JP2020091949A - 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池 - Google Patents

混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2020091949A
JP2020091949A JP2018226798A JP2018226798A JP2020091949A JP 2020091949 A JP2020091949 A JP 2020091949A JP 2018226798 A JP2018226798 A JP 2018226798A JP 2018226798 A JP2018226798 A JP 2018226798A JP 2020091949 A JP2020091949 A JP 2020091949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid oxide
fuel cell
oxide
solid
oxide fuel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018226798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7194936B2 (ja
Inventor
順一郎 大友
Junichiro Otomo
順一郎 大友
拓紀 松尾
Hiroki Matsuo
拓紀 松尾
良雄 松崎
Yoshio Matsuzaki
良雄 松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Gas Co Ltd
University of Tokyo NUC
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=71013875&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2020091949(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Tokyo Gas Co Ltd, University of Tokyo NUC filed Critical Tokyo Gas Co Ltd
Priority to JP2018226798A priority Critical patent/JP7194936B2/ja
Publication of JP2020091949A publication Critical patent/JP2020091949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7194936B2 publication Critical patent/JP7194936B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】固体酸化物燃料電池(SOFC)における電解質の薄膜化によるイオン伝導抵抗を低減しつつ、薄膜化に伴うリーク電流の増大を抑制可能なセル構造を有する固体酸化物燃料電池の提供。【解決手段】2以上の固体酸化物層が積層してなる電解質層と、カソードと、アノードとを有する固体酸化物燃料電池であって、前記固体酸化物層がそれぞれ互いに異なるバンド構造を有する固体酸化物材料により形成されていることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。【選択図】図2

Description

本発明は、2種以上の異なるイオン伝導性酸化物を積層した電解質層を有する固体酸化物燃料電池に関する。
近年、燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池は高効率でクリーンな発電装置として注目されている。そのなかでも、酸化物イオンまたはプロトンを透過可能な固体酸化物を電解質として使用する固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、他の燃料電池に比べて構造が簡素であって、電解質の損失や腐食の問題がない等の利点がある(例えば、非特許文献1)。
一般に、SOFCは、イオン導電性の固体酸化物から成る固体電解質層を両側から空気極層(カソード)と燃料極層(アノード)で挟み込んだ積層構造を有する。酸化物イオン伝導性の電解質を用いたSOFCでは、空気極で酸素の還元反応によって生成された酸素イオンが電解質を通して燃料極に移動し、燃料極に供給された燃料ガス (H2、CO、CH4等)と反応することで水や二酸化炭素を生成し、この時、燃料極で電子が生成され、空気極で電子が消耗するので、2つの電極を互いに連結して電流を発生させることができる。SOFCにおいて固体電解質のイオン伝導抵抗は、出力特性を低下させる要因であるため、固体電解質の薄膜化による電解質抵抗の低減は高効率化に有効な手法である。また電解質の薄膜化は作動温度の低温化にも有効な手法である。
