JP2020090696A - Fe基合金粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給するために適した流動性を有し、1000Hv以上の高硬度を発現するFe基合金粉末を提供する。【解決手段】Fe基合金粉末は、B:5.5質量%以上7.5質量%以下、Cr:下記数式1を満たし且つ19質量%以上、C:0質量%以上0.5質量%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる。Fe基合金粉末は、体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径が53μm以下であり、JIS Z−2502に基づいて測定される流動度が、20sec/50g以下である。数式1: XCr+4×XB≦72(上記数式1において、XCrは前記Fe基合金粉末のCrの含有率[質量%]を表し、XBは前記Fe基合金粉末のBの含有率[質量%]を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、レーザーコーティング(レーザークラッディング)用粉末、積層造形用粉末、及び、ショットピーニング用投射材として好適な、高流動性を有する高硬度Fe基合金粉末に関する。
従来、レーザーコーティング(レーザークラッディング)、粉末積層造形、及びショットピーニングの技術分野において、安価な高硬度粉末が求められている。
レーザーコーティングは、母材に向けて噴射された飛翔中の粉末又は母材表面に付着した粉末をレーザービームで直接に溶解させたり、粉末を溶融した母材表面に投入して間接的に溶融させたりすることによって、母材の表面にクラッディング層又は被膜を形成する技術である。レーザーコーティングは、金属部材の補修に利用されるほか、金属部材の表面改質にも利用される。表面改質の例として、切削用工具等の歯部に耐摩耗性を備えるための高硬度コーティングが挙げられる。高硬度コーティングの表面硬度は、高いほど好ましい。
様々な方式の粉末積層造形技術が知られている。その中でも、例えば、指向性エネルギー堆積方式(レーザーメタルデポジション(LMD)、ダイレクトメタルデポジション(DMP)などとも称される)は、母材に向けて噴射された飛翔中の粉末又は母材表面に付着した粉末をレーザービームで直接に溶解させたり、粉末を溶融した母材表面に投入して間接的に溶融させたりすることによって、積層造形するものである。
ショットピーニング技術は、被処理材の表面に投射材と呼ばれる粒子を投射し、圧縮残留応力を付与し、疲労強度を改善する表面処理方法である。近年では、被処理材の高硬度化が進んでおり、これらの部材への投射材にも更なる高硬度化が求められている。
本願の出願人は、特許文献1,2において、高硬度で安価な投射材を提案している。特許文献1の投射材は、面積率で50〜90%のFe2B系Fe基硼化物と10〜50%のbcc及び/又はfccのFe基固溶体よりなり、Fe基硼化物をFe基固溶体が取り囲んだミクロ組織、又は、Fe基硼化物をFe基固溶体とFe基硼化物との共晶物が取り囲んだミクロ組織を有する。この投射材の特徴の1つは、5質量%以上のBを添加することにより、高硬度なFe2Bを多量に生成し、粒子全体の硬度を高くすることにある。
特許文献2の投射材は、高硬度アトマイズ粉末を30%以上含む。この高硬度アトマイズ粉末は、2〜8質量%のB、残部Fe及び不可避的不純物よりなり、その粒径が75μm以下である。この投射材の特徴の1つは、高硬度アトマイズ粉末が粒径が小さくなるに従い硬度が上昇するという特性を有することにある。特許文献1,2によれば、従来、高硬度の積層造形用粉末として使用されてきたタングステンカーバイド(WC)を含むサーメット粉末よりも安価に高硬度粉末が得られる。
特開2007−84858号公報 特開2012−200797号公報
レーザーコーティングには、モルテンプール型レーザーコーティングと、非モルテンプール型レーザーコーティングとの異なる方式がある。モルテンプール型レーザーコーティングは、レーザー照射で形成した溶融池に粉末材料を供給し、溶融凝固させて皮膜化させていく技術である。非モルテンプール型レーザーコーティングは、溶融池形成を抑制した状態で、高度入熱制御されたレーザーを飛翔中の粉末に照射することにより、粉末の溶融凝固を制御して、母材表面に膜厚の小さい被膜を形成する技術である。非モルテンプール型レーザーコーティングは、母材への入熱の影響が抑えられるというメリットから、粉末積層造形においても応用されている。
