JP7034624B2 - 希土類金属錯体及びそれを用いる発光装置 - Google Patents
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Description
化学式(I):
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、下記群(G):
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
C3~C30のシクロアルケニル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、並びに
ハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A3は、C2~C30のアルキレン基から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A1とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C4H4-で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子;及び
化学式(II):
A1及びA2は、化学式(I)のものと同じであり、
A4は、C1~C30のアルキル基から選択され、そのアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(I)のベンゼン環と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子からなる群から選択される、水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子、並びに
化学式(III)
Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、上記群(G)から選択される置換基を示し、
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示す]
で示されるβ-ジケトナト配位子
が、共に配位し、
過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種の陰イオンが更に配位してよい、
希土類金属を含む、希土類金属錯体を提供する。
化学式(I):
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)、C3~C30のシクロアルキル基(-CnH2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基(-CnF2n+1及び-CnCl2n+1等、好ましくは-CnF2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基(-CnF2n-1及び-CnCl2n-1等、好ましくは-CnF2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、下記群(G1):
フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族基;
パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロビフェニル基、パークロロフェニル基、パークロロナフチル基、及びパークロロビフェニル基等のパーハロゲン化芳香族基;
N、O、及びS等から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基(CnH2n+1:n=1~30);
パーフルオロアルキル基(CnF2n+1:n=1~30)及びパークロロアルキル基(CnCl2n+1:n=1~30)等の、直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
ブテニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
パーフルオロビニル基、パーフルオロアリル基及びパーフルオロブテニル基等のパーフルオロアルケニル基及びパークロロアルケニル基等の、直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基(CnH2n-1:n=3~30);
パーフルオロシクロアルキル基(CnF2n-1:n=3~30)及びパークロロシクロアルキル基(CnCl2n-1:n=3~30)等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基等のC3~C30のシクロアルケニル基;
パーフルオロシクロアルケニル基及びパークロロシクロアルケニル基等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、並びに
ハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A3は、C2~C30のアルキレン基(-CnH2n-:ここでn=2~30、好ましくは、n=4~12)から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A1とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C4H4-で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子;及び
化学式(II):
A1及びA2は、化学式(I)のものと同じであり、
A4は、C1~30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18)から選択され、そのアルキル基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(I)のベンゼン環と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子からなる群から選択される、水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子、並びに
化学式(III)
Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、上記群(G1)から選択される置換基を示し、
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示す]
で示されるβ-ジケトナト配位子
が、共に配位し、
過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種の陰イオンが更に配位してよい、
希土類金属を含む。
下記化学式(IV)、(V)、(VI)、及び(VII)で示される化学構造から選択される少なくとも1種の化学構造を含むことが好ましい。
化学式(IV):
Lnは、希土類金属原子を示し、n1は、2又は3を示し、
β-ジケトナト配位子について、Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、下記群(G1):
フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族基;
パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロビフェニル基、パークロロフェニル基、パークロロナフチル基、及びパークロロビフェニル基等のパーハロゲン化芳香族基;
N、O、及びS等から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基(CnH2n+1:n=1~30);
パーフルオロアルキル基(CnF2n+1:n=1~30)及びパークロロアルキル基(CnCl2n+1:n=1~30)等の直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
ブテニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
パーフルオロビニル基、パーフルオロアリル基及びパーフルオロブテニル基等のパーフルオロアルケニル基及びパークロロアルケニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基(CnH2n-1:n=3~30);
パーフルオロシクロアルキル基(CnF2n-1:n=3~30)及びパークロロシクロアルキル基(CnCl2n-1:n=3~30)等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基等のC3~C30のシクロアルケニル基;
パーフルオロシクロアルケニル基及びパークロロシクロアルケニル基等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、
から選択される置換基を示し
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示し、n2は、1~3の整数を示し、
Yは、過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種でありえ、n3は、0~2の整数を示し、
二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)、C3~C30のシクロアルキル基(-CnH2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基(-CnF2n+1及び-CnCl2n+1等、好ましくは-CnF2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基(-CnF2n-1及び-CnCl2n-1等、好ましくは-CnF2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A3は、C2~C30のアルキレン基(-CnH2n-:ここでn=2~30、好ましくは、n=4~12)から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A1とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C4H4-で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す]、
化学式(V):
n5は、2以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VI):
n6は、1以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VII):
一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)、C3~C30のシクロアルキル基(-CnH2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基(-CnF2n+1及び-CnCl2n+1等、好ましくは-CnF2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基(-CnF2n-1及び-CnCl2n-1等、好ましくは-CnF2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)を含む群から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A4は、C1~30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18)から選択され、そのアルキル基は、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)を含む群から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(IV)と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、両方共、更に、上記群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)を含む群から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す
ほかは、化学式(IV)のものと同様である]。
一方、Yが希土類金属との間に形成し得る配位結合の数は、1~3まで変わり得るので、YとLnの間は、単なる点線ではなく、幅の広い点線(ハッシュ線:hashed line)で示す。
化学式(I)の配位子は、二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有し、化学式(II)の配位子は、一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する。
化学式(I)~(II)の配位子は、A1で示す水酸基(OH)又はチオール基(SH)で希土類金属原子に配位する。
水酸基又はチオール基(A1)とアゾメチン基の位置は、目的とする錯体を得ることができる限り特に制限されることはなく、o-置換、m-置換、p-置換等のいずれでもよいが、o-置換であることが発光特性の観点からより好ましい。
アゾメチン基の炭素原子は、置換基A2を有することができる。A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基(-CnH2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)、C3~C30のシクロアルキル基(-CnH2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基(-CnF2n+1及び-CnCl2n+1等、好ましくは-CnF2n+1:ここでn=1~30、好ましくはn=1~18、より好ましくはn=1~6、特に好ましくはn=1~3)及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基(-CnF2n-1及び-CnCl2n-1等、好ましくは-CnF2n-1:ここでn=3~30、好ましくはn=3~18、より好ましくはn=3~6、特に好ましくはn=3)から選択される。
フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族基;
パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロビフェニル基、パークロロフェニル基、パークロロナフチル基、及びパークロロビフェニル基等のパーハロゲン化芳香族基;
N、O、及びS等から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基(CnH2n+1:n=1~30);
パーフルオロアルキル基(CnF2n+1:n=1~30)及びパークロロアルキル基(CnCl2n+1:n=1~30)等の直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
ブテニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
パーフルオロビニル基、パーフルオロアリル基及びパーフルオロブテニル基等のパーフルオロアルケニル基及びパークロロアルケニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基(CnH2n-1:n=3~30);
パーフルオロシクロアルキル基(CnF2n-1:n=3~30)及びパークロロシクロアルキル基(CnCl2n-1:n=3~30)等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基等のC3~C30のシクロアルケニル基;
パーフルオロシクロアルケニル基及びパークロロシクロアルケニル基等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、並びに
ハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができる。
尚、本明細書では、群(G1)と群(G)の二種類の置換基の群を示すが、群(G)は、群(G1)のより簡潔な記載であり、実質的に同じである。
更に、A2は、アゾメチン基と共役系を形成しない限り、上述したようにアルケニル基等の不飽和基を有することができる。
A2は、水素、重水素、メチル基、トリフルオロメチル基、及びシクロプロピル基から選択されることが更により好ましい。
化学式(II)の配位子は、一組のA1とアゾメチン基を有し、例えば化学式(VII)の化学構造で示すように、一つのA1で、希土類金属と配位結合を形成する。
A3は、C2~C30のアルキレン基(-CnH2n-、ここでn=2~30、好ましくは、n=4~18、より好ましくは、n=4~12)から選択される。
更に、A3は、アゾメチン基と共役系を形成しない限り、上述したようにアルケニル基等の不飽和基を有することができる。
A4は、C1~30のアルキル基(-CnH2n+1、ここでn=1~30、好ましくは、n=1~18、より好ましくは、n=4~12)から選択される。
A4は、上記のA3で記載した群(G1)並びにハロゲノ基(例えば、F、Cl等、好ましくはF)から選択される一又は複数の置換基を有することができる。:
β-ジケトナト配位子は、1価のアニオンであって、2つの酸素原子で希土類金属に配位することができる。
本発明の実施形態の金属錯体は、上述の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子と一緒に、β-ジケトナト配位子が配位した希土類金属を有する。
Xは、下記群(G1):
フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族基;
パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロビフェニル基、パークロロフェニル基、パークロロナフチル基、及びパークロロビフェニル基等のパーハロゲン化芳香族基;
N、O、及びS等から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基(CnH2n+1:n=1~30);
パーフルオロアルキル基(CnF2n+1:n=1~30)及びパークロロアルキル基(CnCl2n+1:n=1~30)等の直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
ブテニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
パーフルオロビニル基、パーフルオロアリル基及びパーフルオロブテニル基等のパーフルオロアルケニル基及びパークロロアルケニル基等の直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基(CnH2n-1:n=3~30);
パーフルオロシクロアルキル基(CnF2n-1:n=3~30)及びパークロロシクロアルキル基(CnCl2n-1:n=3~30)等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基等のC3~C30のシクロアルケニル基;
パーフルオロシクロアルケニル基及びパークロロシクロアルケニル基等のC3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基
から選択される。
水素原子、重水素原子、フッ素原子を含むことが特に好ましい。
希土類元素の陽電荷を示すn1は、2又は3であり、好ましくは3である。
β-ジケトナト配位子の数を示すn2は、1~3である。
その他の配位子の数を示すn3は、0~2のいずれかである。
アゾメチン基を有する配位子の数を示すn4は1~3である。
希土類金属の配位数は、3~11である。
n2とn3が、n2+n3=3となる組み合わせであることが好ましい。
更に、n2は、より好ましくは3であり、n3は、より好ましくは0である。
n4は、より好ましくは2である。
複数の配位子が環状に続く数を示すn5は、2以上の整数であることが好ましく、より好ましくは2~8である。
複数の配位子が鎖状に続く数を示すn6は、任意の整数であることが望ましく、より好ましくは3以上である。
その新たな三価希土類錯体は、好ましくは波長変換部材として使用することができ、より好ましくは紫外から青色光の領域の光を吸収し、発光することができる。
更にその三価希土類金属錯体は、より好ましくは、より広範囲なより可視光領域の励起波長領域を有し、より吸光率が大きく、より反射率が小さく、外部量子効率がより高い。
本発明の実施形態の希土類金属錯体は、新規な希土類金属錯体を提供し、その配位子の構造及び/又は希土類原子の種類等を変更することにより、吸収波長領域を変化させることができ、発光波長領域を変化させることができる。従って、本発明の実施形態の希土類金属錯体は、新たな種々の特性を有する波長変換材料を提供することができる。
本発明の実施形態の希土類金属錯体は、例えば、後述する実施例に示すように、希土類金属塩(例えば、希土類金属の塩化物及び酢酸塩等)、上述のβ-ジケトナト配位子と対応するβ-ジケトンと、水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子を反応させて得ることができる。希土類金属塩とこれらの配位子を反応させる順序、反応温度、反応時間、反応濃度等の反応条件等は、適宜選択することができる。
