JP2020091959A - 照明用カバー - Google Patents

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大家 和晃
Kazuaki Oya
和晃 大家
瑶子 宮本
Yoko Miyamoto
瑶子 宮本
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Abstract

【課題】吸水タイプであっても、密着性を向上することができる、照明用カバーを提供する。【解決手段】本発明は、光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーであって、前記光源を覆うように構成され、樹脂材料によって形成されたカバー本体と、前記カバー本体において前記光源に対向する内面に積層される吸水性の防曇層と、を備え、前記防曇膜は、シランカップリング剤を含有し、前記防曇膜は、水分飽和膨張倍率が10〜500%である、照明用カバー。但し、前記水分飽和膨張倍率は、前記防曇膜が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1、前記防曇膜が乾燥状態であるときの膜厚をD2と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。【選択図】図1

Description

本発明は、光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーに関する。
特許文献1には、自動車用のヘッドライトのカバーに防曇膜を積層することで、カバーの曇りを防止することが開示されている。
特開2009−54348号公報
ところで、防曇膜は種々の種類があるが、水分を吸収する吸水タイプの防曇膜を用いると、水分を吸収したときに膨張し、カバーから剥がれやすくなるという問題がある。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、吸水タイプであっても、密着性を向上することができる、照明用カバーを提供することを目的とする。
項1.光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーであって、
前記光源を覆うように構成され、樹脂材料によって形成されたカバー本体と、
前記カバー本体において前記光源に対向する内面に積層される吸水性の防曇層と、
を備え、
前記防曇膜は、シランカップリング剤を含有し、
前記防曇膜は、水分飽和膨張倍率が10〜500%である、照明用カバー。
但し、前記水分飽和膨張倍率は、前記防曇膜が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1、前記防曇膜が乾燥状態であるときの膜厚をD2と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。
項2.光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーであって、
前記光源を覆うように構成され、樹脂材料によって形成されたカバー本体と、
前記カバー本体において前記光源に対向する内面に積層される下地層と、
前記下地層に積層される吸水性の防曇膜と、
を備え、
前記防曇膜は、水分飽和膨張倍率が10〜500%である、照明用カバー。
但し、前記水分飽和膨張倍率は、前記防曇膜が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1、前記防曇膜が乾燥状態であるときの膜厚をD2と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。
項3.前記下地層は、ポリエステル系有機高分子材料を含有する、項2に記載の照明用カバー。
項4.前記防曇膜のヤング率が、100〜500MPaである、項1から3のいずれかに記載の照明用カバー。
項5.前記カバー本体の前記内面の少なくとも一部が曲面状に形成され、当該曲面状に形成された部分に、前記防曇膜が積層されている、項1から4のいずれかに記載の照明用カバー。
項6.前記カバー本体の内面において、少なくとも前記防曇膜が積層される領域の表面粗さRaが、0.5nm以上1μm以下である、項1から5のいずれかに記載の照明用カバー。
本発明によれば、吸水性タイプであっても、密着性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る照明用カバーが適用されるヘッドライトの一部断面図である。 図1のヘッドライトの製造方法を示す概略図である。 図1のヘッドライトの製造方法を示す概略図である。
以下、本発明に係る照明用カバーを自動車のヘッドライト(照明装置)に適用した場合の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る照明用カバーが適用されるヘッドライトの一部断面図である。
<1.ヘッドライトの概要>
図1に示すように、本実施形態に係るヘッドライトは、カップ状のハウジング1と、このハウジング1内に収容されるリフレクタ2と、リフレクタ2の中央付近に設けられるランプ3と、ハウジング1の開口を覆うカバー4と、を備えている。
ハウジング1は、樹脂材料によって形成されており、板状の基部11と、この基部11の周縁から立ち上がる周縁部12とを備えている。リフレクタ2は、カップ状に形成され、凹面が車外を向くようにハウジング1内に固定されている。リフレクタ2の凹面には、アルミニウム等の蒸着膜が積層され、これがランプ3からの光を車外に向けて反射する反射面となる。また、このリフレクタ2の中央には、貫通孔21が形成されており、この貫通孔21にランプ3が取り付けられている。ランプ3には、ハウジング1の基部11側から配線(図示省略)が接続されている。ランプ3は、LED、白熱球などの公知のランプを用いることができる。カバー4は、車外側に凸のカップ状に形成されたカバー本体41と、少なくとも、このカバー本体41の凹状の内面、つまり、ランプ3側を向く面に積層された防曇膜42とを備えている。
<2.カバー>
次に、カバー4について詳細に説明する。上述したように、カバー4は、カバー本体41と、防曇膜42とを備えている。以下、これらについて説明する。
<2−1.カバー本体>
カバー本体41は、半球状のカップ状の形成されている。そして、このカバー本体41の周縁部が、ハウジング1の周縁部12に着脱自在に固定されるように構成されている。カバー本体41は、透光性を有する樹脂材料(有機高分子材料)で形成されており、例えば、ポリカーボネイト(PC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)等、または、これらのうちの複数を含む材料で形成することができる。
カバー本体41は、上記のような樹脂材料で形成することができるが、例えば、ヤング率が1000〜20000MPaの材料で形成することができる。なお、このヤング率は、例えば、JIS K7161:1999にしたがって測定することができる。
