本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、β−ジケトナトと、リン原子上に特定の置換基を導入したホスフィンオキシドとを配位子とするユウロピウム錯体が著しく高い耐光性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の通り一般式(1)において、R1のみが環状アルキル基を有するユウロピウム錯体(ユウロピウム錯体A)及びR1及びR2が環状アルキル基を有するユウロピウム(ユウロピウム錯体B)である。
(i)
一般式(1)
[式中、R1は炭素数3〜10の環状アルキル基であり、R2及びR3は、一般式(2a)で表されるフェニル基
(式中、X1、X2、X3、X4、及びX5は、各々独立に、水素原子;フッ素原子;炭素数1〜3のアルキル基;炭素数1〜3のアルキルオキシ基;炭素数6〜10のアリールオキシ基;炭素数1〜3のフルオロアルキル基;炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基;又はフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基、若しくはシアノ基で置換されてもよいフェニル基を表す。)を表す。ただし、R1がシクロヘキシル基、且つ、R2、R3がフェニル基である場合を除く。R4は、水素原子、重水素原子、又はフッ素原子を表す。W1及びW2は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、フェニル基、2−チエニル基又は3−チエニル基を表す。nは1〜3の整数を表す。]で表されるユウロピウム錯体;
(ii)前記一般式(1)中、R1がシクロヘキシル基である前記(i)に記載のユウロピウム錯体;
(iii)前記一般式(1)中、nが2である前記(i)又は(ii)に記載のユウロピウム錯体;
(iv)前記一般式(1)中、W1及びW2が、各々独立に、炭素数1〜6のフルオロアルキル基である前記(i)〜(iii)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(v)前記一般式(1)中、R4が水素原子である前記(i)〜(iv)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(vi)前記一般式(2a)中、X1、X2及びX3が各々独立に、水素原子、メチル基、又は一般式(2b)
[式中、Z1、Z2及びZ3が、各々独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニル基である。]で表されるフェニル基であり、X4及びX5は、各々独立に、水素原子又はメチル基である前記(i)〜(v)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(vii)
一般式(1)
[式中、R1及びR2は各々独立に炭素数3〜10の環状アルキル基であり、R3は、炭素数3〜10の環状アルキル基又は一般式(2a)で表されるフェニル基
(式中、X1、X2、X3、X4、及びX5は、各々独立に、水素原子;フッ素原子;炭素数1〜3のアルキル基;炭素数1〜3のアルキルオキシ基;炭素数6〜10のアリールオキシ基;炭素数1〜3のフルオロアルキル基;炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基;又はフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基、若しくはシアノ基で置換されてもよいフェニル基を表す。)を表す。R4は、水素原子、重水素原子、又はフッ素原子を表す。W1及びW2は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、フェニル基、2−チエニル基又は3−チエニル基を表す。nは1〜3の整数を表す。]で表されるユウロピウム錯体;
(viii)前記一般式(1)中、R3が炭素数3〜10の環状アルキル基である前記(vii)に記載のユウロピウム錯体;
(ix)前記一般式(1)中、R1、R2及びR3が、シクロヘキシル基である前記(vii)又は(viii)に記載のユウロピウム錯体;
(x)前記一般式(1)中、nが2である前記(vii)〜(ix)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(xi)前記一般式(1)中、W1及びW2が、各々独立に、炭素数1〜6のフルオロアルキル基である前記(vii)〜(x)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(xii)前記一般式(1)中、R4が水素原子である前記(vii)〜(xi)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(xiii)前記一般式(2a)中、X1、X2及びX3が各々独立に、水素原子、メチル基、又は一般式(2b)
[式中、Z1、Z2及びZ3が、各々独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニル基である。]で表されるフェニル基であり、X4及びX5は、各々独立に、水素原子又はメチル基である前記(vii)〜(xii)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
(xiv)ユウロピウム錯体が、下記式1−1〜1−11、及び1−19〜1−21であることを特徴とする前記(vii)〜(xiii)のいずれかに記載のユウロピウム錯体;
に関するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のユウロピウム錯体A、BにおけるR1、R2、R3、R4、X1、X2、X3、X4、X5、Z1、Z2、Z3、n、W1及びW2の定義について説明する。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のR1で表される炭素数3〜10の環状アルキル基及びユウロピウム錯体Bの一般式(1)のR2及びでR3表される炭素数3〜10の環状アルキル基としては、特に限定するものではないが、具体的には、シクロへキシルメチル基、シクロプロピル基、2,3−ジメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデカニル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基、アダマンタン−2−イル基等の環状第二級アルキル基や、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基等を例示することができる。