ZがHである、本発明の実施形態の希土類金属錯体に、重水素化剤を作用させて、重水素置換反応することにより、本発明の実施形態の重水素化された錯体(Zが重水素原子Dである錯体)を得ることができる。
重水素置換反応を促進するために、トリメチルアミン及びトリエチルアミンなどの塩基剤及び添加剤を加えてもよい。
非プロトン性溶媒は、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及び塩化メチレン等のハロゲン系溶媒;DMSO及びDMF等を含む。本発明の実施形態の希土類金属錯体が溶解可溶な溶媒が、好ましい。
撹拌後、重水素化剤及び溶媒を蒸留で除くことにより、本発明の実施形態の重水素化された希土類金属錯体(Z=重水素D)を得ることができる。
必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー及び昇華等の方法を用いて、更に精製することができる。
更に、本発明の実施形態の希土類金属錯体を、透明固体担体に含有させることにより、同様に種々の光機能材料に用いることができる。透明固体担体に、希土類金属錯体を含有させることで、取り扱い易さ、安定性及び成形加工性等が向上するので好ましい。
従って、本発明は、本発明の実施形態の希土類金属錯体を含む光機能材料用透明固体担体、及び本発明の実施形態の希土類金属錯体を透明固体担体に含有させることを含む光機能材料用透明固体担体の製造方法を提供する。
透明ポリマーマトリクスとして、ポリメチルメタクリレート、含フッ素ポリメタクリレート、ポリアクリレート、含フッ素ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルエーテル、及びそれらの共重合体、ケイ素樹脂、及びエポキシ樹脂等を使用することが好ましい。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の実施形態の希土類金属錯体は、550nmの入射光に関する反射率が、60%以上であることが好ましく、70~120%であることがより好ましく、80~120%であることが特に好ましい。
ここで、反射率は、リン酸カルシウムの反射率を100%(基準)とする、相対値である。
外部量子効率は、380nm及び450nmの励起光で励起したときの値である。
本発明の実施形態の希土類金属錯体又はそれを含む透明固体担体は、従来の蛍光体と同様、導光板の上面(光射出面)、側面(発光ダイオードの光入射面)、発光装置のカップ内及び発光ダイオードを封止する樹脂内等に配置することができる。
水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子(A)
(a1)N,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン(H2salen)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)2-N=CH-C6H4-OH](ベンゼン環は共にオルト置換である)
(a2)N,N’-ビス(サリチリデン)1,4-ブチレンジアミン(H21,4-salbn)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)4-N=CH-C6H4-OH](ベンゼン環は共にオルト置換である)
(a3)N,N’-ビス(サリチリデン)1,6-ヘキシレンジアミン(H21,6-salhxn)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)6-N=CH-C6H4-OH](ベンゼン環は共にオルト置換である)
(a4)N,N’-ビス(p-ヒドロキシフェニルアセチリデン)1,4-ブチレンジアミン(H21,4-acebn)[HO-C6H4-C(CH3)=N-(CH2)4-N=C(CH3)-C6H4-OH](ベンゼン環は共にオルト置換である)
(a5)N,N’-ビス(2-ヒドロキシナフチル-1-メチリデン)1,4-ブチレンジアミン(H21,4-napbn)[HO-C10H6-CH=N-(CH2)4-N=CH-C10H6-OH]
(b1)ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)[CF3-CO-CH2-CO-CF3]
1価のアニオンであるβ-ジケトナト配位子を「hfa-」」ともいう。
(b2)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[CF3-CO-CH2-CO-C6H5]
1価のアニオンであるβ-ジケトナト配位子を「btfa-」ともいう。
(c1)酢酸ユウロピウム[Eu(CH3COO)3(H2O)]
(c2)塩化ユウロピウム[EuCl3(H2O)6]
その他(D)
ビス[(2-ジフェニルホスホリル)フェニル]エーテル(DPEPO)[(C6H5)2P(=O)-C6H4-O-C6H4-P(=O)(C6H5)2]
(c1)酢酸ユウロピウム[Eu(CH3COO)3(H2O):0.5g]を50mLのエタノールに溶かした。(b1)ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)[CF3-CO-CH2-CO-CF3:0.9g]を加えて、室温で1時間攪拌した。
(a1)N,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン(H2salen)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)2-N=CH-C6H4-OH:0.77g](ベンゼン環は共にオルト置換である)を入れ、室温で24時間撹拌した。攪拌後、沈澱した固体を濾過した。エタノールを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。エタノールとジクロロメタンとの混合溶媒を用いて再結晶を行い、実施例1の錯体を得た。
元素分析の結果は、下記のように単結晶X線構造解析の結果を支持した。
元素分析:計算値 C 45.49% H 3.21% N 4.82%、測定値 C 45.70% H 3.17% N 4.79%
(c1)酢酸ユウロピウム[5.0g]を40mLの蒸留水に溶かした。(b1)ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)[8.1g]を加えて、室温で4時間攪拌した。攪拌後、沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物1.62gを40mlジエチルエーテルに溶かした。
(a2)N,N’-(サリチリデン)1,4-ブタンジアミン(H21,4-salbn)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)4-N=CH-C6H4-OH:1.19g](ベンゼン環は共にオルト置換である)を入れ、室温で24時間攪拌した。沈澱した固体を濾過した。ジエチルエーテルを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。テトラヒドロフランとヘキサンとの混合溶媒を用いて再結晶を行い、実施例2の錯体を得た。