あるいは、カバー本体41は、熱伝導率が0.1〜0.5W/m・Kの材料で形成されることが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、自動車は屋外で使用されるため、カバーの内外での温度差が大きくなる。また、走行時に風を受けるため、カバーの内側の内面付近は極度に冷やされる。以上より、特に、この照明用カバーを自動車に用いる場合には、カバー本体41の熱伝導率がある程度大きく、上記のように0.1W/m・K以上であれば、防曇膜42による効果を得ることができる。一方、ランプ3からは熱が発せられるため、カバー本体41の熱伝導率を所定値よりも低く、上記のように、0.5W/m・K以下とすれば、カバー内の温度を概ね一定に保つことができる。さらには、防曇膜42の飽和吸水量が多くなり、防曇性能の向上が期待できる。また、例えば、寒い日に、外気により温度が低下したカバー本体41によって、防曇膜42が冷やされるのを抑制でき、曇りを抑制することができる。なお、ポリカーボネイトの熱伝導率は、0.19W/m・Kであり、アクリル樹脂の熱伝導率は、0.21W/m・Kである。
また、カバー本体41の波長400nmにおける紫外線透過率は、例えば、30〜70%とすることができる。これは、紫外線透過率が大きいと、カバー本体41が黄色になり見た目が悪くなるおそれがあることによる。一方、紫外線透過率が小さいと、紫外線により、有機材料間で架橋している無機材料の結合が切れ、防曇膜42の防曇性能が低下したり、また、防曇膜42自体の構造が劣化して剥がれ易くなるおそれがある。なお、カバー本体41の紫外線透過率の調整は、例えば、カバー本体41に紫外線吸収剤を含有したり、紫外線をカットする膜の積層により行うことができる。
また、カバー本体41の表面のうち、少なくとも防曇膜42が成膜される領域には、所定の表面粗さになるように、微少な凹凸が形成されている事が好ましい。例えば、防曇膜42の成膜領域の表面粗さRa(算術平均粗さ)の下限は、0.5nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがさらに好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。一方、表面粗さRaの上限は、1μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。このように、防曇膜42の成膜領域に微少な凹凸を形成して表面粗さを0.5nm以上とすることで、防曇膜42とカバー本体41との密着性が向上し、防曇膜42が剥がれにくくなる。但し、凹凸が大きいと、次のような問題がある。例えば、凹凸によって、ランプ3から発せられる光がカバー本体41を透過しがたかったり、散乱が生じ、カバー本体41を透過する光にムラが生じやすくなる。この観点から、成膜領域の表面粗さRaは、1μm以下とすることが好ましい。なお、Raは原子間力顕微鏡(AFM)で測定可能である。
上記のような表面粗さRaを有する成膜領域は、防曇膜42が成膜される全ての領域の一定である必要はなく、例えば、成膜領域の周縁部分の表面粗さRaを、それよりも中央側の領域の表面粗さRaよりも大きくすることができる。例えば、周縁部分の表面粗さRaを1nm、中央側の領域の表面粗さRaを10nmとすることができる。防曇膜42は、その周縁部分に応力が作用しやすく、これを起点に剥がれやすいため、上記のように構成すると、周縁部分からの防曇膜42の剥がれをより防止することができる。また、ランプ3からの光の透過量が多い部分、つまり上述した中央側の領域の表面粗さRaを小さくすることで、上述した光の透過の不具合をさらに防止することができる。なお、防曇膜42が成膜される領域だけではなく、カバー本体41のその他の領域、あるいはカバー本体41の外面を含めた表面全体が上述したような表面粗さRaを有していてもよい。
カバー本体41の内面は、上記のように凹状の曲面状に形成されているが、特に、防曇膜42が積層される領域の曲率半径は、できるだけ小さく、例えば、3000mm以下であることが好ましく、2000mm以下であることがさらに好ましく、500mm以下であることがより好ましく、200mm以下であることが特に好ましい。
<2−2.防曇膜>
次に、防曇膜42について説明する。防曇膜42は、少なくとも、カバー本体41の凹状の内壁面に積層されるものであり、カバー本体41の防曇効果を奏するものであれば、特には限定されず、公知のものを用いることができる。一般的に、防曇膜は、水蒸気から生じる水を水膜として表面に形成する親水タイプ、水蒸気を吸収する吸水タイプ、表面に水滴が凝結しにくい撥水吸水タイプ、及び水蒸気から生じる水滴を撥水する撥水タイプがあるが、いずれのタイプの防曇膜も適用可能である。以下では、その一例として、撥水吸水タイプの防曇膜の例を説明する。
[有機無機複合防曇膜]
有機無機複合防曇膜は、カバー本体41の表面に積層された単層膜もしくは積層された複層膜である。有機無機複合防曇膜は、例えば、吸水性樹脂と撥水基と金属酸化物成分(無機材料)とを含んでいる。防曇膜42は、必要に応じ、その他の機能成分をさらに含んでいてもよい。吸水性樹脂は、水を吸収して保持できる樹脂であればその種類を問わない。撥水基は、撥水基を有する金属化合物(撥水基含有金属化合物)から防曇膜に供給することができる。金属酸化物成分は、撥水基含有金属化合物その他の金属化合物、金属酸化物微粒子等から防曇膜に供給することができる。以下、各成分について説明する。
(吸水性樹脂)
吸水性樹脂(有機材料)としては特に制限はなく、ポリエチレングリコール、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステルポリオール、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル、エポキシ系樹脂及びポリウレタン樹脂であり、より好ましいのは、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ系樹脂及びポリウレタン樹脂であり、特に好ましいのは、ポリビニルアセタール樹脂である。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールにアルデヒドを縮合反応させてアセタール化することにより得ることができる。ポリビニルアルコールのアセタール化は、酸触媒の存在下で水媒体を用いる沈澱法、アルコール等の溶媒を用いる溶解法等公知の方法を用いて実施すればよい。アセタール化は、ポリ酢酸ビニルのケン化と並行して実施することもできる。アセタール化度は、2〜40モル%、さらには3〜30モル%、特に5〜20モル%、場合によっては5〜15モル%が好ましい。アセタール化度は、例えば13C核磁気共鳴スペクトル法に基づいて測定することができる。アセタール化度が上記範囲にあるポリビニルアセタール樹脂は、吸水性及び耐水性が良好である有機無機複合防曇膜の形成に適している。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200〜4500であり、より好ましくは500〜4500である。高い平均重合度は、吸水性及び耐水性が良好である有機無機複合防曇膜の形成に有利であるが、平均重合度が高すぎると溶液の粘度が高くなり過ぎて膜の形成に支障をきたすことがある。ポリビニルアルコールのケン化度は、75〜99.8モル%が好ましい。
