以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
<実施形態1>
本実施形態に係るデータ分析システム1は、地図上に設定された2地点に関する商圏を分析するためのシステムである。商圏分析とは、例えば、ある店舗にどの地域から顧客が来ているのか、ある地域でどのような商品やサービスが売れるのかといったことを分析することであり、出店戦略や販売戦略を検討する際に行われる。
本実施形態では、地図上の2地点として、例えば、自店舗(第1地点に相当。)と、競合店舗(第2地点に相当。)を設定し、地図上の所定の領域ごとに、当該領域における顧客の自店舗および競合店舗の訪問比を、顧客全員の自店舗および競合店舗の訪問比に基づいて評価する。すなわち、顧客全体の訪問比(平均)と比較して、各領域における顧客の競合店舗への訪問が平均より多い地域、少ない地域を評価することにより、競合店舗との関係において販売戦略や出店戦略を考える際の非常に有効な指標となる。自店舗と競合店舗との訪問比を単に比較するのではなく、全体の訪問比に基づいて比較することで、データ分析者は、競合店舗との関係で特徴的な領域を把握できるため、どのような条件が自店舗の訪問率に影響しているか等の分析を行うことが容易になる。
図1は、本実施形態に係るデータ分析システム1の構成図である。図1を参照して、データ分析システム1の構成およびその概要について説明する。
図1において、データ分析システム1は、地図上に設定された2地点の商圏を分析するためのシステムであって、複数の顧客端末100と、情報処理端末200と、サーバ装置300と、を備える。サーバ装置300は、ネットワークNWを介して、複数の顧客端末100及び情報処理端末200と通信可能に接続される。ネットワークNWは、例えばWAN(Wide Area Network)である。ここで、地図上に設定される地点とは、例えば、ショッピングセンターや、スーパーマーケット、百貨店等の店舗などであるが、これに限られず、観光地、図書館や病院などの公共施設、または駅など交通機関の停車場であってもよい。なお、以下の説明では、商圏分析の対象となる地点を、訪問地と言い換えて記載する場合がある。
顧客端末100は、顧客によって利用される情報処理端末であって、顧客端末100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等によって実現される。なお、本実施形態では、顧客とは、データ分析システム1において利用する位置情報をサーバ装置300に取得させるプログラム(例えば、スマートフォン専用のアプリ)をインストールした情報処理端末を保有する者のことをいうが、これに限られず、サーバ装置300が端末自体の位置情報を取得できるのであれば、どのような形態であってもよく、上述のような店舗等の会員や常連客、一度しか訪れていない客、サービスや商取引は行わず立ち寄っただけの客なども含めて良い。
顧客端末100は、顧客端末100にインストールされたプログラム(例えば、スマートフォン専用のアプリ)を介して、位置情報を継続的に取得する。例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して、自装置が存在する位置を示す情報である位置情報を検知する。そして、顧客端末100は、例えば、サーバ装置300の要求に従い、検知した位置情報をサーバ装置300に継続的に送信する。
情報処理端末200は、商圏分析を行うユーザによって利用される情報処理端末であって、例えば、スマートフォンやタブレット端末、PC(Personal Computer)等によって実現される。情報処理端末200は、商圏分析を行うユーザの操作を受けて、例えば、ブラウザのアプリケーションプログラムを起動し、当該ユーザにより設定される訪問地(商圏分析の対象となる地点)を示す情報を、サーバ装置300に送信する。なお、情報処理端末200は、図1に図示した数に限られず、複数台であってもよい。
サーバ装置300は、地図上に設定された2地点に関する訪問比を評価するデータ分析装置に相当するサーバ装置である。サーバ装置300は、情報処理端末200から、訪問地を示す情報を取得すると、顧客端末100から受信した位置情報に基づいて2地点に対する訪問比を算出する。そして、地図上の各領域ごとに、2地点に対する訪問比を評価し、評価結果を情報処理端末200へ送信する。例えば、サーバ装置300は、各領域について、顧客全体の訪問比に対して、どちらの地点に顧客がどの程度多く訪問しているかを示すスコアを算出し、スコアの大小が分かる態様で評価結果を出力するようにしてもよい。具体的には、地図上の各領域において、スコアごとに色分け表示したり、数値を表示したりしてもよい。スコアの算出方法については後述する。なお、本明細書において、地図上に設定された2地点を、「自店舗」および「競合店舗」として記載する。
以上のように、2地点に対する訪問比を、スコアを用いて評価することで、商圏分析を行うユーザに対し、どの領域の顧客が、全体訪問比(平均)と比較して競合店舗にどの程度多く訪問しているかを示すことができる。これにより商圏分析を行うユーザは、当該領域を、特に販売戦略などの分析が必要な領域として容易に把握することができる。
図2は、顧客端末100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図2を参照して、顧客端末100の機能構成について説明する。なお、本実施形態の顧客端末100は、図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。また、本実施形態の情報処理端末200を、顧客端末100と同様の機能構成としてもよく、情報処理端末200の機能構成については説明を省略する。