本発明のユウロピウム錯体A、Bの耐光性が良い点で、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデカニル基等が好ましく、特に安価な点でシクロペンチル基又はシクロヘキシル基が好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、特に限定するものではないが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のアルキルオキシ基としては、直鎖状又は分岐状アルキルオキシ基のいずれでも良く、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及び1−メチルエチルオキシ基を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、特に限定するものではないが、具体的には、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2,3−ジメチルフェニルオキシ基、2,4−ジメチルフェニルオキシ基、2,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3,4−ジメチルフェニルオキシ基、3,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,3,4−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,6−トリメチルフェニルオキシ基、2,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、2,3−ジエチルフェニルオキシ基、2,4−ジエチルフェニルオキシ基、2,5−ジエチルフェニルオキシ基、2,6−ジエチルフェニルオキシ基、3,4−ジエチルフェニルオキシ基、3,5−ジエチルフェニルオキシ基、2−プロピルフェニルオキシ基、3−プロピルフェニルオキシ基、4−プロピルフェニルオキシ基、2−イソプロピルフェニルオキシ基、3−イソプロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、2−シクロプロピルフェニルオキシ基、3−シクロプロピルフェニルオキシ基、4−シクロプロピルフェニルオキシ基、2−ブチルフェニルオキシ基、3−ブチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、2−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、3−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、4−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、2−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、3−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、4−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、2−シクロブチルフェニルオキシ基、3−シクロブチルフェニルオキシ基、4−シクロブチルフェニルオキシ基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、直鎖状又は分岐状フルオロアルキル基のいずれでも良く、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基としては、直鎖状又は分岐状フルオロアルキルオキシ基のいずれでも良く、トリフルオロメチルオキシ基、ジフルオロメチルオキシ基、ペルフルオロエチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ基、1,1−ジフルオロエチルオキシ基、2,2−ジフルオロエチルオキシ基、ペルフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ基、1,1−ジフルオロプロピルオキシ基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルオキシ基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5の一つ以上がフェニル基である場合、該フェニル基は、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基又はシアノ基で置換されていてもよく、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基及びシアノ基からなる群の少なくとも1種以上で置換されたフェニル基(以下、「置換フェニル基」ともいう。)である場合、置換フェニル基として、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−(イソプロピルオキシ)フェニル基、2,6−ジ(イソプロピルオキシ)フェニル基、2−フェノキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル基、2’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−4−イル基、3’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基及び4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、X1、X2、X3、X4及びX5の説明にて例示した炭素数1〜3のアルキル基と同様のものを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される炭素数1〜3のアルキルオキシ基としては、X1、X2、X3、X4及びX5の説明にて例示した炭素数1〜3のアルキルオキシ基と同様のものを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、X1、X2、X3、X4及びX5の説明にて例示した炭素数6〜10のアリールオキシ基と同様のものを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、X1、X2、X3、X4及びX5の説明にて例示した炭素数1〜3のフルオロアルキル基と同様のものを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基としては、X1、X2、X3、X4及びX5にて例示した炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基と同様のものを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表されるフッ素原子で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペルオロフェニル基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2b)のZ1、Z2及びZ3で表される置換基として、耐光性が良い点で、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、イソプロピルオキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基が好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される置換基として、耐光性が良い点で、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、メトキシ基、イソプロピルオキシ基、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基、フッ素原子で置換されていても良いフェニル基、直鎖状フルオロアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状フルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基、メトキシ基、イソプロピルオキシ基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ビス(イソプロポキシ)フェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルオキシフェニル基又はフェニル基がさらに好ましい。