一方、固体電解質内部では可動イオン種のみならず、電子や正孔も移動することが可能であるため、固体電解質における電子や正孔の伝導度が高い場合、アノード、カソードで生成した電子・正孔が電解質を介して対極へ流れる漏れ電流(リーク電流)が生じ、外部へ取り出し可能な電流が小さくなり、その結果、効率が低下する。リーク電流による性能低下は、固体電解質の膜厚の低下に伴って顕著になることから、薄膜化に伴うリーク電流の増大を抑制可能な材料設計やセル設計が求められている。
Y.Matsuzakiら、Sci.Rep.、5、12640、2015
本発明は、固体酸化物燃料電池(SOFC)における電解質の薄膜化によるイオン伝導抵抗を低減しつつ、薄膜化に伴うリーク電流の増大の抑制可能なセル構造を設計・構築することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、電解質層に2種以上の異なるイオン伝導性の固体酸化物を積層した構造を採用することで、薄膜化によるリーク電流の増大を抑制可能なセルを構築できることを見出した。特に、電解質層に用いる固体酸化物としてバンド構造(バンドギャップ幅あるいはフェルミ準位)の異なる複数の材料を用いることで、高いホール伝導性を有する固体酸化物を用いた場合でも高い起電力が得られ、かつリーク電流を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、
<1>2以上の固体酸化物層が積層してなる電解質層と、カソードと、アノードとを有する固体酸化物燃料電池であって、前記固体酸化物層がそれぞれ互いに異なるバンド構造を有する固体酸化物材料により形成されていることを特徴とする、固体酸化物燃料電池を提供するものである。
また、好ましい態様において、本発明は、
<2>前記固体酸化物材料が、それぞれ互いに異なるフェルミ準位を有する、上記<1>に記載の固体酸化物燃料電池;
<3>前記固体酸化物材料が、プロトン伝導性酸化物又は酸化物イオン伝導性酸化物である上記<1>又は<2>に記載の固体酸化物燃料電池;
<4>前記電解質層が、2以上の固体酸化物層がpn接合型、pp接合型、又はnn接合型で積層した構造を有する、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の固体酸化物燃料電池;
<5>前記電解質層がpn接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料のフェルミ準位のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、上記<4>に記載の固体酸化物燃料電池;
<6>前記電解質層がpp接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の価電子帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、上記<4>に記載の固体酸化物燃料電池;
<7>前記電解質層がnn接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の伝導帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、上記<4>に記載の固体酸化物燃料電池;及び
<8>前記固体酸化物材料が、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、遷移金属元素をドープしたチタン系ペロブスカイト型酸化物、アルカリ土類金属をドープしたLaYb系酸化物、LaW系酸化物、LaCe系酸化物、YをドープしたZr系酸化物、希土類元素をドープしたCe系酸化物、La系ペロブスカイト型酸化物及びBa系ペロブスカイト型系酸化物よりなる群から選択される、上記<4>〜<7>のいずれか1に記載の固体酸化物燃料電池
を提供するものである。
本発明によれば、電解質層に2種以上の異なるイオン伝導性の固体酸化物を積層した構造を採用することで、電解質層における各固体酸化物層の界面において、電子及び正孔の空乏層を掲載させることで、薄膜化によるリーク電流の増大を抑制することができる。また、かかる積層構造の電解質層を用いることにより、高いホール伝導性を有する固体酸化物を用いた場合でも高い起電力が得られるため、従来は単独の材料として電解質層として用いることが難しかった固体酸化物材料であっても、優れた電解質層として活用できるため、固体酸化物燃料電池の実用化に大きく寄与するものである。
図1は、本発明における固体酸化物材料層を接合した場合の電荷空乏層の形成を示すバンド構造の模式図である。図1(a)は、pn接合型の場合のバンド構造であり、図1(b)は、pp接合型の場合のバンド構造である。 図2は、実施例で作成した本発明の固体酸化物燃料電池セルの概念図である。 図3は、本発明の固体酸化物燃料電池セルについての電流-電圧曲線及び電流-出力曲線である。 図4は、XPS測定結果から想定されるLWOとLYOのバンド構造を示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
本発明の固体酸化物燃料電池は、2以上の固体酸化物層が積層してなる電解質層と、カソードと、アノードとを有し、前記固体酸化物層がそれぞれ互いに異なるバンド構造(バンドギャップ幅あるいはフェルミ準位)を有する固体酸化物材料により形成されていることを特徴とするものである。
