JP2020089396A - 発酵麦芽飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コクとキレのバランスが良好な発酵麦芽飲料及びその製造方法の提供。【解決手段】麦芽比率が50〜66質量%の発酵原料と水とを含む混合物を糖化した後、煮沸して発酵原料液を調製する仕込工程と、前記仕込工程により得られた発酵原料液に酵母を接種し、発酵を行う発酵工程と、を少なくとも有し、4VGの含有量が50〜150質量ppbであり、リナロールの含有量が10質量ppb以下であり、苦味価が10〜30BUである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法。【選択図】なし

Description

コクとキレのバランスが良好な発酵麦芽飲料及びその製造方法に関する。
ビールは古くから世界中で愛飲されている発酵麦芽飲料である。しかし、飲み応えやコク感は、その多くを麦芽由来の香味成分に依存しているため、麦芽の使用比率が低い発酵麦芽飲料では、すっきりしたキレのある味感が強くなる一方で、味わいやコクが不足し易いという傾向がある。
麦芽の使用比率が低い発酵麦芽飲料の製造方法としては、例えば、特許文献1に、発酵原料の一部として酵母エキスと玄米を用いる方法が開示されている。麦芽には、酵母による正常な発酵に必要なアミノ酸やミネラル類が多く含まれている。当該文献に記載の方法では、麦芽の使用比率を低くすることにより不足するアミノ酸等を酵母エキスにより補い、かつ玄米により酵母エキス由来の好ましくない臭いや味を低減させている。
一方で、原料中の麦芽の使用比率が高い発酵麦芽飲料において、キリッとした味わいを高める方法として、例えば特許文献2には、麦芽の使用比率が高い発酵麦芽飲料に、アルコール含有物を蒸留して得た蒸留液、とくに、麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得た蒸留液を添加する方法が開示されている。
特開2010−207214号公報 国際公開第2005/056746号
本発明は、麦芽を発酵原料とし、コクとキレのバランスが良好な発酵麦芽飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、発酵原料における麦芽の使用比率を50〜66質量%にコントロールし、かつ苦味価を適切な範囲内にコントロールすることにより、コクとキレのバランスを良好にできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る発酵麦芽飲料及びその製造方法は、下記[1]〜[4]である。
[1] 麦芽比率が50〜66質量%の発酵原料と水とを含む混合物を糖化した後、煮沸して発酵原料液を調製する仕込工程と、
前記仕込工程により得られた発酵原料液に酵母を接種し、発酵を行う発酵工程と、
を少なくとも有し、
4VGの含有量が50〜150質量ppbであり、リナロールの含有量が10質量ppb以下であり、苦味価が10〜30BUである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法。
[2] 発酵原料の麦芽比率が50〜66質量%であり、4VGの含有量が50〜150質量ppbであり、リナロールの含有量が10質量ppb以下であり、かつ苦味価が10〜30BUであることを特徴とする、発酵麦芽飲料。
[3] リンゴ酸の含有量が50〜150質量ppmである、前記[2]の発酵麦芽飲料。
[4] インベルターゼ活性を有する、前記[2]又は[3]の発酵麦芽飲料。
本発明により、コクとキレのバランスが良好な発酵麦芽飲料を得ることができる。
本発明及び本願明細書において、発酵麦芽飲料とは、発酵原料として麦芽を使用し、かつ発酵工程を経て製造される飲料を意味する。本発明に係る発酵麦芽飲料は、アルコール含有量に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料である。すなわち、本発明に係る発酵麦芽飲料は、アルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。発酵麦芽飲料としては、具体的には、ビール、麦芽を原料とする発泡酒、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料が挙げられる。その他、麦芽を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、スピリッツ等の一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料を製造するための発酵原料は、麦芽を含有するが、麦芽比率は50〜66質量%である。発酵原料における麦芽使用比率が高すぎる場合には、得られる発酵麦芽飲料のキレが弱い傾向にある。逆に、麦芽使用比率が低すぎる場合には、得られる発酵麦芽飲料はコクがなく薄っぺらい味となる傾向にある。本発明においては、発酵原料の少なくとも50質量%を麦芽とすることにより、充分なコクを有し、ビールテイストがよりはっきりとした発酵麦芽飲料を製造することができる。発酵原料に用いる麦芽は、大麦麦芽であってもよく、小麦麦芽であってもよい。また、シロップ、エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる麦芽粉砕物として用いることが好ましい。麦芽粉砕物としては、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕したものが挙げられる。