ポリビニルアルコールに縮合反応させるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルカルバルデヒド、オクチルカルバルデヒド、デシルカルバルデヒド等の脂肪族アルデヒドを挙げることができる。また、ベンズアルデヒド;2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、その他のアルキル基置換ベンズアルデヒド;クロロベンズアルデヒド、その他のハロゲン原子置換ベンズアルデヒド;ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等のアルキル基を除く官能基により水素原子が置換された置換ベンズアルデヒド;ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド等の縮合芳香環アルデヒド等の芳香族アルデヒドを挙げることができる。疎水性が強い芳香族アルデヒドは、低アセタール化度で耐水性に優れた有機無機複合防曇膜を形成する上で有利である。芳香族アルデヒドの使用は、水酸基を多く残存させながら吸水性が高い膜を形成する上でも有利である。ポリビニルアセタール樹脂は、芳香族アルデヒド、特にベンズアルデヒドに由来するアセタール構造を含むことが好ましい。
エポキシ系樹脂としては、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、環式脂肪族エポキシ樹脂である。
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートとポリオールとで構成されるポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリオールとしては、アクリルポリオール及びポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましい。
有機無機複合防曇膜は、吸水性樹脂を主成分とする。本発明において、「主成分」とは、質量基準で含有率が最も高い成分を意味する。有機無機複合防曇層の重量に基づく吸水性樹脂の含有率は、膜硬度、吸水性及び防曇性の観点から、70重量%であることが好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。但し、後述するように、防曇膜の強度を保つため、無機化合物をある程度含有させなければならない。そのため、吸水性樹脂の含有率は、95重量%以下であることが好ましい。
なお、吸水性樹脂の含有率が、70重量%以上となると、JIS K5600−5−4(1999)で規定する表面鉛筆硬度試験の結果が、2H以下になるおそれがあり、耐傷性は低くなる。但し、防曇膜42はカバー本体41の内面に積層され、車外からの接触がないため、耐傷性が低くても問題にはならない。
(撥水基)
撥水基による上述の効果を十分に得るためには、撥水性が高い撥水基を用いることが好ましい。好ましい撥水基は、(1)炭素数3〜30の鎖状又は環状のアルキル基、及び(2)水素原子の少なくとも一部をフッ素原子により置換した炭素数1〜30の鎖状又は環状のアルキル基(以下、「フッ素置換アルキル基」ということがある)から選ばれる少なくとも1種である。
(1)及び(2)に関し、鎖状又は環状のアルキル基は、鎖状アルキル基であることが好ましい。鎖状アルキル基は、分岐を有するアルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基が好ましい。炭素数が30を超えるアルキル基は、防曇膜を白濁させることがある。膜の防曇性、強度及び外観のバランスの観点から、アルキル基の炭素数は、20以下が好ましく、6〜14がより好ましい。特に好ましいアルキル基は、炭素数6〜14、特に炭素数6〜12の直鎖アルキル基、例えばn−ヘキシル基(炭素数6)、n−デシル基(炭素数10)、n−ドデシル基(炭素数12)である。(2)に関し、フッ素置換アルキル基は、鎖状又は環状のアルキル基の水素原子の一部のみをフッ素原子により置換した基であってもよく、鎖状又は環状のアルキル基の水素原子のすべてをフッ素原子により置換した基、例えば直鎖状のパーフルオロアルキル基、であってもよい。フッ素置換アルキル基は撥水性が高いため、少ない量の添加によって十分な効果を得ることができる。ただし、フッ素置換アルキル基は、その含有量が多くなり過ぎると、膜を形成するための塗工液中でその他の成分から分離することがある。
(撥水基を有する加水分解性金属化合物)
撥水基を防曇膜42に配合するためには、撥水基を有する金属化合物(撥水基含有金属化合物)、特に撥水基と加水分解可能な官能基又はハロゲン原子とを有する金属化合物(撥水基含有加水分解性金属化合物)又はその加水分解物を、膜を形成するための塗工液に添加するとよい。言い換えると、撥水基は、撥水基含有加水分解性金属化合物に由来するものであってもよい。撥水基含有加水分解性金属化合物としては、以下の式(I)に示す撥水基含有加水分解性シリコン化合物が好適である。
mSiY4-m (I)
ここで、Rは、撥水基、すなわち水素原子の少なくとも一部がフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜30の鎖状又は環状のアルキル基であり、Yは加水分解可能な官能基又はハロゲン原子であり、mは1〜3の整数である。加水分解可能な官能基は、例えば、アルコキシル基、アセトキシ基、アルケニルオキシ基及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはアルコキシ基、特に炭素数1〜4のアルコキシ基である。アルケニルオキシ基は、例えばイソプロペノキシ基である。ハロゲン原子は、好ましくは塩素である。なお、ここに例示した官能基は、以降に述べる「加水分解可能な官能基」としても使用することができる。mは好ましくは1〜2である。
式(I)により示される化合物は、加水分解及び重縮合が完全に進行すると、以下の式(II)により表示される成分を供給する。
mSiO(4-m)/2 (II)
ここで、R及びmは、上述したとおりである。加水分解及び重縮合の後、式(II)により示される化合物は、実際には、防曇膜42中において、シリコン原子が酸素原子を介して互いに結合したネットワーク構造を形成する。
このように、式(I)により示される化合物は、加水分解又は部分加水分解し、さらには少なくとも一部が重縮合して、シリコン原子と酸素原子とが交互に接続し、かつ三次元的に広がるシロキサン結合(Si−O−Si)のネットワーク構造を形成する。このネットワーク構造に含まれるシリコン原子には撥水基Rが接続している。言い換えると、撥水基Rは、結合R−Siを介してシロキサン結合のネットワーク構造に固定される。この構造は、撥水基Rを膜に均一に分散させる上で有利である。ネットワーク構造は、式(I)により示される撥水基含有加水分解性シリコン化合物以外のシリコン化合物(例えば、テトラアルコキシシラン、シランカップリング剤)から供給されるシリカ成分を含んでいてもよい。撥水基を有さず加水分解可能な官能基又はハロゲン原子を有するシリコン化合物(撥水基非含有加水分解性シリコン化合物)を撥水基含有加水分解性シリコン化合物と共に防曇膜を形成するための塗工液に配合すると、撥水基と結合したシリコン原子と撥水基と結合していないシリコン原子とを含むシロキサン結合のネットワーク構造を形成できる。このような構造とすれば、防曇膜42中における撥水基の含有率と金属酸化物成分の含有率とを互いに独立して調整することが容易になる。
撥水基は、吸水性樹脂を含む防曇膜42の表面における水蒸気の透過性を向上させることにより防曇性能を向上させる効果がある。吸水と撥水という2つの機能は互いに相反するため、吸水性材料と撥水性材料とは、従来、別の層に振り分けて付与されてきたが、撥水基は、防曇膜42の表面近傍における水の偏在を解消して結露までの時間を引き延ばし、単層構造を有する防曇膜42の防曇性を向上させる。以下ではその効果を説明する。
