。 図19に示したAM/AM非線形特性、及びAM/PM非線形特性を補償していない場合のスペクトルと、本発明の実施の形態に係る補償方法により、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性とブランチ間振幅アンバランス(偏差)とを補償した場合のスペクトルと、の比較を示す図である。 関連技術に係るアウトフェージング増幅装置の一構成例を示すブロック図である。 アウトフェージング制御における入力ベースバンド信号 Sin(t) と位相変調ペア信号 SC1(t) とSC2(t) (及び−SC2(t) )との関係を示す図である。 合成部の入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しい場合の、S1(t) とS2(t) (及び−S2(t) )とSout(t) との、RFにおける位相関係を示す図である。 合成部の入力信号S1(t)、 S2(t)の振幅が等しくない場合の、S1(t) とS2(t) (及び−S2(t) )とSout(t) との、RFにおける位相関係を示す図である。 シレー合成器におけるSC1(t) と −SC2(t) の位相制御量に対する、 |S1(t)| と |−S2(t)| の振幅アンバランス(偏差)特性の一例を示す図である。 図16に示したSC1(t) と −SC2(t) の位相制御量に対するシレー合成器の振幅アンバランス(偏差)特性を、|S1(t)|/|−S2(t)| の比に換算し対数変換した偏差(dB)として表した図である。 SC1(t) と −SC2(t) の位相制御量に対する、最大値を0dBとして正規化したアウトフェージング合成信号Sout(t)の出力電力変化を示し、図16に示したブランチ間振幅アンバランス(偏差)がある場合と無い場合のダイナミックレンジの比較を示す図である。 図16に示したSC1(t) と −SC2(t) の位相制御量に対するシレー合成器の振幅特性によって生じるAM/AM非線形性特性の一例とAM/PM非線形性特性の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施の形態の構成>
図1に、本実施の形態に係るアウトフェージング増幅装置の一構成例のブロック図を示す。尚、図1において、図12に示した関連技術に係るアウトフェージング増幅装置と同一部分は、同一符号を付与しており、背景技術の欄で既に説明済みの為、ここでの説明は省略する。
関連技術に係る図12に対して図1で追加した回路構成は、アウトフェージング増幅装置の2つのブランチのブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する手段として、信号分離部2からの一定振幅の位相変調ペア信号 SC1(t) 及びSC2(t) に対し、それぞれの偏差補償係数を乗算する偏差補償部12aと偏差補償部12bのみである。
図2は、図1に示した偏差補償部12aと偏差補償部12bの一構成例を示すブロック図である。
図2に示す通り、偏差補償部12aは、例えば、乗算部13aとLUT(ルックアップテーブル)14aを含む。偏差補償部12bは、例えば、乗算部13bとLUT(ルックアップテーブル)14bを含む。
本実施の形態に係る信号分離部2は、関連技術と同様に、一定振幅の位相変調ペア信号 SC1(t) 及びSC2(t) を出力すると共に、信号分離部2の入力信号Spd(t)、すなわち非線形性補償部1の出力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| の振幅情報を、偏差補償部12aと偏差補償部12bに出力する。尚、本実施の形態に係る信号分離部2は、SC1(t)を偏差補償部12aに出力し、SC2(t)を偏差補償部12bに出力する。
尚、信号分離部2では、背景技術の欄で説明した通り、位相変調角度φm(t) を導出する過程で、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)|を算出している。その為、上記振幅情報は、関連技術においても既知の情報であり、本実施の形態において新たに追加演算を必要とするものではない。
LUT14aは、非線形性補償部1の出力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| と偏差補償部12aの偏差補償係数とを対応づけたルックアップテーブルである。偏差補償部12aでは、信号分離部2からのからの振幅|Spd(t)| の振幅情報に基づいて、|Spd(t)|に対応する偏差補償係数をLUT14aから取得し、取得した偏差補償係数を信号分離部2からの出力信号SC1(t) と乗算部13aで乗算して出力する。
同様に、LUT14bは、非線形性補償部1の出力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| と偏差補償部12bの偏差補償係数とを対応づけたルックアップテーブルである。偏差補償部12bでは、信号分離部2からの振幅|Spd(t)| の振幅情報に基づいて、|Spd(t)| に対応する偏差補償係数をLUT14bから取得し、取得した偏差補償係数を信号分離部2からの出力信号SC2(t) と乗算部13bで乗算して出力する。