本発明の固体酸化物燃料電池は、単セルにおいては、電解質層に、カソード(空気極)とアノード(燃料極)が相互に対向して接合されている。単セルとしては、平板型、円筒型等、種々の形状のものがありうる。また、各形状を有する単セルとして、電解質層 をもって支持体とするものの他、厚く形成した燃料極を支持体とするものがあり得る。
1.電解質層
上述のように、本発明の固体酸化物燃料電池は、電解質層が2種以上の異なるイオン伝導性の固体酸化物を積層した構造を有することを特徴とする。より詳細には、当該電解質層は2以上の固体酸化物層が積層してなる構造を有しており、そして、これら固体酸化物層を形成する固体酸化物材料は、それぞれ互いに異なるバンド構造(バンドギャップ幅あるいはフェルミ準位)を有することを特徴とするものである。
本明細書において、固体酸化物材料について「異なるバンド構造」或いは「バンド構造が異なる」とは、各固体酸化物材料が互いに異なるバンドギャップ幅を有すること、又は、互いに異なるフェルミ準位を有することの少なくともいずれか一方の状態であることを意味する。ここで、「異なるバンドギャップ幅が異なる」とは、価電子帯と伝導帯のエネルギー準位の差が異なることを意味する。通常、このように、互いに異なるバンドギャップ幅を有する固体酸化物材料は、互いにフェルミ準位が異なる。ただし、価電子帯と伝導帯のエネルギー準位は等しくても(すなわち、バンドギャップ幅が等しくても)、フェルミ準位が異なる固体酸化物材料もあり得るため、そのような場合も、本発明における「異なるバンド構造」或いは「バンド構造が異なる」場合に含まれるものとする。
図1は、本発明で用いるバンド構造が異なる固体酸化物材料層を接合した場合の電荷空乏層の形成を示すバンド構造の模式図である。図1に示すように、異なるフェルミ準位を有する材料を接合した界面では、キャリアとなる電子・正孔の授受が生じ、界面近傍にキャリア濃度が著しく減少した電荷空乏層が形成される。そして、空乏層の形成により、キャリア濃度の低さに由来して電子・正孔伝導度が減少し、リーク電流を抑制することができる。なお、図1(a)は、pn接合型の場合のバンド構造であり、図1(b)は、pp接合型の場合のバンド構造である。
一般に、固体電解質材料は、電子・正孔の伝導型によってp型およびn型に分類されるが、本発明では、2以上の固体酸化物層が、pn接合型(図1(a))、pp接合型(図1(b))、nn接合型のいずれの組み合わせの積層構造においても適用可能である。電解質層の積層構造は2層のみでも、超格子構造のような多層構造としても良い。
また、本発明では、互いに異なるバンド構造を有する固体酸化物材料の積層構造とした電解質層とすることで、ホール伝導性あるいは電子伝導性が高く従来は十分な起電力が得られないことが知られた材料を用いた場合であっても、2つ以上の固体酸化物層における最も低いホール伝導性を有する材料に由来する優れた起電力を得られる点も特徴とする。必ずしも理論に拘束されるものではないが、これは、各固体酸化物材料のバンドギャップ幅の差を適切な範囲内とすることで、各材料間の価電子帯や伝導帯が所定のエネルギーレベル差となり、それら材料が接合した界面では、ホール伝導(または電子伝導)のみが抑制されると考えられる。かかる発想は、イオン伝導性は高いがリーク電流も大きい、いわば電子輸送特性の悪い材料(低い起電力)を用いる場合であっても、イオン伝導性は低いが異なるバンド構造を有する材料を組み合わせた層(高い起電力)を積層して用いることで、性能の良い単一の層と同程度の性能に引き上げることができるというものであって、リーク電流を抑制するためのバリア層を設けるために複数の固体酸化物を用いる従来の発想とは根本的に異なるものである。
このように、リーク電流を抑制しつつ、かつ高い起電力を得るという観点から、本発明の好ましい態様では、各固体酸化物材料のバンド構造の差を適切な範囲内とすることが好ましい。より具体的には、電解質層がpn接合型の積層構造である場合には、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料のフェルミ準位のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲であることが好ましい。また、電解質層がpp接合型の積層構造である場合には、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の価電子帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲であることが好ましい。さらに、電解質層がnn接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の伝導帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲であることが好ましい。
本発明における電解質層として用いられる固体酸化物材料は、プロトン伝導性酸化物又は酸化物イオン伝導性酸化物であることができる。好ましくは、プロトン伝導性酸化物が用いられる。電解質としてプロトン伝導性酸化物を用いた燃料電池(p−SOFC)は、酸化物イオン伝導性酸化物を用いた燃料電池よりも、高い発電効率と動作温度の低温化が得られる。