吸水性樹脂を含む防曇膜42へと侵入した水蒸気は、吸水性樹脂等の水酸基と水素結合し、結合水の形態で保持される。量が増加するにつれ、水蒸気は、結合水の形態から半結合水の形態を経て、ついには防曇膜42中の空隙に保持される自由水の形態で保持されるようになる。防曇膜42において、撥水基は、水素結合の形成を妨げ、かつ形成した水素結合の解離を容易にする。吸水性樹脂の含有率が同じであれば、膜中における水素結合可能な水酸基の数には差がないが、撥水基は水素結合の形成速度を低下させる。したがって、撥水基を含有する防曇膜において、水分は、最終的には上記のいずれかの形態で膜に保持されることになるが、保持されるまでには膜の底部まで水蒸気のまま拡散することができる。また、一旦保持された水も、比較的容易に解離し、水蒸気の状態で膜の底部まで移動しやすい。結果的に、膜の厚さ方向についての水分の保持量の分布は、表面近傍から膜の底部まで比較的均一になる。つまり、防曇膜42の厚さ方向の全てを有効に活用し、膜表面に供給された水を吸収することができるため、表面に水滴が凝結しにくく、防曇性が高くなる。よって、この防曇膜42をカバー本体41に積層すると、広い温度範囲でカバー本体41の曇りを防止し、ランプ3からの光の照射のための光路を確保することができる。
一方、撥水基を含まない防曇膜42においては、膜中に侵入した水蒸気は極めて容易に結合水、半結合水又は自由水の形態で保持される。したがって、急激に湿度が上昇したような場合には、防曇膜42は速やかに水分を吸収して曇りの発生を抑制できるので、このような防曇膜42であってもよい。
撥水基含有加水分解性シリコン化合物(式(I)参照)を用いて撥水基を防曇膜に導入すると、強固なシロキサン結合(Si−O−Si)のネットワーク構造が形成される。このネットワーク構造の形成は、耐摩耗性のみならず、硬度、耐水性等を向上させる観点からも有利である。
撥水基は、防曇膜42の表面における水の接触角が70度以上、好ましくは80度以上、より好ましくは90度以上になる程度に添加するとよい。水の接触角は、4mgの水滴を膜の表面に滴下して測定した値を採用することとする。特に撥水性がやや弱いメチル基又はエチル基を撥水基として用いる場合は、水の接触角が上記の範囲となる量の撥水基を防曇膜に配合することが好ましい。この水滴の接触角は、その上限が特に制限されるわけではないが、例えば150度以下、また例えば120度以下、さらには100度以下である。撥水基は、防曇膜42の表面のすべての領域において上記水滴の接触角が上記の範囲となるように、防曇膜に均一に含有させることが好ましい。
防曇膜42は、吸水性樹脂100質量部に対し、0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上の範囲内となるように、また、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、の範囲内となるように、撥水基を含むことが好ましい。
(無機酸化物)
無機材料としての無機酸化物は、例えば、Si、Ti、Zr、Ta、Nb、Nd、La、Ce及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であり、少なくとも、Siの酸化物(シリカ)を含む。有機無機複合防曇膜は、吸水性樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは1重量部以上、最も好ましくは5重量部以上、場合によっては10重量部以上、必要であれば20重量部以上、また、好ましくは50重量部以下、より好ましくは45重量部以下、さらに好ましくは40重量部以下、特に好ましくは35重量部以下、最も好ましくは33重量部以下、場合によっては30重量部以下となるように、無機酸化物を含むことが好ましい。無機酸化物は、有機無機複合防曇膜の強度、特に耐摩耗性を確保するために必要な成分であるが、その含有量が多くなると、有機無機複合防曇膜の防曇性が低下する。
(無機酸化物微粒子)
有機無機複合防曇膜は、無機酸化物の少なくとも一部として、無機酸化物微粒子をさらに含んでいてもよい。無機酸化物微粒子を構成する無機酸化物は、例えば、Si、Ti、Zr、Ta、Nb、Nd、La、Ce及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であり、好ましくはシリカ微粒子である。シリカ微粒子は、例えば、コロイダルシリカを添加することにより有機無機複合防曇膜に導入できる。無機酸化物微粒子は、有機無機複合防曇膜に加えられた応力を、有機無機複合防曇膜を支持する物品に伝達する作用に優れ、硬度も高い。したがって、無機酸化物微粒子の添加は、有機無機複合防曇膜の耐摩耗性を向上させる観点から有利である。また、有機無機複合防曇膜に無機酸化物微粒子を添加すると、微粒子が接触又は近接している部位に微細な空隙が形成され、この空隙から膜中に水蒸気が取り込まれやすくなる。このため、無機酸化物微粒子の添加は、防曇性の向上に有利に作用することもある。無機酸化物微粒子は、有機無機複合防曇膜を形成するための塗工液に、予め形成した無機酸化物微粒子を添加することにより、有機無機複合防曇膜に供給することができる。
無機酸化物微粒子の平均粒径が大きすぎると、有機無機複合防曇膜が白濁することがあり、小さすぎると凝集して均一に分散させることが困難となる。この観点から、無機酸化物微粒子の平均粒径は、好ましくは1〜20nmであり、より好ましくは5〜20nmである。なお、ここでは、無機酸化物微粒子の平均粒径を、一次粒子の状態で記述している。また、無機酸化物微粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡を用いた観察により任意に選択した50個の微粒子の粒径を測定し、その平均値を採用して定めることとする。無機酸化物微粒子は、その含有量が多くなると、有機無機複合防曇膜全体の吸水量が低下し、有機無機複合防曇膜が白濁するおそれがある。無機酸化物微粒子は、吸水性樹脂100重量部に対し、好ましくは0〜50重量部であり、より好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部となるように添加するとよい。
(撥水基を有しない加水分解性金属化合物)
防曇膜42は、撥水基を有しない加水分解性金属化合物(撥水基非含有加水分解性化合物)に由来する金属酸化物成分を含んでいてもよい。好ましい撥水基非含有加水分解性金属化合物は、撥水基を有しない加水分解性シリコン化合物である。撥水基を有しない加水分解性シリコン化合物は、例えば、シリコンアルコキシド、クロロシラン、アセトキシシラン、アルケニルオキシシラン及びアミノシランから選ばれる少なくとも1種のシリコン化合物(ただし、撥水基を有しない)であり、撥水基を有しないシリコンアルコキシドが好ましい。なお、アルケニルオキシシランとしては、イソプロペノキシシランを例示できる。
撥水基を有しない加水分解性シリコン化合物は、以下の式(III)に示す化合物であってもよい。
SiY4 (III)
上述したとおり、Yは、加水分解可能な官能基であって、好ましくはアルコキシル基、アセトキシ基、アルケニルオキシ基、アミノ基及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1つである。