本発明のユウロピウム錯体Aの一般式(1)のR2及びR3で表される置換基として、耐光性が良い点で、フッ素原子で置換されていてもよいビフェニリル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基で置換されていてもよいビフェニリル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいビフェニリル基、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状フルオロアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、2’,6’−ジメトキシビフェニル−2−イル基、2’,6’−ビス(イソプロポキシ)ビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル基、又は4’−(トリフルオロメチルオキシ)ビフェニル−2−イル基がさらに好ましい。
本発明のユウロピウム錯体Bの一般式(1)のR3で表される置換基として、耐光性が良い点で、炭素数3〜10の環状第2級アルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいビフェニリル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基で置換されていてもよいビフェニリル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいビフェニリル基、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状フルオロアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基が好ましく、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、2’,6’−ジメトキシビフェニル−2−イル基、2’,6’−ビス(イソプロポキシ)ビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル基、又は4’−(トリフルオロメチルオキシ)ビフェニル−2−イル基がさらに好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のR4は、水素原子、重水素原子又はフッ素原子を表し、入手が容易な点で、水素原子が好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のnは、1〜3の整数を表し、本発明のユウロピウム錯体A、Bの耐光性が良い点で、nが2であることが好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のW1及びW2で表される炭素数1〜6のアルキル基としては直鎖状分岐状及び環状のいずれでも良く、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロブチルメチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロブチルエチル基、2−シクロブチルエチル基などを例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のW1及びW2で表される炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状フルオロアルキル基のいずれでもよく、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)プロピル基、1,2,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,2,3,4,4,4−オクタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、1,2,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,5,5,5−デカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−3,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロペンチルメチル基等を例示することができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bの一般式(1)のW1及びW2で表される置換基として、耐光性が良い点で、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、及びペルフルオロプロピル基がさらに好ましい。
本発明のユウロピウム錯体A、Bにおいて、安価に製造できる点でユウロピウム錯体Bが好ましい。
本発明のユウロピウム錯体Bとしては、R1及びR2いずれもシクロペンチル基又はシクロヘキシル基が好ましく、特に、R1、R2及びR3のいずれもシクロペンチル基又はシクロヘキシル基が好ましい。
本発明のユウロピウム錯体Bとしては、具体的には次の(1−1)〜(1−21)に示す構造を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1−1)〜(1−21)で示される化合物のうち、本発明のユウロピウム錯体Bとしては耐光性が良い点で(1−1)〜(1−3)、(1−4)〜(1−8)が好ましく、安価な原料である三塩化リンからホスフィンオキシド(4−8)を経由して容易に合成可能、かつ製造コストが安価である点で(1−8)が殊更好ましい。
次に、本発明のユウロピウム錯体A、Bの製造方法(以下、本発明の製造方法と呼ぶ。)について説明する。本発明のユウロピウム錯体A、Bの製造方法として、一般式(4)で表されるホスフィンオキシド(以下、ホスフィンオキシド(4)と呼ぶ。)と、一般式(3)で表されるβ−ジケトン(以下、β−ジケトン(3)と呼ぶ。)と、ユウロピウム塩とを反応させることを特徴とする、工程1を挙げることができる。
(工程1)
(式中、R1、R2、R3、R4、n、W1及びW2は、一般式(1)のR1、R2、R3、R4、n、W1及びW2と同じ意味を表す。)