本実施の形態に係る補償係数演算部11は、アウトフェージング増幅装置に入力された入力ベースバンド信号 Sin(t) と、アウトフェージング増幅装置から出力されたアウトフェージング合成信号を出力モニタ信号として帰還させた帰還ベースバンド信号Sfb(t) と、だけを比較する。そして、補償係数演算部11は、入力ベースバンド信号 Sin(t) と帰還ベースバンド信号Sfb(t) との比較結果に基づいて、装置全体としての非線形性を補償する非線形補償係数を算出して非線形性補償部1に出力すると共に、後述する演算方法によって、2つのブランチのブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する偏差補償係数も算出して偏差補償部12a及び偏差補償部12bにそれぞれ出力する。
<実施の形態の動作>
以下、本発明の実施の形態に係るアウトフェージング増幅装置の動作について説明する。尚、入力ベースバンド信号Sin(t) と帰還ベースバンド信号Sfb(t) とを比較することで、装置全体の非線形性を補償する非線形補償係数を算出する手段は、アウトフェージング増幅装置に係らず、関連技術として各種提案されている為、ここでは説明を省略する。
以降、本実施の形態に係る補償係数演算部11において、入力ベースバンド信号 Sin(t) と帰還ベースバンド信号Sfb(t) とだけを比較し、2つのブランチのブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償するそれぞれの偏差補償係数が算出できることについて説明する。
帰還ベースバンド信号Sfb(t) は、上述の通り、合成部7の出力信号であるアウトフェージング合成信号Sout(t)を、周波数変換器8、直交復調器9、及びFilter+ADC10によって、ベースバンド周波数の信号に変換し、出力モニタ信号として帰還させた信号である。
図3Aは、信号分離部2の入力信号Spd(t) と、信号分離部2で生成するSC1(t) とSC2(t) (及び−SC2(t) )との、ベースバンドにおける位相関係を示す図である。図3Aでは、信号分離部2の入力信号Spd(t) の位相を基準としている。ここで、以下では、|S1(t)| ≠ |−S2(t)|である場合のS1(t)、S2(t)を、S’1(t)、S’2(t)と記す。図3Bは、各増幅器6a,6bからの合成部7への入力信号の振幅が等しくない( |S’1(t)| ≠ |−S’2(t)| )場合の、合成部7の入力信号S’1(t) とS’2(t) (及び−S’2(t) )との、ベースバンドにおける位相関係と、それによって生じる帰還ベースバンド信号Sfb(t) と信号分離部2の入力信号Spd(t) との位相差ΔΨ(t) を説明する為の図である。図3Bでは、信号分離部2の入力信号Spd(t) の位相を基準としている。尚、信号分離部2の入力信号Spd(t) の位相を基準にして表しているのは、Spd(t) の位相を基準にアウトフェージング位相制御が行われる為である。
信号分離部2の出力段における |SC1(t)| と|−SC2(t)| は等しい。しかしながら、シレー合成器(合成部7)の入力インピーダンスの非対称性に起因し、各増幅器6a,6bからの出力信号の振幅、すなわち合成部7の入力信号の振幅 |S’1(t)| と |−S’2(t)| にアンバランスが生じ、|S’1(t)| ≠ |−S’2(t)| となる。
この時、図3Bと同様に、信号分離部2の入力信号Spd(t) の位相を基準とした場合、S’1(t)、S’2(t)、及びSfb(t) は、以下の式(8)、及び式(9)で表せる。
Figure 0006769544
Figure 0006769544
Spd(t) の位相を基準とした上記式(9)においては、ベースバンドにおけるSpd(t) とSfb(t) の位相差がΔΨ(t) である。そのため、ΔΨ(t)の正接tan(ΔΨ(t)) は、上記式(9)のSfb(t) で表される帰還ベースバンド信号の同相(I相)成分と直交(Q相)成分から、以下の式(10)によって求めることができる。
Figure 0006769544
上記Spd(t) とSfb(t) との位相差ΔΨ(t) をキャンセルするには、非線形性補償部1で装置全体の非線形性を補償した後のSfb (t) の位相を−ΔΨ(t) 回転させるように、予め信号分離部2からの第1ブランチ用の出力信号SC1(t)の振幅 |SC1(t)| と第2ブランチ用の出力信号SC2(t)の振幅 |SC2(t)| を補償すればよい。
信号分離部2からの第1ブランチ用の出力信号SC1(t)の振幅 |SC1(t)| を偏差補償部12aで補償した振幅を |S’C1(t)| 、及び、信号分離部2からの第2ブランチ用の出力信号SC2(t)の振幅 |SC2(t)| を偏差補償部12bで補償した振幅を |S’C2(t)| と置くと、合成後のアウトフェージング合成信号Sout(t)の位相を予め−ΔΨ(t) 回転させる |S’C1(t)| と |S’C2(t)| は、以下の式(11)を満足する値が要求される。
Figure 0006769544
次に、上記式(11)において、以下の式(12)で置き換えられた、補償すべき |S’C2(t)| と |S’C1(t)| の比を表す係数(特定係数)k(t) を導入する。
Figure 0006769544
上記係数k(t) を用いて上記式(11)を変換すると、式(13)の通りである。
Figure 0006769544
更に変形すると、上記式(13)から式(14)が得られる。
Figure 0006769544
上記式(14)から、補償すべき |S’C2(t)| と |S’C1(t)| の比を表す係数k(t) は式(15)の通りである。
Figure 0006769544
まず、非線形性補償部1を動作させる前の状態では、信号分離部2の入力信号Spd(t) は、入力ベースバンド信号Sin(t) と等しい。その時のΔΨ(t) は、ベースバンドにおける入力ベースバンド信号Sin(t) と帰還ベースバンド信号Sfb(t) の位相差である。そのため、装置全体の非線形性補償用に具備する、補償係数演算部11で観測できる装置全体のAM/PM非線形性特性に等しい。