撥水基非含有加水分解性金属化合物は、加水分解又は部分加水分解し、さらに、少なくともその一部が重縮合して、金属原子と酸素原子とが結合した金属酸化物成分を供給する。この成分は、金属酸化物微粒子と吸水性樹脂とを強固に接合し、防曇膜の耐摩耗性、硬度、耐水性等の向上に寄与しうる。撥水基を有しない加水分解性金属化合物に由来する金属酸化物成分は、吸水性樹脂100質量部に対し、0〜40質量部、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは3〜10質量部、場合によっては4〜12質量部の範囲とするとよい。
撥水基を有しない加水分解性シリコン化合物の好ましい一例は、テトラアルコキシシラン、より具体的には炭素数が1〜4のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランである。テトラアルコキシシランは、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン及びテトラ−tert−ブトキシシランから選ばれる少なくとも1種である。
テトラアルコキシシランに由来する金属酸化物(シリカ)成分の含有量が過大となると、防曇膜42の防曇性が低下することがある。防曇膜の柔軟性が低下し、水分の吸収及び放出に伴う膜の膨潤及び収縮が制限されることが一因である。テトラアルコキシシランに由来する金属酸化物成分は、吸水性樹脂100質量部に対し、0〜30質量部、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部の範囲で添加するとよい。
撥水基を有しない加水分解性シリコン化合物の好ましい別の一例は、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、互いに異なる反応性官能基を有するシリコン化合物である。反応性官能基は、その一部が加水分解可能な官能基であることが好ましい。シランカップリング剤は、例えば、エポキシ基及び/又はアミノ基と加水分解可能な官能基とを有するシリコン化合物である。好ましいシランカップリング剤としては、グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン及びアミノアルキルトリアルコキシシランを例示できる。これらのシランカップリング剤において、シリコン原子に直接結合しているアルキレン基の炭素数は1〜3であることが好ましい。グリシジルオキシアルキル基及びアミノアルキル基は、親水性を示す官能基(エポキシ基、アミノ基)を含むため、アルキレン基を含むものの、全体として撥水性ではない。
シランカップリング剤は、有機成分である吸水性樹脂と無機成分である金属酸化物微粒子等とを強固に結合し、防曇膜の耐摩耗性、硬度、耐水性等の向上に寄与しうる。しかし、シランカップリング剤に由来する金属酸化物(シリカ)成分の含有量が過大となると、防曇膜の防曇性が低下し、場合によっては防曇膜が白濁する。シランカップリング剤に由来する金属酸化物成分は、吸水性樹脂100質量部に対し、0〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の範囲で添加するとよい。
(架橋構造)
防曇膜42は、架橋剤、好ましくは有機ホウ素化合物、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤、に由来する架橋構造を含んでいてもよい。架橋構造の導入は、防曇膜42の耐摩耗性、耐擦傷性、耐水性を向上させる。別の観点から述べると、架橋構造の導入は、防曇膜42の防曇性能を低下させることなくその耐久性を改善することを容易にする。
金属酸化物成分がシリカ成分である防曇膜に架橋剤に由来する架橋構造を導入した場合、その防曇膜42は、金属原子としてシリコンと共にシリコン以外の金属原子、好ましくはホウ素、チタン又はジルコニウム、を含有することがある。
架橋剤は、用いる吸水性樹脂を架橋できるものであれば、その種類は特に限定されない。ここでは、有機チタン化合物についてのみ例を挙げる。有機チタン化合物は、例えば、チタンアルコキシド、チタンキレート系化合物及びチタンアシレートから選ばれる少なくとも1つである。チタンアルコキシドは、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラオクトキシドである。チタンキレ−ト系化合物は、例えば、チタンアセチルアセトナート、チタンアセト酢酸エチル、チタンオクチレングリコール、チタントリエタノールアミン、チタンラクテートである。チタンラクテートは、アンモニウム塩(チタンラクテートアンモニウム)であってもよい。チタンアシレートは、例えばチタンステアレートである。好ましい有機チタン化合物は、チタンキレート系化合物、特にチタンラクテートである。
吸水性樹脂がポリビニルアセタールである場合の好ましい架橋剤は、有機チタン化合物、特にチタンラクテートである。
(その他の任意成分)
防曇膜42にはその他の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、防曇性を改善する機能を有するグリセリン、エチレングリコール等のグリコール類が挙げられる。添加剤は、界面活性剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、防腐剤等であってもよい。
(防曇膜の組成の例)
上記防曇膜42用の塗工液の組成の一例を挙げると、以下の通りである。但し、以下の組成はあくまでも例示であり、種々の組成にすることができる。
すなわち、防曇膜42用の塗工液としては、
吸水性樹脂100重量部に対し、
撥水基を有さない加水分解性金属化合物を0.1〜30重量部と、
撥水基を有する加水分解性金属化合物を0〜24重量部と、
紫外線吸収剤を0.1〜50重量部と、
水と水溶性有機溶媒からなる溶媒500〜50000重量部と、
を含む。
[膜厚]
防曇膜42の膜厚は、要求に応じて種々の膜厚にすることができるが、例えば、下限は、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。一方、上限は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、12μm以下であることが特に好ましい。防曇膜42の膜厚が増すことで、耐傷性が向上する。また、吸水量を確保することもできる。その一方で、膜厚が大きくなりすぎると、剥がれやすくなり、密着性が低下するおそれがある。また、膜厚が大きくなることで、防曇膜42において、未架橋の吸水性樹脂が増加し、これによって後述するように、長期に亘る使用において、防曇膜42が白濁するおそれがある。また、後述するように、水による処理を行っても、防曇膜に残存する未架橋の吸水性樹脂やアルカリ成分を除去できないおそれもある。以上の観点から、膜厚が大きすぎると種々の不具合が生じるおそれがあるため、上限を上記のようにすることが好ましい。