工程1において、一般式(4)のR1で表される炭素数3〜10の環状アルキル基としては、特に限定するものではないが、具体的には、シクロヘキシルメチル基、シクロプロピル基、2,3−ジメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデカニル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基等を例示することができ、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデカニル基等が好ましく、特にシクロペンチル基又は反応収率が良い点でシクロヘキシル基が好ましい。
工程1において、一般式(4)のR2及びR3が炭素数3〜10の環状アルキル基である場合、該炭素数3〜10の環状アルキル基としては、R1の説明にて例示した炭素数3〜10の環状アルキル基と同様のものを例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、特に限定するものではないが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基を例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のアルキルオキシ基としては、直鎖状又は分岐状アルキルオキシ基のいずれでも良く、メトキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基及び1−メチルエチルオキシ基を例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、特に限定するものではないが、具体的には、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2,3−ジメチルフェニルオキシ基、2,4−ジメチルフェニルオキシ基、2,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3,4−ジメチルフェニルオキシ基、3,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,3,4−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,6−トリメチルフェニルオキシ基、2,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、2,3−ジエチルフェニルオキシ基、2,4−ジエチルフェニルオキシ基、2,5−ジエチルフェニルオキシ基、2,6−ジエチルフェニルオキシ基、3,4−ジエチルフェニルオキシ基、3,5−ジエチルフェニルオキシ基、2−プロピルフェニルオキシ基、3−プロピルフェニルオキシ基、4−プロピルフェニルオキシ基、2−イソプロピルフェニルオキシ基、3−イソプロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、2−シクロプロピルフェニルオキシ基、3−シクロプロピルフェニルオキシ基、4−シクロプロピルフェニルオキシ基、2−ブチルフェニルオキシ基、3−ブチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、2−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、3−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、4−(1−メチルプロピル)フェニルオキシ基、2−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、3−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、4−(2−メチルプロピル)フェニルオキシ基、2−シクロブチルフェニルオキシ基、3−シクロブチルフェニルオキシ基、4−シクロブチルフェニルオキシ基等を例示することができる。
一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、直鎖状又は分岐状フルオロアルキル基のいずれでも良く、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基等を例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基としては、直鎖状又は分岐状フルオロアルキルオキシ基のいずれでも良く、トリフルオロメチルオキシ基、ジフルオロメチルオキシ基、ペルフルオロエチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ基、1,1−ジフルオロエチルオキシ基、2,2−ジフルオロエチルオキシ基、ペルフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ基、1,1−ジフルオロプロピルオキシ基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルオキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルオキシ基等を例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5の一つ以上がフェニル基である場合、該フェニル基は、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基又はシアノ基で置換されていてもよく、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキルオキシ基、フルオロフェニル基、水酸基、及びシアノ基からなる群の少なくとも1種以上で置換されたフェニル基(以下、「置換フェニル基」ともいう。)である場合、置換フェニル基として、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−(イソプロピルオキシ)フェニル基、2,6−ジ(イソプロピルオキシ)フェニル基、2−フェノキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル基、2’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−2−イル基、4’−フルオロビフェニル−4−イル基、3’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基及び4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基等を例示することができる。