非モルテンプール型レーザーコーティングでは、レーザー入熱制御に加えて、粉末供給制御が重要である。非モルテンプール型レーザーコーティングでは、従来の粉末溶射やレーザーコーティング方式と比較して、微小領域で粉末にレーザーを照射するため、単位時間当たりの粉末供給量が少ない。粉末供給量を抑えることには、供給口の縮小が伴うことがあるが、これにより粉末による供給口の閉塞が生じやすくなる。このような理由から、非モルテンプール型レーザーコーティングでは、粉末に高い流動性が求められる。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給するために適した流動性を有し、1000Hv以上の高硬度を発現するFe基合金粉末を提供することにある。このような粉末は、ショットピーニングの他、非モルテンプール型レーザーコーティングのように、レーザーの照射領域及びレーザーの出力が制限されるために、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給することが好ましい粉末供給装置での使用に適している。
粉末の流動性は、水分の付着等の外的因子を除いたとしても、粒子の形状、サイズ、及び、表面状態によって変化する摩擦力に影響を受ける。加えて、粉末の流動性は、電気的引力、ファンデルワールス力、及び、磁力などによって粒子が凝集すると低下する。更に、粉末の流動性は、粉末供給器の開口部のサイズや供給器内壁と粒子との摩擦によって影響を受ける。
本明細書では、JIS Z−2502(金属粉-流動度測定方法)に準拠して、標準寸法の校正された漏斗のオリフィスを通過し50gの粉末が流れる時間を測定し、これを流動度とする。測定された流動度に基づいて、粉末の流動性を評価する。なお、流動度が低いほど流動性が高い。
本願の発明者は、篩で53μm以下に分級された特許文献1の粉末は、流動性が著しく低いことを確認した。この分級された粉末を用いて、非モルテンプール型レーザーコーティングを試みた場合、粉末の供給口において流動と閉塞とが繰り返され、その結果、成形されたコーティング部は波打つような歪な形状となった。つまり、特許文献1の粉末は、非モルテンプール型レーザーコーティングには適しない。
本願の発明者は、Cu基、Fe基、Co基、及び、Ni基からなる各種粉末について、種々の分級粒度の粉末の流動性を比較した。その結果、純CoやFe基合金粉末の一部において、篩で53μm以下に分級されたものは、流動性が著しく低い傾向が見られた。それらの流動性の低い粉末の特性を検討した結果、飽和磁化が大きい傾向がみられた。
そこで、粉末の流動性に及ぼす磁性の影響を検証するために、強磁場下で強制的に着磁された粉末の流動性について検討した。その結果、流動性が良好で且つ飽和磁化の比較的小さい粉末であっても、一旦完全に着磁すれば、外部磁場の影響の有無にかかわらず、流動性が著しく低くなった。この結果から、外部磁場の影響の有無にかかわらず、粉末粒子の発する磁気が或る閾値を超えた場合に、粉末の流動性が著しく低下することが推察された。
大気下の粉末の流動性に及ぼす磁性の影響について調査された文献は少ないが、「粉体工学研究会誌,Vol.14 No,7(1977)383―389)」によれば、100mesh(約150μm)以上の粗大な粉末は、400〜500G(0.04〜0.05T)程度の磁場中で著しく流動性が低下する。この文献で用いられた流動度測定器がJIS Z−2502の規定外であること、外部磁場の単位が異なることなどから、流動度を直接的に比較することはできないが、150μm以下の微細な粉末では更に弱い磁場でも流動性が影響を受けることが容易に推定される。
本願の発明者は、アトマイズされた直後の粒子自身が形成する磁場が粉末の流動性に関与する可能性にも発想を展開させた。アトマイズされた直後の粒子自身が形成する磁場の影響を検証するために、磁気力顕微鏡を用いて粉末の磁気評価を行った。その結果、アトマイズ直後の未着磁の磁性粒子の表面に、磁気力勾配が検出された。これは、未着磁の磁性粒子でも、相互に引き付ける特性を有することを示している。アトマイズ時に自然形成される粒子の磁場は、粒子の飽和磁化に比例することは容易に推察される。
このように、微弱な磁気でも粉末の流動性に影響を及ぼすことは明らかである。また、飽和磁化の大きい粉末と比較して、飽和磁化の小さい粉末の流動性が高いことが確認されている。以上に鑑みて、本願の発明者は、Fe基合金粉末において、粒子の飽和磁化の大きさに影響を与えるCrの含有率を調整することによって、粉末の流動性を向上することに想到した。
Fe−Cr系において、Crの含有率を高めることで粒子の飽和磁化が低下することは、スレーター・ポーリング曲線図から容易に推察される。更に、「日本金属学会会報,第7巻8号(1968),433−447頁」に記載されているように、硼化物は、各硼化物毎に異なる磁性を有することが公知である。一方、アトマイズ直後の粒子の表面状態、形成組織は、元素配合比からは単純に導き出すことが難しい。そこで、本願の発明者は、異なる成分のアトマイズ粉末を作製し、各粉末の特性を比較評価した結果、本発明に際し最適な成分範囲を見出した。