麦芽は、比較的プロリンの含有量が多い。このため、発酵麦芽飲料においては、麦芽使用比率が高くなるほど、プロリンの含有量が多くなる。本発明に係る発酵麦芽飲料のプロリンの含有量としては、10〜40mg/100mLが好ましく、15〜30mg/100mLがより好ましい。なお、発酵麦芽飲料中のプロリンの含有量は、例えば、(米国)ウォーターズ社製Acquity UPLC分析装置を用いて、アキュタグウルトラ(AccQ−Tag Ultra)ラベル化法により測定することができる。また、日本電子社製アミノ酸自動分析装置JLC―500/V型などを用いて測定することも可能である。
4−ビニルグアイアコール(4VG)は、クローブ様のスパイシーな香りの成分であり、麦芽の細胞壁のアラビノキシラン層から遊離したフェルラ酸が、煮沸中に脱炭酸されることで生成する。このため、発酵麦芽飲料においては、麦芽使用比率が高くなるほど、4VGの含有量が多くなる。本発明に係る発酵麦芽飲料の4VGの含有量としては、50〜300質量ppbが好ましく、50〜150質量ppbがより好ましい。なお、発酵麦芽飲料中の4VGの含有量は、例えば、C18(ODS)カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析(McMurroughら、Journal of the Institute of Brewing、1996年、第102巻、第327〜332ページ。)により測定できる。移動相としては、水/メタノール/リン酸混合溶媒(容量比:540/450/10)を用いることが好ましい。
リンゴ酸は、大麦に比較的多く含有されている有機酸である。このため、発酵麦芽飲料においては、大麦由来の原料の使用比率、特に大麦の麦芽の使用比率が高くなるほど、リンゴ酸の含有量が多くなる。本発明に係る発酵麦芽飲料のリンゴ酸の含有量としては、50〜150質量ppmが好ましく、50〜100質量ppm(mg/L)がより好ましい。なお、発酵麦芽飲料中のリンゴ酸の含有量は、例えば、HPLC有機酸分析システム(装置名:Prominence、株式会社島津製作所社製)等の分析装置を用いて分析することにより測定することができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、苦味価が10〜30BUである。本発明に係る発酵麦芽飲料は、苦味価が前記範囲内であることにより、麦芽使用比率が50質量%以上と比較的高くても、キレを良好にすることができる。
なお、本発明及び本願明細書において、苦味価とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来物質群により与えられる苦味の指標であり、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.15 苦味価」の項に記載の方法に従って測定される値である。具体的には、サンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、遠心分離処理後に得られたイソオクタン層の、純粋なイソオクタンを対照に測定した275nmにおける吸光度に定数(50)を乗じた値(BU)である。
ビール等の苦味は、イソα酸等の主にホップに由来する苦味成分による。このため、発酵麦芽飲料の苦味価は、ホップを原料として用いる場合には、ホップの使用量を増大させたり、イソα酸含有量の比較的多いホップ品種を原料として用いることにより高めることができる。また、発酵工程中や発酵工程後にホップを添加し、苦味成分を抽出させることによっても、発酵麦芽飲料の苦味価を高めることができる。
原料として用いるホップとしては、生ホップであってもよく、乾燥ホップであってもよく、ホップペレットであってもよく、ホップから苦味成分を抽出したホップエキスであってもよい。また、イソ化ホップ、テトラハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン等のホップ加工品であってもよい。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、リナロールの含有量が10質量ppb以下であることが好ましい。リナロールは華やかなホップ香であり、リナロールの含有量が多すぎると、発酵麦芽飲料のキレとコクのバランスが崩れやすい。リナロールの含有量を10質量ppb以下に調整することにより、キレとコクのバランスをより良好にすることができる。なお、発酵麦芽飲料中のリナロール含有量は、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により定量することができる。
リナロール含有量を前記範囲内に調節する方法としては、リナロールを含有する物質を原料として用いる方法が挙げられる。例えば、リナロールを含有する品種のホップを適当量、原料として用いることにより、発酵麦芽飲料のリナロール含有量を0.5〜3質量ppbに調節することができる。また、合成の又は天然物から抽出・精製されたリナロール自体を添加剤として添加してもよく、リナロールを含有する香料を添加剤として添加してもよい。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、発酵工程後に加熱処理を経ずに製造された飲料(非加熱の発酵飲料)が好ましい。発酵工程後に加熱処理を行わない場合、固液分離処理により酵母を除去した場合でも、酵母由来の各種酵素の一部が活性を維持した状態で含有されている。このため、非加熱の発酵飲料では、インベルターゼ活性やプロテアーゼ活性が検出される。すなわち、本発明に係る発酵麦芽飲料としては、インベルターゼ活性やプロテアーゼ活性を有するものが好ましい。なお、インベルターゼ活性やプロテアーゼ活性は、常法により測定することができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、発酵原料に対する麦芽の使用比率を50〜66質量%とし、かつ苦味価を10〜30BUに調製する以外は、麦芽を原料とし、発酵工程を経て製造されるビールや発泡酒等の製造方法と同様にして製造することができる。具体的には、例えば、仕込(糖液調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。