防曇膜42は、成膜する際に、防曇膜42用の塗工液をカバー本体41に塗布するのであるが、塗工液を均一に塗布することは困難であり、例えば、塗工液の粘性が大きいと、防曇膜42の膜厚のばらつきが大きくなりやすい。一方、粘性が小さいと、膜厚のばらつきは小さくなりやすい。この観点から、例えば、カバー本体41上の防曇膜42において、膜厚の最小値に対する最大値の比(膜厚比)は、1.2〜8であることが好ましい。膜厚比が1.2以上であれば、膜厚のばらつきを考慮しても、上述した膜厚の下限値を防曇膜全体で比較的用に達成することができる。一方、一方、膜厚比が8を上回ると、ばらつきが大きすぎ、例えば、凹凸のある三次元形状への塗布が困難になるおそれがある。このような膜厚比を達成するためには、塗工液の粘性が、例えば、30〜2000mPa・sであることが好ましく、100〜2000mPa・sであることがさらに好ましい。なお、膜厚を測定するに当たって、照明用カバーの重心位置における防曇膜の膜厚を最小膜厚とし、防曇膜の端縁における膜厚を最大膜厚と仮定することができる。
なお、防曇膜42の膜厚が大きくなると、表面に凹凸が生じやすいが、ランプ3からの光の透過には特には影響はない。
[弾性]
防曇膜42のヤング率は、例えば、100〜500MPaであることが好ましく、150〜300MPaであることがさらに好ましい。このときのヤング率の測定方法は、例えば、JIS K7161:1999に準拠して求めることができる。
[吸水性能]
防曇層42の吸水性能は、飽和吸水量として測定することができる。「飽和吸水量」は、相対湿度100%において吸着平衡状態にある吸水性膜に吸着している水蒸気の量である。飽和吸水量は、相対湿度0%における吸着平衡状態である「完全乾燥状態」から相対湿度100%における吸着平衡状態である「吸水飽和状態」に至るまでに吸水性膜が吸着する水蒸気の量を意味する。
飽和吸水量は、吸脱着等温線上の相対湿度100%に対応する吸水量である。ただし、飽和吸水量は、高湿度域、例えば相対湿度85〜95%における吸水量を外挿して求めてもよい。また、「飽和吸水量」が所定の下限値以上(例えば1g/m2以上)であるか否かは、相対湿度100%に近い相対湿度、例えば相対湿度95%における吸水量が当該下限値以上であることをもって確認することが可能である。
具体的には、飽和吸水量は、次のように測定することができる。例えば、マイクロトラックベル株式会社の蒸気吸着量測定装置「BELSORP−18PLUS HT」を用い、定容量法により、サンプルについて、水蒸気の吸脱着特性を測定することができる。測定温度は10℃とすることができる。この測定により、飽和吸水量を得ることができる。この測定による、防曇膜42の飽和吸水量は、1g/m2以上であることが好ましく、3g/m2以上であることがさらに好ましい。特に、吸水性樹脂をポリビニルアセタール樹脂で形成すると、7g/m2以上となることが期待される。
また、防曇膜42の防氷性を評価するため、温度が−30℃のときの飽和吸水量を測定することもできる。このときの防曇膜42の飽和吸水量は、0.7g/m2以上であることが好ましく、2.0g/m2以上であることがさらに好ましい。特に、吸水性樹脂をポリビニルアセタール樹脂で形成すると、4.0g/m2以上となることが期待される。
また、防曇膜42の吸水性能を、水分飽和膨張倍率を用いて評価することもできる。水分飽和膨張倍率は、防曇膜42が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1(μm)、防曇膜42が乾燥状態であるときの膜厚をD2(μm)と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。本発明に係る防曇膜42の水分飽和膨張倍率は、例えば、10〜500%とすることができる。例えば、膜厚が2倍になったときの水分飽和膨張率は、100%となる。
本発明者が検討を行った結果、吸水性樹脂の含有量と水分飽和膨張倍率との関係は、以下の通りである。
なお、上述した防曇膜42は一例であり、その他の公知の防曇膜を用いることができ、例えば、特開2001−146585号公報に記載の防曇膜など、種々のものを用いることができる。
<2−3.防曇膜の積層方法>
次に、防曇膜42の積層方法について図2及び図3を参照しつつ説明する。本実施形態に係る防曇膜の積層方法は、第1工程、第2工程、及び第3工程を有している。まず、第1工程について説明する。第1工程では、カバー本体41の内面に防曇膜42の成膜を行う。上述した有機無機複合防曇膜用の塗工液(防曇膜用溶液)を準備する。次に、図2に示すように、カバー本体41の内面に対しスプレー81により塗工液を塗工した後、第1加熱炉(図示省略)で加熱する。
塗工液を塗工する際には、雰囲気の相対湿度を60%未満、さらには40%以下に保持することが好ましい。相対湿度を低く保持すると、有機無機複合防曇膜が雰囲気から水分を過剰に吸収することを防止できる。雰囲気から水分が多量に吸収されると、有機無機複合防曇膜のマトリックス内に入り込んで残存した水が膜の強度を低下させるおそれがある。
第1加熱炉では、200℃以下、例えば50〜150℃で加熱することが好ましい。加熱時間は、1〜20分であることが好ましく、2〜10分であることがさらに好ましい。また、この加熱を複数回行うこともできる。例えば、3〜5分の加熱を2回以上行うこともできる。こうして、塗工液が焼成され、吸水性樹脂とSiによる架橋構造が形成される。但し、塗工液を完全に焼成した強固な架橋構造ではなく、防曇膜を仮生成したものである。また、第1加熱炉での加熱温度は、カバー本体41が損傷しないように、カバー本体41の材料によって適宜決定することができる。例えば、カバー本体41をポリカーボネイトで形成する場合には、加熱温度を100℃以下にすることが好ましい。この点は、次に説明する。第2加熱炉での加熱温度も同じである。
次に、第2工程について説明する。図3に示すように、第2工程では、防曇膜を仮生成したカバー本体41を、水槽85に浸す。このとき、カバー本体41の表面全体に水が接触するように、カバー本体41の凹面及び凸面が略水平方向を向くように水槽85に浸すことが好ましい。例えば、凹面を下側にしてカバー本体41を水槽85に浸すと、凹面側に気泡が生じることがあり、好ましくない。このように水槽85に浸すと、カバー本体41上で防曇膜42が膨潤し、一部の架橋点が切断される。また、吸水性樹脂に含有される不純物、例えば、NaやClが除去される。さらに、未架橋の吸水性樹脂組成物も除去される。水槽85に貯留される水は、例えば、10〜80℃とすることができ、20〜60℃であることがさらに好ましく、25〜50℃であることが特に好ましい。水の温度は10℃未満でもよいが、10℃より低いとアルカリ成分を除去できる効果が低くなる可能性がある。一方、80℃より高くなると水槽から蒸発する水蒸気が多くなり、設備・作業環境への負荷が大きくなる可能性がある。以上の観点から、アルカリ成分の除去効果を比較的高く保ちつつ、設備・環境への負荷を小さくするためには、水温は25〜50℃であることが特に好ましい。また、水槽85を通過させる時間は、例えば、1〜30分とすることができ、3〜20分とすることがさらに好ましく、3〜10分とすることが特に好ましい。上述したような水温が低くアルカリ成分の除去効率が低い場合であっても、浸漬時間を長くすることでアルカリ成分を十分な程度に除去することができるが、浸漬時間が長いと生産効率が低くなるので、浸漬時間は3〜10分とすることが特に好ましい。以上から、例えば、25〜50℃の水に、3〜10分程度浸漬することができる。また、この水処理を複数回行うこともできる。このように、水処理を複数回行うことで、水槽を大型化することなく、小型の水槽であっても後述する効果を得ることができる。