本発明の一態様に係るFe基合金粉末は、
B:5.5質量%以上7.5質量%以下、Cr:下記数式1を満たし且つ19質量%以上、C:0質量%以上0.5質量%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径が53μm以下であり、
JIS Z−2502の規定に基づいて測定される流動度が、20sec/50g以下であることを特徴としている。
数式1: XCr+4×X≦72
(上記数式1において、XCrは前記Fe基合金粉末のCrの含有率[質量%]を表し、Xは前記Fe基合金粉末のBの含有率[質量%]を表す。)
上記Fe基合金粉末は、複数種のFe基硼化物相を有し、Fe基硼化物をbcc及び/又はfccのFe基固溶体が取り囲んだミクロ組織、又は、Fe基硼化物をbcc及び/又はfccのFe基固溶体とFe基硼化物との共晶物が取り囲んだミクロ組織を有するものであってよい。
上記Fe基合金粉末は、Bの含有率が6.0質量%以上7.0質量%以下であり、Crの含有率が25質量%以上29質量%以下であってよい。
本発明によれば、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給するために適した流動度を有し、1000Hv以上の高硬度を発現するFe基合金粉末を提供することができる。
図1は、流動度と飽和磁化との関係を示す図表である。 図2は、実施例1の粉末のX線回折パターンを示す図である。 図3は、実施例3の粉末のX線回折パターンを示す図である。 図4は、実施例5の粉末のX線回折パターンを示す図である。 図5は、実施例1の粉末の透過型電子顕微鏡像である。 図6は、実施例6の粉末の透過型電子顕微鏡像である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るFe基合金粉末は、Fe基合金からなる粒子の集合体である。このFe基合金粉末は、例えば、レーザーコーティング(レーザークラッディング)において、高硬度のコーティング層を形成するために利用される。但し、Fe基合金粉末の用途はこれに限定されず、積層造形用粉末やショットピーニング用投射材としても利用されうる。
上記Fe基合金は、
B:5.5質量%以上7.5質量%以下、
Cr:下記数式1を満たし且つ19質量%以上、
C:0質量%以上0.5質量%以下、
残部Fe及び不可避的不純物からなる。
[数式1]XCr+4×X≦72
上記数式1において、XCrはFe基合金(Fe基合金粉末)のCrの含有率[質量%]を表し、XはFe基合金(Fe基合金粉末)のBの含有率[質量%]を表す。Fe基合金の組成から、Fe、Cr、C、及びB以外の元素は極力排されることが好ましい。
〔ホウ素(B)〕
Fe基合金粉末において、Bはコーティング層の高硬度化を図るための必須元素であって、Feと高硬度な硼化物相を形成する。また、Bは、Fe基合金の結晶粒界を強化することにより、コーティング層の強度の向上に寄与する。
Bの含有率が5.5質量%より少ない場合は、コーティング層は1000Hv以下となり硬度が不足する。この観点から、上記Fe基合金のBの含有率は、5.5質量%以上であり、6.0質量%以上が好ましい。Bの含有率が7.5質量%より多い場合は、硼化物量が増大する一方で、結晶粒微細化強化効果が低減するために、コーティング層の硬度向上の効果よりも靱性低下の効果が顕著に表れ、コーティング層の耐クラック性が低下する。以上の観点から、上記Fe基合金のBの含有率は、7.5質量%以下であり、7.0質量%以下が好ましい。
〔クロム(Cr)〕
Fe基合金粉末では、Crの含有率が調整されることによって、粒子の飽和磁化が抑えられている。Crの含有率が19質量%未満である場合は、相対的にFeの含有率が多くなり、粒子の飽和磁化が増大して粉末の流動性が低下する。以上の観点から、Crの含有率は19質量%以上であり、25質量%以上が好ましい。
Crの含有率XCrの上限は、Bの含有率X[質量%]の4倍と、Crの含有率XCr[質量%]との和が72以下であることによって、間接的に規定される。和が72を超える場合は、Fe基合金の融点が溶融るつぼの耐久温度より高くなり、Fe基合金の溶湯をノズルから出湯する際にノズルが閉塞して、アトマイズが困難となる。以上の観点から、Crの含有率XCrは、上記数式1を満たすことを条件として、42質量%以下が好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
〔炭素(C))〕
微量のCは、結晶微細化の促進に寄与する。そのため、CはFe基合金の必須成分ではないが、少量含まれていることが好ましい。一方、Cの含有率が0.5質量%を超えると、炭化物系の硬質層を生成させ、コーティング層にクラックが生じやすくなる。以上の観点から、Cの含有率は、0質量%以上0.5質量%以下が好ましい。