まず、仕込工程(糖液調製工程)として、麦芽比率が50〜66質量%の発酵原料と水とを含む混合物を糖化した後、煮沸して発酵原料液を調製する。糖化は、具体的には、麦芽を含む発酵原料と原料水とを含む混合物を調製して加温し、発酵原料の澱粉質を糖化させる。
麦芽以外の発酵原料としては、穀物原料のみを用いてもよく、糖質原料のみを用いてもよく、両者を混合して用いてもよい。穀物原料としては、例えば、大麦や小麦等の麦芽以外の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられ、大麦が特に好ましい。穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる穀物粉砕物として用いることが好ましい。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物粉砕物としては、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。また、本発明において用いられる麦芽以外の穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。例えば、麦芽粉砕物と、米やトウモロコシの粉砕物を混合したものを発酵原料として用いてもよい。また、少なくともその一部に、発芽した状態のものを含むことも好ましい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。
発酵原料と原料水とを含む混合物には、その他の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
糖化処理は、麦芽をはじめとする穀物原料由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵麦芽飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、麦芽等を含む混合物を35〜70℃で20〜90分間保持する等、常法により行うことができる。
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(発酵原料液)を調製することができる。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、麦芽エキスとその他の糖液の混合液に温水を加えたものを、糖化処理後に得られた糖液の濾液の替わりに、又は当該濾液に加えて用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵麦芽飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ポリフェノールをはじめとするホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量や添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)、煮沸条件等は、最終製品たる発酵麦芽飲料の目的とする品質等を考慮して適宜調整することが好ましい。
仕込工程後、発酵工程前に、調製された発酵原料液から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の発酵原料液の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50〜80℃程度で行われる。粕を除去した後の発酵原料液(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
また、発酵工程におけるアルコール発酵を抑制することにより、発酵により生成されるアルコール量がより低減される。したがって、特に、アルコール濃度が1容量%未満のノンアルコールビール等の非常にアルコール濃度が低い発酵麦芽飲料を製造する場合には、発酵工程における発酵度を下げることも好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の発酵麦芽飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が4〜5μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。
また、所望のアルコール濃度とするために、濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。得られた発酵麦芽飲料は、通常、充填工程により瓶詰めされて、製品として出荷される。
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばスピリッツと混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当する発酵麦芽飲料を製造することができる。スピリッツの添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するスピリッツは、より好ましい麦感を有する発酵麦芽飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
なお、以降の実施例等において、特に記載のない限り、「%」は「質量%」を、「ppb」は「質量ppb」を、「ppm」は「質量ppm」を、それぞれ意味する。
[実施例1]
発酵原料として麦芽粉砕物とコーンスターチを用い、かつ原料として使用するホップの品種及び量を調整することによって、麦芽使用比率と製造される発酵麦芽飲料の苦味価を調整したビールテイストの発酵麦芽飲料を製造し、コク及びキレを評価した。