続いて、水槽85を通過したカバー本体41を第2加熱炉(図示省略)で加熱する。第2加熱炉では、膨潤した防曇膜が焼成され、防曇膜内で残存する吸水性樹脂とSiによる架橋構造が強化される。第2加熱炉での加熱温度は、第1加熱炉と同様に、200℃以下、例えば50〜150℃とすることが好ましい。また、加熱時間は、第1加熱炉よりも長く、例えば、3〜60分であることが好ましく、5〜30分であることがさらに好ましい。こうして、防曇膜42が十分に焼成され、防曇膜42が完成する。以上の工程により、カバー本体41上に防曇膜42が積層され、カバー4が完成する。なお、水槽85には、水、湯のほか、例えば、水とアルコールとを混合した溶液を入れてもよい。また、水槽85の代わりにスプレーなどで、防曇膜42を水等に接触させることもできる。塗工液を塗布する方法は、スプレー以外でもよく、例えば、カバー本体41の全体を塗工液に浸すような、ディッピングによって塗布することもできる。
<3.特徴>
以上説明した照明用カバーによれば、次のような効果を得ることができる。
(1)カバー本体41の内面に防曇膜42を積層しているため、カバー4の曇りを防止することができる。特に、ランプ3としてLEDを用いる場合には、電球に比べて発熱量が低いため、曇りが生じやすい。これに対して、上記のような防曇膜42を設けると、カバー4の曇りを防止でき、ヘッドライトとしての照度や配光性の低下を防止することができる。
(2)防曇膜42が吸水性樹脂を含有しており、上述した水分飽和膨張倍率は、10〜500%である。このように吸水性樹脂は大きく膨潤するが、このような吸水性樹脂を含有する防曇膜42は、例えば、上述したヤング率で示すように比較的柔らかい樹脂であるため、大きく膨潤しても、カバー本体41から剥がれるのを防止することができる。したがって、防曇膜42の密着性を向上することができる。また、この防曇膜42は、上記のようなシランカップリング剤を含有するため、防曇膜42をカバー本体41に対して強固に密着させることができる。
(3)カバー本体41の内面は、曲面状であり、この面に防曇膜42が積層されているため、剥離を防止することができる。上記のように、防曇膜42は、吸水により膨潤するため、この膨潤によって、カバー本体41から剥離するおそれがあるが、凹状の曲面に防曇膜42が積層されていると、膨潤によって防曇膜42に圧縮応力が作用するため、剥離を抑制することができる。すなわち、防曇膜の密着性を向上することができる。
(4)特に、上述した防曇膜42には、70重量%以上の吸水性樹脂(有機材料)が含有されているため、吸水性能が高く、防曇効果をより高めることができる。その一方で、このように吸水性樹脂の含有率が高いと、耐傷性が低下し、カバー本体41からのハガレが生じやすい。例えば、吸水性樹脂の含有率が70重量%以上であると、鉛筆硬度が2H以下になり、耐傷性が低くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る防曇膜42は、カバー本体41の内面に積層されるため、外部からの接触がない。したがって、耐傷性が低くても、剥がれを防止することができる。
(5)防曇膜42の膜厚は、種々の設定が可能であるが、例えば、上記のように1〜30μmとすると、耐傷性及び防曇性が向上するとともに、密着性を担保することができる。また、防曇膜42の白濁を防止することができる。
(6)防曇膜42の成膜時に、第1工程で防曇膜42を仮生成した後、水に浸漬しているため、防曇膜42に残存するNaやCl等の不純物を除去することができる。このNaやClは、後述するとおり、防曇膜42の長期の使用に伴う白化の原因になるため、この不純物を取り除くことで、防曇膜42の白化を防止することができる。特に、本実施形態では、ランプの光がカバー4を透過するため、防曇膜42が白化していると、白化した箇所で光が透過しにくくなるという問題がある。
(7)水処理により、防曇膜42に残存する未架橋の吸水樹脂を除去することができる。このような未架橋の吸水性樹脂は、残存するNaやClと同様に防曇膜42の長期の使用に伴う白化の原因になる。夏場の高温多湿環境や吸湿、放湿を長期に渡って繰り返すことにより膜中に残存する未架橋の吸水性樹脂が膜表面へブリードアウトし、不均一に析出することで膜表面の白化を引き起こす。したがって、未架橋の吸水性樹脂を除去することで、長期の使用に伴う白化を防止することができる。
(8)上記のように、防曇膜42は、第1工程で仮生成された後、水に浸漬されるが、仮生成では防曇膜42を十分に焼成していないため、強固な架橋構造が形成されていない。したがって、これを水に浸漬すると、防曇膜42が膨潤し、吸水性を阻害する不必要な架橋構造が切断され、膜の耐久性を維持する必要とされる架橋構造が残される。その後、2回目の加熱により防曇膜42が十分に焼成されると、防曇膜42は熱により収縮するが、防曇膜42は水の浸漬で膨潤した状態で形成された伸縮可能な架橋構造は維持されており、吸水性を向上することができる。また、2回目の焼成で伸縮可能な架橋構造はより強固な架橋点を形成することができ、防曇膜42の耐久性能だけでなく、カバー本体41との密着性も改善することができる。これに対して、1回目の焼成でしっかりと焼成を行ってしまうと、吸水性を阻害する不必要な架橋構造が強固に形成されてしまうため、防曇性が低くなってしまう場合がある。一方、一度骨格構造ができているので、2回目の焼成は1回目よりもしっかり焼成しても防曇性が低下しづらい。焼成度合は、焼成温度又は焼成時間で制御することができ、温度が高く、焼成時間が長くなるほどしっかり焼成ができる。
なお、ポリビニルアセタール樹脂にはNa,Cl等のアルカリ成分が含有されているため、これを吸水性樹脂として用いると、これらが不純物として現れるが、上記のように本実施形態に係る防曇膜42は、少なくともその表面において、これらのアルカリ成分が実質的に存在しない。これによって、上記のような効果を得ることができる。なお、アルカリ成分が実質的に存在しないとは、例えば、EDXで測定を行ったときの各アルカリ成分のスペクトルが現れない、あるいは、検出限界値以下であることを意味する。このとき、EDXにより電子線が入る深さ(概ね特性X線が発生する深さ)は、モンテカルロ法によるシミュレーションの結果、5μm程度であると算出される。したがって、本発明に係る「防曇膜には、その表面にアルカリ成分が含有されない層を有する」とは、防曇膜42の表面から概ね5μmの層のことをいう。なお、アルカリ成分は、経時的に変化し、防曇膜内で拡散する可能性もあるため、表面にアルカリ成分が含有される層を有する場合もある。但し、そのような場合でも、例えば、防曇膜において、外部に露出する面から1nmの層に含有されるアルカリ成分は、この面と反対側の面(カバー本体に接する面)から1nmの層に含有されるアルカリ成分よりも少ない。
また、本実施形態では、白化の原因となる不純物であるアルカリ成分としてNaを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、Na以外にも、このようなアルカリ成分としては、吸水性樹脂に含有され得るK,Mg,Caを挙げることができる。したがって、本発明に係るアルカリ成分が含有されない層とは、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属が含有されない、つまり上述した実質的に存在しない層をいう。