元素分析の結果は、下記のように単結晶X線構造解析の結果を支持した。
元素分析:計算値 C 39.10% H 2.73% N 3.04%、測定値 C39.26%、H2.66%、N2.94%
(c1)酢酸ユウロピウム[5.0g]を40mLの蒸留水に溶かした。(b1)ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)[8.1g]を加えて、室温で4時間攪拌した。攪拌後、沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物0.81gを40mlジエチルエーテルに溶かした。
(a3)N,N’-ビス(サリチリデン)1,6-ヘキサンジアミン(H21,6-salhxn)[HO-C6H4-CH=N-(CH2)6-N=CH-C6H4-OH:0.65g](ベンゼン環は共にオルト置換である)を入れ、室温で24時間攪拌した。沈澱した固体を濾過した。ジエチルエーテルを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。ジクロロメタン、エタノールの混合溶媒を用いて再結晶を行い、実施例3の錯体を得た。
元素分析の結果は、下記のように単結晶X線構造解析の結果を支持した。
元素分析:計算値 C 40.48% H 3.08% N 2.95%、測定値 C40.34%、H2.96%、N2.88%
(c2)塩化ユウロピウム[EuCl3(H2O)6:2.2g]を30mLのメタノールに溶かした。(b2)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[CF3-CO-CH2-CO-C6H5:3.9g]を加えて、アンモニア水溶液でpH7に調整し、室温で4時間攪拌した。攪拌後、300mlの純水を入れ12時間攪拌させ沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物1.67gを40mlジエチルエーテルに溶かした。
(a2)H21,4-salbn(ベンゼン環は共にオルト置換である)、0.60gを入れ、室温で24時間攪拌した。沈澱した固体を濾過した。ジエチルエーテルを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。ジエチルエーテル溶媒により再結晶を行うことにより、実施例4の錯体を得た。
元素分析の結果は、下記のように単結晶X線構造解析の結果を支持した。
元素分析:計算値 C 52.71% H 3.50% N 2.56%、測定値 C52.49%、H3.36%、N2.50%
(c2)塩化ユウロピウム[2.2g]を30mLのメタノールに溶かした。(b2)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[3.9g]を加えて、アンモニア水溶液でpH7に調整し、室温で4時間攪拌した。攪拌後、300mlの純水を入れ12時間攪拌させ沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物1.68gを50mlジクロロメタンに分散させた。
(a4)N,N’-ビス(ヒドロキシフェニルアセチリデン)1,4-ブタンジアミン(H21,4-acebn)[HO-C6H4-C(CH3)=N-(CH2)4-N=C(CH3)-C6H4-OH:0.65g](ベンゼン環は共にオルト置換である)を入れ、室温で4時間攪拌した。沈澱した固体を濾過した。ジクロロメタンを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。冷エタノール溶媒で洗浄し、減圧留去によりエタノールを取り除き、実施例5の錯体を得た。
(c2)塩化ユウロピウム[2.2g]を30mLのメタノールに溶かした。(b2)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[3.9g]を加えて、アンモニア水溶液でpH7に調整し、室温で4時間攪拌した。攪拌後、300mlの純水を入れ12時間攪拌させ沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物1.68gを50mlジクロロメタンに分散させた。
(a5)N,N’-ビス(ヒドロキシナフチルメチリデン)1,4-ブタンジアミン(H21,4-napbn)[HO-C10H6-CH=N-(CH2)4-N=CH-C10H6-OH:0.40g](ベンゼン環は共にオルト置換である)を入れ、室温で4時間攪拌した。沈澱した固体を濾過した。ジクロロメタンを減圧留去により取り除き、黄色生成物を得た。黄色生成物を冷エタノールで洗浄し、減圧留去によりエタノールを取り除き実施例6の錯体を得た。
(c1)酢酸ユウロピウム、(b1)ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)及びビス[(2-ジフェニルホスホリル)フェニル]エーテル(以下「DPEPO」ともいう)[(C6H5)2P(=O)-C6H4-O-C6H4-P(=O)(C6H5)2]を用いて、非特許文献1に記載した方法に基づいて、比較例1の錯体を合成した。この比較例1の錯体の構造は、元素分析、及び単結晶X線構造解析などによって、確認した。
実施例1~6の錯体は、いずれも紫外光から可視光領域の波長の光を吸収して、吸収した光よりも波長が長い光を発生し、波長変換材料として機能し得ることが判った。
実施例1~6の錯体は、青色の光を吸収して、青色より波長が長い光を発生した。
なかでも、実施例1~4の錯体の発光特性は、以下に更に説明するように、より優れていた。
実施例1~4の錯体では、紫外領域(300nm)から可視光領域(500nm)まで幅広い吸収を有する。これらの吸収はβ-ジケトナト配位子とアゾメチン基を有する配位子によるものである。
これに対し、比較例1の錯体では、350nmから吸収は低下し、450nmでは、10%以下になった。
図7及び図8a、図8bを参照すると、実施例1~4の錯体では、比較例1の錯体と比べて、450nm付近の励起光で励起したとしても顕著に発光し得ることがわかる。
ここで、外部量子効率は、下記式(1)によって定義される。
量子効率測定では、測定する試料は励起光を透過しない十分な厚さの試料条件で測定しており、試料表面から発せられた発光量子数に対する量子効率を算出している。
外部量子効率(以下EQE)は、試料の励起光スペクトルをE(λ)、試料の発光スペクトルをP(λ)としたときに、下式(1)によって定義される。
実施例1~4の錯体のスペクトルと比較例1の錯体のスペクトルを比較すると、500nm以下の波長のスペクトル形状に顕著な差が観測された。実施例1~4の錯体では、400~430nmの光について反射率は10%以下であるが、440nmから反射率は増加して500nmで80%を超えた。比較例1の錯体では、400nmの光では反射率は約80%であり、500nmの光では約90%であった。従って、実施例1~4の錯体は、500nm以下の波長の反射率が低いこと、即ち、500nm以下の波長の光を吸収し得ることを示す。
比較例1の450nmの反射率と比べると、実施例1~4の450nmの反射率は低いので、比較例1は、可視光領域の光で励起することは困難であるが、実施例1~4の錯体は、可視光領域の光で励起することができることがわかる。