〔粉末の製造方法〕
Fe基合金粉末は、アトマイズ法で製造される。典型的なアトマイズは、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。パルス圧力付加オリフィス噴射法により、粉末が得られてもよい。製造された粉末は、篩で分級され、粒径が調整される。
ガスアトマイズ法では、原料金属が加熱されて溶解し、溶湯が得られる。この溶湯が、ノズルから流れ出る。この溶湯に、ガス(アルゴンガス、窒素ガス等)が吹き付けられる。このガスのエネルギーにより、溶湯は粉化して液滴となり、落下されつつ冷却される。この液滴が凝固し、粒子が形成される。このガスアトマイズ法では、溶湯が瞬間的に液滴化し、これと同時に冷却されるので、均一な微細組織が得られる。しかも、連続的に液滴が形成されるので、粒子間の組成差が極めて小さい。
ディスクアトマイズ法では、原料金属が加熱されて溶解し、溶湯が得られる。この溶湯が、ノズルから流れ出る。この溶湯が、高速で回転するディスクの上に落とされる。溶湯は急冷されて凝固し、粉末が得られる。
パルス圧力付加オリフィス噴射法では、原料金属が加熱されて溶解し、溶湯が得られる。オリフィス穴に向かってアクチュエーターでパルス圧が加えられつつ、溶湯から液滴が形成される。この液滴は、落下しつつ冷却される。この液滴が凝固し、粒子が形成される。
〔粉末の粒子径〕
Fe基合金粉末の体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径(D90)は、53μm以下である。D90の下限は特に規定されないが、流動性の観点からD90は20μm以上であることが好ましい。また、Fe基合金粉末の体積粒度分布の累積頻度10%の粒子径(D10)は、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。Fe基合金粉末のD90及びD10は、アトマイズの条件の調整や分級により調整されうる。
数十〜数百W程度の微弱なレーザー出力の装置を用いてレーザーコーティングを行う場合に、粗大な粉末は十分に溶融しない確率が高まり、製品不良率が増大する傾向にある。Fe基合金粉末のD90が53μmを超えると、レーザーコーティング時に1粒子あたりに投入される熱エネルギーが不足しやすく、粉末が十分に溶解しないおそれがある。このような観点から、Fe基合金粉末のD90は53μm以下である。
Fe基合金粉末に20μm以下の粉末が多量に含まれると、粒子の凝集性が高まり、磁性を有しない粉末においても流動性が著しく低下する。D10が20μmよりも小さいと、粉末が凝集しやすくなり流動性が低下する。また、D10が20μmよりも小さいと、粉末が溶融するまでに必要な熱量が粗大な粒子と比べて小さいため、D90の粗大な粒子との溶融挙動の差を引き起こしやすい。これにより、レーザーコーティング時の成形性が悪化して、コーティング層が波打ったり、一部の粗大な粉末の未溶融が引き起こされたりするおそれがある。このような観点から、Fe基合金粉末のD10は15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
〔粉末の流動度〕
粉末の流動度は、粉末の流動性を表す指標となりうる。Fe基合金粉末のJIS Z−2502(金属粉-流動度測定方法)に基づいて測定される流動度は、20sec/50g以下である。つまり、標準寸法の校正された漏斗のオリフィスを通過して50gのFe基合金粉末が流れる時間は20秒以下である。流動度の下限は特に制限されないが、オリフィスの通過速度を測定することから、流動度が10sec/50gを下回る粉末の作製は現実的に困難である。また、フィーダによる粉末の安定供給という観点からは、実用的な流動性が得られれば足りる。
流動度が20sec/50gより大きい場合は、粉末が断続的に排出されやすくなり、粉末の安定供給の観点において好ましくない。このような観点から、流動度は、好ましくは17sec/50g以下であり、更に好ましくは15sec/50g以下である。流動度は、前述の通り粉末の組成を調整する他、粉末製造時に真球度を向上させることや表面清浄度や表面平滑性を向上させる公知の手法を用いて、更に向上させることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るFe基合金粉末は、第1実施形態に係るFe基合金粉末において、B及びCrの含有率が更に特定されたものである。よって、第2実施形態に係るFe基合金粉末の含有元素、粉末の製造方法、粉末の粒子径、及び粉末の流動度についての詳細な説明は、前述の第1実施形態の説明と重複するので省略する。第2実施形態に係るFe基合金粉末は、極めて高硬度を有するので、例えば、ショットピーニングの投射材として好適である。但し、Fe基合金粉末の用途はこれに限定されず、積層造形用粉末やレーザーコーティング(レーザークラッディング)用粉末としても利用されうる。