従って、AM/PM非線形性特性の逆特性である−ΔΨ(t) を−AM/PM(t) に置き換えると、係数k(t) は式(16)で表せる。
Figure 0006769544
次に、非線形性補償部1を動作させた後は、図3Bに示す通り、装置全体の非線形性補償量のうち、入力ベースバンド信号Sin(t) のベースバンド位相θ(t) に対して加えたAM/PM非線形性特性の補償量がδpd(t) であった場合、信号分離部2の入力信号Spd(t) の位相は(θ(t)+δpd(t)) である。
比較的高い入力振幅領域においては、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償していなくても、非線形性補償部1による、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に応じた装置全体のAM/PM非線形性の補償量δpd(t) だけでも、合成部7の入力信号の振幅 |S’1(t)| と|−S’2(t)| とのアンバランスに起因した位相差ΔΨ(t) を、(図3B上は、+δpd(t) −ΔΨ(t)=0として)見掛け上は補償できる場合がある。
しかしながら、図18、及び図19に示した通り、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅が最大値となる入力振幅(Sin(t)の振幅)から22dB以上低い低入力振幅領域においては、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)によってアウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅のキャンセル量が減少する(例えばS’1(t) と−S’2(t) が逆相になっても、アウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅を下げられない)。その為、低入力振幅領域における入力ベースバンド信号Sin(t)を再生できない。
一例として、図4に、関連技術に係る補償方法によってアウトフェージング増幅装置全体の非線形性のみを補償し、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)は補償していない場合の、装置全体の非線形性補償後に残留するAM/AM非線形特性の一例、及びAM/PM非線形特性の一例を示す。図4に示す通り、装置全体の非線形性補償だけでは、AM/AM非線形特性とAM/PM非線形特性とを(両立して)完全に補償することができず、AM/PM非線形特性が残留する。
装置全体のAM/PM非線形特性を補償した後に、補償係数演算部11で観測した、上記残留した装置全体のAM/PM非線形性特性の逆特性を−AM/PM(t) と置くと、非線形性補償部1を動作させた場合でも、係数k(t) は上記式(16)の通りである。
以下、実際に上記式(16)に基づいて、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する偏差補償係数を算出する手順について、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る偏差補償係数の算出方法を示す動作フローの一例である。
まず、非線形性補償部1において、入力ベースバンド信号Sin(t)に対して、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に応じた非線形性補償係数を乗算することで、アウトフェージング合成信号Sout(t)の装置全体としての非線形性を補償する(ステップS1)。
上述の通り、補償係数演算部11では、装置全体の非線形性補償後に残留している、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に対するAM/PM非線形特性を観測でき、観測したAM/PM非線形特性の符号を反転することで、AM/PM非線形特性の補償係数を算出できる。ここで、AM/PM非線形特性は、信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| (入力振幅)の変化に対する、入出力位相差(=アウトフェージング合成信号Sout(t)の位相−信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の位相)の変化として観測されている。
また、補償係数演算部11では、上記AM/PM非線形特性と同時に、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に対するAM/AM非線形特性を観測できる。ここで、AM/AM非線形特性は、信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| (入力振幅)の変化に対する、出力振幅比(=正規化後のアウトフェージング合成信号Sout(t)の振幅/信号分離前の入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅)の変化として観測されている。AM/AM非線形特性をAM/AM(t) と置くと、非線形性補償部1からの信号分離部2への入力信号Spd(t)の振幅 |Spd(t)| は次の式(17)で表せる。
Figure 0006769544