顧客端末100は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話機や、タブレット端末や、ノート型PCや、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末である。また、顧客端末100には、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(Wearable Device)も含まれる。さらに、顧客端末100には、位置情報を取得するための情報処理機能を有する種々のスマート機器が含まれてもよい。例えば、顧客端末100には、自動車などのスマートビークル(Smart Vehicle)などが含まれてもよい。
図2において、顧客端末100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、検知部140と、制御部150とを有する。
通信部110は、サーバ装置300と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現される。
入力部120は、ユーザから各種操作を受け付ける入力インターフェイスである。例えば、入力部120は、顧客端末100に備えられた操作キーやボタン、タッチパネル、音声入力のためのマイク等によって実現される。
表示部130は、各種情報を表示するための表示装置であって、例えば、液晶ディスプレイ等によって実現される。なお、顧客端末100にタッチパネルが採用される場合には、入力部120の一部と表示部130とは一体化される。
検知部140は、顧客端末100に関する各種情報を検知する。具体的には、検知部140は、顧客端末100の物理的な状態を検知する。図2に示した例では、検知部140は、位置検知部141を有する。
位置検知部141は、顧客端末100の現在位置を検知する。具体的には、位置検知部141は、衛星測位システムから送出される電波を受信し、受信した電波に基づいて顧客端末100の現在位置を示す位置情報(例えば、緯度及び経度)を検知する。なお、位置検知部141は、異なる手法により位置情報を取得してもよい。例えば、顧客端末100が駅改札や商店等で使用される非接触型ICカードと同等の機能を備えている場合(もしくは、顧客端末100が非接触型ICカードの履歴を読み取る機能を備えている場合)、顧客端末100によって駅での乗車料金の決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。位置検知部141は、この情報を検知し、位置情報として取得する。また、位置検知部141は、顧客端末100が特定のアクセスポイントと通信を行う際に、アクセスポイントから取得可能な位置情報を検知してもよい。また、位置検知部141は、顧客端末100がインターネットに接続された際の識別情報(IPアドレス等)に基づいて、顧客端末100が所在すると推定される位置を検知してもよい。
なお、検知部140は、位置検知部141に限られず、顧客端末100の種々の状態を検知する各種機器を有してもよい。例えば、検知部140は、顧客端末100の周囲の音を収集するマイクロフォンや、顧客端末100の周囲の照度を検知する照度センサや、顧客端末100の物理的な動きを検知する加速度センサ(又は、ジャイロセンサなど)や、顧客端末100の周囲の湿度を検知する湿度センサや、顧客端末100の所在位置における磁場を検知する地磁気センサ等を有してもよい。また、検知部140は、センサの機能を用いて、種々の情報を検知するようにしてもよい。例えば、検知部140は、加速度センサの機能を用いて、顧客端末100を利用する顧客の歩行数を検知してもよい。また、検知部140は、加速度センサの機能を用いて、顧客端末100が動作しているか、静止しているか、などを示す動作情報を一定時間ごとや、顧客端末100が動作したタイミングごとに検知してもよい。
制御部150は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、顧客端末100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部150は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
制御部150は、サーバ装置300に顧客端末100の位置情報を提供する処理を制御する。例えば、制御部150は、顧客端末100の位置情報の提供処理を実現するためのプログラム(例えば、スマートフォン専用アプリ)を実行制御する。プログラムは、予め顧客端末100にインストールされていてもよいし、顧客端末100を保有する顧客による操作に従ってサーバ装置300(または、各種プログラムを提供する外部サーバ)からダウンロードされ、顧客端末100にインストールされてもよい。
制御部150は、以下に説明する情報処理の機能や作用を、RAMを作業領域として上述したプログラムを実行することにより、実現または実行する。
制御部150は、検知部140を制御することにより、検知部140によって検知される各種情報を位置情報として取得する。例えば、制御部150は、位置検知部141を制御することにより、位置情報として、顧客端末100の位置情報と、位置情報が検知された時間に対応する時間情報を取得する。
また、制御部150は、位置情報として、通信部110が行う通信の状況に関する情報を取得してもよい。例えば、制御部150は、顧客端末100と所定のアクセスポイントにおける相互の通信状況を取得してもよい。また、制御部150は、顧客端末100が通話機能を有する場合には、通話が行われた時間や、通話先や、通話時間などの情報を取得してもよい。また、制御部150は、顧客端末100が撮影機能を有する場合には、撮影が行われた時間や、撮影が行われた位置情報や、撮影時間などの情報を取得してもよい。そして、制御部150は、これらの情報に基づいて、顧客端末100の位置情報を取得してもよい。