(9)上述した防曇膜42は、水蒸気を吸収できるため、表面に水滴が凝結しにくい。そのため、水分を吸収した防曇膜42は、低温でも凍結しにくいという特徴を有する。よって、この防曇膜42は、防氷性も有し、寒冷地でもカバー4が凍結するのを防止することができる。特に、ランプ3を消灯した後、長時間に亘ってランプ3を点灯しない状態が続いても、凍結を防止できるため、その後にランプ3を点灯してすぐに運転を行うことができる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
<4−1>
防曇膜42は、上記のように、カバー本体41に直接積層することもできるが、例えば、下地層をカバー本体41に積層した後、下地層の上に、防曇膜42を積層することもできる。このとき、上記実施形態で示したシランカップリング剤を含有しない防曇膜42を用いことができる。下地層としては、種々の材料を用いることができるが、例えば、ポリエステル系有機高分子材料、ポリウレタン系有機高分子材料、変成シリコーン系有機高分子材料などを用いることができる。
下地層の厚みは、1〜100μmとすることができる。このうち、厚みが2〜5μmである下地層を採用したり、あるいは、厚みが10〜50μm、好ましくは10〜20μmの下地層を採用することができる。
下地層は、上述した第1工程の前に、第1工程と同様の工程で積層することができる。すなわち、カバー本体の表面に、下地層用の塗工液を塗布し、加熱炉において加熱する。加熱温度は、200℃以下、例えば50〜150℃にすることが好ましい。加熱時間は、1〜20分であることが好ましく、2〜10分であることがさらに好ましい。また、この加熱を複数回行うこともできる。例えば、3〜5分の加熱を2回以上行うこともできる。こうして下地層を生成後、上述した第1工程において、防曇膜42を成膜する。
このような下地層は、防曇膜42が膨潤したときの剥がれを防止するのに寄与する。すなわち、本発明に係る防曇膜42は、上述したように、水分飽和膨張倍率が、10〜500%と大きいため、上記のような樹脂材料で形成された下地層によって、カバー本体41からの防曇膜42の膨潤による変位を緩和することができる。その結果、防曇膜42がシランカップリング剤を含有してなくても、防曇膜42の密着性を向上することができる。下地層が、上記のような緩衝効果を奏するためには、例えば、下地層のヤング率が150〜1000MPaであることが好ましい。このときのヤング率の測定方法は上述したものと同じである。
<4−2>
カバー本体41の形状は特には限定されず、上記のような防曇膜42の成膜領域が、曲面状であるほか、平坦な面、複数の平坦な面を連結した面、一部に曲面を有し他が平坦な面など種々の形状とすることができる。また、ランプ3と対向するように配置されるものであれば、カバー本体41全体がカップ状でなくてもよく、平坦な形状であってもよい。
<4−3>
上記実施形態に係る防曇膜の成膜方法は、一例であり、他の方法で成膜することもできる。例えば、水処理を行うと上記のように白化を抑制できるが、水処理は必須ではない。すなわち、白化の可能性はあるものの、照明に及ぼす影響を考慮して水処理を行わないようにすることもできる。
<4−4>
カバー本体の外面には、UVカット膜やハードコート層を積層してもよく、それらを含めて本発明のカバー本体を構成する。この場合、カバー本体の熱伝導率は、上記のように、0.1〜0.5W/m・Kである事が好ましい。
<4−5>
ランプ等で構成される光源の電力は特には限定されないが、例えば、5〜200Wの光源を用いることができる。これは、以下の理由による。まず、電力が大きくなると発熱量も増えるが、発熱量が大きくなると、防曇膜内で、有機材料間で架橋している無機材料の結合が切れ、防曇膜の防曇性能が低下するおそれがある。一方、電力が小さいと、光源からの熱による防曇膜42の防曇性能の向上が期待できる。よって、5〜200Wの光源を用いることが好ましい。
上記のような光源と本発明に係る照明用カバーとを有する照明モジュールを自動車(車輌)に用いる場合には、カバー本体41の外面において、地面との角度が水平方向から60度以上をなす領域の内面に防曇膜を積層することが好ましい(カバー本体41の外面が曲面の場合には接線方向と水平方向とのなす角が60度以上)。これは、次の理由による。すなわち、走行時に受ける風により、カバー内側の表面付近の温度は極度に冷やされる。したがって、上記角度が大きいと(鉛直に近いと)、風が良くあたり冷やされて結露の原因となる。よって、そのような領域に防曇膜42を積層すると、特に有利である。
また、防曇膜42は、カバー本体41の上下方向の下側に積層させることが好ましい。これは、光源の熱により、特に、カバー本体41の上側よりも下側の防曇性能が求められるからである。
<4−6>
上記実施形態では、本発明に係る照明用カバーをヘッドライトに適用したが、これ以外の自動車の各種ランプ、例えば、テールランプ、ブレーキランプ、コンビネーションランプ、自動車用信号灯に適用できるほか、自動車用以外の照明装置用のカバーに適宜適用することができる。
4 照明用カバー
41 カバー本体
42 防曇膜
3 ランプ(光源)

Claims (6)

  1. 光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーであって、
    前記光源を覆うように構成され、樹脂材料によって形成されたカバー本体と、
    前記カバー本体において前記光源に対向する内面に積層される吸水性の防曇層と、
    を備え、
    前記防曇膜は、シランカップリング剤を含有し、
    前記防曇膜は、水分飽和膨張倍率が10〜500%である、照明用カバー。
    但し、前記水分飽和膨張倍率は、前記防曇膜が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1、前記防曇膜が乾燥状態であるときの膜厚をD2と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。
  2. 光源を有する照明装置に取り付けられる照明用カバーであって、
    前記光源を覆うように構成され、樹脂材料によって形成されたカバー本体と、
    前記カバー本体において前記光源に対向する内面に積層される下地層と、
    前記下地層に積層される吸水性の防曇膜と、
    を備え、
    前記防曇膜は、水分飽和膨張倍率が10〜500%である、照明用カバー。
    但し、前記水分飽和膨張倍率は、前記防曇膜が飽和するまで水分を吸収したときの膜厚をD1、前記防曇膜が乾燥状態であるときの膜厚をD2と規定した場合の、((D1−D2)/D2)*100である。
  3. 前記下地層は、ポリエステル系有機高分子材料を含有する、請求項2に記載の照明用カバー。
  4. 前記防曇膜のヤング率が、100〜500MPaである、請求項1から3のいずれかに記載の照明用カバー。
  5. 前記カバー本体の前記内面の少なくとも一部が曲面状に形成され、当該曲面状に形成された部分に、前記防曇膜が積層されている、請求項1から4のいずれかに記載の照明用カバー。
  6. 前記カバー本体の内面において、少なくとも前記防曇膜が積層される領域の表面粗さRaが、0.5nm以上1μm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の照明用カバー。
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