従って、比較例1の錯体は紫外光で励起して使用できるが、実施例1~4の錯体は更に可視領域の光で励起して使用できることを示す。
実施例2の錯体を、シリコーン樹脂に分散させて加熱硬化して、透明固体担体を得た。この透明固体担体を青色発光ダイオードに実装して、発光装置を得た。その発光装置の発光スペクトルを測定して、図10に示す。
発光波長の中心が450nmである青色発光ダイオードを使用した。実施例2の錯体に由来する大きな発光ピークが、615nmに現れている。更に、小さな発光ピークが、590nm付近、660nm付近、及び700nm付近にも現れている。表1に示すように、実施例2の錯体では、約44%という高い外部量子効率が得られた。
その新たな三価希土類錯体は、好ましくは波長変換部材として使用することができ、より好ましくは紫外から青色光の領域の光を吸収し、発光することができる。
更にその三価希土類金属錯体は、より好ましくは、より広範囲な励起波長領域を有し、より吸光率が大きく、より反射率が小さく、外部量子効率がより高い。また、波長変換効率がより高く、発光強度がより大きい。
その希土類金属錯体は、好ましくは波長変換効率に優れ、それを用いる波長変換材料及び発光装置として有用である。
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.
化学式(I):
A 1 は、OH基又はSH基を示し、
A 2 は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、下記群(G):
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
C3~C30のシクロアルケニル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、並びに
ハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 3 は、C2~C30のアルキレン基から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 1 とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A 1 とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C 4 H 4 -で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子;及び
化学式(II):
A 1 及びA 2 は、化学式(I)のものと同じであり、
A 4 は、C1~C30のアルキル基から選択され、そのアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 1 とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(I)のベンゼン環と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子からなる群から選択される、水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子、並びに
化学式(III)
Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、上記群(G)から選択される置換基を示し、
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示す]
で示されるβ-ジケトナト配位子
が、共に配位し、
過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種の陰イオンが更に配位してよい、
希土類金属を含む、希土類金属錯体。
2.
下記化学式(IV)、(V)、(VI)、及び(VII)から選択される少なくとも1種の化学構造を含む、希土類金属錯体。
化学式(IV):
Lnは、希土類金属原子を示し、n1は、2又は3を示し、
β-ジケトナト配位子について、Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、下記群(G):
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
C3~C30のシクロアルケニル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、
から選択される置換基を示し
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示し、n2は、1~3の整数を示し、
Yは、過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種であってよく、n3は、0~2の整数を示し、
二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A 1 は、OH基又はSH基を示し、
A 2 は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 3 は、C2~C30のアルキレン基から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 1 とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A 1 とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C 4 H 4 -で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す]、
化学式(V):
n5は、2以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VI):
n6は、1以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VII):
一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A 1 は、OH基又はSH基を示し、
A 2 は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 4 は、C1~30のアルキル基から選択され、そのアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A 1 とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(IV)と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す
ほかは、化学式(IV)のものと同様である]。
3.
450nmの入射光に関する反射率が、50%以下であり、かつ550nmの入射光に関する反射率が、60%以上である、上記1又は2に記載の希土類金属錯体。
4.
380nm及び450nmの光で励起した場合、外部量子効率が、5%以上である上記1~3のいずれか一つに記載の希土類金属錯体。
5.