工程1において、一般式(2a)のX1、X2、X3、X4及びX5で表される置換基として、収率が良い点で、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、メトキシ基、イソプロポキシ基、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状フルオロアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状フルオロアルキルオキシ基で置換されていてもよいフェニル基が好ましく、水素原子、メチル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ビス(イソプロポキシ)フェニル基、4−フルオロフェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル基又はフェニル基がさらに好ましい。
工程1において、一般式(4)のR2及びR3で表される置換基として、反応収率が良い点で、炭素数3〜10の環状第2級アルキル基、直鎖状アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜3のアルキル基、若しくは炭素数1〜3のアルキルオキシ基で置換されていてもよいビフェニリル基が好ましく、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、2’,6’−ジメトキシビフェニル−2−イル基、2’,6’−ビス(イソプロポキシ)ビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基がさらに好ましい。
工程1に用いるホスフィンオキシド(4)は、Chemical Reviews,第60巻,243−260ページ,1960年に記載の方法などによって入手することができる。
工程1に用いるホスフィンオキシド(4)としては、具体的には次の(4−1)〜(4−21)に示す構造を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(4−1)〜(4−21)で示される化合物のうち、ホスフィンオキシド(4)としては(4−1)〜(4−3)、(4−8)、(4−15)で示される化合物が、反応収率が良い点で好ましい。
工程1において、一般式(3)のR4は、水素原子、重水素原子、又はフッ素原子を表し、入手が容易可能な点で、水素原子が好ましい。
工程1において、一般式(3)のW1及びW2で表される炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状フルオロアルキル基のいずれでもよく、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)プロピル基、1,2,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,2,3,4,4,4−オクタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、1,2,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−(トリフルオロメチル)ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,5,5,5−デカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,2,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、1,1,2,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−3,3−ビス(トリフルオロメチル)ブチル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロペンチルメチル基等を例示することができる。
工程1において、一般式(3)のW1及びW2で表される置換基として、反応収率の良い点で、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、及びペルフルオロプロピル基がさらに好ましい。
工程1に用いるβ−ジケトン(3)としては、具体的にはヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfa)、1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、1,1,5,5−テトラフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,2,2,3,3,7,7,8,8,9,9,9−テトラデカフルオロ−4,6−ノナンジオン(Htdfn)、8H,8H−パーフルオロペンタデカン−7,9−ジオン、トリフルオロアセチルアセトン、2,2−ジメチル−6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−3,5−オクタンジオン、アセチルアセトン、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン等を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
工程1に用いるβ−ジケトン(3)は、例えば、Journal of the American Chemical Society,第66巻,1220−1222ページ,1944年などに記載の方法によって得ることができる。また、市販品を用いてもよい。β−ジケトン(3)は活性な水素原子を有しており、水素イオンが失われて陰イオン性配位子となる。例えば、hfaはHhfaから水素イオンが失われた陰イオン性配位子を表し、tdfnはHtdfnから水素イオンが失われた陰イオン性配位子を表す。
β−ジケトン(3)は、分子内水素移動を起こしてエノール(3a)又はエノール(3b)を形成しうるが、本発明のβ−ジケトン(3)は、いずれのエノールを含むものである。本明細書においては、β−ジケトン(3)を式(3)として表記する。
工程1で用いられるユウロピウム塩としては、特に限定するものではないが、例えば、フッ化ユウロピウム(III)、塩化ユウロピウム(III)、臭化ユウロピウム(III)、ヨウ化ユウロピウム(III)等のハロゲン化物塩及びそれらの水和物、シュウ酸ユウロピウム(III)、酢酸ユウロピウム(III)、トリフルオロ酢酸ユウロピウム(III)、メタントリフルオロスルホン酸ユウロピウム(III)等の有機酸塩及びそれらの水和物、トリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]ユウロピウム(III)、ユウロピウム(III)トリメトキシド、ユウロピウム(III)トリエトキシド、ユウロピウム(III)トリ(2−プロポキシド)等の金属アルコキシド、リン酸ユウロピウム(III)、硫酸ユウロピウム(III)、硝酸ユウロピウム(III)等の無機酸塩及びそれらの水和物を挙げることができる。中でも反応収率が良い点で、塩化ユウロピウム(III)、硝酸ユウロピウム(III)又はシュウ酸ユウロピウム(III)、酢酸ユウロピウム(III)、トリフルオロ酢酸ユウロピウム(III)、メタントリフルオロスルホン酸ユウロピウム(III)等の有機酸塩が好ましく、酢酸ユウロピウム(III)、塩化ユウロピウム(III)、硝酸ユウロピウム(III)がさらに好ましい。
工程1において、一般式(1)のnは、1〜3の整数を表し、反応収率の良い点で、nが2であることが好ましい。