本発明における電解質層として用いられる固体酸化物材料は、上述のように互いに異なるバンド構造を有するものであれば、その組み合わせは特に限定されないが、典型的には、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、遷移金属元素をドープしたチタン系ペロブスカイト型酸化物、アルカリ土類金属をドープしたLaYb系酸化物、LaW系酸化物、LaCe系酸化物、YをドープしたZr系酸化物、希土類元素をドープしたCe系酸化物、La系ペロブスカイト型酸化物及びBa系ペロブスカイト型系酸化物よりなる群から選択される材料を用いることができる。したがって、各固体酸化物層はこれらの材料の組み合わせであることができる。また、場合によっては、これら固体酸化物材料の固溶体を用いることもできる。
p型及びn型のプロトン伝導性酸化物としては、以下の表に示す材料を具体例として挙げることができる。表中、xは、0≦x≦1であり、好ましくは、0.05≦x≦0.5である。yは、0≦y≦1であり、好ましくは、0.1≦y≦0.8である。また、
δは、酸素欠損量であり、典型的には、0.025≦δ≦0.5である。
また、p型及びn型の酸化物イオン伝導性酸化物としては、以下の表に示す材料を具体例として挙げることができる。表中、xは、0≦x≦1であり、好ましくは、0.05≦x≦0.5である。yは、0≦y≦1であり、好ましくは、0.1≦y≦0.8である。また、δは、酸素欠損量であり、典型的には、0.025≦δ≦0.5である。
電解質層がpn接合型の積層構造である場合、固体酸化物材料の好ましい組み合わせとしては、[La28-xW4+xO54+3x/2v2-3x/2とBaCe1-xNdxO3-δ]、[La28-xW4+xO54+3x/2v2-3x/2とLaYb1-xTixO3-δ]、[SrZr1-xYxO3-δとSrCe1-xYbxO3-δ]、[BaTi1-xYxO3-δとSrTi1O3-δ]などを挙げることができる。
電解質層がpp接合型の積層構造である場合、固体酸化物材料の好ましい組み合わせとしては、[La28-xW4+xO54+3x/2v2-3x/2とLaYbO3]、[La28-xW4+xO54+3x/2v2-3x/2とLa2+xCe2-xO7-δ]、[BaZr1-xYxO3-δとSrZr1-xYxO3-δ]、[BaZr1-xYxO3-δとLaYbO3]、[BaZr1-xYbxO3-δとLaYbO3]などを挙げることができる。
電解質層がnn接合型の積層構造である場合、固体酸化物材料の好ましい組み合わせとしては、[La1-xSrxTiO3とSrTi1-xNbxO3-δ]、[Zr1-x-yYxNbyO2-δとSrTiO3]などを挙げることができる。
本発明の固体酸化物燃料電池における電解質層の全体厚さは、一般的な固体酸化物燃料電池におけるものと同様であることができ、例えば、3〜30μmであることができる。電解質層を構成する各固体酸化物層の個々の厚さは、典型的には、1〜10μmの範囲であることができる。
2.カソード及びアノード
本発明の固体酸化物燃料電池におけるカソード(空気極)として、当該技術分野において公知の電極材料を用いることができるが、典型的には、金属酸化物を含むことができる。具体的には、カソードは、ペロブスカイト(perovskite)型の結晶構造を有する金属酸化物粒子が用いられ、(Sm,Sr)CoO3、(La,Sr)MnO3、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3、(Ba,Sr)(Fe,Co)O3などの金属酸化物粒子が挙げられ、前記金属酸化物は、単独または2種以上を混合して用いてもよい。また、カソードを形成する材料として、白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を含むことができる。さらに、カソードを形成する材料として、ストロンチウム、コバルト、鉄などがドープされたランタンマンガナイトが用いられる。例えば、カソードは、SrFe0.95Nb0.053−δ (SFN)、La0.8Sr0.2MnO3(LSM)、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23(LSCF)などが挙げられる。
本発明の固体酸化物燃料電池におけるアノード(燃料極)として、当該技術分野において公知の電極材料を用いることができるが、典型的には、金属触媒、またはそれら金属触媒と固体電解質とから形成される混合物を例示することができる。金属触媒としては、具体的には、Ni,Ni合金,Co,Ru,Pt,Pd,Nb合金,V合金などを例示することができる。これらは2種以上混合されていてもよい。一方、混合物を構成する固体電解質としては、安定化ジルコニア、セリア系固溶体等を採用することができる。混合物における金属触媒と固体電解質との比率(質量比)は、好ましくは、触媒:固体電解質=30:70〜70:30の範囲内にあることができる。
3.固体酸化物燃料電池の製造方法等
本発明の固体酸化物燃料電池の単セルは、例えば、以下のように製造することができる。プレス成形法やテープ成形法などによって、固体酸化物材料を平板状等、所望の形状に成形し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、電解質層を形成する。次いで、この電解質層の一方の面に、アノード材料を含むスラリーを、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法などにより塗布し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、燃料極とする。同様にして、電解質層の他方の面に、上記カソード材料を含むスラリーを塗布して焼結し、空気極とする。