また、制御部150は、例えば、定期的(1分毎、3分毎、5分毎、1時間毎など)に位置情報を取得するようにしてもよい。また、制御部150が位置情報を取得するタイミングは、サーバ装置300によって設定されてもよい。また、制御部150は、所定のイベントが発生するタイミングで位置情報を取得するようにしてもよい。例えば、制御部150は、所定のイベントとして、上述した非接触型ICカード機能が利用されたときや、カメラ撮影が行われたときなどに応じて、位置情報を取得する。
また、制御部150は、通信部110に対し、取得した位置情報をサーバ装置300に送信するよう制御する。例えば、通信部110は、制御部150の制御により、顧客端末100を識別するための識別情報と、検知部140によって検知された位置情報と、かかる位置情報が検知された日時とをサーバ装置300に送信する。このとき、制御部150は、位置情報を取得するたびに位置情報等をサーバ装置300に送信してもよいし、所定の期間毎に位置情報等をサーバ装置300に送信してもよい。例えば、制御部150は、通信部110に対し、定期的(1分毎、3分毎、5分毎、1時間毎など)に、位置情報をサーバ装置300に送信するよう制御する。
図3は、サーバ装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。図3を参照して、サーバ装置300の機能構成について説明する。
サーバ装置300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを有する。なお、サーバ装置300は、サーバ装置300を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
通信部310は、顧客端末100や情報処理端末200と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現される。
記憶部320は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部320は、地図情報321と、訪問地情報322と、顧客情報323と、位置情報324と、を有する。
地図情報321は、地図データを記憶する。地図データは、例えば、緯度と経度によって位置を特定することができる。また、地図データは、地図上の地域をメッシュ状に分割し、分割された各領域を識別する識別情報によって位置を特定してもよい。
訪問地情報322は、情報処理端末200から送信された訪問地(商圏分析の対象となる地点であって、地図上に設定された2地点に相当。)の情報を記憶する。訪問地の情報は、例えば、住所、訪問地を識別するID、緯度や経度などの訪問地の位置を示す位置情報である。また、地図情報321が記憶する地図データにおいて、メッシュ状に分割された各領域を識別する識別情報を位置情報として記憶してもよい。訪問地は、例えば、自店舗と競合店舗である。
顧客情報323は、顧客に関する情報を記憶する。位置情報324は、顧客の位置情報を記憶する。ここで、図4および図5を用いて、顧客情報323および位置情報324の一例について説明する。
図4は、顧客情報323の一例を示す図である。図4に示すように、顧客情報323は、「顧客ID」、「住所」等の項目を有する。
「顧客ID」は、顧客を識別する識別情報を示す。なお、本実施形態において、識別情報は、説明に用いる参照符号と一致するものとする。例えば、顧客ID「C1」で識別される顧客は、顧客C1を示す。
「住所」は顧客の自宅の住所であり、後述する推定部332によって推定される。なお、店舗の会員情報などにより、ユーザから入力された情報を用いてもよい。また、顧客情報は、住所に限らず、この他にも、年齢や勤務地、職業など、顧客に関する情報を含ませてもよい。すなわち、顧客に関する情報は、顧客が活動する領域を示す情報であって、例えば、顧客の住所(居住する領域)や、勤務先、休日によく行く場所など、顧客の出現率が高い場所、顧客のライフスタイルを表す場所(例えば、駅・学校や商業施設など)であってもよい。なお、本実施形態では、顧客が居住する領域を、顧客が活動する領域として説明する。
図4において、顧客情報の住所は、「A01」のような概念で示しているが、実際には、具体的な情報によって示される。例えば、住所の項目は、地図データにおいて、メッシュ状に分割された領域を示す識別情報や、都道府県名や区市町村名、緯度経度等によって示される。
すなわち、図4では、顧客ID「C1」によって示される顧客C1の住所は「A01」であることを示している。
図5は、位置情報324の一例を示す図である。図5に示すように、位置情報324は、「端末ID」、「顧客ID」、「取得日時」、「位置情報」等の項目を有する。
「端末ID」は、顧客端末を識別する識別情報を示す。例えば、端末ID「100−1」で識別される端末は、顧客端末100−1を示す。
「取得日時」は、位置情報が顧客端末100又はサーバ装置300によって取得された日時を示す。なお、図5では、位置情報を2時間ごとや一日ごとに記憶している例を示しているが、実際には、より詳細な間隔(例えば、5分間隔)で位置情報が取得されてもよい。「位置情報」は、顧客端末100の位置情報を示す。図5では、「位置情報」は、「AA01」のような概念で示しているが、実際には、経度及び緯度などの実測値や、アクセスポイントの位置情報や、駅改札の位置などによって示されてもよい。また、地図データにおいて、分割された領域を示す識別情報でもよい。