従って、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に応じた上記位相補償係数は、入力ベースバンド信号Sin(t)の振幅 |Sin(t)| に対する上記AM/AM非線形特性の逆数を用いて、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅 |Spd(t)| に応じた位相補償係数に変換できる。
図6に、以上の手順によって算出した、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)に起因するAM/PM非線形性特性を補償する為に必要な、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅 |Spd(t)| に応じた位相補償係数の一例を示す。
次に、補償係数演算部11において、図6の、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じた位相補償係数(−AM/PM(t))と、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じたφm(t) との既知情報に基づき、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じたtan(φm(t))×tan(−AM/PM(t)) を算出する(ステップS2)。
図7に、以上の手順によって、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じたtan(φm(t))×tan(−AM/PM(t)) を算出した結果を示す。
次に、補償係数演算部11において、ステップS2で算出した、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じたtan(φm(t))×tan(−AM/PM(t)) から、上記式(16)に基づいて、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じた、補償すべき |S’C2(t)| と |S’C1(t)| の比を表す係数k(t) =|S’C1(t)| /|S’C2(t)| を算出する(ステップS3)。
図8に、以上の手順によって、信号分離部2の入力信号の振幅|Spd(t)| に応じた係数k(t)=|S’C1(t)| /|S’C2(t)| を算出した結果を示す。
次に、補償係数演算部11において、ステップS3で算出した係数k(t) =|S’C1(t)| /|S’C2(t)|から、信号分離部2の入力信号の振幅|Spd(t)| に応じた |S’C1(t)| 及び |S’C2(t)| の各々の偏差補償係数を算出する(ステップS4)。
係数k(t) は、|S’C2(t)| に対して補償すべき |S’C1(t)| の比を表す係数である。そのため、k(t) が1よりも大きい場合は、|S’C1(t)| をk(t) 倍(>1)に増加させるか、もしくは |S’C2(t)| を1/k(t) 倍(<1)に低減させれば、合成部7の入力信号S’1(t)、−S’2(t)の振幅 |S’1(t)| 及び |−S’2(t)| のブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償できる。また、k(t) が1よりも小さい場合は、|S’C1(t)| をk(t) 倍(<1)に低減させるか、もしくは |S’C2(t)| を1/k(t) 倍(>1)に増加させれば、合成部7の入力信号S’1(t)、−S’2(t)の振幅 |S’1(t)| 及び |−S’2(t)| のブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償できる。
ここで、シレー合成器(合成部7)を用いたアウトフェージング増幅器は、ハイブリッドや3dBカプラ等を合成部として使用する上記LINC方式とは異なり、電力効率を改善させるように、位相制御量(±(90−φm(t)) deg ; 0 deg ≦φm(t) ≦90 deg)に応じて、すなわち同位相からの偏角の増加に応じて、振幅が小さくなるように変調をかけることが目的である。そのため、シレー合成器(合成部7)を用いたアウトフェージング増幅器は、合成部7の入力信号S’1(t)、−S’2(t)のブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償した後の |S’1(t)| = |−S’2(t)| を小さくする方向の補償を行うものとする。そこで、以下では、k(t) が1よりも大きい場合は |S’C2(t)| を1/k(t) 倍(<1)に低減させ、k(t) が1よりも小さい場合は |S’C1(t)| をk(t) 倍(<1)に低減させる補償例を示す。
本実施の形態に係る補償係数演算部11において、図8に示した信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅 |Spd(t)| に応じた係数k(t)=|S’C1(t)| /|S’C2(t)| から算出した、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じた |S’C1(t)| 及び |S’C2(t)| の偏差補償係数を図9に示す。
以上、説明の便宜上(区別の為)、|S’C1(t)| の偏差補償係数、及び |S’C2(t)| の偏差補償係数と表現しているが、これらは、実際には、信号分離部2からの、SC1(t) 用の偏差補償係数、及び SC2(t) 用の偏差補償係数に他ならない。