第2実施形態に係るFe基合金粉末は、Fe基合金からなる粒子の集合体である。上記Fe基合金は、
B:6.0質量%以上7.0質量%以下、
Cr:25質量%以上29質量%以下、
C:0質量%以上0.5質量%以下、
残部Fe及び不可避的不純物からなる。Fe基合金の組成から、Fe、Cr、C、及びB以外の元素は極力排されることが好ましい。
Fe基合金粉末は、ガスアトマイズ法で製造されうる。製造された粉末は、篩で分級され、粒径が調整される。Fe基合金粉末の体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径(D90)は、53μm以下である。
Fe基合金粉末は、JIS Z−2502に基づいて測定される流動度が、20sec/50g以下である。
第2実施形態に係るFe基合金粉末は、1300〜1400Hvの極めて高硬度を有する。このFe基合金粉末の極めて高い硬さは、急冷凝固時に晶出する初晶Fe基硼化物が微細化することでもたらされる。第2実施形態に係るFe基合金粉末の成分範囲においては、Cの添加による結晶微細化の促進と、急冷による結晶微細化との相乗効果により、より安定的に微細硼化物相が生じ得る。金属の強化機構のうち、微細強化は析出強化や固溶強化等の他の強化機構と比較して、延性が低下せず、むしろ向上する場合すらあることが知られている。よって、上記成分範囲のアトマイズ粉末は、強度と靱性とに特に優れる。レーザー溶射の際の冷却速度はガスアトマイズと同等以上を示すとも言われており、ガスアトマイズによる急冷効果は、レーザーコーティング時にも発現しうると考えられる。
統合型熱力学計算ソフトウェア「Thermo−Calc」で合金データベースTCFE6を用いて計算されたFe―Cr−B系状態図によれば、FeBとCrBの共晶となる液相線は、Bが5.5〜7.5質量%の範囲では、Crが10〜12質量%を保ちながら、FeB、CrB、Fe相の三相の共晶点(86Fe−11Cr−3B程度の組成)が存在する低Fe側に向かって、高温から低温に推移する。即ち、Crが10質量%以上12質量%以下、Bが5.5質量%以上7.5質量%以下の組成の粉末では、アトマイズ後、徐冷された場合に、FeBとCrBの共晶が生じうる。但し、このFeBはCを、CrBはFeを、全体の構成比率に応じてそれぞれ置換しうるため、正方晶FeBはFe1.6―Cr0.4―Bのような構成相をとり、斜方晶CrBはFe1.1―Cr0.4―B0.9のような構成相をとりうる。後述する実施例において、第2実施形態に係る成分範囲のFe基合金粉末では、ガスアトマイズの冷却速度で急冷された場合に、Fe―Cr−B系状態図からは読み取ることのできない、正方晶のFe1.6―Cr0.4―Bと、斜方晶のFe1.1―Cr0.9―B0.9とが生じることが確認された。また、後述する実施例では、上記Fe―Cr−B系状態図の液相線上の配合組成においては、正方晶のFe1.6―Cr0.4―Bと斜方晶のFe1.1―Cr0.9―B0.9の混相は得られず、第2実施形態に係る成分範囲の粉末のX線回折パターンにおいて明瞭に混相が確認された。
特開2007−84858号公報を参照により引用して、Feを主成分とし、5〜8質量%のBが添加された組成を有し、アトマイズ法により急冷凝固のプロセスを経て製造されたFe基合金粉末では、粒子が高硬度なFe基硼化物相を有し、Fe基硼化物を体心立方格子(bcc)及び/又は面心立方格子(fcc)のFe基固溶体が取り囲んだミクロ組織、又は、Fe基硼化物をbcc及び/又はfccのFe基固溶体とFe基硼化物との共晶物が取り囲んだミクロ組織を有する。このように、高硬度相が高靱性相で取り囲まれることにより、粒子は高硬度と高靱性とを併せ備える。Fe基固溶体の構成相は固溶元素や冷却速度、熱処理などにより、bcc及び/又はfccとなりうるが、両相ともに充分な靱性を有しているため特に限定はされない。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
〔供試粉末の作製方法〕
表1〜4に示す所定の組成に秤量した原料を耐火物製坩堝でアルゴン雰囲気中にて誘導溶解し、るつぼ底部のノズルより出湯し、ガスアトマイズにて粉末を作製した。ガスアトマイズ後の粉末を分級して、表1〜4に示す供試粉末を得た。なお、供試粉末には、JIS Z−2502に規定されている流動度測定の事前乾燥処理を除いて、粉末の特性を変質させうる熱処理は施されていない。また、供試粉末の酸素分析値は0.03質量%以下であり、供試粉末には大気保管中の表面酸化によって粒子の表面状態が顕著に変化したものは含まれないことが確認されている。