すなわち、図5では、端末ID「100−1」で識別される顧客端末100−1は、顧客ID「C1」で識別される顧客C1に利用される端末であることを示している。また、位置情報の一例として、「2018年11月1日 8:00」に取得された位置情報は、位置情報「AA01」が示す位置に顧客端末100−1が所在することを示している。また、位置情報の他の一例として、「2018年11月1日 10:00」に取得された位置情報は、位置情報「AA02」が示す位置に顧客端末100−1が所在することを示している。
図3に戻って、制御部330について説明する。制御部330は、例えば、コントローラであり、CPUやMPU等によって、サーバ装置300内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(データ分析プログラムに相当。)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部330は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
制御部330は、取得部331と、推定部332と、領域訪問比算出部333と、訪問率算出部334と、全体訪問比算出部335と、スコア算出部336と、出力部337と、を有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部330の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
取得部331は、各種情報を取得する。例えば、取得部331は、情報処理端末200から訪問地の情報を取得し、訪問地情報322へ記憶させる。また、例えば、取得部331は、顧客端末100が専用のアプリケーションやウェブサイトを利用した際の情報等によって顧客端末100を特定し、特定した顧客端末100から、顧客端末100の位置情報を継続的に取得する。具体的には、取得部331は、位置情報として、顧客端末100によって検知されたり、取得されたりした各種情報を取得する。取得部331は、所定の時間間隔で顧客端末100から位置情報を取得し、取得した位置情報を記憶部320の位置情報324に記憶させる。
なお、取得部331は、後述する各処理部が利用する位置情報そのものを取得することを要しない。例えば、取得部331は、顧客端末100から検出される情報に基づいて、顧客端末100の位置情報を取得するようにしてもよい。具体的には、後述する領域訪問比算出部333が訪問比を算出する際に、顧客の居住する領域を示す情報を利用する場合であっても、取得部331は、顧客端末100から顧客の居住する領域そのものの情報を取得することを要しない。すなわち、取得部331は、顧客端末100が検知した経度及び緯度によって示される位置情報を取得するが、地図上の分割された領域を識別する識別情報に変換して、変換した情報を後述する各処理部が利用する位置情報として位置情報324に格納するようにしてもよい。
また、取得部331は、曜日情報を含めた日時情報とともに位置情報を取得するようにしてもよい。顧客の自宅を推定するには、例えば、顧客が平日の早朝に所在する位置や、平日の昼間に所在する位置や、休日に所在する位置など、日時や曜日との関係性が有用であると考えられる。このため、取得部331は、曜日情報を含めた日時情報とともに位置情報を取得することで取得する位置情報の情報量を高め、より精度の高い推定が行われるようにしてもよい。
また、取得部331は、必ずしも顧客端末100が位置情報を取得した時間と同じ時間に位置情報を取得しなくてもよい。すなわち、取得部331は、リアルタイムに位置情報を取得するのではなく、処理に利用する際に、顧客端末100の記憶部に記憶されている位置情報を取得するようにしてもよい。これにより、サーバ装置300は、通信のための処理量を削減することができる。
また、取得部331は、位置情報として、顧客端末100と他の装置における通信の状況を取得してもよい。具体的には、取得部331は、顧客端末100がアクセスポイントを介してインターネットなどにアクセスしている通信状況を取得する。この場合、取得部331は、アクセスポイントとの通信状況から検出される情報を位置情報として取得する。具体的には、取得部331は、顧客端末100と通信中のアクセスポイントの設置位置を割り出し、割り出したアクセスポイントの設置位置を、顧客端末100の位置情報として取得するようにしてもよい。また、取得部331は、上述のように、駅改札の装置と顧客端末100との通信を検出することで顧客端末100の位置情報を取得したり、顧客端末100のIPアドレスに基づいて位置情報を取得したりしてもよい。また、取得部331は、顧客のSNS(Social Networking Service)等により、位置情報を取得してもよい。
推定部332は、顧客の居住する領域を推定する。例えば、推定部332は、平日の早朝や夜における顧客端末100の位置情報に基づいて、顧客端末100を保有する顧客の自宅があると推定される地域を推定する。ここで、図6を用いて、顧客端末100−1を保有する顧客C1の住所の推定の例について説明する。
図6は、住所の推定の一例を示す図である。図6において、地図60は、メッシュ状に分割されている。地図60の左上を原点として、縦に1、横に1の座標によって示される範囲を領域A11とする。同様に、地図60の原点から数えて縦に2、横に1の座標によって示される範囲を領域A12、地図60の原点から数えて縦に3、横に1の座標によって示される範囲を領域A13とする。