単セルは、セパレータ(インターコネクタ)を介して複数を電気的に直列に接続して使用することができる。セパレータは、ガス流路が形成された導電性材料よりなる。セパレータを構成する材料としては、Cr鋼に代表されるステンレス鋼、あるいはCr系合金、Ni系合金等の耐熱金属材料を例示することができる。これらよりなる板状の材料に、プレス加工、エッチング加工等によってガス流路を形成し、セパレータとすることができる。単セルとセパレータを、適宜集電材を介在させながら、交互に積層することで、セルスタックを構築することができる。
本発明の固体酸化物燃料電池は、600〜1000℃の温度で運転することができる。運転温度にまで昇温した状態で、セパレータのガス流路を介して、燃料極に燃料ガスを供給し、空気極に空気を供給する。燃料ガスとしては、水素、メタン、あるいはこれらを窒素等の不活性ガスで希釈したもの、都市ガス等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
1.使用した材料
アノード:NiO+Gd 10% doped CeO2 (1:1 wt.%, NiO+GDC10)
カソード:SrFe0.95Nb0.05O3-δ (SFN)
電解質:La28-xW4+xO54+3x/2v2-3x/2 (La/W=6.7、LWO67)、LaYbO3 (LYO)。
2.セル作製方法
<基板(アノード支持体)の作製>
NiOとGd10%ドープCeO2(第一稀元素化学工業製)を重量比1:1で混合し、ZrO2ボールミルでエタノールとともに2時間混合した。混合後、エタノールを蒸発させた後にメッシュ径35 μmのふるいで分級した。分級後の粉末を錠剤成型機を用いて10mmΦのペレットに成型し、その後1200℃で1時間焼成した後にアノード支持体を得た。
焼成後のアノード支持体を鏡面研磨し(#2000)、超音波洗浄により表面の洗浄を行った。溶媒にはアセトンとエタノールを用い、交互に5分×2回ずつ行った。洗浄後の表面を、アセトンを染み込ませた綿棒で擦り洗浄した。
<ターゲット(電解質ターゲット)の作製>
電解質粉末を錠剤成型機を用いて20mmΦのペレット状に成型し、試料に応じた温度で焼成することで電解質ターゲットを得た。ターゲットは表面を耐水研磨紙(#1200)で研磨した。
<電解質膜の成膜>
電解質膜はPulsed Laser Deposition (PLD)法を用いて成膜した。成膜装置はパスカル社製のPLD装置を用いた。成膜条件は温度600℃、雰囲気は酸素(酸素分圧:1 Pa)とした。
3.実験結果
図2に作製したセルの概念図を示す。アノード側にLYO、カソード側にLWOを積層させ、LWOとカソードの間に反応抑制層としてLYOを積層させた。
表1にLWOとLYOの輸送特性を示す(G. Kojo et al., Solid State Ionics, 306 (2017) 89-96)。尚、LYOの輸送特性は、類似の組成であるLa0.9Ca0.1YbO3-δの輸送特性に関する文献から導出した。プロトン伝導度はほぼ同程度の値だが、ホール伝導度についてはLWOの方が低い値を示す。
上記作成したセルについて測定した結果得られた電流-電圧曲線及び電流-出力曲線を図3示す。測定はアノード側に3%加湿20%H2+Arガス、カソード側に3%加湿20%O2+Arガスを流して行った。800℃と600℃における起電力はそれぞれ0.82 Vと0.95 Vであった(表2)。電解質をLWO1層にした際の起電力は800℃と600℃でそれぞれ0.88 Vと0.94 Vであり、概ね一致する値を得た。
上記セルにおいて電解質として使用したLWOとLYOの輸送特性(表1)を考慮すると、LWOの方がより低いホール伝導性を有するため、本来はLWOのみで作製したセルでより高い起電力を観測すると考えられる。しかし、得られた実験結果では、いわば性能が良い層(LWO)と悪い層(LYO)を組み合わせたセルが、性能が良い層のみのセルと同程度の起電力を示したことになる。これは、LWOとLYOの界面で新たな輸送特性制御機構が機能したものと考えられる。
図4に、XPS測定結果から想定されるLWOとLYOのバンド構造の関係を示す。LWOとLYOでは異なるバンド構造を持つ。そのため、両材料間の価電子帯が異なり、その二つの材料を接合させた界面ではいわゆるp-pジャンクションが形成され、ホールの伝導のみが抑制されると考えられる。

Claims (8)

  1. 2以上の固体酸化物層が積層してなる電解質層と、カソードと、アノードとを有する固体酸化物燃料電池であって、前記固体酸化物層がそれぞれ互いに異なるバンド構造を有する固体酸化物材料により形成されていることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。
  2. 前記固体酸化物材料が、それぞれ互いに異なるフェルミ準位を有する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