〔供試粉末の着磁方法〕
表1〜2において着磁「有」の記載のある供試粉末は、着磁処理が施されている。粉末の着磁には、株式会社タナベコウギョウ製のパルス式着脱磁装置「TMK−1000」を用いた。
〔供試粉末の飽和磁束密度の測定方法〕
表3〜4に示す実施例及び比較例の供試粉末に対し、東英工業株式会社製の振動試料型磁力計「VSM−5型−15kOe」を用いて飽和磁束密度を測定した。飽和磁束密度は飽和磁化の強さの指標となる。飽和磁束密度が大きい粒子ほど磁場応答性が高く、飽和磁束密度は磁場応答性を評価する指標の一つとなりうる。
〔供試粉末の粒子径の測定方法〕
供試粉末のD10、D50、及びD90を夫々測定した。粒子径の測定には、日機装株式会社製のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」を用いた。
〔供試粉末の硬さ測定方法〕
供試粉末を分級し、樹脂埋め、研磨して樹脂埋め試料を作製した。この樹脂埋め試料に対し、ビッカース硬さ計を用いて、50g荷重の試験力で数点においてビッカース硬さを測定し、その平均値を供試粉末の硬さとした。
〔供試粉末の耐クラック性の評価方法〕
上記と同様の樹脂埋め試料とミクロビッカース硬度計とを用いて、供試粉末の耐クラック性(脆さ)を評価した。具体的には、樹脂埋め試料に100gの荷重で5点圧痕を打ち、5点中1点もクラックを発生しなかった場合は「○」とし、1点でもクラックが発生した場合は脆いと判断し「×」とした。
〔供試粉末の流動度の測定方法〕
JIS Z−2502の規定に基づいて、供試粉末の流動度を測定した。
〔試料粉末の構成相の観察方法〕
株式会社リガク製「RINT2500」を用いて供試粉末のX線回折データを得て、MDI社開発の結晶構造解析ソフトウェア「JADE」を用いて粉末X線回折データから構成相を判定した。
〔コーティング材の作製方法〕
レーザーコーティング装置として、株式会社村谷機械製作所製の直噴型レーザーコーティングシステムが搭載された装置を使用した。レーザー出力が約80〜120W、レーザー掃引速度が約5〜20mm/sの条件で、所定の粉末供給量で供試粉末を供給して、母材にレーザーコーティングを施した。所定の粉末供給量は、0.1〜1.0g/sec程度の微小量である。これにより、母材表面に供試粉末からなるコーティング層が形成されたコーティング材を得た。
〔コーティング層の評価方法〕
上記のように作製したコーティング材のコーティング層に対し、ビッカース硬さ計を用いて、300g荷重の試験力で表層から母材界面近傍まで数点においてビッカース硬さを測定した。更に、コーティング材のコーティング層に対し、ミクロビッカース硬さ計を用いて1000gの荷重で10点圧痕を打ち、き裂の生成の有無でコーティング層の耐クラック性を評価した。
〔基礎調査〕
基礎調査では、本発明の理論を裏付けるための調査を行った。その結果が、表1,2に示されている。なお、表2中の(※)付の合金の組成は、概略成分である。また、表1,2中の流動度の項目に示された「∞(※※)」は、粉末の流動性が著しく低いために、測定開始又は測定中に粉末の排出口で閉塞が発生し、流動度が測定できなかったという結果を表す。
表1,2に示される基礎調査例1〜52では、粉末のD90の値と粉末の流動度との関係を調査した。
(1)D90が53μm以上の粉末では、その流動度はいずれも20sec/50g以下であった。
(2)D90が40μm以上53μm未満の粉末では、基礎調査例45〜48を除いて、その流動度はいずれも20sec/50g以下であった。基礎調査例45〜48の粉末は、Co、FeCrB、又は、FeSiAlの飽和磁化が比較的大きい粉末である。
(3)D90が20μm以上40μm未満の粉末では、基礎調査例1〜3,14,17,27を除いて、その流動度はいずれも20sec/50g以下であった。これらの粉末はいずれも飽和磁化の比較的低い粉末又は非磁性体である。基礎調査例1〜3,14,17,27の粉末は、飽和磁化の比較的低い粉末又は非磁性体であるが、凝集性の高い微細粉末の含有率が高い為に凝集性が増大し流動性が低下している。
以上の(1)〜(3)から、D90が20μm以上53μm未満の粉末では、飽和磁化が比較的低い粉末の流動性が高いという知見が得られた。
表2に示される基礎調査例53〜57では、着磁した後の粉末の流動性を調査した。
(1)基礎調査例53の粉末は、基礎調査例18の粉末を着磁したものである。基礎調査例53の粉末は非磁性体である。基礎調査例53と基礎調査例18とを比較して、着磁前後において粉末の流動性に変化が無かった。
(2)基礎調査例54の粉末は、基礎調査例34の粉末を着磁したものである。基礎調査例54の粉末は非磁性体である。基礎調査例54と基礎調査例34とを比較して、着磁前後において粉末の流動性に変化が無かった。