推定部332は、例えば図6に示すように、位置情報と照らして、顧客端末100−1が存在する所定範囲を座標にマッピングする。地図60では、顧客端末100−1から取得される位置情報において、顧客端末100−1が所在する確率の高い(すなわち、確率分布の高い)範囲をハッチングで示すものとする。なお、確率分布は、顧客に関して取得された位置情報の全情報における確率を示すものであってもよいし、特定の時間帯や曜日に絞った場合に、顧客が所定範囲に所在する確率を示すものであってもよい。
図6に示す例では、領域A55が、ハッチングで示される。これは、顧客端末100−1が、領域A55が示す範囲内に比較的長い時間所在していることを示す。例えば、領域A55は、地図60に示される範囲における顧客端末100−1が所在する確率を示す確率分布において、所定の閾値を超える分布の値を示す範囲に対応する位置情報であることを示す。
さらに、推定部332は、位置情報324に格納された顧客端末100−1の位置情報から、顧客端末100−1が平日の早朝や夜、休日等に、領域A55が示す範囲に比較的多く所在すると判断する。この場合、推定部332は、領域A55が示す範囲が、顧客端末100−1を保有する顧客C1の自宅住所が存在する範囲、すなわち、顧客が居住する領域であると推定する。
例えば、推定部332は、このような推定を行うための設定を予め受け付けておき、受け付けた設定と位置情報とを照合することにより、上記の推定処理を実行する。具体的には、推定部332は、所定範囲の確率分布が所定の閾値を超える場合に、当該範囲に顧客C1の住所が存在すると推定する。一例としては、推定部332は、取得した顧客端末100−1の位置情報(例えば、期間を1週間として、朝6時から朝8時までの時間帯に絞って取得された顧客C1の位置情報)のうち、所定範囲に顧客C1が所在する確率を示す確率分布が「0.5(50%)」を超える場合に、当該範囲に顧客C1の住所が存在すると推定する。
推定部332は、以上のようにして推定した顧客が居住する領域を顧客の住所として記憶部320の顧客情報323に記憶させる。上記では、推定部332によって推定される顧客が活動する領域の例として、顧客の住所を挙げたが、同様にして、顧客の勤務先等も推定することができる。すなわち、推定部332は、顧客が所定範囲に所在する確率に基づいて、顧客の頻出出現パターンを算出し、顧客のライフスタイルを表す場所を推定することができる。
なお、上述したように、本実施形態では、顧客が居住する領域を、顧客が活動する領域として記載する。
図3に戻って、領域訪問比算出部333は、地図上の所定の領域ごとに、情報処理端末200から送信された2地点に対する顧客の訪問比を算出する。ここで、領域訪問比算出部333は、後述する訪問率算出部334で算出された訪問率に基づいて、領域訪問比を算出する。
訪問率算出部334は、地図上の所定の領域ごとに、当該領域において活動する顧客のうち、自店舗を訪問した顧客の訪問率を推定する第1訪問率、競合店舗を訪問した顧客の訪問率を推定する第2訪問率を算出する。
以下、具体的に、地図上の所定の領域における領域訪問比の算出方法について説明する。まず、訪問率算出部334は、顧客情報323に記憶された顧客の住所に基づいて、地図データの所定の領域に居住する顧客を抽出し、当該領域内に居住する顧客が2地点(自店舗および競合店舗)を訪れた訪問率を算出する。なお、所定の領域は、メッシュ状に分割した領域や、行政区画であってもよく、商圏分析を行うユーザが自由に設定することができる。
すなわち、商圏分析の対象地域を所定の領域で分割した領域Ai(i=1〜n:nは自然数)における顧客の各訪問地(自店舗および競合店舗)に対する訪問率は、例えば、以下のように算出される。
(領域Aiの顧客の自店舗の訪問率(第1訪問率に相当))=(自店舗を訪れた、領域Aiに居住する顧客の数)/(領域Aiに居住する顧客の数) … 式(1)
(領域Aiの顧客の競合店舗の訪問率(第2訪問率に相当))=(競合店舗を訪れた、領域Aiに居住する顧客の数)/(領域Aiに居住する顧客の数) … 式(2)
ここで、ある顧客が訪問地を訪れたか否かは、取得した当該顧客の位置情報から判断する。例えば、訪問率算出部334は、位置情報324に基づいて、当該顧客の位置情報が示す位置が、訪問地の存在する領域に含まれているかを判断する。この際、位置情報が検知された日時に基づいて、所定時間以上(例えば、30分以上など)、顧客の位置が訪問地の存在する領域に含まれている場合を、顧客が訪問地を訪れたと判断してもよい。また、ある顧客について取得した位置情報の全データに対する、訪問地の存在する領域に含まれている位置情報のデータ数の割合が所定の閾値以上である場合を、顧客が訪問地を訪れたと判断してもよい。
次いで、領域訪問比算出部333は、2地点に対する領域訪問比を算出する。具体的には、領域訪問比算出部333は、上述したように訪問率算出部334が抽出した、地図データの所定の領域に居住する顧客に基づいて、顧客の自店舗と競合店舗に対する領域訪問比を、以下のように算出する。
(領域Aiの顧客の自店舗と競合店舗の訪問比)=(自店舗を訪れた、領域Aiに居住する顧客の数)/(競合店舗を訪れた、領域Aiに居住する顧客の数) … 式(3)
ここで、領域訪問比算出部333は、上記式(1)、式(2)のように算出された訪問率の所定の信頼度(例えば、95%)の信頼区間(区間の小さい方の端点を「信頼下限」、大きい方の端点を「信頼上限」と呼ぶ。)に基づいて、上記式(3)のように算出される領域訪問比の下限、上限を求める。
(領域訪問比の下限)=(自店舗の訪問率の信頼下限)/(競合店舗の訪問率の信頼上限) … 式(4)
(領域訪問比の上限)=(自店舗の訪問率の信頼上限)/(競合店舗の訪問率の信頼下限) … 式(5)