その後、補償係数演算部11において、ステップS4で算出した|S’C1(t)| の偏差補償係数を、図9に示す、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じた SC1(t) 用の偏差補償係数として、図2に示した偏差補償部12aにおけるLUT14aに保存し、LUT14aを更新する。同様に、補償係数演算部11において、ステップS4で算出した|S’C2(t)| の偏差補償係数を、図9に示す、信号分離部2の入力信号Spd(t)の振幅|Spd(t)| に応じた SC2(t) 用の偏差補償係数として、図2に示した偏差補償部12bにおけるLUT14bに保存し、LUT14bを更新する。
図2の説明で述べた通り、偏差補償部12aでは、信号分離部2からの|Spd(t)|の振幅情報に基づいて、|Spd(t)|に対応する偏差補償係数をLUT14aから取得し、取得した偏差補償係数を信号分離部2からの出力信号SC1(t) と乗算部13aで乗算して出力する。同様に、偏差補償部12bでは、信号分離部2からの|Spd(t)|の振幅情報に基づいて、|Spd(t)| に対応する偏差補償係数をLUT14bから取得し、取得した偏差補償係数を信号分離部2からの出力信号SC2(t) と乗算部13bで乗算して出力する。
以上、別の手段として、係数k(t) から各偏差補償係数を算出する際、 k(t) が1より大きい場合に |S’C1(t)| をk(t) 倍(>1)に増加させ、k(t) が1より小さい場合に |S’C2(t)| を1/k(t) 倍(>1)に増加させる演算処理であっても、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)は補償可能であることは言うまでもない。
特許文献1、及び特許文献3に示した関連技術のように、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)の逆特性を、多項式によるモデリング関数とし、多項式の係数を、誤差が小さくなるよう逐次更新する場合は、係数収束までに複数回の演算を必要とする。これに対して、図5に示した本実施の形態に係る偏差補償係数の算出方法によれば、装置全体のAM/AM非線形特性とAM/PM非線形性とから、1回の演算でブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する偏差補償係数の収束値を算出することができる。
<実施の形態の効果>
図10に、図19に示したAM/AM非線形特性、及びAM/PM非線形特性を補償していない場合のスペクトルと、関連技術に係る補償方法により、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性のみを補償し、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)は補償していない場合のスペクトルと、の比較を示す。
図11に、図19に示したAM/AM非線形特性、及びAM/PM非線形特性を補償していない場合のスペクトルと、本実施の形態に係る補償方法により、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性とブランチ間振幅アンバランス(偏差)とを補償した場合のスペクトルの比較を示す。
図10に示す通り、非線形性補償が無い場合に比べて、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性補償だけでも歪を抑圧できるが、D/U比(Desire to Undesire Ratio)は、45dBc程度である。これに対し、図11に示す通り、本実施の形態に係る補償方法によりブランチ間振幅アンバランス(偏差)とアウトフェージング増幅装置全体の非線形性の両方を補償した場合は、歪のD/U比で55dBc以上まで、AM/AM非線形特性とAM/PM非線形特性を補償できる。
また、シレー合成器(合成部7)を使用した場合に、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)に起因してアウトフェージング合成信号の振幅(出力電力)のダイナミックレンジが狭くなるという問題も、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)の補償の実現によって解決できる。
以上説明した、本実施の形態に係るアウトフェージング増幅装置によれば、アウトフェージング増幅装置に入力される入力ベースバンド信号 Sin(t)と、アウトフェージング増幅装置から出力される合成後のアウトフェージング合成信号Sout(t)と、だけを観測する小規模な回路構成のまま、関連技術における装置全体の非線形性補償処理の過程で、入力ベースバンド信号 Sin(t)と、合成後のアウトフェージング合成信号Sout(t)と、を補償演算に使用しながらも、装置全体の非線形性を補償する非線形性補償係数と、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)を補償する各偏差補償係数と、を算出する。その為、アウトフェージング増幅装置全体の非線形性補償と、ブランチ間振幅アンバランス(偏差)補償との両方を、小規模の回路構成で且つ処理演算量を大幅に低減しつつ実現できる。
以上、実施の形態を参照して本願発明における様々な観点を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の各観点における構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2017年3月21日に出願された日本出願特願2017−053943を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 非線形性補償部