(3)基礎調査例55の粉末は、基礎調査例42の粉末を着磁したものである。基礎調査例55の粉末は磁性体である。基礎調査例55と基礎調査例42とを比較して、着磁した粉末の流動性は低い。
(4)基礎調査例56の粉末は、基礎調査例43の粉末を着磁したものである。基礎調査例56の粉末は磁性体である。基礎調査例56と基礎調査例43とを比較して、着磁した粉末の流動性は低い。
(5)基礎調査例57の粉末は、基礎調査例44の粉末を着磁したものである。基礎調査例57の粉末は磁性体である。基礎調査例57と基礎調査例44とを比較して、着磁した粉末の流動性は低い。
以上の(1)〜(2)から、非磁性体である粉末の流動性は、着磁後も殆ど変化がないという知見が得られた。また、(3)〜(5)から、着磁前に流動性のあった磁性粉末においても、着磁後は、粒子が発する磁場の相互作用によって、流動性が著しく低下するという知見が得られた。
表1,2に示される基礎調査例28〜41では、Fe基合金粉末の流動性を調査した。基礎調査例28〜41の粉末では、D90が20μm以上40μm未満であっても、小さい流動度、即ち、高い流動性が得られた。これは、基礎調査例28〜41のSKD11のアトマイズ粉末は、非磁性のγ相で構成されるためであると考えられる。その根拠は以下の通りである。アトマイズのように、一定以上の急速冷却の溶融凝固法を用いて作製された粉末では、合金状態図における高温安定相が凝固後の主相となることが従来から知られている。SKD11のアトマイズ粉末がfcc単相で構成されていることが、X線回折分に基づいて確認された。SKD11のアトマイズ粉末の飽和磁束密度をVSM装置で測定したところ0.00863Tであり、SKD11のアトマイズ粉末は非磁性体と見做すことができる。
表3に、本発明の実施例1〜16の粉末の粒子径(D10、D50、及びD90)、飽和磁束密度、及び流動度、並びに、粉末の硬さ及び耐クラック性評価を示す。
実施例1〜16の粉末は、5.5質量%以上7.5質量%以下のB、19質量%以上42質量%以下のCr、0質量%以上0.5質量%以下のC、残部Fe及び不可避的不純物からなる。とりわけ、実施例1,2,8,14,16の粉末は、6.0質量%以上7.0質量%以下のB、25質量%以上29質量%以下のCr、0質量%以上0.5質量%以下のC、残部Fe及び不可避的不純物からなる。また、実施例1〜16の粉末は、(Crの含有率XCr[質量%])+4×(Bの含有率X[質量%])≦72[質量%]を満たす。
実施例1〜16の粉末の体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径(D90)は、43μm以上47μm以下であり、53μm以下の条件を満たす。また、実施例1〜16の粉末の飽和磁束密度は、0.30T以上0.65T以下である。つまり、実施例1〜16の粉末の飽和磁化は、後述する比較例と比較して十分に小さいといえる。実施例1〜16の粉末のJIS Z−2502に基づいて測定される流動度は、13sec/50g以上18sec/50g以下であり、20sec/50g以下の条件を満たす。
図1は、粉末の流動度と飽和磁化との関係を示す図表である。この図表では、縦軸が流動度を表し、横軸が飽和磁化(飽和磁束密度)を表す。粒子サイズの影響を除外するため、表1〜4の供試粉末のうち篩上粒度が38μm且つ篩下粒度が20μmで分級された粉末のデータが図表にプロットされている。図1の図表から、飽和磁化(飽和磁束密度)が或る閾値より小さい場合に、流動度が20sec/50g以下となる傾向が読み取れる。また、図1の図表から、飽和磁化(飽和磁束密度)が或る閾値より大きい場合に、流動度が大きく、即ち、流動性が低くなる傾向が読み取れる。
実施例1〜16の粉末は、1005Hv以上1490Hv以下の硬さを有し、高硬度を備える。とりわけ、実施例1,2,8,14,16の粉末は、1350Hv以上の硬さを有し、極めて高硬度を備える。そして、実施例1〜16の粉末は、いずれも優れた耐クラック性を有する。
図2は、実施例1の粉末のX線回折パターンを示す図である。硼化物相として、正方晶のFe1.6―Cr0.4―Bのピークと、斜方晶のFe1.1―Cr0.9―B0.9のピークの双方が検出された。
図3は、実施例3の粉末のX線回折パターンを示す図である。硼化物相として、正方晶のFe1.6―Cr0.4―Bのピークが検出された。
図4は、実施例5の粉末のX線回折パターンを示す図である。硼化物相として、斜方晶のFe1.1―Cr0.9―B0.9のピークが検出された。
図2〜4のX線回折パターンの解析結果を比較して、極めて高硬度を備えるコーティング層の材料となる実施例1の粉末の粒子は、複数種のFe基硼化物相を有することがわかる。