訪問率の所定の信頼度の信頼区間に基づいて領域訪問比の上限、下限を算出するのは、以下の理由による。すなわち、商圏分析において、ある領域の全住民を対象として訪問比の調査を行うことは現実的ではないため、一般的には標本調査が行われる。しかしながら、標本としてどの住民を抽出したかによって訪問比は異なるため、上述のように領域訪問比算出部333が算出した、ある領域における顧客の訪問比の値(すなわち、式(3))のみから、ある領域における全住民の訪問比であると断定することは、正確さに欠ける。そこで、本実施形態では、ある幅(信頼区間)をもった訪問率に基づいて訪問比を算出する。すなわち、「ある信頼度(例えば、95%)で訪問比がその区間に存在する」として訪問比を算出する。このように、精度が与えられた訪問率に基づいて訪問比を算出することで、算出結果を的確に評価することができるようになる。
なお、本実施形態では、信頼区間を求める手法として、Wilsonのスコア法を用いるが、この他にも、Wald法(正規分布)、Clopper-Pearsonの正確法(F分布)、Agresti-Coull法(調整Wald法)、Jeffeys法などを用いることができる。なお、これらは公知の手法であるから、詳細な説明は省略する。
全体訪問比算出部335は、記憶部320に記憶される顧客情報323および位置情報324に基づいて得られる、自店舗を訪問した顧客数、および競合店舗を訪問した顧客数から、2地点に対する全体訪問比を算出する。具体的には、以下のように算出する。
(顧客の自店舗と競合店舗の全体訪問比)=(自店舗を訪れた顧客数)/(競合店舗を訪れた顧客数) … 式(6)
スコア算出部336は、地図上の所定の領域ごとの2地点に対する領域訪問比を、全体訪問比に基づいて評価する評価部の一機能に相当する。すなわち、スコア算出部336は、所定の領域ごとに、当該領域において活動する顧客が、全体訪問比に対して、自店舗または競合店舗のどちらに多く訪問しているかを示す競合スコアを算出する。具体的には、スコア算出部336は、上述の式(4)〜(6)で算出された領域訪問比の上限/下限および全体訪問比を用いて、競合スコアを以下のように算出する。
(競合スコア)=
(領域Aiの訪問比の下限)/(全体訪問比)の対数…(領域Aiの訪問比の下限>全体訪問比の場合) … 式(7)
(領域Aiの訪問比の上限)/(全体訪問比)の対数…(領域Aiの訪問比の上限<全体訪問比の場合) … 式(8)
0…(上記いずれでもない場合)
図7および図8を用いて、競合スコアについてさらに説明する。
図7は、領域A1及びA2の訪問比の一例を示す図である。図7において、領域A1およびA2は、例えば、図6で示されるようなメッシュ状に分割された地図上の領域の一つであり、領域A1,A2の訪問比71,72、および、全体訪問比が示されている。
ここで、訪問比71は、訪問比の下限が全体訪問比を超えており、上記式(7)の場合に相当する。これは、全体訪問比と比較して、自店舗へ訪問する顧客が多いことを意味しており、競合スコアを算出することにより、全体訪問比に対して、どの程度顧客が多く訪問しているかを示すことができる。また、訪問比72は、訪問比の上限が全体訪問比を下回っており、上記式(8)の場合に相当する。これは、全体訪問比と比較して、自店舗へ訪問する顧客が少ないことを意味しており、競合スコアを算出することにより、全体訪問比に対して、どの程度顧客が少なく訪問しているかを示すことができる。
図8は、領域A3及びA4の訪問比の一例を示す図である。図8において、領域A3およびA4は、例えば、図6で示されるようなメッシュ状に分割された地図上の領域の一つであり、領域A3,A4の訪問比81,82、および、全体訪問比が示されている。
ここで、訪問比81および82は、どちらの場合も、訪問比の下限が全体訪問比を超えておらず、また、訪問比の上限が全体訪問比を下回っていない。このような場合は、全体訪問比に対して、領域訪問比は有意な差はないと判断し、競合スコアを0(ゼロ)と算出する。
上述のように、スコア算出部336は、所定の領域ごとの領域訪問比を、全体訪問比に基づいて、自店舗または競合店舗への訪問者数の大小が分かる数値で示すことができる。
図3に戻って、出力部337は、上述のように算出された競合スコアを出力する。例えば、出力部337は、記憶部320に記憶された地図情報321の地図データに競合スコアを数値ごとに対応付けられた色(階調など)で重ね合わせ、通信部310を介して、情報処理端末200に送信する。情報処理端末200のユーザは、送信された地図データに重ね合わされた競合スコアにより、特に分析が必要な領域がどこかを容易に把握することができる。
図9は、出力結果の一例を示す図である。図9の地図60は、図6で説明した図と同じものであり、領域A25には自店舗、領域A52には競合店舗が存在する。スコア算出部336によって算出された競合スコアは、数値に応じて階調91〜95で示されるように色分けして評価される。出力部337は、評価結果を地図60と重ねて表示する。図9の例では、階調91に近いほど、全体訪問比に対して自店舗への訪問が多く、階調95に近いほど、競合店舗への訪問が多いことを示している。
図9において、例えば、領域A36,46および47については、当該領域の顧客は競合店舗への訪問が多いことが分かる。この評価結果により、データ分析者は、比較的自店舗に近い領域において競合店舗への訪問が多いことから、その原因の分析や何らかの対策が必要である、ということを気づくことができる。なお、この例では、値に応じて領域を色分けする態様で競合スコアを表示しているが、競合スコアの出力はこの例に限らず、数値を表示するようにしてもよいし、記号であらわすようにしてもよい。
このように、競合スコアを提示することにより、競合店舗に対し販売戦略上有利となるような対策が必要な領域が明確となる。