なお、麦芽発酵飲料の苦味価は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.15 苦味価」の項に記載の方法に準じて測定した値とし、当該値に基づいて調整した。
まず、200Lスケールの仕込設備を用いて、発酵麦芽飲料の製造を行った。麦芽比率が50、58、又は66%となるように麦芽粉砕物とコーンスターチを混合した混合物を、発酵原料として用いた。仕込槽に、40kgの発酵原料及び160Lの原料水を投入し、当該仕込槽内の混合物を常法に従って加温して糖化液を製造した。得られた糖化液を濾過し、得られた濾液にホップを添加した後、煮沸して麦汁(穀物煮汁)を得た。次いで、80〜99℃程度の麦汁を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去した後、約7℃に冷却した。当該冷麦汁にビール酵母を接種し、約10℃で7日間発酵させた後、7日間貯酒タンク中で熟成させた。熟成後の発酵液をフィルター濾過(平均孔径:0.65μm)し、目的の発酵麦芽飲料(試験品A〜E)を得た。
得られた発酵麦芽飲料(試験品A〜E)と市販の2種類の発酵麦芽飲料(麦芽比率100質量%の市販品Aと25質量%未満の市販品B)について、12名の訓練されたビール専門パネリストによるコク及びキレについての官能検査を行った。コク及びキレの評価水準は、それぞれ5段階(1が最も弱く、5が最も強い。)で行った。12名のパネリストの評価の平均値を、発酵原料に対する麦芽比率と苦味価と共に、表1に示す。
Figure 2020089396
表1に示すように、市販品A及びBの結果から、発酵麦芽飲料のコクは、麦芽比率が高いほど高くなる傾向にあり、発酵麦芽飲料のキレは、麦芽比率が高いほど低くなる傾向にあることが確認された。これに対して、麦芽比率が50〜66%であり、かつ苦味価が10〜30BUである試験品A〜Eは、いずれもキレとコクの両方が良好であった。さらに、試験品C〜Eを比較すると、麦芽比率が同じ58質量%では、苦味価が10BUの試験品Cではキレの評価は4以上であるが、コクの評価は4未満であり、苦味価が30BUの試験品Eではコクの評価は4以上であるが、キレの評価は4未満であったのに対して、苦味価が15BUの試験品Dではコクとキレの両方の評価が4以上であった。
さらに、各発酵麦芽飲料について、プロリン、4VG、リンゴ酸、及びリナロールの含有量を測定した。測定結果を表2に示す。
各発酵麦芽飲料中のプロリンは、(米国)ウォーターズ社製Acquity UPLC分析装置を用いて、アキュタグウルトラ(AccQ−Tag Ultra)ラベル化法により測定した。検量線は、アミノ酸混合標準液H型(和光純薬社製)を用いて作成した。
各発酵麦芽飲料中の4VGは、C18(ODS)カラムを用いたHPLC分析(McMurroughら、Journal of the Institute of Brewing、1996年、第102巻、第327〜332ページ。)により測定した。移動相としては、水/メタノール/リン酸混合溶媒(容量比:540/450/10)を用いた。
各発酵麦芽飲料中のリンゴ酸は、島津有機酸分析システム(SCL-10A_VP)を用いて、分離・定量した。当該システムは、分離にイオン排除クロマトグラフィー(カラムはShim−pack SCR−102H(8.0mmΦ×300mm)(2本直列接続))を、検出にはポストカラムpH緩衝化電気伝導度法(CCD−10A_VP)を用いたものである。
各発酵麦芽飲料中のリナロール含有量(濃度)は、GC−MS分析により定量した。具体的には、香気成分を供試サンプルからC18固相カラムで抽出し、得られた抽出物をGC/MSに供した。定量は内部標準法を用いた。内部標準物質にはBorneolを用い、試料中50質量ppbになるように添加した。GC/MSにおけるホップ香気成分の分析条件は、以下の通りであった。
[GC/MS分析条件]
キャピラリーカラム:商品名「DB−WAX」(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)、
オーブン温度:40℃(10分)→3℃/分→240℃(20分)、
キャリアガス:He、10psi低圧送気、
トランスファーライン温度:240℃、
MSイオンソース温度:230℃、
MSQポール温度:150℃、
フロント注入口温度:200℃、
定量に用いたイオン:m/z=110(borneol)、m/z=93(linalool)。
Figure 2020089396
表2に示すように、プロリン、4VG、及びリンゴ酸の含有量は、麦芽比率が多いほど多くなる傾向が観察された。また、コクとキレのバランスが良好であった試験品A〜Eは、いずれもリナロールの含有量が5ppb未満であった。

Claims (4)

  1. 麦芽比率が50〜66質量%の発酵原料と水とを含む混合物を糖化した後、煮沸して発酵原料液を調製する仕込工程と、
    前記仕込工程により得られた発酵原料液に酵母を接種し、発酵を行う発酵工程と、
    を少なくとも有し、
    4VGの含有量が50〜150質量ppbであり、リナロールの含有量が10質量ppb以下であり、苦味価が10〜30BUである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法。
  2. 発酵原料の麦芽比率が50〜66質量%であり、4VGの含有量が50〜150質量ppbであり、リナロールの含有量が10質量ppb以下であり、かつ苦味価が10〜30BUであることを特徴とする、発酵麦芽飲料。
  3. リンゴ酸の含有量が50〜150質量ppmである、請求項2に記載の発酵麦芽飲料。
  4. インベルターゼ活性を有する、請求項2又は3に記載の発酵麦芽飲料。
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