図5は、実施例1の粉末の透過型電子顕微鏡像である。この顕微鏡像からは、Fe基硼化物相を、Fe基固溶体とFe基硼化物との共晶物相が取り囲んだミクロ組織が確認された。また、この顕微鏡像からは、明瞭なFe基硼化物の混相が確認された。初晶硼化物がCr濃化した硼化物であることと、X線ピークの回折データ(図2、参照)とから、この共晶物相内にFe基固溶体とFe基硼化物が存在すると考えられる。
図6は、実施例6の粉末の透過型電子顕微鏡像である。この顕微鏡像からは、Fe基硼化物相を、Fe基固溶体とFe基硼化物との共晶物相が取り囲んだミクロ組織が確認された。
実施例1〜16の粉末からは、母材表面に供試粉末からなる緻密なコーティング層が形成されたコーティング材が得られた。これより、実施例1〜16の粉末は、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給するために適した、高い流動性を備えるといえる。実施例1〜16の粉末からなるコーティング層を備えるコーティング材において硬さを測定したところ、最大で1350Hvの高硬度が測定された。更に、実施例1〜16の粉末からなるコーティング層を備えるコーティング材では、いずれも良好な耐クラック性が確認された。以上から、本発明に係るFe基合金粉末は、レーザーコーティング用途としても優れた特性を発現しうることが示された。
表4に、比較例1〜21の粉末の粒子径(D10、D50、及びD90)、飽和磁束密度、及び流動度、並びに、粉末の硬さ及び耐クラック性評価を示す。表4中の流動度の項目に示された「∞(※※)」は、粉末の流動性が著しく低いために、測定開始又は測定中に粉末の排出口で閉塞が発生し、流動度が測定できなかったという結果を表す。
比較例1〜10,16の粉末は、Crの含有率が19質量%未満であり、Crの含有率が19質量%以上42質量%以下の条件を満足しない。そのため、比較例1〜10,16の粉末は、20sec/50gより大きい流動度を示し、流動性が低い。
比較例11〜14の粉末は、Bの含有率が5.5質量%未満であり、Bの含有率が5.5質量%以上7.5質量%以下の条件を満足しない。そのため、比較例11〜14の粉末の硬さは1000Hv未満であり、十分な硬さを有しない。
比較例15,19,20の組成の合金は、(Crの含有率XCr[質量%])+4×(Bの含有率X[質量%])≦72[質量%]の条件を満足しない。そのため、ガスアトマイズで粉末作製する際にノズルの閉塞が生じ、試料として満足できる粉末を作製することができなかった。
比較例16〜18の粉末は、Bの含有率が7.5質量%より大きく、Bの含有率が5.5質量%以上7.5質量%以下の条件を満足しない。比較例16〜18の粉末は、十分な耐クラック性を有しない。
比較例21の粉末は、Cの含有率が0.6質量%であり、C:0質量%以上0.5質量%以下の条件を満足しない。そのため、比較例21の粉末は、十分な耐クラック性を有しない。
以上から、本発明のFe基合金粉末は、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給するために適した流動性を有し、1000Hv以上の高硬度を発現することが明らかである。このようなFe基合金粉末は、非モルテンプール型レーザーコーティングのように、レーザーの照射領域及びレーザーの出力が制限されるために、数十μmオーダーの微細な粉末を微小量で安定供給することが好ましい粉末供給装置での使用に適している。
本発明に係るFe基合金粉末は、レーザーコーティング(レーザークラッディング)用粉末、積層造形用粉末、及び、ショットピーニング用投射材に適用しうる。

Claims (3)

  1. B:5.5質量%以上7.5質量%以下、Cr:下記数式1を満たし且つ19質量%以上、C:0質量%以上0.5質量%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
    体積粒度分布の累積頻度90%の粒子径が53μm以下であり、
    JIS Z−2502に基づいて測定される流動度が、20sec/50g以下である、
    Fe基合金粉末。
    数式1: XCr+4×X≦72
    (上記数式1において、XCrは前記Fe基合金粉末のCrの含有率[質量%]を表し、Xは前記Fe基合金粉末のBの含有率[質量%]を表す。)
  2. 複数種のFe基硼化物相を有し、Fe基硼化物をbcc及び/又はfccのFe基固溶体が取り囲んだミクロ組織、又は、Fe基硼化物をbcc及び/又はfccのFe基固溶体とFe基硼化物との共晶物が取り囲んだミクロ組織を有する、
    請求項1に記載のFe基合金粉末。
  3. Bの含有率が6.0質量%以上7.0質量%以下であり、Crの含有率が25質量%以上29質量%以下である、
    請求項1又は2に記載のFe基合金粉末。
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