図10は、サーバ装置300の処理の流れを示すフローチャートである。図10を参照して、サーバ装置300における処理の流れを説明する。なお、図10で示す処理は、サーバ装置300の処理の一例である。サーバ装置300の処理として、この他にも、上述したサーバ装置300の各機能構成の処理を組み合わせてもよい。
ステップS101において、取得部331は、通信部310が、顧客端末100から位置情報を受信したかを判断する。位置情報を受信していないと判断した場合(ステップS101において、N)、処理はステップS101に戻る。
一方、位置情報を受信したと判断した場合(ステップS101において、Y)、ステップS102において、取得部331は、通信部310から位置情報を取得し、記憶部320の位置情報324に記憶させる。
ステップS103において、取得部331は、通信部310が、情報処理端末200から商圏分析の対象である2地点の訪問地(例えば、自店舗と競合店舗)の情報を受信したかを判断する。訪問地の情報を受信していないと判断した場合(ステップS103において、N)、処理はステップS101に戻る。
一方、訪問地の情報を受信したと判断した場合(ステップS103において、Y)、ステップS104において、訪問率算出部334は、地図上の所定の領域ごとに、2地点に対する、当該領域に居住する顧客の訪問率を算出する。なお、推定部332は、訪問率を算出する際に顧客の居住する領域を推定してもよいし、所定期間において取得した位置情報に基づいて予め顧客の居住する領域を推定し、顧客情報323に記憶させておいてもよい。また、当該領域に居住する顧客ではなく、当該領域に勤務する顧客や、休日によく滞在する顧客など、顧客情報323に記憶された顧客に関する情報(顧客の活動する領域)に基づいて、顧客の属性によって訪問率を算出することもできる。
ステップS105において、領域訪問比算出部333は、ステップS104において訪問率算出部334が算出した訪問率に基づいて、領域ごとの訪問比を算出する。具体的には、領域訪問比算出部333は、訪問率の所定の信頼度(例えば、95%)の信頼区間に基づいて、領域訪問比の下限、上限を求める。
ステップS106において、全体訪問比算出部335は、記憶部320に記憶される顧客情報323および位置情報324に基づいて得られる、自店舗を訪問した顧客数、および競合店舗を訪問した顧客数から、2地点に対する全体訪問比を算出する。
ステップS107において、スコア算出部336は、所定の領域ごとに、当該領域において活動する顧客が、全体訪問比に対して、自店舗または競合店舗のどちらに多く訪問しているかを示す競合スコアを算出する。具体的には、スコア算出部336は、ステップS105で算出された領域訪問比の上限/下限および全体訪問比を用いて、競合スコアを算出する。
ステップS108において、出力部337は、ステップS107において算出された競合スコアを出力する。例えば、出力部337は、記憶部320に記憶された地図情報321の地図データに競合スコアを数値ごとに対応付けられた色(階調など)で重ね合わせ、通信部310を介して、情報処理端末200に送信する。以上により、サーバ装置300は処理を終了する。
(ハードウェア構成図)
図11は、サーバ装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置300は、コンピュータ401に実装される。コンピュータ401は、CPU402と、主記憶装置403と、補助記憶装置404と、インターフェイス405と、を備える。
サーバ装置300の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置404に記憶されている。CPU402は、プログラムを補助記憶装置404から読み出して主記憶装置403に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU402は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置403に確保する。当該プログラムは、具体的には、コンピュータ401に、地図上に設定された2地点の商圏を分析させるデータ分析プログラムである。
なお、補助記憶装置404は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インターフェイス405を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ401に配信される場合、配信を受けたコンピュータ401が当該プログラムを主記憶装置403に展開し、処理を実行しても良い。
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置404に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。なお、図11に示したハードウェア構成は、顧客端末100、および情報処理端末200も同様の構成としてもよい。これらの装置における各構成要素の動作も、上述のサーバ装置300と同様に、補助記憶装置に記憶されたプログラムに従ったCPUにより実現する。
(効果の説明)
上述したように、本実施形態に係るデータ分析システムは、地図上の2地点として、例えば、自店舗と、競合店舗を設定し、地図上の所定の領域ごとに、当該領域における顧客の自店舗および競合店舗の訪問比を、顧客全員の自店舗および競合店舗の訪問比に基づいて算出される競合スコアによって評価する。すなわち、顧客全体の訪問比(平均)と比較して、各領域における顧客の競合店舗への訪問が平均より多い地域、少ない地域を評価することにより、競合店舗との関係において販売戦略や出店戦略を考える際の非常に有効な指標となる。自店舗と競合店舗との訪問比を単に比較するのではなく、全体の訪問比に基づいて比較することで、データ分析者は、競合店舗との関係で特徴的な領域を把握できるため、どのような条件が自店舗の訪問率に影響しているか等の分析を行うことが容易になる。また、そのような領域を特定して、効果的に広告を行うことが可能となる。