工程1において、本発明のユウロピウム錯体A、Bの反応収率が良い点で、溶媒中で実施することが好ましい。使用可能な溶媒の種類には、反応を阻害しない限り特に制限は無い。使用可能な溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、及び水を挙げることができる。これら溶媒を単独、または二種類以上を任意の比率で混合して用いることもできる。本発明のユウロピウム錯体A、Bの反応収率が良い点で、溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、メタノール又はエタノールが好ましい。
次に工程1において、ユウロピウム塩およびホスフィンオキシド(4)のモル比に関して説明する。ユウロピウム塩1モルに対して0.5〜5.0モル、更に好ましくは1.0〜3.0モルのホスフィンオキシド(4)を用いることが好ましい。
工程1において、ユウロピウム塩およびβ−ジケトン(3)のモル比に関して説明する。ユウロピウム塩1モルに対して1.0〜10モル、更に好ましくは2.0〜8.0モルのβ−ジケトン(3)を用いることが好ましい。
工程1において、反応温度および反応時間には特に制限はなく、当業者が金属錯体を製造するときの一般的な条件を用いることができる。具体例としては、−80℃〜120℃の温度範囲から適宜選択した反応温度において、1分間〜120時間の範囲から適宜選択した反応時間を選択することによって本発明のユウロピウム錯体A、Bを収率良く製造することができる。
工程1で製造した本発明のユウロピウム錯体A、Bは、当業者が金属錯体を精製するときの一般的な精製方法を適宜選択して用いることによって精製することができる。具体的な精製方法としては、ろ過、抽出、遠心分離、デカンテーション、蒸留、昇華、結晶化、カラムクロマトグラフィーなどを挙げることができる。
また本発明の製造方法として、ジケトナト錯体(5)とホスフィンオキシド(4)とを反応させることを特徴とする、工程2も挙げることができる。
(工程2)
(式中、R1、R2、R3、R4、n、W1及びW2は一般式(1)のR1、R2、R3、R4、n、W1及びW2と同じ意味を表す。Qは配位分子を表す。mは0〜3の数を表す。)
工程2において、Qで表される配位分子としては、反応を阻害しない限り制限はなく、具体的には、水、重水、テトラヒドロフラン、ピリジン、イミダゾール、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリルやプロピオニトリルなどのニトリル類、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などを例示することができ、ジケトナト錯体(5)の合成が容易な点で水が好ましい。
ジケトナト錯体(5)のmは、合成容易な点で好ましくは2である。
工程2に用いるジケトナト錯体(5)は、本明細書の参考例1に記載の方法やJournal of the American Chemical Society,第87巻,5254−5256ページ,1965年などに記載の方法によって入手することができる。
工程2に用いるジケトナト錯体(5)の具体的な例としては、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユウロピウム(III)、トリス(1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ジオキソヘキサン−3−イド)ユウロピウム(III)、トリス(1,1,5,5−テトラフルオロ−2,4−ジオキソペンタン−3−イド)ユウロピウム(III)、トリス(1,1,1,2,2,3,3,7,7,8,8,9,9,9−テトラデカフルオロ−4,6−ジオキソノナン−5−イド)ユウロピウム(III)、トリス(1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘキサコサフルオロ−7,9−ジオキソペンタデカン−8−イド)ユウロピウム(III)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナト)ユウロピウム(III)、トリス[4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ジオキソブタン−2−イド]ユウロピウム(III)、トリス(4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ジオキソブタン−2−イド)ユウロピウム(III)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−ジオキソプロパン−2−イド)ユウロピウム(III)及びそれらの水和物などを例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
工程2に用いるホスフィンオキシド(4)は、本明細書の参考例3に記載の方法、Chemical Reviews,第60巻,243−260ページ,1960年及びOrganic Letters,第13巻,3478−3481ページ,2011年などに記載の方法によって入手することができる。
工程2に用いるホスフィンオキシド(4)としては、工程1の説明にて例示したものと同様のものを例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。工程2において、反応収率が良い点で、R1、R2及びR3がシクロヘキシル基が好ましい。
工程2において、本発明のユウロピウム錯体A、Bの反応収率が良い点で、溶媒中で実施することが好ましい。使用可能な溶媒の種類には、反応を阻害しない限り特に制限は無い。使用可能な溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン等のエーテル類、tert−ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、及び水を挙げることができる。これら溶媒を単独または2種類以上を任意の比率で混合して用いることができる。本発明のユウロピウム錯体A、Bの反応収率が良い点で、溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、メタノール又はエタノールが好ましい。
次に工程2を実施するときのジケトナト錯体(5)およびホスフィンオキシド(4)のモル比に関して説明する。ジケトナト錯体(5)1モルに対して0.5〜5.0モル、更に好ましくは1.0〜3.0モルのホスフィンオキシド(4)を用いることが好ましい。
工程2において、反応温度および反応時間には特に制限はなく、当業者が金属錯体を製造するときの一般的な条件を用いることができる。具体例としては、−80℃〜120℃の温度範囲から適宜選択した反応温度において、1分間〜120時間の範囲から適宜選択した反応時間を選択することによって本発明のユウロピウム錯体A、Bを反応収率良く製造することができる。