2 信号分離部
3a DAC+Filter(デジタル/アナログ変換器、及びフィルタ)
3b DAC+Filter(デジタル/アナログ変換器、及びフィルタ)
4a 直交変調器
4b 直交変調器
5a 周波数変換器
5b 周波数変換器
6a 第1の増幅器(増幅器A)
6b 第2の増幅器(増幅器B)
7 合成部
8 周波数変換器
9 直交復調器
10 Filter+ADC(フィルタ、及びアナログ/デジタル変換器)
11 補償係数演算部
12a 偏差補償部
12b 偏差補償部
13a 乗算部
13b 乗算部
14a LUT(ルックアップテーブル)
14b LUT(ルックアップテーブル)

Claims (4)

  1. 増幅装置であって、
    第1ブランチに設けられた第1増幅器と、
    第2ブランチに設けられた第2増幅器と、
    前記増幅装置に入力された入力ベースバンド信号を、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた位相変調をかけることで、一定振幅の一対の位相変調信号に分離し、前記一対の位相変調信号の一方を第1ブランチ用信号として前記第1ブランチに出力し、前記一対の位相変調信号の他方を第2ブランチ用信号として前記第2ブランチに出力する信号分離部と、
    前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とを合成し、該合成信号を前記増幅装置から出力する合成部と、
    前記信号分離部の入力段に設けられ、前記入力ベースバンド信号に対し、前記増幅装置全体の非線形性を補償する非線形性補償係数を乗算する非線形性補償部と、
    前記信号分離部の出力段に設けられ、前記第1ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第1偏差補償係数を乗算する第1偏差補償部と、
    前記信号分離部の出力段に設けられ、前記第2ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第2偏差補償係数を乗算する第2偏差補償部と、
    前記入力ベースバンド信号と、前記合成信号を帰還させた帰還ベースバンド信号と、に基づいて、前記非線形性補償係数、前記第1偏差補償係数、及び前記第2偏差補償係数を算出する補償係数演算部と、を備え、
    前記補償係数演算部は、
    前記非線形性補償部により前記増幅装置全体の非線形性を補償した後の前記入力ベースバンド信号及び前記帰還ベースバンド信号を観測し、
    前記入力ベースバンド信号及び前記帰還ベースバンド信号に基づいて、前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた、前記第1偏差補償部の出力信号と前記第2偏差補償部の出力信号との振幅比を表す特定係数を算出し、
    前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた前記特定係数に基づいて、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた、前記合成信号と前記入力ベースバンド信号との位相差を表すAM/PM非線形特性を観測し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた、前記合成信号と前記入力ベースバンド信号との振幅比を表すAM/AM非線形特性を観測し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた前記AM/AM非線形特性の逆数に基づいて、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性を、前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性の逆数に変換し、
    前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性の逆数の正接と、前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた位相変調角度の正接と、の積を算出し、
    前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた前記積に基づいて、前記信号分離部の入力信号の振幅に応じた前記特定係数を算出し、
    前記特定係数は、前記第1偏差補償部の出力信号の振幅を被除数とし、前記第2偏差補償部の出力信号の振幅を除数としたkで表される係数であり
    前記補償係数演算部は、前記kに基づいて、
    前記kが1よりも大きい場合には、前記第2偏差補償部の出力信号の振幅が1/k倍になるように、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出し、
    前記kが1よりも小さい場合には、前記第1偏差補償部の出力信号の振幅がk倍になるように、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出する、
    増幅装置。
  2. 前記信号分離部は、
    前記信号分離部の入力信号の振幅の振幅情報を前記第1偏差補償部及び前記第2偏差補償部に出力し、
    前記第1偏差補償部は、