  3. 前記固体酸化物材料が、プロトン伝導性酸化物又は酸化物イオン伝導性酸化物である、請求項1又は2に記載の固体酸化物燃料電池。
  4. 前記電解質層が、2以上の固体酸化物層がpn接合型、pp接合型、又はnn接合型で積層した構造を有する、請求項1〜3のいずれか1に記載の固体酸化物燃料電池。
  5. 前記電解質層がpn接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料のフェルミ準位のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、請求項4に記載の固体酸化物燃料電池。
  6. 前記電解質層がpp接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の価電子帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、請求項4に記載の固体酸化物燃料電池。
  7. 前記電解質層がnn接合型の積層構造であって、各固体酸化物層を形成する固体酸化物材料の伝導帯のエネルギーレベル差がそれぞれ0.3〜5.0eVの範囲である、請求項4に記載の固体酸化物燃料電池。
  8. 前記固体酸化物材料が、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、遷移金属元素をドープしたチタン系ペロブスカイト型酸化物、アルカリ土類金属をドープしたLaYb系酸化物、LaW系酸化物、LaCe系酸化物、YをドープしたZr系酸化物、希土類元素をドープしたCe系酸化物、La系ペロブスカイト型酸化物、及びBa系ペロブスカイト型系酸化物よりからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1に記載の固体酸化物燃料電池。
JP2018226798A 2018-12-03 2018-12-03 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池 Active JP7194936B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226798A JP7194936B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226798A JP7194936B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020091949A true JP2020091949A (ja) 2020-06-11
JP7194936B2 JP7194936B2 (ja) 2022-12-23

Family

ID=71013875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018226798A Active JP7194936B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7194936B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220081790A1 (en) * 2020-09-14 2022-03-17 Hubei University Solid oxide electrolysis cell (soec) and preparation method thereof

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003123772A (ja) * 2001-10-11 2003-04-25 Nissan Motor Co Ltd 電極材料、固体電解質型燃料電池、固体電解質型ガスセンサおよび電極材料の製造方法
JP2003132914A (ja) * 2001-10-19 2003-05-09 Mcdermott Technol Inc 集積流路を有する高性能セラミック燃料電池のインターコネクト及びその作製方法
JP2009054520A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Toyota Motor Corp 電極−電解質膜接合体およびその製造方法
WO2011121932A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 パナソニック株式会社 光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステム
WO2012105579A1 (ja) * 2011-01-31 2012-08-09 Toto株式会社 固体電解質材料およびこれを備えた固体酸化物形燃料電池
JP2014207215A (ja) * 2013-03-21 2014-10-30 株式会社日本触媒 固体酸化物形燃料電池ハーフセル、及び固体酸化物形燃料電池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003123772A (ja) * 2001-10-11 2003-04-25 Nissan Motor Co Ltd 電極材料、固体電解質型燃料電池、固体電解質型ガスセンサおよび電極材料の製造方法