上記1~4のいずれか一つに記載の希土類金属錯体を含む光機能材料用透明固体担体。
6.
上記1~4のいずれか一つに記載の希土類金属錯体を、透明なマトリックス中に分散させることを含む、上記5に記載の透明固体担体の製造方法。
7.
上記1~4のいずれか一つに記載の希土類金属錯体又は上記5に記載の透明固体担体と、発光ダイオード又はレーザーダイオードとを組み合わせた、発光装置。
Claims (8)
- 化学式(I):
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、下記群(G):
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
C3~C30のシクロアルケニル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、並びに
ハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A3は、C2~C30のアルキレン基から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A1とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C4H4-で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子;及び
化学式(II):
A1及びA2は、化学式(I)のものと同じであり、
A4は、C1~C30のアルキル基から選択され、そのアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(I)のベンゼン環と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができる]
で示される、一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子からなる群から選択される、水酸基又はチオール基とアゾメチン基を共に有する配位子、並びに
化学式(III)
Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、上記群(G)から選択される置換基を示し、
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示す]
で示されるβ-ジケトナト配位子
が、共に配位し、
過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種の陰イオンが更に配位してよい、
希土類金属を含む、希土類金属錯体であり、
希土類金属は、8配位であり、
青色の光を吸収して、赤色光を発生する、希土類金属錯体を含む透明固体担体。 - 下記化学式(IV)、(V)、(VI)、及び(VII)から選択される少なくとも1種の化学構造を含む、希土類金属錯体であり、
希土類金属は、8配位であり、
青色の光を吸収して、赤色光を発生する、希土類金属錯体を含む透明固体担体。
化学式(IV):
Lnは、希土類金属原子を示し、n1は、2又は3を示し、
β-ジケトナト配位子について、Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよい、下記群(G):
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のアルケニル基;
直鎖又は分枝を有するC3~C30のパーハロゲン化アルケニル基;
C3~C30のシクロアルキル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基;
C3~C30のシクロアルケニル基;
C3~C30のパーハロゲン化シクロアルケニル基;及び
C3~C30のアルキニル基、
から選択される置換基を示し
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示し、n2は、1~3の整数を示し、
Yは、過塩素酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される少なくとも1種であってよく、n3は、0~2の整数を示し、
二組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A3は、C2~C30のアルキレン基から選択され、そのアルキレン基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、A1とアゾメチン基が結合していない、ベンゼン環の隣接する2つの炭素原子は、-C4H4-で接続されてナフタレン環を形成することができ、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す]、
化学式(V):
n5は、2以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VI):
n6は、1以上の整数を示すほかは、化学式(IV)のものと同様である]、
化学式(VII):
一組の水酸基又はチオール基とアゾメチン基を有する配位子について、
A1は、OH基又はSH基を示し、
A2は、水素、重水素、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基から選択され、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のパーハロゲン化アルキル基及びC3~C30のパーハロゲン化シクロアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A4は、C1~30のアルキル基から選択され、そのアルキル基は、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
A1とアゾメチン基が共に結合するベンゼン環について、化学式(IV)と同様にナフタレン環を形成してよく、
そのベンゼン環と形成され得るナフタレン環は、更に、上記群(G)並びにハロゲノ基から選択される一又は複数の置換基を有することができ、
n4は、1~3の整数を示す
ほかは、化学式(IV)のものと同様である]。 - 希土類金属錯体は、450nmの入射光に関する反射率が、50%以下であり、かつ550nmの入射光に関する反射率が、60%以上である、請求項1又は2に記載の希土類金属錯体を含む透明固体担体。
- 希土類金属錯体は、380nm及び450nmの光で励起した場合、外部量子効率が、5%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の希土類金属錯体を含む透明固体担体。
- 希土類金属は、Euを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の希土類金属錯体を含む透明固体担体。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の希土類金属錯体を含む光機能材料用透明固体担体。
- 希土類金属錯体を、透明なマトリックス中に分散させることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の希土類金属錯体を含む透明固体担体の製造方法。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の希土類金属錯体を含む透明固体担体と、青色光を発する発光ダイオード又はレーザーダイオードとを組み合わせた、発光装置。
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Yin, Wei; Zhang, Maisheng,Fluorescence property of complexes of rare earth (Sm, Tb) with bis-Schiff bases,Fenxi Huaxue ,2003年,31(2),217-220 |
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