    前記信号分離部の入力信号の振幅と前記第1偏差補償係数とを対応づけた第1ルックアップテーブルを備えており、前記信号分離部からの振幅情報に基づいて、前記信号分離部の入力信号の振幅に対応する前記第1偏差補償係数を前記第1ルックアップテーブルから取得し、前記第1ブランチ用信号に対し、取得した前記第1偏差補償係数を乗算し、
    前記第2偏差補償部は、
    前記信号分離部の入力信号の振幅と前記第2偏差補償係数とを対応づけた第2ルックアップテーブルを備えており、前記信号分離部からの振幅情報に基づいて、前記信号分離部の入力信号の振幅に対応する前記第2偏差補償係数を前記第2ルックアップテーブルから取得し、前記第2ブランチ用信号に対し、取得した前記第2偏差補償係数を乗算する、
    請求項に記載の増幅装置。
  3. 前記補償係数演算部は、
    前記第1偏差補償係数を算出すると、前記第1ルックアップテーブルを更新し、
    前記第2偏差補償係数を算出すると、前記第2ルックアップテーブルを更新する、
    請求項に記載の増幅装置。
  4. 増幅装置による増幅方法であって、
    前記増幅装置に入力された入力ベースバンド信号に対し、前記増幅装置全体の非線形性を補償する非線形性補償係数を乗算する非線形性補償ステップと
    前記入力ベースバンド信号に前記非線形性補償係数が乗算された信号を、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた位相変調をかけることで、一定振幅の一対の位相変調信号に分離する信号分離ステップと
    第1ブランチにおいて、前記一対の位相変調信号の一方である第1ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと第2ブランチとの間の偏差を補償する第1偏差補償係数を乗算し、第1増幅器で電力増幅して出力する第1偏差補償ステップと
    前記第2ブランチにおいて、前記一対の位相変調信号の他方である第2ブランチ用信号に対し、前記第1ブランチと前記第2ブランチとの間の偏差を補償する第2偏差補償係数を乗算し、第2増幅器で電力増幅して出力する第2偏差補償ステップと
    前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とを合成し、該合成信号を前記増幅装置から出力するステップと
    前記入力ベースバンド信号と、前記合成信号を帰還させた帰還ベースバンド信号と、に基づいて、前記非線形性補償係数、前記第1偏差補償係数、及び前記第2偏差補償係数を算出する補償係数演算ステップと、を含み、
    前記補償係数演算ステップでは、
    前記非線形性補償ステップにより前記増幅装置全体の非線形性を補償した後の前記入力ベースバンド信号及び前記帰還ベースバンド信号を観測し、
    前記入力ベースバンド信号及び前記帰還ベースバンド信号に基づいて、前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた、前記第1偏差補償ステップの出力信号と前記第2偏差補償ステップの出力信号との振幅比を表す特定係数を算出し、
    前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた前記特定係数に基づいて、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた、前記合成信号と前記入力ベースバンド信号との位相差を表すAM/PM非線形特性を観測し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた、前記合成信号と前記入力ベースバンド信号との振幅比を表すAM/AM非線形特性を観測し、
    前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた前記AM/AM非線形特性の逆数に基づいて、前記入力ベースバンド信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性を、前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性の逆数に変換し、
    前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた前記AM/PM非線形特性の逆数の正接と、前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた位相変調角度の正接と、の積を算出し、
    前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた前記積に基づいて、前記信号分離ステップの入力信号の振幅に応じた前記特定係数を算出し、
    前記特定係数は、前記第1偏差補償ステップの出力信号の振幅を被除数とし、前記第2偏差補償ステップの出力信号の振幅を除数としたkで表される係数であり
    前記補償係数演算ステップでは、前記kに基づいて、
    前記kが1よりも大きい場合には、前記第2偏差補償ステップの出力信号の振幅が1/k倍になるように、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出し、
    前記kが1よりも小さい場合には、前記第1偏差補償ステップの出力信号の振幅がk倍になるように、前記第1偏差補償係数及び前記第2偏差補償係数を算出する、
    増幅方法。
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