JP2003132914A (ja) * 2001-10-19 2003-05-09 Mcdermott Technol Inc 集積流路を有する高性能セラミック燃料電池のインターコネクト及びその作製方法
JP2009054520A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Toyota Motor Corp 電極−電解質膜接合体およびその製造方法
WO2011121932A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 パナソニック株式会社 光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステム
WO2012105579A1 (ja) * 2011-01-31 2012-08-09 Toto株式会社 固体電解質材料およびこれを備えた固体酸化物形燃料電池
JP2014207215A (ja) * 2013-03-21 2014-10-30 株式会社日本触媒 固体酸化物形燃料電池ハーフセル、及び固体酸化物形燃料電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220081790A1 (en) * 2020-09-14 2022-03-17 Hubei University Solid oxide electrolysis cell (soec) and preparation method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP7194936B2 (ja) 2022-12-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Jiang Nanoscale and nano-structured electrodes of solid oxide fuel cells by infiltration: advances and challenges
JP5260052B2 (ja) 固体酸化物型燃料電池
JP6018639B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池ハーフセル及び固体酸化物形燃料電池
JP5192944B2 (ja) セリア及びステンレス鋼に基づく電極
US10003083B2 (en) Composition for fuel cell electrode
WO2012133263A1 (ja) 燃料電池
US20180022655A1 (en) Method for manufacturing ceramic material, capacitor, solid oxide fuel cell, water electrolysis device, and hydrogen pump
WO2020196236A1 (ja) 固体酸化物形電解セル、その運転方法及び運転システム
JP2011119178A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP5144236B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP5336207B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP2012216508A (ja) 固体酸化物形燃料電池用セルおよびセル間接続部材
JP2008305669A (ja) 固体電解質型燃料電池セル
JP6338342B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池ハーフセル、及び固体酸化物形燃料電池
JP7231431B2 (ja) 電気化学セル
JP7194936B2 (ja) 混合伝導体層を有する固体酸化物燃料電池
JP4828104B2 (ja) 燃料電池セル
JP2009263741A (ja) 高温水蒸気電解セル
JP2013229311A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP7301768B2 (ja) 電気化学セル、電気化学セルスタックおよび電気化学セル用電解質
US7758992B2 (en) Copper-substituted perovskite compositions for solid oxide fuel cell cathodes and oxygen reduction electrodes in other electrochemical devices
JP2012146671A (ja) 固体電解質型燃料電池セル
JP5117834B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP2012009426A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP5296516B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7194936

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150