<実施形態2>
実施形態1に係るデータ分析システム1は、地図上に設定された2地点について、全体訪問比に対して、どちらの地点に多く顧客が訪問しているかを、競合スコアを用いて評価した。それに対し、実施形態2に係るデータ分析システム2は、地図上に設定された2地点について、全体訪問比に対して、どちらの地点にも同程度訪問している領域を示す引き分け領域を特定する点が、実施形態1と相違する。
図12は、本実施形態に係るデータ分析システム2の構成図である。データ分析システム2は、実施形態1に係るデータ分析システム1が備えるサーバ装置300に代えて、サーバ装置500を備えるが、その他の点は、データ分析システム1と同じであるので、説明を省略する。
図13は、サーバ装置500の機能構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置500は、実施形態1に係るサーバ装置300の制御部330に代えて、制御部530を備える点以外は、サーバ装置300と共通の構成要素を備える。なお、サーバ装置300と共通の構成要素には同一の符号を付しており、繰り返しの説明は省略する。
サーバ装置500の制御部530は、例えば、コントローラであり、CPUやMPU等によって、サーバ装置500内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(データ分析プログラムに相当。)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部530は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
制御部530は、取得部331と、推定部332と、領域訪問比算出部333と、訪問率算出部334と、全体訪問比算出部335と、特定部536と、出力部537と、を有する。制御部530は、特定部536と、出力部537とを有する点が、実施形態1に係るサーバ装置300の制御部330と異なる。
特定部536は、領域訪問比を全体訪問比に基づいて評価する評価部の一機能に相当し、地図上の所定の領域について、当該領域の2地点に対する領域訪問比の上限および下限が、全体訪問比の所定の範囲内に含まれる領域を引き分け領域として特定する。
具体的には、商圏分析の対象地域を所定の領域で分割した領域Ai(i=1〜n:nは自然数)における領域訪問比のうち、
(全体訪問比×1/α)<(領域Aiの領域訪問比の下限および上限)<(全体訪問比×α) (αは2以上の任意の自然数)
を満たす領域Aiを引き分け領域として特定する。
すなわち、引き分け領域とは、地図上の所定の領域のうち、当該領域において活動する顧客が、自店舗および競合店舗に、全体訪問比と同程度に訪問している領域である。
出力部537は、特定部536によって特定された引き分け領域を、評価結果として出力する。例えば、出力部537は、記憶部320に記憶された地図情報321の地図データに引き分け領域として特定された領域を重ね合わせ、通信部310を介して、情報処理端末200に送信する。情報処理端末200のユーザは、送信された地図データに重ね合わせて表示された引き分け領域により、特に分析が必要な領域がどこかを容易に把握することができる。
図14は、出力結果の一例を示す図である。図14の地図60は、図6で説明した図と同じものであり、領域A25には自店舗、領域A52には競合店舗が存在する。出力部537は、特定部536によって特定された引き分け領域について、評価結果として地図60と重ねて表示する。図14の例では、領域A23,24,65,75が引き分け領域としてハッチングされている。この評価結果により、データ分析者は、販売戦略上、競合店舗に打ち勝つための施策が必要な領域を容易に把握することができる。
図15は、サーバ装置500の処理の流れを示すフローチャートである。図15を参照して、サーバ装置500における処理の流れを説明する。なお、図15で示す処理は、サーバ装置500の処理の一例である。サーバ装置500の処理として、この他にも、上述したサーバ装置500の各機能構成の処理を組み合わせてもよい。また、サーバ装置500の処理のステップS101〜S106は、サーバ装置300の処理と共通するので、説明は省略する。
ステップS207において、特定部536は、領域訪問比を全体訪問比に基づいて評価する評価部の一機能に相当し、地図上の所定の領域について、当該領域の2地点に対する領域訪問比の上限および下限が、全体訪問比の所定の範囲内に含まれる領域を引き分け領域として特定する。
次いで、ステップS208において、出力部537は、ステップS207において特定された引き分け領域を、評価結果として出力する。例えば、出力部537は、記憶部320に記憶された地図情報321の地図データに引き分け領域として特定された領域を重ね合わせ、通信部310を介して、情報処理端末200に送信する。以上により、サーバ装置500は処理を終了する。
(効果の説明)
上述したように、本実施形態に係るデータ分析システムは、地図上に設定された2地点について、全体訪問比に対して、どちらの地点にも同程度訪問している領域を示す引き分け領域を特定する。自店舗と競合店舗との訪問比を単に比較するのではなく、全体の訪問比に基づいて同程度であるかを判断するので、データ分析者は、競合店舗との顧客争奪の勝敗を決する領域を把握することができ、効果的に広告等の販売促進施策を行うことが可能となる。
本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。