工程2で製造した本発明のユウロピウム錯体A、Bは、当業者が金属錯体を精製するときの一般的な精製方法を適宜選択して用いることによって精製することができる。具体的な精製方法としては、ろ過、抽出、遠心分離、デカンテーション、蒸留、昇華、結晶化、カラムクロマトグラフィーなどを挙げることができる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bは、太陽光や紫外光等を長期間照射しても劣化し難い特長を示すことから、本発明のユウロピウム錯体A、Bを含む光学材料として有用であり、該光学材料としては、太陽電池用フィルム、農業用フィルム、LED蛍光体、有機EL材料、セキュリティインク等に用いられる波長変換材料が特に有用である。
また、本発明のユウロピウム錯体A、Bは、樹脂材料、無機ガラス、有機低分子材料から選ばれる1種以上含む光学材料として用いることができ、分散性が高いことから、樹脂材料を含む光学材料とすることが特に好ましい。該樹脂材料として、例えばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリsec−ブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリtert−ブチルメタクリレート、含フッ素ポリメチルメタクリレート、含フッ素ポリエチルメタクリレート、含フッ素ポリプロピルメタクリレート、含フッ素ポリイソプロピルメタクリレート、含フッ素ポリブチルメタクリレート、含フッ素ポリsec−ブチルメタクリレート、含フッ素ポリイソブチルメタクリレート、含フッ素ポリtert−ブチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリsec−ブチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリtert−ブチルアクリレート、含フッ素ポリメチルアクリレート、含フッ素ポリエチルアクリレート、含フッ素ポリプロピルアクリレート、含フッ素ポリイソプロピルアクリレート、含フッ素ポリブチルアクリレート、含フッ素ポリsec−ブチルアクリレート、含フッ素ポリイソブチルアクリレート、含フッ素ポリtert−ブチルアクリレート等のポリアクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、含フッ素ポリエチレン、含フッ素ポリプロピレン、含フッ素ポリブテン等のポリオレフィン、ポリビニルエーテル、含フッ素ポリビニルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、及びそれらの共重合体、セルロース、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネイト、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、ナフィオン、石油樹脂、ロジン、ケイ素樹脂などが例示され、その中でもポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリsec−ブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリtert−ブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリsec−ブチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリtert−ブチルアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル及びそれらの共重合体等が好ましく、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル及びそれらの共重合体が特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
これら樹脂材料の中でも特に好ましく用いられるポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル及びそれらの共重合体は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、又は酢酸ビニルを樹脂材料を重合開始剤存在下、50〜80℃で、3〜8時間水中で懸濁重合を行うことにより得ることができる。
用いる重合開始剤としては当業者がこれらの樹脂材料を重合するときに通常用いるものでよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物が挙げられる。
懸濁重合の際には、得られるポリマー粒子の凝集防止のために、分散安定剤を添加することが好ましく、該分散安定剤としては当業者が通常用いるものでよく、例えば塩基性リン酸カルシウム,水酸化アルミニウム,炭酸マグネシウムなどの水難溶性無機微粒子やポリアクリル酸塩,ポリメタクリル酸塩,ポリアクリルアミド,ポリビニルアルコール,セルロース誘導体等が挙げられる。
懸濁重合の際には、ゲル化物の抑制を防止するために、重合調整剤を添加することが好ましく、該重合調整剤としては当業者が通常用いるものでよく、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のニトロキシル化合物、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩、ジ−tert−ブチルニトロオキシド等の窒素酸化物等が挙げられる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bと樹脂材料を含む光学材料における該ユウロピウム錯体A,Bの割合は、好ましくは0.001〜99重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%である。
無機ガラスとして、当業者が通常用いるものでよく、例えば、ソーダガラス、クリスタルガラス、硼珪酸ガラスなどが挙げられる。
有機低分子材料して、当業者が通常用いるものでよく、例えば、アミルトリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラアミルアンモニウムクロリド等のイオン液体、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、パラフィン等の炭化水素類などが挙げられる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bを含む光学材料を得る方法としては、該ユウロピウム錯体A、Bを単独で用い光学材料とする方法、該ユウロピウム錯体A、Bを樹脂材料、無機ガラス、有機低分子材料から選ばれる1種以上を含む光学材料に含有させ光学材料とする方法、上記樹脂材料を重合する際に相当するモノマーと該ユウロピウム錯体A、Bを混合し該モノマーを重合することにより光学材料とする方法、該ユウロピウム錯体A、Bを溶剤に溶解、分散させ光学材料とする方法等が挙げられる。
本発明のユウロピウム錯体A、Bを溶剤に溶解、分散させ光学材料とする場合、用いることが出来る溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン等のエーテル類、tert−ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、及び水を挙げることができる。これら溶媒を単独または2種類以上を任意の比率で混合して用いることができる。